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特開2024-124355酸窒化ケイ素除去促進剤およびその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124355
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】酸窒化ケイ素除去促進剤およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240905BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20240905BHJP
   C09G 1/02 20060101ALI20240905BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
H01L21/304 622B
B24B37/00 H
C09G1/02
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024022597
(22)【出願日】2024-02-19
(31)【優先権主張番号】63/449,327
(32)【優先日】2023-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000236702
【氏名又は名称】株式会社フジミインコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジミー グランストロム
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158CB01
3C158CB03
3C158CB10
3C158DA02
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158ED02
3C158ED10
3C158ED23
3C158ED26
5F057AA28
5F057BA15
5F057BB16
5F057BB19
5F057BB38
5F057CA12
5F057DA03
5F057EA01
5F057EA07
5F057EA16
5F057EA17
5F057EA21
5F057EA29
5F057EA32
5F057EB13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】酸窒化ケイ素(SiON)表面を研磨するための、よりよい研磨特性および/または研磨能力を有する化学機械研磨(CMP)用組成物を提供する。
【解決手段】酸窒化ケイ素(SiON)表面を研磨するための化学機械研磨(CMP)用組成物は、研磨剤、添加剤および水を含み、研磨剤がコロイダルシリカを含み、添加剤がアミノアルキルアルコールを含み、pHが約2.5以下である。また、希釈剤を用いた組成物の希釈においても高いSiON除去率等の有利な性質を組成物に提供する特定の量で組み合わされている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨剤、添加剤、および水を含み、
前記研磨剤がコロイダルシリカを含み、
前記添加剤がアミノアルキルアルコールを含み、ただし、当該アミノアルキルアルコールが3級アミンの場合、窒素原子に結合する、水酸基が置換されたアルキル基は直鎖であり、
pHが約2.5以下である、
研磨用組成物。
【請求項2】
前記研磨剤が陰イオン的に修飾されたコロイダルシリカを含む、請求項1に記載の研磨用組成物。
【請求項3】
前記コロイダルシリカが約5.0個/nm以上のシラノール密度を有する、請求項1に記載の研磨用組成物。
【請求項4】
前記アミノアルキルアルコールが(C5~C10)アミノアルキルアルコールである、請求項1に記載の研磨用組成物。
【請求項5】
前記アミノアルキルアルコールが1~12の炭素原子の対窒素原子または対酸素原子の比率を有する、請求項1に記載の研磨用組成物。
【請求項6】
前記アミノアルキルアルコールが、N(R)(R)(R)で示され、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、および、水酸基で置換されてもよいアルキル基から選択され、ここで、
i)R、RおよびRの少なくとも1つが1つ以上の水酸基で置換されたアルキル基であり、かつ、
ii)R、RおよびRの少なくとも1つが無置換のアルキル基、あるいは、R、RおよびRの少なくとも2つが水素原子である、請求項1に記載の研磨用組成物。
【請求項7】
前記水酸基で置換されたアルキル基が4級炭素を含む場合、当該水酸基で置換されたアルキル基は2つ以上の水酸基を含む、請求項6に記載の研磨用組成物。
【請求項8】
前記研磨剤が約4wt%から約8wt%の範囲の濃度で存在する陰イオン的に修飾されたコロイダルシリカを含み、
前記添加剤が約0.20wt%から約0.40wt%の濃度で存在する(C6~C10)アミノアルキルアルコールを含む、請求項1に記載の研磨用組成物。
研磨用組成物。
【請求項9】
前記研磨剤が約20nmから約70nmの範囲の中間粒子径と約5.8個/nmから約6.2個/nmの範囲のシラノール密度とを有する陰イオン的に修飾されたコロイダルシリカを含み、
前記添加剤が3-アミノ-4-オクタノール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-ジエチルエタノールアミン、および2-(オクチルアミノ)エタノールからなる群から選択されるアミノアルキルアルコールを含む、請求項1に記載の研磨用組成物。
【請求項10】
前記研磨剤が、約3wt%以上の濃度で存在する陰イオン的に修飾されたコロイダルシリカを含み、
前記R、RおよびRの少なくとも1つが、水酸基で置換されてもよいC6以上のアルキル基である、請求項6に記載の研磨用組成物。
【請求項11】
前記アミノアルキルアルコールが、1級アミンまたは2級アミンである、請求項1に記載の研磨用組成物。
【請求項12】
前記アミノアルキルアルコールが、4級炭素を含まない、請求項11に記載の研磨用組成物。
【請求項13】
前記アミノアルキルアルコールが、2級水酸基を含む、請求項1に記載の研磨用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、研磨剤、添加剤、および水を含む化学機械研磨(CMP)用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
酸窒化ケイ素(SiN)は、その卓越した電子的および機械的能力について広く研究される重要な無機材料である。SiNは、二酸化ケイ素(SiO)と窒化ケイ素(Si)との間の中間相であり、高温での高い耐久性、熱衝撃および酸化に対する高い耐性、高密度、優れた機械的能力、ならびに低誘電率を有する。酸窒化ケイ素(SiN)の利点の1つは、その化学量論比が二酸化ケイ素(SiO)から窒化ケイ素(Si)までの全範囲を網羅して顕著に変化することができるという事実、すなわち、これら2つの材料には溶解度間隙が存在しないという事実である。製造加工中にSiNの化学組成を変動させることによって、その屈折率および誘電率を調整することができる。SiNはまた、調整可能な薄膜応力を有し、室温で可視光線範囲のフォトルミネッセンス(PL)を提示する。したがってSiNは、集積回路(IC)、障壁層、不揮発性メモリ、光導波路、有機発光ダイオード(OLED)、および傷防止コーティングにおいて非常に魅力的である。さらにSiNは、その高い強度、断熱性、ならびに電気的および化学的抵抗性のために、例えば非線形光学系および機械部品などの高温関連用途として使用することができる。
【0003】
酸窒化ケイ素(SiN)は、プラズマ化学蒸着(CVD)または低圧化学蒸着(LP-CVD)を利用して対象の基板に薄膜として付着させ、その後に化学機械加工(CMP)を利用して研磨することができる。なお、本明細書中「SiN」を「SiON」とも称する。
【0004】
CMPは、基板(半導体ウエハなど)の表面から材料を除去し、その表面を剥離などの物理的加工と酸化やキレート化などの化学的加工とを合わせることによって研磨する(平坦化する)加工である。その最も基本的な形態では、CMPは基板の表面に、または基板を研磨する研磨パッドに、スラリーを塗布することを含む。この加工によって、不必要な材料の除去と基板の表面の平坦化との両方が達成される。単に物理的または単に化学的であることは除去加工または研磨加工には望ましくなく、むしろ両方の相乗的な組合わせが含まれる。
【0005】
現在知られている、SiON含有表面を研磨するためのCMPスラリー組成物の多くは、多くの研磨スラリーが低いフィルム除去率を提示する傾向である通り、限られた数の目的のみに適しており、このことは低い製造歩留まりを導く。
【0006】
したがって、よりよい研磨特性および/または研磨能力を有するCMPスラリー組成物を開発し、向上させる継続的な必要性がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明によって解決される本開示の主題または問題の目的(1つまたは複数)によれば、本明細書に具体化され広範に記載される通り、CMPを使用する際に研磨速度の向上を促進する、酸窒化ケイ素(SiON)含有基板などを研磨するための組成物を提供することが本発明の目的である。本発明の別の目的は、基板からSiONなどの材料を除去する方法を提供することである。
【0008】
したがって、1つの態様における本開示の主題は、研磨剤、添加剤、および水を含み、
前記研磨剤がコロイダルシリカを含み、前記添加剤がアミノアルキルアルコールを含み、ただし、当該アミノアルキルアルコールが3級アミンの場合、窒素原子に結合する、水酸基が置換されたアルキル基は直鎖であり、pHが約2.5以下である、研磨用組成物に関する。
【0009】
別の態様では、研磨剤、添加剤、および水を含み、前記研磨剤がコロイダルシリカを含み、前記添加剤がアミノアルキルアルコールを含み、前記アミノアルキルアルコールが、N(R)(R)(R)で示され、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、および、水酸基で置換されてもよいアルキル基から選択され、ここで、i)R、RおよびRの少なくとも1つが1つ以上の水酸基で置換されたアルキル基であり、かつ、ii)R、RおよびRの少なくとも1つが無置換のアルキル基、あるいは、R、RおよびRの少なくとも2つが水素原子であり、前記水酸基で置換されたアルキル基が4級炭素を含む場合、当該水酸基で置換されたアルキル基は2つ以上の水酸基を含む、pHが約2.5以下である、研磨用組成物に関する。
【0010】
別の態様では、本明細書に記載される主題は、基板を研磨する方法であって、1)本明細書に開示される通りの研磨用組成物を提供するステップと、2)SiON含有層を含む基板を提供するステップと、3)当該基板を、当該研磨用組成物を用いて研磨するステップとを含む、研磨済み基板を製造する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、以下の本発明の詳細な説明およびこれに含まれる例の参照によってより容易に理解することができる。
【0012】
本発明の化合物、組成物、物品、システム、考案物、ならびに/または方法を開示および記載する前に、これらは他に指定のない限り、特定の合成方法または特定の部品に限定されないことは、これらが当然ながら多様であり得ることから理解されるべきである。また本明細書に使用される用語は、特定の態様のみを記載するためであり、限定することを意図しないことも理解されるべきである。しかし本明細書に記載される方法および材料に類似または同等である、任意の方法および材料は、本発明の実施または試験で使用することができるが、例示的方法および材料はこれから記載する。
【0013】
本明細書に研磨剤、添加剤、および水を含む研磨用組成物を記載する。これら研磨用組成物は、基板を研磨し、少なくとも250Å/分のSiON除去率を提示することが意図される。
【0014】
さらに、これらの研磨用組成物が希釈剤(水など)を用いた様々な倍率の希釈においても250Å/分より大きいSiON除去率を維持することができることを発見したことは、驚くべきことであり、予期せぬことであった。したがって本明細書に開示される研磨用組成物は、希釈した場合でも250Å/分より大きいSiON除去率を提示する研磨用組成物であることが可能であり、よって製造コストの減少など、さらなる利点を提供することが可能である。
【0015】
本明細書に記載される研磨用組成物は、限定はされないが、SiON含有基板のCMPなどで使用され、以下でより詳細に検討する。
【0016】
A.定義
本発明を記載するために使用される様々な用語の定義を以下に列挙する。これらの定義は、他に特定の例で限定されない限り、個別に、またはより大きなグループの一部としてのいずれかで、この明細書を通じて使用される通りに用語に適用される。
【0017】
本明細書に使用される通り、用語「平均一次粒子径」は、例えば電子顕微鏡に代表されるように、粒子の画像観察によって測定することができる粒子径を指す。
【0018】
本明細書に使用される通り、用語「平均中間粒子径」は、レーザー解析散乱法に代表されるように、例えば動的光散乱によって測定することができる粒子径を指す。
【0019】
本明細書および添付特許請求の範囲に使用される通り、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」には、その文脈がそうでないと明確に定めない限り、複数の指示対象が含まれる。したがって、例えば「1つの研磨剤」または「1つのpH調整剤」という表現には、2つまたはそれ以上のそのような研磨剤の混合物またはpH調整剤の混合物が含まれる。
【0020】
範囲は、「約」1つの特定値から、および/または「約」別の特定値までとして本明細書に表現され得る。そのような値が表現される場合、別の態様には1つの特定値から、および/またはもう1つの特定値までが含まれる。同様に、先行詞「約」の使用によって値が概算として表現される場合、特定値によって別の態様が形成される理解されるであろう。さらに各範囲の終点は、他の終点と関係ありと無関係との両方で重要であると理解されるであろう。また本明細書に開示される多数の値が存在し、各値は、その値自身に加えて、「約」特定値として本明細書に開示されると理解されるであろう。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」も開示される。また、2つの特定の単位体の間の各単位体も開示されると理解されるであろう。例えば、10と15が開示される場合、11、12、13、および14も開示される。本明細書中、約X(Xは数値)とは、Xの±10%あるいは±5%を更に含むことを意味してもよく、具体的には、X×0.9~X×1.1を意味する。また、約Xは、X自体であってもよい。
【0021】
明細書および結びの特許請求の範囲における組成物中の特定の要素または成分の重量部という表現は、重量部が表現される組成物中または物品中の要素または成分と他の任意の要素または成分との間の重量関係を意味する。したがって、2重量部の成分「X」と5重量部の成分「Y」とを含有する化合物では、「X」と「Y」は重量比2:5で存在し、追加の成分が組成物中に含有されるかどうかにかかわらず、そのような比で存在する。
【0022】
成分の重量パーセント(wt%)は、他に具体的に指定のない限り、その成分が含まれる溶媒または組成物の全重量に基づく。
【0023】
本明細書に使用される通り、用語「任意の」および「任意に」は、続いて記載されるイベントまたは出来事が起こり得ること、または起こり得ないこと、ならびにその記述には前記イベントまたは前記出来事が起きる場合および起きない場合が含まれることを意味する。
【0024】
本明細書において、「X~Y」は、その前後に記載される数値(XおよびY)を下限値および上限値として含む意味で使用し、「X以上Y以下」を意味する。「X~Y」が複数記載されている場合、例えば、「X1~Y1、あるいは、X2~Y2」と記載されている場合、各数値を上限とする開示、各数値を下限とする開示、および、それらの上限・下限の組み合わせは全て開示されている(つまり、補正の適法な根拠となる)。具体的には、X1以上との補正、Y2以下との補正、X1以下との補正、Y2以上との補正、X1~X2との補正、X1~Y2との補正等は全て適法とみなされなければならない。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で測定する。なお、本明細書中に記載の濃度は、POU(ポイントオブユース)における濃度であっても、POUの濃度に希釈する前の濃度であってもよい。希釈倍率は、2~10倍であってよい。
【0025】
B.研磨用組成物
CMPの基本的な仕組みは、表面層を化学反応によって軟化させ、次にこの軟化した層を機械力によって研磨剤粒子で除去することである。
【0026】
SiON含有基板での研磨用組成物の使用では、SiON除去率の高さが重要な性能測定基準の1つである。
【0027】
本発明においては、詳細には、研磨剤と組み合わせた場合に高い酸窒化ケイ素(SiON)除去率等の有利な性質を組成物に提供するアミノアルキルアルコールが組成物に含まれる。その結果酸窒化ケイ素表面を研磨するのに好適な組成物を提供することができる。
【0028】
したがって研磨剤、特定のアミノアルキルアルコールを有する添加剤、および水を含有する本明細書に開示される研磨用組成物が、250Å/分より大きいSiON率を達成することができることを発見したことは、驚くべきことであり、予期せぬことであった。アミノアルキルアルコールが炭素原子、酸素原子、および窒素原子の数量に関連するある種の構造的特徴を提示した時に、高い除去率が得られた。そのような構造的特徴は以下に、より詳細に検討する。さらに、250Å/分より大きいSiON率を維持するために、本明細書に開示される研磨用組成物のpHがある程度の酸性度を提示しなければならないことを発見したことは、驚くべきことであり、予期せぬことであった。
【0029】
本明細書に記載される通り、これら特定の成分および/または特徴の組合わせは、これら所望の性質を得るために重要である。
【0030】
1.研磨剤
本明細書に記載される研磨用組成物は研磨剤を含有する。典型的には、研磨剤は、好ましくはシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア、セリア、およびその混合物からなる群から選択される酸化金属研磨剤である。いくつかの実施形態では、研磨剤はシリカである。さらなる実施形態では、研磨剤はコロイダルシリカである。いくつかの実施形態では、研磨剤は、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア、セリア、およびその混合物からなる群から選択される酸化金属研磨剤を含まない。
【0031】
いくつかの実施形態では、研磨剤は市販品または合成品のいずれかである。コロイダルシリカを生成する方法として、例えばケイ酸ナトリウム法およびゾルゲル法を例示することができ、いずれかの方法によって生成されるコロイダルシリカを好ましくは本発明の研磨剤として使用することができる。しかし金属不純物低減の観点から、高純度のコロイダルシリカを生成することができるゾルゲル法によって生成されたコロイダルシリカの方がより好ましい。
【0032】
研磨剤は適切な任意の粒子径を有することができる。いくつかの実施形態では、本発明で使用される研磨剤の砥粒は、平均一次粒子径が10nm以上で100nm以下である。いくつかの実施形態では、本発明で使用される研磨剤の砥粒は、平均一次粒子径が、約10nmから約100nm、約10nmから約75nm、約10nmから約65nm、約10nmから約55nm、約10nmから約45nm、約10nmから約40nm、約10nmから約37nm、約12nmから約37nm、または約12nmから約35nmである。いくつかの実施形態では、本発明で使用される研磨剤の砥粒は、平均一次粒子径が、約10nmから約50nm、約10nmから約40nm、約15nmから約40nm、約20nmから約40nm、約25nmから約40nm、約30nmから約40nm、約32nmから約38nm、または約34nmから約36nmである。いくつかの実施形態では、本発明で使用される研磨剤の砥粒は、平均一次粒子径が、約10nmから約42nm、約10nmから約38nm、約10nmから約36nm、約10nmから約32nm、約10nmから約20nm、約10nmから約18nm、約10nmから約16nm、約10nmから約14nm、または約11nmから約13nmである。
【0033】
砥粒の平均一次粒子径の下限は、好ましくは10nm以上であり、より好ましくは12nm以上、20nm以上、25nm以上であり、さらに好ましくは30nm以上である。さらに、砥粒の平均一次粒子径の上限は、好ましくは40nm未満であり、より好ましくは37nm以下であり、さらに好ましくは35nm以下である。なお、砥粒の平均一次粒子径は、当技術分野で知られる適切な任意の方法(例えば、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、または例えば日立ハイテクHD-2700走査透過電子顕微鏡(HD-2700 Scanning Transmission Electron Microscope)を使用するなど、STEMによって)を使用して、測定することができる。
【0034】
研磨剤の砥粒は、適切な任意の中間粒子径を有することができる。例えば、研磨剤の砥粒は、約10nmから約100nm、約15nmから約85nm、約18nmから約80nm、約20nmから約80nm、約20nmから約75nm、または約20nmから約70nmの平均中間粒子径を有することができる。いくつかの実施形態では、研磨剤の砥粒は、約1nmから約100nm、約5nmから約75nm、約10nmから約75nm、約10nmから約70nm、約10nmから約50nm、約10nmから約30nm、約15nmから約25nm、約17nmから約23nm、または約19nmから約22nmの平均中間粒子径を有することができる。いくつかの実施形態では、研磨剤の砥粒は、約20nmから約120nm、約30nmから約100nm、約40nmから約80nm、約50nmから約80nm、約60nmから約80nm、約65nmから約75nm、約68nmから約73nm、または約70nmから約73nmの平均中間粒子径を有することができる。なお、平均中間粒子径は、当技術分野で知られる適切な任意の方法を使用して(例えば、Malvern Panalytical ZetaSizer Nano社、光錯乱システム(light scattering system)を使用するなど、光錯乱によって)、測定することができる。
【0035】
研磨剤は適切な任意の重量あたりの表面積を有することができる。例えば、研磨剤は、約40m/g以上、約60m/g以上、約80m/g以上、約100m/g以上、約120m/g以上、約140m/g以上、約160m/g以上、約180m/g以上、または約200m/g以上の平均BET表面積を有することができる。あるいは、またはさらに、研磨剤は、約300m/g以下、約270m/g以下、約250m/g以下、約200m/g以下、約180m/g以下、約150m/g以下、約120m/g以下、約100m/g以下、さらに、または約90m/g以下の平均表面積を有することができる。いくつかの実施形態では、研磨剤は、約30m/gから約150m/g、約40m/gから約140m/g、約50m/gから約130m/g、約55m/gから約120m/g、約60m/gから約110m/g、約65m/gから約100m/g、約70m/gから約90m/gの範囲内の平均表面積を有することができる。いくつかの実施形態では、研磨剤は、約100m/gから約300m/g、約120m/gから約290m/g、約140m/gから約280m/g、約160m/gから約270m/g、約180m/gから約260m/g、約190m/gから約250m/g、約200m/gから約240m/gの範囲内の平均表面積を有することができる。
【0036】
研磨剤のシリカ表面上のシラノール基密度は多様であり得る。シラノール基密度(シラノール密度とも称する)の単位は、「個/nm」であるが、これを単に「nm-2」と表記する場合がある。いくつかの実施形態では、本発明の研磨用組成物中に含有される、砥粒のシリカ表面上の平均シラノール基密度は6.5nm-2以下である。平均シラノール基密度が6.5nm-2より高い場合、砥粒の硬度は低く、したがって研磨速度は低下する。
【0037】
砥粒表面上の平均シラノール基密度は、好ましくは6.2nm-2以下であり、より好ましくは6.0nm-2以下である。
【0038】
いくつかの実施形態では、砥粒表面上の平均シラノール基密度は、約1nm-2から約6.5nm-2、約1.5nm-2から約6.5nm-2、約2.0nm-2から約6.5nm-2、約3.0nm-2から約6.5nm-2、約4.0nm-2から約6.5nm-2、約5.0nm-2から約6.5nm-2、約5.5nm-2から約6.5nm-2、約5.6nm-2から約6.4nm-2、約5.7nm-2から約6.3nm-2、または約5.8nm-2から約6.2nm-2である。
【0039】
いくつかの実施形態では、砥粒表面上の平均シラノール基密度は、約2.0nm-2以上、約2.5nm-2以上、約3.0nm-2以上、約3.5nm-2以上、約4.0nm-2以上、約4.5nm-2以上、約5.0nm-2以上、約5.5nm-2以上、あるいは、約5.8nm-2以上である。この範囲であれば有用な研磨速度が得られる。いくつかの実施形態では、砥粒表面上の平均シラノール基密度は、6.5nm-2以下、6.4nm-2以下、6.3nm-2以下、6.2nm-2以下、6.1nm-2以下、6.0nm-2以下、5.9nm-2以下、あるいは、5.8nm-2以下である。
【0040】
いくつかの実施形態では、砥粒表面上の平均シラノール基密度は、約5nm-2から約6.5nm-2、約5.5nm-2から約6.5nm-2、約5.5nm-2から約6.3nm-2、約5.5nm-2から約6.2nm-2、約5.6nm-2から約6.0nm-2、または約5.7nm-2から約6.0nm-2である。
【0041】
いくつかの実施形態では、砥粒表面上の平均シラノール基密度は、約5.7nm-2から約6.5nm-2、約5.8nm-2から約6.5nm-2、約5.9nm-2から約6.4nm-2、または約6.0nm-2から約6.3nm-2である。
【0042】
なお、平均シラノール基密度の下限は一般に0である。
【0043】
砥粒の単位表面積あたりのシラノール基の数量は、G.W.Sears著、Analytical Chemistry、vol.28、No.12、1956、1982~1983に記載される中和滴定を使用した、シアーズ法によって計算することができる。シラノール基の数量の計算式は以下の方程式によって計算される。
【0044】
ρ=(c×a×N)/(C×S)
ρ:シラノール基の数量[カウント数/nm
c:滴定に使用される水酸化ナトリウム水溶液濃度[mol/L]
a:滴下されるpH4からpH9まで変化させるのに必要な水酸化ナトリウム水溶液量[mL]
:アボガドロ数(6.022×1023[カウント数/mol])
C:シリカ量[g]
S:BET比表面積[nm/g]
砥粒の単位表面積あたりのシラノール基の数量は、砥粒を製造する方法を選択することなどによって制御することができる。
【0045】
さらに、砥粒は、平均シラノール基密度が上記の範囲内である限り、表面修飾することができる。特にコロイダルシリカ上への有機酸の固定化が好ましい。そのような有機酸のコロイダルシリカ表面への固定化は、開示される研磨用組成物中に含有される陰イオン的に修飾されるコロイダルシリカを意味する。典型的には、固定化は、有機酸の官能基とコロイダルシリカの表面とを化学結合させることによって達成される。単にコロイダルシリカと有機酸とを共存させる、および/または互いに会合させるだけでは有機酸はコロイダルシリカに固定化されず、実際には物理的な結合が必要とされる。例えば、スルホン酸は、「チオール基の定量的酸化を通じたスルホン酸官能基含有シリカ(Sulfonic acid-functionalized silica through quantitative oxidation of thiol groups)」Chem.Commun.246~247(2003)に記載される通り、より具体的には、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのチオール基を有するシランカップリング剤とコロイダルシリカとを合わせ、続いてチオール基を過酸化水素で酸化させることで採用することができる通り、コロイダルシリカ上に固定化することができる1種の有機酸である。その場合にのみ、スルホン酸をコロイダルシリカの表面上に固定化することができる。代替方法として、例えばカルボン酸をコロイダルシリカの表面上に固定化する場合、このような方法は「シリカゲル表面へのカルボキシ基の導入のための新規の感光性2-ニトロベンジルエステル含有シランカップリング剤(Novel Silane Coupling Agents Containing a Photolabile 2-Nitrobenzyl Ester for Introduction of a Carboxy Group on the Surface of Silica Gel)」、Chemistry Letters、3、228~229(2000)に記載されており、採用することができる。より具体的には、感光性2-ニトロベンジルエステル含有シランカップリング剤をコロイダルシリカと組み合わせ、続いてコロイダルシリカに光を照射することによって、カルボン酸はコロイダルシリカの表面上に固定化される。
【0046】
開示される研磨用組成物中に存在する研磨剤の量は多様であり得る。いくつかの実施形態では、研磨用組成物中の研磨剤の量は、研磨用組成物の全重量に基づき、約0.1wt%以上、約0.5wt%以上、約1.0wt%以上、約2.0wt%以上、約3.0wt%以上、約4.0wt%以上、約5.0wt%以上、約6.0wt%以上、または約7wt%以上であるが、10wt%以下である。あるいは、またはさらに、研磨用組成物中の研磨剤の量は、研磨用組成物の全重量に基づき、約9wt%以下、約8.5wt%以下、約8wt%以下、約7wt%以下、約6wt%以下、約5wt%以下、約4wt%以下、約3wt%以下であるが、約2wt%以上とすることができる。いくつかの実施形態では、研磨用組成物中の研磨剤の量は、研磨用組成物の全重量に基づき、2wt%超、3wt%超、4wt%超、5wt%超、6wt%超、あるいは、6.5wt%超である。
【0047】
いくつかの実施形態では、研磨用組成物中の研磨剤の量は、研磨用組成物の全重量に基づき、約1wt%から約10wt%、約2wt%から約8.0wt%、約4wt%から約8.0wt%、または約4wt%から約6wt%の範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、研磨用組成物中の研磨剤の量は、研磨用組成物の全重量に基づき、約3wt%から約6.0wt%、約3wt%から約5wt%、3.5wt%から約4.5wt%、または約3.75wt%から約4.25wt%の範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、研磨用組成物中の研磨剤の量は、研磨用組成物の全重量に基づき、約4.0wt%である。
【0048】
いくつかの実施形態では、研磨用組成物中の研磨剤の量は、研磨用組成物の全重量に基づき、約5wt%から約10wt%、約6wt%から約9.0wt%、約7wt%から約9wt%、約7.5wt%から約8.5wt%、または約7.75wt%から約8.25wt%の範囲内とすることができる。いくつかの実施形態では、研磨用組成物中の研磨剤の量は、研磨用組成物の全重量に基づき、約8.0wt%である。
【0049】
いくつかの実施形態では、研磨剤の量は、酸窒化ケイ素(SiON)除去率等、研磨用組成物の性質に影響する。1つの実施形態では、研磨剤の量は、研磨用組成物の全重量に基づき、約4.0wt%から約8.0wt%である。
【0050】
研磨剤は任意の合理的な粒子径であってよいが、研磨剤の粒子径は得られる仕上げの平滑度に影響する。光部品、プラスチック、金属、宝石用原石、半導体部品などの精密研磨作業材料は、典型的には、より小さい粒子径の研磨剤の使用が伴われる。例えば、精密研磨に関連して使用するための組成物は、より小さい平均粒子径の研磨剤を懸濁が伴われる。
【0051】
1つの実施形態では、研磨剤はコロイダルシリカである。いくつかの実施形態では、研磨剤は実質的にコロイダルシリカを含む。本明細書に使用される通り、「実質的に」は、研磨剤を構成する95重量%以上、好ましくは98重量%以上、より好ましくは99重量%以上の粒子がコロイダルシリカであることを意味し、100重量%の粒子がコロイダルシリカであることが含まれる。当該コロイダルシリカは有機酸(例えばスルホン酸)で表面を修飾されていることが好ましい。
【0052】
研磨剤は本明細書に開示される組成物中に懸濁され、コロイド状で安定する。用語コロイドは、研磨剤粒子の液体担体内での懸濁を指す。コロイド的安定性は、経時的な懸濁の持続を指す。いくつかの実施形態では、懸濁は少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、または7日間、安定する。いくつかの実施形態では、懸濁は少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、または少なくとも4週間、安定する。
【0053】
本発明の文脈において、シリカを100mLメスシリンダーの中に入れて撹拌なしで2時間放置した場合に、メスシリンダーの下部50mL中の粒子濃度(g/mLを単位とする[B])とメスシリンダーの上部50mL中の粒子濃度(g/mLを単位とする[T])との間の差を研磨剤組成物中の全粒子濃度(g/mLを単位とする[C])で割った値(すなわち([B]-[T])/[C])が0.5以下である場合、研磨剤の懸濁はコロイド状で安定していると考えられる。([B]-[T])/[C])の値は、望ましくは0.3以下、好ましくは0.1以下である。
【0054】
2.添加剤
本明細書に記載される研磨用組成物は添加剤を含有する。いくつかの実施形態では、添加剤はアミノアルキルアルコールである。アミノアルキルアルコール中に存在する炭素原子の数量は多様であり得る。いくつかの実施形態では、アミノアルキルアルコールは、少なくとも3つの炭素原子、少なくとも5つの炭素原子、少なくとも6つの炭素原子、少なくとも8つの炭素原子、または少なくとも10の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、アミノアルキルアルコールは、(C2~C12)アミノアルキルアルコール、(C3~C12)アミノアルキルアルコール、(C4~C12)アミノアルキルアルコール、(C5~C10)アミノアルキルアルコール、(C6~C10)アミノアルキルアルコール、または(C8~C10)アミノアルキルアルコールから選択される。いくつかの実施形態では、アミノアルキルアルコールの少なくとも1つの炭素原子は、1つまたは複数の置換基(例えば、ハロ、-COOH、-SOH、-OCF等)と置換される。いくつかの実施形態では、アミノアルキルアルコールの炭素原子は全て非置換である。
【0055】
アミノアルキルアルコールは少なくとも1つの水酸基を有する。いくつかの実施形態では、アミノアルキルアルコールは1つの水酸基を有する。いくつかの実施形態では、アミノアルキルアルコールは2つの水酸基を有する。いくつかの実施形態では、アミノアルキルアルコールは3つの水酸基を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの水酸基は第一級水酸基である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの水酸基は第二級水酸基である。
【0056】
アミノアルキルアルコールは様々な比率で炭素原子および酸素原子を含有することができる。いくつかの実施形態では、アミノアルキルアルコールは、炭素原子の対酸素原子の比率が約5:2から約10:1、約6:1から約10:1、または約8:1から約10:1である。いくつかの実施形態では、アミノアルキルアルコールは、炭素原子の対酸素原子の比率が約5:2から約8:1、約6:1から約8:1、または約5:2から約6:1である。いくつかの実施形態では、アミノアルキルアルコールは、炭素原子の対酸素原子の比率が約2.0以上、約2.5以上、約3.0以上、約4.0以上、約5.0以上、約6.0以上、約7.0以上、約8.0以上、または約9.0以上である。
【0057】
アミノアルキルアルコールは少なくとも1つの窒素原子を有する。いくつかの実施形態では、アミノアルキルアルコールは1つの窒素原子を有する。いくつかの実施形態では、アミノアルキルアルコール中に存在する窒素原子はアミノ基である。いくつかの実施形態では、アミノ基は第一級アミノ基、第二級アミノ基、または第三級アミノ基である。
【0058】
アミノアルキルアルコールは様々な比率で炭素原子および窒素原子を含有することができる。いくつかの実施形態では、アミノアルキルアルコールは、炭素原子の対窒素原子の比率が約5:1から約10:1、約6:1から約10:1、または約8:1から約10:1である。いくつかの実施形態では、アミノアルキルアルコールは、炭素原子の対窒素原子の比率が約5:1から約8:1、約6:1から約8:1、または約5:1から約6:1である。いくつかの実施形態では、アミノアルキルアルコールは、炭素原子の対窒素原子の比率が約2.0以上、約3.0以上、約4.0以上、約5.0以上、約6.0以上、約7.0以上、約8.0以上、または約9.0以上である。
【0059】
いくつかの実施形態では、アミノアルキルアルコールの炭素原子の対窒素原子または対酸素原子の比率は多様であり得る。いくつかの実施形態では、アミノアルキルアルコールは、炭素原子の対窒素原子または対酸素原子の比率が約1.0以上、約2.0以上、約3.0以上、約4.0以上、約5.0以上、約6.0以上、約7.0以上、約8.0以上、または約9.0以上である。
【0060】
いくつかの実施形態では、炭素原子の対窒素原子または対酸素原子の比率が、約20以下、約19以下、約18以下、約17以下、約16以下、約15以下、約14以下、約13以下、約12以下、約11以下、約10以下、約9以下、または約8以下である。
【0061】
いくつかの実施形態では、アミノアルキルアルコールの炭素原子の対窒素原子または対酸素原子の比率は1~12、4~11、7~11、あるいは、8~10である。
【0062】
いくつかの実施形態では、前記アミノアルキルアルコールが、N(R)(R)(R)で示され、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、および、水酸基で置換されてもよいアルキル基から選択され、ここで、i)R、RおよびRの少なくとも1つが1つ以上の水酸基で置換されたアルキル基であり、かつ、ii)R、RおよびRの少なくとも1つが無置換のアルキル基、あるいは、R、RおよびRの少なくとも2つが水素原子である。いくつかの実施形態では、水酸基で置換されてもよいアルキル基、および、無置換のアルキル基における炭素数は、それぞれ独立して、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、あるいは、8以上である。いくつかの実施形態では、水酸基で置換されてもよいアルキル基、および、無置換のアルキル基における炭素数は、20以下、18以下、16以下、14以下、12以下、10以下、あるいは、9以下である。いくつかの実施形態では、R、RおよびRのうち、1つまたは2つが水酸基で置換されたアルキル基である。いくつかの実施形態では、前記水酸基で置換されたアルキル基が4級炭素を含まない。いくつかの実施形態では、アミノアルキルアルコールは4級炭素を含まない。いくつかの実施形態では、R、RおよびRの1つまたは2つが2級水酸基を含む。いくつかの実施形態では、前記アミノアルキルアルコールが、2級水酸基を含む。いくつかの実施形態では、前記水酸基で置換されたアルキル基が4級炭素を含む場合、当該水酸基で置換されたアルキル基は2つ以上の水酸基を含む。いくつかの実施形態では、前記R、RおよびRの少なくとも1つが、水酸基で置換されてもよい炭素数6以上のアルキル基である。いくつかの実施形態では、アミノアルキルアルコールは、1級アミンであり、かつ、2級水酸基を有する。いくつかの実施形態では、当該アミノアルキルアルコールの炭素数は5以上あるいは6以上であり、12以下あるいは10以下である。いくつかの実施形態では、アミノアルキルアルコールは、2級アミンであり、炭素数6以上の無置換のアルキル基を有する。いくつかの実施形態では、当該アミノアルキルアルコールは炭素数1~4の水酸基で置換されたアルキル基を有する。 いくつかの実施形態で、R、R、Rのうち3つとも水酸基で置換されてもよいアルキル基である場合、当該水酸基で置換されてもよいアルキル基のうち好ましくは1つ以上、より好ましくは2つ以上、さらに好ましくは3つが直鎖状である。いくつかの実施形態では、R、R、Rのうち2つが水酸基で置換されてもよいアルキル基である場合、当該水酸基で置換されてもよいアルキル基のうち好ましくは1つ以上、より好ましくは2つが直鎖状である。いくつかの実施形態で、R、R、Rのうち1つが水酸基で置換されてもよいアルキル基である場合、それは4級炭素を含まない。このように、アミノアルキルアルコールが直鎖または直鎖に近い単純な構造を持つことによって、(メカニズムは推測でありこれに限定されないが)アミノアルキルアルコールの立体障害を抑制でき、被研磨対象への吸着効果を向上することができ、本発明の所期の効果を効率的に奏することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、添加剤(すなわちアミノアルキルアルコール)は、1-アミノ-2-オクタノール、1-アミノ-2-プロパノール、1-アミノ-2-ブタノール、1-アミノ-3-オクタノール、2-アミノ-1-オクタノール、3-アミノ-4-オクタノール、8-アミノ-1-オクタノール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール(VOX)、2-ジエチルエタノールアミン、および2-(オクチルアミノ)エタノールからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、アミノアルキルアルコールは3-アミノ-4-オクタノールである。
【0064】
研磨用組成物中に存在する添加剤の量は多様であり得る。いくつかの実施形態では、添加剤は、研磨用組成物の全重量に基づき、約0.1wt%から約0.5wt%、約0.15wt%から約0.45wt%、約0.18wt%から約0.40wt%、約0.18wt%から約0.36wt%、約0.21wt%から約0.36wt%、約0.24wt%から約0.36wt%、または約0.31wt%から約0.36wt%の範囲の量で研磨用組成物中に存在する。
【0065】
いくつかの実施形態では、添加剤は、研磨用組成物の全重量に基づき、約0.20wt%から約0.40wt%、約0.24wt%から約0.40wt%、約0.30wt%から約0.40wt%、約0.35wt%から約0.40wt%の範囲の量で研磨用組成物中に存在する。
【0066】
いくつかの実施形態では、添加剤は、研磨用組成物の全重量に基づき、約0.10wt%から約0.31wt%、約0.15wt%から約0.31wt%、約0.15wt%から約0.25wt%、約0.18wt%から約0.25wt%、約0.20wt%から約0.25wt%、または約0.21wt%から約0.24wt%の範囲の量で研磨用組成物中に存在する。
【0067】
いくつかの実施形態では、添加剤は、研磨用組成物の全重量に基づき、約0.10wt%以上、約0.15wt%以上、約0.18wt%以上、約0.20wt%以上、約0.24wt%以上、または約0.30wt%以上の量で研磨用組成物中に存在する。あるいは、またはさらに、研磨用組成物中に存在する添加剤の量は、研磨用組成物の全重量に基づき、約0.40wt%以下、約0.38wt%以下、約0.36wt%以下、約0.32wt%以下、約0.30wt%以下、約0.28wt%以下、約0.26wt%以下、約0.24wt%以下、約0.20wt%以下であり得る。この範囲内であれば有用な研磨速度、研磨後の残渣低減および安定性に効果がある。
【0068】
いくつかの実施形態では、添加剤は、研磨用組成物の全重量に基づき、0.18wt%超、0.19wt%超、0.24wt%超、0.25wt%以上、0.26wt%以上、0.28wt%以上、0.30wt%以上、0.32wt%以上、あるいは、0.34wt%以上の量で研磨用組成物中に存在する。この範囲内であれば有用な研磨速度が得られる。
【0069】
3.pH調整剤
研磨用組成物は、pHを制御するために少なくとも1つのpH調整剤を含有する。いくつかの実施形態では、pH調整剤は本質的に酸性でよい。酸の選択は、酸性度が本発明の研磨用組成物のpHを低下させるのに十分であれば、特に限定されない。
【0070】
酸のpH調整剤は無機酸でも有機酸でもよい。例えば、限定はされないが、そのような無機酸には、塩酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、炭酸、次亜リン酸、亜リン酸、リン酸が含まれる。いくつかの実施形態では、pH調整剤は硝酸である。
【0071】
例えば、限定はされないが、そのような有機酸には、ギ酸、酢酸、クロロ酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、吉草酸、2-メチル酪酸、n-ヘキサン酸、3,3-ジメチルブタン酸、2-エチルブタン酸、4-メチルペンタン酸、n-ヘプタン酸、2-メチルヘキサン酸、n-オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸塩、クエン酸、乳酸、ジグリコール酸、2-フランカルボン酸、3-フランカルボン酸、2-テトラヒドロフランカルボン酸、メトキシ酢酸、メトキシフェニル酢酸、およびフェノキシ酢酸が含まれる。そのような有機酸には、限定はされないが、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、およびイセチオン酸などの有機硫酸も含まれる。
【0072】
別の実施形態では、pH調整剤は酸性薬剤と塩基性薬剤との混合物(緩衝剤など)でもよい。そのような実施形態では、塩基性薬剤の選択肢は、塩基性度が本発明の研磨用組成物のpHを調節するのに十分であれば、特に限定されない。例えば、塩基性薬剤はアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、様々な炭酸塩、重炭酸塩など、無機塩基性化合物とすることができる。そのような塩基性化合物は、単独に、またはそれらの2つ以上の種類の組合わせで使用してもよい。
【0073】
アルカリ金属水酸化物の具体的な例には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウムなどが含まれる。炭酸塩および重炭酸塩の具体的な例には、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが含まれる。
【0074】
別の実施形態では、pH調整剤は、リン酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩などを含有する緩衝剤でもよい。
【0075】
pH調整剤の量は可変であり、典型的には、研磨用組成物の所望のpHを達成および/または維持するのに十分な量、例えば本明細書に記載される範囲内の量である。
【0076】
1つの実施形態では、研磨用組成物のpHは、約1.0から約3.0、約1.25から約2.80、約1.50から約2.75、約1.50から約2.50、約1.60から約2.40、約1.70から約2.30、約1.75から約2.25、約1.80から約2.20、約1.85から約2.15、または約1.90から約2.10の範囲に調整される。
【0077】
1つの実施形態では、研磨用組成物のpHは、約1.0より高く、約1.25より高く、約1.50より高く、約1.75より高く、約1.85より高く、約2.0より高く、約2.25より高く、約2.50より高く、または約2.75より高くて、約3.0以下に調整される。
【0078】
いくつかの実施形態では、研磨用組成物のpHは、約3.00以下、約2.50以下、約2.25以下、約2.00以下、約1.75以下、約1.50以下、または約1.25以下で、約1.00以上に調整される。
【0079】
いくつかの実施形態では、研磨用組成物のpHは、約3.00、約2.75、約2.50、約2.25、約2.00、約1.75、または約1.50である。いくつかの実施形態では、研磨用組成物のpHは、3未満である。いくつかの実施形態では、研磨用組成物のpHは、2.9以下、2.7以下、2.5以下、2.3以下、あるいは、2.1以下である。
【0080】
pH調整剤は、pHにかかわらず特定の濃度範囲で存在してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、pH調整剤の量は、約0.0001wt%から約1.0wt%、約0.001wt%から約1.0wt%、約0.01wt%から約1.0wt%、または約0.1wt%から約1.0wt%の範囲内である。別の実施形態では、pH調整剤の量は、約0.01wt%から約0.8wt%、約0.01wt%から約0.6wt%、約0.01wt%から約0.5wt%、約0.01wt%から約0.2wt%、または約0.01wt%から約0.1wt%の範囲内である。別の実施形態では、pH調整剤の量は、約0.01wt%から約0.75wt%、約0.10wt%から約0.75wt%、約0.25wt%から約0.75wt%、または約0.50wt%から約0.75wt%の範囲内である。いくつかの実施形態では、pH調整剤の量は、少なくとも約0.0001wt%、少なくとも約0.001wt%、少なくとも約0.01wt%、少なくとも約0.10wt%、少なくとも約0.2wt%、少なくとも約0.3wt%、または少なくとも約0.4wt%であるが、約0.5wt%以下の量で存在する。いくつかの実施形態では、pH調整剤は、約0.75wt%未満、約0.65wt%未満、約0.50wt%未満、約0.25wt%未満、約0.10wt%未満、または約0.05wt%未満であるが、約0.01wt%以上の量で存在する。いくつかの実施形態では、pH調整剤は、約0.01wt%、約0.025wt%、約0.05wt%、約0.075wt%、約0.10wt%、約0.20wt%、約0.30wt%、または約0.40wt%であるが、約0.50wt%以下の量で存在する。
【0081】
しかし、研磨用組成物では、イオン量が選択比に悪影響を及ぼすであろうことから、pH調整剤を過度に使用しない方が好ましい。
【0082】
4.水
1つの実施形態では、本明細書に開示される研磨用組成物は、液体担体を含む。1つの実施形態では、液体担体は水である。水としてイオン交換水(脱イオン水)、純水、超純水、蒸留水などが使用されてよい。水に存在する不要な成分の量を低減するために、水の純度を、イオン交換樹脂を用いた不純物イオンの除去、フィルターを用いた汚染物質の除去、および/または蒸留等の作業によって高めることができる。いくつかの実施形態では、組成物に含まれる液体担体のうち、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、98重量%以上、あるいは、99重量%以上が、水である(上限は、100重量%)。
【0083】
いくつかの実施形態では、水には比較的に不純物がない。いくつかの実施形態では、水は、水の全重量に基づき、約10%w/w未満、約9%w/w未満、約8%w/w未満、約7%w/w未満、約6%w/w未満、約5%w/w未満、約4%w/w未満、約3%w/w未満、約2%w/w未満、約1%w/w未満、約0.9%w/w未満、約0.8%w/w未満、約0.7%w/w未満、約0.6%w/w未満、約0.5%w/w未満、約0.4%w/w未満、約0.3%w/w未満、または約0.1%w/w未満の不純物を含有する。
【0084】
5.追加成分
1つの実施形態では、本明細書に開示される研磨用組成物は、酸化剤、高分子凝集剤、キレート剤、殺生物剤、界面活性剤、希釈剤、または助溶剤などの追加成分を含有してよい。追加として、または代替として、本明細書に開示される組成物には、当業者によって理解されるであろう通りの他の添加剤も含めることができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、追加成分には酸化剤を含めることができる。酸化剤の非限定的な例には、過ヨウ素酸、過酸化水素、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸塩(例えば、過硫酸アンモニウムおよび二過硫酸カリウム)、過ヨウ素酸塩(例えば、過ヨウ素酸カリウム)、モリブデン酸アンモニウム、硝酸第二鉄、硝酸、硝酸カリウム、およびそれらの混合物が含まれる。酸化剤の量は、約0.1wt%から約10.0wt%、約0.25wt%から約3.0wt%、または約0.5wt%から約1.5wt%の範囲でよい。
【0086】
別の実施形態では、研磨用組成物は酸化剤なしである。本明細書に使用される通りの用語「酸化剤なし」は、当技術分野で酸化剤として使用されると知られている化合物を研磨用組成物が含有しないことを意味する。
【0087】
1つの実施形態では、高分子凝集剤は、プルランなどの多糖類である。プルランは、3つのα-1,4結合グルコース分子からなるマルトトリオース単位で構成され、さらに1,6結合で連結される。1つの実施形態では、プルランは、10,000から1,000,000の範囲の重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、プルランは濃度が例えば約0.02wt%など、約0.01wt%から約0.05wt%の範囲内で研磨用組成物中に存在する。
【0088】
別の実施形態では、研磨用組成物は高分子凝集剤なしである。本明細書に使用される通りの用語「高分子凝集剤なし」は、当技術分野で炭水化物として知られる化合物を研磨用組成物が含有しないことを意味する。
【0089】
1つの実施形態では、追加成分にはキレート剤を含めることができる。用語キレート剤は、銅などの金属を水溶液の存在下でキレート化する任意の物質を意味することが意図される。キレート剤の非限定的な例には、グリシン、アラニン、クエン酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、フタル酸、コハク酸、ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)(NTMP)、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMP)などの、無機酸、有機酸、アミン、およびアミノ酸が含まれる。
【0090】
別の実施形態では、研磨用組成物はキレート剤なしである。本明細書に使用される通りの用語「キレート剤なし」は、当技術分野でキレート剤として知られている化合物を研磨用組成物が含有しないことを意味する。キレート剤の非限定的な例には、上述のような化合物が含まれる。
【0091】
1つの実施形態では、追加成分は殺生物剤でもよい。殺生物剤の非限定的な例には、第四級アンモニウム化合物、および塩素化合物が含まれる。第四級アンモニウム化合物のより具体的な例には、限定はされないが、メチルイソチアゾリノン、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、および水酸化アルキルベンジルジメチルアンモニウムが含まれ、アルキル鎖は1から約20の炭素原子の範囲である。塩素化合物のより具体的な例には、限定はされないが、亜塩素酸ナトリウムおよび次亜塩素酸ナトリウムが含まれる。追加の殺生物剤の例には、ビグアナイド、アルデヒド、酸化エチレン、イソチアゾリノン、ヨードホール、DuPont社のKordek(商標)MLX(2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの水性組成物)、Dow Chemicals社から市販されるKATHON(商標)製品群およびNEOLENE(商標)製品群、ならびにLanxess社のPreventol(商標)製品群が含まれる。1つの実施形態では、殺生物剤はKordek(商標)MLXである。研磨用組成物中で使用される殺生物剤の量は、約0.00005wt%から0.001wt%または約0.0001wt%から0.0005wt%の範囲でよい。いくつかの実施形態では、殺生物剤は、約0.0001wt%、約0.00013wt%、または約0.00015wt%の量で存在する。
【0092】
別の実施形態では、追加成分には界面活性剤を含めることができる。界面活性剤は、アニオン系、カチオン系、非イオン径、または双性イオン系でよく、溶媒または組成物の潤滑性を高めることができる。界面活性剤の非限定的な例は、ドデシル硫酸塩、ナトリウム塩またはカリウム塩、ラウリル硫酸塩、第二アルカンスルホン酸塩、アルコールエトキシレート、アセチレン系ジオール界面活性剤、第四級アンモニウム系界面活性剤、ベタインおよびアミノ酸誘導体系界面活性剤などの両性界面活性剤、ならびにそれらの組合わせである。適切な市販の界面活性剤の例には、Dow Chemicals社によって製造されるTRITON(商標)、TERGITOL(商標)、およびDOWFAX(商標)界面活性剤製品群が含まれる。適切な界面活性剤には、酸化エチレン(EO)グループと酸化プロピレン(PO)グループとを含む重合体も含めることができる。EO-PO重合体の例は、BASF Chemicals社のTETRONIC(商標)90R4である。研磨用組成物で使用される界面活性剤の量は、約0.0005wt%から0.15wt%、好ましくは0.001wt%から0.05wt%、より好ましくは0.0025wt%から0.025wt%の範囲でよい。
【0093】
別の実施形態では、追加成分には、助溶剤と呼ばれる他の溶剤を含めることができる。助溶剤の非限定的な例には、限定はされないが、アルコール(メタノールやエタノールなど)、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アルカン、ジメチルホルムアミド、トルエン、ケトン(アセトンなど)、アルデヒド、およびエステルが含まれる。助溶剤の他の非限定的な例には、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン、アセトニトリル、グリコール、およびそれらの混合物が含まれる。助溶剤は、好ましくは下限である、約0.0001、0.001、0.01、0.1、0.5、1、5、または10%(wt%)から上限である、約0.001、0.01、0.1、1、5、10、15、20、25、または35%(wt%)までの様々な量で採用されてよい。
【0094】
本明細書に記載される通り、研磨用組成物は、種類と量との両方において、その組成物中の成分によって大きく影響される、特異的な性質を有する。したがって、所望の性質を維持するために、いくつかの材料を組成物から除外する必要があり得る。
【0095】
本発明の研磨用スラリーは、任意の適切な技術によって調製することができ、その多くが当業者に知られている。研磨用組成物は、バッチ式加工または連続式加工で調製することができる。一般に、研磨用組成物は、本明細書に開示される成分を任意の順序で組み合わせることによって調製することができる。本明細書に使用される通りの用語「成分」には、個々の材料(例えば研磨剤、添加剤など)ならびに材料の任意の組合わせが含まれる。例えば、研磨剤は水中に分散させることができ、添加剤および他の任意の添加材料は、成分を研磨用組成物の中に組み込むことが可能な任意の方法によって添加および混合することができる。さらにpHは、必要に応じて、適切な任意の時間に酸または緩衝剤を添加することによって、適宜に調整することができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、調製される研磨用組成物は、希釈剤でさらに希釈することができる。いくつかの実施形態では、希釈剤は水である。調製される研磨用組成物に添加される希釈剤の量は多様であり得る。いくつかの実施形態では、研磨用組成物に添加される希釈剤の量は、少なくとも約1倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、または約10倍であり、各倍率は希釈前の研磨用組成物の全量に基づく。いくつかの実施形態では、研磨用組成物に添加される希釈剤の量は、約1倍から約10倍、約1倍から約8倍、約1倍から約6倍、約1倍から約4倍、約1倍から約3倍、または約2倍であり、各倍率は希釈前の研磨用組成物の全量に基づく。いくつかの実施形態では、研磨用組成物に添加される希釈剤の量は、約2倍から約10倍、約4倍から約10倍、約6倍から約10倍、または約8倍から約10倍であり、各倍率は希釈前の研磨用組成物の全量に基づく。いくつかの実施形態では、研磨用組成物に添加される希釈剤の量は、希釈前の研磨用組成物の量に基づき、約2倍から約8倍、約4倍から約8倍、約6倍から約8倍、約2倍から約6倍、または約2倍から約4倍である。いくつかの実施形態では、研磨用組成物に添加される希釈剤の量は、希釈前の研磨用組成物の量に基づき、約1倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、または約10倍である。
【0097】
したがって、本明細書に記載される研磨用組成物は、SiON除去率におけるその能力によって例証される、特異的な性質を有する。
【0098】
本明細書に開示される研磨用組成物について、研磨用組成物は、少なくとも約250Å/分以上、少なくとも約275Å/分以上、少なくとも約300Å/分以上、少なくとも約325Å/分以上、少なくとも約350Å/分以上、少なくとも約375Å/分以上、少なくとも約400Å/分以上、少なくとも約450Å/分以上、少なくとも約500Å/分以上、少なくとも約550Å/分以上、少なくとも約600Å/分以上、少なくとも約625Å/分以上、少なくとも約650Å/分以上、少なくとも約675Å/分以上、少なくとも約700Å/分以上、少なくとも約725Å/分以上、少なくとも約750Å/分以上、少なくとも約775Å/分以上、少なくとも約800Å/分以上、少なくとも約825Å/分以上、少なくとも約850Å/分以上、少なくとも約875Å/分以上、少なくとも約900Å/分以上、少なくとも約925Å/分以上、少なくとも約950Å/分以上、少なくとも約975Å/分以上、少なくとも約1,000Å/分以上、少なくとも約1,025Å/分以上、少なくとも約1,050Å/分以上、少なくとも約1,075Å/分以上、少なくとも約1,100Å/分以上、少なくとも約1,125Å/分以上、少なくとも約1,150Å/分以上、少なくとも約1,175Å/分以上、少なくとも約1,200Å/分以上、少なくとも約1,225Å/分以上、または少なくとも約1,250Å/分以上の酸窒化ケイ素(SiON)除去率を有する。
【0099】
いくつかの実施形態では、研磨用組成物は、約250Å/分から約1,300Å/分、約300Å/分から約1,275Å/分、約300Å/分から約1,025Å/分、約300Å/分から約1,000Å/分、約300Å/分から約900Å/分、約300Å/分から約875Å/分、約300Å/分から約800Å/分、約300Å/分から約755Å/分、約300Å/分から約500Å/分、約300Å/分から約400Å/分、または約300Å/分から約325Å/分の範囲の酸窒化ケイ素(SiON)除去率を有する。
【0100】
いくつかの実施形態では、研磨用組成物は、約250Å/分から約1,260Å/分、約250Å/分から約1,150Å/分、約250Å/分から約1,025Å/分、約250Å/分から約950Å/分、約250Å/分から約850Å/分、約250Å/分から約755Å/分、約250Å/分から約500Å/分、約250Å/分から約400Å/分、または約250Å/分から約350Å/分の範囲の酸窒化ケイ素(SiON)除去率を有する。
【0101】
いくつかの実施形態では、研磨用組成物は、約300Å/分から約1,300Å/分、約500Å/分から約1,300Å/分、約700Å/分から約1,300Å/分、約800Å/分から約1,300Å/分、約850Å/分から約1,300Å/分、約900Å/分から約1,300Å/分、約950Å/分から約1,300Å/分、約975Å/分から約1,300Å/分、または約1,000Å/分から約1,300Å/分の範囲の酸窒化ケイ素(SiON)除去率を有する。
【0102】
したがって、本明細書に記載される通り、いくつかの実施形態では、研磨用組成物は研磨剤、添加剤、および水を含み、研磨剤は陰イオン的に修飾されたコロイダルシリカであり、添加剤はアミノアルキルアルコールであって、研磨用組成物のpHは約2.5未満である。
【0103】
上記の任意の実施形態にある通り、研磨用組成物は、陰イオン的に修飾されたコロイダルシリカが約20nmから約70nmの範囲の中間粒子径を有する。
【0104】
上記の任意の実施形態にある通り、研磨用組成物は、陰イオン的に修飾されたコロイダルシリカが約15nmから約25nmの範囲の中間粒子径を有する。
【0105】
上記の任意の実施形態にある通り、研磨用組成物は、陰イオン的に修飾されたコロイダルシリカが約1個/nmから約6.5個/nmの範囲のシラノール密度を有する。
【0106】
上記の任意の実施形態にある通り、研磨用組成物は、コロイダルシリカが約5.8個/nmから約6.2個/nmの範囲のシラノール密度を有する。
【0107】
上記の任意の実施形態にある通り、研磨用組成物は、陰イオン的に修飾されたコロイダルシリカがその表面上にスルホン酸、カルボン酸、およびそれらの組合わせからなる群から選択される陰イオン性官能基で修飾される。
【0108】
上記の任意の実施形態にある通り、研磨用組成物は、研磨剤が約4wt%から約8wt%の範囲の濃度で存在する。
【0109】
上記の任意の実施形態にある通り、研磨用組成物は、アミノアルキルアルコールが(C6~C10)アミノアルキルアルコールである。
【0110】
上記の任意の実施形態にある通り、研磨用組成物は、アミノアルキルアルコールが少なくとも1つの水酸基を有する。
【0111】
上記の任意の実施形態にある通り、研磨用組成物は、アミノアルキルアルコールが1.14以上の炭素原子の対窒素原子または対酸素原子の比率を有する。
【0112】
上記の任意の実施形態にある通り、研磨用組成物は、アミノアルキルアルコールが4以上の炭素原子の対窒素原子または対酸素原子の比率を有する。
【0113】
上記の任意の実施形態にある通り、研磨用組成物は、アミノアルキルアルコールが約6:1から約10:1の炭素原子の対窒素原子の比率を有する。
【0114】
上記の任意の実施形態にある通り、研磨用組成物は、アミノアルキルアルコールが3-アミノ-4-オクタノール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-ジエチルエタノールアミン、および2-(オクチルアミノ)エタノールからなる群から選択される。
【0115】
上記の任意の実施形態にある通り、研磨用組成物は、アミノアルキルアルコールが約0.20wt%から約0.40wt%の濃度で存在する。
【0116】
上記の任意の実施形態にある通り、研磨用組成物は、pH範囲が約2.0から約2.5の範囲内である。
【0117】
上記の任意の実施形態にある通り、研磨用組成物は、pH調整剤をさらに含む。
【0118】
上記の任意の実施形態にある通り、研磨用組成物は、pH調整剤が酸である。
【0119】
上記の任意の実施形態にある通り、研磨用組成物は、pH調整剤が硝酸である。
【0120】
上記の任意の実施形態にある通り、研磨用組成物は、その研磨用組成物が約0.01wt%から約0.5wt%の範囲の量で存在するpH調整剤をさらに含む。
【0121】
上記の任意の実施形態にある通り、研磨用組成物は、その研磨用組成物が少なくとも1週間の間、安定する。1つの実施形態では、組成物のpHは、少なくとも1週間の期間の後も変化しないままである。別の実施形態では、組成物の電気伝導度(EC)は、少なくとも1週間の期間の後も変化しないままである。いくつかの実施形態では、POU(客が使用する場合の使用時点)での電気伝導度は、ゼロより大きく約0.01mS/cmまで、ゼロより大きく約0.05mS/cmまで、ゼロより大きく約0.1mS/cmまで、ゼロより大きく約0.3mS/cmまで、ゼロより大きく約0.5mS/cmまで、ゼロより大きく約0.75mS/cmまで、またはゼロより大きく約1.0mS/cmまでである。いくつかの実施形態では、電気伝導度は、約0.01mS/cmから約5.0mS/cm、約0.5mS/cmから約3mS/cm、または約1mS/cmから約2mS/cmである。いくつかの実施形態では、電気伝導度は、約0.02、0.05、0.10、0.15、0.2、0.3、0.5、0,6、0,7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.5、3.0、または4.5mS/cmである。いくつかの実施形態では、POUでの電気伝導度の上限は、約5mS/cm、約4mS/cm、約3mS/cm、約2mS/cm、約1mS/cmである。
【0122】
さらなる実施形態では、電気伝導度は、約0.5mS/cmから約3.0mS/cmの範囲内である。
【0123】
さらに、いくつかの実施形態では、研磨用組成物は研磨剤、添加剤、および水を含み、研磨剤は約4wt%から約8wt%の範囲の濃度で存在する陰イオン的に修飾されたコロイダルシリカであり、添加剤は約0.20wt%から約0.40wt%の濃度で存在する(C6~C10)アミノアルキルアルコールであって、研磨用組成物のpHは約2.5以下である。
【0124】
追加の実施形態では、研磨用組成物は研磨剤、添加剤、および水を含み、研磨剤は約20nmから約70nmの範囲の中間粒子径と約5.8個/nmから約6.2個/nmの範囲のシラノール密度とを有する陰イオン的に修飾されたコロイド状であり、添加剤は3-アミノ-4-オクタノール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-ジエチルエタノールアミン、および2-(オクチルアミノ)エタノールからなる群から選択されるアミノアルキルアルコールであって、研磨用組成物のpHは約2.0から約2.5の範囲である。
【0125】
上記の任意の実施形態にある通り、研磨用組成物は、約250Å/分から約1300Å/分の範囲のSiON除去率を有する。
【0126】
上記の任意の実施形態にある通り、研磨用組成物は、約850Å/分から約1300Å/分の範囲のSiON除去率を有する。
【0127】
上記の任意の実施形態にある通り、研磨用組成物は、約250Å/分から約850Å/分の範囲のSiON除去率を有する。
【0128】
上記の任意の実施形態にある通り、研磨用組成物は、pH調整剤が約0.01wt%から約0.50wt%の範囲の量で存在する。
【0129】
C.研磨用組成物を使用する方法
本明細書に記載される研磨用組成物は、適切な任意の基板を研磨するのに有用である。1つの実施形態では、研磨される基板は、少なくとも1つの酸窒化ケイ素層を含む、適切な任意の基板であり得る。適切な基板には、限定はされないが、反射防止膜、多結晶太陽電池、テレコム機器、半導体、微小電子機器システム、シリコンフォトニクス、および光電子回路が含まれる。
【0130】
本明細書に開示される主題はまた、本明細書に記載される研磨用組成物を用いて基板を研磨する方法を含む。基板を研磨する方法は、(a)基板を提供することと、(b)本明細書に記載される研磨用組成物を提供することと、(c)研磨用組成物を基板の少なくとも一部分に塗布することと、(d)基板の少なくとも一部分を研磨用組成物で擦って基板を研磨することとを含む。
【0131】
基板を研磨する方法では、その方法は、ステップ(b)で提供される研磨用組成物を希釈剤で、各倍率がステップ(b)の研磨用組成物の全量に基づき、少なくとも約1倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、または約10倍に希釈するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、ステップ(b)で提供される研磨用組成物は、各倍率がステップ(b)の研磨用組成物の全量に基づき、約1倍から約10倍、約1倍から約8倍、約1倍から約6倍、約1倍から約4倍、約1倍から約3倍、または約2倍に希釈される。いくつかの実施形態では、ステップ(b)で提供される研磨用組成物は、約2倍から約10倍、約4倍から約10倍、約6倍から約10倍、または約8倍から約10倍に希釈される。いくつかの実施形態では、研磨組成物、ステップ(b)で提供される研磨用組成物は、ステップ(b)の研磨用組成物の全量に基づき、約2倍から約8倍、約4倍から約8倍、約6倍から約8倍、約2倍から約6倍、または約2倍から約4倍に希釈される。いくつかの実施形態では、ステップ(b)で提供される研磨用組成物は、ステップ(b)の研磨用組成物の量に基づき、約1倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、または約10倍に希釈される。いくつかの実施形態では、希釈剤は水である。
【0132】
基板を研磨する方法では、本明細書に開示される研磨用組成物は、少なくとも約250Å/分以上、少なくとも約275Å/分以上、少なくとも約300Å/分以上、少なくとも約325Å/分以上、少なくとも約350Å/分以上、少なくとも約375Å/分以上、少なくとも約400Å/分以上、少なくとも約450Å/分以上、少なくとも約500Å/分以上、少なくとも約550Å/分以上、少なくとも約600Å/分以上、少なくとも約625Å/分以上、少なくとも約650Å/分以上、少なくとも約675Å/分以上、少なくとも約700Å/分以上、少なくとも約725Å/分以上、少なくとも約750Å/分以上、少なくとも約775Å/分以上、少なくとも約800Å/分以上、少なくとも約825Å/分以上、少なくとも約850Å/分以上、少なくとも約875Å/分以上、少なくとも約900Å/分以上、少なくとも約925Å/分以上、少なくとも約950Å/分以上、少なくとも約975Å/分以上、少なくとも約1,000Å/分以上、少なくとも約1,025Å/分以上、少なくとも約1,050Å/分以上、少なくとも約1,075Å/分以上、少なくとも約1,100Å/分以上、少なくとも約1,125Å/分以上、少なくとも約1,150Å/分以上、少なくとも約1,175Å/分以上、少なくとも約1,200Å/分以上、少なくとも約1,225Å/分以上、または少なくとも約1,250Å/分以上の酸窒化ケイ素(SiON)除去率を有する。
【0133】
基板を研磨する方法では、本明細書に開示される研磨用組成物は、約250Å/分から約1,300Å/分、約300Å/分から約1,275Å/分、約300Å/分から約1,025Å/分、約300Å/分から約1,000Å/分、約300Å/分から約900Å/分、約300Å/分から約875Å/分、約300Å/分から約800Å/分、約300Å/分から約755Å/分、約300Å/分から約500Å/分、約300Å/分から約400Å/分、または約300Å/分から約325Å/分の範囲の酸窒化ケイ素(SiON)除去率を有する。
【0134】
基板を研磨する方法では、本明細書に開示される研磨用組成物は、約250Å/分から約1,260Å/分、約250Å/分から約1,150Å/分、約250Å/分から約1,025Å/分、約250Å/分から約950Å/分、約250Å/分から約850Å/分、約250Å/分から約755Å/分、約250Å/分から約500Å/分、約250Å/分から約400Å/分、または約250Å/分から約350Å/分の範囲の酸窒化ケイ素(SiON)除去率を有する。
【0135】
基板を研磨する方法では、本明細書に開示される研磨用組成物は、約300Å/分から約1,300Å/分、約500Å/分から約1,300Å/分、約700Å/分から約1,300Å/分、約800Å/分から約1,300Å/分、約850Å/分から約1,300Å/分、約900Å/分から約1,300Å/分、約950Å/分から約1,300Å/分、約975Å/分から約1,300Å/分、または約1,000Å/分から約1,300Å/分の範囲の酸窒化ケイ素(SiON)除去率を有する。
【0136】
したがって、本明細書に記載される通り、いくつかの実施形態では、研磨用組成物を使用する方法であって、その方法は(a)酸窒化ケイ素含有層を含む基板を提供するステップと、(b)本明細書に記載される研磨用組成物を提供するステップと、(c)基板を研磨用組成物を用いて研磨して研磨済み基板を提供するステップとを含む。
【0137】
上記の任意の実施形態にある通り、方法は、基板が半導体である。
【0138】
上記の任意の実施形態にある通り、方法は、ステップ(b)の研磨用組成物を希釈剤で少なくとも約1倍から約5倍に希釈するステップをさらに含む。
【0139】
上記の任意の実施形態にある通り、方法は、希釈剤が水である。
【0140】
上記の任意の実施形態にある通り、方法は、SiON除去率(RR)が少なくとも約250Å/分以上である。
【0141】
上記の任意の実施形態にある通り、方法は、SiON除去率(RR)が約200Å/分から約1,300Å/分の範囲である。
【0142】
上記の任意の実施形態にある通り、方法は、SiON除去率(RR)が約250Å/分から約1,300Å/分の範囲である。
【0143】
上記の任意の実施形態にある通り、方法は、SiON除去率(RR)が約850Å/分から約1,300Å/分の範囲である。
【0144】
上記の任意の実施形態にある通り、方法は、SiON除去率(RR)が約250Å/分から約850Å/分の範囲である。
【0145】
本発明はまた、下記態様および形態を包含する。
【0146】
1.研磨剤、添加剤、および水を含み、前記研磨剤がコロイダルシリカを含み、前記添加剤がアミノアルキルアルコールを含み、ただし、当該アミノアルキルアルコールが3級アミンの場合、窒素原子に結合する、水酸基が置換されたアルキル基は直鎖であり、pHが約2.5以下である、研磨用組成物。
【0147】
2.前記研磨剤が陰イオン的に修飾されたコロイダルシリカを含む、1.に記載の研磨用組成物。
【0148】
3.前記コロイダルシリカが約5.0個/nm以上のシラノール密度を有する、1.または2.に記載の研磨用組成物。
【0149】
4.前記アミノアルキルアルコールが(C5~C10)アミノアルキルアルコールである、1.~3.のいずれかに記載の研磨用組成物。
【0150】
5.前記アミノアルキルアルコールが1~12の炭素原子の対窒素原子または対酸素原子の比率を有する、1.~4.のいずれかに記載の研磨用組成物。
【0151】
6.前記アミノアルキルアルコールが、N(R)(R)(R)で示され、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、および、水酸基で置換されてもよいアルキル基から選択され、ここで、i)R、RおよびRの少なくとも1つが1つ以上の水酸基で置換されたアルキル基であり、かつ、ii)R、RおよびRの少なくとも1つが無置換のアルキル基、あるいは、R、RおよびRの少なくとも2つが水素原子である、1.~5.のいずれかに記載の研磨用組成物。
【0152】
7.前記水酸基で置換されたアルキル基が4級炭素を含む場合、当該水酸基で置換されたアルキル基は2つ以上の水酸基を含む、6.に記載の研磨用組成物。
【0153】
8.前記研磨剤が約4wt%から約8wt%の範囲の濃度で存在する陰イオン的に修飾されたコロイダルシリカを含み、前記添加剤が約0.20wt%から約0.40wt%の濃度で存在する(C6~C10)アミノアルキルアルコールを含む、1.~7.のいずれかに記載の研磨用組成物。
【0154】
9.前記研磨剤が約20nmから約70nmの範囲の中間粒子径と約5.8個/nmから約6.2個/nmの範囲のシラノール密度とを有する陰イオン的に修飾されたコロイダルシリカを含み、前記添加剤が3-アミノ-4-オクタノール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-ジエチルエタノールアミン、および2-(オクチルアミノ)エタノールからなる群から選択されるアミノアルキルアルコールを含む、1.~8.のいずれかに記載の研磨用組成物。
【0155】
10.前記研磨剤が、約3wt%以上の濃度で存在する陰イオン的に修飾されたコロイダルシリカを含み、前記R、RおよびRの少なくとも1つが、水酸基で置換されてもよい炭素数6以上のアルキル基である、6.または7.に記載の研磨用組成物。
【0156】
11.前記アミノアルキルアルコールが、1級アミンまたは2級アミンである、1.~10.のいずれかに記載の研磨用組成物。
【0157】
12.前記アミノアルキルアルコールが、4級炭素を含まない、1.~11.のいずれかに記載の研磨用組成物。
【0158】
13.前記アミノアルキルアルコールが、2級水酸基を含む、1.~12.のいずれかに記載の研磨用組成物。
【0159】
D.実施例
以下の調製および実施例は、当業者がより明確に本発明を理解し実施することを可能にするために提示される。これらは、本発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではなく、単に例証的、代表的であるとして理解されるべきである。
【0160】
1つの態様では、研磨用組成物を作製する方法を開示する。他の態様では、研磨用組成物を使用して材料を研磨する方法を開示する。
【0161】
実施例1:研磨条件
使用する材料および器具
・研磨条件
・200mm Polisher Westech
・プラテン回転速度:110rpm
・ヘッド回転速度:104rpm
・流量:90mL/分
・ダウンフォース:1.5psi
・研磨時間:60秒
・パッド:ミディアムハードパッド
・希釈計数:2×計測値
・Westech(200mm Polisher)
・研磨パッド:IC1010
・パッドコンディショナー:3M A165
研磨レシピ
・ダウンフォース:1.5psi
・回転:110/104rpm
・スラリー流量:90mL/分
・研磨時間:60秒
実施例2:様々な研磨用組成物および添加剤の評価
この研究のために、下記表1にまとめて示される一次粒子径、中間粒子径、およびシラノール(SiOH)密度で異なる研磨剤タイプAとタイプBとを調査した。研磨剤タイプAとタイプBは、いずれもスルホン酸固定化コロイダルシリカである。
【0162】
【表1】
【0163】
さらに、様々な一連の添加剤も同様に試験した。表Bは使用した全ての添加剤を示す。
【0164】
【表2】
【0165】
表1に示されている通り、スラリー1から11を、濃度8wt%の研磨剤タイプAを含有し、pHが2である(硝酸をpH調整剤として使用)の研磨用組成物中の適切な添加剤について調査した。SiON除去率(RR)を特定した。一般に、250Å/分以上のRRを有するスラリーが望ましい。表1のデータは、スラリー03およびスラリー04が他のスラリー(すなわちスラリー02および05~11)と比較してより高いRRを提示したことを示す。特にスラリー04は最も高いSiON除去率を提示した。注目されるのは、強塩基性添加剤である水酸化カリウムが望ましいRRである250Å/分以上を提供せず、基本的に対照スラリー01と比較してもRRに影響しなかったことである。
【0166】
次に、研磨剤タイプの影響を、研磨剤Bを含有するスラリー12のSiON除去率と研磨剤Aを含有するスラリー03のSiON除去率とを比較することによって調査した。下記表1に見られる通り、スラリー12は、研磨剤BがSiON除去率を向上させることを示唆する、より高い除去率を提示した。
【0167】
最後に、pHの影響を、pH2のスラリー14とpH3のスラリー15とpH7のスラリー16とを比較することによって調査した。下記表1に見られる通り、pHが2から3に増加した場合に、有意なSiON除去率の低下が観察された(スラリー14とスラリー15のSiON除去率を比較されたし)。さらに、一度pHが2より大きくなると、研磨剤タイプは無視してもよいものとなる(スラリー15とスラリー13のSiON除去率を比較されたし)。
【0168】
要約すると、これらの結果は、研磨用組成物/スラリーの他の全ての変量が同一のままであれば(すなわち研磨剤濃度、pH、pH調整剤、添加剤、および添加剤の量)、研磨剤Bを含有する研磨用組成物/スラリーは、研磨剤Aを含有する研磨用組成物/スラリーよりも良好に作用することを明示する。研磨用組成物/スラリーのpHはSiON RRを調節することができる。すなわちpHを増加させることによってSiON RRの低下がもたらされる。最も重要なことに、使用される添加剤のタイプがスラリーのSiON除去効率を確定する。表1では、添加剤2-ジエチルエタノールアミン、2-(オクチルアミノ)エタノール、および3-アミノ-4-オクタノールを有する、スラリー03、スラリー04、スラリー12、およびスラリー14が、最も高いSiON RRを提示すると証明された。
【0169】
【表3】
【0170】
次に、いくつかのスラリーを調製して、添加剤の濃度および/または研磨剤の濃度の影響を調査した。下記表2に示される通り、研磨用組成物中の研磨剤の量が低下した場合、SiON除去効率の大まかな低下を観察することができた。例えば、スラリー21、スラリー22、およびスラリー23は、添加剤の量が一定を維持しながら(すなわち0.18wt%)研磨剤濃度が8wt%から4wt%、2wt%へと低下すると、SiON RRの確実な低下を明示する。同様のSiON RRの低下は、より高い添加剤濃度(すなわち0.36wt%)で、研磨剤濃度が8wt%から4wt%に低下した場合にスラリー18に観察された(スラリー19を参照されたし)。
【0171】
SiON RRに対する添加剤濃度の影響に関しては、SiONの確実な低下が、添加剤濃度が同様に低下した場合に観察された。例えば、SiON RRの確実な低下がスラリー18、スラリー20、スラリー21に、添加剤濃度がそれぞれ0.36wt%から0.24wt%、0.18wt%へと低下すると観察された。最後に、スラリー17によって、別の添加剤の方が開示される研磨用組成物に適していることが証明された。
【0172】
下記表2に示された結果は、SiON除去効率が研磨剤濃度および/または添加剤濃度に依存することを明示する。
【0173】
【表4】
【0174】
以下に、アミノアルキルアルコールの炭素原子の対窒素原子または対酸素原子の比率を示す。
【0175】
【表5】
【0176】
いくつかの実施形態によれば、C/NおよびC/Oの少なくとも一方が7以上あるいは8以上である。
【0177】
本発明の範囲または精神から逸脱することなく、様々な変形および変更を本発明において行うことができることは当業者に明らかであろう。本明細書に開示される本発明の明細書および実施への考察から、本発明の他の態様は当業者に明らかであろう。明細書および実施例は代表例としてのみ考察され、本発明の真の範囲および精神は添付の特許請求の範囲によって示されることが意図される。
【0178】
本出願は、2023年3月2日に出願された米国仮特許出願番号第63/449,327号に基づいており、その開示内容は、その全体が参照により本明細書に組みこまれる。