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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124864
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】水供給システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/42 20230101AFI20240906BHJP
   B24B 55/03 20060101ALI20240906BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20240906BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20240906BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
C02F1/42 A
B24B55/03
B24B49/10
B23Q11/10 E
H01L21/78 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032815
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】ダン ヴァン トアン
【テーマコード(参考)】
3C011
3C034
3C047
4D025
5F063
【Fターム(参考)】
3C011EE02
3C011EE09
3C034AA07
3C034AA13
3C034AA19
3C034CA30
3C034DD10
3C034DD20
3C047FF03
3C047FF06
3C047GG13
3C047GG15
3C047GG17
4D025AA04
4D025AB02
4D025BA08
4D025BA13
4D025BB04
4D025BB09
4D025BB19
4D025CA04
4D025CA06
4D025CA10
4D025DA03
4D025DA04
4D025DA05
5F063AA15
5F063FF28
5F063FF35
(57)【要約】
【課題】純度の高い水を製造する装置からの距離に関わらず、所定のレベルよりも高い純度の水を加工装置に供給することができる水供給システムを提供する。
【解決手段】本発明の一側面に係る水供給システムは、加工装置で使用される水を供給する水供給システムであって、該水が接触する第1イオン交換樹脂を含む第1イオン交換樹脂塔と、該第1イオン交換樹脂と接触した該水の比抵抗値を測定する第1比抵抗計と、を有する水製造装置と、該水製造装置から供給される該水が接触する第2イオン交換樹脂を含む第2イオン交換樹脂塔と、該第2イオン交換樹脂と接触した該水の比抵抗値を測定する第2比抵抗計と、を有する水調整装置と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工装置で使用される水を供給する水供給システムであって、
該水が接触する第1イオン交換樹脂を含む第1イオン交換樹脂塔と、該第1イオン交換樹脂と接触した該水の比抵抗値を測定する第1比抵抗計と、を有する水製造装置と、
該水製造装置から供給される該水が接触する第2イオン交換樹脂を含む第2イオン交換樹脂塔と、該第2イオン交換樹脂と接触した該水の比抵抗値を測定する第2比抵抗計と、を有する水調整装置と、を備える、水供給システム。
【請求項2】
該水製造装置は、該加工装置が設置されるクリーンルームの外部に配置され、該水調整装置は、該クリーンルームの内部に配置される、請求項1に記載の水供給システム。
【請求項3】
該水調整装置は、該加工装置の筐体の内部に設置される、請求項1又は請求項2に記載の水供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造に使用される研削装置、切削装置等の加工装置において、被加工物を洗浄したり、加工ツールを冷却したりするために、純度の高い水が使用される。このような高純度の水は、一般に、加工装置の外部に設置される装置により、純度の低い水の中に含まれる不純物を所定のレベルまで除去することにより製造される。
【0003】
高純度の水を製造する装置として、例えば特許文献1には、切削装置に隣接して配置され、この切削装置に純水を供給することができる純水精製装置が記載されている。また、特許文献2には、ウェーハ等の被洗浄物の洗浄に使用された後の水を浄化して純水を生成する浄化ユニットを備えた洗浄装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-96254号公報
【特許文献2】特開2022-186379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
加工装置の設置環境によっては、種々の制約から、高純度な水を製造する装置を加工装置の付近に設置できない場合がある。例えば、加工装置が設置されるクリーンルームの外に高純度な水を製造する装置を設置し、この水を製造する装置から配管等を介して加工装置に水を供給することがある。
【0006】
しかしながら、この場合には、水を製造する装置から加工装置まで水を運ぶための配管が長くなるので、配管内を流れる水に不純物等が混入する可能性も高くなる。つまり、この場合には、水を製造する装置が加工装置の付近に設置される場合に比べて、純度の低い水が加工装置に供給される可能性が高かった。
【0007】
よって、本発明の目的は、純度の高い水を製造する装置からの距離に関わらず、所定のレベルよりも高い純度の水を加工装置に供給することができる水供給システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面によれば、加工装置で使用される水を供給する水供給システムであって、水が接触する第1イオン交換樹脂を含む第1イオン交換樹脂塔と、該第1イオン交換樹脂と接触した該水の比抵抗値を測定する第1比抵抗計と、を有する水製造装置と、該水製造装置から供給される該水が接触する第2イオン交換樹脂を含む第2イオン交換樹脂塔と、該第2イオン交換樹脂と接触した該水の比抵抗値を測定する第2比抵抗計と、を有する水調整装置と、を備える、水供給システムが提供される。
【0009】
好ましくは、該水製造装置は、該加工装置が設置されるクリーンルームの外部に配置され、該水調整装置は、該クリーンルームの内部に配置される。
【0010】
好ましくは、該水調整装置は、該加工装置の筐体の内部に配置される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一側面に係る水供給システムでは、水製造装置及び水調整装置のそれぞれにイオン交換樹脂塔及び比抵抗計が備えられており、水製造装置から供給された水は、水調整装置により調整された上で加工装置へと供給される。そのため、水供給システム内の水調整装置を加工装置の近くに配置することにより、水製造装置から加工装置までの距離に関わらず、所定のレベルよりも高い純度に調整された水を水調整装置から加工装置に提供することができる。
【0012】
水調整装置は、イオン交換樹脂塔及び比抵抗計を少なくとも備えていれば良く、水製造装置に設けられる可能性のある水を貯留するタンクや紫外光源等が不要である。つまり、水調整装置を配置するために必要なスペースは水製造装置を配置するためのスペースより小さくて済むため、水調整装置をクリーンルームの内部や加工装置の筐体の内部等、水製造装置に比べて加工装置から近い位置に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、水供給システムの第1実施形態を示すブロック図である。
図2図2は、図1の水製造装置の構成を模式的に示す図である。
図3図3は、図1の水調整装置の構成を模式的に示す図である。
図4図4は、加工装置及び水調整装置を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、水供給システム2の第1実施形態を示すブロック図である。図1に示されるように、本実施形態に係る水供給システム2は、水製造装置4と、水調整装置6と、を備える。水製造装置4には、流路20を介して水供給システム2の外部から水(加工装置からの洗浄廃液等)が供給される。
【0015】
また、水調整装置6には、水製造装置4で製造された水が流路44を介して供給される。そして、水は、水調整装置6により所定のレベルよりも高い純度に調整された上で、流路54を介して加工装置8に供給される。ここで、所定のレベルよりも高い純度の水(純水)とは、本明細書では、比抵抗が12MΩ・cm以上の水のことを指す。
【0016】
水製造装置4及び水調整装置6には、制御ユニット12が接続されている。この制御ユニット12は、例えば、処理装置14と、記憶装置16と、を含むコンピュータによって構成され、水製造装置4及び水調整装置6を電気信号18により制御する。
【0017】
処理装置14は、代表的には、CPU(Central Processing Unit)であり、上記した要素を制御するために必要な種々の処理を行う。記憶装置16は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の主記憶装置と、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の補助記憶装置と、を含む。制御ユニット12の機能は、例えば、記憶装置16に記憶されているプログラムに従い処理装置14が動作することによって実現される。
【0018】
次に、上記した本実施形態に係る水供給システム2を構成する水製造装置4及び水調整装置6について詳述する。図2は、図1の水製造装置4を示す模式的に示す図である。図2では、説明の便宜のため流路の一部が線状に簡略化されて示されている。流路は、例えば、金属又は樹脂製の配管、チューブ等で構成される。
【0019】
水製造装置4は、流路20の末端に接続された第1タンク22を備える。本実施形態では、例えば、加工装置8から排出され流路20を介して水製造装置4に供給される使用後の洗浄水(廃液)が、高純度の水の原料となる。加工装置8から排出された洗浄水(廃液)は、流路20を介して第1タンク22に供給され、貯留される。具体的には、薬剤や微生物、加工屑等の異物を含む水が、廃液として第1タンク22に供給される。
【0020】
第1タンク22には、流路60を介して第1ポンプ24が接続されており、第1ポンプ24には、流路62を介してフィルター26が接続されている。第1ポンプ24は、第1タンク22に貯留された水(廃液)を汲み上げて、流路62を介してフィルター26に供給するポンプである。この第1ポンプ24によって、第1タンク22からフィルター26に供給される水の量が制御される。
【0021】
フィルター26は、例えば、活性炭、ゼオライト、布、樹脂製ファイバー、グラスファイバー、金属メッシュ、逆浸透膜(Reverse Osmosis Membrane:RO膜)等で形成される。そして、フィルター26は、第1ポンプ24で汲み上げられた廃液に含まれる加工屑等の不純物を吸着することで、又は、濾しとることで、水から分離する。すなわち、フィルター26は、廃液を濾過して清水に精製する。フィルター26には、流路64を介して第2タンク28が接続されている。フィルター26で濾過された清水は、流路64を介して清水を収容できる第2タンク28に収容される。
【0022】
第2タンク28の内部には、第2タンク28に収容された清水に紫外線を照射する紫外光源30が設けられている。紫外光源30は、例えば、紫外線ランプ、紫外線蛍光灯、紫外線LED等である。加工装置8の洗浄に使用された水には、例えば、大気中に浮遊する微生物が不純物として混入している。そこで、紫外光源30は、清水の殺菌処理のために清水に紫外線を照射する。また、清水に紫外線を照射すると、清水に含まれるその他の有機物等を分解できる。
【0023】
ここで、紫外光源30から清水に対して照射される紫外線は、波長254nmの成分と、波長185nmの成分と、を含むと良い。清水に波長254nmの紫外線を照射すると、清水が殺菌される。微生物が死滅すると、その死骸が有機物として水中に残る。また、該清水にはその他の有機物も混入している。波長185nmの紫外線は、清水に含まれるオゾンを活性化し、微生物の死骸を構成する有機物やその他の有機物のオゾンによる分解を促進する。
【0024】
第2タンク28には、流路66を介して第2ポンプ32が接続されている。第2ポンプ32は、第2タンク28から清水を汲み上げて下流側の流路68に送る機能を有する。なお、紫外光源30は、第2ポンプ32で汲み上げられた清水が流れる流路66や流路68に設けられてもよく、流路66や流路68を流れる清水に紫外光源30から紫外線が照射されても良い。
【0025】
流路68の下流側の端には、第1イオン交換樹脂を含む第1イオン交換樹脂塔34が接続されている。第1イオン交換樹脂塔34は、紫外光源30により紫外線が照射された後の清水に含まれるイオンを交換する。第1イオン交換樹脂塔34は、例えば、円筒状の容器と、容器に充填された第1イオン交換樹脂と、を有する。容器の内部には、粒状に形成された複数のイオン交換樹脂が水の流路となる隙間をもって充填されており、第1イオン交換樹脂塔34に進入する清水は、容器中で第1イオン交換樹脂の間を通過する。
【0026】
例えば、容器には、カチオンを交換するイオン交換樹脂(カチオン交換樹脂)と、アニオンを交換するイオン交換樹脂(アニオン交換樹脂)と、を混合したものが、第1イオン交換樹脂として収容される。そして、第1イオン交換樹脂塔34に供給される水に含まれるイオンのうちで、水素イオン及び水酸化物イオン以外のイオンは、水素イオン又は水酸化物イオンに交換される。
【0027】
すなわち、第1イオン交換樹脂塔34は、第2ポンプ32で汲み上げられた清水をイオン交換樹脂に接触させることで、高純度の水(純水)を精製する。なお、第1イオン交換樹脂の構成は上記構成に限られるものではなく、清水を純水に精製できれば、どのような構成を有していても良い。
【0028】
第1イオン交換樹脂塔34の出口は、流路10を介して、精密フィルター36に接続されている。よって、第1イオン交換樹脂によるイオンの交換により得られた純水は、流路10を進行して精密フィルター36に至る。精密フィルター36は、第1イオン交換樹脂塔34によりイオンが交換された水(純水)を濾過する機能を有する。
【0029】
精密フィルター36は、フィルター26と同様に、例えば、活性炭、ゼオライト、布、樹脂製ファイバー、グラスファイバー、金属メッシュ及び逆浸透膜(RO膜)等で形成されたフィルター(不図示)を備える。
【0030】
流路20から水製造装置4に供給された水は、流路60、62、64、66、68及び10を進行する過程で、この水の浄化が進み、浄化の最終段階では、水が精密フィルター36に到達する。精密フィルター36を通る純水に含まれる不純物は極めて小さく微量であるため、精密フィルター36には、そのような不純物を除去するのに適した性能が要求される。例えば、精密フィルター36には、フィルター26よりも目が細かい膜が使用されると良い。
【0031】
そして、精密フィルター36は、流入する水に含まれる極微量の不純物を吸着することで、又は、濾しとることで、第1イオン交換樹脂塔34から供給される純水をさらに浄化する。精密フィルター36の出口は、流路70を介して、純水の比抵抗値を測定する第1比抵抗計38に接続されている。そのため、精密フィルター36で濾過された純水は、流路70を下流側に向かって進行し、第1比抵抗計38に至る。
【0032】
水の比抵抗値は、水に含まれる不純物の量が少ないほど高くなる。そのため、水(純水)の比抵抗値を第1比抵抗計38で測定すると、精製された純水が洗浄水等として加工装置8で再び使用できる水質であるか否かを判定することができる。例えば、第1比抵抗計38は、制御ユニット12に接続されており、制御ユニット12の記憶装置16には、洗浄水として使用可能な水質であると判定できる比抵抗値の判定閾値が登録されている。本明細書において、加工装置8に供給される純水の比抵抗値は、12MΩ・cm以上であるため、判定閾値は、例えば12MΩ・cmに設定される。
【0033】
第1比抵抗計38の出口側には、流路72を介して、切り替えバルブ40の入り口側が接続されている。そのため、第1比抵抗計38で比抵抗値が測定された水(純水)は、流路72を介して、切り替えバルブ40に流れ込む。
【0034】
切り替えバルブ40の出口側には、第1タンク22に通じる流路42と、水調整装置6に通じる流路44と、が接続されている。切り替えバルブ40は、例えば、制御ユニット12に接続されたソレノイドバルブである。切り替えバルブ40は、流路72から流入する水の流出先を、流路42と、流路44と、の一方に切り替える機能を有する。
【0035】
ところで、第1比抵抗計38で測定された水(純水)の比抵抗値が所定の閾値を超えていないことは、水(純水)の水質が加工装置8に供給される水として使用可能な水準を満たしていないことを意味する。そこで、例えば、制御ユニット12は、第1比抵抗計38で測定された水(純水)の比抵抗値が所定の閾値を超えているか否かを判定する。
【0036】
制御ユニット12は、第1比抵抗計38で測定された水(純水)の比抵抗値が所定の閾値を超えていないと判定した場合に、切り替えバルブ40を制御して、水の流出先を流路42に切り替え、水を第1タンク22に送る。すなわち、所定の水準に満たない水質の水は、第1タンク22に貯留されていた水とともに水製造装置4で再び浄化される。これにより、第1タンク22に貯留される水が徐々に浄化される。
【0037】
一方で、制御ユニット12は、第1比抵抗計38で測定された水(純水)の比抵抗値が所定の閾値を超えていると判定した場合に、切り替えバルブ40を制御して、水の流出先を流路44に切り替える。これにより、所定の水準の水質であることが確認された純水が水調整装置6に供給される。
【0038】
次に、水調整装置6について説明する。図3は、図1の水調整装置6の構成を模式的に示す図である。図3に示されるように、水製造装置4の流路44の下流側の端には、第2イオン交換樹脂を含む第2イオン交換樹脂塔46が接続されている。第2イオン交換樹脂塔46は、水製造装置4により生成され流路44を通じて水調整装置6へと供給される際に純水に混入する可能性がある不純物等に起因するイオンを交換する。
【0039】
第2イオン交換樹脂塔46は、第1イオン交換樹脂塔34と同様に、例えば、円筒状の容器と、容器に充填された第2イオン交換樹脂と、を有する。容器の内部には、粒状に形成された複数のイオン交換樹脂が水の流路となる隙間をもって充填されており、第2イオン交換樹脂塔46に進入する純水は、容器中で第2イオン交換樹脂の間を通過する。なお、第1イオン交換樹脂と同様に、第2イオン交換樹脂の構成は上記構成に限られるものではなく、純水に混入した不純物を除去して所定のレベルの純度に精製できれば、どのような構成を有していても良い。
【0040】
第2イオン交換樹脂塔46の出口は、流路48を介して、精密フィルター50に接続されている。そのため、第2イオン交換樹脂によるイオンの交換により得られた純水は、流路48を進行して精密フィルター50に至る。精密フィルター50は、第2イオン交換樹脂塔46によりイオンが交換された水(純水)を最終的に濾過する機能を有する。
【0041】
精密フィルター50は、精密フィルター36と同様に、例えば、活性炭、ゼオライト、布、樹脂製ファイバー、グラスファイバー、金属メッシュ又は逆浸透膜(RO膜)等で形成されたフィルター(不図示)を備える。精密フィルター50を通る純水に混入している不純物は極めて小さく微量であるため、精密フィルター50には、そのような不純物を除去するのに適した性能が要求される。例えば、精密フィルター50には、精密フィルター36と同様に、フィルター26よりも目が細かい膜が使用されると良い。
【0042】
そして、精密フィルター50は、流入する水に含まれる極微量の不純物を吸着することで、又は、濾しとることで、水をさらに浄化する。精密フィルター50の下流は、流路74を介して第2比抵抗計52に接続されている。精密フィルター50で濾過された純水は、流路を下流側に進行し、加工装置8へ供給の直前に純水の比抵抗値を測定する第2比抵抗計52に至る。
【0043】
第2比抵抗計52は、第1比抵抗計38と同様に、例えば、制御ユニット12に接続されており、制御ユニット12の記憶装置16には、洗浄水として使用可能な水質であると判定できる比抵抗値の判定閾値が登録されている。本明細書において、加工装置8に供給される純水の比抵抗値は、12MΩ・cm以上であるため、判定閾値は、例えば12MΩ・cmに設定される。
【0044】
第2比抵抗計52による測定の結果、純水の比抵抗値が判定閾値の12MΩ・cm以上である場合には、純水は流路54を流れ、加工装置8に供給される。一方、純水の比抵抗値が判定閾値の12MΩ・cmより小さい場合には、純水が加工装置8に供給されないようにする。
【0045】
水供給システム2は、制御ユニット12により第1比抵抗計38で測定された純水の比抵抗値が所定の閾値より小さいと判定された場合に、ユーザーに知らせる手段を備えていても良い。例えば、水供給システム2はモニターを備えており、モニターに第2比抵抗計52による測定値が判定閾値の12MΩ・cmより小さいことを表示しても良い。あるいは、水供給システム2は警報装置を備えており、第2比抵抗計52による測定値が判定閾値の12MΩ・cmより小さい場合に警告音を発生しても良い。
【0046】
また、水調整装置6の第2比抵抗計52と加工装置8とを接続する流路54の途中に、水の流量を調整できるバルブを設けていても良い。ユーザーは、第2比抵抗計52による測定値が判定閾値の12MΩ・cmより小さい場合に、このバルブを閉じることで、所定のレベルの純度を有しない純水が加工装置8へ供給されることを防止することができる。
【0047】
上記したように、本実施形態の水供給システム2は、水製造装置4及び水調整装置6のそれぞれにイオン交換樹脂塔及び比抵抗計が備えられており、水製造装置4から供給された水は、水調整装置6により調整された上で加工装置8へと供給される。そのため、水供給システム2内の水調整装置6を加工装置8の近くに配置することにより、水製造装置4から加工装置8までの距離に関わらず、所定のレベルよりも高い純度に調整された水を水調整装置6から加工装置8に提供することができる。
【0048】
例えば、配置スペース等の種々の制約から、加工装置8が設置されている部屋(クリーンルーム等)の外に水製造装置4が設置されている場合であっても、水調整装置6を部屋の中、特に、加工装置8から近い位置に設置されていれば、加工装置8に供給される水が水調整装置6によって所定のレベル以上の純度に調整される。したがって、水製造装置4が加工装置8から離れており、水製造装置4から加工装置8までの配管が長い場合であっても、純度の高い水を加工装置8に供給することができる。
【0049】
図4は、加工装置8及び水調整装置6を模式的に示す斜視図である。図4では、保持テーブル56及び切削ユニット58を有する切削装置が、加工装置8の例として記載されている。図4に示されているように、本実施形態に係る水調整装置6は、第2イオン交換樹脂塔46及び第2比抵抗計52を備えるものであり、コンパクトな構成を有する。
【0050】
したがって、水調整装置6を加工装置8の筐体内に収納することが可能である。この場合には、水調整装置6から加工装置8までの距離が実質的にゼロになるので、水調整装置6によって所定のレベル以上の純度に調整された水が水調整装置6から加工装置8へと供給される際に、この水が不純物によって汚染される可能性を低く抑えることができる。
【0051】
その他、上記した実施形態及び変形例に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施され得る。
【符号の説明】
【0052】
2 :水供給システム
4 :水製造装置
6 :水調整装置
8 :加工装置
10 :流路
12 :制御ユニット
14 :処理装置
16 :記憶装置
18 :電気信号
20 :流路
22 :第1タンク
24 :第1ポンプ
26 :フィルター
28 :第2タンク
30 :紫外光源
32 :第2ポンプ
34 :第1イオン交換樹脂塔
36 :精密フィルター
38 :第1比抵抗計
40 :切り替えバルブ
42 :流路
44 :流路
46 :第2イオン交換樹脂塔
48 :流路
50 :精密フィルター
52 :第2比抵抗計
54 :流路
56 :保持テーブル
58 :切削ユニット
60 :流路
62 :流路
64 :流路
66 :流路
68 :流路
70 :流路
72 :流路
74 :流路
図1
図2
図3
図4