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特開2024-123989回路遮断プラグ、電源分配ボックス、自動車の配策構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024123989
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】回路遮断プラグ、電源分配ボックス、自動車の配策構造
(51)【国際特許分類】
   H01H 27/00 20060101AFI20240905BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20240905BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H01H27/00 E
H02G3/16
H01H27/00 B
B60R16/02 650W
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031852
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】田中 誠人
(72)【発明者】
【氏名】三吉 隆宜
(72)【発明者】
【氏名】石橋 慎一
【テーマコード(参考)】
5G361
【Fターム(参考)】
5G361BA07
5G361BB01
5G361BC01
5G361BC02
(57)【要約】
【課題】 メンテナンス等の作業前における高電圧回路の遮断作業を簡便化し、作業効率を上げることが可能な電源分配ボックス等を提供する。
【解決手段】 断線検知回路61は、高電圧回路65を遮断することが可能である。電源分配ボックス59には遮断部67が設けられる。遮断部67は、断線検知回路61上に配置され、断線検知回路61を遮断することが可能である。遮断部67は、例えばヒューズ等と併設されて、内部に一対の端子5が配置された挿入部25と、端子5同士の導通を行う回路遮断プラグ3等から構成される。断線検知回路61への回路遮断プラグ3の挿抜によって、断線検知回路61を開くことができ、高電圧回路65を遮断することが可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧回路を遮断することが可能な断線検知回路に挿入される回路遮断プラグであって、
本体と、前記本体から突出するピンと、を具備し、
前記ピンの突出側とは逆側に、前記ピンの前記断線検知回路からの抜き取りを補助する補助部を有することを特徴とする回路遮断プラグ。
【請求項2】
前記補助部は取手であり、
前記取手が、前記ピンの突出側とは逆方向に移動可能であることを特徴とする請求項1記載の回路遮断プラグ。
【請求項3】
前記取手に前記ピンが固定されており、前記取手とともに前記ピンが移動可能であることを特徴とする請求項2記載の回路遮断プラグ。
【請求項4】
前記本体の上部において、長辺に沿って壁部が形成され、前記取手を前記本体に押し込んだ状態では、前記壁部の間に前記取手の上部がはまり込み、前記本体の上部に前記取手の上部が収容可能であることを特徴とする請求項2記載の回路遮断プラグ。
【請求項5】
前記取手の上部の略中央が、前記取手の上部の他の部位と比較して幅が狭いことを特徴とする請求項2記載の回路遮断プラグ。
【請求項6】
前記補助部は、前記本体の上部において前記本体から外側に張り出した張り出し部であることを特徴とする請求項1記載の回路遮断プラグ。
【請求項7】
回路遮断プラグを用いて高電圧回路を遮断することが可能な断線検知回路を有する自動車用の電源分配ボックスであって、
前記回路遮断プラグは、本体と、前記本体から突出するピンと、を具備し、
前記電源分配ボックスは、前記断線検知回路の一部を構成する端子と、前記端子間の導通状態を遮断することが可能な遮断部とを有し、
前記遮断部に前記回路遮断プラグが挿入されており、前記遮断部から前記回路遮断プラグを抜き取ることで、前記断線検知回路を開き、前記高電圧回路を遮断することが可能であることを特徴とする電源分配ボックス。
【請求項8】
電源分配ボックスを有する自動車の配策構造であって、
高電圧回路と、断線時に前記高電圧回路を遮断する断線検知回路と、を有し、
前記電源分配ボックスは、前記断線検知回路の一部を構成する端子と、前記端子間の導通状態を遮断することが可能な遮断部とを有し、
前記遮断部に回路遮断プラグが挿入されており、
前記回路遮断プラグは、本体と、前記本体から突出するピンと、を具備し、
前記遮断部から前記回路遮断プラグを抜き取ることで、前記断線検知回路を開き、前記高電圧回路を遮断することが可能であることを特徴とする自動車の配策構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車において使用される、高電圧回路を遮断するための回路遮断プラグ等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
BEVやHEVといった電気自動車のバッテリは、リレーボックスやヒューズボックスなどの電源分配機能を持った電源分配ボックスに接続されるとともに、モータ等に対しては、高電圧回路が接続される。このような車両のメンテナンスや修理の際に、感電や火災などの事故を防止するため、バッテリには高電圧回路を遮断するサービスプラグが配置される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-158865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図12は、従来の電気自動車における配策構造100を示す概略図である。配策構造100においては、例えば、高圧電源であるバッテリ105がインバータ103及びモータ101等に高電圧回路115によって接続される。また、制御等を行うECU107や、電源分配ボックス109(リレーボックスやヒューズボックス)などが制御回路(図示省略)等によって接続される。
【0005】
また、配策構造100では、断線検知回路113が配策される。断線検知回路113は、各装置間における断線を検知し、断線が検知されると高電圧回路115が遮断される。なお、通常、電源分配ボックス109は、断線検知回路113とは異なる回路上に配置されるが、断線検知回路113上に配置されてもよい。この場合には、断線検知回路113は、電源分配ボックス109においてパススルー回路となる。
【0006】
前述したように、バッテリ105には、サービスプラグ111が配置される。サービスプラグ111は、前述した高電圧回路115を遮断するための部材であり、サービスプラグ111を抜き取ることで、高電圧回路115及び断線検知回路113が物理的に遮断され、作業を行うことが可能となる。
【0007】
一方、バッテリ105の配置は車両によって異なり、例えば、フロントシート下やリアシート下、荷室下などに配置される。このため、メンテナンス等の作業時には、車両ごとにサービスプラグ111の配置を確認する必要がある。また、サービスプラグ111を抜き取るために、内装の一部を取り外す必要がある場合があり、専用の工具が必要である場合もある。このため、作業性が悪く、より効率的な方法が望まれる。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、メンテナンス等の作業前における高電圧回路の遮断作業を簡便化し、作業効率を上げることが可能な電源分配ボックス等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達するために第1の発明は、高電圧回路を遮断することが可能な断線検知回路に挿入される回路遮断プラグであって、本体と、前記本体から突出するピンと、を具備し、前記ピンの突出側とは逆側に、前記ピンの前記断線検知回路からの抜き取りを補助する補助部を有することを特徴とする回路遮断プラグである。
【0010】
前記補助部は取手であり、前記取手が前記ピンの突出側とは逆方向に移動可能であってもよい。
【0011】
前記取手に前記ピンが固定されており、前記取手とともに前記ピンが移動可能であってもよい。
【0012】
前記本体の上部において、長辺に沿って壁部が形成され、前記取手を前記本体に押し込んだ状態では、前記壁部の間に、前記取手の上部がはまり込み、前記本体の上部に前記取手の上部が収容可能であってもよい。
【0013】
前記取手の上部の略中央が、前記取手の上部の他の部位と比較して幅が狭くてもよい。
【0014】
前記補助部は、前記本体の上部において前記本体から外側に張り出した張り出し部であってもよい。
【0015】
第1の発明によれば、本体と、本体から突出するピンとを有する遮断プラグが、ヒューズ等の電子部品と同様の構造であるため、断線検知回路に特殊な遮断部を形成する必要が無い。また、抜き取る際に引っ掛かりとなる補助部を有するため、手作業であっても、又はヒューズプラー(ヒューズクリップ)等の治具を用いる場合であっても、作業が容易である。
【0016】
また、補助部が、ピンの突出側とは逆方向に移動可能な取手であれば、回路遮断プラグを抜き取る際に、取手を本体から引き出すことができるため、抜き取り作業が容易である。
【0017】
また、取手にピンが固定されていれば、取手を本体から引き出す際に、ピンが端子から抜き取られて本体内部に引き込まれるため、確実に断線検知回路を開くことができるとともに、回路遮断プラグを抜き取った後に、ピンの破損等を抑制することができる。
【0018】
また、本体の上部に取手が収容可能であれば、前述したような治具を使用しないと抜き取り作業が困難であり、誤作業を抑制することができる。
【0019】
また、補助部が、本体から両側部に張り出した張り出し部であれば、手作業であっても抜き取り作業が容易となる。
【0020】
第2の発明は、回路遮断プラグを用いて高電圧回路を遮断することが可能な断線検知回路を有する自動車用の電源分配ボックスであって、前記回路遮断プラグは、本体と、前記本体から突出するピンと、を具備し、電源分配ボックスは、前記断線検知回路に配置された遮断部を有し、前記遮断部に前記回路遮断プラグが挿入されており、前記回路遮断プラグを前記遮断部から抜き取ることで、前記断線検知回路を開き、前記高電圧回路を遮断することが可能であることを特徴とする電源分配ボックスである。
【0021】
第2の発明によれば、電源分配ボックスに断線検知回路の遮断部を配置することで、エンジンルーム等の略決まった位置で作業を行うことができる。また、遮断部に配置された回路遮断プラグを抜くだけであるため、作業が容易である。したがって、作業位置の把握が容易であるとともに、簡単な操作で高電圧回路を遮断することができる。また、遮断部が断線検知回路上に配置されるため、高電圧回路に配置する場合と比較して、アーク等の発生が抑制され安全である。
【0022】
第3の発明は、電源分配ボックスを有する自動車の配策構造であって、高電圧回路と、断線時に前記高電圧回路を遮断する断線検知回路と、を有し、前記電源分配ボックスは、前記断線検知回路の一部を構成する端子と、前記端子間の導通状態を遮断することが可能な遮断部とを有し、前記遮断部に回路遮断プラグが挿入されており、前記回路遮断プラグは、本体と、前記本体から突出するピンと、を具備し、前記遮断部から前記回路遮断プラグを抜くことによって、前記断線検知回路を開き、前記高電圧回路を遮断することが可能であることを特徴とする自動車の配策構造である。
【0023】
第3の発明によれば、サービスプラグを用いることなく、容易に高電圧回路を遮断してメンテナンス等の作業を行うことが可能である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、メンテナンス等の作業前における高電圧回路の遮断作業を簡便化し、作業効率を上げることが可能な回路遮断プラグ等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】配策構造1を示す図。
図2】(a)は電源分配ボックス59を示す図、(b)は回路遮断プラグ3を取り外した状態を示す図。
図3】(a)は回路遮断プラグ3を示す斜視図、(b)は回路遮断プラグ3の断面図。
図4】(a)は、回路遮断プラグ3を遮断部67に装着した状態を示す図、(b)は、遮断部67から回路遮断プラグ3を抜きとった状態を示す図。
図5】(a)、(b)は、回路遮断プラグ3aを示す斜視図。
図6】(a)、(b)は、回路遮断プラグ3aを示す断面図。
図7】(a)、(b)は、回路遮断プラグ3bを示す断面図。
図8】回路遮断プラグ3cを示す斜視図。
図9】(a)、(b)は、回路遮断プラグ3dを示す斜視図。
図10】(a)、(b)は、回路遮断プラグ3eを示す斜視図。
図11】(a)、(b)は、回路遮断プラグ3fを示す斜視図。
図12】従来の配策構造100を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、電気自動車等における電源分配ボックス59を有する配策構造1を示す概略図である。なお、図1においては、各種の制御回路や装置等の図示を省略する。
【0027】
配策構造1においては、例えば、バッテリ55に高電圧回路65を介して、インバータ53及びモータ51等が接続される。また、前述したように、高電圧回路65とは別に、断線検知回路61が配置され、各種制御を行うECU57と電源分配ボックス59等がインバータ53及びモータ51と接続される。断線検知回路61は、断線時に高電圧回路65を遮断することが可能である。
【0028】
前述したように、電源分配ボックス59は、例えばリレーボックスやヒューズボックス等であって、各装置へリレーやヒューズを介して接続されるものであり、通常は制御回路(図示せず)等によって各装置と接続される。すなわち、通常、電源分配ボックス59は、断線検知回路61とは異なる配置となるが、本実施形態では、電源分配ボックス59は、断線検知回路61上に配置される。
【0029】
電源分配ボックス59には遮断部67が設けられる。遮断部67は、断線検知回路61上に配置され、断線検知回路61を遮断することが可能である。すなわち、遮断部67によって、断線検知回路61が遮断されることで、高電圧回路65を遮断することが可能である。なお、本実施形態では、バッテリ55へのサービスプラグの設置は必ずしも必須ではない。このため、バッテリ55内における、サービスプラグと高電圧回路や断線検知回路の一部とをつなぐための回路を削減することができるため、電線又はバスバーの使用量を削減することができる。
【0030】
図2(a)は、電源分配ボックス59を示す平面図であり、図2(b)は回路遮断プラグ3を取り外した状態を示す図である。なお、電源分配ボックス59の内部構造(各部の配置等)は、図示した例には限られない。また、電源分配ボックス59は、通常カバー(図示せず)によって覆われる。
【0031】
前述したように、電源分配ボックス59は断線検知回路61と接続され、断線検知回路61上に遮断部67が配置される。遮断部67は、例えばヒューズ等と併設されて、内部に一対の端子5が配置された挿入部25を有し、端子5同士の導通を行う回路遮断プラグ3が挿入可能である。すなわち、遮断部67は、断線検知回路61上の端子5間の導通状態を遮断することが可能である。なお、回路遮断プラグ3は、例えば他のミニヒューズと同等のサイズ(形態)であり、回路遮断プラグ3の挿入部25は、ヒューズ挿入部と同様のサイズである。詳細は後述するが、断線検知回路61への回路遮断プラグ3の挿抜によって、断線検知回路61を開くことができ、高電圧回路65を遮断することが可能である。
【0032】
図3(a)は、回路遮断プラグ3の斜視図であり、図3(b)は、回路遮断プラグ3の断面図である。回路遮断プラグ3は、本体7と、本体7から下方に突出する一対のピン9等から構成される。なお、本体7に対してピン9の突出する方向を下方とし、その反対方向を上方とする。金属製のピン9は、例えば絶縁樹脂製の本体7に埋設されており、本体7の内部で連結される。すなわち、一対のピン9は導通する。なお、本体7の側面に、ヒューズプラー等の治具でつかんで抜き取ることを補助する凹凸を形成してもよい。
【0033】
次に、回路遮断プラグ3の使用方法について説明する。図4(a)は、回路遮断プラグ3が挿入部25に挿入された状態を示す断面図である。前述したように、挿入部25の下方には、一対の端子5が配置される。端子5は、前述した断線検知回路61上に配置されており、端子5同士が導通すると、断線検知回路61は閉回路となり、端子5同士が導通していない状態となると開回路となる。すなわち、端子5は、断線検知回路61の一部を構成し、遮断部67は、端子5間の導通状態を遮断することが可能である。
【0034】
図4(a)に示すように、回路遮断プラグ3が遮断部67の挿入部25に挿入された状態では、ピン9が端子5に挿入される。このため、端子5同士が導通し、断線検知回路が閉回路となる。この状態から、図7(b)に示すように、回路遮断プラグ3を、遮断部67の挿入部25から抜き取ることで、ピン9が端子5から抜き取られて端子5間の導通状態を遮断して、断線検知回路61は開いた状態(導通していない状態)となる。すなわち、断線検知回路61が開いているため、高電圧回路65は遮断された状態となる。
【0035】
なお、本実施形態では、断線検知回路61を遮断した状態において、回路遮断プラグ3を挿入部25から完全に抜き取ることができるようにしたが、ピン9が端子5から抜き取られた状態において、回路遮断プラグ3自体は、一部が挿入部25から抜けないようにしてもよい。また、電源分配ボックス59に、断線検知回路61の導通状態や、高電圧回路65の遮断状態を視認可能な表示部(ランプ等)を配置してもよい。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態によれば、高電圧回路65を遮断させるための断線検知回路61上に電源分配ボックス59を配置し、電源分配ボックス59に断線検知回路61を遮断するための遮断部67を配置することで、従来のように、高電圧回路65の遮断に際して、バッテリ55にアクセスする必要がない。また、電源分配ボックス59は、車種によらずエンジンルームに配置されているため、場所を確認する必要や、特殊な工具も不要である。また、回路遮断プラグ3は挿入部25に対して容易に挿抜可能であるため、メンテナンス作業が容易である。
【0037】
また、遮断部67は、高電圧回路65にかかる電圧よりも、小さな電圧が負荷される断線検知回路61の端子5で構成されるため、回路遮断プラグ3の挿抜作業の際に、高電圧回路65からサービスプラグを抜き取る際に生じるアーク等の発生を抑制することができる。
【0038】
また、通常のサービスプラグは、バッテリ55において、高電圧回路や断線検知回路と導通する回路上に配置されるが、本実施形態では、バッテリ55におけるサービスプラグへの回路が不要となるため、使用する電線又はバスバーの量を削減することができる。
【0039】
また、回路遮断プラグ3を一般的なミニヒューズ等と同様の形状とすることで、遮断部67のレイアウトが容易であり、わずかなスペースに遮断部67を形成することができる。なお、この際、他のヒューズとの区別を容易にするため、例えば本体7をオレンジ色等に着色して、他の電気部品と区別可能とすることが望ましい。
【0040】
次に、第2の実施形態について説明する。図5(a)は、第2の実施形態にかかる回路遮断プラグ3aを示す斜視図である。なお、以下の説明において、回路遮断プラグ3と同一の機能を発揮する構成については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0041】
回路遮断プラグ3aは、回路遮断プラグ3と略同様の構成であるが、本体7の上方に取手11を有する点で異なる。図5(b)に示すように、取手11は、本体7に対して、ピン9の突出側とは逆方向に移動可能である。取手11は、例えば樹脂製であり、本体7の上面と両側面とにまたがる様に、略コの字状に形成される。
【0042】
図6(a)、図6(b)は、回路遮断プラグ3aの断面図である。取手11の両先端部近傍には、内側に向けて突起15が形成される。また、本体7の両側面には、下方から所定の高さまで溝13が形成され、突起15は溝13に嵌合する。このため、取手11は、本体7に対して、溝13の範囲において、溝13に沿って移動可能である。
【0043】
取手11を本体7から上方に移動させると、取手11は、回路遮断プラグ3aを遮断部67(挿入部25)に挿入した状態から抜き取る際の指や治具の引っ掛かりとなる部位(抜き取りを補助する部位)となる。すなわち、取手11は、本体7に対して、ピン9の突出側とは逆側に、ピン9の断線検知回路61からの抜き取りを補助する補助部として機能する。なお、溝13の長さ(本体7の下面からの形成範囲)は、取手11の移動量に応じて、本体7の高さよりも短い範囲で設定すればよい。
【0044】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、取手11が移動して、回路遮断プラグ3aを抜き取る際の引っ掛かりとなるため、指や治具によって容易に回路遮断プラグ3aを抜き取ることができる。
【0045】
次に、第3の実施形態について説明する。図7(a)、図7(b)は、第3の実施形態にかかる回路遮断プラグ3bを示す断面図である。回路遮断プラグ3bは、回路遮断プラグ3aと略同様の構成であるが、取手11にピン9が固定される点で異なる。すなわち、取手11を本体7に対して移動させると、取手11とともにピン9も移動可能である。
【0046】
本体7には、孔17が上下方向に貫通する。また、孔17にはピン9が挿通される。すなわち、ピン9は本体7の上方から下方に貫通し、取手11を本体7に押し込んだ状態(図7(a))では、ピン9が本体7の下面から突出し、取手11を本体7から上方に引き出した状態(図7(b))では、ピン9の全体が本体7に収容される。すなわち、取手11の移動量(溝13の長さ)は、ピン9の最大突出量と略同等とする。
【0047】
例えば、挿入部25と本体7とが、嵌合構造や係合構造などの何らかの固定構造を有する場合には、回路遮断プラグを挿入部25から抜き取る際に、本体7を挿入部25から抜き取る抵抗と、ピン9を端子5から抜き取る抵抗の両方の抵抗を受けることになる。これに対し、回路遮断プラグ3bでは、まず、ピン9のみを端子5から抜き取り、その後本体7を挿入部25から抜き取ることができるため、より小さな力で回路遮断プラグ3bを抜き取ることができる。
【0048】
第3の実施形態によれば、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、より小さな力で回路遮断プラグ3bを遮断部67から抜き取ることができる。また、抜き取った後の回路遮断プラグ3bは、ピン9が本体7に収容されているため、変形や破損を抑制することができる。
【0049】
次に、第4の実施形態について説明する。図8は、第4の実施形態にかかる回路遮断プラグ3cを示す斜視図である。回路遮断プラグ3cは、回路遮断プラグ3と略同様の構成であるが、本体7の上部において、主面の両側部に張り出す張り出し部19が形成される点で異なる。張り出し部19は、対向する長辺側にそれぞれ形成され、本体7の上部において本体7から外側に張り出し、回路遮断プラグ3cを遮断部67から抜き取る際の補助部として機能する。
【0050】
前述したように、本体7の形態が一般的なミニヒューズ等と同様の形態であれば、挿抜作業には、ヒューズプラー(ヒューズクリップ)等の治具を用いることができる。この際、本体7の上方に、治具の引っ掛かりとなる張り出し部19を設けることで、回路遮断プラグ3cを容易に挿抜することができる。
【0051】
第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、簡易な構造で、治具等によって容易に挿抜作業を行うことができる。
【0052】
次に、第5の実施形態について説明する。図9(a)、図9(b)は、第5の実施形態にかかる回路遮断プラグ3dを示す斜視図である。回路遮断プラグ3dは、回路遮断プラグ3aと略同様の構成であるが、取手11の上部において、引っ掛け部21が形成される点で異なる。引っ掛け部21は、取手11の上部の略中央に設けられ、取手11の上部の取手11の他の部位と比較して幅が狭い。このため、引っ掛け部21を治具等によって容易につまむことができる。
【0053】
なお、この場合でも、図10(a)、図10(b)に示す回路遮断プラグ3eのように、取手11とピン9とを接合してもよい。すなわち、引っ掛け部21を治具でつまんで引く抜く際に、ピン9を端子5から抜き取ることができる。また、取手11を本体7から引き抜いた状態において、ピン9を本体7に収容することができる。
【0054】
また、前述した回路遮断プラグ3dは、取手11の上部の側面が、本体7の上方において露出するが、本体7の上部において、取手11の上部を収容可能としてもよい。図11(a)、図11(b)は、回路遮断プラグ3fを示す斜視図である。回路遮断プラグ3fは、本体7の上部において、長辺に沿って壁部23が形成される。すなわち、本体7の上面において、両側の長辺が上方に突出する。
【0055】
図11(a)に示すように、取手11を本体7に押し込んだ状態では、壁部23の間に、取手11の上部がはまり込む。すなわち、取手11の上部が、本体7に収容されて、取手11の上部の側面が壁部23で覆われて露出しない。このようにすることで、取手11をつまむ場所が引っ掛け部21のみとなるため、専用の治具を用いなければ、回路遮断プラグ3fを抜き取ることが困難となる。
【0056】
第5の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、簡易な構造で、治具等によって容易に挿抜作業を行うことができる。
【0057】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0058】
1………配策構造
3、3a、3b、3c、3d、3e、3f………回路遮断プラグ
5………端子
7………本体
9………ピン
11………取手
13………溝
15………突起
17………孔
19………張り出し部
21………引っ掛け部
23………壁部
51………モータ
53………インバータ
55………バッテリ
57………ECU
59………電源分配ボックス
61………断線検知回路
65………高電圧回路
67………遮断部
100………配策構造
101………モータ
103………インバータ
105………バッテリ
107………ECU
109………電源分配ボックス
111………サービスプラグ
113………断線検知回路
115………高電圧回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12