(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125931
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】ストロボ装置、ストロボ装置の作動方法、およびストロボ装置の作動プログラム
(51)【国際特許分類】
G03B 15/05 20210101AFI20240911BHJP
G03B 7/28 20210101ALI20240911BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20240911BHJP
H04N 23/74 20230101ALI20240911BHJP
H04N 23/66 20230101ALI20240911BHJP
【FI】
G03B15/05
G03B7/28
H04N23/56
H04N23/74
H04N23/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034074
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 清一
【テーマコード(参考)】
2H002
2H053
5C122
【Fターム(参考)】
2H002CD09
2H002DB14
2H002DB25
2H002GA75
2H002HA04
2H053AA01
2H053AA06
2H053AA07
2H053AD14
2H053BA72
2H053BA76
2H053CA16
5C122EA12
5C122FD01
5C122FF01
5C122FF17
5C122FF26
5C122GC76
5C122GC86
5C122GG22
5C122HA75
5C122HA86
5C122HA88
(57)【要約】
【課題】ストロボ撮影において被写体の露出を適正にすることができるストロボ装置を提供する。
【解決手段】ストロボ装置は、発光部が発光し被写体で反射したストロボ光の反射光を検知する受光センサであって、被写体を含む撮影範囲の光量分布を取得可能な大きさの受光領域を有する受光センサと、プロセッサと、を備えており、プロセッサは、ストロボ光の発光量制御であって、カメラがオートフォーカス処理を実行した場合のAF情報であって、AF情報をカメラから取得し、AF情報に基づいて、受光領域内において被写体の位置に対応する測定位置を決定し、カメラの指令に基づいて、ストロボ光の発光と測定位置に入射する反射光の光量の測定とを開始し、光量の積算量が予め設定された目標値に到達した場合にストロボ光の発光を制限する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する撮像素子が出力する撮像信号に基づいてオートフォーカス処理を実行するカメラに用いられるストロボ装置であって、
ストロボ光を発光する発光部と、
前記発光部が発光し被写体で反射した前記ストロボ光の反射光を検知する受光センサであって、前記被写体を含む撮影範囲の光量分布を取得可能な大きさの受光領域を有する受光センサと、
プロセッサと、を備えており、
前記プロセッサは、
前記カメラが前記オートフォーカス処理を実行した場合のAF情報であって、AF情報を前記カメラから取得し、
前記AF情報に基づいて、前記受光領域内において前記被写体の位置に対応する測定位置を決定し、
前記カメラの指令に基づいて、前記ストロボ光の発光と前記測定位置に入射する前記反射光の光量の測定とを開始し、前記光量の積算量が予め設定された目標値に到達した場合に前記ストロボ光の発光を制限する、
ストロボ装置。
【請求項2】
前記AF情報は、前記撮影範囲内における合焦された前記被写体の位置を表す被写体位置と、前記撮影範囲を決める焦点距離とを含む請求項1に記載のストロボ装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、シャッタの全押し操作がなされた場合に、前記ストロボ光のプレ発光をすることなく、前記カメラの本撮影のための本発光を開始し、前記ストロボ光の発光量を制御する、
請求項1に記載のストロボ装置。
【請求項4】
前記反射光の光量分布を前記受光領域に結像させる結像光学系を有している、
請求項1に記載のストロボ装置。
【請求項5】
前記結像光学系は、少なくとも1枚の集光レンズを含む、
請求項4に記載のストロボ装置。
【請求項6】
前記結像光学系は、ピンホールである、
請求項4に記載のストロボ装置。
【請求項7】
前記受光センサは、二次元の受光面を有する二次元センサである、
請求項1に記載のストロボ装置。
【請求項8】
前記受光センサは、解像度を持たない受光素子と、前記受光領域内の任意の位置に前記受光素子を移動させる移動機構とによって構成される、
請求項1に記載のストロボ装置。
【請求項9】
被写体を撮像する撮像素子が出力する撮像信号に基づいてオートフォーカス処理を実行するカメラに用いられるストロボ装置の作動方法であって、
前記ストロボ装置は、
ストロボ光を発光する発光部と、
前記発光部が発光し被写体で反射した前記ストロボ光の反射光を検知する受光センサであって、前記被写体を含む撮影範囲の光量分布を取得可能な大きさの受光領域を有する受光センサと、
プロセッサと、を備えており、
前記プロセッサは、
前記カメラが前記オートフォーカス処理を実行した場合のAF情報であって、AF情報を前記カメラから取得し、
前記AF情報に基づいて、前記受光領域内において前記被写体の位置に対応する測定位置を決定し、
前記カメラの指令に基づいて、前記ストロボ光の発光と前記測定位置に入射する前記反射光の光量の測定とを開始し、前記光量の積算量が予め設定された目標値に到達した場合に前記ストロボ光の発光を制限する、
ストロボ装置の作動方法。
【請求項10】
被写体を撮像する撮像素子が出力する撮像信号に基づいてオートフォーカス処理を実行するカメラに用いられるストロボ装置の作動プログラムであって、
前記ストロボ装置は、
ストロボ光を発光する発光部と、
前記発光部が発光し被写体で反射した前記ストロボ光の反射光を検知する受光センサであって、前記被写体を含む撮影範囲の光量分布を取得可能な大きさの受光領域を有する受光センサと、
プロセッサと、を備えており、
前記カメラが前記オートフォーカス処理を実行した場合のAF情報であって、AF情報を前記カメラから取得し、
前記AF情報に基づいて、前記受光領域内において前記被写体の位置に対応する測定位置を決定し、
前記カメラの指令に基づいて、前記ストロボ光の発光と前記測定位置に入射する前記反射光の光量の測定とを開始し、前記光量の積算量が予め設定された目標値に到達した場合に前記ストロボ光の発光を制限する機能を、
前記プロセッサによって実現させるストロボ装置の作動プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、ストロボ装置、ストロボ装置の作動方法、およびストロボ装置の作動プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、カメラの撮影動作に同期して閃光発光する電子閃光装置(ストロボ装置に相当する)が記載されている。電子閃光装置は、閃光を発する発光部と、発光部が発する発光量を測定する閃光測光回路と、発光部を発光制御して予備発光を実施する予備発光制御部と、発光部を発光制御して本発光を実施する本発光制御部と、カメラとの間で情報伝達を行う情報伝達部とを備えている。予備発光制御部は、予備発光の開始後、カメラ側から予備発光停止信号を受けて予備発光を停止制御する。情報伝達部は、閃光測光回路が予備発光時に測定した予備発光量をカメラに情報伝達する。本発光制御部は、予備発光量および予備発光時のカメラ側受光量に基づいてカメラ側で決定される調光量に従って本発光を調光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示の技術に係る1つの実施形態は、ストロボ撮影において、従来と比べて、被写体の露出を適正にすることが可能なストロボ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の技術に係るストロボ装置は、被写体を撮像する撮像素子が出力する撮像信号に基づいてオートフォーカス処理を実行するカメラに用いられるストロボ装置であって、ストロボ光を発光する発光部と、発光部が発光し被写体で反射したストロボ光の反射光を検知する受光センサであって、被写体を含む撮影範囲の光量分布を取得可能な大きさの受光領域を有する受光センサと、プロセッサと、を備えており、プロセッサは、カメラがオートフォーカス処理を実行した場合のAF情報であって、AF情報をカメラから取得し、AF情報に基づいて、受光領域内において被写体の位置に対応する測定位置を決定し、カメラの指令に基づいて、ストロボ光の発光と測定位置に入射する反射光の光量の測定とを開始し、光量の積算量が予め設定された目標値に到達した場合にストロボ光の発光を制限する。
【0006】
AF情報は、撮影範囲内における合焦された被写体の位置を表す被写体位置と、撮影範囲を決める焦点距離とを含んでもよい。
【0007】
プロセッサは、シャッタの全押し操作がなされた場合に、ストロボ光のプレ発光をすることなく、カメラの本撮影のための本発光を開始し、ストロボ光の発光量を制御してもよい。
【0008】
反射光の光量分布を受光領域に結像させる結像光学系を有していてもよい。
【0009】
結像光学系は、少なくとも1枚の集光レンズを含んでもよい。
【0010】
結像光学系は、ピンホールであってもよい。
【0011】
受光センサは、二次元の受光面を有する二次元センサであってもよい。
【0012】
受光センサは、解像度を持たない受光素子と、受光領域内の任意の位置に受光素子を移動させる移動機構とによって構成されていてもよい。
【0013】
本開示の技術に係るストロボ装置の作動方法は、被写体を撮像する撮像素子が出力する撮像信号に基づいてオートフォーカス処理を実行するカメラに用いられるストロボ装置の作動方法であって、ストロボ装置は、ストロボ光を発光する発光部と、発光部が発光し被写体で反射したストロボ光の反射光を検知する受光センサであって、被写体を含む撮影範囲の光量分布を取得可能な大きさの受光領域を有する受光センサと、プロセッサと、を備えており、プロセッサは、カメラがオートフォーカス処理を実行した場合のAF情報であって、AF情報をカメラから取得し、AF情報に基づいて、受光領域内において被写体の位置に対応する測定位置を決定し、カメラの指令に基づいて、ストロボ光の発光と測定位置に入射する反射光の光量の測定とを開始し、光量の積算量が予め設定された目標値に到達した場合にストロボ光の発光を制限する。
【0014】
本開示の技術に係るストロボ装置の作動プログラムは、被写体を撮像する撮像素子が出力する撮像信号に基づいてオートフォーカス処理を実行するカメラに用いられるストロボ装置の作動プログラムであって、ストロボ装置は、ストロボ光を発光する発光部と、発光部が発光し被写体で反射したストロボ光の反射光を検知する受光センサであって、被写体を含む撮影範囲の光量分布を取得可能な大きさの受光領域を有する受光センサと、プロセッサと、を備えており、カメラがオートフォーカス処理を実行した場合のAF情報であって、AF情報をカメラから取得し、AF情報に基づいて、受光領域内において被写体の位置に対応する測定位置を決定し、カメラの指令に基づいて、ストロボ光の発光と測定位置に入射する反射光の光量の測定とを開始し、光量の積算量が予め設定された目標値に到達した場合にストロボ光の発光を制限する機能を、プロセッサによって実現させる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】ストロボ装置とカメラの概略構成を示す図である。
【
図2】ストロボプロセッサの機能の概略を示す図である。
【
図3】撮像素子の撮影範囲と受光センサの受光領域の関係を示す図である。
【
図5】合焦された被写体位置SPに対応する測定位置を示す図である。
【
図6】測定位置による発光量制御の作用を示す図である。
【
図7】測定位置による発光量制御の作用の別の例を示す図である。
【
図8】焦点距離と測定位置との関係を説明する図である。
【
図9】カメラとストロボ装置の動作手順を示す図である。
【
図10】ストロボ装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図11】比較例のカメラとストロボ装置の動作手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
一例として
図1に示すように、ストロボ装置10は、カメラ11に用いられる外付け用タイプのストロボ装置である。ストロボ装置10は、周知のように、主として夜間撮影など光量が不足する環境下において、被写体に照射する補助光としてストロボ光を発光する。カメラ11は、例えばミラーレス一眼デジタルカメラであり、本体11Aには、シャッタボタン24およびストロボ装置10を着脱自在に取り付けるための取付部26が設けられている。取付部26は、アクセサリーシューなどとも呼ばれ、ストロボ装置10とカメラ11とを電気的に接続する電気的な接点を含んでいる。
【0017】
カメラ11の内部には、カメラプロセッサ21、撮影レンズLC、シャッタ22および撮像素子23が設けられている。撮影レンズLCは、撮像素子23に被写体光を結像させるための結像光学系である。
図1においては撮影レンズLCを1枚のレンズで代表させているが、実際には複数枚のレンズによって構成される。撮影レンズLCは、撮影倍率を変化させることが可能なズームレンズである。また、撮影レンズLCは、ピント調節を行うための合焦用のフォーカスレンズを有しており、図示しないが、撮影レンズLCを収容するレンズ鏡胴11Bには、フォーカスレンズを駆動するための駆動機構が設けられている。
【0018】
レンズ鏡胴11Bは、ズーム操作を行うための操作リングを有しており、操作リングを回転させることによって、撮影レンズLCを構成する1枚以上のレンズが移動し、撮影倍率が変化する。もちろん、こうしたマニュアル操作の代わりに、モータによって駆動されるズームレンズ駆動機構によってズーム操作が行われてもよい。なお、カメラ11は、レンズ鏡胴11Bと、撮像素子23等が内蔵された本体11Aとが一体のタイプでもよいし、レンズ鏡胴11Bと本体11Aとが別体の、いわゆるレンズ交換タイプでもよい。
【0019】
撮像素子23は、被写体を撮像し、被写体を含む画像を表す撮像信号を出力する。例えばCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサであり、被写体光が結像される撮像面23Aを有している。撮像素子23は、撮像面23Aが撮影レンズLCの光軸OACと直交するように配されている。撮像素子23は、撮像面23Aに結像した被写体光を光電変換することにより、撮像した被写体を含む画像を表す撮像信号を電気信号として出力する。撮像素子23は、ライブビュー画像を出力する他、記録用の画像を出力する。
【0020】
シャッタ22は、撮像面23Aの前面に配置され、シャッタ膜を開閉することにより撮像面23Aに被写体光を入射させるメカニカルシャッタである。
【0021】
シャッタボタン24は、シャッタ操作を行うための操作部であり、半押し操作と全押し操作の二段階操作が行われる。シャッタ半押し操作によってオートフォーカス処理の実行指示がカメラプロセッサ21に対して入力され、全押し操作によって本撮影の実行指示がカメラプロセッサ21に対して入力される。
【0022】
カメラプロセッサ21は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリなどからなり、カメラ11の各部を統括的に制御する。カメラプロセッサ21は、AF(Auto Focus)処理部21Aを備えている。
【0023】
AF処理部21Aは、フォーカスレンズの駆動を制御し、被写体にピントを合わせるオートフォーカス処理を実行する。AF処理部21Aは、被写体を撮像する撮像素子23が出力する撮像信号に基づいて、オートフォーカス処理を実行する。一例として、AF処理部21Aは、位相差方式のオートフォーカス処理を実行する。位相差方式は、例えば、撮像素子23の撮像面23Aに埋め込まれた複数の位相差検出画素から出力される撮像信号に基づいて、被写体の像のボケの大きさと方向を検出することにより、フォーカスレンズの合焦位置を導出する。そして、AF処理部21Aは、導出した合焦位置に応じてフォーカスレンズの駆動量を決定し、決定した駆動量に基づいて駆動機構を制御することによりフォーカスレンズを合焦位置に移動させる。一般的に、位相差方式は、他の方式と比較して、短時間でピントを合わせることが可能である。なお、フォーカス処理としては、フォーカスレンズを移動させることにより、撮像信号が表す画像のコントラストの変化を見ながら合焦位置を探索するコントラスト方式などの他の方式でもよい。
【0024】
また、AF処理部21Aは、撮像素子23によって撮像される画像に写る撮影範囲IM(
図3および
図4等参照)の中から、人および移動体(鳥または自動車など)などの主要な被写体を検出する被写体検出機能を備えており、検出した被写体にピントを合わせることが可能である。人を検出する場合は、例えば、人の顔が検出されて、顔にピントが合わせられる。鳥の場合は、鳥の瞳が検出されて、瞳にピントが合わせられる。
【0025】
AF処理部21Aは、例えば、ライブビュー画像取得中にシャッタ半押し操作が行われると、被写体検出処理と、検出した被写体にピントを合わせるオートフォーカス処理とを実行する。
【0026】
カメラプロセッサ21は、オートフォーカス処理を実行した場合のAF情報をストロボ装置10に送信する機能を有する。AF情報は、撮影範囲IM内においてピントを合わせた主要な被写体の位置、すなわち合焦された被写体位置SP(
図3および
図4等参照)と、撮影レンズLCの焦点距離の情報を含む。焦点距離は、撮影レンズLCの画角、すなわち、撮像素子23で撮像される撮影範囲IMを決める。
【0027】
ストロボ装置10は、発光部31、ストロボプロセッサ32、受光センサ33、および受光レンズLRを備えている。発光部31は、例えば、キセノンランプなどのストロボ光を発光する光源31Aと、ストロボ光を被写体に向けて反射するリフレクタ31Bと、図示しない発光回路とを備えている。発光回路は、充電用のコンデンサ、および電源電圧を昇圧し、コンデンサを充電する充電回路、コンデンサを放電させ光源31Aの発光を開始させるスイッチなどを備えている。
【0028】
ストロボプロセッサ32は、発光回路を制御することにより、ストロボ光の発光を開始させる発光開始タイミング、およびストロボ光の発光を停止させる発光停止タイミングを制御する。ストロボプロセッサ32は、発光停止タイミングを制御することによりストロボ光の発光量を制御する。ストロボプロセッサ32は、本開示の技術に係る「プロセッサ」の一例である。
【0029】
受光センサ33は、ストロボ光の発光量の制御に用いられる光量センサであり、発光部31が発光し被写体で反射したストロボ光の反射光を検知する。受光センサ33は、例えば、複数の受光素子RE(
図4参照)が二次元に配列された受光面33Aを有する二次元センサである。受光素子REは、受光した光量によって抵抗値が変化する。受光素子REは、例えば、硫化カドミウム(CdS)を主成分とする光導電素子が用いられる。
【0030】
受光面33Aは、カメラ11によって撮影される被写体を含む撮影範囲IMの光量分布を取得可能な大きさの受光領域RA(
図2等を参照)を有する。受光面33Aは、受光レンズLRの光軸OARに対して直交するように配置される。ストロボ装置10は、カメラ11の撮影レンズLCに対して視差を有するように配置される。そのため、本例では、受光センサ33は、受光面33Aの受光領域RAに、撮影レンズLCの撮影範囲IMに対応する測定領域MA(
図3及び
図4参照)が含まれるように、受光面33Aと光軸OARとが交差する位置が撮影レンズLC側にオフセットされて配置されている。受光センサ33は、受光素子REが二次元に配列された受光面33Aを有するため、受光素子REのサイズおよび配列ピッチ等によって決まる解像度の範囲内で、受光領域RA内の任意の位置に入射する反射光を検知することが可能である。このため、ストロボプロセッサ32は、受光センサ33を用いることにより、カメラ11の撮影範囲IM内の任意の位置の光量を取得することが可能である。
【0031】
なお、受光センサ33は、撮像を目的とするものではなく、光量分布を取得することを目的とする光量センサであるため、撮像素子23と比較して、解像度は低くてもよい。
【0032】
受光レンズLRは、反射光の光量分布を受光領域RAに受光センサ33の受光面33Aに結像させる結像光学系である。受光レンズLRは、一例として、1枚の集光レンズによって構成されている。受光レンズLRの焦点距離は、受光面33Aの大きさに合わせて設定されている。受光レンズLRによって構成される結像光学系は、本開示の技術に係る「結像光学系」の一例である。
【0033】
ストロボプロセッサ32は、ストロボ装置10の各部を統括的に制御する。ストロボプロセッサ32は、カメラ11から取得したAF情報に基づいて、ストロボ光の発光量を制御する。
【0034】
図2に示すように、ストロボプロセッサ32は、CPU32A、メモリ32B、ストレージ32Cおよび通信部32Dを備えている。ストレージ32Cは、例えば、不揮発性メモリであり、ストロボ装置10を制御するためのプログラム36および設定情報37が格納されている。プログラム36は、本開示の技術に係る「作業プログラム」の一例である。CPU32Aは、プログラム36を実行することにより、ストロボ装置10の制御部として機能する。メモリ32Bは、CPU32Aがプログラム36を実行するための作業用メモリであり、RAM(Random Access Memory)で構成される。通信部32Dは、カメラ11との間で情報を通信する通信インターフェースである。通信部32Dは、取付部26を通じてカメラ11との間で情報を送受信する。
【0035】
カメラ11からストロボ装置10に送信される情報としては、カメラ11の動作とストロボ装置10の動作を同期させるための同期信号およびAF情報などがある。同期信号には、カメラ11が本撮影を行う場合において、ストロボ光の発光を本撮影に同期させるための同期信号などが含まれる。同期信号は、カメラ11からの指令の一例である。ストロボ装置10からカメラ11に送信される情報としては、ストロボ装置10の充電が完了し、発光準備が完了した旨を表す発光準備信号などがある。
【0036】
CPU32Aは、プログラム36を実行することにより、AF情報取得処理、測定位置決定処理、および発光量制御処理を実行する。AF情報取得処理は、カメラプロセッサ21からAF情報を取得する処理である。測定位置決定処理は、被写体で反射したストロボ光の反射光の光量を測定する測定位置であって、受光領域RA内において被写体位置SP(
図3及び
図4等参照)に対応する測定位置MP(
図3及び
図4等参照)を、AF情報に基づいて決定する処理である。合焦された被写体位置SPは、撮影範囲IM内において特定される位置である。
【0037】
そのため、受光センサ33の受光領域RA内において被写体位置SPに対応する測定位置MPを決定するためには、受光センサ33の受光領域RAと、撮像素子23の撮像面23Aとの相対的な位置関係を把握する必要がある。設定情報37に含まれる位置関係の情報は、このような相対的な位置関係に関する情報である。具体的には、受光レンズLRの光軸OARと撮影レンズLCの光軸OACとの間隔である。センサーサイズは、35ミリフルサイズまたはAPS-Cサイズなどの撮像素子23の撮像面23Aのサイズである。設定情報37には、例えば、ストロボ装置10に取り付け可能な複数種類のカメラ11に対応する位置関係およびセンサーサイズの情報が記録されている。
【0038】
測定位置決定処理では、このような位置関係およびセンサーサイズの情報と、AF情報とに基づいて、受光センサ33の受光領域RA内の測定位置MPを決定する。発光量制御処理は、カメラ11の指令に基づいて、ストロボ光の発光と測定位置MPに入射する反射光の光量の測定とを開始し、光量の積算量が予め設定される目標値に到達した場合にストロボ光の発光を停止する処理である。ストロボ光の発光の停止は、本開示の技術に係る「制限」の一例である。制限には停止に加えて、単位時間当たりの発光量を減光する場合も含まれる。
【0039】
図3および
図4を用いて、測定位置決定処理について説明する。
図3において、被写体Sは、被写体検出機能によって検出された被写体であり、オートフォーカス処理によって合焦された被写体の一例である。画像は、撮影レンズLCによって天地左右が反転した状態で、撮像素子23の撮像面23Aに結像する。画像の撮影範囲IMは、撮影レンズLCの焦点距離に応じた画角ωcで決定される。
図3において、被写体Sは人であり、顔にピントが合っている例を示す。被写体Sは、撮影範囲IMにおいては、天地左右が反転した状態で写り込む。被写体位置SPは、被写体Sのうち、顔などの合焦された位置を示す。
【0040】
一方、ストロボ装置10において、受光センサ33の受光面33Aの受光領域RAは、受光レンズLRの画角ωrによって決定される。受光レンズLRの画角ωrは、撮影レンズLCの画角ωcよりも大きい。受光領域RAには、撮影範囲IMに対応する測定領域MAの全域が含まれている。測定領域MAの光量分布は、撮影範囲IMの光量分布に対応する。受光センサ33は、測定領域MAの光量分布を取得することを通じて、撮影範囲IMの光量分布を取得する。
【0041】
ストロボプロセッサ32は、AF情報に含まれる撮影レンズLCの焦点距離に基づいて、画角ωcおよび撮影範囲IMの大きさを導出する。ストロボプロセッサ32は、導出した撮影範囲IMの大きさと、設定情報37に含まれる位置関係とセンサーサイズの情報とに基づいて、一例として、
図4の(A)に示すように、撮影範囲IMの位置および大きさに対応する測定領域MAの受光領域RAにおける位置および大きさを導出する。
【0042】
さらに、ストロボプロセッサ32は、AF情報に含まれる合焦された被写体位置SPに基づいて、受光領域RA内において、被写体位置SPに対応する位置を、測定位置MPに決定する。
図4に示す例では、ストロボプロセッサ32は、撮影範囲IM内において座標(Xs、Ys)で示される被写体位置SPに対応する位置を、撮影範囲IMに対応する測定領域MA内において特定する。そして、特定した位置の受光領域RAにおける座標(Xr、Yr)を求めて、この座標(Xr、Yr)で示される位置を測定位置MPと決定する。ストロボプロセッサ32は、測定位置MPに対応する1つ以上の受光素子REを選択し、選択された受光素子REが出力する受光信号に基づいて、反射光の光量を測定する。
【0043】
夜間撮影において被写体Sにストロボ光を照射して撮影した場合、
図4の(A)に示すA-A’線で示す受光領域RA内の光量分布は、
図4の(B)に示すように、被写体Sで反射するストロボ光の反射光の光量が多いため、被写体Sに対応する受光位置の光量が多い。一方、被写体Sの周囲ではストロボ光がほとんど反射しないため、周囲に対応する受光位置では反射光の光量は少ない。例えば、測定位置MP以外で測定した場合は、ストロボ光の反射は少ないため、ストロボ光の発光時間は長くなり、その分、被写体Sからの反射光の光量が多くなるため、被写体Sについては露出オーバーとなってしまう。被写体位置SPに対応する測定位置MPで反射光の光量を測定し、ストロボ光の発光量を制御することにより、被写体Sに対して適正な露出量が得られる。
【0044】
すなわち、
図5に示すようなシーンを考える。
図5の(A)は、撮影範囲IMにおいて合焦された被写体Sの他に、障害物41が写っている例である。障害物41は、被写体Sよりも手前にあり、ストロボ光の反射光の光量は多い。この場合、障害物41に対応する位置で測定される光量でストロボ光の発光量が制御されてしまうと、被写体Sは露出アンダーとなってしまう。また、
図5の(B)は、撮影範囲IMにおいて合焦された被写体Sの他に、電灯42が写っている例である。電灯42の発光量が多い場合は、電灯42に対応する位置で測定される光量でストロボ光の発光量が制御されてしまうと、
図5の(A)と同様に、被写体Sは露出アンダーとなってしまう。
【0045】
図5の(A)に示す例では、
図6に示すように、合焦された被写体位置SPで発光量制御を行うことにより、被写体Sの顔において適正露出が得られる。
図5の(B)に示す例においても、
図7に示すように、合焦された被写体位置SPで発光量制御を行うことにより、被写体Sの顔において適正露出が得られる。
【0046】
適正露出は、カメラ11の撮影条件に含まれる、ISO(International Organization for Standardization)感度、F値および露出補正値といったパラメータによって決定される。このような撮影条件は、例えば、カメラ11からストロボ装置10のストロボプロセッサ32に送信される。ストロボプロセッサ32は、カメラ11から取得した撮影条件に基づいて、発光量制御に用いる目標値を設定する。なお、このようなカメラ11の撮影条件を、カメラ11からストロボ装置10に送信する代わりに、ストロボ装置10に設定部を設けて、ユーザがマニュアルで設定できるようにしてもよい。
【0047】
図8を用いて、測定位置決定処理において撮影レンズLCの焦点距離が必要になる理由を説明する。
図8は、カメラ11から被写体Sまでの被写体距離が同じでも、焦点距離fが変化した場合に、受光領域RAにおける測定位置MPがどのように変化するかを示す図である。
【0048】
図8に示す例において、焦点距離f1は、焦点距離f2より短く、広角側の焦点距離fである。焦点距離f1の画角ωc1は、望遠側の焦点距離f2の画角ωc2よりも広い。カメラ11から被写体Sまでの被写体距離が同じでも、画角ωcが変化すると、画像に写る撮影範囲IMが変化し、撮影範囲IM内の被写体Sの大きさおよび位置も変化する。一方、受光レンズLRの焦点距離は固定であるため、撮影レンズLCの画角ωc、すなわち焦点距離fの変化は、受光領域RA内における撮影範囲IMに対応する測定領域MAの大きさおよび位置の大きさの変化として現われる。
【0049】
撮影範囲IM内における被写体Sの大きさは焦点距離fが長いほど大きくなる。一方、受光領域RAにおける、撮影範囲IMに対応する測定領域MAの大きさは、焦点距離fが長いほど小さくなるため、焦点距離f1の場合よりも、焦点距離f2の場合の方が測定領域MAは小さい。このため、撮影範囲IM内における被写体位置SP1(座標Xs1、Ys1で示す)および被写体位置SP2(座標Xs2、Ys2で示す)にそれぞれ対応する、受光領域RA内の測定位置MP1(座標Xr1、Yr1で示す)および測定位置MP2(座標Xr2、Yr2で示す)も、焦点距離fに応じて変化する。
【0050】
上記構成による作用について、
図9および
図10を参照しながら説明する。まず、
図9はストロボ光の発光が行われる場合のカメラ11とストロボ装置10の動作手順を示す。
図9に示すように、例えば、カメラ11は、起動されと、ライブビュー画像の表示を開始する。この状態でシャッタボタン24によるシャッタ半押し操作が行われると、AF処理が実行される。AF処理において、例えば、ライブビュー画像に基づいて画像内の被写体Sの検出が行われる。そして、位相差画像から出力される撮像信号に基づいて、検出された被写体Sに対応する被写体位置SPで合焦が行われる。AF処理は、いったん合焦された被写体位置SPでフォーカスロックをかけることもできれば、ライブビュー画像が更新する毎にAF処理を継続する、いわゆるコンティニュアスAF処理を実行することも可能である。コンティニュアスAF処理では、例えば、被写体Sの動きに応じて合焦位置が追従する。また、AF処理において、夜間撮影など光量が不足する環境下においては、例えば、シャッタ半押し操作に応じてストロボ装置10に対して同期信号が送信され、ストロボ装置10において、AF補助光として、AF用のストロボ光が発光される。
【0051】
カメラ11は、シャッタ全押し操作が行われると、AF情報をストロボ装置10に送信した後、本撮影準備処理を実行する。本撮影準備処理は、撮像素子23の電荷をリセットするリセット処理と、シャッタ22を開く動作とを含む。そして、ストロボ装置10から発光準備完了信号を受信すると、シャッタ22の開閉による本撮影を行う。カメラ11は、本撮影に同期してストロボ光が発光されるように、ストロボ装置10に対するカメラ11の指令として、同期信号を送信する。
【0052】
ストロボ装置10は、同期信号を受信すると、カメラ11による本撮影準備処理と並行して、測定位置決定処理を実行し、本撮影に同期してストロボ光の発光量制御を実行する。より詳細には、
図10のフローチャートに示すように、ストロボ装置10のストロボプロセッサ32は、カメラ11においてシャッタ半押し操作が行われた後、ステップS1100において、シャッタ全押し操作を待機する。そして、シャッタ全押し操作が行われると(ステップS1100でY)、カメラ11からAF処理を実行した場合のAF情報として、撮影レンズLCの焦点距離fと、合焦された被写体位置SPとを取得する(ステップS1200)。
【0053】
ステップS1300において、ストロボプロセッサ32は、測定位置決定処理を実行し、
図3~
図5で説明した要領で、AF情報に基づいて測定位置MPを決定する。ストロボプロセッサ32は、測定位置決定処理が終了し、発光回路の充電も終了している場合は、発光準備完了信号をカメラ11に送信する(ステップS1400)。
【0054】
ステップS1500において、ストロボプロセッサ32は、カメラ11の本撮影の同期信号を待機し、同期信号を受信すると(ステップS1500でY)、ストロボ光の発光を開始する(ステップS1600)。
【0055】
ステップS1700において、ストロボプロセッサ32は、決定した測定位置MPの反射光の光量を測定する。ステップS1800において、ストロボプロセッサ32は、光量の積算量が目標値に到達した場合は(ステップS1800でY)、ストロボ光の発光を停止する(ステップS1900)。
【0056】
このように、合焦された被写体位置SPに対応する測定位置MPで発光量制御を行うことにより、
図6および
図7に示したとおり、被写体Sに対して適正露出が得られる。すなわち、本開示の技術に係るストロボ装置10は、AF情報をカメラ11から取得し、AF情報に基づいて、受光領域RA内において被写体位置SPに対応する測定位置MPを決定する。そして、カメラ11の指令に基づいて、ストロボ光の発光と測定位置MPに入射する反射光の光量の測定とを開始し、光量の積算量が予め設定された目標値に到達した場合にストロボ光の発光を制限するから、ストロボ撮影において、こうした発光量制御を行わない従来と比較して、被写体の露出を適正にすることができる。
【0057】
また、上記実施形態では、ストロボ装置10では、本撮影においてストロボ光のプレ発光をせずに本撮影のための本発光を開始しているが、プレ発光を行ってもよい。
【0058】
ただし、プレ発光を行うことにより、次のような効果が得られる。すなわち、ストロボ装置10は、
図9に示したように、カメラ11の本撮影準備処理と並行して、測定位置決定処理を行う。そして、ストロボ装置10においてプレ発光をすることなく、カメラ11の本撮影のための本発光を開始し、発光量制御を実行する。そのため、
図11に示す比較例のようにストロボ光のプレ発光によりカメラ11が発光量制御をする場合と比較して、ストロボ光の応答性を高めることができるという効果も得られる。具体的には次のとおりである。
【0059】
図11に示す比較例において、カメラ11の本撮影準備処理までの動作は、
図9に示す動作と同様である。
図11に示す比較例においては、本撮影準備処理が終了した後、カメラ11がプレ発光による発光量決定処理を実行する。カメラ11は、ストロボ装置10に対して同期信号を送信する。ストロボ装置10は、同期信号を受信するとプレ発光を行う。プレ発光は、例えば、予め設定された光量で行われる。カメラ11は、プレ発光に同期して、撮像処理を実行し、プレ発光を補助光として被写体Sに照射して得た撮像信号を取得する。カメラ11は、撮像信号に基づいて被写体Sを適正露出にするための本撮影時のストロボ光の発光量を決定する。カメラ11は、決定した発光量と同期信号をストロボ装置10に送信し、本撮影を行う。ストロボ装置10は、カメラ11が決定した発光量でストロボ光を発光する。
【0060】
このように、比較例においては、本撮影準備処理の後、本撮影までの間にプレ発光による発光量決定処理が行われる分、本撮影までのタイムラグが生じる。対して、本開示の技術に係るストロボ装置10を用いた場合は、
図9に示すように、本撮影準備処理と測定位置決定処理とを並行して行うことができるため、プレ発光を行う場合と比較して、本撮影準備処理の後、本撮影までのタイムラグを短くすることができる。
図9に示すように、測定位置決定処理が本撮影準備処理の間に終了する場合は、シャッタ全押し操作から本撮影が開始されるまでの時間は、実質的にはストロボ撮影を行わない場合と同様の時間となる。そのため、良好な応答性を確保することができる。これにより、大切なシャッタチャンスを逃すことを抑制することができる。
【0061】
上記実施形態では、AF情報として、撮影範囲IM内における合焦された被写体Sの位置を表す被写体位置SPと、撮影範囲IMを決める焦点距離fとを含む情報を例示し、こうしたAF情報をストロボ装置10がカメラ11から取得する例で説明した。これに限らず、例えば、被写体位置SPのみを含むAF情報をカメラ11から取得してもよい。例えば、焦点距離fについてはストロボ装置10にマニュアルで設定できるようにしてもよい。
【0062】
上記実施形態では、受光センサ33として二次元の受光面33Aを有する二次元センサを用いているため、受光領域RA内における任意の位置の反射光の検知を、移動機構などのメカ機構を用いることなく、簡単な構成で行うことができる。
【0063】
(変形例1)
上記実施形態では、ストロボ装置10に用いる結像光学系として、受光レンズLRを用いた例で説明したが、
図12に示すように、受光レンズLRの代わりに、ピンホール51を結像光学系として用いてもよい。要するに、ピンホールカメラの原理で、受光センサ33に光量分布を結像させてもよい。結像光学系をピンホール51とすることで、受光レンズLRは不要となる。
【0064】
なお、上記実施形態のように、結像光学系として、集光レンズを含む受光レンズLRを用いた場合は、ピンホール51と比較して鮮明は光量分布を得ることができるため、より正確な発光量制御が可能となるという効果が得られる。
【0065】
(変形例2)
上記実施形態では、光量分布取得用の受光センサとして、二次元の受光面33Aを有する受光センサ33を用いた例で説明したが、受光センサ33の代わりに、
図13に示すように、解像度を持たない受光素子REと、受光領域RA内の任意の位置に受光素子REを移動機構52とによって受光センサを構成してもよい。ここで、解像度を持たないとは、空間的な分解能を持たない単一の素子で構成されていることを意味する。受光領域RAは、上述したとおり、撮影範囲IMの光量分布を取得可能な大きさを有しており、変形例2においては、移動機構52によって受光素子REが移動可能な最大範囲を含む領域である。移動機構52は、例えば、モータと二次元の移動ステージとを有する。モータとしては、例えば、ボイスコイルモータおよび超音波モータなど応答性がよいモータが用いられる。ストロボプロセッサ32は、測定位置MPに受光素子REを移動することにより、測定位置MPにおける光量を測定する。
【0066】
また、ストロボ装置10は、AF処理によって得られた被写体距離の情報をカメラ11から取得してもよい。被写体距離がわかれば、被写体を照射するために必要なストロボ光のおおよその発光量を算出することができる。そうすると、発光回路におけるコンデンサへの充電時間を必要な発光量に合わせて短縮できる場合もある。こうすれば、例えば、ストロボ装置10を用いた連続撮影を行う場合に有利な場合もある。
【0067】
上記実施形態において、例えば、ストロボプロセッサ32のように各種の処理を実行する処理部(Processing Unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(Processor)を用いることができる。各種のプロセッサには、ソフトウェア(プログラム36)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU32Aに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、および/またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0068】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、および/または、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0069】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントおよびサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0070】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(Circuitry)を用いることができる。
【0071】
以上の記載から、下記の付記項に記載の技術を把握することができる。
【0072】
[付記項1]
被写体を撮像する撮像素子が出力する撮像信号に基づいてオートフォーカス処理を実行するカメラに用いられるストロボ装置であって、
ストロボ光を発光する発光部と、
発光部が発光し被写体で反射したストロボ光の反射光を検知する受光センサであって、被写体を含む撮影範囲の光量分布を取得可能な大きさの受光領域を有する受光センサと、
プロセッサと、を備えており、
プロセッサは、
カメラがオートフォーカス処理を実行した場合のAF情報であって、AF情報をカメラから取得し、
AF情報に基づいて、受光領域内において被写体の位置に対応する測定位置を決定し、
カメラの指令に基づいて、ストロボ光の発光と測定位置に入射する反射光の光量の測定とを開始し、光量の積算量が予め設定された目標値に到達した場合にストロボ光の発光を制限する、
ストロボ装置。
[付記項2]
AF情報は、撮影範囲内における合焦された被写体の位置を表す被写体位置と、撮影範囲を決める焦点距離とを含む付記項1に記載のストロボ装置。
[付記項3]
プロセッサは、シャッタの全押し操作がなされた場合に、ストロボ光のプレ発光をすることなく、カメラの本撮影のための本発光を開始し、ストロボ光の発光量を制御する、付記項1または付記項2に記載のストロボ装置。
[付記項4]
反射光の光量分布を受光領域に結像させる結像光学系を有している、
付記項1~付記項3のうちのいずれか1項に記載のストロボ装置。
[付記項5]
結像光学系は、少なくとも1枚の集光レンズを含む、
付記項4に記載のストロボ装置。
[付記項6]
結像光学系は、ピンホールである、
付記項4に記載のストロボ装置。
[付記項7]
受光センサは、二次元の受光面を有する二次元センサである、
付記項1~付記項6のうちのいずれか1項に記載のストロボ装置。
[付記項8]
受光センサは、解像度を持たない受光素子と、受光領域内の任意の位置に受光素子を移動させる移動機構とによって構成される、
付記項1~付記項7のうちのいずれか1項に記載のストロボ装置。
[付記項9]
被写体を撮像する撮像素子が出力する撮像信号に基づいてオートフォーカス処理を実行するカメラに用いられるストロボ装置の作動方法であって、
ストロボ装置は、
ストロボ光を発光する発光部と、
発光部が発光し被写体で反射したストロボ光の反射光を検知する受光センサであって、被写体を含む撮影範囲の光量分布を取得可能な大きさの受光領域を有する受光センサと、
プロセッサと、を備えており、
プロセッサは、
カメラがオートフォーカス処理を実行した場合のAF情報であって、AF情報をカメラから取得し、
AF情報に基づいて、受光領域内において被写体の位置に対応する測定位置を決定し、
カメラの指令に基づいて、ストロボ光の発光と測定位置に入射する反射光の光量の測定とを開始し、光量の積算量が予め設定された目標値に到達した場合にストロボ光の発光を制限する、
ストロボ装置の作動方法。
[付記項10]
被写体を撮像する撮像素子が出力する撮像信号に基づいてオートフォーカス処理を実行するカメラに用いられるストロボ装置の作動プログラムであって、
ストロボ装置は、
ストロボ光を発光する発光部と、
発光部が発光し被写体で反射したストロボ光の反射光を検知する受光センサであって、被写体を含む撮影範囲の光量分布を取得可能な大きさの受光領域を有する受光センサと、
プロセッサと、を備えており、
カメラがオートフォーカス処理を実行した場合のAF情報であって、AF情報をカメラから取得し、
AF情報に基づいて、受光領域内において被写体の位置に対応する測定位置を決定し、
カメラの指令に基づいて、ストロボ光の発光と測定位置に入射する反射光の光量の測定とを開始し、光量の積算量が予め設定された目標値に到達した場合にストロボ光の発光を制限する機能を、
プロセッサによって実現させるストロボ装置の作動プログラム。
【0073】
本開示の技術は、上述の種々の実施形態および/または種々の変形例を適宜組み合わせることも可能である。また、上記各実施形態に限らず、要旨を逸脱しない限り種々の構成を採用し得ることはもちろんである。さらに、本開示の技術は、プログラムに加えて、プログラムを非一時的に記憶する記憶媒体にもおよぶ。
【0074】
以上に示した記載内容および図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、および効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、および効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容および図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことはいうまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容および図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0075】
本明細書において、「Aおよび/またはB」は、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「Aおよび/またはB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、AおよびBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「および/または」で結び付けて表現する場合も、「Aおよび/またはB」と同様の考え方が適用される。
【0076】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願および技術規格は、個々の文献、特許出願および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0077】
10 ストロボ装置
11 カメラ
11A 本体
11B レンズ鏡胴
21 カメラプロセッサ
21A AF処理部
22 シャッタ
23 撮像素子
23A 撮像面
24 シャッタボタン
26 取付部
31 発光部
31A 光源
31B リフレクタ
32 ストロボプロセッサ
32A CPU
32B メモリ
32C ストレージ
32D 通信部
33 プログラム
33 受光センサ
33A 受光面
34 設定情報
36 プログラム
41 障害物
42 電灯
51 ピンホール
52 移動機構
ωc、ωc1、ωc2 ωr 画角
IM 撮影範囲
LC 撮影レンズ
LR 受光レンズ
MA 測定領域
MP、MP1、MP2 測定位置
OAC、OAR 光軸
RA 受光領域
RE 受光素子
S 被写体
SP、SP1、SP2 被写体位置
Xr、Xr1、Xr2、Xs、Xs1、Xs2、Yr、Yr1、Yr2、Ys、Ys1、Ys2 座標
f、f1、f2 焦点距離