(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126238
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】基板処理装置、および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20240912BHJP
C23C 16/46 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H01L21/31 B
C23C16/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034492
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 達也
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA05
4K030EA06
4K030FA10
4K030GA02
4K030GA06
4K030JA10
4K030KA23
4K030KA25
4K030KA39
4K030KA41
4K030LA15
5F045AA06
5F045AD01
5F045AE01
5F045AF01
5F045AF07
5F045BB03
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5F045DP19
5F045DP28
5F045DQ05
5F045EF03
5F045EF09
5F045EK06
5F045EK07
5F045EK24
5F045EK28
5F045EK30
(57)【要約】
【課題】処理容器の内部に収容された基板の温度を効率的に昇温させると共に、加熱時の電力量を低減できる技術を提供する。
【解決手段】基板処理装置は、複数の基板を内部に収容して、当該複数の基板に基板処理を行う処理容器と、処理容器の内部にガスを供給するガス供給ノズルと、処理容器の外部から複数の基板を加熱する外部ヒータと、を含む。基板処理装置は、処理容器の内部においてガス供給ノズルと独立して設けられ、かつ複数の基板の側方を当該複数の基板が並ぶ方向に延在して、複数の基板を加熱する内部ヒータを備える。基板処理装置は、外部ヒータおよび内部ヒータを連動させることで、処理容器の内部に収容された複数の基板の温度を効率的に昇温させると共に、加熱時の電力量を低減できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を内部に収容して、当該複数の基板に基板処理を行う処理容器と、
前記処理容器の内部にガスを供給するガス供給ノズルと、
前記処理容器の外部から前記複数の基板を加熱する外部ヒータと、を含む基板処理装置であって、
前記処理容器の内部において前記ガス供給ノズルと独立して設けられ、かつ前記複数の基板の側方を当該複数の基板が並ぶ方向に延在して、前記複数の基板を加熱する内部ヒータを備える、
基板処理装置。
【請求項2】
前記処理容器は、前記複数の基板を収容する第1空間を有する内筒と、前記内筒を収容して前記内筒との間に第2空間を形成する外筒と、を含み、
前記内筒は、
周方向の一部において径方向外側に突出して、前記ガス供給ノズルを内側に収容するノズル用凸部と、
前記内筒の軸心を挟んだ前記ノズル用凸部の反対位置に設けられ、前記第1空間と前記第2空間の間を連通する開口部と、を有する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記内部ヒータは、前記内筒の内側に設置されている、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記内筒は、前記ノズル用凸部と異なる周方向の位置で径方向外側に突出するヒータ用凸部を有し、
前記内部ヒータは、前記ヒータ用凸部の内側に収容される、
請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記内部ヒータは、前記内筒と前記外筒の間の前記第2空間に設置されている、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記内部ヒータは、前記第2空間において前記開口部に対向する位置に設置されている、
請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記内部ヒータは、前記処理容器の周方向に沿った前記ノズル用凸部の隣接位置に設置されている、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記内部ヒータは、前記ノズル用凸部の内側に設置されている、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記外部ヒータおよび前記内部ヒータを制御する制御部を有し、
前記制御部は、
(A)前記基板処理の開始において前記ガス供給ノズルから処理ガスの供給を停止した状態で、前記外部ヒータおよび前記内部ヒータを加熱して前記複数の基板を昇温させる工程と、
(B)前記(A)の工程の後、前記内部ヒータの加熱を停止する一方で、前記外部ヒータの加熱を継続し、前記ガス供給ノズルから前記処理ガスを供給する工程と、を制御する、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記(B)の工程において、前記外部ヒータへ供給する電力量を、前記(A)の工程で前記外部ヒータへ供給する電力量よりも低くする、
請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記内部ヒータは、
石英により形成される管部材と、
前記管部材の内部に収容されるヒータ線と、を含む、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項12】
複数の基板を内部に収容して、当該複数の基板に基板処理を行う処理容器と、
前記処理容器の内部にガスを供給するガス供給ノズルと、
前記処理容器の外部から前記複数の基板を加熱する外部ヒータと、を含む基板処理装置の基板処理方法であって、
前記処理容器の内部において前記ガス供給ノズルと独立して設けられ、かつ前記複数の基板の側方を当該複数の基板が並ぶ方向に延在する内部ヒータにより、前記複数の基板を加熱する、
基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、処理容器の内部に複数の基板(半導体ウエハ)を収容して、処理容器の外部に設けられたヒータにより加熱を行い、各基板に基板処理を施す基板処理装置(熱処理装置)が開示されている。この基板処理装置は、処理ガスを供給するガス供給ノズルの内部において、吐出前の処理ガスを加熱する予備加熱ヒータをさらに備えている。
【0003】
また、特許文献2には、処理容器の外部にヒータを備えずに、処理容器の内部に備えたヒータにより、複数の基板を加熱する基板処理装置(熱処理装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-81365号公報
【特許文献2】特開2003-324045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、処理容器の内部に収容された複数の基板の温度を効率的に昇温させると共に、加熱時の電力量を低減できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、複数の基板を内部に収容して、当該複数の基板に基板処理を行う処理容器と、前記処理容器の内部にガスを供給するガス供給ノズルと、前記処理容器の外部から前記複数の基板を加熱する外部ヒータと、を含む基板処理装置であって、前記処理容器の内部において前記ガス供給ノズルと独立して設けられ、かつ前記複数の基板の側方を当該複数の基板が並ぶ方向に延在して、前記複数の基板を加熱する内部ヒータを備える、基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
一態様によれば、処理容器の内部に収容された複数の基板の温度を効率的に昇温させると共に、加熱時の電力量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る基板処理装置を概略的に示す断面図である。
【
図2】処理容器および温調炉の水平方向に沿った断面図である。
【
図3】処理容器内に設けられる内部ヒータを示す斜視図である。
【
図4】
図4(A)は、実施形態に係る基板処理装置の基板処理方法を示すタイミングチャートである。
図4(B)は、参考例に係る基板処理装置の基板処理方法を示すタイミングチャートである。
【
図5】
図5(A)は、第1変形例に係る内部ヒータの設置形態を示す断面図である。
図5(B)は、第2変形例に係る内部ヒータの設置形態を示す断面図である。
図5(C)は、第3変形例に係る内部ヒータの設置形態を示す断面図である。
【
図6】
図6(A)は、第4変形例に係る内部ヒータの設置形態を示す断面図である。
図6(B)は、第5変形例に係る内部ヒータの設置形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
[基板処理装置1の構成]
図1は、実施形態に係る基板処理装置1を概略的に示す断面図である。基板処理装置1は、処理容器10内に複数の基板Wを鉛直方向に並べて保持し、原子層堆積(ALD)法や化学気相成長(CVD)法、熱酸化法、その他の方法により各基板Wの表面に所望の膜を成膜する縦型の成膜装置(熱処理装置)に構成されている。成膜が施される基板Wは、特に限定されず、例えば、シリコンウエハ、もしくは化合物半導体ウエハ等の半導体基板、またはガラス基板があげられる。
【0011】
基板処理装置1は、各基板Wを内部に収容して各基板に基板処理を行う処理容器10と、処理容器10内にガスを供給するガス供給部30と、処理容器10内からガスを排気するガス排気部40と、処理容器10の周囲に配置される温調炉50と、を備える。また、基板処理装置1は、基板処理装置1の各構成を制御する制御部90を有する。
【0012】
処理容器10は、円筒状に形成され、軸心が鉛直方向(上下方向)に沿うように設置される。また、処理容器10は、各基板Wを収容する内筒11と、この内筒11を収容する外筒12と、を有する2重筒構造を呈している。内筒11および外筒12は、石英等の耐熱性材料により形成され、互いに同軸上に配置されている。なお、処理容器10は、2重筒構造に限らず、単筒構造でもよく、あるいは3以上の筒からなる構造でもよい。
【0013】
内筒11は、開放した下端を備える一方で、天井壁を上端に備える。また、内筒11は、各基板Wの直径よりも大きな内径を有すると共に、各基板Wの鉛直方向の配置範囲よりも長い軸方向長さを有する。内筒11の内部は、収容された各基板Wにガスを供給して成膜を行う処理空間(第1空間)PSとなる。内筒11の周方向位置には、処理空間PSから内筒11と外筒12の間の流通空間(第2空間)CSにガスを流出させる開口部15が設けられている。例えば、開口部15の鉛直方向の長さは、各基板Wの配置範囲以上に設定される。なお、開口部15の形成位置については、特に限定されず、例えば、内筒11の天井壁に形成されてもよい。
【0014】
また、内筒11は、開口部15と反対側の周方向位置(内筒11の軸心を挟んだ反対位置)に、処理空間PSに連通すると共に、ガス供給部30のガス供給ノズル31を収容可能なノズル用収容空間13sを有する。ノズル用収容空間13sは、内筒11の側壁の一部を径方向外側に突出させたノズル用凸部13の内側に設けられており(
図2も参照)、内筒11の軸心(鉛直方向)と平行に延在している。
【0015】
一方、外筒12は、内筒11よりも大きな内径を有し、内筒11を非接触に覆っている。外筒12の内側に形成される流通空間CSは、内筒11の上方および側方に連続しており、開口部15から移動したガスを鉛直方向下側に流通させる。
【0016】
処理容器10の下端は、ステンレス鋼により形成された円筒状のマニホールド17に支持されている。マニホールド17は、マニホールド側フランジ17fを上端に有する。マニホールド側フランジ17fは、外筒12の下端に形成された外筒側フランジ12fを固定および支持している。外筒側フランジ12fとマニホールド側フランジ17fとの間には、外筒12およびマニホールド17を気密にシールするシール部材19が設けられている。また、マニホールド17は、環状の支持プレート20を上部の内壁に備える。支持プレート20は、内壁から径方向内側に突出して、内筒11の下端を固定および支持する。
【0017】
マニホールド17の下端開口には、基板配置ユニット22の蓋体21が離脱可能に配置される。マニホールド17の下端は、蓋体21の接触に伴ってマニホールド17の下端開口を気密に塞ぐシール部材18を備える。
【0018】
基板配置ユニット22は、上下方向に延出するウエハボート16を、蓋体21から上方に向けて突出させている。ウエハボート16は、鉛直方向に沿って図示しない複数の棚板を有しており、各棚板により各基板Wの外縁部を保持する。ウエハボート16による各基板Wの保持状態で、各基板Wは、鉛直方向に沿って一定の間隔毎に並び、また相互に水平方向に支持される。
【0019】
さらに、基板配置ユニット22は、ウエハボート16および蓋体21の他に、ウエハボート16を回転自在に支持する回転機構23、昇降機構25および断熱構造部27を備える。
【0020】
回転機構23は、蓋体21の中心部に設けられ、図示しない回転源と、回転源により回転する回転軸24と、回転軸24の上端に連結される回転プレート26と、を含む。回転プレート26の上面には、断熱構造部27を介してウエハボート16が搭載される。回転軸24および回転プレート26は、回転機構23の回転下に、断熱構造部27およびウエハボート16を軸回りに回転させる。
【0021】
昇降機構25は、鉛直方向に延在する柱部25Aと、柱部25Aと相対的に昇降可能なアーム25Bと、アーム25Bを昇降させる昇降駆動部(不図示)と、を有する。アーム25Bは、略水平方向に延在して蓋体21、回転機構23、および回転軸24よりも上側の部材(ウエハボート16、回転プレート26、断熱構造部27)を支持している。基板処理装置1は、昇降機構25のアーム25Bを昇降することで、蓋体21、回転機構23、回転軸24よりも上側の部材を一体に上下させ、処理容器10内に対してウエハボート16を挿入および離脱させる。
【0022】
ガス供給部30は、処理容器10の処理空間PS内の各基板Wにガスを供給するために、1以上のガス供給ノズル31を備える。ガス供給部30により供給するガスとしては、成膜(基板処理)に適用される処理ガスと、処理空間PS内をパージするパージガスとがあげられる。また、処理ガスとしては、前駆体(プリカーサ)を基板Wに堆積させるための原料ガス、および基板Wに付着した前駆体と反応する反応ガスがあげられる。
【0023】
図2は、処理容器10および温調炉50の水平方向に沿った断面図である。
図2に示すように、ガス供給部30は、3つのガス供給ノズル31(第1ガス供給ノズル31A、第2ガス供給ノズル31B、第3ガス供給ノズル31C)を備える。なお、
図1では、図示の便宜のため、第1ガス供給ノズル31A、第2ガス供給ノズル31Bを記載し、第3ガス供給ノズル31Cの記載を省いている。
【0024】
第1ガス供給ノズル31Aは、原料ガスを処理容器10内に供給するノズルである。第2ガス供給ノズル31Bは、反応ガスを処理容器10内に供給するノズルである。第3ガス供給ノズル31Cは、パージガスを処理容器10内に供給するノズルである。ガス供給部30は、この構成に限定されず、例えば、複数種類のガスを同じガス供給ノズル31から供給することで1つまたは2つのガス供給ノズル31を備える構成でもよく、あるいは4つ以上のガス供給ノズル31を備える構成でもよい。
【0025】
第1ガス供給ノズル31A~第3ガス供給ノズル31Cは、石英により形成されたインジェクタ管であり、ノズル用凸部13の内側(ノズル用収容空間13s)において互いに周方向に並んで設けられている。第1ガス供給ノズル31A~第3ガス供給ノズル31Cの各々は、処理空間PS内に収容された基板Wを臨む方向にガス孔31hを有しており、内部の流路を流通したガスを基板Wに向けて吐出する。なお、
図2では、上から下に向かって順に第1ガス供給ノズル31A~第3ガス供給ノズル31Cを図示しているが、第1ガス供給ノズル31A~第3ガス供給ノズル31Cの配置は任意に設計してよい。
【0026】
図1に示すように、各ガス供給ノズル31は、マニホールド17に固定される。また、各ガス供給ノズル31は、内筒11内を鉛直方向に沿って延びると共に、下端においてL字状に屈曲してマニホールド17の内外を貫通している。各ガス供給ノズル31は、鉛直方向において、ウエハボート16に支持される各基板Wの間隔と同じ間隔で上記の複数のガス孔31hを備える。また、各ガス孔31hの鉛直方向の位置は、鉛直方向に隣り合う基板W同士の中間に位置するように設定されている。このように構成された各ガス孔31hは、水平方向にガスを吐出することで、各基板Wの間の隙間にガスを円滑に供給できる。
【0027】
ガス供給部30は、処理容器10の外部において、第1ガス供給ノズル31A~第3ガス供給ノズル31Cの各々に接続される複数のガス供給経路32を有する。第1ガス供給ノズル31Aに接続されるガス供給経路32は、図示しない原料ガス源に接続されている。第2ガス供給ノズル31Bに接続されるガス供給経路32は、図示しない反応ガス源に接続されている。第3ガス供給ノズル31Cに接続されるガス供給経路32は、図示しないパージガス源に接続されている。また、各ガス供給経路32は、各ガス源に至るまでの途中位置に、ガスの流量を調整する流量調整器、経路内の流路を開閉するバルブ等を備える(共に不図示)。
【0028】
ガス排気部40は、処理容器10内のガスを外部に排気する。各ガス供給ノズル31により供給されたガスは、内筒11の処理空間PSから流通空間CSに移動した後、ガス出口41を介して排気される。ガス出口41は、マニホールド17の上部の側壁であって、支持プレート20の上方に形成されている。ガス出口41には、ガス排気部40の排気経路42が接続されている。ガス排気部40は、排気経路42の上流から下流に向かって順に、圧力調整弁43、真空ポンプ44を備える。ガス排気部40は、処理容器10内のガスを真空ポンプ44により吸引すると共に、圧力調整弁43により排気するガスの流量を調整することで、処理容器10内の内圧(圧力)を調整する。
【0029】
そして、実施形態に係る基板処理装置1は、処理容器10の内部において各基板Wを加熱する複数の内部ヒータ(内部加熱体)70を備える。各内部ヒータ70は、処理容器10内で保持されている各基板Wの側方の隣接位置に配置されている。また、各内部ヒータ70は、処理容器10内に保持された複数の基板Wのうち最上端の基板Wよりも高い位置と、最下端の基板Wよりも低い位置との間を直線状に延在するように形成される。言い換えれば、各内部ヒータ70は、各ガス供給ノズル31と平行に設けられ、最上端のガス孔31hよりも高い位置と、最下端のガス孔31hよりも低い位置との間を直線状に延在している。
【0030】
図3は、処理容器10内に設けられる内部ヒータ70を示す斜視図である。
図3に示すように、内部ヒータ70は、中空状に形成された管部材71と、管部材71の内部を挿通するように設けられたヒータ線72と、を有する。
【0031】
管部材71は、例えば、石英により形成されている。管部材71は、鉛直方向上側において折り返すことで直線状に延在する一対の連続管に形成され、鉛直方向下側においてL字状に屈曲することで、マニホールド17の外部に露出されている。マニホールド17は、この内部ヒータ70を通過可能な一対の孔28を有している。各孔28を構成するマニホールド17の縁と管部材71の外周面との間は、気密にシール可能なシール部材(不図示)により閉塞される。
【0032】
ヒータ線72は、管部材71の鉛直方向の延在部分全体に収容されると共に、管部材71の屈曲部分において外部から挿入された一対の電気配線73に接続されている。ヒータ線72は、電気配線73を介して図示しない加熱用ドライバから電力が供給されることで、内部ヒータ70の鉛直方向の全体を加熱することが可能である。ヒータ線72は、直線状に限らず、螺旋や蛇行等の配線形態をとってもよい。この種のヒータ線72としては、例えば、カーボンを含有するカーボンワイヤヒータを適用できる。なお、内部ヒータ70は、加熱方式について特に限定されず、例えば、ハロゲンヒータやシーズヒータ等であってもよい。
【0033】
図2に示すように、実施形態に係る内部ヒータ70は、内筒11の内側に配置され、処理空間PSに収容された各基板Wとの間に、部品を介在しない構成としている。また、内部ヒータ70は、内筒11の周方向に沿って3つ設けられ、略等間隔に配置されている。例えば、複数の内部ヒータ70のうち1つは、各ガス供給ノズル31(ノズル用凸部13)の隣接位置に配置されている。また例えば、複数の内部ヒータ70のうち他の1つは、開口部15の隣接位置に配置されている。
【0034】
処理容器10は、内筒11の内側に内部ヒータ70を配置するためのヒータ用凸部14を複数(3つ)備える。ヒータ用凸部14は、ノズル用凸部13と同様に内筒11の周方向位置において径方向外側に短く突出し、内筒11の軸心(鉛直方向)と平行に延在している。ヒータ用凸部14の内側は、内部ヒータ70の一対の連続管を収容可能なヒータ用収容空間14sとなっている。
【0035】
各内部ヒータ70は、各ヒータ用収容空間14sに収容されることで、処理容器10内に収容された基板Wと非接触でありながら、充分に近い位置(例えば、5mm~5cm程度の間隔)に設置される。また、各内部ヒータ70は、周方向に略等間隔に配置され、かつ鉛直方向の最上端の基板Wと最下端の基板Wとの間を延在している。基板処理装置1は、この各内部ヒータ70により全ての基板Wを安定して加熱することができる。各内部ヒータ70の加熱時の温度は、基板処理の内容にもよるが、基板処理時の目標温度よりも若干(例えば、1倍~1.5倍程度)高く設定されるとよい。一例として、基板Wの基板処理時の目標温度が500℃である場合、基板処理装置1は、基板処理の開始時に内部ヒータ70の温度を600℃に設定して基板Wを加熱する。これにより、基板処理装置1は、基板Wの昇温にかかる時間を大幅に短縮できる。
【0036】
また、処理容器10は、処理容器10内(例えば、内筒11内の処理空間PS)の鉛直方向において設定された複数のゾーン毎の温度を検出する温度センサ(不図示)を備えることが好ましい。制御部90は、温度センサが検出する温度情報に基づき、各内部ヒータ70の温度を制御することができる。
【0037】
図1に戻り、温調炉50は、処理容器10全体を覆い、処理容器10に収容された各基板Wを外側から加熱および冷却する。具体的には、温調炉50は、天井を有する円筒状の筐体51と、筐体51の内側に設けられる外部ヒータ52と、を有する。
【0038】
筐体51は、処理容器10とマニホールド17の境界に位置するベースプレート54の上面に取り付けられ、内側に収容された処理容器10を加熱する。筐体51は、処理容器10に対して間隔をあけて設置され、処理容器10と当該筐体51との間に温調空間53を形成している。
【0039】
筐体51は、天井部を有して処理容器10全体を覆う断熱部51aと、断熱部51aの外周において断熱部51aを補強する補強部51bと、を含む。断熱部51aは、例えば、シリカ、アルミナ等を主成分として形成され、熱伝達を抑制する。補強部51bは、ステンレス鋼等の金属により形成されている。また、温調炉50の外部への熱影響を抑制するために、補強部51bの外周は、図示しない水冷ジャケットで覆われている。
【0040】
温調炉50の外部ヒータ52は、処理容器10内の複数の基板Wを加熱する適宜の構成を適用してよい。例えば、外部ヒータ52としては、赤外線を放射して処理容器10を加熱する赤外線ヒータを用いることができる。この場合、外部ヒータ52は、ワイヤ状に形成され、断熱部51aの内周面に保持部(不図示)を介して、螺旋状、環状、円弧状、シャンク形状または蛇行するように保持される。
【0041】
さらに、温調炉50は、成膜時または成膜後に処理容器10を冷却するために、エア等の冷却ガスを温調空間53に流通させる冷却部60を備える。冷却部60は、温調炉50の外部に設けられる外部供給経路61および流量調整器62と、補強部51bに設けられる供給流路63と、断熱部51aに設けられる供給孔64と、を有する。
【0042】
外部供給経路61は、図示しないブロアに接続されると共に、途中位置で複数の分岐経路61aに分岐している。流量調整器62は、複数の分岐経路61a毎に設けられ、各分岐経路61aを流通するエアの流量を調整する。供給流路63は、補強部51bの軸方向(鉛直方向)に複数形成され、周方向に沿って環状に延在している。各供給孔64は、各供給流路63と同じ軸方向位置において水平方向に複数設けられ、各供給流路63に導入されたエアを温調空間53に向けて噴出する。
【0043】
また、冷却部60は、温調空間53内に供給されたエアを排出する排気孔65を筐体51の天井に備える。排気孔65は、筐体51の外部に設けられた外部排気経路66に接続されている。
【0044】
基板処理装置1の制御部90は、プロセッサ91、メモリ92、図示しない入出力インタフェース等を有するコンピュータを適用することができる。プロセッサ91は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、複数のディスクリート半導体からなる回路等のうち1つまたは複数を組み合わせたものである。メモリ92は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ(例えば、コンパクトディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、ハードディスク、フラッシュメモリ等)を適宜組み合わせたものである。
【0045】
メモリ92は、基板処理装置1を動作させるプログラム、基板処理におけるプロセス条件等のレシピを記憶している。制御部90は、メモリ92のプログラムおよびレシピをプロセッサ91により読み出して実行することで、基板処理装置1の基板処理を実行する。なお、制御部90は、ネットワークを介して情報通信するホストコンピュータまたは複数のクライアントコンピュータにより構成されてもよい。
【0046】
基板処理において、制御部90は、温調炉50および内部ヒータ70を相互に連動させて各基板Wを加熱すると共に、ガス供給部30によるガスの供給、およびガス排気部40によるガスの排気を制御する。
【0047】
[基板処理方法]
図4(A)は、実施形態に係る基板処理装置1の基板処理方法を示すタイミングチャートである。
図4(B)は、参考例に係る基板処理装置の基板処理方法を示すタイミングチャートである。
図4(A)および
図4(B)に示すように、制御部90は、処理容器10内にウエハボート16を挿入して各基板Wを収容した後に、基板処理として初期工程と、メイン工程とを順に実行する。
【0048】
初期工程は、処理ガス(原料ガス、反応ガス)を供給する前に処理容器10内(各基板W)を加熱して、基板処理時の目標温度に到達させる工程である。また初期工程において、基板処理装置1は、パージガスを処理容器10内に供給すると共に、ガス排気部40により処理容器10内のガスを排出することで、処理容器10の内圧を一定にする。なお、制御部90は、ガス供給部30およびガス排気部40を制御することで、メイン工程でも処理容器10の内圧を一定に維持する。
【0049】
制御部90は、処理容器10内の温度を温度センサにより監視して、温度が目標温度で安定した状態になると、初期工程からメイン工程に移行する。メイン工程は、原料ガスおよび反応ガスを順に供給することにより、基板Wの表面に所望の膜を成膜する工程である。この際、制御部90は、処理容器10内(各基板W)の温度を目標温度に維持する。なお、制御部90は、メイン工程において原料ガスや反応ガスと共にパージガスを供給してもよく、原料ガスの供給と反応ガスの供給との間、あるいは反応ガスの供給後にパージガスを供給してもよい。
【0050】
以下、
図4(A)に示す実施形態に係る基板処理装置1の基板処理方法と対比するため、まず
図4(B)に示す参考例に係る基板処理装置について説明する。参考例に係る基板処理装置は、処理容器10内に内部ヒータ70を備えない点で、実施形態に係る基板処理装置1と異なる。なお、参考例に係る基板処理装置の他の構成については、実施形態に係る基板処理装置1と同様である。
【0051】
この場合、参考例に係る基板処理装置は、温調炉50の外部ヒータ52の加熱によって、処理容器10内の各基板Wを加熱する。外筒12よりも外部から加熱を行うため、参考例に係る基板処理装置は、初期工程において外部ヒータ52に対して大きな電力量を供給して、処理容器10および各基板Wを加熱する。
【0052】
詳細には、制御部90は、初期工程の開始後に、温調炉50の外部ヒータ52をオンして、外部ヒータ52に供給電力を出力する。この際、制御部90は、各基板Wの温度を目標温度に到達させるために、大きな電力量の供給電力を外部ヒータ52に出力する。特に、制御部90は、初期工程を開始した時点t0の後に大きな過渡電力を供給することで、外部ヒータ52自体の温度を急激に高める。そして過渡電力の供給後、処理容器10全体の温度が高まるまでは、大きな電力量の供給電力を出力し続ける。これにより、各基板Wは、処理容器10の外側からの熱の放射を受けて徐々に温度が上昇していく。
【0053】
そして、時点t0からある程度時間が経過した時点t1において、各基板Wの温度が目標温度に到達する。制御部90は、各基板Wの温度が目標温度に到達したことを認識すると、時点t2において初期工程を終了してメイン工程に移行する。この際、制御部90は、ガス供給部30を動作させて第1ガス供給ノズル31Aから処理容器10内に原料ガスを供給する。これにより、温度調整された各基板Wの表面に対して原料ガスを良好に付着させることができる。
【0054】
また、制御部90は、メイン工程において、温調炉50に対する供給電力の電力量を低下させることができる。このメイン工程の段階では、各基板Wの温度を目標温度に維持するために、温調炉50の外側への放熱やガスの供給に伴う温度低下等の分だけ、加熱を行えばよいからである。
【0055】
以上の参考例に係る基板処理装置は、メイン工程に至るまでの初期工程の実施期間が長くなると共に、初期工程の加熱にかかる供給電力が大きくなる。特に、初期工程の当初は、各基板Wの温度を短期間に上昇させるために、外部ヒータ52に大きな電力量を供給する必要がある。
【0056】
これに対し、実施形態に係る基板処理装置1は、
図4(A)に示すように、初期工程の開始に伴って、各内部ヒータ70をオンすると共に、温調炉50の外部ヒータ52をオンする。これにより、基板処理装置1は、処理容器10の内側から各基板Wを加熱すると共に、処理容器10の外側から処理容器10を加熱することができる。特に、各内部ヒータ70は、各基板Wに充分に近い位置から各基板を加熱することで、各基板Wを急激に昇温させることができる。
【0057】
詳細には、制御部90は、初期工程の開始(時点t0)後に、各内部ヒータ70に供給電力を出力すると共に、温調炉50の外部ヒータ52に供給電力を出力する。この際、制御部90は、各内部ヒータ70により各基板Wを加熱することで、外部ヒータ52の電力量を、参考例に係る外部ヒータ52の電力量よりも低くできる。また、各内部ヒータ70は、処理容器10の内側において鉛直方向に延在するヒータ線72により加熱を行うため、処理容器10全体を囲う外部ヒータ52よりも加熱範囲が小さく、低い電力量に設定可能である。すなわち、基板処理装置1は、各内部ヒータ70の電力量と外部ヒータ52の電力量とを加えた初期工程の電力量について、参考例に係る基板処理装置の初期工程の電力量よりも大幅に抑制できる。
【0058】
このように外部ヒータ52および各内部ヒータ70を連動させて加熱を行うことで、基板処理装置1は、各基板Wの温度を昇温させる期間(時点t0から時点t1までの期間)を参考例に係る基板処理装置の期間よりも大幅に短縮できる。したがって、基板処理装置1は、初期工程からメイン工程に短期間に移行できる。そして、メイン工程に移行する時点t2の前において、基板処理装置1は、内部ヒータ70の電力量を低下させて、内部ヒータ70をオフする。そして、基板処理装置1は、時点t2のタイミングで、ガス供給部30を動作させて第1ガス供給ノズル31Aから処理容器10内に原料ガスを供給する。これにより、温度調整された各基板Wの表面に対して原料ガスを良好に付着させることができる。
【0059】
特に、メイン工程では、各基板Wの温度を目標温度に維持するための加熱のみを行えばよく、各内部ヒータ70をオフすることで、外部ヒータ52により継続して加熱を行えば充分に電力量を少なくすることができる。また、メイン工程では、各内部ヒータ70をオフすることで、各内部ヒータ70から各基板Wにかかる熱によって基板Wの面内温度分布にムラが生じることを抑制することが可能となる。なお、
図4(A)では、各内部ヒータ70のオフ後に、一定のインターバルをあけてから原料ガスを供給(オン)している。これにより、基板Wの面内温度分布をより均一化させてから基板処理を行うことができる。
【0060】
以上のように、基板処理装置1は、外部ヒータ52と各内部ヒータ70とを連動させることで、処理容器10内の各基板Wの温度を円滑に昇温させることができる。その結果、基板処理装置1は、処理容器10の内部に収容された各基板Wの温度を短期間に昇温させると共に、加熱時の電力量を低減できる。
【0061】
なお、基板処理装置1および基板処理方法は、上記の実施形態に限定されず、種々の変形例をとり得る。例えば、上記の例では、各基板Wに対して原料ガスおよび反応ガスを供給して、各基板Wの表面に所望の膜を成膜する基板処理について説明した。しかしながら、基板処理装置1は、これに限定されず、各基板Wの表面に形成された膜をエッチングするエッチング装置に構成されてもよい。この場合、基板処理装置1は、処理容器10内にプラズマを生成する構成を備えてもよい。
【0062】
また、基板処理装置1は、初期工程のみ内部ヒータ70の加熱を行う構成に限らず、メイン工程でも内部ヒータ70の加熱を行ってもよい。例えば、基板処理装置1は、初期工程において第1温度で加熱した後に、メイン工程において第1温度よりも低い第2温度で加熱を行うとよい。これにより、基板処理時に各基板Wの面内温度分布の均一化をより促進させることが可能となる。
【0063】
さらに、基板処理装置1は、内部ヒータ70について鉛直方向に沿って複数のゾーンを設定し、複数のゾーン毎に設置したヒータ線72の温度を独立して調整可能な構成としてもよい。一例として、内部ヒータ70は、鉛直方向に並ぶ複数の基板Wのうち温度が低くなり易い箇所(例えば、断熱構造部27に近い底部付近の基板W)に対向するゾーンの温度を高くする一方で、他の箇所のゾーンの温度を低くする制御を行ってもよい。
【0064】
また、基板処理装置1は、処理容器10内の内部ヒータ70の設置形態についても特に限定されず、種々のパターンを採用できる。以下、
図5(A)~
図6(B)を参照して、他の内部ヒータ70の設置形態について幾つか例示する。
図5(A)は、第1変形例に係る内部ヒータ70の設置形態を示す断面図である。
図5(B)は、第2変形例に係る内部ヒータ70の設置形態を示す断面図である。
図5(C)は、第3変形例に係る内部ヒータ70の設置形態を示す断面図である。
図6(A)は、第4変形例に係る内部ヒータ70の設置形態を示す断面図である。
図6(B)は、第5変形例に係る内部ヒータ70の設置形態を示す断面図である。
【0065】
図5(A)に示す第1変形例に係る基板処理装置1Aは、複数(3つ)の内部ヒータ70を内筒11と外筒12の間(流通空間CS)に設置した点で、実施形態に係る基板処理装置1と異なる。なお、内部ヒータ70以外の構成については、実施形態に係る基板処理装置1と同一であり、その詳細な説明については省略する(以降の変形例も同様である)。各内部ヒータ70は、流通空間CSから各基板Wを加熱する。これにより、各内部ヒータ70を内筒11内に配置した構成よりも基板Wを加熱し難くなるが、原料ガスや反応ガスが内筒11内にて各内部ヒータ70に触れることでパーティクルが生じて、そのパーティクルが各基板Wに付着することを抑制できる。
【0066】
図5(B)に示す第2変形例に係る基板処理装置1Bは、1つの内部ヒータ70を内筒11の外側において開口部15に対向する位置(流通空間CS)に設置した点で、上記の基板処理装置1、1Aと異なる。このように、開口部15に1つの内部ヒータ70を配置した構成とすることで、内筒11の影響を低減して各基板Wを効率的に加熱することができる。しかも、原料ガスや反応ガスが流出する開口部15の近傍位置に内部ヒータ70があることで、内部ヒータ70でパーティクルが生じても処理空間PSに向かわないようにできるため、各基板Wに対するパーティクルの付着を抑制することが可能となる。
【0067】
図5(C)に示す第3変形例に係る基板処理装置1Cは、1つの内部ヒータ70をノズル用凸部13の内側のノズル用収容空間13sに設置した点で、上記の基板処理装置1、1A、1Bと異なる。このようにノズル用収容空間13sに内部ヒータ70を設置することで、内部ヒータ70は、ガスの供給により温度低下し易い箇所を加熱することができる。例えば、基板処理装置1Cは、メイン工程において内部ヒータ70を加熱して、ガス供給ノズル31内を流通する処理ガスを温めることができる。
【0068】
図6(A)に示す第4変形例に係る基板処理装置1Dは、内筒11と外筒12の間、かつノズル用凸部13の隣接位置に複数(2つ)の内部ヒータ70を設置した点で、上記の基板処理装置1、1A~1Cと異なる。このように内筒11の外側かつノズル用凸部13の隣接位置に各内部ヒータ70を設置することでも、ガスの供給により温度低下し易い箇所を各内部ヒータ70で効率的に加熱することができる。
【0069】
図6(B)に示す第5変形例に係る基板処理装置1Eは、内筒11と外筒12の間、かつノズル用凸部13の隣接位置に2つの内部ヒータ70を設置し、開口部15の対向位置に1つの内部ヒータ70を設置した点で、上記の基板処理装置1、1A~1Dと異なる。これにより、基板処理装置1Eは、ガスの供給により温度低下し易い箇所を各内部ヒータ70で加熱すると共に、開口部15から基板Wを直接的に加熱することが可能となる。
【0070】
[まとめ]
以上の実施形態で説明した本開示の技術的思想および効果について以下に記載する。
【0071】
本開示の第1の態様は、複数の基板Wを内部に収容して、当該複数の基板Wに基板処理を行う処理容器10と、処理容器10の内部にガスを供給するガス供給ノズル31と、処理容器10の外部から複数の基板Wを加熱する外部ヒータ52と、を含む基板処理装置1、1A~1Eであって、処理容器10の内部においてガス供給ノズル31と独立して設けられ、かつ複数の基板Wの側方を当該複数の基板Wが並ぶ方向に延在して、複数の基板Wを加熱する内部ヒータ70を備える。
【0072】
上記によれば、基板処理装置1、1A~1Eは、外部ヒータ52および内部ヒータ70を連動させて、処理容器10の内部に収容された複数の基板Wの温度を効率的に昇温させることができる。これにより、基板処理装置1、1A~1Eは、処理ガスを供給するメイン工程を早期に開始することが可能となる。しかも、基板処理装置1、1A~1Eは、内部ヒータ70を使用することで、外部ヒータ52に供給する電力量を小さくできる。その結果、基板処理装置1は、加熱時の電力量を大幅に低減できる。
【0073】
また、処理容器10は、複数の基板Wを収容する第1空間(処理空間PS)を有する内筒11と、内筒11を収容して内筒11との間に第2空間(流通空間CS)を形成する外筒12と、を含み、内筒11は、周方向の一部において径方向外側に突出して、ガス供給ノズル31を内側に収容するノズル用凸部13と、内筒11の軸心を挟んだノズル用凸部13の反対位置に設けられ、第1空間と第2空間の間を連通する開口部15と、を有する。これにより、基板処理装置1、1A~1Eは、内筒11に収容した複数の基板Wに対してガス供給ノズル31から処理ガスを円滑に供給しつつ、開口部15から処理ガスを排出でき、基板処理を良好に行うことが可能となる。
【0074】
また、内部ヒータ70は、内筒11の内側に設置されている。これにより、基板処理装置1、1Cは、内部ヒータ70によって各基板Wを一層迅速に昇温させることができる。
【0075】
また、内筒11は、ノズル用凸部13と異なる周方向の位置で径方向外側に突出するヒータ用凸部14を有し、内部ヒータ70は、ヒータ用凸部14の内側に収容される。これにより、基板処理装置1は、内筒11の内側に内部ヒータ70を設置した場合でも、内部ヒータ70が各基板Wに直接触れることを防いで、当該内部ヒータ70により各基板Wを加熱することができる。
【0076】
また、内部ヒータ70は、内筒11と外筒12の間の第2空間(流通空間CS)に設置されている。これにより、基板処理装置1A、1B、1D、1Eは、内部ヒータ70においてパーティクルが生じた場合でも、このパーティクルが基板Wに付着することを抑制できる。
【0077】
また、内部ヒータ70は、第2空間(流通空間CS)において開口部15に対向する位置に設置されている。これにより、基板処理装置1B、1Eは、内部ヒータ70を第2空間に設置した場合でも、内筒11を通さずに開口部15を通して複数の基板Wを円滑に加熱することができる。
【0078】
また、内部ヒータ70は、処理容器10の周方向に沿ったノズル用凸部13の隣接位置に設置されている。これにより、基板処理装置1、1A、1D、1Eは、ガス供給ノズル31からのガスの供給により温度低下し易い箇所を、内部ヒータ70の加熱によって昇温させることができる。
【0079】
また、内部ヒータ70は、ノズル用凸部13の内側に設置されている。これにより、基板処理装置1Cは、ガス供給ノズル31の周辺をより効果的に加熱することができる。
【0080】
また、外部ヒータ52および内部ヒータ70を制御する制御部90を有し、制御部90は、(A)基板処理の開始においてガス供給ノズル31から処理ガスの供給を停止した状態で、外部ヒータ52および内部ヒータ70を加熱して複数の基板Wを昇温させる工程と、(B)(A)の工程の後、内部ヒータ70の加熱を停止する一方で、外部ヒータ52の加熱を継続し、ガス供給ノズル31から処理ガスを供給する工程と、を制御する。これにより、基板処理装置1、1A~1Eは、基板処理の開始時に、各基板Wの温度を効率的に昇温させる一方で、昇温後は各基板Wの加熱を行わないことで処理ガスによる基板処理を安定化させることができる。
【0081】
また、制御部90は、(B)の工程において、外部ヒータ52へ供給する電力量を、(A)の工程で外部ヒータ52へ供給する電力量よりも低くする。これにより、基板処理装置1、1A~1Cは、(B)の工程における電力量を抑制することができ、基板処理全体としての電力量を大幅に低減できる。
【0082】
また、内部ヒータ70は、石英により形成される管部材71と、管部材71の内部に収容されるヒータ線72と、を含む。これにより、基板処理装置1は、内部ヒータ70を処理容器10内に簡単に設置することができる。
【0083】
また、本開示の第2の態様は、複数の基板Wを内部に収容して、当該複数の基板Wに基板処理を行う処理容器10と、処理容器10の内部にガスを供給するガス供給ノズル31と、処理容器10の外部から複数の基板Wを加熱する外部ヒータ52と、を含む基板処理装置1の基板処理方法であって、処理容器10の内部においてガス供給ノズル31と独立して設けられ、かつ複数の基板Wの側方を当該複数の基板Wが並ぶ方向に延在する内部ヒータ70により、複数の基板Wを加熱する。この場合でも、基板処理方法は、処理容器10の内部に収容された複数の基板Wの温度を効率的に昇温させると共に、加熱時の電力量を低減できる。
【0084】
今回開示された実施形態に係る基板処理装置1、1A~1E、および基板処理方法は、すべての点において例示であって制限的なものではない。実施形態は、添付の請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形および改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0085】
1 基板処理装置
10 処理容器
31 ガス供給ノズル
52 外部ヒータ
70 内部ヒータ
W 基板