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特開2024-125654化合物、重合体、化合物の製造方法、及び重合体の製造方法
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  • 特開-化合物、重合体、化合物の製造方法、及び重合体の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125654
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】化合物、重合体、化合物の製造方法、及び重合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 307/46 20060101AFI20240911BHJP
   C08G 65/36 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
C07D307/46 CSP
C08G65/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033617
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000202350
【氏名又は名称】綜研化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】川波 肇
(72)【発明者】
【氏名】岡本 秀二
(72)【発明者】
【氏名】宮本 豪
【テーマコード(参考)】
4J005
【Fターム(参考)】
4J005AA22
(57)【要約】
【課題】溶剤溶解性を有する化合物、又は溶剤溶解性を有する重合体を得ることができる化合物及びその製造方法、並びに、溶剤溶解性を有する重合体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明によれば、式(A)で表される構造を含む化合物であって、数平均分子量が250以上の化合物が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(A)で表される構造を含む化合物であって、数平均分子量が250以上の、化合物。
【化1】
(式(A)において、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~18の直鎖または分岐のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3~18のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアラルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアルキルアリール基、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む三員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む四員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む五員環、および置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む六員環から選ばれ、Rは、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルケニレン基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルキニレン基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のシクロアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数4~30のアルキレンシクロアルキレン基、炭素数4~30のシクロアルキレンアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~18のアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアルキレンアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアリーレンアルキレン基、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の三員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の四員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の五員環、および置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の六員環から選ばれ、Rがアルキレン基を含む場合、前記アルキレン基は、前記アルキレン基に含まれる少なくとも1つの炭素原子が2価のヘテロ原子で置換されていてもよい。)
【請求項2】
が、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む三員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む四員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む五員環、および置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む六員環を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化合物が、式(B)で表される構造を2つ以上有し、かつ、式(C)で表される構造を2つ以上有する、請求項1又は請求項2に記載の化合物。
【化2】
【化3】
【請求項4】
式(D)で表される構造を有する、請求項1に記載の化合物。
【化4】
(式(D)において、kは、2以上の整数である。)
【請求項5】
が式(E)で表される、請求項1に記載の化合物。
【化5】
(Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~18の直鎖または分岐のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数3~18のシクロアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~18のアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアリーレンアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアルキレンアリーレン基、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の三員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の四員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の五員環、および置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の六員環から選ばれ、R、及びRは、それぞれ、独立して、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数4~30のアルキルシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数4~30のシクロアルキルアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアルキレンアリール基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアラルキル基、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む三員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む四員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む五員環、および置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む六員環から選ばれ、R、及びRがアルキル基を含む場合、前記アルキル基は、前記アルキル基に含まれる少なくとも1つの炭素原子が2価のヘテロ原子で置換されていてもよく、*-は結合手を表す。)
【請求項6】
2つ以上の末端が水酸基を有している、請求項1又は請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1又は請求項5に記載の化合物に由来する繰り返し単位を2つ以上含む、重合体。
【請求項8】
式(A)で表される構造を含む化合物の製造方法であって、
式(A)で表される構造を含む化合物は、数平均分子量が250以上であり、
前記製造方法は、
アルデヒド基を有する化合物と2以上の水酸基を有する化合物とを反応させて、式(A)で表される構造を含む化合物を得る工程を含む、製造方法。
【化1】
(式(A)において、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~18の直鎖または分岐のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3~18のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアラルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアルキルアリール基、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む三員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む四員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む五員環、および置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む六員環から選ばれ、Rは、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルケニレン基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルキニレン基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のシクロアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数4~30のアルキレンシクロアルキレン基、炭素数4~30のシクロアルキレンアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~18のアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアルキレンアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアリーレンアルキレン基、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の三員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の四員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の五員環、および置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の六員環から選ばれ、Rがアルキレン基を含む場合、前記アルキレン基は、前記アルキレン基に含まれる少なくとも1つの炭素原子が2価のヘテロ原子で置換されていてもよい。)
【請求項9】
前記2以上の水酸基を有する化合物において、少なくとも1組の水酸基が、3個以上の炭素原子で離間されている、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
重合体の製造方法であって、
請求項1または請求項4に記載の化合物を縮合反応させ、重合体を得る重合工程を含む、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物、重合体、化合物の製造方法、及び重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアセタール(POM)は、オキシメチレン(oxymethylene、-CH2O-)構造をもつポリマーであり、強度、弾性率、耐衝撃性に優れるため、エンジニアリングプラスチックとして用いられている。
例えば、特許文献1には、熱安定性に優れ、着色が少なく、異物の少ない末端安定化されたポリアセタール共重合体の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-226792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のポリアセタールは、溶剤に溶けにくく、加工性に乏しかったため、例えば、スラリーやペースト、インキを調製して、コーティング剤として用いることが困難であった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、溶剤溶解性を有する化合物、又は溶剤溶解性を有する重合体を得ることができる化合物及びその製造方法、並びに、溶剤溶解性を有する重合体及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、式(A)で表される構造を含む化合物であって、数平均分子量が250以上の化合物が提供される。
【0007】
【化1】
(式(A)において、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~18の直鎖または分岐のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3~18のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアラルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアルキルアリール基、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む三員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む四員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む五員環、および置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む六員環から選ばれ、Rは、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルケニレン基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルキニレン基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のシクロアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数4~30のアルキレンシクロアルキレン基、炭素数4~30のシクロアルキレンアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~18のアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアルキレンアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアリーレンアルキレン基、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の三員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の四員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の五員環、および置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の六員環から選ばれ、Rがアルキレン基を含む場合、前記アルキレン基は、前記アルキレン基に含まれる少なくとも1つの炭素原子が2価のヘテロ原子で置換されていてもよい。)
【0008】
本発明者は、鋭意検討を行ったところ、式(A)で表される構造を含む化合物であって、数平均分子量が250以上の化合物とすることにより、従来のポリアセタールに比べ溶剤溶解性が高く加工性の高い重合体となることを見出し、本発明の完成に至った。
【0009】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
[1]式(A)で表される構造を含む化合物であって、数平均分子量が250以上の化合物。
【0010】
【化1】
(式(A)において、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~18の直鎖または分岐のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3~18のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアラルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアルキルアリール基、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む三員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む四員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む五員環、および置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む六員環から選ばれ、Rは、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルケニレン基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルキニレン基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のシクロアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数4~30のアルキレンシクロアルキレン基、炭素数4~30のシクロアルキレンアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~18のアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアルキレンアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアリーレンアルキレン基、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の三員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の四員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の五員環、および置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の六員環から選ばれ、Rがアルキレン基を含む場合、前記アルキレン基は、前記アルキレン基に含まれる少なくとも1つの炭素原子が2価のヘテロ原子で置換されていてもよい。)
[2]Rが、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む三員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む四員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む五員環、および置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む六員環を含む、[1]に記載の化合物。
[3]前記化合物が、式(B)で表される構造を2つ以上有し、かつ、式(C)で表される構造を2つ以上有する、[1]又は[2]に記載の化合物。
【0011】
【化2】
【0012】
【化3】
[4]式(D)で表される構造を有する、[1]~[3]のいずれか一項に記載の化合物。
【0013】
【化4】
(式(D)において、kは、2以上の整数である。)
[5]Rが式(E)で表される、[1]に記載の化合物。
【0014】
【化5】
(Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~18の直鎖または分岐のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数3~18のシクロアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~18のアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアリーレンアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアルキレンアリーレン基、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の三員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の四員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の五員環、および置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の六員環から選ばれ、R、及びRは、それぞれ、独立して、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数4~30のアルキルシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数4~30のシクロアルキルアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアルキレンアリール基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアラルキル基、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む三員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む四員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む五員環、および置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む六員環から選ばれ、R、及びRがアルキル基を含む場合、前記アルキル基は、前記アルキル基に含まれる少なくとも1つの炭素原子が2価のヘテロ原子で置換されていてもよく、*-は結合手を表す。)
[6]2つ以上の末端が水酸基を有している、[1]~[5]のいずれか一項に記載の化合物。
[7][1]又は[5]に記載の化合物に由来する繰り返し単位を2つ以上含む、重合体。
[8]式(A)で表される構造を含む化合物の製造方法であって、式(A)で表される構造を含む化合物は、数平均分子量が250以上であり、前記製造方法は、アルデヒド基を有する化合物と2以上の水酸基を有する化合物とを反応させて、式(A)で表される構造を含む化合物を得る工程を含む、製造方法。
【0015】
【化1】
(式(A)において、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~18の直鎖または分岐のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3~18のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアラルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアルキルアリール基、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む三員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む四員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む五員環、および置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む六員環から選ばれ、Rは、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルケニレン基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルキニレン基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のシクロアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数4~30のアルキレンシクロアルキレン基、炭素数4~30のシクロアルキレンアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~18のアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアルキレンアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアリーレンアルキレン基、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の三員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の四員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の五員環、および置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の六員環から選ばれ、Rがアルキレン基を含む場合、前記アルキレン基は、前記アルキレン基に含まれる少なくとも1つの炭素原子が2価のヘテロ原子で置換されていてもよい。)
[9]前記2以上の水酸基を有する化合物において、少なくとも1組の水酸基が、3個以上の炭素原子で離間されている、[8]に記載の製造方法。
[10]重合体の製造方法であって、[1]または4に記載の化合物を縮合反応させ、重合体を得る重合工程を含む、製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る化合物によれば、溶剤溶解性を有する重合体を得ることができる。また、本発明に係る重合体は溶剤溶解性を有するため、例えば、スラリーやペースト、インキを調製し、コーティング用組成物として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施例1及び実施例2に係る重合体1及び重合体2の海洋生分解率の経時変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を例示して本発明について詳細な説明をする。本発明は、これらの記載によりなんら限定されるものではない。以下に示す本発明の実施形態の各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0019】
1.化合物
本発明に係る化合物は、式(A)で表される構造を含む。また、本発明に係る化合物は数平均分子量が250以上である。本発明によれば、化合物が式(A)で表される構造を含み、数平均分子量が250以上の化合物とすることにより、従来のポリアセタールに比べ、溶剤溶解性が高く加工性の高い重合体又はそのような重合体を得ることができる化合物(単量体)を得ることができる。
【0020】
【化1】
【0021】
本発明に係る化合物は、式(A)で表される構造を1つ有する単量体であってもよく、式(A)で表される構造を2つ以上有する重合体であってもよい。まず、化合物が単量体である場合と重合体である場合の共通の態様について説明する。
はじめに、式(A)中の、R、Rの具体例を説明する。
【0022】
式(A)において、Rは、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルケニレン基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルキニレン基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のシクロアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数4~30のアルキレンシクロアルキレン基、炭素数4~30のシクロアルキレンアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~18のアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアルキレンアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアリーレンアルキレン基、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の三員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の四員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の五員環、および置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の六員環から選ばれ、Rがアルキレン基を含む場合、前記アルキレン基は、前記アルキレン基に含まれる少なくとも1つの炭素原子が2価のヘテロ原子で置換されていてもよい。
【0023】
は、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルキレン基とすることができる。アルキレン基の炭素数は、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。炭素数3以上のアルキレン基としては、例えば、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ドデシレン基等を挙げることができ、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基が好ましく、ヘキシレン基がより好ましい。
【0024】
は、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルケニレン基とすることができる。アルケニレン基の炭素数は、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。炭素数3以上のアルケニレン基としては、例えば、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、ヘプチニレン基、オクチニレン基、ドデシニレン基等を挙げることができ、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、ヘプチニレン基が好ましく、ヘキシニレン基がより好ましい。ヘキシニレン基は、例えば、2-ヘキシニレン基、3-ヘキシニレン基、4-ヘキシニレン基を挙げることができ、3-ヘキシニレン基がより好ましい。
【0025】
は、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルキニレン基とすることができる。アルキニレン基の炭素数は、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。炭素数3以上のアルキニレン基としては、例えば、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基等が挙げられる。
【0026】
は、置換基を有していてもよい炭素数3以上のシクロアルキレン基とすることができる。シクロアルキレン基の炭素数は、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。炭素数3以上のシクロアルキレン基としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基等を挙げることができ、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基が好ましく、シクロヘキシル基がより好ましい。シクロヘキシル基としては、1,4-シクロヘキシル基、1,2-シクロヘキシル基が好ましい。
【0027】
は、置換基を有していてもよい炭素数4~30のアルキレンシクロアルキレン基とすることができる。アルキレンシクロアルキレン基は、アルキレン基とシクロアルキレン基をともに含み、シクロアルキレン基が主骨格側にある基を示す。アルキレンシクロアルキレン基の炭素数は、例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。炭素数4以上のアルキレンシクロアルキレン基としては、メチレンシクロヘキシレン基、エチレンシクロヘキシレン基を挙げることができる。
【0028】
は、置換基を有していてもよい炭素数4~30のシクロアルキレンアルキレン基とすることができる。シクロアルキレンアルキレン基は、シクロアルキレン基とアルキレン基を共に含み、アルキレン基が主骨格側にある基を示す。シクロアルキレンアルキレン基の炭素数は、例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。炭素数4~30のシクロアルキレンアルキレン基としては、シクロヘキシレンメチレン基、シクロヘキシレン基を挙げることができる。
【0029】
は、置換基を有していてもよい炭素数6~18のアリーレン基とすることかできる。アリーレン基の炭素数は、例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。炭素数6~18のアリーレン基としては、アントラセニル基、ナフチレン基、アントラセニル基を挙げることができる。
【0030】
は、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアルキレンアリーレン基とすることができる。アルキレンアリーレン基は、アルキレン基とアリーレン基をともに含み、アリーレン基が主骨格側にある基を示す。アルキレンアリーレン基の炭素数は、例えば、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。炭素数7~30のアルキレンアリーレン基としては、メチレンフェニレン基、エチレンフェニレン基、メチレンナフチレン基、エチレンナフチレン基を挙げることができる。
【0031】
は、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアリーレンアルキレン基とすることができる。アリーレンアルキレン基は、アリーレン基とアルキレン基を共に含み、アルキレン基が主骨格側にある基を示す。アリーレンアルキレン基の炭素数は、例えば、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。炭素数7~30のアリーレンアルキレン基としては、フェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、ナフチレンメチレン基、ナフチレンエチレン基を挙げることができる。
【0032】
は、置換基を有していてもよい、ヘテロ原子を含む2価の三員環、四員環、五員環、又は六員環とできる。ヘテロ原子を含む2価の三員環、四員環、五員環、および六員環は、N、O、Sから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有するものとでき、Oを含むことが好ましい。
ヘテロ原子を含む2価の三員環、四員環、五員環、および六員環は、少なくとも1つのOを有することが好ましく、1つ、又は2つ、又は3つのOを有するものとできる。
ヘテロ環は、2価の五員環または六員環であることが好ましく、2価の五員環であることがより好ましい。
ヘテロ原子を含む2価の三員環、四員環、五員環、および六員環は、ピロール、ピリジン、チオフェン、フラン、2H-ピラン、4H-ピラン、オキサゾール、イソオキサゾール、モルホリン、オキサゾリンから選択される骨格を含むことが好ましく、フラン骨格を含むことが好ましい。フラン骨格については後述のとおりである。Rは、フラン及び/又はフラン置換体から任意の水素原子を2つ除いた基を有することが好ましい。
【0033】
は、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルケニレン基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のシクロアルキレン基から選択されることがより好ましい。
【0034】
がアルキレン基を含む場合、前記アルキレン基は、前記アルキレン基に含まれる少なくとも1つの炭素原子が2価のヘテロ原子で置換されていてもよい。ここで、「Rがアルキレン基を含む場合」とは、Rがアルキレン基である場合のほか、Rがシクロアルキレン基である場合や、アルキレンアリーレン基、アルキレンアリーレン基であって、Rがその一部にアルキレン基を含む場合も含まれる。R中のアルキレン基は2価のヘテロ原子で置換されていてもよく、一例としては、酸素原子で置換されていても良い。すなわち、エーテル結合を有してしても良い。R中のアルキレン基は、少なくとも1つのエーテル結合を有していても良く、1つ又は2つのエーテル結合を有していても良く、1つのエーテル基を有していても良い。
は、置換基を含まなくてもよい。Rが置換基を含む場合、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、水酸基等を挙げることができる。
【0035】
式(A)において、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~18の直鎖または分岐のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3~18のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアラルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアルキルアリール基、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む三員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む四員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む五員環、および置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む六員環から選ばれる。
【0036】
は、置換基を有していてもよい炭素数1~18の直鎖または分岐のアルキル基とできる。アルキル基の炭素数は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。炭素数1~18の直鎖または分岐のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1-エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等を挙げることができる。
【0037】
は、置換基を有していてもよい炭素数3~18のシクロアルキル基とできる。シクロアルキル基の炭素数は、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。炭素数3~18のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基等を挙げることができ、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基が好ましく、シクロヘキシル基とすることがより好ましい。
【0038】
は、置換基を有していてもよい炭素数6~18のアリール基とすることができる。アリール基の炭素数は、例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。炭素数6~18のアリール基としては、単環式または縮合多環式芳香族炭化水素基を挙げることができ、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基を挙げることができる。
【0039】
は、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアラルキル基とできる。アラルキル基は、アリール基とアルキル基を共に含み、アルキル基が主骨格側にある基を示す。アラルキル基の炭素数は、例えば、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。炭素数7~30のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等を挙げることができる。
【0040】
は、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアルキルアリール基とできる。アルキルアリール基は、アルキル基とアリール基をともに含み、アリール基が主骨格側にある基を示す。アルキルアリール基の炭素数は、例えば、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。炭素数7~30のアルキルアリール基としては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等を挙げることができる。
【0041】
は、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む三員環、四員環、五員環、又は六員環とできる。ヘテロ原子を含む三員環、四員環、五員環、および六員環は、N、O、Sから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有するものとでき、Oを含むことが好ましい。ヘテロ原子を含む三員環、四員環、五員環、および六員環は、少なくとも1つのOを有することが好ましく、1つ、又は2つ、又は3つのOを有するものとできる。ヘテロ環は、五員環または六員環であることが好ましく、五員環であることがより好ましい。ヘテロ原子を含む三員環、四員環、五員環、および六員環は、ピロール、ピリジン、チオフェン、フラン、2H-ピラン、4H-ピラン、オキサゾール、イソオキサゾール、モルホリン、オキサゾリンから選択される骨格を含むことが好ましく、フラン骨格を含むことが好ましい。
【0042】
フラン骨格を含むとは、下記構造に示す5員環構造であるフラン及びフラン置換体に由来する構造を有することを意味し、下記構造及び/又はフラン置換体から任意の水素原子を除いた基を有することを意味する。
【0043】
【化14】
【0044】
は、置換基を有していてもよい炭素数3~18のシクロアルキル基、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む三員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む四員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む五員環、および置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む六員環から選ばれることが好ましく、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む三員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む四員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む五員環、および置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む六員環から選ばれることがより好ましい。上記態様とすることにより、化合物は溶剤溶解性を有し、さらに優れた生分解性を有するものとなる。
【0045】
は、置換基を含まなくてもよい。Rが置換基を含む場合、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、水酸基等を挙げることができる。
また、Rは、式(E)で表される構造を有していてもよく、この場合、Rは、式(F)で表される置換基を有していてもよい。
【0046】
【化5】
【0047】
【化6】
【0048】
式(E)において、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~18の直鎖または分岐のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数3~18のシクロアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~18のアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアリーレンアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアルキレンアリーレン基、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の三員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の四員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の五員環、および置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の六員環から選ばれる。
【0049】
は、Rから置換基である構造(F)を除いたものとできる。すなわち、Rは、上記したRで列挙した1価の基から、水素原子を一つ除いた2価の基を挙げることができる。したがって、Rの具体例は、Rの具体例に準ずる。
【0050】
は、置換基を有していてもよい炭素数1~18の直鎖または分岐のアルキレン基とすることができる。アルキレン基の炭素数は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
炭素数1~18の直鎖または分岐のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、sec-ブチレン基、tert-ブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、1-エチルプロピレン基、ヘキシレン基、イソヘキシレン基、1,1-ジメチルブチレン基、2,2-ジメチルブチレン基、3,3-ジメチルブチレン基、2-エチルブチレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基等を挙げることができる。
【0051】
は、置換基を有していてもよい炭素数3~18のシクロアルキレン基とすることができる。シクロアルキレン基の炭素数は、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。炭素数3~18のシクロアルキレン基としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基等を挙げることができ、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基が好ましく、シクロヘキシル基がより好ましい。
【0052】
は、置換基を有していてもよい炭素数6~18のアリーレン基とすることができる。アリーレン基の炭素数は、例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。炭素数6~18のアリーレン基としては、アントラセニル基、ナフチレン基、アントラセニル基を挙げることができる。
【0053】
は、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアリーレンアルキレン基とすることができる。アリーレンアルキレン基の炭素数は、例えば、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。炭素数7~30のアリーレンアルキレン基としては、フェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、ナフチレンメチレン基、ナフチレンエチレン基を挙げることができる。
【0054】
は、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアルキレンアリーレン基とすることができる。アルキレンアリーレン基の炭素数は、例えば、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。炭素数7~30のアルキレンアリーレン基としては、メチレンフェニレン基、エチレンフェニレン基、メチレンナフチレン基、エチレンナフチレン基を挙げることができる。
【0055】
は、置換基を有していてもよい、ヘテロ原子を含む2価の三員環、四員環、五員環、又は六員環とできる。ヘテロ原子を含む2価の三員環、四員環、五員環、および六員環は、N、O、Sから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有するものとでき、Oを含むことが好ましい。
ヘテロ原子を含む2価の三員環、四員環、五員環、および六員環は、少なくとも1つのOを有することが好ましく、1つ、又は2つ、又は3つのOを有するものとできる。
ヘテロ環は、2価の五員環または六員環であることが好ましく、2価の五員環であることがより好ましい。
ヘテロ原子を含む2価の三員環、四員環、五員環、および六員環は、ピロール、ピリジン、チオフェン、フラン、2H-ピラン、4H-ピラン、オキサゾール、イソオキサゾール、モルホリン、オキサゾリンから選択される骨格を含むことが好ましく、フラン骨格を含むことが好ましい。フラン骨格については前記したとおりである。Rは、フラン及び/又はフラン置換体から任意の水素原子を2つ除いた基を有することが好ましい。
【0056】
は、置換基を有していてもよい炭素数3~18のシクロアルキレン基、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の三員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の四員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の五員環、および置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の六員環から選ばれることが好ましく、置換基を有していてもよい炭素数3~18のシクロアルキレン基、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の三員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の四員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の五員環、および置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む2価の六員環から選ばれることがより好ましい。
【0057】
式(E)及び(F)において、R、及びRは、それぞれ、独立して、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数4~30のアルキルシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数4~30のシクロアルキルアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアルキレンアリール基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアラルキル基、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む三員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む四員環、置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む五員環、および置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む六員環から選ばれる。R、及びRがアルキル基を含む場合、前記アルキル基は、前記アルキル基に含まれる少なくとも1つの炭素原子が2価のヘテロ原子で置換されていてもよく、なお、*-は結合手を表す。
【0058】
及び/又はRは、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルキル基とできる。アルキル基の炭素数は、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。炭素数3以上のアルキル基としては、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1-エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等を挙げることができる。
【0059】
及び/又はRは、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルケニル基とできる。アルケニル基の炭素数は、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
炭素数3以上のアルケニル基としては、例えば、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ドデセニル基等を挙げることができ、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基が好ましく、ヘキセニル基がより好ましい。ヘキセニル基は、例えば、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基を挙げることができ、3-ヘキセニル基がより好ましい。
【0060】
及び/又はRは、置換基を有していてもよい炭素数3以上のシクロアルキル基とできる。シクロアルキル基の炭素数は、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。炭素数3~18のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基等を挙げることができ、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基が好ましく、シクロヘキシル基とすることがより好ましい。
【0061】
及び/又はRは、置換基を有していてもよい炭素数4~30のアルキルシクロアルキル基とすることができる。アルキルシクロアルキル基は、アルキル基とシクロアルキル基をともに含み、シクロアルキル基が主骨格側にある基を示す。アルキルシクロアルキル基の炭素数は、例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。炭素数4以上のアルキルシクロアルキル基としては、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基を挙げることができる。
【0062】
及び/又はRは、置換基を有していてもよい炭素数4~30のシクロアルキルアルキル基とすることができる。シクロアルキルアルキル基は、シクロアルキル基とアルキル基を共に含み、アルキル基が主骨格側にある基を示す。シクロアルキルアルキル基の炭素数は、例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。炭素数4~30のシクロアルキルアルキル基としては、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基を挙げることができる。
【0063】
及び/又はRは、置換基を有していてもよい炭素数6~18のアリール基とできる。アリール基の炭素数は、例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。炭素数6~18のアリール基としては、単環式または縮合多環式芳香族炭化水素基を挙げることができ、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基を挙げることができる。
【0064】
及び/又はRは、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアラルキル基とできる。アラルキル基の炭素数は、例えば、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。炭素数7~30のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等を挙げることができる。
【0065】
及び/又はRは、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアルキルアリール基とできる。アルキルアリール基の炭素数は、例えば、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。炭素数7~30のアルキルアリール基としては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等を挙げることができる。
【0066】
置換基を有していてもよいヘテロ原子を含む三員環、四員環、五員環、又は六員環とできる。ヘテロ原子を含む三員環、四員環、五員環、および六員環は、N、O、Sから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有するものとでき、Oを含むことが好ましい。ヘテロ原子を含む三員環、四員環、五員環、および六員環は、少なくとも1つのOを有することが好ましく、1つ、又は2つ、又は3つのOを有するものとできる。ヘテロ環は、五員環または六員環であることが好ましく、五員環であることがより好ましい。ヘテロ原子を含む三員環、四員環、五員環、および六員環は、ピロール、ピリジン、チオフェン、フラン、2H-ピラン、4H-ピラン、オキサゾール、イソオキサゾール、モルホリン、オキサゾリンから選択される骨格を含むことが好ましく、フラン骨格を含むことが好ましい。
フラン骨格については後述のとおりである。R及び/又はRは、フラン及び/又はフラン置換体から任意の水素原子を1つ除いた基を有することが好ましい。
【0067】
及び/又はRは、それぞれ、独立して、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3以上のシクロアルキル基から選ばれることが好ましい。
及び/又はRがアルキレン基を含む場合、前記アルキレン基は、前記アルキレン基に含まれる少なくとも1つの炭素原子が2価のヘテロ原子で置換されていてもよい。ここで、「R及び/又はRがアルキル基を含む場合」とは、R及び/又はRがアルキル基である場合のほか、R及び/又はRがシクロアルキル基である場合や、アルキルアリール基、アルキルアリール基であって、R及び/又はRがその一部にアルキル基を含む場合も含まれる。R及び/又はR中のアルキル基は2価のヘテロ原子で置換されていてもよく、一例としては、酸素原子で置換されていても良い。すなわち、エーテル結合を有してしても良い。R及び/又はR中のアルキル基は、少なくとも1つのエーテル結合を有していても良く、1つ又は2つのエーテル結合を有していても良く、1つのエーテル基を有していても良い。
【0068】
本発明に係る化合物は、2つ以上の末端が水酸基を有していることが好ましい。本発明に係る化合物が末端に有する水酸基の数は2つとすることができ、3つすることもでき、4つとすることもでき、4つ以上とすることもできる。
【0069】
以下、化合物が式(A)で表される構造を1つ有する単量体である場合と、化合物が式(A)で表される構造を2つ以上有する重合体である場合をそれぞれ説明する。
【0070】
1.1 単量体
本発明の一実施形態に係る化合物は、式(A)で表される構造を1つ有する単量体とできる。化合物が単量体である場合、数平均分子量は、250~1000とすることができる。化合物が単量体である場合の数平均分子量は、例えば、250、300、400、500、600、700、800、900、1000であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。なお、化合物の数平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)で求めることができる。
【0071】
化合物が単量体である場合、本発明の一実施形態に係る化合物は、式(G)で表される化合物とできる。この場合、化合物は、末端に水酸基を2~4つ有するものとでき、2つ又は4つ有するものとできる。
【0072】
【化7】
【0073】
ここで、式(G)におけるR、Rは、式(A)におけるR、Rと同じとすることができる。R21は、Rと同じとすることも異なるものとでき、RとR21は同一であることが好ましい。
【0074】
化合物が単量体である場合、Rは、置換基を有しないこともできる。また、Rは、式(E)で表される構造を有していてもよく、この場合、Rは、式(F)で表される置換基を有していてもよい。
【0075】
【化5】
【0076】
【化6】
【0077】
また、Rが式(E)で表される場合、化合物は、式(H)で表される構造を有することもできる。
【0078】
【化8】
【0079】
式(H)中、Rは、式(A)におけるR、R21は式(G)におけるR21、R、R及びRは、式(E)におけるR、R及びRと同じとできる。化合物が、式(H)で表される場合、R及びRは、置換基として水酸基を有することが好ましい。すなわち、化合物が、式(H)で表される場合、化合物は、4つの末端に水酸基を有するものとできる。この場合、R、R21、R及びRは同一の化合物に由来する構造を有するものとできる。
【0080】
1.2 重合体
本発明の一実施形態に係る化合物は、式(B)で表される構造を2つ以上有し、かつ、式(C)で表される構造を2つ以上有する、重合体とすることができる。
【0081】
【化2】
【0082】
【化3】
【0083】
式(B)おけるRは式(A)におけるRと同じとでき、式(C)におけるRは式(A)におけるRと同じとできる。
本発明の一実施形態に係る重合体の数平均分子量は、300~5000万とできる。重合体の数平均分子量は、例えば、300、500、1000、5000、1万、2万、4万、5万、10万、50万、100万、500万、1000万、5000万であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0084】
本発明の一実施形態に係る重合体は、溶剤溶解性を有することが好ましく、溶剤5mlに、化合物を1gが溶解することが好ましい。重合体は、メチルエチルケトン5mlに、化合物を1g以上が溶解することが好ましく、及び/又は、メタノール5mlに、化合物1g以上が溶解することが好ましく、及び/又は、イソプロパノール5mlに、化合物1g以上が溶解することが好ましく、及び/又は、酢酸エチル5mlに、化合物1g以上が溶解することが好ましく、及び/又は、トルエン5mlに、化合物1g以上が溶解することが好ましい。
【0085】
本発明の一実施形態に係る重合体は、溶剤溶解性を有するため、スラリーやペースト、インキの調製に用いることができ、本発明の一実施形態に係る重合体を含む、コーティング用組成物を調製することができる
【0086】
本発明の一実施形態に係る化合物(単量体及び重合体)は、生分解性を有することが好ましい。生分解性は、一例として海水を使ったBOD(Biochemical Oxygen Demand)試験で評価することができる。具体的な評価方法は実施例に記載の通りである。本発明の一実施形態に係る化合物(単量体及び重合体)は、実施例の記載の方法で生分解性を評価した時、30日後の海洋生分解率が10mol%であることが好ましい。
特にフラン環骨格は、土壌および海洋での生分解性を示すため、本発明の一実施形態に係る重合体は、生分解性プラスチックとして種々の形態で様々な用途に用いることができる。例えば、各種溶剤に溶解あるいは分散あるいは乳化させれば、溶液、スラリーあるいは乳化液として、ペースト、塗装等に用いることができる。また、破砕、粉砕した微粒子は樹脂と混合する割剤やマスターバッチ、プラスチックフィルムのアンチブロッキング剤や滑り性向上剤、樹脂に添加する充填剤、複写機等で用いられるトナーの外添剤、反射・散乱剤などに用いることができる。更に、ファイバー状であれば、成形用添加剤材料として、家電筐体や車載機構部材に用いることができる。更に、フィルムや板状であれば、各種ベース材として飲料・食品用容器への利用ができる。
【0087】
本発明の一実施形態に係る重合体は、
・ランダム共重合体、
・ブロック共重合体、及び
・式(D)で表される構造を有する重合体
のうち少なくともいずれかを満たすものとできる。本発明の一実施形態に係る重合体は、直鎖状の重合体とすることもでき、網目状の重合体とすることもできる。
【0088】
1.2.1 ランダム共重合体
本発明の一実施形態に係る化合物は、式(B)で表される構造と式(C)で表される構造をランダムに有するランダム共重合体とすることができる。本発明の一実施形態に係る化合物がランダム共重合体である場合、重合体の数平均分子量は、300~10000とすることができる。重合体の数平均分子量は、例えば、300、400、500、1000、5000、10000であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。本発明の一実施形態に係る化合物がランダム共重合体である場合、該重合体は、直鎖状とすることができ、2つの末端が水酸基を有しているものとできる。
【0089】
1.2.2 ブロック共重合体
本発明の一実施形態に係る化合物は、式(I)で表される構造と式(J)で表される構造を有するブロック共重合体とすることができる。本発明の一実施形態に係る化合物がブロック共重合体である場合、重合体の数平均分子量は、300~10000とすることができる。重合体の数平均分子量は、例えば、300、400、500、1000、5000、10000であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0090】
【化9】
【0091】
【化10】
【0092】
式(B)おけるRは式(A)におけるRと同じとでき、式(C)におけるRは式(A)におけるRと同じとできる。式(B)おけるn及びmは、それぞれ、2以上の整数である。本発明の一実施形態に係る化合物がブロック共重合体である場合、該重合体は、直鎖状とすることができ、2つの末端が水酸基を有しているものとできる。
【0093】
化合物が、ランダム共重合体又はブロック共重合体である場合、共重合体における式(B)で表される構造と式(C)で表される構造のモル比、又は式(I)で表される構造と式(J)で表される構造のモル比は、1:9~9:1とすることができ、3:7~7:3であることが好ましい。
【0094】
1.2.3 式(D)で表される構造を有する重合体
本発明の一実施形態に係る化合物は、式(D)で表される構造を有する重合体とすることができる。すなわち、化合物は、式(A)で表される化合物に由来する繰り返し単位を2以上含むものとできる。
【0095】
【化4】
【0096】
式(D)において、kは2以上の自然数とできる。本発明の一実施形態に係る化合物が、式(D)で表される構造を有する重合体である場合、重合体の数平均分子量は、1000~100万とすることができる。重合体の数平均分子量は、例えば、1000、5000、1万、5万、10万、50万、100万であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
本発明の一実施形態に係る化合物が、式(D)で表される構造を有する重合体である場合、化合物は、式(G)に由来する繰り返し単位を含むことが好ましい。化合物は直鎖状であることが好ましい。化合物は、2つの末端に水酸基を有することが好ましい。
【0097】
また、本発明の一実施形態に係る重合体は、
・式(A)で表される構造を含み、数平均分子量が250以上であり、かつ、式(A)におけるRが式(E)で表される化合物(単量体)に由来する繰り返し単位を2以上有する重合体
とできる。より具体的には、本発明の一実施形態に係る重合体は、
・式(H)で表される化合物(単量体)に由来する繰り返し単位を2以上有する重合体
を含む。この場合、重合体は網目状とできる。
【0098】
1.2.4 式(H)で表される化合物(単量体)に由来する繰り返し単位を2以上有する重合体
本発明の一実施形態に係る化合物は、式(H)で表される化合物(単量体)に由来する繰り返し単位を2以上有する重合体とできる。
【0099】
【化8】
【0100】
この場合、重合体の数平均分子量は、10万~5000万とすることができる。重合体の数平均分子量は、例えば、10万、50万、100万、500万、1000万、5000万であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。重合体が、式(H)で表される単量体に由来する繰り返し単位を2以上有する場合、式(H)におけるR及びRは、置換基として水酸基を有することが好ましい。また、式(H)で表される単量体に由来する繰り返し単位を2以上有する重合体は、4つ以上の末端に水酸基を有するものとできる。
【0101】
2.化合物の製造方法
本発明に係る化合物の製造方法は特に限定されない。本発明の一実施形態に係る製造方法は、式(A)で表される構造を含む化合物の製造方法であって、式(A)で表される構造を含む化合物は、数平均分子量が250以上であり、前記製造方法は、アルデヒド基を有する化合物と2以上の水酸基を有する化合物とを反応させて、式(A)で表される構造を含む化合物を得る工程を含む。
【0102】
アルデヒド基を有する化合物は、アルデヒド基を少なくとも1つ含む化合物であり、アルデヒド基を1つ含む化合物とすることができ、アルデヒド基を2つ以上有する化合物とすることもできる。アルデヒド基を1つ含む化合物としては、下記式(K)で表される化合物をあげることができる。
【0103】
【化11】
【0104】
式(K)におけるRは、式(A)におけるRと同じとできる。アルデヒド基を1つ含む化合物としては、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナール、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ベンズアルデヒド、フルフラール、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド等を挙げることができ、フルフラール、シクロヘキサンカルボキシアルデヒドが好ましい。
アルデヒド基を2つ含む化合物としては、下記式(L)で表される化合物を挙げることができる。
【0105】
【化12】
【0106】
式(L)におけるRは、式(E)におけるRと同じとできる。アルデヒド基を1つ含む化合物としては、グルタルアルデヒド、アジポアルデヒド、ジホルミルフラン、テレフタルアルデヒド、ナフタレンジアルデヒド等を挙げることができ、ジホルミルフランが好ましい。
【0107】
2以上の水酸基を有する化合物としては、ポリオールを挙げることができる。化合物1分子当たりの水酸基の数は、2~4が好ましく、2又は3がより好ましく、2がより好ましい。2以上の水酸基を有する化合物において、各水酸基は第1級水酸基であることが好ましい。2以上の水酸基を有する化合物において、少なくとも1組の水酸基は、3個以上の炭素原子で離間されていることが好ましい。2以上の水酸基を有する化合物は、分子の両末端に水酸基を有することが好ましい。2以上の水酸基を有する化合物としては、下記構造を有する化合物を挙げることができる。
【0108】
【化13】
【0109】
式(M)におけるRは、式(A)におけるRと同じとできる。2以上の水酸基を有する化合物としては、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、2-ブテンー1,4-ジオール、2-ブチン-1,4-ジオール、1,5-ペンタンジオール、2-ペンテンー1,5-ジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-ヘキセンー1,6-ジオール、2,4-ヘキサジエン-1,6-ジオール、1,7-ヘプタンジオール、3-ヘプテン-1,7-ジオール、1,8-オクタンジオール、4-オクテン-1,8-ジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,3-シクロペンタンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3,5-シクロヘキサントリメタノール、1,2-ベンゼンジメタノール、1,3-ベンゼンジメタノール、1,4-ベンゼンジメタノール、1,3,5-ベンゼントリメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、フラン-2,5-ジメタノール等を挙げることができる。
【0110】
アルデヒド基を有する化合物と2以上の水酸基を有する化合物とを反応させる方法は特に限定されず、所望する化合物の態様に応じて適宜選択することができる。
【0111】
2.1 単量体の製造方法
一例として、式(G)で表される化合物の製造方法は、アルデヒド基を1つ有する化合物と、2つの水酸基を有する化合物と、p-トルエンスルホン酸一水和物等の触媒と、N,N-ジメチルホルムアミド、及びヘキサン等の有機溶媒を含む混合液を、加熱反応させる工程を含むことができる。加熱温度は、60~120℃とすることができ、加熱時間は12~20時間とすることができる。また、得られた生成物にNaHCO水溶液を添加する操作、CHCl等の溶媒による抽出操作、精製水による洗浄操作、NaSO等による脱水操作、加熱及び/又は減圧下での溶媒除去操作、蒸留操作を行うこともできる。
【0112】
【化7】
【0113】
一例として、式(H)で表される化合物の製造方法は、アルデヒド基を2つ有する化合物と、2つの水酸基を有する化合物と、p-トルエンスルホン酸一水和物等の触媒と、N,N-ジメチルホルムアミド、及びヘキサン等の有機溶媒を含む混合液を、加熱反応させる工程を含むことができる。加熱温度は、70~110℃とすることができ、加熱時間は12~20時間とすることができ、同様に上記の抽出、洗浄操作等を任意で行うことができる。
【0114】
【化8】
【0115】
2.2 重合体の製造方法
2.2.1 ランダム共重合体の製造方法
一例として、本発明の一実施形態に係るランダム共重合体(式(B)で表される構造を2つ以上有し、かつ、式(C)で表される構造を2つ以上有するランダム共重合体)の製造方法は、アルデヒド基を1つ有する化合物と、2つの水酸基を有する化合物と、乾燥1,4-ジオキサン等の超脱水溶媒を含む混合液を、撹拌する工程と、得られた溶液に、1,4-ジオキサン等の溶剤と、塩化ガリウム等の触媒と、エタンスルホン酸等の開始剤とを添加し、撹拌及び/又は加熱撹拌する工程を含むことができる。反応温度は、0~70℃とすることができ、反応時間は2~10時間とすることができる。また、得られた生成物を、炭酸水素ナトリウム水溶液を添加して抽出する操作、酢酸エチル等の溶媒による抽出操作、精製水による洗浄操作、加熱及び/又は減圧下での溶媒除去操作、蒸留操作を行うこともできる。
【0116】
2.2.2 ブロック共重合体の製造方法
一例として、式(I)で表される構造と式(J)で表される構造を有するブロック共重合体の製造方法は、アルデヒド基を1つ又は2つ有する化合物を重合させる工程、得られた重合体と2つの水酸基を有する化合物とを反応させ、式(I)で表される構造と式(J)で表される構造を有するブロック共重合体を得る工程を含むことができる。
【0117】
また、本発明の一実施形態に係る重合体の製造方法は、下記の化合物(単量体)を縮合反応させ、重合体を得る重合工程を含むことができる。
・式(A)で表される構造を含む化合物であって、数平均分子量が250以上の化合物
・式(A)で表される構造を含み、数平均分子量が250以上であり、かつ、式(A)におけるRが式(E)で表される化合物
より具体的には、本発明の一実施形態に係る重合体の製造方法は、下記の化合物を縮合反応させ、重合体を得る重合工程を含むことができる。
・式(G)で表される化合物(単量体)
・式(H)で表される化合物(単量体)
【0118】
2.2.3 式(D)で表される構造を有する重合体の製造方法
一例として、本発明の一実施形態に係る重合体の製造方法は、式(G)で表される化合物(単量体)を、縮合反応させる工程を含むことができ、これにより、式(G)で表される化合物(単量体)に由来する構造を有する重合体、すなわち、式(D)で表される構造を有する重合体を得ることができる。縮合反応工程は、構成を減圧下で加熱する工程を含むことができ、圧力は、特に限定されないが、一例として、0.000098気圧(1Pa)以上、1気圧(101325Pa)以下とすることができ、加熱温度は、150~250℃とすることができ、反応時間は12時間から20時間とすることができる。
【0119】
2.2.4 式(H)で表される化合物(単量体)に由来する繰り返し単位を2以上有する重合体の製造方法
一例として、本発明の一実施形態に係る製造方法は、式(H)で表される化合物(単量体)を、縮合反応させる工程を含むことができる。縮合反応工程は、式(H)で表される化合物(単量体)を、減圧下で加熱する工程を含むことができ、これにより、式(H)で表される化合物(単量体)に由来する繰り返し単位を2以上有する重合体を得ることができる。縮合工程の圧力は、特に限定されないが、一例として、0.000098気圧(1Pa)以上1気圧(101325Pa)以下とすることができ、加熱温度は、150~250℃とすることができ、反応時間は12時間から120時間とすることができる。
【実施例0120】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
【0121】
(実施例1)
(単量体1の製造)
50mlナスフラスコに、以下の試薬を入れ90℃に加熱し、16時間撹拌した。
・フルフラール(2-フルアルデヒド)(和光純薬社製、063-04795) 0.83mL
・1,6-ヘキサンジオール(TCI社製、H0099) 2.9545g
・PTSA・HO(p-トルエンスルホン酸一水和物)(和光純薬社製、207-13402) 20mg
・DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)(超脱水)(和光純薬社製、045-32365) 2mL
・ヘキサン(試薬特級)(和光純薬社製、083-00417) 5mL
次に、反応液を25℃に冷却し、NaHCO水溶液(和光純薬社製、191-01315)を10mL添加した。生成物を30mLのCHCl(和光純薬社製、133-02447)で3回抽出し、その後、30mLの精製水で3回洗浄した。さらに、NaSO(和光純薬社製、199-03344)を適量加え、脱水した。続いて、40℃、80mmHgの減圧下で溶媒を除去し、60℃、減圧下で蒸留し、下記式で表される単量体1 フルフラール-ヘキサンジオールアセタール(FHDA) 1.3742gを得た。
【0122】
【化15】
【0123】
(重合体1の製造)
クーゲル装置(アルドリッチクーゲルロールショートパス蒸留装置)に、得られた単量体1 0.5gを仕込み、200℃、減圧下で16時間反応させた。その後、25℃に冷却し、下記式で表される重合体1 0.2946gを得た。なお、重合体1の重合においては、ヘキサンジオールの脱離が確認された。
【化16】
【0124】
(実施例2)
(単量体2の製造)
1,6-ヘキサンジオール 2.9545gに代えて、1,4-シクロヘキサンジメタノール3.6035gを用いた以外は単量体1の製造と同様に、下記式で表される単量体2 3.01g(収率 82%)を得た。
【0125】
【化17】
【0126】
(重合体2の製造)
単量体1 0.5gに代えて、単量体2 1.0gを用いた以外は重合体1の製造と同様に下記式で表される重合体2 0.74gを得た。
【0127】
【化18】
【0128】
(実施例3)
(重合体3の製造)
100mlフラスコにシクロヘキサンカルボキシアルデヒド5.6gと1,2-エポキシシクロヘキサン4.9gを加え、窒素雰囲気下とした。次いで、乾燥1,4-ジオキサン20mlを加えて良く攪拌し、0℃に調整した。塩化ガリウム0.1gのジオキサン溶液2ml、エタンスルホン酸0.1gのジオキサン溶液2mlを加えて3時間攪拌後、50℃に昇温し、さらに3時間攪拌した。蒸留水を10ml加えて反応を停止し、1wt%炭酸水素ナトリウム水溶液、酢酸エチルで抽出後、蒸留水で洗浄を行った。溶媒留去後、減圧下150℃にて低揮発分を留去し、粘調液体(重合体3)を得た。GPCおよび1H-NMRによる分析を行ったところ、数平均分子量が500であること、シクロヘキサンカルボキシアルデヒドに由来する構造(式(19))と1,2-エポキシシクロヘキサンに由来する構造(式(20))の比率が4:6の共重合物であることが確認できた。
【0129】
【化19】
【0130】
【化20】
【0131】
(実施例4)
(単量体4の製造)
フルフラール 0.83mLに代えて2,5-ジホルミルフラン0.0621gを用いた以外は単量体1の製造と同様に、下記式で表される単量体4 0.177g(収率 63%)を得た。
【0132】
【化21】
【0133】
(重合体4の製造)
単量体1 0.5gに代えて、単量体4 0.5gを用い、反応時間を3日とした以外は重合体1の製造と同様に下記式で表される重合体4 0.4265gを得た。
【0134】
【化22】
【0135】
(実施例5)
(単量体5の製造)
1,6-ヘキサンジオール 2.9545gに代えて、3-ヘキセン-1,6-ジオール0.4gを用いた以外は単量体1の製造と同様に、下記式で表される単量体5 0.5164gを得た。
【0136】
【化23】
【0137】
(重合体5の製造)
単量体1 0.5gに代えて、単量体5 0.35gを用いた以外は重合体1の製造と同様に下記式で表される重合体5 0.1322gを得た。
【0138】
【化24】
【0139】
(実施例6)
(単量体6の製造)
1,6-ヘキサンジオール 2.9545gに代えて、ジエチレングリコール2.37mLを用いた以外は単量体1の製造と同様に、下記式で表される単量体6 1.649g(収率 11%)を得た。
【0140】
【化25】
【0141】
(重合体6の製造)
単量体1 0.5gに代えて、単量体6 0.30gを用いた以外は重合体1の製造と同様に下記式で表される重合体6を0.1253gで得た。
【化26】
【0142】
(実施例7)
(単量体7の製造)
1,6-ヘキサンジオール 2.9545gに代えて、1,4-ベンゼンジメタノール3.4543gを用いた以外は単量体1の製造と同様に、下記式で表される単量体7 1.9247g(収率 54%)を得た。
【0143】
【化27】
【0144】
(重合体7の製造)
単量体1 0.5gに代えて、単量体7 0.36gを用いた以外は重合体1の製造と同様に下記式で表される重合体7を0.2580gで得た。
【0145】
【化28】
【0146】
(実施例8)
(単量体8の製造)
フルフラール 0.83mLに代えて2,5-ジホルミルフラン0.1241gを用いた以外は単量体1の製造と同様に、下記式で表される単量体8 0.5701g(収率 63%)を得た。
【0147】
【化29】
【0148】
(重合体8の製造)
単量体1 0.5gに代えて、単量体8 0.7211gを用い、反応時間を3日とした以外は重合体1の製造と同様に下記式で表される重合体8 0.5701gを得た。
【0149】
【化30】
【0150】
(実施例9)
(単量体9の製造)
フルフラール 0.83mLに代えて2,5-ジホルミルフラン0.1241gを用いた以外は単量体1の製造と同様に、下記式で表される単量体9 0.5701g(収率 63%)を得た。
【化31】
【0151】
(重合体9の製造)
単量体1 0.5gに代えて、単量体9 0.4gを用い、反応時間を3日とした以外は重合体1の製造と同様に下記式で表される重合体49 0.121g(収率 53%)を得た。
【0152】
【化32】
【0153】
なお、各単量体及び重合体については、H-NMR、GPC(CHClに溶解)を用いた分析を実施し、上記構造を有することを確認、推定した。
【0154】
(比較例1)
ポリアセタール(ジュラコンM90-44、ポリプラスチックス社製)を用いた。
【0155】
<評価>
得られた単量体及び重合体を以下の方法で分析した。
(溶剤溶解性)
9mlスクリュー瓶に、実施例及び比較例の重合体を1g入れ、溶剤を5ml加えて室温で手で10回振とうし、10分間静置し、観察を行った。評価に用いた溶剤と、評価結果を表1に示す。なお、評価基準は以下とした。
○:重合体の溶け残りは目視では確認できず、重合体が溶剤に溶解した。
△:溶剤に重合体が分散し、重合体の少なくとも一部は溶け残った。
×:重合体と溶剤が分離し、重合体が溶剤に溶けなかった。
【0156】
(生分解性)
単量体及び重合体の生分解性は実際に近海で採取した海水を使ったBOD(Biochemical Oxygen Demand)試験で評価することができる。具体的には、下記方法で評価できる。容量が575mLのガラス瓶(キャップまで含めたトータルの容量は610mL)に、評価したい重合体ないしは単量体を30mg入れ、更に海水250mLを入れてよく撹拌した後、BOD測定用のキャップをして、20℃に設定した恒温槽にセットした。撹拌を開始し、20℃に達した時間から測定を開始した。同様に同じ瓶に海水250mLのみ(ブランク)および海水250mLにP3HB(ポリヒドロキシ酪酸、標準物質)30mgを入れた2種のサンプルも用意し、同様に20℃に達した時間から測定を開始した。1日1回ずつ瓶の内圧変化から酸素消費量を計測し、海洋生分解率を測定した。本評価では、30日後の海洋生分解率が10mol%以上であれば○、10mol%未満なら×とした。実施例の単量体及び重合体は、生分解性を有する。図1に、実施例1及び実施例2に係る重合体1及び重合体2の海洋生分解率の経時変化(各n=2)を示す。
【0157】
【表1】
図1