(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124837
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】搬送装置、搬送方法、および取付方法
(51)【国際特許分類】
B65G 17/20 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
B65G17/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032779
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】倉持 吉治
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 早人
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 真
【テーマコード(参考)】
3F034
【Fターム(参考)】
3F034HA05
3F034HD04
3F034HE04
(57)【要約】
【課題】トロリーの吊り棚を自動で搬送することのできる搬送装置および搬送方法を提供する。
【解決手段】
搬送装置1は、懸架タイプのトロリー90の吊り棚91を搬送するための無端環状のチェーン10と、チェーン10に対して外方の位置に取り付けられ、チェーンが駆動される際に、トロリーを搬送方向に押すバー50と、を有する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
懸架タイプのトロリーの吊り棚を搬送するための、無端環状のチェーンと、
前記チェーンに対して外方の位置に取り付けられ、前記チェーンが駆動される際に、前記吊り棚を搬送方向に押すバーと、を有する搬送装置。
【請求項2】
前記バーは、前記トロリーの台座を押す、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記チェーンは、前記搬送方向から視て、左右に互い違いに設けられ、
前記吊り棚は、一の前記チェーンに取り付けられた一の前記バーによって搬送された後、他の前記チェーンに取り付けられた他の前記バーによって搬送される、請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記チェーンを駆動させる1つのモータと、
前記チェーンと噛み合って回転する1つの従動スプロケットと、
前記従動スプロケットが前記モータから離間する方向に、前記従動スプロケットを付勢する付勢部材と、を有する、請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記バーは、
前記吊り棚を搬入するための第1バーと、
前記吊り棚を搬出するための第2バーと、を有する、請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項6】
懸架タイプのトロリーの吊り棚を搬送するための無端環状のチェーンに対して、外方の位置に取り付けられるバーによって、前記チェーンが駆動される際に、前記トロリーを搬送方向に押す、搬送方法。
【請求項7】
懸架タイプのトロリーの吊り棚を搬送するための搬送装置を、前記トロリーが吊るされるレールに取り付ける取付方法であって、前記搬送装置は、無端環状のチェーンと、前記チェーンに対して外方の位置に取り付けられ、前記チェーンが駆動される際に、前記吊り棚を搬送方向に押すバーとを備え、
前記搬送装置を取り付けた第1板材を、第2板材を介して前記レールに取り付ける取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置、搬送方法、および取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばカップ麺に混入されているエビ等の乾燥食品は、フリーズドライ処理によって製造される。
【0003】
このような乾燥食品は、まず処理前の食品が配置されたトレーを、天井レール吊り式の製品搬送台車(以下、トロリーと称する)の吊り棚に配置し、吊り棚を予備凍結庫に搬入して食品を予備凍結し、真空凍結乾燥機に搬入してフリーズドライ処理が行われることによって製造される。
【0004】
従来から、食品が配置された吊り棚は、非特許文献1に示すように、人力で押し引きされることによって、予備凍結庫や真空凍結乾燥機に入出庫している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献1】日本醸造協会誌、112巻2号、P.108-P.114、2017年2月発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的にトロリーには車輪が付属しているため、走行抵抗はそれほど大きくはない。しかしながら、例えば予備凍結庫の扉を開放していると庫内温度が上昇するため、迅速に入出庫する必要がある。また、庫内の床面は凍結しているので、転倒のおそれがある。さらに、人員の削減も求められている。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために発明されたものであり、トロリーの吊り棚を自動で搬送することのできる搬送装置および搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明に係る搬送装置は、懸架タイプのトロリーの吊り棚を搬送するための無端環状のチェーンと、前記チェーンに対して外方の位置に取り付けられ、前記チェーンが駆動される際に、前記吊り棚を搬送方向に押すバーと、を有する。
【0009】
また、上記目的を達成する本発明に係る搬送方法は、懸架タイプのトロリーの吊り棚を搬送するための無端環状のチェーンに対して、外方の位置に取り付けられるバーによって、前記チェーンが駆動される際に、前記トロリーを搬送方向に押す。
【発明の効果】
【0010】
上述の搬送装置および搬送方法によれば、チェーンが駆動される際に、バーがトロリーを搬送方向に押すため、トロリーの吊り棚を自動で搬送することができる。このため、転倒を防止できるとともに、人員を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】本発明の実施形態に係る搬送装置を示す概略図である。
【
図4A】チェーン、スプロケット、およびモータが、レールに固定される様子を示す平面図である。
【
図4B】チェーン、スプロケット、およびモータが、レールに固定される様子を示す側面図である。
【
図5】搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図6】
図5に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図7】
図6に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図8】
図7に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図9】
図8に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図10】
図9に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図11】
図10に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図12】
図11に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図13】
図12に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図14】
図13に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図15】
図14に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図16】
図15に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図17】
図16に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図18】
図17に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図19】
図18に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図20】
図19に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図21】
図20に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図22】
図21に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図23】
図22に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図24】
図23に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図25】
図24に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図26】
図25に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図27】
図26に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図28】
図27に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図29】
図28に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図30】
図29に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図31】
図30に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図32】
図31に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図33】
図32に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図34】
図33に続いて、搬送装置の搬入方法を説明するための図である。
【
図35】搬送装置の搬出方法を説明するための図である。
【
図36】
図35に続いて、搬送装置の搬出方法を説明するための図である。
【
図37】
図36に続いて、搬送装置の搬出方法を説明するための図である。
【
図38】
図37に続いて、搬送装置の搬出方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を、
図1~
図4Bを参照しつつ説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0013】
図1Aは、本発明の実施形態に係る搬送装置1を示す概略図である。
図1Bは、
図1AのA部を示す詳細図である。
図2は、トロリー90を示す正面図である。
図3Aは、トロリー90を示す側面図である。
図3Bは、
図3AのA部を示す拡大図である。
図4Aは、チェーン10、駆動スプロケット30、従動スプロケット31、およびモータ20が、レールRに固定される様子を示す平面図である。
図4Bは、チェーン10、駆動スプロケット30、従動スプロケット31、およびモータ20が、レールRに固定される様子を示す側面図である。
図1Aにおいて、下側に配置される図面は正面図を示し、中央に配置される図面は平面図を示し、上側に配置される図面は背面図を示す。なお、本明細書において正面図とは、水平方向を搬送方向、上下方向を鉛直方向としたときの図である。
【0014】
本実施形態に係る搬送装置1は、トロリー90の吊り棚91を、予備凍結庫に搬入または予備凍結庫から搬出するための装置である。このとき、トロリー90の吊り棚91には、フリーズドライ処理する食品が配置される。フリーズドライ処理する食品としては、例えば、カップ麺に混入されるエビ等を挙げることができるが、これに限定されない。以下の説明において、搬送装置1がトロリー90の吊り棚91を搬送する方向をX方向と称し、正面から視たときに奥行方向をY方向と称し、鉛直方向をZ方向と称する。
【0015】
<搬送装置1>
まず、
図1A、
図1Bを参照して、本実施形態に係る搬送装置1の構成について説明する。搬送装置1は、予備凍結庫内に配置される。搬送装置1は、
図1A、
図1Bに示すように、3つのチェーン10と、3つのチェーンそれぞれに1つのチェーン10を駆動させる1つのモータ20と、モータ20側に設けられる駆動スプロケット30と、モータ20の反対側に設けられる従動スプロケット31と、従動スプロケット31をX方向のプラス側に付勢する付勢部材40と、3つのチェーン10のそれぞれに取り付けられたバー50と、を有する。
【0016】
チェーン10は、
図1A、
図1Bに示すように、無端環状となるように構成されている。チェーン10は、X方向に沿って3つ設けられる。3つのチェーン10は、
図1Aに示すように、搬送方向から視たときに、互い違いとなるように配置される。換言すれば、3つのチェーン10のうち、X方向の最もマイナス側に位置する第1チェーン11およびX方向の最もプラス側に位置する第3チェーン13は、X方向のプラス側から視たときに右側に設けられ、X方向の中央に位置する第2チェーン12は、X方向のプラス側から視たときに左側に設けられる。この構成によれば、トロリー90の吊り棚91は、第1チェーン11で搬送された後、第2チェーン12で搬送され、さらにその後、第3チェーン13で連続的に搬送される。
【0017】
本実施形態において、第2チェーン12および第3チェーン13の長さは略同一となるように構成されており、第1チェーン11は、第2チェーン12および第3チェーン13の長さよりも短くなるように構成されている。第2チェーン12および第3チェーン13はトロリー90を2台分収容できる長さになっている。
【0018】
チェーン10は、公知のチェーンを用いることができる。トロリー90の吊り棚91を予備凍結庫に搬入する際、チェーン10は正面視で時計回りに回転する。また、トロリー90の吊り棚91を予備凍結庫から搬出する際、チェーン10は正面視で反時計回りに回転する。
【0019】
モータ20は、チェーン10を駆動するために設けられる。モータ20は公知のものを用いることができる。モータ20は、駆動の回転を正転/反転することによって、チェーンを時計回り/反時計回りに回転させることができる。
図1Bにおいて矢印で示す方向が正転である。
【0020】
駆動スプロケット30はモータ20の軸に取り付けられ、従動スプロケット31は、チェーン10と噛み合うように配置される。従動スプロケット31は、チェーン10の回転に伴って、回転する。
【0021】
付勢部材40は、
図1Bに示すように、X方向のプラス側に向けて、従動スプロケット31を付勢する。換言すれば、付勢部材40は、従動スプロケット31がモータ20から離間する方向に、従動スプロケット31を付勢する。付勢部材40としては、例えばバネを用いることができる。このように、付勢部材40がX方向のプラス側に向けて、従動スプロケット31を付勢することによって、モータ20がチェーン10を時計回りに回転させる際に生じるチェーン10のたわみを抑制することができる。さらに、付勢部材40がX方向のプラス側に向けて、従動スプロケット31を付勢することによって、経年劣化して生じるチェーン10のたわみを低減することができる。
【0022】
バー50は、
図1A、
図1Bに示すように、チェーン10に対して外方の位置に取り付けられる。バー50のチェーン10に対する固定方法は、特に限定されないが、例えばボルトおよびナットによって固定されうる。この構成によれば、バー50の破損時に容易にバー50を交換することができる。さらに例えばモータ20が破損したとしても、バー50のみを取り外すことによって、従来通り手動で搬送することができる。
【0023】
バー50は、チェーン10が駆動されることによって、チェーン10とともに時計回りまたは反時計回りとなるように移動する。バー50は、後述するトロリー90の台座92を押すことによって、トロリー90の吊り棚91を搬送方向に押すことができる。バー50を構成する材料は特に限定されないが、樹脂製であることが好ましい。ここで例えばバー50を構成する材料が金属製である場合、金属製のバー50が金属製のトロリー90の台座92を押すことによって金属粉が発生する可能性がある。これに対して、バー50を構成する材料が樹脂製である場合、金属粉の発生を低減できる。なお、バー50が金属製である場合も、本発明に含まれる。
【0024】
<トロリー90>
次に、
図2~
図4Bを参照して、トロリー90の構成について説明する。トロリー90は、予備凍結庫の天井に設けられたレールR(
図3A、
図3B参照)に吊るされて搬送する製品搬送台車である。
【0025】
トロリー90は、
図2~
図4Bに示すように、フリーズドライされる食品が配置されたトレーTが配置される吊り棚91と、吊り棚91の上方に固定される台座92と、台座92に固定される車輪93と、を有する。
【0026】
吊り棚91は、予備凍結庫に対して、宙吊りとなるように配置されている。
【0027】
吊り棚91は、
図2、
図3Aに示すように、トレーTが載置される載置部91AがZ方向に沿って複数設けられる。吊り棚91の天板91Bは、
図3A、
図3Bに示すように、ボルトBおよびナットNによって、台座92に対して固定される。なお、吊り棚91の天板91Bの台座92に対する固定方法は、ボルトBおよびナットNに限定されない。
【0028】
台座92は、
図3A、
図3Bに示すように、U字形状を備える。台座92は、
図3Bに示すように、バー50によって
図3Bの紙面の奥行方向(搬入時)または手前方向(搬出時)に押される被押出部92Aを有する。台座92の下部が、ボルトBおよびナットNによって、吊り棚91の天板91Bと固定される。また、図示は省略するが、
図3Bに示す台座92および車輪93の側面から、ボルトが挿通されてナットと固定されることで、台座92および車輪93は固定される。このとき、車輪93は軸周りに回転可能となるように軸支される。このため、バー50が台座92の被押出部92Aを押すことによって、車輪93が回転して、トロリー90全体を移動させることができる。
【0029】
台座92は、
図2に示すように、X方向のプラス側に設けられる第1台座94と、X方向のマイナス側に設けられる第2台座95と、を有する。第1台座94は、トロリー90を予備凍結庫内に搬入する際にバー50によって押され、第2台座95は、トロリー90を予備凍結庫から搬出する際にバー50によって押される。このように台座92が2つ設けられるトロリー90を1つのバー50によって搬送することによって、3つのチェーン10によってトロリー90を6台搬入搬出することができる。
【0030】
以下、
図4A、
図4Bを参照して、本実施形態に係る搬送装置1のレールRに対する取り付け方法について説明する。
【0031】
まず、
図4A、
図4Bに示すように、チェーン受け部材19およびモータ20を、第1板材80に固定する。このとき、チェーン10は、樹脂レール18を介して、チェーン受け部材19に支持されることで、第1板材80に取り付けられる。そして、駆動スプロケット30をモータ20の軸に固定し、従動スプロケット31を第1板材80に設けられた軸に固定する。なお、チェーン10の両側には、サイドローラ27が設けられる。
【0032】
図4A、
図4Bに示すように、チェーン10は、樹脂レール18aを介して、第1チェーン受け部材19aに支持される。このように樹脂レール18aが設けられることによって、金属摩耗が起こらない。また、チェーン10の両側に設けられているサイドローラ27は、樹脂レール18bを介して、第2チェーン受け部材19b、19cに支持される。このようにサイドローラ27でチェーン10を支持することで、チェーン10に取り付けられたバー50が台座92を押すのを邪魔することがない位置でチェーン10を支持することができる。さらに、チェーン10の上方には、左右のずれ防止のための樹脂レール18cが設けられる。このように、チェーン10を樹脂レール18b、18cで抑えるため、バー50が浮くことを防止できる。
【0033】
以上から、第1板材80、モータ20、駆動スプロケット30、従動スプロケット31、チェーン10が一体構造となる。なお、従動スプロケット31が付勢部材40により付勢される場合、第1板材80に固定される付勢部材40の固定軸に固定されてもよい。
【0034】
以上のように、搬送装置1が取り付けられた第1板材80に複数の第2板材81に固定した状態で準備した構造体を、第2板材81と押さえ板85でレールRを挟み込むようにボルトBによって固定する。
【0035】
この構成によれば、従来手動で搬送しているトロリー90が吊るされるレールRに対して、チェーン10、駆動スプロケット30、従動スプロケット31、およびモータ20が取り付けられる第1板材80を、第2板材81を介して、レールRに対して、ボルトBで固定することができる。すなわち、既存のレールRに対して、上記の第1板材80を後付けで取り付けることによって、容易にトロリー90の自動搬送が可能となる。さらに取り外しも容易となるため、例えば、搬送装置1の修理も容易に行うことができる。
【0036】
<搬送方法>
図5~
図38を参照して、本実施形態に係る搬送装置1の搬送方法について説明する。
図5~
図38は、
図1と同様に、下側に配置される図面は正面図を示し、中央に配置される図面は平面図を示し、上側に配置される図面は背面図を示す。
図5~
図34は、本実施形態に係る搬送装置1の、予備凍結庫への搬入方法を説明するための図である。
図35~
図38は、本実施形態に係る搬送装置1の、予備凍結庫からの搬出方法を説明するための図である。以下の説明において、搬送装置1の各種構成の動作は、制御部(不図示)によって制御される。なお、
図5~
図38において紙面の都合上、トロリー90の吊り棚91は簡略化して示す。
【0037】
まず搬入方法について説明する。搬入方法では、まず、
図5に示すように、1台目のトロリー90を予備凍結庫の入口まで搬送する。このときの搬送方法は限定されず、手動または自動で行われる。チェーン10のチェーンの回転や停止はセンサ(不図示)によって制御される。
【0038】
次に、
図6に示すように、第1チェーン11を時計回りに回転させて、第1チェーン11のバー50をトロリー90の第1台座94に当接させる。
【0039】
次に、
図7に示すように、第1チェーン11を時計回りにさらに回転させて、第1チェーン11のバー50の、トロリー90の第1台座94に対する当接が解除される位置まで、第1チェーン11のバー50によってトロリー90をX方向のプラス側に移動させる。
【0040】
次に、
図8に示すように、第2チェーン12を、正面視で時計回り(
図8で反時計回り)に回転させて、第2チェーン12のバー50をトロリー90の第1台座94に当接させる。
【0041】
次に、
図9に示すように、第2チェーン12を、正面視で時計回りにさらに回転させて、第2チェーン12のバー50の、トロリー90の第1台座94に対する当接が解除される位置まで、第2チェーン12のバー50によってトロリー90をX方向のプラス側に移動させる。このとき、第1チェーン11のバー50は、初期位置まで戻る。初期位置まで戻す際の第1チェーン11の速度は、トロリー90を搬送する際の速度よりも高速とすることができる。さらに、チェーン10のチェーンを停止するとき、バー50を台座92に当接させるとき、バー50が台座92から離間するときは、低速として、バー50がトロリー90を押している際は、中速とすることが好ましい。
【0042】
次に、
図10に示すように、第3チェーン13を時計回りに回転させて、第3チェーン13のバー50をトロリー90の第1台座94に当接させる。
【0043】
次に、
図11に示すように、第3チェーン13を時計回りにさらに回転させて、第3チェーン13のバー50の、トロリー90の第1台座94に対する当接が解除される位置まで、第3チェーン13のバー50によってトロリー90をX方向のプラス側に移動させる。このとき、第2チェーン12のバー50は、初期位置まで戻る。以上で1台目のトロリー90の搬入は終了する。
【0044】
次に、
図12に示すように、2台目のトロリー90を予備凍結庫の入口まで搬送する。
【0045】
次に、
図13に示すように、第1チェーン11を時計回りに回転させて、第1チェーン11のバー50をトロリー90の第1台座94に当接させる。このとき、第3チェーン13のバー50は、初期位置まで戻る。
【0046】
次に、
図14に示すように、第1チェーン11を時計回りにさらに回転させて、第1チェーン11のバー50の、トロリー90の第1台座94に対する当接が解除される位置まで、第1チェーン11のバー50によってトロリー90をX方向のプラス側に移動させる。
【0047】
次に、
図15に示すように、第2チェーン12を、正面視で時計回り(
図15で反時計回り)に回転させて、第2チェーン12のバー50をトロリー90の第1台座94に当接させる。
【0048】
次に、
図16に示すように、第2チェーン12を、正面視で時計回りにさらに回転させて、第2チェーン12のバー50の、トロリー90の第1台座94に対する当接が解除される位置まで、第2チェーン12のバー50によってトロリー90をX方向のプラス側に移動させる。このとき、第1チェーン11のバー50は、初期位置まで戻る。
【0049】
次に、
図17に示すように、第3チェーン13を時計回りに回転させて、第3チェーン13のバー50をトロリー90の第1台座94に当接させる。
【0050】
次に、
図18に示すように、第3チェーン13を時計回りにさらに回転させて、2台目のトロリー90が1台目のトロリー90に当接する位置まで、第3チェーン13のバー50によってトロリー90をX方向のプラス側に移動させる。この際、センサ(不図示)を用いて、所定の位置でバー50を停止させることができる。このとき、第2チェーン12のバー50は、初期位置まで戻る。以上で2台目のトロリー90の搬入は終了する。
【0051】
次に、
図19に示すように、3台目のトロリー90を予備凍結庫の入口まで搬送する。このとき、第3チェーン13のバー50は、
図19に示すように、2台目のトロリー90の第2台座95に当接する位置まで、X方向のマイナス側に移動する。
【0052】
次に、
図20に示すように、第1チェーン11を時計回りに回転させて、第1チェーン11のバー50をトロリー90の第1台座94に当接させる。
【0053】
次に、
図21に示すように、第1チェーン11を時計回りにさらに回転させて、第1チェーン11のバー50の、トロリー90の第1台座94に対する当接が解除される位置まで、第1チェーン11のバー50によってトロリー90をX方向のプラス側に移動させる。
【0054】
次に、
図22に示すように、第2チェーン12を、正面視で時計回り(
図22で反時計回り)に回転させて、第2チェーン12のバー50をトロリー90の第1台座94に当接させる。
【0055】
次に、
図23に示すように、第2チェーン12を、正面視で時計回りにさらに回転させて、第2チェーン12のバー50の、トロリー90の第1台座94に対する当接が解除される位置まで、第2チェーン12のバー50によってトロリー90をX方向のプラス側に移動させる。このとき、第1チェーン11のバー50は、初期位置まで戻る。この結果、3台目のトロリー90は、2台目のトロリー90と当接する位置まで搬送される。以上で3台目のトロリー90の搬入は終了する。
【0056】
次に、
図24に示すように、4台目のトロリー90を予備凍結庫の入口まで搬送する。
【0057】
次に、
図25に示すように、第1チェーン11を時計回りに回転させて、第1チェーン11のバー50をトロリー90の第1台座94に当接させる。このとき、第2チェーン12のバー50は、初期位置まで戻る。
【0058】
次に、
図26に示すように、第1チェーン11を時計回りにさらに回転させて、第1チェーン11のバー50の、トロリー90の第1台座94に対する当接が解除される位置まで、第1チェーン11のバー50によってトロリー90をX方向のプラス側に移動させる。
【0059】
次に、
図27に示すように、第2チェーン12を、正面視で時計回り(
図27で反時計回り)に回転させて、第2チェーン12のバー50をトロリー90の第1台座94に当接させる。
【0060】
次に、
図28に示すように、第2チェーン12を、正面視で時計回りにさらに回転させて、4台目のトロリー90が3台目のトロリー90に当接する位置まで、第2チェーン12のバー50によってトロリー90をX方向のプラス側に移動させる。このとき、第1チェーン11のバー50は、初期位置まで戻る。以上で4台目のトロリー90の搬入は終了する。
【0061】
次に、
図29に示すように、5台目のトロリー90を予備凍結庫の入口まで搬送する。このとき、第2チェーン12のバー50は、
図29に示すように、4台目のトロリー90の第2台座95に当接する位置まで、X方向のマイナス側に移動する。
【0062】
次に、
図30に示すように、第1チェーン11を時計回りに回転させて、第1チェーン11のバー50をトロリー90の第1台座94に当接させる。
【0063】
次に、
図31に示すように、第1チェーン11を時計回りにさらに回転させて、第1チェーン11のバー50の、トロリー90の第1台座94に対する当接が解除される位置まで、第1チェーン11のバー50によってトロリー90をX方向のプラス側に移動させる。この結果、5台目のトロリー90は、4台目のトロリー90と当接する位置まで搬送される。以上で5台目のトロリー90の搬入は終了する。
【0064】
次に、
図32に示すように、6台目のトロリー90を予備凍結庫の入口まで搬送する。
【0065】
次に、
図33に示すように、第1チェーン11を時計回りに回転させて、第1チェーン11のバー50をトロリー90の第1台座94に当接させる。
【0066】
次に、
図34に示すように、第1チェーン11を時計回りにさらに回転させて、6台目のトロリー90が5台目のトロリー90に当接する位置まで、第1チェーン11のバー50によってトロリー90をX方向のプラス側に移動させる。以上で6台目のトロリー90の搬入は終了して、搬入工程は終了する。
【0067】
次に、所定の時間、予備凍結庫Cにおいて、予備凍結が行われる。
【0068】
予備凍結が行われた後、トロリー90の搬出が行われる。以下、搬出方法について説明する。
【0069】
まず、
図35に示すように、第1チェーン11のバー50を、6台目のトロリー90の第2台座95に当接する位置まで、X方向のマイナス側に移動する。
【0070】
次に、
図36に示すように、第1チェーン11を反時計回りに回転させて、第1チェーン11のバー50の、トロリー90の第2台座95に対する当接が解除される位置まで、第1チェーン11のバー50によってトロリー90をX方向のマイナス側に移動させる。以上で6台目のトロリー90の搬出は終了する。
【0071】
次に、
図37に示すように、第1チェーン11を反時計回りに回転させて、第1チェーン11のバー50を5台目のトロリー90の第2台座95に当接させる。
【0072】
次に、
図38に示すように、第1チェーン11を反時計回りに回転させて、第1チェーン11のバー50の、5台目のトロリー90の第2台座95に対する当接が解除される位置まで、第1チェーン11のバー50によってトロリー90をX方向のマイナス側に移動させる。以上で5台目のトロリー90の搬出は終了する。
【0073】
以降、第2チェーン12を正面視で反時計回りに回転させて、4台目のトロリー90を第1チェーン11まで搬送させた後、第1チェーン11を反時計回りに回転させて、搬出する。さらに、第2チェーン12を正面視で反時計回りに回転させて、3台目のトロリー90を第1チェーン11まで搬送させた後、第1チェーン11を反時計回りに回転させて、搬出する。
【0074】
さらに、第3チェーン13を反時計回りに回転させて、2台目のトロリー90を第2チェーン12まで搬送させた後、第2チェーン12を正面視で反時計回りに回転させて、2台目のトロリー90を第1チェーン11まで搬送させた後、第1チェーン11を反時計回りに回転させて、搬出する。さらに、第3チェーン13を反時計回りに回転させて、1台目のトロリー90を第2チェーン12まで搬送させた後、第2チェーン12を正面視で反時計回りに回転させて、1台目のトロリー90を第1チェーン11まで搬送させた後、第1チェーン11を反時計回りに回転させて、搬出する。以上で、搬出工程が終了する。
【0075】
以上説明したように、本実施形態に係る搬送装置1は、懸架タイプのトロリー90の吊り棚91を搬送するための、無端環状のチェーン10と、チェーン10に対して外方の位置に取り付けられ、チェーン10が駆動される際に、吊り棚91を搬送方向に押すバー50と、を有する。このように構成された搬送装置1によれば、チェーン10が駆動される際に、バー50がトロリー90を搬送方向に押すため、トロリー90の吊り棚91を自動で搬送することができる。したがって、トロリー90を迅速に入出庫することができるとともに、手動で搬送する必要がなくなり床面の凍結によって転倒することを防止できる。
【0076】
また、バー50は、トロリー90の台座92を押す。このように構成された搬送装置1によれば、好適にトロリー90を自動で搬送することができる。また、3つのチェーン10のそれぞれのチェーンの速度を変化させることができる。
【0077】
また、チェーン10は、搬送方向から視て、左右に互い違いに設けられ、吊り棚91は、第1チェーン11に取り付けられたバー50によって搬送された後、第2チェーン12に取り付けられたバー50によって搬送される。このように2つ以上のチェーン10を左右に互い違いに構成された搬送装置1によれば、複数のトロリー90を順次、搬入または搬出することができる。
【0078】
また、搬送装置1は、チェーン10を駆動させる1つのモータ20と、チェーン10と噛み合って回転する1つの従動スプロケット31と、従動スプロケット31がモータ20から離間する方向に、従動スプロケット31を付勢する付勢部材40と、を有する。このように構成された搬送装置1によれば、モータ20がチェーン10を時計回りに回転させる際に生じるチェーン10のたわみを抑制することができる。さらに、付勢部材40がX方向のプラス側に向けて、従動スプロケット31を付勢することによって、経年劣化して生じるチェーン10のたわみを低減することができる。
【0079】
また、以上説明したように本実施形態に係る搬送方法は、懸架タイプのトロリー90の吊り棚91を搬送するための無端環状のチェーン10に対して、外方の位置に取り付けられるバー50によって、チェーン10が駆動される際に、トロリー90を搬送方向に押す。この搬送方法によれば、チェーン10が駆動される際に、バー50がトロリー90を搬送方向に押すため、トロリー90の吊り棚91を自動で搬送することができる。
【0080】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変することができる。
【0081】
例えば、上述した実施形態では、搬送装置1は、予備凍結庫Cに用いられたが、真空凍結乾燥機に用いられてもよい。さらに、搬送装置1は、装置間の搬送に用いられてもよい。
【0082】
また、上述した実施形態では、バー50はトロリー90の台座92を押すことによって、トロリー90を搬送した。しかしながら、バー50はトロリー90の任意の箇所を押すことによって、トロリー90を搬送してもよい。
【0083】
また、上述した実施形態では、チェーン10は、第1チェーン11、第2チェーン12、および第3チェーン13の3つのチェーンを有した。しかしながら、チェーンは、1つ、2つ、または4つ以上から構成されてもよい。
【0084】
また、上述した実施形態では、1つのモータ20を有していたが、2つのモータ20を有して、チェーン10を引っ張るようにモータ20を駆動させてもよい。
【0085】
また、上述した実施形態では、1つのチェーン10に対して1つのバー50が設けられていた。しかしながら、1つのチェーン10に2つのバー(第1バー、第2バー)50が設けられてもよい。このとき2つのバー50のうち一のバー50は、搬入用に用いられ、他のバー50は、搬出用に用いられる。
【0086】
また、上述した実施形態では、予備凍結庫Cは片側の同一か所から搬入・搬出が行われたが、搬送方向が一方通行となるように、一方に入口が設けられ、他方に出口が設けられる構成であってもよい。
【0087】
また、上述した実施形態では、チェーン10の両側にサイドローラが配置されたが、サイドローラが設けられなくてもよい。
【0088】
また、上述した実施形態では、センサによって、チェーン10の回転や停止を制御したが、サーボモータを用いてもよい。
【0089】
また、上述した実施形態では、搬送装置1を取り付けられた第1板材80に複数の第2板材81を固定して準備した構造体をレールに取り付けたが、第2板材81をレールに固定して搬送装置1を取り付けられた第1板材80を固定する方法でもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 搬送装置、
10 チェーン、
11 第1チェーン、
12 第2チェーン、
13 第3チェーン、
20 モータ、
30 駆動スプロケット、
31 従動スプロケット
40 付勢部材、
50 バー、
90 トロリー、
91 吊り棚、
92 台座、
94 第1台座、
95 第2台座、
C 予備凍結庫。