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特開2024-125359プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125359
(43)【公開日】2024-09-18
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240910BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H05H1/46 R
H01L21/302 101B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024102080
(22)【出願日】2024-06-25
(62)【分割の表示】P 2020157535の分割
【原出願日】2020-09-18
(31)【優先権主張番号】P 2019227670
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】輿水 地塩
(72)【発明者】
【氏名】玉虫 元
(72)【発明者】
【氏名】井上 雅博
(57)【要約】
【課題】高周波電源の負荷からの反射波のパワーレベルを低減させる技術を提供する。
【解決手段】開示されるプラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持器、高周波電源、バイアス電源、及び制御部を備える。バイアス電源は、周期的にパルス状の負極性の直流電圧を基板支持器の下部電極に印加するように構成されている。制御部は、高周波電源を制御するように構成されている。制御部は、高周波電源の負荷からの反射波のパワーレベルを低減するために、下部電極に対するバイアス電源からのパルス状の負極性の直流電圧の印加の周期内でその周波数が変化する高周波電力を供給するように高周波電源を制御する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
下部電極及び該下部電極上に設けられた静電チャックを有し、前記チャンバ内で、その上に載置される基板を支持するように構成された基板支持器と、
前記チャンバ内のガスからプラズマを生成するために供給される高周波電力を発生するように構成された高周波電源と、
前記下部電極に電気的に接続されており、周期的にパルス状の負極性の直流電圧を前記下部電極に印加するように構成されたバイアス電源と、
前記高周波電源を制御するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記高周波電源の負荷からの反射波のパワーレベルを低減するために、前記下部電極に対する前記バイアス電源からの前記パルス状の負極性の直流電圧の印加の周期内でその周波数が変化する前記高周波電力を供給するように前記高周波電源を制御する、
プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記周期内の第1の部分期間内の少なくとも一部の期間において前記高周波電力を供給し、前記周期内の第2の部分期間における前記高周波電力のパワーレベルを、前記第1の部分期間における前記高周波電力のパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定するように前記高周波電源を制御する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記第1の部分期間は、前記パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加される期間であり、
前記第2の部分期間は、前記パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加されない期間である、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記第1の部分期間は、前記パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加されない期間であり、
前記第2の部分期間は、前記パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加される期間である、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記周期内での反射波のパワーレベルを低減するため、前記周期内における位相に応じて前記高周波電力の前記周波数を変化させるように前記高周波電源を制御する、請求項1~4の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
プラズマ処理装置を用いるプラズマ処理方法であって、
該プラズマ処理装置は、
チャンバと、
下部電極及び該下部電極上に設けられた静電チャックを有し、前記チャンバ内で、その上に載置される基板を支持するように構成された基板支持器と、
前記チャンバ内のガスからプラズマを生成するために供給される高周波電力を発生するように構成された高周波電源と、
前記下部電極に電気的に接続されたバイアス電源と、
を備え、
該プラズマ処理方法は、前記静電チャック上に基板が載置されている状態で該基板にプラズマ処理を行うために実行され、
前記バイアス電源から前記下部電極に周期的にパルス状の負極性の直流電圧を印加する工程と、
前記高周波電源の負荷からの反射波のパワーレベルを低減するために、前記下部電極に対する前記バイアス電源からの前記パルス状の負極性の直流電圧の印加の周期内でその周波数が変化する前記高周波電力を供給する工程と、
を含むプラズマ処理方法。
【請求項7】
前記周期内の第1の部分期間内の少なくとも一部の期間において前記高周波電力が供給され、
前記周期内の第2の部分期間における前記高周波電力のパワーレベルが、前記第1の部分期間における前記高周波電力のパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定される、
請求項6に記載のプラズマ処理方法。
【請求項8】
前記第1の部分期間は、前記パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加される期間であり、
前記第2の部分期間は、前記パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加されない期間である、
請求項7に記載のプラズマ処理方法。
【請求項9】
前記第1の部分期間は、前記パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加されない期間であり、
前記第2の部分期間は、前記パルス状の負極性の直流電圧が前記下部電極に印加される期間である、
請求項8に記載のプラズマ処理方法。
【請求項10】
前記周期内での反射波のパワーレベルを低減するため、前記高周波電力の前記周波数が前記周期内における位相に応じて変更される、請求項6~9の何れか一項に記載されたプラズマ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板に対するプラズマ処理では、プラズマ処理装置が用いられる。下記の特許文献1は、一種のプラズマ処理装置が記載されている。特許文献1に記載されたプラズマ処理装置は、チャンバ、電極、高周波電源、及び高周波バイアス電源を備えている。電極は、チャンバ内に設けられている。基板は、電極上に載置される。高周波電源は、チャンバ内で高周波電界を形成するために高周波電力のパルスを供給する。高周波バイアス電源は、電極に高周波バイアス電力のパルスを供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-64915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、高周波電源の負荷からの反射波のパワーレベルを低減させる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持器、高周波電源、バイアス電源、及び制御部を備える。基板支持器は、下部電極及び静電チャックを有する。静電チャックは、下部電極上に設けられている。基板支持器は、チャンバ内で、その上に載置される基板を支持するように構成されている。高周波電源は、チャンバ内のガスからプラズマを生成するために供給される高周波電力を発生するように構成されている。バイアス電源は、下部電極に電気的に接続されており、周期的にパルス状の負極性の直流電圧を下部電極に印加するように構成されている。制御部は、高周波電源を制御するように構成されている。制御部は、高周波電源の負荷からの反射波のパワーレベルを低減するために、下部電極に対するバイアス電源からのパルス状の負極性の直流電圧の印加の周期内でその周波数が変化する高周波電力を供給するように高周波電源を制御する。
【発明の効果】
【0006】
一つの例示的実施形態によれば、高周波電源の負荷からの反射波のパワーレベルを低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
図2】一例に係るパルス状の負極性の直流電圧、高周波電力のパワー、及び高周波電力の周波数のタイミングチャートである。
図3】一例に係るパルス状の負極性の直流電圧、高周波電力のパワー、及び高周波電力の周波数のタイミングチャートである。
図4】一例に係るパルス状の負極性の直流電圧、高周波電力のパワー、及び高周波電力の周波数のタイミングチャートである。
図5】一例に係るパルス状の負極性の直流電圧、高周波電力のパワー、及び高周波電力の周波数のタイミングチャートである。
図6】一例に係るパルス状の負極性の直流電圧、高周波電力のパワー、及び高周波電力の周波数のタイミングチャートである。
図7】一例に係るパルス状の負極性の直流電圧、高周波電力のパワー、及び高周波電力の周波数のタイミングチャートである。
図8】一例に係るパルス状の負極性の直流電圧、高周波電力のパワー、及び高周波電力の周波数のタイミングチャートである。
図9】一例に係るパルス状の負極性の直流電圧、高周波電力のパワー、及び高周波電力の周波数のタイミングチャートである。
図10】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持器、高周波電源、バイアス電源、及び制御部を備える。基板支持器は、下部電極及び静電チャックを有する。静電チャックは、下部電極上に設けられている。基板支持器は、チャンバ内で、その上に載置される基板を支持するように構成されている。高周波電源は、チャンバ内のガスからプラズマを生成するために供給される高周波電力を発生するように構成されている。バイアス電源は、下部電極に電気的に接続されており、周期的にパルス状の負極性の直流電圧を下部電極に印加するように構成されている。制御部は、高周波電源を制御するように構成されている。制御部は、高周波電源の負荷からの反射波のパワーレベルを低減するために、下部電極に対するバイアス電源からのパルス状の負極性の直流電圧の印加の周期内でその周波数が変化する高周波電力を供給するように高周波電源を制御する。
【0010】
高周波電源の負荷からの反射は、高周波電源の出力インピーダンスと負荷インピーダンスとの差に起因して生じる。高周波電源の出力インピーダンスと負荷インピーダンスとの差は、高周波電力の周波数を変化させることにより低減させることが可能である。したがって、上記実施形態によれば、高周波電源の負荷からの反射波のパワーレベルを低減させることが可能となる。また、パルス状の負極性の直流電圧の印加の周期、即ちパルス周期内では、負荷インピーダンスが変動する。一般的に、高周波電源は、整合器によるインピーダンスの変更速度よりも高速に、高周波電力の周波数を変更することができる。したがって、上記実施形態によれば、負荷インピーダンスの変動に応じて周期内で反射波のパワーレベルを低減させるように、高速に高周波電力の周波数を変化させることが可能である。
【0011】
一つの例示的実施形態において、制御部は、周期内の第1の部分期間内の少なくとも一部の期間において高周波電力を供給するように高周波電源を制御してもよい。制御部は、周期内の第2の部分期間における高周波電力のパワーレベルを、第1の部分期間における高周波電力のパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定するように高周波電源を制御してもよい。
【0012】
一つの例示的実施形態において、第1の部分期間は、パルス状の負極性の直流電圧が下部電極に印加される期間であってもよい。第2の部分期間は、パルス状の負極性の直流電圧が下部電極に印加されない期間であってもよい。
【0013】
一つの例示的実施形態において、第1の部分期間は、パルス状の負極性の直流電圧が下部電極に印加されない期間であってもよい。第2の部分期間は、パルス状の負極性の直流電圧が下部電極に印加される期間であってもよい。
【0014】
一つの例示的実施形態において、制御部は、周期内での反射波のパワーレベルを低減するため、周期内での位相に応じて高周波電力の周波数を変化させるように高周波電源を制御してもよい。制御部は、周期内での反射波のパワーレベルを低減するための周期内の位相と高周波電力の周波数との予め求められた関係を用いて、周期内での位相に応じて高周波電力の周波数を変化させるように高周波電源を制御してもよい。
【0015】
別の例示的実施形態において、プラズマ処理方法が提供される。プラズマ処理方法で用いられるプラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持器、高周波電源、及びバイアス電源、を備える。基板支持器は、下部電極及び静電チャックを有する。静電チャックは、下部電極上に設けられている。基板支持器は、チャンバ内で、その上に載置される基板を支持するように構成されている。高周波電源は、チャンバ内のガスからプラズマを生成するために供給される高周波電力を発生するように構成されている。バイアス電源は、下部電極に電気的に接続されている。プラズマ処理方法は、静電チャック上に基板が載置されている状態で該基板にプラズマ処理を行うために実行される。プラズマ処理方法は、バイアス電源から下部電極に周期的にパルス状の負極性の直流電圧を印加する工程を含む。プラズマ処理方法は、高周波電源の負荷からの反射波のパワーレベルを低減するために、下部電極に対するバイアス電源からのパルス状の負極性の直流電圧の印加の周期内でその周波数が変化する高周波電力を供給する工程を含む。
【0016】
一つの例示的実施形態において、周期内の第1の部分期間内の少なくとも一部の期間において高周波電力が供給されてもよい。周期内の第2の部分期間における高周波電力のパワーレベルが、第1の部分期間における高周波電力のパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定されてもよい。
【0017】
一つの例示的実施形態において、第1の部分期間は、パルス状の負極性の直流電圧が下部電極に印加される期間であってもよい。第2の部分期間は、パルス状の負極性の直流電圧が下部電極に印加されない期間であってもよい。
【0018】
一つの例示的実施形態において、第1の部分期間は、パルス状の負極性の直流電圧が下部電極に印加されない期間であってもよい。第2の部分期間は、パルス状の負極性の直流電圧が下部電極に印加される期間であってもよい。
【0019】
一つの例示的実施形態において、周期内での反射波のパワーレベルを低減するため、高周波電力の周波数が周期内における位相に応じて変更され得る。高周波電力の周波数は、周期内での反射波のパワーレベルを低減するための周期内の位相と高周波電力の周波数との予め求められた関係を用いて、周期内における位相に応じて変更されてもよい。
【0020】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0021】
図1は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。図1に示すプラズマ処理装置1は、容量結合型のプラズマ処理装置である。プラズマ処理装置1は、チャンバ10を備えている。チャンバ10は、その中に内部空間10sを提供している。内部空間10sの中心軸線は、鉛直方向に延びる軸線AXである。
【0022】
一実施形態において、チャンバ10は、チャンバ本体12を含んでいる。チャンバ本体12は、略円筒形状を有している。内部空間10sは、チャンバ本体12の中に提供されている。チャンバ本体12は、例えばアルミニウムから構成されている。チャンバ本体12は電気的に接地されている。チャンバ本体12の内壁面、即ち内部空間10sを画成する壁面には、耐プラズマ性を有する膜が形成されている。この膜は、陽極酸化処理によって形成された膜又は酸化イットリウムから形成された膜といったセラミック製の膜であり得る。
【0023】
チャンバ本体12の側壁には通路12pが形成されている。基板Wは、内部空間10sとチャンバ10の外部との間で搬送されるときに、通路12pを通過する。この通路12pの開閉のために、ゲートバルブ12gがチャンバ本体12の側壁に沿って設けられている。
【0024】
プラズマ処理装置1は、基板支持器16を更に備える。基板支持器16は、チャンバ10の中で、その上に載置された基板Wを支持するように構成されている。基板Wは、略円盤形状を有する。基板支持器16は、支持部17によって支持されている。支持部17は、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。支持部17は、略円筒形状を有している。支持部17は、石英又はアルミナといった絶縁材料から形成されている。
【0025】
基板支持器16は、下部電極18及び静電チャック20を有する。下部電極18及び静電チャック20は、チャンバ10の中に設けられている。下部電極18は、アルミニウムといった導電性材料から形成されており、略円盤形状を有している。
【0026】
下部電極18内には、流路18fが形成されている。流路18fは、熱交換媒体用の流路である。熱交換媒体としては、液状の冷媒、或いは、その気化によって下部電極18を冷却する冷媒(例えば、フロン)が用いられる。流路18fには、熱交換媒体の供給装置(例えば、チラーユニット)が接続されている。この供給装置は、チャンバ10の外部に設けられている。流路18fには、供給装置から配管23aを介して熱交換媒体が供給される。流路18fに供給された熱交換媒体は、配管23bを介して供給装置に戻される。
【0027】
静電チャック20は、下部電極18上に設けられている。基板Wは、内部空間10sの中で処理されるときに、静電チャック20上に載置され、静電チャック20によって保持される。
【0028】
静電チャック20は、本体及び電極を有している。静電チャック20の本体は、酸化アルミニウム又は窒化アルミニウムといった誘電体から形成されている。静電チャック20の本体は、略円盤形状を有している。静電チャック20の中心軸線は、軸線AXに略一致している。静電チャック20の電極は、本体内に設けられている。静電チャック20の電極は、膜形状を有している。静電チャック20の電極には、直流電源がスイッチを介して電気的に接続されている。直流電源からの電圧が静電チャック20の電極に印加されると、静電チャック20と基板Wとの間で静電引力が発生する。発生した静電引力により、基板Wは静電チャック20に引き付けられ、静電チャック20によって保持される。
【0029】
静電チャック20は、基板載置領域を含んでいる。基板載置領域は、略円盤形状を有する領域である。基板載置領域の中心軸線は、軸線AXに略一致している。基板Wは、チャンバ10内で処理されるときには、基板載置領域の上面の上に載置される。
【0030】
一実施形態において、静電チャック20は、エッジリング載置領域を更に含んでいてもよい。エッジリング載置領域は、静電チャック20の中心軸線の周りで基板載置領域を囲むように周方向に延在している。エッジリング載置領域の上面の上にはエッジリングERが搭載される。エッジリングERは、環形状を有している。エッジリングERは、軸線AXにその中心軸線が一致するように、エッジリング載置領域上に載置される。基板Wは、エッジリングERによって囲まれた領域内に配置される。即ち、エッジリングERは、基板Wのエッジを囲むように配置される。エッジリングERは、導電性を有し得る。エッジリングERは、例えばシリコン又は炭化ケイ素から形成されている。エッジリングERは、石英といった誘電体から形成されていてもよい。
【0031】
プラズマ処理装置1は、ガス供給ライン25を更に備え得る。ガス供給ライン25は、ガス供給機構からの伝熱ガス、例えばHeガスを、静電チャック20の上面と基板Wの裏面(下面)との間の間隙に供給する。
【0032】
プラズマ処理装置1は、絶縁領域27を更に備え得る。絶縁領域27は、支持部17上に配置されている。絶縁領域27は、軸線AXに対して径方向において下部電極18の外側に配置されている。絶縁領域27は、下部電極18の外周面に沿って周方向に延在している。絶縁領域27は、石英といった絶縁体から形成されている。エッジリングERは、絶縁領域27及びエッジリング載置領域上に載置される。
【0033】
プラズマ処理装置1は、上部電極30を更に備えている。上部電極30は、基板支持器16の上方に設けられている。上部電極30は、部材32と共にチャンバ本体12の上部開口を閉じている。部材32は、絶縁性を有している。上部電極30は、この部材32を介してチャンバ本体12の上部に支持されている。
【0034】
上部電極30は、天板34及び支持体36を含んでいる。天板34の下面は、内部空間10sを画成している。天板34には、複数のガス吐出孔34aが形成されている。複数のガス吐出孔34aの各々は、天板34を板厚方向(鉛直方向)に貫通している。この天板34は、限定されるものではないが、例えばシリコンから形成されている。或いは、天板34は、アルミニウム製の部材の表面に耐プラズマ性の膜を設けた構造を有し得る。この膜は、陽極酸化処理によって形成された膜又は酸化イットリウムから形成された膜といったセラミック製の膜であり得る。
【0035】
支持体36は、天板34を着脱自在に支持している。支持体36は、例えばアルミニウムといった導電性材料から形成されている。支持体36の内部には、ガス拡散室36aが設けられている。ガス拡散室36aからは、複数のガス孔36bが下方に延びている。複数のガス孔36bは、複数のガス吐出孔34aにそれぞれ連通している。支持体36には、ガス導入ポート36cが形成されている。ガス導入ポート36cは、ガス拡散室36aに接続している。ガス導入ポート36cには、ガス供給管38が接続されている。
【0036】
ガス供給管38には、ガスソース群40が、バルブ群41、流量制御器群42、及びバルブ群43を介して接続されている。ガスソース群40、バルブ群41、流量制御器群42、及びバルブ群43は、ガス供給部を構成している。ガスソース群40は、複数のガスソースを含んでいる。バルブ群41及びバルブ群43の各々は、複数のバルブ(例えば開閉バルブ)を含んでいる。流量制御器群42は、複数の流量制御器を含んでいる。流量制御器群42の複数の流量制御器の各々は、マスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器である。ガスソース群40の複数のガスソースの各々は、バルブ群41の対応のバルブ、流量制御器群42の対応の流量制御器、及びバルブ群43の対応のバルブを介して、ガス供給管38に接続されている。プラズマ処理装置1は、ガスソース群40の複数のガスソースのうち選択された一以上のガスソースからのガスを、個別に調整された流量で、内部空間10sに供給することが可能である。
【0037】
基板支持器16又は支持部17とチャンバ本体12の側壁との間には、バッフルプレート48が設けられている。バッフルプレート48は、例えば、アルミニウム製の部材に酸化イットリウム等のセラミックを被覆することにより構成され得る。このバッフルプレート48には、多数の貫通孔が形成されている。バッフルプレート48の下方においては、排気管52がチャンバ本体12の底部に接続されている。この排気管52には、排気装置50が接続されている。排気装置50は、自動圧力制御弁といった圧力制御器、及び、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、内部空間10sの圧力を減圧することができる。
【0038】
プラズマ処理装置1は、高周波電源61を更に備えている。高周波電源61は、高周波電力RFを発生する電源である。高周波電力RFは、チャンバ10内のガスからプラズマを生成するために用いられる。高周波電力RFの周波数は、27~100MHzの範囲内の周波数であり得る。高周波電源61は、高周波電力RFを下部電極18に供給するために、整合回路63を介して下部電極18に接続されている。整合回路63は、高周波電源61の出力インピーダンスと負荷側(例えば、下部電極18側)のインピーダンス、即ち負荷インピーダンスを整合させるよう構成されている。高周波電源61は、更にパワーセンサ65を介して下部電極18に電気的に接続されていてもよい。パワーセンサ65は、方向性結合器及び反射波パワー検出器を含み得る。方向性結合器は、高周波電源61の負荷からの反射波を少なくとも部分的に反射波パワー検出器に与えるように構成されている。反射波パワー検出器は、方向性結合器から受けた反射波のパワーレベルを検出するように構成されている。なお、高周波電源61は、下部電極18に電気的に接続されていなくてもよく、整合回路63を介して上部電極30に接続されていてもよい。
【0039】
プラズマ処理装置1は、バイアス電源62を更に備えている。バイアス電源62は、下部電極18に電気的に接続されている。一実施形態において、バイアス電源62は、ローパスフィルタ64を介して下部電極18に電気的に接続されている。バイアス電源62は、周期P、即ちパルス周期で周期的にパルス状の負極性の直流電圧PVを下部電極18に印加するように構成されている。周期Pを規定する周波数は、高周波電力RFの周波数よりも低い。周期Pを規定する周波数は、例えば、50kHz以上、27MHz以下である。周期Pは、第1の部分期間P及び第2の部分期間Pを含む。一実施形態では、第1の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加される期間であってもよく、第2の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加されない期間であってもよい。別の実施形態では、第1の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加されない期間であってもよく、第2の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加される期間であってもよい。
【0040】
プラズマ処理装置1においてプラズマ処理が行われる場合には、内部空間10sにガスが供給される。そして、高周波電力RFが供給されることにより、内部空間10sの中でガスが励起される。その結果、内部空間10sの中でプラズマが生成される。基板支持器16によって支持された基板Wは、プラズマからのイオン及びラジカルといった化学種により処理される。例えば、基板は、プラズマからの化学種によりエッチングされる。プラズマ処理装置1では、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加されることにより、プラズマからのイオンが基板Wに向けて加速される。
【0041】
プラズマ処理装置1は、制御部MCを更に備える。制御部MCは、プロセッサ、記憶装置、入力装置、表示装置等を備えるコンピュータであり、プラズマ処理装置1の各部を制御する。制御部MCは、記憶装置に記憶されている制御プログラムを実行し、当該記憶装置に記憶されているレシピデータに基づいてプラズマ処理装置1の各部を制御する。制御部MCによる制御により、レシピデータによって指定されたプロセスがプラズマ処理装置1において実行される。後述するプラズマ処理方法は、制御部MCによるプラズマ処理装置1の各部の制御により、プラズマ処理装置1において実行され得る。
【0042】
一実施形態において、制御部MCは、周期P内の第1の部分期間P内の少なくとも一部の期間において高周波電力RFを供給するように高周波電源61を制御し得る。プラズマ処理装置1では、高周波電力RFは、下部電極18に供給される。或いは、高周波電力RFは、上部電極30に供給されてもよい。制御部MCは、周期P内の第2の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルを、第1の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定してもよい。即ち、制御部MCは、第1の部分期間Pにおいて高周波電力RFの一つ以上のパルスを供給するように高周波電源61を制御してもよい。
【0043】
第2の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルは、0[W]であってもよい。即ち、制御部MCは、第2の部分期間Pにおいては、高周波電力RFの供給を停止するように、高周波電源61を制御してもよい。或いは、第2の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルは、0[W]よりも大きくてもよい。
【0044】
制御部MCは、同期パルス、遅延時間長、及び供給時間長を高周波電源61に与えるように構成されている。同期パルスは、パルス状の負極性の直流電圧PVに同期されている。遅延時間長は、同期パルスによって特定される周期Pの開始時点からの遅延時間長である。供給時間長は、高周波電力RFの供給時間の長さである。高周波電源61は、周期Pの開始時点に対して遅延時間長だけ遅れた時点から供給時間長の間、高周波電力RFの一つ以上のパルスを供給する。その結果、第1の部分期間Pにおいて、高周波電力RFが下部電極18に供給される。なお、遅延時間長は、ゼロであってもよい。
【0045】
一実施形態において、プラズマ処理装置1は、電圧センサ78を更に備えていてもよい。電圧センサ78は、基板Wの電位を直接的に又は間接的に測定するように構成されている。図1に示す例では、電圧センサ78は、下部電極18の電位を測定するように構成されている。具体的には、電圧センサ78は、下部電極18とバイアス電源62との間で接続されている給電路の電位を測定する。
【0046】
制御部MCは、電圧センサ78によって測定された基板Wの電位が周期Pにおける基板Wの電位の平均値VAVEよりも高いか又は低い期間を第1の部分期間Pとして決定してもよい。制御部MCは、電圧センサ78によって測定された基板Wの電位が平均値VAVEよりも低いか又は高い期間を第2の部分期間Pとして決定してもよい。基板Wの電位の平均値VAVEは、予め定められた値であってもよい。制御部MCは、決定した第1の部分期間Pにおいて上述したように高周波電力RFを供給するように高周波電源61を制御してもよい。また、制御部MCは、決定した第2の部分期間Pにおいて上述したように高周波電力RFのパワーレベルを設定するように高周波電源61を制御してもよい。なお、プラズマ処理装置1は、電圧センサ78に代えて、周期Pにおける第1の部分期間P及び第2の部分期間Pの決定において用いることが可能な測定値を取得することができる他のセンサ(例えば電流センサ)を備えていてもよい。
【0047】
制御部MCは、高周波電源61の負荷からの反射波のパワーレベルを低減するために、周期P内でその周波数が変化する高周波電力RFを供給するように高周波電源61を制御する。周期P内での反射波のパワーレベルを低減するための周期P内の位相と高周波電力RFの周波数との関係は、プラズマ処理装置1において基板Wに対するプラズマ処理が実行される前又は当該プラズマ処理の実行中に予め求められ得る。この関係は、関数又はテーブル形式のデータとして、制御部MCの記憶装置に記憶される。制御部MCは、この関係を用いて、高周波電源61を制御する。この関係は、周期P内の各位相での高周波電力RFの周波数を変更しつつパワーセンサ65を用いて反射波のパワーレベルを検出して、周期P内の各位相での反射波のパワーレベルを抑制又は最小化する高周波電力RFの周波数を決定することにより、得られる。
【0048】
高周波電源61の負荷からの反射は、高周波電源61の出力インピーダンスと負荷インピーダンスとの差に起因して生じる。高周波電源61の出力インピーダンスと負荷インピーダンスとの差は、高周波電力RFの周波数を変化させることにより低減させることが可能である。したがって、プラズマ処理装置1によれば、高周波電源61の負荷からの反射波のパワーレベルを低減させることが可能となる。また、パルス状の負極性の直流電圧PVの印加の周期P内では、負荷インピーダンスが変動する。一般的に、高周波電源は、整合器によるインピーダンスの変更速度よりも高速に、高周波電力の周波数を変更することができる。したがって、プラズマ処理装置1によれば、負荷インピーダンスの変動に応じて周期P内で反射波のパワーレベルを低減させるように、高速に高周波電力RFの周波数を変化させることが可能である。
【0049】
また、負極性のパルス状の直流電圧PVが下部電極18に印加されている期間においては、プラズマと下部電極18(又は基板W)との間の電位差が比較的大きくなる。したがって、負極性のパルス状の直流電圧PVが下部電極18に印加されている期間では、基板Wにイオンが衝突することにより発生する2次電子が、プラズマと下部電極18との間で基板W上のシースにかかる大きな電位差で加速されて大きなエネルギーを得る。故に、負極性のパルス状の直流電圧PVが下部電極18に印加されている期間では、2次電子のエネルギーが比較的高く、プラズマ中の電子温度及びプラズマ中でのガスの解離度が高くなる。一方、負極性のパルス状の直流電圧PVが下部電極18に印加されていない期間においては、プラズマと下部電極18(又は基板W)との間の電位差は比較的低くなる。したがって、負極性のパルス状の直流電圧PVが下部電極18に印加されていない期間では、2次電子を加速する電位差が小さいので、2次電子のエネルギーが比較的低く、プラズマ中の電子温度及びプラズマ中でのガスの解離度が低くなる。故に、プラズマ処理装置1によれば、プラズマ中の電子温度及びプラズマのガスの解離度を制御することが可能である。
【0050】
以下、図2図9を参照する。図2図9の各々は、一例に係るパルス状の負極性の直流電圧、高周波電力のパワー、及び高周波電力の周波数のタイミングチャートである。図2図9の各々において、「VO」、「RFパワー」、「RF周波数」はそれぞれ、バイアス電源62の出力電圧、高周波電力RFのパワーレベル、高周波電力RFの周波数を示している。
【0051】
図2に示す例では、第1の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加される期間である。図2に示す例では、第2の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加されない期間である。図2に示す例では、制御部MCは、周期Pの繰り返しの間、プラズマの生成のために連続的に高周波電力RFを供給するように高周波電源61を制御する。図2に示す例では、パルス状の負極性の直流電圧PVが0[V]から負のピーク電圧まで変化する過渡期間(以下、「第1の過渡期間」という)において、高周波電力RFの周波数はそれが増大するように変化する。図2に示す例では、パルス状の負極性の直流電圧PVが負のピーク電圧から0[V]まで変化する過渡期間(以下、「第2の過渡期間」という)において、高周波電力RFの周波数はそれが低下するように変化する。図2に示す例では、第1の部分期間Pにおける高周波電力RFの周波数は、第2の部分期間Pにおける高周波電力RFの周波数よりも高い周波数に設定される。
【0052】
図3は、別の一例に係るパルス状の負極性の直流電圧、高周波電力のパワー、及び高周波電力の周波数のタイミングチャートである。図3に示すタイミングチャートでは、第2の部分期間P内でも、高周波電力RFの周波数が変化する点で、図2に示すタイミングチャートと異なっている。図3に示す例のように、高周波電力RFの周波数は、第1の部分期間P及び第2の部分期間Pの少なくとも一方において、一回以上変更されてもよい。即ち、高周波電力RFの周波数は、第1の部分期間P及び第2の部分期間Pの少なくとも一方において、変動してもよい。
【0053】
図4に示す例では、第1の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加される期間である。図4に示す例では、第2の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加されない期間である。図4に示す例では、制御部MCは、第1の部分期間Pにおいて高周波電力RFを供給し、第2の部分期間Pにおいて高周波電力RFの供給を停止するように高周波電源61を制御する。即ち、図4に示す例では、制御部MCは、第1の部分期間Pにおいて高周波電力RFのパルスを供給するように高周波電源61を制御する。図4に示す例では、第1の過渡期間において、高周波電力RFの周波数はそれが増大するように変化する。図4に示す例では、第2の過渡期間において、高周波電力RFの周波数はそれが低下するように変化する。
【0054】
図5に示す例では、第1の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加される期間である。図5に示す例では、第2の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加されない期間である。図5に示す例では、制御部MCは、第1の部分期間Pにおいて高周波電力RFを供給するように高周波電源61を制御する。図5に示す例では、制御部MCは、第2の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルを、0[W]よりも大きく、第1の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定するように高周波電源61を制御する。図5に示す例では、第1の過渡期間において、高周波電力RFの周波数はそれが増大するように変化する。図5に示す例では、第2の過渡期間において、高周波電力RFの周波数はそれが低下するように変化する。図5に示す例では、第1の部分期間Pにおける高周波電力RFの周波数は、第2の部分期間Pにおける高周波電力RFの周波数よりも高い。
【0055】
図6に示す例では、第1の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加される期間である。図6に示す例では、第2の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加されない期間である。図6に示す例では、制御部MCは、第1の部分期間Pにおいて高周波電力RFを供給するように高周波電源61を制御する。図6に示す例では、制御部MCは、第2の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルを、第1の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定するように高周波電源61を制御する。また、図6に示す例では、制御部MCは、第2の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルを変化させるように高周波電源61を制御する。このように、制御部MCは、第1の部分期間P及び第2の部分期間Pの少なくとも一方において高周波電力RFのパワーレベルを一回以上変化させるように高周波電源61を制御してもよい。
【0056】
図6に示す例では、第1の過渡期間において、高周波電力RFの周波数はそれが増大するように変化する。図6に示す例では、第2の過渡期間において、高周波電力RFの周波数はそれが低下するように変化する。図6に示す例では、第1の部分期間Pにおける高周波電力RFの周波数は、第2の部分期間Pにおける高周波電力RFの周波数よりも高い。また、図6に示す例では、高周波電力RFのパワーが増大する期間において、高周波電力RFの周波数はそれが増大するように変化する。また、図6に示す例では、高周波電力RFのパワーが低下する期間において、高周波電力RFの周波数はそれが低下するように変化する。また、図6に示す例では、高周波電力RFのパワーが高い期間における高周波電力RFの周波数は、高周波電力RFのパワーが低い期間における高周波電力RFの周波数よりも高い。
【0057】
図7に示す例では、第1の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加されない期間である。図7に示す例では、第2の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加される期間である。図7に示す例では、制御部MCは、第1の部分期間Pにおいて高周波電力RFを供給し、第2の部分期間Pにおいて高周波電力RFの供給を停止するように高周波電源61を制御する。即ち、図7に示す例では、制御部MCは、第1の部分期間Pにおいて高周波電力RFのパルスを供給するように高周波電源61を制御する。図7に示す例では、第1の過渡期間において、高周波電力RFの周波数はそれが増大するように変化する。図7に示す例では、第2の過渡期間において、高周波電力RFの周波数はそれが低下するように変化する。
【0058】
図8に示す例では、第1の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加されない期間である。図8に示す例では、第2の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加される期間である。図8に示す例では、制御部MCは、第1の部分期間Pにおいて高周波電力RFを供給するように高周波電源61を制御する。図8に示す例では、制御部MCは、第2の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルを、0[W]よりも大きく、第1の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定するように高周波電源61を制御する。図8に示す例では、第1の過渡期間において、高周波電力RFの周波数はそれが増大するように変化する。図8に示す例では、第2の過渡期間において、高周波電力RFの周波数はそれが低下するように変化する。図8に示す例では、第1の部分期間Pにおける高周波電力RFの周波数は、第2の部分期間Pにおける高周波電力RFの周波数よりも低い。
【0059】
図9に示す例では、第1の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加されない期間である。図9に示す例では、第2の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加される期間である。図9に示す例では、制御部MCは、第1の部分期間Pにおいて高周波電力RFを供給するように高周波電源61を制御する。図9に示す例では、制御部MCは、第2の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルを、第1の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定するように高周波電源61を制御する。また、図9に示す例では、制御部MCは、第1の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルを変化させるように高周波電源61を制御する。このように、制御部MCは、第1の部分期間P及び第2の部分期間Pの少なくとも一方において高周波電力RFのパワーレベルを一回以上変化させるように高周波電源61を制御してもよい。
【0060】
図9に示す例では、第1の過渡期間において、高周波電力RFの周波数はそれが増大するように変化する。図9に示す例では、第2の過渡期間において、高周波電力RFの周波数はそれが低下するように変化する。図9に示す例では、第1の部分期間Pにおける高周波電力RFの周波数は、第2の部分期間Pにおける高周波電力RFの周波数よりも低い。また、図9に示す例では、高周波電力RFのパワーが増大する期間において、高周波電力RFの周波数はそれが低下するように変化する。また、図9に示す例では、高周波電力RFのパワーが低下する期間において、高周波電力RFの周波数はそれが増大するように変化する。また、図9に示す例では、高周波電力RFのパワーが高い期間における高周波電力RFの周波数は、高周波電力RFのパワーが低い期間における高周波電力RFの周波数よりも低い。図9に示す例のように、高周波電力RFの周波数は、第1の部分期間P及び第2の部分期間Pの少なくとも一方において、一回以上変更されてもよい。即ち、高周波電力RFの周波数は、第1の部分期間P及び第2の部分期間Pの少なくとも一方において、変動してもよい。
【0061】
以下、図10を参照する。図10は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理方法を示す流れ図である。図10に示すプラズマ処理方法(以下、「方法MT」という)は、上述したプラズマ処理装置1を用いて実行され得る。
【0062】
方法MTは、静電チャック20上に基板Wが載置されている状態で実行される。方法MTは、基板Wにプラズマ処理を行うために実行される。方法MTでは、ガスがガス供給部からチャンバ10内に供給される。そして、チャンバ10内のガスの圧力が指定された圧力に排気装置50によって設定される。
【0063】
方法MTでは、工程ST1が実行される。工程ST1では、バイアス電源62から下部電極18にパルス状の負極性の直流電圧PVが周期Pで周期的に印加される。
【0064】
工程ST2は、工程ST1の実行中に実行される。工程ST2では、高周波電源61の負荷からの反射波のパワーレベルを低減するために、周期P内でその周波数が変化する高周波電力RFが供給される。周期P内の位相に応じた高周波電力RFの周波数の設定及びその例については、上述した説明及び図2図9の例を参照されたい。
【0065】
一実施形態においては、高周波電力RFは、周期P内の第1の部分期間P内の少なくとも一部の期間において高周波電源61から供給されてもよい。一実施形態においては、周期P内の第2の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルは、第1の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定されてもよい。第2の部分期間Pにおける高周波電力RFのパワーレベルは、0[W]であってもよい。
【0066】
一実施形態では、第1の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加される期間であってもよく、第2の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加されない期間であってもよい。別の実施形態では、第1の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加されない期間であってもよく、第2の部分期間Pは、パルス状の負極性の直流電圧PVが下部電極18に印加される期間であってもよい。
【0067】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0068】
別の実施形態に係るプラズマ処理装置は、プラズマ処理装置1とは異なる容量結合型のプラズマ処理装置であってもよい。また、更に別の実施形態に係るプラズマ処理装置は、誘導結合型プラズマ処理装置であってもよい。また、更に別の実施形態に係るプラズマ処理装置は、ECR(電子サイクロトロン共鳴)プラズマ処理装置であってもよい。また、更に別の実施形態に係るプラズマ処理装置は、マイクロ波といった表面波を用いてプラズマを生成するプラズマ処理装置であってもよい。
【0069】
また、周期Pは、第1の部分期間P及び第2の部分期間Pを含む三つ以上の部分期間から構成されていてもよい。周期P内の三つ以上の部分期間の時間長は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。三つ以上の部分期間の各々における高周波電力RFのパワーレベルは、同一であってもよく、前後の部分期間における高周波電力RFのパワーレベルとは異なるパワーレベルに設定されてもよい。
【0070】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0071】
1…プラズマ処理装置、10…チャンバ、16…基板支持器、18…下部電極、20…静電チャック、61…高周波電源、62…バイアス電源、MC…制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
下部電極及び該下部電極上に設けられた静電チャックを有し、前記チャンバ内で、その上に載置される基板を支持するように構成された基板支持器と、
前記チャンバ内のガスからプラズマを生成するために供給される高周波電力を発生するように構成された高周波電源と、
前記下部電極に電気的に接続されており、周期的にパルス状の負極性の直流電圧を前記下部電極に印加するように構成されたバイアス電源と、
前記高周波電源を制御するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記高周波電源の負荷からの反射波のパワーレベルを低減するために、前記下部電極に対する前記バイアス電源からの前記パルス状の負極性の直流電圧の印加の周期内でその周波数が変化する前記高周波電力を供給するように前記高周波電源を制御する、
プラズマ処理装置。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
下部電極及び該下部電極上に設けられた静電チャックを有し、前記チャンバ内で、その上に載置される基板を支持するように構成された基板支持器と、
前記チャンバ内高周波電力を供給するように構成された高周波電源と、
前記基板支持器に電気的に接続されており、周期的にパルス電圧を前記基板支持器に印加するように構成されたバイアス電源と、
前記高周波電源を制御するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記基板支持器に対する前記バイアス電源からの前記パルス電圧の印加の周期内でその周波数が変化する前記高周波電力を供給するように前記高周波電源を制御
前記周期内において前記高周波電力を連続的に供給するように前記高周波電源を制御する、
プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記周期内の第1の部分期間および第2の部分期間において前記高周波電力を供給し、前記第2の部分期間における前記高周波電力のパワーレベルを、前記第1の部分期間における前記高周波電力のパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定するように前記高周波電源を制御する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記第1の部分期間は、前記パルス電圧が前記基板支持器に印加される期間であり、
前記第2の部分期間は、前記パルス電圧が前記基板支持器に印加されない期間である、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記第1の部分期間は、前記パルス電圧が前記基板支持器に印加されない期間であり、
前記第2の部分期間は、前記パルス電圧が前記基板支持器に印加される期間である、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記周期内での反射波のパワーレベルを低減するため、前記周期内における位相に応じて前記高周波電力の前記周波数を変化させるように前記高周波電源を制御する、請求項1~4の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
プラズマ処理装置を用いるプラズマ処理方法であって、
該プラズマ処理装置は、
チャンバと、
下部電極及び該下部電極上に設けられた静電チャックを有し、前記チャンバ内で、その上に載置される基板を支持するように構成された基板支持器と、
前記チャンバ内に高周波電力を供給するように構成された高周波電源と、
前記基板支持器に電気的に接続されており、周期的にパルス電圧を前記基板支持器に印加するように構成されたバイアス電源と、
を備え、
該プラズマ処理方法は、前記静電チャック上に基板が載置されている状態で該基板にプラズマ処理を行うために実行され、
前記バイアス電源から前記基板支持器に周期的にパルス電圧を印加する工程と、
前記基板支持器に対する前記バイアス電源からの前記パルス電圧の印加の周期内でその周波数が変化する前記高周波電力を供給する工程と、
を含み、
前記高周波電力を供給する工程では、前記周期内において前記高周波電力が連続的に供給される、
プラズマ処理方法。
【請求項7】
前記周期内の第1の部分期間及び第2の部分期間において前記高周波電力が供給され、
前記周期内の第2の部分期間における前記高周波電力のパワーレベルが、前記第1の部分期間における前記高周波電力のパワーレベルから減少されたパワーレベルに設定される、
請求項6に記載のプラズマ処理方法。
【請求項8】
前記第1の部分期間は、前記パルス電圧が前記基板支持器に印加される期間であり、
前記第2の部分期間は、前記パルス電圧が前記基板支持器に印加されない期間である、
請求項7に記載のプラズマ処理方法。
【請求項9】
前記第1の部分期間は、前記パルス電圧が前記基板支持器に印加されない期間であり、
前記第2の部分期間は、前記パルス電圧が前記基板支持器に印加される期間である、
請求項8に記載のプラズマ処理方法。
【請求項10】
前記周期内での反射波のパワーレベルを低減するため、前記高周波電力の前記周波数が前記周期内における位相に応じて変更される、請求項6~9の何れか一項に記載されたプラズマ処理方法。