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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124897
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】出力回路及び増幅装置
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/22 20060101AFI20240906BHJP
   H03F 3/26 20060101ALI20240906BHJP
   H03F 3/45 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
H03F1/22
H03F3/26
H03F3/45 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032874
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 大司
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA12
5J500AA13
5J500AA15
5J500AC18
5J500AC33
5J500AC36
5J500AC54
5J500AF01
5J500AF11
5J500AF19
5J500AH09
5J500AH16
5J500AH25
5J500AK02
5J500AK05
5J500AK12
5J500AK20
5J500AM17
5J500AT01
5J500DN01
5J500DN22
5J500DN23
5J500DP01
(57)【要約】
【課題】出力電流能力の向上を図った高耐圧の出力回路及び増幅装置を提供する。
【解決手段】トランジスタMn1,Mp1は、入力信号に応じた電流が流れるように制御される。トランジスタMn2,Mp2は、トランジスタMn1,Mp1よりも耐圧が大きく、ゲートにバイアス電圧Vb11,Vb12が供給される。トランジスタMn3,Mp3は、出力端子TOUTにドレインが接続され、トランジスタMn1,Mp1のゲートにゲートが接続される。トランジスタMn3,Mp3は、トランジスタMn1,Mp1よりしきい値電圧が大きい。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子から入力した入力信号を増幅して出力端子から出力信号として出力する増幅装置に用いられる出力回路であって、
電源電圧が供給された電源端子と前記出力端子との間に接続された出力部を備え、
前記出力部が、
前記電源端子と前記出力端子との間に接続され、ゲート又はベースに前記入力信号に応じた信号が供給され、前記入力信号に応じた電流が流れるように制御される第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタよりも耐圧が大きく、前記第1のトランジスタと前記出力端子との間に接続され、ゲート又はベースに第1のバイアス電圧が供給された第2のトランジスタと、
前記出力端子にドレイン又はコレクタが接続され、前記第1のトランジスタのゲート又はベースにゲート又はベースが接続された第3のトランジスタとを有し、
前記第3のトランジスタは、前記第1のトランジスタよりしきい値電圧が大きい
出力回路。
【請求項2】
請求項1に記載の出力回路において、
前記電源端子は、互いに異なる電源電圧が供給された第1の電源端子及び第2の電源端子が設けられ、
前記出力部は、前記第1の電源端子と前記出力端子との間に接続された第1の出力部と、前記第2の電源端子と前記出力端子との間に接続された第2の出力部とが設けられ、
前記第1の出力部が有する前記第1のトランジスタ、前記第2のトランジスタ及び前記第3のトランジスタと、前記第2の出力部が有する前記第1のトランジスタ、前記第2のトランジスタ及び前記第3のトランジスタとは、互いに極性が異なる、
出力回路。
【請求項3】
請求項1に記載の出力回路において、
前記第1のトランジスタ及び前記第3のトランジスタのゲート・ソース間電圧又はベース・エミッタ間電圧を制限し、前記出力端子からの出力電流を制限する電流制限回路を備えた
出力回路。
【請求項4】
請求項1に記載の出力回路において、
前記第1のトランジスタのゲート又はベースと前記第3のトランジスタのゲート又はベースとの間に接続された位相補償回路を備えた
出力回路。
【請求項5】
請求項4に記載の出力回路において、
前記位相補償回路が抵抗から構成された
出力回路。
【請求項6】
入力端子に入力された入力電圧に応じた差動電流を出力する差動入力部と、
請求項2に記載の出力回路と、
前記差動入力部から出力される前記差動電流に応じた出力電圧及び出力電流を前記出力端子から出力するように前記第1の出力部及び前記第2の出力部がそれぞれ有する前記第1のトランジスタを制御する制御回路とを備え、
前記制御回路は、第2のバイアス電圧を出力するバイアス回路を有し、前記差動電流が0の場合に前記第2のバイアス電圧を前記第1のトランジスタに供給する、
増幅装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力回路及び増幅装置に関する。
【背景技術】
【0002】
増幅装置に用いられる出力回路として、特許文献1に記載されたプッシュプル回路が提案されている。また、高耐圧の増幅装置に用いられるようにプッシュプル回路として図10に示すものが提案されている。
【0003】
同図に示すように、増幅回路100は、差動入力部6と、プッシュプル回路101と、制御回路7とを有している。差動入力部6は、入力電流に応じた差動電流を出力する。
【0004】
プッシュプル回路101は、カスコード接続されたトランジスタMp1,トランジスタMp2と、カスコード接続されたトランジスタMn1,トランジスタMn2とを有している。トランジスタMp1,Mn1は、低耐圧のトランジスタから構成され、トランジスタMp2,Mn2は、高耐圧のトランジスタから構成されている。トランジスタMp2,Mn2は、ドレインが出力端子TOUTに接続され、ゲートには一定のバイアス電圧Vb11,Vb12が供給されている。
【0005】
低耐圧のトランジスタMn1,Mn2を設けることにより、大きなGm値を実現することができる。また、高耐圧のトランジスタMn2を設けることにより、トランジスタMn1のドレイン電位をバイアス電圧Vb11-トランジスタMn2のゲート・ソース電圧とすることができ、トランジスタMn1に耐圧を超える電圧がかからないように保護することができる。高耐圧のトランジスタMp2を設けることにより、トランジスタMp1のドレイン電位をバイアス電圧Vb12+トランジスタMp2のゲート・ソース電圧とすることができ、トランジスタMp1に耐圧を超える電圧がかからないように保護することができる。制御回路7は、トランジスタMn1,Mp1のゲートに接続され、差動電流に応じてトランジスタMn1,Mp1を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第8890610号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来のプッシュプル回路101では、出力端子TOUTからトランジスタMn1,Mn2に流れ込む電流が増えると、高耐圧のトランジスタMn2のゲート・ソース間電圧が増加する。この結果、低耐圧のトランジスタMn1のドレイン・ソース間電圧が小さくなり、トランジスタMn1に電流が流れにくくなる。同様に、トランジスタMp1,Mp2から出力端子TOUTに流れ出す電流が増えると、高耐圧トランジスタMp2のゲート・ソース間電圧が増加する。この結果、低耐圧のトランジスタMp1のドレイン・ソース間電圧が小さくなり、トランジスタMp1に電流が流れにくくなる。このため、上述した従来のプッシュプル回路101は、出力電流能力が低い、という課題があった。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、出力電流能力の向上を図った高耐圧の出力回路及び増幅装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明に係る出力回路及び増幅装置は、下記[1]~[5]を特徴としている。
[1]
入力端子から入力した入力信号を増幅して出力端子から出力信号として出力する増幅装置に用いられる出力回路であって、
電源電圧が供給された電源端子と前記出力端子との間に接続された出力部を備え、
前記出力部が、
前記電源端子と前記出力端子との間に接続され、ゲート又はベースに前記入力信号に応じた信号が供給され、前記入力信号に応じた電流が流れるように制御される第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタよりも耐圧が大きく、前記第1のトランジスタと前記出力端子との間に接続され、ゲート又はベースに第1のバイアス電圧が供給された第2のトランジスタと、
前記出力端子にドレイン又はコレクタが接続され、前記第1のトランジスタのゲート又はベースにゲート又はベースが接続された第3のトランジスタとを有し、
前記第3のトランジスタは、前記第1のトランジスタよりしきい値電圧が大きい
出力回路であること。
[2]
[1]に記載の出力回路において、
前記電源端子は、互いに異なる電源電圧が供給された第1の電源端子及び第2の電源端子が設けられ、
前記出力部は、前記第1の電源端子と前記出力端子との間に接続された第1の出力部と、前記第2の電源端子と前記出力端子との間に接続された第2の出力部とが設けられ、
前記第1の出力部が有する前記第1のトランジスタ、前記第2のトランジスタ及び前記第3のトランジスタと、前記第2の出力部が有する前記第1のトランジスタ、前記第2のトランジスタ及び前記第3のトランジスタとは、互いに極性が異なる、
出力回路であること。
[3]
[1]に記載の出力回路において、
前記第1のトランジスタ及び前記第3のトランジスタのゲート・ソース間電圧又はベース・エミッタ間電圧を制限し、前記出力端子からの出力電流を制限する電流制限回路を備えた
出力回路であること。
[4]
[1]に記載の出力回路において、
前記第1のトランジスタのゲート又はベースと前記第3のトランジスタのゲート又はベースとの間に接続された位相補償回路を備えた
出力回路であること。
[5]
[4]に記載の出力回路において、
前記位相補償回路が抵抗から構成された
出力回路であること。
[6]
入力端子に入力された入力電圧に応じた差動電流を出力する差動入力部と、
請求項2に記載の出力回路と、
前記差動入力部から出力される前記差動電流に応じた出力電圧及び出力電流を前記出力端子から出力するように前記第1の出力部及び前記第2の出力部がそれぞれ有する前記第1のトランジスタを制御する制御回路とを備え、
前記制御回路は、第2のバイアス電圧を出力するバイアス回路を有し、前記差動電流が0の場合に前記第2のバイアス電圧を前記第1のトランジスタに供給する、
増幅装置であること。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、出力電流能力の向上を図った高耐圧の出力回路及び増幅装置を提供することができる。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1実施形態における出力回路の一例を示す回路図である。
図2図2は、図1に示す電流制限回路の一例を示す回路図である。
図3図3は、図1に示す電流制限回路の一例を示す回路図である。
図4図4は、図1に示すトランジスタMn3の寄生容量を説明するための回路図である。
図5図5は、第2実施形態における出力回路の一例を示す回路図である。
図6図6は、図5に示す電流制限回路の一例を示す回路図である。
図7図7は、図5に示す電流制限回路の一例を示す回路図である。
図8図8は、図5に示すトランジスタMp3の寄生容量を説明するための回路図である。
図9図9は、第3実施形態における増幅装置の一例を示す回路図である。
図10図10は、従来の出力回路としてのプッシュプル回路の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における出力回路1の一例を示す回路図である。図1に示す出力回路1は、入力端子から入力した入力信号を増幅して出力端子TOUTから出力信号VOUTとして出力する増幅装置に用いられる。出力回路1は、グランド電圧(=電源電圧)が供給されたグランド端子T1(=第1の電源端子、電源端子)と出力端子TOUTとの間に接続された第1の出力部21(=出力部)と、電流制限回路31と、位相補償用の抵抗R1(=位相補償回路)とを備えている。
【0015】
第1の出力部21は、トランジスタMn1~Mn3を有し、これらトランジスタMn1~Mn3をオンすることにより出力端子TOUTからグランド端子T1に流れ込む出力電流を出力して、負の出力電圧となる出力信号VOUTを出力させる。トランジスタMn1~Mn3は、Nchの電界効果トランジスタから構成されている。
【0016】
トランジスタMn1(=第1のトランジスタ)は、グランド端子T1と出力端子TOUTとの間に接続され、ゲートに入力信号に応じた信号が供給され、入力電圧に応じた電流が流れるように制御される。トランジスタMn1は、ソースがグランド端子T1に接続されている。
【0017】
トランジスタMn2(=第2のトランジスタ)は、トランジスタMn1よりも耐圧が大きく、トランジスタMn1と出力端子TOUTとの間に接続され、ゲートにバイアス電圧Vb11(=第1のバイアス電圧)が供給されている。トランジスタMn2は、ソースがトランジスタMn1のドレインに接続され、ドレインが出力端子TOUTに接続されている。
【0018】
トランジスタMn3(=第3のトランジスタ)は、出力端子TOUTにドレインが接続され、トランジスタMn1のゲートにゲートが接続され、グランド端子T1にソースが接続されている。トランジスタMn3は、トランジスタMn1よりも耐圧が大きく、しきい値電圧が大きい。
【0019】
電流制限回路31は、トランジスタMn1,Mn3のゲートとグランド端子T1との間に接続されている。電流制限回路31は、トランジスタMn1,Mn3のゲート・ソース間電圧を制限し、出力端子TOUTからグランドに流れ込む出力電流を制限する。
【0020】
電流制限回路31としては、例えば、図2図3に示すものが挙げられる。図2に示す例の電流制限回路31は、トランジスタMn1,Mn3のゲートとグランド端子T1との間に直列接続された複数のトランジスタMn4を有している。複数のトランジスタMn4は、Nchの電界効果トランジスタから構成されている。複数のトランジスタMn4は各々、ゲート・ソースが接続され、ダイオード接続されている。これにより、トランジスタMn1,Mn3のゲート・ソース間電圧を複数のトランジスタMn4のしきい値電圧の和に制限することができる。
【0021】
図3に示す例の電流制限回路31は、トランジスタMn1,Mn3のゲートとグランド端子T1との間に接続されたトランジスタMp5を有している。トランジスタMp5は、Pchの電界効果トランジスタから構成されている。トランジスタMp5は、ソースがトランジスタMn1,Mn3のゲートに接続され、ドレインがグランド端子T1に接続されている。トランジスタMp5のゲートには一定のバイアス電圧Vb3が供給されている。これにより、トランジスタMn1,Mn3のゲート電位をバイアス電圧Vb3+トランジスタMp5のゲート・ソース電圧に制限することができる。
【0022】
図1に示すように、抵抗R1は、トランジスタMn1のゲートとトランジスタMn3のゲートとの間に接続されている。
【0023】
次に、上述した構成の出力回路1の動作について説明する。出力回路1は、出力電流を流さない静止動作時にトランジスタMn1にバイアス電圧が供給され、トランジスタMn1はオン状態となる。上述したように高耐圧トランジスタMn3は、低耐圧トランジスタMn1よりもしきい値電圧が大きい。低耐圧トランジスタMn1に供給されるバイアス電圧は、高耐圧トランジスタMn3のしきい値電圧よりも小さく、高耐圧トランジスタMn3はオフ状態となっている。このため、静止動作時は消費電力を低減できる。
【0024】
出力端子TOUTからグランドに流れ込む出力電流を大きくするときは、トランジスタMn1,Mn3のゲート・ソース間電圧が増加する。ゲート・ソース間電圧が高耐圧トランジスタMn3のしきい値電圧を越えると、高耐圧トランジスタMn3がオン状態となり、出力電流がトランジスタMn1,Mn2に加えトランジスタMn3を通じても流れる。したがって、背景技術でも説明したようにトランジスタMn1に電流が流れにくくなっても、トランジスタMn3を通じて出力電流を流すことができるため、出力電流能力の向上を図ることができる。
【0025】
高耐圧トランジスタMn3を接続したことによって、図4に示すように、トランジスタMn3のゲートとグランド端子T1との間に発生する寄生容量C1の影響により位相補償の安定性を悪化させてしまう。本実施形態では、抵抗R1を挿入することによって、寄生容量C1の影響を改善することができる。
【0026】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態における出力回路について説明する。図5は、第2実施形態における出力回路1Bの一例を示す回路図である。図5に示す出力回路1Bは、入力端子から入力した入力信号を増幅して出力端子TOUTから出力信号VOUTとして出力する増幅装置に用いられる。出力回路1Bは、正の電源電圧(=電源電圧)が供給された電源端子T2(=第2の電源端子、電源端子)と出力端子TOUTとの間に接続された第2の出力部22(=出力部)と、電流制限回路32と、位相補償用の抵抗R2(=位相補償回路)とを備えている。
【0027】
第2の出力部22は、トランジスタMp1~Mp3を有し、これらトランジスタMp1~Mp3をオンすることにより電源端子T2から出力端子TOUTに流れ出す出力電流を出力して、正の出力電圧となる出力信号VOUTを出力させる。トランジスタMp1~Mp3は、Pchの電界効果トランジスタから構成されている。
【0028】
トランジスタMp1(=第1のトランジスタ)は、電源端子T2と出力端子TOUTとの間に接続され、ゲートに入力信号に応じた信号が供給され、入力電圧に応じた電流が流れるように制御される。トランジスタMp1は、ソースが電源端子T2に接続されている。
【0029】
トランジスタMp2(=第2のトランジスタ)は、トランジスタMp1よりも耐圧が大きく、トランジスタMp1と出力端子TOUTとの間に接続され、ゲートにバイアス電圧Vb12(=第1のバイアス電圧)が供給されている。トランジスタMp2は、ソースがトランジスタMp1のドレインに接続され、ドレインが出力端子TOUTに接続されている。
【0030】
トランジスタMp3(=第3のトランジスタ)は、出力端子TOUTにドレインが接続され、トランジスタMp1のゲートにゲートが接続され、電源端子T2にソースが接続されている。トランジスタMp3は、トランジスタMp1よりも耐圧が大きく、しきい値電圧が大きい。
【0031】
電流制限回路32は、トランジスタMp1,Mp3のゲートと電源端子T2との間に接続されている。電流制限回路32は、トランジスタMp1,Mp3のゲート・ソース間電圧を制限し、電源端子T2から出力端子TOUTに流れ出す出力電流を制限する。
【0032】
電流制限回路32としては、例えば、図6図7に示すものが挙げられる。図6に示す例の電流制限回路32は、トランジスタMp1,Mp3のゲートと電源端子T2との間に直列接続された複数のトランジスタMp4を有している。複数のトランジスタMp4は、Pchの電界効果トランジスタから構成されている。複数のトランジスタMp4は、ゲート・ソースが接続され、ダイオード接続されている。これにより、トランジスタMp1,Mp3のゲート・ソース間電圧を複数のトランジスタMp4のしきい値電圧の和に制限することができる。
【0033】
図7に示す例の電流制限回路32は、トランジスタMp1,Mp3のゲートと電源端子T2との間に接続されたトランジスタMn5を有している。トランジスタMn5は、Nchの電界効果トランジスタから構成されている。トランジスタMn5は、ソースがトランジスタMp1,Mp3のゲートに接続され、ドレインが電源端子T2に接続されている。トランジスタMn5のゲートには一定のバイアス電圧Vb4が供給されている。これにより、トランジスタMp1,Mp3のゲート電位をバイアス電圧Vb4-トランジスタMn5のゲート・ソース間電圧に制限することができる。
【0034】
図5に示すように、抵抗R2は、トランジスタMp1のゲートとトランジスタMp3のゲートとの間に接続されている。
【0035】
次に、上述した構成の出力回路1Bの動作について説明する。出力回路1Bは、出力電流を流さない静止動作時にトランジスタMp1にバイアス電圧が供給され、トランジスタMp1はオン状態となる。上述したように高耐圧トランジスタMp3は、低耐圧トランジスタMp1よりもしきい値電圧が大きい。低耐圧トランジスタMp1に供給されるバイアス電圧は、高耐圧トランジスタMp3のしきい値電圧よりも小さく、高耐圧トランジスタMp3はオフ状態となっている。このため、静止動作時は消費電力を低減できる。
【0036】
電源端子T2から出力端子TOUTに流れ出す出力電流を大きくするときは、トランジスタMp1,Mp3のゲート・ソース間電圧が増加する。ゲート・ソース間電圧が高耐圧トランジスタMp3のしきい値電圧を越えると、高耐圧トランジスタMp3がオン状態となり、出力電流がトランジスタMp1,Mp2に加えトランジスタMp3を通じても流れる。したがって、背景技術でも説明したようにトランジスタMp1に電流が流れにくくなっても、トランジスタMp3を通じて出力電流を流すことができるため、出力電流能力の向上を図ることができる。
【0037】
高耐圧トランジスタMp3を接続したことによって、図8に示すようにトランジスタMp3のゲートと電源端子T2との間に発生する寄生容量C2の影響により位相補償の安定性を悪化させてしまう。本実施形態では、抵抗R2を挿入することによって、寄生容量C2の影響を改善することができる。
【0038】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の増幅装置5について、図9を参照して説明する。なお、図9において、上述した第1,第2実施形態で既に説明した図1図8に示す出力回路1,1Bと同等の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。増幅装置5は、入力端子TINMに入力された入力電位INMと、入力端子TINPに入力された入力電位INPとの差分である入力電圧を増幅して、出力端子TOUTから出力信号VOUTとして出力する回路である。
【0039】
増幅装置5は、差動入力部6と、プッシュプル回路1Cと、制御回路7とを備えている。
【0040】
差動入力部6は、入力電圧に応じた差動電流を出力する。差動入力部6は、ソースが共通接続された差動トランジスタM1,M2と、定電流源61とを有している。差動トランジスタM1,M2は、Pch、高耐圧の電界効果トランジスタから構成されている。差動トランジスタM1のゲートは、入力端子TINMに接続され、差動トランジスタM2のゲートは、入力端子TINPに接続されている。差動トランジスタM1,M2のソースは共通接続され、定電流源61に接続されている。
【0041】
定電流源61は、電源端子T2と共通接続された差動トランジスタM1,M2のソースとの間に接続される。差動入力部6は、定電流源61が供給する定電流を差動トランジスタM1,M2に分流する。差動トランジスタM1,M2に流れる電流の電流比(分流比)は、入力電位INM,INPに応じた値となる。この差動トランジスタM1,M2に流れる電流差が差動電流として出力される。
【0042】
プッシュプル回路1Cは、第1の出力部21と、電流制限回路31と、抵抗R1と、第2の出力部22と、電流制限回路32と、抵抗R2と、容量C21,C22とを有している。第1の出力部21、電流制限回路31、抵抗R1は、第1実施形態で既に説明したものと同等であるためここでは詳細な説明を省略する。第2の出力部22、電流制限回路32、抵抗R2は、第2実施形態で既に説明したものと同等であるためここでは詳細な説明を省略する。容量C21は、トランジスタMn1のゲートとトランジスタMn2のドレインとの間に接続されている。容量C22は、トランジスタMp1のゲートとトランジスタMp2のドレインとの間に接続されている。
【0043】
制御回路7は、差動トランジスタM1,M2に流れる電流差(差動電流)に応じた出力電圧及び出力電流を出力端子TOUTから出力するようにプッシュプル回路1Cが有するトランジスタMn1,Mp1を制御する回路である。制御回路7は、トランジスタMn1のバイアス電圧Vb21(=第2のバイアス電圧)を出力するNchバイアス回路71(=バイアス回路)と、トランジスタMp1のバイアス電圧Vb22(=第2のバイアス電圧)を出力するPchバイアス回路72(=バイアス回路)とを有している。
【0044】
制御回路7は、差動トランジスタM2に流れる電流が差動トランジスタM1に流れる電流よりも少ない場合、トランジスタMn1のゲート・ソース間電圧が低くなり、トランジスタMp1のゲート・ソース間電圧が高くなるように制御する。これにより、電源端子T2から出力端子TOUTに流れ出す出力電流を出力することができる。
【0045】
一方、制御回路7は、差動トランジスタM1に流れる電流が差動トランジスタM2に流れる電流よりも少ない場合、トランジスタMp1のゲート・ソース間電圧が低くなり、トランジスタMn1のゲート・ソース間電圧が高くなるように制御する。これにより、出力端子TOUTからグランドに流れ込む出力電流を出力することができる。
【0046】
制御回路7は、差動トランジスタM1,M2に流れる電流が等しく差動電流が0の場合(出力電流=0の静止状態の場合)、トランジスタMn1のゲートにバイアス電圧Vb21を供給し、トランジスタMp1のゲートにバイアス電圧Vb22を供給する。このため、静止状態であっても、トランジスタMp1,Mn1は双方ともオンする。
【0047】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0048】
上述した実施形態によれば、第1、第2の出力部21,22は、電流制限回路31,32を備えていたが、電流制限回路31,32を備えることは必須ではなく、なくてもよい。
【0049】
上述した実施形態によれば、トランジスタMn1,Mp1のゲートとトランジスタMn3,Mp3のゲートとの間には抵抗R1,R2が接続されていたが、これに限ったものではない。位相補償の悪化が問題にならない場合は、抵抗R1,R2は接続しなくてもよい。
【0050】
上述した第3実施形態によれば、第1、第2の出力部21を、静止状態のときのトランジスタMn1,Mp1をオンとするAB級の増幅装置5に用いていたが、これに限ったものではない。静止状態のときトランジスタMn1,Mp1がオフとなるB級の増幅装置に用いてもよい。
【0051】
上述した実施形態によれば、トランジスタとして電界効果トランジスタを用いていたが、これに限ったものではなく、バイポーラ型のトランジスタを用いてもよい。その場合、NchをNPN型、PchをPNP型、ゲートをベース、ソースをエミッタ、ドレインをコレクタに読み替えて説明することができる。
【符号の説明】
【0052】
1,1B 出力回路
1C プッシュプル回路(出力回路)
5 増幅装置
6 差動入力部
7 制御回路
21 第1の出力部(出力部)
22 第2の出力部(出力部)
31,32 電流制限回路
71 Nchバイアス回路(バイアス回路)
72 Pchバイアス回路(バイアス回路)
Mn1,Mp1 トランジスタ(第1のトランジスタ)
Mn2,Mp2 トランジスタ(第2のトランジスタ)
Mn3,Mp3 トランジスタ(第3のトランジスタ)
R1,R2 抵抗(位相補償回路)
T1 グランド端子(第1の電源端子、電源端子)
T2 電源端子(第2の電源端子、電源端子)
TINM,TINP 入力端子
TOUT 出力端子
Vb11,Vb12 バイアス電圧(第1のバイアス電圧)
Vb21,Vb22 バイアス電圧(第2のバイアス電圧)
VOUT 出力信号
図1
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図10