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特開2024-126568硬化性樹脂組成物およびその硬化物、プリント配線板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126568
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】硬化性樹脂組成物およびその硬化物、プリント配線板
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/50 20060101AFI20240912BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240912BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C08F2/50
G03F7/004 501
H05K3/28 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034996
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】591021305
【氏名又は名称】太陽ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】木之瀬 葵
(72)【発明者】
【氏名】米田 一善
【テーマコード(参考)】
2H225
4J011
5E314
【Fターム(参考)】
2H225AC34
2H225AC44
2H225AC46
2H225AC54
2H225AC57
2H225AC72
2H225AD06
2H225AD07
2H225AE08P
2H225AM08P
2H225AM22P
2H225AM27P
2H225AM61P
2H225AM64P
2H225AM99P
2H225AN36P
2H225AN38P
2H225AP08P
2H225AP10P
2H225AP11P
2H225BA16P
2H225BA22P
2H225CA13
2H225CB02
2H225CC01
2H225CC13
4J011PA07
4J011PB22
4J011PC02
4J011PC08
4J011QA32
4J011QA35
4J011QA48
4J011RA14
4J011SA61
4J011SA65
4J011SA84
4J011TA06
4J011UA01
4J011VA01
4J011WA01
4J011WA02
5E314AA27
5E314AA39
5E314AA42
5E314AA45
5E314BB02
5E314CC01
5E314CC02
5E314CC04
5E314CC07
5E314FF02
5E314FF03
5E314FF04
5E314FF05
5E314FF06
5E314FF19
5E314GG11
5E314GG26
(57)【要約】
【課題】反射性、解像性、密着性、屈曲性、スクラッチ耐性、および無電解金めっき耐性に優れる硬化物の提供。
【解決手段】本発明による硬化物は、屈折率1.45以下の樹脂と屈折率2.0以上のフィラーと光重合開始剤とを含む硬化性樹脂組成物からなる硬化物であって、前記屈折率2.0以上のフィラーの含有量が、前記硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して50質量%以下であり、前記硬化物の表面の波長440nmにおける反射率が80%以上であることを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈折率1.45以下の樹脂と屈折率2.0以上のフィラーと光重合開始剤とを含む硬化性樹脂組成物からなる硬化物であって、
前記屈折率2.0以上のフィラーの含有量が、前記硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して50質量%以下であり、
前記硬化物の表面の波長440nmにおける反射率が80%以上である、硬化物。
【請求項2】
前記屈折率2.0以上のフィラーが、酸化チタンである、請求項1に記載の硬化物。
【請求項3】
前記屈折率1.45以下の樹脂が、フッ素樹脂である、請求項1に記載の硬化物。
【請求項4】
前記屈折率1.45以下の樹脂の含有量が、前記硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して30質量%以上50質量%以下である、請求項1に記載の硬化物。
【請求項5】
前記硬化性樹脂組成物が、屈折率1.50以上1.90以下の樹脂およびフィラーの少なくとも1種を含む、請求項1に記載の硬化物。
【請求項6】
前記屈折率1.50以上1.90以下の樹脂が、カルボキシル基含有樹脂である、請求項5に記載の硬化物。
【請求項7】
前記屈折率1.50以上1.9以下のフィラーが、メラミン誘導体、ジルコニア、およびウレタン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の微粒子である、請求項5に記載の硬化物。
【請求項8】
屈折率が異なる3種類以上の材料と、光重合開始剤と、(メタ)アクリレートモノマーとを含む硬化性樹脂組成物であって、
前記屈折率が異なる3種類以上の材料が、屈折率1.45以下の樹脂と、屈折率1.50以上1.90以下の樹脂およびフィラーの少なくとも1種と、屈折率2.0以上のフィラーとを含み、
前記屈折率2.0以上のフィラーの含有量が、前記硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して50質量%以下である、硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
前記屈折率1.45以下の樹脂が、フッ素樹脂である、請求項8に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項10】
前記屈折率1.45以下の樹脂の含有量が、前記硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して30質量%以上50質量%以下である、請求項8に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項11】
前記屈折率2.0以上のフィラーが、酸化チタンである、請求項8に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項12】
前記屈折率1.50以上1.90以下の樹脂が、カルボキシル基含有樹脂である、請求項8に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項13】
前記屈折率1.50以上1.9以下のフィラーが、メラミン誘導体、ジルコニア、およびウレタン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の微粒子である、請求項8に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項14】
絶縁基板と、前記絶縁基板上に形成された樹脂層とを備えるプリント配線板であって、
前記樹脂層が、請求項1~7のいずれか一項に記載の硬化物または請求項8~13のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物からなる硬化物である、プリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性樹脂組成物に関する。また、本発明は、該硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物に関する。さらに、本発明は、該硬化物からなる樹脂層を備えるプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電化製品の省エネルギー化への要請から、低消費電力、長寿命の光源として発光ダイオード(LED)が急速に普及している。LEDは、携帯端末、パソコン、テレビ等の液晶ディスプレイのバックライトや照明器具の光源などとして使用される。その際、レジスト層が被覆形成されたプリント配線板に直接実装するタイプのLED、いわゆる表面実装型LEDが用いられることが増えてきている。
【0003】
表面実装型LEDにおいて、LEDの光を効率よく利用するために、反射率の高いレジスト層を備えるプリント配線板が求められている。このような要求を満たすために、レジスト層を形成する樹脂組成物に白色着色剤を高濃度で配合することが検討されてきた。
【0004】
例えば、特許文献1では、(A)有機混合物と、(B)無機混合物と、(C)溶剤と、を含むアルカリ現像型光硬化性・熱硬化性ソルダーレジスト組成物であって、前記(B)無機混合物が、屈折率および平均粒子長径が異なる第1の無機物質と第2の無機物質を含有し、各成分の体積比を調節したものが提案されている。しかし、依然として、反射率が高い白色のレジスト層を形成可能な硬化性樹脂組成物の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-194235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、白色のレジスト層では、基板に対する高い反射率が求められる。一般に樹脂組成物に酸化チタン等の白色の無機フィラーを配合することで高反射率を付与しているが、近年LED基板は軽量化や成形性などの観点からフレキシブルプリント配線板(FPC)の需要が高まっている。そのため、白色の無機フィラーを含有する樹脂組成物にも基板への追従性(ハンドリング性)が求められているが、無機フィラーの含有量が高い組成ではヒビや欠けが発生してしまう。そのため、高い反射率を付与しつつ、ハンドリング性に優れた樹脂組成物が求められている。
【0007】
さらに、近年では、フレキシブルプリント配線板用の樹脂層には、密着性、屈曲性、スクラッチ耐性、および無電解金めっき耐性等の性能も求められている。
【0008】
そのため、本発明の目的は、反射性、解像性、密着性、屈曲性、スクラッチ耐性、および無電解金めっき耐性に優れる硬化物を提供することである。また、本発明の目的は、当該硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物を提供することである。さらに、本発明の目的は、当該硬化物からなる樹脂層を備えるプリント配線板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討した結果、高い反射率を付与しつつ、ハンドリング性を向上させるために、酸化チタン等の屈折率の高い無機フィラーの含有量を低減させることを試みた。その過程で、意外にも、当該無機フィラーと屈折率の異なる樹脂を混ぜることで白濁が生じ、当該無機フィラーの含有量が少なくても反射率が向上することを知見した。本発明者らは、当該知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] 屈折率1.45以下の樹脂と屈折率2.0以上のフィラーと光重合開始剤とを含む硬化性樹脂組成物からなる硬化物であって、
前記屈折率2.0以上のフィラーの含有量が、前記硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して50質量%以下であり、
前記硬化物の表面の波長440nmにおける反射率が80%以上である、硬化物。
[2] 前記屈折率2.0以上のフィラーが、酸化チタンである、[1]に記載の硬化物。
[3] 前記屈折率1.45以下の樹脂が、フッ素樹脂である、[1]または[2]に記載の硬化物。
[4] 前記屈折率1.45以下の樹脂の含有量が、前記硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して30質量%以上50質量%以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の硬化物。
[5] 前記硬化性樹脂組成物が、屈折率1.50以上1.90以下の樹脂およびフィラーの少なくとも1種を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の硬化物。
[6] 前記屈折率1.50以上1.90以下の樹脂が、カルボキシル基含有樹脂である、[5]に記載の硬化物。
[7] 前記屈折率1.50以上1.9以下のフィラーが、メラミン誘導体、ジルコニア、およびウレタン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の微粒子である、[5]または[6]に記載の硬化物。
[8] 屈折率が異なる3種類以上の材料と、光重合開始剤と、(メタ)アクリレートモノマーとを含む硬化性樹脂組成物であって、
前記屈折率が異なる3種類以上の材料が、屈折率1.45以下の樹脂と、屈折率1.50以上1.90以下の樹脂およびフィラーの少なくとも1種と、屈折率2.0以上のフィラーとを含み、
前記屈折率2.0以上のフィラーの含有量が、前記硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して50質量%以下である、硬化性樹脂組成物。
[9] 前記屈折率1.45以下の樹脂が、フッ素樹脂である、[8]に記載の硬化性樹脂組成物。
[10] 前記屈折率1.45以下の樹脂の含有量が、前記硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して30質量%以上50質量%以下である、[8]または[9]に記載の硬化性樹脂組成物。
[11] 前記屈折率2.0以上のフィラーが、酸化チタンである、[8]~[10]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[12] 前記屈折率1.50以上1.90以下の樹脂がカルボキシル基含有樹脂である、[8]~[11]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[13] 前記屈折率1.50以上1.9以下のフィラーが、メラミン誘導体、ジルコニア、およびウレタン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の微粒子である、[8]~[12]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[14] 絶縁基板と、前記絶縁基板上に形成された樹脂層とを備えるプリント配線板であって、
前記樹脂層が、[1]~[7]のいずれかに記載の硬化物または[8]~[13]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物からなる硬化物である、プリント配線。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、反射性、解像性、密着性、屈曲性、スクラッチ耐性、および無電解金めっき耐性に優れる硬化物を提供することができる。また、本発明の目的は、当該硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物を提供することができる。さらに、本発明の目的は、当該硬化物からなる樹脂層を備えるプリント配線板を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[硬化物]
本発明による硬化物は、少なくとも、屈折率1.45以下の樹脂と屈折率2.0以上のフィラーと光重合開始剤とを含む硬化性樹脂組成物からなる。当該硬化性樹脂組成物は、屈折率1.50以上1.90以下の樹脂およびフィラーの少なくとも1種をさらに含んでもよい。本発明の硬化物は、柔軟性に優れるものであるため、特にフレキシブルプリント配線板に好適に用いることができる。なお、本発明において硬化した状態とは、具体的には、硬化物の表面に、イソプロピルアルコールを含ませたウエスを載せ、さらに、その上に500gのおもりを載せて1分間、静置した後に、ウエスの表面に硬化性樹脂組成物が付着していない状態であることをいう。硬化物の作製方法は実施例に記載の方法などが挙げられる。
【0013】
屈折率1.45以下の樹脂、屈折率2.0以上のフィラー、光重合開始剤、ならびに屈折率1.50以上1.90以下の樹脂およびフィラーについては、下記で詳述する。
【0014】
硬化物の表面の波長440nmにおける反射率は、80%以上であり、好ましくは83%以上であり、より好ましくは85%以上である。
なお、硬化物の表面の波長440nmにおける反射率は、分光側色計(コニカミノルタ株式会社製 CM-5)を用いて次のように測定した値である。
まず付属のゼロ校正ボックスCM―A124を被せてゼロ校正を行い、続いて内臓の白色校正板を用いて白色校正を行う。その後、硬化物の表面を波長440nm、正反射光を考慮に入れるSCI(Specular Component Include)方式、測定径30mmの条件で測定する。
反射率が上記数値以上であれば、高い反射率を実現できていると言える。
【0015】
本発明において、各材料の屈折率は、アッベ式屈折率計(メトリコン社製 2010/Mプリズムカプラー)を用いて589.3nm(D線)、25℃の条件で測定した値である。粉体は2gを量りとり押し固めたものを測定し、液状のものは1μmのソーダライムガラス上に15μmの膜厚となるように塗布し、熱風循環式乾燥機で120℃60分乾燥させたものを測定するものとする。
【0016】
[硬化性樹脂組成物]
本発明の好ましい一実施態様においては、硬化性樹脂組成物は、屈折率が異なる3種類以上の材料と、光重合開始剤と、(メタ)アクリレートモノマーとを含む硬化性樹脂組成物であって、屈折率が異なる3種類以上の材料は、屈折率1.45以下の樹脂と、屈折率1.50以上1.90以下の樹脂およびフィラーの少なくとも1種と、屈折率2.0以上のフィラーとを含む。以下、各成分について詳述する。
【0017】
((A)屈折率1.45以下の樹脂)
屈折率1.45以下の樹脂としては、例えば、フッ素樹脂を用いることが好ましい。フッ素樹脂としては、屈折率が1.45以下のものであれば、特に限定されずに使用することができる。フッ素樹脂の屈折率の下限値は、好ましくは1.30以上であり、より好ましくは1.35以上であり、さらに好ましくは1.40以上である。
【0018】
フッ素樹脂としては、フッ素含有ビニル系単量体と、ヒドロキシ基含有ビニル系単量体との共重合体や、フッ素含有ビニル系単量体とビニルエステル系単量体との共重合体の加水分解物を好適に使用することができる。フッ素樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
フッ素含有ビニル系単量体としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン等が挙げられる。フッ素含有単量体は、硬化性樹脂組成物の硬化物の反射性向上や不純物の低減の観点からクロロ基を有さないものが好ましく、テトラフルオロエチレンが特に好ましい。これらのフッ素含有単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
ヒドロキシ基含有ビニル系単量体としては、例えば、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、3-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、4-ヒドロキシ-2-メチルブチルビニルエーテル、5-ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6-ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等のヒドロキシ基含有ビニルエーテル類;2-ヒドロキシエチルアリルエーテル、4-ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等のヒドロキシ基含有アリルエーテル類、ビニルアルコール等が挙げられる。これらのヒドロキシ基含有単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ビニルエステル系単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ギ酸ビニル等が挙げられる。
【0021】
屈折率1.45以下の樹脂の含有量は、硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して、好ましくは25質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは25質量%以上45質量%以下であり、さらに好ましくは25質量%以上40質量%以下である。屈折率1.45以下の樹脂の含有量が上記範囲内であることで、高反射性に優れた硬化物を得ることができる。
【0022】
((B)光重合開始剤)
(B)光重合開始剤としては、光重合開始剤や光ラジカル発生剤として公知の光重合開始剤であれば、いずれのものを用いることもできる。
【0023】
(B)光重合開始剤としては、例えば、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド類;2,6-ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6-ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2-メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のモノアシルフォスフィンオキサイド類;1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等のヒドロキシアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn-プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn-ブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、p-メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、2-(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p-ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル類;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)-ビス[2,6-ジフルオロ-3-(2-(1-ピル-1-イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン類;フェニルジスルフィド2-ニトロフルオレン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。光重合開始剤は、感光特性の面から、アシルフォスフィンオキサイド類やオキシムエステル類を用いることが好ましく、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の市販品としては、IGM Resins社製のTPO H等が挙げられる。オキシムエステル系光重合開始剤の市販品としては、BASFジャパン株式会社製のIrgacure OXE02、OXE04、株式会社ADEKA製N-1919、アデカアークルズ NCI-831、NCI-831E、常州強力電子新材料社製TR-PBG-304などが挙げられる。中でも高反射性の観点から、BASFジャパン株式会社製のIrgacure OXE04やIGM Resins社製のTPO H等を用いることが好ましい。
【0025】
光重合開始剤の含有量は、硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して、好ましくは0.1質量%以上30質量%以下である。
【0026】
((C)(メタ)アクリレートモノマー)
(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0027】
より具体的には、(メタ)アクリレートモノマーとしては、2-エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート類;2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレンオキサイド誘導体のモノまたはジアクリレート類;N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリレート等のアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコールまたはこれらのアルキレンオキサイド付加物あるいはε-カプロラクトン付加物等の多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート等のフェノール類またはこれらのアルキレンオキサイド付加物等の多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等のグリシジルエーテルのアクリレート類が挙げられる。これらの(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
(メタ)アクリレートモノマーの含有量は、硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して、好ましくは5質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上15質量%以下である。(メタ)アクリレートモノマーの含有量が上記範囲内であることで、解像性と現像性に優れた硬化物を得ることができる。
【0029】
((D)屈折率2.0以上のフィラー)
屈折率2.0以上のフィラーとしては、酸化チタン、チタン酸バリウム、およびチタン酸ストロンチウム、(酸化亜鉛)等が挙げられる。当該フィラーの屈折率は、好ましくは2.0以上3.5以下であり、より好ましくは2.0以上3.0以下である。これらの中でも酸化チタンを用いることが好ましい。
【0030】
酸化チタンとしては、ルチル型酸化チタンおよびアナターゼ型酸化チタンが挙げられるが、本発明においてはルチル型チタンを用いることが好ましい。同じ酸化チタンであるアナターゼ型酸化チタンは、ルチル型酸化チタンと比較して白色度が高く、白色着色剤として通常使用される。しかし、アナターゼ型酸化チタンは、光触媒活性を有するために、特にLEDから照射される光によって樹脂層中の樹脂の変色を引き起こす恐れがある。一方、ルチル型酸化チタンは、白色度はアナターゼ型と比較して若干劣るものの、光活性をほとんど有さないために、酸化チタンの光活性に起因する光による樹脂の劣化(黄変)が顕著に抑制され、また熱に対しても安定である。このため、LEDが実装されたプリント配線板の樹脂層において白色着色剤として用いられた場合に、高い反射率を長期にわたり維持することができる。
【0031】
ルチル型酸化チタンとしては、公知のものを使用することができる。ルチル型酸化チタンの製造法には、硫酸法と塩素法の2種類あり、本発明においてはいずれの製造法により製造されたものも好適に使用することができる。ここで、硫酸法は、イルメナイト鉱石やチタンスラグを原料とし、これを濃硫酸に溶解して鉄分を硫酸鉄として分離し、溶液を加水分解することにより水酸化物の沈殿物を得、これを高温で焼成してルチル型酸化チタンを取り出す製法をいう。一方、塩素法は、合成ルチルや天然ルチルを原料とし、これを約1000℃の高温で塩素ガスとカーボンに反応させて四塩化チタンを合成し、これを酸化してルチル型酸化チタンを取り出す製法をいう。その中で、塩素法により製造されたルチル型酸化チタンは、特に熱による樹脂の劣化(黄変)の抑制効果が顕著であり、本発明においてより好適に用いられる。
【0032】
ルチル型酸化チタンとしては、表面が含水アルミナ、水酸化アルミニウム、および/または二酸化ケイ素で処理された酸化チタンを用いてもよい。表面処理されたルチル型酸化チタンを用いることで、硬化性樹脂組成物中での分散性、保存安定性、および難燃性等を向上させることができる。
【0033】
ルチル型酸化チタンの平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上1.0μm以下であり、より好ましくは0.2μm以上0.8μm以下である。特に、ルチル型酸化チタンとして、0.25μmの粒子径を有するものが、粒子全体の1%以上含まれていることが好ましい。本明細書において、ルチル型酸化チタンの平均粒子径とは、一次粒子の粒子径だけでなく、二次粒子(凝集体)の粒子径も含めた平均粒子径(D50)であり、レーザー回折法により測定されたD50の値である。レーザー回折法による測定装置としては、マイクロトラック・ベル株式会社製のMicrotrac MT3300EXIIが挙げられる。また、酸化チタンの平均粒子径は、硬化性樹脂組成物を調製(予備攪拌、混練)する前の粉体状のものを上記のようにして測定した値をいうものとする。
【0034】
ルチル型酸化チタンとしては、市販品を用いることもできる。市販されているルチル型酸化チタンとしては、例えば、タイペークR-820、タイペークR-830、タイペークR-930、タイペークR-550、タイペークR-630、タイペークR-680、タイペークR-670、タイペークR-680、タイペークR-670、タイペークR-780、タイペークR-850、タイペークCR-50、タイペークCR-57、タイペークCR-80、タイペークCR-90、タイペークCR90-2、タイペークCR-93、タイペークCR-95、タイペークCR-97、タイペークCR-63、タイペークCR-58、タイペークUT771(石原産業株式会社製)、タイピュアR-101、タイピュアR-103、タイピュアR-104、タイピュアR-105、タイピュアR-108、タイピュアR-900、タイピュアR-902+、タイピュアR-960、タイピュアR-706、(デュポン株式会社製)、TITONE R-25、R-21、R-32、R-7E、R-5N、R-62N、R-42、R-45M、GTR-100、D-918(堺化学工業株式会社製)等を使用することができる。
【0035】
屈折率2.0以上のフィラーの含有量は、硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して50質量%以下であり、好ましくは30質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは40質量%以上50質量%以下である。本発明においては、屈折率2.0以上のフィラーの含有量を硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して50質量%以下に調節したとしても、屈折率の異なる樹脂を配合して白濁させることで、高反射率を実現することができる。
【0036】
((E)屈折率1.50以上1.90以下の樹脂)
屈折率1.50以上1.90以下の樹脂としては、カルボキシル基含有樹脂を用いることができる。当該樹脂の屈折率は、好ましくは1.50以上1.70以下であり、より好ましくは1.50以上1.65以下である。
【0037】
(カルボキシル基含有樹脂)
カルボキシル基含有樹脂としては、分子中にカルボキシル基を有している従来公知の各種樹脂を使用できる。カルボキシル基含有樹脂は分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するものであっても有さないものであってもよいが、特に、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂が、光硬化性や耐現像性の面から好ましい。なお、本発明の硬化性樹脂組成物がカルボキシル基含有樹脂を含む場合、アルカリ現像する用途だけでなく、アルカリ現像しない用途に使用してもよい。エチレン性不飽和二重結合は、アクリル酸もしくはメタクリル酸またはそれらの誘導体由来であることが好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを用いる場合、組成物を光硬化性とするためには、分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物、即ち光重合性モノマーを併用する必要がある。カルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下のような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)を挙げることができる。
【0038】
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α-メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂(低級アルキル(メタ)アクリレートとして、メチル(メタ)アクリレート等が挙げられる)。
【0039】
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物およびポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキサイド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0040】
(3)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0041】
(4)前記(2)または(3)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子内に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0042】
(5)前記(2)または(3)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子内に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0043】
(6)2官能またはそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0044】
(7)2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0045】
(8)2官能オキセタン樹脂にアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
【0046】
(9)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p-ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0047】
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0048】
(11)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0049】
(12)前記(1)~(11)の樹脂にさらに1分子内に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0050】
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
【0051】
本発明に使用できるカルボキシル基含有樹脂は、上記列挙したものに限られない。また、上記列挙したカルボキシル基含有樹脂は1種類を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
【0052】
本発明において、炭酸ナトリウム水溶液等の弱アルカリ現像液を用いる際の現像性とレジストパターンの描画性を考慮すると、カルボキシル基含有樹脂の酸価は30~150mgKOH/gの範囲であることが好ましく、50~120mgKOH/gの範囲であることがより好ましい。カルボキシル基含有樹脂の酸価は高いほど現像性は向上するものの、現像液による露光部の溶解が進むために、露光部と未露光部の区別なく現像液で溶解剥離する場合がある。
【0053】
カルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に1,500~150,000の範囲であり、1,800~100,000の範囲にあるものが好ましい。重量平均分子量が2,000以上のカルボキシル基含有樹脂を用いることにより、解像性やタックフリー性能を向上させることができる。また、重量平均分子量が150,000以下のカルボキシル基含有樹脂を用いることにより現像性や貯蔵安定性を向上させることができる。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
【0054】
カルボキシル基含有樹脂の含有量は、硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して、好ましくは0質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは0質量%以上15質量%以下である。
【0055】
上述の屈折率1.45以下の樹脂と、屈折率1.50以上1.90以下のカルボキシル基含有樹脂の配合比は、好ましくは100:0~60:40であり、より好ましくは100:0~70:30である。
【0056】
((F)屈折率1.50以上1.90以下のフィラー)
屈折率1.50以上1.90以下のフィラーとしては、有機微粒子および無機微粒子のいずれも用いることができる。当該フィラーの屈折率は、好ましくは1.50以上1.90以下であり、より好ましくは1.50以上1.88以下である。
【0057】
屈折率1.50以上1.90以下のフィラーとしては、例えば、メラミン誘導体、ジルコニア、およびウレタン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の微粒子が挙げられる。
【0058】
屈折率1.50以上1.90以下のフィラーの平均粒子径(D50)は、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは5μm以上40μm以下である。当該フィラーの平均粒子径(D50)が5μm以下であれば、膜均一性および解像性に優れた硬化物が得られる。
当該フィラーの平均粒子径(D50)は、レーザー回折式粒子径分布測定装置と動的光散乱法による測定装置によって求めることができる。
【0059】
屈折率1.50以上1.90以下のフィラーの含有量は、硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して、好ましくは5質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上15質量%以下である。
【0060】
(有機溶剤)
本発明の硬化性樹脂組成物には、組成物の調製や、基板やフィルムに塗布する際の粘度調整等の目的で、有機溶剤を含有させることができる。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤など、公知慣用の有機溶剤が使用できる。この中でも、本発明における硬化性樹脂組成物が非晶質シリカのような多孔質のものを使用した場合、硬化や乾燥の際にシリカ表面に吸油しやすい結果、形成された硬化塗膜の光沢度がより低くなる点で、エステル類が好ましく、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートがより好ましい。これらの有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0061】
有機溶剤の含有量は、特に限定されず、硬化性樹脂組成物を調製し易いように目的の粘度に応じて適宜設定することができる。
【0062】
[その他の添加成分]
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じてさらに、チキソ化剤、密着促進剤、ブロック共重合体、連鎖移動剤、重合禁止剤、銅害防止剤、酸化防止剤、防錆剤、微粉シリカ、有機ベントナイト、モンモリロナイト等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤およびレベリング剤の少なくともいずれか1種、フォスフィン酸塩、燐酸エステル誘導体、フォスファゼン化合物等のリン化合物等の難燃剤などの成分を配合することができる。これらは、電子材料の分野において公知の物を使用することができる。
【0063】
[調製方法]
本発明の硬化性樹脂組成物の調製には、各成分を秤量、配合した後、攪拌機にて予備撹拌する。続いて、混練機にて各成分を分散させ、混練を行うことで調製することができる。上記の混練機としては、例えばビーズミル、ボールミル、サンドミル、3本ロールミル、2本ロールミル等を挙げることができる。3本ロールミルの各ロールの回転比等の分散条件は、目的とする粘度に応じて適宜設定することができる。
【0064】
[用途]
本発明による硬化性樹脂組成物は、ソルダーレジストやカバーレイ、層間絶縁層等のプリント配線板の永久被膜としてのパターン層を形成するために有用であり、特にソルダーレジスト等のレジスト(層)の形成に有用である。また、本発明の硬化性樹脂組成物は、薄膜でも膜強度に優れた硬化物を形成できることから、薄膜化が要求されるプリント配線板、例えばパッケージ基板(半導体パッケージに用いられるプリント配線板)におけるパターン層の形成にも好適に用いることができる。
【0065】
[プリント配線板]
本発明のプリント配線板は、絶縁基板と、前記絶縁基板上に直接形成された樹脂層とを備えるものである。樹脂層は、上記の硬化物または上記の硬化性樹脂組成物からなる硬化物である。当該樹脂層は、絶縁基板との密着性に優れるため、本発明のプリント配線板は耐熱性に優れたものとなる。また、本発明のプリント配線板は、白色であることが望ましく、白色であれば樹脂層の反射性に優れるため、LEDの実装に好適に用いることができる。
【0066】
本発明のプリント配線板の製造方法としては、例えば、本発明の硬化性樹脂組成物を、上記有機溶剤を用いて塗布方法に適した粘度に調整して、絶縁基材上に、スクリーン印刷法、フローコート法、ロールコート法、ブレードコート法、バーコート法等の方法により塗布した後、60~100℃の温度で15~90分間、組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることで、タックフリーの樹脂層を形成する。
【0067】
上記基材としては、あらかじめ銅等により回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド・シアネート等を用いた高周波回路用銅張積層板等の材質を用いたもので、全てのグレード(FR-4等)の銅張積層板、その他、金属基板、ポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
【0068】
硬化性樹脂組成物を基材上に塗布した後に行う揮発乾燥は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。装置としては、熱風循環乾燥炉として、ヤマト科学株式会社製DF610等が挙げられる。
【0069】
基材上に樹脂層を形成後、所定のパターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光し、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば、0.3~3.0質量%炭酸ソーダ水溶液)により現像して硬化物のパターンを形成する。
【0070】
上記活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、水銀ショートアークランプ等を搭載し、350~450nmの範囲で紫外線を照射する装置であればよく、さらに、直接描画装置(例えば、コンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)も用いることができる。直描機のランプ光源またはレーザー光源としては、最大波長が350~450nmの範囲にあるものでよい。画像形成のための露光量は膜厚等によって異なるが、一般には10~1,000mJ/cm、好ましくは20~800mJ/cmの範囲内とすることができる。装置としては、メタルハライドランプ搭載の露光装置として、株式会社オーク製作所製HMW-680-GW20等が挙げられる。
【0071】
上記現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液が使用できる。
【0072】
さらに、硬化物に活性エネルギー線を照射後に加熱硬化(例えば、100~220℃の温度で30~90分間)、もしくは加熱硬化後に活性エネルギー線を照射(例えば、1,000~2,000mJ/cm)、または、加熱硬化のみで最終仕上げ硬化(本硬化) させることにより、密着性、硬度等の諸特性に優れた硬化塗膜を形成する。装置としては、高圧水銀ランプを用いたUVコンベアとして、株式会社オーク製作所製QRM-2082等が挙げられる。
【0073】
上記内容は光硬化型熱硬化型の樹脂組成物による硬化塗膜の形成方法であるが、光硬化のみの場合は以下のとおり、製造することができる。
光硬化のみの場合、本発明の硬化性樹脂組成物を基材上にパターン印刷等で塗布した後に活性エネルギー線(例えば、1,000~2,000mJ/cm)を照射して硬化させることにより、硬化塗膜を形成する。
【実施例0074】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
【0075】
(実施例1~11、比較例1~8)
(硬化性樹脂組成物の調製)
各組成物について、下記表1~2中に示す配合に従って各成分を配合し、攪拌機によって撹拌を行った後、三本ロールミルで混練して、硬化性樹脂組成物を調製した。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
表1~2中の含有量は質量部を示す。表1~2中の各成分の詳細は、以下の通りである。
※1:フッ素樹脂、新中村化学株式会社製、商品名TIF-1
※2:フッ素樹脂、新中村化学株式会社製、商品名TIF-2
※3:オキシムエステル系光重合開始剤、BASFジャパン株式会社製、商品名Irgacure OXE04
※4:アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、IGM Resins B.V.社製、TPO H
※5:オキシムエステル系光重合開始剤、BASFジャパン株式会社製商品名Irgacure OXE02
※6:エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、新中村化学工業株式会社製、商品名BPE900
※7:ルチル型酸化チタン、石原産業株式会社、商品名タイペークPFC―107(粒径D50=0.25μm)
※8:カルボキシル基含有樹脂、日本化薬株式会社製、商品名UXE-3000
※9:カルボキシル基含有樹脂、日本化薬株式会社製、商品名KAYRARAD ZFR-1401H
※10:メラミンスラリー:メラミン55質量部、カルビトールアセテート45質量部を混合してビーズミルで5時間分散させてメラミン分散品1を得た。得られたメラミン分散品1の平均粒径および最大粒子径は、日機装社のMicrotrac MT3300EXIIを使用し、カルビトールアセテートで計測適正濃度に希釈したサンプルを測定することで得た。このサンプルの測定の結果、レーザー回折法による測定値でD50の値が0.3μmであり、D95の値が0.34μmのメラミンスラリーを得た。
※11:ジルコニアナノ粒子分散液、日本触媒株式会社製、商品名ジルコスタ―ZP-153
※12:ウレタンビーズ、大日精化工業株式会社製、商品名ダイナミックビーズ UCN-5050クリヤー
※13:メラミン、D50=50μm以上
※14:ダイセル・オルネクス株式会社製、商品名サイクロマー(ACA)Z250
※15:ダイセル・オルネクス株式会社製、商品名サイクロマー(ACA)Z320
※16:シリカナノ粒子、日本アエロジル株式会社製、商品名AEROSIL(登録商標)R 974
※17:イソシアネート化合物(エタノール系ブロックジイソシアネート(シリケート系))、信越化学株式会社製、商品名X-12-1159L
【0079】
<屈折率の測定>
実施例および比較例に使用する※1~※2および※7~※16の各成分に関して、アッベ屈折率計(メトリコン社製、2010/Mプリズムカプラー)を用いて589.3nm(D線)、25℃の条件で屈折率を測定した。測定結果を表1に示す。
なお、※1~※2、※8~※11、および※14~※15は1μmのソーダライムガラス上に15μmの膜厚となるように塗布し、熱風循環式乾燥機で120℃60分乾燥させたものを測定した。※7、※12~※13、および※16は2gを量りとり押し固めたものを測定した。
【0080】
<評価用基板の作製>
(実施例1~11、比較例1~8)
バフ研磨を行った銅張積層板に実施例1~11および比較例1~8で得られた硬化性樹脂組成物をスクリーン印刷法により硬化後の膜厚が25μmとなるように印刷した。次に熱風循環式乾燥炉にて80℃30分乾燥させた後、500mJ/cmの積算光量で紫外線露光し、30℃、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液でスプレー圧0.2MPa、現像時間60秒の条件で現像を行い、熱風循環式乾燥炉を用いて150℃で60分加熱硬化することで評価用基板を作製した。
【0081】
(反射率評価)
<評価用基板の作製>で得られた各評価用基板について、分光測色計(コニカミノルタ株式会社製、型番:CM-5)を用いてSCI方式で以下のように反射率を測定した。
付属のゼロ校正ボックスCM-A124を被せてゼロ校正を行い、続いて内蔵の白色校正板を用いて白色校正を行った。その後、上記で得られた各評価基板の硬化性樹脂組成物の硬化物の表面の、波長550nmの光に対する反射率を測定径8mmで任意の3箇所で測定し、その平均値を反射率とした。以下の基準にて評価し、評価結果を表3~4に示した。
[評価基準]
◎:82%以上
○:80%以上82%未満
△:70%以上80%未満
×:70%未満
【0082】
(b*値の測定)
<評価用基板の作製>で得られた各評価用基板について、分光測色計(コニカミノルタ株式会社製 CM-5)を用いてSCI方式で以下のようにb*値を測定した。
付属のゼロ校正ボックスCM-A124を被せてゼロ校正を行い、続いて内蔵の白色校正板を用いて白色校正を行った。その後、上記で得られた各評価基板の硬化性樹脂組成物の硬化物の表面のL*a*b*表色系のb*値を、CIE標準光源D65を用いて、視野角度10°、測定径8mmで任意の3箇所で測定し、その平均値をb*値とした。以下の基準にて評価し、評価結果を表3~4に示した。
[評価基準]
◎:1.0未満
○:1.0以上1.5未満
△:1.5以上3.0未満
×:3.0以上
【0083】
(解像性評価)
バフ研磨を行った銅張積層板に実施例1~11および比較例1~8で得られた硬化性樹脂組成物をスクリーン印刷で硬化後の膜厚が25μmになるように印刷した。次に熱風循環式乾燥炉にて80℃30分乾燥させた後、解像性評価用ネガマスクとしてビア開口径150μmを有するネガパターンを使用して、500mJ/cmの積算光量で紫外線露光し、30℃、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液でスプレー圧0.2MPa、現像時間60秒の条件で現像を行い、硬化性樹脂組成物の開口パターンを形成した。続いて、熱風循環式乾燥炉を用いて150℃で60分加熱硬化した。開口部のボトム部分での径を光学顕微鏡(株式会社キーエンス製 VHX-6000)で測定倍率500倍にて観察及び測長を行い、以下の基準にて解像性を評価し、評価結果を表3~4に示した。
[評価基準]
◎:径が140μm以上150μm以下
○:径が130μm以上140μm未満
×:径が130μm未満
【0084】
(密着性評価)
<評価用基板の作製>で得られた各評価用基板について、試験片の皮膜に、1mmの碁盤目100個(10×10)を作り、碁盤目上に透明粘着テープ(ニチバン株式会社製、幅:18mm)を完全に付着させ、直ちにテープの一端をガラス基材に対して直角に保ちながら瞬間的に引き離し、完全に剥がれないで残った碁盤目の数を調べた。以下の基準にて硬化物の密着性を評価し、評価結果を表3~4に示した。
[評価基準]
〇:碁盤目が100%残存
△:碁盤目が95%以上100%未満残存
×:碁盤目が95%未満残存
【0085】
(スクラッチ耐性評価)
<評価用基板の作製>で得られた各評価用基板について、直径1cm、高さ2cmの真鍮製の円柱、10gのおもりを順に乗せて固定し、おもりを載せた円柱を試験片上で1cm/秒の速度で5cmスライドさせ、試験片上に黒いスクラッチ痕が発生するか否かを目視にて以下の基準でスクラッチ耐性を評価し、評価結果を表3~4に示した。
[評価基準]
○:スクラッチ痕の発生が無かった。
×:スクラッチ痕が発生した。
【0086】
(無電解金めっき耐性評価)
<評価用基板の作製>で得られた各評価用基板について、市販品の無電解ニッケルめっき浴及び無電 解金めっき浴を用いて、ニッケル0.5μm、金0.03μmの条件でめっきを行い、めっきのしみ込みの有無を評価した後、テープピーリングによりレジスト層の剥がれの有無を以下の基準で評価した。評価結果を表3~4に示した。
[評価基準]
○:染み込み、剥がれが見られない。
△:めっき後に少し染み込みが確認されるが、テープピール後は剥がれない。
×:めっき後に剥がれがある。
【0087】
(屈曲性評価)
上記実施例および比較例で得られた硬化性樹脂組成物を、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製カプトン200H)にスクリーン印刷法により硬化後の膜厚が25μmとなるように印刷した。次に熱風循環式乾燥炉にて80℃で30分間乾燥させた後、500mJ/cmの積算光量で露光し、30℃、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液でスプレー圧0.2MPa、現像時間60秒の条件で現像を行い、熱風循環式乾燥炉を用いて150℃で60分加熱硬化することでサンプルを作製した。上記サンプルを、幅1cm、長さ10cmに裁断し、硬化性樹脂組成物の硬化物の面を外側に180°折り曲げを行い、クラックの有無を観察し、以下の基準で評価した。評価結果を表3~4に示した。
[評価基準]
○:クラックの発生が見られない。
×:クラックの発生が見られる。
【0088】
(リフロー後反射率およびb*値評価)
エイテックテクトロン社製NIS-20-82Cを用いて、下記のコンベア速度および熱源設定温度に従って、<評価用基板の作製>で得た評価用基板を、エアーリフローでリフロー処理を1回行った。
コンベア速度:1.0m/min≒1ゾーン(約35cm)を約20秒で通過
熱源設定温度:A.210℃、B.190℃、C.~F.185℃、G.245℃、H.260℃、I.~J.ファンによる冷却工程 処理前後の樹脂層(硬化物)の反射率およびb*値は、上述の方法により測定した。以下の基準にて評価し、評価結果を表3~4に示した。
[評価基準](反射率)
◎:80%以上
○:78%以上80%未満
△:65%以上78%未満
×:65%未満
[評価基準](b*値)
◎:1.5未満
○:1.5以上2.0未満
△:2.0以上3.0未満
×:3.0以上
【0089】
【表3】
【0090】
【表4】