(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126404
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】タンパク質を蛍光標識する方法
(51)【国際特許分類】
C07K 1/13 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
C07K1/13 ZNA
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034762
(22)【出願日】2023-03-07
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業「持続可能な標識法による時間無制限オルガネラ動態イメージング」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】蓑島 維文
(72)【発明者】
【氏名】飯嶋 航平
(72)【発明者】
【氏名】レジャ、シャヒ、イマーム
(72)【発明者】
【氏名】菊地 和也
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA70
4H045CA40
4H045DA50
4H045EA50
4H045FA52
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光褪色の影響を抑制した、タンパク質を蛍光標識する方法を提供する。
【解決手段】タンパク質を蛍光標識する方法であって、標識対象であるタンパク質には標識用タグが結合されており、前記標識用タグが結合されたタンパク質とプローブまたはその塩とを反応させることにより、前記標識用タグと前記プローブが解離定数0.1~100μMの強度で結合して前記タンパク質を蛍光標識することを含む方法であり、前記標識用タグは、OBP(Odorant binding protein)またはOBP変異体であり、前記プローブは、下記式(I)の化合物、式(II)の化合物もしくは式(III)の化合物またはその塩である、タンパク質を蛍光標識する方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質を蛍光標識する方法であって、
標識対象であるタンパク質には標識用タグが結合されており、
前記標識用タグが結合されたタンパク質とプローブまたはその塩とを反応させることにより、前記標識用タグと前記プローブが解離定数0.1~100μMの強度で結合して前記タンパク質を蛍光標識することを含む方法であり、
前記標識用タグは、OBP(Odorant binding protein)またはOBP変異体であり、
前記プローブは、下記式(I)の化合物、式(II)の化合物もしくは式(III)の化合物またはその塩である、タンパク質を蛍光標識する方法。
【化48】
式中、Rは、以下の式(i)、(ii)、(iii)、または(iv)であり、
【化49】
(なお、式中、*は結合位置を表す)
R
1は、-NR
2R
3、-CH
2COOHまたは
【化50】
であり(R
2およびR
3は、互いに独立して炭素数1~6のアルキル基である)、
Yは、OまたはSであり、
nは、1~12の整数であり、
mは、1~8の整数である。
【請求項2】
前記OBPまたはOBP変異体のアミノ酸配列が、
1)配列表の配列番号40~42で表されるアミノ酸配列、
2)配列表の配列番号38で表されるアミノ酸配列において、第2番目から第15番目のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列であって、前記OBPまたはOBP変異体は、前記式(I)の化合物、式(II)の化合物もしくは式(III)の化合物またはその塩と解離定数0.1~100μMの強度で結合するアミノ酸配列である、及び
3)上記1)または2)のアミノ酸配列のいずれかのアミノ酸配列の1~数個のアミノ酸が欠失、置換、又は付加されたアミノ酸配列であって、前記OBPまたはOBP変異体は、前記式(I)の化合物、式(II)の化合物もしくは式(III)の化合物またはその塩と解離定数0.1~100μMの強度で結合するアミノ酸配列からなる群から選択される一つである、請求項1記載のタンパク質を蛍光標識する方法。
【請求項3】
前記標識用タグが結合された標識対象であるタンパク質を得ることが、
前記標識用タグが結合された標識対象であるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを得ること、
前記標識用タグが結合された標識対象であるタンパク質を発現可能なプラスミドもしくはベクターを得ること、
細胞内で前記標識用タグが結合された標識対象であるタンパク質を発現させること、または、発現した前記標識用タグが結合された標識対象であるタンパク質を単離することを含む、
請求項1に記載のタンパク質を蛍光標識する方法。
【請求項4】
式(I)の化合物、式(II)の化合物もしくは式(III)の化合物またはその塩を含む、請求項1~3のいずれかの方法に用いるための組成物。
【化51】
式中、Rは、以下の式(i)、(ii)、(iii)または(iv)であり、
【化52】
(なお、式中、*は結合位置を表す)
R
1は、-NR
2R
3、-CH
2COOHまたは
【化53】
であり(R
2およびR
3は、互いに独立して炭素数1~6のアルキル基である)、
Yは、OまたはSであり、
nは、1~12の整数であり、
mは、1~8の整数である。
【請求項5】
請求項4に記載の組成物と、プラスミドまたはベクターとを含むタンパク質の蛍光標識方法用キットであって、
前記プラスミドまたはベクターは、標識用タグが結合された標識対象であるタンパク質を発現させるためのプラスミド又はベクターであり、
前記標識用タグは、OBP(Odorant binding protein)もしくはOBP変異体であり、
前記プラスミドまたはベクターは、
1)標識対象であるタンパク質を発現させるための塩基配列、および
2-1)配列表の配列番号6、配列番号22または配列番号32で表される塩基配列、
2-2)配列表の配列番号39で表される塩基配列において、第1番目から第45番目の塩基が欠失した塩基配列であって、前記OBPまたはOBP変異体は、前記式(I)の化合物、式(II)の化合物もしくは式(III)の化合物またはその塩と解離定数0.1~100μMの強度で結合する塩基配列であるか、または
2-3)上記1)または2)の塩基配列のいずれかの塩基配列の1~数個の塩基が欠失、置換、又は付加された塩基配列であって、前記OBPまたはOBP変異体は、前記式(I)の化合物、式(II)の化合物もしくは式(III)の化合物またはその塩と解離定数0.1~100μMの強度で結合する塩基配列
を含むプラスミドまたはベクターであるキット。
【化54】
式中、Rは、以下の式(i)、(ii)、(iii)または(iv)であり、
【化55】
(なお、式中、*は結合位置を表す)
R
1は、-NR
2R
3、-CH
2COOHまたは
【化56】
であり(R
2およびR
3は、互いに独立して炭素数1~6のアルキル基である)、
Yは、OまたはSであり、
nは、1~12の整数であり、
mは、1~8の整数である。
【請求項6】
式(I)の化合物、式(II)の化合物もしくは式(III)の化合物またはその塩。
【化57】
式中、Rは、以下の式(i)、(ii)、(iii)、または(iv)であり、
【化58】
(なお、式中、*は結合位置を表す)
R
1は、-NR
2R
3、-CH
2COOHまたは
【化59】
であり(R
2およびR
3は、互いに独立して炭素数1~6のアルキル基である)、
Yは、OまたはSであり、
nは、1~12の整数であり、
mは、1~8の整数である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質を蛍光標識する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質の蛍光標識法は細胞イメージングなどの実験と組み合わせ、タンパク質の局在、発現、動態を観察するために有用なツールである。とりわけ、近年は個々のタンパク質の挙動を直接観察できる1分子イメージングや、細胞内の微細構造を明らかにする超解像イメージングといった顕微鏡技術の進歩と組み合わせさらに広がりを見せている。
【0003】
従来のタンパク質の蛍光標識法として、緑色蛍光タンパク質(GFP)に代表される蛍光タンパク質を用いた方法(非特許文献1)が広く用いられている。これは遺伝子工学的手法を使い、見たいタンパク質と融合遺伝子を作って発現させることで蛍光標識するものである。また、化学合成された蛍光色素を反応性のアミノ酸残基、あるいはタグタンパク質を介して共有結合によって標識する手法(非特許文献2、非特許文献3)も知られている。しかしながら、1分子・超解像イメージングに使う顕微鏡においては高輝度のレーザー光照射を用いるため、これらの標識法において、イメージング中の光褪色が近年の課題となっている。光褪色は蛍光色素が励起後、酸素等の分子と反応して光らない物質へと変換されることで起こるとされており、高輝度のレーザー照射下では蛍光タンパク質では数秒、蛍光色素でも数分のうちに褪色が起こる。上記の標識法は見たいタンパク質に対して不可逆的に標識するため、一度褪色した色素からは蛍光シグナルを得ることはできない。
【0004】
近年、非共有結合を使った標識法はいくつかのグループから報告されている(非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5)。
【0005】
例えば、PDB:5J74の標識化合物として以下の化合物が報告されている(非特許文献3)。この標識化合物は、Kdが38nMであり、タンパク質と結合した標識化合物の入れ替わりの速度が遅いという欠点がある。
【0006】
【0007】
また、PDB:7AVBの標識化合物として以下の化合物が報告されている(非特許文献4)。この標識化合物がKdが130nMであるが、標識化合物の光安定性が低いという欠点がある。
【0008】
【0009】
すなわち、イメージング中の光褪色の影響を抑制する方法が望まれていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】R.Y. Tsien, Annu. Rev. Biochem., 1998, 67, 509.
【非特許文献2】G.V. Los, et al. ACS Chem. Biol. 2008, 3, 373
【非特許文献3】A. Keppler, et al. Nat. Biotechnol. 2003, 21, 86.
【非特許文献4】C. Szent-Gyorgyi et al. Nat. Biotechnol., 2008, 26, 235.
【非特許文献5】M.-A. Plamont et al. PNAS., 2015, 113, 497.
【非特許文献6】N.G. Bozhanova, et al. Chem. Sci. 2017, 8, 7138.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、光褪色の影響を抑制した、タンパク質を蛍光標識する方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、タンパク質を可逆的に標識することにより、光褪色の影響を抑制することを見出した。すなわち、タンパク質に標識用タグを付しておき、プローブとその標識用タグを結合させることにより、蛍光標識させる。また、プローブとその標識用タグの結合が可逆的かつ速く交換が起こることにより、褪色した結合プローブは結合していないプローブと入れ替わるため、見かけ上の蛍光標識状態は保たれる。その結果、光褪色の影響を抑制することが可能である。この方法では、標識用タグとプローブの結合および解離の速度が速いこと、標識用タグとプローブの結合時に蛍光強度が上昇すること、およびプローブ自体の光安定性が高いことが必要である。
【0013】
本発明においては、前記標識用タグとして、匂い分子結合タンパク質(Odorant binding protein,OBP)及びその変異体を用いた。また、プローブとして、特定の化合物を選択した。これらのプローブは、水溶液中では蛍光を発光しないが、標識用タグと結合することにより強度の強い蛍光を発する。また、この蛍光は標識用タグであるOBPと結合後、水溶液中で高い光安定性を示す。さらに、このプローブと標識用タグの結合は、解離定数がμM前後であり、比較的弱く、結合および解離の速度が速い。このような特徴を組み合わせることにより、本発明者らは、光褪色の影響を抑制した、タンパク質を蛍光標識する方法を完成した。
【0014】
本発明は、
タンパク質を蛍光標識する方法であって、
標識対象であるタンパク質には標識用タグが結合されており、
前記標識用タグが結合されたタンパク質とプローブまたはその塩とを反応させることにより、前記標識用タグと前記プローブが解離定数0.1~100μMの強度で結合して前記タンパク質を蛍光標識することを含む方法であり、
前記標識用タグは、OBP(Odorant binding protein)またはOBP変異体であり、
前記プローブは、下記式(I)の化合物、式(II)の化合物もしくは式(III)の化合物またはその塩である、タンパク質を蛍光標識する方法である。
【0015】
【0016】
式中、Rは、以下の式(i)、(ii)、(iii)、または(iv)であり、
【0017】
【0018】
(なお、式中、*は結合位置を表す)
R1は、-NR2R3、-CH2COOHまたは
【0019】
【0020】
であり(R2およびR3は、互いに独立して炭素数1~6のアルキル基である)、
Yは、OまたはSであり、
nは、1~12の整数であり、
mは、1~8の整数である。
【発明の効果】
【0021】
本発明のタンパク質を蛍光標識する方法は、光褪色の影響を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、式(3)の化合物とOBP(第一世代)が存在する場合の蛍光スペクトルを示す。
【
図2】
図2は、式(8)の化合物とOBP(第一世代)が存在する場合の蛍光スペクトルを示す。
【
図3】
図3は、式(12)の化合物とOBP(第二世代)が存在する場合の蛍光スペクトルを示す。
【
図4】
図4は、式(13)の化合物とOBP(第二世代)が存在する場合の蛍光スペクトルを示す。
【
図5】
図5は、式(4)の化合物および式(12)の化合物と、OBP(第一世代)およびOBP(第二世代)がそれぞれ存在する場合の蛍光イメージングを示す。
【
図6】
図6は、式(14)の化合物とOBP(第一世代)が存在する場合の蛍光スペクトルを示す。
【
図7】
図7は、式(8)の化合物および式(6)の化合物と、OBP(第一世代)がそれぞれ存在する場合の蛍光イメージングを示す。
【
図8】
図8は、式(6)の化合物とOBP(第一世代)およびOBP(第三世代)が存在する場合の蛍光スペクトルを示す。
【
図9】
図9は、式(15)の化合物とOBP(第一世代)およびOBP(第三世代)が存在する場合の蛍光スペクトルを示す。
【
図10】
図10は、式(6)の化合物と、OBP(第一世代)およびOBP(第三世代)がそれぞれ存在する場合の蛍光イメージングを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明のタンパク質を蛍光標識する方法で用いるプローブは、単独で水溶液中に存在しても、蛍光を発しない。しかしそのプローブが前記標識用タグと結合すると、大幅に蛍光を発する。本発明のタンパク質を蛍光標識する方法においては、前記標識用タグと前記プローブが解離定数0.1~100μMの強度で結合するため、結合が比較的弱く、かつ結合速度および解離速度が速い。そのため、前記標識用タグと結合する前記プローブが素早く入れ替わり、蛍光を発し続けることができる。その結果、光褪色の影響を抑制しつつ、長時間、蛍光を発し続けることができる。
【0024】
OBP(Odorant binding protein,OBP)は、匂い分子結合タンパク質である。また、このOBPは、170のアミノ酸残基(配列表の配列番号38)により構成されており、比較的小さな(19kDa)タンパク質である。このOBPの29,62、82,108番目のアルギニン残基およびリシン残基がプローブとの結合ポケットの入り口である。
【0025】
OBPのアミノ酸配列としては、例えば、ヒト由来のOBPのアミノ酸配列、すなわち、配列表の配列番号38で表されるアミノ酸配列が挙げられる。OBPのアミノ酸配列としては、他の由来を有するものでもよく、NCBIGene/Nucleotide(mRNA)/Protein data baseに記載のアミノ酸配列を利用してもよい。
【0026】
OBP変異体のアミノ酸配列としては、OBPのアミノ酸配列のうち、アミノ酸のいずれか1~10個を別のアミノ酸に置き換えたもの、OBPのアミノ酸配列の一部のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列の、いずれか1~10個を別のアミノ酸に置き換えたものが挙げられる。OBP変異体のアミノ酸配列としては、例えば、ヒト由来のOBPアミノ酸配列、すなわち、配列表の配列番号38で表されるアミノ酸配列の第2番目から第15番目のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列のシステイン(Cys)のいずれか1~3個をセリン(Ser)に、リシン(Lys)のいずれか1~3個をアスパラギン(Asn)に置き換えた、アミノ酸配列が挙げられる。具体的には、OBP変異体のアミノ酸配列としては、例えば、ヒト由来のOBPアミノ酸配列、すなわち、配列表の配列番号38で表されるアミノ酸配列の第2番目から第15番目のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列の第99番目のシステイン(Cys)をセリン(Ser)に、第112番目のリシン(Lys)をアスパラギン(Asn)に置き換え、さらに先頭にメチオニン(Met)を付した、OBP変異体のアミノ酸配列(配列番号40)が挙げられる。本願明細書中、これらのアミノ酸配列を、便宜的に第1世代OBP変異体のアミノ酸配列と呼ぶ。また、このアミノ酸配列から発現される変異体を、第1世代のOBP変異体と呼ぶ。
【0027】
また、OBP変異体のアミノ酸配列としては、OBPのアミノ酸配列のうち、アミノ酸のいずれか1~10個を別のアミノ酸に置き換えたもの、OBPのアミノ酸配列の一部のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列の、いずれか1~10個を別のアミノ酸に置き換えたものが挙げられる。OBP変異体のアミノ酸配列としては、例えば、ヒト由来のOBPアミノ酸配列、すなわち、配列表の配列番号38で表されるアミノ酸配列の第2番目から第15番目のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列のシステイン(Cys)のいずれか1~3個をセリン(Ser)に、リシン(Lys)のいずれか1~3個をアスパラギン(Asn)またはグルタミン酸(Glu)に、アルギニン(Arg)のいずれか1~3個をグルタミン酸(Glu)に置き換えた、アミノ酸配列が挙げられる。具体的には、OBP変異体のアミノ酸配列としては、例えば、ヒト由来のOBPアミノ酸配列、すなわち、配列表の配列番号38で表されるアミノ酸配列の第2番目から第15番目のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列の第99番目のシステイン(Cys)をセリン(Ser)に、第112番目のリシン(Lys)をアスパラギン(Asn)に、29番目のアルギニン(Arg)をグルタミン酸(Glu)に、62番目のリシン(Lys)をグルタミン酸(Glu)に、82番目のリシン(Lys)をグルタミン酸(Glu)に、108番目のアルギニン(Arg)をグルタミン酸(Glu)に置き換え、さらに先頭にメチオニン(Met)を付した、OBP変異体のアミノ酸配列(配列番号41)が挙げられる。本願明細書中、これらのアミノ酸配列を、便宜的に第2世代OBP変異体のアミノ酸配列と呼ぶ。また、このアミノ酸配列から発現される変異体を、第2世代のOBP変異体と呼ぶ。
【0028】
また、OBP変異体のアミノ酸配列としては、OBPのアミノ酸配列のうち、アミノ酸のいずれか1~10個を別のアミノ酸に置き換えたもの、OBPのアミノ酸配列の一部のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列の、いずれか1~10個を別のアミノ酸に置き換えたものが挙げられる。OBP変異体のアミノ酸配列としては、例えば、ヒト由来のOBPアミノ酸配列、すなわち、配列表の配列番号38で表されるアミノ酸配列の第2番目から第15番目のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列のシステイン(Cys)のいずれか1~3個をセリン(Ser)に、リシン(Lys)のいずれか1~3個をアスパラギン(Asn)に、フェニルアラニン(Phe)のいずれか1~3個をグルタミン(Gln)および/またはメチオニン(Met)に置き換えた、アミノ酸配列が挙げられる。具体的には、配列表の配列番号38で表されるアミノ酸配列の第2番目から第15番目のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列の第99番目のシステイン(Cys)をセリン(Ser)に、第112番目のリシン(Lys)をアスパラギン(Asn)に、第53番目のフェニルアラニン(Phe)をグルタミン(Gln)に、第97番目のフェニルアラニン(Phe)をメチオニン(Met)に置き換え、さらに先頭にメチオニン(Met)を付した、OBP変異体のアミノ酸配列(配列番号42)が挙げられる。本願明細書中、これらのアミノ酸配列を、便宜的に第3世代OBP変異体のアミノ酸配列と呼ぶ。また、このアミノ酸配列から発現される変異体を、第3世代のOBP変異体と呼ぶ。
【0029】
標識用タグが結合されたタンパク質は、前記のように、標識対象であるタンパク質に標識用タグが結合されている。このタンパク質と前記標識用タグは、リンカーで結合されてもよい。このリンカーとしては、グリシン、セリン等のアミノ酸0~30個から構成されたペプチドが挙げられる。
【0030】
標識用タグが結合されたタンパク質を発現可能なプラスミド若しくはベクターを得るには、標識用タグが結合されたタンパク質をコードするポリヌクレオチドを用い、通常の方法に従い、そのようなプラスミド若しくはベクターを調製することができる。本発明において、ベクターは、ポリヌクレオチド、好ましくは、標識用タグが結合されたタンパク質をコードするポリヌクレオチドを細胞内に導入するためのポリヌクレオチドをいい、プラスミドを含むものをいう。なお、ベクターは、プラスミドベクターであってもよく、ウイルスベクターであってもよい。標識用タグが結合されたタンパク質を発現可能とする配列は、当業者であれば、導入する細胞の種類に応じて適宜選択しうる。プラスミド及びベクターは、標識用タグが結合されたタンパク質の発現を調節する配列(例えば、発現誘導プロモーターや制御配列)を含んでもよい。
【0031】
細胞内で標識用タグが結合されたタンパク質を発現させるには、標識用タグが結合されたタンパク質をコードするポリヌクレオチドまたは、標識用タグが結合されたタンパク質を発現可能なプラスミド若しくはベクターを用いて、通常の方法に従って行うことができる。
【0032】
発現した標識用タグが結合されたタンパク質を単離するには、通常の方法に従って行うことができる。
【0033】
本発明の蛍光標識する方法において用いられる式(I)の化合物は、
Rは式(i)、式(ii)または式(iii)が好ましく、式(ii)または式(iii)がより好ましい。Rが式(i)、式(ii)または式(iii)の場合、R1は-NR2R3が好ましい。
【0034】
本発明の蛍光標識する方法において、前記標識用タグが第1世代のOBP変異体の場合、
用いられる式(I)の化合物は、
Rは式(i)、式(ii)または式(iii)が好ましく、式(ii)または式(iii)がより好ましい。Rが式(i)、式(ii)または式(iii)の場合、R1は-NR2R3が好ましい。
【0035】
本発明の蛍光標識する方法において、前記標識用タグが第2世代のOBP変異体の場合、
用いられる式(I)の化合物は、
Rは式(i)、式(ii)または式(iii)が好ましく、式(ii)または式(iii)がより好ましい。Rが式(i)、式(ii)または式(iii)の場合、R1は-NR2R3が好ましい。
【0036】
本発明の蛍光標識する方法において、前記標識用タグが第3世代のOBP変異体の場合、
用いられる式(I)の化合物は、
Rは式(i)、式(ii)または式(iii)が好ましく、式(i)または式(ii)がより好ましい。Rが式(i)、式(ii)または式(iii)の場合、R1は-NR2R3が好ましい。
【0037】
本発明の蛍光標識する方法において用いられる式(II)の化合物は、
Rは式(i)、式(ii)または式(iii)が好ましく、式(i)または式(ii)がより好ましい。Rが式(i)、式(ii)または式(iii)の場合、R1は-NR2R3が好ましい。nは、1~12が好ましく、1~11がより好ましい。
【0038】
本発明の蛍光標識する方法において、前記標識用タグが第1世代のOBP変異体の場合、
用いられる式(II)の化合物は、
Rは式(i)、式(ii)または式(iii)が好ましく、式(i)または式(ii)がより好ましい。Rが式(i)、式(ii)または式(iii)の場合、R1は-NR2R3が好ましい。nは、2~10が好ましく、3~10がより好ましい。
【0039】
本発明の蛍光標識する方法において、前記標識用タグが第2世代のOBP変異体の場合、
用いられる式(II)の化合物は、
Rは式(i)、式(ii)または式(iii)が好ましく、式(ii)または式(iii)がより好ましい。Rが式(i)、式(ii)または式(iii)の場合、R1は-NR2R3が好ましい。nは、2~10が好ましく、4~10がより好ましい。
【0040】
本発明の蛍光標識する方法において、前記標識用タグが第3世代のOBP変異体の場合、
用いられる式(II)の化合物は、
Rは式(i)、式(ii)または式(iii)が好ましく、式(ii)または式(iii)がより好ましい。Rが式(i)、式(ii)または式(iii)の場合、R1は-NR2R3が好ましい。nは、1~10が好ましく、1~6がより好ましい。
【0041】
本発明の蛍光標識する方法において用いられる式(III)の化合物は、Rは式(i)、式(ii)または式(iii)が好ましく、式(i)または式(ii)がより好ましい。Rが式(i)、式(ii)または式(iii)の場合、R1は-NR2R3が好ましい。mは、2~8が好ましく、3~6がより好ましい。
【0042】
本発明の蛍光標識する方法において、前記標識用タグが第1世代のOBP変異体の場合、
用いられる式(III)の化合物は、Rは式(i)、式(ii)または式(iii)が好ましく、式(i)または式(ii)がより好ましい。Rが式(i)、式(ii)または式(iii)の場合、R1は-NR2R3が好ましい。mは、2~8が好ましく、3~6がより好ましい。
【0043】
本発明の蛍光標識する方法において、前記標識用タグが第2世代のOBP変異体の場合、
用いられる式(III)の化合物は、Rは式(i)、式(ii)または式(iii)が好ましく、式(i)または式(ii)がより好ましい。Rが式(i)、式(ii)または式(iii)の場合、R1は-NR2R3が好ましい。mは、2~8が好ましく、3~6がより好ましい。
【0044】
本発明の蛍光標識する方法において、前記標識用タグが第3世代のOBP変異体の場合、
用いられる式(III)の化合物は、Rは式(i)、式(ii)または式(iii)が好ましく、式(i)または式(ii)がより好ましい。Rが式(i)、式(ii)または式(iii)の場合、R1は-NR2R3が好ましい。mは、2~8が好ましく、3~6がより好ましい。
【0045】
式(I)の化合物、式(II)の化合物または式(III)の化合物は、酸または塩基との塩であってもよい。そのような塩としては、例えばナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属との塩、アンモニウム塩などの無機塩基との塩、及びトリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’-ジベンジルエチレンアミンなどの有機アミンとの塩、及び塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸などの無機酸との塩、及びギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、酒石酸などの有機カルボン酸との塩、及びメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などのスルホン酸付加塩、及びアルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸などの塩基性又は酸性アミノ酸といった塩基との塩又は酸付加塩が挙げられる。
【0046】
式(I)の化合物、式(II)の化合物もしくは式(III)の化合物またはその塩は、溶媒和物の形をとることもありうるが、これも本発明の範囲に含まれる。溶媒和物としては、好ましくは、水和物及びエタノール和物が挙げられる。
【0047】
本発明の蛍光標識する方法において用いられる式(I)の化合物、式(II)の化合物もしくは式(III)の化合物またはその塩は、は、従来技術における公知文献を参考に自家製造してもよい。
【0048】
本発明の蛍光標識する方法において用いられる、前記標識用タグが結合された標識対象であるタンパク質を得ることは、例えば、
前記標識用タグが結合された標識対象であるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを得ること、
前記標識用タグが結合された標識対象であるタンパク質を発現可能なプラスミドもしくはベクターを得ること、
細胞内で前記標識用タグが結合された標識対象であるタンパク質を発現させること、または、発現した前記標識用タグが結合された標識対象であるタンパク質を単離することを含む方法により行うことができる。前記標識用タグが結合された標識対象であるタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、標識タグをコードするポリヌクレオチド、標識対象であるタンパク質をコードするポリヌクレオチド等を用い、通常の方法に従い、前記ポリヌクレオチドを発現可能なプラスミド若しくはベクターを調製することができる。
【0049】
本発明の蛍光標識する方法において、
前記OBPまたはOBP変異体のアミノ酸配列は、
1)配列表の配列番号40~42で表されるアミノ酸配列、
2)配列表の配列番号38で表されるアミノ酸配列において、第2番目から第15番目のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列であって、前記OBPまたはOBP変異体は、前記式(I)の化合物、式(II)の化合物もしくは式(III)の化合物またはその塩と解離定数0.1~100μMの強度で結合するアミノ酸配列である、及び
3)上記1)または2)のアミノ酸配列のいずれかのアミノ酸配列の1~数個のアミノ酸が欠失、置換、又は付加されたアミノ酸配列であって、前記OBPまたはOBP変異体は、前記式(I)の化合物、式(II)の化合物もしくは式(III)の化合物またはその塩と解離定数0.1~100μMの強度で結合するアミノ酸配列からなる群から選択される一つであるのが好ましい。
【0050】
また、本発明は、式(I)の化合物、式(II)の化合物もしくは式(III)の化合物またはその塩を含む、本発明の蛍光標識する方法に用いるための組成物である。
【0051】
【0052】
式中、Rは、以下の式(i)、(ii)、(iii)または(iv)であり、
【0053】
【0054】
(なお、式中、*は結合位置を表す)
R1は、-NR2R3、-CH2COOHまたは
【0055】
【0056】
であり(R2およびR3は、互いに独立して炭素数1~6のアルキル基である)、
Yは、OまたはSであり、
nは、1~12の整数であり、
mは、1~8の整数である。
【0057】
また、本発明は、前記組成物と、プラスミドまたはベクターとを含むタンパク質の蛍光標識方法用キットである。前記プラスミドまたはベクターは、標識用タグが結合された標識対象であるタンパク質を発現させるためのプラスミド又はベクターである。また、前記標識用タグは、OBP(Odorant binding protein)もしくはOBP変異体である。
【0058】
前記キットにおいて、好ましくは、前記プラスミドまたはベクターは、
1)標識対象であるタンパク質を発現させるための塩基配列、および
2-1)配列表の配列番号6、配列番号22、または配列番号32で表される塩基配列、
2-2)配列表の配列番号39で表される塩基配列において、第1番目から第45番目の塩基が欠失した塩基配列であって、前記OBPまたはOBP変異体は、前記式(I)の化合物、式(II)の化合物もしくは式(III)の化合物またはその塩と解離定数0.1~100μMの強度で結合する塩基配列であるか、または
2-3)上記1)または2)の塩基配列のいずれかの塩基配列の1~数個の塩基が欠失、置換、又は付加された塩基配列であって、前記OBPまたはOBP変異体は、前記式(I)の化合物、式(II)の化合物もしくは式(III)の化合物またはその塩と解離定数0.1~100μMの強度で結合する塩基配列
を含むプラスミドまたはベクターである。
【0059】
【0060】
式中、Rは、以下の式(i)、(ii)、(iii)または(iv)であり、
【0061】
【0062】
(なお、式中、*は結合位置を表す)
R1は、-NR2R3、-CH2COOHまたは
【0063】
【0064】
であり(R2およびR3は、互いに独立して炭素数1~6のアルキル基である)、
Yは、OまたはSであり、
nは、1~12の整数であり、
mは、1~8の整数である。
【0065】
本発明の前記キットは、さらに、前記プラスミド又はベクターを導入するための宿主細胞、キットの取り扱い説明書を含むのが好ましい。
【0066】
本発明の方法、組成物、およびキットにおいて、
式(I)の化合物は、Rは式(i)、式(ii)または式(iii)が好ましく、式(ii)または式(iii)がより好ましい。Rが式(i)、式(ii)または式(iii)の場合、R1は-NR2R3が好ましい。
【0067】
本発明の方法、組成物、およびキットにおいて、
式(II)の化合物は、
Rは式(i)、式(ii)または式(iii)が好ましく、式(i)または式(ii)がより好ましい。Rが式(i)、式(ii)または式(iii)の場合、R1は-NR2R3が好ましい。nは、1~12が好ましく、1~11がより好ましい。
【0068】
本発明の方法、組成物、およびキットにおいて、
式(III)の化合物は、Rは式(i)、式(ii)または式(iii)が好ましく、式(i)または式(ii)がより好ましい。Rが式(i)、式(ii)または式(iii)の場合、R1は-NR2R3が好ましい。mは、2~8が好ましく、3~6がより好ましい。
【0069】
本発明の方法、組成物、およびキットにおいて、式(I)の化合物としては、以下の化合物が好ましい。これらの好ましい式(I)の化合物は、本発明における蛍光標識する方法、組成物等においても好ましく用いられる。
【0070】
【0071】
本発明の方法、組成物、およびキットにおいて、式(II)の化合物としては、以下の化合物が好ましい。これらの好ましい式(II)の化合物は、本発明における蛍光標識する方法、組成物等においても好ましく用いられる。
【0072】
【0073】
本発明の方法、組成物、およびキットにおいて、式(III)の化合物としては、以下の化合物が好ましい。これらの好ましい式(III)の化合物は、本発明における蛍光標識する方法、組成物等においても好ましく用いられる。
【0074】
【0075】
また、本発明は、
式(I)の化合物、式(II)の化合物もしくは式(III)の化合物またはその塩である。
【0076】
【0077】
式中、Rは、以下の式(i)、(ii)、(iii)、または(iv)であり、
【0078】
【0079】
(なお、式中、*は結合位置を表す)
R1は、-NR2R3、-CH2COOHまたは
【0080】
【化17】
であり(R
2およびR
3は、互いに独立して炭素数1~6のアルキル基である)、
Yは、OまたはSであり、
nは、1~12の整数であり、
mは、1~8の整数である。
【0081】
式(I)の化合物としては、以下の化合物が好ましい。この好ましい式(I)の化合物は、本発明における蛍光標識する方法、組成物等においても好ましく用いられる。
【0082】
【0083】
式(II)の化合物としては、以下の化合物が好ましい。これらの好ましい式(II)の化合物は、本発明における蛍光標識する方法、組成物等においても好ましく用いられる。
【0084】
【0085】
式(III)の化合物としては、以下の化合物が好ましい。これらの好ましい式(III)の化合物は、本発明における蛍光標識する方法、組成物等においても好ましく用いられる。
【0086】
【0087】
式(I)の化合物は、従来技術における公知文献を参考に自家製造してもよいし、購入してもよい。
【0088】
式(II)の化合物は、例えば、下記スキームに従い、製造することができる。なお、出発原料である式(IV)の化合物は、従来技術における公知文献を参考に自家製造してもよいし、購入してもよい。
【0089】
【0090】
例えば、式(I)の化合物と、式(IV)の化合物との縮合反応は、従来公知の縮合剤を用いて行うことができる。縮合剤としては、例えば、カルボジイミド系、イミダゾール系、トリアジン系、ホスホニウム系、ウロニウム系、ハロニウム系などが知られている。カルボジイミド系縮合剤としては、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(EDCI)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI・HCl)、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)などが挙げられる。前記イミダゾール系縮合剤としては、N,N’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、1,1’-カルボニルジ(1,2,4-トリアゾール)(CDT)などが挙げられる。前記トリアジン系縮合剤としては、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリドn水和物(DMT-MM)などが挙げられる。ホスホニウム系縮合剤としては、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩(BOP)、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩(PyBOP)などが挙げられる。ウロニウム系縮合剤としては、{{[(1-シアノ-2-エトキシー2-オキソエチリデン)アミノ]オキシ}-4-モルホリノメチレン}ジメチルアンモニウムヘキサンフルオロリン酸塩(COMU)などが挙げられる。ハロニウム系縮合剤としては、2-クロロ-1,3-ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロリン酸塩(CIP)が挙げられる。
【0091】
式(III)の化合物は、例えば、下記スキームに従い、製造することができる。なお、出発原料である式(V)の化合物は、従来技術における公知文献を参考に自家製造してもよいし、購入してもよい。
【0092】
【0093】
例えば、式(I)の化合物と、式(V)の化合物との縮合反応は、従来公知の縮合剤を用いて行うことができる。縮合剤としては、前記式(I)の化合物と、式(IV)の化合物との縮合反応と同様のものを用いることができる。
【0094】
[実施例]
本明細書の記載において、以下の略語を使用する。
PyBOP:ヘキサフルオロリン酸(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
HATU:1-((ジメチルアミノ)(ジメチルイミノ)メチル)-1H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-オキシド ヘキサフルオロホスフェート
【0095】
<実施例>
試薬は、入手できる最も高いグレードのものであり、東京化成工業株式会社、和光純薬工業株式会社、およびシグマ-アルドリッチジャパン株式会社から購入したものを精製せずに用いた。
【0096】
フラッシュカラムクロマトグラフィーはIsorela One((株)バイオタージ・ジャパン製)NMRスペクトルは、1H-NMR用には500MHzで、13C-NMR用には125MHzで、テトラメチルシランを内部標準として用い、AVANCE III HD 500装置((株)ブルカージャパン製)で測定した。質量スペクトル(ESI)は、Waters LCT-Premier XE((株)日本ウォーターズ製)、およびJEOL JMS-T100LP((株)日本電子製)で測定した。高分解能質量分析(HRMS)は、JEOL JMS-DX303((株)日本電子製)で測定した。吸収スペクトルは、V-650 Spectrophotometer((株)日本分光製)を用いて測定した。蛍光スペクトルは、Hitachi F-7000((株)日立ハイテク製)を用いて測定した。
【0097】
<実施例1:式(2)の化合物の製造>
【0098】
【0099】
フレームドライ、窒素置換した50mL三ツ口ナスフラスコに式(1)の化合物(J. Am. Chem. Soc. 2013, 135, 12360-12365に従い製造した。50mg,0.21mmol)、PyBOP(73mg,0.14mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(49μL,0.28mmol),及びN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)-メタノール(5mL)を氷浴上で加え、1時間撹拌した。その後、6-アミノヘキサン酸(18mg, 0.14mmol)を加えた。溶媒を留去、乾燥後、得られた混合物をHPLC(0.1%ギ酸水溶液/0.1%ギ酸含有アセトニトリル)により精製し、式(2)の化合物を23.5mg(0.068mmol,収率49%)で得た。
【0100】
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 8.83 (t, J = 7.0 Hz, 1H), 8.73 (s, 1H), 7.46 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 6.68 (q, J = 2.5 Hz, J = 9.0 Hz, 1H), 6.51 (d, J = 2.5 Hz 1H), 3.43 (q, J = 7.0 Hz, J = 13.0 Hz, 2H), 3.11 (s, 6H), 2.35 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 1.66-1.32 (broad, 10H).
13C NMR (125 MHz, CDCl3): δ 177.4, 163.0, 162.7, 157.1, 154.4, 148.2, 130.8, 110.9, 110.1, 108.7, 97.0, 40.2, 39.6, 33.7, 29.3, 28.8, 28.7, 26.7, 24.5.
HRMS (ESI+) [M+H]+, 計算値375.1914, 測定値375.1922。
【0101】
<実施例2:式(3)の化合物の製造>
【0102】
【0103】
フレームドライ、窒素置換した50mL三ツ口ナスフラスコに式(1)の化合物(40mg,0.17mmol)、PyBOP(88mg,0.17mmol),N,N-ジイソプロピルエチルアミン(59μL,0.34mmol),及びメタノール(15mL)を氷浴上で加え、1時間撹拌した。その後、8-アミノオクタン酸(32mg, 0.20mmol)を加えた。溶媒を留去、乾燥後、得られた混合物をHPLC(0.1%ギ酸水溶液/0.1%ギ酸含有アセトニトリル)により精製し、式(3)の化合物を15.4mg(0.041mmol,収率24%)で得た。
【0104】
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 8.83 (t, J = 7.0 Hz, 1H), 8.73 (s, 1H), 7.46 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 6.68 (q, J = 2.5 Hz, J = 9.0 Hz, 1H), 6.51 (d, J = 2.5 Hz 1H), 3.43 (q, J = 7.0 Hz, J = 13.0 Hz, 2H), 3.11 (s, 6H), 2.35 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 1.66-1.32 (broad, 10H).
13C NMR (125 MHz, CDCl3): δ 177.4, 163.0, 162.7, 157.1, 154.4, 148.2, 130.8, 110.9, 110.1, 108.7, 97.0, 40.2, 39.6, 33.7, 29.3, 28.8, 28.7, 26.7, 24.5.
HRMS (ESI+) [M+H]+, 計算値375.1914, 測定値 375.1922。
【0105】
<実施例3:式(4)の化合物の製造>
【0106】
【0107】
フレームドライ、窒素置換した50mL三ツ口ナスフラスコに式(1)の化合物(45mg,0.19mmol)、PyBOP(98.1mg,0.19mmol),N,N-ジイソプロピルエチルアミン(66μL,0.38mmol),及びメタノール(18mL)を氷浴上で加え、1時間撹拌した。その後、10-アミノデカン酸(43.2mg, 0.23mmol)を加えた。溶媒を留去、乾燥後、得られた混合物をHPLC(0.1%ギ酸水溶液/0.1%ギ酸含有アセトニトリル)により精製し、式(4)の化合物を9.1mg(0.023mmol,収率12%)で得た。
【0108】
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 8.84 (t, J = 7.0 Hz, 1H), 8.74 (s, 1H), 7.46 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 6.68 (q, J = 2.5 Hz, J = 9.0 Hz, 1H), 6.51 (d, J = 2.5 Hz 1H), 3.43 (q, J = 7.0 Hz, J = 13.0 Hz, 2H), 3.12 (s, 6H),2.34 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 1.67-1.31 (broad, 14H).
13C NMR (125 MHz, CDCl3): δ 177.3, 163.1, 162.7, 157.2, 154.4, 148.2, 130.9, 110.8, 110.1, 108.7, 97.0, 40.2, 39.7, 33.7, 29.4, 29.0, 28.9, 28.8, 28.8, 26.7, 24.6.
HRMS (ESI+) [M+H]+, 計算値403.2227, 測定値403.2237。
【0109】
【0110】
フレームドライ、窒素置換した50mL三ツ口ナスフラスコに式(1)の化合物(50mg,0.21mmol)、PyBOP(109mg,0.21mmol),N,N-ジイソプロピルエチルアミン(73μL,0.42mmol),N,N-ジメチルホルムアミド(5mL),及びメタノール(5mL)を氷浴上で加え、1時間撹拌した。その後、12-アミノドデカン酸(69mg, 0.69mmol)を加えた。溶媒を留去、乾燥後、得られた混合物をHPLC(0.1%ギ酸水溶液/0.1%ギ酸含有アセトニトリル)により精製し、式(5)の化合物を16.0mg(0.037mmol,収率18%)で得た。
【0111】
δ 8.83 (t, J = 7.0 Hz, 1H), 8.75 (s, 1H), 7.46 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 6.67 (q, J = 2.5 Hz, J = 9.0 Hz, 1H), 6.50 (d, J = 2.5 Hz 1H), 3.11 (s, 6H), 3.43 (q, J = 7.0 Hz, J = 13.0 Hz, 2H), 2.34 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 1.66-1.25 (broad, 18H).
13C NMR (125 MHz, CDCl3): δ 177.3, 163.0, 162.7, 157.2, 154.4, 148.3, 130.9, 110.9, 110.1, 108.7, 97.0, 40.2, 39.7, 33.7, 29.7, 29.5, 29.1, 29.1, 29.0, 28.8, 28.7, 26.8, 24.6.
HRMS (ESI+) [M+H]+, 計算値431.2540, 測定値431.2545。
【0112】
【0113】
フレームドライ、窒素置換した50mL三ツ口ナスフラスコに式(6)の化合物(Asian, J. Org. Chem. 2014, 3, 1089-1096.に従い製造した。10.0mg,0.0353mmol),HATU(16.0mg,0.0424mmol),N,N-ジイソプロピルエチルアミン(13μL,0.071mmol),及びN,N-ジメチルホルムアミド(2mL)を氷浴上で加え、1-1.5時間撹拌した。その後、6-アミノヘキサン酸(7.0mg, 0.053mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(0.67mL),及びメタノール(0.33mL)に溶解させた溶液を加えた。溶媒を留去、乾燥後、得られた混合物をHPLC(0.1%トリエチルアミン水溶液/0.1%トリエチルアミン含有アセトニトリル)により精製し、式(7)の化合物を2.8mg(0.0071mmol,収率20%)で得た。
【0114】
1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz) δ 8.84 (s,1H), 8.68 (t, J = 5.5 Hz, 1 H), 8.35 (s, 1 H), 7.88 (d, J= 9.5 Hz, 1H), 7.57 (s, 1 H), 7.29 (dd, J = 9 Hz, J = 2.5 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 3.11 (s, 6H, -N(CH3)2), 2.21 (t, J = 7 Hz, 2 H), 1.56-1.49 (m, 4 H, -CH2), 1.34-1.31 (m, 2 H, -CH2).
13C NMR (DMSO-d6, 125 MHz): δ 174.9, 161.9, 161.6, 151.3, 150.9, 148.4, 138.4, 131.8, 130.8, 123.6, 116.9, 116.0, 114.7, 109.1, 104.0, 34.1, 29.3, 26.5, 24.7.
HRMS (FAB+) [M+H]+, 計算値397.1758, 測定値 397.1764。
【0115】
【0116】
フレームドライ、窒素置換した50mL三ツ口ナスフラスコに式(6)の化合物(10.0mg,0.0353mmol),HATU(16.0mg,0.0424mmol),N,N-ジイソプロピルエチルアミン(13μL,0.071mmol),及びN,N-ジメチルホルムアミド(2mL)を氷浴上で加え、1-1.5時間撹拌した。その後、8-アミノオクタン酸(8.42mg, 0.053mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(0.67mL),及びメタノール(0.33mL)に溶解させた溶液を加えた。溶媒を留去、乾燥後、得られた混合物をHPLC(0.1%トリエチルアミン水溶液/0.1%トリエチルアミン含有アセトニトリル)により精製し、式(8)の化合物を2.8mg(0.0066mmol,収率14%)で得た。
【0117】
1H NMR (DMSO-d6; 500 MHz): δ 8.83 (s,1H), 8.67 (t, J = 5.5 Hz, 1 H), 8.35 (s, 1 H), 7.88 (d, J = 9 Hz, 1H), 7.57 (s, 1 H), 7.29 (dd, J = 9 Hz, J = 2.5 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 2 Hz, 1H), 3.11 (s, 6H, -N(CH3)2), 2.20 (t, J = 7 Hz, 2 H), 1.56-1.49 (m, 4 H, -CH2), 1.30 (br, 6 H, -CH2).
13C NMR (DMSO-d6, 125 MHz): δ 175.0, 161.9, 161.6, 151.3, 150.9, 148.4, 138.4, 131.8, 130.8, 123.6, 116.9, 116.0, 114.8, 109.1, 104.0, 34.1, 29.5, 29.0, 28.9, 26.8, 24.9.
HRMS (FAB+) [M+H]+, 計算値425.2071, 測定値425.2069。
【0118】
【0119】
フレームドライ、窒素置換した50mL三ツ口ナスフラスコに式(6)の化合物(10.0mg,0.0353mmol),HATU(16.0mg,0.0424mmol),N,N-ジイソプロピルエチルアミン(13μL,0.071mmol),及びN,N-ジメチルホルムアミド(2mL)を氷浴上で加え、1-1.5時間撹拌した。その後、10-アミノデカン酸(12mg, 0.064mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(0.67mL),及びメタノール(0.33mL)に溶解させた溶液を加えた。溶媒を留去、乾燥後、得られた混合物をHPLC(0.1%トリエチルアミン水溶液/0.1%トリエチルアミン含有アセトニトリル)により精製し、式(9)の化合物を3.1mg(0.0068mmol,収率19%)で得た。
【0120】
1H NMR (DMSO-d6; 500 MHz): δ 8.84 (s,1H), 8.68 (t, J = 5.5 Hz, 1 H), 8.35 (s, 1 H), 7.88 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 7.57 (s, 1 H), 7.29 (dd, J = 9.5 Hz, J = 2.5 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 3.11 (s, 6H, -N(CH3)2), 2.13 (br, 2 H), 1.54-1.48 (m, 4 H, -CH2), 1.30-1.26 (m, 10 H, -CH2)
13C NMR (DMSO-d6, 125 MHz): δ 175.0, 161.9, 161.6, 151.3, 150.9, 148.4, 138.4, 131.8, 130.8, 123.6, 116.9, 116.0, 114.7, 109.1, 104.0, 34.2, 29.5, 29.3, 29.2, 29.1, 29.0, 26.9, 25.0.
HRMS (FAB+) [M+H]+, 計算値452.2311, 測定値452.2312。
【0121】
<実施例8:式(10)の化合物の製造>
【化30】
【0122】
フレームドライ、窒素置換した50mL三ツ口ナスフラスコに式(6)の化合物(10.0mg,0.0353mmol),HATU(16.0mg,0.0424mmol),N,N-ジイソプロピルエチルアミン(13μL,0.071mmol),及びN,N-ジメチルホルムアミド(2mL)を氷浴上で加え、1-1.5時間撹拌した。その後、12-アミノドデカン酸(11.4mg, 0.053mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(0.67mL),及びメタノール(0.33mL)に溶解させた溶液を加えた。溶媒を留去、乾燥後、得られた混合物をHPLC(0.1%トリエチルアミン水溶液/0.1%トリエチルアミン含有アセトニトリル)により精製し、式(10)の化合物を1.9mg(0.0040mmol,収率11%)で得た。
【0123】
1H NMR (DMSO-d6; 500 MHz): δ 8.83 (s,1H), 8.67 (t, J = 5.5 Hz, 1 H), 8.35 (s, 1 H), 7.88 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 7.57 (s, 1 H), 7.29 (dd, J = 9.5 Hz, J = 2.5 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 2 Hz, 1H), 3.11 (s, 6H, -N(CH3)2), 2.16 (t, J = 7 Hz, 2 H), 1.54-1.45 (m, 4 H, -CH2), 1.34-1.31 (m, 14 H, -CH2).
13C NMR (DMSO-d6, 125 MHz): δ 175.0, 161.9, 161.6, 151.3, 150.9, 148.4, 138.4, 131.8, 130.8, 123.6, 116.9, 116.0, 114.7, 109.1, 104.0, 34.3, 29.5, 29.4, 29.4, 29.2, 29.2, 29.1, 26.9, 25.1.
HRMS (FAB+) [M+H]+, 計算値480.2624, 測定値480.2622。
【0124】
<実施例9:式(11)の化合物の製造>
【化31】
【0125】
フレームドライ、窒素置換した50mL三ツ口ナスフラスコに式(6)の化合物(10.0mg,0.0353mmol),HATU(16.0mg,0.0424mmol),N,N-ジイソプロピルエチルアミン(13μL,0.071mmol),及びN,N-ジメチルホルムアミド(2mL)、を氷浴上で加え、1時間撹拌した。その後、N,N-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン(5.41mg, 0.0529mmol)を加えた。溶媒を留去、乾燥後、得られた混合物をHPLC(0.1%トリエチルアミン水溶液/0.1%トリエチルアミン含有アセトニトリル)により精製し、式(11)の化合物を2. 6mg(0.0071mmol,収率20%)で得た。
【0126】
1H NMR (500 MHz, CDCL3)δ9.05(s, 1H), 8.90(s, 1H), 7.97(s, 1H), 7.78(d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.42(s, 1H), 7.14(dd, J = 9.0 Hz, J = 2.0 Hz, 1H), 6.79(d, J = 2.0 Hz, 1H), 3.53(q, J = 7.0 Hz, 2H), 3.15(s, 6H, a), 2.42(t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.27(s, 6H, k), 1.81(quin, J = 7.0 Hz, 2H);
13C NMR (125 MHz, CDCl3)δ162.2, 162.2, 151.3, 150.5, 148.5, 138.3, 130.8, 130.3, 123.7, 116.2, 115.4, 114.8, 109.4, 103.8, 57.4, 45.3, 40.3, 38.2, 27.2.;
HRMS (FAB+) [M+H]+, 計算値368.1968, 測定値 368.1972。
【0127】
<実施例10:式(12)の化合物の製造>
【化32】
【0128】
フレームドライ、窒素置換した50mL三ツ口ナスフラスコに式(6)の化合物(10.0mg,0.0353mmol)、HATU(16.0mg,0.0424mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(13μL,0.071mmol)、及びN,N-ジメチルホルムアミド(2mL)、を氷浴上で加え、1時間撹拌した。その後、N,N-ジメチル-1,6-ジアミノヘキサン(ACS Chem. Neurosci. 2019, 10, 3635-3661.に従い製造した, 7.64mg, 0.0529mmol)を加えて3時間撹拌した。溶媒を留去、乾燥後、得られた混合物をHPLC(0.1%トリエチルアミン水溶液/0.1%トリエチルアミン含有アセトニトリル)により精製し、式(12)の化合物を2. 6mg(0.0071mmol,収率20%)で得た。
【0129】
1H NMR (500 MHz, CDCl3)δ 9.05(s, 1H, m), 8.90(s, 1H, g), 7.97(s, 1H, e), 7.78(d, 1H, c, J = 9.0 Hz), 7.42(s, 1H, f), 7.14(dd, 1H, b, J = 9.0 Hz, J = 2.0 Hz), 6.79(d, 1H, d, J = 2.0 Hz), 3.53(q, 2H, h, J = 7.0 Hz), 3.15(s, 6H, a), 2.42(t, 2H, j, J = 7.0 Hz), 2.27(s, 6H, k), 1.81(quin, 2H, i, J = 7.0 Hz);
13C NMR (125 MHz, CDCl3)δ 162.2, 162.2, 151.3, 150.5, 148.5, 138.3, 130.8, 130.3, 123.7, 116.2, 115.4, 114.8, 109.4, 103.8, 57.4, 45.3, 40.3, 38.2, 27.2;
HRMS (FAB+) [M+H]+, 計算値410.2443, 測定値 410.2449。
【0130】
<実施例11:式(13)の化合物の製造>
【0131】
【0132】
フレームドライ、窒素置換した20mL三ツ口ナスフラスコに式(1)の化合物(10.0mg,0.0429mmol)、HATU(25.0mg,0.0663mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(2mL)、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンを氷浴上で加え、1時間撹拌した。その後、N,N-ジメチル-1,6-ジアミノヘキサン(12.0mg,0.0827mmol)を加えて3時間撹拌した。溶媒を留去、乾燥後、得られた混合物をHPLC(0.1%トリエチルアミン水溶液/0.1%トリエチルアミン含有アセトニトリル)により精製し、式(13)の化合物を6.0mg(0.017mmol,収率39%)で得た。
【0133】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.78(t, J = 4.5 Hz, 1H), 8.73(s, 1H), 7.48(d, J = 9.0 Hz, 1H), 6.70(dd, J = 9.0 Hz, Jbd = 2.0 Hz, 1H), 6.53(d, J = 2.0 Hz, 1H), 3.44(q, J = 7.0 Hz, 2H), 3.13(s, 6H), 2.93(t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.75(s, 6H), 1.85(m, 2H), 1.65(m, 2H),1.45 (m, 4H);
13C NMR (125 MHz, CDCl3)δ 163.0 162.8 157.2 154.5 148.2 130.9 110.9 110.2 108.7 97.0 58.0 43.2 43.0 40.3 39.2 29.2 26.3 24.3;
HRMS (FAB+) [M+H]+, 計算値360.2287, 測定値 360.2280。
【0134】
<実施例12:式(14)の化合物の合成>
工程1:式(21)の化合物の製造
【0135】
【0136】
30mLナスフラスコに式(20)の化合物(Tetrahedron 2016, 72, 3232.に従い製造した。314mg,1.79mmol)、18―クラウン6―エーテル(568mg,2.15mmol)、及び10%w/w水酸化ナトリウム水溶液(10mL)と1、4―ジオキサン(10mL)(10mL)を加え、溶液を還流させながら120℃で16時間撹拌した。室温まで放冷後、氷浴上で2MHCl水溶液をpHが1になるまで加えた。有機層を酢酸エチルで抽出、水で洗浄した後に乾燥、濃縮しシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し無色固体として式(21)の化合物を216mg(1.11mmol,収率62%)で得た。
【0137】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 13.2 (bs, 1H), 8.24 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 7.62 (dd, J = 7.0 Hz, 1.0 Hz, 1H), 2.75 (d, J = 1.0 Hz, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ164.9, 154.9, 151.0, 135.9, 133.0, 127.0, 120.9, 17.5;
HRMS (FAB+) [M+Na]+, 計算値217.0048, 測定値 217.0047。
【0138】
工程2:式(22)の化合物の製造
【0139】
【0140】
フレームドライ、窒素置換した100mLナスフラスコに式(21)の化合物(300mg,1.54mmol)、炭酸ナトリウム(196mg,1.85mmol)、ヨードメタン(1mL)、及びジN,N―ジメチルホルムアミド(20mL)を加え、80℃で16時間撹拌した。得られた混合物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、無色固体として式(22)の化合物を300mg(1.20mmol,収率78%)で得た。
【0141】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ8.24 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.38 (dd, J = 7.0 Hz, 1.5 Hz, 1H), 3.99(s, 3H), 2.75 (d, J = 1.5 Hz, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ165.3 156.0 152.0 137.8 134.1 127.2 120.7 52.6 18.6;
HRMS(FAB+) [M+Na]+, 計算値231.0204, 測定値 231.0214。
【0142】
工程3:式(23)の化合物の製造
【0143】
【0144】
フレームドライ、窒素置換した50mLナスフラスコに式(22)の化合物(110mg,0.528mmol)、N―ブロモスクシンイミド(94.0mg,0.528mmol)、過酸化ベンゾイル(触媒量)、33%臭化水素酢酸溶液(33μL)、及び四塩化炭素(3.5mL)を加え、75℃で16時間撹拌した。得られた混合物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、無色固体として式(23)の化合物を30mg(0.104mmol,収率20%)で得た。
【0145】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ8.29 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.68 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 4.94(s, 2H), 4.01 (s, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ164.8 154.0 152.2 135.9 133.6 128.3 123.2 52.8 27.5;
HRMS(FAB+) [M+H]+, 計算値286.9490, 測定値 286.9501。
【0146】
工程4:式(14)の化合物の製造
【0147】
【0148】
フレームドライ、窒素置換した20mLナスフラスコに式(23)の化合物(20mg,0.0697mmol)、炭酸カリウム(57.8mg,0.418mmol)、4-ジメチルアミノー2-ヒドロキシベンゾアルデヒド(Chem.Asian J. 2010, 5, 2053.に従い製造した。13.8mg,0.0836mmol)、及びN、N―ジメチルホルムアミド(5mL)を加え、125℃で16時間撹拌した。溶媒を留去し、乾燥後に水酸化リチウム(8.77mg、0.366mmmol), 水(1mL)、及びテトラヒドロフラン(1mL)を加えて溶液を還流しながら95℃で3時間撹拌した。得られた混合物をHPLC(0.1%ギ酸水溶液/0.1%ギ酸含有アセトニトリル)により精製し、式(14)の化合物を3.0mg(0.00884mmol,収率16%)で得た。
【0149】
1H NMR (500 MHz, DMSO) δ8.41 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 8.16 (s, 1H), 8.14 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.61 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 6.94 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 6.85 (dd, J = 7.5 Hz, J = 1.5 Hz, 1H), 3.03 (s, 6H);
13C NMR (125 MHz, DMSO) δ164.7 156.3 151.8 150.2 149.8 147.4 130.2 125.7 121.8 121.2 120.7 117.9 110.9 110.2 92.9 39.9;
HRMS(FAB+) [M]+, 計算値339.0678, 測定値 339.0661。
【0150】
<実施例13:式(15)の化合物の製造
【0151】
【0152】
フレームドライ、窒素置換した50mL三ツ口ナスフラスコに式(6)の化合物(10.0mg,0.0353mmol)、HATU(16.0mg,0.0424mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(2mL)、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンを氷浴上で加え、1時間撹拌した。その後、グリシンtertブチル塩酸塩(8.88mg,0.0530mmol)を加えた。溶媒を留去、乾燥後、得られた混合物をジクロロメタン(1mL)とトリフルオロ酢酸(1mL)の混合溶媒中で、1時間撹拌した。得られた混合物をHPLC(0.1%ギ酸水溶液/0.1%ギ酸含有アセトニトリル)により精製し、式(15)の化合物を2.5mg(0.0073mmol,収率21%)で得た。
【0153】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 9.01(t, J = 5.5 Hz, 1H), 8.89(s, 1H), 8.38(s, 1H), 7.89(d, J = 9.5 Hz, 1H), 7.58(s, 1H), 7.30(dd, J = 9.5 Hz, J = 2.5 Hz, 1H), 6.97(d, J = 2.0 Hz, 1H), 4.06(d, J = 5.5 Hz, 2H), 3.2(s, 6H) ;
13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ168.6 162.6 162.1 151.5 150.8 149.1 138.6 131.2 130.5 123.9 116.3 115.0 114.8 109.6 103.9 82.1 28.1;
HRMS (FAB+) [M+Na]+, 計算値363.0957, 測定値 363.0954。
【0154】
<実施例14>
OBPの製造
(1)OBP-His(C末端にHisタグを融合させたOBP)の遺伝子を持つ大腸菌の製造]
OBPのDNA断片は pUCFa-OBP2a(合成遺伝子としてFASMACより購入)をテンプレートとして、プライマー(配列番号1-4)を用いてPCRにより得た。この増幅したDNA断片と、pET21b(+)のそれぞれをEcoRIとHindIIIで制限酵素処理し、ライゲーションすることでpET21b(+)-OBP-Hisを得た。シークエンス解析により、目的プラスミドの配列(配列番号5)であることを確認した。
【0155】
(2)組み換えタンパク質OBPの作製、精製
100mg/mLのアンピシリンを20μL加えたLB培地(20mL)で、pET21b(+)-OBP-Hisの遺伝子をもつ大腸菌を37℃で16時間培養した。続いて、37℃に温めたLB培地(1L)に100mg/mLのアンピシリンを1mL加え、培養していたLB培地(20mL)を加えて37℃で3.5時間培養を行った。ここにIPTGを終濃度300μMになるよう加えて37℃で終夜培養した。この培養液を5000rpm、20℃で20分間遠心分離を行い、上清を取り除き、Bind buffer(50mM リン酸ナトリウム,300mM NaCl、Protease Inhibitor cocktail 1粒,pH8.0)を20mL加え懸濁し、氷上で超音波により大腸菌を破砕した。その後、5000rpm、4℃で20分間遠心分離を行い、上清をろ過し、ろ液をNiカラムに添加した。1時間撹拌後、25mLのWash buffer(50mM リン酸ナトリウム、300mM NaCl、5 mM イミダゾール、pH8.0)をカラムに2回添加することで洗浄操作を行い、25mLのElution buffer(50mM リン酸ナトリウム、300mM NaCl、250mM イミダゾール、pH8.0)をカラムに添加しOBP-Hisを溶出させた。得られたOBP-Hisをゲルろ過カラムクロマトグラフィーによって精製した。ゲルろ過用緩衝液としてHEPES buffer(20mM HEPES、150mM NaCl,pH7.4)を使用した。
【0156】
<実施例15>
組み換えタンパク質OBP(第一世代のOBP変異体)の製造
(1)OBP(C99SK112N)-His,第1世代OBPの発現と精製
前記実施例14(2)において、pET21b(+)-OBP-Hisの遺伝子をもつ大腸菌の代わりにOBP(C99SK112N)-Hisの遺伝子(OBP(第一世代)-Hisの遺伝子)をもつ大腸菌(配列番号6)を用いた以外は同様にして、組み換えタンパク質OBP(C99SK112N)-Hisを得た。
【0157】
(2)pCMV6-OBP(C99SK112N)の作製
pCMV6-OBP(ORIGENEより購入)をテンプレートとして、Quikchange II Site-Directed Mutagenesis Kit(Agilent Technologies)を用いて、プライマー(配列番号7,8)、プライマー(配列番号9,10)を用いてPCRにより得た。得られたプラスミドは、シークエンス解析により、目的プラスミドのpCMV6-OBP(C99SK112N)(配列番号11)であることを確認した。
【0158】
(3)pCMV6-OBP(C99SK112N)-NLSの作製
NLSのDNA断片はpcDNA3.1(+)-BL-NLS(S. Watanabe et al. Chem. Eur.-J. 2011, 17, 8342-8349.)をテンプレートとして、プライマー(配列番号12-15)を用いてPCRにより得た。この増幅したDNA断片と(2)で得られたpCMV6-OBP(C99SK112N)をそれぞれMluIとNotIで制限酵素処理してライゲーションすることによりプラスミドを得た。得られたプラスミドは、シークエンス解析により、目的プラスミドのpCMV6-OBP(C99SK112N)-NLS(配列番号16)であることを確認した。
【0159】
(4)pKmcl-2xCox8-OBP(C99SK112N)の作製
OBP(C99SK112N)のDNA断片は、(2)で得られたpCMV6-OBP(C99SK112N)をテンプレートとして、プライマー(配列番号17-20)を用いてPCRにより得た。この増幅したDNA断片とpKmcl-2xCox8-Halo(Y. Matsui et al. Chem. Sci. 2017, 8, 8255-8264.)をそれぞれBamHIとEcoRIで制限酵素処理してライゲーションすることによりプラスミドを得た。得られたプラスミドは、シークエンス解析により、目的遺伝子(配列番号21)を含むプラスミドのpKmcl-2xCox8-OBP(C99SK112N)であることを確認した。
【0160】
<実施例16>
組み換えタンパク質OBP(第二世代のOBP変異体)の製造
(1)OBP(第2世代)-Hisの発現と精製
実施例14(2)において、pET21b(+)-OBP-Hisの遺伝子をもつ大腸菌の代わりにOBP(第二世代)-Hisの遺伝子をもつ大腸菌(配列番号22)を用いた以外は同様にして、組み換えタンパク質OBP(第2世代)-Hisを得た。
【0161】
(2)pCMV6-OBP(第二世代)-NLSの作製
実施例15(3)において作製したプラスミドを元に、実施例15(2)で示した手順と同様にプライマー(配列番号23-30)を用いて作製した。得られたプラスミドは、シークエンス解析により、目的プラスミドのpCMV6-OBP(第2世代)-NLS(配列番号31)であることを確認した。
【0162】
<実施例17>
組み換えタンパク質OBP(第三世代のOBP変異体)の製造
(1)OBP(第3世代)-Hisの発現と精製
実施例14(2)において、pET21b(+)-OBP-Hisの遺伝子をもつ大腸菌の代わりにOBP(第3世代)-Hisの遺伝子をもつ大腸菌(配列番号32)を用いた以外は、同様にして,組み換えタンパク質OBP(第3世代)-Hisを得た。
【0163】
(2)pCMV6-OBP(第三世代)-NLSの作製
実施例15(3)において作製したプラスミドを元に、実施例15(2)で示した手順と同様にプライマー(配列番号33-36)を用いて作製した。得られたプラスミドは、シークエンス解析により、目的プラスミドのpCMV6-OBP(第3世代)-NLS(配列番号37)であることを確認した。
【0164】
[式(3)の化合物の蛍光強度]
【0165】
【0166】
実施例15(1)において得られた組み換えタンパク質OBP(第一世代のOBP変異体)0~80μMと、式(3)の化合物(プローブ)1μMを20mM HEPES buffer(pH 7.4)、150mM NaClを含む溶液で混合した。蛍光スペクトルは25℃、励起波長を413nm、励起/蛍光側スリットは5/2.5nmとして測定した。Kdは6.6μMであった。OBP(第1世代)50μMの際の蛍光スペクトルを
図1に示す。
【0167】
[式(8)の化合物の蛍光強度]
【0168】
【0169】
実施例15(1)において得られた組み換えタンパク質OBP(第一世代のOBP変異体)0~50μMと式(8)の化合物(プローブ)1μMを20mM HEPES buffer(pH 7.4)、150mM NaClを含む溶液で混合した。蛍光スペクトルは25℃、励起波長を467nm、励起/蛍光側スリットは5/5nmとして測定した。Kdは9.4μMであった。OBP(第1世代)50μMの際の蛍光スペクトルを
図2に示す。
【0170】
[長時間1分子イメージング]
KOH洗浄とプラズマ洗浄処理を施したスライドガラスにアミノシランコートをし、NHS-PEGとNHS-PEG-biotinを混ぜてガラス表面をビオチンで修飾したチャンバーを作製した。ここにストレプトアビジンを添加し、さらに表面をストレプトアビジンでコートしたガラスを作製した。一方で、K351-OBP(キネシン単量体にOBPを融合させたタンパク質)にQuantTag Biotin Kit(BDK-2000)を使ってビオチン化を行った。ビオチン化したK351-OBPをストレプトアビジンでコートされたガラスに添加することで、表面にOBPを固定化した。50μMの式(8)の化合物を2mMのTroloxを含む緩衝液中に添加した。全反射照明顕微鏡(オリンパス製を元に改造)を用い、488nmの励起光を照射し、対物レンズ(UPlanApu 100x/1.50 Oil、オリンパス製)により100msの露光時間で観察した。
【0171】
OBP1分子に由来する輝点が観察され、24時間後も輝点が観察された。式(8)の化合物とOBPとの結合速度(kon)と本条件の濃度(C)から結合していない状態の時定数(τoff)を見積もると、/(kon×C)=11ミリ秒であり、露光時間より短いものである。この結果から、化合物が露光時間中に少なくとも一回はOBPと結合が起こり、蛍光シグナルが検出されることが判る。このようにOBPに素早く入れ替わりながら結合・解離を繰り返すことにより、OBPへの蛍光標識が見かけ上維持され、長時間の一分子イメージングが行われていることが確認された。
【0172】
[式(12)の化合物の蛍光強度]
【0173】
【0174】
実施例16(1)において得られた組み換えタンパク質OBP(第二世代のOBP変異体)0~50μMと式(12)の化合物(プローブ)1μMを20mM HEPES buffer(pH 7.4),150mM NaClを含む溶液で混合した。蛍光スペクトルは25℃、励起波長を467nm、励起/蛍光側スリットは5/5nmとして測定した。Kdは4.9μMであった。OBP(第2世代)5μMの際の蛍光スペクトルを
図3に示す。
図3には、OBP(第2世代)の代わりに実施例15(1)で得られたOBP1(第1世代)を用いた場合、およびOBPが不在の場合の蛍光スペクトルも併せて示す。
【0175】
[式(13)の化合物の蛍光強度]
【0176】
【0177】
実施例16(1)において得られた組み換えタンパク質OBP(第二世代のOBP変異体)0~50μMと式(13)の化合物(プローブ)1μMを20mM HEPES buffer(pH 7.4)、150mM NaClを含む溶液で混合した。蛍光スペクトルは25℃、励起波長を413nm,励起/蛍光側スリットは5/2.5nmとして測定した。Kdは73μMであった。OBP(第2世代)5μMの際の蛍光スペクトルを
図4に示す。
図4には、OBP(第2世代)の代わりに実施例15(1)で得られたOBP1(第1世代)を用いた場合、およびOBPが不在の場合の蛍光スペクトルも併せて示す。
【0178】
【0179】
前記表1から、本発明の化合物は組み換えタンパク質OBPに対しての結合が、解離定数にしてμM前後の値であること、すなわち、本発明の化合物と組み換えタンパク質OBPとの結合が比較的弱いことが判った。また、式(13)の化合物および式(12)の化合物はOBP1(第一世代のOBP変異体)よりもOBP2(第二世代のOBP変異体)におけるKd値が低く、OBP2の方が強く結合していた。これは式(13)の化合物および式(12)の化合物の有するカチオン性のN,N-ジメチルアミノ基がOBPの結合ポケットに位置するアニオン性のアミノ酸残基に対して親和性を有することに起因するものと考えられる。一方で、式(4)の化合物および式(7)の化合物に対してはOBP2と比べてOBP1におけるKd値がより低く、OBP1の方が強く結合していた。これは、式(4)の化合物および式(7)の化合物の有するアニオン性のカルボキシ基がOBPの結合ポケットに位置するカチオン性のアミノ酸残基に対して親和性を有することに起因するものと考えられる。
【0180】
[生細胞多色イメージング]
【0181】
【0182】
[細胞の調製と遺伝子導入]
HEK293T細胞を10%ウシ胎児血清を含むイーグル最小必須培地(MEM)培地2mL中24時間培養し、培地を除いた後に、2mLのリン酸緩衝生理食塩水で3回洗浄し、MEM培地を2mL加えた。この細胞に、Lipofectamine3000(ライフテクノロージー社製)を用いて、実施例16(2)で得られたpCMV6-OBP(第二世代)-NLS、および実施例15(4)で得られたpKmcl-2xCox8-OBP(第一世代)の遺伝子を導入したもの、及び遺伝子を導入していないものを37℃で24時間インキュベーションを行った。その後、培地を除いた後、得られた細胞をハンクス平衡塩溶液(Hank’s Balanced Salt Solution、HBSS)1mLで3回洗浄し、2μMの式(4)の化合物および1μMの式(12)の化合物をそれぞれ含むMEM培地1mLを加えた。
【0183】
[蛍光イメージング実験]
上記の細胞の蛍光イメージングを共焦点レーザー走査型顕微鏡FV10i(オリンパス株式会社製)を用いて行った。式(4)の化合物由来の蛍光像を取得する際には、405nmのレーザーを励起光として用い、420nm~520nmの光を透過する蛍光フィルターを用い、60倍バイオ対物レンズを用いた。式(12)の化合物由来の蛍光像を取得する 際には、473nmのレーザーを励起光として用い、490nm~590nmの光を透過する蛍光フィルターを用い、60倍バイオ対物レンズを用いて観測を行った。得られた結果を
図5に示す。(x)はリソソームマーカーを含む場合、(y)はリソソームマーカー不在の場合である。(a)はリソソームマーカーとして用いる化合物が式(4)の化合物の場合、(b)はリソソームマーカーとして用いる化合物が式(12)の化合物の場合である。(c)は位相コントラストで表したものである。
図5から、シアン色の蛍光を示す式(4)の化合物はOBP(第一世代)を発現させたミトコンドリアを蛍光標識し、緑色の蛍光を示す式(12)の化合物はOBP(第二世代)を発現させた核を蛍光標識することが判った。
【0184】
【0185】
実施例15(1)において得られた組み換えタンパク質OBP(第1世代のOBP変異体)5μMと式(14)の化合物(プローブ)1μMを20mM HEPES buffer(pH 7.4)、150mM NaClを含む溶液で混合した。蛍光スペクトルは25℃、励起波長を515nm,励起/蛍光側スリットは10/10nmとして測定した。得られた蛍光スペクトルを
図6に示す。
【0186】
[式(8)の化合物と式(6)の化合物の蛍光強度]
【化45】
【0187】
[細胞の調製と遺伝子導入]
HEK293T細胞を10%ウシ胎児血清を含むイーグル最小必須培地(MEM)培地2mL中24時間培養し、培地を除いた後に、2mLのリン酸緩衝生理食塩水で3回洗浄し、MEM培地を2mL加えた。この細胞に、Lipofectamine3000(ライフテクノロージー社製)を用いて、実施例15(3)で得られたpCMV6-OBP(第一世代)-NLSを導入したものを37℃で24時間インキュベーションを行った。その後、培地を除いた後、得られた細胞をハンクス平衡塩溶液(Hank’s Balanced Salt Solution、HBSS)1mLで3回洗浄し、1μMの式(8)の化合物および1μMの式(6)の化合物をそれぞれ含むMEM培地1mLを加えた。
【0188】
[蛍光イメージング実験]
上記の細胞の蛍光イメージングを共焦点レーザー走査型顕微鏡FV10i(オリンパス株式会社製)を用いて行った。式(8)の化合物由来の蛍光像を取得する際には、473nmのレーザーを励起光として用い、490nm~590nmの光を透過する蛍光フィルターを用い、60倍バイオ対物レンズを用いた。式(6)の化合物由来の蛍光像を取得する際には、473nmのレーザーを励起光として用い、490nm~590nmの光を透過する蛍光フィルターを用い、60倍バイオ対物レンズを用いて観測を行った。得られた結果を
図7に示す。(x)は式(8)の化合物を用いた場合、(y)は式(6)の化合物を用いた場合である。(a)は蛍光表示、(b)は位相コントラストで表したものである。
図7から、式(6)の化合物の方が蛍光シグナルが低下しており、OBPの発現に依存しない非特異的な蛍光を抑えられることが判った。
【0189】
【0190】
実施例15(1)において得られた組み換えタンパク質OBP(第一世代のOBP変異体)もしくは実施例17(1)において得られた組み換えタンパク質OBP(第三世代のOBP変異体)5μM、または組み換えタンパク質OBP無しと式(6)の化合物(プローブ)1μMを20mM HEPES buffer(pH 7.4)、150mM NaClを含む溶液で混合した。蛍光スペクトルは25℃、励起波長を430nm,励起/蛍光側スリットは5/2.5nmとして測定した。Kdは0.82μMであった。得られた蛍光スペクトルを
図8に示す。
【0191】
【0192】
実施例15(1)において得られた組み換えタンパク質OBP(第一世代のOBP変異体)もしくは実施例17(1)において得られた組み換えタンパク質OBP(第三世代のOBP変異体)5μM、または組み換えタンパク質OBP無しと式(15)の化合物(プローブ)1μMを20mM HEPES buffer(pH 7.4)、150mM NaClを含む溶液で混合した。蛍光スペクトルは25℃、励起波長を450nm,励起/蛍光側スリットは5/2.5nmとして測定した。Kdは1.1μMであった。得られた蛍光スペクトルを
図9に示す。
【0193】
[細胞の調製と遺伝子導入]
HEK293T細胞を10%ウシ胎児血清を含むイーグル最小必須培地(MEM)培地2mL中24時間培養し、培地を除いた後に、2mLのリン酸緩衝生理食塩水で3回洗浄し、MEM培地を2mL加えた。この細胞に、Lipofectamine3000(ライフテクノロージー社製)を用いて、実施例15(3)で得られたpCMV6-OBP(第一世代)-NLSまたは実施例17(2)で得られたpCMV6-OBP(第三世代)-NLSを導入したものを37℃で24時間インキュベーションを行った。その後、培地を除いた後、得られた細胞をハンクス平衡塩溶液(Hank’s Balanced Salt Solution、HBSS)1mLで3回洗浄し、1μMの式(6)の化合物を含むMEM培地1mLを加えた。
【0194】
[蛍光イメージング実験]
上記の細胞の蛍光イメージングを共焦点レーザー走査型顕微鏡FV10i(オリンパス株式会社製)を用いて行った。式(6)の化合物由来の蛍光像を取得する際には、473nmのレーザーを励起光として用い、490nm~590nmの光を透過する蛍光フィルターを用い、60倍バイオ対物レンズを用いた。得られた結果を
図10に示す。(x)はpCMV6-OBP(第一世代)-NLSまたはpCMV6-OBP(第三世代)-NLSの導入無しの場合、(y)はpCMV6-OBP(第一世代)-NLSを導入した場合、(z)はpCMV6-OBP(第三世代)-NLSを導入した場合である。(a)は蛍光表示、(b)は位相コントラストで表したものである。
図10から、式(6)の化合物はOBP(第一世代)よりもOBP(第三世代)に対してより強く結合し、大きな蛍光シグナルを生じることが判った。
【0195】
[配列]
配列番号1
GATGACGAATTCCATGCTGAGCTTTACCCTCGAAGAAG
配列番号2
GATGACGAATTCCATGCTGA
配列番号3
AAGATCAAGCTTATGCTCCAGAACACACGAG
配列番号4
AAGATCAAGCTTATGCTCCAGAA
配列番号5
ATGCTGAGCTTTACCCTCGAAGAAGAGGATATTACCGGTACTTGGTACGTCAAAGCGATGGTGGTGGATAAAGACTTTCCGGAAGATCGCCGTCCACGCAAAGTAAGTCCGGTCAAAGTTACCGCATTAGGAGGCGGTAATCTGGAAGCCACGTTTACCTTTATGCGCGAAGATCGGTGCATTCAGAAGAAGATTCTGATGCGCAAAACCGAAGAACCGGGCAAATTTTCCGCGTATGGCGGTCGTAAGCTGATCTATCTCCAGGAATTACCCGGTACAGATGACTACGTGTTCTACTGCAAAGATCAACGTCGTGGTGGACTTCGCTATATGGGCAAACTGGTTGGGCGCAATCCGAACACGAACCTTGAGGCTCTGGAAGAGTTCAAGAAACTGGTGCAGCATAAAGGGCTGTCTGAAGAGGACATCTTCATGCCTCTGCAAACAGGCTCGTGTGTTCTGGAGCATAAGCTTGCGGCCGCACTCGAGCACCACCACCACCACCACTGA
配列番号6
ATGCTGAGCTTTACCCTCGAAGAAGAGGATATTACCGGTACTTGGTACGTCAAAGCGATGGTGGTGGATAAAGACTTTCCGGAAGATCGCCGTCCACGCAAAGTAAGTCCGGTCAAAGTTACCGCATTAGGAGGCGGTAATCTGGAAGCCACGTTTACCTTTATGCGCGAAGATCGGTGCATTCAGAAGAAGATTCTGATGCGCAAAACCGAAGAACCGGGCAAATTTTCCGCGTATGGCGGTCGTAAGCTGATCTATCTCCAGGAATTACCCGGTACAGATGACTACGTGTTCTACAGCAAAGATCAACGTCGTGGTGGACTTCGCTATATGGGCAACCTGGTTGGGCGCAATCCGAACACGAACCTTGAGGCTCTGGAAGAGTTCAAGAAACTGGTGCAGCATAAAGGGCTGTCTGAAGAGGACATCTTCATGCCTCTGCAAACAGGCTCGTGTGTTCTGGAGCATAAGCTTGCGGCCGCACTCGAGCACCACCACCACCACCACTGA
配列番号7
CGACTACGTCTTTTACAGCAAAGACCAGCGCCGTG
配列番号8
CACGGCGCTGGTCTTTGCTGTAAAAGACGTAGTCG
配列番号9
CCTGCGCTACATGGGAAACCTTGTGGGTAGGAATC
配列番号10
GATTCCTACCCACAAGGTTTCCCATGTAGCGCAGG
配列番号11
ATGCTGTCCTTCACCCTGGAGGAGGAGGATATCACAGGGACCTGGTACGTGAAGGCCATGGTGGTCGATAAGGACTTTCCGGAGGACAGGAGGCCCAGGAAGGTGTCCCCAGTGAAGGTGACAGCCCTGGGCGGTGGGAACTTGGAAGCCACGTTCACCTTCATGAGGGAGGATCGGTGCATCCAGAAGAAAATCCTGATGCGGAAGACGGAGGAGCCTGGCAAATTCAGCGCCTATGGGGGCAGGAAGCTCATATACCTGCAGGAGCTGCCCGGGACGGACGACTACGTCTTTTACAGCAAAGACCAGCGCCGTGGGGGCCTGCGCTACATGGGAAACCTTGTGGGTAGGAATCCTAATACCAACCTGGAGGCCCTGGAAGAATTTAAGAAATTGGTGCAGCACAAGGGACTCTCGGAGGAGGACATTTTCATGCCCCTGCAGACGGGAAGCTGCGTTCTCGAACAC
配列番号12
GATGACACGCGTGGAGGATCTGGAGGATCTGA′
配列番号13
GATGACACGCGTGGAGG
配列番号14
AAGATCGCGGCCGCGTTACCTTTCTCTTTTTCTTAGGATCAAC
配列番号15
AAGATCGCGGCCGCGT
配列番号16
ATGCTGTCCTTCACCCTGGAGGAGGAGGATATCACAGGGACCTGGTACGTGAAGGCCATGGTGGTCGATAAGGACTTTCCGGAGGACAGGAGGCCCAGGAAGGTGTCCCCAGTGAAGGTGACAGCCCTGGGCGGTGGGAACTTGGAAGCCACGTTCACCTTCATGAGGGAGGATCGGTGCATCCAGAAGAAAATCCTGATGCGGAAGACGGAGGAGCCTGGCAAATTCAGCGCCTATGGGGGCAGGAAGCTCATATACCTGCAGGAGCTGCCCGGGACGGACGACTACGTCTTTTACAGCAAAGACCAGCGCCGTGGGGGCCTGCGCTACATGGGAAAGCTTGTGGGTAGGAATCCTAATACCAACCTGGAGGCCCTGGAAGAATTTAAGAAATTGGTGCAGCACAAGGGACTCTCGGAGGAGGACATTTTCATGCCCCTGCAGACGGGAAGCTGCGTTCTCGAACAC
ACGCGTGGAGGATCTGGAGGATCTGATCCAAAAAAGAAGAGAAAGGTAGATCCAAAAAAGAAGAGGAAGGTTGATCCTAAGAAAAAGAGAAAGGTA
配列番号17
GATGACGGATCCATGCTGTCCTTCACC
配列番号18
GATGACGGATCCATGCTG
配列番号19
AAGATCGAATTCTTAGTGTTCGAGAACGCAGCTT
配列番号20
AAGATCGAATTCTTAGTGTTCGAG
配列番号21
ATGTCCGTCCTGACGCCGCTGCTGCTGCGGGGCTTGACAGGCTCGGCCCGGCGGCTCCCAGTGCCGCGCGCCAAGATCCATTCGTTGCCGCCGGAGGGGAAGCTTGGGATGTCCGTCCTGACGCCGCTGCTGCTGCGGGGCTTGACAGGCTCGGCCCGGCGGCTCCCAGTGCCGCGCGCCAAGATCCATTCGTTGCCGCCGGAGGGGAAGCTCGGGGGATCCATGCTGTCCTTCACCCTGGAGGAGGAGGATATCACAGGGACCTGGTACGTGAAGGCCATGGTGGTCGATAAGGACTTTCCGGAGGACAGGAGGCCCAGGAAGGTGTCCCCAGTGAAGGTGACAGCCCTGGGCGGTGGGAACTTGGAAGCCACGTTCACCTTCATGAGGGAGGATCGGTGCATCCAGAAGAAAATCCTGATGCGGAAGACGGAGGAGCCTGGCAAATTCAGCGCCTATGGGGGCAGGAAGCTCATATACCTGCAGGAGCTGCCCGGGACGGACGACTACGTCTTTTACAGCAAAGACCAGCGCCGTGGGGGCCTGCGCTACATGGGAAACCTTGTGGGTAGGAATCCTAATACCAACCTGGAGGCCCTGGAAGAATTTAAGAAATTGGTGCAGCACAAGGGACTCTCGGAGGAGGACATTTTCATGCCCCTGCAGACGGGAAGCTGCGTTCTCGAACACTAA
配列番号22
ATGGCTAGCATGACTGGTGGACAGCAAATGGGTCGGGATCCGAATTCCATGCTGAGCTTTACCCTCGAAGAAGAGGATATTACCGGTACTTGGTACGTCAAAGCGATGGTGGTGGATAAAGACTTTCCGGAAGATGAACGTCCACGCAAAGTAAGTCCGGTCAAAGTTACCGCATTAGGAGGCGGTAATCTGGAAGCCACGTTTACCTTTATGCGCGAAGATCGGTGCATTCAGGAAAAGATTCTGATGCGCAAAACCGAAGAACCGGGCAAATTTTCCGCGTATGGCGGTCGTGAACTGATCTATCTCCAGGAATTACCCGGTACAGATGACTACGTGTTCTACAGCAAAGATCAACGTCGTGGTGGACTTGAATATATGGGCAACCTGGTTGGGCGCAATCCGAACACGAACCTTGAGGCTCTGGAAGAGTTCAAGAAACTGGTGCAGCATAAAGGGCTGTCTGAAGAGGACATCTTCATGCCTCTGCAAACAGGCTCGTGTGTTCTGGAGCATAAGCTTGCGGCCGCACTCGAGCACCACCACCACCACCACTGA
配列番号23
GACTTTCCGGAGGACGAGAGGCCCAGGAAGGTG
配列番号24
CACCTTCCTGGGCCTCTCGTCCTCCGGAAAGTC
配列番号25
GGATCGGTGCATCCAGGAGAAAATCCTGATGCGG
配列番号26
CCGCATCAGGATTTTCTCCTGGATGCACCGATCC
配列番号27
GCCTATGGGGGCAGGGAGCTCATATACCTGCAG
配列番号28
CTGCAGGTATATGAGCTCCCTGCCCCCATAGGC
配列番号29
CGCCGTGGGGGCCTGGAGTACATGGGAAACCTTG
配列番号30
CAAGGTTTCCCATGTACTCCAGGCCCCCACGGCG
配列番号31
ATGCTGTCCTTCACCCTGGAGGAGGAGGATATCACAGGGACCTGGTACGTGAAGGCCATGGTGGTCGATAAGGACTTTCCGGAGGACGAGAGGCCCAGGAAGGTGTCCCCAGTGAAGGTGACAGCCCTGGGCGGTGGGAACTTGGAAGCCACGTTCACCTTCATGAGGGAGGATCGGTGCATCCAGGAGAAAATCCTGATGCGGAAGACGGAGGAGCCTGGCAAATTCAGCGCCTATGGGGGCAGGGAGCTCATATACCTGCAGGAGCTGCCCGGGACGGACGACTACGTCTTTTACAGCAAAGACCAGCGCCGTGGGGGCCTGGAGTACATGGGAAACCTTGTGGGTAGGAATCCTAATACCAACCTGGAGGCCCTGGAAGAATTTAAGAAATTGGTGCAGCACAAGGGACTCTCGGAGGAGGACATTTTCATGCCCCTGCAGACGGGAAGCTGCGTTCTCGAACACACGCGTGGAGGATCTGGAGGATCTGATCCAAAAAAGAAGAGAAAGGTAGATCCAAAAAAGAAGAGGAAGGTTGATCCTAAGAAAAAGAGAAAGGTA
配列番号32
ATGCTGAGCTTTACCCTCGAAGAAGAGGATATTACCGGTACTTGGTACGTCAAAGCGATGGTGGTGGATAAAGACTTTCCGGAAGATCGCCGTCCACGCAAAGTAAGTCCGGTCAAAGTTACCGCATTAGGAGGCGGTAATCTGGAAGCCACGTTTACCCAGATGCGCGAAGATCGGTGCATTCAGAAGAAGATTCTGATGCGCAAAACCGAAGAACCGGGCAAATTTTCCGCGTATGGCGGTCGTAAGCTGATCTATCTCCAGGAATTACCCGGTACAGATGACTACGTGATGTACAGCAAAGATCAACGTCGTGGTGGACTTCGCTATATGGGCAACCTGGTTGGGCGCAATCCGAACACGAACCTTGAGGCTCTGGAAGAGTTCAAGAAACTGGTGCAGCATAAAGGGCTGTCTGAAGAGGACATCTTCATGCCTCTGCAAACAGGCTCGTGTGTTCTGGAGCATAAGCTTGCGGCCGCACTCGAGCACCACCACCACCACCACTGA
配列番号33
GTTCACCCAGATGAGGGAGGATCGG
配列番号34
CCCTCATCTGGGTGAACGTGGCTTC
配列番号35
CTACGTCATGTACAGCAAAGACC
配列番号36
GCTGTACATGACGTAGTCGTCC
配列番号37
ATGCTGTCCTTCACCCTGGAGGAGGAGGATATCACAGGGACCTGGTACGTGAAGGCCATGGTGGTCGATAAGGACTTTCCGGAGGACAGGAGGCCCAGGAAGGTGTCCCCAGTGAAGGTGACAGCCCTGGGCGGTGGGAACTTGGAAGCCACGTTCACCCAGATGAGGGAGGATCGGTGCATCCAGAAGAAAATCCTGATGCGGAAGACGGAGGAGCCTGGCAAATTCAGCGCCTATGGGGGCAGGAAGCTCATATACCTGCAGGAGCTGCCCGGGACGGACGACTACGTCATGTACAGCAAAGACCAGCGCCGTGGGGGCCTGCGCTACATGGGAAACCTTGTGGGTAGGAATCCTAATACCAACCTGGAGGCCCTGGAAGAATTTAAGAAATTGGTGCAGCACAAGGGACTCTCGGAGGAGGACATTTTCATGCCCCTGCAGACGGGAAGCTGCGTTCTCGAACACACGCGTGGAGGATCTGGAGGATCTGATCCAAAAAAGAAGAGAAAGGTAGATCCAAAAAAGAAGAGGAAGGTTGATCCTAAGAAAAAGAGAAAGGTA
配列番号38
MASMTGGQQMGRDPNSLSFTLEEEDITGTWYVKAMVVDKDFPEDRRPRKVSPVKVTALGGGNLEATFTFMREDRCIQKKILMRKTEEPGKFSAYGGRKLIYLQELPGTDDYVFYCKDQRRGGLRYMGKLVGRNPNTNLEALEEFKKLVQHKGLSEEDIFMPLQTGSCVLEH
配列番号39
ATGAAGACCCTGTTCCTGGGTGTCACGCTCGGCCTGGCCGCTGCCCTGTCCTTCACCCTGGAGGAGGAGGATATCACAGGGACCTGGTACGTGAAGGCCATGGTGGTCGATAAGGACTTTCCGGAGGACAGGAGGCCCAGGAAGGTGTCCCCAGTGAAGGTGACAGCCCTGGGCGGTGGGAACTTGGAAGCCACGTTCACCTTCATGAGGGAGGATCGGTGCATCCAGAAGAAAATCCTGATGCGGAAGACGGAGGAGCCTGGCAAATTCAGCGCCTATGGGGGCAGGAAGCTCATATACCTGCAGGAGCTGCCCGGGACGGACGACTACGTCTTTTACTGCAAAGACCAGCGCCGTGGGGGCCTGCGCTACATGGGAAAGCTTGTGGGTAGGAATCCTAATACCAACCTGGAGGCCCTGGAAGAATTTAAGAAATTGGTGCAGCACAAGGGACTCTCGGAGGAGGACATTTTCATGCCCCTGCAGACGGGAAGCTGCGTTCTCGAACAC
配列番号40
MLSFTLEEEDITGTWYVKAMVVDKDFPEDRRPRKVSPVKVTALGGGNLEATFTFMREDRCIQKKILMRKTEEPGKFSAYGGRKLIYLQELPGTDDYVFYSKDQRRGGLRYMGNLVGRNPNTNLEALEEFKKLVQHKGLSEEDIFMPLQTGSCVLEH
配列番号41
MLSFTLEEEDITGTWYVKAMVVDKDFPEDERPRKVSPVKVTALGGGNLEATFTFMREDRCIQEKILMRKTEEPGKFSAYGGRELIYLQELPGTDDYVFYSKDQRRGGLEYMGNLVGRNPNTNLEALEEFKKLVQHKGLSEEDIFMPLQTGSCVLEH
配列番号42
MLSFTLEEEDITGTWYVKAMVVDKDFPEDRRPRKVSPVKVTALGGGNLEATFTQMREDRCIQKKILMRKTEEPGKFSAYGGRKLIYLQELPGTDDYVMYSKDQRRGGLRYMGNLVGRNPNTNLEALEEFKKLVQHKGLSEEDIFMPLQTGSCVLEH
【配列表】