(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123743
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20240905BHJP
H01L 21/324 20060101ALI20240905BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H01L21/31 B
H01L21/324 Q
C23C16/458
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031385
(22)【出願日】2023-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】永田 朋幸
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030EA04
4K030EA06
4K030GA06
4K030KA45
4K030KA46
5F045AA06
5F045AB31
5F045AB32
5F045AB33
5F045BB20
5F045DP19
5F045DP28
5F045DQ05
5F045EK06
5F045EM08
5F045EM10
5F045EN05
(57)【要約】
【課題】耐震性を向上できる技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様による基板処理装置は、回転軸に固定される回転テーブルと、前記回転テーブル上に載置され、基板を水平姿勢で多段に保持する基板保持具と、前記回転テーブル上に前記基板保持具を固定する第1締結部材と、を備え、前記基板保持具は、前記回転テーブル上に載置される底板を有し、前記第1締結部材は、前記回転テーブル及び前記底板を上下方向から挟み込んで前記回転テーブル上に前記基板保持具を固定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に固定される回転テーブルと、
前記回転テーブル上に載置され、基板を水平姿勢で多段に保持する基板保持具と、
前記回転テーブル上に前記基板保持具を固定する第1締結部材と、
を備え、
前記基板保持具は、前記回転テーブル上に載置される底板を有し、
前記第1締結部材は、前記回転テーブル及び前記底板を上下方向から挟み込んで前記回転テーブル上に前記基板保持具を固定する、
基板処理装置。
【請求項2】
前記第1締結部材は、互いに螺合するボルトとナットとを有し、
前記ボルトが前記回転テーブル及び前記底板を貫通して前記ナットと螺合することで前記回転テーブル上に前記基板保持具が固定される、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記回転テーブルは、板厚方向に貫通する第1挿通孔を有し、
前記底板は、板厚方向に貫通する第2挿通孔を有し、
前記第1挿通孔と前記第2挿通孔とは、上方からの平面視において重なる位置に設けられ、
前記ボルトは、前記第1挿通孔及び前記第2挿通孔に挿通される、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記ボルトは、前記第1挿通孔の内壁面及び前記第2挿通孔の内壁面に対して隙間をあけて挿通される、
請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記ボルトの座面は、前記底板の上面と接触する、
請求項2乃至4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記底板上に設けられる座金を有し、
前記ボルトの座面は、前記座金の上面と接触する、
請求項2乃至4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記回転テーブルと前記底板とは、外周部で互いに接触し、前記外周部よりも内側の中心部で離隔する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記底板の上面には、前記ボルトが収容される凹部が設けられ、
前記底板上に設けられ、前記凹部を覆うカバー部材を有する、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記回転軸に対して前記回転テーブルを固定する第2締結部材を備え、
前記第2締結部材は、前記凹部にパージガスを導入する貫通孔を内部に有する、
請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記回転テーブル及び前記底板は、石英により形成される、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記ボルト及び前記ナットは、セラミックにより形成される、
請求項2に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バッチ式の基板処理装置において、基板を保持する基板保持具の底板を、石英製の押え板と金属製の基板保持具受台とによって挟持することで、基板保持具の転倒を防止する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、耐震性を向上できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理装置は、回転軸に固定される回転テーブルと、前記回転テーブル上に載置され、基板を水平姿勢で多段に保持する基板保持具と、前記回転テーブル上に前記基板保持具を固定する第1締結部材と、を備え、前記基板保持具は、前記回転テーブル上に載置される底板を有し、前記第1締結部材は、前記回転テーブル及び前記底板を上下方向から挟み込んで前記回転テーブル上に前記基板保持具を固定する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、耐震性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る基板処理装置を示す断面図である。
【
図4】変形例に係る基板保持具を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〔基板処理装置〕
図1を参照し、実施形態に係る基板処理装置1について説明する。
図1は、実施形態に係る基板処理装置1を示す断面図である。
【0010】
基板処理装置1は、複数の基板Wに対して一度に処理を行うバッチ式の装置である。基板Wは、例えば半導体ウエハである。基板処理装置1は、処理容器10と、ガス供給部30と、排気部40と、加熱部50と、制御部80とを備える。
【0011】
処理容器10は、内部を減圧可能である。処理容器10は、基板Wを収容する。処理容器10は、内管11と、外管12とを有する。内管11は、下端が開放された有天井の円筒形状を有する。外管12は、内管11の外側を覆う。外管12は、下端が開放された有天井の円筒形状を有する。内管11及び外管12は、例えば石英により形成される。内管11及び外管12は、同軸状に配置された二重管構造を有する。
【0012】
内管11の側壁には、長手方向(上下方向)に沿って収容部13が形成される。収容部13は、ガス供給管を収容する。例えば、内管11の側壁の一部を外側へ向けて突出させて凸部14を形成し、凸部14内を収容部13として形成する。
【0013】
内管11の側壁には、長手方向に沿って矩形状の開口15が形成される。開口15は、収容部13と対向する位置に形成されてよい。
【0014】
開口15は、内管11内のガスを排気する。開口15の長さは、基板保持具100の長さと同じであるか、又は、基板保持具100の長さよりも長く上下方向へそれぞれ延びるようにして形成される。
【0015】
外管12の下部の内壁には、円環状の支持部20が設けられる。支持部20は、内管11の下端を支持する。外管12の下端の開口には、蓋体21がOリング等のシール部材22を介して気密に取り付けられる。これにより、外管12の下端の開口が気密に塞がれる。蓋体21は、例えば石英により形成される。
【0016】
蓋体21の中心部には、磁性流体シール23を介して回転軸24が貫通させて設けられる。回転軸24の下部は、ボートエレベータよりなる昇降機構25のアーム25Aに回転自在に支持される。
【0017】
回転軸24の上端には、回転テーブル26が固定される。回転テーブル26上には、基板保持具100が載置された状態で固定される。基板保持具100は、回転軸24と共に回転する。基板保持具100は、昇降機構25の昇降により、蓋体21と一体で上下動する。これにより、基板保持具100は処理容器10内に対して挿脱される。基板保持具100は、処理容器10内に収容可能である。基板保持具100は、基板Wを水平姿勢で鉛直方向に多段に整列させた状態で保持する。基板Wの枚数は、特に限定されないが、例えば25枚から200枚であってよい。基板保持具100は、例えば石英により形成される。
【0018】
ガス供給部30は、各種の処理ガスを内管11内に導入可能に構成される。ガス供給部30は、原料ガス供給部31と、反応ガス供給部32とを含む。
【0019】
原料ガス供給部31は、処理容器10内に原料ガス供給管31aを備えると共に、処理容器10の外部に原料ガス供給流路31bを備える。原料ガス供給流路31bには、ガスの流通方向の上流側から下流側に向かって順に、原料ガス源31c、マスフローコントローラ31d、バルブ31eが設けられる。これにより、原料ガス源31cの原料ガスは、バルブ31eにより供給タイミングが制御されると共に、マスフローコントローラ31dにより所定の流量に調整される。原料ガスは、原料ガス供給流路31bから原料ガス供給管31aに流入して、原料ガス供給管31aから処理容器10内に吐出される。原料ガスは、例えばシリコン含有ガス、金属含有ガスであってよい。
【0020】
反応ガス供給部32は、処理容器10内に反応ガス供給管32aを備えると共に、処理容器10の外部に反応ガス供給流路32bを備える。反応ガス供給流路32bには、ガスの流通方向の上流側から下流側に向かって順に、反応ガス源32c、マスフローコントローラ32d、バルブ32eが設けられる。これにより、反応ガス源32cの反応ガスは、バルブ32eにより供給タイミングが制御されると共に、マスフローコントローラ32dにより所定の流量に調整される。反応ガスは、反応ガス供給流路32bから反応ガス供給管32aに流入して、反応ガス供給管32aから処理容器10内に吐出される。反応ガスは、原料ガスと反応して反応生成物を生成するガスである。反応ガスは、例えば酸化ガス、窒化ガスであってよい。
【0021】
各ガス供給管(原料ガス供給管31a、反応ガス供給管32a)は、外管12に固定される。各ガス供給管は、例えば石英により形成される。各ガス供給管は、内管11の近傍位置を鉛直方向に沿って直線状に延びると共に、外管12内においてL字状に屈曲して水平方向に延びることで、外管12を貫通する。ガス供給管同士は、内管11の周方向に沿って並んで設けられ、互いに同じ高さに形成される。
【0022】
原料ガス供給管31a及び反応ガス供給管32aの内管11内に位置する部位には、それぞれ複数の吐出口31f、32fが設けられる。各吐出口31f、32fは、それぞれの各ガス供給管の延在方向に沿って所定の間隔ごとに形成される。各吐出口31f、32fは、基板Wの半径方向の外側から基板Wに向けて水平にガスを吐出する。各吐出口31f、32fは、基板Wの主面に平行にガスを吐出する。吐出口同士の間隔は、例えば基板保持具100に保持される基板Wの間隔と同じに設定される。各吐出口の高さ方向の位置は、例えば上下方向に隣り合う基板W間の中間位置に設定される。この場合、各吐出口は隣り合う基板W間の対向面にガスを効率的に供給できる。
【0023】
ガス供給部30は、複数種類のガスを混合して1つのガス供給管から混合したガスを吐出してもよい。各ガス供給管(原料ガス供給管31a、反応ガス供給管32a)は、互いに異なる形状や配置であってもよい。ガス供給部30は、別のガスを供給するガス供給部をさらに含んでもよい。
【0024】
排気部40は、処理容器10内のガスを排出する。処理容器10内のガスは、内管11内から開口15を通過し、内管11と外管12との間の空間P1を経由してガス出口41から排出される。ガス出口41は、外管12の下部の側壁であって、支持部20の上方に形成される。ガス出口41には、排気流路42が接続される。排気流路42には、圧力調整弁43及び真空ポンプ44がこの順に設けられる。圧力調整弁43は、処理容器10内の圧力を調整する。真空ポンプ44は、処理容器10内を排気する。
【0025】
加熱部50は、外管12の周囲に設けられ、外管12の周囲を覆う。加熱部50は、円筒形状を有する。加熱部50は、ヒータと、断熱材とを有する。ヒータは、処理容器10内の各基板Wを加熱する。断熱材は、外側から外管12及びヒータを覆うように設けられる。断熱材は、ヒータの熱が外部に漏れることを防止する。
【0026】
制御部80は、基板処理装置1の各部の動作を制御する。制御部80は、例えばコンピュータであってよい。基板処理装置1の各部の動作を行うコンピュータのプログラムは、記憶媒体90に記憶される。記憶媒体90は、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、フラッシュメモリ、DVD等であってよい。
【0027】
〔基板保持具〕
図2を参照し、基板保持具100について説明する。
図2は、基板保持具100を示す側面図である。
【0028】
基板保持具100は、底板101と、天板102と、中板103と、フィン104と、支柱105とを有する。底板101、天板102、中板103、フィン104及び支柱105は、例えば石英により形成される。
【0029】
底板101は、回転テーブル26上に固定される。底板101は、基板Wの外径よりも大きい外径の円板形状を有する。
【0030】
天板102は、底板101の上方に、底板101と対向して設けられる。天板102は、基板Wの外径よりも大きい外径の円板形状を有する。天板102は、略円環板状を有してもよい。
【0031】
中板103は、鉛直方向において、底板101と天板102との間に設けられる。中板103は、基板Wが保持される処理領域A1と、フィン104が保持される断熱領域A2とを区画する。断熱領域A2は、処理領域A1の下方に位置する。中板103は、基板Wの外径よりも大きい外径の略円環板状を有する。中板103は、円板形状を有してもよい。
【0032】
フィン104は、基板Wの外径よりも大きい外径の円板形状を有する。フィン104は、外管12の下端の開口への放熱を抑制し、処理領域A1の温度低下を抑制する。
【0033】
支柱105は、鉛直方向に延びる棒状を有し、底板101と天板102とを接続する。支柱105は、例えば底板101及び天板102の周方向に沿って間隔をあけて複数設けられる。支柱105の数は、特に限定されないが、例えば4個であってよい。各支柱105の下端には、底板101の外周部が溶接等により固定される。各支柱105の上端には、天板102の外周部が溶接等により固定される。各支柱105の鉛直方向における途中の部分には、中板103の外周部が溶接等により固定される。
【0034】
複数の支柱105は、処理領域A1において、基板Wを水平姿勢で鉛直方向に多段に整列させた状態で保持するよう構成される。各支柱105は、例えば鉛直方向に沿って等間隔に配置される複数の溝を有する。各溝は、基板Wの外周部を保持可能に構成される。各支柱105は、鉛直方向に沿って等間隔に配置される複数の爪を有してもよい。各爪は、基板Wの外周部を保持可能に構成される。
【0035】
複数の支柱105は、断熱領域A2において、フィン104を水平姿勢で鉛直方向に多段に整列させた状態で保持するよう構成される。各支柱105は、例えば鉛直方向に沿って等間隔に配置され、フィン104の外周部を保持可能な複数の溝を有する。各支柱105は、鉛直方向に沿って等間隔に配置され、フィン104の外周部を保持可能な複数の爪を有してもよい。
【0036】
〔基板保持具の固定構造〕
図3を参照し、基板保持具100の固定構造について説明する。
図3は、基板保持具100の固定構造を示す断面図である。
【0037】
基板保持具100は、回転軸24の上端に回転テーブル26を挟んで固定され、回転軸24及び回転テーブル26と一体で回転可能に構成される。
【0038】
回転軸24は、蓋体21の中心部に、蓋体21に対して回転可能に設けられる。回転軸24は、シャフト111と、下ハブ112と、上ハブ113とを有する。シャフト111、下ハブ112及び上ハブ113は、例えば金属により形成される。
【0039】
シャフト111は、磁性流体シール23により固定部27に対して気密に回転可能に設けられる。固定部27上には、蓋体21が固定される。固定部27には、パージガス導入口27aが設けられる。パージガス導入口27aは、固定部27とシャフト111との隙間にパージガスを導入する。パージガスは、回転軸24、回転テーブル26、基板保持具100、締結部材120、130等を腐食しないガスである。パージガスは、例えば窒素ガスである。パージガスは、アルゴンガスであってもよい。
【0040】
下ハブ112は、シャフト111の上部の外周部に固定される。下ハブ112は、円筒形状を有する。下ハブ112は、蓋体21の内壁面に対して隙間をあけて設けられる。下ハブ112は、シャフト111と一体で回転する。
【0041】
上ハブ113は、下ハブ112上に固定される。上ハブ113は、上端及び下端にフランジを有する円柱形状を有する。上ハブ113は、蓋体21の内壁面に対して隙間をあけて設けられる。上ハブ113には、鉛直孔113v及び水平孔113hが設けられる。鉛直孔113vは、上ハブ113内を鉛直方向に貫通する。鉛直孔113vの上部には、雌ねじが形成される。水平孔113hは、上ハブ113内を半径方向に沿って水平に延び、鉛直孔113vと連通する。水平孔113hは、蓋体21と上ハブ113との隙間と、鉛直孔113vとを連通させる。水平孔113hは、上ハブ113の周方向において複数設けられてもよい。
【0042】
回転テーブル26は、蓋体21の外径よりも小さい外径の円板形状を有する。回転テーブル26は、蓋体21の上面に対して隙間をあけて設けられる。回転テーブル26は、締結部材120により回転軸24の上端に固定される。回転テーブル26は、例えば石英により形成される。締結部材120は、第2締結部材の一例である。締結部材120は、ボルト121を有する。ボルト121は、例えばニッケル合金等の金属により形成される。この場合、上ハブ113と回転テーブル26との接続部分の強度が高まる。
【0043】
回転テーブル26には、板厚方向に貫通し、ボルト121が挿通可能な挿通孔26aが設けられる。挿通孔26aは、回転テーブル26の中心に設けられる。回転テーブル26の上方から挿通孔26aにボルト121が挿通され、ボルト121のねじ部が上ハブ113の鉛直孔113vに形成された雌ねじと螺合することで、上ハブ113上に回転テーブル26が固定される。ボルト121には、頭部及びねじ部を鉛直方向に貫通する貫通孔121aが設けられる。貫通孔121aは、鉛直孔113vと凹部101a内とを連通させる。
【0044】
回転テーブル26には、板厚方向に貫通し、ボルト131が挿通可能な挿通孔26bが設けられる。挿通孔26bは、第1挿通孔の一例である。挿通孔26bは、挿通孔26aの周囲に、回転テーブル26の周方向に沿って例えば等間隔に3個以上設けられる。挿通孔26bの下部には、ナット132を収容可能な収容部26cが設けられる。
【0045】
基板保持具100の底板101は、回転テーブル26の外径と略同じ外径の円板形状を有する。底板101は、締結部材130により回転テーブル26上に固定される。締結部材130は、第1締結部材の一例である。回転テーブル26と底板101とは、外周部で互いに接触し、外周部よりも内側の中心部で離隔してよい。この場合、基板保持具100に水平方向に力が働いた場合の基板保持具100の回転支点が基板保持具100の外周部となる。これにより、基板保持具100の重心が基板保持具100の回転支点よりも回転中心寄りになるため、基板保持具100が倒れにくい。締結部材130は、ボルト131と、ナット132と、座金133とを有する。ボルト131、ナット132及び座金133は、例えばアルミナ等のセラミックにより形成される。この場合、処理ガスによる腐食を抑制できる。
【0046】
底板101の上面の中心部には、凹部101aが設けられる。凹部101aは、例えば上方からの平面視において円形である。底板101の凹部101aが設けられる位置には、底板101を板厚方向に貫通し、ボルト131が挿通可能な挿通孔101bが設けられる。挿通孔101bは、第2挿通孔の一例である。挿通孔101bは、上方からの平面視において挿通孔26bと重なる位置に設けられる。なお、底板101に凹部101aが設けられることなく、挿通孔101bが設けられてもよい。
【0047】
底板101の上方から挿通孔101b及び挿通孔26bにボルト131が挿通され、ボルト131のねじ部が収容部26cに収容されるナット132と螺合することで、回転テーブル26上に基板保持具100が固定される。このように、締結部材130は、ボルト131とナット132との螺合により、回転テーブル26及び底板101を上下方向から挟み込んで回転テーブル26上に基板保持具100を固定する。この場合、耐震性が向上する。例えば、地震等により外力が発生した場合に、基板保持具100の上部の変位を最小化できる。これにより、基板保持具100が原料ガス供給管31a、反応ガス供給管32a、内管11等と接触することが抑制される。このため、基板保持具100、原料ガス供給管31a、反応ガス供給管32a、内管11、基板W等の破損を抑制できる。
【0048】
これに対し、回転テーブル26上に基板保持具100が完全に固定されない場合、例えばボルト131の座面と凹部101aの底面との間に隙間がある場合、外力により基板保持具100が隙間分動いた際の衝撃力が底板101に加わる。このため、基板保持具100が破損する場合がある。
【0049】
ボルト131の座面と凹部101aの底面との間には、座金133が挟まれる。この場合、底板101に加わる面圧が低くなるので、底板101の破損を抑制できる。上述したように、ボルト131の座面は座金133の上面と接触してもよいが、座金133を設けずにボルト131の座面が凹部101aの底面と接触してもよい。
【0050】
各挿通孔26a及び各挿通孔101bは、ボルト131のねじ部の外径よりも大きい内径を有する。すなわち、ボルト131は、挿通孔26aの内壁面及び挿通孔101bの内壁面に対して隙間をあけて挿通される。この場合、各挿通孔26a及び各挿通孔101bにボルト131が挿通されたときに、ボルト131のねじ部が各挿通孔26a及び各挿通孔101bと接触しない。これにより、各挿通孔26a及び各挿通孔101bとボルト131との接触に起因するパーティクルの発生が抑制されると共に、回転テーブル26及び基板保持具100の破損が防止される。
【0051】
底板101上には、カバー部材141が設けられる。カバー部材141は、凹部101aの内径よりも大きい外径の円板形状を有する。カバー部材141は、凹部101aの全体を覆う。この場合、処理容器10内に導入される処理ガスが凹部101a内に侵入することを抑制できる。これにより、処理ガスによるボルト131、ナット132、座金133等の腐食を抑制できる。カバー部材141は、例えば石英により形成される。
【0052】
〔パージガスの流れ〕
図3を参照し、基板保持具100の固定構造におけるパージガスの流れについて説明する。
図3において、パージガスの流れる方向を矢印で示す。
【0053】
パージガスは、パージガス導入口27aから固定部27とシャフト111との隙間に導入される。この場合、回転軸24の近傍がパージガスで満たされる。これにより、回転軸24の近傍への処理ガスの侵入が抑制され、処理ガスによる回転軸24の腐食が防止される。
【0054】
固定部27とシャフト111との隙間に導入されたパージガスは、固定部27と下ハブ112との隙間、及び蓋体21と下ハブ112との隙間を通り、蓋体21と上ハブ113との隙間に流れ込む。
【0055】
蓋体21と上ハブ113との隙間に流れ込んだパージガスは、一部が蓋体21と回転テーブル26との隙間を通り、処理容器10内に流れ込む。蓋体21と上ハブ113との隙間に流れ込んだパージガスは、別の一部が水平孔113h、鉛直孔113v及び貫通孔121aを通り、凹部101aに流れ込む。凹部101a内に流れ込んだパージガスは、挿通孔101b及び挿通孔26aを通過して収容部26cにも流れ込む。この場合、凹部101a内及び収容部26cがパージガスで満たされる。これにより、凹部101a内及び収容部26cへの処理ガスの侵入が抑制され、処理ガスによる締結部材120、130の腐食が防止される。
【0056】
〔基板保持具の変形例〕
図4を参照し、変形例に係る基板保持具200について説明する。
図4は、変形例に係る基板保持具200を示す側面図である。
図4に示されるように、基板保持具200は、断熱領域A2が上部断熱領域A21と下部断熱領域A22とに区画されている点で、基板保持具100と異なる。以下、基板保持具100と異なる点を中心に説明する。
【0057】
基板保持具200は、底板201と、天板202と、第1中板203と、第2中板204と、第1フィン205と、第2フィン206と、第1支柱207と、第2支柱208と、第3支柱209とを有する。底板201、天板202、第1中板203、第2中板204、第1フィン205、第2フィン206、第1支柱207、第2支柱208及び第3支柱209は、例えば石英により形成される。
【0058】
底板201、天板202及び第1中板203は、それぞれ底板101、天板102及び中板103と同じ構成を有してよい。
【0059】
第2中板204は、鉛直方向において、底板201と第1中板203との間に設けられる。第2中板204は、断熱領域A2を、上部断熱領域A21と下部断熱領域A22とに区画する。上部断熱領域A21は、第1中板203と第2中板204との間に位置する。下部断熱領域A22は、底板201と第2中板204との間に位置する。第2中板204は、例えば第1中板203と同じ外径の略円環板状を有する。第2中板204は、円板形状を有してもよい。
【0060】
第1フィン205及び第2フィン206は、それぞれ上部断熱領域A21及び下部断熱領域A22に設けられる。第1フィン205は、例えば基板Wの外径よりも小さい外径の円板形状を有する。第2フィン206は、例えば第1フィン205の外径よりも大きい外径の円板形状を有する。第2フィン206は、基板Wの外径よりも大きい外径の円板形状を有してもよい。第1フィン205及び第2フィン206は、外管12の下端の開口への放熱を抑制し、処理領域A1の温度低下を抑制する。
【0061】
第1支柱207は、鉛直方向に延びる棒状を有し、天板202と第1中板203とを接続する。第1支柱207は、例えば天板202及び第1中板203の周方向に沿って間隔をあけて複数設けられる。第1支柱207の数は、特に限定されないが、例えば4個であってよい。各第1支柱207の上端には、天板202の外周部が溶接等により固定される。各第1支柱207の下端には、第1中板203の外周部が溶接等により固定される。
【0062】
複数の第1支柱207は、処理領域A1において、基板Wを水平姿勢で鉛直方向に多段に整列させた状態で保持するよう構成される。各第1支柱207は、例えば鉛直方向に沿って等間隔に配置される複数の溝を有する。各溝は、基板Wの外周部を保持可能に構成される。各第1支柱207は、鉛直方向に沿って等間隔に配置される複数の爪を有してもよい。各爪は、基板Wの外周部を保持可能に構成される。
【0063】
第2支柱208は、鉛直方向に延びる棒状を有し、第1中板203と第2中板204とを接続する。第2支柱208は、例えば第1中板203及び第2中板204の周方向に沿って間隔をあけて複数設けられる。第2支柱208の数は、特に限定されないが、例えば4個であってよい。各第2支柱208の上端には、第1中板203の外周部が溶接等により固定される。各第2支柱208の下端には、第2中板204の外周部が溶接等により固定される。
【0064】
複数の第2支柱208は、上部断熱領域A21において、第1フィン205を水平姿勢で鉛直方向に多段に整列させた状態で保持するよう構成される。各第2支柱208は、例えば鉛直方向に沿って等間隔に配置される複数の溝を有する。各溝は、第1フィン205の外周部を保持可能に構成される。各第2支柱208は、鉛直方向に沿って等間隔に配置される複数の爪を有してもよい。各爪は、第1フィン205の外周部を保持可能に構成される。
【0065】
第3支柱209は、鉛直方向に延びる棒状を有し、底板201と第2中板204とを接続する。第3支柱209は、例えば底板201及び第2中板204の周方向に沿って間隔をあけて複数設けられる。第3支柱209の数は、特に限定されないが、例えば4個であってよい。各第3支柱209の下端には、底板201の外周部が溶接等により固定される。各第3支柱209の上端には、第2中板204の外周部が溶接等により固定される。
【0066】
複数の第3支柱209は、下部断熱領域A22において、第2フィン206を水平姿勢で鉛直方向に多段に整列させた状態で保持するよう構成される。各第3支柱209は、例えば鉛直方向に沿って等間隔に配置される複数の溝を有する。各溝は、第2フィン206の外周部を保持可能に構成される。各第3支柱209は、鉛直方向に沿って等間隔に配置される複数の爪を有してもよい。各爪は、第2フィン206の外周部を保持可能に構成される。
【0067】
変形例に係る基板保持具200についても、基板保持具100の固定構造と同様の固定構造を有してよい。すなわち、締結部材130は、ボルト131とナット132との螺合により、回転テーブル26及び底板201を上下方向から挟み込んで回転テーブル26上に基板保持具200を固定する。この場合、耐震性が向上する。例えば、地震等により外力が発生した場合に、基板保持具200の上部の変位を最小化できる。これにより、基板保持具200が原料ガス供給管31a、反応ガス供給管32a、内管11等と接触することが抑制される。このため、基板保持具200、原料ガス供給管31a、反応ガス供給管32a、内管11、基板W等の破損を抑制できる。
【0068】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 基板処理装置
24 回転軸
26 回転テーブル
100 基板保持具
101 底板
130 締結部材
200 基板保持具
201 底板