(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124374
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】(メタ)アクリル系共重合体、活性エネルギー線硬化性組成物、硬化物、インキ組成物及び印刷物
(51)【国際特許分類】
C08F 220/10 20060101AFI20240905BHJP
C08F 265/06 20060101ALI20240905BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20240905BHJP
C09D 11/101 20140101ALI20240905BHJP
C09D 133/04 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
C08F220/10
C08F265/06
C08F2/44 C
C09D11/101
C09D133/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024028650
(22)【出願日】2024-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2023032126
(32)【優先日】2023-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142309
【弁理士】
【氏名又は名称】君塚 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】山口 真悠
(72)【発明者】
【氏名】廣西 正人
(72)【発明者】
【氏名】藤田 倫仁
【テーマコード(参考)】
4J011
4J026
4J038
4J039
4J100
【Fターム(参考)】
4J011PA69
4J011PC02
4J011PC07
4J026AA43
4J026AA45
4J026AA48
4J026AA49
4J026AA50
4J026BA24
4J026BA26
4J026BA28
4J026BA29
4J026BA30
4J026BB04
4J026DA03
4J026DB03
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4J026GA06
4J038CJ22
4J038FA01
4J038FA232
4J038GA01
4J038MA16
4J038NA23
4J038PA17
4J038PB06
4J038PC08
4J039AD20
4J039AD21
4J039BE27
4J039CA01
4J039EA04
4J039FA02
4J039GA01
4J039GA02
4J039GA03
4J039GA09
4J039GA10
4J100AL08P
4J100BA02P
4J100BA04P
4J100BA05P
4J100BA06P
4J100BC04P
4J100BC26P
4J100BC27P
4J100BC53P
4J100CA03
4J100DA09
4J100FA04
4J100JA07
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、印刷インクに用いる単量体への重合体の溶解性及び組成物の垂れ性を向上できる(メタ)アクリル系共重合体、活性エネルギー線硬化性組成物、硬化物、インキ組成物及び印刷物を提供することにある。
【解決手段】脂環式骨格を有する(メタ)アクリレート及びエーテル骨格を有する(メタ)アクリレートのうちの一種以上の単量体由来の構成単位を有し、ジトリメチロールプロパントリアクリレートに重合体の濃度が25wt%となる様に溶解したときのB型粘度計で測定した25℃における重合体溶液の粘度が500~1,750,000mPa・sである(メタ)アクリル系共重合体。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂環式骨格を有する(メタ)アクリレート及びエーテル骨格を有する(メタ)アクリレートのうちの一種以上の単量体由来の構成単位を有し、ジトリメチロールプロパントリアクリレートに重合体の濃度が25wt%となる様に溶解したときのB型粘度計で測定した25℃における重合体溶液の粘度が500~1,750,000mPa・sである(メタ)アクリル系共重合体。
【請求項2】
下記式1で表される構造を有するマクロモノマー由来の構成単位を更に有する請求項1に記載の(メタ)アクリル系共重合体。
【化1】
(式1において、R
1は置換又は無置換のアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基のいずれかであり、R
2は水素原子又はメチル基である。)
【請求項3】
前記マクロモノマー由来の構成単位を重合体の側鎖に有する請求項2に記載の(メタ)アクリル系共重合体。
【請求項4】
芳香環を有さない請求項1又は請求項2に記載の(メタ)アクリル系共重合体。
【請求項5】
単官能以上のメルカプタン由来の化学構造を有する請求項1又は請求項2に記載の(メタ)アクリル系共重合体。
【請求項6】
3官能以上のメルカプタン由来の化学構造を有する請求項1又は請求項2に記載の(メタ)アクリル系共重合体。
【請求項7】
重合性二重結合を2つ以上有する化合物由来の構成単位を更に有する請求項1又は請求項2に記載の(メタ)アクリル系共重合体。
【請求項8】
前記脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートが、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上250℃以下である請求項1又は請求項2に記載の(メタ)アクリル系共重合体。
【請求項9】
前記エーテル骨格を有する(メタ)アクリレートが環状エーテルを有する(メタ)アクリレートである請求項1又は請求項2に記載の(メタ)アクリル系共重合体。
【請求項10】
ISO16620-2で定義されるバイオベース度が5%以上100%以下である請求項1又は請求項2に記載の(メタ)アクリル系共重合体。
【請求項11】
請求項1又は請求項2に記載の(メタ)アクリル系共重合体と、ラジカル重合性単量体と、光重合開始剤とを含む活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物。
【請求項13】
請求項11に記載の活性エネルギー線硬化性組成物と、顔料及び染料のうちの1種以上とを含むインキ組成物。
【請求項14】
請求項13に記載のインキ組成物の印刷物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インキ組成物等の原料として有用な(メタ)アクリル系共重合体、活性エネルギー線硬化性組成物、硬化物、インキ組成物及び印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
活性エネルギー線硬化性組成物は、塗装基材への熱履歴が少なく、塗膜硬度や耐擦り傷性に優れることから、家電製品、携帯電話等の各種プラスチック基材用ハードコート剤、紙等のオーバーコート剤、印刷インキ用バインダー、ソルダーレジスト等の様々な分野で使用されている。
【0003】
これらの用途のなかで印刷インキ用バインダーとして用いる活性エネルギー線硬化性組成物には、印刷適性に優れ、低分子量成分の溶出が少なく、UVモノマーに溶解するという点からジアリルフタレート樹脂が使用されている。
しかし、ジアリルフタレート樹脂は、石化由来の樹脂のため製造時に大量の温室効果ガスを発生することから、環境に大きな負荷を与えている。
そこで環境負荷の小さな植物由来の原料を使った樹脂が求められている。
たとえば、特許文献1には、(メタ)アクリレート由来のマクロモノマーとスチレン等からなるアクリレート共重合体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の方法は、印刷適性評価に用いる紫外線で硬化する単量体への重合体の溶解性、組成物の垂れ性、及び重合体を製造する際の環境負荷の点で更なる改良の余地があった。
【0006】
本発明の目的はこれらの問題点を解決することであり、印刷インクに用いる単量体への重合体の溶解性及び組成物の垂れ性を向上できる(メタ)アクリル系共重合体、活性エネルギー線硬化性組成物、硬化物、インキ組成物及び印刷物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は以下の[1]~[14]を要旨とする。
[1]脂環式骨格を有する(メタ)アクリレート及びエーテル骨格を有する(メタ)アクリレートのうちの一種以上の単量体由来の構成単位を有し、ジトリメチロールプロパントリアクリレートに重合体の濃度が25wt%となる様に溶解したときのB型粘度計で測定した25℃における重合体溶液の粘度が500~1,750,000mPa・sである(メタ)アクリル系共重合体。
[2]下記式1で表される構造を有するマクロモノマー由来の構成単位を更に有する[1]に記載の(メタ)アクリル系共重合体。
【化1】
(式1において、R
1は置換又は無置換のアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基のいずれかであり、R
2は水素原子又はメチル基である。)
[3]前記マクロモノマー由来の構成単位を重合体の側鎖に有する[2]に記載の(メタ)アクリル系共重合体。
[4]芳香環を有さない[1]~[3]の何れか一項に記載の(メタ)アクリル系共重合体。
[5]単官能以上のメルカプタン由来の化学構造を有する[1]~[4]の何れか一項に記載の(メタ)アクリル系共重合体。
[6]3官能以上のメルカプタン由来の化学構造を有する[1]~[5]の何れか一項に記載の(メタ)アクリル系共重合体。
[7]重合性二重結合を2つ以上有する化合物由来の構成単位を更に有する[1]~[6]の何れか一項に記載の(メタ)アクリル系共重合体。
[8]前記脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートが、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上250℃以下である(メタ)アクリレート単量体である[1]~[7]の何れか一項に記載の(メタ)アクリル系共重合体。
[9]前記エーテル骨格を有する(メタ)アクリレートが環状エーテルを有する(メタ)アクリレートである[1]~[8]の何れか一項に記載の(メタ)アクリル系共重合体。
[10]ISO16620-2で定義されるバイオベース度が5%以上100%以下である[1]~[9]の何れか一項に記載の(メタ)アクリル系共重合体。
[11][1]~[10]の何れか一項に記載の(メタ)アクリル系共重合体と、ラジカル重合性単量体と、光重合開始剤とを含む活性エネルギー線硬化性組成物。
[12][11]に記載の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物。
[13][11]に記載の活性エネルギー線硬化性組成物と、顔料及び染料のうちの1種以上とを含むインキ組成物。
[14][13]に記載のインキ組成物の印刷物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、印刷インクに用いる単量体への重合体の溶解性及び組成物の垂れ性を向上できる(メタ)アクリル系共重合体、活性エネルギー線硬化性組成物、硬化物、インキ組成物及び印刷物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の総称を意味する。「(メタ)アクリル系」とは、アクリル系とメタクリル系の総称を意味する。また、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの総称を意味する。
「構成単位」とは、単量体に由来する構成単位、すなわち単量体が重合することによって形成された構成単位、又は重合体を処理することによって構成単位の一部が別の構造に変換された構成単位を意味する。
本明細書において「室温」とは、23℃±2℃の範囲内の温度を意味する。
【0010】
<(メタ)アクリル系共重合体>
本発明の(メタ)アクリル系共重合体(以下、単に「共重合体」とも記載する。)は、脂環式骨格を有する(メタ)アクリレート及びエーテル骨格を有する(メタ)アクリレートのうちの一種以上の単量体由来の構成単位を有する。
【0011】
脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸メタクロレインダイマーアルコール(メタ)アクリレート、水素化メタクロレインダイマーアルコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等が挙げられる。
【0012】
塗膜の強度が高くなる点から、本発明の(メタ)アクリル系共重合体においては、前記脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートとして、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上250℃以下である(メタ)アクリレート単量体を用いることが好ましい。
脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートのうちガラス転移温度(以下、「Tg」と記載する。)が0℃以上の(メタ)アクリレート単量体としては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸メタクロレインダイマーアルコール(メタ)アクリレート、水素化メタクロレインダイマーアルコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等が挙げられる。
この中でも、Tgが高く塗膜の強度が高くなる点から、(メタ)アクリル酸イソボルニル及び(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルが好ましい。また、バイオベース度を向上させる点から、植物由来の骨格を有する(メタ)アクリル酸イソボルニルがより好ましい。
【0013】
前記共重合体100質量部に対する脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートの共重合比率は、高Tgの単量体による塗膜強度及びラジカル重合性単量体への溶解性の点で、0質量部以上90質量部以下が好ましく、1.5質量部以上80質量部以下がより好ましく、7質量部以上70質量部以下が更に好ましい。
【0014】
前記エーテル骨格を有する(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルオキシエトキシエチル、n-プロポキシエチル(メタ)アクリレート、I-プロポキシエチル(メタ)アクリレート、n-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、I-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、t-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、n-プロポキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、I-プロポキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、n-ブトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、I-ブトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0015】
前記エーテル骨格を有する(メタ)アクリレートは、Tgを向上させる環状エーテル骨格を有する(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。環状エーテル骨格を有する(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル及び環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、低粘度であるため垂れ性を良好にし、バイオベース度を向上させることができる点から、植物由来のエーテル骨格を有する(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルが好ましい。
【0016】
前記共重合体100質量部に対するエーテル骨格を有する(メタ)アクリレートの共重合比率は、ラジカル重合性単量体への溶解性及び低粘度による垂れ性向上の点で、0質量部以上90質量部以下が好ましく、1.5質量部以上80質量部以下がより好ましく、7質量部以上70質量部以下が更に好ましい。
【0017】
前記共重合体は、前記脂環式骨格を有する(メタ)アクリレート及びエーテル骨格を有する(メタ)アクリレート由来の構成単位以外のその他の単量体由来の構成単位を有していてもよい。
【0018】
前記その他の単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリセロール等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等のカルボキシル基を有する単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基を有する単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、α-エチルアクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸-3,4-エポキシブチル等のエポキシ基を有する単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体;(メタ)アクリルアミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等のアミド基を有する単量体;ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール等の複素環系塩基性単量体;スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系単量体;メトキシエチレングリコールアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル、メトキシポリプロピレングリコールアリルエーテル、ブトキシポリエチレングリコールアリルエーテル、ブトキシポリプロピレングリコールアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールアリルエーテル、ブトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールアリルエーテル等の末端アルコキシアリル化ポリエーテル単量体;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0019】
これらの中でも、マクロモノマーの溶解性が高く、マクロモノマーと(メタ)アクリレートの共重合体を重合する際に工程が簡便になる点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチルが好ましい。また、顔料分散性が良好になる点から、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0020】
前記共重合体の重量平均分子量は、10000以上50000以下であることが好ましく、20000以上がより好ましく、23000以上が更に好ましい。重量平均分子量が10000以上であれば、共重合体を活性エネルギー線硬化性組成物に含有させた際に硬化性が良好となる。重量平均分子量が50000以下であれば、共重合体の単量体への溶解性が向上する。
【0021】
本発明の(メタ)アクリル系共重合体は、ジトリメチロールプロパントリアクリレートに重合体の濃度が25wt%となる様に溶解したときのB型粘度計で測定した25℃における重合体溶液の粘度が500~1,750,000mPa・sであり、1,000~1,500,000mPa・sが好ましく、2,000~1,000,000mPa・sがより好ましく、5,000~500,000mPa・sが更に好ましく、6,000~250,000mPa・sが特に好ましく、7,000~150,000mPa・sが最も好ましい。前記範囲であれば、前記共重合体を溶解した際の溶解液の取扱い性が良好となる。
前記B型粘度計としてはブルックフィールド粘度計 HADV2Tを使用することができる。前記25℃における重合体溶液の粘度を測定する際の温度調整方法としては、前記重合体のジトリメチロールプロパントリアクリレート溶液を恒温槽に2時間静止する方法を挙げることができる。
【0022】
前記共重合体のTgは、-10℃以上が好ましく、0℃以上がより好ましく、20℃以上が更に好ましい。また、Tgは、250℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましく、175℃以下が更に好ましい。懸濁重合法で前記共重合体を得る場合、ブロッキングの点からTgは高い方が好ましく、モノマーの溶解性の点から低い方が好ましい。
【0023】
本発明において、(メタ)アクリル系共重合体のTgは、下記式2で示されるFoxの計算式により算出した値(単位:℃)を意味する。
共重合体の組成にマクロモノマーを含む場合、マクロモノマーを構成する単量体を含んだ全体の単量体組成のTgを算出する。
【0024】
【0025】
式2中、Wiは、単量体iの質量分率を示し、Tgiは、単量体iの単独重合体のTg(℃)を示す。
尚、単独重合体のTgは、「ポリマーハンドブック 第4版 John Wiley&Sons刊」に記載の数値を用いることができる。
【0026】
本発明の組成物の適度なバイオベース度及び垂れ性が得られる点から、前記(メタ)アクリル系共重合体は芳香環を有さない方が好ましい。
【0027】
<(メタ)アクリル系共重合体の製造方法>
(メタ)アクリル系共重合体は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の重合方法によって製造することができる。これらの重合方法の中でも、共重合体の取り扱い性が容易な粉体状や球状や粒子状の共重合体が得られやすい点から、塊状重合、懸濁重合が好ましく、粒子径の大きさを制御できる点から懸濁重合がより好ましい。
【0028】
例えば、本発明の(メタ)アクリル系共重合体は、懸濁重合法を用いた重合工程と、第一の脱水工程、洗浄工程、第二の脱水工程、乾燥工程とを有する方法で製造することができる。
【0029】
(重合工程)
重合工程は、脂環式骨格を有する(メタ)アクリレート及びエーテル骨格を有する(メタ)アクリレートのうちの一種以上と、必要に応じてマクロモノマー、重合性二重結合を2つ以上有する化合物とその他の単量体を水中に分散させて、単官能以上のメルカプタンの存在下、懸濁重合し、(メタ)アクリル系共重合体を得る工程である。
懸濁重合の方法としては公知の方法を採用でき、例えば、重合温度制御機能と撹拌機能とを有する容器内にて、脂環式骨格を有する(メタ)アクリレート及びエーテル骨格を有する(メタ)アクリレートのうちの一種以上と、必要に応じてマクロモノマー、重合性二重結合を2つ以上有する化合物とその他の単量体とを重合用助剤の存在下、水中で重合させる方法が挙げられる。
【0030】
重合用助剤としては、重合開始剤、連鎖移動剤、分散剤、分散助剤等が挙げられる。
【0031】
重合開始剤は、公知の有機過酸化物又はアゾ化合物を使用することができる。
有機過酸化物としては、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、o-メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス-3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、オクタノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ヘキシルパーオキサイド等が挙げられる。
【0032】
アゾ化合物としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)等が挙げられる。
【0033】
これらの中でも、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ヘキシルパーオキサイド、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)が前記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化性の点で好ましい。
前記重合開始剤は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
単量体の重合速度の点から、重合開始剤の使用量は、前記共重合体を製造する際の全単量体混合物100質量部に対して0.0001質量部以上25質量部以下の範囲が好ましい。
【0035】
連鎖移動剤としては、単官能、2官能及び3官能以上のメルカプタン類の他、水素、αメチルスチレンダイマー、テルペノイド類、コバルト連鎖移動剤等が挙げられる。連鎖移動剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0036】
分散剤としては、例えば、水中で単量体を安定に分散させる界面活性剤が挙げられ、具体的には、メタクリル酸2-スルホエチルナトリウムとメタクリル酸カリウムとメタクリル酸メチルとの共重合体、3-ナトリウムスルホプロピルメタクリレートとメタクリル酸メチルとの共重合体、メタクリル酸ナトリウムとメタクリル酸との共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。
【0037】
分散助剤としては、例えば、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、塩化カリウム、酢酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガンが挙げられる。
【0038】
重合温度は特に限定されないが、単量体の重合速度の点から、-100℃以上250℃以下が好ましく、0℃以上200℃以下がより好ましい。
【0039】
懸濁重合により得られる(メタ)アクリル系共重合体は、スラリーの状態で得られる。スラリーを脱水することで通常は真球に近い(メタ)アクリル系共重合体粒子が得られる。
【0040】
(脱水工程)
脱水工程は、懸濁重合後のスラリーを脱水機等で脱水して(メタ)アクリル系共重合体の粒子を反応液から分離する第一の脱水工程と、洗浄工程後の(メタ)アクリル系共重合体の粒子を脱水機等で脱水して(メタ)アクリル系共重合体の粒子を洗浄液から分離する第二の脱水工程が挙げられる。各脱水工程には各種の脱水機を使用することができ、例えば、遠心脱水機、多孔ベルト上で水を吸引除去する機構のもの等を適宜選択して使用することができる。脱水機は、1基を使用してもよいし、同一機種を2基用意して各脱水工程で使用してもよいし、複数の異なる機種の脱水機を使用してもよい。製品品質、設備投資費、生産性、運転コスト等の点から目的に沿う機種の脱水機を適宜選択することができる。製品品質と生産速度のバランスを重視する場合は、各脱水工程でそれぞれ専用の脱水機を使用することが好ましい。
【0041】
(洗浄工程)
洗浄工程により、(メタ)アクリル系共重合体の純度が高まる。
洗浄方法としては、例えば、第一の脱水工程で脱水した(メタ)アクリル系共重合体の粒子に洗浄液を添加して(メタ)アクリル系共重合体を再度スラリーとし、撹拌混合する方法、洗浄機能を有する脱水機内で脱水工程を行った後に、続けて洗浄液を加えて洗浄する方法が挙げられる。これらの洗浄方法を組み合わせて洗浄を行ってもよい。
【0042】
洗浄液は、洗浄工程の目的が達成されるようにその種類や量を選定すればよい。洗浄剤としては、例えば、水(イオン交換水、蒸留水、精製水等)、ナトリウム塩が溶解した水溶液、メタノールが挙げられる。
【0043】
(乾燥工程)
乾燥工程は、第二の脱水工程後の(メタ)アクリル系共重合体の粒子を乾燥する工程である。
第二の脱水工程後の(メタ)アクリル系共重合体の粒子の表面には水が残留している。また、(メタ)アクリル系共重合体の内部は飽和吸水に近い状態にある。そのため、(メタ)アクリル系共重合体の含水率を更に下げるために、乾燥することが好ましい。
乾燥には各種の乾燥機を使用することができ、例えば、減圧下で加温して乾燥を行う乾燥機、加温空気を用いて(メタ)アクリル系共重合体の粒子を管内空輸しながら同時に乾燥を行う乾燥機、多孔板の下側から加温空気を吹き込み上側の(メタ)アクリル系共重合体の粒子を流動させながら乾燥を行う乾燥機が挙げられる。
重合体の流動性が良好となる点から、乾燥工程は、乾燥工程後の(メタ)アクリル系共重合体の含水率が0.1~15.0wt%となるように行うことが好ましく、0.2~10.0wt%となるように行うことがより好ましく、0.3~5.0wt%となるように行うことが更に好ましい。
尚、得られた(メタ)アクリル系共重合体の化学構造は、1H-NMRや13C-NMR等を使った公知の分析方法で確認することができる。
【0044】
<マクロモノマー>
前記マクロモノマーは、末端にラジカル重合性二重結合を有する高分子量の単量体である。前記マクロモノマーの重量平均分子量Mwは1,000以上15,000以下が好ましく、1,500以上12,500以下がより好ましく、2,000以上10,000以下が更に好ましい。
【0045】
前記マクロモノマーの重量平均分子量Mwが1,000以上であれば、共重合体の分岐度が高まり、単量体に共重合体を溶解した際に溶液の垂れ性が向上する。また、前記マクロモノマーの重量平均分子量Mwが15,000以下であれば、本発明の(メタ)アクリル系共重合体等を含む活性エネルギー線硬化性組成物のインキ中での凝集を抑制し均一性が良好となりやすい。
【0046】
単量体に共重合体を溶解した際に溶液の垂れ性が向上し、活性エネルギー線硬化性組成物のインキ中での凝集を抑制し均一性が良好となる点から、本発明の(メタ)アクリル系共重合体は、下記式1で表される構造を有するマクロモノマー由来の構成単位を更に有することが好ましい。
前記マクロモノマーは、重合することによって下記式1の構造を形成する単量体を用い、公知のマクロモノマーの製造方法で製造できる。
【0047】
【0048】
(式1において、R1は置換又は無置換のアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基のいずれかであり、R2は水素原子又はメチル基である。)
【0049】
前記単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリセロール等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等のカルボキシル基を有する単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基を有する単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、α-エチルアクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4-エポキシブチル等のエポキシ基を有する単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体;(メタ)アクリルアミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等のアミド基を有する単量体;ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール等の複素環系塩基性単量体;スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系単量体;メトキシエチレングリコールアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル、メトキシポリプロピレングリコールアリルエーテル、ブトキシポリエチレングリコールアリルエーテル、ブトキシポリプロピレングリコールアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールアリルエーテル、ブトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールアリルエーテル等の末端アルコキシアリル化ポリエーテル単量体;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
中でも、単量体の入手し易さと、平行板粘度計における流動性の観点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アタクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル、及び(メタ)アクリル酸が好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0050】
マクロモノマーは、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の重合方法によって製造することができる。これらの重合方法の中でも、装置効率が比較的高く、かつ粒子状の重合体が簡便な操作で得られる点で懸濁重合が好ましい。
【0051】
また、連鎖移動剤を用いる場合、コバルト連鎖移動剤を用いる方法、α-メチルスチレンダイマー等のα置換不飽和化合物を連鎖移動剤として用いる方法が挙げられる。
【0052】
これらの中でも、製造工程数が少なく、連鎖移動定数が高い点からコバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法が好ましい。コバルト連鎖移動剤を用いた場合、マクロモノマーの末端重合性官能基は下記式3の構造を有する。
【0053】
【0054】
(式3において、R1は置換又は無置換のアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基のいずれかである。)
【0055】
具体的には、前記マクロモノマーのTgは、30℃以上200℃以下が好ましく、40℃以上190℃以下がより好ましく、45℃以上180℃以下が更に好ましい。
【0056】
マクロモノマーのTgが、前記範囲内であれば、懸濁重合法でマクロモノマーを重合した際に粒子として共重合体を取り出すことができる。また、単量体への溶解の際に共重合体粒子間の凝集が抑制され、単量体への溶解性がより良好となる。
【0057】
前記マクロモノマー由来の構成単位は、前記式1で示される構造を有するマクロモノマーを共重合することで形成される。
【0058】
本発明において、前記共重合体100質量部に対する前記マクロモノマー由来の構成単位の比率は、10質量部以上70質量部以下が好ましく、20質量部以上60質量部以下がより好ましい。前記マクロモノマーの共重合比率が10質量部以上であれば、前記共重合体の印刷する際にロールから発生するミスチング現象を抑制しやすく、70質量部以下であれば共重合体の重合が容易となりやすい。
【0059】
本発明の(メタ)アクリル系共重合体は、前記マクロモノマー由来の構成単位を重合体の側鎖に有することが好ましい。
前記式1で示される構造を有するマクロモノマー由来の構成単位を側鎖に有することで、共重合体の分岐度が高まる。本発明の(メタ)アクリル系共重合体を単量体に溶解させた場合、同程度の分子量で粘度を比較した際に粘度が下がり、垂れ性を向上できる。
【0060】
<メルカプタン>
(メタ)アクリル系共重合体を製造する際に単官能以上のメルカプタンを使用することで、単官能以上のメルカプタン由来の化学構造が(メタ)アクリル系共重合体に導入される。
重合体の分子量調整の点から、本発明の(メタ)アクリル系共重合体は、単官能以上のメルカプタン由来の化学構造を有することが好ましい。
【0061】
また、3官能以上のメルカプタンを使用した場合には、3官能以上のメルカプタンが重合の開始点となり、3官能以上のメルカプタン由来の化学構造が(メタ)アクリル系共重合体に導入される。
重合体の分子量調整の点から、本発明の(メタ)アクリル系共重合体は、3官能以上のメルカプタン由来の化学構造を有することが好ましい。
【0062】
単官能のメルカプタンは、単一分子内に1つのメルカプト基を持つ化合物である。
(メタ)アクリル系共重合体における単官能のメルカプタンとしては、例えばn-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、tert-ドデシルメルカプタン、n-ブチルメルカプタン、チオグリコール酸、3-メルカプトプロピオン酸、2-メルカプトエタノール、3-メルカプトプロピオン酸2-エチルヘキシル、チオグリコール酸2-エチルヘキシル、3-メルカプトプロピオン酸イソオクチル、チオグリコール酸イソオクチル、3-メルカプトプロピオン酸2-メトキシブチル等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0063】
2官能のメルカプタンは、単一分子内に2つのメルカプト基を持つ化合物である。
2官能のメルカプタンとしては、例えば1,4-ジメルカプトブタン、3-オキソ-1,5-ペンタンジチオール、3-チア-1,5-ペンタンジチオール、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,4-ブタンジオールビス(チオグリコ―レート)等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0064】
3官能以上のメルカプタンは、単一分子内に3つ以上のメルカプト基を持つ化合物である。
3官能以上のメルカプタンとしては、例えば1,2,3-トリメルカプトプロパン、2,2-ビス(メルカプトメチル)-1-メルカプトブタン、1,2,3,4-テトラメルカプトブタン、2,2-ビス(メルカプトメチル)-1,3-ジメルカプトプロパン、グリセリントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、グリセリントリス(チオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリトリトールテトラキス(チオグリコレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(チオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトブチレート)、ペンタエリトリトールテトラキス(2-メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2-メルカプトブチレート)等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、(メタ)アクリル系共重合体の単量体への溶解性がより良好となり、入手も容易である点から、ペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリトールテトラキス(チオグリコレート)が好ましい。
【0065】
<重合性二重結合を2つ以上有する化合物>
単量体への溶解の際に粘度が低くなり、顔料等の配合が容易になる点から、本発明の(メタ)アクリル系共重合体は、重合性二重結合を2つ以上有する化合物由来の構成単位を更に有することが好ましい。
重合性二重結合を2つ以上有する化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2-プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス{4-〔2-(アクリロイルオキシ)エトキシ)〕フェニル}プロパン、2,2-ビス{4-〔2-(メタクリロイルオキシ)エトキシ)〕フェニル}プロパン、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、エトキシ変性イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ジビニルベンゼン、1,3,5-トリビニルベンゼン等が挙げられる。
これらの中でも、単量体への溶解の際に粘度が低くなり、顔料等の配合が容易になる点から、エチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0066】
<バイオベース度>
本発明におけるバイオベース度とは、バイオマス由来の(メタ)アクリレートを原料として用いて製造される前記(メタ)アクリル系共重合体の単量体由来の全炭素数に対するバイオマス由来の(メタ)アクリレート由来の炭素数の重量百分率(単位:%)を意味する。
代表的なバイオ化度の指標としてはISO16620-2でバイオベース度の規格が規定されており、(メタ)アクリル樹脂の乾燥物の全炭素数に対するバイオマス由来の(メタ)アクリレートの炭素の含有比率が使用されている。
例えばバイオマス由来のイソボルニルアクリレートでは原料となる松ヤニから得られるカンフェンに由来する炭素が分子内に10個であることから、分子全体の炭素数13個に対して、76.9%となるため、イソボルニルアクリレートの単独重合体のバイオ化度は76.9%となる。
重合体を製造する際に、環境負荷を低減できる点から、本発明の(メタ)アクリル系共重合体は、バイオベース度が5%以上100%以下であることが好ましく、17.5%以上100%以下であることがより好ましい。
【0067】
<活性エネルギー線硬化性組成物>
印刷インクに用いる単量体への重合体の溶解性及び組成物の垂れ性を向上させ、環境負荷を低減できる点から、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、前記(メタ)アクリル系共重合体と、ラジカル重合性単量体と、光重合開始剤とを含むことが好ましい。
【0068】
前記ラジカル重合性単量体としては、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカルバゾール、ビニルピリジン、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、7-アミノ-3,7-ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、t-オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、テトラクロロフェニル(メタ)アクリレート、2-テトラクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラブロモフェニル(メタ)アクリレート、2-テトラブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-トリクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2-トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタクロロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、メチルトリエチレンジグリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのモノ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加ビスフェノールFのモノ(メタ)アクリレート;モノ{2-(メタ)アクリロイルオキシエチル}アシッドホスフェート等の燐酸基を有するビニル系単量体;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、2-メチルアリルスルホン酸、4-ビニルベンゼンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基を有するビニル系単量体; CH2=CHCOO(CH2)3[Si(CH3)2O]nSi(CH3)3、CH2=C(CH3)COOC6H4〔Si(CH3)2O)nSi(CH3)3、CH2=C(CH3)COO(CH2)3[Si(CH3)2O]nSi(CH3)3、CH2=C(CH3)COO(CH2)3[Si(CH3)(C6H5)○]nSi(CH3)3、あるいはCH2=C(CH3)COO(CH2)3[Si(C6H5)2O]nSi(CH3)3(ただし、各式中のnは0~130の整数である。)等のような一般式を以て示されるポリシロキサン結合含有モノマー;γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロペニルオキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル(トリス-β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロルシラン又はN-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及び、これらモノマーのε-カプロラクトン反応物;2-ジメチルアミノエチルビニルエーテル、2-ジエチルアミノエチルビニルエーテル、4-ジメチルアミノブチルビニルエーテル、4-ジエチルアミノブチルビニルエーテル、6-ジメチルアミノヘキシルビニルエーテル等の3級アミンを有するビニルエーテル;2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、6-ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等の水酸基を有するビニルエーテル;又は2-ヒドロキシエトキシアリルエーテル、4-ヒドロキシブトキシアリルエーテル、トリメチロールプロパンのモノ-、あるいはジ-アリルエーテル、ペンタエリスリトールのモノ-、あるいはジ-アリルエーテル等の水酸基を有するアリルエーテル、及び、これらモノマーのε-カプロラクトン反応物;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、iso-ブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メ夕)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA又はFのジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加ビスフェノールA又はFのジ(メタ)アクリレート;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和二塩基酸類等の2価カルボン酸のジビニルエステル類等の2官能モノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールのペンタ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールのペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレート等、及び、これら単量体のε-カプロラクトン反応物等が挙げられる。
【0069】
これらの中でも印刷インキとしての硬化性に優れる点から、ジペンタエリスリトールのペンタ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールのペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0070】
前記ラジカル重合性単量体は、単量体への溶解性と硬化性の点で前記活性エネルギー線硬化性組成物中に20質量%以上99質量%以下含まれることが好ましい。
【0071】
前記光重合開始剤は、分子内開裂型の光重合開始剤及び水素引き抜き型の光重合開始剤等が挙げられる。分子内開裂型の光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2,2-ジエトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン等のアセトフェノン系化合物;1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシム系化合物、3,6-ビス(2-メチル-2-モルフォリノプロパノニル)-9-ブチルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン系化合物;2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、2-メチル-2-モルホリノ((4-メチルチオ)フェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン等のアミノアルキルフェノン系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステルが挙げられる。
水素引き抜き型の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル-4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;4,4’-ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物;その他10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアンスラキノン、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤は、硬化性の点で前記活性エネルギー線硬化性組成物中に0.5質量%以上20質量%以下含まれることが好ましい。
【0072】
また、活性エネルギー線硬化性組成物は、光増感剤を併用することで硬化性を一層向上させることができる。前記光増感剤は、脂肪族アミン等のアミン化合物、o-トリルチオ尿素等の尿素類、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s-ベンジルイソチウロニウム-p-トルエンスルホネート等の硫黄化合物等が挙げられる。
硬化性が向上する点から、前記光増感剤の使用量は、前記活性エネルギー線硬化性組成物の重合体成分100質量部に対し、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
【0073】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、顔料及び染料のうちの一種以上を含んでもよい。
【0074】
本発明のインキ組成物は、前記活性エネルギー線硬化性組成物と、顔料及び染料のうちの一種以上を含んでもよい。
【0075】
顔料としては、公知の着色用有機顔料を挙げることができ、「有機顔料ハンドブック(著者:橋本勲、発行所:カラーオフィス、2006年初版)」に掲載される印刷インキ用有機顔料等が挙げられ、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、金属フタロシアニン顔料、無金属フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン顔料、金属錯体顔料、ジケトピロロピロール顔料、カーボンブラック顔料、その他多環式顔料等が使用可能である。
また、体質顔料として無機粒子を用いてもよい。無機粒子としては、酸化チタン、クラファイト、亜鉛華等の無機着色顔料;炭酸石灰粉、沈降性炭酸カルシウム、石膏、クレー(ChinaClay)、シリカ粉、珪藻土、タルク、カオリン、アルミナホワイト、硫酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、バライト粉、砥の粉等の無機体質顔料;等の無機顔料や、シリコーン、ガラスビーズ等があげられる。これら無機粒子は、インキ中に0.1質量部以上20質量部以下の範囲で使用することにより、インキの流動性調整、ミスチング抑制、紙等の印刷基材への浸透防止といった効果を得ることができる。
【0076】
染料としては、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料等が挙げられる。
アゾ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドオレンジ7、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドブルー29、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトレッド83、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトグリーン28、C.I.ダイレクトグリーン59、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブレッド17、C.I.リアクティブレッド120、C.I.リアクティブブラック5、C.I.ディスパースオレンジ5、C.I.ディスパースレッド58、C.I.ディスパースブルー165、C.I.ベーシックブルー41、C.I.ベーシックレッド18、C.I.モルダントレッド7、C.I.モルダントイエロー5、C.I.モルダントブラック7が挙げられる。
【0077】
アントラキノン系染料としては、例えば、C.I.バットブルー4、C.I.アシッドブルー40、C.I.アシッドグリーン25、C.I.リアクティブブルー19、C.I.リアクティブブルー49、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースブルー56、C.I.ディスパースブルー60が挙げられる。
その他、フタロシアニン系染料として、例えば、C.I.パッドブルー5等が、キノンイミン系染料として、例えば、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー9等が、キノリン系染料として、例えば、C.I.ソルベントイエロー33、C.I.アシッドイエロー3、C.I.ディスパースイエロー64等が、ニトロ系染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー1、C.I.アシッドオレンジ3、C.I.ディスパースイエロー42が挙げられる。
【0078】
また本発明の(メタ)アクリル系共重合体を用いた活性エネルギー線硬化性組成物は、有機フィラー、無機フィラー、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、顔料分散剤、ワックス等の添加剤を含んでいてもよい。
【0079】
更に本発明の(メタ)アクリル系共重合体を用いた活性エネルギー線硬化性組成物は溶剤を含んでいても良く、硬化性の点から、前記活性エネルギー線硬化性組成物100質量部に対する溶剤の含有量は、0質量部以上5質量部以下が好ましい。
【0080】
活性エネルギー線硬化性組成物は、通常使用される公知の攪拌機で各成分を混合撹拌することで製造できる。
【0081】
印刷インクに用いる単量体への重合体の溶解性及び組成物の垂れ性を向上させ、環境負荷を低減できる点から、本発明の硬化物は、前記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物であることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線を照射することで硬化物とすることができる。前記活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線等が挙げられる。中でも硬化性の点から、紫外線が好ましい。
【0082】
活性エネルギー線の照射は公知の方法で行えばよく、殺菌灯、紫外線用蛍光灯、UV-LED、カーボンアーク、キセノンランプ、複写用高圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、自然光等を光源とする紫外線、走査型電子線加速器、カーテン型電子線加速器等による照射が挙げられる。
【0083】
本発明の(メタ)アクリル系共重合体を用いた活性エネルギー線硬化性組成物と、顔料及び染料のうちの一種以上を含むインキは、紙、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の各種食品包装用資材に用いられるフィルム、アルミニウムフォイル、合成紙、その他従来から印刷基材として使用されている各種基材に印刷できる。
【0084】
印刷インクに用いる単量体への重合体の溶解性及び組成物の垂れ性を向上させ、環境負荷を低減できる点から、本発明の印刷物は、前記インキ組成物の印刷物であることが好ましい。
印刷物は、平版オフセット印刷、凸版印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等の公知の方法で得られる。
【実施例0085】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の記載において「部」は質量部を意味する。実施例及び比較例における各(メタ)アクリル系共重合体は表1~3に示す原料組成比で合成した。実施例及び比較例で用いた分散剤、連鎖移動剤及びマクロモノマーは後述の方法で製造した。
実施例及び比較例における各物性の測定及び評価は以下の方法で行った。
【0086】
<重量平均分子量>
装置:東ソー社製 高速GPC装置 HLC-8320GPC型
UV検出器:東ソー社製 UV-8320型
流速:0.35mL/min
注入口温度:40℃
オーブン温度:40℃
RI温度:40℃
UV波長:254nm
サンプル注入量:10μL
カラム:(1)~(3)の順に3本連結。
(1)東ソー社製 TSKgel superHZM-M
(4.6mmID×15cmL)
(2)東ソー社製 TSKgel superHZM-M
(4.6mmID×15cmL)
(3)東ソー社製 TSKgel HZ2000
(4.6mmID×15cmL)
ガードカラム:東ソー社製 TSKguardcolumn SuperHZ-L
(4.6mmID×3.5cmL)
溶媒:THF(安定剤BHT)
サンプル濃度:重合体分0.2wt%に調整
【0087】
<溶解性-a>
各例で得た共重合体20部、ラジカル重合性単量体として6官能のジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA 東洋ケミカルズ株式会社製「Miramer M600」)80部をサンプル瓶に仕込み、室温で撹拌機にて撹拌した後、85℃で10時間撹拌した。室温に冷却した後、溶解性を目視にて確認し、以下評価基準で評価した。
(評価基準)
A:共重合体の粒子の溶け残りはなかった。
B:共重合体の粒子の沈殿はないが、サンプル瓶の壁面に少し溶け残り分が確認された。
C:共重合体の粒子の沈殿があって、明らかな溶け残りが確認された。
【0088】
<溶解性-b>
各例で得た共重合体25部、ラジカル重合性単量体として4官能のジトリメチロールプロパントリアクリレート(DTMPTA 東洋ケミカルズ株式会社製「Miramer M410」)75部をサンプル瓶に仕込み、室温で撹拌機にて撹拌した後、85℃で10時間撹拌した。室温に冷却した後、溶解性を目視にて確認し、以下評価基準で評価した。
(評価基準)
A:共重合体の粒子の溶け残りはなかった。
B:共重合体の粒子の沈殿はないが、サンプル瓶の壁面に少し溶け残り分が確認された。
C:共重合体の粒子の沈殿があって、明らかな溶け残りが確認された。
【0089】
<垂れ性>
溶解性-b試験で得た溶解液を25℃の恒温槽に2時間静置した。この溶解液をガラス板に0.5g滴下した後、ガラス板を垂直に立て、120秒間での液滴が垂れた距離を測定し、以下評価基準で評価した。
(評価基準)
A:液滴の垂れた距離が4.2cm以上である。
B:液滴の垂れた距離が2.7cm以上4.2cm未満である。
C:液滴の垂れた距離が2.7cm未満である。
【0090】
<バイオベース度>
バイオベース度はISO16620-2で定義された記載に基づき、バイオマス由来の(メタ)アクリレートを原料として用いて製造される前記(メタ)アクリル系共重合体の単量体由来の全炭素数に対するバイオマス由来の(メタ)アクリレート由来の炭素数の重量百分率(単位:%)からバイオベース度を算出した。
(評価基準)
A:バイオベース度が17.5%以上。
B:バイオベース度が5%以上17.5%未満。
C:バイオベース度が5%未満。
【0091】
<分散剤(1)の合成>
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水900部、メタクリル酸2-スルホエチルナトリウム60部、メタクリル酸カリウム10部、メタクリル酸メチル12部を加えて撹拌し、重合装置内を窒素置換しながら、重合温度50℃に昇温し、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩0.08部を添加し、更に重合温度60℃に昇温した。前記重合開始剤の添加と同時に、滴下ポンプを使用して、MMAを0.24部/分の速度で75分間連続的に滴下することで合計18部を加えた。重合温度60℃で6時間保持した後、室温に冷却して分散剤(1)を得た。この分散剤(1)の固形分は10%であった。
【0092】
<連鎖移動剤(1)の合成>
撹拌機を備えた反応容器に、窒素雰囲気下で、酢酸コバルト(II)四水和物(和光純薬(株)製、和光特級)2.00g(8.03mmol)及びジフェニルグリオキシム(東京化成(株)製、EPグレード)3.86g(16.1mmol)及び予め窒素バブリングにより脱酸素したジエチルエーテル100mLを入れ、室温で2時間撹拌した。
【0093】
次いで、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(東京化成(株)製、EPグレード)20mLを加え、更に6時間撹拌した。反応物をろ過し、固体をジエチルエーテルで洗浄し、100kPa以下で、20℃において12時間乾燥し、連鎖移動剤(1)5.02g(7.93mmol、収率99%)を得た。
【0094】
<マクロモノマー(1)MM1~(3)MM3の合成>
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水145部、硫酸ナトリウム0.10部及び分散剤(1)0.25部を入れて撹拌して、均一な水溶液とした。次に、メタクリル酸メチル100部、連鎖移動剤(1)0.0022部及び重合開始剤として1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日油(株)製、商品名:パーオクタO)0.40部を加え、分散液とした。この後、重合装置内を十分に窒素置換し、分散液を80℃に昇温してから1時間保持し、更に91℃に昇温して1時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却して、マクロモノマーを含む懸濁液を得た。この懸濁液を濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄、脱水し、40℃で16時間乾燥して、マクロモノマー(1)(MM1)を得た。MM1の重量平均分子量(Mw)は7800、分子量分布(Mw/Mn)は1.65であった。
MM1と同様にして、メタクリル酸メチル50部、メタクリル酸イソボルニル50部を用いてマクロモノマー(2)(MM2)を得た。MM2の重量平均分子量(Mw)は5400、分子量分布(Mw/Mn)は1.73であった。
また、(メタ)アクリル酸エチル100部を用いてマクロモノマー(3)(MM3)を得た。MM3の重量平均分子量(Mw)は5500、分子量分布(Mw/Mn)は2.24であった。
【0095】
マクロモノマーの分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製 HLC-8320)を用いて測定した。(メタ)アクリル系共重合体の濃度が0.2質量%のテトラヒドロフラン溶液を調整後、TOSO社製カラム(TSKgel SuperHZM-M×HZM-M×HZ2000、TSKguardcolumnSuperHZ-L)が装着された装置に前記の溶液10μLを注入し、流量:0.35mL/分、溶離液:テトラヒドロフラン(安定剤BHT)、カラム温度:40℃の条件で測定し、標準ポリスチレン換算の検量線を用いて、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を算出した。
【0096】
[実施例1]
脱イオン水145部、硫酸ナトリウム0.30部及び分散剤(1)3.3部を混合して分散媒を得た。
【0097】
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた重合装置中に、マクロモノマー(1)48質量部、アクリル酸メチル8.5部、アクリル酸テトラヒドロフルフリル21部、アクリル酸イソボルニル21部を仕込み、室温で撹拌することによりモノマー混合液を得た。
前記モノマー混合液に連鎖移動剤としてtert-ドデカンチオール1.9部、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)1.0部及び、重合開始剤として、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート0.8部を加えて溶解させた。
次いで、前記分散媒をモノマー混合液に加えた後、窒素バブリングにより重合装置内の雰囲気を窒素置換しながら、撹拌し懸濁液を得た。
前記懸濁液を75℃に昇温し、重合発熱ピークが出るまで75℃に保持した。重合発熱ピークが出た後、懸濁液が75℃になったところで、懸濁液を95℃に昇温し、2.5時間保持して重合を完結させた。
その後、反応液を40℃以下に冷却して懸濁液を得た。この懸濁液を濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄、脱水し、35℃で24時間乾燥して、(メタ)アクリル系共重合体を得た。
得られた(メタ)アクリル共重合体の粒子について、分子量測定、ラジカル重合性単量体への溶解性、垂れ性及びバイオベース度の評価を行った。
結果を表1に示す。
【0098】
[実施例2~23、比較例1~2]
表1~5に示す原料組成比とした以外は、実施例1と同様にして(メタ)アクリル系共重合体の粒子を製造し、各種測定及び評価を行った。
結果を表1~5に示す。
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【表5】
(*)比較例2の(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量は、重量平均分子量測定時に用いる溶離液であるテトラヒドロフランに溶解したろ過液を測定した値を意味する。
【0104】
表1~5で使用した各略号は以下のとおりである。
・IBXA:アクリル酸イソボルニル(バイオマス由来)
・DCPMA:(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル(石油由来)
・THFA:アクリル酸テトラヒドロフルフリル(バイオマス由来)
・CTFA:環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート(石油由来)
・St:スチレン(石油由来)
・MMA:(メタ)アクリル酸メチル(石油由来)
・MA:アクリル酸メチル(石油由来)
・EHA:アクリル酸2-エチルヘキシル(石油由来)
・MAA:メタクリル酸(石油由来)
・DEAEMA:(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル
・TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート(石油由来)
・tDM:t-ドデシルメルカプタン(石油由来)
・nDM:n-ドデシルメルカプタン(石油由来)
・OTG:チオグリコール酸 2-エチルヘキシル(石油由来)
・PEMP:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(石油由来)
・DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(石油由来)
・DTMPTA:ジトリメチロールプロパントリアクリレート(石油由来)
また、表1~3における「重合体の25wt%DTMPTA溶液の粘度(25℃)」は、共重合体をDTMPTAに濃度が25wt%となる様に溶解した重合体溶液についてB型粘度計により25℃で測定した粘度を意味する。
【0105】
表1~5から明らかなように、実施例1~23は6官能及び4官能のラジカル重合性単量体への溶解性、垂れ性、バイオベース度が良好であった。
【0106】
一方、比較例1は、脂環式骨格を有する(メタ)アクリレート及びエーテル骨格を有する(メタ)アクリレートのうちの一種以上の単量体由来の構成単位を有さない共重合体を使用したため、6官能のラジカル重合性単量体(DPHA)への溶解性が悪く、バイオベース度も低かった。
また、比較例2は、ジトリメチロールプロパントリアクリレートに重合体の濃度が25wt%となる様に溶解した重合体溶液の25℃における粘度が大きすぎる共重合体を使用したため、6官能のラジカル重合性単量体(DPHA)への溶解性が悪く、垂れ性も劣っていた。