IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東京精密の特許一覧

<>
  • 特開-搬送ユニット 図1
  • 特開-搬送ユニット 図2
  • 特開-搬送ユニット 図3
  • 特開-搬送ユニット 図4
  • 特開-搬送ユニット 図5
  • 特開-搬送ユニット 図6
  • 特開-搬送ユニット 図7
  • 特開-搬送ユニット 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125398
(43)【公開日】2024-09-18
(54)【発明の名称】搬送ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240910BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H01L21/66 B
H01L21/68 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024106216
(22)【出願日】2024-07-01
(62)【分割の表示】P 2023046979の分割
【原出願日】2016-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】酒井 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】市川 武清
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プローバの測定部に搬送物を搬送する搬送ユニットにおいて、スループットを向上させることができる搬送ユニットを提供する。
【解決手段】プローバ10において、測定部14に搬送物(プローブカードPC)を搬送する搬送ユニット16は、内部に搬送物を収納する筐体(カードカセット)16aと、筐体内の環境が測定部14の温度及び湿度に近づくように、筐体内の温度及び湿度を制御する環境制御手段16dと、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローバの測定部に搬送物を搬送する搬送ユニットであって、
内部に搬送物を収納する筐体と、
前記筐体内の環境が前記測定部の温度及び湿度に近づくように、前記筐体内の温度及び湿度を制御する環境制御手段と、
を備える搬送ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ上に形成された複数の半導体素子(チップ)の電気的特性の検査を行うプローバに関し、特に、搬送物収納部と複数の測定部との間で移動して搬送物を搬送物収納部又は各測定部に搬送する搬送ユニット及び搬送ユニットを備えたプローバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の搬送物を収納する搬送物収納部(複数のウエハを収納するカセットストック部)と、複数の測定部(ウエハ検査部)と、搬送物収納部と各測定部との間で移動して搬送物を搬送物収納部又は各測定部に搬送する搬送ユニット(自走車台)と、を備えたプローバ(ウエハ検査装置)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のプローバによれば、例えば、N個の測定部を用いる場合、1個の測定部を用いる場合と比べ、検査時間を1/Nに短縮できる。
【0003】
また、従来、プローバにおいては、ウエハの高温時(又は低温時)における電気的特性の検査(高温検査又は低温検査)が実施されている。この検査は、通常、搬送アームによってカセットからウエハをウエハチャックに搬送し、ウエハチャック上でウエハを検査温度に加熱(又は冷却)して電気的特性の検査を実施し、検査終了後、ウエハチャック上でウエハを冷却(又は加熱)し、温度が常温になってから搬送アームによってウエハをカセットへ戻すという手順で実施される。
【0004】
また従来、搬送物(プローブカード)を収納する筐体(カードカセット)であって、搬送物が出入りする開口が形成された筐体とこの開口を閉塞して筐体内を密閉又は略密閉空間とする開閉可能な物理的な扉とを備え、搬送物の受渡先(プローバ)まで移動して物理的な扉を開き、前記開口を介して搬送物の受渡先との間で搬送物を受け渡す搬送ユニット(カード搬送台車)を備えたプローバ(ウエハプロービングシステム)が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載のウエハプロービングシステムにおいては、搬送ユニットを搬送物の受け渡し先まで移動させた後、筐体内に乾燥空気が供給され、その後、物理的な扉が開かれ、前記開口を介して搬送物が搬送物の受渡先に受け渡される。
【0005】
また、従来、プローバにおいては、搬送物(ウエハ)が出入りする開口を閉塞する開閉可能な物理的な扉と、この扉に設けられ、この扉が開いたときに前記開口の下方を通過する搬送物に対して熱風を吹き付ける熱風吹き付け装置と、を備えたプローバが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5-343497号公報
【特許文献2】特開2007-294665号公報
【特許文献3】特開平10-289934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のプローバにおいては、各測定部で高温検査又は低温検査を実施すると、搬送物収納部の環境(通常、常温環境)と各測定部の環境(高温環境又は低温環境)とが相違することに起因して次の課題を生ずる。
【0008】
例えば、高温検査を実施する場合、検査開始前に、各測定部で常温状態のウエハやプローブカードを検査温度に近づけるための(プリヒートのための)待機時間が必要となり、各測定部でのスループット(単位時間あたりの処理能力)が低下するという問題がある。特に、ウエハやプローブカードの交換後再び高温検査を実施する場合、ウエハチャックが再び高温となるのに時間を要するため、次の高温検査を実施できるようになるまでさらに待機時間が長くなり、各測定部でのスループットが一層低下する。また、高温検査を実施する場合、検査終了後に、ウエハやプローブカードを交換する場合、各測定部で高温状態のウエハやプローブカードを常温に近づけるための待機時間が必要となり、これによっても各測定部でのスループットが低下するという問題がある。
【0009】
同様に、低温検査を実施する場合、検査開始前に、各測定部で常温状態のウエハやプローブカードを検査温度に近づけるための待機時間が必要となり、各測定部でのスループットが低下するという問題がある。特に、ウエハやプローブカードの交換後再び低温検査を実施する場合、ウエハチャックが再び低温となるのに時間を要するため、次の低温検査を実施できるようになるまでさらに待機時間が長くなり、各測定部でのスループットが一層低下する。また、低温検査を実施する場合、検査終了後に、各測定部で低温状態のウエハやプローブカードを結露が発生しない温度(通常、常温)に近づけるための待機時間が必要となり、これによっても各測定部でのスループットが低下するという問題がある。
【0010】
以上のように、特許文献1に記載のプローバにおいては、各測定部で高温検査又は低温検査を実施すると、搬送物収納部の環境(通常、常温環境)と各測定部の環境(高温環境又は低温環境)とが相違することに起因して各測定部内で搬送物を所定温度(例えば、検査温度又は常温)に近づけるための待機時間が長くなり、各測定部でのスループットが低下するという問題があり、これを改善して各測定部でのスループットを向上させることが求められている。
【0011】
また、上記各特許文献2及び3に記載のプローバにおいては、搬送物を収納する筐体内を密閉状態とすることができるものの、搬送物が出入りする開口が物理的な扉であることに起因して、物理的な扉を開閉させるための機構が別途必要となる、物理的な扉の開閉に一定の時間がかかるため、迅速に搬送物を受け渡すことができない等の問題がある。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、搬送物収納部と複数の測定部との間で移動して搬送物(例えば、ウエハ及びプローブカードのうち少なくとも一方)を搬送物収納部又は各測定部に搬送する搬送ユニットを備えたプローバにおいて、各測定部でのスループットを向上させることができるプローバ及び搬送ユニットを提供することを目的とする。また本発明は搬送物を収納する筐体であって、前記搬送物が出入りする開口が形成された筐体を備え、前記搬送物の受渡先まで移動して前記開口を介して前記搬送物の受渡先との間で前記搬送物を受け渡す搬送ユニットを備えたプローバにおいて、搬送物を収納する筐体内を密閉状態とすることができ、物理的な扉及びこれを開閉させるための機構が不要で、迅速に搬送物を受け渡すことができるプローバ及び搬送ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の一の態様であるプローバは、複数の搬送物を収納する搬送物収納部と、複数の測定部と、複数の搬送物を収納する搬送物収納部と複数の測定部との間を移動して搬送物を搬送物収納部内又は各測定部内に搬送する搬送ユニットと、搬送ユニットを搬送物収納部と各測定部との間で移動させる移動装置と、を備えるプローバであって、搬送ユニットは、搬送物を収納する筐体と、搬送物の搬送先の環境に応じた環境となるように筐体内の環境を制御する環境制御手段と、筐体には搬送物が出入りする開口が形成され、開口を閉塞するエアカーテンを形成して筐体内を密閉又は略密閉空間とするエアカーテン形成手段と、を備える。
【0014】
本態様によれば、環境制御手段により筐体内の環境を制御することができるので搬送物を搬送する工程を、搬送物を所望の状態(例えば温度や湿度)にするための時間として使用することができるので、測定部のスループットの向上をはかることができる。
【0015】
また、本態様によればエアカーテン形成手段により筐体の開口が閉塞されるので、物理的な扉を取り付けた場合のように扉を開閉させるための機構を設ける必要がなく、扉の開閉に有する時間も短縮させることができる。
【0016】
好ましくは、環境制御手段及びエアカーテン形成手段の各々は、別体で設けられている。
【0017】
本態様によれば、環境制御手段及びエアカーテン形成手段の各々は、別体で設けられているので、環境制御手段及びエアカーテン形成手段をそれぞれ操作することができる。これにより、本態様は、より正確に筐体内の環境を制御することができる。
【0018】
好ましくは、環境制御手段は、筐体の内部の上面に設けられており、エアカーテン形成手段は、筐体の開口の上端縁部に設けられている。
【0019】
本態様によれば、環境制御手段が筐体の内部の上面に設けられているので、筐体内部の環境をより効率的に制御することができる。また本態様によれば、エアカーテン形成手段は筐体の開口の上端縁部に設けられているので、より効率的に開口を塞ぐことができる。
【0020】
好ましくは、環境制御手段とエアカーテン形成手段とは、一体で設けられている。
【0021】
本態様によれば、環境制御手段とエアカーテン形成手段とは一体で設けられているので、環境制御手段とエアカーテン形成手段とに要するスペースが少なくなり、筐体内のスペースを有効に使用することができる。
【0022】
また本態様によれば、環境制御手段とエアカーテン形成手段とは一体で設けられているので、例えば環境制御手段とエアカーテン形成手段に使用されるヒータ、冷却器(クーラ)を含む温調気体供給源、及び送風機などを共通化することができる。
【0023】
本発明の態様である搬送ユニットは、複数の搬送物を収納する搬送物収納部と、複数の測定部との間を移動して搬送物を搬送物収納部内又は各測定部内に搬送する搬送ユニットであって、搬送物を収納する筐体と、搬送物の搬送先の環境に応じた環境となるように筐体内の環境を制御する環境制御手段と、筐体には搬送物が出入りする開口が形成され、開口を閉塞するエアカーテンを形成して筐体内を密閉又は略密閉空間とするエアカーテン形成手段と、を備える。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、搬送物収納部と複数の測定部との間で移動して搬送物(例えば、ウエハ及びプローブカードのうち少なくとも一方)を搬送物収納部又は各測定部に搬送する搬送ユニットを備えたプローバにおいて、各測定部でのスループットを向上させることができるプローバ及び搬送ユニットを提供することができる。また本発明によれば、搬送物を収納する筐体であって、前記搬送物が出入りする開口が形成された筐体を備え、前記搬送物の受渡先まで移動して前記開口を介して前記搬送物の受渡先との間で前記搬送物を受け渡す搬送ユニットを備えたプローバにおいて、搬送物を収納する筐体内を密閉状態とすることができ、物理的な扉及びこれを開閉させるための機構が不要で、迅速に搬送物を受け渡すことができるプローバ及び搬送ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態のプローバの概略構成を示す斜視図
図2】各測定部の正面図
図3】搬送ユニットの斜視図
図4】搬送ユニットの概略構成を表す縦断面図
図5】移動装置の斜視図
図6】移動装置の部分拡大斜視図
図7】搬送ユニット及び測定部の概略構成を表す縦断面図
図8】搬送ユニットの概略構成を表す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0027】
図1は、本実施形態のプローバ10の概略構成を示す斜視図である。
【0028】
図1に示すように、本実施形態のプローバ10は、搬送物収納部12と、複数の測定部14と、搬送物収納部12と各測定部14との間で移動して搬送物(本実施形態ではウエハ及びプローブカードのうち少なくとも一方)を搬送物収納部12内又は各測定部14内に搬送する搬送ユニット16と、搬送ユニット16を搬送物収納部12と各測定部14との間で移動させる移動装置(搬送ユニット移動装置)22と、を備えている。
【0029】
搬送物収納部12及び各測定部14は、搬送ユニット16によってアクセスされる側の面が互いに対向した状態(すなわち、向かい合わせの状態)でY方向に一定間隔をおいて配置されている。
【0030】
搬送ユニット16は、搬送物収納部12と各測定部14との間に配置されている。
【0031】
搬送物収納部12は、複数のウエハを収納するウエハ収納部12a及び複数のプローブカードを収納するプローブカード収納部12bを含む。搬送物収納部12の数や配置形態は特に限定されず、本実施形態では、ウエハ収納部12a及びプローブカード収納部12bを含む4つの搬送物収納部12が、搬送ユニット16によってアクセスされる側の面(図1中右側の面)を同一方向に向けた状態で水平方向(X軸方向)に配置されている。なお、搬送ユニット16によってアクセスされる側とは反対側(図1中左側)は、ウエハ又はプローブカード回収等の際に作業者によってアクセスされる。
【0032】
複数の測定部14は、それぞれ、図1に示すように、X軸方向に延びる複数のフレーム、Y軸方向に延びる複数のフレーム及びZ軸方向に延びる複数のフレームを組み合わせることで構成された直方体形状の測定室(プローバ室とも称される)で、その内部には、図7に示すように、ウエハを保持するウエハチャック18と、ヘッドステージ20と、ヘッドステージ20上に載置されたテストヘッド(図示せず)と、プローブカードPCを保持する第1プローブカード保持機構36と、が配置されている。
【0033】
図2は、各測定部14の正面図である。
【0034】
測定部14の数や配置形態は特に限定されず、本実施形態では、図1図2に示すように、水平方向(X軸方向)に配置された4つの測定部14からなる測定部群が鉛直方向(Z軸方向)に3段積み重ねられ、搬送ユニット16によってアクセスされる側の面(図1中左側の面)を同一方向に向けた状態で二次元的に配置されている。
【0035】
各測定部14(搬送ユニット16によってアクセスされる側の面)には、搬送ユニット16のウエハ保持アーム(ウエハ用アーム:搬送物保持アーム)16b及びプローブカード保持アーム(プローブカード用アーム)16cが出入りする開口14aが形成されている。各測定部14の開口14aが形成された面以外の面は閉塞されていてもよいし、開口が形成されていてもよい。
【0036】
ウエハチャック18は、周知の温度調節装置(例えば、ウエハチャック18に内蔵されたヒートプレートやチラー装置等)により、高温又は低温の目標温度(検査温度)に調節される。
【0037】
各測定部14内の環境は次のようにして制御される。例えば、各測定部14内の温度は、各測定部14内に配置されたウエハチャック18の温度によって目標温度(検査温度)に制御される。また、各測定部14内の湿度は、周知の機構によって各測定部14内に乾燥空気をパージすることによって目標湿度に制御される。また、各測定部14内の環境は、周知の機構によって各測定部14内に所定ガス(例えば、窒素ガス)をパージすることによって制御される。各測定部14では、後述の高温検査、低温検査、所定ガス(例えば、窒素ガス)雰囲気下での検査等の複数種類の検査が実施される。各測定部14内の環境は、各測定部14で実施される検査に応じた環境となるように各測定部14内の環境が制御される。なお、各測定部14で実施される検査は各測定部間で同一であってもよいし、相互に異なってもよい。
【0038】
第1プローブカード保持機構36は、プローブカードPCを着脱自在に保持するための手段で、ウエハチャック18の上方、例えば、ヘッドステージ20側に設けられている。第1プローブカード保持機構36は、後述のプローブカード搬送機構によって当該第1プローブカード保持機構36まで搬送されたプローブカードPCを着脱自在に保持する。第1プローブカード保持機構36については周知である(例えば、特開2000-150596号公報参照)ため、これ以上の説明を省略する。
【0039】
各測定部群には、第1プローブカード保持機構36に保持されたプローブカードPCとウエハチャック18に保持されたウエハとの相対的な位置合わせを行うアライメント装置38及びアライメント装置38を4つの測定部14間で相互に移動させる移動装置(図示せず)が配置されている。アライメント装置38は、これが配置された測定部群に含まれる4つの測定部14間で相互に移動されて、当該4つの測定部14間で共有される。アライメント装置38を4つの測定部14間で相互に移動させる移動装置については、例えば、特開2014-150168号公報に記載のものを適用することができる。
【0040】
アライメント装置38は、第1プローブカード保持機構36に保持されたプローブカードPCとウエハチャック18に保持されたウエハとの相対的な位置合わせを行うための手段で、Z軸方向に昇降されるZ軸可動部38aやZ軸固定部38bやXY可動部38c等のウエハチャック18をX-Y-Z-θ方向に移動させる移動・回転機構で構成されている。アライメント装置38は、主に、X-Y-Z-θ方向に移動しながらウエハチャック18に保持されたウエハWをウエハチャック18上方に保持されたプローブカードPCのプローブに対して周知の方法でアライメントし、ウエハWとプローブとを電気的に接触させ、テストヘッドを介してウエハWの電気的特性検査を実施するために用いられる。
【0041】
アライメント装置38は、測定部14内においてウエハチャック18を保持した状態で、開口14a近傍のプローブカード受取位置P1(図7(a)参照)と第1プローブカード保持機構36の下方のプリヒート位置P2(図7(b)参照)との間で移動する。この移動は、周知のアライメント装置移動装置(図示せず)によって実現される。
【0042】
アライメント装置移動装置は、プローブカードPCの受取に際して目標温度に加熱されたウエハチャック18を保持した状態のアライメント装置38をプローブカード受取位置P1まで移動させ、プローブカードPCの第1プローブカード保持機構36への搬送に際してプローブカードPC及び目標温度に加熱されたウエハチャック18を保持した状態のアライメント装置38をプリヒート位置P2まで移動させる。
【0043】
アライメント装置38は、第2プローブカード保持機構40(カードリフタとも称される)を備えている。
【0044】
第2プローブカード保持機構40は、プローブカード保持アーム16cからプローブカードPCを受け取り、これを保持するための手段で、例えば、ウエハチャック18を取り囲んだ状態でZ軸可動部38aに取り付けられた保持部40a(例えば、リング状部材又は複数のピン)と、当該保持部40aをZ軸可動部38aに対してZ軸方向に昇降させる昇降機構(図示せず)と、によって構成されている。
【0045】
プローブカードPCの受け取り及び保持は、アライメント装置38がプローブカード受取位置P1に移動した状態で、保持部40aをZ軸可動部38aに対してZ軸方向に上昇させてプローブカードPC(下面外周縁)に当接させ、このZ軸方向に上昇する保持部40aでプローブカードPCをプローブカード保持アーム16cから持ち上げることで実現される。プローブカードPCは、ウエハチャック18の直上で保持される。
【0046】
プローブカード搬送機構は、第2プローブカード保持機構40によって保持されたプローブカードPCを第1プローブカード保持機構36まで搬送するための手段で、例えば、アライメント装置38に設けられた、Z軸方向に昇降されるZ軸可動部38aによって構成されている。
【0047】
プローブカードPCの第1プローブカード保持機構36への搬送は、アライメント装置38がプリヒート位置P2に移動した状態で、Z軸可動部38aをZ軸方向に上昇させることで実現される。
【0048】
図3は搬送ユニット16の斜視図、図4は搬送ユニット16の概略構成を表す縦断面図である。
【0049】
搬送ユニット16は、搬送物収納部12と各測定部14との間でX軸方向及びZ軸方向に移動してウエハW又はプローブカードPCを搬送物収納部12内又は各測定部14内に搬送するための手段で、図3及び図4に示すように、ウエハW及びプローブカードPCを収納する筐体であって、ウエハW及びプローブカードPC(ウエハ保持アーム16b及びプローブカード保持アーム16c)が出入りする開口16fが形成された筐体16aを備えている。筐体16aは、直方体形状で、その内部には、ウエハ保持アーム16bと、プローブカード保持アーム16cと、各アーム16b、16cを個別に移動させるアーム移動機構(図示せず)と、筐体16a内の環境を制御する環境制御手段16dと、筐体16a内の環境を検出するセンサ16eと、が配置されている。搬送ユニット16の数は特に限定されず、本実施形態では、1つの搬送ユニット16を用いている。図1には2つの搬送ユニット16が描かれているが、これは、1つの搬送ユニット16が搬送物収納部12(プローブカード収納部12b)にアクセスしている様子(図1中右下に描かれた搬送ユニット16参照)及び測定部14にアクセスしている様子(図1中左上に描かれた搬送ユニット16参照)を表している。
【0050】
ウエハ保持アーム16bは、ウエハWを保持するための手段で、例えば、筐体16a内に設けられたガイドレール(図示せず)に沿って水平方向に移動可能に筐体16a内に配置されている。ウエハ保持アーム16bは、ウエハWを保持した状態で当該ウエハWとともに筐体16a内に収納される。
【0051】
プローブカード保持アーム16cは、プローブカードPCを保持するための手段で、例えば、筐体16a内に設けられたガイドレール(図示せず)に沿って水平方向に移動可能に筐体16a内に配置されている。プローブカード保持アーム16cは、プローブカードPCを保持した状態で当該プローブカードPCとともに筐体16a内に収納される。プローブカードPCは、カードホルダCHを含む。カードホルダCHに代えてシールリングを含む場合もある。
【0052】
各アーム16b、16cの数や配置形態は特に限定されず、本実施形態では、図4に示すように、2つのウエハ保持アーム16b及び1つのプローブカード保持アーム16cが上下3段に配置されている。
【0053】
アーム移動機構は、周知の機構、例えば、筐体16aに設けられた駆動モータ(図示せず)で構成されている。この駆動モータを正逆回転させることにより、各アーム16b、16cは、水平方向に個別に往復移動して筐体16aに形成された開口16fを介して出入りする。
【0054】
搬送ユニット16は、エアカーテン形成手段42を備えている。
【0055】
エアカーテン形成手段42は、筐体16aに形成された開口16fを閉塞するエアカーテンを形成して筐体16a内を密閉又は略密閉空間とするための手段で、例えば、周知のエア噴射口によって構成されている。
【0056】
エア噴射口の数、形状、配置形態は特に限定されず、本実施形態では、図4に示すように、複数のエア噴射口が下向きにエア噴射する姿勢で開口16fの上端縁近傍に当該上端縁に沿って(図4中紙面に直交する方向に)配置されている。なお、図4中の矢印44は、環境制御手段16dから噴射された乾燥空気の流れの例が示されており、ウエハチャック18が示されている。
【0057】
筐体16a内の環境は次のようにして制御される。例えば、筐体16a内の温度及び湿度は、各測定部14内に乾燥空気(高温又は低温乾燥空気)又は所定ガス(窒素ガス)をパージすることによって所定ガス雰囲気下、目標温度、及び湿度に制御される。これは、周知の環境制御手段16d、例えば、ヒータ及び冷却器(クーラ)を含む温調気体供給源、送風機、及び、送風機(いずれも図示せず)と筐体16aとを連結した管路(図示せず)によって実現される。環境制御手段16dは、除湿器を含んでいてもよい。温調気体供給源で温度(及び湿度)調整された気体(高温又は低温乾燥空気)は、送風機により管路を介して筐体16a内に供給されるとともに、エア噴射口から噴射されて筐体16aに形成された開口16fを閉塞するエアカーテンが形成される。これにより、筐体16a内は密閉又は略密閉された空間となる。筐体16a内に供給される気体の供給源とエア噴射口から噴射される気体の供給源は同一であってもよいし、異なっていてもよい。筐体16aの開口16fが形成された面以外の面は閉塞されていてもよいし、開口が形成されていてもよい。環境制御手段16dは、筐体16aに取り付けられていてもよいし、アーム16b、16cに取り付けられていてもよい。
【0058】
センサ16eは、筐体16a内の環境を検出するセンサで、例えば、温度センサや湿度センサである。センサ16eは、環境制御手段16dに含まれていてもよい。
【0059】
環境制御手段16dは、搬送物の搬送先の環境に応じた環境となるように筐体16a内の環境を制御する。具体的には、環境制御手段16dは、センサ16eの検出結果に基づき、筐体16a内を目標の環境に制御する。例えば、環境制御手段16dは、センサ16eの検出結果に基づき、筐体16a内の温度及び湿度が目標の温度及び湿度となるように温調気体供給源を制御する。この環境制御手段16dの機能は、例えば、センサ16e及び温調気体供給源(ヒータ及び冷却器)が電気的に接続されたコントローラ(図示せず)によるフィードバック制御によって実現される。なお、環境制御手段16dとエアカーテン形成手段42とは、一体であってもよい。すなわち、一つの装置において、開口16fを塞ぐように下向きにエア噴射口が設けられ、且つ、筐体16a内の環境を制御するための乾燥空気のエア噴射口が設けられてもよい。ここで、筐体16a内の環境を制御するための乾燥空気のエア噴射口は、噴射する乾燥空気が筐体16a内でよく循環するような向きに設けられることが好ましい。環境制御手段16dとエアカーテン形成手段42とを一体にすることにより、環境制御手段16dとエアカーテン形成手段42を設けるためのスペースが少なくなり、筐体16aの空間を有効に使用することができる。また、環境制御手段16dとエアカーテン形成手段42とを一体にすることにより、環境制御手段16dとエアカーテン形成手段42との間でヒータ、冷却器(クーラ)を含む温調気体供給源、及び送風機などを共通にすることができる。
【0060】
図5は移動装置22の斜視図、図6は移動装置22の部分拡大斜視図である。
【0061】
移動装置22は、搬送ユニット16を搬送物収納部12と各測定部14との間でX軸方向及びZ軸方向に移動させるための手段で、例えば、図5図6に示すように、搬送物収納部12と各測定部14との間において各測定部14の配置方向である水平方向(X軸方向)に移動する第1可動体24、第1可動体24を水平方向(X軸方向)に移動させる第1可動体移動機構(図示せず)、第1可動体24に各測定部14の配置方向である鉛直方向(Z軸方向)に移動可能に取り付けられ、かつ、搬送ユニット16を鉛直軸(Z軸)を回転中心として回転可能に支持する第2可動体26、第2可動体26を鉛直方向(Z軸方向)に移動させる第2可動体移動機構(図示せず)、第2可動体26に取り付けられ、かつ、搬送ユニット16を鉛直軸(Z軸)を回転中心として回転させる搬送ユニット回転機構28によって構成されている。
【0062】
第1可動体24は、例えば、上下一対の矩形フレーム24aそれぞれの四隅をZ軸方向に延びる4本のフレーム24bで連結することで構成されたフレーム体で、その下部が搬送物収納部12と各測定部14との間のベース34上に互いに平行に配置されたX軸方向に延びる2本のガイドレール30に移動可能に連結されている。
【0063】
第1可動体移動機構は、周知の移動機構、例えば、第1可動体24に連結されたボールネジやこれを回転させる駆動モータ(いずれも図示せず)等で構成されている。この駆動モータを正逆回転させることにより、第1可動体24(搬送ユニット16)は、ガイドレール30に沿ってX軸方向に移動する。もちろん、これに限らず、第1可動体移動機構は、第1可動体24を自走させるための機構、例えば、第1可動体24に設けられた車輪及びこれを回転させる駆動モータであってもよい。
【0064】
第2可動体26は、第1可動体24に互いに平行に配置されたZ軸方向に延びる2本のガイドレール32に移動可能に連結されている。
【0065】
第2可動体移動機構は、周知の移動機構、例えば、第2可動体26に連結されたボールネジやこれを回転させる駆動モータ(いずれも図示せず)等で構成されている。この駆動モータを正逆回転させることにより、第2可動体26(搬送ユニット16)は、ガイドレール32に沿ってZ軸方向に移動する。もちろん、これに限らず、第2可動体移動機構は、第2可動体26を自走させるための機構、例えば、第2可動体26に設けられた車輪及びこれを回転させる駆動モータであってもよい。
【0066】
搬送ユニット回転機構28は、周知の回転機構、例えば、第2可動体26に設けられた回転軸(鉛直軸)及びこれを回転させる駆動モータ28a等で構成されている。搬送ユニット16は、その上面が回転軸(鉛直軸)に固定されている。この駆動モータ28aを正逆回転させることにより、搬送ユニット16は、鉛直軸(Z軸)を回転中心として180°回転し、各アーム16b、16cが出入りする搬送ユニット16に形成された開口16fが搬送物収納部12又は各測定部14に対向した状態となる。
【0067】
なお、アライメント装置38、アーム移動機構、環境制御手段16d、移動装置22(第1可動体移動機構、第2可動体移動機構、搬送ユニット回転機構28)等の各装置、機構は、不図示の制御手段(コントローラ等)による制御によって駆動される。
【0068】
次に、本実施形態のプローバ10における搬送ユニット16の動作例について説明する。
【0069】
<ウエハ搬送動作例1>
まず、搬送ユニット16がウエハWをウエハ収納部12a(例えば、室温23℃)から高温検査(例えば、検査温度80℃)が実施される測定部14内に搬送する場合の動作例について説明する。
【0070】
まず、ウエハ収納部12aにアクセス可能な位置(ウエハWを取り出し可能な位置)まで搬送ユニット16を移動させ、かつ、搬送ユニット16を180°回転させて各アーム16b、16cが出入りする搬送ユニット16に形成された開口16fをウエハ収納部12aに対向させる。
【0071】
次に、ウエハ保持アーム16bをウエハ収納部12a内に進出させて当該ウエハ収納部12aから1枚のウエハWを取り出し、筐体16a内に収納する。これとともに、搬送先の測定部14の環境(ここでは、測定部14内で実施される80℃の高温検査)に応じた環境となるように筐体16a内の環境が制御される。具体的には、温調気体供給源で温度調整された気体(例えば、60℃に温度調整された乾燥空気又は窒素)が筐体16a内に供給されるとともに、エア噴射口から噴射されて筐体16aに形成された開口16fを閉塞するエアカーテンが形成される。これにより、筐体16a内が密閉又は略密閉空間とされる。なお、温調気体供給源が温度調整する目標温度は、60℃に限らず、ウエハWがウエハ収納部12aから搬送先の測定部14まで搬送される距離や時間、搬送先の測定部14での検査温度等を考慮した適宜の温度とすることができる。
【0072】
次に、搬送先の測定部14にアクセス可能な位置(ウエハWを引き渡し可能な位置)まで搬送ユニット16を移動させ、かつ、搬送ユニット16を180°回転させて各アーム16b、16cが出入りする搬送ユニット16に形成された開口16fを搬送先の測定部14に対向させる。この間、搬送ユニット16内に収納されたウエハWは、筐体16a内(密閉又は略密閉空間)に供給される気体によって加熱され続ける。
【0073】
次に、ウエハ保持アーム16bをエアカーテンが形成された搬送ユニット16側の開口16f及び測定部14側の開口14aを介して測定部14内に進出させてウエハチャック18にウエハWをロードする。ウエハ保持アーム16bは、ウエハWを保持した状態で、エアカーテンで閉塞された状態の開口16fを通過して測定部14内に進出する。その際、ウエハWはエアカーテンによってさらに加熱される。
【0074】
このように、従来技術のような物理的な扉やシャッターではなく、エアカーテンで開口16fを閉塞することにより、次の効果を奏することができる。
【0075】
第1に、物理的な扉やシャッターで開口16fを閉塞する場合と同様、筐体16a内を密閉又は略密閉空間とすることができ、かつ、この密閉状態の筐体16a内に温度調整された気体が供給されることで、当該筐体16a内の環境を、搬送先の測定部14の環境(ここでは、測定部14内で実施される80℃の高温検査)に応じた環境とすることができる。
【0076】
第2に、筐体16a内を密閉状態に保ちつつ、プローブカード保持アーム16cを測定部14内に進出させることができる。
【0077】
第3に、物理的な扉やシャッターで開口16fを閉塞する場合と比べ、物理的な扉やシャッターを開閉する時間が不要となるため、迅速にプローブカード保持アーム16cを測定部14内に進出させることができる。
【0078】
第4に、プローブカードPCを受け渡す際、プローブカードPCに吹き付けられるエアカーテンの作用によって当該プローブカードPCを加熱することができる。
【0079】
第5に、物理的な扉やシャッターで開口16fを閉塞する場合、筐体16a内部に供給される気体が物理的な扉やシャッターに触れて当該物理的な扉やシャッターを介して外部環境に放熱され、これに起因して、筐体16a内部に供給される気体の温度が低下するのに対して、本例のようにエアカーテンで開口16fを閉塞する場合、筐体16a内部に供給される気体はこれと同温度のエアカーテンに触れることになるため、筐体16a内部に供給される気体の温度が低下するのを抑制することができる。
【0080】
ロードされたウエハWは、真空吸着によりウエハチャック18に保持される。そして、ウエハWがウエハチャック18によって加熱されて検査温度(ここでは80℃)に達するまで待機し、検査温度に達すると、アライメント装置38がX-Y-Z-θ方向に移動しながらウエハチャック18に保持されたウエハWをウエハチャック18上方に保持されたプローブカードPCのプローブに対して周知の方法でアライメントし、次いで、ウエハチャック18がアライメント装置38の作用によってZ軸方向に移動してウエハWとプローブとを電気的に接触させることで、テストヘッドを介してウエハWの電気的特性検査が実施される。
【0081】
このように、ウエハ収納部12aから搬送先の測定部14内にウエハを搬送するまでの時間を利用して搬送ユニット16内の環境を制御して(ウエハを加熱して)搬送先の測定部14での検査温度との差を少なくすることにより、従来技術と比べ、搬送先の測定部14内でウエハを検査温度に近づけるための待機時間を短縮する(又は無くす)ことができる。これにより、測定部14でのスループットを向上させることができる。
【0082】
<ウエハ搬送動作例2>
次に、搬送ユニット16が高温検査によって高温状態(例えば、80℃)となったウエハWを測定部14からウエハ収納部12a(例えば、室温23℃)内に搬送する場合の動作例について説明する。
【0083】
まず、ウエハ保持アーム16bによって測定部14から高温検査が終了した直後のウエハWを取り出し、筐体16a内に収納する。これは、上記ウエハ搬送動作例1と逆の手順で実施される。これとともに、搬送先のウエハ収納部12aの環境(ここでは、室温23℃)に応じた環境となるように筐体16a内の環境が制御される。具体的には、温調気体供給源で温度調整された気体(例えば、40℃に温度調整された乾燥空気又は窒素)が筐体16a内に供給されるとともに、エア噴射口から噴射されて筐体16aに形成された開口16fを閉塞するエアカーテンが形成される。これにより、筐体16a内が密閉又は略密閉空間とされる。なお、温調気体供給源が温度調整する目標温度は、40℃に限らず、ウエハWが測定部14から搬送先のウエハ収納部12aまで搬送される距離や時間、搬送先のウエハ収納部12aでの温度等を考慮した適宜の温度とすることができる。高温検査が終了した直後のウエハWは、ウエハ保持アーム16bによって保持された状態で、エアカーテンで閉塞された状態の開口16fを通過して測定部14から引き取られ、筐体16a内に収納される。その際、ウエハWはこれに吹き付けられるエアカーテンによって冷却されるとともに、筐体16a内に供給される気体によってさらに冷却される。
【0084】
次に、搬送先のウエハ収納部12aにアクセス可能な位置(ウエハWを引き渡し可能な位置)まで搬送ユニット16を移動させ、かつ、搬送ユニット16を180°回転させて各アーム16b、16cが出入りする搬送ユニット16に形成された開口16fを搬送先のウエハ収納部12aに対向させる。この間、搬送ユニット16内に収納されたウエハWは、筐体16a内(密閉又は略密閉空間)に供給される気体によって冷却され続ける。
【0085】
このように、従来技術のような物理的な扉やシャッターではなく、エアカーテンで開口16fを閉塞することにより、上記ウエハ搬送動作例1と同様の効果を奏することができる。
【0086】
次に、ウエハ保持アーム16bをウエハ収納部12a内に進出させてウエハWをウエハ収納部12a内に戻す。
【0087】
このように、測定部14から搬送先のウエハ収納部12a内にウエハを搬送するまでの時間を利用して搬送ユニット16内の環境を制御して(ウエハを冷却して)搬送先のウエハ収納部12aの温度との差を少なくすることにより、従来技術と比べ、測定部14内でウエハを常温に近づけるための待機時間を無くす(又は短縮する)ことができ、高温検査が終了したウエハを直ちに測定部14から取り出してウエハ収納部12aに戻すことができる。これにより、測定部14でのスループットを向上させることができる。また、ウエハ収納後に作業者がウエハを回収するまでの待ち時間を無くす(又は短縮する)ことができる。
【0088】
<ウエハ搬送動作例3>
次に、搬送ユニット16がウエハWをウエハ収納部12a(例えば、室温23℃)から低温検査(例えば、検査温度-10℃)が実施される測定部14内に搬送する場合の動作例について説明する。
【0089】
まず、ウエハ収納部12aにアクセス可能な位置(ウエハWを取り出し可能な位置)まで搬送ユニット16を移動させ、かつ、搬送ユニット16を180°回転させて各アーム16b、16cが出入りする搬送ユニット16に形成された開口16fをウエハ収納部12aに対向させる。
【0090】
次に、ウエハ保持アーム16bをウエハ収納部12a内に進出させて当該ウエハ収納部12aから1枚のウエハWを取り出し、筐体16a内に収納する。これとともに、搬送先の測定部14の環境(ここでは、測定部14内で実施される-10℃の低温検査)に応じた環境となるように筐体16a内の環境が制御される。具体的には、温調気体供給源で温度調整又は湿度調整された気体(例えば、-15℃に温度調整された乾燥空気又は窒素)が筐体16a内に供給されるとともに、エア噴射口から噴射されて筐体16aに形成された開口16fを閉塞するエアカーテンが形成される。これにより、筐体16a内が密閉又は略密閉空間とされる。なお、温調気体供給源が温度調整する目標温度は、-15℃に限らず、ウエハWがウエハ収納部12aから搬送先の測定部14まで搬送される距離や時間、搬送先の測定部14での検査温度等を考慮した適宜の温度とすることができる。
【0091】
次に、搬送先の測定部14にアクセス可能な位置(ウエハWを引き渡し可能な位置)まで搬送ユニット16を移動させ、かつ、搬送ユニット16を180°回転させて各アーム16b、16cが出入りする搬送ユニット16に形成された開口16fを搬送先の測定部14に対向させる。この間、搬送ユニット16内に収納されたウエハWは、筐体16a内(密閉又は略密閉空間)に供給される気体によって温度調節(例えば冷却)及び乾燥され続ける。これにより、ウエハWが搬送先の測定部14まで搬送される途中でウエハWに結露が発生するのを防ぐことができる。
【0092】
次に、ウエハ保持アーム16bをエアカーテンが形成された搬送ユニット16側の開口16f及び測定部14側の開口14aを介して測定部14内に進出させてウエハチャック18にウエハWをロードする。ウエハ保持アーム16bは、ウエハWを保持した状態で、エアカーテンで閉塞された状態の開口16fを通過して測定部14内に進出する。その際、ウエハWはエアカーテンによってさらに冷却及び乾燥される。これにより、ウエハWの受け渡しの際にウエハWに結露が発生するのを防ぐことができる。
【0093】
このように、従来技術のような物理的な扉やシャッターではなく、エアカーテンで開口16fを閉塞することにより、上記ウエハ搬送動作例1と同様の効果を奏することができる。
【0094】
ロードされたウエハWは、真空吸着によりウエハチャック18に保持される。そして、ウエハWがウエハチャック18によって冷却されて検査温度(ここでは-10℃)に達するまで待機し、検査温度に達すると、アライメント装置38がX-Y-Z-θ方向に移動しながらウエハチャック18に保持されたウエハWをウエハチャック18上方に保持されたプローブカードPCのプローブに対して周知の方法でアライメントし、次いで、ウエハチャック18がアライメント装置38の作用によってZ軸方向に移動してウエハWとプローブとを電気的に接触させることで、テストヘッドを介してウエハWの電気的特性検査が実施される。なお、搬送先の測定部14内には、低温検査中にウエハやプローブカードに結露が発生しないように周知の手段によってウエハやプローブカードの冷却温度では結露しない露点の気体(例えば、20℃の乾燥空気)が供給されており、低温検査はこの気体が供給されている環境下で実施される。
【0095】
このように、ウエハ収納部12aから搬送先の測定部14内にウエハを搬送するまでの時間を利用して搬送ユニット16内の環境を制御して(ウエハを冷却して)搬送先の測定部14の検査温度との差を少なくすることにより、従来技術と比べ、搬送先の測定部14内でウエハを検査温度に近づけるための待機時間を短縮する(又は無くす)ことができる。これにより、測定部14でのスループットを向上させることができる。
【0096】
<ウエハ搬送動作例4>
次に、搬送ユニット16が低温検査によって低温状態(例えば、-40℃)となったウエハWを測定部14からウエハ収納部12a(例えば、室温23℃)内に搬送する場合の動作例について説明する。
【0097】
まず、ウエハ保持アーム16bによって測定部14から低温検査が終了した直後のウエハWを取り出し、筐体16a内に収納する。これは、上記ウエハ搬送動作例3と逆の手順で実施される。これとともに、搬送先のウエハ収納部12aの環境(ここでは、室温23℃)に応じた環境となるように筐体16a内の環境が制御される。具体的には、温調気体供給源で温度調整又は湿度調整された気体(例えば、15℃に温度調整された乾燥空気又は窒素)が筐体16a内に供給されるとともに、エア噴射口から噴射されて筐体16aに形成された開口16fを閉塞するエアカーテンが形成される。これにより、筐体16a内が密閉又は略密閉空間とされる。なお、温調気体供給源が温度調整する目標温度は、15℃に限らず、ウエハWが測定部14から搬送先のウエハ収納部12aまで搬送される距離や時間、搬送先のウエハ収納部12aでの温度等を考慮した適宜の温度とすることができる。低温検査が終了した直後のウエハWは、ウエハ保持アーム16bによって保持された状態で、エアカーテンで閉塞された状態の開口16fを通過して測定部14から引き取られ、筐体16a内に収納される。その際、ウエハWはこれに吹き付けられるエアカーテンによって加熱されるとともに、筐体16a内に供給される気体によってさらに加熱される。これにより、ウエハWの受け渡しの際ウエハWに結露が発生するのを防ぐことができる。
【0098】
次に、搬送先のウエハ収納部12aにアクセス可能な位置(ウエハWを引き渡し可能な位置)まで搬送ユニット16を移動させ、かつ、搬送ユニット16を180°回転させて各アーム16b、16cが出入りする搬送ユニット16に形成された開口16fを搬送先のウエハ収納部12aに対向させる。この間、搬送ユニット16内に収納されたウエハWは、筐体16a内(密閉又は略密閉空間)に供給される気体によって加熱され続ける。これにより、ウエハWがウエハ収納部12aまで搬送される途中でウエハWに結露が発生するのを防ぐことができる。
【0099】
このように、従来技術のような物理的な扉やシャッターではなく、エアカーテンで開口16fを閉塞することにより、上記ウエハ搬送動作例1と同様の効果を奏することができる。
【0100】
次に、ウエハ保持アーム16bをウエハ収納部12a内に進出させてウエハWをウエハ収納部12a内に戻す。
【0101】
このように、測定部14から搬送先のウエハ収納部12a内にウエハを搬送するまでの時間を利用して搬送ユニット16内の環境を制御して(ウエハを加熱して)搬送先のウエハ収納部12aの温度との差を少なくすることにより、従来技術と比べ、測定部14内でウエハを常温に近づけるための待機時間を無くす(又は短縮する)ことができ、低温検査が終了したウエハを直ちに測定部14から取り出してウエハ収納部12aに戻すことができる。これにより、測定部14でのスループットを向上させることができる。また、ウエハがウエハ収納部12a内に搬送されるまでに当該ウエハに結露が発生するのを防ぐ温度環境に整えることが可能となる。
【0102】
<ウエハ搬送動作例5>
次に、搬送ユニット16がウエハWをウエハ収納部12a(例えば、室温23℃)から所定ガス(例えば、窒素ガス)雰囲気下での検査が実施される測定部14内に搬送する場合の動作例について説明する。
【0103】
まず、ウエハ収納部12aにアクセス可能な位置(ウエハを取り出し可能な位置)まで搬送ユニット16を移動させ、かつ、搬送ユニット16を180°回転させて各アーム16b、16cが出入りする搬送ユニット16に形成された開口16fをウエハ収納部12aに対向させる。
【0104】
次に、ウエハ保持アーム16bをウエハ収納部12a内に進出させて当該ウエハ収納部12aから1枚のウエハWを取り出し、筐体16a内に収納する。これとともに、搬送先の測定部14の環境(ここでは、所定ガス(例えば、窒素ガス)雰囲気下での検査)に応じた環境となるように筐体16a内の環境が制御される。具体的には、ウエハ表面に露出している配線(特に、銅配線)やプローブカードのプローブの酸化防止用の気体(例えば、窒素ガス)が筐体16a内に供給されるとともに、エア噴射口から噴射されて筐体16aに形成された開口16fを閉塞するエアカーテンが形成される。これにより、筐体16a内が密閉又は略密閉空間とされる。
【0105】
次に、搬送先の測定部14にアクセス可能な位置(ウエハWを引き渡し可能な位置)まで搬送ユニット16を移動させ、かつ、搬送ユニット16を180°回転させて各アーム16b、16cが出入りする搬送ユニット16に形成された開口16fを搬送先の測定部14に対向させる。この間、搬送ユニット16内(密閉又は略密閉空間)に酸化防止用の気体が供給され続ける。これにより、ウエハWが搬送先の測定部14まで搬送される途中でウエハWが酸化するのを防ぐことができる。なお、搬送先の測定部14内にも、周知の手段によって酸化防止用の気体が供給されている。
【0106】
次に、ウエハ保持アーム16bをエアカーテンが形成された搬送ユニット16側の開口16f及び測定部14側の開口14aを介して測定部14内に進出させてウエハチャック18にウエハWをロードする。ウエハ保持アーム16bは、ウエハWを保持した状態で、エアカーテンで閉塞された状態の開口16fを通過して測定部14内に進出する。その際、エアカーテンの作用によってウエハWが酸化するのが防止される。
【0107】
このように、従来技術のような物理的な扉やシャッターではなく、エアカーテンで開口16fを閉塞することにより、上記ウエハ搬送動作例1と同様の効果を奏することができる。
【0108】
ロードされたウエハWは、真空吸着によりウエハチャック18に保持される。そして、アライメント装置38がX-Y-Z-θ方向に移動しながらウエハチャック18に保持されたウエハWをウエハチャック18上方に保持されたプローブカードPCのプローブに対して周知の方法でアライメントし、次いで、ウエハチャック18がアライメント装置38の作用によってZ軸方向に移動してウエハWとプローブとを電気的に接触させることで、テストヘッドを介してウエハWの電気的特性検査が実施される。なお、検査は、酸化防止用の気体が供給されている環境下で実施される。
【0109】
このように、ウエハ収納部12aから搬送先の測定部14内にウエハを搬送するまでの間もウエハは、所定ガス(例えば、窒素ガス)雰囲気下での検査が実施される測定部14と同様の環境下に置かれるため、ウエハ表面に露出している配線(特に、銅配線)が搬送中及び引き渡し中に酸化するのが防止される。
【0110】
なお、本動作例5は、上記ウエハ搬送動作例1~4と組み合わせて実施することもできる。
【0111】
<プローブカード搬送動作例1>
次に、搬送ユニット16がプローブカードPCをプローブカード収納部12b(例えば、室温23℃)から高温検査(例えば、検査温度80℃)が実施される測定部14内に搬送する場合の動作例について説明する。
【0112】
まず、プローブカード収納部12bにアクセス可能な位置(プローブカードPCを取り出し可能な位置)まで搬送ユニット16を移動させ、かつ、搬送ユニット16を180°回転させて各アーム16b、16cが出入りする搬送ユニット16に形成された開口16fをプローブカード収納部12bに対向させる。
【0113】
次に、プローブカード保持アーム16cをプローブカード収納部12b内に進出させて当該プローブカード収納部12bから1枚のプローブカードPCを取り出し、筐体16a内に収納する。これとともに、搬送先の測定部14の環境(ここでは、測定部14内で実施される80℃の高温検査)に応じた環境となるように筐体16a内の環境が制御される。具体的には、温調気体供給源で温度調整された気体(例えば、60℃に温度調整された乾燥空気又は窒素)が筐体16a内に供給されるとともに、エア噴射口から噴射されて筐体16aに形成された開口16fを閉塞するエアカーテンが形成される。これにより、筐体16a内が密閉又は略密閉空間とされる。なお、温調気体供給源が温度調整する目標温度は、60℃に限らず、プローブカードPCがプローブカード収納部12bから搬送先の測定部14まで搬送される距離や時間、搬送先の測定部14での検査温度等を考慮した適宜の温度とすることができる。
【0114】
次に、搬送先の測定部14にアクセス可能な位置(プローブカードPCを引き渡し可能な位置)まで搬送ユニット16を移動させ、かつ、搬送ユニット16を180°回転させて各アーム16b、16cが出入りする搬送ユニット16に形成された開口16fを搬送先の測定部14に対向させる。この間、搬送ユニット16内に収納されたプローブカードPCは、筐体16a内(密閉又は略密閉空間)に供給される気体によって加熱され続ける。
【0115】
次に、プローブカード保持アーム16cをエアカーテンが形成された搬送ユニット16側の開口16f及び測定部14側の開口14aを介して測定部14内に進出させる(図7(a)参照)。プローブカード保持アーム16cは、プローブカードPCを保持した状態で、エアカーテンで閉塞された状態の開口16fを通過して測定部14内に進出する。その際、プローブカードPCはこれに吹き付けられるエアカーテンによってさらに加熱される。
【0116】
このように、従来技術のような物理的な扉やシャッターではなく、エアカーテンで開口16fを閉塞することにより、上記ウエハ搬送動作例1と同様の効果を奏することができる。
【0117】
次に、第2プローブカード保持機構40の保持部40aによって、プローブカード保持アーム16cからプローブカードPCを受け取り、これを保持させる。具体的には、目標温度(ここでは、検査温度80℃)に加熱されたウエハチャック18を保持した状態のアライメント装置38がプローブカード受取位置P1に移動した状態で、保持部40aをZ軸可動部38aに対してZ軸方向に上昇させてプローブカードPC(下面外周縁)に当接させ、このZ軸方向に上昇する保持部40aでプローブカードPCをプローブカード保持アーム16cから持ち上げる。これにより、プローブカードPCは、保持部40aに受け渡され、当該保持部40aによってウエハチャック18の直上で保持される。この間、プローブカードPCは、その下方のウエハチャック18の輻射熱によって加熱される。
【0118】
次に、プローブカードPC及び目標温度(ここでは、検査温度80℃)に加熱されたウエハチャック18を保持した状態のアライメント装置38をプリヒート位置P2まで移動させる(図7(b)参照)。この間も、プローブカードPCは、その下方のウエハチャック18の輻射熱によって加熱される。
【0119】
次に、プローブカードPCを第1プローブカード保持機構36まで搬送する(図7(b)参照)。具体的には、目標温度(ここでは、検査温度80℃)に加熱されたウエハチャック18を保持した状態のアライメント装置38がプリヒート位置P2に移動した状態で、Z軸可動部38a(第2プローブカード保持機構40)をZ軸方向に上昇させることで、第2プローブカード保持機構40によって保持されたプローブカードPCを第1プローブカード保持機構36まで搬送する。第1プローブカード保持機構36まで搬送されたプローブカードPCは、当該第1プローブカード保持機構36によって着脱自在に保持される。この間も、プローブカードPCは、その下方のウエハチャック18の輻射熱によって加熱される。
【0120】
以上のように、プローブカードPCは、搬送ユニット16内で加熱されるだけでなく、プローブカード保持アーム16cから受け渡され第1プローブカード保持機構36に保持されるまでの間も、ウエハチャック18の輻射熱によってシームレスに加熱(プリヒート)され続ける。
【0121】
これにより、搬送ユニット16内で加熱されたプローブカードPCがプローブカード保持アーム16cから受け渡され第1プローブカード保持機構36に保持されるまで10~数十秒程度かかる場合であっても、途中でプローブカードPCの温度が低下することなく、当該プリヒートされた状態のプローブカードPCを第1プローブカード保持機構36に保持させることができる。
【0122】
このように、プローブカード収納部12bから搬送先の測定部14内にプローブカードを搬送するまでの時間を利用して搬送ユニット16内の環境を制御して(プローブカードを加熱して)搬送先の測定部14での検査温度との差を少なくすることにより、従来技術と比べ、搬送先の測定部14内でプローブカードを検査温度に近づけるための(プリヒートするための)待機時間を短縮する(又は無くす)ことができる。これにより、測定部14でのスループットを向上させることができる。
【0123】
<プローブカード搬送動作例2>
次に、搬送ユニット16が高温検査によって高温状態(例えば、80℃)となったプローブカードPCを測定部14からプローブカード収納部12b(例えば、室温23℃)内に搬送する場合の動作例について説明する。
【0124】
まず、プローブカード保持アーム16cによって測定部14から高温検査が終了した直後のプローブカードPCを取り出し、筐体16a内に収納する。これは、上記プローブカード搬送動作例1と逆の手順で実施される。これとともに、搬送先のプローブカード収納部12bの環境(ここでは、室温23℃)に応じた環境となるように筐体16a内の環境が制御される。具体的には、温調気体供給源で温度調整された気体(例えば、40℃に温度調整された乾燥空気又は窒素)が筐体16a内に供給されるとともに、エア噴射口から噴射されて筐体16aに形成された開口16fを閉塞するエアカーテンが形成される。これにより、筐体16a内が密閉又は略密閉空間とされる。なお、温調気体供給源が温度調整する目標温度は、40℃に限らず、プローブカードPCが測定部14から搬送先のプローブカード収納部12bまで搬送される距離や時間、搬送先のプローブカード収納部12bでの温度等を考慮した適宜の温度とすることができる。高温検査が終了した直後のプローブカードPCは、プローブカード保持アーム16cによって保持された状態で、エアカーテンで閉塞された状態の開口16fを通過して測定部14から引き取られ、筐体16a内に収納される。その際、プローブカードPCはこれに吹き付けられるエアカーテンによって冷却されるとともに、筐体16a内に供給される気体によってさらに冷却される。
【0125】
次に、搬送先のプローブカード収納部12bにアクセス可能な位置(プローブカードPCを引き渡し可能な位置)まで搬送ユニット16を移動させ、かつ、搬送ユニット16を180°回転させて各アーム16b、16cが出入りする搬送ユニット16に形成された開口16fを搬送先のプローブカード収納部12bに対向させる。この間、搬送ユニット16内に収納されたプローブカードPCは、筐体16a内(密閉又は略密閉空間)に供給される気体によって冷却され続ける。
【0126】
このように、従来技術のような物理的な扉やシャッターではなく、エアカーテンで開口16fを閉塞することにより、上記ウエハ搬送動作例1と同様の効果を奏することができる。
【0127】
次に、プローブカード保持アーム16cをプローブカード収納部12b内に進出させてプローブカードPCをプローブカード収納部12b内に戻す。
【0128】
このように、測定部14から搬送先のプローブカード収納部12b内にプローブカードを搬送するまでの時間を利用して搬送ユニット16内の環境を制御して(プローブカードを冷却して)搬送先のプローブカード収納部12bの温度との差を少なくすることにより、従来技術と比べ、測定部14内でプローブカードを常温に近づけるための待機時間を無くす(又は短縮する)ことができ、高温検査が終了した後プローブカードを直ちに測定部14から取り出してプローブカード収納部12bに戻すことができる。これにより、測定部14でのスループットを向上させることができる。また、プローブカード収納後に作業者がプローブカードを回収するまでの待ち時間を無くす(又は短縮する)ことができる。
【0129】
<プローブカード搬送動作例3>
次に、搬送ユニット16がプローブカードPCをプローブカード収納部12b(例えば、室温23℃)から低温検査(例えば、検査温度-10℃)が実施される測定部14内に搬送する場合の動作例について説明する。
【0130】
まず、プローブカード収納部12bにアクセス可能な位置(プローブカードを取り出し可能な位置)まで搬送ユニット16を移動させ、かつ、搬送ユニット16を180°回転させて各アーム16b、16cが出入りする搬送ユニット16に形成された開口16fをプローブカード収納部12bに対向させる。
【0131】
次に、プローブカード保持アーム16cをプローブカード収納部12b内に進出させて当該プローブカード収納部12bから1枚のプローブカードPCを取り出し、筐体16a内に収納する。これとともに、搬送先の測定部14の環境(ここでは、測定部14内で実施される-10℃の低温検査)に応じた環境となるように筐体16a内の環境が制御される。具体的には、温調気体供給源で温度調整又は湿度調整された気体(例えば、-15℃に温度調整された乾燥空気又は窒素)が筐体16a内に供給されるとともに、エア噴射口から噴射されて筐体16aに形成された開口16fを閉塞するエアカーテンが形成される。これにより、筐体16a内が密閉又は略密閉空間とされる。なお、温調気体供給源が温度調整する目標温度は、-15℃に限らず、プローブカードPCがプローブカード収納部12bから搬送先の測定部14まで搬送される距離や時間、搬送先の測定部14での検査温度等を考慮した適宜の温度とすることができる。
【0132】
次に、搬送先の測定部14にアクセス可能な位置(プローブカードPCを引き渡し可能な位置)まで搬送ユニット16を移動させ、かつ、搬送ユニット16を180°回転させて各アーム16b、16cが出入りする搬送ユニット16に形成された開口16fを搬送先の測定部14に対向させる。この間、搬送ユニット16内に収納されたプローブカードPCは、筐体16a内(密閉又は略密閉空間)に供給される気体によって冷却及び乾燥され続ける。これにより、プローブカードPCが搬送先の測定部14まで搬送される途中でプローブカードPCに結露が発生するのを防ぐことができる。
【0133】
次に、プローブカード保持アーム16cをエアカーテンが形成された搬送ユニット16側の開口16f及び測定部14側の開口14aを介して測定部14内に進出させる(図7(a)参照)。プローブカード保持アーム16cは、プローブカードPCを保持した状態で、エアカーテンで閉塞された状態の開口16fを通過して測定部14内に進出する。その際、プローブカードPCはこれに吹き付けられるエアカーテンによってさらに冷却及び乾燥される。これにより、プローブカードPCの受け渡しの際にプローブカードPCに結露が発生するのを防ぐことができる。
【0134】
このように、従来技術のような物理的な扉やシャッターではなく、エアカーテンで開口16fを閉塞することにより、上記ウエハ搬送動作例1と同様の効果を奏することができる。
【0135】
次に、第2プローブカード保持機構40の保持部40aによって、プローブカード保持アーム16cからプローブカードPCを受け取り、これを保持させる。具体的には、目標温度(ここでは、検査温度-10℃)に冷却されたウエハチャック18を保持した状態のアライメント装置38がプローブカード受取位置P1に移動した状態で、保持部40aをZ軸可動部38aに対してZ軸方向に上昇させてプローブカードPC(下面外周縁)に当接させ、このZ軸方向に上昇する保持部40aでプローブカードPCをプローブカード保持アーム16cから持ち上げる。これにより、プローブカードPCは、保持部40aに受け渡され、当該保持部40aによってウエハチャック18の直上で保持される。この間、プローブカードPCは、その下方のウエハチャック18によって冷却される。
【0136】
次に、プローブカードPC及び目標温度(ここでは、検査温度-10℃)に冷却されたウエハチャック18を保持した状態のアライメント装置38を位置P2まで移動させる(図7(b)参照)。この間も、プローブカードPCは、その下方のウエハチャック18によって冷却される。
【0137】
次に、プローブカードPCを第1プローブカード保持機構36まで搬送する(図7(b)参照)。具体的には、目標温度(ここでは、検査温度-10℃)に冷却されたウエハチャック18を保持した状態のアライメント装置38が位置P2に移動した状態で、Z軸可動部38a(第2プローブカード保持機構40)をZ軸方向に上昇させることで、第2プローブカード保持機構40によって保持されたプローブカードPCを第1プローブカード保持機構36まで搬送する。第1プローブカード保持機構36まで搬送されたプローブカードPCは、当該第1プローブカード保持機構36によって着脱自在に保持される。この間も、プローブカードPCは、その下方のウエハチャック18によって冷却される。
【0138】
以上のように、プローブカードPCは、搬送ユニット16内で冷却されるだけでなく、プローブカード保持アーム16cから受け渡され第1プローブカード保持機構36に保持されるまでの間も、ウエハチャック18によってシームレスに冷却され続ける。
【0139】
これにより、搬送ユニット16内で冷却されたプローブカードPCがプローブカード保持アーム16cから受け渡され第1プローブカード保持機構36に保持されるまで10~数十秒程度かかる場合であっても、途中でプローブカードPCの温度が上昇することなく、当該冷却された状態のプローブカードPCを第1プローブカード保持機構36に保持させることができる。なお、搬送先の測定部14内には、周知の手段によってウエハやプローブカードの冷却温度では結露しない露点の気体(例えば、20℃の乾燥空気)が供給されている。
【0140】
このように、プローブカード収納部12bから搬送先の測定部14内にプローブカードを搬送するまでの時間を利用して搬送ユニット16内の環境を制御して(ウエハを冷却して)搬送先の測定部14の検査温度との差を少なくすることにより、従来技術と比べ、搬送先の測定部14内でプローブカードを検査温度に近づけるための待機時間を短縮する(又は無くす)ことができる。これにより、測定部14でのスループットを向上させることができる。
【0141】
<プローブカード搬送動作例4>
次に、搬送ユニット16が低温検査によって低温状態(例えば、-40℃)となったプローブカードPCを測定部14からプローブカード収納部12b(例えば、室温23℃)内に搬送する場合の動作例について説明する。
【0142】
まず、プローブカード保持アーム16cによって測定部14から低温検査が終了した直後のプローブカードPCを取り出し、筐体16a内に収納する。これは、上記プローブカード搬送動作例3と逆の手順で実施される。これとともに、搬送先のプローブカード収納部12bの環境(ここでは、室温23℃)に応じた環境となるように筐体16a内の環境が制御される。具体的には、温調気体供給源で温度調整又は湿度調整された気体(例えば、15℃に温度調整された乾燥空気又は窒素)が筐体16a内に供給されるとともに、エア噴射口から噴射されて筐体16aに形成された開口16fを閉塞するエアカーテンが形成される。これにより、筐体16a内が密閉又は略密閉空間とされる。なお、温調気体供給源が温度調整する目標温度は、15℃に限らず、プローブカードPCが測定部14から搬送先のプローブカード収納部12bまで搬送される距離や時間、搬送先のプローブカード収納部12bでの温度等を考慮した適宜の温度とすることができる。低温検査が終了した直後のプローブカードPCは、プローブカード保持アーム16cによって保持された状態で、エアカーテンで閉塞された状態の開口16fを通過して測定部14から引き取られ、筐体16a内に収納される。その際、プローブカードPCはこれに吹き付けられるエアカーテンによって加熱されるとともに、筐体16a内に供給される気体によってさらに加熱される。これにより、プローブカードPCの受け渡しの際プローブカードPCに結露が発生するのを防ぐことができる。
【0143】
次に、搬送先のプローブカード収納部12bにアクセス可能な位置(プローブカードPCを引き渡し可能な位置)まで搬送ユニット16を移動させ、かつ、搬送ユニット16を180°回転させて各アーム16b、16cが出入りする搬送ユニット16に形成された開口16fを搬送先のプローブカード収納部12bに対向させる。この間、搬送ユニット16内に収納されたプローブカードPCは、筐体16a内(密閉又は略密閉空間)に供給される気体によって加熱され続ける。これにより、プローブカードPCがプローブカード収納部12bまで搬送される途中でプローブカードPCに結露が発生するのを防ぐことができる。
【0144】
このように、従来技術のような物理的な扉やシャッターではなく、エアカーテンで開口16fを閉塞することにより、上記ウエハ搬送動作例1と同様の効果を奏することができる。
【0145】
次に、プローブカード保持アーム16cをプローブカード収納部12b内に進出させてプローブカードPCをプローブカード収納部12b内に戻す。
【0146】
このように、測定部14から搬送先のプローブカード収納部12b内にプローブカードを搬送するまでの時間を利用して搬送ユニット16内の環境を制御して(プローブカードを加熱して)搬送先のプローブカード収納部12bの温度との差を少なくすることにより、従来技術と比べ、測定部14内でプローブカードを常温に近づけるための待機時間を無くす(又は短縮する)ことができ、低温検査が終了した後プローブカードを直ちに測定部14から取り出してプローブカード収納部12bに戻すことができる。これにより、測定部14でのスループットを向上させることができる。また、プローブカードがプローブカード収納部12b内に搬送されるまでに当該プローブカードに結露が発生するのを防ぐ温度環境に整えることが可能となる。
【0147】
<プローブカード搬送動作例5>
次に、搬送ユニット16がプローブカードPCをプローブカード収納部12b(例えば、室温23℃)から所定ガス(例えば、窒素ガス)雰囲気下での検査が実施される測定部14内に搬送する場合の動作例について説明する。
【0148】
まず、プローブカード収納部12bにアクセス可能な位置(プローブカードを取り出し可能な位置)まで搬送ユニット16を移動させ、かつ、搬送ユニット16を180°回転させて各アーム16b、16cが出入りする搬送ユニット16に形成された開口16fをプローブカード収納部12bに対向させる。
【0149】
次に、プローブカード保持アーム16cをプローブカード収納部12b内に進出させて当該プローブカード収納部12bから1枚のプローブカードPCを取り出し、筐体16a内に収納する。これとともに、搬送先の測定部14の環境(ここでは、所定ガス(例えば、窒素ガス)雰囲気下での検査)に応じた環境となるように筐体16a内の環境が制御される。具体的には、ウエハ表面に露出している配線(特に、銅配線)やプローブカードのプローブの酸化防止用の気体(例えば、窒素ガス)が筐体16a内に供給されるとともに、エア噴射口から噴射されて筐体16aに形成された開口16fを閉塞するエアカーテンが形成される。これにより、筐体16a内が密閉又は略密閉空間とされる。
【0150】
次に、搬送先の測定部14にアクセス可能な位置(プローブカードPCを引き渡し可能な位置)まで搬送ユニット16を移動させ、かつ、搬送ユニット16を180°回転させて各アーム16b、16cが出入りする搬送ユニット16に形成された開口16fを搬送先の測定部14に対向させる。この間、搬送ユニット16内(密閉又は略密閉空間)に酸化防止用の気体が供給され続ける。これにより、プローブカードPCが搬送先の測定部14まで搬送される途中でプローブカードPCが酸化するのを防ぐことができる。なお、搬送先の測定部14内にも、周知の手段によって酸化防止用の気体が供給されている。
【0151】
次に、プローブカード保持アーム16cをエアカーテンが形成された搬送ユニット16側の開口16f及び測定部14側の開口14aを介して測定部14内に進出させる。プローブカード保持アーム16cは、プローブカードPCを保持した状態で、エアカーテンで閉塞された状態の開口16fを通過して測定部14内に進出する。その際、エアカーテンの作用によってプローブカードPCが酸化するのが防止される。
【0152】
このように、従来技術のような物理的な扉やシャッターではなく、エアカーテンで開口16fを閉塞することにより、上記ウエハ搬送動作例1と同様の効果を奏することができる。
【0153】
以後、プローブカードPCは、上記プローブカード搬送動作例1、3と同様の手順で第1プローブカード保持機構36まで搬送されて当該第1プローブカード保持機構36によって着脱自在に保持される。
【0154】
このように、プローブカード収納部12bから搬送先の測定部14内にプローブカードを搬送するまでの間もプローブカードは、所定ガス(例えば、窒素ガス)雰囲気下での検査が実施される測定部14と同様の環境下に置かれるため、プローブカードのプローブが搬送中及び引き渡し中に酸化するのが防止される。
【0155】
なお、本動作例5は、上記プローブカード搬送動作例1~4と組み合わせて実施することもできる。
【0156】
以上説明したように、本実施形態によれば、搬送物収納部12と複数の測定部14との間で移動して搬送物(例えば、ウエハ及びプローブカードのうち少なくとも一方)を搬送物収納部12又は各測定部14に搬送する搬送ユニット16を備えたプローバ10において、各測定部14でのスループットを向上させることができるプローバを提供することができる。
【0157】
これは、搬送先(測定部14又は搬送物収納部12)に搬送物を搬送するまでの時間を利用して搬送ユニット16(筐体16a)内の環境(例えば、温度や湿度)が制御されること、そして、これによって、従来技術と比べ、各測定部内で搬送物を所定温度(例えば、検査温度又は常温)に近づけるための待機時間を短縮する(又は無くす)ことができること、によるものである。
【0158】
また、本実施形態によれば、プローバ10全体の環境を制御するのではなく、プローバ10全体より小サイズの筐体16a内の環境を制御する構成であるため、すなわち、筐体16a内の環境が局所的に制御されるため、プローバ10全体の環境を制御する場合と比べ、省エネを実現できる。また、筐体16a内に供給される気体(乾燥空気又は窒素ガス)の量を削減できる。
【0159】
また、本実施形態によれば、プローバ10の設置面積を最小とすることができる。また、搬送ユニット16が搬送物収納部12又は各測定部14にアクセスする時間を最短とすることができる。
【0160】
これは、搬送物収納部12及び各測定部14が、搬送ユニット16によってアクセスされる側の面が互いに対向した状態(すなわち、向かい合わせの状態)でY方向に一定間隔をおいて配置されていること、及び、搬送ユニット16が、搬送物収納部12と各測定部14との間に配置されていることによるものである。
【0161】
また以上説明したように、本実施形態によれば、搬送物(例えば、ウエハ及びプローブカードのうち少なくとも一方)を収納する筐体であって、前記搬送物が出入りする開口16fが形成された筐体16aを備え、前記搬送物の受渡先まで移動して前記開口16fを介して前記搬送物の受渡先との間で前記搬送物を受け渡す搬送ユニット16を備えたプローバ10において、搬送物を収納する筐体16a内を密閉状態とすることができ、物理的な扉及びこれを開閉させるための機構が不要で、迅速に搬送物を受け渡すことができるプローバを提供することができる。
【0162】
これは、開口16fを閉塞するエアカーテンを形成して筐体16a内を密閉又は略密閉空間とするエアカーテン形成手段42を備えたことによるものである。
【0163】
また、本実施形態によれば、搬送物収納部12と複数の測定部14との間で移動して搬送物(例えば、ウエハ及びプローブカードのうち少なくとも一方)を搬送物収納部12又は各測定部14に搬送する搬送ユニット16を備えたプローバ10において、各測定部14でのスループットを向上させることができるプローバを提供することができる。
【0164】
これは、搬送先(測定部14又は搬送物収納部12)に搬送物を搬送するまでの時間を利用して搬送ユニット16(筐体16a)内の環境(例えば、温度や湿度)が制御されること、そして、これによって、従来技術と比べ、各測定部内で搬送物を所定温度(例えば、検査温度又は常温)に近づけるための待機時間を短縮する(又は無くす)ことができること、によるものである。
【0165】
また、本実施形態によれば、搬送ユニット16内で加熱されたプローブカードPCがプローブカード保持アーム16cから受け渡され第1プローブカード保持機構36に保持されるまで10~数十秒程度かかる場合であっても、途中でプローブカードPCの温度が低下することなく、当該プリヒートされた状態のプローブカードPCを第1プローブカード保持機構36に保持させることができる。
【0166】
これは、プローブカードPCが、搬送ユニット16(筐体16a)内で加熱されるだけでなく、プローブカード保持アーム16cから受け渡され第1プローブカード保持機構36に保持されるまでの間も、ウエハチャック18の輻射熱によってシームレスに加熱(プリヒート)され続けることによるものである。
【0167】
また、本実施形態によれば、プローバ10全体の環境を制御するのではなく、プローバ10全体より小サイズの筐体16a内の環境を制御する構成であるため、すなわち、筐体16a内の環境が局所的に制御されるため、プローバ10全体の環境を制御する場合と比べ、省エネを実現できる。また、筐体16a内に供給される気体(乾燥空気又は窒素ガス)の量を削減できる。
【0168】
また、本実施形態によれば、プローバ10の設置面積を最小とすることができる。また、搬送ユニット16が搬送物収納部12又は各測定部14にアクセスする時間を最短とすることができる。
【0169】
これは、搬送物収納部12及び各測定部14が、搬送ユニット16によってアクセスされる側の面が互いに対向した状態(すなわち、向かい合わせの状態)でY方向に一定間隔をおいて配置されていること、及び、搬送ユニット16が、搬送物収納部12と各測定部14との間に配置されていることによるものである。
【0170】
次に、搬送ユニット16の他の実施形態に関して説明する。
【0171】
図8は、他の実施形態の搬送ユニット16の概略構成を表す縦断面図である。なお、図4で既に説明を行った箇所は同じ符号を付し説明は省略する。
【0172】
図8に示された搬送ユニット16は、環境制御手段16dとエアカーテン形成手段42とが別体に設けられている。このように、環境制御手段16dとエアカーテン形成手段42とが別体(独立)に設けられることによって、環境制御手段16dとエアカーテン形成手段42との操作を独立に行うことができる。例えば、環境制御手段16dは温風により筐体16a内の環境を制御し、エアカーテン形成手段42は冷風により開口16fを塞ぐように、環境制御手段16d及びエアカーテン形成手段42を独立に操作することができる。また、環境制御手段16dとエアカーテン形成手段42とが別体に設けられる場合には、環境制御手段16dは筐体16aの内部の上面に設けられることにより、環境制御手段16dは効率良く筐体16a内の環境を制御することができる。さらに環境制御手段16dとエアカーテン形成手段42とが別体に設けられる場合には、環境制御手段16dを筐体16aの上面の略中心に設けることにより、環境制御手段16dはより効率良く筐体16a内の環境を制御することができる。ここで、略中心とは厳密な中心でなくてもよい意味であり、中心近傍又は中心付近であればよいことを意味する。
【0173】
次に、変形例について説明する。
【0174】
本実施形態では、搬送ユニット16の各アーム16b、16cが筐体16aに形成された開口16fを介して出入りする構成を例示したが、これに限らず、例えば、搬送ユニット16の筐体16aのうち開口16fが形成された側とは反対側の面に同様の開口(図示せず)を形成し、各アーム16b、16cが、水平方向に個別に往復移動して開口16f及びその反対側の開口を介して出入りするように構成してもよい。このようにすれば、搬送ユニット回転機構28を省略することができる。そして、搬送ユニット回転機構28を省略したにもかかわらず、すなわち、搬送ユニット16を回転させることなく、各アーム16b、16cによる搬送物収納部12又は各測定部14へのアクセスを実現できる。この場合、搬送ユニット16の筐体16aに形成された開口16fを閉塞するエアカーテンを形成するエアカーテン形成手段42に加えて、当該開口16fの反対側に形成された開口を閉塞するエアカーテンを形成する同様のエアカーテン形成手段を搬送ユニット16に設けることで、筐体16a内を密閉又は略密閉空間とすることができ、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0175】
また、本実施形態では、各測定部14が水平方向(X軸方向)及び鉛直方向(Z軸方向)に二次元的に配置された構成を例示したが、これに限らず、各測定部14は、水平方向(X軸方向)に一列にのみ配置されていてもよいし、鉛直方向(Z軸方向)に一列にのみ配置されていてもよい。各測定部14を水平方向(X軸方向)に一列にのみ配置することで、第2可動体移動機構を省略できる。また、各測定部14を鉛直方向(Z軸方向)に一列にのみ配置することで、第1可動体移動機構を省略できる。
【0176】
また、本実施形態では、1つの搬送ユニット16及び1つの移動装置22を用いた構成を例示したが、これに限らず、複数の搬送ユニット16及び複数の移動装置22を用いてもよい。このようにすれば、各測定部14でのスループットをさらに向上させることができる。
【0177】
また、本実施形態では、ウエハ保持アーム16b及びプローブカード保持アーム16cを用いた構成を例示したが、これに限らず、ウエハ保持アーム16bのみを用いてもよいし、プローブカード保持アーム16cのみを用いてもよい。
【0178】
また、本実施形態では、搬送ユニット16に各アーム16b、16cを設けた構成を例示したが、これに限らず、搬送物収納部12側及び各測定部14側に各アーム16b、16c(又はこれに相当するアーム)を設けてもよい。これによっても、各アームによって搬送物収納部12又は測定部14から搬送物を取り出して搬送ユニット16内に収納することができ、かつ、搬送ユニット16から搬送物を取り出して搬送物収納部12又は測定部14に引き渡すことができる。
【0179】
また、本実施形態では、筐体16aに形成された開口16fをエアカーテンで閉塞する構成を例示したが、これに限らず、搬送物の取り出しの際又は引き渡しの際に開かれ、搬送物の搬送中に閉じられるシャッターや扉等の開口開閉手段を搬送ユニット16に設け、この開口開閉手段によって開口16fを開閉するように構成してもよい。また、各測定部14に形成された開口14aを同様のエアカーテンで閉塞するように構成してもよいし、または、同様の開口開閉手段で開口14aを開閉するように構成してもよい。
【0180】
以上説明したように、搬送先(測定部又は搬送物収納部)に搬送物を搬送するまでの時間を利用して搬送物の搬送先の環境に応じた環境となるように搬送ユニット(筐体)内の環境を制御するという考え方は、上記実施形態のプローバのみならず、搬送物収納部と複数の測定部との間で移動して搬送物を搬送物収納部内又は複数の測定部内に搬送するあらゆる種類の搬送ユニット(例えば、特開平5-343497号公報に記載の自走車台)を備えたプローバに適用することができる。
【0181】
また、以上説明したように、従来技術のような物理的な扉やシャッターではなく、エアカーテンで、搬送ユニット(搬送物を収納する筐体)に形成された搬送物が出入りする開口を閉塞するという考え方は、上記実施形態のプローバのみならず、搬送物を収納する筐体であって、前記搬送物が出入りする開口が形成された筐体を備え、前記搬送物の受渡先まで移動して前記開口を介して前記搬送物の受渡先との間で前記搬送物を受け渡すあらゆる種類の搬送ユニット(例えば、特開2007-294665号公報に記載のカード搬送台車)を備えたプローバに適用することができる。
【0182】
また、搬送先(測定部又は搬送物収納部)に搬送物を搬送するまでの時間を利用して搬送物の搬送先の環境に応じた環境となるように搬送ユニット(筐体)内の環境を制御するという考え方は、上記実施形態のプローバのみならず、搬送物収納部と複数の測定部との間で移動して搬送物を搬送物収納部内又は複数の測定部内に搬送するあらゆる種類の搬送ユニット(例えば、特開平5-343497号公報に記載の自走車台)を備えたプローバに適用することができる。
【0183】
また、搬送ユニット(筐体)内だけでなく、プローブカード保持アームから受け渡され第1プローブカード保持機構に保持されるまでの間も、ウエハチャックの輻射熱によってシームレスにプローブカードを加熱(プリヒート)するという考え方は、上記実施形態のプローバのみならず、プローブカード受取位置と第1プローブカード保持機構の下方のプリヒート位置との間で移動するアライメント装置を備えたあらゆるプローバに適用することができる。
【0184】
以上、本発明のプローバについて詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0185】
10…プローバ、12…搬送物収納部、12a…ウエハ収納部、12b…プローブカード収納部、14…測定部、14a…開口、16…搬送ユニット、16a…筐体、16b…ウエハ保持アーム、16c…プローブカード保持アーム、16d…環境制御手段、16e…センサ、16f…開口、18…ウエハチャック、20…ヘッドステージ、22…移動装置、24…第1可動体、26…第2可動体、28…搬送ユニット回転機構、28a…駆動モータ、30、32…ガイドレール、34…ベース、36…プローブカード保持機構、38…アライメント装置、38a…Z軸可動部、38b…Z軸固定部、38c…XY可動部、40…プローブカード保持機構、40a…保持部、42…エアカーテン形成手段、CH…カードホルダ、PC…プローブカード、W…ウエハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8