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特開2024-125723粒子層形成装置、現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
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  • 特開-粒子層形成装置、現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125723
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】粒子層形成装置、現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
G03G15/08 226
G03G15/08 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033733
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】河崎 明博
(72)【発明者】
【氏名】山田 晋太郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 博秋
【テーマコード(参考)】
2H077
【Fターム(参考)】
2H077AA02
2H077AD04
2H077AD07
2H077AD13
2H077AD18
2H077AD22
2H077AE02
2H077BA08
2H077GA13
(57)【要約】
【課題】粒子担持体の表面に均一な粒子の薄い層を容易に形成する。
【解決手段】粒子担持体(ローラ1)の表面に粒子3の層を形成する粒子層形成装置において、粒子担持体の表面との間に粒子層の厚みに対応した隙間Gを開けて対向する規制板4と、粒子層に振動を付与する振動子5とを有することを特徴とする。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子担持体の表面に粒子層を形成する粒子層形成装置において、
前記粒子担持体の表面との間に、前記粒子層の厚みに対応した隙間を開けて対向する規制板と、
前記粒子層に振動を付与する振動子と、を備え、
前記振動子を振動させながら前記粒子層を形成することを特徴とする粒子層形成装置。
【請求項2】
前記振動子を前記規制板に連結したことを特徴とする請求項1の粒子層形成装置。
【請求項3】
前記振動子を前記粒子層の厚み方向に振動させることを特徴とする請求項1の粒子層形成装置。
【請求項4】
前記振動子を前記粒子層の面方向に振動させることを特徴とする請求項1の粒子層形成装置。
【請求項5】
前記隙間の大きさを、前記粒子層の粒子の単位径よりも大きく、かつ、前記粒子の単位径の二倍未満にしたことを特徴とする請求項1の粒子層形成装置。
【請求項6】
前記粒子の粒度分布を13%以下にしたことを特徴とする請求項1の粒子層形成装置。
【請求項7】
前記粒子の円形度を0.95以上にしたことを特徴とする請求項1の粒子層形成装置。
【請求項8】
前記粒子担持体と前記規制板との間に、前記粒子が前記粒子担持体側に静電吸引される電界を形成することを特徴とする請求項1の粒子層形成装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項の粒子層形成装置を有することを特徴とする現像装置。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか1項の粒子層形成装置を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項11】
請求項1から8のいずれか1項の粒子層形成装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子担持体の表面に薄い粒子層を形成可能な粒子層形成装置と、当該粒子層形成装置を使用した現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザを用いた画像形成装置としての複写機、プリンタ、ファクシミリ、またはそれらの複合機は、電子写真方式により感光体等の潜像担持体上に静電潜像を形成する。次に、この静電潜像を着色トナー(またはブラックトナー)で現像して可視像としてのトナー像を形成する。そして、このトナー像を転写紙等の被転写体に転写し、これを熱ロール等で定着して画像の複写物を得る。
【0003】
トナー像を形成する際、まず現像装置の現像ローラの表面に現像剤(トナー)の薄い層を形成する。そして、この薄い現像剤層を潜像担持体上に付着させて静電潜像を現像する。
【0004】
ところで、近年ではデジタル方式のデータを容易に送信できるようなネットワークの進化に伴い、画像形成装置の用途が単なる複写機能から軽印刷の分野にまで拡大しつつある。この軽印刷の分野では、従来のオフィスでの複写とは異なり印刷物の高い画像品質と低コスト化(低CPP化)が要求される。
【0005】
しかし、従来の現像装置では現像ローラの表面に現像剤の薄い層を均一に形成することが必ずしも容易ではなかった。このため、FMスクリーニングのような高い画像品質を低コストで得ることが困難であった。なお、薄い粒子層を形成する技術として例えば特許文献1(特開2020-129448号公報)の技術があるが、当該技術は複雑な工程を要し、低コスト化の課題が未解決であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明の課題は、粒子担持体の表面に均一な粒子の薄い層を容易に形成することが可能な粒子層形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の粒子層形成装置は、粒子担持体の表面に粒子層を形成する粒子層形成装置において、前記粒子担持体の表面との間に、前記粒子層の厚みに対応した隙間を開けて対向する規制板と、前記粒子層に振動を付与する振動子と、を備え、前記振動子を振動させながら前記粒子層を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、粒子担持体の表面に均一な粒子の薄い層を容易に形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明の第1実施形態に係る現像装置の概略構成図である。
図1B】本発明の第2実施形態に係る現像装置の概略構成図である。
図2A】本発明の第3実施形態に係る現像装置の概略構成図である。
図2B】本発明の第4実施形態に係る現像装置の概略構成図である。
図3】規制板と現像ベルトの幅方向の断面図である。
図4】規制板と現像ベルトの幅方向の断面図である。
図5】規制板と現像ベルトの搬送方向の断面図である。
図6】粒子層の顕微鏡写真図である。
図7】現状の色重ね方式の粒子配列(左図)と、その並置化(右図)を説明する図である。
図8】一般的な画像形成装置の構成を示す図である。
図9】現像ローラとドクターブレードの図である。
図10】本発明の現像装置を使用する画像形成装置の概略構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る粒子層形成装置と、当該装置を使用した現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置の実施形態について説明する。
【0011】
●第1実施形態
図1Aは、第1実施形態に係る粒子層形成装置としての現像装置の概略構成図である。この現像装置は、粒子担持体としての感光体ドラム1を有する。感光体ドラム1の側方に帯電ローラ2が配設されている。この帯電ローラ2で感光体ドラム1の表面を帯電させる。
【0012】
帯電させた感光体ドラム1の表面を露光することにより、感光体ドラム1の表面に静電潜像を形成する。この静電潜像を着色トナーで現像して可視像としてのトナー像を形成する。このトナー像を転写紙等の被転写体に転写し、これを熱ロール等で定着して画像を形成する。
【0013】
感光体ドラム1の上方に、3つのローラ7、8、9によって三角形状に張設された現像ベルト10が配設されている。ローラ7、8、9の一つが駆動源としてのモータに連結され、当該モータの駆動によって現像ベルト10が矢印方向に回転するようになっている。
【0014】
現像ベルト10の水平部は、感光体ドラム1の頂部に対向している。また現像ベルト10の傾斜部に沿って、粒子3が供給されるようになっている。
【0015】
感光体ドラム1の下端部に対向するようにして、転写ローラ11が配設されている。感光体ドラム1と転写ローラ11との間に形成された転写ニップに、転写媒体としての用紙Pを通紙することで、感光体ドラム1の表面に形成されたトナー像を用紙P上に転写することができる。
【0016】
現像ベルト10の傾斜部には、現像ベルト10を表裏から挟むようにして、規制板4と受け部材6が対向配置されている。図1Aでは現像ベルト10の表側に規制板4が配設され、裏側に受け部材6が配設されている。受け部材6は、現像ベルト10の裏面と摺接して現像ベルト10の走行をガイドする。
【0017】
規制板4には、振動アクチュエータとしての振動子5が連結されている。この振動子5は、圧電素子等の電気-機械エネルギー変換素子で構成され、駆動回路DCと電源PWに接続されている。そして、駆動回路DCによって振動子5の素子に交番電圧を印加することにより、素子に接合した弾性体に往復振動(超音波振動など)が励起されるように構成されている。圧電素子は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの圧電セラミックス等で構成されるピエゾ素子であってよい。
【0018】
振動子5としては、所定の周波数で駆動できるものであれば特に制限はない。例えば、前記圧電素子のほか超音波振動体などが挙げられる。圧電素子は前記ピエゾ素子のほか、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子、水晶、LiNbO3、LiTaO3、KNbO3等の単結晶などの材質から形成された圧電素子などを使用可能である。超音波振動体も特に制限はなく、例えば磁歪素子などを使用可能である。
【0019】
規制板4の上流側端部には、上方に延在した案内部4aが形成されている。この案内部4aの右側領域(ホッパ領域)に粒子3が供給される。
【0020】
案内部4aの右側領域に供給された粒子3は、規制板4と現像ベルト10の間の隙間に流れ込む。規制板4と現像ベルト10の間の隙間は、粒子3の単位径よりも大きく、かつ、粒子3の単位径の二倍未満の隙間とするのが望ましい。粒子3の単位径の二倍以上の隙間が形成されていると、規制板4の下流側に流れる粒子3の層が二層以上になる可能性があるからである。
【0021】
従来、現像ローラ20の表面に現像剤トナーなどの粒子の薄い層を形成する場合、図8図9に示す構成で行っていた。図8図9において、12は露光装置、20は現像ローラ、21はトナー供給ローラ、22は出口部、23はドクターブレードである。
【0022】
ドクターブレード23は現像ローラ20の表面に近接配置されている。ドクターブレード23の先端部と現像ローラ20の表面との間の狭い隙間に粒子3を通過させることで、現像ローラ20の表面に現像剤トナーなどの粒子の薄層を形成することができる。
【0023】
しかしながら、ドクターブレード23で粒子の薄層を安定的に形成するのは困難である。図7で後述するように、従来、
1)FMスクリーニングの適用が難しく簡易な高画質化が難しい。
2)トナーの粒径分布が生じるため帯電分布も生じ、地汚れが回避できない。
3)トナーの転写残も回避できないため、クリーナレス化などの小型化ができない。
といった課題があった。本発明の実施形態の現像装置によれば、前記課題1)~3)を解決することができる。
【0024】
規制板4と現像ベルト10の間の隙間Gを粒子3が下流方向に通過する際に、規制板4が現像ベルト10の走行方向と直角方向に振動するので、粒子3が無理なく解されて、狭い隙間Gの中で粒子単位の1層厚で単層細密充填化される。この単層細密充填化された粒子層は、感光体ドラム1と現像ベルト10とのニップに移動する。したがって、感光体ドラム1の表面の静電潜像に対して、高画質転写が可能になる。
【0025】
粒子3の大きさは、具体的には粒子径15μm程度がよい。カラー画像では図7左図のように色を重ねず、図7右図のように並置処理することにより単層とすることができる。このため、カラーとモノクロで低コスト印刷(低CPP)を実現することができる。
【0026】
1ドット=1粒子なので、FMスクリーンニング処理で高画質安定化を実現することができる。単一粒子径の単層なので、地汚れレス、高転写効率で低CPPを実現することができる。単一粒子径単層なので、積層していくことで3Dプリンタへの展開や液晶パネルスペーサー粒子、その他用途への展開へと繋げていくことができる。
【0027】
振動子5の振動周波数は、例えば500Hzとすることができる。振動子5の振動周波数は当該500Hzに限られるものではなく、粒子担持体の表面に形成する粒子層の厚さや、使用する粒子3の種類・形状などによって最適な振動数を選択することができる。
【0028】
●第2実施形態
図1Bは第2実施形態に係る現像装置の概略構成図である。この第2実施形態は、規制板を振動させるのではなく、現像ベルト10の裏側に配置した受け部材6を振動子5によって振動させるようにしたものである。この場合も第1実施形態と同様に、規制板4と現像ベルト10の間の隙間Gの中で粒子3が粒子単位の1層厚で単層細密充填化される。
【0029】
●第3実施形態
図2Aは第3実施形態に係る現像装置の概略構成図である。この第3実施形態は現像ベルト10に代えて現像ローラ30を使用したものである。現像ローラ30の側方に規制板4が垂直に固定配置されている。
【0030】
規制板4を振動子5によって左右方向に振動させることで、前述した実施形態と同様に、規制板4と現像ローラ30の間の隙間Gの中で粒子3が粒子単位の1層厚で単層細密充填化される。
【0031】
振動子5は、例えば、現像ローラ30の半径をRとし、粒子径をdとし、現像ローラ30の周速をVとした場合、2×√(2×R×d-d2)/Vの時間内に、100回以上振動させることができる。
【0032】
●第4実施形態
図2Bは第4実施形態に係る現像装置の概略構成図である。この第4実施形態は、現像ローラ30の外周面に沿って円弧状に湾曲した規制板4を使用したものである。円弧状に湾曲した規制板4によって、規制板4と現像ローラ30の間の隙間Gを一定にして長い距離を稼ぐことができるので、粒子単位の薄層化ないし単層細密充填化を効率的に実現することができる。
【0033】
●規制板と現像ベルトの幅方向の断面
図3は規制板4と現像ベルト10の幅方向の断面図であって、前述の第1実施形態の変形例である。この変形例では、規制板4、保持部材4A、受け部材4Bを使用する。規制板4と保持部材4Aは一体化されて振動子5に連結されている。規制板4と保持部材4Aとの間の隙間に現像ベルト10が挿通され、現像ベルト10と規制板4の間の隙間を粒子単位の1層厚で単層細密充填化された粒子3が通過できるようになっている。
【0034】
図3の変形例によれば、粒子3に対して上下両側から振動を作用させることができるので、粒子3の単層細密充填化を促進することができる。
【0035】
図4も規制板4と現像ベルト10の幅方向の断面図であって、前述の図3の変形例である。この変形例では図3の受け部材4Bを省略して低コスト化し、規制板4のみが振動する。
【0036】
規制板4の両端は保持部材4Aに係合させることで位置ズレを防止することができる。この場合も、粒子3に対して上下両側から振動を作用させることができるので、粒子3の単層細密充填化を促進することができる。
【0037】
図3図4において、振動子5による上下方向の振動に代えて、或いは上下方向の振動に加えて、左右方向(水平方向)の振動を別の振動子によって作用させてもよい。左右方向(水平方向)の振動によって、粒子3の単層細密充填化を促進することができる。
【0038】
●粒子の接触帯電
図5は規制板4と現像ベルト10の搬送方向の断面図であって、粒子3が振動子5で振動する規制板4と接触することによって接触帯電する状態を示したものである。この場合、現像ベルト10は導電性部材または半導電性部材(8logΩ以下)で構成することができる。
【0039】
図示例では粒子3が正に帯電する状態を示している。粒子3は、現像ベルト10の移動方向下流側に移動するにしたがって、接触帯電によって正の帯電量が増加する。
【0040】
その結果、粒子3同士の静電反発力によって粒子3同士が一定間隔を保持した単層状態で単層細密充填化される。なお、粒子3が現像ベルト10側に静電吸引されるように、規制板4と現像ベルト10との間に電界を形成することができる。
【0041】
●顕微鏡写真
図6(a)~(c)は、粒子3の単層細密充填化が進行する過程を順番に示す顕微鏡写真である。図6(a)の段階では粒子3相互の間隔(疎密)にバラツキがあるが、(b)⇒(c)と単層細密充填化が進行するにしたがって粒子3相互の間隔が均一に密になることが分かる。このような粒子3配列はFMスクリーニングに好適である。
【0042】
●色重ね方式の粒子配列とその並置化
図7は、色重ね方式の粒子配列(左図)と、その並置化(右図)を示す図である。従来の画像形成においては、図7の左図のように粒径が異なる多数の粒子3a、3bによる複層(色重ね)が形成されていた。このため、前述したように以下の課題があった。
1)FMスクリーニングの適用が難しく簡易な高画質化が難しい。
2)トナーの粒径分布が生じるため帯電分布も生じ、地汚れが回避できない。
3)トナーの転写残も回避できないため、クリーナレス化などの小型化ができない。
【0043】
本発明の実施形態の現像装置によれば、図7の右図のように用紙P上に異なる色の単位粒子3a、3bを並置してトナー像を形成することができるので、FMスクリーニングが可能になる。また、粒径を揃えることができるので帯電分布を抑制して地汚れを回避することができる。さらに、単層化・薄層化により現像剤(トナー)の転写残を抑制・回避することができ、その結果として低CCPやクリーナレス化などの装置の小型化を促進することができる。
【0044】
●円形度と粒度分布
以下の表1は、粒径分布(CV%)と円形度を変化させた場合の粒子単層状態の良否を示すものである。粒子単層状態が良好に形成された場合を○印で示し、不良の場合を×印で示している。
【表1】
【0045】
この表1から、粒度分布が13%を超えると良好な粒子単層状態を形成することが困難になることが分かる。また、粒子の円形度が0.95未満になった場合も良好な粒子単層状態を形成することが困難になることが分かる。すなわち、粒子は円形度0.95以上の球形が望ましい。
【0046】
(●画像形成装置)
図10は、本発明に係る現像装置を使用可能な画像形成装置110の概略構成図である。画像形成装置110は、電子写真方式の直接転写方式によるカラーレーザプリンタ(以下「レーザプリンタ」という)である。
【0047】
このレーザプリンタは、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像を形成するための4組のトナー像形成部4Y、4M、4C、4K(以下、各符号の添字Y、M、C、Kは、それぞれイエロー、マゼンダ、シアン、黒用の部材であることを示す)を有する。これらトナー像形成部4Y、4M、4C、4Kが、転写紙100の移動方向(図中の矢印Aに沿ってベルト60が走行する方向)における上流側から順に配置されている。
【0048】
このトナー像形成部4Y、4M、4C、4Kはそれぞれ、像担持体としての感光体ドラム41Y、41M、41C、41Kと、現像ユニットとを備えている。また、各トナー像形成部4Y、4M、4C、4Kの配置は、各感光体ドラムの回転軸が平行になるように且つ転写紙移動方向に所定のピッチで配列するように、設定されている。トナー像形成部4Y、4M、4C、4Kと感光体ドラム41Y、41M、41C、41Kは、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)ごとの、プロセスカートリッジとして構成することができる。
【0049】
本レーザプリンタは、上記トナー像形成部4Y、4M、4C、4Kのほか、光書込ユニット32、給紙カセット33,34、レジストローラ対35、転写紙100を担持して各トナー像形成部の転写位置を通過するように搬送する転写搬送部材としての転写搬送ベルト60を有するベルト駆動装置としての転写ユニット36、ベルト定着方式の定着ユニット37、排紙トレイ38等を備えている。また、手差しトレイMF、トナー補給容器TCを備え、図示していない廃トナーボトル、両面・反転ユニット、電源ユニットなども二点鎖線で示したスペースSの中に備えている。
【0050】
上記光書込ユニット32は、光源、ポリゴンミラー、f-θレンズ、反射ミラー等を備える。光書込ユニット32は、画像データに基づいて各感光体ドラム41Y、41M、41C、41Kの表面にレーザ光を走査しながら照射する。
【0051】
先に示した図1中の一点鎖線は、転写紙100の搬送経路を示している。給紙カセット33、34あるいは手差しトレイMFから給送された転写紙100は、図示しない搬送ガイドにガイドされながら搬送ローラで搬送され、レジストローラ対35が設けられている一時停止位置に送られる。このレジストローラ対35により所定のタイミングで送出された転写紙100は、転写搬送ベルト60に担持され、各トナー像形成部4Y、4M、4C、4Kに向けて搬送され、各転写ニップを通過する。
【0052】
各トナー像形成部4Y、4M、4C、4Kの感光体ドラム41Y、41M、41C、41K上で現像された各トナー像は、それぞれ各転写ニップで転写紙100に重ね合わされ、上記転写電界やニップ圧の作用を受けて転写紙100上に転写される。この重ね合わせの転写により、転写紙100上にはフルカラートナー像が形成される。トナー像転写後の感光体ドラム41Y、41M、41C、41Kの表面がクリーニング装置によりクリーニングされ、更に除電されて次の静電潜像の形成に備えられる。
【0053】
一方、フルカラートナー像が形成された転写紙100は、定着ユニット7でこのフルカラートナー像が定着された後、切換ガイドGの回動姿勢に対応して、第1の排紙方向Bまたは第2の排紙方向Cに向かう。転写紙100が第1の排紙方向Bから排紙トレイ38上に排出される場合、画像面が下となった、いわゆるフェースダウンの状態でスタックされる。
【0054】
一方、転写紙100が第2の排紙方向Cに排出される場合には、図示しない別の後処理装置(ソータ、綴じ装置など)に向けて転写紙100が搬送される。或いは、転写紙100がスイッチバック部を経て両面プリントのために再度レジストローラ対35に搬送される。
【0055】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、本発明の粒子層形成装置は、3Dプリンタや、液晶パネルスペーサ用の粒子層形成などにも応用可能である。
【0056】
<付記>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
<第1態様>
第1態様は、粒子担持体の表面に粒子層を形成する粒子層形成装置において、前記粒子担持体の表面との間に、前記粒子層の厚みに対応した隙間を開けて対向する規制板と、前記粒子層に振動を付与する振動子と、を備え、前記振動子を振動させながら前記粒子層を形成することを特徴とする粒子層形成装置である。
<第2態様>
第2態様は、前記振動子を前記規制板に連結したことを特徴とする第1態様の粒子層形成装置である。
<第3態様>
第3態様は、前記振動子を前記粒子層の厚み方向に振動させることを特徴とする第1態様又は第2態様の粒子層形成装置である。
<第4態様>
第4態様は、前記振動子を前記粒子層の面方向に振動させることを特徴とする第1態様から第3態様のいずれか1の態様の粒子層形成装置である。
<第5態様>
第5態様は、前記隙間の大きさを、前記粒子層の粒子の単位径よりも大きく、かつ、前記粒子の単位径の二倍未満にしたことを特徴とする第1態様から第4態様のいずれか1の態様の粒子層形成装置である。
<第6態様>
第6態様は、前記粒子の粒度分布を13%以下にしたことを特徴とする第1態様から第5態様のいずれか1の態様の粒子層形成装置である。
<第7態様>
第7態様は、前記粒子の円形度を0.95以上にしたことを特徴とする第1態様から第6態様のいずれか1の態様の粒子層形成装置である。
<第8態様>
第8態様は、前記粒子担持体と前記規制板との間に、前記粒子が前記粒子担持体側に静電吸引される電界を形成することを特徴とする第1態様から第7態様のいずれか1の態様の粒子層形成装置である。
<第9態様>
第9態様は、第1態様から第8態様のいずれか1の態様の粒子層形成装置を有することを特徴とする現像装置である。
<第10態様>
第10態様は、第1態様から第8態様のいずれか1の態様の粒子層形成装置を有することを特徴とするプロセスカートリッジである。
<第11態様>
第11態様は、第1態様から第8態様のいずれか1の態様の粒子層形成装置を有することを特徴とする画像形成装置である。
【符号の説明】
【0057】
1:感光体ドラム(粒子担持体)
2:帯電ローラ
3、3a、3b:粒子
4:規制板
4a:案内部
4A:保持部材
4B:受け部材
4Y、4M、4C、4K:トナー像形成部
5:振動子
6:受け部材
7:定着ユニット
7、8、9:ローラ
10:現像ベルト
11:転写ローラ
12:露光装置
20:現像ローラ
21:トナー供給ローラ
22:出口部
23:ドクターブレード
30:現像ローラ
32:光書込ユニット
33、34:給紙カセット
33,34:給紙カセット
35:レジストローラ対
35:再度レジストローラ対
36:転写ユニット
37:定着ユニット
38:排紙トレイ
41Y、41M、41C、41K:感光体ドラム
60:ベルト
60:転写搬送ベルト
100:転写紙
110:画像形成装置
A:矢印
B:第1の排紙方向
C:第2の排紙方向
DC:駆動回路
G:隙間
Gu:切換ガイド
MF:トレイ
P:用紙
PW:電源
S:スペース
TC:トナー補給容器
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開2020-129448号公報
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10