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特開2024-124365駆動電圧制御装置、ファンモータの駆動電圧制御装置、および画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124365
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】駆動電圧制御装置、ファンモータの駆動電圧制御装置、および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 7/28 20160101AFI20240905BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240905BHJP
   H02P 7/285 20160101ALI20240905BHJP
【FI】
H02P7/28 B
H04N1/00 C
H02P7/285 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024026974
(22)【出願日】2024-02-26
(31)【優先権主張番号】P 2023032304
(32)【優先日】2023-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023215888
(32)【優先日】2023-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本田 秀一
【テーマコード(参考)】
5C062
5H571
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AB46
5C062AB49
5C062AB51
5C062AB53
5H571AA13
5H571AA20
5H571BB02
5H571CC01
5H571HA04
5H571HA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の駆動デバイスを動作させる際に、これまでより少ない電圧降下用素子で駆動電圧の任意の切り替えができる、駆動電圧制御装置、ファンモータの駆動電圧制御装置、および画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明は、第1,2駆動デバイスに駆動電圧を供給する第1駆動用電源と、第1,2駆動デバイスに駆動電圧を供給する第2駆動用電源と、電圧降下用素子と第1スイッチング素子と第1制御素子と、を有する第1スイッチング回路と、第2駆動用電源と電圧降下用素子との間に配置される第2スイッチング素子と、第2制御素子と、を有する第2スイッチング回路と、第1駆動用電源と前記第1駆動デバイスとの間に配置される第3スイッチング素子と、第3制御素子と、を有する第3スイッチング回路と、第1駆動デバイスと前記第2駆動デバイスとの間に配置される第4スイッチング素子と、第4制御素子と、を有する第4スイッチング回路と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続される第1,2駆動デバイスに駆動電圧を供給する第1駆動用電源と、
前記第1,2駆動デバイスに駆動電圧を供給する第2駆動用電源と、
前記第1駆動用電源と前記第2駆動用電源とを接続する駆動電源ラインの間でありかつ前記第1,2駆動デバイスと並列接続される電圧降下用素子と、
前記駆動電源ラインにおいて前記第1駆動用電源と前記電圧降下用素子との間に配置されかつ前記第1,2駆動デバイスに供給する駆動電圧を切り替える第1スイッチング素子と、当該第1スイッチング素子のONとOFFとを切り替える第1制御素子と、を有する第1スイッチング回路と、
前記駆動電源ラインにおいて前記第2駆動用電源と前記電圧降下用素子との間に配置されかつ前記第1,2駆動デバイスに供給する駆動電圧を切り替える第2スイッチング素子と、当該第2スイッチング素子のONとOFFとを切り替える第2制御素子と、を有する第2スイッチング回路と、
前記第1駆動用電源と前記第1駆動デバイスとの間に配置され、前記第1,2駆動デバイスに供給する駆動電圧を切り替える第3スイッチング素子と、当該第3スイッチング素子のONとOFFとを切り替える第3制御素子と、を有する第3スイッチング回路と、
前記第1駆動デバイスと前記第2駆動デバイスとの間に配置され、前記第1,2駆動デバイスに供給する駆動電圧を切り替える第4スイッチング素子と、当該第4スイッチング素子のONとOFFとを切り替える第4制御素子と、を有する第4スイッチング回路と、
を備える駆動電圧制御装置。
【請求項2】
前記第1~4スイッチング回路は、前記第1~4制御素子が複数のパターンで前記第1~4スイッチング素子のONとOFFとを切り替えることにより、前記第1,2駆動デバイスに複数の駆動電圧を供給する、請求項1に記載の駆動電圧制御装置。
【請求項3】
前記第1~4スイッチング素子は、互いに、ONとOFFとを切り替えるタイミングをずらす、請求項1または2に記載の駆動電圧制御装置。
【請求項4】
前記第1~4スイッチング素子は、電界効果トランジスタと、当該電界効果トランジスタのゲートソース間の抵抗と、を備える、請求項1に記載の駆動電圧制御装置。
【請求項5】
前記第1~4スイッチング回路は、前記抵抗と並列接続されるコンデンサを有する、請求項4に記載の駆動電圧制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の駆動電圧制御装置を有する、ファンモータの駆動電圧制御装置。
【請求項7】
請求項1に記載の駆動電圧制御装置を有する画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動電圧制御装置、ファンモータの駆動電圧制御装置、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動電圧が異なる複数の駆動デバイスを動作させる場合において、電圧可変直流電源回路を用いたり、動作させる駆動デバイスの駆動電圧に応じて電源電圧に対し電圧降下用素子を用いたりして各駆動デバイスに供給する電圧を適切に制御する技術が考えられている。特許文献1には、直流電源の出力電圧と異なる定格電圧を有する駆動デバイスが複数ある場合に、それぞれの駆動デバイスに合わせて電圧降下用素子または電圧変換回路を設けることによる部品点数増加によって、コストが増大すること等を回避することを目的として、動作させる駆動デバイスの定格電圧に応じて電圧を可変できる電圧可変直流電源回路を用いる技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、電圧可変直流電源回路を用いる方法では、駆動デバイスに合わせて駆動電圧を調整するため、異なる駆動電圧を有する駆動デバイスを同時に駆動することができず、また電圧降下用素子を用いる方法では、異なる駆動電圧を有する複数の駆動デバイス毎に電圧降下用素子を設ける必要があり駆動デバイスの増加に合わせてそれらの素子が増加するという問題がある。特許文献1記載の技術は、ある駆動電圧印加中にはこれと異なる駆動電圧を必要とする駆動デバイスのうち、全て若しくは一部の動作を禁止する必要があるため、複数の異なる駆動電圧を有する駆動デバイスを同時に駆動することができない。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の駆動デバイスを動作させる際に、これまでより少ない電圧降下用素子で駆動電圧の任意の切り替えができる、駆動電圧制御装置、ファンモータの駆動電圧制御装置、および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、直列接続される第1,2駆動デバイスに駆動電圧を供給する第1駆動用電源と、前記第1,2駆動デバイスに駆動電圧を供給する第2駆動用電源と、前記第1駆動用電源と前記第2駆動用電源とを接続する駆動電源ラインの間でありかつ前記第1,2駆動デバイスと並列接続される電圧降下用素子と、前記駆動電源ラインにおいて前記第1駆動用電源と前記電圧降下用素子との間に配置されかつ前記第1,2駆動デバイスに供給する駆動電圧を切り替える第1スイッチング素子と、当該第1スイッチング素子のONとOFFとを切り替える第1制御素子と、を有する第1スイッチング回路と、前記駆動電源ラインにおいて前記第2駆動用電源と前記電圧降下用素子との間に配置されかつ前記第1,2駆動デバイスに供給する駆動電圧を切り替える第2スイッチング素子と、当該第2スイッチング素子のONとOFFとを切り替える第2制御素子と、を有する第2スイッチング回路と、前記第1駆動用電源と前記第1駆動デバイスとの間に配置され、前記第1,2駆動デバイスに供給する駆動電圧を切り替える第3スイッチング素子と、当該第3スイッチング素子のONとOFFとを切り替える第3制御素子と、を有する第3スイッチング回路と、前記第1駆動デバイスと前記第2駆動デバイスとの間に配置され、前記第1,2駆動デバイスに供給する駆動電圧を切り替える第4スイッチング素子と、当該第4スイッチング素子のONとOFFとを切り替える第4制御素子と、を有する第4スイッチング回路と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数の駆動デバイスを動作させる際に、これまでより少ない電圧降下用素子で駆動電圧の任意の切り替えができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、従来の駆動電圧制御回路の一例を説明するための図である。
図2図2は、第1の実施の形態にかかる駆動電圧制御回路の一例を説明するための図である。
図3図3は、第1の実施の形態にかかる駆動電圧制御回路のパターン1での駆動電圧の制御処理の一例を説明するための図である。
図4図4は、第1の実施の形態にかかる駆動電圧制御回路のパターン2での駆動電圧の制御処理の一例を説明するための図である。
図5図5は、第1の実施の形態にかかる駆動電圧制御回路のパターン3での駆動電圧の制御処理の一例を説明するための図である。
図6図6は、第1の実施の形態にかかる駆動電圧制御回路のパターン4での駆動電圧の制御処理の一例を説明するための図である。
図7図7は、第2の実施の形態にかかる駆動電圧制御回路の構成の一例を説明するための図である。
図8図8は、第3の実施の形態にかかる駆動電圧制御回路の構成の一例を説明するための図である。
図9図9は、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態に係る電子機器の一例である、画像形成装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、駆動電圧制御装置、ファンモータの駆動電圧制御装置、および画像形成装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施の形態)
図1は、従来の駆動電圧制御回路の一例を説明するための図である。これまで、駆動デバイス13への印加電圧の制御方法の一つとして、駆動電源Vccと駆動デバイス13間に電圧降下用素子20を配置し、最大の駆動電圧(フルパワー)より低い駆動電圧(ローパワー)の印加を可能にする駆動電圧制御回路がある。
【0010】
この駆動電圧制御回路では、電圧降下用素子20を有し、スイッチング回路12,22内のそれぞれが有する制御素子11,21によってスイッチング素子1,2のONとOFFをそれぞれ切り替えることによって、駆動デバイス13に印加する駆動電圧を制御することができる。
【0011】
スイッチング回路12のみをONした場合、駆動デバイス13には最大の駆動電圧が印加され、駆動デバイス13はフルパワー(例えば、24V)で駆動する。一方、スイッチング回路22のみをONした場合、電圧降下用素子20によって駆動デバイス13に供給される駆動電圧が下がり、ローパワー(例えば、12V)で駆動することができる。
【0012】
これまでの駆動電圧制御回路では、駆動デバイス13が1つに対し、2つのスイッチング回路12,22と、1つの電圧降下用素子20と、が必要であることから、2つの駆動デバイス13を動作させるためには4つのスイッチング回路と2つの電圧降下用素子20とが必要である。そのため、駆動デバイス13の増加に伴い、必要な電圧降下用素子20が増えることがコスト増加の大きな要因となる。
【0013】
図2は、第1の実施の形態にかかる駆動電圧制御回路1000の一例を説明するための図である。本実施の形態にかかる駆動電圧制御回路1000(駆動電圧制御装置の一例)は、電圧降下用素子20と、第1~4スイッチング回路12,22,32,42と、を有する。そして、駆動電圧制御回路1000は、第1~4スイッチング回路12,22,32,42のそれぞれが有する第1~4制御素子11,21,31,41によって第1~4スイッチング素子1,2,3,4を制御することで、第1,2駆動デバイス13,23に印加する駆動電圧を制御する。
【0014】
ここでは、一例として、駆動デバイスが2つの場合について説明する。本実施の形態にかかる駆動電圧制御回路1000は、第1,2駆動用電源Vcc1,Vcc2から制御対象となる第1,2駆動デバイス13,23までの駆動用電源ラインの間に電圧降下用素子20を配置し、第1,2駆動デバイス13,23の前段に駆動電圧を切り替える第2,3スイッチング回路32,42を配置して第3,4スイッチング素子3,4のONとOFFを切り替える。
【0015】
具体的には、駆動電圧制御回路1000は、第1駆動用電源Vcc1、第2駆動用電源Vcc2、電圧降下用素子20と、第1~4スイッチング回路12,22,32,42と、を有する。第1駆動用電源Vcc1は、直列接続される第1,2駆動デバイス13,23に駆動電源を供給する。第2駆動用電源Vcc2は、第1,2駆動デバイス13,23に駆動電源を供給する。電圧降下用素子20は、第1駆動用電源Vcc1と第2駆動用電源Vcc2とを接続する駆動電源ラインの間でありかつ第1,2駆動デバイス13,23と並列接続される。
【0016】
第1スイッチング回路12は、第1スイッチング素子1と、第1制御素子11と、を有する。第1スイッチング素子1は、駆動電源ラインにおいて第1駆動用電源Vcc1と電圧降下用素子20との間に配置されかつ第1,2駆動デバイス13,23に供給する駆動電圧を切り替える。第1制御素子11は、第1スイッチング素子1のONとOFFとを切り替える。
【0017】
第2スイッチング回路22は、第2スイッチング素子2と、第2制御素子21と、を有する。第2スイッチング素子2は、駆動電源ラインにおいて第2駆動用電源Vcc2と電圧降下用素子20との間に配置されかつ第1,2駆動デバイス13,23に供給する駆動電圧を切り替える。第2制御素子21は、第2スイッチング素子2のONとOFFとを切り替える。
【0018】
第3スイッチング回路32は、第3スイッチング素子3と、第3制御素子31と、を有する。第3スイッチング素子3は、第1駆動用電源Vcc1と第1駆動デバイス13との間でありかつ電圧降下用素子20と並列接続され、第1,2駆動デバイス13,23に供給する駆動電圧を切り替える。第3制御素子31は、第3スイッチング素子3のONとOFFとを切り替える。
【0019】
第4スイッチング回路42は、第4スイッチング素子4と、第4制御素子41と、を有する。第4スイッチング素子4は、第1駆動デバイス13と第2駆動デバイス23との間でありかつ電圧降下用素子20と並列接続され、第1,2駆動デバイス13,23に供給する駆動電圧を切り替える。第4制御素子41は、第4スイッチング素子4のONとOFFとを切り替える。
【0020】
本構成を用いることで、1つの電圧降下用素子20で2つの第1,2駆動デバイス13,23に対して供給する駆動電圧をフルパワーとローパワーとに制御することが可能となる。また、本構成を用いることで、2つの第1,2駆動デバイス13,23に同時に異なる駆動電圧を印加することが可能となる。また、駆動デバイスが増えた場合は、本構成の第3,4スイッチング回路32,42と電圧降下用素子20を組み合わせることによって制御対象を増やすことが可能となる。その結果、複数の異なる駆動電圧を有する駆動デバイスに印加する電圧を任意にかつ少ない電圧降下用素子20で制御することが可能となり、駆動デバイスの数が増えた場合に生じるコスト増加を低減させることができる。
【0021】
本実施の形態にかかる駆動電圧制御回路1000は、ファンモータの駆動電圧制御装置に適用することができる。これにより、ファンモータの駆動において、駆動電圧を制御することでファンの全速と低速を切り替えることができる。また、本実施の形態にかかる駆動電圧制御回路1000は、画像形成装置に適用することができる。これにより、画像形成装置内部に有する駆動デバイスの駆動において、駆動電圧を切り替えることで1つの駆動デバイスで複数の出力動作を実現することが可能となる。
【0022】
第1,2駆動デバイス13,23への駆動電圧は、図2に示す第1~4スイッチング回路12,22,32,42のONとOFFの組み合わせによって切り替えることが可能となる。第1~4スイッチング素子1,2,3,4のそれぞれをSW1、SW2、SW3、およびSW4とし、下記の表1にそれぞれの制御の組み合わせによって制御可能な駆動電圧の出力パターンを示す。
【表1】
【0023】
これまでは、同一の駆動電圧の駆動デバイスのみを同時に1つの駆動電圧制御回路で駆動することが可能であったため、表1におけるパターン1およびパターン3は実現可能であったが、パターン2およびパターン4を実施するためには、電圧降下用素子20を有する駆動電圧制御回路を増加させるか、異なる駆動電圧を必要とする駆動デバイスのうち全て若しくは一部の動作を禁止する必要があった。
【0024】
これに対して、本実施の形態にかかる駆動電圧制御回路1000によれば、第1~4スイッチング素子1~4を表1に示すパターンで制御することによって、異なる駆動電圧を有するそれぞれの第1,2駆動デバイス13,23に対し同時に必要な駆動電圧を印加することが可能となる。すなわち、第1~4スイッチング回路12,22,32,42は、第1~4制御素子11,21,31,41が複数のパターンで第1~4スイッチング素子1~4のONとOFFとを切り替えることにより、第1,2駆動デバイス13,23に複数の駆動電圧を供給する。
【0025】
また、それぞれの第1,2駆動デバイス13,23が表1に示すいずれかのパターンで動作中に、いずれか他のパターンに移行する際に、SWのONおよびOFFのタイミングをずらす。すなわち、第1~4スイッチング素子1~4は、互いに、ONとOFFとを切り替えるタイミングをずらす。これにより、駆動電圧の回り込み、意図しないタイミングで意図しない駆動電圧がそれぞれの駆動デバイスに印加されることによって生じる誤動作を防ぐことができる。
【0026】
例えば、パターン1からパターン2に移行する際に、SW3とSW4が同時にONするタイミングがあった場合、意図しない駆動電圧の出力パターン(すべてのSWがON)が生まれるため、一度全てのSWをOFFにしてからパターン2を切り替えることによって、意図しない駆動電圧の出力パターンが生まれる不具合を防ぐことができる。
【0027】
図3は、第1の実施の形態にかかる駆動電圧制御回路1000のパターン1での駆動電圧の制御処理の一例を説明するための図である。駆動電圧制御回路1000は、図3に示すように、パターン1においては、SW1をONし、SW2およびSW3をOFFし、かつSW4をONすることにより、第1,2駆動デバイス13,23にローパワーの駆動電圧を印加することができる。
【0028】
図4は、第1の実施の形態にかかる駆動電圧制御回路1000のパターン2での駆動電圧の制御処理の一例を説明するための図である。駆動電圧制御回路1000は、図4に示すように、パターン2においては、SW1をONし、SW2をOFFし、SW3をONし、かつSW4をOFFすることにより、第1駆動デバイス13にフルパワーの駆動電圧を印加しかつ第2駆動デバイス23にローパワーの駆動電圧を印加することができる。
【0029】
図5は、第1の実施の形態にかかる駆動電圧制御回路1000のパターン3での駆動電圧の制御処理の一例を説明するための図である。駆動電圧制御回路1000は、図5に示すように、パターン3においては、SW1をONし、SW2をONし、SW3をONし、かつSW4をOFFすることにより、第1,2駆動デバイス13,23にフルパワーの駆動電圧を印加することができる。
【0030】
図6は、第1の実施の形態にかかる駆動電圧制御回路1000のパターン4での駆動電圧の制御処理の一例を説明するための図である。駆動電圧制御回路1000は、図6に示すように、パターン4においては、SW1をOFFし、SW2をONし、SW3をONし、かつSW4をOFFすることにより、第1駆動デバイス13にローパワーの駆動電圧を印加し、かつ第2駆動デバイス23にフルパワーの駆動電圧を印加することができる。
【0031】
このように、第1の実施の形態にかかる駆動電圧制御回路1000によれば、複数の異なる駆動電圧を有する駆動デバイス13,23に印加する駆動電圧を任意に、かつ少ない電圧降下用素子20で制御することが可能となり、駆動デバイス数が増えた場合に生じるコスト増加を低減させることができる。
【0032】
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、駆動電圧制御回路1000が有するスイッチング回路の第1~4スイッチング素子が、電界効果トランジスタと、当該電界効果トランジスタのゲートソース間の抵抗と、を備える例である。以下の説明では、第1の実施の形態と同様の構成については説明を省略する。
【0033】
図7は、第2の実施の形態にかかる駆動電圧制御回路1000の構成の一例を説明するための図である。本実施の形態にかかる駆動電圧制御回路1000は、第1~4スイッチング回路12,22,32,42内のスイッチング素子に、電界効果トランジスタQ12,Q22,Q32,Q42,Q44と当該電界効果トランジスタQ12,Q22,Q32,Q42,Q44のゲートソース間の抵抗R14,R24,R34,R44,R46とを用いている。本実施の形態では、第1,2駆動デバイス13,23に流れる負荷電流が大きい場合を想定し、スイッチング素子は、バイポーラトランジスタQ11,Q21,Q31,Q41,Q43と、電界効果トランジスタ(MOSFET)Q12,Q22,Q32,Q42,Q44によるダーリントン接続で構成する。抵抗R11,R21,R31,R41は、バイポーラトランジスタQ11,Q21,Q31,Q41,Q43のベース抵抗である。抵抗R12,R22,R32,R42は、バイポーラトランジスタQ11,Q21,Q31,Q41,Q43のベースエミッタ間抵抗である。また、抵抗R13,R23,R33,R43,R45は、電界効果トランジスタQ12,Q22,Q32,Q42,Q44のゲート抵抗である。
【0034】
第1~4制御素子11,21,31,41の出力を受けて、バイポーラトランジスタQ11、Q21,Q31,Q41,Q43をONとOFFを制御することで、後段の電界効果トランジスタQ12,Q22,Q32,Q42,Q44のONとOFFを切り替えて、駆動電圧のパターンを任意に切り替えることが可能となる。
【0035】
本実施の形態では、電界効果トランジスタQ12,Q22,Q32,Q42,Q44にボディーダイオードが内蔵される一般的な部品を使用することを想定し、互いの内臓ダイオードによって意図せず流れる信号を遮断するために同一の電界効果トランジスタを内蔵ダイオードが逆向きとなるように配置する構成を例として用いている。
【0036】
このほか、電界効果トランジスタQ12,Q22,Q32,Q42,Q44の代わりにON抵抗の小さいバイポーラトランジスタを用いたり、スイッチングICを用いたりすることでも実現が可能である。
【0037】
このように、第2の実施の形態にかかる駆動電圧制御回路1000によれば、トランジスタを用いてディスクリート回路で構成することで、より安価に、第1の実施の形態にかかる駆動電圧制御回路1000と同様の特徴を有する駆動電圧制御回路を実現することができる。
【0038】
(第3の実施の形態)
本実施の形態は、駆動電圧制御回路1000の第1~4スイッチング回路は、電界効果トランジスタのゲートソース間抵抗と並列接続されるコンデンサを有する例である。以下の説明では、上述の実施の形態と同様の構成については説明を省略する。
【0039】
図8は、第3の実施の形態にかかる駆動電圧制御回路1000の構成の一例を説明するための図である。図8に示す駆動電圧制御回路1000は、スイッチング素子に電界効果トランジスタQ12,Q22,Q32,Q42,Q44を用いた場合、当該電界効果トランジスタQ12,Q22,Q32,Q42,Q44のゲートソース間の抵抗R14,R24,R34,R44,R46と並列にコンデンサC11,C21,C31,C41,C42を配置する。
【0040】
このように、第3の実施の形態にかかる駆動電圧制御回路1000によれば、スイッチングの立ち上がりを緩やかにすることが可能となり、スイッチング時に生じる突入電流を抑制することができる。
【0041】
図9は、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態に係る電子機器の一例である、画像形成装置500の構成例を示す図である。画像形成装置500はファンモータ600を有する。
【0042】
画像形成装置500は、MFP(Multi-Function Peripheral/Printer)と称される複合機である。画像形成装置500は、コピー機能、FAX(ファクシミリ)機能、プリンタ機能、スキャナ機能、また、入力画像(スキャナ機能による読み取り原稿や、プリンタ機能あるいはファクシミリ機能により入力された画像)を保存や配信する機能等のうち、少なくとも2つの機能を複合して有する。
【0043】
また、画像形成装置500は、PC(Personal Computer)等の外部装置とも通信可能であり、外部装置から受信した指示に応じた動作を行うこともできる。なお、実施形態において、画像形成装置500で処理される「画像」には画像データだけでなく、画像データが含まれていないデータ、つまりテキスト情報のみのデータも含むものとする。
【0044】
画像形成装置500は、帯電された感光体表面が選択的に露光されることにより書き込まれた静電潜像に、トナーを付着させ、付着させたトナーを用紙等の記録媒体に転写する、いわゆる電子写真方式の画像形成装置である。
【0045】
画像形成装置500は、操作パネル510と、起動スイッチ520と、コントローラ530と、読取部540と、エンジン制御部550と、プリンタユニット560と、給紙カセット570A、570Bと、搬送ユニット580と、を備える。
【0046】
操作部である操作パネル510は、利用者の操作に応じた各種の入力を受け付けるとともに、各種の情報(例えば受け付けた操作を示す情報、画像形成装置500の動作状況を示す情報、画像形成装置500の設定状態を示す情報など)を表示する。操作パネル510は、一例としてタッチパネル機能を搭載した液晶表示装置(LCD(Liquid Cristal Display))で構成されるが、これに限られるものではない。例えばタッチパネル機能が搭載された有機EL(Electro-Luminescence)表示装置で構成されてもよい。さらに、これに加えて又はこれに代えて、ハードウェアキー等の操作部やランプ等の表示部を設けることもできる。
【0047】
起動スイッチ520は、画像形成装置500の電源がオフの状態でユーザーによって押圧されると、画像形成装置500を起動する。また、画像形成装置500が起動した状態、つまり電源がオンの状態でユーザーによって押下されると、画像形成装置をオフ状態とする。このように起動スイッチ520は、ユーザーが押圧することによって画像形成装置500をオン/オフしてもよいがこれに限られず、外部装置から受信した指示に基づき画像形成装置500をオン/オフしてもよい。
【0048】
コントローラ530は、操作パネル510の操作入力等に基づいて画像形成装置500を統括的に制御する。一例として操作パネル510が受け付けた操作や情報に応じた動作を、画像形成装置500に実行させる。その他の例として、PC等の外部機器から画像形成装置500が受け付けた指示等を画像形成装置500に実行させる。さらにその他の例として、特定の条件を検知した場合、例えば起動スイッチ520の押下を検知した場合、さらにその他の例として、画像形成装置500に発生した異常を検知した場合等に、あらかじめ決められた動作を画像形成装置500に実行させる。
【0049】
コントローラ530の具体例としては、画像形成装置500を統括的に制御する回路を搭載したコントローラボードである。画像形成装置500を統括的に制御する回路には、一例としてCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)が搭載されている。コントローラ530は、CPUが、RAMを作業領域として、ROMやHDD(Hard Disk Drive)に記憶されたプログラムを実行することによって、画像形成装置500を制御する。
【0050】
読取部540は、原稿を読み取る。読取部540は、ADF(Auto Document Feeder)541と、スキャナ部542と、を備える。ADF541は、ADF541上に置かれた原稿を順次し搬送し光学的に読み取り画像データを生成する。スキャナ部542は、透明な原稿台の上に原稿を固定し、固定された原稿を光学的に読み取り画像データを生成する。
【0051】
エンジン制御部550は、読取部540により生成された画像データに基づき、プリンタユニット560や搬送ユニット580を制御する制御信号を生成する。エンジン制御部550の具体例としては、画像データに基づき制御信号を生成するための回路基板である。
【0052】
プリンタユニット560は、用紙等の記録媒体上に画像を形成する画像形成部である。プリンタユニット560は、記録媒体上にトナー画像を形成する。プリンタユニット560は、感光体としての感光体ドラム561と、帯電部材562と、書込みユニット563と、現像部材564と、搬送ベルト565と、定着部566とを備える。帯電部材562は、感光体ドラム561の外表面を帯電させる。書込みユニット563は、読取部540により読み取られた画像データに基づいて、帯電された感光体ドラム561上を露光して、感光体上に静電潜像を書き込む。現像部材564は、書き込まれた潜像をトナーで現像する。搬送ベルト565は、トナー画像を形成する記録媒体を搬送する。定着部566は、記録媒体上のトナーを記録媒体に定着させる。
【0053】
給紙カセット570A、570Bは画像形成前の記録媒体を収納する。図9においては一例として二つの給紙カセットを有し、それぞれにサイズの異なる記録媒体を収納しているが、給紙カセットは一つであっても良いし、三つ以上であってもよい。
【0054】
搬送ユニット580は、給紙搬送部として記録媒体の搬送を行う。搬送ユニット580は、各種ローラを備える。搬送ユニット580は、給紙カセット570A、給紙カセット570Bに収納された記録媒体を矢印500Cに沿ってプリンタユニット560に搬送する。
【0055】
ここで、コピーモードを例として画像形成装置500での画像形成の流れを説明する。まずユーザーが、操作パネル510で機能切替えキー等をユーザーが操作することにより、画像形成装置500のコピー機能、プリンタ機能、及びファクシミリ機能を順次に切り替えて選択し、各機能を動作させることが可能となる。コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリ機能選択時にはファクシミリモードとなる。
【0056】
コピーモードでは、読取部540により、コピーする各原稿の画像情報が読み取られ、画像データが生成される。
【0057】
感光体ドラム561の外周面は、暗中にて帯電部材562により一様に帯電された後、書込みユニット563からの照射光(図9中に点線矢印500Aで示す。)により露光され、その結果、感光体ドラム561の外周面上に静電潜像が形成される。現像部材564は、この静電潜像をトナーにより可視像化する。これにより、感光体ドラム561上にトナー画像が形成される。感光体ドラム561は矢印500B方向に回転する。そして、感光体ドラム561上に形成されたトナー画像は、搬送ベルト565上の記録媒体に転写される。そして定着部566が記録媒体上のトナー画像のトナーを、一例としてヒータで加熱溶融して、記録媒体にトナー画像を定着し、記録媒体を画像形成装置500から排出する。
【0058】
なお、プリンタユニット560がモノクロの電子写真方式によって画像を形成する場合を説明したが、カラーの電子写真方式やインクジェット方式などであってもよく、画像形成方式はこれらに限られない。
【0059】
また、上述の操作パネル510は、コントローラ530によって制御されてもよいし、コントローラ530とは別に操作パネル510を制御するための制御回路を有し、制御されてもよい。その場合、コントローラ530の制御回路と操作パネル510の制御回路は、相互に通信可能に接続され、コントローラ530は操作パネル510を含む画像形成装置500全体を制御する。
【0060】
なお、上記では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明したが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【0061】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 直列接続される第1,2駆動デバイスに駆動電圧を供給する第1駆動用電源と、
前記第1,2駆動デバイスに駆動電圧を供給する第2駆動用電源と、
前記第1駆動用電源と前記第2駆動用電源とを接続する駆動電源ラインの間でありかつ前記第1,2駆動デバイスと並列接続される電圧降下用素子と、
前記駆動電源ラインにおいて前記第1駆動用電源と前記電圧降下用素子との間に配置されかつ前記第1,2駆動デバイスに供給する駆動電圧を切り替える第1スイッチング素子と、当該第1スイッチング素子のONとOFFとを切り替える第1制御素子と、を有する第1スイッチング回路と、
前記駆動電源ラインにおいて前記第2駆動用電源と前記電圧降下用素子との間に配置されかつ前記第1,2駆動デバイスに供給する駆動電圧を切り替える第2スイッチング素子と、当該第2スイッチング素子のONとOFFとを切り替える第2制御素子と、を有する第2スイッチング回路と、
前記第1駆動用電源と前記第1駆動デバイスとの間に配置され、前記第1,2駆動デバイスに供給する駆動電圧を切り替える第3スイッチング素子と、当該第3スイッチング素子のONとOFFとを切り替える第3制御素子と、を有する第3スイッチング回路と、
前記第1駆動デバイスと前記第2駆動デバイスとの間に配置され、前記第1,2駆動デバイスに供給する駆動電圧を切り替える第4スイッチング素子と、当該第4スイッチング素子のONとOFFとを切り替える第4制御素子と、を有する第4スイッチング回路と、
を備える駆動電圧制御装置。
<2> 前記第1~4スイッチング回路は、前記第1~4制御素子が複数のパターンで前記第1~4スイッチング素子のONとOFFとを切り替えることにより、前記第1,2駆動デバイスに複数の駆動電圧を供給する、<1>に記載の駆動電圧制御装置。
<3> 前記第1~4スイッチング素子は、互いに、ONとOFFとを切り替えるタイミングをずらす、<1>または<2>に記載の駆動電圧制御装置。
<4> 前記第1~4スイッチング素子は、電界効果トランジスタと、当該電界効果トランジスタのゲートソース間の抵抗と、を備える、<1>から<3>のいずれか一に記載の駆動電圧制御装置。
<5> 前記第1~4スイッチング回路は、前記抵抗と並列接続されるコンデンサを有する、<4>に記載の駆動電圧制御装置。
<6> <1>から<5>のいずれか一に記載の駆動電圧制御装置を有する、ファンモータの駆動電圧制御装置。
<7> <1>から<5>のいずれか一に記載の駆動電圧制御装置を有する画像形成装置。
【符号の説明】
【0062】
1 第1スイッチング素子
2 第2スイッチング素子
3 第3スイッチング素子
4 第4スイッチング素子
11 第1制御素子
20 電圧降下用素子
21 第2制御素子
31 第3制御素子
41 第4制御素子
12 第1スイッチング回路
22 第2スイッチング回路
32 第3スイッチング回路
42 第4スイッチング回路
13 第1駆動デバイス
23 第2駆動デバイス
C11,C21,C31,C41,C42 コンデンサ
Q12,Q22,Q32,Q42,Q44 電界効果トランジスタ
R14,R24,R34,R44,R46 抵抗
Vcc1 第1駆動用電源
Vcc2 第2駆動用電源
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開2007-093057号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9