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特開2024-123706半導体装置及び半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123706
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/308 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
H01L21/308 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031333
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 清文
(72)【発明者】
【氏名】東平 真人
(72)【発明者】
【氏名】石切山 衛
(72)【発明者】
【氏名】井上 巧
(72)【発明者】
【氏名】児玉 一隆
(72)【発明者】
【氏名】神戸 敏文
(72)【発明者】
【氏名】山本 友三
(72)【発明者】
【氏名】折田 敏幸
【テーマコード(参考)】
5F043
【Fターム(参考)】
5F043AA40
5F043BB30
5F043CC12
(57)【要約】
【課題】電極への接着剤の残存を抑制することが可能な半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体素子が形成されるウエハと、前記ウエハ上に配置される電極と、前記ウエハ及び前記電極を覆う保護膜と、を備え、前記保護膜には、前記ウエハと前記電極との段差部分において前記電極側とは反対側に突出する突出部が形成され、前記突出部は、突出方向の先端に位置する先端面から前記電極側に向かって下る傾斜面を有し、前記傾斜面は、2以上の段差部を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子が形成されるウエハと、
前記ウエハ上に配置される電極と、
前記ウエハ及び前記電極を覆う保護膜と、
を備え、
前記保護膜には、前記ウエハと前記電極との段差部分において前記電極側とは反対側に突出する突出部が形成され、
前記突出部は、突出方向の先端に位置する先端面から前記電極側に向かって下る傾斜面を有し、
前記傾斜面は、2以上の段差部を有する半導体装置。
【請求項2】
前記突出部は、前記先端面に形成される凹部を有し、
前記凹部は、前記先端面から前記電極側の面に向かって窪む形状である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
半導体素子が形成されるウエハと、
前記ウエハ上に配置される電極と、
前記ウエハ及び前記電極を覆う保護膜と、
を備え、
前記保護膜には、前記ウエハと前記電極との段差部分において前記電極側とは反対側に突出する突出部が形成され、
前記突出部は、突出方向の先端に位置する先端面から前記電極側に向かって下る傾斜面を有し、
前記先端面は、前記保護膜の内側から前記保護膜の外側に向かって凸の形状を有し、
前記傾斜面は、前記外側から前記内側に向かって凸の形状を有する半導体装置。
【請求項4】
半導体素子が形成されるウエハと、
前記ウエハ上に配置されるバリアメタルと、
前記バリアメタルを介して前記ウエハ上に配置される電極と、
前記ウエハと前記バリアメタルの一部領域とを覆う保護膜と、
を備え、
前記保護膜には、前記ウエハと前記電極との段差部分において前記電極側とは反対側に突出する突出部が形成され、
前記突出部は、突出方向の先端に位置する先端面から前記バリアメタル側に向かって下る傾斜面を有し、
前記傾斜面は、前記電極を覆わずに、前記バリアメタルの表面の内、前記電極と重ならない面を覆う、半導体装置。
【請求項5】
半導体素子が形成されるウエハと、前記ウエハ上に配置される電極と、前記ウエハ及び前記電極を覆う保護膜と、を備える半導体装置の製造方法であって、
前記電極にパターンを形成するパターン形成工程と、
前記電極及び前記ウエハに特定形状の保護膜を形成する保護膜形成工程と、
を含み、
前記保護膜形成工程は、第1幅の第1レジストを用いて、前記保護膜をエッチングする第1エッチング工程と、前記第1幅よりも広い第2幅の第2レジストを用いて、前記保護膜をエッチングする第2エッチング工程と、を含み、
前記特定形状の保護膜には、前記ウエハと前記電極との段差部分において前記電極側とは反対側に突出する突出部が形成され、
前記突出部は、突出方向の先端に位置する先端面から前記電極側に向かって下る傾斜面を有し、
前記傾斜面は、2以上の段差部を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1エッチング工程は、空洞が形成された前記第1レジストを用いて、前記先端面に凹部を形成する工程を含み、
前記凹部は、前記保護膜の前記先端面から前記電極側の面に向かって窪む形状である、請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
半導体素子が形成されるウエハと、前記ウエハ上に配置される電極と、前記ウエハ及び前記電極を覆う保護膜と、を備える半導体装置の製造方法であって、
前記電極にパターンを形成するパターン形成工程と、
前記電極及び前記ウエハに特定形状の保護膜を形成する保護膜形成工程と、
を含み、
前記保護膜形成工程は、特定幅のレジストを用いて、前記保護膜をエッチングするエッチング工程と、前記レジストを除去した後に前記保護膜を現像する現像工程と、を含み、
前記特定形状の保護膜には、前記ウエハと前記電極との段差部分において前記電極側とは反対側に突出する突出部が形成され、
前記突出部は、突出方向の先端に位置する先端面から前記電極側に向かって下る傾斜面を有し、
前記先端面は、前記保護膜の内側から前記保護膜の外側に向かって凸の形状を有し、
前記傾斜面は、前記外側から前記内側に向かって凸の形状を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
半導体素子が形成されるウエハと、前記ウエハ上に配置されるバリアメタルと、前記バリアメタルを介して前記ウエハ上に配置される電極と、前記ウエハと前記バリアメタルの一部領域とを覆う保護膜と、を備える半導体装置の製造方法であって、
前記電極にパターンを形成するパターン形成工程と、
前記電極及び前記ウエハに特定形状の保護膜を形成する保護膜形成工程と、
を含み、
前記保護膜形成工程は、レジストをパターニングするパターニング工程と、前記パターニングしたレジストを硬化させる硬化工程と、前記硬化したレジストを用いて前記保護膜を現像する現像工程と、を含み、
前記特定形状の保護膜には、前記ウエハと前記電極との段差部分において前記電極側とは反対側に突出する突出部が形成され、
前記突出部は、突出方向の先端に位置する先端面から前記電極側に向かって下る傾斜面を有し、
前記傾斜面は、2以上の段差部を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
半導体素子が形成されるウエハと、前記ウエハ上に配置されるバリアメタルと、前記バリアメタルを介して前記ウエハ上に配置される電極と、前記ウエハと前記バリアメタルの一部領域とを覆う保護膜と、を備える半導体装置の製造方法であって、
前記電極にパターンを形成するパターン形成工程と、
前記バリアメタル及び前記ウエハに特定形状の保護膜を形成する保護膜形成工程と、
を含み、
前記保護膜形成工程は、
前記電極のパターンにレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
前記レジスト膜を形成した後に、前記電極をエッチングする電極エッチング工程と、
前記エッチングされた電極の端部に位置する前記バリアメタルを、前記レジスト膜を用いてエッチングするバリアメタルエッチング工程と、
前記ウエハ、前記バリアメタル及び前記電極の上部に、前記保護膜を成膜する成膜工程と、
特定幅のレジストを用いて、前記保護膜をエッチングする工程と、を含み、
前記特定形状の保護膜には、前記ウエハと前記電極との段差部分において前記電極側とは反対側に突出する突出部が形成され、
前記突出部は、突出方向の先端に位置する先端面から前記バリアメタル側に向かって下る傾斜面を有し、
前記傾斜面は、前記電極を覆わずに、前記バリアメタルの表面の内、前記電極と重ならない面を覆う、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体装置として、半導体素子が形成された基板であるウエハと、ウエハ上に配置される電極と、ウエハと電極を覆う保護膜とを備えた半導体装置が開示されている(例えば特許文献1)。半導体装置の製造工程には、保護膜が形成されたウエハの表の面に塗布された接着剤を介して、ガラス基板などの支持基板にウエハを固定する工程と、支持基板に固定されたウエハの裏の面を加工する工程と、支持基板からウエハを切り離す工程とが含まれ得る。
【0003】
支持基板からウエハを切り離す工程では、接着剤にレーザを照射することで接着剤が切断される。このときウエハには、接着剤の一部が残存するため、残存した接着剤を除去する除去工程が必要になる。除去工程では、残存した接着剤に粘着物を貼りつけて、当該粘着物をローラなどで巻き取ることで、接着剤を粘着物に転写することができる。
【0004】
ここで、従来の半導体装置では、保護膜が電極のパターンを覆わないようにして、電極の上面からウエハの上面に渡って設けられる場合がある。このため保護膜には、ウエハと電極との段差部分において電極側とは反対側に突出する突出部が形成され得る。突出部は、ウエハと電極の積層方向において、ウエハから電極に向かって先細りの形状を有する。このような形状を有する突出部は、突出方向の先端に位置する先端面から電極側に向かって下る傾斜面を有する。傾斜面は、保護膜の先端面から電極に至る面、いわゆるテーパ面である。このように保護膜を形成することで、電極へのワイヤの接続が保護膜で妨げられることなく、保護膜によって、電極とウエハとの隙間からウエハへの水などの浸入を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-035875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の半導体装置では、電極とウエハとの間に存在する段差部分が大きくなるほど突出部の高さが大きくなるため、突出部の傾斜面の傾斜角度が大きくなり得る。傾斜面の傾斜角度が大きくなると、接着剤を剥がす際、接着剤を剥がす力が特定箇所に集中するため、接着剤が切れる可能性が大きくなる。特定箇所は、先端面と傾斜面との交点、つまり突出部の先端の角部及びその周囲である。このように接着剤が切れた場合、電極上に接着剤が残存するため、残存した接着剤が電極へのワイヤの接続の妨げになり、半導体装置の歩留まりが低下し得る。
【0007】
本発明は、上記の事情を踏まえ、電極への接着剤の残存を抑制することが可能な半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る半導体装置は、半導体素子が形成されるウエハと、前記ウエハ上に配置される電極と、前記ウエハ及び前記電極を覆う保護膜と、を備え、前記保護膜には、前記ウエハと前記電極との段差部分において前記電極側とは反対側に突出する突出部が形成され、前記突出部は、突出方向の先端に位置する先端面から前記電極側に向かって下る傾斜面を有し、前記傾斜面は、2以上の段差部を有する。
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る半導体装置は、半導体素子が形成されるウエハと、前記ウエハ上に配置される電極と、前記ウエハ及び前記電極を覆う保護膜と、を備え、前記保護膜には、前記ウエハと前記電極との段差部分において前記電極側とは反対側に突出する突出部が形成され、前記突出部は、突出方向の先端に位置する先端面から前記電極側に向かって下る傾斜面を有し、前記先端面は、前記保護膜の内側から前記保護膜の外側に向かって凸の形状を有し、前記傾斜面は、前記外側から前記内側に向かって凸の形状を有する。
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る半導体装置は、半導体素子が形成されるウエハと、前記ウエハ上に配置されるバリアメタルと、前記バリアメタルを介して前記ウエハ上に配置される電極と、前記ウエハと前記バリアメタルの一部領域とを覆う保護膜と、を備え、前記保護膜には、前記ウエハと前記電極との段差部分において前記電極側とは反対側に突出する突出部が形成され、前記突出部は、突出方向の先端に位置する先端面から前記バリアメタル側に向かって下る傾斜面を有し、前記傾斜面は、前記電極を覆わずに、前記バリアメタルの表面の内、前記電極と重ならない面を覆う。
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体素子が形成されるウエハと、前記ウエハ上に配置される電極と、前記ウエハ及び前記電極を覆う保護膜と、を備える半導体装置の製造方法であって、前記電極にパターンを形成するパターン形成工程と、前記電極及び前記ウエハに特定形状の保護膜を形成する保護膜形成工程と、を含み、前記保護膜形成工程は、第1幅の第1レジストを用いて、前記保護膜をエッチングする第1エッチング工程と、前記第1幅よりも広い第2幅の第2レジストを用いて、前記保護膜をエッチングする第2エッチング工程と、を含み、前記特定形状の保護膜には、前記ウエハと前記電極との段差部分において前記電極側とは反対側に突出する突出部が形成され、前記突出部は、突出方向の先端に位置する先端面から前記電極側に向かって下る傾斜面を有し、前記傾斜面は、2以上の段差部を有する。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体素子が形成されるウエハと、前記ウエハ上に配置される電極と、前記ウエハ及び前記電極を覆う保護膜と、を備える半導体装置の製造方法であって、前記電極にパターンを形成するパターン形成工程と、前記電極及び前記ウエハに特定形状の保護膜を形成する保護膜形成工程と、を含み、前記保護膜形成工程は、特定幅のレジストを用いて、前記保護膜をエッチングするエッチング工程と、前記レジストを除去した後に前記保護膜を現像する現像工程と、を含み、前記特定形状の保護膜には、前記ウエハと前記電極との段差部分において前記電極側とは反対側に突出する突出部が形成され、前記突出部は、突出方向の先端に位置する先端面から前記電極側に向かって下る傾斜面を有し、前記先端面は、前記保護膜の内側から前記保護膜の外側に向かって凸の形状を有し、前記傾斜面は、前記外側から前記内側に向かって凸の形状を有する。
【0013】
上記課題を解決するため、本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体素子が形成されるウエハと、前記ウエハ上に配置されるバリアメタルと、前記バリアメタルを介して前記ウエハ上に配置される電極と、前記ウエハと前記バリアメタルの一部領域とを覆う保護膜と、を備える半導体装置の製造方法であって、前記電極にパターンを形成するパターン形成工程と、前記電極及び前記ウエハに特定形状の保護膜を形成する保護膜形成工程と、を含み、前記保護膜形成工程は、レジストをパターニングするパターニング工程と、前記パターニングしたレジストを硬化させる硬化工程と、前記硬化したレジストを用いて前記保護膜を現像する現像工程と、を含み、前記特定形状の保護膜には、前記ウエハと前記電極との段差部分において前記電極側とは反対側に突出する突出部が形成され、前記突出部は、突出方向の先端に位置する先端面から前記電極側に向かって下る傾斜面を有し、前記傾斜面は、2以上の段差部を有する。
【0014】
上記課題を解決するため、本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体素子が形成されるウエハと、前記ウエハ上に配置されるバリアメタルと、前記バリアメタルを介して前記ウエハ上に配置される電極と、前記ウエハと前記バリアメタルの一部領域とを覆う保護膜と、を備える半導体装置の製造方法であって、前記電極にパターンを形成するパターン形成工程と、前記バリアメタル及び前記ウエハに特定形状の保護膜を形成する保護膜形成工程と、を含み、前記保護膜形成工程は、前記電極のパターンにレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、前記レジスト膜を形成した後に、前記電極をエッチングする電極エッチング工程と、前記エッチングされた電極の端部に位置する前記バリアメタルを、前記レジスト膜を用いてエッチングするバリアメタルエッチング工程と、前記ウエハ、前記バリアメタル及び前記電極の上部に、前記保護膜を成膜する成膜工程と、特定幅のレジストを用いて、前記保護膜をエッチングする工程と、を含み、前記特定形状の保護膜には、前記ウエハと前記電極との段差部分において前記電極側とは反対側に突出する突出部が形成され、前記突出部は、突出方向の先端に位置する先端面から前記バリアメタル側に向かって下る傾斜面を有し、前記傾斜面は、前記電極を覆わずに、前記バリアメタルの表面の内、前記電極と重ならない面を覆う。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電極への接着剤の残存を抑制することが可能な半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することが可能となる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
図2図2は、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図3図3は、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図4図4は、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図5図5は、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図6図6は、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図7図7は、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図8図8は、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
図9図9は、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図10図10は、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図11図11は、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図12図12は、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図13図13は、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図14図14は、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図15図15は、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図16図16は、比較例にかかる半導体装置の断面図である。
図17図17は、比較例にかかる半導体装置に残存した接着剤を示す図である。
図18図18は、本開示の第2実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
図19図19は、本開示の第2実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図20図20は、本開示の第2実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図21図21は、本開示の第2実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図22図22は、本開示の第2実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
図23図23は、本開示の第2実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図24図24は、本開示の第2実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図25図25は、本開示の第3実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
図26図26は、本開示の第3実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図27図27は、本開示の第4実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
図28図28は、本開示の第4実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図29図28は、本開示の第4実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図30図30は、本開示の第4実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図31図31は、本開示の第4実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図32図32は、本開示の第5実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
図33図33は、本開示の第5実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図34図34は、本開示の第5実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図35図35は、本開示の第5実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
図36図36は、本開示の第5実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図37図37は、本開示の第5実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
図38図38は、本開示の第5実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。なお、同一の機能や構成には、同一または類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0018】
[第1実施形態]
(半導体装置の構成)
図1を参照して、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置100について説明する。図1は、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
【0019】
半導体装置100は、半導体素子が形成されるウエハ1と、ウエハ1上に配置される電極2と、ウエハ1と電極2とを覆う保護膜3と、絶縁膜4とを備える。
【0020】
ウエハ1は、半導体素子が形成される基板である。具体的には、ウエハ1は、Si(シリコン)を含むSi基板である。なお、ウエハ1は、Si基板に限定されず、SiC(シリコンカーバイド)を含む基板、GaAs(ガリウム砒素)を含む基板などでもよい。
【0021】
電極2は、ウエハ1上に配置される導電部材である。具体的には、電極2は、ゲート電極、ドレイン電極、ソース電極などである。電極2の材料は、用途、目的などに応じて適宜選択可能であり、一例としてAl(アルミニウム)が挙げられる。
【0022】
絶縁膜4は、電極2とウエハ1を絶縁する膜である。絶縁膜4の材料は、用途、目的などに応じて適宜選択可能であり、一例としてシリコン酸化膜が挙げられる。なお第1実施形態では、保護膜3が絶縁膜4を介してウエハ1上に形成されているが、保護膜3はウエハ1上に直接形成されてもよい。
【0023】
保護膜3は、ウエハ1と電極2の間の隙間からウエハ1への異物(水、埃など)の浸入を防止する機能を有する。保護膜3は、CVD(Chemical Vapor Deposition)絶縁膜、樹脂系絶縁膜などである。樹脂系絶縁膜の材料は、用途、目的などに応じて適宜選択可能であり、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂が挙げられる。
【0024】
保護膜3は、電極2とウエハ1との間に存在する段差部分20を覆うように設けられている。具体的には、保護膜3は、ウエハ1の上部に設けられている絶縁膜4の一部領域と、電極2の一部領域とを覆うように、段差部分20を介して、電極2の上面からウエハ1の上面に渡って設けられている。
【0025】
段差部分20が存在することにより、保護膜3には、段差部分20において電極2側とは反対側に突出する突出部30が形成される。突出部30の断面形状は、電極2の上方に向かって突き出たテーパ形状を有する。具体的には、突出部30は、ウエハ1から電極2に向かう方向に、断面形状が先細りの形状を有する。
【0026】
このように形成される保護膜3は、保護膜3の電極2側の面とは反対側の面である先端面31と、傾斜面32とを有する。先端面31は、突出部30の表面の内、突出部30の突出方向の先端に位置する面と解釈してよい。傾斜面32は、突出部30の表面の内、先端面31から電極2側に向かって下る面(テーパ面)と解釈してよい。
【0027】
傾斜面32は、隣接する2つの曲面32a、32bを有する。2つの曲面32a、32bは、それぞれが保護膜3の外側から保護膜3の内側に向かって凸の形状を有する。2つの曲面32a、32bは、それぞれが保護膜3の外側から内側に向かって窪む凹形状の曲面と解釈してよい。また2つの曲面32a、32bは、それぞれが曲率半径の中心が保護膜3の外側に位置し、かつ、曲率半径の中心が電極2の上面に位置する円弧面と解釈してもよい。
【0028】
2つの曲面32a、32bが形成されることにより、傾斜面32には、2つの曲面32a、32bが交わる箇所に位置する1つの頂部と、当該頂部の両側に形成される2つの谷部とが形成される。そして傾斜面32には、頂部から電極2の上面に下る領域と、頂部から突出部30の先端面31の上る領域とに段差部33が形成される。このように突出部30の傾斜面32には、電極2の上部に位置する領域において、2つの段差部33が形成されている。
【0029】
なお、傾斜面32に形成される段差部33の数は2つに限定されず、段差部33の数は2以上であればよい。
【0030】
(半導体装置100の製造方法)
次に、第1実施形態にかかる半導体装置100の製造方法について説明する。図2から図15は、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
【0031】
(1)素子形成工程
素子形成工程ではウエハ1に半導体素子が形成される。具体的には、素子形成工程では、ウエハ1の半導体層の活性領域内にトランジスタなどの半導体素子が形成される。
【0032】
(2)電極形成工程
電極形成工程では、ウエハ1の表の面に電極膜が成膜された後、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、電極パターンが形成される。具体的には、電極膜にレジストが塗布され、ウェットエッチングにより特定形状のレジスト5Aが形成される(図2)。さらにドライエッチングにより電極パターンが形成され、レジスト5Aが除去される(パターン形成工程:図3)。
【0033】
次に、ポリイミドコーティングにより保護膜3が成膜される。具体的には、電極2及びウエハ1に特定形状の保護膜3が形成される(保護膜形成工程:図4)。
【0034】
成膜された保護膜3は、フォトリソグラフィにより、第1幅の第1レジスト(レジスト5B)を用いてエッチングされる。具体的には、電極2の開口パターンよりも大きいパターンで、保護膜3の厚みが5μm程度になるまでエッチングされる(第1エッチング工程:図5から図8)。
【0035】
より具体的には、保護膜3の上面にポジコーティング、すなわちポジ型のレジスト5Bが塗布され(図5)、レジスト5Bの位置合わせ及び現像が行われる(図6)。図6の上側には半導体装置100の断面が示され、図6の下側には、上方から見た半導体装置100が示されている。さらにポリイミド現像により保護膜3にテーパ形状の領域が形成される(図7)。具体的には、ポリイミド現像により、保護膜3の一部が溶解されることにより、レジスト5Bと絶縁膜4との間の領域に存在する保護膜3、つまりレジスト5Bに覆われている保護膜3がテーパ状に形成される。その後レジスト5Bが除去される(図8)。この工程により、傾斜面32に1つ目の段差部33が形成される。
【0036】
次に、ポジコーティング及びキュアなどを含むフォトリソグラフィにより、再び保護膜3をエッチングする。具体的には、第1幅よりも広い第2幅の第2レジスト(レジスト5C)を用いて、保護膜3をエッチングする(第2エッチング工程:図9から図11)。
【0037】
より具体的には、テーパ状に形成された保護膜3の突出部30を含むように、保護膜3の上面にポジコーティング、つまりポジ型のレジスト5Cが塗布される(図9)。このとき、突出部30を中心にして、突出部30の周囲を覆うように、レジスト5Cの位置合わせ及び現像が行われる。図9の上側には半導体装置100の断面が示され、図9の下側には上方から見た半導体装置100が示されている。
【0038】
ウエハ1と電極2の積層方向D1と直交する方向D2におけるレジスト5Cの幅は、図7に示されるレジスト5Bの方向D2における幅よりも広くなるように設定される。
【0039】
次に、2回目のポリイミド現像により、レジスト5Cと電極2との間の領域に存在する保護膜3(突出部30)の一部が現像液に溶解するため、突出部30の傾斜面32に2つ目の段差部33が形成される(図10)。その後、レジスト5Cが除去され、保護膜3をキュアするための熱処理が行われる(図11)。
【0040】
このように第1実施形態にかかる半導体装置100の製造工程では、保護膜3の形成に2つのフォトレジストマスク(レジスト5B及びレジスト5C)が利用されることで、2以上の段差部33を有する特定形状の保護膜3が形成される。
【0041】
(3)薄膜化工程
薄膜化工程では、まずウエハ1の表の面(素子形成面)に接着剤200が塗布され、接着剤200を介してウエハ1が支持基板300に張り合わされる(図12)。次に、ウエハ1の裏の面(素子未形成面)が、砥石、エッチング液などにより、薄膜化される。
【0042】
(4)支持基板剥離工程
支持基板剥離工程では、接着剤200にレーザを照射することで接着剤200が切断される。このとき切断された接着剤200の一部がウエハ1に残存する(図13)。残存する接着剤200は、突出部30の先端面31から接着剤200の表の面200aまでの第1領域に存在する第1接着剤201と、第1領域以外の第2領域に存在する第2接着剤202とを含む。第2領域は、突出部30の傾斜面32から接着剤200の表の面200aまでの領域と、電極2の上面から接着剤200の表の面200aまでの領域とを含む。
【0043】
(5)接着剤除去工程
接着剤除去工程では、残存した接着剤200に粘着物400を貼り、粘着物400がローラで巻き上げられることで、粘着物400に接着剤200が転写される(図14及び図15)。これにより第1領域及び第2領域に残存した接着剤200が除去される。
【0044】
(比較例)
ここで、第1実施形態にかかる半導体装置100の比較例について説明する。図16は、比較例にかかる半導体装置の断面図である。図16に示すように、比較例にかかる半導体装置100Aは、突出部30の傾斜面32に1つの段差部33のみ形成されている。これは半導体装置100Aの製造工程には、図5から図8に示す工程が含まれるが、図9及び図10に示す工程が含まれないためである。
【0045】
ここで、電極2とウエハ1との間の段差部分20が大きくなるほど突出部30の高さが大きくなるため、突出部30の段差部33も大きくなる。特にディスクリート製品では、保護膜3が10um程度に厚く形成されるため、突出部30の段差部33が大きくなる傾向がある。このため、電極2の上面に対する突出部30の傾斜面32の傾斜角度が大きくなり得る。
【0046】
図17は、比較例にかかる半導体装置100Aに残存した接着剤を示す図である。図17に示すように、残存した接着剤200の内、積層方向D1における第1接着剤201の幅W1は、積層方向D1における第2接着剤202の幅W2よりも小さい。つまり第1接着剤201の厚みは第2接着剤202の厚みよりも薄くなる。
【0047】
また、半導体装置100Aの突出部30の傾斜面32は傾斜角度が大きいため、残存した接着剤200を剥がす力が特定箇所に集中してしまい、特定位置で接着剤200が切れる可能性が大きくなる。特定箇所は、突出部30の先端面31と傾斜面32との交点、つまり突出部30の先端の角部及びその周囲である。特定位置は、第1接着剤201と第2接着剤202との境界部である。
【0048】
また、傾斜面32は傾斜角度が大きいため、方向D2における突出部30の先端面31の幅W3が、第1実施形態1にかかる突出部30の先端面31の幅よりも広くなる。このため、方向D2における第1接着剤201の幅も広くなり、引っ張り強度が低い第1接着剤201の割合が大きくなる。従って、接着剤200を剥がす際、第1接着剤201が切れて、電極2上に第2接着剤202が残存すると、第2接着剤202が電極2へのワイヤの接続の妨げになり、半導体装置100Aの歩留まりが低下し得る。
【0049】
(作用・効果)
以上に説明したように、本実施形態に係る半導体装置100及び半導体装置100の製造方法によれば、傾斜面32に2つ以上の段差部33が形成されるため、突出部30の傾斜面32の傾斜角度が緩やかになる。このため、接着剤200を剥がす力が傾斜面32の全体に分散されて、特定位置で接着剤200が切れることを低減できる。
【0050】
また、突出部30の先端面31の幅W3(図17参照)が狭くなるため、引っ張り強度が低い第1接着剤201の割合が小さくなる。このため、第1接着剤201が切れる可能性を低減できる。この結果、電極2に第2接着剤202が残存することを抑制でき、半導体装置100の歩留りが向上し得る。
【0051】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る半導体装置100の構成及び製造方法について説明する。図18は、本開示の第2実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
【0052】
第2実施形態にかかる半導体装置100は、第1実施形態1にかかる構成に加え、突出部30が先端面31に形成される凹部34を有している。凹部34は、突出部30の先端面31から突出部30の電極2側の面に向かって窪む形状である。
【0053】
次に、第2実施形態にかかる半導体装置100の製造方法について説明する。図19から図24は、本開示の第2実施形態にかかる半導体装置100の製造方法を説明するための図である。
【0054】
(1)素子形成工程
第1実施形態と同様に、素子形成工程ではウエハ1に半導体素子が形成される。
【0055】
(2)電極形成工程
第1実施形態と同様に、ウエハ1の表の面に電極膜が成膜された後、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、電極パターンが形成され(パターン形成工程:図3)、ポリイミドコーティングにより保護膜3が成膜される(保護膜形成工程:図4)。
【0056】
成膜された保護膜3は、フォトリソグラフィにより、第1幅の第1レジスト(レジスト5B)を用いてエッチングされる。具体的には、電極2の開口パターンよりも大きいパターンで、保護膜3の厚みが5μm程度になるまでエッチングされる(第1エッチング工程:図5図19図21)。
【0057】
より具体的には、保護膜3の上面にポジコーティング、つまりポジ型のレジスト5Bが塗布され(図5)、レジスト5Bの位置合わせ及び現像が行われる(図19)。図19の上側には半導体装置100の断面が示され、図19の下側には上方から見た半導体装置100が示されている。
【0058】
エッチングにより空洞Aが形成されたレジスト5Bを用いてポリイミド現像することで、テーパ形状の保護膜3(突出部30)が形成される(図20)。具体的には、ポリイミド現像により、レジスト5Bと絶縁膜4との間の領域に存在する保護膜3の一部が溶解して、突出部30が形成される。またポリイミド現像により、突出部30の先端面31には凹部34が形成される。その後、レジスト5Bが除去される(図21)。この工程により、突出部30の傾斜面32に1つ目の段差部33が形成される。
【0059】
次に、第1実施形態と同様に、ポジコーティング及びキュアなどを含むフォトリソグラフィにより、再び保護膜3をエッチングする(第2エッチング工程:図22から図24)。
【0060】
このように第2実施形態にかかる半導体装置100の製造工程では、2以上の段差部33を有する突出部30が形成され、さらに突出部30の先端面31に凹部34が形成される。
【0061】
なお、第2実施形態にかかる半導体装置100の薄膜化工程、支持基板剥離工程、及び接着剤除去工程は、第1実施形態の各工程と同様のため、以下説明を省略する。
【0062】
(作用・効果)
以上に説明したように、本実施形態に係る半導体装置100では、突出部30の先端面31に凹部34が形成されるため、凹部34の内部に第1接着剤201(図13参照)が充填される。このため、第1接着剤201の幅W1(図17参照)が大きくなり、第1接着剤201の引っ張り強度が高くなる。従って、第1接着剤201が切れる可能性が低減し、半導体装置100の歩留りがより一層向上し得る。
【0063】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る半導体装置100の構成及び製造方法について説明する。図25は、本開示の第3実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
【0064】
第3実施形態にかかる半導体装置100では、突出部30の先端面31が保護膜3の内側から保護膜3の外側に向かって凸の形状を有する。また突出部30の傾斜面32は、保護膜3の外側から内側に向かって凸の形状を有する。
【0065】
具体的には、突出部30の先端面31は、曲率半径の中心が保護膜3の内側に位置する円弧面である。突出部30の傾斜面32は、曲率半径の中心が保護膜3の外側に位置し、かつ、曲率半径の中心が電極2の上面に位置する円弧面である。
【0066】
2つの円弧面が形成されることで、突出部30の先端面31及び傾斜面32との交点に角部が形成されずに、突出部30の表面になだらかな曲面が形成される。
【0067】
次に、第3実施形態にかかる半導体装置100の製造方法について説明する。図26は、本開示の第3実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
【0068】
(1)素子形成工程
第1実施形態と同様に、素子形成工程ではウエハ1に半導体素子が形成される。
【0069】
(2)電極形成工程
第1実施形態と同様に、ウエハ1の表の面に電極膜が成膜された後、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、電極パターンが形成され(パターン形成工程:図3)、ポリイミドコーティングにより保護膜3が成膜される(保護膜形成工程:図4)。
【0070】
成膜された保護膜3は、第1実施形態の第1エッチング工程と同様に、保護膜3の厚みが5μm程度になるまでエッチングされる(エッチング工程:図5図8)。なお、当該工程で利用するレジストの幅は、図9に示されるレジスト5Cの幅と同様でもよい。次に、レジストを除去した後に保護膜3を現像する(現像工程:図26)。図26の上側には現像前の保護膜3の形状が示されており、図26の下側には現像後の保護膜3の形状が示されている。
【0071】
このように第3実施形態によれば、保護膜3を現像することにより、突出部30の表面が溶解されるため、突出部30に2つの円弧面が形成される。
【0072】
なお、第3実施形態にかかる半導体装置100の薄膜化工程、支持基板剥離工程、及び接着剤除去工程は、第1実施形態の各工程と同様のため、以下説明を省略する。
【0073】
(作用・効果)
以上に説明したように、本実施形態に係る半導体装置100によれば、突出部30の傾斜面32になだらかな曲面が形成されるため、突出部30の傾斜面32の傾斜角度が緩やかになる。このため、第1実施形態と同様に、接着剤200を剥がす力が傾斜面32の全体に分散されるため、特定位置で接着剤200が切れることを低減できる。
【0074】
また第3実施形態では、図9及び図10に示す工程、つまりフォトリソグラフィなどの工程が削減されるため、半導体装置100の製造時間が短縮され、半導体装置100の低コスト化を図ることが可能となる。
【0075】
[第4実施形態]
第4実施形態に係る半導体装置100の構成及び製造方法について説明する。図27は、本開示の第4実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
【0076】
第4実施形態にかかる半導体装置100の突出部30は、第1実施形態と異なる工程により形成されている。以下に第4実施形態にかかる半導体装置100の製造方法について説明する。図28から図31は、本開示の第4実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
【0077】
(1)素子形成工程
第1実施形態と同様に、素子形成工程ではウエハ1に半導体素子が形成される。
【0078】
(2)電極形成工程
第1実施形態と同様に、ウエハ1の表の面に電極膜が成膜された後、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、電極パターンが形成され(パターン形成工程:図3)、ポリイミドコーティングにより保護膜3が成膜される(保護膜形成工程:図4)。
【0079】
保護膜3が成膜された後、フォトリソグラフィにより、レジスト5をパターニングする(パターニング工程:図28及び図29)。図28の上側には半導体装置100の断面が示され、図28の下側には上方から見た半導体装置100が示されている。
【0080】
次にパターニングしたレジスト5をUVキュアリングにより硬化させる(硬化工程)。これにより、レジスト5の保護膜3への密着性が低下し、レジスト5と保護膜3との間に隙間Gが形成される(図29)。
【0081】
その後、硬化したレジスト5を用いて保護膜3が現像される。このとき、レジスト5と保護膜3との間の隙間Gに薬液が入り込むため、突出部30の角部の表面が曲面となり、なだらかな傾斜面32を有する突出部30が形成される(現像工程:図30)。また第1実施形態と同様に、電極2上部の保護膜3が除去されて、電極2が開口する。最後にレジスト5が除去される(図31)。
【0082】
このように第4実施形態にかかる半導体装置100の製造工程では、なだらかな傾斜面32を有する保護膜の突出部30が形成される。
【0083】
なお、第4実施形態にかかる半導体装置100の薄膜化工程、支持基板剥離工程、及び接着剤除去工程は、第1実施形態の各工程と同様のため、以下説明を省略する。
【0084】
(作用・効果)
以上に説明したように、本実施形態に係る半導体装置100の製造方法によれば、従来の製造工程に使用されるレジストマスクと同様の形状のレジスト5を使用して、突出部30を形成することができる。また硬化したレジスト5を用いて保護膜3が現像されるため、突出部30になだらかな傾斜面32が形成される。つまり、従来から利用されているレジストマスクを利用して、UVキュアリングによる硬化工程を付加することで、なだらかな傾斜面32を有する突出部30を形成することができる。
【0085】
従って、第1実施形態の効果に加え、現像工程を1つ削減することができるため、半導体装置100の製造時間が短縮され、半導体装置100の低コスト化を図ることが可能となる。
【0086】
[第5実施形態]
第5実施形態に係る半導体装置100の構成及び製造方法について説明する。図32は、本開示の第5実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
【0087】
第5実施形態にかかる半導体装置100は、ウエハ1と、ウエハ1上に配置されるバリアメタル6と、バリアメタル6を介してウエハ1上に配置される電極2と、ウエハ1とバリアメタル6の一部領域とを覆う保護膜3と、絶縁膜4とを備える。
【0088】
保護膜3の突出部30は、突出方向の先端に位置する先端面31からバリアメタル6側に向かって下る傾斜面32を有する。傾斜面32は、電極2を覆わずに、バリアメタル6の表面の内、電極2と重ならない面61を覆うように形成されている。
【0089】
次に、第5実施形態にかかる半導体装置100の製造方法について説明する。図33から図38は、本開示の第5実施形態にかかる半導体装置の製造方法を説明するための図である。
【0090】
(1)素子形成工程
第1実施形態と同様に、素子形成工程ではウエハ1に半導体素子が形成される。
【0091】
(2)電極形成工程
第1実施形態と同様に、ウエハ1の表の面に電極膜が成膜された後、電極パターンのレジスト膜(レジスト5A)が形成される(レジスト膜形成工程:図33)。このレジスト膜を用いて電極2をエッチングすることで、電極パターンが形成される(電極エッチング工程:図33)。このとき電極膜を抜くために必要な時間よりも長い特定時間、ウェットエッチングを行うことで、電極2の幅をレジスト膜の幅よりも小さくする。このとき、バリアメタル6はエッチングされないためバリアメタル6が露出する。つまり、電極2の端部にバリアメタル6の端部が露出する。特定時間は、例えば数十秒であり、電極2の端部にバリアメタル6の端部を露出させるために必要なエッチング処理時間と解釈してよい。
【0092】
次に、残ったレジスト膜をマスクとして、ドライエッチングによりバリアメタル6をパターンニングする。すなわちエッチングされた電極2の端部に位置するバリアメタル6を、レジスト膜を用いてエッチングする(バリアメタルエッチング工程)。
【0093】
次に、レジスト膜が除去され(図34)、ポリイミドコーティングにより、バリアメタル6の端部と電極2の上部に保護膜3が成膜される(保護膜形成工程:図35)。バリアメタル6の端部は、バリアメタル6の表面の内、電極2と重ならない面61を含む。
【0094】
成膜された保護膜3は、フォトリソグラフィにより、特定幅のレジスト5Bを用いてエッチングされる。具体的には、電極2の開口パターンよりも大きいパターンで、保護膜3がエッチングされる(エッチング工程:図36及び図37)。これにより第1実施形態と同様に、電極2上部の保護膜3が除去されて電極2が開口する共に突出部30が形成される。当該突出部30の傾斜面32は、電極2を覆わずに、バリアメタル6の表面の内、電極2と重ならない面61を覆うように形成される。最後にレジスト5Bが除去される(図38)。
【0095】
(作用・効果)
以上に説明したように、本実施形態に係る半導体装置100では、突出部30の傾斜面32は、電極2を覆わずに、バリアメタル6の表面の内、電極2と重ならない面61を覆うように形成される。つまり、電極2とウエハ1との間に存在する段差部分20から離れた位置に突出部30が形成される。このため、突出部30の段差部33が小さくなり、接着剤200の使用量を減らすことができる。従って、第1実施形態の効果に加え、接着剤の使用量が低下する分、半導体装置100の製造時間が短縮され、半導体装置100の製造コストをより低減することが可能となる。
【符号の説明】
【0096】
1 ウエハ
2 電極
3 保護膜
4 絶縁膜
5 レジスト
5A レジスト
5B レジスト
5C レジスト
6 バリアメタル
20 段差部分
30 突出部
31 先端面
32 傾斜面
32a 曲面
32b 曲面
33 段差部
34 凹部
61 面
100 半導体装置
100A 半導体装置
200 接着剤
200a 面
201 接着剤
202 接着剤
300 支持基板
400 粘着物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38