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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125735
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】計測装置及び計測方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/244 20060101AFI20240911BHJP
【FI】
G01D5/244 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033757
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110004370
【氏名又は名称】弁理士法人片山特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100134511
【弁理士】
【氏名又は名称】八田 俊之
(72)【発明者】
【氏名】田中 駿丞
(72)【発明者】
【氏名】小林 博和
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077CC02
2F077NN04
2F077NN16
2F077PP06
(57)【要約】
【課題】複数の検出部を備えたロータリーエンコーダを備えた計測装置において、検出部によるスケールに対する読み取り動作時のピークの消費電力を低減することを目的とする。
【解決手段】計測装置は、回転軸回りに配置され、複数のパターンが周方向に沿って配列されて形成されたスケールパターンを有するロータリースケールと、それぞれロータリースケールと対向させて配置され、スケールパターンからパターンを読み取る複数の検出部とを備えたロータリーエンコーダと、ロータリーエンコーダを制御する制御装置とを備える。制御装置は、第1のタイミングで一部の検出部にパターンの第1の読み取りを実行させ、前記第1のタイミングと異なる他のタイミングで他の検出部にパターンの他の読み取りを実行させる。そして、第1の読み取りにおける読み取り結果と、他の読み取りにおける読み取り結果とに基づいて計測結果を算出する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸回りに配置され、複数のパターンが周方向に沿って配列されて形成されたスケールパターンを有するロータリースケールと、前記回転軸回りに広がり、それぞれ前記ロータリースケールと対向させて配置され、それぞれ前記スケールパターンから前記パターンを読み取る複数の検出部とを備えたロータリーエンコーダと、
当該ロータリーエンコーダを制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、第1のタイミングで前記複数の検出部に含まれる検出部のうちの一部の検出部に前記パターンの第1の読み取りを実行させるとともに、前記第1のタイミングと異なる他のタイミングで前記複数の検出部に含まれる検出部のうちの前記一部の検出部と異なる他の検出部に前記パターンの他の読み取りを実行させ、前記第1の読み取りにおける読み取り結果と、前記他の読み取りにおける読み取り結果とに基づいて計測結果を算出する、
計測装置。
【請求項2】
前記第1の読み取りを実行する前記一部の検出部は、複数の検出部を含み、
当該複数の検出部は、前記ロータリースケールの一回転分をn等分(nは2以上の自然数)した位置に配置された、
請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記他の読み取りを実行する前記他の検出部は、複数の検出部を含み、
当該複数の検出部は、前記ロータリースケールの一回転分をn等分(nは2以上の自然数)した位置に配置された、
請求項1に記載の計測装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第1の読み取りを実行する前記一部の検出部を読み取り可能にする状態と、前記他の読み取りを実行する前記他の検出部を読み取り可能にする状態とを切り替える切替回路を備えた、
請求項1に記載の計測装置。
【請求項5】
回転軸回りに配置され、複数のパターンが周方向に沿って配列されて形成されたスケールパターンを有するロータリースケールと、前記回転軸回りに広がり、それぞれ前記ロータリースケールと対向させて配置され、それぞれ前記スケールパターンから前記パターンを読み取る複数の検出部とを備えたロータリーエンコーダを有する計測装置を用いた計測であって、
第1のタイミングで前記複数の検出部に含まれる検出部のうちの一部の検出部によって前記パターンの第1の読み取りを実行する工程と、
前記第1のタイミングと異なる他のタイミングで前記複数の検出部に含まれる検出部のうちの前記一部の検出部と異なる他の検出部によって前記パターンの他の読み取りを実行する工程と、
前記第1の読み取りにおける読み取り結果と、前記他の読み取りにおける読み取り結果とに基づいて計測結果を算出する工程と、
を含む計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、計測装置及び計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特定の軸回りの回転角度を検出したり、回転速度を検出したりすることができる計測装置が知られている。このような計測装置にはロータリーエンコーダを備えている。ロータリーエンコーダは、複数のパターンが周方向に配列されたスケールと、このスケールと対向配置された検出部(検出ヘッド)を備えている。検出部は、計測装置における検出精度を高めるために、複数設けられる場合がある(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2019/039344
【特許文献2】特開2001-012967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の検出部を備える従来のロータリーエンコーダでは、装備された複数の検出部が同時にスケールに対する読み取り動作(サンプリング)を行う。そして、各検出部で読み取られた検出値の平均値を算出する等して計測装置における計測値を得ている。
【0005】
しかしながら、このような従来のロータリーエンコーダでは、スケールに対する読み取り動作時におけるピークの消費電流が大きくなるという問題があった。
【0006】
1つの側面では、本発明は、複数の検出部を備えたロータリーエンコーダを備えた計測装置において、検出部によるスケールに対する読み取り動作時のピークの消費電力を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、計測装置は、回転軸回りに配置され、複数のパターンが周方向に沿って配列されて形成されたスケールパターンを有するロータリースケールと、前記回転軸回りに広がり、それぞれ前記ロータリースケールと対向させて配置され、それぞれ前記スケールパターンから前記パターンを読み取る複数の検出部とを備えたロータリーエンコーダと、当該ロータリーエンコーダを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、第1のタイミングで前記複数の検出部に含まれる検出部のうちの一部の検出部に前記パターンの第1の読み取りを実行させるとともに、前記第1のタイミングと異なる他のタイミングで前記複数の検出部に含まれる検出部のうちの前記一部の検出部と異なる他の検出部に前記パターンの他の読み取りを実行させ、前記第1の読み取りにおける読み取り結果と、前記他の読み取りにおける読み取り結果とに基づいて計測結果を算出する。
【0008】
上記構成の計測装置において、前記第1の読み取りを実行する前記一部の検出部は、複数の検出部を含み、当該複数の検出部は、前記ロータリースケールの一回転分をn等分(nは2以上の自然数)した位置に配置された態様とすることができる。
【0009】
また、上記構成の計測装置において、前記他の読み取りを実行する前記他の検出部は、複数の検出部を含み、当該複数の検出部は、前記ロータリースケールの一回転分をn等分(nは2以上の自然数)した位置に配置された態様とすることができる。
【0010】
さらに、上記構成の計測装置において、前記制御装置は、前記第1の読み取りを実行する前記一部の検出部を読み取り可能にする状態と、前記他の読み取りを実行する前記他の検出部を読み取り可能にする状態とを切り替える切替回路を備えた態様とすることができる。
【0011】
また、1つの態様では、計測方法は、回転軸回りに配置され、複数のパターンが周方向に沿って配列されて形成されたスケールパターンを有するロータリースケールと、前記回転軸回りに広がり、それぞれ前記ロータリースケールと対向させて配置され、それぞれ前記スケールパターンから前記パターンを読み取る複数の検出部とを備えたロータリーエンコーダを有する計測装置を用いた計測であって、第1のタイミングで前記複数の検出部に含まれる検出部のうちの一部の検出部によって前記パターンの第1の読み取りを実行する工程と、前記第1のタイミングと異なる他のタイミングで前記複数の検出部に含まれる検出部のうちの前記一部の検出部と異なる他の検出部によって前記パターンの他の読み取りを実行する工程と、前記第1の読み取りにおける読み取り結果と、前記他の読み取りにおける読み取り結果とに基づいて計測結果を算出する工程とを含む。
【発明の効果】
【0012】
複数の検出部を備えたロータリーエンコーダを備えた計測装置において、検出部によるスケールに対する読み取り動作時のピークの消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は第1実施形態の計測装置の構成を例示するブロック図である。
図2図2(A)は第1実施形態の計測装置が備えるロータリーエンコーダにおける検出ヘッドの配置の一例を示す図である。図2(B)は第1実施形態の計測装置が備えるロータリーエンコーダにおけるサンプリングタイミングを示すタイムチャートの一例である。
図3図3(A)は第2実施形態の計測装置が備えるロータリーエンコーダにおける検出ヘッドの配置の一例を示す図である。図3(B)は第2実施形態の計測装置が備えるロータリーエンコーダにおけるサンプリングタイミングを示すタイムチャートの一例である。図3(C)は第2実施形態の計測装置が備えるロータリーエンコーダにおけるサンプリングタイミングを示すタイムチャートの他の例である。
図4図4(A)は第3実施形態の計測装置が備えるロータリーエンコーダにおける検出ヘッドの配置の一例を示す図である。図4(B)は第3実施形態の計測装置が備えるロータリーエンコーダにおけるサンプリングタイミングを示すタイムチャートの一例である。図4(C)は第3実施形態の計測装置が備えるロータリーエンコーダにおけるサンプリングタイミングを示すタイムチャートの他の例である。
図5図5(A)は第4実施形態の計測装置が備えるロータリーエンコーダにおける検出ヘッドの配置の一例を示す図である。図5(B)は第3実施形態の計測装置が備えるロータリーエンコーダにおけるサンプリングタイミングを示すタイムチャートの一例である。
図6図6は実施例の計測装置の構成を示す図である。
図7図7は実施例の計測装置における信号の流れを例示するタイムチャートである。
図8図8は実施例の計測装置において、切替信号に応じて切り替わる切替回路の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。
【0015】
(第1実施形態)
[計測装置の構成]
まず、図1図2(A)及び図6を参照して、第1実施形態の計測装置50の概略構成について説明する。図1は実施形態の計測装置50の構成を例示するブロック図である。図2(A)は第1実施形態の計測装置50が備えるロータリーエンコーダ1における検出ヘッド5-0~5-3の配置の一例を示す図である。図6は、後に説明する実施例の計測装置50の構成を示す図であるが、実施例は、第1実施形態を具体化した例として説明されるものであるため、第1実施例の説明においても、図6を適宜参照する。
【0016】
計測装置50は、計測対象となる回転体(不図示)の回転角度、回転速度を計測することができる。
【0017】
図1を参照すると、計測装置50は、ロータリーエンコーダ1と制御装置10を備えている。制御装置10には、電源20が接続されている。制御装置10は、電源から電力の供給を受けて、ロータリーエンコーダ1による計測を実施する。
【0018】
<ロータリーエンコーダ>
ロータリーエンコーダ1は、ロータリースケール2と、n個(nは2以上の整数)の検出ヘッド5-0~5-(n-1)とを含んでいる。各検出ヘッドは、それぞれ、検出部に相当する。図2(A)を参照すると、第1実施形態では、第1検出ヘッド5-0~第4検出ヘッド5-3が設けられている。第1検出ヘッド5-0~第4検出ヘッド5-3は、ロータリースケール2の回転中心となるZ軸を中心軸としてその周囲に配置されている。検出ヘッド5-0~5-(n-1)には、それぞれ、送信コイル5aと受信コイル5bが設けられている。4個の検出ヘッドは、第1検出ヘッド5-0が設けられた位置を基準位置(0°)として反時計回りに90°ずつ隔てられた状態で設置されている。
【0019】
送信コイル5aは、円周方向に長さ方向を有する扇形コイルを構成している(図6参照)。受信コイル5bは、送信コイル5aの内側において、基本周期λの正負の正弦波形パターンによって、円周方向に基本周期λで繰り返される検出ループを構成している(図6参照)。
【0020】
ロータリースケール2は、図6に示すように、円盤状の部材であり、図示しない計測対象となる回転体の回転軸と回転中心(Z軸)とを一致させてその回転体に装着される。ロータリースケール2は、ロータリースケール2の周方向に沿って基本周期λで配列された複数のパターン3aを含むスケールパターン3を有している。パターン3aは、閉ループコイルである。各パターン3aは、送信コイル5aと電磁結合するとともに、受信コイル5bと電磁結合している。
【0021】
各送信コイル5aには、送信回路6が接続されている。送信回路6は、単相交流の駆動信号を生成し、送信コイル5aに供給する。この場合、送信コイル5aに磁束が発生する。それにより、複数のパターン3aに起電流が発生する。当該複数のパターン3aは、送信コイル5aが発生する磁束と電磁結合することで、円周方向に所定の空間周期で変化する磁束を発生する。送信コイル5aが発生する磁束は、受信コイル5bに起電流を生じさせる。ロータリースケール2の変位量に応じて各コイル間の電磁結合が変化し、基本周期λと同じ周期の正弦波信号が得られる。
【0022】
受信コイル5bは、例えば、平板状の部材に形成されている。平板状の部材は、例えば、基板である。各受信コイル5bは、正弦波形パターン正負の切り替え部がある。そのため、受信コイル5bは平板状の部材の表面上だけでなく、厚みを有する。受信コイル5bは、プリント配線基板に形成することもできる。この場合では、正弦波波形パターンは絶縁体を挟んで配置され、切り替え部にはスルーホールが配置されて両者を電気的に接続している。各受信コイル5bは、それぞれ制御装置10が備える切替回路14に接続されている。切替回路から出力された切替回路出力a1,a2は、演算部15における演算に供される。切替回路出力a1,a2や、演算部15における演算については、後に詳述する。各受信コイル5bと切替回路14とは有線接続されているが、無線接続するようにしてもよい。
【0023】
本実施形態では、検出ヘッド毎に送信コイル5aを装備しているが、例えば、一つの送信コイルを単独で備え、この送信コイルからロータリースケール2に向かって送信された信号を各受信コイル5bで受信する態様としてもよい。
【0024】
本実施形態のロータリーエンコーダ1では、ロータリースケール2を計測対象物となる回転体側に装着する態様であるが、検出ヘッド5-0~5-(n-1)を回転体側に設定するようにしてもよい。要は、ロータリーエンコーダ1は、計測対象物において、ロータリースケール2と検出ヘッド5-0~5-(n-1)とが対向した状態で配置されていればよい。
【0025】
本実施形態のロータリーエンコーダ1は、電磁誘導式であるが、静電容量式や光電式等、他の検出原理を用いた形態としてもよい。他の形式のロータリーエンコーダとする場合、送信コイル及び受信コイルは、それぞれ、ロータリーエンコーダが採用する形式に応じた送信部や受信部が採用される。
【0026】
なお、各図における各検出ヘッド間の距離や、各検出ヘッドの寸法及びロータリースケール2の寸法を正確に表すものではない。また、各図におけるパターン3aの寸法や、パターン3a間の距離は正確に表されたものではない。
【0027】
<制御装置>
制御装置10は、切替制御部11と、演算部15を備える。切替制御部11は、スケールパターン2からパターン3aを読み取る検出ヘッドの切り替えを行う。本実施形態の計測装置50は、後に詳説するように、第1のタイミングで検出ヘッド5-0~5-(n-1)のうちの一部の検出ヘッドにパターン3aの読み取りを実行させる第1の読み取りを行う。また、計測装置50は、第1のタイミングと異なる第2のタイミングで第1の読み取りを行った検出ヘッドと異なる他の検出ヘッドにパターン3aの読み取りを実行させる第2の読み取りを行う。切替制御部11は、第1の読み取りを行う検出ヘッドと、第2の読み取りを行う検出ヘッドとの切り替えを行う。なお、第2の読み取りは、第1の読み取りとは異なる他の読み取りに相当する。本実施形態では、第1の読み取りにおいて、第1検出ヘッド5-0と第3検出ヘッド5-2による読み取りが行われる。また、第2の読み取りにおいて、第2検出ヘッド5-1と第4検出ヘッド5-3による読み取りが行われる。
【0028】
切替制御部11は、リクエスト信号送信部12、タイミング生成回路13及び切替回路14を含む。
【0029】
リクエスト信号送信部12は、ロータリーエンコーダ1による計測の実行を指示するリクエスト信号を発信する。リクエスト信号は、予め設定された周期に従って一定の間隔で発信される。リクエスト信号が発信される周期は、計測対象である回転体の回転速度とは、無関係に、計測装置50の機種毎に、その仕様として予め設定されている。つまり、計測装置50が作動している状態において、リクエスト信号が発信される周期は一定である。
【0030】
タイミング生成回路13は、所定のタイミングで切替回路14の状態を指定する切替信号Gを発信する。切替回路14は、後に詳細に説明するように、第1の読み取りを行う状態、第2の読み取りを行う状態、いずれの読み取りも行わない状態など、その接続状態を種々変更することができる。切替回路14は、タイミング生成回路13によって発信された切替信号Gに応じて内部の接続状態を切り替える。なお、計測装置50は、同時にパターン3aの読み取りを行う検出ヘッドの組み合わせの数に応じて切替信号Gの種類を準備しておくことができる。例えば、第1の読み取り、第2の読み取りに加えて第3の読み取りを行う計測装置においては、切替回路14の接続状態を第3の読み取りを行う状態とするための切替信号Gが準備される。
【0031】
切替回路14は、スイッチ機能を備えており、検出ヘッド5-0~5-(n-1)の接続状態と未接続状態とを切り替える。接続状態と未接続状態との切り替えは、検出ヘッド毎に行うことができる。第1の読み取りを行うタイミングでは、切替回路14は、第1の読み取りを行う検出ヘッドを接続状態としてパターン3aの読み取りを行う。第2の読み取りを行うタイミングでは、切替回路14は、第2の読み取りを行う検出ヘッドを接続状態としてパターン3aの読み取りを行う。第1の読み取りと第2の読み取りが行われない期間では、切替回路14は、すべての検出ヘッドを未接続状態とする。
【0032】
<演算部>
演算部15は、第1の読み取りにおける読み取り結果と、第2の読み取りにおける読み取り結果とに基づいて計測結果を算出する。本実施形態では、第1検出ヘッド5-0~第4検出ヘッド5-3によってそれぞれ取得された角度データの平均を算出し、その結果が計測結果として出力される。
【0033】
[サンプリングのタイミング]
次に、図2(B)を参照して、各検出ヘッドがパターン3aを読み取るサンプリングのタイミングについて説明する。図2(B)は第1実施形態の計測装置が備えるロータリーエンコーダにおけるサンプリングタイミングを示すタイムチャートの一例である。
【0034】
本実施形態では、第1検出ヘッド5-0~第4検出ヘッド5-3が90°ずつ隔てて設けられている。これにより、第1検出ヘッド5-0と第3検出ヘッド5-2とが180°隔てられ、対向して配置された状態となっている。また、第2検出ヘッド5-1と第4検出ヘッド5-3とが180°隔てられ、対向して配置された状態となっている。つまり、第1検出ヘッド5-0と第3検出ヘッド5-2は、ロータリースケール2の一回転分、つまり、360°を2等分した位置に配置されている。また、第2検出ヘッド5-1と第4検出ヘッド5-3は、同様に、360°を2等分した位置に配置されている。
【0035】
本実施形態では、このように配置された4個の検出ヘッドのうちの第1検出ヘッド5-0と第3検出ヘッド5-2が第1のタイミングt1で第1の読み取りを行う。そして、第2検出ヘッド5-1と第4検出ヘッド5-3が第2のタイミングt2で第2の読み取りを行う。
【0036】
ここで、本実施形態における測定精度について説明する。ロータリースケール2の回転中心と4個の検出ヘッド5-0~5-3の配置中心とが偏心誤差ΔCだけずれている場合を想定する。ここでは説明を分かり易くするために、回転中心(Z軸)は、第2検出ヘッド5-1と第4検出ヘッド5-3とを結ぶ線分上に位置しているものとする。このため、ロータリースケール2のスケールパターン3の配置中心線を結んで描かれる円の半径がRであるときに、第1検出ヘッド5-0の検出値には、ATAN(ΔC/R)の誤差が含まれることになる。同様に、第3検出ヘッド5-2の検出にも、ATAN(ΔC/R)の誤差が含まれる。但し、第1検出ヘッド5-0の検出値と第3検出ヘッド5-2の検出値は、その絶対値は同じであるが、正負の符号は逆である。
【0037】
このように第1検出ヘッド5-0と第3検出ヘッド5-2は、偏心誤差ΔCの影響を受ける。これに対し、第2検出ヘッド5-1と第4検出ヘッド5-3は、偏心誤差ΔCの影響を受けない。
【0038】
本実施形態では、第1の読み取りと、この第1の読み取りと異なるタイミングで実施する第2の読み取りを実施する。そして、第1の読み取りのタイミングで読み取った検出値の平均値を算出する。また、第2の読み取りのタイミングで読み取った検出値の平均値を算出する。
【0039】
ここで、仮に、第1検出ヘッド5-0と第2検出ヘッド5-1で第1の読み取りを行い、第3検出ヘッド5-2と第4検出ヘッド5-3で第2の読み取りを行うこととする。この場合、第1検出ヘッド5-0の検出値と第2検出ヘッド5-1の検出値の平均値が算出される。同様に、第3検出ヘッド5-2の検出値と第4検出ヘッド5-3の検出値の平均値が算出される。
【0040】
この場合、第1検出ヘッド5-0の検出値は偏心誤差ΔCの影響を受けており、第2検出ヘッド5-1の検出値は偏心誤差ΔCの影響を受けていない。このため、これらの検出値の平均値は、偏心誤差ΔCの影響を受ける。第3検出ヘッド5-2の検出値と第4検出ヘッド5-3の検出値の平均値も、同様に偏心誤差ΔCの影響を受ける。
【0041】
これに対し、本実施形態では、正負の符号が逆である第1検出ヘッド5-0の検出値と第3検出ヘッド5-2の検出値の平均値を算出する。このため、偏心誤差ΔCの影響が相殺され、偏心誤差ΔCの影響を排除することができる。なお、第2検出ヘッド5-1の検出値と第4検出ヘッド5-3の検出値は、偏心誤差ΔCの影響を受けていない。このため、これらの検出値の平均値は精度の高いものである。
【0042】
このように、それぞれのタイミングにおいて、検出ヘッドが2個ずつ作動する。このため、同じタイミングで4個の検出ヘッドを作動させる場合と比較して、ピークの消費電流の値を下げることができる。そして、計測精度を維持することができる。
【0043】
本実施形態によれば、第1のタイミングで2個の検出ヘッドによる読み取りを行い、第2のタイミングで残りの2個の検出ヘッドによる読み取りを行う。このため、それぞれのタイミングでの消費電流を抑えることができる。また、それぞれのタイミングでの読み取り結果を用いて計測結果を得るため、計測結果の精度を確保することができる。
【0044】
(第2実施形態)
つぎに、第2実施形態について図3(A)~図3(C)を参照して説明する。図3(A)を参照すると、第2実施形態は、第1検出ヘッド5-0~第8検出ヘッド5-7の8個の検出ヘッドを備えている。各検出ヘッドは45°ずつ隔てて配置されている。
【0045】
第1検出ヘッド5-0と第5検出ヘッド5-4が180°隔てた位置に配置されて、対向した状態とされている。第2検出ヘッド5-1と第6検出ヘッド5-5が180°隔てた位置に配置されて、対向した状態とされている。第3検出ヘッド5-2と第7検出ヘッド5-6が180°隔てた位置に配置されて、対向した状態とされている。第4検出ヘッド5-3と第8検出ヘッド5-7が180°隔てた位置に配置されて、対向した状態とされている。
【0046】
図3(B)を参照すると、180°隔てた位置に配置され、対向した状態とされている検出ヘッドの組が同じタイミングでサンプリングを行う。つまり、第1検出ヘッド5-0と第5検出ヘッド5-4が第1のタイミングt1で第1の読み取りを行う。第2検出ヘッド5-1と第6検出ヘッド5-5が第2のタイミングt2で第2の読み取りを行う。第3検出ヘッド5-2と第7検出ヘッド5-6が第3のタイミングt3で第3の読み取りを行う。第4検出ヘッド5-3と第8検出ヘッド5-7が第4のタイミングt4で第4の読み取りを行う。
【0047】
本実施形態では、それぞれのタイミングで2個の検出ヘッドによる読み取りが行われる。このため、同一のタイミングですべての検出ヘッドによる読み取りを行う場合と比較して消費電流を抑えることができる。また、それぞれのタイミングでの読み取り結果を用いて計測結果を得るため、第1実施形態と同様に、計測結果の精度を確保することができる。
【0048】
なお、図3(A)に示すような検出ヘッドの配置とした場合、図3(C)に示すようなサンプリングを行うようにしてもよい。つまり、第1検出ヘッド5-0、第3検出ヘッド5-2、第5検出ヘッド5-4及び第7検出ヘッド5-6が第1のタイミングt1で読み取りを行う。また、第2検出ヘッド5-1、第4検出ヘッド5-3、第6検出ヘッド5-5及び第8検出ヘッド5-7が第2のタイミングt2で読み取りを行う。このようなサンプリングを行う場合も、同一のタイミングですべての検出ヘッドによる読み取りを行う場合と比較して消費電流を抑えることができる。また、それぞれのタイミングでの読み取り結果を用いて計測結果を得るため、計測結果の精度を確保することができる。
【0049】
(第3実施形態)
つぎに、第3実施形態について図4(A)~図4(C)を参照して説明する。図4(A)を参照すると、第3実施形態は、第1検出ヘッド5-0~第6検出ヘッド5-5の6個の検出ヘッドを備えている。ただし、他の実施形態と異なり、各検出ヘッドは等間隔の配置とはされていない。
【0050】
第1検出ヘッド5-0が基準位置(0°)の位置に配置されている。第2検出ヘッド5-1は、第1検出ヘッド5-0に対し、反時計回りに90°回転した位置に配置されている。第3検出ヘッド5-2は、第1検出ヘッド5-0に対し、反時計回りに120°回転した位置に配置されている。第4検出ヘッド5-3は、第1検出ヘッド5-0に対し、反時計回りに180°回転した位置に配置されている。第5検出ヘッド5-4は、第1検出ヘッド5-0に対し、反時計回りに240°回転した位置に配置されている。第6検出ヘッド5-5は、第1検出ヘッド5-0に対し、反時計回りに270°回転した位置に配置されている。
【0051】
図4(B)を参照すると、第1検出ヘッド5-0、第2検出ヘッド5-1、第4検出ヘッド5-3及び第6検出ヘッド5-5が第1のタイミングt1で第1の読み取りを行う。第1検出ヘッド5-0、第3検出ヘッド5-2及び第5検出ヘッド5-4が第2のタイミングt2で第2の読み取りを行う。
【0052】
このようなサンプリングを行う場合も、同一のタイミングですべての検出ヘッドによる読み取りを行う場合と比較して消費電流を抑えることができる。また、それぞれのタイミングでの読み取り結果を用いて計測結果を得るため、計測結果の精度を確保することができる。
【0053】
なお、図4(A)に示すような検出ヘッドの配置とした場合、図4(C)に示すようなサンプリングを行うようにしてもよい。つまり、第1検出ヘッド5-0、第4検出ヘッド5-3が第1のタイミングt1で読み取りを行う。第2検出ヘッド5-1と第6検出ヘッド5-5が第2のタイミングt2で読み取りを行う。第1検出ヘッド5-0、第3検出ヘッド5-2及び第5検出ヘッド5-4がタイミングt3で読み取りを行う。このようなサンプリングを行う場合も、同一のタイミングですべての検出ヘッドによる読み取りを行う場合と比較して消費電流を抑えることができる。また、それぞれのタイミングでの読み取り結果を用いて計測結果を得るため、計測結果の精度を確保することができる。
【0054】
(第4実施形態)
つぎに、第4実施形態について、図5(A)及び図5(B)を参照して説明する。第4実施形態では、図5(A)に示すように、検出ヘッドの配置自体は、第3実施形態と共通している。
【0055】
図5(B)を参照すると、第4実施形態では、第1検出ヘッド5-0と第4検出ヘッド5-3が第1のタイミングt1で第1の読み取りを行う。第3検出ヘッド5-2と第5検出ヘッド5-4が第2のタイミングt2で第2の読み取りを行う。そして、第2検出ヘッド5-1と第6検出ヘッド5-5が第3のタイミングt3で第3の読み取りを行う。
【0056】
ここで、第2のタイミングt2で行われる第2の読み取りに着目する。第2の読み取りでは、第1の読み取りにおける第1検出ヘッド5-0の検出値に基づいて算出された仮想角度計算値が用いられる。このため、第2のタイミングt2において、第1検出ヘッド5-0による検出は、実際には行われない。このため、消費電流を抑えることができる。
【0057】
第1検出ヘッド5-0は、360°を2等分した組と、360°を3等分した組に属している。このため、第3実施形態において、第1検出ヘッド5-0は、一周期の中で複数のタイミングで検出値の読み取りが行われている。そこで、本実施形態では、一周期の中で、先に読み取られた検出値を、その後の読み取りにおいて利用する。
【0058】
図5(B)に示されたP1(t1)は第1のタイミングt1で実際に検出された第1検出ヘッド5-0の検出値に基づく角度計算値である。これに対し、P2(t2)は、角度計算値P1(t1)に基づいて算出された仮想角度計算値である。ここで、第1のタイミングt1と第2のタイミングt2との間隔であるサンプリング間隔をΔTとする。また、ロータリースケール回転速度をVとする。この場合、仮想角度計算値P2(t2)は、
式1 P2(t2)=P1(t1)+ΔT×V
によって求めることができる。
【0059】
このように、第2のタイミングt2で第1検出ヘッド5-0の検出を行わないことで、消費電流を抑えることができる。
【0060】
(実施例)
つぎに、図6図8を参照して、実施例の計測装置50について説明する。実施例は、図2(A)及び図2(B)を参照して説明した第1実施形態を基礎として各部を具体化し、実機に近い形としたものである。
【0061】
計測装置50は、ロータリーエンコーダ1と制御装置10を備えている。ロータリーエンコーダ1は、ロータリースケール2と、4個の検出ヘッド5-0~5-3とを含んでいる。4個の検出ヘッドは、第1検出ヘッド5-0が設けられた位置を基準位置(0°)として反時計回りに90°ずつ隔てられた状態で設置されている。各検出ヘッドには、それぞれ、送信コイル5a、受信コイル5b及び送信回路6が設けられている。
【0062】
制御装置10は、切替制御部11と、演算部15を備える。切替制御部11は、リクエスト信号送信部12、タイミング生成回路13及び切替回路14を含む。切替回路14には、第1検出ヘッド5-0の受信コイル5bが受信した信号S1が入力され、第2検出ヘッド5-1の受信コイル5bが受信した信号S2が入力される。また、切替回路14には、第3検出ヘッド5-2の受信コイル5bが受信した信号S3が入力され、第4検出ヘッド5-3の受信コイル5bが受信した信号S4が入力される。
【0063】
図8を参照すると、切替回路14が備える第1スイッチ部14aと第2スイッチ部14bが示されている。第1スイッチ部14aは、信号S1と信号S2のいずれか一方を選択し、選択した信号を切替回路出力a1として出力する。第2スイッチ部14bは、信号S3と信号S4のいずれか一方を選択し、選択した信号を切替回路出力a2として出力する。切替回路14には、タイミング生成回路13によって生成された切替信号Gによって信号S1と信号S2の切り替えと、信号S3と信号S4との切り替えを行う。切替信号Gと第1スイッチ部14aの状態との関係、切替信号Gと第2スイッチ部14bの状態との関係については、後に説明する。
【0064】
切替回路14と演算部15とは、第1増幅器16aと第1ADC(アナログ/デジタル変換部)17aが設けられた接続線と、第2増幅器16bと第2ADC17bが設けられた接続線とによって接続されている。第1増幅器16aは、切替回路出力a1を増幅し、第1ADC17aは、これをアナログ/デンタル変換してADCデータd1を出力する。第2増幅器16bは、切替回路出力a2を増幅し、第2ADC17bは、これをアナログ/デンタル変換してADCデータd2を出力する。
【0065】
演算部15は、第1角度計算部18a、第2角度計算部18b及び平均値計算部19を備える。
【0066】
第1角度計算部18aには、第1ADC17aが出力したADCデータd1が入力される。第1角度計算部18aは、ADCデータd1に基づいて角度計算値P1及び角度計算値P2を算出する。なお、第1スイッチ部14aが信号S1を選択する状態とされているときは、角度計算値P1が算出され、第1スイッチ部14aが信号S2を選択する状態とされているときは、角度計算値P2が算出される。
【0067】
第2角度計算部18bには、第2ADC17bが出力したADCデータd2が入力される。第2角度計算部18bは、ADCデータd2に基づいて角度計算値P3及び角度計算値P4を算出する。なお、第2スイッチ部14bが信号S3を選択する状態とされているときは、角度計算値P3が算出され、第2スイッチ部14bが信号S4を選択する状態とされているときは、角度計算値P4が算出される。
【0068】
平均値計算部19は、角度計算値P1~P4の平均値を算出する。つまり、角度計算値P1~P4を足し合わせた値を4で除する。平均値計算部19によって算出された角度平均値は、一回のリクエスト信号に対する計測結果とされる。
【0069】
つぎに、以上の構成を備えた計測装置50を用いた計測方法の一例について説明する。図7は、実施例の計測装置50における信号の流れを例示するタイムチャートである。
【0070】
まず、切替信号Gについて説明する。図8を参照すると、本実施例の切替信号Gは、G=0、G=1及びG=2の3種類の信号を含んでいる。切替信号G=1は、第1スイッチ部14aを、切替回路出力a1として信号S1を選択する状態とすると共に、第2スイッチ部14bを、切替回路出力a2として信号S3を選択するための信号である。切替信号G=2は、第1スイッチ部14aを、切替回路出力a1として信号S2を選択する状態とすると共に、第2スイッチ部14bを、切替回路出力a2として信号S4を選択するための信号である。切替信号G=0は、第1スイッチ部14aを、切替回路出力a1が発信されない、つまり、信号1と信号S2のいずれも選択されない状態とすると共に、第2スイッチ部14bを、切替回路出力a2が発信されない、つまり、信号S3と信号S4のいずれも選択されない状態とするための信号である。このときはアナログ信号処理をしない期間なので、第1増幅器16a、第1ADC17a、第2増幅器16b、第2ADC17bの電源をオフにすることができ、消費電流を下げることが可能となる。切替信号Gは、一定の周期でG=0、G=1及びG=2の発信が繰り返される。
【0071】
なお、切替信号Gと、リクエスト信号の周期は、一致するように設定されている。本実施例では、リクエスト信号が立ち上がるタイミングで切替信号GがG=1からG=2に切り替わるタイミングとなるように設定されている。このことにより、平均値計算部19によって算出された角度平均値は等価的にリクエスト信号が立ち上がるタイミング時点での、すなわち計測装置として計測が必要とされている時点での角度データとなる。
【0072】
計測装置50は、リクエスト信号が立ち上がったタイミングにおける角度データを算出する。本実施形態では、リクエスト信号が立ち上がる直前に切替信号GがG=1となっている。このため、その時点において、切替回路14からは、切替回路出力a1として信号S1が出力され、切替回路出力a2として信号S3が出力される。
【0073】
切替回路出力a1は、第1増幅器16aと第1ADC17aを経てADCデータd1に変換され、第1角度計算部18aに入力される。第1角度計算部18aは、ADCデータd1に基づいて角度計算値P1を算出する。切替回路出力a2は、第2増幅器16bと第2ADC17bを経てADCデータd2に変換され、第2角度計算部18bに入力される。第2角度計算部18bは、ADCデータd2に基づいて角度計算値P3を算出する。
【0074】
リクエスト信号が立ち上がったタイミングで切替信号GがG=2に切り替わる。このため、切替回路14からは、切替回路出力a1として信号S2が出力され、切替回路出力a2として信号S4が出力される。
【0075】
切替回路出力a1は、第1増幅器16aと第1ADC17aを経てADCデータd1に変換され、第1角度計算部18aに入力される。第1角度計算部18aは、ADCデータd1に基づいて角度計算値P2を算出する。切替回路出力a2は、第2増幅器16bと第2ADC17bを経てADCデータd2に変換され、第2角度計算部18bに入力される。第2角度計算部18bは、ADCデータd2に基づいて角度計算値P4を算出する。
【0076】
角度計算値P1、P2、P3、P4は、それぞれ平均値計算部19に入力される。平均値計算部19は、これらの値の角度平均値を算出する。算出された角度平均値が、このタイミングでの計測値とされる。
【0077】
このような検出及び演算が周期的に立ち上がるタイミング信号毎に実行される。
【0078】
本実施例は、第1のタイミングで複数の検出部に含まれる検出部のうちの一部の検出部によってパターン3aの第1の読み取りが実行される。また、第1のタイミングと異なる他のタイミングで複数の検出部に含まれる検出部のうちの他の検出部によってパターン3aの他の読み取りが実行される。これにより、消費電流を抑えることができる。
【0079】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 ロータリーエンコーダ
2 ロータリースケール
3 スケールパターン
3a パターン
5-0 第1検出ヘッド
5-1 第2検出ヘッド
5-2 第3検出ヘッド
5-3 第4検出ヘッド
5-n-1 第n検出ヘッド
5a 送信コイル
5b 受信コイル
10 制御装置
11 切替制御部
15 演算部
50 計測装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-06-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
図1図1は第1実施形態の計測装置の構成を例示するブロック図である。
図2図2(A)は第1実施形態の計測装置が備えるロータリーエンコーダにおける検出ヘッドの配置の一例を示す図である。図2(B)は第1実施形態の計測装置が備えるロータリーエンコーダにおけるサンプリングタイミングを示すタイムチャートの一例である。
図3図3(A)は第2実施形態の計測装置が備えるロータリーエンコーダにおける検出ヘッドの配置の一例を示す図である。図3(B)は第2実施形態の計測装置が備えるロータリーエンコーダにおけるサンプリングタイミングを示すタイムチャートの一例である。図3(C)は第2実施形態の計測装置が備えるロータリーエンコーダにおけるサンプリングタイミングを示すタイムチャートの他の例である。
図4図4(A)は第3実施形態の計測装置が備えるロータリーエンコーダにおける検出ヘッドの配置の一例を示す図である。図4(B)は第3実施形態の計測装置が備えるロータリーエンコーダにおけるサンプリングタイミングを示すタイムチャートの一例である。図4(C)は第3実施形態の計測装置が備えるロータリーエンコーダにおけるサンプリングタイミングを示すタイムチャートの他の例である。
図5図5(A)は第4実施形態の計測装置が備えるロータリーエンコーダにおける検出ヘッドの配置の一例を示す図である。図5(B)は第実施形態の計測装置が備えるロータリーエンコーダにおけるサンプリングタイミングを示すタイムチャートの一例である。
図6図6は実施例の計測装置の構成を示す図である。
図7図7は実施例の計測装置における信号の流れを例示するタイムチャートである。
図8図8は実施例の計測装置において、切替信号に応じて切り替わる切替回路の状態を示す説明図である。