(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124031
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】基板処理方法及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20240905BHJP
C23C 16/46 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H01L21/31 B
C23C16/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031920
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】田口 純之介
(72)【発明者】
【氏名】和田 祐輝
(72)【発明者】
【氏名】竹内 靖
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030CA04
4K030EA04
4K030FA10
4K030GA06
4K030HA01
4K030JA10
4K030KA23
4K030KA41
5F045AA06
5F045AA15
5F045AB31
5F045AC15
5F045AC16
5F045AD01
5F045AE01
5F045BB02
5F045DP15
5F045DP27
5F045DP28
5F045DQ10
5F045EE14
5F045EE17
5F045EF03
5F045EF09
5F045EK07
5F045EK22
5F045EK30
(57)【要約】
【課題】高温環境においても基板面内の温度分布の均一性を向上できる技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様による基板処理方法は、真空容器と、前記真空容器内に回転可能に設けられる回転テーブルと、前記回転テーブルと共に回転すると共に前記回転テーブルに対して回転可能な載置台と、前記回転テーブルの下方に設けられるヒータと、を備える基板処理装置を用いた基板処理方法であって、前記ヒータは、前記回転テーブルの中心部に配置された内側ヒータと、前記回転テーブルの外周部に配置された外側ヒータと、前記内側ヒータと前記外側ヒータとの間に配置された中間部ヒータと、を有し、前記回転テーブルを回転させることと、基板を載置した前記載置台を前記回転テーブルに対して回転させることと、前記内側ヒータ、前記中間部ヒータ及び前記外側ヒータの設定温度がこの順に低く又は高くなるよう制御することと、を同時に行うことで前記基板に処理を施すことを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器と、
前記真空容器内に回転可能に設けられる回転テーブルと、
前記回転テーブルと共に回転すると共に前記回転テーブルに対して回転可能な載置台と、
前記回転テーブルの下方に設けられるヒータと、
を備える基板処理装置を用いた基板処理方法であって、
前記ヒータは、前記回転テーブルの中心部に配置された内側ヒータと、前記回転テーブルの外周部に配置された外側ヒータと、前記内側ヒータと前記外側ヒータとの間に配置された中間部ヒータと、を有し、
前記回転テーブルを回転させることと、
基板を載置した前記載置台を前記回転テーブルに対して回転させることと、
前記内側ヒータ、前記中間部ヒータ及び前記外側ヒータの設定温度がこの順に低く又は高くなるよう制御することと、
を同時に行うことで前記基板に処理を施すことを含む、
基板処理方法。
【請求項2】
前記基板処理装置は、前記載置台を前記回転テーブルに対して回転させる自転軸を有し、
前記自転軸は、前記回転テーブルの回転中心から離隔した位置に設けられ、
前記中間部ヒータは、前記回転テーブルが回転する際の前記自転軸の回転経路を挟んで設けられる、
請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記基板処理装置は、前記回転テーブルを支持する固定軸を有し、
前記固定軸は、前記回転テーブルの回転中心から離隔した位置に設けられ、
前記回転テーブルが回転する際の前記固定軸と前記自転軸の回転経路が同じである、
請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
真空容器と、
前記真空容器内に回転可能に設けられる回転テーブルと、
前記回転テーブルと共に回転すると共に前記回転テーブルに対して回転可能な載置台と、
前記回転テーブルの下方に設けられるヒータと、
制御部と、
を備え、
前記ヒータは、前記回転テーブルの中心部に配置された内側ヒータと、前記回転テーブルの外周部に配置された外側ヒータと、前記内側ヒータと前記外側ヒータとの間に配置された中間部ヒータと、を有し、
前記制御部は、前記回転テーブルを回転させることと、基板を載置した前記載置台を前記回転テーブルに対して回転させることと、前記内側ヒータ、前記中間部ヒータ及び前記外側ヒータの設定温度がこの順に低く又は高くなるよう制御することと、を同時に行うことで前記基板に処理を施すよう制御する、
基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理方法及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のウエハを載置した回転テーブルを回転させることで各ウエハを公転させ、回転テーブルの半径方向に沿うように配置される処理ガスの供給領域を繰り返し通過させることで、ウエハに各種の膜を成膜する装置が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。この装置においては、回転テーブルによりウエハが公転する間、ウエハが自転するようにウエハの載置台を回転させて、当該ウエハの周方向における膜の均一性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-111758号公報
【特許文献2】特開2022-141372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、高温環境においても基板面内の温度分布の均一性を向上できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理方法は、真空容器と、前記真空容器内に回転可能に設けられる回転テーブルと、前記回転テーブルと共に回転すると共に前記回転テーブルに対して回転可能な載置台と、前記回転テーブルの下方に設けられるヒータと、を備える基板処理装置を用いた基板処理方法であって、前記ヒータは、前記回転テーブルの中心部に配置された内側ヒータと、前記回転テーブルの外周部に配置された外側ヒータと、前記内側ヒータと前記外側ヒータとの間に配置された中間部ヒータと、を有し、前記回転テーブルを回転させることと、基板を載置した前記載置台を前記回転テーブルに対して回転させることと、前記内側ヒータ、前記中間部ヒータ及び前記外側ヒータの設定温度がこの順に低く又は高くなるよう制御することと、を同時に行うことで前記基板に処理を施すことを含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、高温環境においても基板面内の温度分布の均一性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る成膜装置の構成例を示す断面図である。
【
図2】
図1の成膜装置の真空容器内の構成を示す平面図である。
【
図3】
図1の成膜装置の回転テーブル及び載置台の構成を示す斜視図である。
【
図4】
図1の成膜装置の収容ボックス内の構成を示す断面図である。
【
図6】載置台の径方向位置と基板の温度との関係を示す図である。
【
図7】載置台の径方向位置と基板の温度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〔基板処理装置〕
図1から
図4を参照し、実施形態に係る基板処理装置の一例として、基板Wに膜を形成する成膜装置300を例示して説明する。
【0010】
図1は、実施形態に係る成膜装置300の構成例を示す断面図である。
図2は、
図1の成膜装置300の真空容器311内の構成を示す平面図である。
図2においては、説明の便宜上、天板311bの図示を省略している。
図3は、
図1の成膜装置300の回転テーブル321及び載置台321aの構成を示す斜視図である。
図4は、
図1の成膜装置300の収容ボックス322内の構成を示す断面図である。
【0011】
成膜装置300は、処理部310と、回転駆動装置320と、制御部390とを備える。
【0012】
処理部310は、真空容器311と、ガス導入部312と、ガス排気口313と、搬送口314と、加熱部315とを有する。
【0013】
真空容器311は、内部を減圧可能な処理容器である。真空容器311は、ほぼ円形の平面形状を有する扁平な形状を有する。真空容器311は、内部に複数の基板Wを収容する。基板Wは、例えば半導体ウエハであってよい。
【0014】
真空容器311は、本体311aと、天板311bと、側壁体311cと、底板311dとを含む。本体311aは、円筒形状を有する。天板311bは、本体311aの上面に対してシール部311eを介して気密に着脱可能に配置される。側壁体311cは、本体311aの下面に接続され、円筒形状を有する。底板311dは、側壁体311cの底面に対して気密に配置される。
【0015】
ガス導入部312は、原料ガスノズル312aと、反応ガスノズル312bと、分離ガスノズル312c,312dとを含む。原料ガスノズル312a、反応ガスノズル312b及び分離ガスノズル312c,312dは、回転テーブル321の上方に、真空容器311の周方向(
図2の矢印Aで示される方向)に互いに間隔をおいて配置される。図示の例では、搬送口314から時計回り(回転テーブル321の回転方向)に、分離ガスノズル312c、原料ガスノズル312a、分離ガスノズル312d及び反応ガスノズル312bがこの順に配列される。原料ガスノズル312a、反応ガスノズル312b及び分離ガスノズル312c,312dの基端部であるガス導入ポート312a1,312b1,312c1,312d1は、本体311aの外壁に固定される。原料ガスノズル312a、反応ガスノズル312b及び分離ガスノズル312c,312dは、真空容器311の外壁から真空容器311内に導入され、本体311aの半径方向に沿って回転テーブル321に対して水平に伸びるように取り付けられる。原料ガスノズル312a、反応ガスノズル312b及び分離ガスノズル312c,312dは、例えば石英により形成される。
【0016】
原料ガスノズル312aは、配管及び流量制御器等(図示せず)を介して、原料ガスの供給源(図示せず)に接続される。原料ガスとしては、例えばシリコン含有ガス、金属含有ガスを利用できる。原料ガスノズル312aには、回転テーブル321に向かって開口する複数の吐出孔(図示せず)が、原料ガスノズル312aの長さ方向に沿って間隔を有して配列される。原料ガスノズル312aは、複数の吐出孔から原料ガスを吐出する。原料ガスノズル312aの下方領域は、原料ガスを基板Wに吸着させるための原料ガス吸着領域P1となる。
【0017】
反応ガスノズル312bは、配管及び流量制御器等(図示せず)を介して、反応ガスの供給源(図示せず)に接続される。反応ガスとしては、例えば酸化ガス、窒化ガスを利用できる。反応ガスノズル312bには、回転テーブル321に向かって開口する複数の吐出孔(図示せず)が、反応ガスノズル312bの長さ方向に沿って間隔を有して配列される。反応ガスノズル312bは、複数の吐出孔から反応ガスを吐出する。反応ガスノズル312bの下方領域は、原料ガス吸着領域P1において基板Wに吸着された原料ガスを酸化又は窒化させる反応ガス供給領域P2となる。
【0018】
分離ガスノズル312c,312dは、いずれも配管及び流量制御バルブ等(図示せず)を介して、分離ガスの供給源(図示せず)に接続される。分離ガスとしては、例えばアルゴン(Ar)ガス、窒素(N2)ガス等の不活性ガスを利用できる。分離ガスノズル312c,312dには、回転テーブル321に向かって開口する複数の吐出孔(図示せず)が、分離ガスノズル312c,312dの長さ方向に沿って間隔を有して配列される。分離ガスノズル312c,312dは、複数の吐出孔から分離ガスを吐出する。
【0019】
ガス導入部312は、回転テーブル321の下方にパージガスを供給するパージガス導入部(図示せず)を含んでもよい。パージガスとしては、例えば分離ガスと同じガスを利用できる。
【0020】
真空容器311内には2つの凸状部317が設けられる。凸状部317は、回転テーブル321に向かって突出するように天板311bの裏面に取り付けられる。凸状部317は、分離ガスノズル312c,312dと共に分離領域Dを構成する。凸状部317は、頂部が円弧状に切断された扇型の平面形状を有する。凸状部317は、内円弧が突出部318に連結される。凸状部317は、外円弧が本体311aの内壁に沿って配置される。
【0021】
ガス排気口313は、第1排気口313aと、第2排気口313bとを含む。第1排気口313aは、第1排気領域E1の底部に形成される。第1排気領域E1は、原料ガス吸着領域P1に連通する。第2排気口313bは、第2排気領域E2の底部に形成される。第2排気領域E2は、反応ガス供給領域P2に連通する。第1排気口313a及び第2排気口313bは、排気配管(図示せず)を介して、真空ポンプ等を含む排気装置(図示せず)に接続される。
【0022】
搬送口314は、真空容器311の側壁に設けられる。搬送口314は、回転テーブル321と搬送アーム314aとの間で基板Wの受け渡しを行うための開口である。搬送口314は、ゲートバルブ(図示せず)により開閉される。
【0023】
加熱部315は、固定軸315aと、ヒータ支持部315bと、ヒータ315cとを含む。
【0024】
固定軸315aは、真空容器311の中心を中心軸とする円筒形状を有する。固定軸315aは、回転軸323の内側に、底板311dを貫通して設けられる。固定軸315aの外壁と回転軸323の内壁との間には、シール部315dが設けられる。これにより、回転軸323は、真空容器311内の気密状態を維持しながら、固定軸315aに対して回転する。シール部315dは、例えば磁性流体シールを含む。
【0025】
ヒータ支持部315bは、固定軸315aの上部に固定され、円板形状を有する。ヒータ支持部315bは、ヒータ315cを支持する。
【0026】
ヒータ315cは、ヒータ支持部315bの上面に設けられる。ヒータ315cは、ヒータ支持部315bの上面に加え、本体311aに設けられてもよい。ヒータ315cは、基板Wを加熱する。ヒータ315cの詳細な構造については後述する。
【0027】
回転駆動装置320は、回転テーブル321と、収容ボックス322と、回転軸323と、公転用モータ324とを有する。
【0028】
回転テーブル321は、真空容器311内に設けられる。回転テーブル321は、真空容器311の中心に回転中心を有する。回転テーブル321は、例えば円板形状を有する。回転テーブル321は、例えば石英により形成される。回転テーブル321は、複数の接続部321dを介して収容ボックス322に接続される。回転テーブル321は、複数(例えば5つ)の開口321hを有する。複数の開口321hは、回転テーブル321の回転方向に沿って互いに間隔をあけて設けられる。各開口321hは、回転テーブル321の回転中心から離隔した位置に設けられる。
【0029】
載置台321aは、回転テーブル321を上方から見たときに開口321hと重なる位置に設けられる。載置台321aは、回転テーブル321の回転方向に沿って複数設けられる。載置台321aの数は、開口321hの数と同じである。各載置台321aは、回転テーブル321の回転中心から離隔した位置に設けられる。各載置台321aは、基板Wよりも僅かに大きい円板形状を有する。各載置台321aは、例えば石英により形成される。各載置台321aは、Al2O3、AlN、SiC等の熱伝導率が高い材料により形成されてもよい。各載置台321aには、基板Wが載置される。各載置台321aは、回転テーブル321と共に回転可能に構成される。各載置台321aは、自転軸321bを介して自転用モータ321cに接続され、回転テーブル321に対して回転可能に構成される。
【0030】
自転軸321bは、載置台321aの下面と自転用モータ321cとを接続する。自転軸321bは、自転用モータ321cの動力を載置台321aに伝達する。自転軸321bは、載置台321aの中心を回転中心として回転可能に構成される。自転軸321bは、回転テーブル321の回転方向に沿って複数設けられる。自転軸321bの数は、載置台321aの数と同じである。自転軸321bは、収容ボックス322の天井部322bを貫通する。天井部322bの貫通孔には、シール部326cが設けられ、収容ボックス322内の気密状態が維持される。シール部326cは、例えば磁性流体シールを含む。
【0031】
自転用モータ321cは、収容ボックス322内に収容される。自転用モータ321cは、自転軸321bを介して載置台321aを回転テーブル321に対して回転させる。これにより、基板Wが自転する。自転用モータ321cは、例えばサーボモータである。
【0032】
接続部321dは、回転テーブル321の下面と収容ボックス322の上面とを接続する。接続部321dは、例えば回転テーブル321の周方向に沿って複数設けられる。複数の接続部321dと複数の自転軸321bとは、同一円周上に設けられてよい。接続部321dと自転軸321bとは、回転テーブル321の周方向に沿って交互に設けられてよい。
【0033】
収容ボックス322は、真空容器311内における回転テーブル321の下方に設けられる。収容ボックス322は、複数の接続部321dを介して回転テーブル321に接続され、回転テーブル321と一体で回転可能に構成される。収容ボックス322は、昇降機構(図示せず)により真空容器311内で昇降可能に構成されてもよい。収容ボックス322は、本体部322aと、天井部322bとを有する。
【0034】
本体部322aは、断面視凹状に形成され、回転テーブル321の回転方向に沿ってリング状に形成される。
【0035】
天井部322bは、本体部322aの上部に設けられる。天井部322bは、断面視凹状に形成された本体部322aの開口を塞ぐことで、真空容器311内から隔離された収容部322cを本体部322aと共に形成する。
【0036】
収容部322cは、断面視矩形状に形成され、回転テーブル321の回転方向に沿ってリング状に形成される。収容部322cは、自転用モータ321cを収容する。本体部322aには、連通路322dが形成される。連通路322dは、収容部322cと成膜装置300の外部とを連通させる。これにより、成膜装置300の外部から連通路322dを介して収容部322cに大気が導入される。その結果、収容部322c内が冷却されると共に、収容部322c内が大気圧に維持される。
【0037】
回転軸323は、収容ボックス322の下部に固定される。回転軸323は、底板311dを貫通して設けられる。回転軸323は、公転用モータ324の動力を回転テーブル321及び収容ボックス322に伝達し、回転テーブル321及び収容ボックス322を一体で回転させる。底板311dの貫通孔には、シール部311fが設けられ、真空容器311内の気密状態が維持される。シール部311fは、例えば磁性流体シールを含む。
【0038】
回転軸323の内部には、貫通孔323aが設けられる。貫通孔323aは、連通路322dと接続され、収容ボックス322内に大気を導入するための流体流路として機能する。貫通孔323aは、自転用モータ321cを駆動させるための電力線及び信号線を導入するための配線ダクトとしても機能する。貫通孔323aは、例えば自転用モータ321cと同じ数だけ設けられる。
【0039】
制御部390は、成膜装置300の各部を制御する。制御部390は、例えばコンピュータであってよい。成膜装置300の各部の動作を行うコンピュータのプログラムは、記憶媒体に記憶される。記憶媒体は、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、フラッシュメモリ、DVD等であってよい。
【0040】
〔ヒータ〕
図5を参照し、ヒータ315cの一例について説明する。以下では、ヒータ315cをヒータ10として説明する。
【0041】
ヒータ10は、内側ヒータ11と、中間部ヒータ12と、外側ヒータ13とを含む。内側ヒータ11、中間部ヒータ12及び外側ヒータ13は、回転テーブル321の下方に設けられる。内側ヒータ11、中間部ヒータ12及び外側ヒータ13の出力は、制御部390により独立して制御される。
【0042】
内側ヒータ11は、回転テーブル321の中心部に配置される。内側ヒータ11は、回転テーブル321が回転する際の自転軸321bの回転経路RPよりも内側に配置される。内側ヒータ11は、例えば回転テーブル321の周方向に沿って環状に配置される。
【0043】
中間部ヒータ12は、内側ヒータ11と外側ヒータ13との間に配置される。中間部ヒータ12は、回転経路RPを挟んで配置される。中間部ヒータ12は、回転経路RPの内側に配置される第1部分と、回転経路RPの外側に配置される第2部分とを含む。中間部ヒータ12の第1部分は、例えば回転テーブル321の周方向に沿って環状に配置される。中間部ヒータ12の第2部分は、例えば回転テーブル321の周方向に沿って環状に配置される。
【0044】
外側ヒータ13は、回転テーブル321の外周部に配置される。外側ヒータ13は、回転経路RPよりも外側に配置される。外側ヒータ13は、例えば回転テーブル321の周方向に沿って環状に配置される。
【0045】
ヒータ10は、内側ヒータ11、中間部ヒータ12及び外側ヒータ13に加えて、別のヒータを含んでもよい。例えば、ヒータ10は、内側ヒータ11と中間部ヒータ12との間に配置されるヒータや、中間部ヒータ12と外側ヒータ13との間に配置されるヒータを含んでもよい。
【0046】
〔基板処理方法〕
図6及び
図7を参照し、成膜装置300を用いて実行される基板処理方法について説明する。以下に示される基板処理方法は、制御部390の制御の下で自動的に実行される。
図6及び
図7は、載置台321aの径方向位置と基板Wの温度との関係を示す図である。
図6及び
図7において、横軸は載置台321aの径方向位置を示し、縦軸は載置台321aに載置された基板Wの温度を示す。
【0047】
まず、ゲートバルブ(図示せず)を開き、外部から搬送アーム314aにより搬送口314を介して基板Wを載置台321aに受け渡す。基板Wの受け渡しは、載置台321aが搬送口314と同じ角度位置に停止したときに載置台321aの底面の貫通孔(図示せず)を介して真空容器311の底部側から昇降ピン(図示せず)が昇降することにより行われる。基板Wの受け渡しを、回転テーブル321を間欠的に回転させて行い、回転テーブル321の5つの載置台321a上にそれぞれ基板Wを載置する。
【0048】
続いて、ゲートバルブを閉じ、真空ポンプ(図示せず)により到達可能真空度にまで真空容器311内を排気する。続いて、分離ガスノズル312c,312dから分離ガスを所定の流量で吐出すると共に、真空容器311内を予め設定した圧力に制御する。続いて、制御部390は、回転テーブル321を回転させると共に、載置台321aを回転テーブル321に対して回転させるよう成膜装置300の各部を制御する。
【0049】
続いて、制御部390は、各載置台321aに載置された基板Wを加熱するようヒータ10を制御する。載置台321aの中心に自転軸321bが接続され、これにより載置台321aを回転テーブル321に対して回転させる成膜装置300では、
図6に示されるように、載置台321aの中心の温度が低くなりやすい。これは、載置台321aの中心の直下にヒータを配置できないこと、自転軸321bを介した放熱があること等の理由による。このため、内側ヒータ11、中間部ヒータ12及び外側ヒータ13の設定温度が等しくなるよう制御して載置台321a上の基板Wの面内での温度分布の均一性を高める場合がある。この場合、載置台321aの中心の温度を外周部の温度と合わせるために、中間部ヒータ12の出力を内側ヒータ11及び外側ヒータ13の出力よりも高く設定することが求められる。このため、基板Wを高温(例えば600℃以上)に加熱して行う処理では、中間部ヒータ12の出力が上限値に到達し、基板Wの温度分布が均一になるよう制御することが困難となる場合がある。
【0050】
そこで、本実施形態では、制御部390は、内側ヒータ11、中間部ヒータ12及び外側ヒータ13の設定温度がこの順に低くなるよう制御しながら、基板面内の温度分布が均一となるように制御する。この場合、基板面内の温度分布が均一となるように制御しながら、内側ヒータ11と中間部ヒータ12と外側ヒータ13との間の出力バランスを調整できる。例えば、基板Wを高温に加熱して行う処理において、中間部ヒータ12の出力を低くし、かつ内側ヒータ11及び外側ヒータ13の少なくとも一方の出力を高めて中間部ヒータ12の出力の低下分を補填する。これにより、基板面内の温度分布が均一となるように制御しながら、中間部ヒータ12の負荷を軽減できる。このため、高温環境においても基板面内の温度分布の均一性を向上できる。例えば、制御部390は、自転なしの状態で、
図7の破線で示されるように回転テーブル321の中心部から外周部に向かって基板Wの温度が低くなるように、内側ヒータ11、中間部ヒータ12及び外側ヒータ13の出力を制御してよい。この場合、自転ありの状態において、
図7の実線で示されるように、基板面内の温度分布が均一となる。「自転なし」の状態とは、載置台321aを回転テーブル321に対して回転させない状態を意味し、「自転あり」の状態とは、載置台321aを回転テーブル321に対して回転させる状態を意味する。
【0051】
制御部390は、内側ヒータ11、中間部ヒータ12及び外側ヒータ13の設定温度がこの順に高くなるよう制御しながら、基板面内の温度分布が均一となるよう制御してもよい。この場合も同様に、高温環境においても基板面内の温度分布の均一性を向上できる。
【0052】
続いて、原料ガスノズル312aから原料ガスを供給し、反応ガスノズル312bから反応ガスを供給する。回転テーブル321の回転により、基板Wは、原料ガス吸着領域P1、分離領域D、反応ガス供給領域P2及び分離領域Dをこの順に繰り返し通過する。原料ガス吸着領域P1において、基板Wに原料ガスの分子が吸着し、原料ガスの分子層が形成される。分離領域Dを通過した後、反応ガス供給領域P2において、反応ガスが基板Wに吸着した原料ガスと反応して反応生成物の膜が成膜される。回転テーブル321の回転により、基板Wは分離領域Dを通過した後に再び原料ガス吸着領域P1に至る。回転テーブル321の回転により、上記の反応が繰り返されると、所望の膜厚の膜が成膜される。このとき、基板面内の温度分布が均一となるように制御されているので、基板Wに成膜される膜の基板面内の膜厚分布の均一性が向上する。所望の膜厚の膜が成膜された後、制御部390は、膜が成膜された基板Wを搬出するよう成膜装置300の各部を制御する。
【0053】
以上に説明したように、実施形態に係る基板処理方法によれば、回転テーブル321を回転させることと、基板Wを載置した載置台321aを回転テーブル321に対して回転させることと、ヒータ10で基板Wを加熱することと、を同時に行うことを含む。このとき、内側ヒータ11、中間部ヒータ12及び外側ヒータ13の設定温度がこの順に低く又は高くなるように制御する。この場合、基板面内の温度分布が均一となるように制御しながら、内側ヒータ11と中間部ヒータ12と外側ヒータ13との間の出力バランスを調整できる。例えば、基板Wを高温に加熱して行う処理において、中間部ヒータ12の出力を低くし、かつ内側ヒータ11及び外側ヒータ13の少なくとも一方の出力を高めて中間部ヒータ12の出力の低下分を補填する。これにより、基板面内の温度分布が均一となるように制御しながら、中間部ヒータ12の負荷を軽減できる。このため、高温環境においても基板面内の温度分布の均一性を向上できる。その結果、基板Wに成膜される膜の基板面内の膜厚分布の均一性が向上する。
【0054】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10 ヒータ
11 内側ヒータ
12 中間部ヒータ
13 外側ヒータ
311 真空容器
321 回転テーブル
321a 載置台
315c ヒータ