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特開2024-126547基板位置決め装置、基板位置決め方法および接合装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126547
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】基板位置決め装置、基板位置決め方法および接合装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20240912BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034962
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧 哲也
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA32
5F131AA33
5F131BA00
5F131CA06
5F131CA09
5F131CA32
5F131CA42
5F131EA02
5F131EA24
5F131EB01
5F131EB05
5F131FA17
5F131FA33
(57)【要約】
【課題】基板の位置決め精度を向上させる技術を提供する。
【解決手段】本開示による基板位置決め装置は、基板を保持する保持部と、保持部を回転させる回転機構とを備える。回転機構は、回転軸部と、軸受部と、ベース部と、第1駆動部と、減衰機構と、ロック機構と、第2駆動部とを備える。回転軸部は、保持部に固定される。軸受部は、回転軸部を非接触状態で支持する。ベース部は、軸受部を固定する。第1駆動部は、回転軸部を回転させる。減衰機構は、ベース部および回転軸部の一方に接続される固定部と、ベース部および回転軸部の他方に接続され、固定部に対して摺動可能な可動部とを含み、回転軸部とベース部との相対動作に対する減衰力を発生させる。ロック機構は、可動部を固定する。第2駆動部は、可動部が固定された減衰機構を微少駆動させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する保持部と、
前記保持部を回転させる回転機構と
を備え、
前記回転機構は、
前記保持部に固定される回転軸部と、
前記回転軸部を非接触状態で支持する軸受部と、
前記軸受部を固定するベース部と、
前記回転軸部を回転させる第1駆動部と、
前記ベース部および前記回転軸部の一方に接続される固定部と、前記ベース部および前記回転軸部の他方に接続され、前記固定部に対して摺動可能な可動部とを含み、前記回転軸部と前記ベース部との相対動作に対する減衰力を発生させる減衰機構と、
前記可動部を固定するロック機構と、
前記可動部が固定された前記減衰機構を微少駆動させる第2駆動部と
を備える、基板位置決め装置。
【請求項2】
前記第2駆動部は、ピエゾ素子を含む、請求項1に記載の基板位置決め装置。
【請求項3】
前記第2駆動部は、前記減衰機構の下部に設けられる、請求項1に記載の基板位置決め装置。
【請求項4】
前記減衰機構は、
前記第2駆動部の上部に設けられ、一方の端部に前記固定部が固定された駆動ベースと、
前記駆動ベースの他方の端部に固定されたカウンターウエイトと
を備える、請求項3に記載の基板位置決め装置。
【請求項5】
前記ロック機構は、前記駆動ベースに設けられる、請求項4に記載の基板位置決め装置。
【請求項6】
前記第2駆動部は、前記可動部に固定され、
前記減衰機構は、
前記第2駆動部を介して前記可動部に固定された駆動ベースと、
前記回転軸部に固定された第1回転部材と、
前記駆動ベースに固定された第2回転部材と、
前記駆動ベースに固定された第1支柱と、
前記回転軸部に固定された第2支柱と、
前記第1支柱と前記第2支柱とに掛け渡され、前記第1回転部材と前記第2回転部材とを互いに接触する方向に付勢する付勢部材と
を備える、請求項1に記載の基板位置決め装置。
【請求項7】
前記保持部に保持された前記基板の非保持面を撮像する撮像部と、
前記回転機構を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記撮像部を用いて前記基板の前記非保持面を撮像する第1撮像処理と、前記第1撮像処理による撮像結果に基づいて前記第1駆動部を制御して前記回転軸部を回転させるマクロアライメント処理と、前記マクロアライメント処理後、前記ロック機構を制御して前記可動部を固定するロック処理と、前記ロック処理後、前記撮像部を用いて前記基板の前記非保持面を撮像する第2撮像処理と、前記第2撮像処理による撮像結果に基づいて前記第2駆動部を制御して前記減衰機構を微少駆動させることによって前記回転軸部を回転させるマイクロアライメント処理とを実行する、請求項1に記載の基板位置決め装置。
【請求項8】
前記回転軸部の回転角度を測定する測定部を備え、
前記制御部は、前記マイクロアライメント処理後、前記測定部による測定結果に基づき前記第2駆動部を制御して前記減衰機構を微少駆動させることによって前記回転軸部を回転させる角度保持処理を実行する、請求項7に記載の基板位置決め装置。
【請求項9】
前記保持部に保持された前記基板の非保持面を撮像する撮像部と、
前記回転機構を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記撮像部を用いて前記基板の前記非保持面を撮像する第1撮像処理と、前記第1撮像処理による撮像結果に基づいて前記第1駆動部を制御して前記回転軸部を回転させるマクロアライメント処理と、前記マクロアライメント処理後、前記撮像部を用いて前記基板の前記非保持面を撮像する第2撮像処理と、前記第2撮像処理による撮像結果に基づいて前記第1駆動部を制御して前記回転軸部を回転させるマイクロアライメント処理と、前記マイクロアライメント処理後、前記ロック機構を制御して前記可動部を固定するロック処理とを実行する、請求項1に記載の基板位置決め装置。
【請求項10】
前記回転軸部の回転角度を測定する測定部を備え、
前記制御部は、前記ロック処理後、前記測定部による測定結果に基づき前記第2駆動部を制御して前記減衰機構を微少駆動させることによって前記回転軸部を回転させる角度保持処理を実行する、請求項9に記載の基板位置決め装置。
【請求項11】
前記保持部に保持された前記基板の非保持面を撮像する撮像部と、
前記回転機構を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記撮像部を用いて前記基板の前記非保持面を撮像する第1撮像処理と、前記第1撮像処理による撮像結果に基づいて前記第1駆動部を制御して前記回転軸部を回転させるマクロアライメント処理と、前記マクロアライメント処理後、前記ロック機構を制御して前記可動部を固定する第1ロック処理と、前記第1ロック処理後、前記撮像部を用いて前記基板の前記非保持面を撮像する第2撮像処理と、前記第2撮像処理後、前記ロック機構を制御して前記可動部の固定を解除するロック解除処理と、前記ロック解除処理後、前記第2撮像処理による撮像結果に基づいて前記第1駆動部を制御して前記回転軸部を回転させるマイクロアライメント処理と、前記マイクロアライメント処理後、前記ロック機構を制御して前記可動部を固定する第2ロック処理とを実行する、請求項1に記載の基板位置決め装置。
【請求項12】
前記回転軸部の回転角度を測定する測定部を備え、
前記制御部は、前記第2ロック処理後、前記測定部による測定結果に基づき前記第2駆動部を制御して前記減衰機構を微少駆動させることによって前記回転軸部を回転させる角度保持処理を実行する、請求項11に記載の基板位置決め装置。
【請求項13】
基板を保持する保持部を用いて前記基板を保持する工程と、
前記保持部を回転させる回転機構であって、前記保持部に固定される回転軸部と、前記回転軸部を非接触状態で支持する軸受部と、前記軸受部を固定するベース部と、前記回転軸部を回転させる第1駆動部と、前記ベース部および前記回転軸部の一方に接続される固定部と、前記ベース部および前記回転軸部の他方に接続され、前記固定部に対して摺動可能な可動部とを含み、前記回転軸部と前記ベース部との相対動作に対する減衰力を発生させる減衰機構と、前記可動部を固定するロック機構と、前記可動部が固定された前記減衰機構を微少駆動させる第2駆動部とを備える前記回転機構を用い、前記基板の回転方向における位置決めを行う工程と
を含む基板位置決め方法。
【請求項14】
第1基板を上方から吸着保持する第1保持部と、
前記第1保持部よりも下方に配置され、第2基板を下方から吸着保持する第2保持部と、
前記第1保持部および前記第2保持部の一方を他方に対して接近させる移動機構と、
前記第1保持部を回転させる回転機構と、
を備え、
前記回転機構は、
前記第1保持部に固定される回転軸部と、
前記回転軸部を非接触状態で支持する軸受部と、
前記軸受部を固定するベース部と、
前記回転軸部を回転させる第1駆動部と、
前記ベース部および前記回転軸部の一方に接続される固定部と、前記ベース部および前記回転軸部の他方に接続され、前記固定部に対して摺動可能な可動部とを含み、前記回転軸部と前記ベース部との相対動作に対する減衰力を発生させる減衰機構と、
前記可動部を固定するロック機構と、
前記可動部が固定された前記減衰機構を微少駆動させる第2駆動部と
を備える、接合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板位置決め装置、基板位置決め方法および接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェハなどの基板同士を接合する接合装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-147944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板の位置決め精度を向上させる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板位置決め装置は、基板を保持する保持部と、保持部を回転させる回転機構とを備える。回転機構は、回転軸部と、軸受部と、ベース部と、第1駆動部と、減衰機構と、ロック機構と、第2駆動部とを備える。回転軸部は、保持部に固定される。軸受部は、回転軸部を非接触状態で支持する。ベース部は、軸受部を固定する。第1駆動部は、回転軸部を回転させる。減衰機構は、ベース部および回転軸部の一方に接続される固定部と、ベース部および回転軸部の他方に接続され、固定部に対して摺動可能な可動部とを含み、回転軸部とベース部との相対動作に対する減衰力を発生させる。ロック機構は、可動部を固定する。第2駆動部は、可動部が固定された減衰機構を微少駆動させる。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板の位置決め精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る接合システムの構成を示す模式図である。
図2図2は、実施形態に係る第1基板および第2基板の接合前の状態を示す模式図である。
図3図3は、実施形態に係る接合装置の構成を示す模式図である。
図4図4は、実施形態に係る第1保持部、回転軸部および直動ユニットの模式的な断面図である。
図5図5は、実施形態に係る回転機構の模式的な平面図である。
図6図6は、実施形態に係る減衰機構、ロック機構および第2駆動部の模式的な平面図である。
図7図7は、実施形態に係る減衰機構、ロック機構および第2駆動部の模式的な断面図である。
図8図8は、実施形態に係る接合システムが実行する処理の手順を示すフローチャートである。
図9図9は、ステップS106に示す処理の具体的な手順の第1例を示すフローチャートである。
図10図10は、ステップS106に示す処理の具体的な手順の第2例を示すフローチャートである。
図11図11は、ステップS106に示す処理の具体的な手順の第3例を示すフローチャートである。
図12図12は、他の実施形態に係る減衰機構、ロック機構および第2駆動部の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示による基板位置決め装置、基板位置決め方法および接合装置を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0009】
また、以下に示す実施形態では、「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」といった表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密に「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」であることを要しない。すなわち、上記した各表現は、例えば製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
【0010】
また、以下参照する各図面では、説明を分かりやすくするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする直交座標系を示す場合がある。また、鉛直軸を回転中心とする回転方向をθ方向と呼ぶ場合がある。
【0011】
基板同士を接合する接合装置においては、基板同士を接合する前に、基板の回転方向の位置決めが行われる。この回転方向の位置決め精度の向上は、基板の接合精度の向上につながる。したがって、基板の回転方向の位置決め精度の向上が期待される。
【0012】
なお、基板の回転方向の位置決め精度の向上は、接合装置に限らず、基板の検査装置(プローバ)など他の装置においても期待されている。以下では、本開示による基板位置決め装置および基板位置決め方法を接合装置に適用した場合の実施形態について説明するが、本開示による基板位置決め装置および基板位置決め方法は、接合装置以外の装置にも適用可能である。
【0013】
<接合システムの構成>
まず、実施形態に係る接合システムの構成について図1および図2を参照して説明する。図1は、実施形態に係る接合システムの構成を示す模式図である。また、図2は、実施形態に係る第1基板および第2基板の接合前の状態を示す模式図である。
【0014】
図1に示す接合システム1は、第1基板W1と第2基板W2とを接合することによって重合基板Tを形成する(図2参照)。
【0015】
第1基板W1および第2基板W2は、単結晶シリコンウエハであり、板面には複数の電子回路が形成される。第1基板W1および第2基板W2は、略同径である。なお、第1基板W1および第2基板W2の一方は、たとえば電子回路が形成されていない基板であってもよい。
【0016】
以下では、図2に示すように、第1基板W1の板面のうち、第2基板W2と接合される側の板面を「接合面W1j」と記載し、接合面W1jとは反対側の板面を「非接合面W1n」と記載する。また、第2基板W2の板面のうち、第1基板W1と接合される側の板面を「接合面W2j」と記載し、接合面W2jとは反対側の板面を「非接合面W2n」と記載する。
【0017】
図1に示すように、接合システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2は、処理ステーション3のX軸負方向側に配置され、処理ステーション3と一体的に接続される。
【0018】
搬入出ステーション2は、載置台10と、搬送領域20とを備える。載置台10は、複数の載置板11を備える。各載置板11には、複数枚(たとえば、25枚)の基板を水平状態で収容するカセットC1~C4がそれぞれ載置される。カセットC1は複数枚の第1基板W1を収容可能であり、カセットC2は複数枚の第2基板W2を収容可能であり、カセットC3は複数枚の重合基板Tを収容可能である。カセットC4は、たとえば、不具合が生じた基板を回収するためのカセットである。なお、載置板11に載置されるカセットC1~C4の個数は、図示のものに限定されない。
【0019】
搬送領域20は、載置台10のX軸正方向側に隣接して配置される。搬送領域20には、Y軸方向に延在する搬送路21と、搬送路21に沿って移動可能な搬送装置22とが設けられる。搬送装置22は、Y軸方向だけでなく、X軸方向にも移動可能かつZ軸周りに旋回可能である。搬送装置22は、載置板11に載置されたカセットC1~C4と、後述する処理ステーション3の第3処理ブロックG3との間で、第1基板W1、第2基板W2および重合基板Tの搬送を行う。
【0020】
処理ステーション3には、たとえば3つの処理ブロックG1,G2,G3が設けられる。第1処理ブロックG1は、処理ステーション3の背面側(図1のY軸正方向側)に配置される。また、第2処理ブロックG2は、処理ステーション3の正面側(図1のY軸負方向側)に配置され、第3処理ブロックG3は、処理ステーション3の搬入出ステーション2側(図1のX軸負方向側)に配置される。
【0021】
第1処理ブロックG1には、第1基板W1および第2基板W2の接合面W1j,W2jを改質する表面改質装置30が配置される。表面改質装置30は、第1基板W1および第2基板W2の接合面W1j,W2jにおけるSiO2の結合を切断して単結合のSiOとすることで、その後親水化され易くするように接合面W1j,W2jを改質する。
【0022】
具体的には、表面改質装置30では、たとえば減圧雰囲気下において処理ガスである酸素ガスまたは窒素ガスが励起されてプラズマ化され、イオン化される。そして、かかる酸素イオンまたは窒素イオンが、第1基板W1および第2基板W2の接合面W1j,W2jに照射されることにより、接合面W1j,W2jがプラズマ処理されて改質される。
【0023】
また、第1処理ブロックG1には、表面親水化装置40が配置される。表面親水化装置40は、たとえば純水によって第1基板W1および第2基板W2の接合面W1j,W2jを親水化するとともに、接合面W1j,W2jを洗浄する。具体的には、表面親水化装置40は、たとえばスピンチャックに保持された第1基板W1または第2基板W2を回転させながら、当該第1基板W1または第2基板W2上に純水を供給する。これにより、第1基板W1または第2基板W2上に供給された純水が第1基板W1または第2基板W2の接合面W1j,W2j上を拡散し、接合面W1j,W2jが親水化される。
【0024】
ここでは、表面改質装置30と表面親水化装置40とが横並びで配置される場合の例を示したが、表面親水化装置40は、表面改質装置30の上方または下方に積層されてもよい。
【0025】
第2処理ブロックG2には、接合装置41が配置される。接合装置41は、親水化された第1基板W1と第2基板W2とを分子間力により接合する。接合装置41の具体的な構成については後述する。
【0026】
第1処理ブロックG1、第2処理ブロックG2および第3処理ブロックG3に囲まれた領域には、搬送領域60が形成される。搬送領域60には、搬送装置61が配置される。搬送装置61は、たとえば鉛直方向、水平方向および鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有する。かかる搬送装置61は、搬送領域60内を移動し、搬送領域60に隣接する第1処理ブロックG1、第2処理ブロックG2および第3処理ブロックG3内の所定の装置に第1基板W1、第2基板W2および重合基板Tを搬送する。
【0027】
また、接合システム1は、制御装置70を備える。制御装置70は、接合システム1の動作を制御する。かかる制御装置70は、たとえばコンピュータであり、制御部71および記憶部72を備える。制御部71は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。かかるマイクロコンピュータのCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、後述する制御を実現する。また、記憶部72は、たとえば、RAM、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
【0028】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録されていたものであって、その記録媒体から制御装置70の記憶部72にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記録媒体としては、例えばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0029】
<接合装置の構成>
次に、接合装置41の構成について図3を参照して説明する。図3は、実施形態に係る接合装置41の構成を示す模式図である。
【0030】
図3に示すように、接合装置41は、筐体100と、第1保持部101と、第2保持部102とを備える。また、接合装置41は、上部撮像部103と、下部撮像部104とを備える。また、接合装置41は、昇降機構105(移動機構の一例)と、第1水平移動部106と、第2水平移動部107と、回転機構108と、直動ユニット109とを備える。
【0031】
筐体100は、たとえば土台100aと、土台100aに立設された複数の支柱100bと、複数の支柱100bに架け渡された梁部100cとを備える。
【0032】
第1保持部101は、たとえばバキュームチャックであり、図示しない真空ポンプ等の吸引装置に接続される。第1保持部101は、吸着面(第1保持部101の下面)に位置する第1基板W1を吸引装置が発生させる吸引力を用いて真空引きすることにより、第1基板W1を上方から吸着保持する。第1保持部101の具体的な構成については後述する。
【0033】
第2保持部102は、たとえばバキュームチャックであり、図示しない真空ポンプ等の吸気口に接続される。第2保持部102は、吸着面(第2保持部102の上面)に位置する第2基板W2を吸引装置が発生させる吸引力を用いて第2基板W2を真空引きすることにより、第2基板W2を下方から吸着保持する。
【0034】
上部撮像部103は、第2保持部102に保持された第2基板W2の上面(接合面W2j)を撮像する。上部撮像部103は、たとえば筐体100の梁部100cに取り付けられる。上部撮像部103としては、たとえばCCD(Charge Coupled Device)カメラ等が用いられ得る。
【0035】
下部撮像部104は、第1保持部101に保持された第1基板W1の下面(接合面W1j)を撮像する。下部撮像部104は、たとえば昇降機構105の側方に取り付けられる。下部撮像部104としては、たとえばCCDカメラ等が用いられ得る。
【0036】
第2保持部102は、第2保持部102の下方に設けられた昇降機構105に固定される。昇降機構105は、第2保持部102を鉛直方向(Z軸方向)に沿って移動させる。
【0037】
昇降機構105は、昇降機構105の下方に設けられた第1水平移動部106に固定される。第1水平移動部106は、昇降機構105を水平方向に沿って移動させる。具体的には、第1水平移動部106の下方には、Y軸方向に沿って延在する一対のレール161が設けられており、第1水平移動部106は、一対のレール161に沿って移動することにより、昇降機構105をY軸方向に沿って移動させる。
【0038】
一対のレール161は、第2水平移動部107に固定される。第2水平移動部107は、一対のレール161を介して第1水平移動部106を水平方向に沿って移動させる。具体的には、第2水平移動部107の下方には、X軸方向に沿って延在する一対のレール171が設けられている。第2水平移動部107は、一対のレール171に沿って移動することにより、一対のレール161を介して第1水平移動部106をX軸方向に沿って移動させる。一対のレール171は、筐体100の土台100aに固定される。
【0039】
第1保持部101は、第1保持部101の上方に設けられた回転機構108に固定される。回転機構108は、第1保持部101を鉛直軸(Z軸)まわりに回転させる。これにより、第1保持部101に保持された第1基板W1のθ方向の位置が調整される。
【0040】
回転機構108は、第1保持部101に固定される回転軸部181、回転軸部181を非接触状態で支持する複数のエアベアリング182、複数のエアベアリング182を固定するベース部183を備える。
【0041】
回転軸部181は、たとえば、鉛直方向に延在する円柱部181aと、円柱部181aの上部に設けられたフランジ部181bとを備える。第1保持部101は、フランジ部181bの下面に固定される。
【0042】
複数のエアベアリング182は、回転軸部181のフランジ部181bの外周に配置される。実施形態において、回転機構108は4つのエアベアリング182を備える(後述する図4参照)。4つのエアベアリング182は、フランジ部181bの周方向に対して均等に、すなわち、90度間隔で配置される。このため、4つのエアベアリング182のうち2つは、フランジ部181bの中心(すなわち、回転軸部181の中心)を挟んで対向配置され、残りの2つも、フランジ部181bの中心を挟んで対向配置される。
【0043】
なお、ここでは、回転機構108は、複数のエアベアリング182に代えて、円環状に形成された1つのエアベアリングを備えていてもよい。
【0044】
複数のエアベアリング182は、フランジ部181bの下方からフランジ部181bの下面(軸受面の一例)に向けて圧縮空気を鉛直上方に噴出することにより、回転軸部181を浮上させる。また、複数のエアベアリング182は、フランジ部181bの外方からフランジ部181bの周面(軸受面の一例)に対して圧縮空気を噴出する。具体的には、各エアベアリング182は、フランジ部181bの径方向(図4に示す一点鎖線に沿った方向)に沿って圧縮空気を噴出する。言い換えれば、各エアベアリング182は、フランジ部181bの中心を挟んで対向配置される他のエアベアリング182に向けて圧縮空気を噴出する。
【0045】
複数のエアベアリング182から水平方向に噴出される圧縮空気は、回転軸部181を水平方向に押す。この回転軸部181を水平方向に押す力が釣り合う位置が回転軸部181の回転中心R0(図4参照)となる。
【0046】
ベース部183は、たとえば平板状の部材であり、筐体100の梁部100cに固定される。上述した複数のエアベアリング182は、かかるベース部183の上面に固定される。
【0047】
また、ベース部183には、ベース部183を鉛直方向に貫通する貫通口183aが形成されている。貫通口183aは、上述した回転軸部181の円柱部181aよりも大径である。かかる貫通口183aには、回転軸部181の円柱部181aが挿通される。回転軸部181のフランジ部181bは、ベース部183よりも下方に配置され、フランジ部181bは、ベース部183よりも上方に配置される。このように、回転軸部181は、ベース部183に対して非接触である。
【0048】
以上のように、実施形態に係る回転機構108は、複数のエアベアリング182を用いて回転軸部181を非接触状態で支持する。これにより、実施形態に係る回転機構108は、たとえば、ボールベアリング等の接触式の軸受部材を用いて回転軸部181を支持する場合と比較して、ごく僅かな力で回転軸部181を回転させることができる。したがって、実施形態に係る回転機構108は、たとえば回転軸部181をnmレベルで回転させる場合であっても高い応答性を得ることができる。
【0049】
しかしながら、回転軸部181を非接触状態で支持する手法は、回転軸部181の静定性の面で問題となるおそれがある。すなわち、上述したように、回転軸部181の回転中心R0は、複数のエアベアリング182から水平方向に噴出される圧縮空気の力の釣り合いによって形成される。しかしながら、この釣り合いの位置は、たとえば振動等の僅かな外力によって微小にずれるおそれがある。このため、回転軸部181を非接触状態で支持する手法は、回転軸部181の回転中心R0を精度良く保持することが困難である。このような静定性の問題は、特に、回転軸部181をnmレベルで回転させる場合において顕著となる。
【0050】
回転軸部181の回転中心R0のずれは、第1基板W1と第2基板W2との接合精度の低下につながる。このため、回転軸部181の回転中心R0のずれは極力生じさせないことが好ましい。
【0051】
そこで、実施形態に係る回転機構108では、回転軸部181の駆動に抵抗を与える減衰機構を設けることで、回転軸部181の静定性を向上させることとした。これにより、回転軸部181の静定性が向上することで、実施形態に係る回転機構108は、第1基板W1の回転方向の位置決め精度を向上させることができる。
【0052】
さらに、実施形態に係る回転機構108は、減衰機構の動作を固定するロック機構と、動作が固定された状態の減衰機構を微少駆動させる第2駆動部とをさらに備える。これにより、実施形態に係る回転機構108は、たとえば、第1基板W1の回転方向の位置決めを行った後、第1基板W1と第2基板W2とを接合するまでの間に生じ得る回転軸部181の微少な位置ずれを好適に抑制することができる。回転機構108の具体的な構成については後述する。
【0053】
直動ユニット109は、たとえば回転軸部181の上部に配置される。直動ユニット109は、第1保持部101に保持された第1基板W1の中心部を押圧するストライカ部と、第1基板W1を搬送装置61から受け取って第1保持部101へ渡す受渡部とを備える。直動ユニット109の具体的な構成については後述する。
【0054】
なお、ここでは図示を省略するが、接合装置41は、図4に示す第1保持部101や第2保持部102等の前段に、トランジション、位置調節機構、反転機構等を備える。トランジションは、第1基板W1、第2基板W2および重合基板Tを一時的に載置する。位置調節機構は、第1基板W1および第2基板W2の水平方向の向きを調節する。反転機構は、第1基板W1の表裏を反転させる。
【0055】
<第1保持部の構成>
次に、第1保持部101の構成例について図4を参照して説明する。図4は、実施形態に係る第1保持部101、回転軸部181および直動ユニット109の模式的な断面図である。
【0056】
図4に示すように、第1保持部101の下面には、第1基板W1の上面(非接合面W1n)に接触する複数のピン111が設けられている。複数のピン111は、たとえば、径寸法が0.1mm~1mmであり、高さが数十μm~数百μmである。複数のピン111は、たとえば2mmの間隔で均等に配置される。
【0057】
また、第1保持部101の下面には、第1基板W1を真空引きして吸着する複数の外側吸着部301および複数の内側吸着部302が設けられている。複数の外側吸着部301および複数の内側吸着部302は、例えば平面視において円弧形状の吸着領域を有する。また、複数の外側吸着部301および複数の内側吸着部302は、ピン111と同じ高さを有する。複数の外側吸着部301は、第1保持部101の外周部において、周方向に沿って並べて配置される。複数の内側吸着部302は、複数の外側吸着部301よりも本体部170の径方向内方において、周方向に沿って並べて配置される。
【0058】
第1保持部101の中央部には、第1保持部101を鉛直方向に貫通する貫通口101aが形成されている。かかる貫通口101aには、後述する円筒部192aが挿通される。なお、回転軸部181の中央部にも、円柱部181aおよびフランジ部181bを貫通する貫通孔181cが形成されている。かかる貫通孔181cは、貫通口101aと連通しており、後述する円筒部192aが挿通される。
【0059】
<直動機構の構成>
次に、直動ユニット109の構成について図4を参照して説明する。図4に示すように、直動ユニット109は、ストライカ191と、受渡部192とを備える。
【0060】
ストライカ191は、押圧ピン191aと、アクチュエータ部191bと、直動機構191cと、支持部材191dとを備える。押圧ピン191aは、鉛直方向に沿って延在する円柱状の部材であり、後述する円筒部192aの内部に挿通されている。ストライカ191は、アクチュエータ部191bによって支持される。
【0061】
アクチュエータ部191bは、たとえば電空レギュレータ(図示せず)から供給される空気により一定方向(ここでは鉛直下方)に一定の圧力を発生させる。アクチュエータ部191bは、電空レギュレータから供給される空気により、第1基板W1の中心部と当接して当該第1基板W1の中心部にかかる押圧荷重を制御することができる。直動機構191cは、アクチュエータ部191bを支持する。また、直動機構191cは、たとえばモータを内蔵した駆動部によってアクチュエータ部191bを鉛直方向に沿って移動させる。支持部材191dは、たとえば回転軸部181におけるフランジ部181bの上面に設けられており、直動機構191cを回転軸部181から浮かせた状態で支持する。
【0062】
ストライカ191は、以上のように構成されており、直動機構191cによってアクチュエータ部191bの移動を制御し、アクチュエータ部191bによって押圧ピン191aによる第1基板W1の押圧荷重を制御する。これにより、ストライカ191は、第1保持部140に吸着保持された第1基板W1の中心部を押圧して第2基板W2に接触させる。
【0063】
受渡部192は、円筒部192aと、複数の吸着部192bと、直動機構192cとを備える。円筒部192aは、筒状の部材であり、第1保持部101の貫通口101aおよび回転軸部181の貫通孔181cに挿通される。複数の吸着部192bは、円筒部192aの先端部に設けられる。複数の吸着部192bは、第1基板W1を真空引きして吸着する。直動機構192cは、たとえばモータを内蔵した駆動部によって円筒部192aを鉛直方向に沿って移動させる。
【0064】
かかる受渡部192は、接合装置41が備える図示しない反転機構から吸着部192bを用いて第1基板W1を受け取った後、直動機構192cを用いて円筒部192aを上昇させることにより、第1基板W1を第1保持部101に渡す。
【0065】
<回転機構の構成>
次に、回転機構108の構成について図5を参照して説明する。図5は、実施形態に係る回転機構108の模式的な平面図である。
【0066】
図5に示すように、回転機構108は、第1駆動部184と、位置センサ185と、減衰機構186と、ロック機構187と、第2駆動部188とをさらに備える。
【0067】
第1駆動部184は、たとえば直動アクチュエータであり、スライダ184aと、ねじ軸184bと、駆動源184cとを備える。スライダ184aは、回転軸部181およびねじ軸184bに固定される。ねじ軸184bは、水平方向(ここでは、X軸方向)に延在する。ねじ軸184bは、ベース部183に固定される。駆動源184cは、たとえばモータであり、ベース部183に固定され、ねじ軸184bを回転させる。
【0068】
第1駆動部184は、駆動源184cを用いてねじ軸184bを回転させることにより、ねじ軸184bに固定されたスライダ184aをX軸方向に沿って移動させる。これにより、第1駆動部184は、スライダ184aに固定された回転軸部181を回転させることができる。第1駆動部184が回転軸部181を回転させる範囲は、たとえば±1度程度である。
【0069】
位置センサ185(測定部の一例)は、たとえばリニアスケールである。位置センサ185は、ベース部183に固定され、回転軸部181の水平方向における位置を検出する。ここでは図示を省略しているが、位置センサ185は、回転軸部181におけるフランジ部181bの外周に複数設けられている。たとえば、回転機構108は、図4に示す位置以外に、たとえば、第1駆動部184が設けられる位置および減衰機構186が設けられる位置にも位置センサ185を備えている。接合装置41は、これら複数の位置センサ185を用いて、回転軸部181の回転量(回転角度)および偏心量を測定することができる。
【0070】
減衰機構186は、回転軸部181とベース部183との相対動作に対する減衰力を発生させる。ロック機構187は、減衰機構186が備えるスライダ202を固定する。ロック機構187の詳細については後述する。第2駆動部188は、スライダ202が固定された減衰機構186を微少駆動させる。
【0071】
<減衰機構、ロック機構および第2駆動部の構成>
次に、減衰機構186、ロック機構187および第2駆動部188の構成について図6および図7を参照して説明する。図6は、実施形態に係る減衰機構186、ロック機構187および第2駆動部188の模式的な平面図である。図7は、実施形態に係る減衰機構186、ロック機構187および第2駆動部188の模式的な断面図である。なお、図7には、図6に示す直線L1で切断した断面図を模式的に示している。また、図7では、スライダ202、ロック機構187および第2駆動部188の内部構造を省略しており、ハッチングを付さずに示している。
【0072】
図6に示すように、実施形態に係る減衰機構186は、レール201と、レール201に対して直線運動可能なスライダ202とを含む。スライダ202は、レール201に接触した状態で移動する。すなわち、スライダ202は、レール201に対して摺動する。実施形態に係る減衰機構186は、レール201とスライダ202との間に生じる抵抗により、回転軸部181とベース部183との相対動作に対する減衰力を発生させる。実施形態において、レール201は「固定部」の一例であり、スライダ202は「可動部」の一例である。
【0073】
ここで、回転軸部181とベース部183との相対動作とは、ベース部183を基準とする(複数の位置センサ185によって検出される)回転軸部181の変位を意味する。回転軸部181とベース部183との相対動作は、たとえば、回転軸部181が回転中心R0まわりに回転する回転動作の他、回転軸部181の水平移動を含む。
【0074】
回転軸部181の水平移動とは、回転中心R0の水平方向のずれ(偏心)を意味する。回転軸部181の水平移動は、たとえば、振動等の外乱によって生じ得る。外乱によってベース部183が振動すると、ベース部183に固定された複数のエアベアリング182が振動する。この結果、複数のエアベアリング182から噴射される圧縮空気の力が釣り合う位置が変化し、これに伴い回転軸部181が水平移動する。具体的には、回転軸部181(言い換えれば、回転中心R0)は、nmレンジで振動する。
【0075】
レール201は、第1取付部材203を介してベース部183に固定される。第1取付部材203は、ベース部183に固定された複数の支柱231を有しており、回転軸部181よりも高い位置においてレール201を支持する。レール201は、直線状であり、水平方向(ここでは、X軸方向)に延在する。
【0076】
スライダ202は、ベアリング221(図7参照)を介してレール201に接続され、レール201に沿って移動する。スライダ202は、後述する第1回転部材204および第2回転部材205を介して回転軸部181に接続され、回転軸部181の移動に追従してレール201上を移動する。
【0077】
なお、これに限らず、減衰機構186は、スライダ202がベース部183に接続され、レール201が回転軸部181に接続されてもよい。言い換えれば、スライダ202が「固定部」であり、レール201が「可動部」であってもよい。
【0078】
減衰機構186は、さらに、第1回転部材204と、第2回転部材205と、付勢部材206とを備える。
【0079】
第1回転部材204は、回転軸部181に固定された第2取付部材207に固定される。第2回転部材205は、第2ベース212を介してスライダ202に固定され、スライダ202とともにレール201上を移動する。このため、スライダ202は、回転軸部181の移動に追従してレール201上を移動することとなる。なお、第2取付部材207には、前述した位置センサ185(リニアスケール)が設けられてもよい。
【0080】
第1回転部材204は、たとえばカムフォロアであり、第1回転軸241と、第1回転体242とを備える。第1回転軸241は、鉛直方向に延在する。第1回転軸241は、基端部が第2取付部材207に固定されており、先端部において第1回転体242を回転可能に支持する。第1回転体242は、たとえば円筒形状のローラであり、鉛直方向に延在する回転軸R1まわりに回転する。
【0081】
第2回転部材205は、たとえばカムフォロアであり、第2回転軸251と、第2回転体252とを備える。第2回転軸251は、水平方向に延在する。第2回転軸251は、基端部がスライダ202に固定されており、先端部において第2回転体252を回転可能に支持する。第2回転体252は、たとえば円筒形状のローラであり、水平方向に延在する回転軸R2まわりに回転する。第2回転部材205は、第1回転部材204のX軸正方向側に配置される。
【0082】
また、減衰機構186は、第1ベース211(駆動ベースの一例)と、第2ベース212と、カウンターウエイト213とを備える。
【0083】
第1ベース211は、後述する第2駆動部188を介して第1取付部材203に固定される。第1ベース211の一方の側面(ここでは、Y軸正方向側の側面)には、レール201が固定される。第2ベース212は、スライダ202の側面(ここでは、Y軸正方向側の側面)に固定される。第2ベース212には、上述した第2回転部材205および後述する第1支柱261が固定される。
【0084】
カウンターウエイト213は、第1ベース211の他方の側面(ここでは、Y軸負方向側の側面)に固定される。このように、第1ベース211の他方の側面にカウンターウエイト213を設けることで、第2駆動部188に対して荷重がバランス良く掛かるようにすることができる。これにより、第2駆動部188による微少駆動の制度を向上させることができる。
【0085】
図6には、回転軸部181に第1駆動部184による駆動力が働いていない初期状態の回転機構108を示している。この初期状態において、第1回転部材204の第1回転体242と第2回転部材205の第2回転体252とは、接触している。なお、第1回転体242と第2回転体252とが接触した状態は、後述する付勢部材206によって維持される。
【0086】
また、初期状態において、第2回転部材205の回転軸R2は、回転軸部181の回転中心R0(図3参照)と第1回転部材204の回転軸R1とを結ぶ直線L1に対して傾いている。回転軸R2と直線L1とのなす角は、回転軸部181の回動範囲(たとえば±1度)よりも大きくなるように設定される。たとえば、回転軸R2と直線L1とのなす角は、1度より大きく10度よりも小さい。
【0087】
付勢部材206は、第1回転部材204の第1回転体242と第2回転部材205の第2回転体252とを互いに接触する方向に付勢する。付勢部材206は、たとえば引きバネであり、レール201と平行に配置される。具体的には、付勢部材206の仮想的なバネ軸L2は、X軸方向に延在している。付勢部材206の一端は、第1支柱261に取り付けられる。第1支柱261は、第2ベース212に固定されている。言い換えれば、第1支柱261は、第2ベース212を介してスライダ202に固定されている。また、付勢部材206の他端は、第2取付部材207に固定された第2支柱262に取り付けられる。
【0088】
なお、初期状態において、上述した直線L1は、Y軸方向に延在しており、付勢部材206のバネ軸L2と直交する。
【0089】
付勢部材206は、X軸負方向にスライダ202を付勢する。この結果、第2ベース212を介してスライダ202に固定された第2回転部材205は、X軸負方向に、すなわち、第1回転部材204に接触する方向に付勢される。これにより、第1回転部材204の第1回転体242と第2回転部材205の第2回転体252とが接触した状態が維持される。
【0090】
たとえば外乱によって回転軸部181に微振動が印加されると、回転軸部181の振動がスライダ202を介してレール201へ伝達される。上述したように、レール201とスライダ202との間には、摺動抵抗、具体的には、ベアリング221の転がり抵抗が存在している。この抵抗は、回転軸部181とベース部183との相対動作に対する減衰力となり、回転軸部181の振動を抑制することができる。すなわち、回転軸部181の静定性を向上させることができる。
【0091】
このように、実施形態に係る減衰機構186は、回転軸部181とベース部183との相対動作に対する減衰力を発生させることで、回転軸部181を非接触状態で支持する場合であっても、回転中心R0の静定性を向上させることができる。したがって、実施形態に係る接合装置41によれば、第1基板W1の位置決め精度を向上させることができ、ひいては、第1基板W1と第2基板W2との接合精度を向上させることができる。
【0092】
ベアリング221は、具体的にはボールベアリングであるが、ローラベアリングであってもよい。ローラベアリングは、面接触型のため、ボールベアリングのように点接触型のベアリングと比較して、制振性が高い。したがって、ローラベアリングを用いることで、回転軸部181とベース部183との相対動作に対してより静定性を向上させることができる。なお、ただし、スライダ202の軸受は、ベアリング221に限定されるものではなく、ボールベアリングが用いられてもよい。
【0093】
また、実施形態に係る減衰機構186は、第1回転部材204および第2回転部材205によるリンク機構を有する。これにより、実施形態に係る減衰機構186は、回転軸部181の回転運動とスライダ202の直線運動との誤差を、第1回転体242および第2回転体252の回転運動によって吸収しつつ、ベース部183と回転軸部181とを機械的に接続することができる。
【0094】
また、第1回転部材204と第2回転部材205とは、付勢部材206の付勢力によって互いに接触した状態が維持される。この付勢部材206の付勢力の殆どは、第2回転部材205を第1回転部材204に押し付ける力となる。しかしながら、上述したように、第2回転部材205の回転軸R2は、回転軸部181の回転中心R0(図5参照)と第1回転部材204の回転軸R1とを結ぶ直線L1に対して傾いている。言い換えれば、第2回転部材205の回転軸R2と付勢部材206のバネ軸L2とは直角に対して傾いている。このため、付勢部材206の付勢力の一部は、回転軸R2の傾きを無くす方向に、すなわち、ここでは反時計回りに回転軸部181を回転させる力となる。この力は、回転軸部181に対する予圧として機能する。
【0095】
このように、回転軸部181に対して予圧をかけることにより、レール201およびスライダ202からなるリニアシステムの剛性を高めることができる。リニアシステムの剛性を高めることで、実施形態に係る減衰機構186は、振動などの外乱に対してより強くなり、より精密な位置決めが可能となる。
【0096】
また、実施形態に係る減衰機構186は、回転軸部181の回転駆動範囲において、回転角度の変化にかかわらず付勢部材206の変形量(伸び量)の変化は殆ど発生しない。このため回転方向における位置決めのどの位置においてもほぼ一定の予圧をかけることが可能となる。したがって、実施形態に係る減衰機構186によれば、かける予圧が変化することによる位置決め精度の変動を避けるとともに静定性を向上させることができる。
【0097】
図6に示す初期状態において回転機構108を鉛直方向から見たとき、第1回転部材204の回転軸R1は、付勢部材206の仮想的なバネ軸L2よりも回転軸部181の外方に配置される。かかる配置とすることで、たとえば、バネ軸L2を回転軸R1の外側に配置した場合と比較して、回転方向の力以外の余計な力、たとえば回転中心R0を移動させる力が回転軸部181にかかることを抑制することができる。したがって、実施形態に係る減衰機構186によれば、第1基板W1の位置決め精度をさらに向上させることができる。
【0098】
減衰機構186のスライダ202は、回転軸部181の中心を挟んで第1駆動部184のスライダ184aと反対側に配置される(図5および図6参照)。かかる位置に減衰機構186を配置することで、減衰力を効果的に発生させることができる。
【0099】
ロック機構187は、レール201とスライダ202との相対位置が変化しないように、言い換えれば、スライダ202がレール201を移動しないように、可動部であるスライダ202を固定する。具体的には、ロック機構187は、接触ピン187aを有している。ロック機構187は、接触ピン187aをスライダ202に向かって移動させることにより、接触ピン187aをスライダ202に接触させる。これにより、スライダ202が固定されることで、レール201とスライダ202との相対位置が保持される。
【0100】
なお、ここでは、ロック機構187が第1ベース211に設けられる場合の例を示したが、ロック機構187は、たとえばスライダ202に内蔵されていてもよい。また、ロック機構187は、スライダ202とは別体にレール201上を移動可能に構成されてもよい。この場合、ロック機構187は、たとえば第2ベース212を介して第2ベース212と接続されてもよい。このように構成されたロック機構187は、レール201に対してブレーキ部材を接触させることによってスライダ202の位置を保持することができる。
【0101】
第2駆動部188は、第1取付部材203の上部に固定される。第2駆動部188の上部には、第1ベース211が固定される。このように、実施形態において第2駆動部188は、減衰機構186の下部に設けられる。
【0102】
第2駆動部188は、ピエゾ素子を含んで構成される。この場合、第2駆動部188は、圧電効果を利用してピエゾ素子を変位させることによって第1ベース211を微少駆動させる。具体的には、第2駆動部188は、レール201の延在方向(ここでは、X軸方向)と同じ方向に沿って第1ベース211を変位させる。第2駆動部188による第1ベース211の変位量(言い換えれば、回転軸部181の変位量)は、たとえば±1μm程度であり、第1駆動部184を用いた回転軸部181の変位量よりも少ない。
【0103】
<接合システムの具体的動作>
次に、接合システム1の具体的な動作について図8を参照して説明する。図8は、実施形態に係る接合システム1が実行する処理の手順を示すフローチャートである。図8に示す各種の処理は、制御装置70による制御に基づいて実行される。
【0104】
まず、複数枚の第1基板W1を収容したカセットC1、複数枚の第2基板W2を収容したカセットC2、および空のカセットC3が、搬入出ステーション2の所定の載置板11に載置される。その後、搬送装置22によりカセットC1内の第1基板W1が取り出され、第3処理ブロックG3に配置されたトランジション装置に搬送される。
【0105】
次に、第1基板W1は、搬送装置61によって第1処理ブロックG1の表面改質装置30に搬送される。表面改質装置30では、所定の減圧雰囲気下において、処理ガスである酸素ガスが励起されてプラズマ化され、イオン化される。この酸素イオンが第1基板W1の接合面に照射されて、当該接合面がプラズマ処理される。これにより、第1基板W1の接合面が改質される(ステップS101)。
【0106】
次に、第1基板W1は、搬送装置61によって第1処理ブロックG1の表面親水化装置40に搬送される。表面親水化装置40では、スピンチャックに保持された第1基板W1を回転させながら、第1基板W1上に純水を供給する。これにより、第1基板W1の接合面が親水化される。また、当該純水によって、第1基板W1の接合面が洗浄される(ステップS102)。
【0107】
次に、第1基板W1は、搬送装置61によって第2処理ブロックG2の接合装置41に搬送される。接合装置41に搬入された第1基板W1は、トランジションを介して位置調節機構に搬送され、位置調節機構によって水平方向の向きが調節される(ステップS103)。
【0108】
その後、位置調節機構から反転機構に第1基板W1が受け渡され、反転機構によって第1基板W1の表裏面が反転される(ステップS104)。具体的には、第1基板W1の接合面W1jが下方に向けられる。つづいて、反転機構から第1保持部101に第1基板W1が受け渡され、第1保持部101によって第1基板W1が吸着保持される(ステップS105)。具体的には、受渡部192が吸着部192bを用いて反転機構から第1基板W1を受け取った後、直動機構192cを用いて円筒部192aを上昇させて第1基板W1を第1保持部101に渡す。これにより、第1基板W1は、第1保持部101に吸着保持された状態となる。
【0109】
その後、回転機構108を用いた第1基板W1の回転方向の位置調整が行われる(ステップS106)。ステップS106の具体的な手順については後述する。その後、複数のエアベアリング182による回転軸部181の浮上を解除し、さらに、図示しない排気装置を用いて回転軸部181を複数のエアベアリング182に吸着させる。これにより、回転軸部181は、回転方向の位置が調整された状態で固定される。
【0110】
第1基板W1に対するステップS101~S106の処理と重複して、第2基板W2の処理が行われる。まず、搬送装置22によりカセットC2内の第2基板W2が取り出され、第3処理ブロックG3に配置されたトランジション装置に搬送される。
【0111】
次に、第2基板W2は、搬送装置61によって表面改質装置30に搬送され、第2基板W2の接合面W2jが改質される(ステップS107)。その後、第2基板W2は、搬送装置61によって表面親水化装置40に搬送され、第2基板W2の接合面W2jが親水化されるとともに当該接合面が洗浄される(ステップS108)。
【0112】
その後、第2基板W2は、搬送装置61によって接合装置41に搬送される。接合装置41に搬入された第2基板W2は、トランジションを介して位置調節機構に搬送される。そして、位置調節機構によって、第2基板W2の水平方向の向きが調節される(ステップS109)。
【0113】
その後、第2基板W2は、第2保持部102に搬送され、ノッチ部を予め決められた方向に向けた状態で第2保持部102に吸着保持される(ステップS110)。
【0114】
つづいて、第1保持部101に保持された第1基板W1と第2保持部102に保持された第2基板W2との水平方向の位置調節が行われる(ステップS111)。その後、昇降機構105を用いて第2基板W2を上昇させて、第1基板W1と第2基板W2とを接合する(ステップS112)。具体的には、第2基板W2を上昇させた後、第1基板W1の中心部をストライカ191の押圧ピン191aを用いて上方から下方に押圧して第2基板W2の中心部に接触させることにより、第1基板W1と第2基板W2とを接合する。
【0115】
次に、ステップS106における第1基板W1の回転方向の位置調整の具体的な手順の一例について図9を参照して説明する。図9は、ステップS106に示す処理の具体的な手順の第1例を示すフローチャートである。
【0116】
図9に示すように、制御部71は、まず、第1撮像処理を行う(ステップS201)。第1撮像処理において、制御部71は、下部撮像部104を用いて第1基板W1の非保持面である接合面W1jを撮像する。制御部71は、下部撮像部104によって撮像された画像から第1基板W1の回転角度を算出する。
【0117】
つづいて、制御部71は、マクロアライメント処理を行う(ステップS202)。マイクロアライメント処理において、制御部71は、第1撮像処理による撮像結果に基づいて第1駆動部184を制御して回転軸部181を回転させる。一例として、制御部71は、第1基板W1の回転角度が第2基板W2の回転角度に近付くように、第1駆動部184を制御して回転軸部181を回転させる。第2基板W2の回転角度は、上部撮像部103による第2基板W2の接合面W2jの撮像結果から算出することができる。
【0118】
つづいて、制御部71は、ロック処理を行う(ステップS203)。ロック処理において、制御部71は、ロック機構187を制御して、接触ピン187aをスライダ202に接触させる。これにより、スライダ202が固定され、レール201とスライダ202との相対位置が保持される。
【0119】
つづいて、制御部71は、第2撮像処理を行う(ステップS204)。第2撮像処理において、制御部71は、下部撮像部104を用いて第1基板W1の接合面W1jを撮像する。制御部71は、下部撮像部104によって撮像された画像から第1基板W1の回転角度を再度算出する。
【0120】
つづいて、制御部71は、マイクロアライメント処理を行う(ステップS205)。マイクロアライメント処理において、制御部71は、第2撮像処理による撮像結果に基づいて第2駆動部188を制御して減衰機構186を微少駆動させることによって回転軸部181を回転させる。一例として、制御部71は、第1基板W1の回転角度が第2基板W2の回転角度と一致するように、第2駆動部188を制御して減衰機構186をX軸正方向またはX軸負方向に微少に変位させる。その後、制御部71は、複数の位置センサ185を用いて回転軸部181の回転角度を測定し、測定された回転角度を記憶部72に記憶する。
【0121】
つづいて、制御部71は、角度保持処理を行う(ステップS206)。角度保持処理において、制御部71は、ステップS205において測定された回転軸部181の回転角度を保持するように、第2駆動部188を用いて減衰機構186を微少駆動させる。具体的には、制御部71は、ステップS206において、複数の位置センサ185を用いて回転軸部181の回転角度を測定する。そして、制御部71は、測定された回転角度と、ステップS205において測定された回転角度との差が閾値を超えた場合に、第2駆動部188を制御して減衰機構186を微少駆動させることで、回転軸部181の回転角度をステップS205において測定された回転角度に戻す。これにより、回転軸部181の回転角度は、ステップS205における回転角度に保持される。すなわち、接合装置41は、第1基板W1の回転角度と第2基板W2の回転角度とが一致した状態を維持することができる。
【0122】
次に、ステップS106に示す処理の具体的な手順の第2例について図10を参照して説明する。図10は、ステップS106に示す処理の具体的な手順の第2例を示すフローチャートである。
【0123】
図10に示すように、制御部71は、第1撮像処理(ステップS301)およびマクロアライメント処理(ステップS302)を行った後、ロック処理を行うことなく、第2撮像処理(ステップS303)およびマイクロアライメント処理(ステップS304)を行ってもよい。ステップS304におけるマイクロアライメント処理において、制御部71は、第2駆動部188ではなく、第1駆動部184を用いて回転軸部181を回転させる。その後、制御部71は、ロック処理(ステップS305)および角度保持処理(ステップS306)を行う。
【0124】
このように、制御部71は、マイクロアライメント処理が終わった後でロック処理を行ってもよい。
【0125】
次に、ステップS106に示す処理の具体的な手順の第3例について図11を参照して説明する。図11は、ステップS106に示す処理の具体的な手順の第3例を示すフローチャートである。
【0126】
図11に示すように、制御部71は、第1撮像処理(ステップS401)およびマクロアライメント処理(ステップS402)を行った後、第1ロック処理を行う(ステップS403)。第1ロック処理の内容は、ステップS203におけるロック処理と同じである。その後、制御部71は、第2撮像処理(ステップS404)を行った後、ロック解除処理を行う(ステップS405)。ロック処理において、制御部71は、ロック機構187を制御して接触ピン187aを移動させることにより、接触ピン187aをスライダ202から離す。
【0127】
その後、制御部71は、マイクロアライメント処理(ステップS406)を行った後、第2ロック処理(ステップS407)および角度保持処理(ステップS408)を行う。ステップS406におけるマイクロアライメント処理の内容は、ステップS304におけるマイクロアライメント処理と同じである。すなわち、制御部71は、第1駆動部184を制御して回転軸部181を回転させる。第2ロック処理の内容は、ステップS203におけるロック処理と同じである。
【0128】
このように、制御部71は、第2撮像処理が行われている間、スライダ202を固定しておくことで、たとえば下部撮像部104の移動等によって生じる振動に伴う回転軸部181の位置ずれを抑制することができる。
【0129】
(他の実施形態)
図12は、他の実施形態に係る減衰機構186、ロック機構187および第2駆動部188の模式的な断面図である。
【0130】
図12に示すように、第2駆動部188は、スライダ202と第2ベース212(駆動ベースの他の一例)との間に配置されてもよい。すなわち、第2駆動部188は、スライダ202に固定され、第2ベース212は、かかる第2駆動部188を介してスライダに固定されてもよい。
【0131】
かかる構成とすることで、微少駆動させる減衰機構186の部位を小さくすることができることから、回転軸部181をより精度良く微少駆動させることができる。また、この場合、カウンターウエイト213が不要となるため減衰機構186の大型化を抑制することができる。
【0132】
なお、本開示は以下のような構成もとることができる。
(1)
基板を保持する保持部と、
前記保持部を回転させる回転機構と
を備え、
前記回転機構は、
前記保持部に固定される回転軸部と、
前記回転軸部を非接触状態で支持する軸受部と、
前記軸受部を固定するベース部と、
前記回転軸部を回転させる第1駆動部と、
前記ベース部および前記回転軸部の一方に接続される固定部と、前記ベース部および前記回転軸部の他方に接続され、前記固定部に対して摺動可能な可動部とを含み、前記回転軸部と前記ベース部との相対動作に対する減衰力を発生させる減衰機構と、
前記可動部を固定するロック機構と、
前記可動部が固定された前記減衰機構を微少駆動させる第2駆動部と
を備える、基板位置決め装置。
(2)
前記第2駆動部は、ピエゾ素子を含む、(1)に記載の基板位置決め装置。
(3)
前記第2駆動部は、前記減衰機構の下部に設けられる、(1)または(2)に記載の基板位置決め装置。
(4)
前記減衰機構は、
前記第2駆動部の上部に設けられ、一方の端部に前記固定部が固定された駆動ベースと、
前記駆動ベースの他方の端部に固定されたカウンターウエイトと
を備える、(3)に記載の基板位置決め装置。
(5)
前記ロック機構は、前記駆動ベースに設けられる、(1)~(4)のいずれか一つに記載の基板位置決め装置。
(6)
前記第2駆動部は、前記可動部に固定され、
前記減衰機構は、
前記第2駆動部を介して前記可動部に固定された駆動ベースと、
前記回転軸部に固定された第1回転部材と、
前記駆動ベースに固定された第2回転部材と、
前記駆動ベースに固定された第1支柱と、
前記回転軸部に固定された第2支柱と、
前記第1支柱と前記第2支柱とに掛け渡され、前記第1回転部材と前記第2回転部材とを互いに接触する方向に付勢する付勢部材と
を備える、(1)または(2)に記載の基板位置決め装置。
(7)
前記保持部に保持された前記基板の非保持面を撮像する撮像部と、
前記回転機構を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記撮像部を用いて前記基板の前記非保持面を撮像する第1撮像処理と、前記第1撮像処理による撮像結果に基づいて前記第1駆動部を制御して前記回転軸部を回転させるマクロアライメント処理と、前記マクロアライメント処理後、前記ロック機構を制御して前記可動部を固定するロック処理と、前記ロック処理後、前記撮像部を用いて前記基板の前記非保持面を撮像する第2撮像処理と、前記第2撮像処理による撮像結果に基づいて前記第2駆動部を制御して前記減衰機構を微少駆動させることによって前記回転軸部を回転させるマイクロアライメント処理とを実行する、(1)~(6)のいずれか一つに記載の基板位置決め装置。
(8)
前記回転軸部の回転角度を測定する測定部を備え、
前記制御部は、前記マイクロアライメント処理後、前記測定部による測定結果に基づき前記第2駆動部を制御して前記減衰機構を微少駆動させることによって前記回転軸部を回転させる角度保持処理を実行する、(7)に記載の基板位置決め装置。
(9)
前記保持部に保持された前記基板の非保持面を撮像する撮像部と、
前記回転機構を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記撮像部を用いて前記基板の前記非保持面を撮像する第1撮像処理と、前記第1撮像処理による撮像結果に基づいて前記第1駆動部を制御して前記回転軸部を回転させるマクロアライメント処理と、前記マクロアライメント処理後、前記撮像部を用いて前記基板の前記非保持面を撮像する第2撮像処理と、前記第2撮像処理による撮像結果に基づいて前記第1駆動部を制御して前記回転軸部を回転させるマイクロアライメント処理と、前記マイクロアライメント処理後、前記ロック機構を制御して前記可動部を固定するロック処理とを実行する、(1)~(6)のいずれか一つに記載の基板位置決め装置。
(10)
前記回転軸部の回転角度を測定する測定部を備え、
前記制御部は、前記ロック処理後、前記測定部による測定結果に基づき前記第2駆動部を制御して前記減衰機構を微少駆動させることによって前記回転軸部を回転させる角度保持処理を実行する、(9)に記載の基板位置決め装置。
(11)
前記保持部に保持された前記基板の非保持面を撮像する撮像部と、
前記回転機構を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記撮像部を用いて前記基板の前記非保持面を撮像する第1撮像処理と、前記第1撮像処理による撮像結果に基づいて前記第1駆動部を制御して前記回転軸部を回転させるマクロアライメント処理と、前記マクロアライメント処理後、前記ロック機構を制御して前記可動部を固定する第1ロック処理と、前記第1ロック処理後、前記撮像部を用いて前記基板の前記非保持面を撮像する第2撮像処理と、前記第2撮像処理後、前記ロック機構を制御して前記可動部の固定を解除するロック解除処理と、前記ロック解除処理後、前記第2撮像処理による撮像結果に基づいて前記第1駆動部を制御して前記回転軸部を回転させるマイクロアライメント処理と、前記マイクロアライメント処理後、前記ロック機構を制御して前記可動部を固定する第2ロック処理とを実行する、(1)~(6)のいずれか一つに記載の基板位置決め装置。
(12)
前記回転軸部の回転角度を測定する測定部を備え、
前記制御部は、前記第2ロック処理後、前記測定部による測定結果に基づき前記第2駆動部を制御して前記減衰機構を微少駆動させることによって前記回転軸部を回転させる角度保持処理を実行する、(11)に記載の基板位置決め装置。
(13)
基板を保持する保持部を用いて前記基板を保持する工程と、
前記保持部を回転させる回転機構であって、前記保持部に固定される回転軸部と、前記回転軸部を非接触状態で支持する軸受部と、前記軸受部を固定するベース部と、前記回転軸部を回転させる第1駆動部と、前記ベース部および前記回転軸部の一方に接続される固定部と、前記ベース部および前記回転軸部の他方に接続され、前記固定部に対して摺動可能な可動部とを含み、前記回転軸部と前記ベース部との相対動作に対する減衰力を発生させる減衰機構と、前記可動部を固定するロック機構と、前記可動部が固定された前記減衰機構を微少駆動させる第2駆動部とを備える前記回転機構を用い、前記基板の回転方向における位置決めを行う工程と
を含む基板位置決め方法。
(14)
第1基板を上方から吸着保持する第1保持部と、
前記第1保持部よりも下方に配置され、第2基板を下方から吸着保持する第2保持部と、
前記第1保持部および前記第2保持部の一方を他方に対して接近させる移動機構と、
前記第1保持部を回転させる回転機構と、
を備え、
前記回転機構は、
前記第1保持部に固定される回転軸部と、
前記回転軸部を非接触状態で支持する軸受部と、
前記軸受部を固定するベース部と、
前記回転軸部を回転させる第1駆動部と、
前記ベース部および前記回転軸部の一方に接続される固定部と、前記ベース部および前記回転軸部の他方に接続され、前記固定部に対して摺動可能な可動部とを含み、前記回転軸部と前記ベース部との相対動作に対する減衰力を発生させる減衰機構と、
前記可動部を固定するロック機構と、
前記可動部が固定された前記減衰機構を微少駆動させる第2駆動部と
を備える、接合装置。
【0133】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0134】
1 接合システム
41 接合装置
71 制御部
72 記憶部
101 第1保持部
102 第2保持部
104 下部撮像部
108 回転機構
109 直動ユニット
181 回転軸部
182 エアベアリング
184 第1駆動部
185 位置センサ
186 減衰機構
187 ロック機構
188 第2駆動部
191 ストライカ
192 受渡部
201 レール
202 スライダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12