(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126784
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】接合装置、接合システムおよび接合方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
H01L21/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035417
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅川 賢治
(72)【発明者】
【氏名】牧 哲也
(57)【要約】
【課題】基板同士の接合時に発生する接合不良を抑制することができる技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様による接合装置は、第1保持部と、第2保持部と、ストライカーと、イオナイザとを備える。第1保持部は、第1基板を上方から吸着保持する。第2保持部は、前記第1保持部よりも下方に配置され、第2基板を下方から吸着保持する。ストライカーは、前記第1基板の中心部を押圧して前記第2基板に接触させる。イオナイザは、前記第2保持部よりも上方に配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板を上方から吸着保持する第1保持部と、
前記第1保持部よりも下方に配置され、第2基板を下方から吸着保持する第2保持部と、
前記第1基板の中心部を押圧して前記第2基板に接触させるストライカーと、
前記第2保持部よりも上方に配置されるイオナイザと
を備える、接合装置。
【請求項2】
前記第2基板の搬入、および、前記第1基板と前記第2基板とが接合された重合基板の搬出が行われる搬入出位置と、前記第1保持部と対向する対向位置との間で、前記第2保持部を移動させる移動部
を備え、
前記イオナイザは、
前記搬入出位置にある前記第2保持部よりも上方に配置される、
請求項1に記載の接合装置。
【請求項3】
前記イオナイザは、
前記第2保持部に搬入されて保持される前記第2基板を除電する、
請求項1に記載の接合装置。
【請求項4】
前記イオナイザは、
前記第1基板と前記第2基板とが接合された重合基板が保持面から剥離される前記第2保持部を除電する、
請求項1に記載の接合装置。
【請求項5】
前記イオナイザは、
前記第2保持部に搬入されて保持される前記第2基板を除電した後、前記第1基板と前記第2基板とが接合された重合基板が保持面から剥離される前記第2保持部を除電する、 請求項1に記載の接合装置。
【請求項6】
少なくとも前記第2保持部を収容する筐体、
を備え、
前記イオナイザは、
前記筐体の内部に配置され、イオンを放出するヘッド部と、
前記筐体の外部に配置され、前記ヘッド部に接続される電源部と
を備える、請求項1に記載の接合装置。
【請求項7】
少なくとも前記第2保持部を収容する筐体と、
前記筐体の内部に対し、ガスを供給するガス供給部と
を備え、
前記イオナイザは、
前記第2保持部の中心位置に対して、前記ガスの流れの上流側に配置される、
請求項1に記載の接合装置。
【請求項8】
第1基板を上方から吸着保持する第1保持部と、
前記第1保持部よりも下方に配置され、第2基板を下方から吸着保持する第2保持部と、
前記第1基板の中心部を押圧して前記第2基板に接触させるストライカーと
を備え、
前記第2保持部は、
導電性の部材により形成されるとともに、接地されている、
接合装置。
【請求項9】
前記第2保持部は、
搬入された前記第2基板を保持面まで下降させる下降動作、および、前記第1基板と前記第2基板とが接合された重合基板を前記保持面から搬出位置まで上昇させる上昇動作を行う昇降部
を備え、
前記昇降部は、
導電性の部材により形成されるとともに、接地されている、
請求項8に記載の接合装置。
【請求項10】
第1基板および第2基板の表面を改質する表面改質装置と、
改質された前記第1基板および前記第2基板の表面を親水化する表面親水化装置と、
親水化された前記第1基板と前記第2基板とを分子間力により接合する接合装置と
を備え、
前記接合装置は、
前記第1基板を上方から吸着保持する第1保持部と、
前記第1保持部よりも下方に配置され、前記第2基板を下方から吸着保持する第2保持部と、
前記第1基板の中心部を押圧して前記第2基板に接触させるストライカーと、
前記第2保持部よりも上方に配置されるイオナイザと
を備える、接合システム。
【請求項11】
第1基板および第2基板の表面を改質する表面改質装置と、
改質された前記第1基板および前記第2基板の表面を親水化する表面親水化装置と、
親水化された前記第1基板と前記第2基板とを分子間力により接合する接合装置と
を備え、
前記接合装置は、
前記第1基板を上方から吸着保持する第1保持部と、
前記第1保持部よりも下方に配置され、前記第2基板を下方から吸着保持する第2保持部と、
前記第1基板の中心部を押圧して前記第2基板に接触させるストライカーと、
を備え、
前記第2保持部は、
導電性の部材により形成されるとともに、接地されている、
接合システム。
【請求項12】
イオナイザを用いて、第1保持部よりも下方に配置された第2保持部を除電する工程と、
前記第1保持部を用いて、第1基板を上方から吸着保持する工程と、
前記イオナイザを用いて、前記第2保持部に搬入されて保持された第2基板を除電する工程と、
前記第2保持部を用いて、前記第2基板を下方から吸着保持する工程と、
ストライカーを用いて、前記第1基板の中心部を押圧して前記第2基板に接触させる工程と
を含む、接合方法。
【請求項13】
第1保持部を用いて、第1基板を上方から吸着保持する工程と、
第2保持部を用いて、第2基板を下方から吸着保持する工程と、
ストライカーを用いて、前記第1基板の中心部を押圧して前記第2基板に接触させる工程と
を含み、
前記第2保持部は、
導電性の部材により形成されるとともに、接地されている、
接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接合装置、接合システムおよび接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェハなどの基板同士を接合する接合装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板同士の接合時に発生する接合不良を抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による接合装置は、第1保持部と、第2保持部と、ストライカーと、イオナイザとを備える。第1保持部は、第1基板を上方から吸着保持する。第2保持部は、前記第1保持部よりも下方に配置され、第2基板を下方から吸着保持する。ストライカーは、前記第1基板の中心部を押圧して前記第2基板に接触させる。イオナイザは、前記第2保持部よりも上方に配置される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板同士の接合時に発生する接合不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る接合システムの構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る第1基板および第2基板の接合前の状態を示す模式図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る接合装置の模式平面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る接合装置の模式側面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る第1保持部および第2保持部の模式側面図である。
【
図6A】
図6Aは、イオナイザによる除電を説明するための模式図である。
【
図6B】
図6Bは、イオナイザによる除電を説明するための模式図である。
【
図7A】
図7Aは、イオナイザによる除電を説明するための模式図である。
【
図7B】
図7Bは、イオナイザによる除電を説明するための模式図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る接合システムが実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る接合装置の第2保持部の構成例を示す模式図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る接合システムが実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示による接合装置、接合システムおよび接合方法を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0009】
また、以下に示す実施形態では、「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」といった表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密に「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」であることを要しない。すなわち、上記した各表現は、たとえば製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
【0010】
また、以下参照する各図面では、説明を分かりやすくするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする直交座標系を示す場合がある。また、鉛直軸を回転中心とする回転方向をθ方向と呼ぶ場合がある。
【0011】
近年、半導体デバイスの高集積化が進んでいる。高集積化した複数の半導体デバイスを水平面内で配置し、これら半導体デバイスを配線で接続して製品化する場合、配線長が増大し、それにより配線の抵抗が大きくなること、また配線遅延が大きくなることが懸念される。
【0012】
そこで、半導体デバイスを3次元に積層する3次元集積技術を用いることが提案されている。この3次元集積技術においては、たとえば特許文献1に記載の接合システムを用いて、2枚の半導体ウェハ(以下、「基板」という。)の接合が行われる。
【0013】
上記接合装置では、第1保持部を用いて一の基板(以下、「第1基板」という。)を保持すると共に、第1保持部の下方に設けられた第2保持部を用いて他の基板(以下、「第2基板」という。)を保持した状態で、当該第1基板と第2基板とを接合する。
【0014】
ところで、従来技術に係る接合装置にあっては、第1基板と第2基板とを接合する際に、接合不良が発生するおそれがあった。すなわち、たとえば保持部や基板が比較的大きく帯電していると、第1基板と第2基板とを接合するときに、第1基板と第2基板との間で放電が発生し、かかる放電によって接合不良が発生する。具体的には、放電に起因して、第1基板と第2基板との間にボイド(気泡)が生じ、基板同士の接合不良が発生する。
【0015】
そこで、本実施形態に係る接合装置にあっては、基板同士の接合時に発生する接合不良を抑制することができるような構成とした。
【0016】
(第1実施形態)
<接合システムの構成>
まず、第1実施形態に係る接合システムの構成について
図1および
図2を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係る接合システムの構成を示す模式図である。また、
図2は、第1実施形態に係る第1基板および第2基板の接合前の状態を示す模式図である。
【0017】
図1に示す接合システム1は、第1基板W1と第2基板W2とを接合することによって重合基板Tを形成する(
図2参照)。
【0018】
第1基板W1および第2基板W2は、単結晶シリコンウェハであり、板面には複数の電子回路が形成される。第1基板W1および第2基板W2は、略同径である。なお、第1基板W1および第2基板W2の一方は、たとえば電子回路が形成されていない基板であってもよい。
【0019】
以下では、
図2に示すように、第1基板W1の板面のうち、第2基板W2と接合される側の板面を「接合面W1j」と記載し、接合面W1jとは反対側の板面を「非接合面W1n」と記載する。また、第2基板W2の板面のうち、第1基板W1と接合される側の板面を「接合面W2j」と記載し、接合面W2jとは反対側の板面を「非接合面W2n」と記載する。
【0020】
図1に示すように、接合システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2は、処理ステーション3のX軸負方向側に配置され、処理ステーション3と一体的に接続される。
【0021】
搬入出ステーション2は、載置台10と、搬送領域20とを備える。載置台10は、複数の載置板11を備える。各載置板11には、複数枚(たとえば、25枚)の基板を水平状態で収容するカセットC1~C4がそれぞれ載置される。カセットC1は複数枚の第1基板W1を収容可能であり、カセットC2は複数枚の第2基板W2を収容可能であり、カセットC3は複数枚の重合基板Tを収容可能である。カセットC4は、たとえば、不具合が生じた基板を回収するためのカセットである。なお、載置板11に載置されるカセットC1~C4の個数は、図示のものに限定されない。
【0022】
搬送領域20は、載置台10のX軸正方向側に隣接して配置される。搬送領域20には、X軸方向に延在する搬送路21と、搬送路21に沿って移動可能な搬送装置22とが設けられる。搬送装置22は、Y軸方向だけでなく、X軸方向にも移動可能かつZ軸周りに旋回可能である。搬送装置22は、載置板11に載置されたカセットC1~C4と、後述する処理ステーション3の第3処理ブロックG3との間で、第1基板W1、第2基板W2および重合基板Tの搬送を行う。
【0023】
処理ステーション3には、たとえば3つの処理ブロックG1,G2,G3が設けられる。第1処理ブロックG1は、処理ステーション3の背面側(
図1のX軸正方向側)に配置される。また、第2処理ブロックG2は、処理ステーション3の正面側(
図1のX軸負方向側)に配置され、第3処理ブロックG3は、処理ステーション3の搬入出ステーション2側(
図1のY軸負方向側)に配置される。
【0024】
第1処理ブロックG1には、第1基板W1および第2基板W2の接合面W1j,W2jを改質する表面改質装置30が配置される。表面改質装置30は、第1基板W1および第2基板W2の接合面W1j,W2jにおけるSiO2の結合を切断して単結合のSiOとすることで、その後親水化され易くするように接合面W1j,W2jを改質する。
【0025】
具体的には、表面改質装置30では、たとえば減圧雰囲気下において処理ガスである酸素ガスまたは窒素ガスが励起されてプラズマ化され、イオン化される。そして、かかる酸素イオンまたは窒素イオンが、第1基板W1および第2基板W2の接合面W1j,W2jに照射されることにより、接合面W1j,W2jがプラズマ処理されて改質される。
【0026】
また、第1処理ブロックG1には、表面親水化装置40が配置される。表面親水化装置40は、たとえば純水によって第1基板W1および第2基板W2の接合面W1j,W2jを親水化するとともに、接合面W1j,W2jを洗浄する。具体的には、表面親水化装置40は、たとえばスピンチャックに保持された第1基板W1または第2基板W2を回転させながら、当該第1基板W1または第2基板W2上に純水を供給する。これにより、第1基板W1または第2基板W2上に供給された純水が第1基板W1または第2基板W2の接合面W1j,W2j上を拡散し、接合面W1j,W2jが親水化される。
【0027】
ここでは、表面改質装置30と表面親水化装置40とが横並びで配置される場合の例を示したが、表面親水化装置40は、表面改質装置30の上方または下方に積層されてもよい。
【0028】
第2処理ブロックG2には、接合装置41が配置される。接合装置41は、親水化された第1基板W1と第2基板W2とを分子間力により接合する。接合装置41の具体的な構成については後述する。
【0029】
第1処理ブロックG1、第2処理ブロックG2および第3処理ブロックG3に囲まれた領域には、搬送領域60が形成される。搬送領域60には、搬送装置61が配置される。搬送装置61は、たとえば鉛直方向、水平方向および鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有する。かかる搬送装置61は、搬送領域60内を移動し、搬送領域60に隣接する第1処理ブロックG1、第2処理ブロックG2および第3処理ブロックG3内の所定の装置に第1基板W1、第2基板W2および重合基板Tを搬送する。
【0030】
また、接合システム1は、制御装置70を備える。制御装置70は、接合システム1の動作を制御する。かかる制御装置70は、たとえばコンピュータであり、図示しない制御部および記憶部を備える。制御部は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。かかるマイクロコンピュータのCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、後述する制御を実現する。また、記憶部は、たとえば、RAM、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
【0031】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録されていたものであって、その記録媒体から制御装置70の記憶部にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記録媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0032】
<接合装置の構成>
ここで、接合装置41の構成例について
図3および
図4を参照して説明する。
図3は、第1実施形態に係る接合装置41の模式平面図である。また、
図4は、第1実施形態に係る接合装置41の模式側面図である。
【0033】
図3および
図4に示すように、本実施形態に係る接合装置41は、筐体100と、第1保持部110と、第2保持部120と、移動部130と、ガス供給部140と、排気部150と、イオナイザ160とを備える。
【0034】
筐体100は、たとえば平面視矩形状の箱体であり、第1保持部110、第2保持部120、移動部130、ガス供給部140、排気部150およびイオナイザ160(正確にはイオナイザ160の一部)を収容する。
【0035】
また、筐体100の内部には、載置台101と、載置台101の上面に立設された複数の支柱部102と、複数の支柱部102に支持される天井部103とが配置される。
【0036】
第1保持部110は、第1基板W1の上面(非接合面W1n)を上方から吸着保持する。第1保持部110は、天井部103に支持される(
図4参照)。第2保持部120は、第1保持部110よりも下方に配置され、第2基板W2の下面(非接合面W2n)を下方から吸着保持する。
【0037】
ここで、第1保持部110および第2保持部120の構成例について
図5を参照して説明する。
図5は、第1実施形態に係る第1保持部110および第2保持部120の模式側面図である。
【0038】
図5に示すように、第1保持部110は、本体部111を有する。本体部111は、支持部材112によって支持される。支持部材112および本体部111には、支持部材112および本体部111を鉛直方向に貫通する貫通孔113が形成される。貫通孔113の位置は、第1保持部110に吸着保持される第1基板W1の中心部に対応している。貫通孔113には、後述するストライカー180の押圧ピン181が挿通される。
【0039】
ストライカー180は、支持部材112の上面に配置され、押圧ピン181と、アクチュエータ部182と、直動機構183とを備える。押圧ピン181は、鉛直方向に沿って延在する円柱状の部材であり、アクチュエータ部182によって支持される。
【0040】
アクチュエータ部182は、たとえば電空レギュレータ(図示せず)から供給される空気により一定方向(ここでは鉛直下方)に一定の圧力を発生させる。アクチュエータ部182は、電空レギュレータから供給される空気により、第1基板W1の中心部と当接して当該第1基板W1の中心部にかかる押圧荷重を制御することができる。また、アクチュエータ部182の先端部は、電空レギュレータからの空気によって、貫通孔113を挿通して鉛直方向に昇降自在になっている。
【0041】
アクチュエータ部182は、直動機構183に支持される。直動機構183は、たとえばモータを内蔵した駆動部によってアクチュエータ部182を鉛直方向に沿って移動させる。
【0042】
ストライカー180は、直動機構183によってアクチュエータ部182の移動を制御し、アクチュエータ部182によって押圧ピン181による第1基板W1の押圧荷重を制御する。これにより、ストライカー180は、第1保持部110に吸着保持された第1基板W1の中心部を押圧して第2基板W2に接触させる。
【0043】
本体部111の下面には、第1基板W1の上面(非接合面)に接触する複数のピン114が設けられている。複数のピン114は、たとえば、径寸法が0.1mm~1mmであり、高さが数十μm~数百μmである。複数のピン114は、たとえば2mmの間隔で均等に配置される。
【0044】
第1保持部110は、これら複数のピン114が設けられている領域のうちの一部の領域に、第1基板W1を吸着する複数の吸着部を備える。具体的には、第1保持部110における本体部111の下面には、第1基板W1を真空引きして吸着する複数の外側吸着部115および複数の内側吸着部116が設けられている。複数の外側吸着部115および複数の内側吸着部116は、平面視において円弧形状の吸着領域を有する。複数の外側吸着部115および複数の内側吸着部116は、ピン114と同じ高さを有する。
【0045】
複数の外側吸着部115は、本体部111の外周部に配置される。複数の外側吸着部115は、真空ポンプ等の図示しない吸引装置に接続され、真空引きによって第1基板W1の外周部を吸着する。
【0046】
複数の内側吸着部116は、複数の外側吸着部115よりも本体部111の径方向内方において、周方向に沿って並べて配置される。複数の内側吸着部116は、真空ポンプ等の図示しない吸引装置に接続され、真空引きによって第1基板W1の外周部と中心部との間の領域を吸着する。
【0047】
第2保持部120について説明する。第2保持部120は、第2基板W2と同径もしくは第2基板W2より大きい径を有する本体部121を有する。ここでは、第2基板W2よりも大きい径を有する第2保持部120を示している。本体部121の上面は、第2基板W2の下面(非接合面W2n)と対向する対向面である。
【0048】
本体部121の上面には、第2基板W2の下面(非接合面W2n)に接触する複数のピン122が設けられている。複数のピン122は、たとえば、径寸法が0.1mm~1mmであり、高さが数十μm~数百μmである。複数のピン122は、たとえば2mmの間隔で均等に配置される。
【0049】
また、本体部121の上面には、下側リブ123が複数のピン122の外側に環状に設けられている。下側リブ123は、環状に形成され、第2基板W2の外周部を全周に亘って支持する。
【0050】
また、本体部121は、複数の下側吸引口124を有する。複数の下側吸引口124は、下側リブ123によって囲まれた吸着領域に複数設けられる。複数の下側吸引口124は、図示しない吸引管を介して真空ポンプ等の図示しない吸引装置に接続される。
【0051】
第2保持部120は、下側リブ123によって囲まれた吸着領域を複数の下側吸引口124から真空引きすることによって吸着領域を減圧する。これにより、吸着領域に載置された第2基板W2は、第2保持部120に吸着保持される。
【0052】
下側リブ123が第2基板W2の下面の外周部を全周に亘って支持するため、第2基板W2は外周部まで適切に真空引きされる。これにより、第2基板W2の全面を吸着保持することができる。また、第2基板W2の下面は複数のピン122に支持されるため、第2基板W2の真空引きを解除した際に、第2基板W2が第2保持部120から剥がれ易くなる。
【0053】
かかる接合装置41は、第1保持部110に第1基板W1を吸着保持し、第2保持部120に第2基板W2を吸着保持する。その後、接合装置41は、複数の内側吸着部116による第1基板W1の吸着保持を解除した後、ストライカー180の押圧ピン181を下降させることによって、第1基板W1の中心部を押下する。これにより、第1基板W1と第2基板W2とが接合された重合基板Tが得られる。重合基板Tは、第4搬送装置37によって接合装置41から搬出される。
【0054】
なお、第1、第2保持部110,120は、たとえばアルミナセラミックスや窒化ケイ素などの絶縁性(非導電性)の部材により形成されるが、これに限定されるものではない。
【0055】
なお、第2保持部120は、接合装置41に搬入された第2基板W2を受け取って保持面(上面)125まで下降させる下降動作、および、重合基板Tを保持面125から搬出位置まで上昇させる上昇動作を行う昇降部170を備えるが、これについては後述する。
【0056】
図3および
図4に戻り、移動部130の構成について説明する。移動部130は、第2保持部120を水平方向に移動させる。具体的には、移動部130は、第2保持部120をY軸方向に沿って移動させる第1移動部131と、第2保持部120をX軸方向に沿って移動させる第2移動部132とを備える。
【0057】
第1移動部131は、Y軸方向に沿って延在する一対の第1レール131aに取り付けられており、かかる一対の第1レール131aに沿って移動可能に構成されている。一対の第1レール131aは、載置台101の上面に設けられる。
【0058】
第2移動部132は、X軸方向に沿って延在する一対の第2レール132aに取り付けられており、かかる一対の第2レール132aに沿って移動可能に構成されている。一対の第2レール132aは、第1移動部131の上面に設けられる。
【0059】
第2保持部120は、第2移動部132に取り付けられており、第2移動部132と一体的に移動する。また、上述したように、第2移動部132は、一対の第2レール132aを介して第1移動部131に取り付けられている。したがって、移動部130は、第1移動部131を移動させることにより、第2保持部120をY軸方向に沿って移動させることができ、第2移動部132を移動させることにより、第2保持部120をX軸方向に沿って移動させることができる。
【0060】
また、第2移動部132は、第2保持部120を鉛直方向に移動自在、且つ鉛直軸周りに回転可能に構成される。
【0061】
このように、移動部130は、第2保持部120をX軸方向、Y軸方向およびθ方向に移動させることにより、第1保持部110に保持されている第1基板W1と、第2保持部120に保持されている第2基板W2との水平方向における位置合わせを行う。また、移動部130は、第2保持部120をZ軸方向に移動させることにより、第1保持部110に保持されている第1基板W1と、第2保持部120に保持されている第2基板W2との鉛直方向における位置合わせを行う。
【0062】
なお、移動部130は、第1保持部110と第2保持部120とを相対的にX軸方向、Y軸方向およびθ方向に移動させることができればよい。たとえば、移動部130は、第1保持部110をX軸方向、Y軸方向およびθ方向に移動させてもよい。また、移動部130は、第2保持部120をX軸方向およびY軸方向に移動させるとともに、第1保持部110をθ方向に移動させてもよい。
【0063】
また、移動部130は、第2基板W2の接合装置41への搬入や、重合基板Tの接合装置41からの搬出の際にも第2保持部120を移動させる。具体的には、移動部130は、第1、第2移動部131,132を移動させることで、第2基板W2の搬入、および、重合基板Tの搬出が行われる搬入出位置と、第1保持部110と対向する対向位置との間で、第2保持部120を移動させる。なお、
図3の例では、搬入出位置にある第2保持部120を実線で示し、対向位置にある第2保持部120を二点鎖線で示している。また、対向位置にある第2保持部120では、保持している第2基板W2が、第1保持部110に保持されている第1基板W1と接合されることから、上記した対向位置は接合位置であるともいえる。
【0064】
ガス供給部140は、FFU(Fan Filter Unit)であり、筐体100の内部に対し、清浄化されたガスを供給する。ガスは、たとえばドライエアまたは窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスである。
【0065】
ガス供給部140は、温調部141およびバルブ142を介してガス供給源143に接続される。ガス供給部140は、バルブ142が開弁されると、ガス供給源143から供給されたガスであって、温調部141によって予め設定された温度に調整されたガスを筐体100の内部に吐出する。
【0066】
図3および
図4の例では、ガス供給部140は、筐体100が有する複数の側面のうち、Y軸方向に直交する側面100aに設けられる。そして、ガス供給部140は、Y軸方向(具体的には、Y軸正方向)に沿ってガスを吐出する(矢印A参照)。
【0067】
排気部150は、筐体100が有する複数の側面のうち、ガス供給部140が取り付けられる側面100aと対向する側面100bに設けられる。排気部150は、真空ポンプ等の図示しない吸引装置に接続されており、かかる吸引装置の吸引力を利用して筐体100の内部を排気する。
【0068】
このように、第1実施形態に係る接合装置41では、筐体100の一の側面100aに設けられたガス供給部140と、側面100aに対向する他の側面100bに設けられた排気部150とにより、筐体100の内部にサイドフローを形成する。
【0069】
イオナイザ160は、帯電している第2基板W2および第2保持部120を除電する除電装置である。なお、以下では、イオナイザ160は、第2基板W2および第2保持部120を除電する例を示すが、これに限定されるものではなく、第2基板W2および第2保持部120の少なくともいずれかを除電する構成であってもよい。
【0070】
ここで、第2基板W2および第2保持部120の帯電について説明する。たとえば、第2基板W2は、接合装置41に搬入される前の処理において帯電し、帯電した状態で接合装置41に搬入されることがある。帯電した第2基板W2が搬入されて第2保持部120に保持されると、第2保持部120も帯電する。また、第2保持部120は、接合処理後の重合基板Tを保持し、第2保持部120によって保持された重合基板Tが接合装置41から搬出される。この搬出の際に、重合基板Tが第2保持部120から剥離されると、かかる剥離に起因して第2保持部120が帯電する。
【0071】
上記のように第2基板W2および第2保持部120が帯電していると、第1基板W1と第2基板W2とを接合するときに、第1基板W1と第2基板W2との間で、帯電量の差が大きくなって放電が発生することがある。かかる放電が発生すると、放電に起因して、第1基板W1と第2基板W2との間(たとえば第1、第2基板W1,W2の中心部付近)にボイドが生じ、基板同士の接合不良が発生してしまう。そのため、本実施形態では、イオナイザ160を用いて、帯電している第2基板W2および第2保持部120を除電するようにした。
【0072】
本実施形態に係るイオナイザ160は、第2保持部120よりも上方に配置される。詳しくは、イオナイザ160は、電源部161と、ヘッド部162と、ケーブル163とを備える。なお、イオナイザ160は、電源部161がヘッド部162から分離した分離型のイオナイザである。
【0073】
電源部161は、筐体100の外部に配置される。電源部161は、ケーブル163を介してヘッド部162に接続される。電源部161は、高圧電圧を発生させる。電源部161は、発生した高圧電圧をケーブル163を介してヘッド部162に供給する。
【0074】
ヘッド部162は、筐体100の内部に配置される。ヘッド部162には、図示しない放電電極部が設けられる。ヘッド部162の放電電極部には、電源部161からの高圧電圧が印加されてコロナ放電が起きる。これにより、ヘッド部162は、正負のイオンを放出(照射)する。
【0075】
なお、上記では、イオナイザ160がコロナ放電方式のイオナイザである例を示したが、これに限定されるものではなく、たとえば軟X線方式、紫外線方式などその他の方式のイオナイザを用いてもよい。
【0076】
本実施形態に係るイオナイザ160においては、このヘッド部162が第2保持部120よりも上方に位置するように配置される。詳しくは、イオナイザ160においては、ヘッド部162が搬入出位置にある第2保持部120の上方に位置するように配置される。具体的には、ヘッド部162は、搬入出位置にある第2保持部120の保持面125から予め設定された所定距離離間した位置に配置される。なお、所定距離は、数十mmまたは数百mmに設定されるが、これに限られず、任意の値に設定可能である。
【0077】
上記した位置に配置されたヘッド部162は、正負のイオンを第2基板W2や第2保持部120へ向けて放出することで、帯電している第2基板W2および第2保持部120を除電する。
【0078】
ここで、イオナイザ160による除電について
図6A~
図7Bを参照して説明する。
図6A~
図7Bは、イオナイザ160による除電を説明するための模式図である。なお、
図6Aおよび
図6Bは、帯電した状態で接合装置41に搬入された第2基板W2の除電、および、かかる第2基板W2を保持する第2保持部120の除電を説明する図である。
図7Aおよび
図7Bは、重合基板Tが接合装置41から搬出される際に、重合基板Tが第2保持部120から剥離されることに起因して帯電する第2保持部120の除電を説明する図である。
【0079】
図6Aに示すように、第2保持部120は、上記した昇降部170を備える。昇降部170は、複数本(たとえば3本。
図6A等では2本のみ示す)のピンである。昇降部170は、本体部121に形成された挿通穴171に挿通されるとともに、鉛直方向(Z軸方向)に昇降可能に構成されている。
【0080】
昇降部170は、先端が保持面125から突出した位置にあるとき、搬入された第2基板W2を受け取る(
図6A参照)。その後、
図6Bに示すように、昇降部170は、先端が保持面125より下方となる位置まで下降することで、第2基板W2を保持面125まで下降させ、これにより第2基板W2は第2保持部120によって保持される。
【0081】
イオナイザ160は、第2保持部120よりも上方に配置されるため、帯電した状態で第2基板W2が搬入された場合であっても、イオンを放出することで、第2基板W2を除電することができる。また、第2保持部120にあっては、除電された第2基板W2を保持することとなるため、第2保持部120の帯電を抑制することができる。また、イオナイザ160は、第2基板W2を保持した第2保持部120に対してイオンを放出することで、第2保持部120を除電することができる。
【0082】
また、
図7Aに示すように、接合処理後の重合基板Tは、第2保持部120の保持面125で保持される。その後、
図7Bに示すように、昇降部170は、先端が保持面125から突出して重合基板Tを保持面125から剥離させて搬出位置まで上昇させる。そして、重合基板Tが接合装置41から搬出される。
【0083】
イオナイザ160は、第2保持部120よりも上方に配置されるため、重合基板Tの剥離に起因して第2保持部120が帯電する場合であっても、イオンを放出することで、第2保持部120を除電することができる。
【0084】
このように、本実施形態にあっては、第2保持部の上方に配置されるイオナイザ160が第2基板W2および第2保持部120を除電するようにした。これにより、今回処理あるいは次回処理において、第1基板W1と第2基板W2とを接合するときに、第1基板W1と第2基板W2との間で、帯電量の差が比較的小さくなって放電の発生を抑制することができる。そのため、第1基板W1と第2基板W2との間に形成されるボイドであって、放電に起因するボイドの発生を抑制することができ、結果として基板同士の接合時に発生する接合不良を抑制することができる。
【0085】
図3および
図4の説明に戻る。イオナイザ160の電源部161は、高圧電圧の発生に伴って発熱する。上記したように、本実施形態に係るイオナイザ160においては、発熱する電源部161が筐体100の外部に配置される。詳しくは、電源部161は、筐体100の内部空間とは異なる外部空間に配置される。一方、イオンを放出するヘッド部162は、筐体100の内部に配置される。
【0086】
これにより、イオナイザ160は、ヘッド部162からのイオンで筐体100内の第2保持部120等を除電できるとともに、電源部161で発生した熱が、温度調整された筐体100の内部空間に対して影響を及ぼすことを低減させることができる。
【0087】
また、
図3に示すように、イオナイザ160(正確にはヘッド部162)は、第2保持部120の中心位置Cに対して、ガスの流れの上流側に配置される。詳しくは、イオナイザ160(ヘッド部162)は、第2保持部120の上方の位置であって、第2保持部120の中心位置Cからガスの流れの上流側にずれた位置に配置される。
【0088】
これにより、イオナイザ160は、放出したイオンを、ガスの流れにのって第2基板W2や第2保持部120の全体に亘って広範囲に到達させることが可能となり、第2基板W2および第2保持部120を効率良く除電することができる。
【0089】
なお、ここでは図示を省略するが、接合装置41は、トランジション、位置調節機構および反転機構等を備える。トランジションは、第1基板W1、第2基板W2および重合基板Tを一時的に載置する。位置調節機構は、第1基板W1および第2基板W2の水平方向の向きを調節する。反転機構は、第1基板W1の表裏を反転させる。
【0090】
<接合システムの具体的動作>
次に、第1実施形態に係る接合システム1の具体的な動作について
図8を参照して説明する。
図8は、第1実施形態に係る接合システム1が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
図8に示す各種の処理は、制御装置70による制御に基づいて実行される。
【0091】
まず、複数枚の第1基板W1を収容したカセットC1、複数枚の第2基板W2を収容したカセットC2、および空のカセットC3が、搬入出ステーション2の所定の載置板11に載置される。その後、搬送装置22によりカセットC1内の第1基板W1が取り出され、第3処理ブロックG3に配置されたトランジション装置に搬送される。
【0092】
次に、第1基板W1は、搬送装置61によって第1処理ブロックG1の表面改質装置30に搬送される。表面改質装置30では、所定の減圧雰囲気下において、処理ガスである酸素ガスが励起されてプラズマ化され、イオン化される。この酸素イオンが第1基板W1の接合面に照射されて、当該接合面がプラズマ処理される。これにより、第1基板W1の接合面が改質される(ステップS101)。
【0093】
次に、第1基板W1は、搬送装置61によって第1処理ブロックG1の表面親水化装置40に搬送される。表面親水化装置40では、スピンチャックに保持された第1基板W1を回転させながら、第1基板W1上に純水を供給する。これにより、第1基板W1の接合面が親水化される。また、当該純水によって、第1基板W1の接合面が洗浄される(ステップS102)。
【0094】
次に、第1基板W1は、搬送装置61によって第2処理ブロックG2の接合装置41に搬送される。接合装置41に搬入された第1基板W1は、トランジションを介して位置調節機構に搬送され、位置調節機構によって水平方向の向きが調節される(ステップS103)。
【0095】
その後、位置調節機構から反転機構に第1基板W1が受け渡され、反転機構によって第1基板W1の表裏面が反転される(ステップS104)。具体的には、第1基板W1の接合面W1jが下方に向けられる。つづいて、反転機構から第1保持部110に第1基板W1が受け渡され、第1保持部110によって第1基板W1が吸着保持される(ステップS105)。
【0096】
第1基板W1に対するステップS101~S105の処理と重複して、第2基板W2の処理が行われる。まず、搬送装置22によりカセットC2内の第2基板W2が取り出され、第3処理ブロックG3に配置されたトランジション装置に搬送される。
【0097】
次に、第2基板W2は、搬送装置61によって表面改質装置30に搬送され、第2基板W2の接合面W2jが改質される(ステップS106)。その後、第2基板W2は、搬送装置61によって表面親水化装置40に搬送され、第2基板W2の接合面W2jが親水化されるとともに当該接合面が洗浄される(ステップS107)。
【0098】
その後、第2基板W2は、搬送装置61によって接合装置41に搬送される。接合装置41に搬入された第2基板W2は、トランジションを介して位置調節機構に搬送される。そして、位置調節機構によって、第2基板W2の水平方向の向きが調節される(ステップS108)。
【0099】
その後、第2基板W2は、第2保持部120の上方に搬送され、第2保持部120の昇降部170は第2基板W2を受け取る。そして、イオナイザ160は、第2保持部120に搬入されて保持される第2基板W2を除電する(ステップS109)。このとき、イオナイザ160は第2保持部120を除電してもよい。
【0100】
つづいて、第2基板W2は、第2保持部120に搬送され、ノッチ部を予め決められた方向に向けた状態で第2保持部120に吸着保持される(ステップS110)。
【0101】
つづいて、第1保持部110に保持された第1基板W1と第2保持部120に保持された第2基板W2との水平方向の位置調節が行われる(ステップS111)。具体的には、第2基板W2の中心位置が、第1基板W1の中心位置と一致するように、第1移動部131および第2移動部132を用いて第2基板W2を移動させる。
【0102】
つづいて、第1基板W1と第2基板W2とを接合する(ステップS112)。
【0103】
まず、第1保持部110に保持された第1基板W1と第2保持部120に保持された第2基板W2との鉛直方向位置の調節を行う。具体的には、第2移動部132が第2保持部120を鉛直上方に移動させることによって、第2基板W2を第1基板W1に接近させる。
【0104】
次に、複数の内側吸着部116による第1基板W1の吸着保持を解除した後、ストライカー180の押圧ピン181を下降させることによって、第1基板W1の中心部を押下する。
【0105】
第1基板W1の中心部が第2基板W2の中心部に接触し、第1基板W1の中心部と第2基板W2の中心部とがストライカー180によって所定の力で押圧されると、押圧された第1基板W1の中心部と第2基板W2の中心部との間で接合が開始される。すなわち、第1基板W1の接合面W1jと第2基板W2の接合面W2jは改質されているため、まず、接合面W1j,W2j間にファンデルワールス力(分子間力)が生じ、当該接合面W1j,W2j同士が接合される。さらに、第1基板W1の接合面W1jと第2基板W2の接合面W2jは親水化されているため、接合面W1j,W2j間の親水基が水素結合し、接合面W1j,W2j同士が強固に接合される。このようにして、接合領域が形成される。
【0106】
その後、第1基板W1と第2基板W2との間では、第1基板W1および第2基板W2の中心部から外周部に向けて接合領域が拡大していくボンディングウェーブが発生する。その後、複数の外側吸着部115による第1基板W1の吸着保持が解除される(ステップS114)。これにより、外側吸着部115によって吸着保持されていた第1基板W1の外周部が落下する。この結果、第1基板W1の接合面W1jと第2基板W2の接合面W2jが全面で当接し、重合基板Tが形成される。
【0107】
その後、押圧ピン181を第1保持部110まで上昇させ、第2保持部120による第2基板W2の吸着保持を解除する。そして、イオナイザ160は、重合基板Tが保持面125から剥離されて搬出される際に、第2保持部120を除電する(ステップS113)。その後、重合基板Tは、搬送装置61によって接合装置41から搬出される。こうして、一連の接合処理が終了する。
【0108】
なお、イオナイザ160は、常時オンとされてイオンを放出するが、これに限定されるものではない。すなわち、イオナイザ160は、たとえば第2保持部120が搬入出位置にあるときにオンされてイオンを放出する一方、第2保持部120が接合位置にあるときにオフされるなど、任意のタイミングでオン/オフの制御が行われてもよい。
【0109】
上述してきたように、第1実施形態に係る接合装置41は、第1保持部110と、第2保持部120と、ストライカー180と、イオナイザ160とを備える。第1保持部110は、第1基板W1を上方から吸着保持する。第2保持部120は、第1保持部110よりも下方に配置され、第2基板W2を下方から吸着保持する。ストライカー180は、第1基板W1の中心部を押圧して第2基板W2に接触させる。イオナイザ160は、第2保持部120よりも上方に配置される。
【0110】
したがって、第1実施形態に係る接合装置41によれば、第2基板W2および第2保持部120を除電することが可能となり、基板同士の接合時に発生する接合不良を抑制することができる。
【0111】
また、接合装置41は、移動部130を備える。移動部130は、第2基板W2の搬入、および、第1基板W1と第2基板W2とが接合された重合基板Tの搬出が行われる搬入出位置と、第1保持部110と対向する対向位置との間で、第2保持部120を移動させる。また、イオナイザ160は、搬入出位置にある第2保持部120よりも上方に配置される。これにより、搬入出位置にある第2保持部120、および、第2保持部120に保持される第2基板W2を除電することができる。
【0112】
また、イオナイザ160は、第2保持部120に搬入されて保持される第2基板W2を除電する。また、イオナイザ160は、第1基板W1と第2基板W2とが接合された重合基板Tが保持面125から剥離される第2保持部120を除電する。詳しくは、イオナイザ160は、第2保持部120に搬入されて保持される第2基板W2を除電した後、重合基板Tが保持面125から剥離される第2保持部120を除電する。これにより、第2基板W2および第2保持部120を効果的に除電することが可能となり、基板同士の接合時に発生する接合不良をより一層抑制することができる。
【0113】
また、接合装置41は、少なくとも第2保持部120を収容する筐体100を備える。イオナイザ160は、筐体100の内部に配置され、イオンを放出するヘッド部162と、筐体100の外部に配置され、ヘッド部162に接続される電源部161とを備える。これにより、イオナイザ160は、ヘッド部162からのイオンで筐体100内の第2保持部120等を除電できる。また、イオナイザ160は、電源部161で発生した熱が、筐体100の内部空間に対して影響を及ぼすことを低減させることができる。
【0114】
また、接合装置41は、筐体100の内部に対し、ガスを供給するガス供給部140を備える。イオナイザ160は、第2保持部120の中心位置Cに対して、ガスの流れの上流側に配置される。これにより、イオナイザ160は、放出したイオンを、ガスの流れにのって第2基板W2や第2保持部120の全体に亘って広範囲に到達させることが可能となり、第2基板W2および第2保持部120を効率良く除電することができる。
【0115】
(第2実施形態)
上述した第1実施形態では、イオナイザ160を用いて、帯電した第2基板W2および第2保持部120を除電する例について説明した。これに限らず、接合装置41は、第2基板W2および第2保持部120の帯電を抑制しつつ除電するような構成であってもよい。
図9は、第2実施形態に係る接合装置41の第2保持部120の構成例を示す模式図である。なお、第2実施形態に係る接合装置41は、イオナイザ160を備えていない。
【0116】
図9に示すように、第2実施形態に係る第2保持部120は、接地されている。また、第2保持部120は、導電性の部材により形成される。導電性の部材としては、金属材(たとえばアルミニウム)や導電性を有するセラミックス(たとえば炭化ケイ素)などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0117】
このように、第2実施形態に係る第2保持部120は、導電性の部材により形成されるとともに、接地されている。これにより、第2保持部120は、たとえば帯電した状態で第2基板W2が搬入されて保持する場合や、図示しない重合基板Tが剥離される場合であっても、静電気等を逃がすことができるため、帯電を抑制しつつ除電することが可能となる。
【0118】
従って、たとえば今回処理あるいは次回処理において、第1基板W1と第2基板W2とを接合するときに、第1基板W1と第2基板W2との間で、帯電量の差が比較的小さくなって放電の発生を抑制することができる。そのため、第1基板W1と第2基板W2との間に形成されるボイドであって、放電に起因するボイドの発生を抑制することができ、結果として基板同士の接合時に発生する接合不良を抑制することができる。
【0119】
また、第2実施形態に係る第2保持部120の昇降部170は、接地されている。また、昇降部170は、導電性の部材により形成される。導電性の部材としては、金属材(たとえばアルミニウム)や導電性を有するセラミックス(たとえば炭化ケイ素)などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0120】
このように、第2実施形態に係る昇降部170は、導電性の部材により形成されるとともに、接地されている。これにより、昇降部170は、たとえば帯電した状態で第2基板W2が搬入されて受け取る場合や、図示しない重合基板Tを持ち上げて剥離する場合であっても、静電気等を逃がすことができるため、帯電を抑制しつつ除電することが可能となる。これにより、上記と同様、基板同士の接合時に発生する接合不良を抑制することができる。
【0121】
<接合システムの具体的動作>
次に、第2実施形態に係る接合システム1の具体的な動作について
図10を参照して説明する。
図10は、第2実施形態に係る接合システム1が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
図10に示す各種の処理は、制御装置70による制御に基づいて実行される。
【0122】
図10に示すように、第2実施形態に係る接合システム1が実行する処理では、第1実施形態におけるイオナイザ160を用いた処理が省略される。詳しくは、イオナイザ160で第2基板W2等を除電する処理(ステップS109)と、イオナイザ160で第2保持部120を除電する処理(ステップS113)とが省略される。
【0123】
ステップS109およびステップS113は省略されるが、第2基板W2および第2保持部120は、上記のように構成された第2保持部120および昇降部170によって帯電が抑制されつつ除電される。
【0124】
なお、上記した第1実施形態および第2実施形態は、適宜に組み合わせることができる。すなわち、例えば、第1実施形態と第2の実施形態とを組み合わせて、イオナイザ160を備える接合装置41において、第2保持部120等が導電性の部材により形成されるとともに、接地される構成としてもよい。
【0125】
なお、本開示は以下のような構成もとることができる。
(1)
第1基板を上方から吸着保持する第1保持部と、
前記第1保持部よりも下方に配置され、第2基板を下方から吸着保持する第2保持部と、
前記第1基板の中心部を押圧して前記第2基板に接触させるストライカーと、
前記第2保持部よりも上方に配置されるイオナイザと
を備える、接合装置。
(2)
前記第2基板の搬入、および、前記第1基板と前記第2基板とが接合された重合基板の搬出が行われる搬入出位置と、前記第1保持部と対向する対向位置との間で、前記第2保持部を移動させる移動部
を備え、
前記イオナイザは、
前記搬入出位置にある前記第2保持部よりも上方に配置される、
(1)に記載の接合装置。
(3)
前記イオナイザは、
前記第2保持部に搬入されて保持される前記第2基板を除電する、
(1)または(2)に記載の接合装置。
(4)
前記イオナイザは、
前記第1基板と前記第2基板とが接合された重合基板が保持面から剥離される前記第2保持部を除電する、
(1)~(3)のいずれか一つに記載の接合装置。
(5)
前記イオナイザは、
前記第2保持部に搬入されて保持される前記第2基板を除電した後、前記第1基板と前記第2基板とが接合された重合基板が保持面から剥離される前記第2保持部を除電する、 (1)~(4)のいずれか一つに記載の接合装置。
(6)
少なくとも前記第2保持部を収容する筐体、
を備え、
前記イオナイザは、
前記筐体の内部に配置され、イオンを放出するヘッド部と、
前記筐体の外部に配置され、前記ヘッド部に接続される電源部と
を備える、(1)~(5)のいずれか一つに記載の接合装置。
(7)
少なくとも前記第2保持部を収容する筐体と、
前記筐体の内部に対し、ガスを供給するガス供給部と
を備え、
前記イオナイザは、
前記第2保持部の中心位置に対して、前記ガスの流れの上流側に配置される、
(1)~(6)のいずれか一つに記載の接合装置。
(8)
第1基板を上方から吸着保持する第1保持部と、
前記第1保持部よりも下方に配置され、第2基板を下方から吸着保持する第2保持部と、
前記第1基板の中心部を押圧して前記第2基板に接触させるストライカーと
を備え、
前記第2保持部は、
導電性の部材により形成されるとともに、接地されている、
接合装置。
(9)
前記第2保持部は、
搬入された前記第2基板を保持面まで下降させる下降動作、および、前記第1基板と前記第2基板とが接合された重合基板を前記保持面から搬出位置まで上昇させる上昇動作を行う昇降部
を備え、
前記昇降部は、
導電性の部材により形成されるとともに、接地されている、
(8)に記載の接合装置。
(10)
第1基板および第2基板の表面を改質する表面改質装置と、
改質された前記第1基板および前記第2基板の表面を親水化する表面親水化装置と、
親水化された前記第1基板と前記第2基板とを分子間力により接合する接合装置と
を備え、
前記接合装置は、
前記第1基板を上方から吸着保持する第1保持部と、
前記第1保持部よりも下方に配置され、前記第2基板を下方から吸着保持する第2保持部と、
前記第1基板の中心部を押圧して前記第2基板に接触させるストライカーと、
前記第2保持部よりも上方に配置されるイオナイザと
を備える、接合システム。
(11)
第1基板および第2基板の表面を改質する表面改質装置と、
改質された前記第1基板および前記第2基板の表面を親水化する表面親水化装置と、
親水化された前記第1基板と前記第2基板とを分子間力により接合する接合装置と
を備え、
前記接合装置は、
前記第1基板を上方から吸着保持する第1保持部と、
前記第1保持部よりも下方に配置され、前記第2基板を下方から吸着保持する第2保持部と、
前記第1基板の中心部を押圧して前記第2基板に接触させるストライカーと、
を備え、
前記第2保持部は、
導電性の部材により形成されるとともに、接地されている、
接合システム。
(12)
イオナイザを用いて、第1保持部よりも下方に配置された第2保持部を除電する工程と、
前記第1保持部を用いて、第1基板を上方から吸着保持する工程と、
前記イオナイザを用いて、前記第2保持部に搬入されて保持された第2基板を除電する工程と、
前記第2保持部を用いて、前記第2基板を下方から吸着保持する工程と、
ストライカーを用いて、前記第1基板の中心部を押圧して前記第2基板に接触させる工程と
を含む、接合方法。
(13)
第1保持部を用いて、第1基板を上方から吸着保持する工程と、
第2保持部を用いて、第2基板を下方から吸着保持する工程と、
ストライカーを用いて、前記第1基板の中心部を押圧して前記第2基板に接触させる工程と
を含み、
前記第2保持部は、
導電性の部材により形成されるとともに、接地されている、
接合方法。
【0126】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0127】
1 接合システム
30 表面改質装置
40 表面親水化装置
41 接合装置
70 制御装置
100 筐体
110 第1保持部
120 第2保持部
130 移動部
140 ガス供給部
160 イオナイザ
161 電源部
162 ヘッド部
170 昇降部
180 ストライカー
T 重合基板
W1 第1基板
W2 第2基板