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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124363
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】偏光板及びこれを含む光学表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20240905BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240905BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G02B5/30
G02F1/1335 510
G02F1/13363
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024026371
(22)【出願日】2024-02-26
(31)【優先権主張番号】10-2023-0027991
(32)【優先日】2023-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ク,ジュン モ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ソン フン
(72)【発明者】
【氏名】シン,テ ソプ
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ソン ギョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ボム ドク
(72)【発明者】
【氏名】イム,ヒョン テ
(72)【発明者】
【氏名】シン,ソン ミ
(72)【発明者】
【氏名】チョ,キョン ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム,キ ボム
(72)【発明者】
【氏名】イ,サン フン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ジョン フン
(72)【発明者】
【氏名】ウィ,トン ホ
【テーマコード(参考)】
2H149
2H291
【Fターム(参考)】
2H149AA02
2H149AA18
2H149AB01
2H149AB11
2H149BA02
2H149DA02
2H149DA16
2H149DA24
2H149DA27
2H149DA32
2H149DB22
2H149EA02
2H149EA05
2H149EA19
2H149EA22
2H149FA02Y
2H149FA05Y
2H149FA06Y
2H149FD05
2H149FD06
2H149FD18
2H149FD30
2H149FD43
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA30X
2H291FA30Z
2H291FA94X
2H291FA94Z
2H291FA95X
2H291FA95Z
2H291FB02
2H291FC05
2H291FC08
2H291FD12
2H291HA15
2H291PA04
2H291PA07
2H291PA53
(57)【要約】
【課題】高温高湿又は高温で長期間放置した後の耐久性に優れた偏光板を提供する。
【解決手段】偏光板は、偏光子と、偏光子の一面に積層された位相差層の積層体と、を備え、位相差層の積層体は、偏光子の一面から順次積層された第2位相差層及び第1位相差層を含み、第2位相差層は非液晶層であり、位相差層の積層体は、波長550nmでの厚さ方向位相差が-40nm以上0nm未満であり、位相差層の積層体は、下記数式1を満足する。
1.1≦Rth(450)/Rth(550)≦1.5・・・(数式1)
(数式1において、Rth(450)及びRth(550)は、それぞれ位相差層の積層体の波長450nm及び550nmでの厚さ方向位相差(単位:nm)である。)
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子と、
前記偏光子の一面に積層された位相差層の積層体と、を備え、
前記位相差層の積層体は、前記偏光子の一面から順次積層された第2位相差層及び第1位相差層を含み、
前記第2位相差層は非液晶層であり、
前記位相差層の積層体は、波長550nmでの厚さ方向位相差が-40nm以上0nm未満であり、
前記位相差層の積層体は、下記数式1を満足する、偏光板。
1.1≦Rth(450)/Rth(550)≦1.5・・・(数式1)
(数式1において、Rth(450)及びRth(550)は、それぞれ前記位相差層の積層体の波長450nm及び550nmでの厚さ方向位相差(単位:nm)である。)
【請求項2】
前記位相差層の積層体は、波長550nmでの厚さ方向位相差が-25nm乃至-5nmである、請求項1に記載の偏光板。
【請求項3】
前記位相差層の積層体は、下記数式3及び下記数式4を満足する、請求項1に記載の偏光板。
Rth(450)/Rth(550)>Re(450)/Re(550)・・・(数式3)
Re(650)/Re(550)>Rth(450)/Rth(550)・・・(数式4)
(数式3及び数式4において、
Re(450)、Re(550)、及びRe(650)は、それぞれ位相差層の積層体の波長450nm、550nm、及び650nmでの面内位相差(単位:nm)であり、
Rth(450)、Rth(550)、及びRth(650)は、それぞれ位相差層の積層体の波長450nm、550nm、及び650nmでの厚さ方向位相差(単位:nm)である。)
【請求項4】
前記位相差層の積層体は、下記数式5を満足する、請求項1に記載の偏光板。
1<Re(450)/Re(550)≦1.1・・・(数式5)
(数式5において、
Re(450)及びRe(550)は、位相差層の積層体の波長450nm及び550nmでの面内位相差(単位:nm)である。)
【請求項5】
前記位相差層の積層体は、下記数式2を満足する、請求項1に記載の偏光板。
0.1≦Rth(650)/Rth(550)≦1.0・・・(数式2)
(数式2において、Rth(650)及びRth(550)は、それぞれ位相差層の積層体の波長650nm及び550nmでの厚さ方向位相差(単位:nm)である。)
【請求項6】
前記第2位相差層は、下記数式8を満足する、請求項1に記載の偏光板。
1.0≦Rth2(450)/Rth2(550)≦1.1・・・(数式8)
(数式8において、
Rth2(450)及びRth2(550)は、それぞれ第2位相差層の波長450nm及び550nmでの厚さ方向位相差(単位:nm)である。)
【請求項7】
前記第2位相差層は、水分透過度が1g/m/day以上である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項8】
前記第2位相差層は、ガラス転移温度が130℃以上である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項9】
前記第2位相差層は、セルロース系化合物及びポリスチレン系化合物のうち1種以上を含む、請求項1に記載の偏光板。
【請求項10】
前記セルロース系化合物及び前記ポリスチレン系化合物は、それぞれフッ素を有する、請求項9に記載の偏光板。
【請求項11】
前記第2位相差層は+C層で、前記第1位相差層は+A層である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項12】
前記第1位相差層の遅相軸は、前記偏光子の光吸収軸に対して-5゜乃至5゜をなす、請求項1に記載の偏光板。
【請求項13】
前記第1位相差層は、面内方向位相差の短波長分散性(Re(450)/Re(550))が1.0乃至1.1である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項14】
前記第1位相差層は、波長550nmでの二軸性程度が0.9乃至1.1である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項15】
前記第1位相差層は非液晶性フィルムである、請求項1に記載の偏光板。
【請求項16】
前記第1位相差層は、環状オレフィンポリマー(COP)系又は環状オレフィン重合体(COC)系フィルムを含む、請求項15に記載の偏光板。
【請求項17】
前記第2位相差層は、前記第1位相差層に直接設けられている、請求項1に記載の偏光板。
【請求項18】
前記第1位相差層と前記第2位相差層とは、粘着層によって粘着されている、請求項1に記載の偏光板。
【請求項19】
前記第1位相差層のうちの前記粘着層と接する表面は、25℃での水接触角が60゜以下であり、
前記粘着層は、ガラス転移温度が-40℃以下である、請求項18に記載の偏光板。
【請求項20】
請求項1乃至請求項19のいずれか1項の偏光板を含む、光学表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板及びこれを含む光学表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子を含む発光素子表示装置又は液晶表示装置は、光特性を改善するために偏光板を含む。偏光板のうちの偏光子は、二色性色素で染着及び延伸されたポリビニルアルコール系フィルムを備えている。偏光板は、高温高湿での耐久性が優れていなければならない。
【0003】
光学補償機能を提供するために、位相差層が偏光子に含まれてもよい。位相差層は、単層で含まれてもよいが、多層で含まれる場合、光特性がより優れたものになり得る。
【0004】
本発明の背景技術は、例えば、韓国公開特許第10-2013-0103595号公報などに開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2013-0103595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高温高湿又は高温で長期間放置した後の耐久性に優れた偏光板を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、優れた正面明暗比を提供し、ブラックモードでの側面輝度を低下させ、側面での光漏れを減少させ、側面での色感変化を低下させた偏光板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によると、偏光板が提供される。
【0009】
偏光板は、偏光子と、偏光子の一面に積層された位相差層の積層体と、を備え、位相差層の積層体は、偏光子の一面から順次積層された第2位相差層及び第1位相差層を含み、第2位相差層は非液晶層であり、位相差層の積層体は、波長550nmでの厚さ方向位相差が-40nm以上0nm未満であり、位相差層の積層体は、下記数式1を満足する。
【0010】
1.1≦Rth(450)/Rth(550)≦1.5・・・(数式1)
(数式1において、Rth(450)及びRth(550)は、それぞれ位相差層の積層体の波長450nm及び550nmでの厚さ方向位相差(単位:nm)である。)
【0011】
本発明の他の実施形態によると、光学表示装置が提供される。
【0012】
光学表示装置は、上記偏光板を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、高温高湿又は高温で長期間放置した後の耐久性に優れた偏光板を提供することができる。
【0014】
本発明は、優れた正面明暗比を提供し、ブラックモードでの側面輝度を低下させ、側面での光漏れを減少させ、側面での色感変化を低下させた偏光板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】位相差層の積層体の波長分散性を示した図である(X軸は、波長(単位:nm)を示し、Y軸は、厚さ方向位相差の波長分散性値又は面内方向位相差の波長分散性値を示し、▲(三角印)は、厚さ方向位相差の波長分散性値を示し、●(丸印)は、面内方向位相差の波長分散性値を示す。)。
図2】本発明の一実施形態に係る偏光板の断面図である。
図3】本発明の他の実施形態に係る偏光板の断面図である。
図4】本発明の更に他の実施形態に係る偏光板の断面図である。
図5】本発明の更に他の実施形態に係る偏光板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付の図面を参照して、本出願の各実施形態をより詳細に説明する。しかし、本出願に開示された技術は、ここで説明する各実施形態に限定されなく、他の実施形態において実施される場合もある。ただし、ここで説明する各実施形態は、開示された内容を徹底的且つ完全にするために、そして、当業者に本出願の思想を十分に伝達するために提供されるものである。図面において、各装置の構成要素を明確に表現するために、構成要素の幅や厚さなどの大きさを多少拡大して示しており、本発明の構成要素の幅や厚さなどの大きさが本発明の範囲に制限されることはない。複数の図面上の同一の符号は、実質的に互いに同一の構成要素を称する。
【0017】
ここで使用される用語は、例示的な各実施形態を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するためのものではない。単数の表現は、文脈上、明らかに異なる意味を有さない限り、複数の表現を含む。
【0018】
本明細書において、「上部」と「下部」は、図面を基準にして定義したものであって、見る観点によって「上部」が「下部」に、「下部」が「上部」に変更されてもよく、「上(on)」と称されるものは、直上のみならず、中間に他の構造を介在した場合も含み得る。その一方で、「直接上(directly on)」、「直上」又は「直接形成」と称されるものは、中間体などの他の構造を介在しないことを示す。
【0019】
本明細書において、「面内位相差(Re)」は下記数式Aで表され、「厚さ方向位相差(Rth)」は下記数式Bで表され、「二軸性程度(NZ)」は下記数式Cで表される:
【0020】
Re=(nx-ny)×d・・・(数式A)
Rth=((nx+ny)/2-nz)×d・・・(数式B)
NZ=(nx-nz)/(nx-ny)・・・(数式C)
(数式A乃至数式Cにおいて、nx、ny、及びnzは、測定波長でのそれぞれ光学素子の遅相軸(slow axis)方向、進相軸(fast axis)方向、及び厚さ方向の屈折率で、dは、光学素子の厚さ(単位:nm)である。)
【0021】
数式A乃至数式Cにおいて、「光学素子」は、第1位相差層、第2位相差層、保護層、又は位相差層の積層体であってもよい。数式A乃至数式Cにおいて、「測定波長」は、波長450nm、550nm又は650nmを意味し得る。
【0022】
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
【0023】
本明細書において、位相差層の「水分透過度」は、23℃及び99%乃至100%の相対湿度で測定された値を意味する。水分透過度は、水分透過度測定装置(PERMATRAN-W、MODEL 700)を用いて測定されてもよく、位相差層を横×縦(10cm×10cm)に裁断した後、測定装置に入れて測定されてもよい。本明細書において、保護層の「水分透過度」も、位相差層と同一の方法で測定されてもよい。
【0024】
本明細書において、第2位相差層の「ガラス転移温度」は、示差走査熱量法(DSC)で測定されてもよい。
【0025】
本明細書において、波長450nm、550nm、及び650nmでの面内方向位相差の波長分散性値は、それぞれRe(450)/Re(550)、Re(550)/Re(550)、及びRe(650)/Re(550)である。
【0026】
本明細書において、波長450nm、550nm、及び650nmでの厚さ方向位相差の波長分散性値は、それぞれRth(450)/Rth(550)、Rth(550)/Rth(550)、及びRth(650)/Rth(550)である。
【0027】
本明細書において、数値範囲の記載時、「X乃至Y」は、X以上Y以下(X≦そして≦Y)を意味する。
【0028】
一般に、通常の偏光板は、二色性色素で染着及び延伸されたポリビニルアルコール系フィルムを備える偏光子を備えている。偏光子は、高温高湿で長期間放置したとき、二色性色素が溶出される場合がある。溶出された二色性色素は、光学表示装置のパネルを汚染し、表示装置の信頼性、画面品質の鮮明性などを低下させ得る。
【0029】
その一方で、一実施形態の偏光板は、高温高湿で長期間放置した後にも、耐久性に優れていた。一実施形態において、偏光板は、60℃及び95%の相対湿度で250時間以上放置した後の偏光板の光透過率及び偏光度の変化量が著しく低く、偏光板から溶出される二色性色素の含量が非常に低いか全くなかった。例えば、二色性色素は、ヨウ素などであってもよい。これと関連して、偏光板は、以下で説明する第2位相差層として非液晶層を含む。「二色性色素の溶出」は、偏光板を高温高湿(60℃及び相対湿度の95%)チャンバーで250時間放置した後、偏光板の縁部を顕微鏡で観察し、ヨウ素の脱色程度を評価することによって確認することができる。
【0030】
一実施形態の偏光板は、正面明暗比を高めるという効果を提供した。また、一実施形態の偏光板は、側面での光漏れを減少させ、側面での色感変化を低下させ、ブラック画面で優れた鮮明度を提供するという効果を提供した。また、一実施形態の偏光板は、優れた視野角を提供するという効果を提供した。これと関連して、偏光板は、偏光子、及び偏光子の一面に積層された位相差層の積層体を含み、位相差層の積層体は、偏光子の一面から順次積層された第2位相差層及び第1位相差層を含み、位相差層の積層体は、波長550nmでの厚さ方向位相差が-40nm以上0nm未満であり、位相差層の積層体は、下記数式1を満足する。
【0031】
1.1≦Rth(450)/Rth(550)≦1.5・・・(数式1)
(数式1において、
Rth(450)及びRth(550)は、それぞれ位相差層の積層体の波長450nm及び550nmでの厚さ方向位相差(単位:nm)である。)
【0032】
後述するが、位相差層の積層体は、偏光子と光学表示装置用パネルとの間に配置されてもよい。本発明は、高温高湿又は高温で耐久性を高めるために位相差層の積層体のうちの第2位相差層を非液晶層とし、位相差層の積層体の厚さを無制限に高め、高温高湿後の耐久性を著しく改善するよりは、適正な範囲の厚さを有して高温高湿又は高温での耐久性を高めながらも正面明暗比を高め、側面での光漏れを減少させ、側面での色感変化を低下させ、ブラック画面で優れた鮮明度を提供し、優れた視野角を提供した。
【0033】
一実施形態の偏光板は、横電界液晶方式の光学表示装置、例えば、IPS又はFFSモードの液晶表示装置で視認側偏光板又は光源側偏光板として使用されてもよい。また、一実施形態の偏光板は、OLEDなどの発光素子表示装置で反射防止用偏光板として使用されてもよい。ここで、「視認側偏光板」は、液晶パネルから出射された光が入射された後で出射される偏光板である。
【0034】
以下、一実施形態の偏光板を詳細に説明する。
【0035】
<位相差層の積層体>
位相差層の積層体は、偏光子と光学表示装置用パネルとの間に積層される。位相差層の積層体は、偏光板を高温高湿又は高温で長期間放置した後、二色性色素の溶出が低下したり又は全くないようにし、偏光度及び光透過率の変化が低下したり又は全くないようにした。位相差層の積層体は、正面明暗比を高め、側面での光漏れを減少させ、側面での色感変化を低下させ、ブラック画面で優れた鮮明度を提供し、優れた視野角を提供した。
【0036】
位相差層の積層体は、内部光に対して偏光子の光出射面に積層されたり(光源側偏光板の場合)、又は偏光子の光入射面(視認側偏光板の場合)に積層されてもよい。ここで、「内部光」は、バックライトユニットから出る光であってもよい。
【0037】
位相差層の積層体は、偏光子から順次積層された第2位相差層及び第1位相差層を備えている。
【0038】
一実施形態において、第2位相差層は、第1位相差層に直接形成されてもよい。ここで、「直接形成」は、第1位相差層と第2位相差層との間に任意の粘着層又は接着層が備えられないことを意味する。他の実施形態において、第2位相差層は、粘着層、例えば、減圧粘着層(PSA)によって第1位相差層に形成されてもよい。位相差層の積層体は、第2位相差層が第1位相差層に直接形成された場合のみならず、粘着層を介して第1位相差層と第2位相差層が積層された場合にも、以下で説明する位相差の特性を全て満足する。
【0039】
位相差層の積層体は、波長550nmでの厚さ方向位相差が-40nm以上0nm未満で、下記数式1を満足する:これを通じて、位相差層の積層体は、正面明暗比を高め、側面での光漏れを減少させ、側面での色感変化を低下させ、ブラック画面で優れた鮮明度を提供し、優れた視野角を提供することを容易にすることができる。
【0040】
1.1≦Rth(450)/Rth(550)≦1.5・・・(数式1)
(数式1において、Rth(450)及びRth(550)は、それぞれ位相差層の積層体の波長450nm及び550nmでの厚さ方向位相差(単位:nm)である。)
【0041】
例えば、位相差層の積層体は、Rth(550)が-40nm、-39nm、-38nm、-37nm、-36nm、-35nm、-34nm、-33nm、-32nm、-31nm、-30nm、-29nm、-28nm、-27nm、-26nm、-25nm、-24nm、-23nm、-22nm、-21nm、-20nm、-19nm、-18nm、-17nm、-16nm、-15nm、-14nm、-13nm、-12nm、-11nm、-10nm、-9nm、-8nm、-7nm、-6nm、-5nm、-4nm、-3nm、-2nm、-1nm、0nmであってもよい。好ましくは、位相差層の積層体は、Rth(550)が-25nm乃至-5nm、-25nm乃至-10nm、-20nm乃至-10nmであってもよい。
【0042】
例えば、数式1のRth(450)/Rth(550)は、1.1、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5であってもよい。好ましくは、数式1のRth(450)/Rth(550)は、1.15乃至1.5、さらに好ましくは1.2乃至1.4であってもよい。
【0043】
一実施形態において、Rth(450)は、Rth(550)と同一に負(-)の値であってもよい。例えば、Rth(450)は、-20nm乃至-5nm、例えば、-20nm、-19nm、-18nm、-17nm、-16nm、-15nm、-14nm、-13nm、-12nm、-11nm、-10nm、-9nm、-8nm、-7nm、-6nm、-5nm、好ましくは-12乃至-7nmであってもよい。上記範囲で、位相差層の積層体が数式1を容易に達成することができる。
【0044】
位相差層の積層体は、下記数式2をさらに満足することができる。これを通じて、偏光板は、正面明暗比を高め、側面での光漏れを減少させ、側面での色感変化を低下させ、ブラック画面で優れた鮮明度を提供し、優れた視野角を提供することを容易にすることができる。
【0045】
0.1≦Rth(650)/Rth(550)≦1.0・・・(数式2)
(数式2において、Rth(650)及びRth(550)は、それぞれ位相差層の積層体の波長650nm及び550nmでの厚さ方向位相差(単位:nm)である。)
【0046】
例えば、数式2のRth(650)/Rth(550)は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0であってもよい。好ましくは、数式2のRth(650)/Rth(550)は、0.2乃至1.0、さらに好ましくは0.5乃至0.9であってもよい。
【0047】
一実施形態において、Rth(650)は、Rth(550)と同一に負の値であってもよい。例えば、Rth(650)は、-20nm乃至-1nm、例えば、-20nm、-19nm、-18nm、-17nm、-16nm、-15nm、-14nm、-13nm、-12nm、-11nm、-10nm、-9nm、-8nm、-7nm、-6nm、-5nm、-4nm、-3nm、-2nm、-1nm、好ましくは-13nm乃至-5nmであってもよい。上記範囲で、位相差層の積層体が数式2を容易に達成することができる。
【0048】
位相差層の積層体は、波長による厚さ方向位相差の波長分散性が波長による面内方向位相差の波長分散性と異なる傾向を示す。
【0049】
図1を参照すると、位相差層の積層体は、波長による面内方向位相差及び厚さ方向位相差がそれぞれ正の波長分散性を示す。しかし、波長による厚さ方向位相差の波長分散性と波長による面内方向位相差の波長分散性とが互いに異なる傾向を示すことが分かる。
【0050】
一実施形態において、位相差層の積層体は、下記数式3及び下記数式4を満足することができる。これを通じて、本発明の効果を容易に実施することができる。
【0051】
Rth(450)/Rth(550)>Re(450)/Re(550)・・・(数式3)
Re(650)/Re(550)>Rth(650)/Rth(550)・・・(数式4)
(数式3及び数式4において、
Re(450)、Re(550)、及びRe(650)は、位相差層の積層体の波長450nm、550nm、及び650nmでの面内位相差(単位:nm)であり、
Rth(450)、Rth(550)、及びRth(650)は、位相差層の積層体の波長450nm、550nm、及び650nmでの厚さ方向位相差(単位:nm)である。)
【0052】
一実施形態において、位相差層の積層体は、下記数式5及び下記数式6を満足することができる。これを通じて、偏光板は、輝度の差及び色感変化の改善にさらに良くすることができる。
【0053】
1<Re(450)/Re(550)≦1.1・・・(数式5)
0.9≦Re(650)/Re(550)<1・・・(数式6)
(数式5及び数式6において、Re(450)、Re(550)、及びRe(650)は、それぞれ位相差層の積層体の波長450nm、550nm、及び650nmでの面内位相差(単位:nm)である。)
【0054】
例えば、Re(450)/Re(550)は1.001乃至1.05であり、Re(650)/Re(550)は0.9乃至0.99であってもよい。
【0055】
数式5及び数式6において、Re(550)は、110nm乃至135nm、好ましくは115nm乃至130nmであってもよい。Re(450)は、105nm乃至140nm、好ましくは115nm乃至130nmであってもよい。Re(650)は、105nm乃至140nm、好ましくは115nm乃至130nmであってもよい。上記範囲で、位相差層の積層体の波長分散性を容易に達成することができる。
【0056】
位相差層の積層体は、厚さが45μm乃至90μm、好ましくは40μm乃至85μm、さらに好ましくは40μm乃至80μmであってもよい。上記範囲で、位相差層の積層体を偏光板に使用することができる。
【0057】
<第1位相差層>
第1位相差層は、+A層(nx>ny≒nz)で、+C層である第2位相差層と組み合わされることによってIPS又はFFSモード液晶表示装置に適用され、明暗比及び視野角を広げ、色変化を容易に最小化することができる。
【0058】
第1位相差層は、波長550nmでのReが100nm乃至160nmであってもよい。上記範囲で、第2位相差層と組み合わせると、IPS用液晶表示装置に適用され、明暗比及び視野角を広げ、色感変化を最小化することができる。例えば、波長550nmでのReは、100nm、101nm、102nm、103nm、104nm、105nm、106nm、107nm、108nm、109nm、110nm、111nm、112nm、113nm、114nm、115nm、116nm、117nm、118nm、119nm、120nm、121nm、122nm、123nm、124nm、125nm、126nm、127nm、128nm、129nm、130nm、131nm、132nm、133nm、134nm、135nm、136nm、137nm、138nm、139nm、140nm、141nm、142nm、143nm、144nm、145nm、146nm、147nm、148nm、149nm、150nm、151nm、152nm、153nm、154nm、155nm、156nm、157nm、158nm、159nm、160nmであってもよい。好ましくは、Reは、120nm乃至150nm、さらに好ましくは120nm乃至130nmであってもよい。
【0059】
第1位相差層は、波長550nmでのRthが50nm乃至85nm、例えば、50nm、51nm、52nm、53nm、54nm、55nm、56nm、57nm、58nm、59nm、60nm、61nm、62nm、63nm、64nm、65nm、66nm、67nm、68nm、69nm、70nm、71nm、72nm、74nm、75nm、76nm、77nm、78nm、79nm、80nm、好ましくは50nm乃至80nm、さらに好ましくは55nm乃至70nmであってもよい。上記範囲で、第1位相差層のRe範囲を容易に達成することができる。
【0060】
第1位相差層は、波長550nmでのNZが0.9乃至1.1、例えば、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1.0、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、好ましくは0.95乃至1.05、さらに好ましくは1乃至1.02であってもよい。上記範囲で、第1位相差層のRe範囲を容易に達成することができる。
【0061】
第1位相差層は、正の波長分散性(Re(450)>Re(550)>Re(650))又はフラット波長分散性(Re(450)=Re(550)=Re(650))を有することができる。
【0062】
一実施形態において、第1位相差層は、面内方向位相差の短波長分散性(Re(450)/Re(550))が1.0乃至1.1で、面内方向位相差の長波長分散性(Re(650)/Re(550))が0.9乃至1.0であってもよい。上記範囲で、側面での光漏れを抑制し、ブラックモードでの輝度を低下させるという効果を有することができる。好ましくは、第1位相差層は、面内方向位相差の短波長分散性が1.001乃至1.009で、面内方向位相差の長波長分散性が0.98乃至1.0であってもよい。
【0063】
一実施形態において、第1位相差層は、波長450nmでのReが105nm乃至165nm、好ましくは100nm乃至163nmであり、波長650nmでのReが95nm乃至155nm、好ましくは96nm乃至153nmであってもよい。上記範囲で、第1位相差層の短波長分散性及び長波長分散性を容易に達成することができる。
【0064】
第1位相差層は、全光線透過率が90%以上、例えば、90%乃至100%であり、ヘイズが0.3%以下、例えば、0%乃至0.3%、0.1%乃至0.3%であってもよい。上記範囲で、第1位相差層を位相差層の積層体に使用することができる。
【0065】
第1位相差層は、厚さが70μm以下、例えば、0μm超過70μm以下、20μm乃至70μm、具体的には20μm乃至50μmであってもよい。上記範囲で、第1位相差層を偏光板に使用することができる。
【0066】
第1位相差層は、非液晶性フィルムであって、光学的に透明な樹脂で形成された延伸フィルムを含むことができる。「非液晶性フィルム」は、液晶モノマー、液晶オリゴマー、及び液晶ポリマーのうち1種以上で形成されないか、光の照射などによって液晶モノマー、液晶オリゴマー又は液晶ポリマーに変換されない物質で形成されるフィルムを意味し得る。
【0067】
例えば、第1位相差層は、トリアセチルセルロースなどを含むセルロース系、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどを含むポリエステル系、環状オレフィン重合体(COC)系、環状オレフィンポリマー(COP)系、ポリカーボネート系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリオレフィン系、ポリアリレート系、ポリビニルアルコール系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、及びアクリル系のうち1種以上の樹脂からなるフィルムであってもよい。
【0068】
好ましくは、第1位相差層は、環状オレフィンポリマー(COP)系又は環状オレフィン重合体(COC)系フィルムを含むことができる。特に、環状オレフィンポリマー(COP)系フィルムは、本発明の偏光板においてIPS又はFFSモード液晶表示装置に適用され、コントラスト比及び視野角を広げ、色変化を改善することを容易にすることができる。
【0069】
第1位相差層は、疎水性フィルムであってもよい。一実施形態において、第1位相差層は、固有複屈折が正(+)である樹脂で形成されたフィルムを含むことができる。例えば、第1位相差層は、環状オレフィンポリマー(COP)系フィルム、及び環状オレフィン重合体(COC)系フィルムのうち1種以上を含むことができる。
【0070】
第1位相差層は、水分透過度が1g/m/day以上、例えば、1g/m/day乃至30g/m/day、1g/m/day乃至10g/m/dayであってもよい。上記範囲で、偏光板の高温高湿又は高温耐久性を容易に高めることができる。
【0071】
第1位相差層は、ガラス転移温度が130℃以上、例えば、130℃乃至200℃であってもよい。上記範囲で、偏光板の高温高湿又は高温での耐久性を容易に高めることができる。
【0072】
第1位相差層は、未延伸の第1位相差層用フィルムをMD又はTDに一軸延伸したり、又はMDに対する傾斜方向に一軸延伸することによって製造されたフィルムであってもよい。好ましくは、第1位相差層は、未延伸の第1位相差層用フィルムをMDに一軸延伸することによって製造されたフィルムであってもよい。延伸条件、例えば、延伸比、延伸温度、延伸方法などは、上述した波長550nmでのRe範囲を提供するように調節されてもよい。未延伸の第1位相差層用フィルムは、第1位相差層用組成物の溶融押出方法又は溶液キャスト方法で製造されてもよいが、これに制限されない。溶融押出及び溶媒溶液キャスト方法は、それぞれ当業者に知られている通常の条件で行われてもよい。
【0073】
第1位相差層は、面内方向に遅相軸及び進相軸を有し、第1位相差層の遅相軸は、偏光子の光吸収軸に対して実質的に平行であってもよい。例えば、偏光子の光吸収軸を0゜としたとき、第1位相差層の遅相軸は、-5゜乃至5゜であって、例えば、-5゜、-4゜、-3゜、-2゜、-1゜、0゜、1゜、2゜、3゜、4゜、5゜、好ましくは-0.5゜乃至0.5゜、さらに好ましくは-0.1゜乃至0.1゜をなすことができる。上記範囲で、第1位相差層が本発明の数式1に容易に達成することを助けることができる。
【0074】
第1位相差層は、少なくとも一面に形成されたプライマー層をさらに含むことができる。一実施形態において、第1位相差層は、第2位相差層が接する面に形成されたプライマー層を含むことによって、第1位相差層の一面に第2位相差層が合わせられる程度をさらに高めることができる。
【0075】
<第2位相差層>
第2位相差層は、+C層(nz>nx≒ny)で、+A層である第1位相差層と組み合わされることによってIPS又はFFSモード液晶表示装置に適用され、明暗比及び視野角を広げ、色感変化を最小化することができる。
【0076】
第2位相差層は、波長550nmでのRthが-100nm乃至-50nmになってもよい。上記範囲で、液晶表示装置に適用され、明暗比及び視野角を広げ、色変化を最小化することができる。例えば、波長550nmでのRthは、-100nm、-99nm、-98nm、-97nm、-96nm、-95nm、-94nm、-93nm、-92nm、-91nm、-90nm、-89nm、-88nm、-87nm、-86nm、-85nm、-84nm、-83nm、-82nm、-81nm、-80nm、-79nm、-78nm、-77nm、-76nm、-75nm、-74nm、-73nm、-72nm、-71nm、-70nm、-69nm、-68nm、-67nm、-66nm、-65nm、-64nm、-63nm、-62nm、-61nm、-60nm、-59nm、-58nm、-57nm、-56nm、-55nm、-54nm、-53nm、-52nm、-51nm、-50nmで、好ましくは、第2位相差層は、波長550nmでのRthが-90nm乃至-60nm、さらに好ましくは-85nm乃至-65nmであってもよい。
【0077】
第2位相差層は、波長550nmでのReが10nm以下、例えば、0nm乃至10nmであってもよい。上記範囲で、第2位相差層が、上述したRthの範囲を容易に達成することができる。
【0078】
第2位相差層は、Re及びRthがいずれも正の波長分散性(Re(450)>Re(550)>Re(650)、Rth(450)<Rth(550)<Rth(650))又はフラット波長分散性(Re(450)=Re(550)=Re(650)、Rth(450)=Rth(550)=Rth(650))であってもよい。
【0079】
一実施形態において、第2位相差層は、下記数式7及び数式8を満足することができる。これを通じて、第2位相差層が本発明の数式1を容易に達成することができる。
【0080】
1.0≦Re2(450)/Re2(550)≦1.1・・・(数式7)
1.0≦Rth2(450)/Rth2(550)≦1.1・・・(数式8)
(数式7及び数式8において、
Re2(450)及びRe2(550)は、それぞれ第2位相差層の波長450nm及び550nmでの面内位相差(単位:nm)であり、
Rth2(450)及びRth2(550)は、それぞれ第2位相差層の波長450nm及び550nmでの厚さ方向位相差(単位:nm)である。)
【0081】
第2位相差層は、全光線透過率が90%以上、例えば、90%乃至100%になり、ヘイズが1%以下、例えば、0%乃至0.8%、0.1%乃至0.7%であってもよい。上記範囲で、第2位相差層を位相差層の積層体に使用することができる。
【0082】
第2位相差層は、厚さが10μm以下、例えば、0μm超過10μm以下、例えば、2乃至8μmであってもよい。上記範囲で、位相差層の積層体の薄膜化効果を得ることができる。
【0083】
第2位相差層は、第1位相差層より屈折率が低く、第2位相差層は、屈折率が1乃至2、好ましくは1.4乃至1.6、さらに好ましくは1.5乃至1.6であってもよい。
【0084】
第2位相差層は、水分透過度が1g/m/day以上、例えば、1g/m/day乃至50g/m/dayであってもよい。上記範囲で、偏光板の高温高湿又は高温での耐久性を容易に高めることができる。
【0085】
第2位相差層は、ガラス転移温度が130℃以上、例えば、130℃、135℃、140℃、145℃、150℃、155℃、160℃、165℃、170℃、175℃、180℃、185℃、190℃、195℃、200℃、例えば、130℃乃至200℃であってもよい。上記範囲で、偏光板の高温高湿又は高温での耐久性を容易に高めることができる。
【0086】
第2位相差層は、第1位相差層と互いに異なる材料で形成され、互いに異なる複屈折を有し、疎水性を示し、且つ固有複屈折が負(-)である材料で形成されてもよい。
【0087】
第2位相差層は、非液晶層であってもよい。これを通じて、偏光板を高温高湿又は高温で長期間放置した後の耐久性をより改善することができる。
【0088】
第2位相差層は、主な成分として、セルロース系化合物及びポリスチレン系化合物のうち1種以上を含む。化合物は、重合体、オリゴマーなどであってもよい。一実施形態において、セルロース系化合物及びポリスチレン系化合物は、それぞれハロゲンをさらに含有することができる。ハロゲンは、フッ素、塩素、ヨウ素又は臭素であってもよく、好ましくはフッ素であってもよい。
【0089】
固有複屈折が負である樹脂は、固有複屈折が負である重合体を含む。固有複屈折が負である重合体は、例えば、スチレン又はスチレン誘導体の単独重合体、スチレン又はスチレン誘導体と共単量体との間の共重合体を含むポリスチレン系重合体、ポリアクリロニトリル重合体、ポリメチルメタクレート共重合体、及びセルロースエステルなどのセルロース系共重合体のうち1種以上を含むことができるが、これに制限されない。共単量体は、アクリロニトリル、無水マレイン酸、メチルメタクリレート、及びブタジエンのうち1種以上を含むことができる。具体的には、好ましくは、第1位相差層は、ポリスチレン系化合物、及びセルロース系化合物のうち1種以上を含むことができ、さらに好ましくは、ポリスチレン系化合物を含むことができる。
【0090】
一実施形態において、セルロース系化合物は、下記化学式1のセルロースをなす糖単量体の水酸基[C2の水酸基、C3の水酸基又はC6の水酸基]のうち少なくとも一部がアシル基に置換された単位を少なくとも含むセルロースエステル系重合体を含むことができる。このとき、アシル基は、置換又は非置換され得る。
【0091】
[化学式1]
【化1】

(化学式1において、nは、1以上の整数である。)
【0092】
ポリスチレン系化合物は、下記化学式2の繰り返し単位を含むことができる。
【0093】
[化学式2]
【化2】

(化学式2において、

は、連結部位であり、
、R、及びRは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、置換されたアルキル基、又はハロゲンであり、
Rは、それぞれ独立してアルキル、置換されたアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、ニトロ、アルコキシ、アミノ、スルホネート、ホスフェート、アシル、アシルオキシ、フェニル、アルコキシカルボニル、及びシアノ基であり、
、R、及びRのうち一つ以上がハロゲンであり、及び/又は少なくとも一つのRはハロゲンであり、
nは、0乃至5の整数である。)
【0094】
第2位相差層用組成物は、ハロゲン非含有スチレン系重合体、例えば、ポリスチレンなどをさらに含むことができる。
【0095】
第2位相差層用組成物は、添加剤をさらに含むことができる。添加剤は、波長分散性を調節する役割をすることができる。芳香族融合環を有する添加剤としては、2-ナフチルベンゾエート、アントラセン、フェナントレン、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジエステルなどを含むことができる。芳香族融合環を有する添加剤は、第1位相差層用組成物中に0.1重量%乃至30重量%、好ましくは1重量%乃至10重量%で含まれてもよい。上記範囲で、位相差の発現率及び波長分散性を調節するという効果がある。
【0096】
第2位相差層用組成物は、当業者に知られている通常の添加剤をさらに含むことができる。添加剤は、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤などを含むことができるが、これに制限されない。
【0097】
第2位相差層は、熱硬化又は光硬化による硬化されたコーティング層であって、当業者に知られている通常の方法で製造されてもよい。
【0098】
<粘着層>
粘着層は、第1位相差層と第2位相差層とを互いに合わせるのに使用されてもよい。
【0099】
粘着層は、当業者に知られている通常の粘着剤組成物で形成されてもよい。例えば、粘着層は、(メタ)アクリル系、エポキシ系、シリコーン系、エポキシ(メタ)アクリレート系などの粘着層になってもよい。例えば、粘着層は、減圧粘着層(PSA、pressure sensitive adhesive)であってもよく、好ましくは(メタ)アクリル系粘着層であってもよい。
【0100】
粘着層と第1位相差層との間の密着力を高め、偏光板の耐久性をより改善するために、第1位相差層のうちの粘着層が合わせられる表面での水接触角が調節され得る。一実施形態において、第1位相差層のうちの粘着層が合わせられる表面は、水接触角が60゜以下、例えば、10゜乃至60゜、20゜乃至50゜であってもよい。上記範囲で、粘着層がうまく合わせられ、耐久性を改善することができる。「水接触角」は、25℃で測定され、当業者に知られている通常の方法で測定されてもよい。
【0101】
水接触角60゜以下は、第1位相差層に対してコロナ処理することによって実施することができる。コロナ処理は、第1位相差層をラインスピード10m/分乃至20m/分で移動させながら100W乃至1300Wで処理することによって行うことができる。
【0102】
粘着層と第1位相差層との間の密着力を高め、偏光板の耐久性をより改善するために、粘着層は、ガラス転移温度が-40℃以下、例えば、-60℃、-59℃、-58℃、-57℃、-56℃、-55℃、-54℃、-53℃、-52℃、-51℃、-50℃、-49℃、-48℃、-47℃、-46℃、-45℃、-44℃、-43℃、-42℃、-41℃、-40℃、-60℃乃至-40℃であってもよい。上記範囲で、適正な範囲のガラス転移温度を有し、粘着層と第1位相差層との間の密着力を高めることができる。
【0103】
-40℃以下のガラス転移温度は、粘着層用組成物中の各成分の種類及び/又は含量を調節することによって実施することができる。
【0104】
一実施形態において、(メタ)アクリル系粘着層は、(メタ)アクリル系共重合体、及び硬化剤を含む粘着層用組成物で形成されてもよい。(メタ)アクリル系共重合体及び硬化剤としては、当業者に知られている通常の種類を選択して使用することができる。
【0105】
粘着層は、厚さが5μm乃至30μm、例えば、10μm乃至25μmであってもよい。上記範囲で、粘着層を偏光板に使用することができる。
【0106】
<偏光子>
偏光子は、外部光又は位相差層の積層体から入射される光を線偏光させることによって、視野角全体で反射色相及び反射率を低下させるのに寄与することができる。
【0107】
偏光子は、偏光度が99%以上、シングル光透過率(Ts)が42%以上であってもよい。偏光子は、偏光度とシングル光透過率を同時に満足することによって、位相差層の積層体に積層されたとき、反射率を著しく低下することができる。「シングル光透過率」は、可視光線領域、例えば、波長400nm乃至700nmで測定されたシングル光透過率(Ts)を意味し、当業者に知られている通常の方法で測定されてもよい。「偏光度」は、当業者に知られている通常の方法で測定されてもよい。具体的には、偏光度は99%乃至99.9999%であり、光透過率は42%乃至50%であってもよい。
【0108】
偏光子の光吸収軸は、ポリビニルアルコール系フィルムから偏光子を製造するとき、延伸方向、例えば、偏光子のMD(machine direction)であってもよい。偏光子は、ポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸することによって製造されるポリビニルアルコール系偏光子を含むことができる。一実施形態において、偏光子は、ポリビニルアルコール系フィルムの染色、延伸、架橋、及び色相補正工程によって製造されてもよい。上述した偏光度と光透過率を同時に有する偏光子は、上述した染色、延伸、架橋、及び色相補正工程で条件を適宜変更することによって達成することができる。偏光子は、厚さが5μm乃至40μmであってもよい。上記範囲で、偏光子を偏光板に使用することができる。
【0109】
偏光板は、位相差層の積層体以外に、以下で説明する保護層を1層以上さらに含むことができる。
【0110】
一実施形態において、偏光子の他の一面には保護層が積層されてもよい。
【0111】
<保護層>
保護層は、偏光子の上部面に積層され、偏光子を保護することができる。保護層は、偏光子を保護し、偏光板の信頼性を高め、偏光板の機械的強度を高めることができる。保護層がなくても偏光板の機械的物性が確保され得る限り、保護層は省略されてもよい。保護層は、偏光子の上部面に1層以上積層されてもよい。
【0112】
保護層は、光学的に透明な、保護フィルム及び保護コーティング層のうち一つ以上を含むことができる。保護フィルムは、トリアセチルセルロース(TAC)などを含むセルロースエステル系樹脂、非晶性環状ポリオレフィン(COP)などを含む環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを含むポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、非環状-ポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂などを含むポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、及びポリ塩化ビニリデン系樹脂のうち一つ以上で形成されたフィルムを含むことができるが、これに制限されない。
【0113】
保護コーティング層は、活性エネルギー線硬化性化合物及び重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物で形成されてもよい。活性エネルギー線硬化性化合物は、陽イオン重合性硬化性化合物、ラジカル重合性の硬化性化合物、ウレタン樹脂、及びシリコーン系樹脂のうち一つ以上を含むことができる。
【0114】
保護層は、無位相差フィルムであってもよく、又は所定範囲の面内位相差を有することができる。例えば、保護層は、波長550nmでの面内位相差が5000nm未満、又は5000nm以上、120nm乃至160nm、或いは5nm乃至0nmであってもよい。上記範囲で、位相差フィルム積層体の効果に影響を与えないと共に、偏光板を保護することができる。
【0115】
保護層は、厚さが10μm以下又は5μm乃至300μm、5μm以下又は5μm乃至200μmであってもよい。上記範囲で、保護層を偏光板に使用することができる。
【0116】
保護層の上部面には、機能性コーティング層がさらに形成されてもよい。機能性コーティング層は、ハードコーティング層、耐指紋性層、反射防止層、アンチグレア層、低反射層、及び超低反射層のうち1種以上を含むことができるが、これに制限されない。
【0117】
一実施形態において、保護層は、水分透過度が低いので、偏光板の高温高湿放置後の耐久性をより高めることができる。例えば、保護層は、水分透過度が1g/m/day以上、例えば、1g/m/day乃至100g/m/dayであってもよい。上記範囲で、偏光板の耐久性が良く、保護層を容易に製造することができる。
【0118】
偏光子と位相差層の積層体との間、及び位相差層の積層体の下部面のうち1種以上には、保護層、粘着層、及び接着層のうち1種以上がさらに積層されてもよい。保護層は、上述したものと実質的に同一である。
【0119】
図2乃至図5は、本発明の一実施形態に係る偏光板の断面図である。図2乃至図5において、「偏光子の上部面」は偏光子の光出射面で、「偏光子の下部面」は偏光子の光入射面である。
【0120】
偏光板は、偏光子100、偏光子100の上部面に積層された第1保護層300、及び偏光子100の下部面に積層された位相差層の積層体を含み、位相差層の積層体は、偏光子100から順次積層された第2位相差層220及び第1位相差層210を含む。
【0121】
偏光板は、偏光子100、偏光子100の上部面に積層された第1保護層300、及び偏光子100の下部面に積層された位相差層の積層体を含み、位相差層の積層体は、偏光子100から順次積層された第2位相差層220、粘着層230及び第1位相差層210を含む。
【0122】
偏光板は、偏光子100、偏光子100の上部面に積層された第1保護層300、偏光子100の下部面に積層された第2保護層400及び位相差層の積層体を含み、位相差層の積層体は、偏光子100から順次積層された第2位相差層220及び第1位相差層210を含む。
【0123】
偏光板は、偏光子100、偏光子100の下部面に積層された第1保護層300、及び偏光子100の上部面に積層された位相差層の積層体を含み、位相差層の積層体は、偏光子100から順次積層された第2位相差層220及び第1位相差層210を含む。
【0124】
<光学表示装置>
本発明の光学表示装置は、本発明の偏光板を含む。光学表示装置は、液晶表示装置を含むことができる。本発明の偏光板は、光学表示装置のうちの視認側偏光板として含まれてもよい。一実施形態において、液晶表示装置は、IPS又はFFSモード液晶表示装置であってもよい。
【0125】
液晶表示装置は、液晶パネル、液晶パネルの一側面にある視認側偏光板、及び液晶パネルの他の一側面にある光源側偏光板を含むことができる。視認側偏光板のうちの偏光子の光吸収軸は、光源側偏光板のうちの光吸収軸と実質的に直交し得る。
【0126】
一実施形態において、液晶表示装置は、液晶パネル、液晶パネルの一面に積層された視認側偏光板、及び液晶パネルの他の一面に積層された光源側偏光板を含むことができる。視認側偏光板は、液晶パネルから順次積層された第1位相差層、第2位相差層、偏光子、及び保護層を含むことができる。光源側偏光板は、液晶パネルから順次積層された保護層、偏光子、及び保護層を含むことができる。このとき、視認側偏光板のうちの偏光子の光吸収軸(例:0゜)は、第1位相差層の遅相軸(例:0゜)に対して実質的に平行である。視認側偏光板のうちの偏光子の光吸収軸は、液晶パネルの液晶配向方向(例:90゜)及び光源側偏光板のうちの偏光子の光吸収軸(例:90゜)のそれぞれに対して実質的に直交する。
【0127】
一実施形態において、液晶表示装置は、液晶パネル、液晶パネルの一面に積層された視認側偏光板、及び液晶パネルの他の一面に積層された光源側偏光板を含むことができる。光源側偏光板は、液晶パネルから順次積層された第1位相差層、第2位相差層、偏光子、及び保護層を含むことができる。視認側偏光板は、液晶パネルから順次積層された保護層、偏光子、及び保護層を含むことができる。このとき、光源側偏光板のうちの偏光子の光吸収軸(例:0゜)は、第1位相差層の遅相軸(例:0゜)に対して実質的に平行である。光源側偏光板のうちの偏光子の光吸収軸は、液晶パネルの液晶配向方向(例:90゜)及び視認側偏光板のうちの偏光子の光吸収軸(例:90゜)のそれぞれに対して実質的に直交する。
【0128】
以下、本発明の好ましい実施例を通じて、本発明の構成及び作用をさらに詳細に説明する。ただし、これは、本発明の好ましい例示として提示されたものであって、如何なる意味でも、これによって本発明が制限されると解釈することはできない。
【0129】
(実施例1)
ポリビニルアルコール系フィルム(日本Kuraray社、延伸前の厚さ:60μm)を55℃のヨウ素水溶液で染着させ、フィルムのMDに6倍に一軸延伸することによって偏光子(光透過率:44%、厚さ:10μm)を製造した。
【0130】
環状オレフィンポリマー(COP)系フィルム(ZF、Zeon社)を、140℃で延伸比2.3倍にMDに一軸延伸することによって第1位相差層(+A層、Reは正の波長分散性、厚さ:45μm)を製造した。
【0131】
フッ素に置換されたポリスチレン系ポリマー含有組成物(VM、Eastman社)をメチルエチルケトンに溶解させた後、第1位相差層の一面にコーティングして乾燥させ、第1位相差層の一面に第2位相差層(非液晶層、+C層、厚さ:4μm、Tg:140℃、水分透過度:30g/m/day)が積層された位相差層の積層体を製造した。
【0132】
製造した偏光子の下部面に位相差フィルム積層体のうちの+C層を粘着層で合わせ、製造した偏光子の上部面に保護層としてのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(DSG、DNP社、水分透過度:30g/m/day)を合わせ、PETフィルム-偏光子-第2位相差層-第1位相差層の順に積層された偏光板を製造した。
【0133】
(実施例2及び実施例3)
実施例1において、第1位相差層及び第2位相差層のそれぞれの仕様を下記表1のように変更したことを除いては、実施例1と同一の方法で偏光板を製造した。
【0134】
(実施例4)
ポリビニルアルコール系フィルム(日本Kuraray社、延伸前の厚さ:60μm)を55℃ヨウ素水溶液で染着させ、MDに6倍に一軸延伸することによって偏光子(光透過率:44%、厚さ:10μm)を製造した。
【0135】
環状オレフィンポリマー(COP)系フィルム(ZF、Zeon社)を、140℃で2.3倍にMDに一軸延伸することによって第1位相差層(+A層、Reは正の波長分散性、厚さ:45μm)を製造した。第1位相差層の上部面をコロナ処理し、水接触角を20゜にした。
【0136】
フッ素に置換されたポリスチレン系ポリマー含有組成物(VM、Eastman社)をメチルエチルケトンに溶解させ、離型PETフィルムの一面にコーティングして乾燥させた後、離型PETフィルムを剥離し、第1位相差層の上部面に粘着層(Tg:-45℃、(メタ)アクリル系粘着層)で合わせ、第1位相差層-粘着層-第2位相差層(非液晶層、+C層、厚さ:3μm、Tg:140℃、水分透過度:30g/m/day)が積層された位相差層の積層体を製造した。
【0137】
製造した偏光子の下部面に位相差フィルム積層体のうちの+C層を粘着層で合わせ、製造した偏光子の上部面に保護層としてのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(DSG、DNP社)を合わせ、PETフィルム-偏光子-第2位相差層-粘着層-第1位相差層の順に積層された偏光板を製造した。
【0138】
(実施例5)
実施例4において、第1位相差層のコロナ処理条件を変更することによって水接触角を変更し、粘着層(Tg:-40℃、(メタ)アクリル系粘着層)を使用した点を除いては、実施例1と同一の方法で偏光板を製造した。
【0139】
(比較例1及び比較例2)
実施例1において、第1位相差層及び第2位相差層のそれぞれの仕様を下記表1のように変更したことを除いては、実施例1と同一の方法で偏光板を製造した。
【0140】
(比較例3)
実施例1において、第2位相差層である+C層を液晶層用組成物(LC、DNP社)で形成した点を除いては、実施例1と同一の方法で偏光板を製造した。
【0141】
位相差層の積層体、第1位相差層、及び第2位相差層のそれぞれの位相差は、Axoscan(Axometry社)を用いて測定した。
【0142】
(1)高温高湿耐久性と高温耐久性:偏光板を横×縦(10cm×10cm)に切断し、試験片を製造した。試験片の偏光度と光透過率のそれぞれの初期値を測定した。試験片を60℃及び相対湿度90%を有するチャンバー内で250時間にわたって保管した後、同一の方法で試験片の偏光度と光透過率をそれぞれ測定した。250時間放置する前と250時間放置した後の測定値の差が3%以上である場合はNG、3%未満である場合はOKと評価し、外観上の評価でも、気泡が発生した場合はNGと評価した。試験片を80℃のチャンバー内で250時間にわたって放置した。同一の方法で高温耐久性を評価した。光透過率と偏光度は、それぞれ光透過率及び偏光度測定装置V7100(JASCO社)で測定された。
【0143】
(2)正面明暗比(単位:なし):実施例及び比較例の偏光板を55インチTVのうちの視認側偏光板の代わりに付着させ、EZCONTRAST X88RC(EZXL-176R-F422A4、ELDIM社)を用いて球面座標系で正面(0゜,0゜)におけるホワイトモード(white mode)での輝度とブラックモード(black mode)での輝度のそれぞれを測定した後、正面明暗比=(ホワイトモードでの輝度)/(ブラックモードでの輝度)を測定した。
【0144】
(3)黒輝度(Black Luminance)(単位:なし):(2)と同一の方法で実施例及び比較例の偏光板を付着させた後、ブラックモード及び側面(45゜,60゜)での輝度をEZCONTRAST X88RC(EZXL-176R-F422A4、ELDIM社)を用いて測定した。輝度の数値が低いほど、側面での光漏れが低いことを意味する。
【0145】
(4)色感変化(color difference)(単位:なし):(2)と同一の方法で偏光板を付着させた後、色相座標系(x,y)で(60゜,45゜)と(60゜,135゜)との間の色座標距離を求めた。色座標距離が低いほど、側面での色感変化が低いことを意味する。
【0146】
[表1]
【表1】
【0147】
表1に示すように、本発明の偏光板は、高温高湿及び高温での耐久性に優れていた。本発明の偏光板は、優れた正面明暗比を提供し、側面での光漏れを減少させ、側面での色感変化を低下させた。
【0148】
その一方で、比較例3の偏光板は、第2位相差層として液晶層を備えており、高温高湿及び高温での耐久性が良くなかった。位相差層の積層体の波長550nmでのRth及び本発明の数式1の範囲を満足しない比較例1は、実施例に比べて正面明暗比が低く、側面での光漏れが著しく高かった。比較例2の偏光板は、側面での光漏れが著しく高いため色変化が減少しただけで、側面での光漏れが著しく高かった。
【0149】
本発明の単純な変形及び変更は、この分野で通常の知識を有する者によって容易に実施可能であり、このような変形や変更は、いずれも本発明の領域に含まれるものとみなすことができる。
【符号の説明】
【0150】
100 偏光子
210 第1位相差層
220 第2位相差層
300 第1保護層
図1
図2
図3
図4
図5