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特開2024-125858情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125858
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06V 10/762 20220101AFI20240911BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20240911BHJP
   G01N 21/89 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
G06V10/762
G01N21/88 J
G01N21/89 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033966
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹島 壮郎
【テーマコード(参考)】
2G051
5L096
【Fターム(参考)】
2G051AA42
2G051AB02
2G051CA04
2G051CA07
2G051EC01
2G051ED21
5L096AA06
5L096BA03
5L096CA04
5L096DA02
5L096HA09
5L096HA11
5L096JA03
5L096JA11
5L096JA18
5L096KA04
5L096KA15
5L096MA07
(57)【要約】
【課題】連続的に変化する特徴部を有する画像データを分類できる情報処理装置を提供する。
【解決手段】連続的に変化する特徴部を有する画像データを分類する情報処理装置であって、前記画像データの画像特徴量を抽出し、抽出した前記画像特徴量に基づいて隣接行列を生成し、生成した隣接行列に基づいて前記画像データのクラスタリングを行うことで、前記画像データを分類する画像分類処理部を備える、情報処理装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に変化する特徴部を有する画像データを分類する情報処理装置であって、
前記画像データの画像特徴量を抽出し、抽出した前記画像特徴量に基づいて隣接行列を生成し、生成した隣接行列に基づいて前記画像データのクラスタリングを行うことで、前記画像データを分類する画像分類処理部を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記画像分類処理部による分類結果を表示する表示部を備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
ユーザーによる操作を受け付ける操作部を備え、
前記画像分類処理部は、前記操作部によって受け付けられた前記操作に応じて、前記表示部によって表示された前記分類結果に基づいて前記画像データの再分類を行う、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記画像分類処理部による前記画像データの分類の結果又は再分類の結果に基づいて、前記画像データを用いた教師データを生成する教師データ生成部を備える、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記画像データは、所定の流れ方向に流されながら製造されるガラス板について、前記ガラス板の面に発生する製造時の欠陥の深さを把握可能な画像データであり、
連続的に変化する前記特徴部は、前記深さであり、
前記教師データは、前記欠陥の発生位置毎に分類された前記画像データを含む、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置が連続的に変化する特徴部を有する画像データを分類する情報処理方法であって、
前記情報処理装置が、前記画像データの画像特徴量を抽出し、抽出した前記画像特徴量に基づいて隣接行列を生成し、生成した隣接行列に基づいて前記画像データのクラスタリングを行うことで、前記画像データを分類する、
情報処理方法。
【請求項7】
コンピューターに、
連続的に変化する特徴部を有する画像データの画像特徴量を抽出する機能と、
抽出した前記画像特徴量に基づいて隣接行列を生成する機能と、
生成した隣接行列に基づいて前記画像データのクラスタリングを行うことで、前記画像データを分類する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
連続的に変化する欠陥の分析などにおいて、複数の画像データを分類することが必要な場合がある。
例えば、画像データを学習モデルに入力する機械学習の分野では、教師データを生成する際に、複数の画像データを分類する作業が必要である。
【0003】
特許文献1では、汎用性の高い新規なコミュニティ構造検出が図られている。具体的には、特許文献1に記載された画像クラスタリングシステムでは、入力画像群に含まれる入力画像同士の画像マッチング処理の結果を反映したマッチグラフを取得し、当該マッチグラフの構造に基づいて入力画像同士を互いに関連付けてコミュニティ構造を検出し、互いに関連付けられた入力画像の集合をクラスタとして出力する(特許文献1の請求項1及び要約書などを参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-151876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、主にソーシャルメディアにおけるコミュニティ構造検出を目的としており、連続的に変化する欠陥の分析などについては十分に検討されていなかった。
また、従来の技術では、画像データを用いた教師データの生成については十分に検討されていなかった。
【0006】
本開示は、このような事情を考慮してなされたもので、連続的に変化する特徴部を有する画像データを分類できる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することを課題とする。
特に、本開示は、このような画像データを用いた教師データの生成を支援できる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、連続的に変化する特徴部を有する画像データを分類する情報処理装置であって、前記画像データの画像特徴量を抽出し、抽出した前記画像特徴量に基づいて隣接行列を生成し、生成した隣接行列に基づいて前記画像データのクラスタリングを行うことで、前記画像データを分類する画像分類処理部を備える、情報処理装置である。
【0008】
本開示の一態様は、情報処理装置が連続的に変化する特徴部を有する画像データを分類する情報処理方法であって、前記情報処理装置が、前記画像データの画像特徴量を抽出し、抽出した前記画像特徴量に基づいて隣接行列を生成し、生成した隣接行列に基づいて前記画像データのクラスタリングを行うことで、前記画像データを分類する、情報処理方法である。
【0009】
本開示の一態様は、コンピューターに、連続的に変化する特徴部を有する画像データの画像特徴量を抽出する機能と、抽出した前記画像特徴量に基づいて隣接行列を生成する機能と、生成した隣接行列に基づいて前記画像データのクラスタリングを行うことで、前記画像データを分類する機能と、を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る情報処理装置、情報処理方法及びプログラムによれば、連続的に変化する特徴部を有する画像データを分類できる。
特に、本開示に係る情報処理装置、情報処理方法及びプログラムによれば、このような画像データを用いた教師データの生成を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
図2】実施形態に係る教師データ生成部により行われる画像分類処理の概略を示す図である。
図3】実施形態に係る教師データ生成部により行われる教師データ生成処理の一例を示す図である。
図4】実施形態に係るクラスタリング結果の一例を示す図である。
図5】実施形態に係るクラスタリング結果に基づいてユーザーにより選択されたマークの画像を表示する画面の一例を示す図である。
図6】実施形態に係るクラスタリング結果に基づいてユーザーによりグループ分けを行う画面の一例を示す図である。
図7】実施形態に係るガラス製造装置の概略的な構成例を示す図である。
図8】実施形態に係るフロートバスの構成例を示す断面図である。
図9】実施形態に係るフロートバスの流れ方向における欠陥の発生位置と性質との関係を模式的に示す図である。
図10】実施形態に係るフロートバスの幅方向における欠陥の発生位置と性質との関係を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本開示の実施形態について説明する。
【0013】
[情報処理装置]
図1は、実施形態に係る情報処理装置111の構成例を示す図である。
情報処理装置111は、例えば、コンピューターから構成される。
情報処理装置111は、入力部131と、出力部132と、通信部133と、記憶部134と、制御部135と、を備える。
入力部131は、操作部141を備える。
出力部132は、表示部151を備える。
制御部135は、教師データ生成部181と、学習制御部191と、判定部192と、を備える。
教師データ生成部181は、画像分類処理部182を備える。
【0014】
入力部131は、外部から情報を入力する機能を有している。例えば、操作部141は、ユーザーにより行われる操作に応じて情報を入力する機能を有している。
出力部132は、外部に情報を出力する機能を有している。例えば、表示部151は、表示対象の情報を画面に表示出力する機能を有している。
通信部133は、外部の装置と通信を行う機能を有している。
【0015】
記憶部134は、各種の情報を記憶する。本実施形態では、記憶部134は、学習モデル171、及び、教師データ172などを記憶する。
学習モデル171は、あらかじめ記憶部134に設定されてもよく、或いは、任意のタイミングで外部から設定されてもよい。
教師データ172は、本実施形態では、教師データ生成部181によって生成される。
ここで、学習モデル171としては、任意のモデルが用いられてもよく、例えば、ニューラルネットワークのモデルが用いられてもよい。
【0016】
制御部135は、各種の処理及び制御を行う。
教師データ生成部181は、教師データ172を生成する。本実施形態では、教師データ生成部181は、連続的に変化する特徴部を有する画像データを分類し、その分類の結果に基づく教師データ172を生成する。
画像分類処理部182は、画像データを分類する処理を行う。教師データ生成部181は、画像分類処理部182により、当該処理を行う。
ここで、教師データ172を生成する元になる画像データは、入力部131から入力されてもよく、或いは、あらかじめ記憶部134に記憶されていてもよい。
学習制御部191は、教師データ172を用いて、学習モデル171の学習を行う。当該学習は、機械学習である。
【0017】
判定部192は、判定対象となる画像データを学習済みの学習モデル171に入力して、学習モデル171からの出力を判定結果として出力部132により出力する。
判定部192は、例えば、学習済みの学習モデル171からの出力(推定結果)をそのまま採用して判定部192による判定結果としてもよく、或いは、学習済みの学習モデル171からの出力(推定結果)に基づいて更なる判定(例えば、トレンドの判定など)を行い、その判定の結果を判定部192による判定結果としてもよい。
ここで、判定対象となる画像データは、入力部131から入力されてもよく、或いは、あらかじめ記憶部134に記憶されていてもよい。
【0018】
<画像データ>
本実施形態では、教師データ172を生成する元となる画像データとして、連続的に変化する特徴部を含む画像のデータが用いられる。
当該特徴部は、欠陥などであってもよい。
連続的に変化する特徴部の特徴としては、例えば、深さ、明るさ、長さ、色(周波数)、濃度などの特徴であってもよい。
連続的に変化する特徴部は、例えば、画像の全体領域の中の一部の領域に存在するが、画像の全体領域にわたって存在してもよい。
【0019】
画像データとしては、任意の手法によって取得(撮像)されてもよく、例えば、シュリーレン法によって取得された画像のデータが用いられてもよい。
また、画像データとしては、例えば、検査などにより検出(撮像)された生画像のデータが用いられるが、当該生画像に所定の処理が行われた画像のデータが用いられてもよい。
【0020】
<画像データの収集手法の例>
画像データを収集する手法としては、特に限定はなく、例えば、ランダムに収集されてもよいが、所定の特徴が発生する状態で撮像された画像のデータを収集する手法が用いられてもよい。
【0021】
ここで、所定の特徴が発生する状態で撮像された画像のデータを収集する手法について説明する。
例えば、所定の製品の製造工程で、故意に所定の異常を発生させるテストを実施することで、連続的に変化する特徴部(本例では、異常の部分)を有する画像データを収集してもよい。この場合、類似する画像データをグルーピングし易い状態で収集できる。
当該異常は、例えば、欠陥などである。
【0022】
また、例えば、製造工程における所定の箇所で故意に所定の異常を発生させるテストを実施することで、連続的に変化する特徴部(本例では、異常の部分)を有する画像データを収集してもよい。
ある製品において発生した異常部分を撮像した画像データから、当該異常部分に関連する値(例えば、当該異常部分の発生場所)を推定するための学習モデルを生成する場合、当該値がアノテーションされた教師データ(画像データ)を入手する必要がある。しかしながら、ユーザーにとって、検査工程において検出された異常画像を確認する際、その異常に関連する値(例えば、その異常の発生場所)を判断することは容易でない場合が多かった。このような場合に、特に本例は有効である。
【0023】
また、例えば、通常時の画像データを用意して、通常時の画像データとの対比で異常時の画像データを収集してもよい。
【0024】
[画像分類処理]
図2は、実施形態に係る教師データ生成部181により行われる画像分類処理の概略を示す図である。
教師データ生成部181は、画像分類処理部182により、画像データI1について、処理T1~T4を行う機能を有している。
本実施形態では、画像データI1としては、複数の画像データが1個ずつ処理される。
【0025】
(処理T1)
画像分類処理部182は、画像データI1について所定の推論を行う。当該推論は、画像データI1の特徴量(画像特徴量)を抽出する推論である。
このような推論は、例えば、AI(Artificial Intelligence)を用いて行われてもよく、ニューラルネットワークなどの学習済みモデルを用いて行われてもよい。
本実施形態では、画像特徴量としては、連続的に変化する特徴部の特徴量が対象とされる。
【0026】
(処理T2)
画像分類処理部182は、推論の結果に基づいて、画像特徴量を抽出する。
ここで、それぞれの画像データI1について画像特徴量を記憶する形式としては、特に限定はなく、例えば、画像データI1をその識別情報と対応させて記憶するとともに、当該識別情報と画像特徴量とを対応させて記憶してもよい。
【0027】
(処理T3)
画像分類処理部182は、複数の画像データI1の画像特徴量に基づいて、類似画像のリンク付けを行う。類似画像のリンク付けでは、複数の画像データI1のうち、互いに類似する画像データ同士を関連付ける。これにより、互いに類似しない画像データ同士も把握される。
【0028】
ここで、本実施形態では、類似画像のリンク付けの結果を、隣接行列の形式で記憶する。
隣接行列では、複数の画像データの類似関係を表す情報を有する。
具体的には、隣接行列では、縦欄に複数の画像データI1(例えば、その識別情報)を並べ、横欄にも同じ複数の画像データI1(例えば、その識別情報)を並べ、これら複数の画像データI1のうちの全ての組み合わせ(総当たり)について、異なる2個の画像データ同士が類似するか否かを示す情報を格納する。当該情報は、例えば、類似することを表す値(例えば、1)、及び類似しないことを表す値(例えば、0)であってもよい。なお、同じ画像データ同士の類否判断は不要であり、隣接行列は対角線に対して対称となる。
【0029】
(処理T4)
画像分類処理部182は、類似画像のリンク付けの結果(隣接行列の情報)に基づいて、複数の画像データI1について、所定のクラスタリングを行う。これにより、画像分類処理部182は、クラスタリング結果を取得する。
本実施形態では、当該クラスタリングとして、ネットワーククラスタリングを行う。
【0030】
ここで、本実施形態に係る画像分類処理では、例えば、次元圧縮とクラスタリングとの組み合わせが用いられてもよい。これにより、高次の次元のデータを二次元空間データで表現できる。
次元圧縮の手法としては、特に限定はなく、例えば、主成分分析(PCA:Principal Component Analysis)が用いられてもよい。
なお、次元圧縮では、画像データとともに、画像以外の情報が用いられてもよい。
【0031】
また、画像分類処理部182は、インターネットなどのネットワークに接続された他の装置(例えば、サーバ装置など)によって提供される機能を利用して、処理T1~T4を実行させてもよい。この場合、画像分類処理部182は、処理を依頼するための情報を当該他の装置に送信し、当該他の装置により行われた当該処理の結果を受信する。
なお、処理T1~T4のうち、全体の処理が当該他の装置によって行われてもよく、或いは、一部の処理が当該他の装置によって行われてもよい。
また、情報処理装置111では、当該他の装置に処理を依頼する場合、例えば、当該処理に使用されるデータ(例えば、画像データ)を、記憶部134の代わりに又は記憶部134とともに、外部記憶装置に格納していてもよい。つまり、情報処理装置111では、当該データを当該外部記憶装置から当該他の装置に提供してもよい。
【0032】
[教師データ生成処理]
図3は、実施形態に係る教師データ生成部181により行われる教師データ生成処理の一例を示す図である。
本例では、ユーザーの作業も含めて、教師データを生成する処理の流れの一例を示す。
【0033】
(ステップS1)
教師データ生成部181は、教師データ172を生成する元となる複数の画像データ(画像データ群)を収集する。そして、ステップS2の処理へ移行する。
ここで、画像データの収集処理は、例えば、あらかじめ定められた規則にしたがって教師データ生成部181により自動的に行われてもよく、或いは、ユーザー又は他の装置の機能を用いて行われてもよい。
【0034】
情報処理装置111では、これら複数の画像データを、入力部131により、外部記憶媒体から入力する。
他の例として、情報処理装置111では、これら複数の画像データを、通信部133により、外部装置から受信することで入力してもよい。当該外部装置は、例えば、インターネットに接続された他のコンピューター(例えば、サーバ装置など)であってもよい。
【0035】
(ステップS2)
教師データ生成部181は、教師データを生成する元となる複数の画像データについて、画像分類処理を行う。これにより、教師データ生成部181は、クラスタリングの結果を取得する。そして、ステップS3の処理へ移行する。
ここで、本実施形態では、画像分類処理部182によって、図2に示される画像分類処理が行われる。当該画像分類処理は、他の装置(例えば、サーバ装置など)に依頼することで、行われてもよい。
【0036】
(ステップS3)
教師データ生成部181は、表示部151の画面に、クラスタリングの結果を表示する。そして、ステップS4の処理へ移行する。
【0037】
(ステップS4)
教師データ生成部181は、クラスタリングの結果に基づいて、ユーザーによりグループ分けを行う作業を支援する。そして、ステップS5の処理へ移行する。
【0038】
(ステップS5)
教師データ生成部181は、ユーザーによって行われたグループ分けの結果に基づいて、生成された教師データ172を記憶部134に記憶する。
【0039】
<クラスタリング結果の例>
図4は、実施形態に係るクラスタリング結果の一例を示す図である。
図4には、クラスタリング結果の一例を表示する表示部151の画面211の一例を示してある。
本実施形態では、クラスタリング結果が二次元平面に展開されている。
本実施形態では、クラスタリング結果の表示は、教師データ生成部181の制御により行われる。
【0040】
本例では、クラスタリング処理に用いられた複数の画像データのそれぞれが所定のマーク(例えば、丸印など)で表されている。
本例では、それぞれの画像データを表すマークの配置によりクラスタ結果が示されている。
【0041】
それぞれの画像データは、1以上のクラスタ(通常は、複数のクラスタ)のうちのいずれかに分類されている。それぞれのクラスタ毎のマークは、異なる表示態様(例えば、異なるマーク形状、異なる色、又は、異なる模様などの態様)となっている。
また、本例では、マーク間の距離が類似性を表している。つまり、当該距離が小さい方がより類似していることを表し、当該距離が大きい方がより非類似である(類似していない)ことを表している。
なお、互いに類似する画像データであっても、異なるクラスタに分類されることがあり得る。
図4の例では、それぞれ異なるマークによりクラスタ1~クラスタ6のクラスタが示されている。例えば、クラスタ1とクラスタ4の一部とが近接しているが、これらは異なるクラスタに分類されている。
【0042】
図5は、実施形態に係るクラスタリング結果に基づいてユーザーにより選択されたマークの画像を表示する画面212の一例を示す図である。
制御部135(例えば、教師データ生成部181)は、画面212において、クラスタリング結果のグラフ上で選択されたマーカーに該当する画像(選択画像)をポップアップの枠252で表示する。ここで、選択されたマーカーは、例えば、所定の色(例えば、赤)のマーカーとしてアクティブにされてもよい。
図5の例では、画面212には、図4の例と同様なクラスタリング結果と、1個のマーカーを選択するカーソル251と、カーソル251によって選択されたマーカーに該当する画像(選択画像)を表示するポップアップの枠252と、を示してある。ポップアップの枠252の中に選択画像が表示されている。
【0043】
ここで、図5の例では、選択画像は、所定の欠陥部の画像である。当該画像は、例えば、生画像であってもよく、あるいは、生画像が加工された画像であってもよい。なお、図5の例では、選択画像は、説明のためのイメージを例示する画像である。
ユーザーは、画面212に表示されるカーソル251の位置を変更することで、任意のマークを選択(指定)できる。
【0044】
このように、ユーザーは、各クラスタ毎に仕分けされる画像(選択画像)を実際に確認できるため、各クラスタの特徴及び傾向をインタラクティブに把握できる。そして、ユーザーは、クラスタリング結果及び選択画像をもとに、これらの画像を更に詳細に再仕分けする(本実施形態では、グループ分けする)ことが可能であり、より効率的に教師画像を選定できる。
【0045】
図6は、実施形態に係るクラスタリング結果に基づいてユーザーによりグループ分けを行う画面213の一例を示す図である。
図6の例では、画面213には、図4の例と同様なクラスタリング結果を示してある。
本実施形態では、クラスタリング結果に基づくグループ分けの支援は、教師データ生成部181の制御により行われる。
【0046】
ユーザーは、画面213に示されるクラスタリング結果とマーカーにより参照される画像(本実施形態では、図5に示される選択画像)を見ながら、操作部141を操作することで、画像データをグループ分けできる。
図6の例では、ユーザーは、画面213に表示される枠271の形状及びサイズを変更して、所定の決定操作(例えば、マウスのクリック等)を行うことで、枠271の内部に含まれる画像データを同一のグループに属する画像データであると設定できる。
【0047】
この場合、教師データ生成部181は、ユーザーにより設定されたグループ分けにしたがって教師データ172を生成する。
例えば、教師データ生成部181は、同一のグループに属する画像データの集合から、所定の目的を持った教師データ172を生成してもよい。当該所定の目的は、例えば、連続的に変化する所定の特徴部(例えば、欠陥の部分など)に関連する値(例えば、発生場所など)を推定するという目的などであってもよい。
【0048】
ここで、図6の例では、枠271を用いてグループ分けが行われる場合を示したが、グループ分けを行う手法としては、任意の手法が用いられてもよく、ユーザーによりグループ分けを指定等するUI(User Interface)として任意のツールが用いられてもよい。
また、本実施形態では、説明の便宜上、クラスタとグループとを区別して説明するために別の用語としているが、これらは同じ用語で呼ばれてもよい。
【0049】
本実施形態では、ユーザーは、例えば、クラスタリング結果を参照して、クラスタリング結果とは異なる態様で、画像データをグループ分けできる。
ユーザーは、例えば、視覚的な感覚で、複数の画像データの関連性(クラスタリング結果)の連続性を考慮して、画像データを再分類できる。
画像データの再分類としては、例えば、2個以上のクラスタを合体させて1個のグループを生成すること、あるクラスタに他のクラスタに含まれる画像データを含めること、或いは、あるクラスタから一部の画像データを除外すること、などが可能である。
【0050】
ここで、本実施形態では、教師データ生成部181は、画像分類処理部182によって、画像データの再分類の処理を行う。
なお、本実施形態では、説明の便宜上、教師データ生成部181が有する画像分類処理機能の部分を画像分類処理部182として示した。
【0051】
本実施形態では、教師データ生成部181が、クラスタリング結果に対してユーザーがグループ分けした結果に基づいて教師データ172を生成する場合を説明したが、他の例として、クラスタリング結果をそのままグループ分けの結果として教師データ172を生成してもよい。
つまり、ユーザーによるグループ分けの結果を採用して教師データ172を生成してもよく、或いは、ネットワーククラスタリングの結果をそのまま採用して教師データ172を生成してもよい。
【0052】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置111では、連続的に変化する特徴部を有する画像データを分類できる。
本実施形態に係る情報処理装置111では、特に、このような画像データを用いた教師データの生成を支援できる。
【0053】
本実施形態では、連続的に変化する特徴部を有する画像データを分類する情報処理装置111であって、画像分類処理部182は、当該画像データの画像特徴量を抽出し、抽出した画像特徴量に基づいて隣接行列を生成し、生成した隣接行列に基づいて当該画像データのクラスタリングを行うことで、当該画像データを分類する。
したがって、情報処理装置111では、連続的に変化する特徴部を有する画像データを分類できる。
【0054】
本実施形態に係る情報処理装置111では、表示部151は、画像分類処理部182による分類結果を表示する。
したがって、情報処理装置111では、当該分類結果をユーザーに提示することができ、ユーザーは当該分類結果を視覚的に把握できる。
ここで、当該分類結果は、例えば、それぞれの画像データを表すマークをネットワーク状に配置する態様で表示されてもよい。
【0055】
本実施形態に係る情報処理装置111では、操作部141は、ユーザーによる操作を受け付ける。また、画像分類処理部182は、操作部141によって受け付けられた操作に応じて、表示部151によって表示された分類結果に基づいて画像データの再分類を行う。
したがって、情報処理装置111では、ユーザーは、例えば機械学習の機能を用いていったん行われた画像データの分類結果を参考にして、当該ユーザーの判断により、画像データのグループ分け(再分類)が可能である。
つまり、ユーザーは、いったん行われた分類結果を利用して、人(当該ユーザー)の感覚などに基づいてその分類結果の一部変更等が可能である。
【0056】
本実施形態に係る情報処理装置111では、教師データ生成部181は、画像分類処理部182による画像データの分類の結果又は再分類の結果に基づいて、当該画像データを用いた教師データを生成する。
したがって、情報処理装置111では、このような画像データを用いた教師データの生成を支援できる。
【0057】
本実施形態に係る情報処理装置111では、画像データは、所定の流れ方向に流されながら製造されるガラス板について、当該ガラス板の面に発生する製造時の欠陥の深さを把握可能な画像データである。また、連続的に変化する特徴部は、当該深さである。また、当該教師データは、当該欠陥の発生位置毎に分類された画像データを含む。
したがって、情報処理装置111では、ガラス板の欠陥の部分を含む画像データと当該欠陥の発生位置とを対応付ける教師データの生成を支援できる。
【0058】
本実施形態では、情報処理装置111により行われる処理の方法を提供できる。
例えば、情報処理装置111が連続的に変化する特徴部を有する画像データを分類する情報処理方法であって、情報処理装置111が、当該画像データの画像特徴量を抽出し、抽出した画像特徴量に基づいて隣接行列を生成し、生成した隣接行列に基づいて当該画像データのクラスタリングを行うことで、当該画像データを分類する。
したがって、当該情報処理方法では、連続的に変化する特徴部を有する画像データを分類できる。
【0059】
本実施形態では、情報処理装置111を構成するコンピューターを動作させるプログラム(コンピュータープログラム)を提供できる。
例えば、プログラムは、コンピューターに、連続的に変化する特徴部を有する画像データの画像特徴量を抽出する機能と、抽出した画像特徴量に基づいて隣接行列を生成する機能と、生成した隣接行列に基づいて当該画像データのクラスタリングを行うことで、当該画像データを分類する機能と、を実現させる。
したがって、当該プログラムでは、連続的に変化する特徴部を有する画像データを分類できる。
【0060】
ここで、本実施形態では、連続的に変化する特徴部が類似する画像データを収集することで、ユーザーは、ランダムな全ての画像データを見る必要はなく、ピックアップされた画像データを確認することで、アノテーション作業を完了できる。例えば、ある程度学習させているモデルの特徴量を用いて類似する画像データのクラスタリングを行うことで、アノテーション作業の負荷を低減できる。
ユーザーは、例えば、数万点の画像判定を1人で短時間(例えば、1時間程度)の実質作業で完了できる。
【0061】
例えば、アノテーションツールの画面表示方法を実施可能である。
この方法では、画像データから画像特徴量を抽出し、抽出した画像特徴量を次元圧縮することによって低次元表現にプロットし、当該プロットと当該画像データとを対応付けた形式で表示する。
【0062】
例えば、範囲を指定して一括で画像データにアノテーションする方法を実施可能である。
この方法では、画像データから画像特徴量を抽出し、抽出した画像特徴量を次元圧縮することによって低次元表現にプロットし、低次元表現の一部の領域に存在するプロットに対応する画像データに一の分類を付与する。
【0063】
(具体例:ガラス板の欠陥部を含む画像)
図7図10を参照して、本実施形態に係る情報処理装置111の適用例を説明する。
【0064】
[ガラス製造装置]
図7は、実施形態に係るガラス製造装置1の概略的な構成例を示す図である。
図7には、説明の便宜上、三次元直交座標系であるXYZ直交座標系を示してある。
ガラス製造装置1は、熔解窯11と、フロートバス12と、徐冷炉13と、洗浄検査・切断部14と、を備える。
【0065】
熔解窯11では、熔解工程の処理が行われる。
熔解工程では、複数種類の原料を混ぜて調製したガラス原料を熔解して、溶融ガラスを得る。ガラス原料は、熔解窯11の内部に投入された後、バーナから噴射される火炎の輻射熱や電気熔融などの加熱手段によって熔解され、溶融ガラスとなる。
【0066】
フロートバス12では、成形工程の処理が行われる。
成形工程では、熔解工程で得られる溶融ガラスを浴槽内の溶融スズ上に連続的に供給し、溶融スズ上で溶融ガラスを流動させて成形し、板状のガラスであるガラス板(所謂、ガラスリボン)を得る。ガラス板は、所定方向に流動しながら冷却され、溶融スズから引き上げられる。
【0067】
徐冷炉13では、徐冷工程の処理が行われる。
徐冷工程では、成形工程で得られるガラス板を徐冷炉13の内部で徐冷する。ガラス板は、徐冷炉13の内部において、徐冷炉13の入口から出口に向けて、ロール上を水平に搬送されながら徐冷される。
【0068】
洗浄検査・切断部14では、洗浄検査工程の処理、及び、切断工程の処理が行われる。
洗浄検査工程では、徐冷工程で徐冷されたガラス板に対して洗浄検査を行う。
切断工程では、徐冷工程で徐冷されたガラス板を切断機で所定寸法に切断する。切断工程において、ガラス板の幅方向両縁部(所謂、耳部)が切除される。ガラス板の幅方向両縁部は、表面張力等の影響で肉厚になるため、切除される。
切断工程の後、ガラス板が出荷される。
【0069】
[フロートバス]
図8は、実施形態に係るフロートバス12の構成例を示す断面図である。
図8には、図7の場合と同様なXYZ直交座標系を示してある。
図8に示される断面は、X軸の負側から正側を見た視点でのフロートバス12の側方断面である。
本実施形態では、説明の便宜上、フロートバス12における溶融ガラスG(ガラス板)の上面(Z軸の正側の面)を表面とし、下面(Z軸の負側の面)を裏面として説明するが、これらの面は他の呼称で呼ばれてもよい。
【0070】
フロートバス12は、浴槽22内の溶融スズM上に連続的に供給された溶融ガラスGを、溶融スズM上で流動させて成形する。溶融ガラスGは、フロートバス12の入口21付近で溶融スズM上に供給された後、所定方向に流動しながら冷却され、フロートバス12の出口23付近で溶融スズMから引き上げられる。
フロートバス12は、溶融スズMを収容する浴槽22、浴槽22の外周上縁に沿って設置される側壁24、及び側壁24に連結されて浴槽22の上方を覆う天井26などで構成される。天井26には、浴槽22と天井26との間に形成される空間28に還元性ガスを供給するガス供給路30が設けられている。ガス供給路30には、加熱源としてのヒータ32が挿通されている。
【0071】
ガス供給路30は、溶融スズMの酸化を防止するため、フロートバス12内の空間28に還元性ガスを供給する。還元性ガスは、例えば、水素ガスを1~15体積%、窒素ガスを85~99体積%含んでいる。フロートバス12内の空間28は、側壁24を構成する煉瓦同士の隙間などから大気が混入することを防止するため、大気圧よりも高い気圧に設定されている。
ヒータ32は、フロートバス12内の温度分布を調節するため、例えば、溶融ガラスGの流動方向(Y方向)及び幅方向(X方向)に間隔をおいて複数設けられている。ヒータ32の出力は、フロートバス12の入口21から出口23に向かうほど溶融ガラスGの温度が低くなるように制御される。ヒータ32の出力は、溶融ガラスGの厚さが幅方向(X方向)に均一になるように制御される。
【0072】
浴槽22は、上方に開放された箱状の金属ケース34、並びに金属ケース34内に設置されるボトム煉瓦36及びサイド煉瓦38で構成される。金属ケース34は、浴槽22内に側方或いは下方から大気が混入することを防止する。複数のボトム煉瓦36は、熱膨張によって互いに接触しない程度の僅かな間隔をおいて二次元的に配列されている。複数のボトム煉瓦36は、環状に並ぶ複数のサイド煉瓦38で囲まれている。
【0073】
浴槽22内の溶融スズMは、ヒータ32によって上方から加熱されることで、下方に向かうほど低温になる。このため、溶融スズMに溶存したガス成分(例えば、酸素、水素、水など)は、比較的低温のボトム煉瓦36の上面36aで過飽和析出し、気泡Bを形成する。また、ボトム煉瓦36中を透過したガス(例えば水素など)は、ボトム煉瓦36の上面36aで気泡Bを形成する。
これらの気泡Bは、ある程度の大きさに成長すると、ボトム煉瓦36の上面36aから離れ、溶融スズMと溶融ガラスGの界面まで浮上し、溶融ガラスGの下面に凹状の欠陥を形成する。この結果、製品であるガラス板の溶融スズMとの接触面(裏面)に凹状の欠陥(FOBB)が形成される。
【0074】
上述のようなガラス板の欠陥は、ガラス板の裏面に開口した半球状の凹型の欠点として現れる。すなわち、当該欠陥は、フロートバス12で発生した気泡がガラス板(図8では、溶融ガラスG)の裏面に押し付けられることで発生する。
このような欠陥は、防止されるべきであり、例えば、1個の欠陥があるだけでガラス板が廃棄される場合もある。特に、ディスプレイ用のガラス板では、このような欠陥はデバイス製作時に配線の断線を引き起こす可能性があるため防止されるべきである。
【0075】
[欠陥の発生位置と性質]
<流れ方向の位置>
図9は、実施形態に係るフロートバス12の流れ方向における欠陥の発生位置と性質との関係を模式的に示す図である。
図9には、説明の便宜上、フロートバス12の流れ方向に相当するY軸を示してある。
フロートバス12の流れの上流側(Y軸の負側)では、下流側(Y軸の正側)と比べて、溶融ガラスGの温度が高く、溶融ガラスGの粘度が低い。
逆に言えば、フロートバス12の流れの下流側では、上流側と比べて、溶融ガラスGの温度が低く、溶融ガラスGの粘度が高い。
【0076】
図9には、フロートバス12の流れの上流側で発生した欠陥について、上方(Z軸の正側)から当該欠陥を俯瞰した場合の輪郭A1、及び、側方(X軸に平行な方向)から当該欠陥の断面を見た場合の深さD1の例を模式的に示してある。
また、図9には、フロートバス12の流れの下流側で発生した欠陥について、上方(Z軸の正側)から当該欠陥を俯瞰した場合の輪郭A2、及び、側方(X軸に平行な方向)から当該欠陥の断面を見た場合の深さD2の例を模式的に示してある。
ここで、図9の例では、幅方向(X軸に平行な方向)における欠陥の傾きについては考慮していない。
【0077】
フロートバス12の流れの上流側で発生した欠陥は、下流側で発生した欠陥と比べて、楕円状(円状も含む。)の輪郭A1の長径と短径との比(本実施形態では、アスペクト比とも呼ぶ。)が大きくなり、深さD1が大きくなる、といった性質を持つ。
逆に言えば、フロートバス12の流れの下流側で発生した欠陥は、上流側で発生した欠陥と比べて、楕円状(円状も含む。)の輪郭A2のアスペクト比が小さくなり、深さD2が小さくなる、といった性質を持つ。
ここで、本実施形態では、楕円状(円状も含む。)の輪郭を想定してアスペクト比を定義したが、他の形状の輪郭についてもアスペクト比が任意に定義されてもよい。一例として、任意の形状について、当該形状に外接する四角形を想定して、当該四角形の長径と短径との比をアスペクト比としてもよい。
【0078】
このように、欠陥の深さは、温度及び粘性と相関し、流れ方向における当該欠陥の発生位置(Y軸に平行な方向における位置)と相関する。そして、流れ方向における欠陥の発生位置が連続的に変化することに伴い、当該欠陥の深さも連続的に変化するという特徴が存在する。
本実施形態では、このような特徴を、連続的に変化する特徴として用いる。また、この相関に着目して欠陥の発生位置を推定できる。この相関に着目した点は、新規かつ否容易であると考えられる。
すなわち、本実施形態では、歪み(欠陥)と発生位置との連続的な対応の関係性に着目している。具体的には、本出願人は、ガラス板の製造工程の成形工程(ガラス板が変形している工程であり、フロート法ではバス工程)で欠陥が生じた場合、流れ方向の位置によって、欠陥を三次元測定法(例えば、シュリーレン法)で撮像した画像が連続的に異なることを見出した。なお、本出願人は、三次元測定法で撮像した画像を考慮することで、欠陥が成形工程のどこで発生したのかを明らかにでき、オペレーションの向上につながるとも考えた。
このような連続的な相関性は、ガラス板の温度及び粘性が変化することに起因する。そして、ガラス板の流れ方向に沿って当該ガラス板の温度が変化することから、欠陥が発生した際の当該ガラス板の温度の違いによって、三次元測定法で撮像した画像にも違いが発生する。
【0079】
<流れ方向の区分>
図10には、流れ方向における3個の領域として、上流P1、中流P2、下流P3の領域を示してある。
このような流れ方向の区分は、欠陥の発生位置の推定などに利用されてもよく、或いは、利用されなくてもよい。
なお、図10の例では、流れ方向を3個の領域に区分した場合を示したが、区分の数及びそれぞれの領域の大きさは任意であってもよい。
【0080】
<幅方向の位置>
図10は、実施形態に係るフロートバス12の幅方向における欠陥の発生位置と性質との関係を模式的に示す図である。
図10には、説明の便宜上、XY座標を示してある。
図10には、フロートバス12を上方(Z軸の正側)から俯瞰した場合の溶融ガラスGの様子を模式的に示してある。具体的には、図10には、フロートバス12における溶融ガラスGの幅の領域を表すガラス幅領域Eを示してある。流れ方向におけるガラス幅領域Eは、流れ方向におけるガラス幅の変化を表す。
【0081】
溶融ガラスGには、幅方向の外側(両方の外側)に向かう引張力F1~F4が印加される。これにより、ガラス幅領域Eは、流れの上流から下流に向かって、連続的に、次第に幅が広くなっていく。
このため、溶融ガラスGに発生した欠陥は、発生位置から下流に行くにつれて、連続的に、幅方向の外側に移動する。例えば、発生位置に示されている欠陥部H1は、それよりも下流において、幅方向の外側に移動した欠陥部H1aとなる。また、例えば、発生位置に示されている欠陥部H2は、それよりも下流において、幅方向の外側に移動した欠陥部H2aとなる。
ここで、欠陥部は、ガラス板に発生した欠陥が画像に映った部分(画像部分)を表す。
【0082】
<検査部>
図10には、欠陥の検査部311(図7では洗浄検査・切断部14の検査部)を概略的に示してある。
図10の例では、検査部311は、幅方向に並ぶ3個の撮像部C1~C3を有する。
撮像部C1は、検査領域R1の画像を撮像する。撮像部C2は、検査領域R2の画像を撮像する。撮像部C3は、検査領域R3の画像を撮像する。ここで、検査領域R1、検査領域R2、検査領域R3は、それぞれの撮像部C1~C3に対応して幅方向に並んでいる。
図10の例では、検査領域R1に欠陥部H12が存在し、検査領域R3に欠陥部H11が存在する。ここで、欠陥部H11は欠陥部H1及び欠陥部H1aに対応し、欠陥部H12は欠陥部H2及び欠陥部H2aに対応する。
また、図10の例では、検査領域R2には欠陥部が存在しない。
このように、それぞれの撮像部C1~C3は、ガラス板の一部の領域の画像を撮像する。当該領域に欠陥が含まれる場合には、当該画像に当該欠陥が写った部分(欠陥部)が含まれる。
【0083】
ここで、本実施形態では、3個の撮像部C1~C3を示したが、撮像部の数は任意であってもよい。
また、幅方向に並ぶ検査領域R1~R3は、図10ではそれぞれの検査領域R1~R3を見易くするために互いに離隔した位置に示してあるが、例えば、互いに隣接していてもよく、つまり、総じて溶融ガラスGの幅方向の全体を検査できるものであってもよい。あるいは、図10に示されるように、互いに離隔した複数の検査領域が用いられてもよい。
また、図10では、それぞれの撮像部C1~C3を簡易的に示してあるが、それぞれの撮像部C1~C3は複数のカメラなどの機器が組み合わされた部位であってもよい。
【0084】
ここで、流れ方向の発生位置が同じ欠陥では、幅方向の発生位置によって検査部311で検出される欠陥部の幅方向の位置が連続的に変化すると考えられる。
例えば、流れ方向の発生位置が同じ欠陥では、幅方向の発生位置が右側(例えばX軸の負側)であるほど、検査部311で検出される欠陥部の幅方向の位置も右側(例えばX軸の負側)になると考えられる。
【0085】
<欠陥部を含む画像>
本実施形態で用いられる画像について説明する。
本実施形態では、機械学習の教師データ、及び学習済みモデルによって判定を行う対象のデータとして、深さに相関がある画像のデータが用いられる。
このような画像の例として、撮像対象が搬送状態にあり、厚さが1mm以下の透明体のμmオーダーの欠陥深さと相関する画像が用いられる。
より具体例として、このような画像として、シュリーレン法によって取得される画像が用いられてもよい。例えば、シュリーレン法で、透明体の面に生じる歪みを深さと置き換え、歪みの情報を説明変数、欠陥の深さ情報を目的変数として学習させて、歪みの情報から欠陥の発生位置を推定することが実現される。
【0086】
<シュリーレン法>
ここで、シュリーレン法としては、一般的に知られている任意の手法が用いられてもよい。
なお、シュリーレン法は、透明な気体、液体及び固体中の不均質状態が密度勾配となって通過光が曲げられる場合に、この僅かな屈折率の変化を平行度の高い光により大きな明暗の差に変えて観測する手法である。これにより、シュリーレン法では、被測定物の密度分布が明暗のコントラストとして観測される。ここで、シュリーレン法によって取得される画像には深さ情報が含まれるが、シュリーレン法は、本来的には、深さの情報を取得するための手法ではない。
なお、シュリーレン法が用いられる場合、撮像部C1~C3としては、シュリーレン法を実現するための複数の機器(カメラなど)から構成される。
【0087】
ここで、本実施形態で用いられる画像の取得手法として、シュリーレン法は一例であり、他の手法が用いられてもよい。
本実施形態では、例えば、ガラス板の面に欠陥が発生したときの変形量の情報を画像により取得できればよく、光干渉式、三角測量式、又は、白色干渉顕微鏡などのように、三次元測定が可能な手法が用いられてもよい。
【0088】
学習モデル171では、例えば、入力された画像データの特徴量(画像特徴量)を抽出し、当該特徴量に基づいて推定結果(判定結果)を出力する。当該特徴量は、ガラス板の面の歪み(欠陥)を表す情報である。
当該推定結果は、欠陥の発生位置を各位置毎に、又は、位置の範囲を用いて特定する。当該推定結果が位置の範囲を特定する場合には、当該範囲に発生位置がある可能性が高いという絞り込みが可能である。
【0089】
なお、本実施形態では、画像データの特徴量を抽出する特徴量抽出部の機能と、抽出された当該特徴量に基づいて欠陥の発生位置に関する推定結果(判定結果)を出力する推定部の機能と、が一体化されて学習モデル171に含まれる場合を示す。
他の例として、特徴量抽出部の機能と、推定部の機能とが、別々の学習モデルを用いて構成されてもよい。この場合、特徴量抽出部の機能を有する学習モデルに画像データが入力されて、当該学習モデルからの出力結果(特徴量の抽出結果)が推定部の機能を有する学習モデルに入力され、当該学習モデルからの出力が発生位置の推定結果(判定結果)として用いられる。
【0090】
例えば、検査部311によって取得される画像データ、又は、当該画像データが加工された画像データを、リアルタイムで入力部131から入力することで、判定部192は、常時、リアルタイムで欠陥の発生位置の判定処理を行ってもよい。
【0091】
ここで、本実施形態では、フロート法によって製造されるガラス板の裏面(下面)に発生する欠陥を対象としたが、フロート法以外の手法によって製造されるガラス板の所定面に発生する欠陥が対象とされてもよい。当該所定面は、表面(上面)であってもよい。
例えば、本実施形態に係る情報処理装置111による処理は、フロート法の代わりに、フュージョン法に適用されてもよい。
なお、シュリーレン法で取得される画像では、ガラス板の表面に発生した欠陥の画像部分(欠陥部)もしくはガラス板の裏面に発生した欠陥の画像部分(欠陥部)のどちらでも発生位置の推定ができる。
ガラス板の表面(上面)に発生する欠陥についても、例えば、上方からガラス板に落ちてくる金属片などのゴミに起因した凹状の欠陥となる。
【0092】
また、本実施形態では、説明を簡易化するために、1個の欠陥部を含む画像を例示して説明した。
他の例として、2個以上の欠陥部を含む画像のデータが、教師データ172又は判定対象データに含まれる場合があってもよい。
【0093】
また、本実施形態では、学習モデル171に対して学習を行う機能(学習制御部191の機能)と、学習済みモデル(学習済みの学習モデル171)を用いて判定を行う機能(判定部192の機能)と、が一体化されて情報処理装置111に備えられる場合を示した。
他の例として、これらの機能がそれぞれ別の装置(例えば、別のコンピューター)に備えられてもよい。
【0094】
また、本実施形態では、学習時に関して、学習制御部191と学習モデル171とが同じ装置(情報処理装置111)に備えられる場合を示した。他の例として、学習制御部191と学習モデル171とが別の装置(例えば、別のコンピューター)に備えられて、これらの装置が連携して本実施形態と同様な学習処理を行ってもよい。
また、本実施形態では、判定時に関して、判定部192と学習済みの学習モデル171とが同じ装置(情報処理装置111)に備えられる場合を示した。他の例として、判定部192と学習済みの学習モデル171とが別の装置(例えば、別のコンピューター)に備えられて、これらの装置が連携して本実施形態と同様な判定処理を行ってもよい。
【0095】
例えば、ガラス板の欠陥を撮像した画像データに基づいて、欠陥の種類或いは発生場所を予測するための学習モデルを取得しようとした場合、手動で注意深くアノテーションされた画像データを準備する必要がある。しかしながら、手動で画像データをアノテーションする作業は、非常に手間がかかる重複プロセスであり、手作業のコストが高く、効率が低い。また、アノテーションの時間経過につれて作業者の疲労等の関係から、誤りが発生する確率も明らかに増加することが予想される。
また、ガラス板の裏面の欠陥の深さ情報と関連する画像では、当該深さ情報は、離散的ではなく、連続的に変化する傾向にある。このため、教師データを作成するには、アノテーションのための教育MP、実際のアノテーション、アノテーションを修正する作業を含めて、多大な時間がかかってしまう。
【0096】
そこで、本実施形態に係る教師データ生成手法では、効率良くアノテーションすることを可能とし、効率良くアノテーションするための画像データの表示を行うことが可能である。
【0097】
例えば、欠陥の発生場所がアノテーションされた教師画像データを取得する方法を実施可能である。
この方法では、製造工程を複数の領域に区切り、これら複数の領域のうち一の領域(場所)において当該欠陥が発生しやすくなる条件でガラスを製造する。次に、この方法では、当該条件で製造したガラスに存在する欠陥を撮像した画像データにおいて、画像特徴量を抽出し、抽出した画像特徴量を次元圧縮することによって低次元表現にマッピングする。次に、この方法では、当該マッピングでの密度分布に基づいて、当該画像データに発生場所をアノテーションする。
【0098】
さらに、この方法では、通常状態で製造したときの欠陥画像データを同様に低次元表現にマッピングして、通常状態でのマッピングにおける密度分布と、上記の条件でのマッピングにおける密度分布と、を対比することにより、上記の画像データに発生場所をアノテーションしてもよい。この場合、通常状態よりも密度分布が高くなった領域の画像データに基づいて、当該領域が上記の「一の領域」であると考えられる。
また、類似画像のリンクに基づいてグラフクラスタリングが行われてもよく、密度情報を使用してクラスタリングが行われてもよい。
【0099】
例えば、ガラス板の品質検査結果を表示する方法を実施可能である。
この方法では、ガラス板の品質を検査する検査装置から検査結果データを取得し、取得した検査結果データに基づいて、当該ガラス板の欠陥箇所を通知する検査結果表示画面を表示部に表示する。そして、この方法では、当該検査結果表示画面を、当該ガラス板の形状を象ったガラス画像に欠陥箇所を対応付けた形式で当該表示部に表示する。
【0100】
(以上の実施形態について)
以上の実施形態では、情報処理装置111が画像分類処理を行うことで教師データを生成する場合を示したが、画像分類処理の結果は、必ずしも教師データを生成するために用いられなくてもよく、教師データ生成以外の処理に適用されてもよい。
【0101】
なお、以上に説明した任意の装置における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、オペレーティングシステム或いは周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワーク或いは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバー或いはクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。当該揮発性メモリーは、例えば、RAM(Random Access Memory)であってもよい。記録媒体は、例えば、非一時的記録媒体であってもよい。
【0102】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、或いは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク或いは電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイルであってもよい。差分ファイルは、差分プログラムと呼ばれてもよい。
【0103】
また、以上に説明した任意の装置における任意の構成部の機能は、プロセッサーにより実現されてもよい。例えば、実施形態における各処理は、プログラム等の情報に基づき動作するプロセッサーと、プログラム等の情報を記憶するコンピューター読み取り可能な記録媒体により実現されてもよい。ここで、プロセッサーは、例えば、各部の機能が個別のハードウェアで実現されてもよく、或いは、各部の機能が一体のハードウェアで実現されてもよい。例えば、プロセッサーはハードウェアを含み、当該ハードウェアは、デジタル信号を処理する回路及びアナログ信号を処理する回路のうちの少なくとも一方を含んでもよい。例えば、プロセッサーは、回路基板に実装された1又は複数の回路装置、或いは、1又は複数の回路素子のうちの一方又は両方を用いて、構成されてもよい。回路装置としてはIC(Integrated Circuit)などが用いられてもよく、回路素子としては抵抗或いはキャパシターなどが用いられてもよい。
【0104】
ここで、プロセッサーは、例えば、CPUであってもよい。ただし、プロセッサーは、CPUに限定されるものではなく、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、DSP(Digital Signal Processor)等のような、各種のプロセッサーが用いられてもよい。また、プロセッサーは、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によるハードウェア回路であってもよい。また、プロセッサーは、例えば、複数のCPUにより構成されていてもよく、或いは、複数のASICによるハードウェア回路により構成されていてもよい。また、プロセッサーは、例えば、複数のCPUと、複数のASICによるハードウェア回路と、の組み合わせにより構成されていてもよい。また、プロセッサーは、例えば、アナログ信号を処理するアンプ回路或いはフィルター回路等のうちの1以上を含んでもよい。
【0105】
以上、この開示の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この開示の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0106】
1…ガラス製造装置、11…熔解窯、12…フロートバス、13…徐冷炉、14…洗浄検査・切断部、21…入口、22…浴槽、23…出口、24…側壁、26…天井、28…空間、30…ガス供給路、32…ヒータ、34…金属ケース、36…ボトム煉瓦、36a…上面、38…サイド煉瓦、111…情報処理装置、131…入力部、132…出力部、133…通信部、134…記憶部、135…制御部、141…操作部、151…表示部、171…学習モデル、172…教師データ、181…教師データ生成部、182…画像分類処理部、191…学習制御部、192…判定部、211~213…画面、251…カーソル、252、271…枠、311…検査部、A1、A2…輪郭、B…気泡、C1~C3…撮像部、D1、D2…深さ、E…ガラス幅領域、F1~F4…引張力、G…溶融ガラス、H1、H1a、H2、H2a、H11、H12…欠陥部、M…溶融スズ、P1…上流、P2…中流、P3…下流
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10