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  • 特開-偏光板および光学表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124364
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】偏光板および光学表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20240905BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20240905BHJP
   G02B 1/11 20150101ALI20240905BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G02B5/30
G02B5/02 B
G02B1/11
G02F1/1335 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024026608
(22)【出願日】2024-02-26
(31)【優先権主張番号】10-2023-0027992
(32)【優先日】2023-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ヒュオン イム
(72)【発明者】
【氏名】ベク,イル ウォン
(72)【発明者】
【氏名】カン,ソ ヨン
【テーマコード(参考)】
2H042
2H149
2H291
2K009
【Fターム(参考)】
2H042BA02
2H042BA03
2H042BA20
2H149AA02
2H149AB01
2H149BA02
2H149CA02
2H149EA12
2H149FA03W
2H149FA05X
2H149FA68
2H149FC02
2H149FC06
2H149FD09
2H149FD12
2H291FA02Y
2H291FA14Y
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA30X
2H291FA30Z
2H291FA40X
2H291FA40Z
2H291FA45X
2H291FA45Z
2H291FA46X
2H291FA46Z
2H291FA83Z
2H291FA85Z
2H291FA94X
2H291FA94Z
2H291FA95X
2H291FA95Z
2H291FB02
2H291FC05
2H291FC08
2H291FC09
2H291GA19
2H291HA15
2H291PA59
2H291PA79
2K009AA02
2K009CC09
2K009CC26
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光学表示装置の画面において、絵画または写真等のマットな質感および高い明暗比を実現する偏光板、およびそれを含む光学表示装置を提供する。
【解決手段】偏光子、および偏光子の一面に積層された第1保護フィルムを含む偏光板であって、第1保護フィルムの全体ヘーズは40%~60%であり、内部ヘーズは3%~7%であり、数式1の光透過率の割合が0.008以下である、偏光板。
[数式1]
光透過率の割合=Tc(380nm~420nm)/Tc(780nm)
数式1において、Tc(780nm)は、偏光板の波長780nmにおける直交透過率(単位:%)であり、Tc(380nm~420nm)は、偏光板の波長380nm~420nmにおける直交透過率の最大値(単位:%)である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子、および前記偏光子の一面に積層された第1保護フィルムを含み、
前記第1保護フィルムの全体ヘーズは40%~60%であり、内部ヘーズは3%~7%であり、
下記数式1の光透過率の割合が0.008以下であり、
[数式1]
光透過率の割合=Tc(380nm~420nm)/Tc(780nm)
前記数式1において、Tc(780nm)は、偏光板の波長780nmにおける直交透過率(単位:%)であり、
Tc(380nm~420nm)は、偏光板の波長380nm~420nmにおける直交透過率の最大値(単位:%)である、偏光板。
【請求項2】
前記第1保護フィルムの内部ヘーズに対する外部ヘーズの割合は、9~20である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項3】
前記第1保護フィルムは、基材層および前記基材層の一面に積層されたアンチグレア層を含む、請求項1に記載の偏光板。
【請求項4】
前記アンチグレア層は、有機粒子、無機粒子の1種以上を含む、請求項3に記載の偏光板。
【請求項5】
前記数式1の光透過率の割合は、0.003~0.008である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項6】
前記偏光板の波長780nmにおける直交透過率は、0%~20%である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項7】
波長380nm~420nmにおける直交透過率の最大値は、波長395nm~410nmに位置する、請求項1に記載の偏光板。
【請求項8】
波長380nm~420nmにおける直交透過率の最大値は、0.001%~0.1%に位置する、請求項1に記載の偏光板。
【請求項9】
下記数式2の割合が0.35以下であり、
[数式2]
割合=Tc(780nm)/全体ヘーズ
前記全体ヘーズは、前記第1保護フィルムの全体ヘーズ(単位:%)であり、
Tc(780nm)は、前記偏光板の波長780nmにおける直交透過率(単位:%)である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項10】
下記数式3の割合が5.0以下であり、
[数式3]
割合=Tc(780nm)/内部ヘーズ
前記内部ヘーズは、前記第1保護フィルムの内部ヘーズ(単位:%)であり、
Tc(780nm)は、前記偏光板の波長780nmにおける直交透過率(単位:%)である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項11】
波長380nmにおける前記偏光子のMD側直交透過率は1.0%~1.3%であり、前記偏光子のTD側直交透過率は0.05%以下である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項12】
前記第1保護フィルムは、前記アンチグレア層の一表面に積層された反射防止層をさらに含む、請求項3に記載の偏光板。
【請求項13】
前記偏光子の前記一面に前記第1保護フィルムだけが積層された、請求項1に記載の偏光板。
【請求項14】
前記偏光子の別の一面に第2保護フィルムが積層された、請求項1に記載の偏光板。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載の前記偏光板を含む、光学表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一実施形態は、偏光板および光学表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、バックライトユニットから射出される光を光源側偏光板、液晶パネル、および視認側偏光板の順序で透過させることにより、画面を構成する。液晶表示装置は、高い明暗比が要求されることが一般的である。
【0003】
近年、液晶表示装置、特にTVに利用される液晶表示装置の場合は、駆動時に画面上で動画を表示する役割に加え、画面上絵画または写真を再生させることにより、TV画面自体が一つの絵画または写真が入った額のような役割をすることが要求されている。通常、このようなTVは「非駆動額TV」と呼ばれている。非駆動額TVでは、絵画または写真を鮮明に見せることが基本的に要求される。また、絵画または写真が画面から浮いているようには見えず、画面に密着して絵画または写真本来の質感(「マットな質感」とも言う)を再現する機能も必須的に要求される。さらに、非駆動額TVは、マットな質感を実現すると共に、明暗比を高める偏光板が要求される。
【0004】
本発明の背景技術は、日本公開特許第2006-251659号等に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-251659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一実施形態によると、光学表示装置の画面において、絵画または写真等のマットな質感および高い明暗比を実現する偏光板が提供される。
【0007】
一実施形態によると、偏光板が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1.上記偏光板は、偏光子、および偏光子の一面に積層された第1保護フィルムを含み、第1保護フィルムは、全体ヘーズが40%~60%であり、内部ヘーズが3%~7%であり、偏光板は下記数式1の光透過率の割合が0.008以下である。
[数式1]
光透過率の割合=Tc(380nm~420nm)/Tc(780nm)
【0009】
数式1において、Tc(780nm)は、偏光板の波長780nmにおける直交透過率(単位:%)であり、Tc(380nm~420nm)は、偏光板の波長380nm~420nmにおける直交透過率の最大値(単位:%))である。
【0010】
2.1において、第1保護フィルムは、内部ヘーズに対する外部ヘーズの割合が9~20でもよい。
【0011】
3.1~2において、第1保護フィルムは、基材層および基材層の一面に積層されたアンチグレア層を含むことができる。
【0012】
4.3において、アンチグレア層は、有機粒子、無機粒子の1種以上を含むことができる。
【0013】
5.1~4において、数式1の光透過率の割合は、0.003~0.008でもよい。
【0014】
6.1~5において、偏光板は、波長780nmにおける直交透過率が0%~20%でもよい。
【0015】
7.1において、偏光板において、波長380nm~420nmにおける直交透過率の最大値は、波長395nm~410nmでもよい。
【0016】
8.1~8において、偏光板は、波長380nm~420nmにおける直交透過率の最大値が0.001%~0.1%でもよい。
【0017】
9.1~8において、偏光板は、下記数式2の割合が0.35以下でもよい。
[数式2]
割合=Tc(780nm)/全体ヘーズ
【0018】
数式2において、全体ヘーズは、第1保護フィルムの全体ヘーズ(単位:%)であり、Tc(780nm)は、偏光板の波長780nmにおける直交透過率(単位:%))である。
【0019】
10.1~9において、前記偏光板は、下記数式3の割合が5.0以下でもよい。
[数式3]
割合=Tc(780nm)/内部ヘーズ
【0020】
数式3において、内部ヘーズは、第1保護フィルムの内部ヘーズ(単位:%)であり、Tc(780nm)は、偏光板の波長780nmにおける直交透過率(単位:%))である。
【0021】
11.1~10において、偏光板は、波長380nmにおける偏光子のMD側直交透過率が1.0%~1.3%、偏光子のTD側直交透過率が0.05%以下でもよい。
【0022】
12.1~11において、第1保護フィルムは、アンチグレア層の一表面に積層された反射防止層をさらに含むことができる。
【0023】
13.1~12において、偏光子の一面に第1保護フィルムだけを積層することができる。
【0024】
14.1~13において、偏光子の別の一面に第2保護フィルムを積層することができる。
【0025】
別の実施形態によると、光学表示装置が提供される。光学表示装置は、上記偏光板を含む。
【0026】
一実施形態によると、光学表示装置の画面において、絵画または写真のマットな質感および高い明暗比を実現する偏光板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】通常の偏光板中の第1保護フィルムの内部ヘーズによる正面明暗比の傾向(点線)、一実施形態の偏光板中の第1保護フィルムの内部ヘーズによる正面明暗比の傾向(実線)を示したグラフである。図1で、X軸は内部ヘーズ(単位:%)、Y軸は明暗比(単位:なし)である。
図2】波長による本発明の偏光板の直交透過率を示したグラフである。
図3】一実施形態の偏光板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
添付の図面を参考して、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明を詳しく説明する。本発明は、幾つかの異なる形態で実現することができ、ここで説明する実施例に限定されるのではない。
【0029】
ここで使用される用語は、単に例示的な実施形態を説明するために使用されるものであり、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈上明白に異なる意味を表さない限り、複数の表現を含む。
【0030】
図面において、本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、明細書全体を通じて同一または類似する構成要素については、同じ図面符号を付した。図面において、各構成要素の長さ、大きさは、本発明を説明するためのものであり、本発明が図面に記載の各構成要素の長さ、大きさに制限されるのではない。
【0031】
本明細書において、「上部」と「下部」は、図面を基準に定義したものであり、見る角度によって「上部」が「下部」に、「下部」が「上部」に変更になる場合もあり、「上(on)」と記載されているものは、真上だけでなく、中間に別の構造を介在する場合も含まれることがある。一方、「直接上(directly on)」、「直上」、又は「直接形成」、或いは「直接接して形成」と記載されているものは、中間に別の構造を介在しないことを意味する。
【0032】
本明細書において「面内位相差(Re)」は、下記数式Aで表される:
[数式A]
Re=(nx-ny)xd
【0033】
数式Aで、nx、nyは、それぞれ測定波長における光学素子の遅相軸(slow axis)方向の屈折率と光学素子の進相軸方向(fast axis)の屈折率であり、dは光学素子の厚さ(単位:nm)である。本発明において、面内位相差は、光学素子の面内方向に対する法線方向に光を透過させることにより測定される値である。
【0034】
本明細書において、第1保護フィルムの「内部ヘーズ」は、全体ヘーズが1%未満の無アルカリガラス板にアルコール(例えば、エタノール)を吹きかけ、第1保護フィルム中のアンチグレア層側を貼り合わせてアンチグレア層表面の凹凸を平坦にした後、第1保護フィルムの全体ヘーズと同じ方法で評価した値である。第1保護フィルムの「全体ヘーズ」は、第1保護フィルムを通常のヘーズ測定器で測定して得られる値である。第1保護フィルムの「外部ヘーズ」は、第1保護フィルムの全体ヘーズと内部ヘーズ間の差でもよい。
【0035】
本明細書において、「ヘーズ」は、可視光線領域、例えば波長380nm~780nmで測定することができる。
【0036】
本明細書において、偏光板の「単体透過率(Ts)」は、「(偏光板のMD単体透過率+偏光板のTD単体透過率)/2」で計算される値である。
【0037】
本明細書において、偏光板の「直交透過率(Tc)」は、「(偏光板のMD直交透過率x偏光板のTD直交透過率)/100」で計算される値である。
【0038】
本明細書において、数値範囲の記載時「X~Y」は、X以上Y以下を意味する。
【0039】
一実施形態によると、光学表示装置の画面において絵画または写真等のマットな質感をそのまま実現する偏光板が提供される。偏光板は、絵画または写真が鮮明に見えることを可能にし、絵画または写真が画面から浮いているようには見えず、画面に密着して絵画または写真本来の質感(マットな質感)を再現することができる。
【0040】
一実施形態によると、偏光板は、高い明暗比を実現する。
【0041】
一実施形態において、偏光板は、液晶表示装置中の視認側偏光板として使用することができる。
【0042】
偏光板は、偏光子、および偏光子の一面に積層された第1保護フィルムを含み、第1保護フィルムは、全体ヘーズが40%~60%であり、内部ヘーズが3%~7%である。本発明は、偏光子の光出射面に配置される第1保護フィルムの全体ヘーズおよび内部ヘーズを本発明の範囲に調節することにより、光学表示装置の画面において写真または絵画のマットな質感を提供する。ここで、偏光子の「光出射面」は、バックライトユニット等の内部光が偏光子を通過した後、偏光子から出射する面である。
【0043】
例えば、第1保護フィルムは、全体ヘーズが、40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,50,51,52,53,54,55%であり、内部ヘーズは、3,3.5,4,4.5,5,5.5,6,6.5,7%でもよい。
【0044】
第1保護フィルムは、全体ヘーズが40%~55%、好ましくは40%~50%、より好ましくは40%~46%でもよい。第1保護フィルムは、内部ヘーズが3%~6.5%、好ましくは3%~6%、3%~5.5%でもよい。上記範囲で、マットな質感を容易に提供することができる。
【0045】
一実施形態において、第1保護フィルムは、全体ヘーズが40%~46%、内部ヘーズが3%~5.5%でもよい。上記範囲で、マットな質感を提供し、以下に説明する明暗比をより容易に改善することができる。
【0046】
第1保護フィルムは、外部ヘーズが35%以上60%未満、例えば、35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59%、好ましくは35%~55%、より好ましくは35%~50%でもよい。上記範囲で、第1保護フィルムは、本発明の全体ヘーズおよび内部ヘーズを容易に実現することができる。
【0047】
第1保護フィルムは、内部ヘーズに対する外部ヘーズの割合が9~20、例えば、9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20、好ましくは9~15でもよい。上記範囲で、マットな質感、および以下に説明する偏光板の直交透過率の割合を容易に実現することができる。
【0048】
第1保護フィルムは、基材層および基材層の一面に積層されたアンチグレア層(antiglare layer)を含むことができる。
【0049】
基材層は、アンチグレア層を支持することができる。
【0050】
基材層は、内部ヘーズ、外部ヘーズ、全体ヘーズがそれぞれ1%以下、例えば0%~0.5%でもよい。上記範囲で、第1保護フィルムの全体ヘーズおよび内部ヘーズに影響を与えなくすることができる。
【0051】
基材層は、光学的に透明な、例えば可視光線領域で光透過率90%以上の基材フィルムを含むことができる。基材層は、基材フィルムの少なくとも一面に形成されたコーティング層をさらに含むことができる。
【0052】
一実施形態において、基材層は、基材フィルム単独でもよい。基材フィルムは、光学的に透明な樹脂を含むフィルムでもよい。例えば、基材フィルムは、トリアセチルセルロース(TAC)等を含むセルロース系、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等を含むポリエステル系、アクリル系、環状オレフィンポリマー(COP)系、環状オレフィンコポリマー(COC)系、ポリカーボネート系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリオレフィン系、ポリアリレート系、ポリビニルアルコール系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系の1種以上の樹脂からなるフィルムでもよい。好ましくは、基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレートまたはアクリル系フィルムでもよい。
【0053】
基材フィルムは、1軸または2軸に延伸されて上述の面内位相差を提供することができる。具体的には、基材フィルムは上記樹脂を含む基材フィルム用組成物から未延伸のフィルムを製造し、製造された未延伸のフィルムをMD1軸、TD1軸またはMDとTD2軸に延伸させて製造することができる。延伸比は、未延伸のフィルムの厚さ、目標とする面内位相差、延伸温度等を考慮して適切に選択することができ、例えば、延伸比は2倍~7倍、3倍~8倍でもよい。延伸温度は、未延伸のフィルムのガラス転移温度(Tg)によって調節することができ、例えばTg±20℃でもよい。延伸は、当業者に知られている通常の方法で行うことができる。
【0054】
一実施形態において、基材フィルム、好ましくは、基材層の面内位相差は、波長550nmで5,000nm以上、具体的には5,000nm~15,000nm、より具体的には5,000nm~12,000nmでもよい。上記範囲で、正面明暗比の改善効果、虹ムラの抑制効果等を奏することができる。
【0055】
別の具体例において、基材フィルム、好ましくは、基材層の面内位相差は、波長550nmで5,000nm未満、具体的には0~1,000nm、より具体的には0~100nm未満、0~50nm未満でもよい。
【0056】
別の具体例において、基材層はコーティング層としてプライマー層をさらに備えることができる。プライマー層は、被着体またはアンチグレア層に対する密着性を高めることができる。プライマー層は、第1保護フィルムの効果に影響を与えない範囲内でプライマー層用樹脂、例えばウレタン系、アクリル系、ポリエステル系樹脂等を含む組成物で形成することができる。
【0057】
基材層は、厚さが40μm~100μm、好ましくは50μm~90μmでもよい。上記範囲で、基材層は、第1保護フィルムの支持体として機能することができる。
【0058】
アンチグレア層は、第1保護フィルムの全体ヘーズおよび内部ヘーズを提供する。
【0059】
アンチグレア層は、基材層に直接形成されている。上述した「直接形成」は、基材層とアンチグレア層間に任意の粘着層、接着層、粘接着層、または任意の別の光学層を介在させず直接積層されていることを意味する。アンチグレア層は、基材層にアンチグレア層用組成物を直接コーティングすることにより形成できる。
【0060】
アンチグレア層は、第1保護フィルムの全体ヘーズおよび内部ヘーズを実現するように、アンチグレア層の表面および/またはアンチグレア層用組成物内の組成を調節することができる。第1保護フィルムは、上述の通り、高ヘーズの保護フィルムである。このような高ヘーズは、アンチグレア層内の有機粒子および/または無機粒子の平均粒径、またはアンチグレア層の最表面における凹凸の程度を調節することにより実現することができる。
【0061】
一具体例において、アンチグレア層の一表面、好ましくは基材層と対向する表面には微細な凹凸が形成されていてもよい。
【0062】
微細な凹凸は、以下に説明する無機粒子、有機粒子の1種以上を含むことで形成することができる。微細な凹凸は、アンチグレア層が本発明の範囲の全体ヘーズおよび内部ヘーズを有するように構成することができる。
【0063】
アンチグレア層に含まれる有機粒子を説明する。有機粒子は、アンチグレア層用組成物に含有され、アンチグレア層用マトリックスと比べて屈折率が異なるため、第1保護フィルムのヘーズを調節し、所定範囲の表面照度Saを与えることによって本発明の効果を改善することができる。
【0064】
有機粒子は、アンチグレア層中、5重量%~50重量%、例えば、5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,50重量%、具体的には10重量%~40重量%、より具体的には10重量%~20重量%で含まれてもよい。上記範囲で、アンチグレア効果を発現することができる。
【0065】
有機粒子は、マイクロ粒子、ナノ粒子等であり、形状は、球状、無定形等、特に制限されず、平均粒径(D50)は0.01μm~6μmでもよい。上記範囲で、アンチグレア効果を実現できる。例えば、平均粒径(D50)は、0.01,0.05,0.1,0.5,1,1.5,2,2.5,3,3.5,4,4.5,5,5.5,6μmでもよい。有機粒子は、アンチグレア層のためのアンチグレア層製造用樹脂を含む組成物に含まれ、アンチグレア層製造のため、平均粒径(D50)は、好ましくは0.5μm~5.5μm、より好ましくは1μm~5μmである。
【0066】
本明細書において、「平均粒径(D50)」は、当業者に知られている通常の平均粒径(D50)を意味し、有機粒子を体積基準で最小から最大の順に分布させた際、50体積%に該当する有機粒子の粒径を意味する。
【0067】
有機粒子は、アンチグレア層用マトリックスに比べて屈折率が高く、有機粒子の屈折率は、1.30~1.70、具体的には1.40~1.60でもよい。上記範囲で、本発明のアンチグレア層を容易に実現することができる。
【0068】
有機粒子は、上述の屈折率を有する有機粒子から適切に選択して使用することができる。
【0069】
例えば、有機粒子としては、コアシェル型粒子を含むこともできるが、好ましくはコアシェル型ではない非コアシェル型、つまり、粒子全体が単一物質からなる粒子である。有機粒子を成す単一物質は、ポリアクリレート系、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)等を含むポリメタアクリレート系、ポリスチレン(PS)系、シリコン系、ポリカーボネート系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリフッ化エチレン系、ポリメチルメタアクリレート-ポリアクリレート系、ポリアクリレート-ポリスチレン系、メラミン系等の粒子でもよい。
【0070】
好ましくは、有機粒子は、ポリスチレン系粒子およびポリアクリレート系、またはポリメタアクリレート系粒子の混合物である。
【0071】
アンチグレア層は、有機粒子および有機粒子が分散されているアンチグレア層用マトリックスで構成され、アンチグレア層用マトリックスは、有機粒子に比べて屈折率が低くてもよい。アンチグレア層は、有機粒子および化学線硬化性化合物を含む組成物から形成することができる。化学線硬化性化合物は化学線硬化性樹脂またはオリゴマー、化学線硬化型モノマーの1種以上を含むことができる。化学線硬化性樹脂またはオリゴマーとしては、当業者に知られている通常の種類を選択することができる。
【0072】
組成物は、光ラジカル開始剤、光カチオン開始剤の1種以上の光開始剤をさらに含むことができる。光開始剤は、化学線硬化性樹脂、化学線硬化性モノマーを硬化させることができる。光ラジカル開始剤は、アセトフェノン系、シクロヘキシルケトン系等の光ラジカル開始剤を含むことができる。
【0073】
組成物は、固形分基準で有機粒子を5重量%~50重量%、具体的には、10重量%~40重量%、より具体的には10重量%~20重量%、化学線硬化性、樹脂またはオリゴマーを20重量%~80重量%、具体的には、50重量%~70重量%、化学線硬化性モノマーを10重量%~80重量%、具体的には10重量%~30重量%、光開始剤を1重量%~10重量%で含んでもよい。
【0074】
アンチグレア層用組成物は、有機粒子を溶解させない範囲内で適切な溶媒を含むことができる。溶媒は、特に制限されないが、メチルエチルケトン、プロピレングリコールメチルエーテル等でもよい。
【0075】
アンチグレア層用組成物は、アンチグレア層に含まれる通常の添加剤をさらに含んでもよい。アンチグレア層は、基材層の一面にアンチグレア層用組成物を塗布し、乾燥、硬化させて形成することができる。硬化は、熱硬化、光硬化等、当業者に知られている通常の方法で行うことができる。
【0076】
アンチグレア層の厚さは、1μm~8μm、例えば、1,2,3,4,5,6,7,8μm、具体的には2μm~7μmでもよい。上記範囲で、第1保護フィルムにアンチグレア層が含まれてもよい。
【0077】
第1保護フィルムは、アンチグレア層の一表面に積層された反射防止層をさらに含むことができる。
【0078】
反射防止層は、第1保護フィルムを備える偏光板の反射率を低減することで、本発明の効果を発現することができる。第1保護フィルムの反射率は、2%以下、例えば1%~2%でもよい。
【0079】
反射防止層は、アンチグレア層に直接形成されてもよい。上記「直接形成」は、アンチグレア層と反射防止層間に任意の粘着層、接着層、粘接着層または任意の別の光学層を介さずに直接積層されていることを意味する。反射防止層は、アンチグレア層に反射防止層用組成物を直接コーティングすることにより形成することができる。
【0080】
反射防止層の屈折率は、2.0以下、例えば、1.1,1.2,1.3,1.4,1.5,1.6,1.7,1.8,1.9,2.0、例えば1.2~1.4でもよい。上記範囲で、本発明の反射率を容易に実現することができる。反射防止層は、反射防止層用組成物の組成を調節することにより、フィルムの反射率を実現することができる。
【0081】
反射防止層用組成物は、無機粒子、フッ素系化合物の1種以上を含むことができる。無機粒子、フッ素系化合物は、反射防止層の屈折率を下げることができる。
【0082】
無機粒子は、低い屈折率を有するように中空形状を有することができる。例えば、無機粒子は、低屈折率の無機粒子として中空シリカが好ましい。無機粒子の屈折率は、1.5未満、例えば屈折率1.0以上1.5未満でもよい。上記範囲で、反射防止層の屈折率を容易に低減することができる。
【0083】
無機粒子は、反射防止層の厚さに比べて低い平均粒径(D50)を有することで、反射防止層の表面照度Saを容易に実現することができる。無機粒子の平均粒径(D50)は、50nm~150nm、例えば50nm~120nmでもよい。
【0084】
無機粒子は、反射防止層中、30重量%~70重量%、例えば、30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66,67,68,69,70重量%、具体的には40重量%~60重量%、例えば50重量%~60重量%で含まれることができる。上記範囲で、本発明の反射率を容易に実現することができる。
【0085】
フッ素系化合物は、少量の無機粒子を使用しても反射防止層の屈折率を容易に低減することができる。フッ素系化合物は、フッ素含有(メタ)アクリレート系モノマー、そのオリゴマー、またはその樹脂を含んでもよい。
【0086】
反射防止層用組成物は、無機粒子、フッ素系化合物以外に化学線硬化性、樹脂またはオリゴマー、化学線硬化性モノマーの1種以上、光開始剤をさらに含むことができる。化学線硬化型樹脂、化学線硬化性モノマーは、硬化して反射防止層のマトリックス形成を容易にし、低屈折率粒子が反射防止層に安定して含まれるようにすることができる。化学線硬化性樹脂、化学線硬化性モノマー、光開始剤の説明は、防眩層における説明と実質的に同一である。
【0087】
反射防止層用組成物は、固形分基準で、化学線硬化性樹脂、化学線硬化性オリゴマー、活化学線硬化性モノマーの1種以上を20重量%~80重量%、無機粒子を30重量%~70重量%、具体的には50重量%~70重量%、フッ素系化合物を1重量%~10重量%、光開始剤を1重量%~10重量%含むことができる。上記範囲で、本発明の反射防止層を容易に得ることができる。
【0088】
反射防止層用組成物は、反射防止層に含まれる通常の添加剤をさらに含むことができる。例えば、添加剤は反射防止層に防汚性機能およびスリム性を付加するものであり、当業者に知られている通常の添加剤を使用することができる。添加剤は、フッ素含有添加剤、シリコン系添加剤の一つ以上を含むことができる。反射防止層は、基材層の一面に反射防止層用組成物を塗布し、乾燥、硬化させて形成することができる。硬化は、熱硬化、光硬化等、当業者に知られている通常の方法で行うことができる。
【0089】
反射防止層の厚さは、60nm~200nm、具体的には80nm~150nmでもよい。上記範囲で、第1保護フィルムに反射防止層として含まれることができる。
【0090】
第1保護フィルムは、偏光子に通常の方法で積層することができる。例えば、第1保護フィルムは水系または光硬化型接着剤で形成された接着層によって偏光子に積層されてもよい。
【0091】
一具体例において、偏光子の一面に第1保護フィルムだけを積層することができる。この構成によって本願の上述の効果を発現することができる。
【0092】
本発明者らは、本発明の内部ヘーズを含む多様な内部ヘーズを有する第1保護フィルムを備える偏光板を製造し、同一条件で明暗比を測定した。明暗比の測定方法は、以下に説明する明暗比の測定と同様に行った。その結果を図1に示す。ここで使用された第1保護フィルムは、図1でX軸に記述された値の内部ヘーズのみを有し、46%の同じ全体ヘーズを有していた。
【0093】
図1を参照すると、通常の偏光板(点線で表示する。但し、本発明の数式1の割合が0.008を超える)の場合、内部ヘーズが増加するにつれ、明暗比は減少する傾向を示した。内部ヘーズが3%~7%の第1保護フィルムを備える偏光板の場合、内部ヘーズが3%から7%に増加するにつれ、明暗比が減少していることが確認できる。特に、内部ヘーズが3%~7%の第1保護フィルムを備える偏光板は正面明暗比が非常に低くいため、鮮明な画面を提供することができなかった。
【0094】
本発明によると、40%~60%の全体ヘーズと3%~7%の内部ヘーズを有する第1保護フィルムを備える偏光板は、数式1に従って計算されるように光透過率の割合が0.008以下であり、このため、上述の全体ヘーズおよび内部ヘーズを有する第1保護フィルムを備えるにもかかわらず、明暗比を著しく改善させた。図1を参照すると、本発明の偏光板(実線で表示する)は、内部ヘーズが3%~7%であっても、通常の偏光板に比べて高い明暗比を与えることが確認できる。但し、図1を参照すると、内部ヘーズが3%~7%であっても明暗比が6000未満になる場合もあるが、第1保護フィルムの全体ヘーズを調節することにより、明暗比6000以上を十分に実現することができる。明暗比は、以下に説明する方法で測定することができる。
【0095】
偏光板は、以下の数式1の光透過率の割合が0.008以下である。以下の数式1の光透過率の割合が0.008を超えると、マットな質感の実現と額画面の視感に影響を与えないと共に、明暗比を高める効果を奏することができない。
[数式1]
光透過率の割合=Tc(380nm~420nm)/Tc(780nm)
数式1で、Tc(780nm)は、偏光板の波長780nmにおける直交透過率(単位:%)であり、Tc(380nm~420nm)は、偏光板の波長380nm~420nmにおける直交透過率の最大値(単位:%)である。
【0096】
例えば、数式1の光透過率の割合は、0.001,0.0015,0.002,0.0025,0.003,0.0035,0.004,0.0045,0.005,0.0055,0.006,0.0065,0.007,0.0075,0.008になることがある。
【0097】
例えば、偏光板では、数式1の光透過率の割合が、0を超え、0.008以下、0.003~0.008、好ましくは0.005~0.008、最も好ましくは0.005~0.0075でもよい。上記範囲で、上述の明暗比の改善効果および表示装置のブラックモードにおいてreddishな色感が出現しなくなることにより、絵画や写真を見る際に相対的に赤色に見える現象を防止することができる。
【0098】
数式1は、偏光板に対して波長780nmにおける直交透過率、および波長380nm~420nmにおける直交透過率中の最大値間の割合を考慮したものである。通常の可視光線領域であると言われている波長380nm~780nm中の最大波長である780nmにおける直交透過率、および最小波長領域である380nm~420nmにおける直交透過率を全て考慮し、本発明者らは、これらの間の割合を特定範囲に設定することにより、上述の内部ヘーズと全体ヘーズを有する第1保護フィルムを備える偏光板の使用時にも明暗比の改善およびreddish現象が表れないようにする効果を提供した。
【0099】
偏光板の波長780nmにおける直交透過率は、0%~20%、例えば、0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20%、好ましくは5%~15%、より好ましくは6%~14%、6%~10%でもよい。上記範囲で、本発明の数式1の割合を容易に実現することができる。
【0100】
偏光板の波長380nm~420nmにおける直交透過率の最大値は、0.001%~0.1%、例えば0.001,0.005,0.01,0.02,0.03,0.04,0.05,0.06,0.07,0.08,0.09,0.1%,0.01%~0.09%、より好ましくは0.02%~0.07%でもよい。上記範囲で、本発明の数式1の割合を容易に実現できる。
【0101】
偏光板において、波長380nm~420nmにおける直交透過率の最大値は、380nm~410nm、390nm~410nm、395nm~410nm、例えば390nm~400nmの波長に位置してもよい。
【0102】
図2は、本発明の一実施形態の偏光板の波長による直交透過率の変化を表したものである。図2を参照すると、本発明の偏光板の波長380nm~420nmにおける直交透過率の最大値は、395nm~410nm、例えば390nm~400nmの波長に位置してもよい。
【0103】
偏光板の波長420nmにおける直交透過率は、0.001%~0.04%、好ましくは0.003%~0.03%、より好ましくは0.005%~0.015%でもよい。上記範囲で、偏光性能向上効果を奏することができる。
【0104】
偏光板の波長380nmにおける偏光子のMD側直交透過率は、1.0%~1.3%、波長380nmにおける偏光子のTD側直交透過率は0.05%以下、例えば0%~0.05%、0.02%~0.05%でもよい。
【0105】
偏光板の単体光透過率(single transmittance,Ts)は、43%~45%、好ましくは43.8%~45%でもよい。上記範囲で、本発明の明暗比改善効果がより改善される。
【0106】
偏光板の数式1において0.008以下の割合は、以下に詳述するポリビニルアルコール系フィルムおよび製造工程によって製造される偏光子を備えることにより、実現することができる。
【0107】
偏光子は、入射される光を直交する2個の偏光成分に分離して、一方の偏光成分は透過させ、他方の偏光成分は吸収する機能を有する光吸収型偏光子を含む。
【0108】
偏光子は、二色性染料を含有し、1軸延伸された偏光子を含むことができる。具体的には、二色性染料を含有する偏光子は、偏光子用基材フィルムをMD1軸延伸し、二色性染料(例:ヨウ素またはヨウ素含有物質としてヨウ化カリウムを含む)で染色して製造された偏光子を含むことができる。偏光子用基材フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムまたはその誘導体を含むことができるが、これに制限されるのではない。偏光子は、当業者に知られている通常の方法に従って製造することができる。
【0109】
偏光子の厚さは、1μm~40μm、具体的には15μm~30μm、より具体的には16μm~20μmでもよい。上記範囲で、偏光板に使用することができる。
【0110】
ポリビニルアルコール系フィルムは、当業者に知られている通常のポリビニルアルコール系フィルムでもよい。
【0111】
一具体例において、ポリビニルアルコール系フィルムは、親水性官能基および疎水性官能基を含有する。疎水性官能基は、ポリビニルアルコール系フィルムに存在する親水性官能基の水酸基(OH基)以外にさらに存在する。親水性官能基および疎水性官能基を全て含有するポリビニルアルコール系フィルムを以下に詳述する工程によって製造することにより、本発明の偏光板は、数式1の割合を容易に実現することができる。
【0112】
疎水性官能基は、ポリビニルアルコール系フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂の主鎖、側鎖の1種以上に存在する。「主鎖」は、ポリビニルアルコール系樹脂の主骨格を形成する部分を意味し、「側鎖」は、主鎖に連結された骨格を意味する。好ましくは、疎水性官能基は、ポリビニルアルコール系樹脂の主鎖に存在する。
【0113】
親水性官能基および疎水性官能基が導入されたポリビニルアルコール系樹脂は、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバル酸ビニル、アセトロ酸イソプロペニル等のビニルエステルの1種または2種以上の単量体と疎水性官能基を提供する単量体を重合して製造することができる。好ましくはビニルエステル単量体は、酢酸ビニルを含む。疎水性官能基を提供する単量体は、エチレン、プロピレン等を含む炭化水素反復単位を提供する単量体を含むことができる。
【0114】
ポリビニルアルコール系フィルムの厚さは、50μm以下、例えば10μm~50μmでもよい。上記範囲で、フィルム延伸時にフィルムの溶融および破断を回避することができる。
【0115】
偏光子は、以下に詳述する染着工程、延伸工程、架橋工程、補色工程、乾燥工程によってポリビニルアルコール系フィルムを処理することにより製造することができる。染着工程、延伸工程、架橋工程の順序は、ポリビニルアルコール系フィルムの種類、偏光子の製造工程に従って変更できる。
【0116】
染着工程は、ポリビニルアルコール系フィルムを二色性物質含有染着槽で処理することを含む。染着工程では、ポリビニルアルコール系フィルムは二色性物質含有染着槽で浸漬される。二色性物質含有染着槽は、二色性物質およびホウ酸を含む水溶液を含む。染着槽は、二色性物質とホウ素化合物を同時に含むため、ポリビニルアルコール系フィルムを染色し、以下に詳述する延伸条件で延伸しても、ポリビニルアルコール系フィルムの破断を回避することができる。
【0117】
二色性物質は、ヨウ素であり、ヨウ化カリウム、ヨウ化化水素、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅の1種以上を含むことができる。二色性物質は、染着槽中、好ましくは染着溶液中に0.5mol/ml~10mol/ml、好ましくは0.5mol/ml~5mol/mlで含まれてもよい。上記範囲で、均一な染着が可能な効果を奏することができる。
【0118】
ホウ素化合物は、ポリビニルアルコール系フィルムの延伸時において、ポリビニルアルコール系フィルムの溶融破断の防止を促進することができる。ホウ素化合物は、染着工程以降に実施される延伸工程においてポリビニルアルコール系フィルムを高温および高延伸比で延伸しても、フィルムの溶融および破断の防止を促進することができる。
【0119】
ホウ素化合物は、ホウ酸、ホウ砂の1種以上を含むことができる。ホウ素化合物は、染着槽中、好ましくは染着水溶液中0.1重量%~5重量%、好ましくは0.3重量%~3重量%で含まれてもよい。上記範囲で、延伸工程において溶融および破断が防止され、高信頼性を達成するという効果を奏することができる。
【0120】
染着溶液の温度は、20℃~50℃、具体的には25℃~40℃であることが好ましい。染着工程は、ポリビニルアルコール系フィルムを染着槽内で30秒~120秒、具体的には40秒~80秒で浸漬することにより行うことができる。
【0121】
延伸工程は、染着されたポリビニルアルコール系フィルムを延伸比5.7倍以上、例えば5.7倍~7倍で延伸温度57℃以上、例えば57℃~65℃で延伸させることを含む。
【0122】
延伸工程は、湿式延伸または乾式延伸のいずれかで行う。好ましくは、延伸工程でホウ素化合物を適用するために、延伸工程は湿式延伸を含む。湿式延伸は、ホウ素化合物を含む水溶液中でポリビニルアルコール系フィルムを機械的方向に1軸延伸することを含む。
【0123】
ホウ素化合物は、ホウ酸、ホウ砂の1種以上、好ましくは、ホウ酸を含むことができる。ホウ素化合物は、延伸槽中、好ましくは、延伸水溶液中0.5重量%~10重量%、好ましくは1重量%~5重量%で含まれてもよい。上記範囲で、延伸工程において溶融および破断が防止され、高信頼性を達成するという効果を奏することができる。
【0124】
架橋工程は、延伸工程処理されたポリビニルアルコール系フィルムにおいて、二色性物質の吸着を増強するために処理される。架橋工程で使用する架橋溶液は、ホウ素化合物を含む。ホウ素化合物は、上述した二色性物質の吸着を増強すると共に、偏光子を熱衝撃下に放置しても、信頼性の改善を助けることができる。
【0125】
ホウ素化合物は、ホウ酸、ホウ砂の1種以上を含むことができる。ホウ素化合物は、架橋槽中、好ましくは架橋水溶液中0.5重量%~10重量%、好ましくは1重量%~5重量%で含まれてもゆおい。上記範囲で、延伸工程において溶融および破断が防止され、高信頼性を達成するという効果を奏することができる。架橋槽溶液の温度は、20℃~50℃、具体的には25℃~40℃が好ましい。架橋工程では、ポリビニルアルコール系フィルムを架橋槽内で30秒~120秒、具体的には40秒~80秒浸漬することにより行うことができる。
【0126】
補色工程は、偏光子の耐久性を改善ことができる。補色槽は、ヨウ化カリウムを0重量%を超え10重量%以下で、好ましくは1重量%~5重量%で含む補色液を含むことができる。補色液の温度は、20℃~50℃、具体的には25℃~40℃が好ましい。補色処理は、ポリビニルアルコール系フィルムを補色槽内で5秒~50秒、具体的には5秒~20秒浸漬することにより行うことができる。
【0127】
乾燥工程は、補色工程後のポリビニルアルコール系フィルムを30℃~80℃、好ましくは40℃~80℃で、2分以下、好ましくは1分~2分間処理することにより行うことができる。乾燥工程は、熱風乾燥等で行うことができるが、これに制限されるのではない。
【0128】
一具体例において、数式1の光透過率0.008以下という割合は、偏光子製造工程の延伸過程における条件、例えば、延伸比、延伸温度等を調節することにより実現することができる。好ましくは、数式1の光透過率0.008以下という割合は、偏光子製造工程中の補色工程および乾燥工程における条件を調節することにより実現することができる。特に本発明の偏光板は、偏光子の光出射面に上述の全体ヘーズが40%~60%である高ヘーズの第1保護フィルムが積層される構造において本発明の範囲で直交透過率の比を満たすために、上述の方法で偏光子を製造した偏光子を含む。
【0129】
染着工程処理前に、ポリビニルアルコール系フィルムの水洗工程、膨潤工程の1種以上をさらに含むことができる。
【0130】
水洗工程は、ポリビニルアルコール系フィルムを水で洗浄するものであり、ポリビニルアルコール系フィルムに付着した異物を取り除く。
【0131】
膨潤工程では、ポリビニルアルコール系フィルムを所定の温度範囲の膨潤槽で浸漬され、これにより、二色性物質の染着、延伸をより容易に行うことができる。膨潤工程は、15℃~35℃、好ましくは20℃~30℃で、30秒~50秒間処理することを含んでもよい。
【0132】
偏光子の偏光度は、95%以上、具体的には95%~100%、より具体的には98%~100%でもよい。上記範囲で、本発明の効果を容易に実現することができる。
【0133】
偏光板は、偏光子の別の一面(偏光子の光入射面)に積層された第2保護フィルムを1層以上さらに含むことができる。
【0134】
第2保護フィルムは、内部光の偏光子の光入射面に配置され、偏光子から出射される光に作用することにより、画質をさらに改善したり偏光子を保護したりすることができる。
【0135】
第2保護フィルムは、保護フィルムまたは保護コーティング層を含むことができる。
【0136】
保護フィルムは、光学的透明フィルムとして、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)等を含むセルロース系、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PET)、ポリブチレンナフタレート等を含むポリエステル系、環状ポリオレフィン系、ポリカーボネート系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリオレフィン系、ポリアリレート系、ポリビニルアルコール系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系の一つ以上の樹脂からなるフィルムでもよい。具体的には、TAC、PETフィルムを使用することができる。保護コーティング層は、熱硬化性コーティング層用組成物、光硬化性コーティング層用組成物の1種以上で形成することができる。
【0137】
一具体例において、第2保護フィルムは位相差フィルムでもよい。
【0138】
一具体例において、第2保護フィルムの面内位相差(Re)は、波長550nmで100nm以下、例えば-50nm~80nmでもよい。
【0139】
第2保護フィルムの厚さは、100μm以下、具体的には0μmを超え、100μm以下、より具体的には10μm~90μmでもよく、上記範囲で、偏光板に使用することができる。
【0140】
偏光板の下記数式2の割合は、0.35以下、例えば、0.1,0.11,0.12,0.13,0.14,0.15,0.16,0.17,0.18,0.19,0.2,0.21,0.22,0.23,0.24,0.25,0.26,0.27,0.28,0.29,0.3,0.31,0.32,0.33,0.34,0.35、好ましくは0.1~0.35、より好ましくは0.11~0.35、最も好ましくは0.11~0.25でもよい。上記範囲で、本発明の効果をより改善することができる。
【0141】
[数式2]
割合=Tc(780nm)/全体ヘーズ
【0142】
数式2で、全体ヘーズは、第1保護フィルムの全体ヘーズ(単位:%)であり、Tc(780nm)は、偏光板の波長780nmにおける直交透過率(単位:%)である。
【0143】
偏光板の下記数式3の割合は、5.0以下、例えば、1,1.5,2,2.5,3,3.5,4,4.5,5、好ましくは1.0~4.0、より好ましくは1.5~3.0でもよい。上記範囲で、本発明の効果をさらに改善することができる。
【0144】
[数式3]
割合=Tc(780nm)/内部ヘーズ
【0145】
数式3で、内部ヘーズは、第1保護フィルムの内部ヘーズ(単位:%)であり、Tc(780nm)は、偏光板の波長780nmで直交透過率(単位:%)である。
【0146】
図3は、本発明の一実施形態の偏光板の断面図である。図3を参照すると、偏光板は偏光子10、偏光子10の上部面に積層された第1保護フィルム20、偏光子10の下部面に積層された第2保護フィルム30を含むことができる。図3では示していないが、第2保護フィルムの下部面には粘着層が積層され、偏光板をパネルに積層させることができる。
【0147】
本発明の光学表示装置は、本発明の偏光板を含む。一具体例において、光学表示装置は、液晶表示装置を含むことができる。
【0148】
液晶表示装置は、液晶パネル、液晶パネルの光出射面に積層される本発明の偏光板、液晶パネルの光入射面に配置される偏光板(光源側偏光板)を含む。光入射面に配置される偏光板は、当業者に通常知られている偏光板を含むことができる。本発明の偏光板は、視認側偏光板として使用することができる。しかし、本発明がこれに制限されるのではなく、本発明の偏光板は、視認側偏光板または光源側偏光板に適用することができる。
【0149】
液晶パネルは、電圧の印加および無印加によって液晶の配向が異なり、それによって光源から出射される光を出射させることができる。液晶パネルは、一対の基板と基板間に含まれる表示媒体における液晶層を含むことができる。一方の基板(カラーフィルター基板)にはカラーフィルターおよびブラックマトリックスが設けられ、他方の基板(活性マトリックス基板)には液晶の電気光学的特性を制御するスイッチング素子(例:TFT)、およびスイッチング素子にゲート信号を付与する信号線と画素線を設けることができるが、これに制限されるのではない。
【0150】
液晶表示装置は、光源側偏光板の下部面に光源を含む。光源は、連続的な発光スペクトルを有する光源を含むことができる。例えば、光源は白色LED(White LED)光源、量子ドット(QD,quantum dot)光源、金属フッ化物赤色蛍光体光源、具体的にはKSF(KSiF:Mn4+)蛍光体またはKTF(KTiF:Mn4+)蛍光体含有光源等を含むことができる。
【実施例0151】
以下、本発明の好ましい実施例を通じて、本発明の構成および作用をより詳しく説明する。但し、以下の実施例は、本発明の理解を助けるためのものであり、本発明の範囲が下記実施例に限定されるのではない。
【0152】
実施例1
(1)偏光子の製造
25℃の水で洗浄したポリビニルアルコール系フィルム(VF-TS #4500、Kuraray、厚さ45um)を30℃の水の膨潤槽で膨潤処理した。
【0153】
膨潤槽を通過した上記フィルムを、ヨウ化カリウム1mol/mlおよびホウ酸1重量%を含む水溶液を含有する30℃の染着槽で65秒間処理した。染着槽を通過した上記フィルムを、ホウ酸3重量%を含有する60℃の水溶液の湿式延伸槽において上記フィルムのMD1軸で延伸比5.7倍に延伸させた。上記湿式延伸槽を通過したフィルムを、ホウ酸3重量%を含有する25℃の水溶液を含有する架橋槽で65秒間処理した。
【0154】
架橋槽を通過した上記フィルムを、ヨウ化カリウム4.5重量%を含有する30℃の水溶液である補色液を含む補色槽で10秒間処理した。補色槽を通過したフィルムを水洗し、80℃で1分間熱風乾燥させて偏光子(厚さ:17μm)を製造した。
【0155】
(2)偏光板の製造
製造した上記偏光子の両面に光硬化型接着剤(エポキシ系樹脂接着剤)を塗布した。偏光子の上部面である光出射面に第1保護フィルムを接着させ、偏光子の下部面である光入射面に第2保護フィルムとしてシクロオレフィンポリマー系フィルム(COP,Zeon社)を貼り合わせて偏光板を製造した。第1保護フィルムについては、下記表1で説明される。
【0156】
実施例2
【0157】
実施例1において、第1保護フィルムとして下記表1における内部ヘーズおよび全体ヘーズを有する保護フィルムを使用した点を除いては、実施例1と同じ方法で偏光板を製造した。
【0158】
実施例3
【0159】
実施例1において、第1保護フィルムとして下記表1における内部ヘーズおよび全体ヘーズを有する保護フィルムを使用した点を除いては、実施例1と同じ方法で偏光板を製造した。
【0160】
比較例1
【0161】
実施例1において、偏光子を製造する際、ヨウ化カリウム4.5重量%を含有する30℃の水溶液である補色液を含む補色槽で10秒間処理し、補色槽を通過したフィルムを水洗し、85℃で1分間熱風乾燥させて偏光子を製造した点を除いては、実施例1と同じ方法で偏光板を製造した。
【0162】
比較例2
【0163】
実施例2において、偏光子を製造する際、ヨウ化カリウム5.0重量%を含有する30℃の水溶液である補色液を含む補色槽で10秒間処理し、補色槽を通過したフィルムを水洗し、85℃で1分間熱風乾燥させて偏光子を製造した点を除いては、実施例1と同じ方法で偏光板を製造した。
【0164】
比較例3
【0165】
実施例3において、偏光子を製造する際、ヨウ化カリウム5.0%を含有する30℃の水溶液である補色液を含む補色槽で10秒間処理し、補色槽を通過したフィルムを水洗し、95℃で1分間熱風乾燥させて偏光子を製造した点を除いては、実施例1と同じ方法で偏光板を製造した。
【0166】
光源側偏光板の製造
【0167】
上述した方法と同じ方法で偏光子を製造した。製造した偏光子の上部面にトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(KC4CT1SW,Konica Minolta Opto,Inc.、厚さ40μm)を接着し、偏光子の下部面にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(Toyobo社)、厚さ80μm、波長550nmにおけるReが8400nm,Rthが9800nm)を接着し、光源側偏光板を製造した。
【0168】
液晶モジュールの製造
【0169】
IPS液晶含有液晶パネルの光出射面に実施例と比較例で製造された光学積層体を粘着層を介して粘着した。このとき、光学積層体のポジティブC層側が液晶パネルに粘着されるようにした。IPS液晶含有液晶パネルの光入射面に製造した上記光源側偏光板を粘着層を介して粘着し、液晶モジュールを製造した。このとき、光源側偏光板のTACフィルムが液晶パネルに粘着されるようにした。
【0170】
実施例と比較例の偏光板を用い、下記表1の物性を評価した。
【0171】
(1)偏光板の直交光透過率(Tc,単位:%):実施例および比較例で製造された偏光板を光透過率測定装置V-7100に配置し、偏光板の面内方向に対する法線方向に光を第1保護フィルム側から偏光子側に透過させ、波長380nm~420nmおよび780nmで直交光透過率を得た。測定された直交光透過率を用い、数式1の光透過率の割合を計算した。
【0172】
(2)偏光板の単体光透過率(Ts,単位:%):実施例および比較例で製造された偏光板を光透過率測定装置V-7100に配置し、偏光板の面内方向に対する法線方向に光を第1保護フィルム側から偏光子側に透過させ、波長380nm~780nmで単体光透過率(平均値)を得た。
【0173】
(3)明暗比(単位:なし):LED光源、導光板、視野角測定用モデルを組み立てて1辺エッジ型LED光源を含む液晶表示装置(実施例および比較例の液晶表示装置用モジュールの構成を除き、SamsungTV(55インチ,モデル名:UN55KS8000F)と同じ構成)を製造した。EZCONTRAST X88RC(EZXL-176R-F422A4,ELDIM社)を用いて球面座標系で正面(0°,0°)において明暗比を測定した。明暗比は、ブラックモードでの輝度に対するホワイトモードでの輝度の輝度比で計算した。本発明は、上の測定方法に従い、明暗比6000以上を目標とする。
【0174】
(4)マットな質感:(3)と同じモデルを組み立てた。絵画または写真を駆動させて絵画または写真が鮮明に見え、絵画または写真が画面から浮いているように見えず、画面に密着して絵画または写真本来の質感(マットな質感)を再現するかを肉眼で評価した。油絵または写真が本来の質感を再生する場合は良好,油絵または写真がぼやけ、本来の質感が再現できない場合は不良と評価した。
【0175】
【表1】
【0176】
*第1保護フィルムA:LRB2-PET-1、DNP、全体ヘーズは45%、内部ヘーズは3.5%
*第1保護フィルムB:LRB2-PET-2、DNP、全体ヘーズは44%、内部ヘーズは4.6%
*第1保護フィルムC:LRB2-PET-3、DNP、全体ヘーズは46%、内部ヘーズは5.1%
【0177】
表1のように、本発明の偏光板は、光学表示装置の画面で絵画または写真等のマットな質感および高い明暗比を同時に実現した。一方、比較例の偏光板は、マットな質感は実現できるが、明暗比が実施例に比べて相対的に低かった。
【0178】
本発明の単純な変形あるいは変更は、本分野の通常の知識を有する者によって容易に実施することができ、このような変形や変更は、全て本発明の領域に含まれると見なすことができる。
図1
図2
図3