(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126073
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】シリカ粒子、シリカ粒子の製造方法、シリカゾル及び吸着剤
(51)【国際特許分類】
C01B 33/18 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
C01B33/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034219
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】足立 浩一
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 裕太
(72)【発明者】
【氏名】奈木野 勇生
【テーマコード(参考)】
4G072
【Fターム(参考)】
4G072AA25
4G072BB05
4G072DD05
4G072DD06
4G072GG01
4G072GG03
4G072HH30
4G072JJ23
4G072JJ38
4G072TT01
4G072TT05
4G072TT08
4G072TT09
4G072TT19
4G072UU11
(57)【要約】
【課題】細孔径2nm~3nmの細孔を多く有するナノサイズのシリカ粒子を提供する。
また、界面活性剤を用いることなく、細孔径2nm~3nmの細孔を多く有するナノサイ
ズのシリカ粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】粒子径が20nm~300nmであり、細孔径2nm~3nmの細孔容積が
0.050cc/g~0.200cc/gである、シリカ粒子。テトラアルコキシシラン
を加水分解反応及び縮合反応させてシリカ粒子を製造する、前記シリカ粒子の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子径が20nm~300nmであり、細孔径2nm~3nmの細孔容積が0.050
cc/g~0.200cc/gである、シリカ粒子。
【請求項2】
細孔径2nm~5nmの細孔容積中の細孔径2nm~3nmの細孔容積の割合が、80
%以上である、請求項1に記載のシリカ粒子。
【請求項3】
細孔径3nm~4nmの細孔容積が、0.009cc/g~0.030cc/gである
、請求項1に記載のシリカ粒子。
【請求項4】
細孔径4nm~5nmの細孔容積が、0.005cc/g以下である、請求項1に記載
のシリカ粒子。
【請求項5】
比表面積が、100m2/g~300m2/gである、請求項1に記載のシリカ粒子。
【請求項6】
金属含有率が、5質量ppm以下である、請求項1に記載のシリカ粒子。
【請求項7】
テトラアルコキシシランを加水分解反応及び縮合反応させてシリカ粒子を製造する、請
求項1~6のいずれか1項に記載のシリカ粒子の製造方法。
【請求項8】
加水分解反応及び縮合反応の反応温度が、20℃以下である、請求項7に記載のシリカ
粒子の製造方法。
【請求項9】
加水分解反応及び縮合反応のアルカリ触媒の濃度が、1.0質量%以下である、請求項
7に記載のシリカ粒子の製造方法。
【請求項10】
加水分解反応及び縮合反応が、水を含む液(A)中に、テトラアルコキシシランを含む
液(B)及びアルカリ触媒を含む液(C)を添加し、テトラアルコキシシランを加水分解
反応及び縮合反応させる工程である、請求項7に記載のシリカ粒子の製造方法。
【請求項11】
シリカ粒子の製造原料が、テトラメトキシシラン、メタノール、アンモニア及び水の4
種類のみである、請求項7に記載のシリカ粒子の製造方法。
【請求項12】
請求項1~6のいずれか1項に記載のシリカ粒子を含む、シリカゾル。
【請求項13】
請求項1~6のいずれか1項に記載のシリカ粒子を含む、吸着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ粒子、シリカ粒子の製造方法、シリカゾル及び吸着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
シリカ粒子は、乾燥剤、吸着剤、樹脂やゴム材料のフィラー、触媒、塗料、接着剤、耐
火剤、ガラス材等、広範囲の分野で用いられている工業材料である。その中で、粒子径が
ナノサイズのシリカは、主に分散媒に分散させたコロイダルシリカとして種々の用途で用
いられている。コロイダルシリカとして用いられるようなナノサイズのシリカ粒子は、通
常、ノンポーラス(非多孔質)の粒子であるが、近年、メソ孔(細孔径2nm~50nm
)を有するポーラス(多孔質)なナノシリカ粒子の開発が進められている。
【0003】
メソポーラスシリカ粒子は、細孔に薬剤、色素、生体関連物質を吸着・包含させること
ができ、特に、ナノサイズの粒径のメソポーラスシリカ粒子は、体内組織を通過できる大
きさであるため、タンパク質、酵素、抗体、核酸等を包含させて体内を運ぶドラッグデリ
バリーシステムとして用いられることが期待されている。
【0004】
ナノサイズの粒径のメソポーラスシリカ粒子の製造方法として、例えば、非特許文献1
に、テンプレートとなる界面活性剤を用いた製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Adv. Funct. Mater. 2020, 30, 1902634
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1に開示されるシリカ粒子の製造方法は、細孔径のサイズが
大きいシリカ粒子しか得られず、細孔径のサイズが小さい領域での制御が困難であるとい
う課題を有する。また、非特許文献1に開示されるシリカ粒子の製造方法は、テンプレー
トとして用いた界面活性剤を除去する必要があり、界面活性剤由来の不純物が残留するた
め、用途が限定されるという課題を有する。
【0007】
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、細孔径2n
m~3nmの細孔を多く有するナノサイズのシリカ粒子を提供することにある。また、本
発明の目的は、界面活性剤を用いることなく、細孔径2nm~3nmの細孔を多く有する
ナノサイズのシリカ粒子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従来の細孔を有するシリカ粒子は、細孔径のサイズが大きいシリカ粒子しか得られず、
従来の細孔を有するシリカ粒子の製造方法は、テンプレートとして用いた界面活性剤を除
去する必要があり、界面活性剤由来の不純物が残留するといった課題が十分に解決するに
至っていなかった。しかしながら、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、界面活性剤を
用いることなく、細孔径2nm~3nmの細孔を多く有するナノサイズのシリカ粒子の製
造する方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明の要旨は、以下の通りである。
[1]粒子径が20nm~300nmであり、細孔径2nm~3nmの細孔容積が0.
050cc/g~0.200cc/gである、シリカ粒子。
[2]細孔径2nm~5nmの細孔容積中の細孔径2nm~3nmの細孔容積の割合が
、80%以上である、[1]に記載のシリカ粒子。
[3]細孔径3nm~4nmの細孔容積が、0.009cc/g~0.030cc/g
である、[1]又は[2]に記載のシリカ粒子。
[4]細孔径4nm~5nmの細孔容積が、0.005cc/g以下である、[1]~
[3]のいずれかに記載のシリカ粒子。
[5]比表面積が、100m2/g~300m2/gである、[1]~[4]のいずれ
かに記載のシリカ粒子。
[6]金属含有率が、5質量ppm以下である、[1]~[5]のいずれかに記載のシ
リカ粒子。
[7]テトラアルコキシシランを加水分解反応及び縮合反応させてシリカ粒子を製造す
る、[1]~[6]のいずれかに記載のシリカ粒子の製造方法。
[8]加水分解反応及び縮合反応の反応温度が、20℃以下である、[7]に記載のシ
リカ粒子の製造方法。
[9]加水分解反応及び縮合反応のアルカリ触媒の濃度が、1.0質量%以下である、
[7]又は[8]に記載のシリカ粒子の製造方法。
[10]加水分解反応及び縮合反応が、アルカリ触媒を含む液(A)中に、テトラアル
コキシシランを含む液(B)及びアルカリ触媒を含む液(C)を添加し、テトラアルコキ
シシランを加水分解反応及び縮合反応させる工程である、[7]~[9]のいずれかに記
載のシリカ粒子の製造方法。
[11]シリカ粒子の製造原料が、テトラメトキシシラン、メタノール、アンモニア及
び水の4種類のみである、[7]~[10]のいずれかに記載のシリカ粒子の製造方法。
[12][1]~[6]のいずれかに記載のシリカ粒子を含む、シリカゾル。
[13][1]~[6]のいずれかに記載のシリカ粒子を含む、吸着剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシリカ粒子は、生体関連物質の分離、微小サイズ化合物の精密な吸着・包含に
好適に用いることができる。また、本発明のシリカ粒子の製造方法は、生体関連物質の分
離、微小サイズ化合物の精密な吸着・包含に好適に用いることができるナノサイズのシリ
カ粒子を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明について詳述するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものでは
なく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。尚、本明細書において
「~」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いる。
【0012】
(シリカ粒子)
本発明のシリカ粒子は、粒子径が20nm~300nmであり、細孔径2nm~3nm
の細孔容積が0.050cc/g~0.200cc/gである。シリカ粒子の粒子径が2
0nm~300nmであり、細孔径2nm~3nmの細孔容積が0.050cc/g~0
.200cc/gであることで、生体関連物質の分離、微小サイズ化合物の精密な吸着・
包含に好適に用いることができる。
【0013】
シリカ粒子の粒子径は、20nm~300nmであり、25nm~200nmが好まし
く、30nm~150nmがより好ましい。シリカ粒子の粒子径が20nm以上であると
、細孔径2nm~3nmの細孔容積が十分に確保できる。また、シリカ粒子の粒子径が3
00nm以下であると、分散液中で沈降することなく、ナノ粒子としての特徴を発揮でき
る。
【0014】
シリカ粒子の粒子径は、DLS法により測定する。具体的には、動的光散乱粒子径測定
装置を用いて測定する。
【0015】
シリカ粒子の粒子径は、シリカ粒子の製造条件により、所望の範囲に設定することがで
きる。
【0016】
シリカ粒子の細孔径2nm~3nmの細孔容積は、生体関連物質の分離や微小サイズ化
合物の精密な吸着・包含に好適に用いることができることから、0.050cc/g~0
.200cc/gであり、0.060cc/g~0.150cc/gが好ましく、0.0
70cc/g~0.100cc/gがより好ましい。
【0017】
シリカ粒子の細孔径2nm~3nmの細孔容積は、シリカ粒子の製造条件により、特に
、反応温度、反応時の水の濃度及び反応時のアルカリ触媒の濃度により、所望の範囲に設
定することができる。
【0018】
シリカ粒子の細孔径2nm~5nmの細孔容積中の細孔径2nm~3nmの細孔容積の
割合は、細孔分布を狭くし、より精密な分離・吸着ができることから、70%~100%
が好ましく、80%~95%がより好ましい。
【0019】
シリカ粒子の細孔径3nm~4nmの細孔容積は、細孔径2nm~3nmの細孔容積の
割合が多く占めることができることから、0.008cc/g~0.030cc/gが好
ましく、0.009cc/g~0.025cc/gがより好ましい。
【0020】
シリカ粒子の細孔径3nm~4nmの細孔容積は、シリカ粒子の製造条件により、特に
、反応温度、反応時の水の濃度及び反応時のアルカリ触媒の濃度により、所望の範囲に設
定することができる。
【0021】
シリカ粒子の細孔径4nm~5nmの細孔容積は、細孔径2nm~3nmの細孔容積の
割合が多く占めることができることから、0.001cc/g~0.005cc/gが好
ましく、0.002cc/g~0.004cc/gがより好ましい。
【0022】
シリカ粒子の細孔径4nm~5nmの細孔容積は、シリカ粒子の製造条件により、特に
、反応温度、反応時の水の濃度及び反応時のアルカリ触媒の濃度により、所望の範囲に設
定することができる。
【0023】
シリカ粒子の細孔容積は、水蒸気吸着法により測定する。具体的には、乾燥したシリカ
粒子を試料として、水蒸気吸着等温線を25℃で作成し、細孔分布を脱着側の水蒸気吸着
等温線から計算する。計算方法は、粉体工学会誌1983年20巻3号p115-121
に準ずる。
【0024】
シリカ粒子の比表面積は、100m2/g~300m2/gが好ましく、150m2/
g~250m2/gがより好ましい。
【0025】
シリカ粒子の比表面積は、シリカ粒子の細孔径や細孔容積を制御することにより、所望
の範囲に設定することができる。
【0026】
シリカ粒子の比表面積は、水蒸気吸着法により測定する。具体的には、乾燥したシリカ
粒子を試料として、水蒸気吸着等温線を25℃で作成し、比表面積を吸着側の水蒸気吸着
等温線から計算する。計算方法は、BET多点法を用いる。
【0027】
シリカ粒子の金属含有率は、5質量ppm以下が好ましく、3質量ppm以下がより好
ましい。シリカ粒子の金属含有率が5質量ppmを超えると、用途が限定され、特に、生
体関連物質の分離・吸着での適用が限定される。
【0028】
シリカ粒子の金属含有率は、高周波誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)によ
り測定する。具体的には、シリカ粒子0.4g含むシリカゾルを正確に量り採り、硫酸と
フッ酸を加え、加温、溶解、蒸発させ、残存した硫酸滴に総量が正確に10gとなるよう
純水を加えて試験液を作成し、高周波誘導結合プラズマ質量分析装置を用いて測定する。
対象の金属は、ナトリウム、カリウム、鉄、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、
亜鉛、コバルト、クロム、銅、マンガン、鉛、チタン、銀、ニッケルとし、これらの金属
の含有率の合計を金属含有率とする。
【0029】
シリカ粒子の金属含有率は、テトラアルコキシシランを加水分解反応及び縮合反応を行
ってシリカ粒子を得ることで、5質量ppm以下とすることができる。他の方法では、シ
リカ粒子の金属含有率を5質量ppm以下とすることが極めて困難である。
【0030】
シリカ粒子の形状としては、例えば、球状、鎖状、繭状、疣状、屈曲状、分岐状等が挙
げられる。これらの形状の中でも、生体関連物質の分離、微小サイズ化合物の精密な吸着
・包含に好適に用いることができることから、球状、鎖状、繭状が好ましく、球状がより
好ましい。
【0031】
(シリカ粒子の製造方法)
本発明のシリカ粒子は、テトラアルコキシシランを加水分解反応及び縮合反応させるこ
とで製造することができるが、加水分解反応及び縮合反応を制御しやすく、加水分解反応
及び縮合反応の反応速度を高めることができ、シリカ粒子の分散液のゲル化を防ぎ、粒子
径の揃ったシリカ粒子を得られることから、水を含む液(A)中に、テトラアルコキシシ
ランを含む液(B)及びアルカリ触媒を含む液(C)を添加し、テトラアルコキシシラン
を加水分解反応及び縮合反応させる方法が好ましい。
【0032】
液(A)は、水を含む。
【0033】
液(A)は、テトラアルコキシシランの反応液中での分散性に優れることから、水以外
の溶媒を含むことが好ましい。
液(A)中の水以外の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール
、イソプロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独
で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの溶媒の中でも、テトラアルコキシ
シランを溶解しやすく、加水分解反応及び縮合反応で用いるものと副生するものとが同一
で、製造上の利便性に優れることから、アルコールが好ましく、メタノール、エタノール
がより好ましく、メタノールが更に好ましい。
【0034】
液(A)は、テトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応の反応速度を制御で
きることから、アルカリ触媒を含むことが好ましい。
液(A)中のアルカリ触媒としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミ
ン、トリエチレンテトラアミン、アンモニア、尿素、エタノールアミン、テトラメチル水
酸化アンモニウム等が挙げられる。これらのアルカリ触媒は、1種を単独で用いてもよく
、2種以上を併用してもよい。これらのアルカリ触媒の中でも、触媒作用に優れ、粒子形
状を制御しやすく、金属不純物の混入を抑制することができ、揮発性が高く加水分解反応
及び縮合反応後の除去性に優れることから、アンモニアが好ましい。
【0035】
液(A)中の水の濃度は、シリカ粒子の細孔径2nm~3nmの細孔容積を増やすこと
ができることから、液(A)100質量%中、10質量%~20質量%が好ましく、13
質量%~18質量%がより好ましい。液(A)中の水の濃度が10質量%以上であると、
テトラアルコキシシランの加水分解反応速度を制御しやすい。また、液(A)中の水の濃
度が20質量%以下であると、加水分解反応と縮合反応との反応バランスがよく、粒子形
状を制御しやすい。
【0036】
液(A)中のアルカリ触媒の濃度は、シリカ粒子の細孔径2nm~3nmの細孔容積を
増やすことができることから、液(A)100質量%中、0.3質量%~1.0質量%が
好ましく、0.4質量%~0.9質量%がより好ましい。液(A)中のアルカリ触媒の濃
度が0.3質量%以上であると、シリカ粒子の凝集を抑制し、分散液中のシリカ粒子の分
散安定性に優れる。また、液(A)中のアルカリ触媒の濃度が1.0質量%以下であると
、反応が過度に速く進行せず、反応制御性に優れる。
【0037】
液(A)中の水以外の溶媒の濃度は、水とアルカリ触媒の残部とすることが好ましい。
【0038】
液(B)は、テトラアルコキシシランを含む。
【0039】
液(B)中のテトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テト
ラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン等が挙げられ
る。これらのテトラアルコキシシランは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用し
てもよい。これらのテトラアルコキシシランの中でも、加水分解反応が速く、未反応物が
残留し難く、生産性に優れ、安定なシリカゾルを容易に得ることができることから、テト
ラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましく、テトラメトキシシランがより好ま
しい。
【0040】
シリカ粒子の原料は、テトラアルコキシシランの低縮合物等のテトラアルコキシシラン
以外の原料を用いてもよいが、反応性に優れることから、シリカ粒子を構成する全原料1
00質量%中、テトラアルコキシシランが50質量%以上で、テトラアルコキシシラン以
外の原料が50質量%以下であることが好ましく、テトラアルコキシシランが90質量%
以上で、テトラアルコキシシラン以外の原料が10質量%以下であることがより好ましく
、テトラアルコキシシランが100質量%であることが更に好ましい。
【0041】
液(B)は、溶媒を含まずテトラアルコキシシランのみでもよいが、反応液中でのテト
ラアルコキシシランの分散性に優れることから、溶媒を含むことが好ましい。
液(B)中の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプ
ロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いて
もよく、2種以上を併用してもよい。これらの溶媒の中でも、加水分解反応及び縮合反応
で用いるものと副生するものとが同一で、製造上の利便性に優れることから、アルコール
が好ましく、メタノール、エタノールがより好ましく、メタノールが更に好ましい。
【0042】
液(B)のテトラアルコキシシランの濃度は、液(B)100質量%中、60質量%~
95質量%が好ましく、70質量%~90質量%がより好ましい。液(B)のテトラアル
コキシシランの濃度が60質量%以上であると、反応液が均一になりやすい。また、液(
B)のテトラアルコキシシランの濃度が95質量%以下であると、ゲル状物の生成を抑制
することができる。
【0043】
液(B)の溶媒の濃度は、液(B)100質量%中、5質量%~40質量%が好ましく
、10質量%~30質量%がより好ましい。液(B)の溶媒の濃度が5質量%以上である
と、ゲル状物の生成を抑制することができる。また、液(B)の溶媒の濃度が40質量%
以下であると、反応液が均一になりやすい。
【0044】
液(A)の体積に対する時間当たりの液(B)の添加速度は、0.05kg/時間/L
~1.3kg/時間/Lが好ましく、0.1kg/時間/L~0.8kg/時間/Lがよ
り好ましい。液(B)の添加速度が0.05kg/時間/L以上であると、シリカ粒子の
生産性に優れる。また、液(B)の添加速度が1.3kg/時間/L以下であると、ゲル
状物の生成を抑制することができる。
【0045】
液(C)はアルカリ触媒を含む。
【0046】
液(C)中のアルカリ触媒としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミ
ン、トリエチレンテトラアミン、アンモニア、尿素、エタノールアミン、テトラメチル水
酸化アンモニウム等が挙げられる。これらのアルカリ触媒は、1種を単独で用いてもよく
、2種以上を併用してもよい。これらのアルカリ触媒の中でも、触媒作用に優れ、粒子形
状を制御しやすく、金属不純物の混入を抑制することができ、揮発性が高く加水分解反応
及び縮合反応後の除去性に優れることから、アンモニアが好ましい。
【0047】
液(C)は、反応液中のアルカリ触媒の濃度の変動を小さくすることができることから
、溶媒を含むことが好ましい。
液(C)中の溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イ
ソプロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用
いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの溶媒の中でも、加水分解反応及び縮合
反応で用いるものと副生するものとが同一で、製造上の利便性に優れることから、水、ア
ルコールが好ましく、水がより好ましい。
【0048】
液(C)中のアルカリ触媒の濃度は、液(C)100質量%中、0.5質量%~10質
量%が好ましく、1質量%~6質量%がより好ましい。液(C)中のアルカリ触媒の濃度
が0.5質量%以上であると、反応開始から反応終了まで反応液中のアルカリ触媒の濃度
を調整しやすい。また、液(C)中のアルカリ触媒の濃度が10質量%以下であると、反
応液中のアルカリ触媒の濃度の変動を小さくすることができる。
【0049】
液(C)中の溶媒の濃度は、液(C)100質量%中、90質量%~99.5質量%が
好ましく、94質量%~99質量%がより好ましい。液(C)中の溶媒の濃度が90質量
%以上であると、反応液中のアルカリ触媒の濃度の変動を小さくすることができる。また
、液(C)中の溶媒の濃度が99.5質量%以下であると、反応開始から反応終了まで反
応液中のアルカリ触媒の濃度を調整しやすい。
【0050】
液(A)の体積に対する時間当たりの液(C)の添加速度は、0.02kg/時間/L
~0.5kg/時間/Lが好ましく、0.04kg/時間/L~0.3kg/時間/Lが
より好ましい。液(C)の添加速度が0.02kg/時間/L以上であると、シリカ粒子
の生産性に優れる。また、液(C)の添加速度が0.5kg/時間/L以下であると、ゲ
ル状物の生成を抑制することができる。
【0051】
液(B)及び液(C)の添加は、液(A)の液中に行うことが好ましい。液(B)及び
液(C)を液(A)の液中に添加することで、アンモニアに代表される揮発性が高いアル
カリ触媒を用いたい場合、かつ、高い反応温度で加水分解反応及び縮合反応を進めたい場
合に、反応液中での各成分の混合性が高まり、気中での異常反応を抑制できると共に、粒
子形状を制御しやすくなる。液中に添加するとは、液面以下に添加することをいい、液(
B)の供給出口及び液(C)の供給出口を液(A)の液面以下とすることで、液(B)及
び液(C)を液(A)の液中に添加することができる。
【0052】
液(A)への液(B)と液(C)の添加のタイミングは、同一であってもよく、交互の
ように異なっていてもよいが、反応組成の変動が少なく、操作が煩雑にならないことから
、同一であることが好ましい。
【0053】
液(A)への液(B)の添加時間は、0.5時間~20時間が好ましく、2時間~10
時間がより好ましい。液(A)への液(B)の添加時間が0.5時間以上であると、シリ
カ粒子の細孔径や細孔容積を制御できる。また、液(A)への液(B)の添加時間が20
時間以下であると、シリカ粒子の生産性に優れる。
【0054】
液(A)への液(C)の添加時間は、0.5時間~20時間が好ましく、2時間~10
時間がより好ましい。液(A)への液(C)の添加時間が0.5時間以上であると、シリ
カ粒子の細孔径や細孔容積を制御できる。また、液(A)への液(C)の添加時間が20
時間以下であると、シリカ粒子の生産性に優れる。
【0055】
加水分解反応及び縮合反応の反応温度は、0℃~20℃が好ましく、5℃~18℃がよ
り好ましく、10℃~16℃が更に好ましい。反応温度が0℃以上であると、反応が過度
に遅く進行せず、制御性に優れる。また、反応温度が20℃以下であると、シリカ粒子の
細孔径2nm~3nmの細孔容積を増やすことができる。
【0056】
加水分解反応及び縮合反応の反応系内の水の濃度は、シリカ粒子の細孔径2nm~3n
mの細孔容積を増やすことができることから、反応系内の全量100質量%中、10質量
%~20質量%に維持することが好ましく、13質量%~18質量%に維持することがよ
り好ましい。反応系内の水の濃度が10質量%以上であると、テトラアルコキシシランの
加水分解反応速度を制御しやすい。また、反応系内の水の濃度が20質量%以下であると
、加水分解反応と縮合反応との反応バランスがよく、粒子形状を制御しやすい。
【0057】
加水分解反応及び縮合反応の反応系内のアルカリ触媒の濃度は、シリカ粒子の細孔径2
nm~3nmの細孔容積を増やすことができることから、反応系内の全量100質量%中
、0.3質量%~1.0質量%に維持することが好ましく、0.4質量%~0.9質量%
に維持することがより好ましい。反応系内のアルカリ触媒の濃度が0.3質量%以上であ
ると、シリカ粒子の凝集を抑制し、分散液中のシリカ粒子の分散安定性に優れる。また、
反応系内のアルカリ触媒の濃度が1.0質量%以下であると、反応が過度に速く進行せず
、反応制御性に優れる。
【0058】
シリカ粒子の製造方法は、不必要な成分を除去し、必要な成分を添加することができる
ことから、更に、以下の工程(1)を含むことが好ましい。
工程(1):得られたシリカ粒子の分散液を濃縮し、分散媒を添加する工程
【0059】
工程(1)のシリカ粒子の分散液の濃縮と分散媒の添加とはいずれを先に行ってもよい
。
【0060】
シリカ粒子の分散液を濃縮する方法は、特に限定されず、例えば、加熱濃縮法、膜濃縮
法等が挙げられる。
【0061】
シリカ粒子の分散液に添加する分散媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール
、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。これらの分散
媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの分散媒の中でも
、シリカ粒子との親和性に優れることから、水、アルコールが好ましく、水がより好まし
い。
【0062】
シリカ粒子の製造方法は、シリカ粒子の縮合度を高めることができることから、更に、
以下の工程(2)を含んでもよい。
工程(2):工程(1)で得られたシリカ粒子の分散液を加圧加熱処理する工程
【0063】
加圧加熱処理の圧力は、0.10MPa~2.3MPaが好ましく、0.14MPa~
1.0MPaがより好ましい。加圧加熱処理の圧力が0.10MPa以上であると、シリ
カ粒子の縮合度を高めることができる。また、加圧加熱処理の圧力が2.3MPa以下で
あると、粒子径等の形状を大きく変化させることなくシリカ粒子を製造することができ、
シリカゾルの分散安定性に優れる。
【0064】
加圧は、密閉した状態でシリカ粒子の分散液を分散媒の沸点以上に加熱すればよい。密
閉した状態でシリカ粒子の水分散液を100℃以上に加熱した場合、圧力は、その温度の
飽和水蒸気圧となる。
【0065】
加圧加熱処理の温度は、100℃~220℃が好ましく、110℃~180℃がより好
ましい。加圧加熱処理の温度が100℃以上であると、シリカ粒子の縮合度を高めること
ができる。加圧加熱処理の温度が220℃以下であると、粒子径等の形状を大きく変化さ
せることなくシリカ粒子を製造することができ、シリカゾルの分散安定性に優れる。
【0066】
加圧加熱処理の時間は、0.25時間~10時間が好ましく、0.5時間~8時間がよ
り好ましい。加圧加熱処理の時間が0.25時間以上であると、シリカ粒子の縮合度を高
めることができる。加圧加熱処理の時間が10時間以下であると、粒子径等の形状を大き
く変化させることなくシリカ粒子を製造することができ、シリカゾルの分散安定性に優れ
る。
【0067】
加圧加熱処理は、粒子径等の形状を大きく変化させることなくシリカ粒子の縮合度を高
めることができることから、水分散液中で行うことがより好ましい。
【0068】
加圧加熱処理を水分散液中で行う際のpHは、6.0~8.0が好ましく、6.5~7
.8がより好ましい。加圧加熱処理を水分散液中で行う際のpHが6.0以上であると、
シリカゾルのゲル化を抑制することができる。また、加圧加熱処理を水分散液中で行う際
のpHが8.0以下であると、粒子径等の形状を大きく変化させることなくシリカ粒子の
縮合度を高めることができる。
【0069】
本発明のシリカ粒子の製造原料は、用途が限定されないよう、不純物の由来となる界面
活性剤を用いないことが好ましく、テトラアルコキシシラン、アルコール、アルカリ触媒
、水の4種類のみとすることがより好ましく、テトラメトキシシラン、メタノール、アン
モニア及び水の4種類のみとすることが更に好ましい。
【0070】
(シリカゾル)
本発明のシリカゾルは、本発明のシリカ粒子を含む。
【0071】
シリカゾルは、本発明のシリカ粒子の分散液をそのまま用いてもよく、本発明のシリカ
粒子の分散液中の成分のうち、不必要な成分の除去や必要な成分の添加をして製造しても
よい。
【0072】
本発明のシリカゾルは、シリカ粒子及び分散媒を含むことが好ましい。
シリカゾル中の分散媒は、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ
プロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。これらのシリカゾル中の分散媒は、
1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのシリカゾル中の分散媒
の中でも、シリカ粒子との親和性に優れることから、水、アルコールが好ましく、水がよ
り好ましい。
【0073】
シリカゾル中のシリカ粒子の含有率は、シリカゾル全量100質量%中、3質量%~5
0質量%が好ましく、4質量%~40質量%がより好ましく、5質量%~30質量%が更
に好ましい。
【0074】
シリカゾル中の分散媒の含有率は、シリカゾル全量100質量%中、50質量%~97
質量%が好ましく、60質量%~96質量%がより好ましく、70質量%~95質量%が
更に好ましい。
【0075】
シリカゾル中のシリカ粒子や分散媒の含有率は、得られたシリカ粒子の分散液中の成分
のうち、不必要な成分を除去し、必要な成分を添加することで、所望の範囲に設定するこ
とができる。
【0076】
シリカゾルは、シリカ粒子及び分散媒以外に、その性能を損なわない範囲において、必
要に応じて、他の成分を含んでもよい。
【0077】
シリカゾルのpHは、6.0~8.0が好ましく、6.5~7.8がより好ましい。シ
リカゾルのpHが6.0以上であると、分散安定性に優れ、シリカ粒子の凝集を抑制する
ことができる。また、シリカゾルのpHが8.0以下であると、シリカ粒子の溶解を防ぎ
、長期間の保存安定性に優れる。
【0078】
(用途)
本発明のシリカ粒子は、細孔径2nm~3nmの細孔を多く有するナノサイズのシリカ
粒子であることから、吸着剤として好適に用いることができ、中でも生体関連物質の分離
、微小サイズ化合物の精密な吸着・包含に特に好適に用いることができる。
【実施例0079】
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱し
ない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
【0080】
(細孔容積の測定)
実施例及び比較例で得られたシリカ粒子の分散液を300℃で乾燥させ、自動ガス/蒸
気吸着量測定装置(機種名「BELSORP-18 PLUS」、マイクロトラック・ベ
ル社製)を用い、水蒸気吸着等温線を25℃で作成し、脱着側の水蒸気吸着等温線から、
細孔径2nm~3nmの細孔容積、細孔径3nm~4nmの細孔容積、細孔径4nm~5
nmの細孔容積、細孔径2nm~5nmの細孔容積を計算した。計算方法は、粉体工学会
誌1983年20巻3号p115-121に準じた。細孔容積の単位は、吸着水の密度を
1g/ccとして、吸着水cc/乾燥シリカ粒子gに換算した。
【0081】
(比表面積の測定)
実施例及び比較例で得られたシリカ粒子の分散液を300℃で乾燥させ、自動ガス/蒸
気吸着量測定装置(機種名「BELSORP-18 PLUS」、マイクロトラック・ベ
ル社製)を用い、水蒸気吸着等温線を25℃で作成し、比表面積を吸着側の水蒸気吸着等
温線から計算した。計算方法は、BET多点法を用いた。
【0082】
(粒子径の測定)
実施例及び比較例で得られたシリカ粒子の分散液を、動的光散乱粒子径測定装置(機種
名「ゼーターサイザーナノZS」、マルバーン・パナリティカル社製)を用いて、シリカ
粒子の粒子径を測定した。ここでいう粒子径は、Z平均粒子径である。
【0083】
(金属含有率の測定)
シリカ粒子0.4g含む実施例及び比較例で得られたシリカ粒子の分散液を正確に量り
取り、硫酸とフッ酸を加え、加温・溶解・蒸発させ、残存した硫酸滴に総量が正確に10
gとなるよう純水を加えて試験液を作成し、高周波誘導結合プラズマ質量分析装置「EL
EMENT2」(機種名、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて、ナ
トリウム、カリウム、鉄、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、コバルト、
クロム、銅、マンガン、鉛、チタン、銀、ニッケルの含有率を測定し、その合計を金属含
有率とした。
【0084】
[実施例1]
テトラメトキシシラン15質量%とメタノール85質量%とを混合した液(B)と3質
量%アンモニア水溶液の液(C)とをそれぞれ調液した。温度計、攪拌機、供給管及び留
出ラインを備えた反応槽に、予めメタノール84.5質量%、純水15質量%及びアンモ
ニア0.5質量%を混合した液(A)を仕込んだ。
反応液の温度を13℃に保持したまま、液(A)131.8質量部中に、液(B)10
0質量部及び液(C)36.7質量部を、460分間かけてそれぞれ等速で添加(液(B
)の添加速度0.59g/分、液(C)の添加速度0.22g/分)し、シリカ粒子の含
有率が約12.5質量%のシリカ粒子の分散液を得た。得られたシリカ粒子の分散液を、
シリカ粒子の含有率が約20質量%になるように、液量を純水追加で調整しながら、温度
を上げてメタノールとアンモニアの除去を行い、シリカ粒子の含有率が約20質量%のシ
リカ粒子の水分散液を得た。
得られたシリカ粒子の評価結果を、表1に示す。
【0085】
[実施例2]
テトラメトキシシラン15質量%とメタノール85質量%とを混合した液(B)と6.
6質量%アンモニア水溶液の液(C)とをそれぞれ調液した。温度計、攪拌機、供給管及
び留出ラインを備えた反応槽に、予めメタノール84.25質量%、純水15質量%及び
アンモニア0.75質量%を混合した液(A)を仕込んだ。
反応液の温度を15℃に保持したまま、液(A)132.1質量部中に、液(B)10
0質量部及び液(C)36.3質量部を、184分間かけてそれぞれ等速で添加(液(B
)の添加速度0.29g/分、液(C)の添加速度0.11g/分)し、更に添加速度を
変えて122分間かけてそれぞれ等速で添加(液(B)の流量1.77g/分、液(C)
の流量0.64g/分)し、シリカ粒子の含有率が約12.5質量%のシリカ粒子の分散
液を得た。得られたシリカ粒子の分散液を、シリカ粒子の含有率が約20質量%になるよ
うに、液量を純水追加で調整しながら、温度を上げてメタノールとアンモニアの除去を行
い、シリカ粒子の含有率が約20質量%のシリカ粒子の水分散液を得た。
得られたシリカ粒子の評価結果を、表1に示す。
【0086】
[実施例3]
テトラメトキシシラン15質量%とメタノール85質量%とを混合した液(B)と3.
6質量%アンモニア水溶液の液(C)とをそれぞれ調液した。温度計、攪拌機、供給管及
び留出ラインを備えた反応槽に、予めメタノール84.5質量%、純水15質量%及びア
ンモニア0.5質量%を混合した液(A)を仕込んだ。
反応液の温度を13℃に保持したまま、液(A)131.5質量部中に、液(B)10
0質量部及び液(C)36.9質量部を、460分間かけてそれぞれ等速で添加(液(B
)の添加速度0.59g/分、液(C)の添加速度0.22g/分)し、シリカ粒子の含
有率が約12.5質量%のシリカ粒子の分散液を得た。得られたシリカ粒子の分散液を、
シリカ粒子の含有率が約20質量%になるように、液量を純水追加で調整しながら、温度
を上げてメタノールとアンモニアの除去を行い、シリカ粒子の含有率が約20質量%のシ
リカ粒子の水分散液を得た。
得られたシリカ粒子の評価結果を、表1に示す。
【0087】
[比較例1]
テトラメトキシシラン15質量%とメタノール85質量%とを混合した液(B)と6.
6質量%アンモニア水溶液の液(C)とをそれぞれ調液した。温度計、攪拌機、供給管及
び留出ラインを備えた反応槽に、予めメタノール82.6質量%、純水15質量%及びア
ンモニア2.4質量%を混合した液(A)を仕込んだ。
反応液の温度を50℃に保持したまま、液(A)130.1質量部中に、液(B)10
0質量部及び液(C)38.3質量部を、153分間かけてそれぞれ等速で添加(液(B
)の添加速度1.77g/分、液(C)の添加速度0.68g/分)し、シリカ粒子の含
有率が約12.5質量%のシリカ粒子の分散液を得た。得られたシリカ粒子の分散液を、
シリカ粒子の含有率が約20質量%になるように、液量を純水追加で調整しながら、温度
を上げてメタノールとアンモニアの除去を行い、シリカ粒子の含有率が約20質量%のシ
リカ粒子の水分散液を得た。
得られたシリカ粒子の評価結果を、表1に示す。
【0088】
【0089】
表1から分かるように、実施例で得られたシリカ粒子は、比較例で得られたシリカ粒子
と比較して、細孔径2nm~3nmの細孔を多く有することから、吸着剤として好適に用
いることができ、中でも生体関連物質の分離、微小サイズ化合物の精密な吸着・包含に特
に好適に用いることができる。