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特開2024-124987基板処理装置、および制御位置設定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124987
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】基板処理装置、および制御位置設定方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240906BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20240906BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
H01L21/68 N
C23C16/44 F
C23C16/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033019
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】富永 凌也
(72)【発明者】
【氏名】藤尾 丹
(72)【発明者】
【氏名】百々 正已
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 学
(72)【発明者】
【氏名】和田 博之
【テーマコード(参考)】
4K030
5F131
【Fターム(参考)】
4K030EA06
4K030GA06
4K030GA12
4K030HA12
4K030KA39
4K030KA41
5F131AA02
5F131BA04
5F131CA32
5F131DB02
5F131EA04
5F131EB67
5F131EB72
5F131EB78
5F131EB81
5F131EB82
5F131EB85
(57)【要約】
【課題】リフタ部の制御位置を精度よく設定でき、かつ作業の効率化を図ることができる技術を提供する。
【解決手段】基板処理装置は、真空容器と、回転テーブルと、載置台と、リフタ部と、リフタ部の動作を制御する制御部と、を備える。制御部は、リフタ部の動作における制御位置を自動的に設定する。制御部は、(A)の工程において、第1ピッチだけリフタ部を上昇させた後に、基板にリフタ部が接触したか否かを判定する処理を繰り返して、基板にリフタ部を接触させて次回位置を設定する。制御部は、(B)の工程において、次回位置から、第1ピッチよりも短い第2ピッチだけリフタ部を上昇させた後、基板にリフタ部が接触したか否かを判定する処理を繰り返してタッチ位置を検出し、タッチ位置に基づき制御位置を算出する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器と、
前記真空容器の内部に回転可能に設けられる回転テーブルと、
前記回転テーブルの回転中心から離れた位置で基板を載置する載置台と、
前記載置台と相対的に変位して前記基板を昇降させるリフタ部と、
前記リフタ部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記リフタ部の動作における制御位置を自動的に設定する構成であり、当該制御位置の設定では、
(A)第1ピッチだけ前記リフタ部を上昇させた後に、前記載置台に載置された前記基板に前記リフタ部が接触したか否かを判定する処理を繰り返すことで、前記基板に前記リフタ部が接触する位置を検出し、検出した位置に基づき次回位置を設定する工程と、
(B)前記次回位置から、前記第1ピッチよりも短い第2ピッチだけ前記リフタ部を上昇させた後、前記載置台に載置された前記基板に前記リフタ部が接触したか否かを判定する処理を繰り返すことで、前記基板に前記リフタ部が接触するタッチ位置を検出し、前記タッチ位置に基づき前記制御位置を算出する工程と、を制御する、
基板処理装置。
【請求項2】
前記制御位置は、前記リフタ部が支持した前記基板を前記載置台に載置する時または前記載置台から前記リフタ部が前記基板を浮上させる時に、前記リフタ部の速度を切り替える位置である、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御位置は、前記載置台に載置される前記基板よりも鉛直方向下側に設定されるロード位置と、前記載置台に載置される前記基板よりも鉛直方向上側に設定されるアンロード位置と、を含む、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記(B)の工程で検出した前記タッチ位置にアンロード位置用調整値を加算することで前記アンロード位置を算出し、さらに算出した前記アンロード位置にロード位置用調整値を加算することで前記ロード位置を算出する、
請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記次回位置は、前記(A)の工程で前記基板に前記リフタ部が接触した位置に対して、下降する方向のオフセット値を加算した位置である、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記リフタ部の鉛直方向上側から前記載置台に載置された前記基板を撮像する撮像部を備え、
前記制御部は、
前記(A)の工程において、前記リフタ部が前記第1ピッチ上昇する毎に前記撮像部により前記基板を撮像し、この撮像情報に基づき前記基板に前記リフタ部が接触したか否かを判定し、
前記(B)の工程において、前記リフタ部が前記第2ピッチ上昇する毎に前記撮像部により前記基板を撮像し、この撮像情報に基づき前記基板に前記リフタ部が接触したか否かを判定する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記載置台から前記基板が浮上した際に、前記撮像情報における前記基板の外縁の影の変化に基づき、前記基板に前記リフタ部が接触したか否かを判定する、
請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記(A)の工程および前記(B)の工程において、前記リフタ部をピッチ毎に上昇させる動作の実行回数をカウントし、前記実行回数が回数閾値未満の場合に、上昇を続ける一方で、前記実行回数が前記回数閾値以上の場合に、異常を報知する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記回転テーブルは、前記載置台を複数備え、複数の前記基板を回転させる構成であり、
前記制御部は、
複数の前記載置台について前記(A)の工程および前記(B)の工程を行うことで、前記タッチ位置および前記制御位置を設定し、
かつ設定した複数の前記載置台の前記タッチ位置の差分を算出し、算出した前記差分に基づき複数の前記載置台の正常または異常を判定し、複数の前記載置台の異常を判定した場合にユーザに報知する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
真空容器と、
前記真空容器の内部に回転可能に設けられる回転テーブルと、
前記回転テーブルの回転中心から離れた位置で基板を載置する載置台と、
前記載置台と相対的に変位して前記基板を昇降させるリフタ部と、を備える基板処理装置において、前記リフタ部の動作における制御位置を設定する制御位置設定方法であって、
(A)第1ピッチだけ前記リフタ部を上昇させた後に、前記載置台に載置された前記基板に前記リフタ部が接触したか否かを判定する処理を繰り返すことで、前記基板に前記リフタ部が接触する位置を検出し、検出した位置に基づき次回位置を設定する工程と、
(B)前記次回位置から、前記第1ピッチよりも短い第2ピッチだけ前記リフタ部を上昇させた後、前記載置台に載置された前記基板に前記リフタ部が接触したか否かを判定する処理を繰り返すことで、前記基板に前記リフタ部が接触するタッチ位置を検出し、前記タッチ位置に基づき前記制御位置を算出する工程と、を有する、
制御位置設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、および制御位置設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、真空容器と、真空容器内で複数の基板を載置して回転する回転テーブルと、を備えた基板処理装置が開示されている。例えば、基板処理装置は、回転テーブルを回転させつつ、真空容器内に処理ガスを供給することで、載置された各基板に対して基板処理を行う。
【0003】
この種の基板処理装置は、回転テーブルの複数の載置台に基板を載置するために、真空容器の搬送口付近に上下に昇降可能なリフタ部を備える。基板処理装置のユーザは、リフタ部が昇降する際に使用する制御位置を、装置の立ち上げ時やメンテナンス時等に設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-060936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、リフタ部の制御位置を精度よく設定でき、かつ作業の効率化を図ることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、真空容器と、前記真空容器の内部に回転可能に設けられる回転テーブルと、前記回転テーブルの回転中心から離れた位置で基板を載置する載置台と、前記載置台と相対的に変位して前記基板を昇降させるリフタ部と、前記リフタ部の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記リフタ部の動作における制御位置を自動的に設定する構成であり、当該制御位置の設定では、(A)第1ピッチだけ前記リフタ部を上昇させた後に、前記載置台に載置された前記基板に前記リフタ部が接触したか否かを判定する処理を繰り返すことで、前記基板に前記リフタ部が接触する位置を検出し、検出した位置に基づき次回位置を設定する工程と、(B)前記次回位置から、前記第1ピッチよりも短い第2ピッチだけ前記リフタ部を上昇させた後、前記載置台に載置された前記基板に前記リフタ部が接触したか否かを判定する処理を繰り返すことで、前記基板に前記リフタ部が接触するタッチ位置を検出し、前記タッチ位置に基づき前記制御位置を算出する工程と、を制御する、基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
一態様によれば、リフタ部の制御位置を精度よく設定でき、かつ作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る基板処理装置の構成例を示す縦断面図である。
図2図1の基板処理装置の真空容器内の構成を示す平面図である。
図3図1の基板処理装置の回転テーブルおよび載置台の構成を示す斜視図である。
図4図1のリフタ部の各上側構造部の周辺を拡大して示す部分断面図である。
図5】リフタ部の制御位置設定方法の処理フローを示すフローチャートである。
図6】ユーザインタフェースに表示される画面情報の一例を示す説明図である。
図7】第1調整工程の処理フローを示すフローチャートである。
図8】第2調整工程の処理フローを示すフローチャートである。
図9】制御位置設定方法により設定したタッチ位置と、変位計により載置面を計測した実測値とを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
[基板処理装置の構成]
図1図3を参照して、基板処理装置1について説明する。図1は、実施形態に係る基板処理装置1の構成例を示す縦断面図である。図2は、図1の基板処理装置1の真空容器11内の構成を示す平面図である。なお、図2においては、説明の便宜上、天板の図示を省略している。図3は、図1の基板処理装置1の回転テーブル21および載置台211の構成を示す斜視図である。
【0011】
基板処理装置1は、処理部10、回転駆動装置20、リフタ部30および制御部90を備える。
【0012】
処理部10は、基板Wに膜を形成する成膜処理を実行する。処理部10は、真空容器11、ガス導入部12、ガス排気部13、搬送口14、加熱部15および冷却部16を有する。
【0013】
真空容器11は、内部の空間を減圧可能な処理容器である。真空容器11は、略円形の平面形状を有する扁平な筐体に形成され、複数の基板Wを内部の空間に収容することができる。基板Wは、例えば、半導体ウエハであってよい。真空容器11は、本体111、天板112、側壁体113および底板114を含む(図1)。本体111は、円筒形状を有する。天板112は、本体111の上面に離脱可能に装着される。本体111と天板112とは、シール部115によって気密に密着する。側壁体113は、円筒形状を有し、本体111の下面に気密に連結される。底板114は、側壁体113の底面に気密に連結される。
【0014】
ガス導入部12は、原料ガスノズル121、反応ガスノズル122および分離ガスノズル123、124を含む(図2)。原料ガスノズル121、反応ガスノズル122および分離ガスノズル123、124は、後述する回転テーブル21の上方において、真空容器11の周方向(図2の矢印Aで示される方向)に沿って互いに間隔をあけて配置される。図示例では、搬送口14から時計回り(回転テーブル21の回転方向)に、分離ガスノズル123、原料ガスノズル121、分離ガスノズル124および反応ガスノズル122が、この順に配置される。原料ガスノズル121、反応ガスノズル122および分離ガスノズル123、124の各々は、各種のガスを導入するためのガス導入ポート121p、122p、123p、124p(図2)を基端部に有する。ガス導入ポート121p、122p、123p、124pは、本体111の側壁に固定され、本体111の外部に突出している。原料ガスノズル121、反応ガスノズル122および分離ガスノズル123、124は、本体111の側壁から真空容器11内に挿入され、本体111の半径方向内側に延出している。原料ガスノズル121、反応ガスノズル122および分離ガスノズル123、124は、例えば石英により形成されて、回転テーブル21に対して平行に配置されている。
【0015】
原料ガスノズル121は、配管および流量制御器等(不図示)を介して、原料ガスの供給源(不図示)に接続される。原料ガスとしては、例えば、シリコン含有ガス、金属含有ガスを利用できる。原料ガスノズル121には、回転テーブル21に向かって開口する複数の吐出孔(不図示)が、原料ガスノズル121の軸方向に沿って間隔を開けて配列される。原料ガスノズル121の下方領域は、原料ガスを基板Wに吸着させるための原料ガス吸着領域P1となる。
【0016】
反応ガスノズル122は、配管および流量制御器等(不図示)を介して、反応ガスの供給源(不図示)に接続される。反応ガスとしては、例えば、酸化ガス、窒化ガスを利用できる。反応ガスノズル122には、回転テーブル21に向かって開口する複数の吐出孔(不図示)が、反応ガスノズル122の軸方向に沿って間隔を開けて配列される。反応ガスノズル122の下方領域は、原料ガス吸着領域P1において基板Wに吸着された原料ガスを酸化または窒化させる反応ガス供給領域P2となる。本実施形態において、基板Wを処理する処理ガスは、以上の原料ガスおよび反応ガスが該当する。
【0017】
分離ガスノズル123、124は、いずれも配管および流量制御バルブ等(不図示)を介して、分離ガスの供給源(不図示)に接続される。分離ガスとしては、例えば、アルゴン(Ar)ガス、窒素(N)ガス等の不活性ガスを利用できる。分離ガスノズル123、124には、回転テーブル21に向かって開口する複数の吐出孔(不図示)が、分離ガスノズル123、124の軸方向に沿って間隔を開けて配列される。
【0018】
また、図2に示すように、真空容器11内には2つの凸状部17が設けられる。凸状部17は、分離ガスノズル123、124と共に分離領域Dを構成するため、回転テーブル21に向かって突出するように天板112の裏面に取り付けられる。各凸状部17は、頂部が円弧形状に切断された扇型の平面形状を有し、内円弧が突出部18に連結し、外円弧が真空容器11の側壁に沿うように配置される。
【0019】
ガス排気部13は、第1の排気口131および第2の排気口132を含む(図2)。第1の排気口131は、原料ガス吸着領域P1に連通する第1の排気領域E1の底部に形成される。第2の排気口132は、反応ガス供給領域P2に連通する第2の排気領域E2の底部に形成される。第1の排気口131および第2の排気口132は、図示しない排気配管を介して排気装置(不図示)に接続される。
【0020】
搬送口14は、本体111の側壁に設けられる(図2)。搬送口14では、真空容器11内の回転テーブル21と、真空容器11の外部の搬送装置14aとの間で基板Wの受け渡しが行われる。搬送口14は、図示しないゲートバルブにより開閉される。
【0021】
加熱部15は、固定軸151、ヒータ支持部152およびヒータ153を含む(図1)。
【0022】
固定軸151は、真空容器11の中心を中心軸とする円柱形状を有する。固定軸151は、後述する回転駆動装置20の回転軸23の内側で、真空容器11の底板114を貫通している。
【0023】
ヒータ支持部152は、固定軸151の上部に固定され、円板形状を有する。ヒータ支持部152は、ヒータ153を支持する。
【0024】
ヒータ153は、ヒータ支持部152の上面に設けられる。ヒータ153は、ヒータ支持部152の上面に加えて、本体111に設けられてもよい。ヒータ153は、電源(不図示)から電力が供給されることにより発熱し、基板Wを加熱する。また、ヒータ153は、処理ガスに対してヒータ153が晒されること防止する遮断プレートを、上面(回転テーブル21に対向する面)に備えてもよい。
【0025】
冷却部16は、流体流路161a~164a、チラーユニット161b~164b、入口配管161c~164cおよび出口配管161d~164dを含む(図1)。流体流路161a~164aは、それぞれ本体111、天板112、底板114およびヒータ支持部152の内部に形成される。チラーユニット161b~164bは、温調流体を出力する。チラーユニット161b~164bから出力された温調流体は、入口配管161c~164c、流体流路161a~164aおよび出口配管161d~164dを、この順に流れて循環する。これにより、本体111、天板112、底板114およびヒータ支持部152の温度が調整される。温調流体としては、例えば、ガルデン(登録商標)等のフッ素系流体または水を利用できる。
【0026】
回転駆動装置20は、回転テーブル21、収容ボックス22、回転軸23、公転用モータ24および外筒25を有する。
【0027】
回転テーブル21は、真空容器11内に設けられ、真空容器11の中心に回転中心を有する。回転テーブル21は、例えば円板形状を有し、石英により形成される。回転テーブル21の上面には、回転方向(周方向)に沿って複数(例えば6つ)の載置台211が設けられる。回転テーブル21は、接続部214を介して収容ボックス22に接続される(図3)。
【0028】
各載置台211は、基板Wよりも僅かに大きい円板形状を有し、例えば石英により形成される。各載置台211の上面には、基板Wを載置する載置面211sが形成される。各載置台211は、自転軸212を介して自転用モータ213に接続され、回転テーブル21に対して回転可能に構成される(図1)。
【0029】
自転軸212は、載置台211の下面と、収容ボックス22内に収容される自転用モータ213とを接続し、自転用モータ213の動力を載置台211に伝達する。自転軸212は、載置台211の中心を回転中心として回転可能に構成される。自転軸212は、収容ボックス22の天井部222および回転テーブル21を貫通して設けられる。収容ボックス22の天井部222の貫通部近傍には、シール部263が設けられ、収容ボックス22内の気密状態が維持される。シール部263は、例えば磁性流体シールを含む。
【0030】
自転用モータ213は、自転軸212を介して、載置台211を回転テーブル21に対して回転させることで、基板Wの中心回りに基板Wを自転させる。自転用モータ213は、例えばサーボモータを適用することが好ましい。
【0031】
接続部214は、回転テーブル21の下面と収容ボックス22の上面とを接続する(図3)。接続部214は、回転テーブル21の周方向に沿って複数設けられる。
【0032】
収容ボックス22は、真空容器11内における回転テーブル21の下方に設けられる。収容ボックス22は、接続部214を介して回転テーブル21に接続され、回転テーブル21と一体に回転する。収容ボックス22は、昇降機構(不図示)により真空容器11内で昇降可能に構成されてもよい。収容ボックス22は、本体部221および天井部222を有する。
【0033】
本体部221は、縦断面視凹状に形成され、回転テーブル21の回転方向に沿ってリング状に形成される(図1)。
【0034】
天井部222は、本体部221の開口を覆うように、本体部221の上面に設けられる。これにより、本体部221および天井部222は、真空容器11内から隔離された回転収容部223を形成する。
【0035】
回転収容部223は、縦断面視矩形状に形成され、回転テーブル21の回転方向に沿ってリング状を呈している。回転収容部223は、自転用モータ213(回転源)を収容する。本体部221には、回転収容部223と基板処理装置1の外部とを連通させる連通路224が形成される。これにより、回転収容部223に基板処理装置1の外部から大気が導入され、回転収容部223内が冷却されると共に、大気圧に維持される。この回転収容部223を回転可能に配置するために、真空容器11は、側壁体113、底板114および加熱部15により囲った回転源収容空間19を有する。
【0036】
回転軸23は、収容ボックス22の下部に固定される。回転軸23は、真空容器11の底板114を貫通して設けられる。回転軸23は、公転用モータ24の動力を回転テーブル21および収容ボックス22に伝達し、回転テーブル21および収容ボックス22を一体に回転させる。固定軸151の外壁と回転駆動装置20の回転軸23の内壁との間には、シール部154が設けられる。これにより、回転軸23は、真空容器11内の気密状態を維持しながら、固定軸151に対して回転する。シール部154は、例えば、磁性流体シールを適用することができる。
【0037】
真空容器11の底板114の中心側下面部には、回転駆動装置20の外筒25が連結されている。外筒25は、真空容器11の固定軸151と共に、真空容器11を支持する。回転軸23と外筒25との間には、シール部116が設けられ、真空容器11内の気密状態が維持される。シール部116は、例えば、磁性流体シールを適用することができる。
【0038】
回転軸23の内部には、通路231が形成される。通路231は、収容ボックス22の連通路224に接続され、収容ボックス22内に大気を導入するための流体流路として機能する。また、通路231は、収容ボックス22内に自転用モータ213を駆動させるための電力線および信号線を導入するための配線ダクトとしても機能する。通路231は、例えば、自転用モータ213と同じ数だけ設けられる。
【0039】
また図1に示すように、リフタ部30は、搬送装置14a(図2)が載置台211に基板Wを搬入および搬出する際に、複数(本実施形態では3つ)のリフトピン31を昇降させ、搬送装置14aとの間で基板Wの受け取りおよび受け渡しを行う。基板処理装置1は、搬送口14に隣接する載置台対向位置の鉛直方向下側にリフタ部30を設置している。リフタ部30は、複数のリフトピン31をそれぞれ有する複数(3つ)の上側構造部40と、複数のリフトピン31を同時に昇降させる1つの下側動作部50と、を真空容器11に備える。また、基板処理装置1は、載置台対向位置の鉛直方向上側に、載置台211に搬送される基板Wを撮像するカメラ(撮像部)60を備える(図2)。
【0040】
各上側構造部40は、ヒータ支持部152およびヒータ153を貫通するように設置されると共に、リフトピン31を変位可能に収容する。下側動作部50は、真空容器11の底板114の下面に取り付けられている。下側動作部50は、鉛直方向に沿って変位して各リフトピン31の下端32をそれぞれ押圧する複数(3つ)のプランジャ51を有している。すなわち、リフタ部30は、稼動する部材として、基板Wに直接接触する複数のリフトピン31と、リフトピン31を介して基板Wを間接的に昇降させる複数のプランジャ51と、を鉛直方向に分離して備えた2段構造を呈している。
【0041】
下側動作部50は、各プランジャ51の他に、筐体52と、プランジャ駆動部53と、を備える。また、プランジャ駆動部53は、駆動源54と、駆動源54の動作力を伝達する駆動伝達部55と、各プランジャ51を支持すると共に駆動伝達部55により筐体52内を変位する可動体56と、を含む。
【0042】
筐体52は、外筒25の側方において底板114に固定され、下側動作部50の各構成を収容可能な適宜の形状に形成されている。駆動源54は、筐体52の下部に設けられ、制御部90の制御に基づき動作して、その動作力を駆動伝達部55に伝達する。駆動伝達部55は、駆動源54の動作力を適宜減速または変換することで、可動体56を鉛直方向に昇降させる。可動体56は、駆動伝達部55から半径方向外側(水平)に延出しており、各プランジャ51の下端部分を支持している。可動体56は、駆動伝達部55により鉛直方向に沿って昇降し、これに伴って各プランジャ51を一体に変位させる。
【0043】
また、駆動伝達部55は、駆動源54の回転量(あるいはプランジャ51の位置)を計測する図示しないエンコーダを備え、プランジャ51の高さ位置、言い換えればリフトピン31の高さ位置を検出している。これにより、制御部90は、リフトピン31の高さ位置を認識することができる。さらに、駆動伝達部55は、各プランジャ51の最小制御単位を、例えば0.05mmとしており、リフトピン31を0.05mm毎に上昇または下降させることができる。なお、リフトピン31の昇降時の最小制御単位は、0.05mmに限定されず、任意に設計してよい。
【0044】
各プランジャ51は、細長い中実の棒状に形成され、可動体56に固定されることで、鉛直方向に平行に延びている。底板114において各プランジャ51に対向する箇所には、各プランジャ51を通過させる底板側貫通孔114aが形成されている。また、収容ボックス22の回転軸23寄りおいて各プランジャ51に対向する箇所は、当該収容ボックス22を貫通して各プランジャ51を通過させるボックス側貫通孔225が形成されている。
【0045】
各プランジャ51は、リフトピン31の非作動状態で、底板側貫通孔114aから上端部分を若干突出させた形態で待機している。そして、各プランジャ51は、基板Wの受け取りまたは受け渡し時に、可動体56と共に上昇して、回転源収容空間19内を移動する。各プランジャ51は、収容ボックス22の脇またはボックス側貫通孔225を通過して、各上側構造部40のリフトピン31に接触することで、当該リフトピン31を押し上げる。
【0046】
図4は、図1のリフタ部30の各上側構造部40の周辺を拡大して示す部分断面図である。なお、図4では、代表的に2つのリフトピン31および2つの上側構造部40を図示している。各上側構造部40は、リフトピン31と、リフトピン31を昇降可能に収容する収容部41と、収容部41の上部に配置されてリフトピン31と同時に変位可能な筒部材45と、を備える。
【0047】
複数(3つ)の上側構造部40は、自転軸212から半径方向に間隔をあけた位置で、かつ載置台211の周方向に並ぶように設けられる。載置台211は、各上側構造部40の配置位置に対応して、各リフトピン31が通過可能な貫通孔211aを複数(3つ)備えている(図2も参照)。
【0048】
リフトピン31は、直線状に延在する円柱形状の部材であり、下端32および上端33を有する。リフトピン31の下端32は、プランジャ51が下方に離れた位置にある場合に、ヒータ支持部152の下面よりも下方に位置している。リフトピン31の上端33は、プランジャに押圧されることで、ヒータ153よりも鉛直方向上側を移動する。
【0049】
上側構造部40は、収容部41に収容されたリフトピン31を、鉛直方向下側に脱落不能に支持するように構成される。例えば、リフトピン31は、下側から上側に向かって順に、下側棒部34、フランジ形成部35および上側棒部36を有する。下側棒部34、フランジ形成部35および上側棒部36は、相互に一体成形されている。
【0050】
下側棒部34は、上側棒部36よりも太く形成されており、下端32の面積を広くしている。下側動作部50により上昇してきたプランジャ51が下端32に接触して当該下端32を押し上げることで、リフトピン31全体を上昇させることができる。フランジ形成部35は、収容部41を構成する内壁に設けられた内側凸部42に引っ掛かることで、後述する待機位置PSからのリフトピン31の抜けを規制する。上側棒部36は、フランジ形成部35から上端33までの範囲を直線状に延在している。上端33は、略半球状に形成されており、基板Wに対して点接触することが可能である。
【0051】
リフトピン31を収容する収容部41は、加熱部15を鉛直方向に貫通しており、上記した内側凸部42を鉛直方向下側に有する。収容部41は、加熱部15と別に形成された筒状ブランケット(不図示)を孔に装着して構成されてもよい。
【0052】
筒部材45は、収容部41の上部かつ内側に配置可能な円筒形状に形成され、リフトピン31の上側棒部36が内部に配置される。筒部材45は、フランジ形成部35の上面に支持されたコイルバネ46を介して支持されている。筒部材45は、収容部41に対して相対移動可能であり、リフトピン31の上昇時にコイルバネ46を介して上側に押し出されることで、リフトピン31と共に上昇する。筒部材45は、上昇に伴い載置台211の裏面に接触することで、載置台211の貫通孔211aと収容部41との間を連通させる。筒部材45が載置台211に接触すると、筒部材45の上昇が停止する一方で、リフトピン31は筒部材45と相対的に上昇を続ける。これにより、リフトピン31は、貫通孔211aを通って載置台211よりも上方に進出して、基板Wを支持することができる。
【0053】
なお、図4では、各リフトピン31を鉛直方向に沿うように支持した形態を例示しているが、各上側構造部40は、回転テーブル21の回転軸23(公転軸)側に上端側が寄るように傾斜した姿勢で、各リフトピン31を支持してもよい。これにより、各上側構造部40は、各リフトピン31の上昇時に回転軸23に向かう方向に傾斜させて上昇させることができる。すなわち、各リフトピン31は、回転テーブル21の回転時の遠心力により半径方向外側に移動した基板Wを回転軸23の中心側に寄せるように上昇するため、回転テーブル21と基板Wとの擦れを回避して、パーティクルの発生を抑制できる。
【0054】
一方、カメラ60は、搬送口隣接位置の天板112に設置されて、真空容器11内において公転(回転)する載置台211を撮像する。なお、カメラ60の撮像方向は、鉛直方向下側に沿うことに限定されずに、鉛直方向に対して傾斜した方向でもよい。カメラ60は、制御部90の制御下に、載置台211の内縁の一部(または全部)および載置台211に載置された基板Wの外縁の一部(または全部)を撮像して、その撮像情報を制御部90に送信する。
【0055】
図1に戻り、制御部90は、基板処理装置1の各部を制御する。制御部90は、制御本体91と、ユーザインタフェース95と、を有する。制御本体91は、1以上のプロセッサ92、メモリ93、図示しない入出力インタフェースおよび通信インタフェースを有するコンピュータである。1以上のプロセッサ92は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、複数のディスクリート半導体からなる回路等のうち1つまたは複数を組み合わせたものであり、メモリ93に記憶されたプログラムを実行処理する。メモリ93は、不揮発性メモリおよび揮発性メモリ(例えば、コンパクトディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、ハードディスク、フラッシュメモリ等)を含む。
【0056】
また、ユーザインタフェース95は、制御本体91の入出力インタフェースに接続される。このユーザインタフェース95は、特に限定されるものでないが、例えば、タッチパネル、モニタ、キーボード、マウス等があげられる。
【0057】
制御部90は、基板処理装置1の各構成を制御することで、搬送装置14a(図2)から各載置台211への基板Wの受け取り、各基板Wに対する基板処理、および各載置台211から搬送装置14aへの基板Wの受け渡し等を制御する。例えば、制御部90は、基板Wの受け取りにおいて、基板Wを載置する予定の載置台211を真空容器11の搬送口14の隣接位置に配置する。そして、制御部90は、搬送口14から搬送装置14aを進出させた後、リフタ部30を動作させて各リフトピン31を載置台211から上昇させ、搬送装置14aから基板Wを受け取る。制御部90は、搬送装置14aを退避させた後、各リフトピン31を下降させて載置台211に基板Wを載置する。また、制御部90は、回転テーブル21の回転により搬送口14に隣接する載置台211を順次代えて、上記の動作を繰り返すことで、各載置台211に基板Wを配置していく。
【0058】
基板処理の実施時には、制御部90は、真空容器11を所定の内圧まで減圧すると共に、加熱部15により各基板Wを加熱する。さらに、制御部90は、回転テーブル21を回転軸23回りに回転させながら、各載置台211を自転軸212回りに回転させる。この状態で、ガス導入部12の原料ガスノズル121により原料ガスを供給し、反応ガスノズル122により反応ガスを供給し、かつ分離ガスノズル123、124により分離ガスを供給することで、各基板Wの表面に所望の膜を成膜する。
【0059】
基板処理後の基板Wの受け渡しにおいて、制御部90は、基板Wを受け渡す載置台211を真空容器11の搬送口14の隣接位置に配置して、リフタ部30の各リフトピン31を上昇させて、載置台211から基板Wを浮上させる。そして、制御部90は、搬送装置14aの進入後に、各リフトピン31を下降させることで、基板Wを搬送装置14aに受け渡す。これにより、搬送装置14aは、真空容器11から基板Wを搬出する。また、制御部90は、回転テーブル21の回転により搬送口14に隣接する載置台211を順次代えて、上記の動作を繰り返すことで、各載置台211から各基板Wを搬出していく。
【0060】
また、制御部90は、リフタ部30による各リフトピン31の昇降時に、予め認識している各リフトピン31の制御位置に基づき、各リフトピン31の動作を制御する。図4に示すように、各リフトピン31の制御位置としては、待機位置PS、タッチ位置PT、ロード位置PL、アンロード位置PU、搬送装置支持位置PP1、および浮上上限位置PP2があげられる。
【0061】
待機位置PSは、基板処理装置1の基板処理時に、各リフトピン31が待機する位置である。例えば、待機位置PSにおいて、各リフトピン31の上端33は、ヒータ153の上面よりも若干突出した位置に設定される。これにより、リフタ部30は、基板処理前や基板処理後に、各リフトピン31を上昇させて基板Wの受け取りまたは受け取りを行う際の距離を短くでき、処理の効率化を図ることが可能となる。この待機位置PSは、リフトピン31および収容部41の構成によって機械的に規定されてもよく、制御部90のリフタ部30の制御に伴って配置されてもよい。
【0062】
タッチ位置PTは、載置台211に載置された基板Wに対して、上昇してきた各リフトピン31の上端33が接触する位置である。したがって、タッチ位置PTは、載置台211の載置面211sの高さ位置と言い換えることができる。ここで、複数の載置面211s(載置台211)の高さ位置は、回転テーブル21の微量な傾きや機械的な寸法公差等によって、相互の間で若干変動している。制御部90は、各載置台211におけるタッチ位置PTをそれぞれ認識し、このタッチ位置PTに応じて他の制御位置(ロード位置PL、アンロード位置PU等)を設定して、リフタ部30を動作させることが要求される。このため、制御部90は、リフタ部30の制御位置設定方法において、リフタ部30の上昇に伴い基板Wに接触するタッチ位置PTを検出し、このタッチ位置PTに基づき他の制御位置を算出する。このリフタ部30の制御位置設定方法については後述する。
【0063】
一方、ロード位置PLは、載置台211の載置面211s(すなわち、タッチ位置PT)よりも低い位置に設定される。例えば、ロード位置PLは、タッチ位置PTから鉛直方向下側に向かって、0.3mm~0.9mmの範囲のうち適宜の間隔だけ低い位置に設定される。このロード位置PLは、アンロード位置PUに基づいて設定されてもよい。
【0064】
制御部90は、リフタ部30の制御時に、エンコーダの検出に基づきプランジャ51の高さ位置を認識し、各リフトピン31の上端33がロード位置PLに達したか否かを判定することで、このロード位置PLにて各リフトピン31の速度を切り替える。つまり、ロード位置PLは、各リフトピン31の速度を切り替えるための制御位置として利用される。例えば、各リフトピン31を上昇させる場合に、制御部90は、上端33がロード位置PLまで上昇したことに基づき、各リフトピン31の上昇の速度を低下させる。逆に、各リフトピン31を下降させる場合に、制御部90は、上端33がロード位置PLまで下降したことに基づき、各リフトピン31の下降の速度を増加させる。
【0065】
アンロード位置PUは、載置台211の載置面211s(すなわち、タッチ位置PT)よりも高い位置に設定される。例えば、アンロード位置PUは、タッチ位置PTから鉛直方向上側に向かって、0.4mm~1.0mmの範囲のうち適宜の間隔だけ高い位置に設定される。このアンロード位置PUは、載置台211よりも上方の位置であり、各リフトピン31によって支持する基板Wが存在する。各リフトピン31により支持した基板Wの反り等の影響を抑制するため、タッチ位置PTとアンロード位置PUとの間隔は、タッチ位置PTとロード位置PLとの間隔よりも長く設定されるとよい。
【0066】
制御部90は、リフタ部30の制御時に、各リフトピン31の上端33がアンロード位置PUに達したか否かを判定し、このアンロード位置PUにおいて各リフトピン31の速度を切り替える。つまり、アンロード位置PUも、各リフトピン31の速度を切り替えるための制御位置として利用される。例えば、各リフトピン31を上昇させる場合に、制御部90は、上端33がアンロード位置PUまで上昇したことに基づき、各リフトピン31の上昇の速度を増加させる。逆に、各リフトピン31を下降させる場合に、制御部90は、上端33がアンロード位置PUまで下降したことに基づき、各リフトピン31の下降の速度を低下させる。
【0067】
また、搬送装置支持位置PP1は、搬送装置14aが真空容器11内に進入した際に、搬送装置14aが基板Wを支持する位置である。言い換えれば、搬送装置支持位置PP1は、搬送装置14aのエンドエフェクタの支持面に相当する。この搬送装置支持位置PP1は、タッチ位置PTに基づき設定される相対的な位置ではなく、搬送装置14aを制御するために予め設定される固定値である。搬送装置14aが基板Wを支持している状態で、各リフトピン31の上端33が搬送装置支持位置PP1まで上昇すると、各リフトピン31にて基板Wを受け取ることができる。搬送装置14aが空の状態で、基板Wを支持した各リフトピン31の上端33が搬送装置支持位置PP1まで下降すると、搬送装置14aに基板Wを受け渡すことができる。
【0068】
浮上上限位置PP2は、各リフトピン31(上端33)が上昇する際の限界位置であり、リフタ部30の機械的な要素または制御部90の制御位置により規定される。浮上上限位置PP2は、搬送装置支持位置PP1の鉛直方向上側に一定以上離れた位置に設定される固定値である。制御部90は、搬送装置14aが支持している基板Wを受け取った後に、上端33が浮上上限位置PP2に達するまで上昇させることで、搬送装置14aをスムーズに退避可能とする。また、制御部90は、各リフトピン31により基板Wを支持して浮上上限位置PP2に達するまで上昇させることで、搬送装置14aを基板Wの鉛直方向下側にスムーズに進入可能とする。
【0069】
制御部90は、上記したリフタ部30の制御において利用する制御位置(タッチ位置PT、ロード位置PL、アンロード位置PU)について、リフタ部30の制御位置設定方法を実行することで設定する。リフタ部30の制御位置設定方法は、基板処理装置1の設置後やメンテナンス後(装置の部品の交換、修理等)に実行する。次に、このリフタ部30の制御位置設定方法について説明する。
【0070】
[制御位置設定方法]
図5は、リフタ部30の制御位置設定方法の処理フローを示すフローチャートである。図5に示すように、制御部90は、リフタ部30の制御位置設定方法において、開始判定工程S1、基板搬送工程S2、第1調整工程S3、第2調整工程S4、スロット判定工程S5および誤差チェック工程S6を、この順に制御する。
【0071】
開始判定工程S1において、制御部90は、制御位置設定方法を開始するトリガ条件が成立したか否かを判定し、トリガ条件が成立した場合に、第1調整工程S3以降の制御に移行する。このトリガ条件としては、制御部90に接続されたユーザインタフェース95を介して、ユーザが制御位置設定方法の実行を操作することがあげられる。
【0072】
図6は、ユーザインタフェース95に表示される画面情報100の一例を示す説明図である。開始判定工程S1において、制御部90は、ユーザによるユーザインタフェース95の操作下に、例えば、図6に示すような画面情報100を表示する。画面情報100は、現在位置表示部101、ロード位置表示部102、タッチ位置表示部103、アンロード位置表示部104、詳細調整開始位置表示部105および操作ボタン群106等を有する。
【0073】
現在位置表示部101は、リフトピン31の上端33の現在位置を示す表示領域である。例えば、現在位置表示部101は、上端33の現在位置をmm単位で表示すると共に、現在位置に対応する位置の名称等を表示する。
【0074】
ロード位置表示部102は、複数のスロット(載置台211)毎のロード位置PLを示す表示領域である。例えば、ロード位置表示部102は、前回設定したロード位置PLをスロット毎に表示する前回値表示欄102aと、前回値表示欄102aの隣接位置において今回設定したロード位置PLをスロット毎に表示する今回値表示欄102bと、を有する。前回値表示欄102aと今回値表示欄102bとを並べて表示することで、今回の制御位置設定方法で設定した値の変化をユーザに認識させ易くすることができる。
【0075】
タッチ位置表示部103は、複数のスロット(載置台211)毎のタッチ位置PTを示す表示領域である。例えば、タッチ位置表示部103は、今回設定したタッチ位置を表示する今回値表示欄103aと、今回値表示欄103aの隣接位置においてスロット同士のタッチ位置に関わる情報を示すタッチ位置ステータス欄103bと、を有する。
【0076】
例えば、タッチ位置ステータス欄103bでは、各スロットのタッチ位置PTうち最大値と最小値の差分を表示すると共に、算出した差分に基づき各載置台211の異常の有無を表示する。すなわち、各スロットのタッチ位置PTの差分が大きい場合、載置台211の設置状態にそもそも異常が生じている可能性がある。そのため、制御部90は、各スロットのタッチ位置PTの差分と予め保有する閾値とを比較して、差分が閾値未満の場合には正常を判定する一方で、差分が閾値以上の場合には異常を判定してその結果を表示(報知)する。
【0077】
アンロード位置表示部104は、ロード位置表示部102と同様に表示され、複数のスロット(載置台211)毎のアンロード位置PUを示す表示領域である。例えば、アンロード位置表示部104は、前回設定したアンロード位置PUをスロット毎に表示する前回値表示欄104aと、前回値表示欄104aの隣接位置において今回設定したアンロード位置PUをスロット毎に表示する今回値表示欄104bと、を有する。前回値表示欄104aと今回値表示欄104bとを並べて表示することで、今回の制御位置設定方法に設定した値の変化をユーザに認識させ易くすることができる。
【0078】
詳細調整開始位置表示部105は、上記したリフタ部30の制御位置設定方法の第1調整工程S3によって設定される詳細調整開始位置(次回位置)を表示する表示領域である。この詳細調整開始位置については、後に詳述する。
【0079】
一方、操作ボタン群106は、ユーザにより操作可能なボタンを並べて表示した領域である。操作ボタン群106のボタンとしては、例えば、実行ボタン106a、実行中断ボタン106b、保存ボタン106c、中止ボタン106d、終了ボタン106e等があげられる。
【0080】
実行ボタン106aは、リフタ部30の制御位置設定方法の実行を操作するためのボタンである。ユーザが実行ボタン106aを押下すると、図6に示すように、制御部90は、複数のスロット(載置台211)のうち1以上を選択する選択欄、および全てのスロットを選択する選択欄を示す別ウインドウ107を表示させる。この別ウインドウ107においてユーザが適宜の選択欄を選択することで、制御位置設定方法を行うスロットを決定する。この決定後に、制御部90は、ユーザの設定内容に基づいて制御位置設定方法を開始する。
【0081】
また、実行中断ボタン106bは、実行している制御位置設定方法を途中で中断するためのボタンである。保存ボタン106cは、今回設定したタッチ位置PT、ロード位置PL、アンロード位置PUを保存して、この位置に基づきリフタ部30を動作させるためのボタンである。中止ボタン106dは、今回設定したタッチ位置PT、ロード位置PL、アンロード位置PUを保存せずに制御位置設定方法を終了するためのボタンである。終了ボタン106eは、画面情報100の表示(つまり、制御位置設定方法)を終了するためのボタンである。
【0082】
すなわち図5に示す開始判定工程S1において、制御部90は、ユーザにより画面情報100の実行ボタン106aが押されることに基づき、基板搬送工程S2以降の各工程を順に制御していく。なお、制御部90は、ユーザの操作に依らず、例えば、基板処理装置1の設置後やメンテナンス後に行う各種の設定のフローの中で、制御位置設定方法を自動的に実行してもよい。
【0083】
次の基板搬送工程S2において、制御部90は、制御位置設定方法を行う各載置台211に基板Wを搬送する。制御位置設定方法に使用する基板Wは、ダミー基板であってもよい。例えば、全てのスロット(載置台211)に対して制御位置設定方法を実行する場合に、制御部90は、回転テーブル21の各載置台211の位置を変えながら、搬送装置14aにより基板Wを搬送して全ての載置台211に基板Wを載置する。この際のリフタ部30の動作は、制御位置の前回値またはデフォルトの制御位置を利用してよい。一方、ユーザにより指定されたスロットのみに制御位置設定方法を実行する場合には、制御部90は、回転テーブル21を回転して目標の載置台211に基板Wを載置すればよい。
【0084】
そして、制御部90は、第1調整工程S3において、リフタ部30の各リフトピン31が基板Wに接触するタッチ位置PTについて粗く設定する。さらに、制御部90は、第2調整工程S4において、第1調整工程S3で設定したタッチ位置PTよりも詳細化したタッチ位置PTを設定する。以下、第1調整工程S3および第2調整工程S4について、図7および図8を参照しながら説明する。図7は、第1調整工程S3の処理フローを示すフローチャートである。図8は、第2調整工程S4の処理フローを示すフローチャートである。
【0085】
第1調整工程S3において、制御部90は、図7に示すステップS101~S111の動作を制御する。まず制御部90は、リフタ部30が対向する載置台211(制御位置を設定する予定のスロット)に基板Wが載置されているか否かを判定する(ステップS101)。例えば、制御部90は、カメラ60により載置台211を撮像して、その撮像情報に基板Wが含まれるか否かを判定することで、載置台211の基板Wの有無を判定する。そして、載置台211に基板Wが無い場合(ステップS101:NO)、制御部90は、基板Wが無い旨のエラーを報知して今回の制御位置設定方法を終了する。一方、載置台211に基板Wが有る場合(ステップS101:YES)はステップS102に進む。
【0086】
ステップS102において、制御部90は、下側動作部50を動作させて各プランジャ51を上昇させ、各プランジャ51の上端が各リフトピン31の下端32に接触する位置に移動させる。これにより、各リフトピン31は、収容部41に収容された待機位置PSから直ちに上昇可能な状態となる。
【0087】
次に、制御部90は、下側動作部50を動作させて各リフトピン31の上端33を、粗調整開始位置まで上昇させる(ステップS103)。この粗調整開始位置は、各リフトピン31を第1ピッチ毎で上昇させる第1調整動作の開始位置であり、制御部90内において予め設定される。例えば、粗調整開始位置は、前回のアンロード位置PUに対して予め定められた離間距離(例えば、1mm)だけ低い位置に設定されるとよい。なお、粗調整開始位置は、ユーザインタフェース95を介してユーザが設定する構成でもよい。あるいは、離間距離のほうをユーザが設定する構成でもよい。
【0088】
粗調整開始位置に上端33が達すると、制御部90は、第1調整動作およびカメラ60の撮像情報に基づく基板Wの接触の判定を開始する。具体的には、制御部90は、予め設定された第1ピッチだけ各リフトピン31を上昇させる(ステップS104)。第1ピッチは、特に限定されるものではないが、例えば、各リフトピン31を昇降させる最小制御単位の2倍以上に設定されることが好ましい。一例として、リフタ部30が各リフトピン31を0.05mm単位で昇降させる機構の場合には、第1ピッチとして0.1mmに設定することがあげられる。
【0089】
各リフトピン31を第1ピッチだけ上昇させると、制御部90は、一定期間にわたって動作を待機する(ステップS105)。これにより、各リフトピン31の上昇時のぶれがなくなる。その後、制御部90は、カメラ60により基板Wおよび載置台211を撮像し、撮像情報について適宜の画像処理を施すことで、撮像情報から基板Wの情報および載置台211の情報を抽出可能とする(ステップS106)。
【0090】
そして、制御部90は、撮像情報から取得した基板Wの情報および載置台211の情報に基づき、各リフトピン31の上端33が基板Wに接触したか否かを判定する(ステップS107)。各リフトピン31と基板Wの接触の判定方法としては、例えば、撮像情報における基板Wの外縁の影を監視することがあげられる。すなわち、基板Wが載置面211sに載置されている状態では、基板Wの外縁の周囲に影が殆ど生じない。これに対して基板Wが載置面211sから僅かでも浮上すると、基板Wの外縁の周囲の影が大きくなる。したがって、制御部90は、基板Wの外縁の周囲の影(画像処理により白黒の二値化したピクセル)の変化に基づき、各リフトピン31によって基板Wが浮上したことを判定できる。
【0091】
制御部90は、各リフトピン31の上端33が基板Wに接触していないと判定すると(ステップS107:NO)、ステップS108に進む。ステップS108において、制御部90は、各リフトピン31を上昇させる第1調整動作の実行回数をカウント(インクリメント)し、予め設定された回数閾値以上に実行回数が到達したか否かを判定する。実行回数が回数閾値以上に到達した場合とは、各リフトピン31が基板Wに確実に接触する筈の位置に達しても、基板Wに接触していない状況であり、この場合、リフタ部30に異常が生じている可能性がある。このため、制御部90は、実行回数が回数閾値以上に到達した場合(ステップS108:YES)に、リフタ部30のエラーを報知して今回の制御位置設定方法を終了する。
【0092】
一方、制御部90は、実行回数が回数閾値以上に到達していない場合(ステップS108:NO)に、ステップS104に戻り、リフトピン31を再び第1ピッチだけ上昇させる。制御部90は、各リフトピン31が基板Wに接触するまで、以上のステップS104~S108の処理フローを繰り返すことで、各リフトピン31と基板Wの接触を安定的に判定できる。そして、制御部90は、各リフトピン31の上端33が基板Wに接触したことを判定すると(ステップS107:YES)、ステップS109に進む。
【0093】
ステップS109において、制御部90は、各リフトピン31の現在位置を、第1調整工程S3における各リフトピン31のタッチ位置PTとして設定する。
【0094】
そして、制御部90は、この各リフトピンの現在位置を用いて、第2調整工程S4における詳細調整開始位置(次回位置)を算出する(ステップS110)。詳細調整開始位置は、例えば、第1調整工程S3における各リフトピン31の現在位置(タッチ位置PT)に対して、予め設定されたオフセット値を加算することで算出される。このオフセット値は、詳細調整開始位置を現在位置よりも鉛直方向下側に低くする数値(マイナスの値)に設定される。一例として、第1ピッチを0.1mmとしていた場合には、-0.1mm~-0.3mm程度の範囲内にオフセット値を設定することがあげられる。これにより、詳細調整開始位置を現在位置よりも僅かに低くなる程度に設定でき、次の第2調整工程S4の処理効率を高めることができる。なお、オフセット値は、ユーザにより任意に設定されてもよい。
【0095】
制御部90は、ステップS110の後、算出した詳細調整開始位置を次の第2調整工程S4を行うパラメータにセットすると共に、各リフトピン31を待機位置PSまで後退させる(S111)。これにより、第1調整工程S3が終了する。また、制御部90は、詳細調整開始位置をセットした際に、図6に示すように画面情報100の詳細調整開始位置表示部105に、セットした詳細調整開始位置を表示する。なお、制御部90は、ユーザにより詳細調整開始位置表示部105に詳細調整開始位置を入力(書き換え)可能とし、ユーザがセットした詳細調整開始位置に基づき、第2調整工程S4を実施する構成でもよい。例えば、ユーザは、タッチ位置PTの前回値を参考に詳細調整開始位置を入力すればよい。
【0096】
以上の第1調整工程S3の実施後に、制御部90は、第2調整工程S4に移行して図8に示すステップS201~S212の動作を制御する。ステップS201、S202は、第1調整工程S3のステップS101、S102と同じ処理である。なお、第1調整工程S3を経た後は載置台211に基板Wが確実に載置されているので、制御部90は、ステップS201を省略してもよい。
【0097】
ステップS203において、制御部90は、下側動作部50を動作させて各リフトピン31の上端33を、第1調整工程S3でセットした詳細調整開始位置まで上昇させる。詳細調整開始位置に上端33が達すると、制御部90は、第2調整動作およびカメラ60の撮像情報に基づく基板Wの接触の判定を開始する。
【0098】
具体的には、制御部90は、予め設定された第2ピッチだけ各リフトピン31を上昇させる(ステップS204)。第2ピッチは、例えば、各リフトピン31を昇降させる最小制御単位に設定するとよい。一例として、リフタ部30が各リフトピン31を0.05mm単位で昇降させる機構の場合には、第2ピッチとして0.05mmに設定する。
【0099】
各リフトピン31を第2ピッチだけ上昇させると、制御部90は、一定期間にわたって動作を待機する(ステップS205)。これにより、各リフトピン31の上昇時のぶれがなくなる。その後、制御部90は、カメラ60により基板Wおよび載置台211を撮像し、撮像情報について適宜の画像処理を施すことで、撮像情報から基板Wの情報および載置台211の情報を抽出可能とする(ステップS206)。
【0100】
そして、制御部90は、撮像情報から取得した基板Wの情報および載置台211の情報に基づき、各リフトピン31の上端33が基板Wに接触したか否かを判定する(ステップS207)。
【0101】
制御部90は、各リフトピン31の上端33が基板Wに接触していないと判定すると(ステップS207:NO)、ステップS208に進む。ステップS208において、制御部90は、各リフトピン31を上昇させる第2調整動作の実行回数をカウント(インクリメント)し、予め設定された回数閾値以上に実行回数が到達したか否かを判定する。制御部90は、実行回数が回数閾値以上に到達した場合(ステップS208:YES)に、リフタ部30のエラーを報知して今回の制御位置設定方法を終了する。
【0102】
一方、制御部90は、実行回数が回数閾値未満の場合(ステップS208:NO)に、ステップS204に戻り、リフトピン31を再び第2ピッチだけ上昇させる。制御部90は、各リフトピン31が基板Wに接触するまで、以上のステップS204~S208の処理フローを繰り返す。そして、制御部90は、各リフトピン31の上端33が基板Wに接触したことを判定すると(ステップS207:YES)、ステップS209に進む。
【0103】
ステップS209において、制御部90は、各リフトピン31の現在位置を、各リフトピン31のタッチ位置PTとして設定する。
【0104】
そして、制御部90は、この各リフトピン31の現在位置(タッチ位置PT)を用いて、制御位置であるアンロード位置PUを算出する(ステップS210)。アンロード位置PUは、例えば、各リフトピン31の現在位置に対して予め設定されたアンロード位置用調整値を加算することで算出される。このアンロード位置用調整値は、現在位置から鉛直方向上側に向かう値(プラスの値)であり、上記した0.4mm~1.0mm程度の範囲のうち適宜の間隔(例えば、0.6mm)に設定される。なお、アンロード位置用調整値は、ユーザにより任意に設定されてもよい。
【0105】
その後、制御部90は、算出したアンロード位置PUを用いて、制御位置であるロード位置PLを算出する(ステップS211)。ロード位置PLは、例えば、アンロード位置PUに対して予め設定されたロード位置用調整値を加算することで算出される。このロード位置用調整値は、アンロード位置PUから鉛直方向下側に向かう値(マイナスの値)であり、-0.8mm~-1.3mm程度の範囲かつタッチ位置PTよりも低い値(例えば、-1.0mm)に設定される。なお、ロード位置用調整値も、ユーザにより任意に設定されてよい。
【0106】
制御部90は、ステップS111の後、算出したタッチ位置PT、ロード位置PL、アンロード位置PUを、そのスロットの基板Wの搬送時に使用するパラメータとしてセットし、各リフトピン31を待機位置PSまで後退させる(S212)。これにより、第2調整工程S4が終了する。制御部90は、タッチ位置PTのセットに伴い、図6に示すように、画面情報100のタッチ位置表示部103にタッチ位置PTを表示する。同様に、制御部90は、ロード位置PLのセットに伴い、ロード位置表示部102の今回値表示欄102bにロード位置PLを表示する。さらに、制御部90は、アンロード位置PUのセットに伴い、アンロード位置表示部104の今回値表示欄104bにアンロード位置PUを表示する。
【0107】
図5に戻り、制御部90は、第2調整工程S4の後、スロット判定工程S5を実施し、別のスロットにおいて調整すべき制御位置があるか否かを判定する。制御位置の調整を行うスロットが有る場合には、第1調整工程S3に戻り、以下同様の処理を繰り返す。そして例えば、6つのスロット全てについて制御位置を調整する場合には、全てのスロットに対して第1調整工程S3、第2調整工程S4を行う。スロット判定工程S5において制御位置の調整を行うスロットが無い場合には、次の誤差チェック工程S6に移行する。
【0108】
誤差チェック工程S6において、制御部90は、各スロットのタッチ位置PTについて最大値と最小値の差分を算出し、算出した差分が予め設定された許容範囲内に入っているか否かを判定する。算出した差分および判定結果は、タッチ位置ステータス欄103bに表示する。また、差分が許容範囲内に入っていない場合は、画面情報100等を介して、各載置台211に異常が生じている旨の情報をユーザに報知する。これにより、ユーザは、基板処理装置1の回転テーブル21に対して必要なメンテナンス等を早期に行うことが可能となる。なお、誤差チェック工程S6は、各スロット全ての制御位置を設定した後に実行することに限らず、2つ以上のスロット(例えば、第1のスロットと第2のスロット)の制御位置の設定後に実行してもよい。これにより、第1のスロットと第2のスロットのタッチ位置PTの違いを早期に認識することが可能となる。
【0109】
以上のように、基板処理装置1は、各スロット(載置台211)の制御位置を自動的に設定することができる。ここで、従来の基板処理装置では、各スロットの制御位置を設定する場合に、カメラで撮像した画像について、ユーザの目視によって基板Wとリフタ部30とが接触した否かを確認し、この確認をスロット毎に繰り返していた。そのため、各スロットの制御位置の設定に多大な時間を要していた。これに対し、実施形態に係る基板処理装置1は、上記の制御位置設定方法により、リフタ部30の第1調整動作および第2調整動作、リフタ部30と基板Wの接触の判定を行うことで、作業の効率化を図ることができる。特に、基板処理装置1は、複数(6つ)のスロット全ての制御位置を設定する場合には、大幅な時間短縮を促すことができる。
【0110】
図9は、制御位置設定方法により設定したタッチ位置と、変位計により載置面211sを計測した実測値とを示すグラフである。図9において棒グラフは、制御位置設定方法により設定した各スロットのタッチ位置であり、折れ線グラフは、変位計により計測した各スロットの実測値である。なお、変位計の実測値は、真空容器11の天板112を取り外した状態で、治具を介して変位計を本体111に固定して、この変位計により各載置台211の載置面211sの高さ位置を計測したものである。
【0111】
図9に示すように、基板処理装置1において各載置台211の載置面211sの高さ位置は相互に変動している。しかしながら、制御位置設定方法により設定したタッチ位置と、変位計により計測した実測値とは、概ね同じように変化している。そして、各スロットについて設置したタッチ位置と変位計の実測値との差を算出すると、0.03mmの範囲内の誤差に収まっていた。言い換えれば、制御位置設定方法の実行により得た制御位置は、変位計の実測値とほぼ変わらないと見なすことができる。したがって、本実施形態に係る制御位置設定方法を実施することで、各スロットの制御位置を高精度に設定できることが分かる。
【0112】
なお、本開示に係る基板処理装置1および制御位置設定方法は、上記の実施形態に限定されず、種々の変形例をとり得ることは勿論である。例えば、上記の実施形態では、各載置台211が回転テーブル21の回転軸23回りに公転し、かつ各載置台211自体が自転する基板処理装置1を例示した。この構成に限らず、基板処理装置1は、各載置台211が自転せず回転テーブル21のみが回転する構成(自転機構を備えず公転機構のみを有する構成)としてもよい。
【0113】
また、基板処理装置1は、制御位置設定方法で取得したタッチ位置PTを用いて、回転テーブル21のメンテナンスを行ってもよい。すなわち、タッチ位置PTは、回転テーブル21の各載置面211sのポジション(高さ位置)と同等である。このため例えば、回転テーブル21の交換作業において回転テーブル21の高さ調整作業を行う際に、ユーザは、回転テーブル21の交換前後における画面情報100のタッチ位置PTを比較する。これにより、ユーザは、回転テーブル21の高さを容易且つ精度よく調整でき、交換後の各載置面211sのポジションを交換前のポジションと概ね一致させることが可能となる。
【0114】
[まとめ]
以上の実施形態で説明した本開示の技術的思想および効果について以下に記載する。
【0115】
本開示の第1の態様に係る基板処理装置1は、真空容器11と、真空容器11の内部に回転可能に設けられる回転テーブル21と、回転テーブル21の回転中心から離れた位置で基板Wを載置する載置台211と、載置台211と相対的に変位して基板Wを昇降させるリフタ部30と、リフタ部30の動作を制御する制御部90と、を備え、制御部90は、リフタ部30の動作における制御位置を自動的に設定する構成であり、当該制御位置の設定では、(A)第1ピッチだけリフタ部30を上昇させた後に、載置台211に載置された基板Wにリフタ部30が接触したか否かを判定する処理を繰り返すことで、基板Wにリフタ部30が接触する位置を検出し、検出した位置に基づき次回位置(詳細調整開始位置)を設定する工程と、(B)次回位置から、第1ピッチよりも短い第2ピッチだけリフタ部30を上昇させた後、載置台211に載置された基板Wにリフタ部30が接触したか否かを判定する処理を繰り返すことで、基板Wにリフタ部30が接触するタッチ位置PTを検出し、タッチ位置PTに基づき制御位置を算出する工程と、を制御する。
【0116】
上記によれば、基板処理装置1は、制御位置の設定を自動的に行うことにより、ユーザの負担を軽減して、リフタ部30の制御位置を設定できる。特に、基板処理装置1は、(B)の工程で短いピッチで載置台211のタッチ位置PTを検出するため、リフタ部30の制御位置を精度よく設定できる。また、基板処理装置1は、(A)の工程により第1ピッチで駆動して詳細調整開始位置を得ることで、(B)の工程の実行回数を良好に削減でき、作業の効率化を図ることができる。そのため、メンテナンス等で載置台211を交換した場合でも、リフタ部30の制御位置を効率的に設定して基板処理を開始することが可能となる。例えば、カメラ60の撮像情報をユーザの目視により確認してタッチ位置を決める作業と比較して、作業時間を半分以下に短縮することができ、さらにユーザの負担を大幅に軽減できる。
【0117】
また、制御位置は、リフタ部30が支持した基板Wを載置台211に載置する時または載置台211からリフタ部30が基板を浮上させる時に、リフタ部30の速度を切り替える位置である。これにより、基板処理装置1は、リフタ部30の昇降時の速度制御に必要な制御位置をスムーズに取得することができる。
【0118】
また、制御位置は、載置台211に載置される基板Wよりも鉛直方向下側に設定されるロード位置PLと、載置台211に載置される基板Wよりも鉛直方向上側に設定されるアンロード位置PUと、を含む。これにより、基板処理装置1は、設定されたロード位置PLおよびアンロード位置PUに基づいて、基板Wを安定的に昇降させることができる。
【0119】
また、制御部90は、(B)の工程で検出したタッチ位置PTにアンロード位置用調整値を加算することでアンロード位置PUを算出し、さらに算出したアンロード位置PUにロード位置用調整値を加算することでロード位置PLを算出する。これにより、制御部90は、タッチ位置PTと相対的な位置であるロード位置PLおよびアンロード位置PUを容易に算出できる。
【0120】
また、次回位置(詳細調整開始位置)は、(A)の工程で基板Wにリフタ部30が接触した位置に対して、下降する方向のオフセット値を加算した位置である。これにより、基板処理装置1は、(B)の工程の次回位置をスムーズに得て、(B)の工程を開始することができる。
【0121】
また、リフタ部30の鉛直方向上側から載置台211に載置された基板Wを撮像する撮像部(カメラ60)を備え、制御部90は、(A)の工程において、リフタ部30が第1ピッチ上昇する毎に撮像部により基板Wを撮像し、この撮像情報に基づき基板Wにリフタ部30が接触したか否かを判定し、(B)の工程において、リフタ部が第2ピッチ上昇する毎に撮像部により基板を撮像し、この撮像情報に基づき基板にリフタ部30が接触したか否かを判定する。これにより、基板処理装置1は、基板Wとリフタ部30の接触を良好に判定できる。
【0122】
また、制御部90は、載置台211から基板Wが浮上した際に、撮像情報における基板Wの外縁の影の変化に基づき、基板Wにリフタ部30が接触したか否かを判定する。このように基板Wの外縁の影を利用することで、制御部90は、基板Wとリフタ部30の接触を充分に高い精度で判定することができる。
【0123】
また、制御部90は、(A)の工程および(B)の工程において、リフタ部30をピッチ毎に上昇させる動作の実行回数をカウントし、実行回数が回数閾値未満の場合に、上昇を続ける一方で、実行回数が回数閾値以上の場合に、異常を報知する。これにより、例えば、載置台211に異常が生じていることでリフトピン31が基板Wに接触しなくなるようなエラーを、ユーザに知らせることができるので、ユーザは必要な対処を早期に採ることが可能となる。
【0124】
また、回転テーブル21は、載置台211を複数備え、複数の基板Wを回転させる構成であり、制御部90は、複数の載置台211について(A)の工程および(B)の工程を行うことで、タッチ位置PTおよび制御位置を設定し、かつ設定した複数の載置台211のタッチ位置PTの差分を算出し、算出した差分に基づき複数の載置台211の正常または異常を判定し、複数の載置台の異常を判定した場合にユーザに報知する。これにより、基板処理装置1は、複数の載置台211の高さ位置の比較を容易に行うことができる。
【0125】
本開示の第2の態様は、真空容器11と、真空容器11の内部に回転可能に設けられる回転テーブル21と、回転テーブル21の回転中心から離れた位置で基板Wを載置する載置台211と、載置台211と相対的に変位して基板を昇降させるリフタ部30と、を備える基板処理装置1において、リフタ部30の動作における制御位置を設定する制御位置設定方法であって、(A)第1ピッチだけリフタ部30を上昇させた後に、載置台211に載置された基板Wにリフタ部30が接触したか否かを判定する処理を繰り返すことで、基板Wにリフタ部30が接触する位置を検出し、検出した位置に基づき次回位置(詳細調整開始位置)を設定する工程と、(B)次回位置から、第1ピッチよりも短い第2ピッチだけリフタ部30を上昇させた後、載置台211に載置された基板Wにリフタ部30が接触したか否かを判定する処理を繰り返すことで、前基板にリフタ部30が接触するタッチ位置PTを検出し、タッチ位置PTに基づき制御位置を算出する工程と、を有する。この場合でも、制御位置設定方法は、リフタ部30の制御位置を精度よく設定でき、かつ作業の効率化を図ることができる。
【0126】
今回開示された実施形態に係る基板処理装置1および制御位置設定方法は、すべての点において例示であって制限的なものではない。実施形態は、添付の請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形および改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0127】
1 基板処理装置
11 真空容器
21 回転テーブル
30 リフタ部
90 制御部
211 載置台
PT タッチ位置
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9