(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125946
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】ストレス改善剤
(51)【国際特許分類】
A23L 33/22 20160101AFI20240911BHJP
A61K 36/899 20060101ALI20240911BHJP
A61K 31/715 20060101ALI20240911BHJP
A61K 31/05 20060101ALI20240911BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240911BHJP
A23K 10/30 20160101ALI20240911BHJP
A21D 2/18 20060101ALN20240911BHJP
A21D 2/36 20060101ALN20240911BHJP
A21D 13/02 20060101ALN20240911BHJP
【FI】
A23L33/22
A61K36/899
A61K31/715
A61K31/05
A61P25/00
A23K10/30
A21D2/18
A21D2/36
A21D13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034097
(22)【出願日】2023-03-06
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「スマートバイオ産業・農業基盤技術」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願)
(71)【出願人】
【識別番号】000226998
【氏名又は名称】株式会社日清製粉グループ本社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大谷 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】野間 聡
(72)【発明者】
【氏名】菊池 洋介
(72)【発明者】
【氏名】西平 順
(72)【発明者】
【氏名】長谷田 茜
(72)【発明者】
【氏名】勝山 豊代
【テーマコード(参考)】
2B150
4B018
4B032
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
2B150AA02
2B150AA06
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2B150AE02
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4B018LB01
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4C206AA01
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4C206ZA02
(57)【要約】
【課題】安価に且つ安全に、日常的に摂取でき、副交感神経を活性化させ、日々の心身不調を効果的に軽減できる新規なストレス改善剤を提供すること。
【解決手段】本発明は、穀物外皮由来の食物繊維を含有するストレス改善剤を提供する。本発明の剤は、穀物由来のアラビノキシラン又はアルキルレゾルシノールを含有することが好ましい。更に上記穀物がイネ科作物であることが好ましく、特に好ましくは小麦であることがより好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物外皮由来の食物繊維を含有するストレス改善剤。
【請求項2】
穀物外皮、穀物由来のアラビノキシラン又は穀物由来アルキルレゾルシノールを含有する請求項1に記載のストレス改善剤。
【請求項3】
上記穀物がイネ科植物の種子である請求項1又は2に記載のストレス改善剤。
【請求項4】
上記穀物が小麦である請求項3に記載のストレス改善剤。
【請求項5】
軽度不調の改善に用いられる請求項1又は2に記載のストレス改善剤。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のストレス改善剤を含有するストレス改善用飲食品又はストレス改善用動物飼料。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のストレス改善剤を含有し、加熱調理工程を経て製造されるストレス改善用飲食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレス改善剤に関する。
【0002】
社会環境の多様化や人間関係の複雑化などにともなって、現代人は多かれ少なかれ、社会的ストレッサーや心理的ストレッサーなど、様々なタイプのストレッサーに曝されながら暮らしている。このようなストレッサーに曝され続けると、終局的には勤労や家事等の継続に支障をきたすような悪影響を身体や精神に受ける場合があるが、その前段階として、人々は軽度な心身不調にある。このような軽度な心身不調においても、意欲減退や疲労感、イライラ感、身体愁訴などのストレス状態に起因して生産性が低下する場合がある。
ここで、ストレス改善剤(具体的にはストレス反応の改善剤)として、従来種々のものが知られている(特許文献1及び2)。
【0003】
一方、穀物由来の食物繊維は、腸内フローラの多様性を増加させて、人の健康に寄与することが知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-102254号公報
【特許文献2】特開2010-41940号公報
【特許文献3】特開2018-164453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の通り、職場や家庭等のストレッサーに対する、イライラ感や意欲減退、身体愁訴といった、ストレス反応は広く社会的な問題となっている。このため、より継続しやすく、安価に摂取できるとともに、効果的にストレスを改善できる新規なストレス改善剤がますます強く求められている。
しかしながら、従来のストレス改善剤には、日常的に摂取するにはコストが高い、あるいは健康面での影響が懸念される、ストレス改善効果が十分でないなどの問題が存在した。
【0006】
従って、本発明の目的は、従来技術を有する課題を解決可能なストレス改善剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は鋭意検討した結果、驚くべきことに、穀物外皮由来の食物繊維を経口摂取することで、主観的なストレス状態を大きく改善できるほか、心身の不調、イライラ感や意欲減等のストレス反応を軽減することができることを見出した。
【0008】
本発明は上記知見に基づくものであり、穀物外皮由来の食物繊維を含有するストレス改善剤を提供するものである。
【0009】
本発明のストレス改善剤は、軽度不調の改善に用いられることが好ましい。
【0010】
ストレス改善剤は、イライラ感低減、意欲減退防止及び副交感神経の活発化から選ばれる何れかに用いられることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のストレス改善剤は、安全かつ安価であり、主観的なストレス状態を改善でき、心身の不調、イライラ感や意欲減退、ぼんやり感、精神的疲労等のストレス反応を改善できるほか、起床後に副交感神経を活発化し、起床後でのリラックス状態を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施例1と比較例1の主観的ストレスのアンケート評価点の変化値を示すグラフである。
【
図2】
図2は、実施例2と比較例1の主観的ストレスのアンケート評価点の変化値を示すグラフである。
【
図3】
図3は、実施例1と比較例1のイライラ感の変化値を示すグラフである。
【
図4】
図4は、実施例2と比較例1のイライラ感の変化値を示すグラフである。
【
図5】
図5は、実施例1と比較例1の心身不調や達成感のアンケート結果の変化値を示すグラフである。
【
図6】
図6は、実施例2と比較例1の心身不調や達成感のアンケート結果の変化値を示すグラフである。
【
図7】
図7は、実施例1と比較例1の心身不調や達成感のアンケート結果の変化値を示すグラフである。
【
図8】
図8は、実施例1と比較例1のLF/(LF+HF)の値の変化値を示すグラフである。
【
図9】
図9は、実施例2と比較例1のLF/(LF+HF)の変化値を示すグラフである。
【
図10】
図10は、実施例3と比較例2の主観的ストレスのアンケート評価点の変化値を示すグラフである。
【
図11】
図11は、実施例3と比較例2の全体的疲労感のアンケート評価点の変化値を示すグラフである。
【
図12】
図12は、実施例3と比較例2の精神的疲労感のアンケート評価点の変化値を示すグラフである。
【
図13】
図13は、実施例3と比較例2の身体的疲労感のアンケート評価点の変化値を示すグラフである。
【
図14】
図14は、実施例3と比較例2の頭のスッキリ感のアンケート評価点の変化値を示すグラフである。
【
図15】
図15は、実施例3と比較例2の集中力のアンケート評価点の変化値を示すグラフである。
【
図16】
図16は、実施例3と比較例2のだるさのアンケート評価点の変化値を示すグラフである。
【
図17】
図17は、実施例3と比較例2のぼんやり感のアンケート評価点の変化値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を説明する。以下では、本発明のストレス改善剤を「本発明の剤」とも記載する。
【0014】
本発明の改善対象となるストレス(ストレス反応)の例としては、個人が主観的に感じるストレス状態のほか、心身不調(身体愁訴等)、達成感の低下等の意欲減退及び/又は疲労感の増加、怒りっぽくなる、イライラする等のイライラ感などの症状が挙げられ、時に生産性の低下を伴う状態を示す。この観点から、本発明のストレス改善剤は、軽度不調改善剤であることが好ましい。軽度不調とは、個人が主観的に感じる軽度な心身不調であり、活気の低下、イライラ感、疲労感、抑うつ感、身体愁訴等の症状を示す。ここでいう“軽度”とは、例えば、上述したいずれかの症状を有しつつ、医療的治療までは必要としない状態または疾病には至らない状態をいう。
軽度不調の評価には、ストレス・睡眠の質・包括的な健康状態に関する質問票、うつ病発症リスクなどが用いられる(日本公衆衛生雑誌、2022年第69巻第5号、p368~p380を参照)。例えば、職業性ストレス簡易調査票において、ストレスによっておこる心身の反応がやや高い~高い状態は、軽度な心身不調があるといえる。
【0015】
本発明は、現代人が一般生活で受ける全ての心理的、身体的、行動的ストレス反応を改善対象とすることが可能であるが、特に職場や家庭などでの日常生活における心理的身体的ストレス反応を好適に改善しうる。改善対象となるストレス反応は一時的なストレス反応であっても慢性的ストレス反応であってもよい。
本発明の剤は、精神的疲労感、身体的疲労感、精神的疲労及び身体的疲労を含む疲労感全般の、頭のスッキリしない感覚、頭がぼんやりした感覚、倦怠感やだるさといった、ストレス時に良く感じられる症状を効果的に改善できる。頭がぼんやりした感覚とは、頭がぼおっとして、上手く働かないといった症状が挙げられる。更に、本発明の剤は、集中力の改善にも役立つ。
【0016】
本発明の剤は、好ましくは、穀物外皮由来の食物繊維源として、穀物外皮を含有することがコスト、日常生活での手に入れやすさ、機能性の担保の点で好ましい。とりわけ、本発明では、ストレス改善効果、特に軽度不調改善作用に優れる点から、穀物外皮がイネ科植物由来であることが好ましい。イネ科植物としては、例えば、小麦、デュラム小麦、ライ麦、ライ小麦、大麦、オーツ麦、はと麦、トウモロコシ、イネ、ヒエ、アワ、キビ等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのイネ科植物の中でも、小麦又はライ麦が好ましく、とりわけ小麦が好ましい。
【0017】
穀物外皮由来の食物繊維源としてイネ科植物を用いる場合、食物繊維源となるイネ科植物種子の形態は、例えば、イネ科植物種子そのもの;当該イネ科植物種子又はその一部を切断、粉砕若しくは粉末化したもの;当該イネ科植物種子又はその一部を乾燥したもの;当該イネ科植物種子又はその一部を乾燥後粉砕若しくは粉末化したもの等を挙げることができる。
【0018】
本発明の剤は穀物外皮、穀物由来のアラビノキシラン又は穀物由来アルキルレゾルシノールを含有することがストレス改善効果、特に軽度不調効果に優れる点で好ましく、とりわけ、穀物外皮を含有するか、穀物由来のアラビノキシラン及び/又は穀物由来アルキルレゾルシノールを含有することが好ましい。
【0019】
穀物外皮とは、表皮と呼ばれることもあるが、一般的には、小麦種子の胚乳部や胚芽部から分離された、画分のことである。穀物外皮を含む好適な例としては、ふすま(ブラン)、末粉、籾殻、ぬか等が挙げられる他、外皮を伴った種子も挙げられる。
【0020】
アラビノキシランは、アラビノース及びキシロースが重合した食物繊維の一種であり、大腸で水溶化することが知られている。本発明では、食物繊維として、アラビノキシランを含む食物繊維を含有することが、優れたストレス改善効果が得られる点で好ましい。
【0021】
アルキルレゾルシノールは、ポリフェノールの一種である。アルキルレゾルシノールは、例えば特開2016-153387号公報及び特開2019-104755号公報に記載されているように、1,3‐ジヒドロキシ‐5‐n‐アルキルベンゼンの骨格を有する化合物の総称である。アルキルレゾルシノールは下記一般式(I)で表される。不飽和のアルキル基とはアルケニル基をいう。
【化1】
例えば小麦ブランを用いる場合、後述するアルキルレゾルシノールとしては、1,3-ジヒドロキシ-5-n-ペンタデシルベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-5-n-ヘプタデシルベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-5-n-ノナデシルベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-5-n-ヘンイコシルベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-5-n-トリコシルベンゼン及び1,3-ジヒドロキシ-5-n-ペンタコシルベンゼンが挙げられる。アルキルレゾルシノールは、穀物外皮に含まれ、穀物外皮のうち、特にアリューロン層に近い部位に局在している。本発明の剤はアルキルレゾルシノールを含有すると、その抗酸化作用に起因して、単なる食物繊維を含有する場合に得難い、良好なストレス改善効果が期待できると考えられる。
【0022】
上記の通り、本発明では穀物外皮を含むことが好ましく、アラビノキシランやアルキルレゾルシノールを含むことが好ましい点から、小麦ブラン又は小麦全粒粉を用いることが優れたストレス改善作用の点で好ましく、とりわけ小麦ブランを含有することが好ましい。小麦ブランとは小麦粒の外皮を主体とするものである。小麦ブランとしては、一般的な小麦粉の製造過程で生じる、小麦粒から胚乳を除去した残部、あるいはこの残部からさらに胚芽を除去したもの等を用いることができる。
【0023】
一層優れたストレス改善効果を得る点から、本発明で小麦ブラン等のブランを用いる場合、当該ブランの乾燥質量中、アラビノキシランを10質量%以上含有することが好ましく、12質量%以上含有することがより好ましい。本発明の剤は、ブランの乾燥質量中、アラビノキシラン含量が40質量%以下であることが、機能性、入手容易性の点で好ましく、18質量%以下であることがより好ましい。
【0024】
一層優れたストレス改善効果を得る点から、本発明の剤及びストレス改善用食品において、アラビノキシランを0.3質量%以上含有することが好ましく、0.5質量%以上含有することがより好ましい。本発明の剤及びストレス改善用食品は、アラビノキシラン含量が5質量%以下であることが、機能性、入手容易性の点で好ましく、3.5質量%以下であることがより好ましく、1.5質量%以下が最も好ましい。
【0025】
本発明の効果に優れる点から、本発明の剤及びストレス改善用食品中のアラビノキシランの摂取量は、一日当たり、0.8~5gが好ましく、1.0~4gがより好ましく、1.2~2.5gが最も好ましい。
【0026】
アラビノキシラン含有量は、例えば以下の測定条件における高速液体クロマトグラフィーを用いて定量することができるが、この方法に限られない。本方法における前処理方法は、測定対象のブラン0.6gを72v/v%硫酸水溶液に混合して、室温で1時間撹拌する。撹拌して得られた固形分を4v/v%硫酸水溶液に混合して、オートクレーブ処理(121℃、20分)を行う。この水溶液を冷却、中和し、200mLに定容した後にろ過して得られた濾液を、高速液体クロマトグラフィーに導入して、アラビノース、キシロース及びガラクトースの量をそれぞれ定量する。得られたアラビノース、キシロース及びガラクトースの各定量値を以下の計算式に代入して、アラビノキシラン質量(g)を算出する。アラビノキシラン含有量(質量%)は、測定対象のブランの乾燥質量(g)に対するアラビノキシラン質量(g)の百分率とする。
アラビノキシラン質量(g)=0.88×(アラビノース質量(g)+キシロース質量(g)-0.7×ガラクトース質量(g))
【0027】
<高速液体クロマトグラフィーの測定条件例>
機種:LC-20AD(株式会社島津製作所)
検出器:蛍光分光光度計 RF-20Axs(株式会社島津製作所)
カラム:TSKgel SUGAR AXI、φ4.6mm×150mm(東ソー株式会社)
カラム温度:60℃
移動相:0.5mol/L ホウ酸緩衝液(pH8.7)
流量:0.4mL/min
注入量:20μL
蛍光励起波長:320nm
蛍光測定波長:430mm
ポストカラム:反応液 1w/v% L-アルギニン溶液
反応液流量;0.7mL/min
反応温度;150℃
【0028】
ブランの乾燥質量に対するアルキルレゾルシノール含有量は、その合計量として、好ましくは0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.13質量%以上であることが更に好ましく、0.15質量%以上であることが特に好ましい。一方、ブランにおけるアルキルレゾルシノールの量の上限は、本発明の剤の入手容易性等の点から、ブランの乾燥質量中、3.5質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以下であることが特に好ましい。アルキルレゾルシノール含有量は、例えば特開2016-132641号公報に記載の方法に基づいて、分配クロマトグラフィーを用いて測定することができる。
【0029】
本発明の効果に優れる点から、本発明の剤及びストレス改善用食品中のアルキルレゾルシノールの含有量は、0.001~0.1質量%であることが好ましく、0.002~0.04質量%であることがより好ましく、0.005~0.03質量%であることが更に一層好ましい。
【0030】
本発明の効果に優れる点から、本発明の剤及びストレス改善用食品中のアルキルレゾルシノールの摂取量は、一日当たり、1~40mgであることが好ましく、3~30mgであることがより好ましく、5~20mgであることが最も好ましい。
【0031】
ブラン中の食物繊維量としては、ブランの乾燥質量に対して、例えば20.0~45.0質量%が好ましく例示され、20.0~40.0質量%がより好ましく、30.0~36.0質量%が特に好ましい。ブランにおける食物繊維量は酵素―重量法(プロスキー変法)(AOAC991.43)で測定できる。
【0032】
本発明の剤及びストレス改善用食品中、食物繊維の割合は2.2~12.0質量%であることがストレス改善効果が高い点で好ましく、2.5~8.8質量%であることが特に好ましく、2.8~5.0質量%であることが最も好ましい。本発明の剤及びストレス改善用食品の食物繊維量は、酵素―重量法(プロスキー変法)(AOAC991.43)にて測定できる。
【0033】
本発明が小麦ブランを用いる場合、赤小麦及び白小麦のいずれに由来していてもよいが、赤小麦由来の小麦ブランは特徴ある風味を多く有するため、継続的に多量摂取できるようになり、本発明の効果を高めることにつながるため好ましい。
【0034】
本発明で用いるブランは、加熱処理されたものであることが、酵素活性を失活でき、ブランを用いた加工適性を高められる点で好ましい。加熱処理としては、乾熱処理及び湿熱処理などが挙げられるが、乾熱処理は湿熱処理よりもより高温での処理が可能であり、ブラン特有のえぐみを除去する効果を期待することができる。その結果、ブランを継続的に多量摂取できることに繋がり、本発明の効果を高めることができるため好ましい。
【0035】
加熱処理として乾熱処理を行う場合、ブランの品温が好ましくは100~180℃、更に好ましくは120~160℃となるようにして、好ましくは0~120分間、更に好ましくは1~60分間処理を行う方法を例示できる。
【0036】
加熱処理として湿熱処理を行う場合、水蒸気を導入する密閉系容器内において、ブランの品温が、好ましくは80~130℃、更に好ましくは85~110℃となるようにして、好ましくは1~300秒間、更に好ましくは1~60秒間滞留させることにより行う方法を例示できる。
【0037】
ブランの形状としては、フレーク状、粒状、粉末状等が挙げられ特に限定されない。ブランの粒径は特に限定されないが、例えば10μm以上10mm以下であることが入手容易性の点や二次加工性の点で好ましい。小麦ブランの粒径は例えばマイクロトラックMT3000IIシリーズ(マイクロトラック・ベル株式会社)を用いて測定できる。より好ましくは上記粒径に粉砕してから、上記の加熱処理を行ったものであることが好ましい。
【0038】
本発明の剤は、哺乳動物のストレスを改善するために用いられる。哺乳動物としては、ヒトの他に、例えばイヌ、ネコ、マウス、ラット、ウサギ、ウシ、ウマ、サル等が含まれる。即ち、本発明のストレス改善剤は、ヒトのみならず、ペット(愛玩動物)、家畜等に対しても適用可能である。本発明では、穀物由来の食物繊維を哺乳動物全般に対して医療目的又は非医療目的で適用し得る。
【0039】
本発明の剤は、医薬品、医薬部外品又は食品として、あるいはそれらを製造するために使用することができる。ここでいう「食品」は、食品全般を包含し、いわゆる健康食品を含む一般食品の他、厚生労働省の保健機能食品制度に規定される特定保健用食品や栄養機能食品等の保健機能食品、サプリメント等を包含し、さらには動物に給餌される家畜用飼料、ペットフードも包含する。本発明の剤は、穀物に由来する食物繊維を有効成分として含有し、且つストレス改善、特に軽度不調改善を企図して、その旨を表示した医薬品、医薬部外品又は食品として使用することができる。
【0040】
本発明の剤を医薬品又は医薬部外品として使用する場合、有効成分である穀物由来の食物繊維やその給源を単独で含有していても良く、又は、さらに薬学的に許容される担体を含有していても良く、又は、穀物由来の食物繊維やその給源によるストレス改善、特に軽度不調改善効果が損なわれない範囲でさらに他の有効成分や薬理成分を含有していても良い。斯かる担体としては、例えば、賦形剤、被膜剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、希釈剤、分散剤、緩衝剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、乳化剤、防腐剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、保湿剤、増粘剤、活性増強剤、抗炎症剤、殺菌剤、矯味剤、矯臭剤等が挙げられる。
【0041】
本発明の剤を医薬品又は医薬部外品として使用する場合、任意の投与形態で投与され得る。投与形態は、経口投与でも非経口投与でも良い。例えば、経口投与形態としては、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤のような固形投薬形態、並びにエリキシル、シロップ及び懸濁液のような液体投薬形態が挙げられ、非経口投与形態としては、経腸投与等が挙げられる。このうち、経口投与形態が好ましい。
【0042】
本発明の剤を食品として使用する場合、穀物由来の食物繊維やその給源(ブラン等)を単独で含有していても良く、又は、穀物由来の食物繊維やその給源(ブラン等)によるストレス改善効果が損なわれない範囲でさらに、医薬品、医薬部外品、食品の製造に用いられる種々の添加剤を含有していても良い。斯かる添加剤としては、例えば、各種油脂、生薬、アミノ酸、多価アルコール、天然高分子、ビタミン、食物繊維、界面活性剤、精製水、賦形剤、安定剤、pH調整剤、酸化防止剤、甘味料、呈味成分、有機酸などの酸味料、安定剤、フレーバー、着色料、香料等が挙げられる。
【0043】
穀物由来の食物繊維やその給源(ブラン等)を食品として使用する場合、その形態は特に限定されないが、例えば、その形態としては、固形、半固形又は液状であり得、錠剤形態、丸剤形態、カプセル形態、液剤形態、シロップ形態、粉末形態、顆粒形態等が挙げられる。具体的な食品の形態としては、パン類、麺類、ゼリー状食品や各種スナック類、焼き菓子、ケーキ類、チョコレート、ガム、飴、タブレット、カプセル、スープ類、乳製品、冷凍食品、インスタント食品、サプリメント、その他加工食品及びそれらの材料等が挙げられる。
【0044】
とりわけ、本発明の剤は、穀物由来の食物繊維を含有し、且つ穀物由来の食物繊維又はその供給源を加熱調理工程に供する工程を経る、ストレス改善用飲食品の製造に用いられることが好ましい。
加熱調理工程としては、煮る、蒸す、焼く、油調するといった各種の調理方法が挙げられる。穀物由来の食物繊維又はその供給源を加熱調理工程に供することで、食物繊維の分解が進み、得られた飲食品を摂食したときに、大腸での食物繊維の水溶性がより高まる。このことが、ストレス改善効果、特に軽度不調改善効果を高めるものと発明者は考えている。このことから、加熱調理は例えば50~300℃であることが好ましく、80~220℃であることがより好ましい。また、加熱調理の時間は特に限定されないが、30秒~1時間が好ましく、1~30分であることがより好ましい。加熱調理工程の一例として例えばパン類、菓子類等のベーカリー食品や麺類の製造工程におけるものであってもよい。
【0045】
本発明の剤中における穀物由来の食物繊維の含有量は、特に制限されるものではなく、剤型、適用対象(哺乳動物)の症状や年齢性別などによって適宜調整可能であるが、穀物由来の食物繊維をブランとして用いる場合であって、ヒトを対象とする場合、通常、ブランの摂取量が乾燥質量にて成人1人1日当たり1.0g以上であることが好ましく、5.0g以上であることがより好ましく、7g以上であることが特に好ましい。上限としては、例えば80g以下であることが副作用を避ける点から好ましく、60g以下であることが特に好ましく、30g以下であることが更に好ましく、18.8g以下であることが更に一層好ましく、17g以下である場合もある。
【0046】
本発明の剤又はストレス改善用食品がブランを摂食する場合、本発明の剤及びストレス改善用食品中のブランの割合は特に限定されないが、例えば1質量%以上30質量%以下、或いは2質量%以上25質量%以下、或いは、3質量%以上20質量%以下、或いは3.5質量%以上19.8質量%以下、4質量%以上10.3質量%以下等の種々の割合が好適に挙げられる。
【0047】
本発明の剤は、日常的に摂取し続けることが可能であり、例えば7日以上継続して経口摂取することが可能であり、14日(2週間以上)継続して経口摂取することが可能であり、21日(3週間)以上継続して経口摂取することが可能であり、28日(4週間以上)以上継続して経口摂取することが可能である。1週間のうち、経口摂取は毎日であってもよく、1又は複数日、例えば3日以上、又は4日以上であってもよい。本発明の剤又はストレス改善用食品は、主食に含有させて喫食されることが可能である。
【0048】
例えば、本発明の剤の特に好ましい用途としては、心理的ストレス軽減、精神的ストレス軽減、軽度不調軽減、軽度不調予防、イライラ感改善、疲労感改善、意欲減退抑制、自律神経におけるストレス状態緩和、起床後のストレス状態緩和、副交感神経活性化、心の健康の維持、達成感向上、精神的疲労感の改善、身体的疲労感の改善、精神及び身体を含む疲労感全般の改善、頭のスッキリ感の向上、集中力の向上、だるさの改善、倦怠感の改善、ぼんやり感の改善等が含まれる。また本発明には、健康維持、美容等の非医療目的でこれらのストレス改善作用を図る各種の方法が含まれる。
【実施例0049】
(比較例1、実施例1、実施例2)
【0050】
表1の組成に基づき、パンを製造した。
表1に記載の中種の副資材とは、乳化剤等である。
表1に記載の本種の副資材とは砂糖、ショートニング食塩等である。
下記表1に記載の中種全ての原材料を用い、中種法で生地を作成し、得られた生地を100gごとに分割し丸め、オーブンで焼成し、各試験食品を得た。焼成温度、焼成時間はそれぞれ80~220℃、1~30分の範囲内であった。
【0051】
実施例1及び2で用いた小麦ブランとしては、赤小麦由来の小麦ブランを、上記粒径範囲に粉砕し、120~150℃、60分間の乾熱処理を施したものを用いた。加熱処理後の小麦ブランの乾燥質量中の食物繊維量は34.4質量%であった。またブラン乾燥質量中のアラビノキシラン含量は13.2質量%であった。更にブラン乾燥質量中のアルキルレゾルシノール含量は0.16質量%であった。
実施例1の食品における小麦ブラン含量は5.57質量%、アラビノキシラン含量は1.1質量%(1日の摂取量が1.8~2.0g)、アルキルレゾルシノール含量は0.01質量%(1日の摂取量が13.3~14.9mg)、食物繊維は3.9質量%、実施例2の食品における小麦ブラン含量は10.68質量%、アラビノキシラン含量は1.9質量%(1日の摂取量が3.1~3.5g/2個、1.5~1.8g/1個)、アルキルレゾルシノール含量は0.02質量%(1日の摂取量が23.2~26.0mg/2個、12.6~13mg/1個)、食物繊維は5.5質量%であった。
【0052】
【0053】
(評価1)
20歳以上60歳未満の日本人男女24名を対象としプラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験を以下のようにして実施した。本試験は、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(2017年2月28日 文部科学省・厚生労働省一部改正)に準拠し、ヘルシンキ宣言(2013年10月 世界医師会フォルタレザ総会改訂)を遵守して試験を実施した。
【0054】
スクリーニングを実施し、試験責任医師が本試験への参加は適当であると判断した者24名を試験に組み入れ、24名で試験を開始した。スクリーニング時点で24名は排便回数が週に5回以下のものである。
被験者は、性別、年齢構成、1週間の排便回数が均一になるよう3群に割付け、比較例1摂取群、実施例1摂取群,実施例2摂取群とした。
被験者には指定の試験食を4週間、1日2個(1個88±5g)ずつ継続摂取させた。摂取方法は、1日2個、朝昼夕のいずれかの主食と置き換えて摂取させ、冷凍パンを加熱(推奨を記載:電子レンジ500W1分)して摂取させた。
【0055】
試験食の摂取開始期及び摂取期間終了期に下記(1)~(4)の項目について検査を行った。
なお、実施例1摂取群の1名は摂取期間中に脱落したため、試験を完遂した被験者数は比較例1摂取群8名、実施例1摂取群7名、実施例2摂取群8名の計23名であった。
【0056】
(1)主観的ストレスに関するアンケート(VASアンケート)
摂取開始日及び摂取4週後(4週間摂取した翌日、以下「最終検査日」ともいう。)に実施した。
100mmの線分を1本用意し、最も状態が悪い状態を左端、最も状態が良い状態を右端とし、アンケート時点での自己の状態がどの程度であるか、被験者に線分上に×印を書き込むことで評価した。
アンケート結果は左端から×印までの長さを測ることで尺度化し、各評価時点の値とした。従って、点数が高いほど、ストレスを感じていないことを示す。
左端:ストレスを感じている最悪の状態⇔右端:全く感じていない最高の状態
摂取4週間後の点数から摂取開始日の点数を引いた値(単位:mm)の平均値を
図1及び
図2に示す。
【0057】
(2)職業性ストレス簡易調査票B領域(ストレス反応に関するアンケート)
摂取開始日及び摂取4週後(最終検査日)に実施した。
自己記入式のストレス調査票(厚生労働省のHPに掲載されたhttps://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000050920.pdf、2022年5月10日検索)のBの項目を参照)にて、「最近1か月間の状態」として、「怒りを感じる」、「内心腹立たしい」、「イライラしている」の各項目について、「ほとんどなかった」1点、「ときどきあった」2点、「しばしばあった」3点、「ほとんどいつもあった」4点の基準にて、最も当てはまるものを回答させた。
上記3つの項目の点数を合計して「イライラ感」の点数とした。
摂取4週間後の点数から摂取開始日の点数を引いた値の平均値を
図3及び
図4に示す。
【0058】
(3)今日1日又は過去一カ月の心身の不調・達成感に関するアンケート
(3-1)~(3-2)については、摂取開始日の前3日間及び最終検査日の前3日間実施し、最終検査日の前3日間の点数(午前・午後×3晩=6個のデータ)の平均から摂取開始日の前3日間の点数(午前・午後×3晩=6個のデータ)の平均を引いた値の平均値を求めた。結果を
図5及び
図6に示す。
(3-3)については、摂取開始日及び摂取4週後(最終検査日)に実施し、最終検査日の点数から摂取開始日の点数を引いた値の平均値を求めた。結果を
図7に示す。なお、実施例2の(3-3)の結果は記載を省略する。
【0059】
(3-1)(心身の不調)今日1日、あなたは心身の不調を感じましたか。心身の不調を全く感じなかった状態を0、これまでに経験したことがないくらい強い心身の不調を感じた状態を10として、最も近い数字を選んでください。
(3-2)(達成感)今日1日、あなたは「やりたいこと」「やらなければならなかったこと」をどの程度達成できましたか。全く達成できなかった状態を0、思い通り完璧にできた状態を10として、最も近い数字を選んでください。達成感が高いほど意欲が高く、ストレスが低いと考えられる。
(3-3)(達成感)過去1か月を振り返り、普段のあなたは「やりたいこと」「やらなければならなかったこと」をどの程度達成できましたか。全く達成できなかった状態を0、思い通り完璧にできた状態を10として、最も近い数字を選んでください。達成感が高いほど意欲が高く、ストレスが低いと考えられる。
本評価において、1日の達成感の項目における実施例1の比較例1との有意差は0.027であった。
【0060】
(4)心拍測定
摂取開始日の前3日間、最終検査日の前3日間測定した。
ユニオンツール社製の心拍センサ(WHS-1)を使用し、被験者に水泳時や入浴時以外の24時間、みぞおち付近にセンサを装着してもらった。得られた心拍変動時系列データから、呼吸変動に対応する高周波変動成分(HF成分)と血圧変動であるメイヤー波(Mayer wave)に対応する低周波成分(LF成分)を抽出した。各指定日において、起床後(起床時刻以降3時間)におけるLF成分の領域(0.04Hzから0.15Hzまで)、及びHF成分の領域(0.15Hzから0.40Hzまで)の強度(積分値)の合計値に対する、LF成分の領域の強度を測定した。最終検査日の前3日分の測定値の平均値から、摂取開始日の前3日分の測定値の平均値を引いたものを求めた。結果を
図8及び
図9に示す。なお、リラックスしている状態、つまり副交感神経が活性化しているときには、呼吸変動を反映したHF成分と血圧変動を反映したLF成分も現れるが、ストレス状態にある場合、つまり交感神経が活性化しているときには、LF成分が現れる一方、HF成分が減少する。従って、一般に、リラックス状態にあるとLF/(HF+LF)の値は小さくなり、ストレス状態にあるとLF/(HF+LF)の値が大きくなる。
本評価において、実施例1の比較例1との有意差は0.002、実施例2の比較例との有意差は0.098であった。
【0061】
図1及び
図2に示す通り、穀物由来食物繊維源である小麦ブランの摂取によって主観的なストレスが大きく軽減したことが判る。また
図3及び
図4に示す通り、小麦ブランの摂取によってイライラ感が大きく軽減したことが判る。
図5~
図7に示す通り、小麦ブランの摂取によって一日の心身の不調が軽減し、一日の達成感が向上し、一カ月の達成感が向上することが判る。また小麦ブランの摂取によって、
図8及び
図9に示すように、ストレス指標であるLF/(HF+LF)の値が小さくなっていることが判る。イライラ感、不調及びストレス状態が改善することで、起床後のLF/(HF+LF)の値が小さくなったとすると、小麦ブランの摂取が睡眠状態を改善することについても期待できる。
以上の通り、穀物由来食物繊維源である小麦ブランは、これを摂取することによって、主観的な心身不調を軽減し、意欲減退を抑制し、イライラ感を低減でき、副交感神経を活性化してリラックス状態に導き、ストレス改善剤として優れていることが明らかである。
【0062】
(比較例2、実施例3)
(評価2)
20歳以上60歳未満の日本人男女80名を対象としプラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験を以下のようにして実施した。本試験は、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(2021年3月23日 文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第一号)に準拠し、ヘルシンキ宣言(2013年10月 世界医師会フォルタレザ総会改訂)を遵守して試験を実施した。
【0063】
スクリーニングを実施し、試験責任医師が本試験への参加は適当であると判断した者80名を試験に組み入れ、80名で試験を開始した。スクリーニング時点で80名は排便回数が週に6回以下のものである。
被験者は、性別、年齢構成、主観的ストレスに関するアンケート(VASアンケート)、1週間の排便回数が均一になるよう2群に割付けた。
被験者には上記の評価1で用いた比較例1又は実施例2の試験食を4週間、1日1個(1個88±5g)ずつ継続摂取させた。摂取方法は、1日1個、朝昼夕のいずれかの主食と置き換えて摂取させ、冷凍パンを加熱(推奨を記載:電子レンジ500W1分)して摂取させた。比較例1の試験食を摂取させた群を比較例2摂取群とし、実施例2の試験食を摂取させた群を実施例3摂取群とした。
【0064】
試験食の摂取開始期及び摂取期間終了期に下記(1)の項目について検査を行った。
なお、試験を完遂した被験者数は比較例2摂取群40名、実施例3摂取群40名の計80名であった。ただし、摂取期間中の服薬等の理由により医師の判断によって2名が解析対象から除外となったため、比較例2摂取群39名、実施例3摂取群39名の計78名を解析対象とした。
【0065】
(1)主観的ストレスに関するアンケート(VASアンケート)
評価1と同様にして実施した。摂取4週間後の点数から摂取開始日の点数を引いた値の平均値を
図10に示す。
(2)全体的疲労感、精神的疲労感、身体的疲労感、頭のスッキリ感、集中力、だるさ、ぼんやり感に関するVASアンケート
全体的疲労感、精神的疲労感、身体的疲労感、頭のスッキリ感、集中力、だるさ、ぼんやり感について、それぞれ、主観的ストレスと同様に、100mmの線分を1本用意し、最も状態が悪い状態を左端、最も状態が良い状態を右端とし、アンケート時点での自己の状態がどの程度であるか、被験者に線分上に×印を書き込むことで評価した。
アンケート結果は左端から×印までの長さを測ることで尺度化し、各評価時点の値とした。摂取4週間後の点数から摂取開始日の点数を引いた値(単位:mm)の平均値を
図11~17に示す。
【0066】
図11~17の結果から、本発明のストレス改善剤が、全体的疲労感、精神的疲労感、身体的疲労感、頭のスッキリ感、集中力、だるさ、ぼんやり感の改善に有効であることが判る。