(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126666
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】フレームユニット及びフレームユニットの保持方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035219
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】呉 斌
(72)【発明者】
【氏名】王 宜佳
(72)【発明者】
【氏名】楊 程明
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA12
5F131CA09
5F131CA13
5F131CA32
5F131CA33
5F131CA42
5F131EA07
5F131EB31
5F131EC32
5F131EC44
5F131EC53
5F131EC54
5F131EC75
(57)【要約】
【課題】シートを引き伸ばした状態で保持されるフレームユニットに含まれる板状物の端部がシートから剥離する蓋然性を低減することが可能なフレームユニットを提供する。
【解決手段】フレームユニットは、平面視において長方形状の板状物と、中央に形成されている開口に板状物が位置付けられ、かつ、平面視において開口の中心を基準として4回対称になるように設けられている4つの被挟持部を有するフレームと、板状物が延在する板状物延在方向と、開口の中心から4つの被挟持部の中心にそれぞれ向かう4つの被挟持部方向のそれぞれと、が非平行になるように、中央領域が板状物に固着され、かつ、外周領域がフレームに固着されているシートと、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視において長方形状の板状物と、
中央に形成されている開口に該板状物が位置付けられ、かつ、平面視において該開口の中心を基準として4回対称になるように設けられている4つの被挟持部を有するフレームと、
該板状物が延在する板状物延在方向と、該開口の該中心から該4つの被挟持部の中心にそれぞれ向かう4つの被挟持部方向のそれぞれと、が非平行になるように、中央領域が該板状物に固着され、かつ、外周領域が該フレームに固着されているシートと、
を備えるフレームユニット。
【請求項2】
該板状物延在方向と、該4つの被挟持部方向のそれぞれと、がなす角が平面視において略45度又は略135度となる請求項1に記載のフレームユニット。
【請求項3】
該フレームは、平面視において該開口の該中心を基準として4回対称になるように設けられている4つの連結部をさらに有し、
該4つの被挟持部がそれぞれ延在する4つの被挟持部延在方向のそれぞれと、該4つの連結部がそれぞれ延在する4つの連結部延在方向のそれぞれと、がなす角が略45度又は略135度となる請求項1又は2に記載のフレームユニット。
【請求項4】
平面視において長方形状の板状物と、中央に形成されている開口に該板状物が位置付けられ、かつ、平面視において該開口の中心を基準として4回対称になるように設けられている4つの被挟持部を有するフレームと、該板状物が延在する板状物延在方向と、該開口の該中心から該4つの被挟持部の中心にそれぞれ向かう4つの被挟持部方向のそれぞれと、が非平行になるように、中央領域が該板状物に固着され、かつ、外周領域が該フレームに固着されているシートと、を備えるフレームユニットを保持するフレームユニットの保持方法であって、
テーブルに該シートの該外周領域を接触させることなく該中央領域を接触させるように、該テーブルに該フレームユニットを搬入する搬入ステップと、
該搬入ステップの後に、該シートを引き伸ばして該テーブルに該シートを押し付けるように、4つのクランプが該4つの被挟持部をそれぞれ挟持することによって、該フレームユニットを保持する保持ステップと、
を備えるフレームユニットの保持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面視において長方形状の板状物と、中央に形成されている開口に板状物が位置付けられているフレームと、中央領域が板状物に固着され、かつ、外周領域がフレームに固着されているシートと、を備えるフレームユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
IC(Integrated Circuit)等のデバイスのチップは、携帯電話及びパーソナルコンピュータ等の各種電子機器において不可欠の構成要素である。このようなチップは、例えば、複数のデバイスが形成されているCSP(Chip Size Package)基板又はQFN(Quad Flat Non-leaded package)基板等の長方形状の板状物を複数のデバイスの境界に沿って分割することで製造される。
【0003】
また、板状物及びそれから製造される複数のチップの取り扱いを容易にするために、板状物は、その分割に先立って、シートを介してフレームと一体化されることが多い。このように一体化された構造物は、フレームユニットとも呼ばれ、フレームの中央に形成されている開口に板状物が位置付けられるように、シートの中央領域を板状物に固着し、かつ、外周領域をフレームに固着することによって形成される。
【0004】
そして、複数のチップは、例えば、切削装置においてフレームユニットを切削することによって製造される(例えば、特許文献1参照)。具体的には、まず、テーブル上においてシートを介して板状物を保持する。そして、板状物を貫通し、かつ、その底面がシートに位置付けられるような溝を複数のデバイスの境界に沿って形成するようにフレームユニットを切削する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
切削ブレードによるフレームユニットの切削は、一般的に、その下端がシートに対応する高さに位置付けられた環状の切削ブレードを回転させながら、複数のデバイスの境界に沿ってフレームユニットを保持するテーブルと切削ブレードとを相対的に移動させることによって行われる。
【0007】
ここで、フレームユニットにおいては、板状物を囲むようにフレームが存在する。そのため、この切削は、一般的に、切削ブレードをフレームに接触させないように、フレームを挟持するクランプを利用してフレームを板状物よりも下に位置付けた状態で行われる。
【0008】
この場合、フレームの下への移動に伴って、外周領域がフレームに固着されているシートが引き伸ばされることになる。そして、シートの余剰分、具体的には、フレームのクランプによって挟持される部分(被挟持部)と板状物との間に存在する部分が少ないと、板状物の端部がシートから剥離するおそれがある。
【0009】
この点に鑑み、本発明の目的は、シートを引き伸ばした状態で保持されるフレームユニットに含まれる板状物の端部がシートから剥離する蓋然性を低減することが可能なフレームユニット及びフレームユニットの保持方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面によれば、平面視において長方形状の板状物と、中央に形成されている開口に該板状物が位置付けられ、かつ、平面視において該開口の中心を基準として4回対称になるように設けられている4つの被挟持部を有するフレームと、該板状物が延在する板状物延在方向と、該開口の該中心から該4つの被挟持部の中心にそれぞれ向かう4つの被挟持部方向のそれぞれと、が非平行になるように、中央領域が該板状物に固着され、かつ、外周領域が該フレームに固着されているシートと、を備えるフレームユニットが提供される。
【0011】
さらに、本発明のフレームユニットにおいては、該板状物延在方向と、該4つの被挟持部方向のそれぞれと、がなす角が平面視において略45度又は略135度となることが好ましい。
【0012】
また、本発明のフレームユニットにおいては、該フレームは、平面視において該開口の該中心を基準として4回対称になるように設けられている4つの連結部をさらに有し、該4つの被挟持部がそれぞれ延在する4つの被挟持部延在方向のそれぞれと、該4つの連結部がそれぞれ延在する4つの連結部延在方向のそれぞれと、がなす角が略45度又は略135度となることが好ましい。
【0013】
本発明の別の側面によれば、平面視において長方形状の板状物と、中央に形成されている開口に該板状物が位置付けられ、かつ、平面視において該開口の中心を基準として4回対称になるように設けられている4つの被挟持部を有するフレームと、該板状物が延在する板状物延在方向と、該開口の該中心から該4つの被挟持部の中心にそれぞれ向かう4つの被挟持部方向のそれぞれと、が非平行になるように、中央領域が該板状物に固着され、かつ、外周領域が該フレームに固着されているシートと、を備えるフレームユニットを保持するフレームユニットの保持方法であって、テーブルに該シートの該外周領域を接触させることなく該中央領域を接触させるように、該テーブルに該フレームユニットを搬入する搬入ステップと、該搬入ステップの後に、該シートを引き伸ばして該テーブルに該シートを押し付けるように、4つのクランプが該4つの被挟持部をそれぞれ挟持することによって、該フレームユニットを保持する保持ステップと、を備えるフレームユニットの保持方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明のフレームユニットにおいては、長方形状の板状物が延在する板状物延在方向と、フレームの開口の中心から4つの被挟持部の中心にそれぞれ向かう4つの被挟持部方向のそれぞれと、が非平行になる。この場合、板状物延在方向と4つの被挟持部方向のいずれかとが同じになる場合と比較して、4つの被挟持部と板状物との間の最短距離が長くなる。
【0015】
すなわち、本発明のフレームユニットにおいては、シートの余剰分、具体的には、4つの被挟持部と板状物との間に存在する部分が多くなる。そのため、シートを引き伸ばした状態で本発明のフレームユニットを保持する場合には、板状物の端部がシートから剥離する蓋然性を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、切削装置の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、フレームユニットの一例を模式的に示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示されるフレームユニットを模式的に示す平面図である。
【
図4】
図4は、フレームユニットの一例を模式的に示す分解斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4に示されるフレームユニットを模式的に示す平面図である。
【
図6】
図6は、テーブル及び4つのクランプを模式的に示す拡大斜視図である。
【
図7】
図7は、テーブルにおいてフレームユニットを保持するフレームユニットの保持方法の一例を模式的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、切削装置の一例を模式的に示す斜視図である。なお、
図1に示されるX軸方向(前後方向)及びY軸方向(左右方向)は、水平面上において互いに直交する方向であり、また、Z軸方向(上下方向)は、X軸方向及びY軸方向に直交する方向(鉛直方向)である。
【0018】
図1に示される切削装置2は、各構成要素が搭載される基台4を備える。この基台4の角部には、カセットテーブル6が設置されている。そして、カセットテーブル6の上面には、複数のフレームユニットを収容可能なカセット(不図示)が載せられる。
【0019】
図2は、カセットに収容されるフレームユニットの一例を模式的に示す分解斜視図であり、
図3は、
図2に示されるフレームユニットを模式的に示す平面図である。なお、
図2においては、後述する各方向も併記されている。
図2及び
図3に示されるフレームユニット1は、板状物3とフレーム5とシート7とを有する。
【0020】
板状物3は、例えば、CSP基板又はQFN基板等のパッケージ基板であり、平面視において長方形状の構造物である。具体的には、板状物3は、所定の方向(板状物延在方向)D0に沿って延在する薄板であり、板状物延在方向D0に沿って延在する一対の長側面3aと、板状物延在方向D0と直交する方向に沿って延在する一対の短側面3bとを有する。
【0021】
フレーム5は、例えば、アルミニウム又はステンレス鋼等の金属材料からなる。また、フレーム5の中央には、板状物3の長側面3aよりも長い直径を有する円状の開口5aが形成されている。また、フレーム5は、後述する4つのクランプ14によってそれぞれ挟持される4つの部分(被挟持部)5bを有する。
【0022】
4つの被挟持部5bは、開口5aの中心を基準として4回対称になるように設けられ、また、各被挟持部5bの外縁が直線的に延在する。また、フレーム5は、開口5aの中心を基準として4回対称になるように設けられ、かつ、それぞれの外縁が円弧状に延在する4つの連結部5cを有する。
【0023】
さらに、4つの被挟持部5bのうちの一つと、この被挟持部5bに隣接する一対の連結部5cとの間には、一対のフレーム切り欠き9a,9bがそれぞれ形成されている。具体的には、フレーム切り欠き9aは、鋭角状にフレーム5の外縁を切り抜くように形成されている。また、フレーム切り欠き9bは、直角状にフレーム5の外縁を切り抜くように形成されている。
【0024】
シート7は、フレーム5の開口5aの直径よりも長く、かつ、対向する一対の被挟持部5bの一方の外縁と他方の外縁との間隔よりも短い直径を有する円板状のフィルムである。そして、シート7は、例えば、可撓性を有する基材と、この基材の一面に設けられた接着層(糊層)とを有する。
【0025】
具体的には、基材は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィン(PO)、ポリエチレンテレフタラート(PET)又はポリスチレン(PS)等からなる。特に、基材としては、安価であり、かつ、引き伸ばしが容易なPVCが好ましい。また、接着層は、紫外線硬化型のシリコーンゴム、アクリル系材料又はエポキシ系材料等からなる。
【0026】
フレームユニット1においては、シート7の中央領域が板状物3に貼着され、かつ、その外周領域がフレーム5に貼着されている(
図3参照)。具体的には、シート7は、板状物延在方向D0と、開口5aの中心から4つの被挟持部5bの中心にそれぞれ向かう4つの方向(被挟持部方向)D1a,D1b,D1c,D1dのそれぞれと、が非平行になるように貼着される。
【0027】
なお、シート7は、板状物延在方向D0と、4つの被挟持部方向D1a,D1b,D1c,D1dのうちの2つ(具体的には、被挟持部方向D1a,D1b)のそれぞれと、がなす角が平面視において略45°になり、かつ、板状物延在方向D0と、4つの被挟持部方向D1a,D1b,D1c,D1dのうちの残りの2つ(具体的には、被挟持部方向D1c,D1d)のそれぞれと、がなす角が平面視において略135°になるように、板状物3及びフレーム5に貼着されることが好ましい。
【0028】
この場合、フレーム5の4つの被挟持部5bと板状物3との間の最短距離を長くすることができる。すなわち、この場合、シート7の余剰分、具体的には、4つの被挟持部5bと板状物3との間に存在する部分を多くすることができる。また、シート7は、粘着層を含まず、基材のみから構成されてもよい。この場合、シート7は、その一面が板状物3の一面及びフレーム5の一面に熱圧着されてもよい。
【0029】
図4は、カセットに収容されるフレームユニットの別の例を模式的に示す分解斜視図であり、
図5は、
図4に示されるフレームユニットを模式的に示す平面図である。なお、
図5においては、後述する各方向も併記されている。
図4及び
図5に示されるフレームユニット11は、上述した板状物3とフレーム13とシート15とを有する。
【0030】
フレーム13は、上述したフレーム5と同様の材料からなるものの、その形状が上述したフレーム5と異なる。具体的には、フレーム13の中央には、八角形状の開口13aが形成されている。また、フレーム13は、後述する4つのクランプ14によってそれぞれ挟持される4つの部分(被挟持部)13bを有する。
【0031】
4つの被挟持部13bは、開口13aの中心を基準として4回対称になるように設けられ、また、各被挟持部13bの外縁が直線的に延在する。また、フレーム13は、開口13aの中心を基準として4回対称になるように設けられ、かつ、それぞれの外縁が直線的に延在する4つの連結部13cを有する。
【0032】
そして、4つの被挟持部13bがそれぞれ延在する4つの被挟持部延在方向D2a,D2b,D2c,D2dのそれぞれと、4つの連結部13cがそれぞれ延在する4つの連結部延在方向D3a,D3b,D3c,D3dのそれぞれと、がなす角は、略45度又は略135度となる。また、対向する一対の連結部13cの一方の内縁と他方の内縁との間隔は、板状物3の長側面3aよりも長く、かつ、対向する一対の被挟持部13bの一方の内縁と他方の内縁との間隔よりも長い。
【0033】
さらに、4つの被挟持部13bのうちの一つと、この被挟持部13bに隣接する一対の連結部13cとの間には、一対のフレーム切り欠き17a,17bがそれぞれ形成されている。具体的には、フレーム切り欠き17aは、鋭角状にフレーム13の外縁を切り抜くように形成されている。また、フレーム切り欠き17bは、直角状にフレーム13の外縁を切り抜くように形成されている。
【0034】
シート15は、平面視において、その外縁がフレーム13の外縁よりも内側かつ内縁よりも外側に位置するような八角形状のフィルムである。そして、フレームユニット11においては、シート15の中央領域が板状物3に貼着され、かつ、その外周領域がフレーム13に貼着されている。具体的には、シート15は、板状物延在方向D0と、開口13aの中心から4つの被挟持部13bの中心にそれぞれ向かう4つの方向(被挟持部方向)D4a,D4b,D4c,D4dと、が非平行になるように貼着される。
【0035】
なお、シート15は、板状物延在方向D0と、4つの被挟持部方向D4a,D4b,D4c,D4dのうちの2つ(具体的には、被挟持部方向D4a,D4b)のそれぞれと、がなす角が平面視において略45°になり、かつ、板状物延在方向D0と、4つの被挟持部方向D4a,D4b,D4c,D4dのうちの残りの2つ(具体的には、被挟持部方向D4c,D4d)のそれぞれと、がなす角が平面視において略135°になるように、板状物3及びフレーム13に貼着されることが好ましい。
【0036】
この場合、フレーム13の4つの被挟持部13bと板状物3との間の最短距離を長くする、すなわち、シート15の余剰分、具体的には、4つの被挟持部13bと板状物3との間に存在する部分を多くすることができる。また、シート15は、粘着層を含まず、基材のみから構成されてもよい。この場合、シート15は、その一面が板状物3の一面及びフレーム13の一面に熱圧着されてもよい。
【0037】
図1に示されるように、基台4の上部には、基台4の上面側を覆うカバー8が取り付けられている。このカバー8の内部には、上述したフレームユニット1,11に含まれる板状物3を切削するための切削ユニット10が収容されている。また、切削ユニット10の下方には、テーブル12が設けられている。さらに、テーブル12の周囲には、テーブル12の周方向に沿って概ね等しい角度の間隔で4つのクランプ14が設けられている。
【0038】
図6は、テーブル12及び4つのクランプ14を示す拡大斜視図である。テーブル12は、例えば、ステンレス鋼等の金属材料からなる枠体12aを有する。この枠体12aは、円板状の底壁と、この底壁の外周領域から上方に向かって設けられている環状の側壁とを有し、この底壁及びこの側壁によって凹部が画定されている。そして、この凹部にはセラミックス等からなる円板状のポーラス板12bが固定されている。
【0039】
さらに、枠体12aの底壁には、厚さ方向に底壁を貫通する貫通孔が形成されている。すなわち、ポーラス板12bの下面側は、この貫通孔を介して露出している。また、枠体12aの下面には、テーブルベース16との位置合わせに利用される溝が形成されている。そして、この溝にテーブルベース16の上面に設けられている突起が挿入されるようにテーブル12をテーブルベース16に置くことで、テーブル12がテーブルベース16に装着される。
【0040】
テーブル12がテーブルベース16に装着されると、枠体12aの底壁に形成されている貫通孔がテーブルベース16の内部に形成されている流路と連通する。また、この流路は、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。そのため、テーブル12がテーブルベース16に装着された状態で、この吸引源を動作させると、テーブル12の上面近傍の空間に吸引力が作用する。
【0041】
各クランプ14は、それぞれの一端がテーブルベース16に固定され、かつ、概ね水平な方向に沿って延在する一対のレール18に接続されている。また、各クランプ14は、平面視において一対のレール18と概ね直交する方向に沿って延在する平板状の支持部材14aを有する。この支持部材14aのテーブル12から遠い側には平面視において長方形状の切り欠きが設けられており、この切り欠きの位置にはアクチュエータ14bが設けられている。
【0042】
そして、各クランプ14においては、アクチュエータ14bを動作させることによって、平板状の押さえ部材14cを挟持位置から開放位置に移動させ、また、開放位置から挟持位置に移動させることができる。具体的には、このアクチュエータ14bを動作させると、支持部材14aが延在する方向に沿った回転軸の周りに押さえ部材14cが旋回する。なお、この回転軸は、支持部材14aの上面よりも下かつ下面よりも上に位置するとともに、アクチュエータ14bの中心を通るように設けられている。
【0043】
また、挟持位置は、鉛直方向において支持部材14aと重畳する押さえ部材14cの位置である。また、開放位置は、支持部材14aよりもテーブル12の径方向外側の押さえ部材14cの位置である。なお、
図6においては、押さえ部材14cが開放位置に位置付けられた状態のクランプ14が示されている。また、挟持位置に位置付けられた押さえ部材14cの上面は、テーブル12の上面よりも下に位置する。
【0044】
さらに、各クランプ14において押さえ部材14cが開放位置に位置付けられた状態においては、対向する一対の押さえ部材14cの間隔が、フレームユニット1,11において対向する一対の被挟持部5b,13bの一方の外縁と他方の外縁との間隔よりも長くなる。他方、各クランプ14において押さえ部材14cが挟持位置に位置付けられた状態においては、対向する一対の押さえ部材14cの間隔が、フレームユニット1,11において対向する一対の被挟持部5b,13bの一方の外縁と他方の外縁との間隔よりも短くなる。
【0045】
図7は、テーブル12においてフレームユニット1,11を保持するフレームユニットの保持方法の一例を模式的に示すフローチャートである。この方法においては、まず、テーブル12にシート7,15の外周領域を接触させることなく中央領域を接触させるように、テーブル12にフレームユニット1,11を搬入する(搬入ステップS1)。
【0046】
これにより、シート7,15を介して板状物3が上を向いた状態になるとともに、フレーム5,13の自重によってシート7,15が僅かに下方に引き伸ばされる。なお、この搬入ステップS1に先立って、各クランプ14においては、押さえ部材14cが開放位置に位置付けられる。そのため、搬入ステップS1においては、フレーム5,13と押さえ部材14cとが接触することはない。
【0047】
次いで、シート7,15を引き伸ばしてテーブル12にシート7,15を押し付けるように、4つのクランプ14が4つの被挟持部5b,13bをそれぞれ挟持することによって、フレームユニット1,11を保持する(保持ステップS2)。具体的には、この保持ステップS2においては、各クランプ14において、アクチュエータ14bを動作させて押さえ部材14cを開放位置から挟持位置に移動させる。
【0048】
これにより、4つの被挟持部5b,13bのそれぞれが支持部材14aと押さえ部材14cとによって挟持されて、シート7,15がさらに下方に引き伸ばされる。なお、保持ステップS2は、フレーム5,13を支持部材14aに接近させるような外力をフレーム5,13に付与した状態で行われてもよい。
【0049】
ここで、フレームユニット1,11においては、長方形状の板状物3が延在する板状物延在方向D0と、フレーム5,13の開口5a,13aの中心から4つの被挟持部5b,13bの中心にそれぞれ向かう4つの被挟持部方向D1a,D1b,D1c,D1d,D4a,D4b,D4c,D4dのそれぞれと、が非平行になる。この場合、板状物延在方向D0と4つの被挟持部方向D1a,D1b,D1c,D1d,D4a,D4b,D4c,D4dのいずれかとが同じになる場合と比較して、4つの被挟持部5b,13bと板状物3との間の最短距離が長くなる。
【0050】
すなわち、フレームユニット1,11においては、シートの余剰分、具体的には、4つの被挟持部5b,13bと板状物3との間に存在する部分が多くなる。そのため、シート7,15を引き伸ばした状態でフレームユニット1,11を保持する場合には、板状物3の端部がシート7,15から剥離する蓋然性を低減することが可能である。
【0051】
なお、上述した内容は本発明の一態様であって、本発明は上述した内容に限定されない。例えば、本発明のフレームユニットの保持方法においては、保持ステップS2の後に、テーブルベース16の内部に形成されている流路と連通する吸引源を動作させてテーブル12の上面近傍の空間に吸引力を作用させる吸引ステップが実施されてもよい。
【0052】
その他、上述した実施形態にかかる構造及び方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0053】
1 :フレームユニット
2 :切削装置
3 :板状物(3a:長側面、3b:短側面)
4 :基台
5 :フレーム(5a:開口、5b:被挟持部、5c:連結部)
6 :カセットテーブル
7 :シート
8 :カバー
9a,9b:フレーム切り欠き
10:切削ユニット
11:フレームユニット
12:テーブル(12a:枠体、12b:ポーラス板)
13:フレーム(13a:開口、13b:被挟持部、13c:連結部)
14:クランプ(14a:支持部材、14b:アクチュエータ、14c:押さえ部材)
15:シート
16:テーブルベース
17a,17b:フレーム切り欠き
18:レール