(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124036
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】バイオマス固体燃料及びバイオマス固体燃料の製造方法
(51)【国際特許分類】
C10L 5/44 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
C10L5/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031934
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡庭 健斗
(72)【発明者】
【氏名】織戸 敬
(72)【発明者】
【氏名】古園 拓也
(72)【発明者】
【氏名】大野 高志
【テーマコード(参考)】
4H015
【Fターム(参考)】
4H015AA03
4H015AA09
4H015AA12
4H015AB01
4H015AB02
4H015AB09
4H015BA01
4H015BA06
4H015BA07
4H015BA13
4H015BB05
4H015BB08
4H015CB01
(57)【要約】
【課題】粉塵飛散を抑制できるバイオマス固体燃料を提供すること。
【解決手段】バイオマスと、鉱油とを含むバイオマス固体燃料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスと、鉱油とを含むバイオマス固体燃料。
【請求項2】
前記バイオマスは、成形されたバイオマスペレットであり、
前記バイオマスペレットの表面の少なくとも一部が前記鉱油で被覆されている、
請求項1に記載のバイオマス固体燃料。
【請求項3】
前記バイオマス固体燃料は、前記バイオマス及び前記鉱油の混合物が成形された鉱油含有ペレットである、
請求項1に記載のバイオマス固体燃料。
【請求項4】
前記バイオマス固体燃料中において、前記バイオマスに対する前記鉱油の割合(前記鉱油/前記バイオマス)は、質量比で、1/1000以上1/10以下である、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【請求項5】
乾燥ベースの高位発熱量が4500kcal/kg以上6000kcal/kg以下であり、燃料比(固定炭素/揮発分)が0.2以上0.7以下である、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【請求項6】
ハードグローブ粉砕性指数(HGI)が25以上50以下である、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【請求項7】
嵩密度が500kg/m3以上700kg/m3以下であり、機械的耐久性が90%以上99%以下である、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【請求項8】
前記鉱油の40℃における動粘度は、7mm2/s以上100mm2/s以下である、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【請求項9】
前記鉱油の引火点は、150℃以上300℃以下である、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【請求項10】
前記鉱油の密度は、0.8g/cm3以上1.0g/cm3以下である、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【請求項11】
前記鉱油のアニリン点は、90℃以上150℃以下である、
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【請求項12】
前記鉱油の平均分子量は、250以上600以下である、
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【請求項13】
前記鉱油のASTM D-3238に準拠する環分析(n-d-M法)において、芳香族炭素量の全炭素量に対する重量割合は、10重量%以下であり、ナフテン炭素量の全炭素量に対する重量割合は、10重量%以上40重量%以下であり、パラフィン炭素量の全炭素量に対する重量割合は、50重量%以上90重量%以下である、
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【請求項14】
前記鉱油の硫黄分は、0.15重量%以下である、
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【請求項15】
前記鉱油の色相(セーボルト)は、-10以上である、
請求項1から請求項14のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【請求項16】
前記バイオマスは、木質系バイオマス、草本系バイオマス、農作物残渣バイオマス、及びパーム椰子バイオマスからなる群から選択される少なくとも1種である、
請求項1から請求項15のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【請求項17】
バイオマスをペレットに成形するバイオマスペレット成形工程と、
前記バイオマスペレット成形工程で得られた前記バイオマスペレットの表面の少なくとも一部に鉱油を被覆する工程と、を有する、
バイオマス固体燃料の製造方法。
【請求項18】
前記バイオマスペレット成形工程で得られた前記バイオマスペレットを、酸素濃度が5質量%以下、かつ250℃以上350℃以下の条件で加熱する工程を有する、
請求項17に記載のバイオマス固体燃料の製造方法。
【請求項19】
バイオマスと、鉱油とを混合する工程と、
前記混合する工程で得られた混合物をペレットに成形する鉱油含有ペレット成形工程と、を有する、
バイオマス固体燃料の製造方法。
【請求項20】
前記鉱油含有ペレット成形工程で得られた前記鉱油含有ペレットを、酸素濃度が5質量%以下、かつ250℃以上350℃以下の条件で加熱する工程を有する、
請求項19に記載のバイオマス固体燃料の製造方法。
【請求項21】
前記バイオマスに対する前記鉱油の割合(前記鉱油/前記バイオマス)は、質量比で、1/1000以上1/10以下である、
請求項19または請求項20に記載のバイオマス固体燃料の製造方法。
【請求項22】
前記バイオマスは、木質系バイオマス、草本系バイオマス、農作物残渣バイオマス、及びパーム椰子バイオマスからなる群から選択される少なくとも1種である、
請求項19から請求項21のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス固体燃料及びバイオマス固体燃料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の原因とされるCO2排出量削減に向け、石炭と混焼可能なバイオマス固体燃料の開発が行われている。
既存の微粉炭ボイラーにおいて、石炭とバイオマス固体燃料とを混合して使用する場合、バイオマス固体燃料の粉砕性が石炭と比較すると悪いことから、燃焼効率の低下、及び粉砕機の効率低下等の問題があった。そこで、バイオマスを炭化処理することによって、粉砕性を向上させる方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、石炭と混合して若しくは単独で粉砕され微粉燃料として用いられる固体燃料を、バイオマスを酸素欠乏雰囲気下で加熱することにより製造する固体燃料製造方法において、植物の殻類、実、種子を含む硬質バイオマスを、酸素濃度1~5%で且つ処理温度350~400℃で30~90分加熱して炭化処理することにより前記固体燃料を製造することを特徴とする固体燃料製造方法が開示されている。
【0003】
一方で、石炭等を堆積する際に微細な粉塵が空気中に飛散して作業環境や周囲環境を悪化させるという問題がある。そこで、水に界面活性剤を添加することによって水分を堆積物に浸透しやすくする方法が提案されている。
例えば、特許文献2には、(A)非イオン性界面活性剤混合物と、(B)2~6価の多価アルコール(B)とを含み、(A)成分と(B)成分を、重量比で9/1~2/8の割合で、かつ合計で25~95重量%含有する粉塵防止剤が開示されている。(A)非イオン性界面活性剤混合物は、一般式(1)で表される(a1)非イオン性界面活性剤と、一般式(2)で表される(a2)非イオン性界面活性剤とを、[(a1)/(a2)]重量比で9/1~2/8の割合で含有することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-191085号公報
【特許文献2】特開2005-336396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般にバイオマス固体燃料は、船舶によって輸送され、アンローダーによって貯蔵堆積場まで陸揚げされ、その後、船やトラック等によって発電所等へ輸送される。しかしながら、輸送時にバイオマスの微粉が空気中に飛散するという問題がある。
特許文献2に記載の粉塵抑制剤のように、水に界面活性剤を添加した粉塵抑制剤は、微粉を濡らし、微粉同士を凝集させ、見かけ上の粒径を大きくすることで、粉塵飛散を抑制できるといった効果がある。しかしながら、水に界面活性剤を添加した粉塵抑制剤を、細孔が多いバイオマス固体燃料に使用すると、粉塵抑制剤がバイオマス固体燃料の内部に瞬時に浸透してしまうため、微粉が濡れる確率が低くなり、十分な効果を発揮することができなくなる。そのため、特許文献2に記載の粉塵抑制剤は、鉱石、石炭、及び土砂等の堆積物に対しては適用できても、バイオマス固体燃料に対して適用することは困難である。
【0006】
本発明は、粉塵飛散を抑制できるバイオマス固体燃料、及びバイオマス固体燃料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]バイオマスと、鉱油とを含むバイオマス固体燃料。
【0008】
[2]前記バイオマスは、成形されたバイオマスペレットであり、
前記バイオマスペレットの表面の少なくとも一部が前記鉱油で被覆されている、
前記[1]に記載のバイオマス固体燃料。
【0009】
[3]前記バイオマス固体燃料は、前記バイオマス及び前記鉱油の混合物が成形された鉱油含有ペレットである、
前記[1]に記載のバイオマス固体燃料。
【0010】
[4]前記バイオマス固体燃料中において、
前記バイオマスに対する前記鉱油の割合(前記鉱油/前記バイオマス)は、質量比で、1/1000以上1/10以下である、
前記[1]から[3]のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【0011】
[5]乾燥ベースの高位発熱量が4500kcal/kg以上6000kcal/kg以下であり、燃料比(固定炭素/揮発分)が0.2以上0.7以下である、
前記[1]から[4]のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【0012】
[6]ハードグローブ粉砕性指数(HGI)が25以上50以下である、
前記[1]から[5]のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【0013】
[7]嵩密度が500kg/m3以上700kg/m3以下であり、機械的耐久性が90%以上99%以下である、
前記[1]から[6]のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【0014】
[8]前記鉱油の40℃における動粘度は、7mm2/s以上100mm2/s以下である、
前記[1]から[7]のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【0015】
[9]前記鉱油の引火点は、150℃以上300℃以下である、
前記[1]から[8]のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【0016】
[10]前記鉱油の密度は、0.8g/cm3以上1.0g/cm3以下である、
前記[1]から[9]のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【0017】
[11]前記鉱油のアニリン点は、90℃以上150℃以下である、
前記[1]から[10]のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【0018】
[12]前記鉱油の平均分子量は、250以上600以下である、
前記[1]から[11]のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【0019】
[13]前記鉱油のASTM D-3238に準拠する環分析(n-d-M法)において、芳香族炭素量の全炭素量に対する重量割合は、10重量%以下であり、ナフテン炭素量の全炭素量に対する重量割合は、10重量%以上40重量%以下であり、パラフィン炭素量の全炭素量に対する重量割合は、50重量%以上90重量%以下である、
前記[1]から[12]のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【0020】
[14]前記鉱油の硫黄分は、0.15重量%以下である、
前記[1]から[13]のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【0021】
[15]前記鉱油の色相(セーボルト)は、-10以上である、
前記[1]から[14]のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【0022】
[16]前記バイオマスは、木質系バイオマス、草本系バイオマス、農作物残渣バイオマス、及びパーム椰子バイオマスからなる群から選択される少なくとも1種である、
前記[1]から[15]のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料。
【0023】
[17]バイオマスをペレットに成形するバイオマスペレット成形工程と、
前記バイオマスペレット成形工程で得られた前記バイオマスペレットの表面の少なくとも一部に鉱油を被覆する工程と、を有する、
バイオマス固体燃料の製造方法。
【0024】
[18]前記バイオマスペレット成形工程で得られた前記バイオマスペレットを、酸素濃度が5質量%以下、かつ250℃以上350℃以下の条件で加熱する工程を有する、
前記[17]に記載のバイオマス固体燃料の製造方法。
【0025】
[19]バイオマスと、鉱油とを混合する工程と、
前記混合する工程で得られた混合物をペレットに成形する鉱油含有ペレット成形工程と、を有する、
バイオマス固体燃料の製造方法。
【0026】
[20]前記鉱油含有ペレット成形工程で得られた前記鉱油含有ペレットを、酸素濃度が5質量%以下、かつ250℃以上350℃以下の条件で加熱する工程を有する、
前記[19]に記載のバイオマス固体燃料の製造方法。
【0027】
[21]前記バイオマスに対する前記鉱油の割合(前記鉱油/前記バイオマス)は、質量比で、1/1000以上1/10以下である、
前記[17]から[20]のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料の製造方法。
【0028】
[22]前記バイオマスは、木質系バイオマス、草本系バイオマス、農作物残渣バイオマス、及びパーム椰子バイオマスからなる群から選択される少なくとも1種である、
前記[17]から[21]のいずれか一項に記載のバイオマス固体燃料の製造方法。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一態様によれば、粉塵飛散を抑制できるバイオマス固体燃料、及びバイオマス固体燃料の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1A】実施例1-1の振とう直後の混合物の顕微鏡写真である。
【
図1B】実施例1-1の振とうしてから1週間後の混合物の顕微鏡写真である。
【
図2A】実施例1-2の振とう直後の混合物の顕微鏡写真である。
【
図2B】実施例1-2の振とうしてから1週間後の混合物の顕微鏡写真である。
【
図3A】実施例1-3の振とう直後の混合物の顕微鏡写真である。
【
図3B】実施例1-3の振とうしてから1週間後の混合物の顕微鏡写真である。
【
図4A】実施例1-4の振とう直後の混合物の顕微鏡写真である。
【
図4B】実施例1-4の振とうしてから1週間後の混合物の顕微鏡写真である。
【
図5A】実施例1-5の振とう直後の混合物の顕微鏡写真である。
【
図5B】実施例1-5の振とうしてから1週間後の混合物の顕微鏡写真である。
【
図6A】実施例1-6の振とう直後の混合物の顕微鏡写真である。
【
図6B】実施例1-6の振とうしてから1週間後の混合物の顕微鏡写真である。
【
図7A】実施例1-7の振とう直後の混合物の顕微鏡写真である。
【
図7B】実施例1-7の振とうしてから1週間後の混合物の顕微鏡写真である。
【
図8】比較例1-1の振とう直後の混合物の顕微鏡写真である。
【
図9A】比較例1-2の振とう直後の混合物の顕微鏡写真である。
【
図9B】比較例1-2の振とうしてから1週間後の混合物の顕微鏡写真である。
【
図10A】参考例1-1の振とう直後の混合物の顕微鏡写真である。
【
図10B】参考例1-1の振とうしてから1週間後の混合物の顕微鏡写真である。
【
図11】実施例の評価で用いた多段式ふるいを説明するための模式図である。
【
図12】BP微粉の粒径と微粉の存在比率との関係を示す図である。
【
図13】BP微粉の粒径と機械的耐久性試験後の微粉の存在比率との関係を示す図である。
【
図14】落下試験で飛散した粉じん量を示す図である。
【
図15】水及び実施例で用いた鉱油3の蒸気圧曲線を示す図である。
【
図16】実施例で用いた鉱油1及び鉱油2の蒸気圧曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前に記載される数値を下限値とし、「~」の後に記載される数値を上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、質量パーセント濃度(単位:質量%(mass%))と、重量パーセント濃度(単位:重量%(wt%))とは同じ値である。
【0032】
〔第1実施形態〕
〔バイオマス固体燃料〕
本実施形態に係るバイオマス固体燃料は、バイオマスと、鉱油とを含む。
【0033】
本発明者らは、鋭意検討を行ったところ、鉱油が、バイオマス固体燃料の内部に瞬時に浸透しにくい性質を有することを見出した。このような性質の鉱油を、細孔の多いバイオマス固体燃料に対して添加すると、鉱油が一定量バイオマス固体燃料の内部に浸透し、微粉が濡れる確率を高めることができる。これにより、鉱油の浸透した部分が砕けたときに生じる微粉に対しても、鉱油の効果(微粉を濡らして凝集させる効果)が発揮され、その結果、粉塵飛散が抑制される。
本実施形態に係るバイオマス固体燃料によれば、搬送又は貯留する際に、粉塵飛散を抑制できる。また、粉塵飛散を抑制できることから、作業効率の低下、粉塵への着火、及び粉塵への着火に起因する火災の発生も抑制できる。
また、発電所においては、バイオマス固体燃料の使用量をより増大させる要請がある。本実施形態によれば、安全性が高められたバイオマス固体燃料が得られるので、このようなバイオマス固体燃料の使用量増大の要請にも応えることができる。
【0034】
なお、バイオマス固体燃料の粉塵飛散を抑制する材料として、イソパラフィン系溶剤(具体的にはIPソルベント)を利用することができるが、コスト削減を図る点で、イソパラフィン系溶剤とは異なる材料を用いて、粉塵飛散を抑制したいという要請がある。
【0035】
粉塵飛散を抑制する方法としては、例えば、バイオマス固体燃料に水を散水する方法も考えられる。しかしながら、バイオマス固体燃料への水の散水は、貯蔵中に水が蒸発してしまい、バイオマス固体燃料が乾く度に何度も散水が必要になるという問題がある。散水の回数が増すと、バイオマス固体燃料中の含有水分が増加して、発熱量が低下してしまうため、例えばボイラーでバイオマス固体燃料を使用する場合に、運用上の弊害となる場合がある。
一方、鉱油は、
図15~
図16に示す通り、水に比べて蒸気圧が顕著に低く、揮発しにくい性質を有する。つまり、バイオマス燃料に対して鉱油を一度添加すれば、鉱油は揮発しにくいため、その後の鉱油添加が不要となり、長期間の粉塵抑制効果を持続させることができる。
本実施形態のバイオマス固体燃料において、粉塵飛散を抑制するという効果は、鉱油の揮発しにくい性質にも依拠すると考えられる。
本実施形態のバイオマス固体燃料によれば、前述の性質(バイオマス固体燃料の内部に瞬時に浸透しにくい性質及び揮発しにくい性質)を有する鉱油を含むことで、バイオマス固体燃料に水を散水して粉塵飛散を抑制するという従来の方法に比べ、簡易な方法で粉塵飛散を抑制できる。
【0036】
バイオマス固体燃料の輸送時における「搬送」としては、例えば、所定場所から積込港までの輸送、積込港から陸揚港までの輸送、陸揚港から各地の発電所、製鉄所、及び工場等の敷地内までの輸送、並びに前記敷地内から火炉までの輸送等が挙げられる。
バイオマス固体燃料の貯蔵時における「貯蔵」としては、例えば、屋外の場所、屋内の屋根付き(ドーム方式、倉庫型など)の場所、船倉、サイロ、及び容器(例えばビン)への貯蔵等が挙げられる。
【0037】
<バイオマス>
バイオマスとしては特に限定されないが、例えば、木質系バイオマス、草本系バイオマス、農作物残渣バイオマス、パーム椰子バイオマス、セルロース製品、及びパルプ製品等が挙げられる。
本明細書において、農作物残渣バイオマスとは、食用部分以外のものを意味する。
本明細書において、パーム椰子バイオマスとは、バイオマス燃料となり得るパーム椰子の農業廃棄物を意味する。
バイオマスは、木質系バイオマス、草本系バイオマス、農作物残渣バイオマス、及びパーム椰子バイオマスからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0038】
木質系バイオマスとしては、例えば、針葉樹(例えば、スギ、マツ、ヒノキ、及びモミ等)、及び広葉樹(例えば、アカシア、ユーカリ、白樺(シラカバ)、ブナ、ケヤキ、カツラ、キリ、ゴムノキ及びクスノキ等)等が挙げられる。木質系バイオマスは、建築廃材(例えば、切断した端材、加工場で発生した切りくず、及びおがくず等)、林地残材、切捨間伐材、及び竹等であってもよい。
草本系バイオマスとしては、例えば、草、自然に生育した植物、及び人工的に植栽した植物等が挙げられる。草本系バイオマスは、麻、綿、稲わら、籾殻、麦わら、ササ、ネピアグラス、ソルガム及びススキ等であってもよい。
【0039】
農作物残渣バイオマスとしては、例えば、農作物の葉、果房、茎、根、及びその他食用以外の部分が挙げられる。前記農作物としては、例えば、小麦、とうもろこし、じゃがいも、サトウキビ(バガスを含む)、及びバナナ等が挙げられる。
【0040】
パーム椰子バイオマスとしては、例えば、パーム椰子殻(PKS:Palm Kernel Shell)、及びパーム椰子空果房(EFB:Empty Fruit Bunch)、パームトランク(Palm Trunk)等が挙げられる。
以上に記載したバイオマスは、1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0041】
本実施形態に係るバイオマス固体燃料において、バイオマスは、木質系バイオマス、草本系バイオマス、農作物残渣バイオマス、及びパーム椰子バイオマスからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
バイオマスの形状は特に限定されない。バイオマスの形状としては、例えば、チップ状、長尺状、粉状、及び不定形状等が挙げられる。
【0042】
<鉱油>
本実施形態に係るバイオマス固体燃料において、鉱油としては、例えば、パラフィン系原油、中間基系原油、ナフテン系原油等の原油を常圧蒸留して得られる常圧残油;これらの常圧残油を減圧蒸留して得られる留出油;当該留出油を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製等の精製処理を1つ以上施して得られる鉱油;天然ガスからフィッシャー・トロプシュ法等により製造されるワックス(GTLワックス(Gas To Liquids WAX))を異性化することで得られる鉱油(GTL)等が挙げられる。
これらの鉱油は、1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0043】
(鉱油の性状)
バイオマス固体燃料に含まれる鉱油の性状について説明する。
【0044】
(40℃における動粘度)
本実施形態に係るバイオマス固体燃料において、鉱油の40℃における動粘度は、7mm2/s以上100mm2/s以下であることが好ましく、20mm2/s以上90mm2/s以下であることがより好ましく、30mm2/s以上80mm2/s以下であることがさらに好ましい。
鉱油の40℃における動粘度が、7mm2/s以上であると、バイオマス固体燃料に対して鉱油を混合するときに、毛細管現象の効果によって鉱油がバイオマス固体燃料に浸透しづらくなるため好ましい。
鉱油の40℃における動粘度が、100mm2/s以下であると、バイオマスに対して鉱油を混合するときに、霧状に散布し易くなるため、より均一に散布できるため好ましい。
40℃における動粘度は、JIS K2283(2000)に準拠する方法で測定される値である。
【0045】
(引火点)
本実施形態に係るバイオマス固体燃料において、鉱油の引火点は、150℃以上300℃以下であることが好ましく、155℃以上290℃以下であることがより好ましく、160℃以上280℃以下であることがさらに好ましい。
本明細書において、引火点は、クリーブランド開放式引火点(COC法)による引火点である。
クリーブランド開放式引火点は、JIS K 2265-4(2007)に準拠して測定される値である。
【0046】
(密度)
本実施形態に係るバイオマス固体燃料において、鉱油の密度は、0.8g/cm3以上1.0g/cm3以下であることが好ましく、0.81g/cm3以上0.89g/cm3以下であることがより好ましく、0.82g/cm3以上0.88g/cm3以下であることがさらに好ましい。
密度(15℃)は、JIS K 2249-1(2011)(原油及び石油製品-密度の求め方-第1部:振動法)に準拠して測定される値である。
【0047】
(アニリン点)
本実施形態に係るバイオマス固体燃料において、鉱油のアニリン点は、80℃以上150℃以下であることが好ましく、85℃以上140℃以下であることがより好ましく、90℃以上130℃以下であることがさらに好ましい。
アニリン点は、JIS K 2256(2013)に準拠して測定される値である。
【0048】
(平均分子量)
本実施形態に係るバイオマス固体燃料において、鉱油の平均分子量は、250以上600以下であることが好ましく、260以上580以下であることがより好ましく、270以上550以下であることがさらに好ましい。
鉱油の平均分子量は、ASTM D2502に基づき、算出される値である。
【0049】
(芳香族炭素量の全炭素量に対する重量割合)
本実施形態に係るバイオマス固体燃料において、鉱油のASTM D-3238に準拠する環分析(n-d-M法)において、芳香族炭素量の全炭素量に対する重量割合は、10重量%以下であり、ナフテン炭素量の全炭素量に対する重量割合は、10重量%以上50重量%以下であり、パラフィン炭素量の全炭素量に対する重量割合は、50重量%以上90重量%以下であることが好ましい。
前記芳香族炭素量の全炭素量に対する重量割合は、8重量%以下であることがより好ましく、5重量%以下であることがさらに好ましい。
前記ナフテン炭素量の全炭素量に対する重量割合は、13重量%以上45重量%以下であることがより好ましく、15重量%以上40重量%以下であることがさらに好ましい。
前記パラフィン炭素量の全炭素量に対する重量割合は、52重量%以上85重量%以下であることがより好ましく、55重量%以上80重量%以下であることがさらに好ましい。
芳香族炭素量の全炭素量に対する重量割合、ナフテン炭素量の全炭素量に対する重量割合、及びパラフィン炭素量の全炭素量に対する重量割合は、それぞれ、ASTM D3238(1995)に準拠する環分析(n-d-M法)により算出される値である。
芳香族炭素量の全炭素量に対する重量割合は、芳香族分(%CA)と称することがある。ナフテン炭素量の全炭素量に対する重量割合は、ナフテン分(%CN)と称することがある。パラフィン炭素量の全炭素量に対する重量割合は、パラフィン分(%CP)と称することがある。
【0050】
(硫黄分)
本実施形態に係るバイオマス固体燃料において、鉱油の硫黄分は、0.15重量%以下であることが好ましく、0.13重量%以下であることがより好ましく、0.1重量%以下であることがさらに好ましい。
硫黄分は、0.05質量%(500質量ppm)未満の測定の場合には、JIS K 2541-6(2013)の紫外蛍光法に準拠し、0.05質量%(500質量ppm)以上の場合には、JIS K2541-7(2013)の波長分散蛍光X線法に準拠して測定される値である。
【0051】
(色相(セーボルト))
本実施形態に係るバイオマス固体燃料において、鉱油の色相(セーボルト)は、-10以上であることが好ましく、+10以上であることがより好ましく、+20以上であることがさらに好ましい。鉱油の色相が+30に近づくほど無色になるため、鉱油の色相が上記範囲であると、例えばバイオマス固体燃料の色が白色系である場合に、その色が保持され易くなる。
色相(セーボルト)は、JIS K2580(2003)に準拠する方法で測定される値である。
【0052】
本実施形態に係るバイオマス固体燃料の形態は、ペレットであることが好ましい。
本明細書において、ペレットは、ブリケットを包含する。ペレットの大きさ及び形状は特に限定されないが、ペレットは、通常、円筒状であり、好ましくは直径5mm以上10mm以下、長さ5mm以上50mm以下である。
【0053】
本実施形態に係るバイオマス固体燃料において、前記バイオマスは、成形されたバイオマスペレットであり、バイオマスペレットの表面の少なくとも一部が鉱油で被覆されていることが好ましい。
本実施形態に係るバイオマス固体燃料において、前記バイオマスペレットの表面は、前記鉱油により50%以上被覆されていることが好ましく、60%以上被覆されていることがより好ましく、70%以上被覆されていることがさらに好ましく、80%以上被覆されていることがさらに好ましく、90%以上被覆されていることがさらに好ましい。
【0054】
本実施形態に係るバイオマス固体燃料は、バイオマス及び鉱油の混合物が成形された鉱油含有ペレットであってもよい。
【0055】
本実施形態に係るバイオマス固体燃料において、バイオマスに対する鉱油の割合(前記鉱油/前記バイオマス)は、質量比で、1/1000以上1/10以下であることが好ましく、1/200以上1/20以下であることがより好ましく、1/100以上3/100以下であることがさらに好ましい。
【0056】
本実施形態に係るバイオマス固体燃料において、バイオマスの含有量は、バイオマス固体燃料の全量に対し、50質量%以上99.9質量%以下であることが好ましく、80質量%以上99.9質量%以下であることがより好ましく、90質量%以上99.9質量%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態に係るバイオマス固体燃料において、鉱油の含有量は、バイオマス固体燃料の全量に対し、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上3質量%以下であることがさらに好ましい。
バイオマス固体燃料におけるバイオマス及び鉱油の合計含有量の上限は、100質量%である。なお、本実施形態は、バイオマス固体燃料に、バイオマス及び鉱油以外の材料が含まれることを除外しない。
【0057】
<バイオマス固体燃料の性状>
本実施形態に係るバイオマス固体燃料の性状について説明する。
【0058】
(乾燥ベースの高位発熱量、及び燃料比(固定炭素/揮発分))
本実施形態に係るバイオマス固体燃料において、乾燥ベースの高位発熱量が4500kcal/kg以上6000kcal/kg以下であり、燃料比(固定炭素/揮発分)(気乾ベース)が0.2以上0.7以下であることが好ましい。
本実施形態に係るバイオマス固体燃料において、乾燥ベースの高位発熱量は、4600kcal/kg以上5900kcal/kg以下であることがより好ましく、4700kcal/kg以上5800kcal/kg以下であることがさらに好ましい。
乾燥ベースの高位発熱量は、JIS M8814(2003)に準拠する方法で測定される。
【0059】
本実施形態に係るバイオマス固体燃料において、燃料比(固定炭素/揮発分)(気乾ベース)は、0.2以上0.7以下であることが好ましく、0.21以上0.68以下であることがより好ましく、0.22以上0.65以下であることがさらに好ましい。
固定炭素量及び揮発分は、JIS M8812(2004)に準拠する方法で測定される。
【0060】
(ハードグローブ粉砕性指数(HGI))
本実施形態に係るバイオマス固体燃料において、ハードグローブ粉砕性指数(HGI)が、20以上50以下であることが好ましく、22以上48以下であることがより好ましく、25以上45以下であることがさらに好ましい。
ハードグローブ粉砕性指数(HGI)は、JIS M8801(2008)に準拠する方法で測定される。
【0061】
(嵩密度、及び機械的耐久性)
本実施形態に係るバイオマス固体燃料において、嵩密度は、500kg/m3以上700kg/m3以下であり、機械的耐久性は、90%以上99%以下であることが好ましい。
本実施形態に係るバイオマス固体燃料において、嵩密度は、510kg/m3以上690kg/m3以下であることがより好ましく、520kg/m3以上680kg/m3以下であることがさらに好ましい。
嵩密度は、ISO 17828に準拠する方法で測定される。
【0062】
本実施形態に係るバイオマス固体燃料において、機械的耐久性は、91%以上98%以下であることがより好ましく、92%以上97%以下であることがさらに好ましい。
機械的耐久性(単位:%)は、ISO 17831-1に準拠する方法で測定される。
【0063】
(バイオマス固体燃料のその他成分)
本実施形態に係るバイオマス固体燃料は、本実施形態の効果(粉塵飛散の抑制)を損なわない範囲で、その他成分を含んでもよい。その他成分としては、バインダー及び各種添加剤等が挙げられる。
その他成分の含有量は、バイオマス固体燃料の全量に対し、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
【0064】
本実施形態に係るバイオマス固体燃料は、石炭を含んでもよい。
石炭としては、例えば、瀝青炭、亜瀝青炭、及び褐炭が挙げられる。
・瀝青炭…無水無灰基準において、総発熱量が8100kcal/kg以上8400kcal/kg未満の石炭
・亜瀝青炭…無水無灰基準において、総発熱量が7300kcal/kg以上8100 kcal/kg未満の石炭
・褐炭…無水無灰基準において、総発熱量が5800kcal/kg以上7300kcal/kg未満の石炭
【0065】
石炭の粒径は、成形のし易さの観点から、好ましくは1mm以下、より好ましくは110μm以下である。石炭の粒径の下限値は0超えである。石炭の粒径は、例えば、篩を用いて調整することができる。
【0066】
本実施形態のバイオマス固体燃料が石炭を含む場合、バイオマス固体燃料中におけるバイオマスに対する石炭の割合(石炭/バイオマス)は、質量比で、好ましくは0/100超え75/25以下、より好ましくは0/100超え50/50以下である。
【0067】
〔バイオマス固体燃料の使用態様〕
本実施形態に係るバイオマス固体燃料は、発電所、製鉄所、及び工場等で広く用いることができる。本実施形態に係るバイオマス固体燃料は、単独で燃焼させて用いてもよいし、石炭等の他の燃料と混合して燃焼(混焼)させてもよい。
例えば、バイオマス固体燃料を火力発電設備で用いる場合、バイオマス固体燃料を粉砕機で粉砕してボイラに導入してもよいし、大きさによってはそのままボイラに導入してもよい。
また、バイオマス固体燃料を石炭と混合して用いることも好ましく、その場合、既存の火力発電設備を用いて、例えば、石炭粉砕機を利用して、バイオマス固体燃料を石炭と共に粉砕し、これらをボイラに導入してもよい。
また、バイオマス固体燃料を石炭粉砕機とは別の粉砕機(例えば、バイオマス固体燃料用粉砕機)で粉砕した後、別途粉砕された石炭と混合して、これらをボイラに導入してもよい。バイオマス固体燃料の使用態様は上記に限定されない。
【0068】
〔第2実施形態〕
<バイオマス固体燃料の製造方法>
第2実施形態に係るバイオマス固体燃料の製造方法(以下、「第2実施形態の製造方法」とも称する。)は、バイオマスをペレットに成形するバイオマスペレット成形工程と、バイオマスペレット成形工程で得られた前記バイオマスペレットの表面の少なくとも一部に鉱油を被覆する工程と、を有する。
第2実施形態の製造方法によれば、粉塵飛散を抑制できるバイオマス固体燃料が得られる。
【0069】
(バイオマスペレット成形工程)
バイオマスペレット成形工程は、バイオマスを、所定の圧力で成形(好ましくは圧縮成形)する工程である。これにより、バイオマスペレットが得られる。
ペレットは、例えば、バイオマスを金属穴(例えば、直径5mm以上10mm以下、長さ5mm以上200mm以下)から押し出すことで作製することができる。また、ペレットは、リングダイ方式またはフラットダイ方式等のペレタイザーを用いて作製することができる。成形時の圧力は、50MPa以上150MPa以下であることが好ましい。
【0070】
(加熱する工程)
第2実施形態の製造方法は、バイオマスペレット成形工程で得られた前記バイオマスペレットを加熱する工程を有することが好ましい。
加熱する工程における加熱温度は、250℃以上350℃以下であることが好ましく、270℃以上330℃以下であることがより好ましい。
加熱する工程における加熱時間は、加熱温度に依るが、10分以上240分以下であることが好ましく、20分以上180分以下であることがより好ましく、30分以上150分以下であることがさらに好ましい。
【0071】
加熱する工程における加熱雰囲気は、特に限定されないが、乾留ガス雰囲気、又は燃焼排ガス雰囲気であることが好ましい。
加熱する工程における酸素濃度は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。
【0072】
第2実施形態の製造方法は、前記バイオマスペレット成形工程で得られた前記バイオマスペレットを、酸素濃度が5質量%以下、かつ250℃以上350℃以下の条件で加熱する工程を有することがより好ましい。
【0073】
(被覆する工程)
被覆する工程は、バイオマスペレット成形工程で得られた前記バイオマスペレットの表面の少なくとも一部に鉱油を被覆する工程である。
バイオマスペレットの表面の少なくとも一部に鉱油を被覆する方法としては、特に限定されないが、例えば、バイオマスペレットに鉱油を添加(例えば、浸漬、滴下及び散布等)する方法、バイオマスペレットに鉱油を添加してバイオマスペレットを振とうする方法、及びバイオマスペレットを鉱油の雰囲気中にさらす方法等が挙げられる。
【0074】
被覆する工程において、前記バイオマスペレットに対する前記鉱油の割合(前記鉱油/前記バイオマスペレット)は、質量比で、1/1000以上1/10以下であることが好ましく、1/200以上1/20以下であることがより好ましく、1/100以上3/100以下であることがさらに好ましい。
被覆する工程は、加熱する工程の前に実施してもよいし、加熱する工程の後に実施してもよい。
【0075】
〔第3実施形態〕
<バイオマス固体燃料の製造方法>
第3実施形態に係るバイオマス固体燃料の製造方法(以下、「第3実施形態の製造方法」とも称する。)は、バイオマスと、鉱油とを混合する工程と、前記混合する工程で得られた混合物をペレットに成形する鉱油含有ペレット成形工程と、を有する。
第3実施形態の製造方法によれば、粉塵飛散を抑制できるバイオマス固体燃料が得られる。
【0076】
(混合する工程)
バイオマスと、鉱油とを混合する方法としては特に限定されないが、例えば、バイオマスペレットに鉱油を添加して公知の手段でこれらを混合する方法が挙げられる。
【0077】
混合する工程において、前記バイオマスに対する前記鉱油の割合(前記鉱油/前記バイオマス)は、質量比で、1/1000以上1/10以下であることが好ましく、1/200以上1/20以下であることがより好ましく、1/100以上3/100以下であることがさらに好ましい。
【0078】
(鉱油含有ペレット成形工程)
鉱油含有ペレット成形工程は、バイオマスと、鉱油との混合物を所定の圧力で成形(好ましくは圧縮成形)する工程である。鉱油含有ペレットは、第2実施形態のバイオマスペレットと同様の方法で成形される。
【0079】
(加熱する工程)
第3実施形態の製造方法は、鉱油含有ペレット成形工程で得られた前記鉱油含有ペレットを、加熱する工程を有することが好ましい。
具体的には、鉱油含有ペレット成形工程で得られた前記鉱油含有ペレットを、酸素濃度が5質量%以下、かつ250℃以上350℃以下の条件で加熱する工程を有することが好ましい。
加熱する工程における加熱温度、加熱時間、加熱雰囲気、及び酸素濃度は、第2実施形態で説明した加熱温度、加熱時間、加熱雰囲気、及び酸素濃度と同様の範囲であることが好ましい。
【0080】
〔他の実施形態〕
本発明は、上述の実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変更、改良等は、本発明に含まれる。
【実施例0081】
以下、本発明に係る実施例を説明する。本発明はこれらの実施例によって何ら限定されない。
【0082】
実施例、比較例及び参考例で使用したブラックペレットの性状を表1に示す。実施例で使用した鉱油1~7の性状を表2に示す。参考例で使用したIP溶剤(イソパラフィン系溶剤、IPソルベント)の性状を表3に示す。
表1中、ブラックペレットとは、バイオマス原料(アカシアの木)から作製したホワイトペレットを半炭化処理(酸素を遮断した状態で加熱処理)した固形燃料のことである。
以下の実施例で用いたブラックペレットを「BP」と称することがある。
【0083】
【0084】
・表1の説明
ブラックペレットの全水分の測定は、ISO 18134-3に準拠して測定した値である。
高位発熱量及び低位発熱量は、JIS M8814(2003)に準拠して測定した値である。
「DB」は、無水ベースを示す。
「AD」は、気乾ベースを示す。
「AR」は、到着ベースを示す。
HGIは、ハードグローブ粉砕性指数である。
【0085】
【0086】
・表2の説明
表2中の物性値は、既述の方法で測定した値である。
【0087】
【0088】
〔評価1:BP微粉に対する鉱油の凝集性〕
〔実施例1-1〕
微粉の割合を一定にするために、事前に乾式篩(目開き6mm)を用いて、表1に示す性状のBP(出光興産社製、アカシアの木)から微粉及び細かいペレットを除去した。
その後、BP(10g)に対して、0.2wt%(0.02g)の微粉(実際に乾式で篩って採った粒径0.2mm以下のBP微粉)を添加し、さらに1.0wt%(0.1g)の鉱油1(表2)を添加して、混合物(BP、微粉及び鉱油1)を振とうし、鉱油1をBP及び微粉全体に馴染ませた。振とう直後の混合物、及び振とうしてから1週間後の混合物を、それぞれ顕微鏡にて観察した。
実施例1-1の結果を
図1A及び
図1Bに示す。
【0089】
〔実施例1-2~1-7〕
実施例1-1で用いた鉱油1に代えて、表2に示す鉱油2~7をそれぞれ用いた以外、実施例1-1と同様の方法で、振とう直後の混合物、及び振とうしてから1週間後の混合物をそれぞれ作製し、これらを顕微鏡にて観察した。
実施例1-2~1-7の結果を、それぞれ、
図2A~
図7A及び
図2B~
図7Bに示す。
【0090】
〔比較例1-1〕
実施例1-1で用いた鉱油1を添加しなかった以外、実施例1-1と同様の方法で、振とう直後の混合物(BP及び微粉)を得た後、顕微鏡にて観察した。
比較例1-1の結果を、
図8に示す。
【0091】
〔比較例1-2〕
実施例1-1で用いた鉱油1に代えて、蒸留水を用いた以外、実施例1-1と同様の方法で、振とう直後の混合物、及び振とうしてから1週間後の混合物をそれぞれ作製し、これらを顕微鏡にて観察した。
比較例1-2の結果を、
図9A及び
図9Bに示す。
【0092】
〔参考例1-1〕
実施例1-1で用いた鉱油1に代えて、表2に示すIPソルベント(出光興産社製、グレード2835)を用いた以外、実施例1-1と同様の方法で、振とう直後の混合物、及び振とうしてから1週間後の混合物をそれぞれ作製し、これらを顕微鏡にて観察した。
参考例1-1の結果を、
図10A及び
図10Bに示す。
【0093】
各図に示される顕微鏡写真より、微粉に対する鉱油の凝集性評価の結果を表4にまとめた。
【0094】
【0095】
鉱油1~7を添加した実施例1-1~1-7においては、振とう直後の混合物も、振とうしてから1週間後の混合物も微粉と鉱油とが凝集した。
IPソルベントを添加した参考例1-1も同様の結果であった。
一方、蒸留水を添加した比較例1-2においては、振とう直後の混合物は、微粉と蒸留水とが馴染まず、振とうしてから1週間後の混合物は、比較例1-1(BP及び微粉のみ)と同じ状態であった。
【0096】
〔評価2:微粉の存在比率F1及び機械的耐久性試験後の微粉の存在比率F2〕
〔実施例2-1〕
微粉の割合を一定にするために、事前に乾式篩(目開き6mm)を用いて、表1に示す性状のBPから微粉及び細かいペレットを除去した。
表1に示す性状のBP(1.5kg)に対して、0.5wt%(7.5g)の微粉(実際に乾式で篩って採った粒径0.85mmのBP微粉)を添加し、さらに1.0wt%(15g)の鉱油1(表2)を霧吹きで添加して、混合物(BP、微粉及び鉱油1)を30回振とうし、鉱油1をBP及び微粉全体に馴染ませた。振とうしてから3日間、混合物を静置した。振とう後3日経過した混合物(実施例2-1の混合物)を、微粉の存在比率F1の測定、及び機械的耐久性試験後の微粉の存在比率F2の測定で用いた。
【0097】
〔実施例2-2~2-5〕
実施例2-1で用いた鉱油1に代えて、表2に示す鉱油2~5をそれぞれ用いた以外、実施例2-1と同様の方法で、振とう後3日経過した混合物(実施例2-2~2-5の混合物)をそれぞれ作製した。
【0098】
〔比較例2-1〕
実施例2-1に対し、鉱油1を添加しなかった以外、実施例2-1と同様の方法で、振とう後3日経過した混合物(比較例2-1の混合物(BP及び微粉))を作製した。
【0099】
〔比較例2-2〕
実施例2-1で用いた鉱油1に代えて、蒸留水を用いた以外、実施例2-1と同様の方法で、振とう後3日経過した混合物(比較例2-2の混合物)を作製した。
【0100】
〔参考例2-1〕
実施例2-1で用いた鉱油1に代えて、表3に示すIPソルベントを用いた以外、実施例2-1と同様の方法で、振とう後3日経過した混合物(参考例2-1の混合物)を作製した。
【0101】
ここで、微粉の存在比率F
1(%)の測定で用いた多段式ふるい1について説明する。
図11は、多段式ふるい1を説明するための模式図である。多段式ふるい1は、受け皿10の側から、目開き0.15mmの篩11、目開き0.50mmの篩12、目開き0.85mmの篩13、及び目開き3.15mmの篩14をこの順に備えている。各篩は、円孔径の金属製の板ふるいである。
通常、微粉の存在比率F
1を測定するためには、目開き3.15mmの篩14のみを用いて重量割合を求めるが、本実施例では、実際に飛散する微粉の粒径を考慮し、粒径3.15mmよりもさらに細かい範囲の粒径に微粉を分けた。
【0102】
(微粉の存在比率F
1(%))
実施例2-1の混合物の全量を
図11に示す多段式ふるい1にかけた。
図11中、受け皿10、及び篩11,12,13にそれぞれ残った微粉の質量を小数点第2位まで測定し、下記数式(数1)を用いて、下記(1)~(4)の粒径ごとに微粉の存在比率F
1(%)をそれぞれ求めた。
(1)粒径0.85mm超え3.15mm以下
(2)粒径0.50mm超え0.85mm以下
(3)粒径0.15mm超え0.50mm以下
(4)粒径0.15mm以下
【0103】
微粉の存在比率F1(%)とは、粒径3.15mm以下の重量を100重量%としたときの、粒径ごとの重量比率(重量%)のことである。後述する機械的耐久性試験後の微粉の存在比率F2(%)も同様である。
F1=(m1/m0)×100 …(数1) 上記数式(数1)中のm0は、篩にかけた後、粒径3.15mm以下の微粉(受け皿10、及び篩11,12,13に残った微粉)の全質量(g)である。
(1)粒径0.85mm超え3.15mm以下の微粉の存在比率(%)を算出する場合、上記数式(数1)中のm1は、篩にかけた後、篩13に残った微粉の質量(g)である。
(2)粒径0.50mm超え0.85mm以下の微粉の存在比率(%)を算出する場合、上記数式(数1)中のm1は、篩にかけた後、篩12に残った微粉の質量(g)である。
(3)粒径0.15mm超え0.50mm以下の微粉の存在比率(%)を算出する場合、上記数式(数1)中のm1は、篩にかけた後、篩11に残った微粉の質量(g)である。
(4)粒径0.15mm以下の微粉の存在比率(%)を算出する場合、上記数式(数1)中のm1は、篩にかけた後、受け皿10に残った微粉の質量(g)である。
【0104】
評価2において作製した他の例の混合物についても、実施例2-1と同様の方法で微粉の存在比率F
1(%)をそれぞれ求めた。
図12に、BP微粉の粒径と、微粉の存在比率との関係を示す。
図12中、0.85-3.15mmの表記は、上記(1)の粒径範囲を意味し、0.5-0.85mmの表記は、上記(2)の粒径範囲を意味し、0.15-0.50mmの表記は、上記(3)の粒径範囲を意味する。後述の
図13の表記も同様である。
【0105】
図12に示す通り、BPに鉱油を添加した実施例2-1~2-5は、鉱油を添加しなかった比較例2-1、及び鉱油に代えて蒸留水を添加した比較例2-2に比べて、粒径0.15mm以下の微粉の存在比率F
1(%)が顕著に小さくなった。BP微粉が鉱油によって凝集していると考えられる。
【0106】
(機械的耐久性試験後の微粉の存在比率F2(%))
実施例2-1の混合物を用いて、機械的耐久性試験を行った。
機械的耐久試験機について説明する。
・回転箱の表面は平滑なスチール製であり、隙間のない構造である。
・回転箱の寸法は、縦300mm×横300mm×幅125mmである。
・回転箱の内部には緩衝翼(230mm×50mm)が対角線方向に取り付けられている。
・試料の投入扉が回転箱の側面に一箇所設けられている。
・回転箱を50rpmの速度で回転するため、300mm×300mmの壁の中心位置には、回転軸が壁に直角に取り付けられている。
・耐久性試験機はツイン方式であり、一度に2つの試料の測定ができるようになっている。
【0107】
(機械的耐久性の試験)
実施例2-1の混合物(以下、試料Aとも称する)を、円孔径(目開き3.15mm)の板ふるいで十分にふるって使用した。微粉を十分に除去した試料A(500g)を採り、その質量を小数点第2位まで測定した。試料Aを機械的耐久試験機の回転箱内に移し、ふたを閉めて50rpmの回転速度で正確に500回転させた。回転終了後、回転箱から試料Aを取り出し、試料A全量を
図11に示す多段式ふるい1にかけた。
図11中、受け皿10、及び篩11,12,13にそれぞれ残った微粉の質量を小数点第2位まで測定し、下記数式(数2)を用いて、微粉の存在比率F
1(%)と同様の方法で、上記(1)~(4)の粒径ごとに、機械的耐久性試験後の微粉の存在比率F
2(%)をそれぞれ求めた。
F
2=(n
1/n
0)×100…(数2)
n
0:回転処理後かつ篩にかけた後、粒径3.15mm以下の微粉(受け皿10、及び篩11,12,13に残った微粉)の全質量(g)
n
1:回転処理後かつ篩にかけた後、受け皿10、及び篩11,12,13にそれぞれ残った微粉の質量(g)
具体的には、上記数式(数2)中のn
1は、上記数式(数1)中のm
1の要件である「篩にかけた後」を「回転処理後かつ篩にかけた後」に置き換えた要件と同様である。
【0108】
評価2において作製した他の例の混合物についても、実施例2-1と同様の方法で、機械的耐久性試験後の微粉の存在比率F
2(%)をそれぞれ求めた。
図13に、BP微粉の粒径と、機械的耐久性試験後の微粉の存在比率との関係を示す。
図13に示す通り、BPに鉱油を添加した実施例2-1~2-5は、鉱油を添加しなかった比較例2-1、及び鉱油に代えて蒸留水を添加した比較例2-2に比べて、機械的耐久性の試験を行った後においても、粒径0.15mm以下の微粉の存在比率F
2(%)が顕著に小さくなった。BP微粉が鉱油によって凝集していると考えられる。
【0109】
〔評価3:粉塵飛散性〕
〔実施例3-1〕
表1に示す性状のBP(20kg)に対して、1.0wt%の鉱油1(表2)を添加して、混合物(BP及び鉱油1)を振とうし、鉱油1をBP全体に馴染ませた。振とうしてから1日間、混合物を静置した。振とうしてから3日間、混合物を静置した。振とう後、1日経過した混合物(実施例3-1の混合物)を落下試験で用いた。
【0110】
〔実施例3-2〕
実施例3-1で用いた鉱油1に代えて、表2に示す鉱油4を用いた以外、実施例3-1と同様の方法で、振とう後、1日経過した混合物(実施例3-2の混合物)を作製した。
【0111】
〔比較例3-1〕
表1に示す性状のBPを落下試験で用いた。
【0112】
〔参考例3-1〕
実施例3-1で用いた鉱油1に代えて、表3に示すIPソルベントを用いた以外、実施例3-1と同様の方法で、振とう後、1日経過した混合物(参考例3-1の混合物)を作製した。参考例3-1の混合物の全水分は、6.9wt%であった。参考例3-1の混合物の全水分は、ISO 18134-3に準拠して測定した。
【0113】
(落下試験)
高さ190cm×幅90cm×奥行き62cmの自作した小型粉塵試験機を用いて、以下の方法で落下試験を行い、粉塵飛散性を評価した。
粉塵試験機の上部に、テーパー部を有する円筒部材(ホッパーとも称する)を設置した。テーパー部先端の内径(穴径)は12cmであり、円筒部の内径は45cmである。テーパー部先端と粉塵試験機の底面との距離は160cmとした。また、粉塵試験機の底面から50cmの位置にハイボリウムエアサンプラーを設置した。ハイボリウムエアサンプラーの詳細は後述の通りである。
テーパー部先端を抜き差し可能な板(スチール製)で塞ぎ、円筒部材の上部に設けられた試料投入口から、実施例3-1の混合物(以下、試料Bとも称する)(20kg)を導入した。その後、塞いだ板を抜いて、前記円筒部材のテーパー部先端から粉塵試験機内へ試料Bを10秒間自然落下させ、これと同時に、ハイボリウムエアサンプラーのスイッチを入れ、飛散した粒子の採取と粉じん量(g)とを、ハイボリウムエアサンプラーを用いて、以下の条件で測定した。
【0114】
(条件)
・ハイボリウムエアサンプラー:柴田科学株式会社製、HV-500R型
・吸引ポンプ:ブラシレスブロワー
・流量検出:差圧検出方式
・吸引圧力:-160hPa(500L/min)
【0115】
評価3において作製した他の例の混合物についても、実施例3-1と同様の方法で落下試験を行った。
図14に、落下試験で飛散した粉じん量(g)を示す。
図14に示す通り、BPに鉱油を添加した実施例3-1~3-2は、鉱油を添加しなかった比較例3-1に比べて、飛散した粉じん量が顕著に少なくなった。BP微粉が鉱油によって凝集していると考えられる。
【0116】
〔評価4:鉱油の蒸気圧〕
図15に、水及び鉱油3の蒸気圧曲線を示す。
図16に、鉱油1及び鉱油2の蒸気圧曲線を示す。
図15及び
図16に示す通り、鉱油1~3は、水に比べて蒸気圧が顕著に低く、揮発しにくい性質を有することがわかる。つまり、バイオマス燃料に対して鉱油を一度添加すれば、鉱油は揮発しにくいため、その後の鉱油添加が不要となり、長期間の粉塵抑制効果を持続させることができる。
評価1~3で検証された「鉱油によるBP微粉の凝集効果」は、このような鉱油の揮発しにくい性質にも依拠すると考えられる。
本発明のバイオマス固形燃料は、粉塵飛散が抑制されるので、安全性が高められたバイオマス固形燃料である。これにより、発電所、製鉄所、及び工場等において、バイオマス固形燃料の利用を拡大することができる。