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特開2024-124093画像形成装置、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124093
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】画像形成装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
H04N1/00 912
H04N1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032025
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】吉村 彰人
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AA14
5C062AA35
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB41
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC09
5C062AC22
5C062AC38
5C062AC64
5C062AC67
5C062AE03
5C062AE15
5C062AF10
5C062AF11
5C062AF14
(57)【要約】
【課題】ジョブを実行する際に、自動的にジョブに関する設定である出力条件設定を決定すること。
【解決手段】書類をスキャンした画像データを取得する取得部と、前記画像データに基づいて、ジョブを実行する際の出力条件設定を決定する決定部と、前記出力条件設定に基づいて、前記ジョブを実行する実行部と、を有することを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
書類をスキャンした画像データを取得する取得部と、
前記画像データに基づいて、ジョブを実行する際の出力条件設定を決定する決定部と、
前記出力条件設定に基づいて、前記ジョブを実行する実行部と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記実行部が前記ジョブを実行する前に、
前記出力条件設定に関する情報を画面に表示させる表示制御部と、
前記出力条件設定を用いて前記ジョブの実行することを指示する操作を受け付ける操作受付部と、
を更に有する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記書類が保存用であると解析した場合、前記出力条件設定における色に関する設定をカラーに設定する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記画像データにおける文字領域の割合に基づいて、前記出力条件設定を決定する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記出力条件設定を用いて前記書類をスキャンした画像データとともに、自装置、前記ジョブの実行者、及び前記出力条件設定に関する情報を含む付加情報を記憶部に記憶させる記憶制御部と、
を更に有する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記付加情報、又は前記付加情報を表示するための画面情報を別の装置に送信する通信部と、
を更に有する、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
書類をスキャンした画像データを取得するステップと、
前記画像データに基づいて、ジョブを実行する際の出力条件設定を決定するステップと、
前記出力条件設定に基づいて、前記ジョブを実行するステップと、
を有する画像形成装置が実行する情報処理方法。
【請求項8】
書類をスキャンした画像データを取得するステップ、
前記画像データに基づいて、ジョブを実行する際の出力条件設定を決定するステップ、
前記出力条件設定に基づいて、前記ジョブを実行するステップ、
を画像形成装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、コピーやスキャンなどのジョブを実行する際に、カラー又は白黒、両面印刷、及び原稿サイズ等に関する設定を行う必要がある。特許文献1には、ユーザによる設定に関する作業を容易にするために、過去に使用した設定の履歴に基づいて、ユーザに推奨する設定に関する表示を行う技術が公開されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の技術では、ジョブを実行する際に、ユーザによる設定に関する操作を受け付けることなく、ジョブを実行する対象の書類に適切な出力条件設定を決定することができなかった。従って、ユーザが、例えば、解像度などの詳細な設定に関して、出力条件設定が適切であるか否かを判断することができない問題が生じることがあった。
【0004】
本発明の実施形態は、上記課題に鑑み、ジョブを実行する対象の書類に適切な出力条件設定を決定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、書類をスキャンした画像データを取得する取得部と、前記画像データに基づいて、ジョブを実行する際の出力条件設定を決定する決定部と、前記出力条件設定に基づいて、前記ジョブを実行する実行部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、ジョブを実行する対象の書類に適切な出力条件設定を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略図の一例を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置における機能ブロックの構成図の一例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係るジョブ実行処理に関するフローチャートの一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る出力条件設定の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る付加情報の一例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る出力条件設定の決定処理に関するフローチャートの一例を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る出力条件設定の表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る画像形成装置、情報処理方法、及びプログラムの実施形態を詳細に説明する。
【0009】
[第1の実施形態]
<システム概要>
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略図の一例を示す図である。ユーザは、図1に示す画像形成装置9を操作することにより、スキャン機能で読み込んだ書類などの画像データの印刷(コピージョブ)、又はスキャンした画像データを保存(スキャンジョブ)などのジョブを実行する。ここで、画像形成装置9は、印刷やスキャン等のジョブを実行する際に、書類をスキャンした画像データの特徴に応じて、自動的にジョブの設定(出力条件設定)を決定した後、ジョブを実行することが可能である。即ち、画像形成装置9は、ジョブを実行する対象の書類に適切な出力条件設定を決定することが可能である。従って、ユーザは、ジョブを実行する際に、カラー又は白黒、両面印刷、及び書類サイズ等のジョブの設定(出力条件設定)に関する操作を行う必要がない。
【0010】
また、本発明の実施形態に係る画像形成装置9は、ジョブを実行した画像形成装置9(自装置)、ジョブの実行者、及び画像データに関する情報等を付加情報として、画像データとともに保存することが可能である。これにより、ユーザは、ジョブの実行後、保存された画像データを利用する際に、ジョブの実行時の情報である付加情報を参照して活用することができる。
【0011】
なお、図1に示した概略図は一例であり、画像形成装置9は、LAN等の通信ネットワークに接続されていてもよい。また、画像形成装置9は、付加情報を含む画像データを外部の記憶装置に記憶(保存)してもよい。また、ユーザは、ノートパソコン等を操作することにより、画像形成装置9に保存された付加情報を含む画像データを参照する、又はノートパソコンにダウンロードすることが可能であってもよい。また、スキャンを行う対象の書類を原稿又は文書などとよんでもよく、書類サイズを原稿サイズとよんでもよい。また、画像形成装置9におけるカラー又は白黒、両面印刷、及び書類サイズ等のジョブの設定をジョブ設定、出力条件設定、及び設定情報などとよんでもよい。また、付加情報をプロパティ及びプロパティ情報などとよんでもよい。また、カラーをフルカラーとよんでもよい。また、記憶装置などに記憶することを保存するとよんでもよい。
【0012】
<ハードウェア構成例(画像形成装置)>
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示されているように、画像形成装置9(あるいは、MFP、Multifunction Peripheral/Product/Printerと呼ばれる)は、コントローラ910、近距離通信回路920、エンジン制御部930、操作パネル940、ネットワークI/F950を備えている。
【0013】
これらのうち、コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901、システムメモリ(MEM-P)902、ノースブリッジ(NB)903、サウスブリッジ(SB)904、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906、ローカルメモリ(MEM-C)907、HDDコントローラ908、及び、HD909を有し、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。
【0014】
これらのうち、CPU901は、画像形成装置9の全体を制御する。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、及びAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0015】
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM902a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM902bとからなる。なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0016】
SB904は、NB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDDコントローラ908およびMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC906は、PCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部931及びプリンタ部932との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。なお、ASIC906には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを接続するようにしてもよい。
【0017】
近距離通信回路920は、ICカードなどに記憶された利用者の認証情報などを読込むためのカードリーダ920aを有する。
【0018】
操作パネル940は、利用者による入力を受け付けるタッチパネル940aとテンキー940bを有する。また、タッチパネル940aは、画像形成装置9が実行するアプリケーション画面などを表示する。
【0019】
<機能について>
図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置における機能ブロックの構成図の一例を示す図である。画像形成装置9は、通信部10、操作受付部11、表示制御部12、取得部13、決定部14、実行部15、及び記憶制御部16を有する。これら各部は、画像形成装置9にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令をCPU901が実行することで実現される機能又は手段である。記憶部17は、例えば、画像形成装置9が有するHD909などの記憶装置によって実現可能である。
【0020】
通信部10は、画像形成装置9が有する通信機能であり、ユーザが操作する端末装置などと情報の送受信を行う。通信部10は、例えば、決定部14が決定した出力条件設定を用いて実行されたスキャンジョブにより保存された画像データとジョブの実行に関する付加情報を、ユーザが操作する端末装置に送信する。
【0021】
操作受付部11は、画像形成装置9のタッチパネル940aやテンキー940bなどを介して、ユーザによる文字入力やボタンの押下などの操作を受け付ける。例えば、操作受付部11は、ユーザによるスキャン又はコピーなどのジョブの実行を行うための操作を受け付ける。また、操作受付部11は、ユーザによる、決定部14が決定した出力条件設定でジョブの実行を指示する操作、又は出力条件設定の修正を指示する操作を受け付ける。
【0022】
表示制御部12は、例えば、ジョブの実行に関する付加情報、又は決定部14が決定した出力条件設定に関する情報を画像形成装置9のタッチパネル940aなどの画面に表示する。
【0023】
取得部13は、画像形成装置9にセットされている書類(原稿、文書)に対してスキャンを実行して、画像データを取得する。
【0024】
決定部14は、取得部13が取得した画像データの特徴に基づいて、ジョブの実行において用いる出力条件設定を決定する。
【0025】
実行部15は、決定部14が決定した出力条件設定に基づいて、ジョブ(スキャン又はコピーなど)を実行する。
【0026】
記憶制御部16は、画像形成装置9の管理者又は一般のユーザ(利用者)が、予め設定(定義)した出力条件設定を記憶部17に記憶させる。また、画像形成装置9は、ジョブの実行においてスキャンされた画像データとともに、ジョブの実行に関する付加情報を記憶部17に記憶させる。
【0027】
記憶部17は、記憶制御部16の指示に応じて、出力条件設定、画像データ、及び付加情報などを画像形成装置9が有するHD909などの記憶装置に記憶する。
【0028】
<ジョブ実行処理>
図4は、本発明の実施形態に係るジョブ実行処理に関するフローチャートの一例を示す図である。以下、図4の各ステップの処理について説明する。
【0029】
ステップS30:画像形成装置9の操作受付部11は、ユーザによるスキャン又はコピーなどのジョブの実行を行うための操作を受け付ける。
【0030】
ステップS31:画像形成装置9の取得部13は、画像形成装置9にセットされている書類に対してスキャンを実行して、画像データを取得する。ここで実行されるスキャンは、ジョブ実行とは別に、事前に実行されるものであり、スキャンにおける出力条件設定は、取得される画像データに基づいて、書類の特徴が解析できる設定である必要がある。即ち、書類がカラーであるか白黒であるか判別するために、色に関する設定はカラーである必要があり、解像度についても、書類の特徴を解析できる程度に高い必要がある。
【0031】
ステップS32:画像形成装置9の決定部14は、ステップS31で取得部13が取得した画像データの特徴に基づいて、ジョブの実行において用いる出力条件設定を決定する。図5は、本発明の実施形態に係る出力条件設定の一例を示す図である。出力条件設定40は、伝票用(白黒・文字モード)の出力条件設定であり、出力条件設定41は、証明書用(カラー・写真モード)の出力条件設定である。出力条件設定40及び出力条件設定41は、カラー設定、画質設定、書類サイズ、印刷面、倍率、濃度、解像度、圧縮率、画像形式、実施者、及び機器情報の項目を有する。
【0032】
カラー設定は、スキャン及びコピーにおける色に関する設定であり、例えば、カラー又は白黒が設定される。
【0033】
画質設定は、書類の特徴(即ち、書類をスキャンして取得された画像データの特徴)に応じて、例えば、文字モード、写真モード、及び文字写真モードが設定される。
【0034】
書類サイズは、スキャン及びコピーにおける書類のサイズであり、例えば、A3、A4、A5、B3、B4、及びB5などが設定される。
【0035】
印刷面は、書類のスキャン及びコピーにおいて、書類の両面に対して行うか、書類の片面に対して行うかに関する設定である。
【0036】
倍率は、スキャン及びコピーのジョブが実行される場合において、書類のサイズを拡大又は縮小して実行する際の倍率が設定される。拡大又は縮小をしない場合は、等倍が設定される。
【0037】
濃度は、スキャン及びコピーのジョブが実行される場合における濃度に関する設定であり、例えば、濃度が最も薄い値(-5)から最も濃い値(+5)までの整数値が設定される。
【0038】
解像度は、スキャン及びコピーのジョブが実行される場合における解像度に関する設定であり、例えば、300dpiなど様に、dpi(dot per inch)単位、即ち、1インチ幅あたりのドット数により設定される。
【0039】
圧縮率は、スキャンにより取得された画像データに対してデータの圧縮を行う場合の圧縮率であり、例えば、2倍などのように設定される。圧縮しない場合は、1倍又は未圧縮の様に設定される。
【0040】
画像形式は、スキャンにより取得された画像データの形式(フォーマット)であり、例えば、JPEG、BMP等が設定される。
【0041】
実行者は、ジョブを実行した実行者に関する情報を、スキャンにより取得された画像データとともに保存するか否かを設定する。項目名は、実行者でなく、実施者、又はユーザ名などであってもよい。また、設定する内容については、保存する/しない、以外にも、登録する/しない等であってもよい。
【0042】
機器情報は、ジョブが実行された画像形成装置9を特定するための情報を、スキャンにより取得された画像データとともに保存するか否かを設定する。項目名は、機器情報でなく、機器番号、マシンNo.などであってもよい。また、設定する内容については、保存する/しない、以外にも、登録する/しない等であってもよい。
【0043】
画像形成装置9の管理者又は一般のユーザ(利用者)は、これらの項目における設定値の特定の組み合わせを、伝票用(白黒・文字モード)の出力条件設定40、或いは証明書用(カラー・写真モード)の出力条件設定41など様に予め設定(定義)する。即ち、画像形成装置9の記憶制御部16は、事前に複数の出力条件設定を記憶部19に記憶させる。そして、図4のステップS32において、画像形成装置9の決定部14は、取得部13が取得した画像データの特徴に基づいて、記憶部17に記憶されている予め定められた複数の出力条件設定の中から、ジョブの実行において用いる出力条件設定を決定する。決定部14が、出力条件設定を決定する方法の詳細については後述する。
【0044】
ステップS33:画像形成装置9の実行部15は、ステップS32で決定部14が決定した出力条件設定に基づいて、ジョブ(スキャン又はコピーなど)を実行する。
【0045】
ステップS34:ステップS33で実行部15が実行するジョブが、書類をスキャンするジョブの場合、画像形成装置9の記憶制御部16は、ジョブの実行においてスキャンされた画像データとともに、ジョブの実行に関する付加情報を記憶部17に記憶させる。更に、画像形成装置9の表示制御部12は、付加情報に関する情報を画像形成装置9のタッチパネル940aなどの画面に表示してもよい。図6は、本発明の実施形態に係る付加情報の一例を示す図である。図6に示す付加情報42は、画像データ識別子、大きさ、幅、高さ、水平方向の解像度、垂直方向の解像度、ビットの深さ、圧縮、機器情報、実行者、画質設定、及び印刷などの項目と項目ごとに設定される値を有する。これらの項目は、付加情報42とともに記憶される画像データに関する、以下に示す情報である。
【0046】
画像データ識別子は、付加情報42とともに記憶される画像データを特定する識別子であり、例えば、画像データのファイル名であってもよい。
【0047】
大きさは、画像データの大きさであり、例えば、幅と高さのそれぞれの画素数を用いて、7000x9900の様に設定される。
【0048】
幅は、画像データの幅であり、例えば、水平方向の画素数で設定される。
【0049】
高さは、画像データの高さであり、例えば、垂直方向の画素数で設定される。
【0050】
水平方向の解像度は、画像データの水平方向の解像度であり、例えば、72dpiなど様に、dpi(dot per inch)単位、即ち、1インチ幅あたりのドット数により設定される。
【0051】
垂直方向の解像度は、画像データの垂直方向の解像度であり、例えば、72dpiなど様に、dpi(dot per inch)単位、即ち、1インチ幅あたりのドット数により設定される。
【0052】
ビットの深さは、画像データの1画素の情報を示すためのビット数であり、例えば、32などの値が設定される。
【0053】
圧縮率は、画像データにおけるデータの圧縮率であり、例えば、2倍などのように設定される。圧縮しない場合は、1倍又は未圧縮の様に設定される。
【0054】
機器情報は、画像データを取得するジョブであるスキャンを実行した画像形成装置9(自装置)を特定するための情報である機器の番号などである。項目名は、機器情報でなく、機器番号、マシンNo.などであってもよい。設定される値は、例えば、画像形成装置9を特定するための番号や識別子などである。
【0055】
実行者は、画像データを取得するジョブであるスキャンの実行を操作した実行者に関する情報である。項目名は、実行者でなく、実施者、又はユーザ名などであってもよい。設定される値は、例えば、実行者のユーザ識別子(ユーザID)等である。
【0056】
画質設定は、画像データの特徴を示す情報であり、例えば、文字モード、写真モード、及び文字写真モードが値として設定される。
【0057】
印刷面は、スキャンにより画像データが取得された際に、書類の両面に対してスキャンが行なわれたか、書類の片面に対してスキャンが行なわれたかに関する情報であり、両面又は片面が値として設定される。
【0058】
以上が、図4のジョブ実行処理に関するフローチャートの説明である。
【0059】
<出力設定の決定処理>
図4のステップS32において、画像形成装置9の決定部14が、書類をスキャンして取得された画像データの特徴に基づいて、出力条件設定を決定する方法について説明する。図7は、本発明の実施形態に係る出力条件設定の決定処理に関するフローチャートの一例を示す図である。以下、図7の各ステップの処理について説明する。
【0060】
ステップS50:画像形成装置9の決定部14は、図4のステップS31で画像形成装置9の取得部13が取得した画像データを解析して、画像データに「領収書」の文字が含まれるか否かを決定する。例えば、決定部14は、画像データに対して、OCR(Optical Character Recognition)を行うことで、「領収書」の文字が含まれるか否かを解析する。決定部14は、画像データに「領収書」の文字が含まれるならば、処理をステップS51に遷移させ、そうでないならば、処理をステップS52に遷移させる。なお、以降の本フローチャートの処理においても、画像データは、図4のステップS31で画像形成装置9の取得部13が取得した画像データであるとする。
【0061】
ステップS51:画像形成装置9の決定部14は、出力条件設定を文書管理用(カラー・文字モード)に決定する。電子帳簿保存法では、白黒の書類であってもカラーで保存することが定められていることから、「領収書」の文字が含まれる書類は、必ずカラーの設定としている。ここで、「領収書」の文字は一例であり、他の文字列を含む場合であってもよい。このように、決定部14は、保存する書類に対しては、出力条件設定における色に関する設定をカラーに設定する。
【0062】
ステップS52:画像形成装置9の決定部14は、画像データの色が白黒であるか否かを解析して、白黒であれば、処理をステップS53に遷移させ、そうでないならば、処理をステップS58に遷移させる。
【0063】
ステップS53:画像形成装置9の決定部14は、画像データにおいて、文字の領域(文字領域とよぶ)の割合が7割以上であるか否かを解析して、7割以上であれば、処理をステップS54に遷移させ、そうでないならば、処理をステップS55に遷移させる。例えば、決定部14は、画像データに対して、OCRを行なった結果に基づいて、文字領域の割合が7割以上であるか否かを解析する。
【0064】
ステップS54:画像形成装置9の決定部14は、出力条件設定を伝票用(白黒・文字モード)に決定する。
【0065】
ステップS55:画像形成装置9の決定部14は、画像データにおいて、文字領域の割合が3割以上であるか否かを解析して、3割以上であれば、処理をステップS56に遷移させ、そうでないならば、処理をステップS57に遷移させる。例えば、決定部14は、画像データに対して、OCRを行なった結果に基づいて、文字領域の割合が3割以上であるか否かを解析する。
【0066】
ステップS56:画像形成装置9の決定部14は、出力条件設定を証明書用(白黒・文字写真モード)に決定する。
【0067】
ステップS57:画像形成装置9の決定部14は、出力条件設定を図表・写真用(白黒・写真モード)に決定する。
【0068】
ステップS58:画像形成装置9の決定部14は、画像データにおいて、文字領域の割合が7割以上であるか否かを解析して、7割以上であれば、処理をステップS59に遷移させ、そうでないならば、処理をステップS560に遷移させる。例えば、決定部14は、画像データに対して、OCRを行なった結果に基づいて、文字領域の割合が7割以上であるか否かを決定する。
【0069】
ステップS59:画像形成装置9の決定部14は、出力条件設定を文書管理用(カラー・文字モード)に決定する。
【0070】
ステップS60:画像形成装置9の決定部14は、画像データにおいて、文字領域の割合が3割以上であるか否かを解析して、3割以上であれば、処理をステップS61に遷移させ、そうでないならば、処理をステップS62に遷移させる。例えば、決定部14は、画像データに対して、OCRを行なった結果に基づいて、文字領域の割合が3割以上であるか否かを解析する。
【0071】
ステップS61:画像形成装置9の決定部14は、出力条件設定を証明書用(カラー・文字写真モード)に決定する。
【0072】
ステップS62:画像形成装置9の決定部14は、出力条件設定を図表・写真用(カラー・写真モード)に決定する。
【0073】
以上の処理により、画像形成装置9は、書類の印刷やスキャン等のジョブを実行する際に、書類をスキャンした画像データの特徴に応じて、自動的に出力条件設定を決定した後、ジョブを実行することが可能である。即ち、画像形成装置9は、ジョブを実行する対象の書類に適切な出力条件設定を決定することが可能である。画像形成装置9は、例えば、画像データにおける文字領域の割合に基づいて、出力条件設定を決定することが可能である。従って、ユーザは、ジョブを実行する際に、カラー又は白黒、両面印刷、及び書類サイズ等の出力条件設定に関する操作を行う必要がない。
【0074】
また、画像形成装置9は、保存用の書類に対して、白黒で作成されている書類であってもカラーで保存することが可能である。この理由は、画像形成装置9は、例えば、書類に"領収書"という文字が含まれる場合は、保存用の書類であると解析して、出力条件設定における色の関する設定をカラーにするからである。
【0075】
また、画像形成装置9は、実行したスキャンのジョブに関する情報として、ジョブを実行した画像形成装置9(自装置)、ジョブの実行者、及び画像データに関する情報等を付加情報として、画像データとともに保存することが可能である。これにより、ユーザは、ジョブの実行後、画像データを利用する際に、ジョブの実行時の情報として付加情報を参照して活用することができる。
【0076】
<第1の変形例>
本発明の実施形態に係る第1の変形例について説明する。第1の変形例では、図4のステップS32において、画像形成装置9の決定部14が出力条件設定を決定した後、以下の処理が追加で実行される。
【0077】
画像形成装置9の表示制御部12は、画像形成装置9の決定部14が決定した出力条件設定に関する情報を画像形成装置9のタッチパネル940aなどの画面に表示する。更に、画像形成装置9の操作受付部11は、ユーザによる、決定部14が決定した出力条件設定でジョブの実行を指示する操作、又は出力条件設定の修正を指示する操作を受け付ける。図8は、本発明の実施形態に係る出力条件設定の表示画面の一例を示す図である。図8の表示画面70には、画像形成装置9の決定部14が決定した出力条件設定である、伝票用(白黒・文字モード)に関する情報が表示されている。更に、表示画面70には、伝票用(白黒・文字モード)の出力条件設定でジョブの実行を指示する際にユーザが押下する実行ボタン71と、出力条件設定を修正する指示をする際にユーザが押下する修正ボタン72が表示されている。
【0078】
以上の処理により、画像形成装置9は、書類の印刷やスキャン等のジョブを実行する際に、書類をスキャンした画像データの特徴に応じて、自動的に決定した出力条件設定に関する情報を画像形成装置9の画面に表示させることが可能である。更に、画像形成装置9は、決定した出力条件設定でジョブを実行するか、又は出力条件設定を修正するかを、ユーザに選択させることが可能である。
【0079】
<第2の変形例>
本発明の実施形態に係る第2の変形例について説明する。第2の変形例では、図4のステップS34において、画像形成装置9の記憶制御部16が、画像データとともにジョブの実行に関する付加情報を記憶部17に記憶させた後、以下の処理が追加で実行される。
【0080】
画像形成装置9の通信部10は、画像データとともにジョブの実行に関する付加情報をユーザが操作する端末装置に送信する。或いは、通信部10は、付加情報を画面に表示するための画面情報をユーザが操作する端末装置に送信する。ここで、通信部10は、ユーザが操作する端末装置から受信した要求に応じて、画像データ、付加情報、及び画面情報をユーザが操作する端末装置に送信してもよい。
【0081】
以上の処理により、画像形成装置9は、書類の特徴に応じて決定した出力条件設定を用いてスキャンした画像データと、スキャンのジョブ実行に関する付加情報を、ユーザが操作する端末装置に送信することが可能である。これにより、ユーザは、自身が操作する端末装置において、画像データと付加情報の内容を確認することが可能である。
【0082】
以上、本発明を実施するための幾つかの形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0083】
例えば、図3の機能ブロックの構成図の一例は、画像形成装置9による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。画像形成装置9における処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0084】
また、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0085】
また、記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、画像形成装置9は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0086】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1>書類をスキャンした画像データを取得する取得部と、前記画像データに基づいて、ジョブを実行する際の出力条件設定を決定する決定部と、前記出力条件設定に基づいて、前記ジョブを実行する実行部と、を有する画像形成装置である。
<2>前記実行部が前記ジョブを実行する前に、前記出力条件設定に関する情報を画面に表示させる表示制御部と、前記出力条件設定を用いて前記ジョブの実行することを指示する操作を受け付ける操作受付部と、を更に有する、前記<1>に記載の画像形成装置である。
<3>前記決定部は、前記書類が保存用であると解析した場合、前記出力条件設定における色に関する設定をカラーに設定する、前記<1>又は前記<2>に記載の画像形成装置である。
<4>前記決定部は、前記画像データにおける文字領域の割合に基づいて、前記出力条件設定を決定する、前記<1>乃至前記<3>のいずれか一項に記載の画像形成装置である。
<5>前記出力条件設定を用いて前記書類をスキャンした画像データとともに、自装置、前記ジョブの実行者、及び前記出力条件設定に関する情報を含む付加情報を記憶部に記憶させる記憶制御部と、を更に有する、前記<1>乃至前記<4>のいずれか一項に記載の画像形成装置である。
<6>前記付加情報、又は前記付加情報を表示するための画面情報を別の装置に送信する通信部と、を更に有する、前記<5>に記載の画像形成装置。
【符号の説明】
【0087】
9 画像形成装置
10 通信部
11 操作受付部
12 表示制御部
13 取得部
14 決定部
15 実行部
16 記憶制御部
17 記憶部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0088】
【特許文献1】特開2007-179508号
図1
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図6
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図8