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特開2024-124321制御回路、DC-DCコンバータおよびエナジーハーベスティングシステム
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  • 特開-制御回路、DC-DCコンバータおよびエナジーハーベスティングシステム 図1
  • 特開-制御回路、DC-DCコンバータおよびエナジーハーベスティングシステム 図2
  • 特開-制御回路、DC-DCコンバータおよびエナジーハーベスティングシステム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124321
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】制御回路、DC-DCコンバータおよびエナジーハーベスティングシステム
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
H02M3/155 H
H02M3/155 B
H02M3/155 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023192001
(22)【出願日】2023-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2023032158
(32)【優先日】2023-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 哲平
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS04
5H730AS17
5H730BB14
5H730BB57
5H730DD04
5H730FD11
5H730FD61
5H730FG00
5H730FG01
5H730XC01
(57)【要約】
【課題】入力源の出力電圧を昇圧する際に、MPPT動作の高速化と低電圧起動の両方を実現できることが好ましい。
【解決手段】入力源の出力電圧を昇圧して出力するDC-DCコンバータを制御する制御回路であって、DC-DCコンバータは昇圧用コイルとコンデンサを有し、制御回路は、出力電圧が入力される入力端子と、入力端子と昇圧用コイルおよびコンデンサとの間に配置された第1トランジスタと、出力電圧を昇圧して、第1トランジスタの制御端子に印加するスイッチ起動部とを備える制御回路を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力源の出力電圧を昇圧して出力するDC-DCコンバータを制御する制御回路であって、
前記DC-DCコンバータは、
昇圧用コイルと、
コンデンサと
を有し、
前記制御回路は、
前記出力電圧が入力される入力端子と、
前記入力端子と前記昇圧用コイルおよび前記コンデンサとの間に配置された第1トランジスタと、
前記出力電圧を昇圧して、前記第1トランジスタの制御端子に印加するスイッチ起動部と
を備える制御回路。
【請求項2】
前記第1トランジスタの前記制御端子に印加する電圧を選択する高電圧セレクタ回路を更に備え、
前記高電圧セレクタ回路は、前記スイッチ起動部によって昇圧されたスイッチ起動用電圧と前記DC-DCコンバータの昇圧動作によって昇圧された昇圧電圧のいずれか高い方を選択する
請求項1に記載の制御回路。
【請求項3】
前記スイッチ起動部は、前記昇圧電圧が予め定められた電圧まで上昇すると、オフ状態となる
請求項2に記載の制御回路。
【請求項4】
前記昇圧電圧を前記高電圧セレクタ回路に出力するMPPT制御回路を更に備える
請求項3に記載の制御回路。
【請求項5】
前記第1トランジスタはNチャネルMOSFETであり、
前記制御回路は、前記第1トランジスタと並列に配置されたPチャネルMOSFETである第2トランジスタを有し、
前記第2トランジスタのソース端子には、前記出力電圧が印加され、
前記MPPT制御回路は、前記高電圧セレクタ回路に前記昇圧電圧を出力している期間は、前記第2トランジスタの制御端子に前記昇圧電圧よりも低い基準電圧を印加する
請求項4に記載の制御回路。
【請求項6】
前記MPPT制御回路は、前記入力源の開放電圧または出力インピーダンスを測定し、
前記MPPT制御回路における測定結果に基づいて前記DC-DCコンバータの動作を制御するDC-DC制御部を更に備える
請求項4または5に記載の制御回路。
【請求項7】
前記MPPT制御回路は、前記入力源の開放電圧または出力インピーダンスを測定し、
前記MPPT制御回路における測定結果に基づいて前記DC-DCコンバータの動作を制御するDC-DC制御部を更に備え、
前記MPPT制御回路は、
前記入力源の開放電圧または出力インピーダンスを測定している間、前記第1トランジスタをオフ状態に制御し、前記DC-DCコンバータが昇圧動作を行っている間、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタの少なくともどちらか一方をオン状態に制御する
請求項5に記載の制御回路。
【請求項8】
前記第1トランジスタは、
前記昇圧用コイルの一端と前記コンデンサの一端の間のノードと、前記制御回路の前記入力端子と前記スイッチ起動部の入力端子との間のノードと、の間に接続される
請求項1に記載の制御回路。
【請求項9】
請求項1から5または8のいずれか一項に記載の制御回路を備える
DC-DCコンバータ。
【請求項10】
請求項9に記載のDC-DCコンバータと、
前記DC-DCコンバータに前記出力電圧を出力する前記入力源を備える
エナジーハーベスティングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御回路、DC-DCコンバータおよびエナジーハーベスティングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RF-DC変換回路とDC-DCコンバータとの間に直列的に配置された第1のスイッチを有するMPPT制御回路が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特許第6152919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
入力源の出力電圧を昇圧する際に、MPPT動作の高速化と低電圧起動の両方を実現できることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、入力源の出力電圧を昇圧して出力するDC-DCコンバータを制御する制御回路を提供する。上記制御回路において、上記DC-DCコンバータは昇圧用コイルを有してよい。上記いずれかの制御回路は、コンデンサを有してよい。
上記いずれかの制御回路は、上記出力電圧が入力される入力端子を備えてよい。上記いずれかの制御回路は、上記入力端子と上記昇圧用コイルおよび上記コンデンサとの間に配置された第1トランジスタを備えてよい。上記いずれかの制御回路は、上記出力電圧を昇圧して、上記第1トランジスタの制御端子に印加するスイッチ起動部を備えてよい。
【0005】
上記いずれかの制御回路は、上記第1トランジスタの上記制御端子に印加する電圧を選択する高電圧セレクタ回路を更に備え、上記高電圧セレクタ回路は、上記スイッチ起動部によって昇圧されたスイッチ起動用電圧と上記DC-DCコンバータの昇圧動作によって昇圧された昇圧電圧のいずれか高い方を選択してよい。
【0006】
上記いずれかの制御回路において、上記スイッチ起動部は、上記昇圧電圧が予め定められた電圧まで上昇すると、オフ状態となってよい。
【0007】
上記いずれかの制御回路は、上記昇圧電圧を上記高電圧セレクタ回路に出力するMPPT制御回路を更に備えてよい。
【0008】
上記いずれかの制御回路において、上記第1トランジスタはNチャネルMOSFETであってよい。上記いずれかの制御回路は、上記第1トランジスタと並列に配置されたPチャネルMOSFETである第2トランジスタを有してよい。上記いずれかの制御回路において、上記第2トランジスタのソース端子には、上記出力電圧が印加されてよい。上記いずれかの制御回路において、MPPT制御回路は、上記高電圧セレクタ回路に上記昇圧電圧を出力している期間は、上記第2トランジスタの制御端子に上記昇圧電圧よりも低い基準電圧を印加してよい。
【0009】
上記いずれかの制御回路において、上記MPPT制御回路は、上記入力源の測定を行ってよい。上記いずれかの制御回路は、上記測定の結果に基づいて上記DC-DCコンバータの動作を制御するDC-DC制御部を更に備えてよい。
【0010】
上記いずれかの制御回路において、前記MPPT制御回路は、前記入力源の開放電圧または出力インピーダンスを測定している間、前記第1トランジスタをオフ状態に制御してよい。上記いずれかの制御回路において、前記MPPT制御回路は、前記DC-DCコンバータが昇圧動作を行っている間、前記第1トランジスタおよび第2トランジスタの少なくともどちらか一方をオン状態に制御してよい。
【0011】
上記いずれかの制御回路において、前記第1トランジスタは、前記昇圧用コイルの一端と前記コンデンサの一端の間のノードと、前記制御回路の前記入力端子と前記スイッチ起動部の入力端子との間のノードと、の間に接続されてよい。
【0012】
本発明の第2の態様においては、上記いずれかの制御回路を備えるDC-DCコンバータを提供する。
【0013】
本発明の第3の態様においては、上記DC-DCコンバータと上記DC-DCコンバータに出力電圧を出力する入力源を備えるエナジーハーベスティングシステムを提供する。
【0014】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴のすべてを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施例に係るエナジーハーベスティングシステム100を示す図である。
図2】昇圧動作開始時の各電圧の経時変化を示す図である。
図3】スイッチ起動部18の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。本明細書では、各図における同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。また、説明の便宜上一部の構成を図示しない場合がある。
【0017】
本明細書において「同一」または「等しい」のように称した場合、製造ばらつき等に起因する誤差を有する場合も含んでよい。当該誤差は、例えば10%以内である。また図中の各端子および構成要素は、配線等を用いて接続されてよい。図中の各グランド端子は共通の端子であってよく、異なる端子であってもよい。
【0018】
環境発電源等によって得られる電力は一般的には小さい電力であり、取り出せる電圧および電流は小さく、またその環境の変化により電力の時間的変化も大きいものである。このような微小な電力を収集し、センサーやマイコン、BLE等が動作可能な電圧まで昇圧するのにDC-DCコンバータが用いられる。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施例に係るエナジーハーベスティングシステム100を示す図である。エナジーハーベスティングシステム100は、外部装置に電力を供給する。エナジーハーベスティングシステム100は、入力源80とDC-DCコンバータ90を備える。入力源80は出力電圧VinをDC-DCコンバータ90に出力する。DC-DCコンバータ90は入力源80の出力電圧Vinを昇圧して出力する。DC-DCコンバータ90は、例えば、昇圧型DC/DCコンバータである。
【0020】
入力源80は環境発電源であってよく、ワイヤレス給電であってもよい。環境発電源は、例えば、太陽光、白熱灯、蛍光灯、LED等の光エネルギーをエネルギー源とする光発電、機械の発する熱や環境温度等の熱エネルギーをエネルギー源とする熱電発電、機械の発する振動や橋・道路等の振動をエネルギー源とする振動発電、電磁波、電波等をエネルギーとする電磁波発電、または、微生物燃料電池に代表される生物の活動量をエネルギーに変換する生物発電等である。入力源80は、周囲の環境等に依存して時変的に発電量が変わるものであってよい。
【0021】
DC-DCコンバータ90は、制御回路10、昇圧用コイル40、第1コンデンサ41、および第2コンデンサ42を有する。制御回路10はDC-DCコンバータ90を制御する。制御回路10はDC-DCコンバータ90に含まれていてよい。後述するDC-DCコンバータ90の昇圧動作によって第2コンデンサ42が充電される。それによって、DC-DCコンバータ90の昇圧電圧Vboostが上昇する。第1コンデンサ41は昇圧動作を効率的に行うために、昇圧用コイル40の一端に接続されている。
【0022】
本例のDC-DCコンバータ90は、BATT端子およびVSYS端子を有する。BATT端子には、外部装置に含まれるバッテリー(図1における第3コンデンサ43)が接続されてよい。VSYS端子は、外部装置の回路が接続され、当該回路に電源電力を供給する。図1においては、VSYS端子に接続された容量を第4コンデンサ44で示している。
【0023】
BATT端子は、制御回路10の第3スイッチM3を介して第2コンデンサ42に接続される。VSYS端子は、制御回路10の第4スイッチM4を介して第2コンデンサ42に接続される。第3スイッチM3および第4スイッチM4を制御することで、第2コンデンサ42の電力を、BATT端子およびVSYS端子のいずれに供給するかを切り替える。また、第3スイッチM3および第4スイッチM4を同時にオン状態にすることで、第3コンデンサ43からVSYS端子に電力を供給してもよい。
【0024】
昇圧電圧Vboostは、第4スイッチM4および端子VSYSを介して外部装置に出力される。第4コンデンサ44の容量CVSYSは、第2コンデンサ42の容量CBOOSTと第3コンデンサ43の容量CBATTの合計値未満であってよい。
【0025】
制御回路10は、昇圧用スイッチ46および第2スイッチM2を有する。昇圧用スイッチ46の一端は昇圧用コイル40に接続され、他端はグランド端子に接続されている。第2スイッチM2の一端は昇圧用コイル40に接続され、他端は第2コンデンサ42に接続されている。昇圧用スイッチ46および第2スイッチM2は、一方がオン状態の時に他方がオフ状態となるように、相補的に制御される。あるいは、昇圧用スイッチ46および第2スイッチM2の両方がオフ状態、あるいは両方がオン状態となるように制御される。昇圧用スイッチ46および第2スイッチM2は、例えば駆動信号によりオン・オフを制御するNチャネルMOSFETおよびPチャネルMOSFETである。駆動信号により昇圧用スイッチ46がオンし、第2スイッチM2がオフすると、入力端子12から昇圧用コイル40および昇圧用スイッチ46を介してグランド端子に電流が流れ、昇圧用コイル40にエネルギーが蓄えられる。
昇圧用スイッチ46がオフし、第2スイッチM2がオンすると、昇圧用コイル40に蓄えられたエネルギーは第2スイッチM2を介して第2コンデンサ42に充電され、昇圧電圧Vboostが上昇する。
【0026】
制御回路10は、DC-DC制御部48を有する。DC-DC制御部48は、昇圧用スイッチ46、第2スイッチM2、第3スイッチM3、第4スイッチM4の各々の制御端子に接続され、各々のスイッチのオン・オフを制御する。DC-DC制御部48は、昇圧用スイッチ46のオン・オフを制御することによって昇圧動作を制御する。DC-DC制御部48は、第3スイッチM3および第4スイッチM4のオン・オフを制御することによって、上述したように昇圧電圧Vboostを第3コンデンサ43(BATT端子)へ出力するか、外部装置(VSYS端子)へ出力するか、またはその両方を行うかを制御する。
昇圧動作による出力が足りない場合は、第3コンデンサ43に蓄えられている電荷を、外部装置へ出力してよい。
【0027】
各スイッチは、MOSFETであってよく、ボディダイオードを有してよい。各スイッチは、ボディダイオードの向きが互いに逆向きとなるように接続された、2つのMOSFETを有してよい。その場合、2つのMOSFETのソース端子どうしが接続されていてよく、ドレイン端子どうしが接続されていてもよい。
【0028】
ここでMPPT(Maximum Power Point Tracking)という技術について説明する。MPPTは、太陽電池に代表されるような環境発電源等の電力を最大で取り出すために、最適な動作点で動作させる技術の総称である。環境発電源等のエネルギーを効率的に抽出できる動作点を算出し、この動作点でDC-DCコンバータ90を駆動させることで、効率のよいエネルギー変換が可能となる。本例の制御回路10は、MPPT機能を有する。本例のDC-DCコンバータ90はMPPT動作を行う。
【0029】
最適な動作点を探す際は、DC-DCコンバータ90のエネルギー変換回路を一時的にパワーオフして入力源80の開放電圧Vsourceを測定する。または任意の負荷を接続することで入力源80の出力インピーダンスRsourceを測定する。得られた測定値に応じて、入力源80のエネルギーを効率的に取り出すための動作点を算出し、算出した動作点に応じてDC-DCコンバータ90を動作させることで、入力源80の出力インピーダンスとDC-DCコンバータ90の入力インピーダンスをマッチさせ、効率のよいエネルギー変換を行うことができる。
【0030】
測定用の負荷を接続することで入力源80の出力インピーダンスRsourceを測定する場合、測定用の負荷のみが接続された状態とするため、DC-DCコンバータ90の第1コンデンサ41等は、入力源80から遮断されることが好ましい。例えば測定用の負荷と第1コンデンサ41が並列に接続された状態となると、第1コンデンサ41が充電されるまで開放電圧Vsourceが安定せず、出力インピーダンスRsourceの測定に時間がかかってしまう。入力源80の出力インピーダンスRsourceが高抵抗(kΩ以上)で駆動力が小さい場合、この影響は顕著に現れる。
【0031】
例えば、第1コンデンサ41の容量を10μFとし、入力源80の出力インピーダンスRsourceを10kΩとすると、開放電圧Vsourceの安定までに数百m秒かかり、開放電圧Vsourceの測定に時間を要する場合がある。入力源80の開放電圧Vsourceまたは出力インピーダンスRsourceを測定する周期をMPPTの動作周期(period)とし、1回の当該測定に係る時間を動作時間(duration)とする。MPPTの動作周期のうち、MPPTの動作時間以外の時間が、DC-DCコンバータ90が昇圧動作する時間に相当する。DC-DCコンバータ90の動作時間を確保すべく、MPPTの動作時間に対して、MPPTの動作周期は所定の比率を有する。MPPTの動作時間に対する動作周期の比率を50倍とすると、10秒単位(数百m秒×50)の周期でしかMPPT動作ができず、入力源80の発電変化に高速に追従できないという課題が生じる。これは特に入力源80が環境変化に敏感な環境発電源の場合に適していない。
【0032】
一方で第1コンデンサ41は昇圧の高効率化のためには大きな容量であることが好ましい。例えば、数μFから数十μFオーダーの容量があることが望ましい。このため、昇圧の高効率化とMPPTの高速応答を実現するためには、MPPT時には入力端子12と第1コンデンサ41や昇圧用コイル40等を遮断することが好ましい。具体的には、入力端子12とSWIN端子の間にスイッチを設けてMPPT時にパスを遮断する。その結果、入力端子12からは、SWIN端子に接続されている第1コンデンサ41の容量が遮断されるため、出力インピーダンスRsourceが高い場合でも瞬時に動作点が収束する。
つまり、短時間での出力インピーダンスRsourceの測定が可能となり、動作時間を短くできる。MPPTの動作時間が短いので、MPPTの動作周期を短くすることができる。
【0033】
制御回路10は、出力電圧Vinが入力される入力端子12と、入力端子12と昇圧用コイル40との間に配置された第1トランジスタ14を備える。この第1トランジスタ14は、入力端子12と第1コンデンサ41との間に配置されている。MPPT動作時には、第1トランジスタ14が、入力端子12と、第1コンデンサ41および昇圧用コイル40とを遮断する。これにより、MPPTの動作周期と動作時間の比率を十分に保ちながらも高頻度にMPPT動作をすることが可能となり、発電能力が常に変化する入力源80のエネルギーでも、より効率よく変換することができる。第1トランジスタ14は、昇圧用コイル40の一端と第1コンデンサ41の一端の間のノード52と、制御回路10の入力端子12と後述するスイッチ起動部の入力端子との間のノード54と、の間に接続されていてよい。
【0034】
第1トランジスタ14は、入力端子12に対して、DC-DCコンバータ90に含まれるすべてのコンデンサを遮断可能であってよい。MPPT動作時には、第1トランジスタ14が、入力端子12とすべてのコンデンサとを遮断してよい。
【0035】
しかしながら、MPPT動作に至る前の初期の昇圧動作の段階は、第2コンデンサ42、第3コンデンサ43および第4コンデンサ44に電荷が充電されていない。昇圧電圧Vboostも低い状態または電圧がゼロの状態から開始する。このため、入力源80の出力電圧Vinが第1トランジスタ14の閾値電圧よりも低いときに第1トランジスタ14をオンすることができない。このためDC-DCコンバータ90は昇圧動作ができない。また仮に第1トランジスタ14がオンしたとしても、第1トランジスタ14の制御端子16に印加される電圧値が十分高くないため、第1トランジスタ14のオン抵抗が高く、電力変換効率が悪い。
【0036】
RFエナジーハーベスタ等の高出力インピーダンス、すなわち発電能力の小さい入力源80では、第1トランジスタ14のリーク電流によって最適動作点がずれてしまう問題もある。このため、リーク電流の少ない、すなわちオフ抵抗が大きいトランジスタを第1トランジスタ14として用いることが好ましい。閾値電圧の低いトランジスタを用いると、低い制御電圧でスイッチング動作することができるが、リーク電流は大きくなる。
【0037】
本例の制御回路10は、入力源80の出力電圧Vinを昇圧して、第1トランジスタ14の制御端子16に印加するスイッチ起動部18を備える。スイッチ起動部18は、昇圧した電圧であるスイッチ起動用電圧Vcpを制御端子16に印加する。スイッチ起動部18は、一例としてチャージポンプを有する。スイッチ起動用電圧Vcpは、第1トランジスタ14の閾値電圧より高くてよく、閾値電圧の1.2倍以上であってよく、1.5倍以上であってよい。スイッチ起動用電圧Vcpは、出力電圧Vinの2倍以上であってよく、3倍以上であってよく、5倍以上であってよい。これにより、低電圧からの昇圧動作が可能となる。
【0038】
第1トランジスタ14はNチャネルMOSFETであってよい。第1トランジスタ14はボディダイオードを有してよい。第1トランジスタ14は、2つのNチャネルMOSFETが、ボディダイオードの向きが互いに逆向きとなるように縦続接続されていてよい。その場合、2つのMOSFETのソース端子どうしが接続されていてよく、ドレイン端子どうしが接続されていてもよい。
【0039】
制御回路10は、第1トランジスタ14の制御端子16に印加する電圧を選択する高電圧セレクタ回路20を有してよい。高電圧セレクタ回路20は、スイッチ起動部18によって昇圧されたスイッチ起動用電圧VcpとDC-DCコンバータ90の昇圧動作によって昇圧された昇圧電圧Vboostのいずれか高い方を選択する。昇圧電圧Vboostは、後述するMPPT制御回路22から供給される。これによって、MPPT動作に至る前の初期の昇圧動作の段階においては、スイッチ起動用電圧Vcpにより昇圧動作を開始することができ、昇圧電圧Vboostが十分上昇したときは、MPPT動作に切り替えて、昇圧電圧Vboostで第1トランジスタ14を制御することができる。
【0040】
昇圧電圧Vboostが予め定められた電圧まで上昇すると、スイッチ起動部18はオフ状態となってよい。予め定められた電圧は、MPPT動作が可能な電圧であってよく、スイッチ起動用電圧Vcp以上であってよい。
【0041】
制御回路10は、昇圧電圧Vboostを高電圧セレクタ回路20に出力するMPPT制御回路22を更に備えてよい。MPPT制御回路22は、昇圧電圧Vboostまたは昇圧電圧Vboostよりも低い基準電圧を高電圧セレクタ回路20に出力する。基準電圧は0Vであってよい。
【0042】
制御回路10は、第1トランジスタ14と並列に配置されたPチャネルMOSFETである第2トランジスタ24を有してよい。第2トランジスタ24は、SWIN端子と、IN端子との間に配置されている。第2トランジスタ24のソース端子28もしくはドレイン端子には、入力源80の出力電圧Vinが印加されてよい。第2トランジスタ24は、ボディダイオードを有してよい。第2トランジスタ24は、2つのPチャネルMOSFETが、ボディダイオードの向きが互いに逆向きとなるように縦続接続されていてよい。その場合、2つのMOSFETのソース端子どうしが接続されていてよく、ドレイン端子どうしが接続されていてもよい。
【0043】
本例の第2トランジスタ24のソース端子28には、出力電圧Vinが印加される。MPPT制御回路22は、昇圧電圧Vboostまたは昇圧電圧Vboostよりも低い基準電圧を第2トランジスタ24の制御端子26に出力する。MPPT制御回路22は、第1トランジスタ14および第2トランジスタ24を、同期してオン状態に遷移させ、同期してオフ状態に遷移させる制御信号を出力してよい。
【0044】
MPPT制御回路22は、入力源80の測定を行う。MPPT制御回路22は、入力源80の開放電圧Vsourceまたは出力インピーダンスRsourceを測定してよい。DC-DC制御部48は、MPPT制御回路22における測定結果に基づいてDC-DCコンバータ90の動作を制御する。DC-DC制御部48は、測定された開放電圧Vsourceの値に応じたDC-DCコンバータ90の動作点(入力電圧)になるようにDC-DCコンバータ90の動作を制御してよい。DC-DC制御部48は、測定された出力インピーダンスRsourceの値とDC-DCコンバータ90の入力インピーダンスがマッチするように、DC-DCコンバータ90の動作を制御してよい。DC-DCコンバータ90の動作を制御するとは、一例として昇圧用スイッチ46のオン・オフのタイミングを調整することである。
【0045】
図2は、昇圧動作開始時の各電圧の経時変化を説明する図である。図2の各グラフの横軸は時間であり、縦軸は電圧である。グラフは上から出力電圧Vin、スイッチ起動用電圧Vcp、昇圧電圧Vboost、制御端子16の印加電圧N1および制御端子26の印加電圧N2を示している。
【0046】
あるタイミングで入力源80が発電を開始し(t1)、出力電圧Vinを出力する。ここでは説明簡易化のため、出力電圧Vinは一定としている。その後、スイッチ起動部18が昇圧を開始し(t2)、スイッチ起動用電圧Vcpが上昇する。その後、スイッチ起動用電圧Vcpが第1トランジスタ14の制御端子16に印加される(t3)。それによって第1トランジスタ14がオンし、DC-DCコンバータ90の昇圧動作が開始し(t4)、昇圧電圧Vboostが上昇する。昇圧電圧VboostがDCDC動作可能な電圧まで上昇すると(t5)、スイッチ起動部18がオフとなり、スイッチ起動用電圧Vcpは0Vとなる。DCDC動作とは、スイッチ起動部18がオフになり、昇圧電圧VboostによってMPPT制御回路22およびDC-DC制御部48が動作することをいう。
【0047】
続いて、DC-DCコンバータ90はDCDC動作に切り替わる。MPPT制御回路22は、高電圧セレクタ回路20に昇圧電圧Vboostを出力している期間は、第2トランジスタ24の制御端子26に昇圧電圧よりも低い基準電圧を印加する。これによってMPPT制御回路22は第1トランジスタ14および第2トランジスタ24の両方のオン・オフを制御する。基準電圧は0Vであってよい。すなわち、MPPT制御回路22が高電圧セレクタ回路20に昇圧電圧Vboostを出力している期間は、第1トランジスタ14および第2トランジスタ24の少なくともどちらか一方がオン状態になり、DC-DCコンバータ90は昇圧動作を行う。上記期間中、第1トランジスタ14および第2トランジスタ24の両方がオン状態となってもよい。
また、MPPT制御回路22は、高電圧セレクタ回路20に基準電圧を出力している期間は、第2トランジスタ24の制御端子26に昇圧電圧Vboostを印加する。図2において電圧N1が0V、電圧N2が昇圧電圧Vboostの期間に第1トランジスタ14および第2トランジスタ24の両方がオフとなる。この期間にMPPT制御回路22は、入力源80の出力インピーダンスRsourceの測定を行い、DC-DC制御部48は、DC-DCコンバータ90の入力インピーダンスを調整する。MPPT制御回路22は、入力源80の開放電圧Vsourceも測定してよい。
すなわち、MPPT制御回路22は、入力源80の開放電圧Vsourceまたは出力インピーダンスRsoureを測定している間、第1トランジスタ14および第2トランジスタ24をオフ状態に制御してよい。MPPT制御回路22は、DC-DCコンバータ90が昇圧動作を行っている間、第1トランジスタ14および第2トランジスタ24の少なくともどちらか一方をオン状態に制御してよい。ただし、第2トランジスタ24は設けられなくてもよい。その場合、MPPT制御回路22は、第1トランジスタ14のオン・オフを制御する。
【0048】
電圧N2は、DCDC動作が始まるまでは、基準電圧に固定されている。そのため、出力電圧が十分高い場合は、第2トランジスタ24が瞬時にオンし、DC-DCコンバータ90の昇圧動作が開始する。
【0049】
DCDC動作時に出力電圧Vinと昇圧電圧Vboostの電位が等しくなるほど高くなった場合、NチャネルMOSFETである第1トランジスタ14のオン抵抗は高くなってしまう。その場合、第2トランジスタ24があれば、第2トランジスタ24を第1トランジスタ14よりも低いオン抵抗でオンすることができる。そのため、広い範囲の出力電圧Vinに対してスイッチによるオン抵抗を低くできる。
【0050】
図3は、スイッチ起動部18の一例を示す図である。本例のスイッチ起動部18は、発振回路72、チャージポンプ74、変換部76および駆動部78を有する。
【0051】
発振回路72は、例えばリングオシレータである。リングオシレータは出力電圧Vinを制御電圧とする電圧制御発振器であり、出力電圧Vinに応じた周波数を有する発振信号CLK1を出力する。出力電圧Vinの上昇に伴って、発振周波数も上昇してよい。発振信号CLK1の振幅(波高値)は昇圧電圧Vinである。
【0052】
チャージポンプ74は、出力電圧Vinをスイッチ起動用電圧Vcpに昇圧する。スイッチ起動用電圧Vcpは第1トランジスタ14の制御端子16に出力される。変換部76は、入力された発振信号CLK1の振幅Vinをスイッチ起動用電圧Vcpに変換した信号CLK2を出力する。
【0053】
駆動部78は、信号CLK2のパルス幅を調整する。信号CLK2は、発振回路72における発振動作において出力電圧Vinに依存するパルス幅を有する。駆動部78は、出力電圧Vinに依存したパルス幅から固定のパルス幅へ変更した信号CLK3を出力する。信号CLK3が昇圧用スイッチ46の制御端子に入力されてよい。この場合、信号CLK3の周波数、振幅およびパルス幅によって昇圧用スイッチ46のオン・オフが制御され、DC-DCコンバータ90の昇圧動作が行われる。
【0054】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0055】
10・・・制御回路、12・・・入力端子、14・・・第1トランジスタ、16・・・制御端子、18・・・スイッチ起動部、20・・・高電圧セレクタ回路、22・・・MPPT制御回路、24・・・第2トランジスタ、26・・・制御端子、28・・・ソース端子、40・・・昇圧用コイル、41・・・第1コンデンサ、42・・・第2コンデンサ、43・・・第3コンデンサ、44・・・第4コンデンサ、46・・・昇圧用スイッチ、48・・・DC-DC制御部、52・・・ノード、54・・・ノード、72・・・発振回路、74・・・チャージポンプ、76・・・変換部、78・・・駆動部、80・・・入力源、90・・・DC-DCコンバータ、100・・・エナジーハーベスティングシステム
図1
図2
図3