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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125834
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240911BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240911BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/304 631
H01L21/78 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033924
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡村 卓
(72)【発明者】
【氏名】原田 成規
【テーマコード(参考)】
5F057
5F063
5F131
【Fターム(参考)】
5F057AA20
5F057CA14
5F057DA11
5F057FA32
5F057GB02
5F063AA48
5F063CB06
5F063DE20
5F063DE32
5F131AA02
5F131BA32
5F131BA52
5F131CA09
5F131DA13
5F131DA33
5F131DA42
5F131DB22
5F131DD43
5F131EB02
5F131EB32
5F131KA12
5F131KA47
5F131KB32
5F131KB53
5F131KB58
(57)【要約】
【課題】ウェーハユニットの表裏面を判定できる加工装置を提供すること。
【解決手段】加工装置1は、ウェーハ100の一方の面に固定された樹脂シート110と樹脂シート110の外周部分に環状フレーム120を固定することによって形成されたウェーハユニット200を搬送し、ウェーハ100を加工する加工装置1であって、樹脂シート110を吸着することによって樹脂シート110に固定されたウェーハ100を保持するチャックテーブル10と、ウェーハ100を加工する加工ユニット20と、ウェーハユニット200を複数収容するカセット35が載置されるカセット載置台30と、カセット35とチャックテーブル10との間においてウェーハユニット200を搬送する搬送ユニット40と、カセット35に収容されたウェーハユニット200の表裏面を判定する表裏面判定ユニット60と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハの一方の面に固定された樹脂シートと該樹脂シートの外周部分に環状フレームを固定することによって形成されたウェーハユニットを搬送し、該ウェーハを加工する加工装置であって、
該樹脂シートを吸着することによって該樹脂シートに固定されたウェーハを保持するチャックテーブルと、
該ウェーハを加工する加工ユニットと、
該ウェーハユニットを複数収容するカセットが載置されるカセット載置台と、
該カセットと該チャックテーブルとの間において該ウェーハユニットを搬送する搬送ユニットと、
該カセットに収容された該ウェーハユニットの表裏面を判定する表裏面判定ユニットと、を備え、
該表裏面判定ユニットによって、該ウェーハユニットの表裏面間違いを防止可能な加工装置。
【請求項2】
該表裏面判定ユニットは、
該環状フレームに向かって光を発光する発光部と、
該環状フレームに反射した該光を受光する受光部と、を備え、
該受光部の受光量によってウェーハユニットの表裏面を判定することを特徴とする請求項1記載の加工装置。
【請求項3】
該環状フレームは、外周端部に少なくとも1つ以上の切り欠きが形成され、
該表裏面判定ユニットは、該環状フレームの外周端部を撮像する撮像ユニット、を備え、
該撮像ユニットにて撮像された画像から該切り欠きを検出しウェーハユニットの表裏面を判定することを特徴とする請求項1記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハユニットの表裏面を判定する加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環状フレームの開口にテープを介してウェーハが保持されたウェーハユニットを、搬送ユニットによりウェーハユニットを収容するカセットから取り出して、ウェーハユニットを保持する保持テーブルに搬送し、加工ユニットにより保持テーブル上のウェーハユニットのウェーハを加工する加工装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-112228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような加工装置では、ウェーハユニットを複数収容するカセットが載置されるカセット載置台を備え、カセットから連続的に搬送され加工が行われる。その他の前後工程でもカセットに収容されるカセットを連続的に処理する装置が使用され、ウェーハユニットはすべてが同じ表裏面に搭載される。
【0005】
しかしながら、各処理の中でオペレータがカセットからウェーハユニット数枚を取り出し検査等を実施することがある。この際、ウェーハユニットの表裏面を誤って収容する恐れがある。表裏面を誤った場合、ウェーハに形成されたデバイス面を保持テーブルに吸着してしまいデバイスが破損される恐れがあるという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ウェーハユニットの表裏面を判定できる加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の加工装置は、ウェーハの一方の面に固定された樹脂シートと該樹脂シートの外周部分に環状フレームを固定することによって形成されたウェーハユニットを搬送し、該ウェーハを加工する加工装置であって、該樹脂シートを吸着することによって該樹脂シートに固定されたウェーハを保持するチャックテーブルと、該ウェーハを加工する加工ユニットと、該ウェーハユニットを複数収容するカセットが載置されるカセット載置台と、該カセットと該チャックテーブルとの間において該ウェーハユニットを搬送する搬送ユニットと、該カセットに収容された該ウェーハユニットの表裏面を判定する表裏面判定ユニットと、を備え、該表裏面判定ユニットによって、該ウェーハユニットの表裏面間違いを防止可能である。
【0008】
該表裏面判定ユニットは、該環状フレームに向かって光を発光する発光部と、該環状フレームに反射した該光を受光する受光部と、を備え、該受光部の受光量によってウェーハユニットの表裏面を判定してもよい。
【0009】
該環状フレームは、外周端部に少なくとも1つ以上の切り欠きが形成され、該表裏面判定ユニットは、該環状フレームの外周端部を撮像する撮像ユニット、を備え、該撮像ユニットにて撮像された画像から該切り欠きを検出しウェーハユニットの表裏面を判定してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本願発明は、表裏面判定ユニットによりウェーハユニットの表裏面を判定するので、ウェーハユニットの表裏面を判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。
図2図2は、図1の加工装置を模式的に示す上面図である。
図3図3は、図1の加工装置の加工対象であるウェーハユニットを示す斜視図である。
図4図4は、図3のウェーハユニットを示す上面図である。
図5図5は、図1の加工装置の動作処理の第1例を説明する断面図である。
図6図6は、図1の加工装置の動作処理の第1例を説明する断面図である。
図7図7は、図1の加工装置の動作処理の第2例を説明する断面図である。
図8図8は、図1の加工装置の動作処理の第2例を説明する下面図である。
図9図9は、図1の加工装置の動作処理の第2例を説明する下面図である。
図10図10は、図1の加工装置の動作処理の第2例を説明する断面図である。
図11図11は、図1の加工装置の動作処理の第2例を説明する下面図である。
図12図12は、図1の加工装置の動作処理の第2例を説明する下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0013】
〔実施形態〕
本発明の実施形態に係る加工装置1を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態に係る加工装置1の構成例を示す斜視図である。図2は、図1の加工装置1を模式的に示す上面図である。実施形態に係る加工装置1は、図1及び図2に示すように、チャックテーブル10と、加工ユニット20と、カセット載置台30と、搬送ユニット40と、洗浄ユニット50と、表裏面判定ユニット60と、制御ユニット70と、を備える。
【0014】
図3は、図1の加工装置1の加工対象であるウェーハユニット200を示す斜視図である。図4は、図3のウェーハユニット200を示す上面図である。実施形態に係る加工装置1の加工対象であるウェーハユニット200は、図3及び図4に示すように、ウェーハ100と、樹脂シート110と、環状フレーム120と、を備える。ウェーハ100は、ウェーハユニット200において加工装置1の加工対象となる部分であり、図3及び図4に示すように、例えば、シリコン、サファイア、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムヒ素などを基板とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハなどである。ウェーハ100は、平坦な第1面101の互いに交差(本実施形態では、直交)する分割予定ライン102によって区画された各領域にIC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等のチップ状のデバイス103が形成されている。ウェーハ100は、分割予定ライン102に沿って分割されることで、個々の半導体デバイスチップが製造される。
【0015】
樹脂シート110は、図3及び図4に示すように、平面視で環状フレーム120の中央に形成された開口121を覆い、かつ、環状フレーム120の外周からはみ出さない形状及び大きさのシート状に形成されている。樹脂シート110は、後述する表裏面判定ユニット60の発光部61が発光する光69(図5等参照)の少なくとも一部を透過する樹脂材料で形成されている。樹脂シート110は、本実施形態では、例えば、基材層と糊層(粘着層)とを有する粘着テープである。ここで、糊層は、粘着剤等の粘着性を有する合成樹脂から構成されており、基材層の一方の面に積層される。基材層は、合成樹脂から構成されている。このような樹脂シート110は、本実施形態では、糊層側がウェーハ100の第1面101の裏側の第2面104に貼着される。なお、樹脂シート110は、本発明では基材層と糊層とを有する形態に限定されず、糊層を有さず熱可塑性樹脂を加熱して軟化させてウェーハ100の第2面104に貼着したものであってもよい。
【0016】
環状フレーム120は、図3及び図4に示すように、両面が平坦に形成された平板であり、中央に開口121が形成されている。環状フレーム120は、後述する表裏面判定ユニット60の発光部61が発光する光69の少なくとも一部を表面で反射する材料で形成されている。環状フレーム120は、例えばステンレスで形成される。環状フレーム120は、外周端部に少なくとも1つ以上(図3及び図4に示す本実施形態の例では2つ)の切り欠き125,126が形成されている。切り欠き125,126は、平面視での形状が互いに異なり、本実施形態では例えば、切り欠き125,126の切り取られた角度127,128が互いに異なる。
【0017】
ウェーハユニット200は、図3及び図4に示すように、ウェーハ100の第2面104に貼着されて固定された樹脂シート110と、樹脂シート110の外周部分に装着されて固定された環状フレーム120とによって形成されている。このように、ウェーハユニット200は、環状フレーム120の開口121に樹脂シート110を介してウェーハ100が保持されて、形成されている。ウェーハユニット200は、樹脂シート110及び環状フレーム120が固定されておらずウェーハ100が露出している側が表(表の面、表面)であり、樹脂シート110及び環状フレーム120が固定されておりウェーハ100が覆われている側が裏(裏の面、裏面)である。
【0018】
加工装置1は、本実施形態では、このような図3及び図4に示すようなウェーハ100の第2面104側(デバイス103が形成されていない側)に樹脂シート110及び環状フレーム120が固定されたウェーハユニット200について、ウェーハユニット200の表裏面を判定する。なお、加工装置1は、本発明ではこれに限定されず、ウェーハ100の第1面101側(デバイス103が形成されている側、デバイス面)に樹脂シート110及び環状フレーム120が固定されたウェーハユニット200について、ウェーハユニット200の表裏面を判定してもよい。
【0019】
チャックテーブル10は、図1及び図2に示すように、凹部が形成された円盤状の枠体と、凹部内に嵌め込まれた円盤形状の吸着部と、を備える。チャックテーブル10の吸着部は、多数のポーラス孔を備えたポーラスセラミック等から形成され、図示しない真空吸引経路を介して図示しない真空吸引源と接続されている。チャックテーブル10の吸着部の上面は、ウェーハユニット200が載置されて、真空吸引源から導入される負圧により、載置されたウェーハユニット200を吸引保持する保持面11である。保持面11は、本実施形態では、ウェーハユニット200が表面(ウェーハ100の露出面)を上方に向けて載置され、載置されたウェーハユニット200の樹脂シート110を下方から吸着することによって、樹脂シート110を介して、樹脂シート110に固定されたウェーハ100を吸引保持する。
【0020】
保持面11とチャックテーブル10の枠体の上面とは、同一平面上に配置されており、水平面であるXY平面に平行に形成されている。チャックテーブル10は、不図示のX軸方向移動ユニットにより水平方向と平行なX軸方向に移動自在に設けられている。チャックテーブル10は、不図示の回転駆動源により、鉛直方向に平行でかつXY平面に直交するZ軸回りに回転自在に設けられている。
【0021】
また、チャックテーブル10は、図1及び図2に示すように、枠体の外周部に配置されて、ウェーハユニット200の環状フレーム120を保持して固定する複数(図1及び図2に示す例では4つ)のフレーム保持部であるクランプ12を備える。
【0022】
加工ユニット20は、チャックテーブル10に保持されたウェーハユニット200のウェーハ100を加工する。加工ユニット20は、本実施形態では、図2に示すように、切削ブレード21が回転可能に装着されるスピンドル22を備え、切削ブレード21でチャックテーブル10に保持されたウェーハ100を切削加工する切削ユニットである。加工装置1は、図2に示すように、加工ユニット20を2組備えた、即ち、2スピンドルのダイサ、いわゆるフェイシングデュアルタイプの加工装置(切削装置)である。
【0023】
このような切削ユニットでは、スピンドル22は、水平方向と平行でかつX軸方向と直交するY軸方向と平行な軸心周りに回転可能に設けられ、スピンドル22の先端に装着された切削ブレード21をY軸方向と平行な軸心周りに回転可能に支持する。このような切削ユニットは、それぞれ不図示のY軸方向移動ユニット及びZ軸方向移動ユニットにより、Y軸方向及びZ軸方向に移動自在に設けられている。
【0024】
このような切削ユニットは、このような切削ユニットは、不図示のX軸方向移動ユニットによりチャックテーブル10上のウェーハ100に対して相対的に加工送り方向であるX軸方向に沿って移動し、かつ、スピンドル22によりY軸方向と平行な軸心周りの回転動作が加えられた切削ブレード21で、ウェーハ100を例えば分割予定ライン102に沿って切削する。このような切削ユニットは、このように回転動作が加えられた切削ブレード21で、ウェーハ100を完全に分割しない深さのハーフカット溝を形成しても良いし、ウェーハ100を完全に分割する深さの分割溝を形成してもよい。
【0025】
加工ユニット20は、本発明ではこのような切削ユニットに限定されず、研削砥石が配置された研削ホイールが回転可能に装着されるスピンドルを備え、第1面101側に樹脂シート110及び環状フレーム120が固定されたウェーハ100の第2面104を研削砥石で研削加工する研削ユニットでもよい。また、加工ユニット20は、研磨パッドが回転可能に装着されるスピンドルを備え、第1面101側に樹脂シート110及び環状フレーム120が固定されたウェーハ100の第2面104を研磨パッドで研磨加工する研磨ユニットでもよい。また、加工ユニット20は、ウェーハ100に第1面101側からレーザビームを照射するレーザビーム照射器を備え、レーザビームでウェーハ100を第1面101側からレーザ加工するレーザ加工ユニットでもよいし、ウェーハ100にプラズマを照射するプラズマ照射器を備え、プラズマでウェーハ100を第1面101側からプラズマ加工するプラズマ加工ユニットでもよい。
【0026】
カセット載置台30は、ウェーハユニット200を複数収容するための収容器であるカセット35を載置する載置台であり、載置されたカセット35をZ軸方向に昇降させる。カセット35は、Z軸方向に配列された複数の収容スペースを有し、各収容スペースにウェーハユニット200を収容する。カセット35は、搬送ユニット40の一対のレール41が配設された方向(図1及び図2に示す例では+Y方向)から、搬送ユニット40の搬送アーム42によりウェーハユニット200が取り出され、ウェーハユニット200が収容される。
【0027】
搬送ユニット40は、本実施形態では、図1及び図2に示すように、一対のレール41と、搬送アーム42と、を備える。搬送ユニット40は、一対のレール41上を中継して、搬送アーム42により、カセット35とチャックテーブル10と洗浄ユニット50のスピンナテーブル51との間においてウェーハユニット200を搬送する。
【0028】
一対のレール41は、互いに平行な状態を維持しながら接近または離隔でき、一対のレール41間を環状フレーム120の直径に合わせることで、環状フレーム120を下方から支持することができ、これにより、環状フレーム120が装着されたウェーハユニット200を下方から支持できる。
【0029】
搬送アーム42は、把持部43と、吸着パッド44と、を備える。把持部43は、搬送アーム42において、カセット載置台30が配設された方向(図1及び図2に示す例では-Y方向)に設けられ、ウェーハユニット200の環状フレーム120を挟持する。吸着パッド44は、搬送アーム42の底面に下方に向けて設けられ、ウェーハユニット200の環状フレーム120を上方から吸着保持する。
【0030】
搬送アーム42は、カセット35内に収容されたウェーハユニット200を把持部43で把持して一対のレール41上に搬送し、一対のレール41上のウェーハユニット200を把持部43で把持してカセット35内に収容する。搬送アーム42は、一対のレール41上のウェーハユニット200を吸着パッド44で吸着保持してチャックテーブル10上もしくはスピンナテーブル51上に搬送し、チャックテーブル10上もしくはスピンナテーブル51上のウェーハユニット200を吸着パッド44で吸着保持して一対のレール41上に搬送する。
【0031】
洗浄ユニット50は、スピンナテーブル51を備える。スピンナテーブル51は、チャックテーブル10と同様の構成を有し、ウェーハユニット200が表面(ウェーハ100の露出面)を上方に向けて載置され、載置されたウェーハユニット200の樹脂シート110を下方から吸着することによって、樹脂シート110を介して、樹脂シート110に固定されたウェーハ100を吸引保持する。洗浄ユニット50は、スピンナテーブル51で保持したウェーハユニット200のウェーハ100を洗浄し、例えば加工ユニット20によって加工された際に発生してウェーハ100に付着した加工屑等のコンタミネーションを除去する。
【0032】
表裏面判定ユニット60は、発光部61と、受光部62と、撮像ユニット63と、判定部65と、を備え、カセット35に収容されたウェーハユニット200の表裏面を判定する。発光部61及び受光部62は、図1及び図2に示す本実施形態の例では、一対のレール41においてウェーハユニット200の環状フレーム120の樹脂シート110が貼着されている部分を支持する位置に、上方に向けて設けられている。発光部61は、カセット35から一対のレール41上に搬送されたウェーハユニット200の環状フレーム120に向けて、光69を発光する。受光部62は、発光部61から発光し、環状フレーム120により反射した光69を受光する。受光部62は、受光した光69について、受光量を判定部65に出力する。
【0033】
撮像ユニット63は、図1及び図2に示す本実施形態の例では、一対のレール41に支持されたウェーハユニット200の環状フレーム120のいずれか1つの切り欠き126に対してZ軸方向に沿って互いに対向する位置に、一対のレール41に支持されたウェーハユニット200の環状フレーム120の当該切り欠き126に向けて設けられている。撮像ユニット63は、本実施形態では、一対のレール41よりも下方に、上方に向けて設けられているが、本発明ではこれに限定されず、一対のレール41よりも上方に、下方に向けて設けられても良い。
【0034】
撮像ユニット63は、ウェーハユニット200の環状フレーム120のいずれか1つの切り欠き125,126を撮像する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。撮像ユニット63は、ウェーハユニット200の環状フレーム120のいずれか1つの切り欠き125,126を撮像して画像312,311(それぞれ、図12及び図9参照)を得、得た画像312,311を判定部65に出力する。
【0035】
判定部65は、受光部62から受信した受光部62の受光量によって、ウェーハユニット200の表裏面を判定する。また、判定部65は、撮像ユニット63から受信した撮像ユニット63が撮像して得た画像311,312から切り欠き126,125を検出し、ウェーハユニット200の表裏面を判定する。ここで、ウェーハユニット200の表裏面を判定するとは、カセット35から一対のレール41上に搬送されたウェーハユニット200について、ウェーハユニット200の表面(ウェーハ100の露出面)が上方に向けられている「表向き」であるか、ウェーハユニット200の裏面(ウェーハ100に貼着された樹脂シート110側)が上方に向けられている「裏向き」であるかを判定することをいう。
【0036】
判定部65が、受光部62から受信した受光部62の受光量によって、ウェーハユニット200の表裏面を判定する第1例について、以下に説明する。図5及び図6は、いずれも、図1の加工装置1の動作処理の第1例を説明する断面図である。図5は、ウェーハユニット200が「表向き」の場合について示しており、図6は、ウェーハユニット200が「裏向き」の場合について示している。
【0037】
ウェーハユニット200が「表向き」の場合、図5に示すように、発光部61から発光した光69は、樹脂シート110を通過して環状フレーム120により反射し、再び樹脂シート110を通過した後に、受光部62が受光する。一方、ウェーハユニット200が「裏向き」の場合、図6に示すように、発光部61から発光した光69は、樹脂シート110を通過することなく、環状フレーム120により反射し、受光部62が受光する。
【0038】
ここで、発光部61から発光した光69は、樹脂シート110を通過する際に、樹脂シート110を完全に透過せず、光69の一部が、樹脂シート110の表面により反射したり、樹脂シート110の内部で散乱や吸収されたりすることにより、受光部62が受光するまでの間に光量が減少する。このため、受光部62が受光する受光量は、樹脂シート110を通過するウェーハユニット200が「表向き」の場合の方が、樹脂シート110を通過しないウェーハユニット200が「裏向き」の場合と比較して、低くなる。
【0039】
これにより、判定部65は、受光部62から受信した受光部62の受光量に基づいて、受光量が所定の閾値以下である場合、ウェーハユニット200が「表向き」であると判定し、受光量が所定の閾値より大きい場合、ウェーハユニット200が「裏向き」であると判定することができる。ここで、所定の閾値は、ウェーハユニット200が「表向き」の場合の受光部62の受光量より十分大きく、かつ、ウェーハユニット200が「裏向き」の場合の受光部62の受光量より十分小さい値に適宜決めることができ、予めオペレータにより入力される。
【0040】
判定部65が、撮像ユニット63から受信した撮像ユニット63が撮像して得た画像311,312から切り欠き126,125を検出し、ウェーハユニット200の表裏面を判定する第2例について、以下に説明する。図7及び図10は、図1の加工装置1の動作処理の第2例を説明する断面図である。図8図9図11及び図12は、いずれも、図1の加工装置1の動作処理の第2例を説明する下面図である。図7図8及び図9は、ウェーハユニット200が「表向き」の場合について示しており、図10図11及び図12は、ウェーハユニット200が「裏向き」の場合について示している。
【0041】
ウェーハユニット200が「表向き」の場合、撮像ユニット63は、一対のレール41に支持されたウェーハユニット200の環状フレーム120の切り欠き126を含む図8に破線で示す領域301を、図7に示すようにウェーハユニット200の裏面側から撮像して、図9に示すような画像311を得て、判定部65は、この画像311を画像解析して切り欠き126を検出する。一方、ウェーハユニット200が「裏向き」の場合、撮像ユニット63は、一対のレール41に支持されたウェーハユニット200の環状フレーム120の切り欠き125を含む図11に破線で示す領域302を、図10に示すようにウェーハユニット200の表面側から撮像して、図12に示すような画像312を得て、判定部65は、この画像312を画像解析して切り欠き125を検出する。
【0042】
ここで、切り欠き125,126は平面視での形状が互いに異なるので、判定部65は、画像311を画像解析して検出した切り欠き126と、画像312を画像解析して検出した切り欠き125と、を互いに区別することができる。判定部65は、例えば、切り欠き126,125の切り取られた角度128,127により、切り欠き126,125を互いに区別することが出来る。これにより、判定部65は、撮像ユニット63にて撮像された画像311,312から検出した切り欠き126,125に基づいて、切り欠き126を検出した場合、ウェーハユニット200が「表向き」であると判定し、切り欠き125を検出した場合、ウェーハユニット200が「裏向き」であると判定することができる。
【0043】
なお、判定部65の第2例の動作処理は、本発明では上述のような異なる切り欠き125,126を検出することによる判定に限定されず、例えばウェーハユニット200の環状フレーム120に1つのみ切り欠きが形成されている場合において、判定部65が、切り欠きが検出できたか否かにより、ウェーハユニット200が「表向き」であるか「裏向き」であるかを判定してもよい。
【0044】
表裏面判定ユニット60は、本実施形態では、発光部61及び受光部62を使用して判定部65の第1例の動作処理によりウェーハユニット200の表裏面を判定してもよく、撮像ユニット63を使用して判定部65の第2例の動作処理によりウェーハユニット200の表裏面を判定してもよく、判定部65の第1例の動作処理によるものと判定部65の第2例の動作処理によるものとの両方によりウェーハユニット200の表裏面を判定してもよい。
【0045】
判定部65は、本実施形態では、コンピュータシステムを含む。判定部65が含むコンピュータシステムは、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有する。判定部65の機能は、本実施形態では、判定部65の演算処理装置が記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0046】
制御ユニット70は、加工装置1の各構成要素の動作を制御して、ウェーハユニット200のウェーハ100に対する加工処理や、ウェーハユニット200の表裏面を判定するための動作処理等の各種処理を加工装置1に実施させる。制御ユニット70は、本実施形態では、コンピュータシステムを含む。制御ユニット70が含むコンピュータシステムは、CPUのようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM又はRAMのようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有する。制御ユニット70の演算処理装置は、制御ユニット70の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、加工装置1を制御するための制御信号を、制御ユニット70の入出力インターフェース装置を介して加工装置1の各構成要素に出力する。本実施形態では、判定部65のコンピュータシステムと制御ユニット70のコンピュータシステムとは別々に設けられているが、本発明ではこれに限定されず、互いに一体となっていてもよい。
【0047】
以上のような構成を有する実施形態に係る加工装置1は、表裏面判定ユニット60によりウェーハユニット200の表裏面を判定するので、ウェーハユニット200の表裏面を判定できるという作用効果を奏する。また、実施形態に係る加工装置1は、ウェーハユニット200の表裏面を判定できるため、ウェーハユニット200の表裏面間違いを防止でき、これにより、ウェーハ100のデバイス面をチャックテーブル10に吸着してしまいデバイス103が破損される恐れを抑制できるという作用効果を奏する。
【0048】
実施形態に係る加工装置1は、表裏面判定ユニット60の受光部62が、ウェーハユニット200が表裏面のいずれかによって互いに異なる受光量の光69を受光し、当該受光量に基づいてウェーハユニット200の表裏面を判定するので、ウェーハユニット200の表裏面を好適に判定できる。
【0049】
実施形態に係る加工装置1は、表裏面判定ユニット60の撮像ユニット63が、ウェーハユニット200が表裏面のいずれかによって互いに異なる画像311,312を撮像し、当該画像311,312に基づいてウェーハユニット200の表裏面を判定するので、ウェーハユニット200の表裏面を好適に判定できる。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 加工装置
10 チャックテーブル
20 加工ユニット
30 カセット載置台
35 カセット
40 搬送ユニット
60 表裏面判定ユニット
61 発光部
62 受光部
63 撮像ユニット
65 判定部
69 光
100 ウェーハ
101 第1面
104 第2面
110 樹脂シート
120 環状フレーム
200 ウェーハユニット
図1
図2
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図12