(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125660
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】バイポーラ型蓄電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20240911BHJP
H01M 4/68 20060101ALI20240911BHJP
H01M 10/06 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M4/68 A
H01M10/06 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033625
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】岩根 典靖
(72)【発明者】
【氏名】新垣 雅進
(72)【発明者】
【氏名】西久保 英郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 寛一郎
【テーマコード(参考)】
5H017
5H028
【Fターム(参考)】
5H017AA01
5H017AS03
5H017CC01
5H017EE02
5H028AA06
5H028CC01
5H028CC07
5H028CC08
5H028CC19
5H028EE01
5H028EE04
(57)【要約】
【課題】バイポーラプレートと電極との間の隙間への電解液の浸入を抑制することができるバイポーラ型蓄電池を提供する。
【解決手段】バイポーラプレート111の一方面に正極112及び他方面に負極113がそれぞれ接着層114を介して接着されたバイポーラ電極110と、酸性の電解液を含んだ電解層120とを交互に複数積層したスタック101を備えたバイポーラ型蓄電池100であって、正極112及び負極113の周縁とバイポーラプレート111の周縁との間に配置されてバイポーラプレート111の周縁に沿って設けられたアルカリ性の緩衝層151を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイポーラプレートの一方面に正極及び他方面に負極がそれぞれ接着層を介して接着されたバイポーラ電極と、酸性の電解液を含んだ電解層とを交互に複数積層したスタックを備えたバイポーラ型蓄電池であって、
前記正極及び前記負極の少なくとも一方の周縁と前記バイポーラプレートの周縁との間に配置されて前記バイポーラプレートの周縁に沿って設けられたアルカリ性の緩衝層を有している
ことを特徴とするバイポーラ型蓄電池。
【請求項2】
前記緩衝層は、前記接着層の一部と置換されている
ことを特徴とする請求項1に記載のバイポーラ型蓄電池。
【請求項3】
前記緩衝層は、前記バイポーラプレートに形成された収納溝の内部に配設されている
ことを特徴とする請求項1に記載のバイポーラ型蓄電池。
【請求項4】
前記緩衝層と前記バイポーラプレートとの間又は前記緩衝層と前記正極及び前記負極の少なくとも一方との間に前記接着層が介在している
ことを特徴とする請求項1に記載のバイポーラ型蓄電池。
【請求項5】
前記正極は、正極用鉛箔と、前記正極用鉛箔上に設けられた正極用活物質層とを有し、
前記負極は、負極用鉛箔と、前記負極用鉛箔上に設けられた負極用活物質層とを有し、
前記電解液は、硫酸を含有するものであり、
前記緩衝層は、炭酸水素ナトリウム,水酸化バリウム,水酸化カルシウムのうちの少なくとも1種を含有するものである
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のバイポーラ型蓄電池。
【請求項6】
前記緩衝層よりも、前記スタックの積層方向と直交する方向の内側に配置されて前記緩衝層に隣接して設けられたガス吸収層を有している
ことを特徴とする請求項1に記載のバイポーラ型蓄電池。
【請求項7】
前記ガス吸収層は、前記接着層の一部と置換されている
ことを特徴とする請求項6に記載のバイポーラ型蓄電池。
【請求項8】
前記ガス吸収層は、前記バイポーラプレートに形成された収納溝の内部に配設されている
ことを特徴とする請求項6に記載のバイポーラ型蓄電池。
【請求項9】
前記ガス吸収層と前記バイポーラプレートとの間又は前記ガス吸収層と前記正極及び前記負極の少なくとも一方との間に前記接着層が介在している
ことを特徴とする請求項6に記載のバイポーラ型蓄電池。
【請求項10】
前記正極は、正極用鉛箔と、前記正極用鉛箔上に設けられた正極用活物質層とを有し、
前記負極は、負極用鉛箔と、前記負極用鉛箔上に設けられた負極用活物質層とを有し、
前記電解液は、硫酸を含有するものであり、
前記緩衝層は、炭酸水素ナトリウム,水酸化バリウム,水酸化カルシウムのうちの少なくとも1種を含有するものであり、
前記ガス吸収層は、ソーダ石灰を含有するものである
ことを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載のバイポーラ型蓄電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイポーラ型蓄電池に関する。
【背景技術】
【0002】
バイポーラプレートの一方面に接着剤を介して正極を接着すると共に、バイポーラプレートの他方面に接着剤を介して負極を接着したバイポーラ電極を備えたバイポーラ型蓄電池としては、例えば、下記特許文献1に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したような従来のバイポーラ型蓄電池においては、充放電サイクルを繰り返していくと、正極や負極の電極が酸化され、これに伴って体積膨張を生じて伸長(グロース)してしまい、バイポーラプレートと電極との間に隙間を生じてしまうおそれがあった。このような隙間を生じてしまうと、当該間に電解液が浸入し、電極のバイポーラプレートとの接着面側からの腐食や接着層の被毒が急速に進行して、電解液が深くにまで浸透し、短絡を起こして電池性能の低下を引き起こしてしまう可能性があった。
【0005】
このようなことから、本発明は、バイポーラプレートと電極との間の隙間への電解液の浸入を抑制することができるバイポーラ型蓄電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決するための、本発明に係るバイポーラ型蓄電池は、バイポーラプレートの一方面に正極及び他方面に負極がそれぞれ接着層を介して接着されたバイポーラ電極と、酸性の電解液を含んだ電解層とを交互に複数積層したスタックを備えたバイポーラ型蓄電池であって、前記正極及び前記負極の少なくとも一方の周縁と前記バイポーラプレートの周縁との間に配置されて前記バイポーラプレートの周縁に沿って設けられたアルカリ性の緩衝層を有していることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るバイポーラ型蓄電池は、上述したバイポーラ型蓄電池において、前記緩衝層が、前記接着層の一部と置換されていると好ましい。
【0008】
また、本発明に係るバイポーラ型蓄電池は、上述したバイポーラ型蓄電池において、前記緩衝層が、前記バイポーラプレートに形成された収納溝の内部に配設されていると好ましい。
【0009】
また、本発明に係るバイポーラ型蓄電池は、上述したバイポーラ型蓄電池において、前記緩衝層と前記バイポーラプレートとの間又は前記緩衝層と前記正極及び前記負極の少なくとも一方との間に前記接着層が介在していると好ましい。
【0010】
また、本発明に係るバイポーラ型蓄電池は、上述したバイポーラ型蓄電池において、前記正極が、正極用鉛箔と、前記正極用鉛箔上に設けられた正極用活物質層とを有し、前記負極が、負極用鉛箔と、前記負極用鉛箔上に設けられた負極用活物質層とを有し、前記電解液が、硫酸を含有するものであり、前記緩衝層が、炭酸水素ナトリウム,水酸化バリウム,水酸化カルシウムのうちの少なくとも1種を含有するものであると好ましい。
【0011】
また、本発明に係るバイポーラ型蓄電池は、上述したバイポーラ型蓄電池において、前記緩衝層よりも、前記スタックの積層方向と直交する方向の内側に配置されて前記緩衝層に隣接して設けられたガス吸収層を有していると好ましい。
【0012】
また、本発明に係るバイポーラ型蓄電池は、上述したバイポーラ型蓄電池において、前記ガス吸収層が、前記接着層の一部と置換されていると好ましい。
【0013】
また、本発明に係るバイポーラ型蓄電池は、上述したバイポーラ型蓄電池において、前記ガス吸収層が、前記バイポーラプレートに形成された収納溝の内部に配設されていると好ましい。
【0014】
また、本発明に係るバイポーラ型蓄電池は、上述したバイポーラ型蓄電池において、前記ガス吸収層と前記バイポーラプレートとの間又は前記ガス吸収層と前記正極及び前記負極の少なくとも一方との間に前記接着層が介在していると好ましい。
【0015】
また、本発明に係るバイポーラ型蓄電池は、上述したバイポーラ型蓄電池において、前記正極が、正極用鉛箔と、前記正極用鉛箔上に設けられた正極用活物質層とを有し、前記負極が、負極用鉛箔と、前記負極用鉛箔上に設けられた負極用活物質層とを有し、前記電解液が、硫酸を含有するものであり、前記緩衝層が、炭酸水素ナトリウム,水酸化バリウム,水酸化カルシウムのうちの少なくとも1種を含有するものであり、前記ガス吸収層が、ソーダ石灰を含有するものであると好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るバイポーラ型蓄電池によれば、バイポーラプレートと電極との間に隙間を生じて、当該間に電解液が浸入すると、酸性の電解液がアルカリ性の緩衝層と反応して中和されるので、電解液による電極のバイポーラプレートとの接着面側からの腐食や接着層の被毒を抑えることができ、電解液による接着層の浸食を抑えることができる。これにより、バイポーラプレートと電極との間の隙間への電解液の浸入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るバイポーラ型蓄電池の第1の実施形態の概略構造を表す断面図である。
【
図2】本発明に係るバイポーラ型蓄電池の第2の実施形態の概略構造を表す断面図である。
【
図3】本発明に係るバイポーラ型蓄電池の第3の実施形態の概略構造を表す断面図である。
【
図4】本発明に係るバイポーラ型蓄電池の他の実施形態の概略構造を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るバイポーラ型蓄電池の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、図面に基づいて説明する以下の実施形態のみに限定されるものではなく、各実施形態における各種技術的事項を必要に応じて適宜置き換えることや組み合わせることが可能なものである。
【0019】
[第1の実施形態]
本発明に係るバイポーラ型蓄電池の第1の実施形態を
図1に基づいて説明する。
【0020】
図1に示すように、耐酸性を有する樹脂(例えば、ABS等)製の平板形状のバイポーラプレート111の一方面上(
図1中、上方面上)には、鉛又は鉛合金からなる正極用鉛箔112aが耐酸性を有する接着剤からなる接着層114を介して接着されている。正極用鉛箔112a上には、正極用活物質層112bが設けられている。
【0021】
バイポーラプレート111の他方面上(
図1中、下方面上)には、鉛又は鉛合金からなる負極用鉛箔113aが接着層114を介して接着されている。負極用鉛箔113a上には、負極用活物質層113bが設けられている。正極用鉛箔112aと負極用鉛箔113aとは、バイポーラプレート111の一方面側(
図1中、上方面側)と他方面側(
図1中、下方面側)との間に設けられた導電体(図示省略)により電気的に接続されている。
【0022】
このような本実施形態においては、正極用鉛箔112a,正極用活物質層112b等により、正極112が構成されている。また、負極用鉛箔113a,負極用活物質層113b等により、負極113が構成されている。また、バイポーラプレート111,正極112,負極113,接着層114,前記導電体等により、バイポーラ電極110が構成されている。
【0023】
バイポーラ電極110の一方面側及び他方面側には、硫酸を含有する酸性の電解液を含むガラス繊維マットからなる電解層120が配設されている。これらバイポーラ電極110と電解層120とは、交互に複数積層されている。言い換えると、バイポーラ電極110は、互いに対向するように複数配設され、電解層120は、対向するバイポーラ電極110の間に介在しているのである。
【0024】
さらに、バイポーラ電極110と電解層120との積層方向他方端側(
図1中、下方端側)の電解層120上には、一方面上(
図1中、上方面上)に接着層114を介して正極112を設けた耐酸性を有する樹脂製の平板形状のエンドプレート130が配設されている。前記積層方向一方端側(
図1中、上方端側)の電解層120上には、他方面上(
図1中、下方面上)に接着層114を介して負極113を設けた耐酸性を有する樹脂製の平板形状のエンドプレート140が配設されている。
【0025】
つまり、エンドプレート130,140は、対をなして、交互に複数積層されたバイポーラ電極110及び電解層120を間に位置させるように挟んでいるのである。このようなバイポーラ電極110,電解層120,エンドプレート130,140等により、本実施形態ではスタック101が構成されている。なお、
図1中、102は、スタック101を包囲するフレームである。
【0026】
正極112の正極用鉛箔112aの周縁とバイポーラプレート111の周縁及びエンドプレート130の周縁との間には、炭酸水素ナトリウム(重曹)を含有するアルカリ性の緩衝層151が接着層114の一部と置換されるように上記プレート111,130の周縁に沿って周縁全長にわたって設けられている。負極113の負極用鉛箔113aの周縁とバイポーラプレート111の周縁及びエンドプレート140の周縁との間には、緩衝層151が接着層114の一部と置換されるように上記プレート111,140の周縁に沿って周縁全長にわたって設けられている。
【0027】
このような本実施形態に係るバイポーラ型蓄電池100においては、バイポーラプレート111やエンドプレート130,140と正極112の正極用鉛箔112aや負極113の負極用鉛箔113aとの間に隙間を生じて、当該間に電解液が浸入すると、電解液中の硫酸が緩衝層151の炭酸水素ナトリウム(重曹)と下記式(1)のように反応する。
【0028】
H2SO4+2NaHCO3→Na2SO4+2H2O+2CO2 (1)
【0029】
これにより、上記隙間に浸入した硫酸が中和されて、正極112の正極用鉛箔112aや負極113の負極用鉛箔113aのバイポーラプレートとの接着面側からの硫酸による腐食や接着層114の被毒を抑えることができ、接着層114の浸食を抑えることができる。
【0030】
したがって、本実施形態に係るバイポーラ型蓄電池100によれば、バイポーラプレート111やエンドプレート130,140と正極112や負極113との間の隙間への電解液の浸入を抑制することができる。
【0031】
[第2の実施形態]
本発明に係るバイポーラ型蓄電池の第2の実施形態を
図2に基づいて説明する。ただし、前述した実施形態と同様な部分については、前述した実施形態の説明で用いた符号と同様な符号を用いることにより、前述した実施形態での説明と重複する説明を省略する。
【0032】
図2に示すように、正極112の正極用鉛箔112aの周縁とバイポーラプレート111の周縁及びエンドプレート130の周縁との間の、緩衝層141よりもスタック101の内側には、ソーダ石灰等を含有するガス吸収層252が接着層114の一部と置換されるように緩衝層141の全長にわたって隣接して設けられている。
【0033】
負極113の負極用鉛箔113aの周縁とバイポーラプレート111の周縁及びエンドプレート140の周縁との間の、緩衝層151よりも、スタック101の積層方向と直交する方向の内側には、ガス吸収層252が接着層114の一部と置換されるように緩衝層151の全長にわたって隣接して設けられている。
【0034】
このような本実施形態に係るバイポーラ型蓄電池200においては、バイポーラプレート111やエンドプレート130,140と正極112の正極用鉛箔112aや負極113の負極用鉛箔113aとの間に隙間を生じて、当該間に電解液が浸入すると、前述した実施形態の場合と同様に、電解液中の硫酸が緩衝層151の炭酸水素ナトリウム(重曹)と前記式(1)のように反応する。
【0035】
そして、前記式(1)の反応により生じた二酸化炭素が、ガス吸収層252のソーダ石灰と下記式(2)-(4)のように反応する。
【0036】
CO2+2NaOH→Na2CO3+H2O (2)
H2O+CaO→Ca(OH)2 (3)
Ca(OH)2+CO2→CaCO3+H2O (4)
【0037】
これにより、前記式(1)の反応により生じた二酸化炭素ガスを吸収することができる。
【0038】
したがって、本実施形態に係るバイポーラ型蓄電池200によれば、前述した実施形態の場合と同様な効果を得ることができるのはもちろんのこと、発生した二酸化炭素ガスを吸収して系内に拡散させることなく減容保持することができる。
【0039】
[第3の実施形態]
本発明に係るバイポーラ型蓄電池の第3の実施形態を
図3に基づいて説明する。ただし、前述した実施形態と同様な部分については、前述した実施形態の説明で用いた符号と同様な符号を用いることにより、前述した実施形態での説明と重複する説明を省略する。
【0040】
図3に示すように、バイポーラプレート111及びエンドプレート130の一方面上(
図3中、上方面上)の周縁端寄りには、断面凹形状をなす収納溝311a,330aが当該プレート111,130の周縁に沿って周縁全長にわたって形成されている。バイポーラプレート111及びエンドプレート140の他方面上(
図3中、下方面上)の周縁端寄りには、断面凹形状をなす収納溝311a,340aが当該プレート111,140の周縁に沿って周縁全長にわたって形成されている。
【0041】
前記プレート111,130,140の収納溝311a,330a,340aの内部の、当該プレート111,130,140の周縁端寄りには、緩衝層151が設けられている。前記プレート111,130,140の収納溝311a,330a,340aの内部の、緩衝層151よりも、スタック101の積層方向と直交する方向の内側には、ガス吸収層252が緩衝層151の全長にわたって隣接して設けられている。
【0042】
緩衝層151及びガス吸収層252と正極112の正極用鉛箔112aとの間には、接着層114が介在している。緩衝層151及びガス吸収層252と負極113の負極用鉛箔113aとの間にも、接着層114が介在している。つまり、接着層114は、正極112の正極用鉛箔112aや負極113の負極用鉛箔113aの全面にわたって設けられているのである。
【0043】
したがって、本実施形態に係るバイポーラ型蓄電池300によれば、前述した実施形態の場合と同様な効果を得ることができるのはもちろんのこと、接着層114が、正極112の正極用鉛箔112aや負極113の負極用鉛箔113aの全面にわたって設けられているので、バイポーラプレート111やエンドプレート130,140と正極112や負極113との間の隙間への電解液の浸入をより抑制することができる。
【0044】
[他の実施形態]
なお、前述した第3の実施形態においては、バイポーラプレート111及びエンドプレート130,140に形成した収納溝311a,330a,340a内に緩衝層151及びガス吸収層252を配設し、緩衝層151及びガス吸収層252と正極112や負極113との間に接着層114を介在させたバイポーラ型蓄電池300について説明した。しかしながら、本発明はこれに限らない。
【0045】
他の実施形態として、例えば、
図4に示すように、収納溝411a,430a,440a内に接着層114を設け、収納溝411a,430a,440a内の接着層114と正極112や負極113との間に緩衝層151及びガス吸収層252を設けたバイポーラ型蓄電池400とすることも可能である。言い換えると、バイポーラプレート111及びエンドプレート130,140と緩衝層151及びガス吸収層252との間に接着層114を設けたバイポーラ型蓄電池400とすることも可能である。
【0046】
また、前述した実施形態においては、バイポーラプレート111と正極112及び負極113との間の両方に緩衝層151を設けた場合について説明したが、本発明はこれに限らない。他の実施形態として、例えば、バイポーラプレート111と正極112又は負極113との間の一方に緩衝層151を設けることも可能である。ここで、負極113よりも正極112の方が、酸化膜を生成し易く、隙間を生じ易いため、少なくとも正極112とバイポーラプレート111との間に緩衝層151を設けるようにすると、非常に好ましい。
【0047】
また、前述した実施形態においては、炭酸水素ナトリウム(重曹)を含有するアルカリ性の緩衝層151を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らない。他の実施形態として、例えば、水酸化バリウムを含有するアルカリ性の緩衝層や、水酸化カルシウムを含有するアルカリ性の緩衝層や、これらを任意に混合したアルカリ性の緩衝層等を適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係るバイポーラ型蓄電池は、バイポーラプレートと電極との間の隙間への電解液の浸入を抑制することができるので、各種産業において、極めて有益に利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
100 バイポーラ型蓄電池
101 スタック
102 フレーム
110 バイポーラ電極
111 バイポーラプレート
112 正極
112a 正極用鉛箔
112b 正極用活物質
113 負極
113a 負極用鉛箔
113b 負極用活物質
114 接着層
120 電解層
130 エンドプレート
140 エンドプレート
151 緩衝層
200 バイポーラ型蓄電池
252 ガス吸収層
300 バイポーラ型蓄電池
311a,330a,340a 収納溝
400 バイポーラ型蓄電池
411a,430a,440a 収納溝