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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124974
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】挿入補助具
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/01 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
A61B1/01 511
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032999
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100153822
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 重之
(72)【発明者】
【氏名】森 恭平
(72)【発明者】
【氏名】相原 誠
(72)【発明者】
【氏名】宮城島 規
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF36
4C161GG24
4C161GG25
4C161LL02
(57)【要約】
【課題】把持部に対するユーザビリティを向上させた挿入補助具を提供することを目的とする。
【解決手段】オーバーチューブ10は、オーバーチューブ本体70と、オーバーチューブ本体70の基端側に接続され、挿通管路11に連通した挿入口82を有する管状の把持部80と、を備える。オーバーチューブ10の把持部80の中心軸A方向に直交する方向から見た断面視において、把持部80の外周面90の少なくとも一部が偏平化して形成された形状である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡挿入部を挿通可能な挿通管路を備え、体腔内に挿入されるチューブ本体と、
前記チューブ本体の基端側に接続され、前記挿通管路に連通した挿入口を有する管状の把持部と、
を備えた挿入補助具であって、
前記把持部の軸方向に直交する方向から見た断面視において、前記把持部の外周面の少なくとも一部が偏平化して形成された形状である、
挿入補助具。
【請求項2】
前記把持部の外周面は、前記軸方向に直交する方向において互いに対向する少なくとも2つの面が前記偏平化された形状である、
請求項1に記載の挿入補助具。
【請求項3】
前記把持部の外周面は、前記軸方向に直交する方向において対になって互いに対向する4つの面が前記偏平化された形状である、
請求項2に記載の挿入補助具。
【請求項4】
前記把持部の外周面は、互いに対向する一対の辺部と、前記一対の辺部の端部同士を連結する一対の弧部と、を有する、
請求項1に記載の挿入補助具。
【請求項5】
前記辺部は、前記弧部より大きな曲率半径を有する弧状の曲線である、請求項4に記載の挿入補助具。
【請求項6】
前記辺部は直線である、請求項4に記載の挿入補助具。
【請求項7】
前記辺部と前記弧部との連結部は角部のない丸みを帯びた形状である、
請求項4に記載の挿入補助具。
【請求項8】
前記把持部は、
前記チューブ本体の側に設けられた第1筒部と、
前記第1筒部の前記チューブ本体の側とは反対側に設けられ、前記第1筒部の外形よりも小さな外形である第2筒部と、
を備え、
前記第1筒部及び前記第2筒部の少なくとも一方の外周面が、前記一対の辺部と、前記一対の弧部と、を有する、
請求項4から7のいずれか1項に記載の挿入補助具。
【請求項9】
前記第1筒部及び前記第2筒部の各々の外周面が、前記一対の辺部と、前記一対の弧部と、を有する、
請求項8に記載の挿入補助具。
【請求項10】
前記軸方向に直交する方向から見た断面視において、前記第1筒部の外周面と第2筒部の外周面とは互いに相似形状である、
請求項9に記載の挿入補助具。
【請求項11】
前記第2筒部は、前記第1筒部よりも前記軸方向の長さが短い、請求項8に記載の挿入補助具。
【請求項12】
前記把持部は、前記第2筒部の前記第1筒部の側とは反対側に設けられ、前記第1筒部の側とは反対側へ拡径した漏斗状の外形を有し、前記挿入口が形成される挿入口形成部を備える、
請求項8に記載の挿入補助具。
【請求項13】
前記第1筒部、前記第2筒部、及び前記挿入口形成部の各々の外周面が、前記一対の辺部と、前記一対の弧部と、を有する、
請求項12に記載の挿入補助具。
【請求項14】
前記軸方向に直交する方向から見た断面視において、前記第1筒部の外周面と第2筒部の外周面と前記挿入口形成部の外周面とは互いに相似形状である、
請求項13に記載の挿入補助具。
【請求項15】
前記第1筒部と前記第2筒部との間に、前記第1筒部及び前記第2筒部よりも大きな外形を有するフランジ部を備える、請求項8に記載の挿入補助具。
【請求項16】
前記挿入口形成部は、前記挿通管路を通じた前記挿入口からの液体の流出を防止する漏れ防止弁を備える、請求項12に記載の挿入補助具。
【請求項17】
前記軸方向に直交する方向から見た断面視において、前記把持部の外周面が周方向に沿って連続的に曲率が変化した形状である、請求項1に記載の挿入補助具。
【請求項18】
前記把持部は、
前記チューブ本体の側に設けられた第1筒部と、
前記第1筒部の前記チューブ本体の側とは反対側に設けられ、前記第1筒部の外形よりも小さな外形である第2筒部と、
を備え、
前記第1筒部及び前記第2筒部の少なくとも一方の外周面が、一対の辺部と、前記一対の弧部と、を有する、
請求項17に記載の挿入補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の挿入部と一緒に体内に挿入される挿入補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、大腸又は小腸等の消化管(管腔臓器とも言う。)に内視鏡の挿入部を挿入して、消化管の内壁面の観察、診断及び治療等を施す手技が行われている。大腸及び小腸等の消化管は複雑に屈曲しており、内視鏡の挿入部を単に押し入れていくだけでは挿入部の先端に力が伝わり難く、深部への挿入が困難となる。
【0003】
そこで、従来より、内視鏡の挿入部を体内に案内するための挿入補助具(オーバーチューブとも言う。)が用いられている。例えば、特許文献1、2には、挿入補助具の先端部に膨張及び収縮可能なバルーンが設けられたものが開示されている。
【0004】
このようなバルーン付き挿入補助具によれば、バルーン制御装置からバルーンの内部にエアを供給及び吸引することにより、バルーンの膨張及び収縮を個別に制御することができる。これにより、挿入補助具のバルーンを所定のタイミングで消化管に一時固定しながら、挿入部と挿入補助具とを交互に挿入することによって、複雑に屈曲した消化管の深部に挿入部を挿入することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-136740号公報
【特許文献2】国際公開第2020/049913号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、内視鏡の挿入部を案内するために用いられる挿入補助具では、挿入部と挿入補助具とを交互に挿入する挿入操作と、挿入部と挿入補助具を手元側に引き込む引き込み操作が行われている。これらの操作は、術者又は介助者が挿入補助具の把持部を把持しながら行っている。そのため、挿入補助具の把持部には、術者又は介助者にとって、握りやすさ、指当たり、及びひねりやすさ等のユーザビリティを向上させることが求められている。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、把持部のユーザビリティを向上させた挿入補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、内視鏡挿入部を挿通可能な挿通管路を備え、体腔内に挿入されるチューブ本体と、チューブ本体の基端側に接続され、挿通管路に連通した挿入口を有する管状の把持部と、を備えた挿入補助具であって、把持部の軸方向に直交する方向から見た断面視において、把持部の外周面の少なくとも一部が偏平化して形成された形状である。
【0009】
本発明の一態様において、把持部の外周面は、軸方向に直交する方向において互いに対向する少なくとも2つの面が偏平化された形状である。
【0010】
本発明の一態様において、把持部の外周面は、軸方向に直交する方向において対になって互いに対向する4つの面が偏平化された形状である。
【0011】
本発明の一態様において、把持部の外周面は、互いに対向する一対の辺部と、一対の辺部の端部同士を連結する一対の弧部と、を有する。
【0012】
本発明の一態様において、辺部は、弧部より大きな曲率半径を有する弧状の曲線である。
【0013】
本発明の一態様において、辺部は直線である。
【0014】
本発明の一態様において、辺部と弧部との連結部は角部のない丸みを帯びた形状である。
【0015】
本発明の一態様において、把持部は、チューブ本体の側に設けられた第1筒部と、第1筒部のチューブ本体の側とは反対側に設けられ、第1筒部の外形よりも小さな外形である第2筒部と、を備え、第1筒部及び第2筒部の少なくとも一方の外周面が、一対の辺部と、一対の弧部と、を有する。
【0016】
本発明の一態様において、第1筒部及び第2筒部の各々の外周面が、一対の辺部と、一対の弧部と、を有する。
【0017】
本発明の一態様において、軸方向に直交する方向から見た断面視において、第1筒部の外周面と第2筒部の外周面とは互いに相似形状である。
【0018】
本発明の一態様において、第2筒部は、第1筒部よりも軸方向の長さが短い。
【0019】
本発明の一態様において、把持部は、第2筒部の第1筒部の側とは反対側に設けられ、第1筒部の側とは反対側へ拡径した漏斗状の外形を有し、挿入口が形成される挿入口形成部を備える。
【0020】
本発明の一態様において、第1筒部、第2筒部、及び挿入口形成部の各々の外周面が、一対の辺部と、一対の弧部と、を有する。
【0021】
本発明の一態様において、軸方向に直交する方向から見た断面視において、第1筒部の外周面と第2筒部の外周面と挿入口形成部の外周面とは互いに相似形状である。
【0022】
本発明の一態様において、第1筒部と第2筒部との間に、第1筒部及び第2筒部よりも大きな外形を有するフランジ部を備える。
【0023】
本発明の一態様において、挿入口形成部は、挿通管路を通じた挿入口からの液体の流出を防止する漏れ防止弁を備える。
【0024】
本発明の一態様において、軸方向に直交する方向から見た断面視において、把持部の外周面が周方向に沿って連続的に曲率が変化した形状である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、挿入補助具の把持部に対するユーザビリティを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】内視鏡装置のシステム構成図である。
図2】挿入部の先端部の拡大斜視図である。
図3】オーバーチューブの側面図である。
図4】オーバーチューブを基端の側から見た斜視図である。
図5】把持部を軸方向に直交する方向から見た断面図である。
図6】第1筒部と第2筒部とを軸方向に直交する方向から見た断面図である。
図7】挿入口形成部を軸方向の基端側から見た図である。
図8】オーバーチューブを使用した操作を説明するための図である。
図9】変形例に係る把持部を軸方向に直交する方向から見た断面図である。
図10】オーバーチューブの組立構造を説明するための図である。
図11】バルーン送気管と液供給管の組立構造を説明するための図である。
図12】バルーン送気管と液供給管の組立構造を説明するための図である。
図13】バルーン送気管と液供給管の組立構造を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面に従って、本発明に係るオーバーチューブの好ましい実施形態について詳説する。
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係るオーバーチューブ10を有する内視鏡装置1のシステム構成図である。
【0029】
図1に示すように、内視鏡装置1は、内視鏡14と、オーバーチューブ10と、バルーン制御装置100とを備えている。内視鏡14として、下部消化管用の内視鏡を例示するが、上部消化管用等の他の内視鏡でも適用することができる。
【0030】
〔内視鏡〕
内視鏡14は、手元操作部16と、この手元操作部16に連設された挿入部18とを備える。手元操作部16には、ユニバーサルケーブル20が接続される。ユニバーサルケーブル20は、図示は省略するが、信号ケーブルと、ライトガイドと、エア供給チューブとを内包している。ユニバーサルケーブル20の先端には、光源装置24に接続されるコネクタ21が設けられている。光源装置24はプロセッサ30と電気的に接続される。光源装置24とコネクタ21とは、制御信号及び画像信号を光通信により送受信できる。光源装置24は、コネクタ21を介して光通信で送受信した制御信号等をプロセッサ30に伝送する。光源装置24は、コネクタ21を介して内視鏡14を駆動するための電力を無線で供給する。プロセッサ30にはモニタ60が接続されている。挿入部18は、本発明の内視鏡挿入部の一例である。
【0031】
また、手元操作部16には、送気送水ボタン32と、吸引ボタン34と、シャッターボタン36とが並設されると共に、一対のアングルノブ38、38と、鉗子挿入部39とが設けられる。さらに、コネクタ21には、後述するバルーン40にエアを供給したり、バルーン40からエアを吸引したりするためのバルーン送気口42が設けられる。なお、ここでいう「エア」とはバルーン40(後述のバルーン78も含む)を膨張させるための気体であり、その種類(成分)は特に限定はされない。
【0032】
挿入部18は、挿入部18の基端側から先端側に向けて、軟性部44と、湾曲部46と、先端部48とを有する。湾曲部46は、手元操作部16に設けられた一対のアングルノブ38、38を回動することによって遠隔的に湾曲操作される。これにより、先端部48の先端面50を所望の方向に向けることができる。
【0033】
図2は、挿入部18の先端部48を拡大して示した斜視図である。
【0034】
図2に示すように、先端部48の先端面50は、観察窓52と、一対の照明窓54、54と、送気送水ノズル56と、鉗子口58とを有する。先端部48内で観察窓52の後方には、不図示の撮像素子が設けられる。観察像はこの撮像素子に結像され、光電変換される。撮像素子には信号ケーブル(不図示)が接続され、この信号ケーブルは、図1に示した挿入部18、手元操作部16及びユニバーサルケーブル20に挿通されコネクタ21まで延設され、光源装置24に接続される。撮像素子によって光電変換された観察像を示す電気信号は、光源装置24からプロセッサ30に出力され、ここで適宜信号処理された後、モニタ60に出力される。これにより、モニタ60に観察画像が表示される。
【0035】
先端部48内で一対の照明窓54、54の後方には、それぞれ不図示のライトガイドの出射端が配置される。各ライトガイドの入射端は光源装置24(図1参照)に接続される。これにより、光源装置24から各ライトガイドの入射端に供給された照明光は、各ライトガイドの出射端から一対の照明窓54、54を介して被観察部位に照射される。
【0036】
先端部48の外周面には、エア供給吸引口62が設けられる。このエア供給吸引口62は、挿入部18内からコネクタ21(図1参照)まで挿通された各種のチューブ等(不図示)を介してバルーン送気口42に連通される。よって、バルーン送気口42からエアを供給した場合には、そのエアは上記のチューブ等を介してエア供給吸引口62から外部に吹き出される。また、バルーン送気口42からエアを吸引した場合には、エア供給吸引口62から上記のチューブ等を介してエアが吸引される。
【0037】
また、挿入部18の先端部48には、各種弾性体等で形成されたバルーン40が着脱自在に装着される。バルーン40は、中央の膨出部40Cと、先端側及び基端側の取付部40A、40Bとを備える。バルーン40は、膨出部40Cの内側にエア供給吸引口62を配置した状態で、各取付部40A、40Bが公知の方法で先端部48に固定される。このように構成されたバルーン40は、エア供給吸引口62からエアが吹き出されることによって膨出部40Cが略球状に膨張し、エア供給吸引口62からエアが吸引されることによって膨出部40Cが収縮する。
【0038】
〔オーバーチューブ〕
図3は、オーバーチューブ10の側面図である。また、図4は、オーバーチューブ10を基端側から見た拡大斜視図である。
【0039】
図3及び図4に示すように、オーバーチューブ10は、オーバーチューブ本体70を有する。オーバーチューブ本体70は、各種可撓性材料等で筒状に形成される。オーバーチューブ本体70の外形は、中心軸A方向に沿って略一定の大きさである。オーバーチューブ本体70の内部には、中心軸A方向に沿った第1挿通管路71が形成される。オーバーチューブ本体70の第1挿通管路71の内周面は、挿入部18の外径よりも僅かに大きい内径を有する。
【0040】
オーバーチューブ本体70の基端側には、術者によって把持される管状の把持部80が接続される。把持部80の内部には、中心軸A方向に沿った第2挿通管路81が形成される。この第2挿通管路81に連通した挿入口82が把持部80の基端側に形成される。オーバーチューブ本体70と把持部80とを接続することにより、第1挿通管路71と第2挿通管路81とが連通し、挿通管路11が形成される。挿入口82はオーバーチューブ10の挿通管路11に連通される。挿入部18は、挿通管路11の内部において中心軸A方向に沿って移動可能である。本明細書において「先端」又は「先端側」は体腔内に挿入される方向側を指し、「基端」又は「基端側」は「先端」又は「先端側」と反対側を指す。オーバーチューブ10は本発明の挿入補助具の一例である。オーバーチューブ本体70は、本発明のチューブ本体の一例である。把持部80は、本発明の把持部の一例である。挿通管路11は、本発明の挿通管路の一例である。挿入口82は、本発明の挿入口の一例である。中心軸A方向は、本発明の軸方向の一例である。
【0041】
オーバーチューブ本体70の先端側の外周面には、各種弾性体で形成されたバルーン78が装着される。また、オーバーチューブ本体70には、外周面と内周面との間に、中心軸A方向に沿うエア給排管路(不図示)が形成される。エア給排管路は、バルーン78の内側に位置する外周面で、バルーン78に対するエア供給吸引口(不図示)として開口する。
【0042】
把持部80の外周面には、エア給排管路に連通したバルーン送気管93が設けられる。バルーン送気管93は、バルーン送気口93Aとバルーン送気チューブ93Bとから構成される。
【0043】
バルーン送気口93Aは、チューブ106(図1参照)を介してバルーン制御装置100に接続される。バルーン制御装置100を駆動してバルーン送気口93Aにエアを送気すると、そのエアはバルーン送気チューブ93Bとオーバーチューブ本体70のエア給排管路を介してエア供給吸引口から吹き出される。これによってバルーン78が膨張される。また、バルーン制御装置100によってエアが吸引されると、バルーン78内のエアがエア供給吸引口からエア給排管路を介して吸引される。これによってバルーン78が収縮される。
【0044】
図1に示すように、バルーン制御装置100は、チューブ104を介して内視鏡14のバルーン送気口42に接続されると共に、チューブ106を介してオーバーチューブ本体70のバルーン送気管93に接続される。また、バルーン制御装置100は、ハンドスイッチ102が接続される。このバルーン制御装置100は、ハンドスイッチ102からの制御信号に応じて、各バルーン40、78にそれぞれエアを供給したり、各バルーン40、78内のエアを吸引したりする。これにより、各バルーン40、78が個別に膨張したり収縮したりする。
【0045】
把持部80の外周面には、オーバーチューブ10の挿通管路11に水等の潤滑剤を供給するための液供給管94が設けられている。液供給管94は、液供給口94Aと液供給チューブ94Bとから構成される。液供給口94Aには、シリンジ等の潤滑剤供給手段(不図示)が接続される。液供給管94から供給される潤滑剤は、オーバーチューブ10の挿通管路11の内周面と、挿通管路11に挿通される(内視鏡14の)挿入部18の外周面との摩擦を低減する。
【0046】
<把持部>
把持部80は、各種硬質材料によって筒状に構成されている。図3及び図4に示すように、把持部80は、先端側から基端側に向かって順に、第1筒部84と、第2筒部85と、挿入口形成部86とを備える。第1筒部84は筒状を有している。第1筒部84は、オーバーチューブ本体70の基端側に位置する。第1筒部84は、本発明の第1筒部の一例である。
【0047】
第2筒部85は筒状であり、第1筒部84の基端側(オーバーチューブ本体70の反対側)に設けられる。第2筒部85は、第1筒部84よりも大きな外形を有する。第2筒部85は、本発明の第2筒部の一例である。
【0048】
把持部80は、第1筒部84と第2筒部85との間に、第1筒部84及び第2筒部85よりも大きな外形を有するフランジ部87を有する。フランジ部87は、本発明のフランジ部の一例である。
【0049】
フランジ部87は、第1筒部84及び第2筒部85の外周面から径方向の外側に向けて突出した部分であり、把持部80の全周に亘って円板状に形成される。
【0050】
挿入口形成部86は、第2筒部85の基端側(第1筒部84の側とは反対側)に設けられる。挿入口形成部86は、挿入口形成部86の先端側(第1筒部84の側)から基端側(第1筒部84の側とは反対側)へ向かって拡径した漏斗状の外形を有している。挿入口形成部86の基端側には、挿入口82が形成される。挿入口形成部86は、本発明の挿入口形成部の一例である。
【0051】
挿入口形成部86の基端側は、基端キャップ88により構成される。基端キャップ88は、挿入口形成部86における漏斗状の最大径部と同形状の外形を有している。基端キャップ88には、挿入口82となる開口が形成されている。基端キャップ88の外周面には、挿入口形成部86に取り付ける際の目印となる突起96が形成されている(後述の図11、12参照)。また、基端キャップ88の内部には、漏れ防止弁89が設けられる。漏れ防止弁89は、オーバーチューブ10の挿通管路11に挿入部18が挿通された状態で体内に挿入された場合に、挿通管路11の先端側から内部に流入した体液(液体)が挿入口82から流出することを防ぐために設けられる弁部材である。漏れ防止弁89は弾性部材からなり、その中央部には挿入部18を挿通させるための開口89Aが形成されている。漏れ防止弁89は、挿入部18が挿通管路11に挿通された場合に挿入部18の外周面に密着することで、挿通管路11を通じた体液の流出を防止する。漏れ防止弁89は、本発明の漏れ防止弁の一例である。
【0052】
<把持部の外周面形状>
次に、本発明の特徴部分となる把持部80の外周面90の形状について説明する。実施形態における把持部80は、第1筒部84と、第2筒部85と、挿入口形成部86とから構成されており、各部の外周面の形状は互いに相似形状となっている。以下、把持部80を構成する各部(第1筒部84、第2筒部85、及び挿入口形成部86)の外周面の形状の共通事項を説明する場合は、把持部80の外周面90と総称する。
【0053】
図5は、把持部80の外周面90の形状を説明するための図であり、中心軸A方向に直交する方向から把持部80を見た断面図である。なお、図5において、実線は、把持部80の外周面90を示している。また、二点鎖線は、把持部80の外周面90に外接する外接円Cを示している。
【0054】
図5に示すように、把持部80の外周面90を中心軸Aを中心とする周方向に等間隔(90度毎に)に4つの領域に分割した場合、各領域に存在する4つの面である第1面90A、第2面90B、第3面90C、及び第4面90Dは、外側に向かって凸状であり、且つ、外接円Cよりも中心軸A側に僅かにシフトした位置に形成されている。換言すれば、把持部80の外周面90は、周方向に分割された4つの領域(面)がそれぞれ外接円Cに対して偏平化されている。
【0055】
具体的には、図5に示すように、外周面90を構成する第1面90A、第2面90B、第3面90C、及び第4面90Dのそれぞれの一部(図5において各面の中央部分)は、外接円Cと比較すると、中心軸Aの側に距離L1、L2、L3及びL4だけ中心軸Aに近づく側に位置している。なお、本明細書において「偏平化」とは、把持部80の外周面90の少なくとも一部(本例では4つの面)が、把持部80の外周面90に外接する外接円Cよりも中心軸A側にシフトされた位置にある状態(但し、中心軸A側に凹状に凹んだ状態を除く。)をいう。
【0056】
図5に示した例では、把持部80の外周面90は、中心軸A方向に直交する方向において対(第1面90Aと第3面90Cとの対、及び第2面90Bと第4面90Dとの対)になって互いに対向する4つの面が偏平化された形状で構成される。
【0057】
把持部80の外周面90が上記のように偏平化された各偏平化面(第1面90A、第2面90B、第3面90C、及び第4面90D)を備えることにより、術者又は介助者が作業する際、外周面90と指との接触する面積が大きくなる。また、把持部80の外周面90において、隣り合う偏平化面同士を繋ぐ境界部分(連結部)は偏平化面よりも曲率半径が小さく、指が外周面90に掛かりやすくなっている。
【0058】
把持部80の外周面90は、各偏平化面と外接円Cとの間の距離L1、L2、L3及びL4が同じ距離となっている。なお、距離L1、L2、L3及びL4は、その一部が異なる距離であってもよいし、全てが異なっていてもよい。例えば、対向する第1面90Aと第3面90Cにおける距離L1とL3とが等しく(L1=L3)、対向する第2面90Bと第4面90Dにおける距離L2とL4とが等しく(L2=L4)、且つ対となる距離同士が異なる(L1≠L2)場合であってもよい。
【0059】
<第1筒部、第2筒部及び挿入口形成部>
第1筒部84、第2筒部85及び挿入口形成部86の外周面の形状について説明する。
【0060】
図6の6-1は、中心軸A方向に直交する方向から見た第1筒部84の断面図(図3の6-1線に沿う断面図)である。図6の6-2は、中心軸A方向に直交する方向から見た第2筒部85の断面図(図3の6-2線に沿う断面図)である。
【0061】
図6の6-1では、第1筒部84の第1外周面840の形状を法線ベクトルNVと曲率包絡線CEとにより示している。法線ベクトルNVは第1外周面840に直交するベクトルである。法線ベクトルNVの長さは、法線ベクトルNVが導出される点における曲率の大きさを示す。すなわち、法線ベクトルNVの長さが長い場合にはその点における曲率が大きい(曲率半径が小さい)ことを示し、法線ベクトルNVの長さが短い場合にはその点における曲率が小さい(曲率半径が大きい)ことを示している。曲率包絡線CEは、第1外周面840の曲率の相対的な大きさを示した線図であり、第1外周面840の曲率の変化を表す。
【0062】
図6の6-1に示すように、第1外周面840は、中心軸Aを通過する直線に対して線対称となる形状を有しており、周方向に沿って連続的に曲率が変化した形状で構成される。第1外周面840は4つの偏平化面で構成されており、互いに対向する一対の辺部840Aと840C、及び一対の弧部840Bと840Dを備える。一対の弧部840Bと840Dが、一対の辺部840Aと840Cの端部同士を連結する。
【0063】
図6の6-2では、図6の6-1と同様に、第2筒部85の第2外周面850の形状を法線ベクトルNVと曲率包絡線CEとにより示している。第2筒部85の第2外周面850は、上述した第1筒部84の第1外周面840と相似形状に構成されており、第1外周面840に対して相対的に小さな形状となっている。
【0064】
図6の6-2に示すように、第2外周面850は、中心軸Aを通過する直線に対して線対称な形状を有しており、周方向に沿って連続的に曲率が変化した形状で構成される。第2外周面850は4つの偏平化面で構成されており、互いに対向する一対の辺部850Aと850C、及び一対の弧部850Bと850Dを備える。一対の弧部850Bと850Dが、一対の辺部850Aと850Cの端部同士を連結する。
【0065】
第1筒部84の第1外周面840は、本発明の第1筒部の外周面の一例である。第2筒部85の第2外周面850は、本発明の第2筒部の外周面の一例である。互いに対向する一対の辺部840Aと840C、及び互いに対向する一対の辺部850Aと850Cは、本発明の互いに対向する一対の辺部の一例である。一対の弧部840Bと840D、及び一対の弧部850Bと850Dは、本発明の一対の弧部の一例である。
【0066】
第1筒部84の第1外周面840(弧状の一対の辺部840Aと840C、及び一対の弧部840Bと840D)における曲率半径は6.0mm以上15.0mm以下の範囲内であることが好ましい。第2筒部85の第2外周面850(弧状の一対の辺部850Aと850C、及び一対の弧部850Bと850D)における曲率半径は4.0mm以上13.0mm以下の範囲内であることが好ましい。
【0067】
図7は、挿入口形成部86を中心軸A方向の基端側から見た図である。既述のとおり挿入口形成部86の基端部は基端キャップ88で構成されており、第1筒部84の第1外周面840及び第2筒部85の第2外周面850と相似形状で構成される。挿入口形成部86の外周面860は、中心軸Aを通過する直線に対して線対称となる形状を有しており、周方向に沿って連続的に曲率が変化した形状で構成される。挿入口形成部86の外周面860は4つの偏平化面で構成されており、一対の辺部860Aと860C、及び一対の弧部860Bと860Dとを備える。一対の辺部860Aと860Cは、本発明の一対の辺部の一例である。一対の弧部860Bと860Dは、本発明の一対の弧部の一例である。
【0068】
実施形態における把持部80では、図6の6-1に示すように、第1筒部84の第1外周面840において、辺部(辺部840Aと840C)と、弧部(弧部840Bと840D)の境界部分である連結部840E(〇で示す)は辺部及び弧部よりも曲率が大きい部分となっており、角部のない丸みを帯びた形状を有している。
【0069】
また、図6の6-2に示すように、第2筒部85の第2外周面850においても同様に、辺部(辺部850Aと850C)と、弧部(弧部850Bと850D)の境界部分である連結部850Eは辺部及び弧部よりも曲率が大きい部分となっており、角部のない丸みを帯びた形状を有している。
【0070】
また、図7に示すように、挿入口形成部86の外周面860においても同様に、辺部(辺部860Aと860C)と、弧部(弧部860Bと860D)の境界部分である連結部860Eは辺部及び弧部よりも曲率が大きい部分となっており、角部のない丸みを帯びた形状を有している。連結部840E、850E及び860Eは、本発明の連結部の一例である。
【0071】
第1筒部84、第2筒部85、フランジ部87及び挿入口形成部86の各外形の大きさ、及び各長さは、好ましくは、以下の範囲を適用することができる。
【0072】
第1筒部84の外形は、オーバーチューブ本体70の外形より大きく、中心軸A方向に沿って略一定の大きさである。具体的には、第1筒部84の外周面の最大径(外接円の直径)は、オーバーチューブ本体70の外周面(円筒面)の外径より大きく、例えば、10mm以上40mm以下であり、好ましくは15mm以上25mm以下(より好ましくは17mm以上20mm以下)である。また、第1筒部84の中心軸A方向の長さは、例えば、20mm以上100mm以下であり、好ましくは35mm以上60mm以下(より好ましくは40mm以上50mm以下)である。
【0073】
第2筒部85の外形は、第1筒部84の外形より小さく、中心軸A方向に沿って略一定の大きさである。また、第2筒部85は、第1筒部84よりも中心軸A方向の長さが短い。具体的には、第2筒部85の外周面の最大径(外接円の直径)は、第1筒部84の外周面の最大径(外接円の直径)より小さく、例えば、8mm以上30mm以下であり、好ましくは10mm以上20mm以下(より好ましくは12mm以上16mm以下)である。また、第2筒部85の中心軸A方向の長さは、例えば、5mm以上50mm以下であり、好ましくは8mm以上30mm以下(より好ましくは10mm以上20mm以下)である。
【0074】
フランジ部87の円形外縁部の外径は、第1筒部84及び第2筒部85の最大径(外接円の直径)より大きく、例えば、12mm以上50mm以下であり、好ましくは14mm以上30mm以下(より好ましくは16mm以上25mm以下)である。
【0075】
挿入口形成部86の基端部(基端キャップ88)の外形は、第1筒部84及び第2筒部85の最大径(外接円の直径)より大きく、好ましくはフランジ部87の円形外縁部の外径より大きい。具体的には、挿入口形成部86の基端部の外周面の最大径(外接円の直径)は、第1筒部84及び第2筒部85の外周面の最大径(外接円の直径)より大きく、例えば、15mm以上50mm以下であり、好ましくは18mm以上40mm以下(より好ましくは20mm以上30mm以下)である。また、挿入口形成部86の中心軸A方向の長さは、例えば、5mm以上30mm以下であり、好ましくは7mm以上20mm以下(より好ましくは8mm以上12mm以下)である。
【0076】
なお、実施形態における把持部80では、第1外周面840の辺部840Aと840C、第2外周面850の辺部850Aと850C、及び外周面860の辺部860Aと860Cが、それぞれ、弧状の曲線により構成される場合を例示したが、この構成に限らず、それらの一部又は全部が直線で構成されていてもよい。
【0077】
図8は、術者又は介助者がオーバーチューブ10の把持部80を把持して行う操作を説明するための図である。図8の8-1は、術者H1がオーバーチューブ10を手元側に引き込み操作をする際の状態を示している。引き込み操作の前提として、オーバーチューブ本体70のバルーン78と挿入部18のバルーン40とが膨張され、腸内に固定されている。
【0078】
術者H1は、バルーン40と78とを膨らませた状態でオーバーチューブ本体70と挿入部18の両方を矢印方向に引っ張って腸をたたむ操作を行う。術者H1は、引き込み操作の際、第2筒部85を指(親指と人差し指)で把持する。そして、他の指と掌で挿入部18を把持して一緒に引っ張る。第2筒部85の第2外周面850(不図示)は既述のとおり偏平化されているので、指との接触面積が大きくなる。また、第2外周面850において、隣り合う偏平化面同士を繋ぐ境界部分(連結部)は偏平化面よりも曲率が大きく(曲率半径が小さく)、指が第2外周面850に掛かりやすくなる。また、第2筒部85の基端側に挿入口形成部86が形成されているので、挿入口形成部86の拡径した部分に術者の指が掛かりやすくなり、術者H1にとってオーバーチューブ10と挿入部18とを引っ張りやすくなる。
【0079】
図8の8-2は、術者H1と介助者H2とが挿入部18をオーバーチューブ10に挿入する挿入操作をする際の状態を示している。挿入操作する前提として、オーバーチューブ10は膨張されたバルーン78により腸内に固定されている。
【0080】
術者H1は、押し込み操作の際、バルーンを縮めた状態の挿入部18を指と掌で把持する。術者H1は挿入部18を矢印方向に押し込む。介助者H2は、オーバーチューブ10が移動しないように、第1筒部84を指(親指、人差し指、及び中指)で把持する。第1筒部84の第1外周面840(不図示)は既述のとおり偏平化されているので、指との接触面積が大きくなり、介助者H2は把持部80をしっかり把持することができる。このとき、介助者H2の指がフランジ部87に当たり、把持部80が介助者H2の掌を滑り難くなり把持状態が安定する。
【0081】
なお、図8に示すように、第1筒部84は介助者H2が指(親指、人差し指、及び中指)で把持するので、中心軸A方向に長く、外形が大きい方が好ましい。一方、第2筒部85は術者が指(親指、及び人差し指)で把持するので、中心軸A方向に短く、外形が小さい方が好ましい。
【0082】
以上のように構成される実施形態のオーバーチューブ10によれば、把持部80の外周面90(第1外周面840、第2外周面850及び外周面860)が偏平化面を有しているので、術者又は介助者が把持部80を把持する際に指との接触する面積が大きくなり、指が掛かりやすくなる。したがって、術者又は介助者にとって、把持部80に対する握りやすさ、指当たり、及びひねりやすさが良くなり、把持部80のユーザビリティが向上する。
【0083】
<把持部の外周面の変形例>
上記実施形態では、把持部80の外周面90(第1外周面840、第2外周面850及び外周面860)が4つの偏平化面を有する構成を示したが、これに限定されず、外周面90の少なくとも一部が偏平化されるものであってもよい。
【0084】
図9は、変形例に係る把持部を軸方向に直交する方向から見た断面図である。図9の9-1に示した変形例における把持部80Aの外周面90は、第1面90Aのみ偏平化面で構成される。外周面90の第1面90Aを除く面は偏平化されておらず、外接円Cと一致する。
【0085】
図9の9-2に示した変形例における把持部80Bの外周面90は、互いに対向する第1面90Aと第3面90Cとが偏平化面で構成される。外周面90の第1面90Aと第3面90Cとを除く面は偏平化されておらず、外接円Cと一致する。
【0086】
これらの変形例のように把持部80Bの外周面90の少なくとも一部が偏平化された構成であっても、術者又は介助者にとって、把持部80に対する等握りやすさ、指当たり、及びひねりやすさが良くなり、把持部80のユーザビリティが向上する。
【0087】
また、上記実施形態では、好ましい態様の1つとして、把持部80の外周面90に相当する第1外周面840、第2外周面850及び外周面860が互いに相似形状を有する構成を示したが、これに限らず、これらの一部又は全部が非相似形状であってもよい。
【0088】
<オーバーチューブの組立構造>
図10は、オーバーチューブ10の組立構造を説明するための図である。図10において、10-1は把持部80の組立前の状態を示した図であり、10-2は把持部80の組立後の状態を示した図である。
【0089】
図10に示すように、把持部80は、第1部材110と、第2部材120と、基端キャップ88とを備える。第1部材110は、先端側から基端側に向かって順に、第1本体部110Aと、第1フランジ部110Bとを備える。第1部材110は、第1本体部110Aと第1フランジ部110Bとが一体成型され構成される。第1部材110は、中心軸A方向に貫通する嵌入路110Cが形成されたスリーブ状の形状を有している。
【0090】
第1本体部110Aは筒状の外形を有する。第1本体部110Aは、組立後に第1筒部84となるので、外周面の少なくとも一部は、中心軸A方向に直交する見た断面視において、図6の6-1で示した形状(偏平化形状)を有している。
【0091】
第1フランジ部110Bは、第1本体部110Aの基端側に設けられる。第1フランジ部110Bは、基端側に向かうに従い徐々に拡径する形状を有する。
【0092】
第2部材120は、先端側から基端側に向かって順に、第1嵌入部120Aと、第2嵌入部120Bと、第2フランジ部120Cと、第2本体部120Dと、拡径部120Eとを有する。第2部材120は、第1嵌入部120Aと、第2嵌入部120Bと、第2フランジ部120Cと、第2本体部120Dと、拡径部120Eとが一体成型され構成される。第2部材120には、中心軸A方向に貫通する貫通路120Fが形成される。
【0093】
第1嵌入部120Aは、筒状の形状を有している。第1嵌入部120Aはオーバーチューブ本体70の第1挿通管路71に嵌入される部分である。この嵌入により、把持部80とオーバーチューブ本体70とが接続される。
【0094】
第2嵌入部120Bは、第1嵌入部120Aの基端側に配置され、筒状の形状を有している。第2嵌入部120Bは、第1嵌入部120Aより大きな外形を有する。第2嵌入部120Bは、第1部材110の嵌入路110Cに嵌入される部分である。この嵌入により、第1部材110と第2部材120とが接続される。
【0095】
第2フランジ部120Cは、第2嵌入部120Bの基端側に配置され、第2嵌入部120Bから外径方向に突出し、基端に向かうに従い徐々に縮径する形状を有する。把持部80の組立後に第1フランジ部110Bと第2フランジ部120Cとがフランジ部87となる。
【0096】
第2本体部120Dは、第2フランジ部120Cの基端側に配置され、筒状の形状を有している。第2本体部120Dの外形は、第1部材110の第1本体部110Aの外形より小さい。第2本体部120Dは、把持部80の組立後に第2筒部85となる部分である。すなわち、第2本体部120Dの外周面は、図6の6-2に示した形状(偏平化形状)を有している。
【0097】
拡径部120Eは、第2本体部120Dの基端側に配置され、基端に向かうに従い徐々に拡径した漏斗状の外形を有する。拡径部120Eは、把持部80の組立後に挿入口形成部86となる部分である。すなわち、拡径部120Eの外周面は、図7に示した形状(偏平化形状)を有している。拡径部120の基端側には円筒状の基端キャップ取付部が設けられており、基端キャップ取付部の外周部に基端キャップ88が取り付けられる。
【0098】
<バルーン送気管と液供給管の組立構造>
図11から図13に基づいてバルーン送気管93と液供給管94の組立構造を説明する。図11に示すように、バルーン送気管93と液供給管94とが把持部80のフランジ部87から導出される。具体的には、フランジ部87の基端側の面に形成された開口87Aからバルーン送気チューブ93Bと液供給チューブ94Bが外部に導出される。バルーン送気チューブ93Bと液供給チューブ94Bが開口87A内に収容されるので、バルーン送気チューブ93Bと液供給チューブ94Bとが把持部80から位置ずれすることが抑制される。
【0099】
図12は、図11のオーバーチューブ10から第1部材110(不図示)を取り外した状態を示している。図12に示すように、第2部材120の第2嵌入部120Bの外周面にオーバーチューブ10の挿通管路11に連通する貫通孔120Gが形成される。液供給チューブ94Bの基端側(液供給口94Aと反対側)の端部には、金属パイプ94Cが取り付けられる。金属パイプ94Cは、貫通孔120Gに挿通され、挿通管路11に連通する。金属パイプ94Cは挿通管路11の側に折り曲げられた形状を有している。水等の潤滑剤は、液供給口94A、液供給チューブ94B及び金属パイプ94Cを介して挿通管路11に供給される。
【0100】
バルーン送気チューブ93Bの基端側(バルーン送気口93Aと反対側)の端部には金属パイプ93Cが取り付けられる。金属パイプ93Cは、オーバーチューブ本体70に設けられたエア給排管路72に挿通される。金属パイプ93Cは、ほぼ直線状の形状を有している。エアが、バルーン送気口93A、バルーン送気チューブ93B、金属パイプ94Cを及びエア給排管路72を介して、バルーン78に対して給気又は排気される。
【0101】
第2部材120の第2フランジ部120Cには、バルーン送気チューブ93Bと液供給チューブ94Bとを通過させる溝120Hが形成される。第2部材120の溝120Hと第1部材110の第1フランジ部110Bとにより、開口87A(図11参照)が形成される。
【0102】
図13は、第2部材120の一部と金属パイプ93Cと94Cを拡大した拡大図である。図13に示すように、第2嵌入部120Bの外周面に、中心軸A方向に沿う段差部120Iが形成される。段差部120Iは、溝120Hに対し周方向位置が同一となる位置に配置される。段差部120Iは、第2嵌入部120Bの他の部分と比較して内側(中心軸Aの側)に窪んだ矩形の領域である。段差部120Iには、バルーン送気チューブ93Bと液供給チューブ94Bとが収容される。段差部120Iは、金属パイプ93C及び94Cの形状に対応する細長の部分を有する。段差部120Iにより金属パイプ93C及び94Cの位置ずれを抑制できる。
【0103】
段差部120Iには、周方向(中心軸A周りの方向)の中央部に中心軸A方向に沿って形成された壁部120Jが設けられる。壁部120Jにより、バルーン送気チューブ93Bと液供給チューブ94Bとが分離され、位置決めされる。
【0104】
以上、本発明に係る挿入補助具について詳細に説明したが、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、いくつかの改良又は変形を行ってもよい。
【符号の説明】
【0105】
1…内視鏡装置
10…オーバーチューブ
11…挿通管路
14…内視鏡
16…手元操作部
18…挿入部
20…ユニバーサルケーブル
21…コネクタ
24…光源装置
30…プロセッサ
32…送気送水ボタン
34…吸引ボタン
36…シャッターボタン
38…アングルノブ
39…鉗子挿入部
40…バルーン
40A…取付部
40B…取付部
40C…膨出部
42…バルーン送気口
44…軟性部
46…湾曲部
48…先端部
50…先端面
52…観察窓
54…照明窓
56…送気送水ノズル
58…鉗子口
60…モニタ
62…エア供給吸引口
70…オーバーチューブ本体
71…第1挿通管路
72…エア給排管路
78…バルーン
80…把持部
80A…把持部
80B…把持部
81…第2挿通管路
82…挿入口
84…第1筒部
85…第2筒部
86…挿入口形成部
87…フランジ部
87A…開口
88…基端キャップ
89…漏れ防止弁
89A…開口
90…外周面
90A…第1面
90B…第2面
90C…第3面
90D…第4面
93…バルーン送気管
93A…バルーン送気口
93B…バルーン送気チューブ
93C…金属パイプ
94…液供給管
94A…液供給口
94B…液供給チューブ
94C…金属パイプ
96…突起
100…バルーン制御装置
102…ハンドスイッチ
104…チューブ
106…チューブ
110…第1部材
110A…第1本体部
110B…第1フランジ部
110C…嵌入路
120…第2部材
120A…第1嵌入部
120B…第2嵌入部
120C…第2フランジ部
120D…第2本体部
120E…拡径部
120F…貫通路
120G…貫通孔
120H…溝
120I…段差部
120J…壁部
840…第1外周面
840A…辺部
840B…弧部
840C…辺部
840D…弧部
840E…連結部
850…第2外周面
850A…辺部
850B…弧部
850C…辺部
850D…弧部
850E…連結部
860…外周面
860A…辺部
860B…弧部
860C…辺部
860D…弧部
860E…連結部
A…中心軸
CE…曲率包絡線
H1…術者
H2…介助者
L1…距離
L2…距離
L3…距離
L4…距離
NV…法線ベクトル
C…外接円
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13