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特開2024-125149バッテリシステムの制御方法、そしてそれを行うバッテリ制御装置およびバッテリシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125149
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】バッテリシステムの制御方法、そしてそれを行うバッテリ制御装置およびバッテリシステム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J7/00 Q
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023147581
(22)【出願日】2023-09-12
(31)【優先権主張番号】10-2023-0028668
(32)【優先日】2023-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲曹▼ ▲徳▼九
(72)【発明者】
【氏名】陰 泳煥
(72)【発明者】
【氏名】李 大勳
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503EA09
5G503FA16
5G503FA17
5G503FA18
5G503GB06
(57)【要約】
【課題】本開示が解決しようとする技術的課題は、バッテリシステムのテストの際に誤った臨界値の調整により安全性の問題が発生することを防止できるバッテリシステムの制御方法、そしてそれを行うバッテリ制御装置およびバッテリシステムを提供することにある。
【解決手段】本開示によるバッテリシステムのバッテリ制御装置は、少なくとも一つのバッテリモジュールの状態と関連するパラメータに対する安全限界範囲と、前記パラメータに対する臨界値設定値を保存する保存装置、テスト装置と通信する通信装置、そして前記臨界値設定値に基づいて前記バッテリシステムの保護機能を作動させ、前記臨界値設定値の変更の要請を受けると前記テスト装置から受信した変更値に基づいて前記臨界値設定値を変更し、前記変更値が前記安全限界範囲を外れると前記臨界値設定値の変更を制限する制御器を含み得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのバッテリモジュールを含むバッテリシステムのバッテリ制御装置であって、
前記少なくとも一つのバッテリモジュールの状態と関連するパラメータに対する安全限界範囲と、前記パラメータに対する臨界値設定値を保存する保存装置、
テスト装置と通信する通信装置、そして
前記臨界値設定値に基づいて前記バッテリシステムの保護機能を作動させ、前記臨界値設定値の変更の要請を受けると前記テスト装置から受信した変更値に基づいて前記臨界値設定値を変更し、前記変更値が前記安全限界範囲を外れると前記臨界値設定値の変更を制限する制御器を含む、バッテリ制御装置。
【請求項2】
前記制御器は、前記変更値が前記安全限界範囲を外れると、前記臨界値設定値を以前の値で維持する、請求項1に記載のバッテリ制御装置。
【請求項3】
前記制御器は、前記変更値が前記安全限界範囲を外れると、前記臨界値設定値を前記安全限界範囲に対応する値に変更する、請求項1に記載のバッテリ制御装置。
【請求項4】
前記制御器は、前記変更値が前記安全限界範囲を外れると、前記変更値が有効な値ではないことを前記テスト装置に通知する、請求項1に記載のバッテリ制御装置。
【請求項5】
前記制御器は、前記テスト装置からテストモードへの進入の要請を受けると前記バッテリシステムの作動モードを前記テストモードに変更し、前記バッテリシステムが前記テストモードで作動する間のみ前記臨界値設定値の変更を許容する、請求項1に記載のバッテリ制御装置。
【請求項6】
前記制御器は、前記バッテリシステムが前記テストモードで作動する間前記臨界値設定値が変更されると、変更された前記臨界値設定値に基づいて前記保護機能の作動を制御する、請求項5に記載のバッテリ制御装置。
【請求項7】
前記制御器は、前記バッテリシステムと前記テスト装置の間の連結が遮断されるか前記テスト装置から前記テストモードの終了の要請を受けると、前記バッテリシステムの作動モードをノーマルモードに変更する、請求項5に記載のバッテリ制御装置。
【請求項8】
前記制御器は、前記バッテリシステムの作動モードが前記ノーマルモードに変更されると、前記臨界値設定値をデフォルト値に変更し、
前記デフォルト値は前記安全限界範囲を外れる値である、請求項7に記載のバッテリ制御装置。
【請求項9】
前記パラメータは前記少なくとも一つのバッテリモジュールのセル電圧、モジュール電圧、電流、または温度であり、
前記臨界値設定値は、前記少なくとも一つのバッテリモジュールの過電圧臨界値、低電圧臨界値、過電流臨界値、または過温度臨界値である、請求項8に記載のバッテリ制御装置。
【請求項10】
前記臨界値設定値が前記過電圧臨界値である場合、前記過電圧臨界値の前記デフォルト値は前記安全限界範囲の電圧上限値よりもさらに高い、請求項9に記載のバッテリ制御装置。
【請求項11】
前記臨界値設定値が前記低電圧臨界値である場合、前記低電圧臨界値の前記デフォルト値は前記安全限界範囲の電圧下限値よりもさらに低い、請求項9に記載のバッテリ制御装置。
【請求項12】
前記臨界値設定値が前記過電流臨界値である場合、前記過電流臨界値の前記デフォルト値は前記安全限界範囲の電流上限値よりもさらに高い、請求項9に記載のバッテリ制御装置。
【請求項13】
前記臨界値設定値が前記過温度臨界値である場合、前記過温度臨界値の前記デフォルト値は前記安全限界範囲の温度上限値よりもさらに高い、請求項9に記載のバッテリ制御装置。
【請求項14】
前記保護機能は、前記少なくとも一つのバッテリモジュールと前記バッテリシステムの負荷の間に連結されたスイッチを遮断させる機能を含む、請求項1に記載のバッテリ制御装置。
【請求項15】
少なくとも一つのバッテリモジュール、そして
請求項1ないし14のいずれか一項によるバッテリ制御装置を含む、バッテリシステム。
【請求項16】
少なくとも一つのバッテリモジュールを含むバッテリシステムの制御方法であって、
前記少なくとも一つのバッテリモジュールの状態と関連するパラメータの臨界値設定値の変更要請を受信する段階、
前記臨界値設定値の変更値が予め設定された安全限界範囲を外れるかどうかを判断する段階、
前記変更値が前記安全限界範囲内である場合、前記臨界値設定値を前記変更値に変更する段階、
前記変更値が前記安全限界範囲を外れると前記臨界値設定値の変更を制限する段階、そして
前記臨界値設定値に基づいて前記バッテリシステムの保護機能の作動を制御する段階を含む、制御方法。
【請求項17】
前記制限する段階は、
前記変更値が前記安全限界範囲を外れると、前記臨界値設定値を以前の値で維持する段階、または
前記変更値が前記安全限界範囲を外れると、前記臨界値設定値を前記安全限界範囲に対応する値に変更する段階を含む、請求項16に記載の制御方法。
【請求項18】
テストモードへの変更要請を受信する段階、そして
前記バッテリシステムの作動モードを前記テストモードに変更する段階をさらに含み、
前記臨界値設定値の変更は前記バッテリシステムが前記テストモードで作動する間のみ許容される、請求項16に記載の制御方法。
【請求項19】
前記バッテリシステムとテスト装置の間の連結が遮断されるか前記テストモードの終了の要請を受けると、前記バッテリシステムの作動モードをノーマルモードに変更する段階、そして
前記バッテリシステムの作動モードが前記ノーマルモードに変更されると、前記臨界値設定値をデフォルト値に変更する段階をさらに含み、
前記デフォルト値は前記安全限界範囲を外れる値である、請求項18に記載の制御方法。
【請求項20】
前記パラメータは前記少なくとも一つのバッテリモジュールのセル電圧、モジュール電圧、電流、または温度であり、
前記臨界値設定値は、前記少なくとも一つのバッテリモジュールの過電圧臨界値、低電圧臨界値、過電流臨界値、または過温度臨界値であり、
前記臨界値設定値が前記過電圧臨界値である場合、前記過電圧臨界値の前記デフォルト値は前記安全限界範囲の電圧上限値よりもさらに高く、
前記臨界値設定値が前記低電圧臨界値である場合、前記低電圧臨界値の前記デフォルト値は前記安全限界範囲の電圧下限値よりもさらに低く、
前記臨界値設定値が前記過電流臨界値である場合、前記過電流臨界値の前記デフォルト値は前記安全限界範囲の電流上限値よりもさらに高く、
前記臨界値設定値が前記過温度臨界値である場合、前記過温度臨界値の前記デフォルト値は前記安全限界範囲の温度上限値よりもさらに高い、請求項19に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はバッテリシステムの制御方法、そしてそれを行うバッテリ制御装置およびバッテリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギ貯蔵システム(Energy Storage System,ESS)は、大容量の電気エネルギを貯蔵してから電気エネルギが必要な時期に貯蔵された電気エネルギを供給してエネルギ使用効率を上げるシステムである。
【0003】
通常、ESSはバッテリシステム、バッテリシステムの電圧、電流、温度などをモニタリングするなどバッテリシステムを管理するバッテリ管理システム(Battery Management System,BMS)、交流(AC)-直流(DC)変換および配電機能を実行する電力変換システム(Power Conversion System,PCS)、ESSのエネルギの流れを制御し、ESSの状態などに係る情報を収集および管理するなどESSの全体システムを統合制御するエネルギ管理システム(Energy Management System,EMS)などを含むことができる。また、バッテリシステムは電気的に互いに連結された複数のバッテリラック(RACK)を含むことができる。各バッテリラックは電気的に互いに連結された複数のバッテリモジュールを含み、各バッテリモジュールは電気的に互いに連結された複数のセルを含むことができる。
【0004】
通常、ESSが現場に適用される前にESSが正常に作動するかどうかを確認するための試験運転が行われる。試運転中にはバッテリシステムの保護機能が正常に作動するかどうかをテストする作業が行われる。バッテリシステムのテストの際の作業者はバッテリシステムの損傷を防止するために保護機能を作動するかどうかを決めるパラメータ(例えば、電圧、電流、温度など)の臨界値を任意に変更した後にテストを行う。この過程で作業者の過誤などにより臨界値を誤って調整する場合、テスト中のバッテリシステムに実際問題が発生したにもかかわらず保護機能が作動しないためバッテリシステムの損傷など安全性の問題が発生し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示が解決しようとする技術的課題は、バッテリシステムのテストの際に誤った臨界値の調整により安全性の問題が発生することを防止できるバッテリシステムの制御方法、そしてそれを行うバッテリ制御装置およびバッテリシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するための一実施形態によるバッテリシステムのバッテリ制御装置は、少なくとも一つのバッテリモジュールの状態と関連するパラメータに対する安全限界範囲と、前記パラメータに対する臨界値設定値を保存する保存装置、テスト装置と通信する通信装置、そして前記臨界値設定値に基づいて前記バッテリシステムの保護機能を作動させ、前記臨界値設定値の変更の要請を受けると前記テスト装置から受信した変更値に基づいて前記臨界値設定値を変更し、前記変更値が前記安全限界範囲を外れると前記臨界値設定値の変更を制限する制御器を含み得る。
【0007】
前記制御器は、前記変更値が前記安全限界範囲を外れると、前記臨界値設定値を以前の値で維持し得る。
【0008】
前記制御器は、前記変更値が前記安全限界範囲を外れると、前記臨界値設定値を前記安全限界範囲に対応する値に変更し得る。
【0009】
前記制御器は、前記変更値が前記安全限界範囲を外れると、前記変更値が有効な値ではないことを前記テスト装置に通知し得る。
【0010】
前記制御器は、前記テスト装置からテストモードへの進入の要請を受けると前記バッテリシステムの作動モードを前記テストモードに変更し、前記バッテリシステムが前記テストモードで作動する間のみ前記臨界値設定値の変更を許容し得る。
【0011】
前記制御器は、前記バッテリシステムが前記テストモードで作動する間前記臨界値設定値が変更されると、変更された前記臨界値設定値に基づいて前記保護機能の作動を制御し得る。
【0012】
前記制御器は、前記バッテリシステムと前記テスト装置の間の連結が遮断されるか前記テスト装置から前記テストモードの終了の要請を受けると、前記バッテリシステムの作動モードをノーマルモードに変更し得る。
【0013】
前記制御器は、前記バッテリシステムの作動モードが前記ノーマルモードに変更されると、前記臨界値設定値をデフォルト値に変更し得る。前記デフォルト値は前記安全限界範囲を外れる値であり得る。
【0014】
前記パラメータは前記少なくとも一つのバッテリモジュールのセル電圧、モジュール電圧、電流、または温度であり得る。前記臨界値設定値は、前記少なくとも一つのバッテリモジュールの過電圧臨界値、低電圧臨界値、過電流臨界値、または過温度臨界値であり得る。
【0015】
前記臨界値設定値が前記過電圧臨界値である場合、前記過電圧臨界値の前記デフォルト値は前記安全限界範囲の電圧上限値よりもさらに高くてもよい。前記臨界値設定値が前記低電圧臨界値である場合、前記低電圧臨界値の前記デフォルト値は前記安全限界範囲の電圧下限値よりもさらに低くてもよい。前記臨界値設定値が前記過電流臨界値である場合、前記過電流臨界値の前記デフォルト値は前記安全限界範囲の電流上限値よりもさらに高くてもよい。前記臨界値設定値が前記過温度臨界値である場合、前記過温度臨界値の前記デフォルト値は前記安全限界範囲の温度上限値よりもさらに高くてもよい。前記保護機能は、前記少なくとも一つのバッテリモジュールと前記バッテリシステムの負荷の間に連結されたスイッチを遮断させる機能を含み得る。
【0016】
一実施形態によるバッテリシステムは、少なくとも一つのバッテリモジュール、そして前述した特徴のうち少なくとも一つを含むバッテリ制御装置を含み得る。
【0017】
一実施形態によるバッテリシステムの制御方法は、少なくとも一つのバッテリモジュールの状態と関連するパラメータの臨界値設定値の変更要請を受信する段階、前記臨界値設定値の変更値が予め設定された安全限界範囲を外れるかどうかを判断する段階、前記変更値が前記安全限界範囲内である場合、前記臨界値設定値を前記変更値に変更する段階、前記変更値が前記安全限界範囲を外れると前記臨界値設定値の変更を制限する段階、そして前記臨界値設定値に基づいて前記バッテリシステムの保護機能の作動を制御する段階を含み得る。
【0018】
前記制限する段階は、前記変更値が前記安全限界範囲を外れると、前記臨界値設定値を以前の値で維持する段階、または前記変更値が前記安全限界範囲を外れると、前記臨界値設定値を前記安全限界範囲に対応する値に変更する段階を含み得る。
【0019】
前記制御方法は、テストモードへの変更要請を受信する段階、そして前記バッテリシステムの作動モードを前記テストモードに変更する段階をさらに含み得る。前記臨界値設定値の変更は前記バッテリシステムが前記テストモードで作動する間のみ許容され得る。
【0020】
前記制御方法は、前記バッテリシステムと前記テスト装置の間の連結が遮断されるか前記テストモードの終了の要請を受けると、前記バッテリシステムの作動モードをノーマルモードに変更する段階、そして前記バッテリシステムの作動モードが前記ノーマルモードに変更されると、前記臨界値設定値をデフォルト値に変更する段階をさらに含み得る。前記デフォルト値は前記安全限界範囲を外れる値であり得る。
【0021】
前記制御方法において、前記パラメータは前記少なくとも一つのバッテリモジュールのセル電圧、モジュール電圧、電流、または温度であり得る。前記臨界値設定値は、前記少なくとも一つのバッテリモジュールの過電圧臨界値、低電圧臨界値、過電流臨界値、または過温度臨界値であり得る。
【0022】
前記制御方法で、前記臨界値設定値が前記過電圧臨界値である場合、前記過電圧臨界値の前記デフォルト値は前記安全限界範囲の電圧上限値よりもさらに高くてもよい。前記臨界値設定値が前記低電圧臨界値である場合、前記低電圧臨界値の前記デフォルト値は前記安全限界範囲の電圧下限値よりもさらに低くてもよい。前記臨界値設定値が前記過電流臨界値である場合、前記過電流臨界値の前記デフォルト値は前記安全限界範囲の電流上限値よりもさらに高くてもよい。前記臨界値設定値が前記過温度臨界値である場合、前記過温度臨界値の前記デフォルト値は前記安全限界範囲の温度上限値よりもさらに高くてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、バッテリシステムのテストの際の誤った臨界値の調整により安全性の問題が発生することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】一実施形態によるバッテリシステムを概略的に示す図である。
図2】一実施形態によるバッテリシステムの制御方法を示す図である。
図3】一実施形態によるバッテリシステムが適用されるエネルギ貯蔵システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付する図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。以下に添付する図面を参照して実施形態の効果および特徴、そしてその実現方法を詳細に説明する。図面で、同じ参照符号は同じ構成要素を示し、それに係る重複する説明は省略する。しかし、本発明は多様な形態で実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。かえって、これらの実施形態は本開示が徹底的かつ完全になるように例として提供され、通常の技術者に本発明の態様および特徴を十分に伝えるであろう。
【0026】
したがって、本発明の態様および特徴の完全な理解のために当業者には必要でないと考えられるプロセス、要素、および技術は説明しない。図面で、素子、層、および領域の相対的大きさは明確性のために誇張することができる。
【0027】
本発明で「および/または」という用語は、関連して列挙された複数の項目のすべての組み合わせまたは任意の組み合わせを含む。本発明の実施形態を記述する際、「~することができる」、「~であり得る」を使用するのは「本発明の一つ以上の実施形態」を意味する。本発明で単数形の用語は文脈上特に示さない限り複数形を含むことができる。
【0028】
本発明で「第1」、「第2」、「第3」などの序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するために使用されるが、これらの構成要素はこの用語によって限定されない。これらの用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲を外れない限り、第2構成要素は第1構成要素と名付けられてもよく、同様に第1構成要素も第2構成要素と名付けられてもよい。
【0029】
本発明で一つの構成要素または層が他の構成要素または層に対して「上に」、「連結された」、または「結合された」と記載される場合において、「上に」、「連結された」および「結合された」とは、直接または一つ以上の他の構成要素または層を介在して形成されることをすべて含む。また、一つの構成要素または層が2個の構成要素または層の「間」にあると記載される場合、2個の構成要素または層の間の唯一の構成要素または層であるか、一つ以上の介在する他の要素または層が存在するものとして理解されなければならない。
【0030】
本発明で2個の構成要素を電気的に連結することは、2個の構成要素を直接(directly)連結する場合だけでなく、2個の構成要素の間に他の構成要素を経て連結する場合も含むことができる。他の構成要素は、スイッチ、抵抗、キャパシタなどを含むことができる。実施形態の説明において、連結するという表現は、直接連結するという表現がない場合、電気的に連結することを意味する。
【0031】
以下、必要な図面を参照して実施形態によるバッテリシステムの制御方法、そしてそれを行うバッテリ制御装置およびバッテリシステムについて詳細に説明する。
【0032】
図1は一実施形態によるバッテリシステムを概略的に示す図である。
【0033】
図1を参照すると、一実施形態によるバッテリシステム10は、バッテリモジュール11、スイッチ12、測定装置13、およびバッテリ制御装置14を含み得る。
【0034】
バッテリモジュール11は電気的に互いに直列または並列連結される複数のセル(図示せず)を含み得る。
【0035】
スイッチ12はバッテリモジュール11と負荷20/充電装置30の間に位置し、バッテリモジュール11と負荷20/充電装置30を電気的に連結するか、バッテリモジュール11と負荷20/充電装置30の間の電気的な連結を遮断する。
【0036】
測定装置13はバッテリモジュール11の電圧(セル電圧、モジュール電圧など)、電流、温度などバッテリモジュール11の状態と関連するパラメータを測定する。測定装置13は電圧検出装置、電流検出装置、温度センサなどを含み得る。
【0037】
バッテリ制御装置14はバッテリモジュール11の状態と関連する測定値とこれらの臨界値設定値に基づいてバッテリシステム10の保護機能を行うことができる。バッテリ制御装置14はテスト装置40と通信してテストモードへの進入を決め、テストモードに進入時、テスト装置40から受信する制御情報に基づいて予め設定された安全限界の範囲内で臨界値設定値を変更することができる。
【0038】
バッテリ制御装置14は通信装置141、保存装置142、および制御器143を含み得る。
【0039】
通信装置141はバッテリ制御装置14と外部装置の間の通信機能をする。例えば、通信装置141はCAN(Controller Area Network)通信によりテスト装置40と通信する。また、例えば、通信装置141はCAN通信により上位制御器(図示せず)と通信することもできる。
【0040】
保存装置142はバッテリ制御装置14で処理される情報、データなどを保存する。例えば、保存装置142はバッテリモジュール11の状態と関連する少なくとも一つのパラメータ(電圧、電流、温度など)の安全限界範囲を保存する。ここで、安全限界範囲はバッテリシステム10のテストモードで臨界値設定値の変更が許容される範囲をいう。また、例えば、保存装置142はバッテリモジュール11の状態と関連する少なくとも一つのパラメータの臨界値設定値を保存することができる。ここで、臨界値設定値は保護機能を実行するかどうかを決める基準になる値をいう。安全限界範囲は固定された値であって、初期に設定された後の変更は許容されない。反面、臨界値設定値は変更可能な値であって、バッテリシステム10がテストモードで作動時に変更が可能である。
【0041】
制御器143はバッテリ制御装置14の全般的な動作を制御する。
【0042】
制御器143は測定装置13から電圧、電流、温度などのバッテリモジュール11の状態と関連するパラメータの測定値を取得し得る。制御器143は取得された測定値を対応する臨界値設定値と比較し、比較結果に応じて保護機能を実行するかどうかを決める。保護機能は、例えばスイッチ12をオープンして充電または放電を中断する機能、上位制御器(図示せず)に警告メッセージを伝送する機能などを含み得る。
【0043】
例えば、制御器143はバッテリモジュール11のモジュール電圧または少なくとも一つのセル電圧が過電圧臨界値以上であるか低電圧臨界値以下である場合、バッテリモジュール11の充電または放電を遮断するためにスイッチ12をオープンさせ得る。また、例えば、制御器143はバッテリモジュール11の充放電電流が過電流臨界値以上である場合、バッテリモジュール11の充電または放電を遮断するためにスイッチ12をオープンさせ得る。また、例えば、制御器143はバッテリモジュール11または少なくとも一つのセルの温度が過温度臨界値以上である場合、バッテリモジュール11の充電または放電を遮断するためにスイッチ12をオープンさせ得る。
【0044】
制御器143はテスト装置40と通信してテストモードへの作動を決める。制御器143はテスト装置40からテストモードへの進入の要請を受けるとテストモードに進入する。制御器143はテストモードで作動中にテスト装置40との連結が解除されるかまたはテスト装置40からテストモードの終了の要請を受けるとテストモードを終了してノーマル(normal)モードで作動する。
【0045】
制御器143はテストモードに進入した後、テスト装置40から受信する制御情報に基づいて保存装置142に保存された臨界値設定値を変更し得る。テストモードに進入する前に保存装置142に保存された臨界値設定値はデフォルト(default)値として設定された状態であり得る。制御器143はテスト装置40から臨界値設定値の変更要請と共に臨界値設定値の変更値を受信し、受信した変更値に応じて保存装置142に保存された対応する臨界値設定値を変更し得る。制御器143はテスト装置40から受信した変更値が対応するパラメータの安全限界範囲を外れる場合、臨界値設定値の変更を中断してテスト装置40に変更値が有効な値ではないことを通知する。制御器143はテスト装置40から受信した変更値が対応するパラメータの安全限界範囲を外れる場合、対応する臨界値設定値を安全限界範囲に対応する値に設定することもできる。
【0046】
制御器143はテストモードが終了すると、変更された臨界値設定値をデフォルト値に復帰させる。ここで、各臨界値設定値のデフォルト値はバッテリシステム10を実際使用するとき、保護機能の作動を決めるために実際使用される値であって、安全限界範囲はこのデフォルト値を外れないように設定する。例えば、過電圧臨界値のデフォルト値は安全限界範囲が定義する電圧上限値よりもさらに高くてもよい。また、例えば、低電圧臨界値のデフォルト値は安全限界範囲が定義する電圧下限値よりもさらに低くてもよい。また、例えば、過電流臨界値のデフォルト値は安全限界範囲が定義する電流上限値よりもさらに高くてもよい。また、例えば、過温度臨界値のデフォルト値は安全限界範囲が定義する温度上限値よりもさらに高くてもよい。
【0047】
制御器143はマイクロプロセッサ(microprocessor)、マイクロコントローラ(microcontroller)、中央処理装置(central processing unit,CPU)、プロセッサコア(processor core)、マルチプロセッサ(multiprocessor)、ASIC(application-specific integrated circuit)、FPGA(field programmable gate array)などのようにプログラム内に含まれたコードまたは命令として表現された機能を実行するために物理的に構造化された回路を有するプロセッサで構成されることができる。
【0048】
前述したバッテリ制御装置14はバッテリ管理システム(battery management system)に統合されることができる。
【0049】
一方、図1ではバッテリシステム10が一つのバッテリモジュール11と、バッテリモジュール11と負荷20/充電装置30の間に連結される一つのスイッチ12を含む場合を例にあげて図示したが、実施形態はこれにより限定されるものではない。他の実施形態によれば、バッテリシステム10は複数のバッテリモジュールを含むか、バッテリモジュール11と負荷20/充電装置30の間に複数のスイッチを含むこともできる。
【0050】
図2は一実施形態によるバッテリシステムの制御方法を概略的に示す図である。図2の制御方法は、図1のバッテリ制御装置14により行われることができる。
【0051】
図2を参照すると、一実施形態によるバッテリシステム10のバッテリ制御装置14は、バッテリシステム10がノーマルモードで作動中(S11)にテスト装置40からテストモードの作動が要請されると(S12)、バッテリシステム10の作動モードをテストモードに変更する(S13)。
【0052】
テストモードで作動する場合、保存装置142に保存された臨界値設定値の変更が許容される。バッテリ制御装置14はテスト装置40から臨界値設定値の変更の要請を受けると(S14)、テスト装置40から受信した変更値が対応する安全限界範囲内であるかどうかを判断する(S15)。
【0053】
バッテリ制御装置14は受信した変更値が安全限界範囲内である場合、受信した変更値に対応する臨界値設定値を変更する(S16)。バッテリ制御装置14は臨界値設定値が変更されると、バッテリシステム10がテストモードで作動する間に変更された臨界値設定値に基づいてバッテリシステム10の保護機能作動を制御することができる。
【0054】
バッテリ制御装置14は受信した変更値が安全限界範囲を外れると、変更値が安全限界範囲を外れたことを通知する情報をテスト装置40に伝送し、対応する臨界値設定値の変更を制限する(S17)。例えば、バッテリ制御装置14は変更要請された臨界値設定値を変更せず、以前の値を維持することができる。また、例えば、バッテリ制御装置14は変更要請された臨界値設定値を安全限界範囲に対応する値に変更することもできる。
【0055】
その後、バッテリ制御装置14は、テスト装置40がバッテリシステム10と分離されるか、テスト装置40からテストモードの終了の要請を受けてテストモードが終了すると(S18)、バッテリシステム10の作動モードをノーマルモードに変更する(S19)。バッテリ制御装置14はまた、バッテリシステム10がノーマルモードで作動することにより、テストモード間に変更された臨界値設定値を変更前のデフォルト値に自動復元する(S20)。
【0056】
図3は一実施形態によるバッテリシステムが適用されるエネルギ貯蔵システム(ESS)を概略的に示す図である。
【0057】
図3を参照すると、一実施形態によるESSは、バッテリシステム1、エネルギ管理システム(Energy Management System,EMS)2、および電力変換システム(Power Conversion System,PCS)3を含み得る。
【0058】
バッテリシステム1は少なくとも一つのバッテリバンク(bank)100を含み得る。各バッテリバンク100は電気的に互いに直列または並列連結される複数のバッテリラック(Rack,110)を含み得る。また、各バッテリラック110は電気的に互いに直列または並列連結される複数のバッテリモジュール111を含み、各バッテリモジュール111は電気的に互いに直列または並列連結される複数のバッテリセル(図示せず)を含み得る。
【0059】
バッテリシステム10は各バッテリラック110に対応するラックBMS120を含み得る。
【0060】
ラックBMS120は対応するバッテリラック110の状態をモニタリングしてバッテリシステム1が最適な状態で運転されるように制御する。このために、ラックBMS120は対応するバッテリラック110を構成するバッテリセルに対して状態(電圧、電流、温度、充電状態(State Of Charge,SOC)、寿命(State Of Health,SOH)など)モニタリング機能、制御機能(例えば、温度制御、セルバランス制御)、保護機能(例えば、過放電、過充電、過電流防止など)などを行うことができる。
【0061】
システムBMS130はラックBMS120からラックBMS120が収集したデータを収集し、収集されたデータを集合および管理する。また、システムBMS130はEMS2からデータ転送が要請されると、各ラックBMS120から受信したデータを集めてEMS2に伝達する。
【0062】
EMS2はESSの効率的なエネルギ管理のために電力系統の電力使用およびESSの電力供給をリアルタイムでモニタリングして制御する統合制御装置である。EMS2はESSを構成する全体システム(バッテリシステム10、PCS3など)の状態をモニタリングし、ESSの運転を制御する。
【0063】
PCS3はバッテリシステム10と電力系統の間で電気エネルギを伝達するために電気の特性(直流(DC)、交流(AC)、電圧、周波数など)を変換する電力変換装置として作動する。通常バッテリシステム10では直流(DC)形態の電気エネルギが使用され、電力系統では交流(AC)形態の電気エネルギが使用される。したがって、PCS3は直流(DC)-交流(AC)変換によりバッテリシステム10に貯蔵された電気エネルギを電力系統に伝達するか、交流(AC)-直流(DC)変換により電力系統から供給される電気エネルギをバッテリシステム10に伝達することができる。
【0064】
PCS3は前述した電力変換および配電機能の他にも、ESSの有効電力と無効電力など電気品質を制御し、ESSの電圧と運転状態を監視する監視/制御機能、停電時に電力系統を保護する系統連系保護機能、電源がない場合にもバッテリシステム10を活用してESSを運転する独立運転機能などをさらに行うことができる。
【0065】
前述した構造のESSでバッテリシステム1およびバッテリモジュール111は図1を参照して説明したバッテリシステム10およびバッテリモジュール11にそれぞれ対応する。また、図1のバッテリ制御装置14はESSのラックBMS120内に組み込むことができる。また、図1のスイッチ12および測定装置13はバッテリラック110内に取り付けることができる。
【0066】
以上、参照した図面と記載された発明の詳細な説明は単に本発明を例示するためであり、これは単に本発明を説明するための目的で使用され、意味限定や特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を制限するために使用されるものではない。したがって、本技術分野の通常の知識を有する者であれば、これより多様な変形および均等な他の実施形態が可能であることを理解することができる。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は添付された特許請求の範囲の技術的思想によって定められるべきである。
【符号の説明】
【0067】
1 バッテリシステム
2 EMS
3 PCS
100 バッテリバンク
110 バッテリラック
111 バッテリモジュール
120 ラックBMS
130 システムBMS
10 バッテリシステム
11 バッテリモジュール
12 スイッチ
13 測定装置
14 バッテリ制御装置
141 通信装置
142 保存装置
143 制御器
図1
図2
図3