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特開2024-126906編組線接続構造、編組線接続方法およびシールドブラケット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126906
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】編組線接続構造、編組線接続方法およびシールドブラケット
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20240912BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20240912BHJP
   H02G 15/08 20060101ALI20240912BHJP
   H01R 4/64 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H05K9/00 L
H02G3/30
H02G15/08
H01R4/64 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035654
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】井上 郁哉
【テーマコード(参考)】
5E321
5G363
5G375
【Fターム(参考)】
5E321AA24
5E321BB41
5E321CC03
5E321GG09
5G363AA09
5G363BA02
5G363DA13
5G363DC02
5G375AA12
5G375CA03
5G375CA12
5G375CA13
5G375DB04
(57)【要約】
【課題】シールドブラケットの変形を最小限にして内部スペースを確保しつつ編組線を接続できる編組線接続構造、編組線接続方法およびシールドブラケットを提供すること。
【解決手段】シールドブラケット4は、長手方向に沿って延在する溶接部6を有する筒状の本体部5と、本体部5の内部に配置されるインナーリング11と、を具備し、インナーリング11が本体部5の内部に固定される。編組線固定構造21では、板状部材15を筒状に丸めて筒状体22を形成する工程と、編組線10の先端にインナーリング11を取り付けて、インナーリング11を筒状体22に挿入する工程と、板状部材15の端部16同士を突き合わせて溶接し、筒状の本体部5を形成する工程と、によってインナーリング11と本体部5との間に編組線10が挟まれ、編組線10がシールドブラケット4に接続される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールドブラケットへの編組線の接続構造であって、
前記シールドブラケットは、長手方向に沿って延在する溶接部を有する筒状の本体部と、
前記本体部の内部に配置されるインナーリングと、
を具備し、
少なくとも前記インナーリングと前記本体部との間に前記編組線が挟まれていることを特徴とする編組線接続構造。
【請求項2】
前記編組線の内部に電線が挿通されることを特徴とする請求項1記載の編組線接続構造。
【請求項3】
前記本体部と連結された電線押さえ部をさらに具備し、
前記電線押さえ部は、前記本体部に挿通される電線を保持可能であることを特徴とする請求項2記載の編組線接続構造。
【請求項4】
前記本体部の一方の端部に形成され、平板状で締結穴を有する取付部が設けられることを特徴とする請求項1記載の編組線接続構造。
【請求項5】
前記溶接部は、前記本体部の長手方向に鋸歯状に形成されることを特徴とする請求項1記載の編組線接続構造。
【請求項6】
前記インナーリングの外面は、軸方向に対して凹凸が形成されることを特徴とする請求項1記載の編組線接続構造。
【請求項7】
前記インナーリングは、前記本体部の後端側から所定の距離だけ前記本体部の奥側に配置されることを特徴とする請求項1記載の編組線接続構造。
【請求項8】
前記本体部の内面に、前記インナーリングの位置決め用の突起が形成されることを特徴とする請求項7記載の編組線接続構造。
【請求項9】
シールドブラケットへの編組線の接続方法であって、
板状部材を筒状にして筒状体を形成する工程と、
編組線の先端にインナーリングを取り付けて、前記インナーリングを前記筒状体に挿入する工程と、
前記板状部材の端部同士を突き合わせて溶接し、筒状の本体部を形成する工程と、
を具備することを特徴とする編組線接続方法。
【請求項10】
前記板状部材の端部同士を突き合わせて溶接した後、前記本体部を外周からかしめ加工することを特徴とする請求項9記載の編組線接続方法。
【請求項11】
シールドブラケットであって、
長手方向に沿って延在する溶接部を有する筒状の本体部と、
前記本体部の内部に配置されるインナーリングと、
を具備し、
前記インナーリングが前記本体部の内部に固定されることを特徴とするシールドブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編組線接続構造、編組線接続方法およびシールドブラケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電動車に用いられる高圧電線回路において、ノイズ対策のために、シールド部材である編組線で電線を包囲したシールド電線が用いられることがある。この場合、シールドシェル等の接続部材で編組線を金属層に接続してアースを取る。
【0003】
特許文献1には、シールド電線をシールドシェルに接続する構造として、本体部および小径部を有するシールドシェルにシールド電線の心線および絶縁被覆を通し、小径部を編組線の端部で覆って金属製のシールドリングで加締め、心線および絶縁被覆が通されたインナーホルダーをシールドシェルの本体部の内部に固定するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-268562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようにシールドリングを小径部の外側から加締める場合、圧着加締めを行う専用設備が必要であり、製造工程も複雑になる。また、シールドリングを加締めることでシールドシェルの外側に出っ張りやエッジ部が形成され、周辺部品や作業者を傷つけたりアース接続時に被固定部と干渉したりする懸念がある。内通電線保護のためのインナーホルダーは、シールドリングでの圧着加締めや締め付けによってシールドシェルが変形して内通電線が損傷するのを防止するが、専用の樹脂部品を用いるため高価である。
【0006】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすることは、シールドブラケットの変形を最小限にして内部スペースを確保しつつ編組線を接続できる編組線接続構造、編組線接続方法およびシールドブラケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、第1の発明は、シールドブラケットへの編組線の接続構造であって、前記シールドブラケットは、長手方向に沿って延在する溶接部を有する筒状の本体部と、前記本体部の内部に配置されるインナーリングと、を具備し、少なくとも前記インナーリングと前記本体部との間に前記編組線が挟まれていることを特徴とする編組線接続構造である。
【0008】
前記編組線の内部に電線が挿通されることが望ましい。
【0009】
前記本体部と連結された電線押さえ部をさらに具備し、前記電線押さえ部は、前記本体部に挿通される電線を保持可能であることが望ましい。
【0010】
前記本体部の一方の端部に形成され、平板状で締結穴を有する取付部が設けられることが望ましい。
【0011】
前記溶接部は、前記本体部の長手方向に対して鋸歯状に形成されてもよい。
【0012】
前記インナーリングの外面は、軸方向に対して凹凸が形成されてもよい。
前記インナーリングは、前記本体部の後端側から所定の距離だけ前記本体部の奥側に配置されてもよい。
【0013】
前記本体部の内面に、前記インナーリングの位置決め用の突起が形成されてもよい。
【0014】
第1の発明の編組線接続構造によれば、シールドブラケットの本体部が溶接によって筒状に接合されるため、本体部を簡単に管状に成型することができ、シールド遮蔽性能を確保できる。また、本体部の内部に配置されるインナーリングと本体部との間に編組線が挟まれるため、シールドブラケットの初期形状を維持して内部スペースを確保しつつ、編組線をシールドブラケットに接続できる。
【0015】
また、編組線の内部に挿通された電線は、内部スペースが確保された本体部に内通されるので損傷の恐れがない。
【0016】
また、本体部と連結された電線押さえ部で本体部に挿通される電線を保持可能とすれば、電線の固定構造を簡素化できる。また、電線の保持に専用のインナーホルダーを用いた場合と比較して、コストを削減でき、インナーホルダーの位置決めや仮保持の作業も不要となる。
【0017】
また、締結穴を有する取付部が本体部の端部に設けられれば、アース接続のための取付部と本体部とを一枚の金属板から簡単な加工によって一体で製造できる。
【0018】
また、溶接部を鋸歯状に形成すれば、十分な溶接長さを確保でき、強固に接合が可能である。
【0019】
また、インナーリングの外面に軸方向に対して凹凸が形成されれば、編組線が凹凸と噛み合うため、本体部とインナーリングとの間からの編組線の抜け出しを防止できる。
【0020】
また、インナーリングが本体部の後端側から所定の距離だけ奥側に配置されれば、インナーリングが本体部から抜け出しにくい。
【0021】
また、本体部の内面にインナーリングの位置決め用の突起が形成されれば、本体部に対してインナーリングを突起で位置決めして保持でき、インナーリングの本体部からの抜け出しが防止される。
【0022】
第2の発明は、シールドブラケットへの編組線の接続方法であって、板状部材を筒状にして筒状体を形成する工程と、編組線の先端にインナーリングを取り付けて、前記インナーリングを前記筒状体に挿入する工程と、前記板状部材の端部同士を突き合わせて溶接し、筒状の本体部を形成する工程と、を具備することを特徴とする編組線接続方法である。
【0023】
前記板状部材の端部同士を突き合わせて溶接した後、前記本体部を外周からかしめ加工してもよい。
【0024】
第2の発明の編組線接続方法では、板状部材を丸めた筒状体に先端にインナーリングを取り付けた編組線を挿入した後、板状部材の端部同士を溶接して筒状の本体部を形成する。そのため、シールドブラケットの製造工程で本体部の形成と同時に編組線を本体部とインナーリングとの間に挟み込むことができ、従来の一括編組線の接続方法よりも製造工程を減らせる。また、シールドリングを外側から加締めないため、本体部の初期形状を維持して内部スペースを確保しつつシールドブラケットに編組線を接続できる。
【0025】
また、筒状の本体部を形成した後、本体部を外周からかしめ加工すれば、本体部の変形を最小限に留めつつ、本体部とインナーリングとの間に編組線をより強固に挟み込むことができる。
【0026】
第3の発明は、シールドブラケットであって、長手方向に沿って延在する溶接部を有する筒状の本体部と、前記本体部の内部に配置されるインナーリングと、を具備し、前記インナーリングが前記本体部の内部に固定されることを特徴とするシールドブラケットである。
【0027】
第3の発明のシールドブラケットでは、インナーリングが筒状の本体部の内部に固定される。そのため、本体部の外側にシールドリングが固定される場合と比較して、本体部の外径に大きな変化がなく、アース接続時に周辺部品への干渉の懸念が少ない。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、シールドブラケットの変形を最小限にして内部スペースを確保しつつ編組線を接続できる編組線接続構造、編組線接続方法およびシールドブラケットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】車体1を示す図。
図2】編組線接続構造21の斜視図。
図3】(a)は編組線接続構造21の側面図、(b)は編組線接続構造21の上面図。
図4】(a)は図3(b)に示す線A-Aによる断面図、(b)は図3(b)に示す線B-Bによる断面図。
図5】(a)は編組線10をインナーリング11に取り付ける工程を示す図、(b)はインナーリング11を筒状体22に挿入する工程を示す図。
図6】(a)(b)は、それぞれ編組線接続構造21a、21bのインナーリング11付近の断面図。
図7】編組線接続構造21cの上面図。
図8】(a)はインナーリング11aを示す図、(b)は編組線接続構造21dのインナーリング11a付近の断面図。
図9】(a)は編組線接続構造21eのインナーリング11付近の断面図、(b)は板状部材15aを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[第1の実施形態]
以下、図面に基づいて本発明の第1の実施形態について詳細に説明する。図1は、編組線接続構造21が用いられる車体1を示す図である。また、図2から図4は、編組線接続構造21を示す図であり、図5は、シールドブラケットへの編組線10の接続方法を示す図である。なお、以下の説明では、シールドブラケットや編組線接続構造について、電線12が取り出される方向を前方、シールド電線3(編組線10)が延伸する方向を後方とする。
【0031】
図1に示す例では、車体1内の各種の装置同士がシールド電線3で繋がれる。シールド電線3は、図2から図4に示すように電線12が編組線10の内部に挿通されて、電線12が編組線10で覆われるものである。編組線接続構造21は、シールドブラケット4への編組線10の接続構造であり、シールド性を有する金属筐体2(図1参照)にシールドブラケット4を介してシールド電線3の編組線10を接続してアースを取るために用いられる。
【0032】
図2から図4に示すように、シールドブラケット4は、本体部5、車体取付部7、インナーリング11、電線押さえ部17等からなる。本体部5、車体取付部7、電線押さえ部17は、図5(a)に示す1枚の板状部材15から形成される。板状部材15は、例えば鋼板に亜鉛メッキを施したものである。インナーリング11は、本体部5より剛性が高い例えば金属部材であることが望ましい。
【0033】
本体部5は、円筒状であり、長手方向に沿って延在する溶接部6を有する。溶接部6は、レーザ加工によるものであることが望ましい。車体取付部7は、平板状であり、本体部5の前方の端部に形成される。車体取付部7は、本体部5の長手方向および長手方向と直交する方向に突出するように形成され、長手方向に直交する方向に突出する部分に車体締結穴8を有する。
【0034】
インナーリング11は、本体部5の内部に配置される。インナーリング11は、環状であり、外径が本体部5の内径と略同等である。インナーリング11は、本体部5の後端9から所定の距離だけ本体部5の奥側に配置される。すなわち、インナーリング11の後端23は本体部5の後端9より前方に位置する。
【0035】
電線押さえ部17は、車体取付部7と一体であり、本体部5と連結される。電線押さえ部17はバネ性を有する。このため、端部18に車体取付部7から離す方向の力を加えると電線押さえ部17と車体取付部7とで囲まれた空間を拡げることができ、端部18から力を取り除くと元に戻る。なお、電線押さえ部17を自由に屈曲させることができるようにしてもよい。例えば、空間を広げた状態や閉じた状態に自由に塑性変形可能であってもよい。
【0036】
編組線接続構造21では、シールド電線3の編組線10の前端部がインナーリング11の内側に通されて外側に折り返される。編組線10の少なくとも折り返された部分は、本体部5とインナーリング11との間に挟まれることにより、シールドブラケット4に固定される。
【0037】
編組線10から露出した電線12は、インナーリング11および本体部5に挿通され、電線押さえ部17で保持される。電線12は、少なくともインナーリング11および本体部5に挿通された範囲と電線押さえ部17で保持された範囲とが電線保護材13で覆われる。すなわち、電線保護材13は、シールドブラケット4の総長よりも長い。電線保護材13は、例えばツイストチューブなどが適用可能であり、樹脂成型品でなくてもよく、電線12の保護が可能な部材であればよい。また、電線保護材13は、ある程度柔軟性を有するビニールチューブやビニールシート等でもよい。
【0038】
シールドブラケット4に編組線10を接続するには、図5(a)に示す板状部材15の本体部5に対応する部分を筒状に丸めて、図5(b)に示す筒状体22を形成する。また、板状部材15の電線押さえ部17に対応する部分を、図5(b)に示すように端部18が車体締結穴8側に位置するように曲げ加工する。
【0039】
そして、編組線10の前端部付近を図5(a)の矢印に示すようにインナーリング11に挿入し、外側に折り返すことで、図5(b)に示すように編組線10の先端にインナーリング11を取り付ける。その後、インナーリング11を図5(b)の矢印に示すように筒状体22に後端9側から挿入する。次に、板状部材15の端部16同士を突き合わせて溶接し、図2から図4に示す筒状の本体部5を形成する。板状部材15の端部16同士を溶接することにより、インナーリング11と本体部5との間に編組線10が挟まれた状態で、インナーリング11が本体部5の内部に固定される。
【0040】
その後、電線12を編組線10に挿通する。また、電線12のうち電線保護材13で保護された範囲をシールドブラケット4の本体部5に挿通して電線押さえ部17で保持する。
【0041】
編組線接続構造21は、シールドブラケット4の車体締結穴8にボルト等の図示しない固定具を設置して金属筐体2に固定される。シールドブラケット4の本体部5から車体取付部7側に延びる電線12は、接続対象である接続機器に接続される。
【0042】
このように、第1の実施形態のシールドブラケット4は、本体部5が溶接部6によって筒状に接合され、本体部5と車体取付部7と電線押さえ部17とが一体で形成される。そのため、構造が簡素であり、簡単な加工で安価に製造できる。また、溶接部6をレーザ加工するので、本体部5を確実に管状に成型してシールド遮蔽性能を確保でき、プレス加工のための設備費も抑制できる。
【0043】
編組線接続構造21は、編組線10に取り付けたインナーリング11が溶接部6の形成と同時に本体部5の内部に固定される。そのため、シールドブラケット4の初期形状を維持して内部スペースを確保しつつ編組線10をシールドブラケット4に接続できる。また、本体部5の外径に大きな変化がないので、金属筐体2への接続時に本体部5が金属筐体2や周辺部品と干渉する可能性が小さい。
【0044】
編組線接続構造21は、既存の汎用品である電線保護材13で保護された電線12を電線押さえ部17で保持可能であるため、電線12の固定構造を簡素化できる。また、インナーリング11が本体部5の後端9より本体部5の奥側に配置されるので、インナーリング11の後端23が溶接部6のビード14や変形による縮径部に接触することによって本体部5からのインナーリング11の抜け出しが防止される。
【0045】
なお、溶接部6はレーザ加工によるものに限らず、他の方法で加工してもよい。例えば、抵抗溶接や超音波溶接であれば、溶接後の見た目に優れ、溶接部の厚みを薄くすることができる。また、溶接部6を形成すると同時に、本体部5と編組線10の一部を溶接してもよく、さらに、編組線10の一部とインナーリング11とを溶接してもよい。
【0046】
インナーリング11は、エンボス加工などによって外面を粗面化してもよい。これにより、粗面化しない場合と比較して、インナーリング11と本体部5との間に編組線10が挟まれた状態においてインナーリング11の外面と編組線10との摩擦力が高まり、編組線10の抜け出しを防止できる。
【0047】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について説明する。図6は、編組線接続構造21a、21bを示す図である。図6(a)、図6(b)に示す部分は、図4(a)に図示した編組線接続構造21のインナーリング11付近に相当し、電線12および電線保護材13は図示を省略している。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同様の機能を奏する構成については図1図5と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0048】
第2の実施形態の編組線接続方法は、板状部材15(筒状体22)の端部16同士を突き合わせて溶接した後、本体部5を外周からかしめ加工する点で第1の実施形態の編組線接続方法と異なる。
【0049】
図6(a)に示す編組線接続構造21aでは、第1の実施形態の編組線接続方法と同様の手順で筒状の本体部5を形成した後、本体部5のうちインナーリング11の部位がインナーリング11を除く部位より縮径するように、外周からかしめ加工する。これにより、インナーリング11と本体部5との間に編組線10をより強固に挟み込んで固定することができる。
【0050】
図6(b)に示す編組線接続構造21bでは、第1の実施形態の編組線接続方法と同様の手順で筒状の本体部5を形成した後、本体部5のインナーリング11を除く部位がインナーリング11の部位より縮径するように、外周からかしめ加工する。これにより、本体部5の内部でのインナーリング11の位置を固定し、本体部5からの編組線10やインナーリング11の抜け出しを防止できる。
【0051】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態について説明する。図7は、編組線接続構造21cを示す図である。第3の実施形態の編組線接続構造21cは、溶接部6aが鋸歯状に形成される点で第1の実施形態の編組線接続構造21と異なる。
【0052】
図7に示すように、編組線接続構造21cでは、シールドブラケット4aの溶接部6aが本体部5の長手方向に対して直線状ではなく、鋸歯状に形成される。シールドブラケット4aに編組線10を接続するには、図5(a)に示す板状部材15の端部16を三角波形状とした板状部材を用いる。
【0053】
第3の実施形態のシールドブラケット4aおよび編組線接続構造21cも、第1の実施形態のシールドブラケット4および編組線接続構造21と同様の効果を有する。また、シールドブラケット4aおよび編組線接続構造21cは、溶接部6aが鋸歯状に形成されるので十分な溶接長さを確保できる。
【0054】
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態について説明する。図8は、インナーリング11aおよび編組線接続構造21dを示す図である。図8(b)に示す部分は、図4(a)に図示したシールドブラケット4のインナーリング11付近に相当し、電線12および電線保護材13は図示を省略している。
【0055】
第4の実施形態の編組線接続構造21dは、インナーリング11aの外面に凹凸が形成される点で第1の実施形態の編組線接続構造21と主に異なる。
【0056】
図8(a)に示すように、インナーリング11aの外面は、軸方向に対して凹凸が形成される。なお、図8(a)では蛇腹状の凹凸を図示したが、凹凸の形状はこれに限らない。インナーリング11aは、図8(b)に示すように本体部5の後端9に後端23を揃えて配置してもよいし、図4(a)と同様に本体部5の後端9の前方に後端23を配置してもよい。
【0057】
第4の実施形態のシールドブラケット4bおよび編組線接続構造21dも、第1の実施形態のシールドブラケット4および編組線接続構造21と同様の効果を有する。また、シールドブラケット4bおよび編組線接続構造21dは、インナーリング11aの外面に凹凸が形成されるので、編組線10が凹凸と噛み合うことによって本体部5とインナーリング11aとの間からの編組線10の抜け出しを防止できる。
【0058】
[第5の実施形態]
次に、第5の実施形態について説明する。図9は、編組線接続構造21eおよび板状部材15aを示す図である。図9(a)に示す部分は、図4(a)に図示したシールドブラケット4のインナーリング11付近に相当し、電線12および電線保護材13は図示を省略している。
【0059】
第5の実施形態の編組線接続構造21eは、シールドブラケット4cに突起19が形成される点で第1の実施形態の編組線接続構造21と主に異なる。
【0060】
図9(a)に示すように、シールドブラケット4cは、本体部5aの内面にインナーリング11の位置決め用の突起19が形成される。突起19は、例えば、インナーリング11の前方と後方に各1ヶ所ずつ形成される。
【0061】
シールドブラケット4cに編組線10を接続するには、図9(b)に示す板状部材15aを用いる。板状部材15aは切込み20を有する。突起19は、板状部材15aの本体部5aに相当する部分を筒状に丸めて筒状体とする際に、切込み20を筒状体の内側となる向きに折り込んで形成される。突起19を形成することで、筒状体にインナーリング11を挿入する際にインナーリング11の位置合わせが容易になる。また、インナーリング11を突起19で仮保持した状態で端部16同士を溶接できるので、作業時にインナーリング11の位置ずれが生じない。
【0062】
第5の実施形態のシールドブラケット4cおよび編組線接続構造21eも、第1の実施形態のシールドブラケット4および編組線接続構造21と同様の効果を有する。また、シールドブラケット4cおよび編組線接続構造21eは、本体部5aに突起19が形成されるので、インナーリング11の本体部5aからの抜け出しを防止できる。
【0063】
なお、突起19の位置や数量は上記したものに限らない。例えば、インナーリング11の後方のみに突起19を設けてもよいし、本体部5aの周方向に複数の突起19を設けてもよい。また、突起19の形成方法は上記したものに限らない。
【0064】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0065】
例えば、上述した実施形態では本体部を円筒状としたが円形以外の筒状であってもよく、インナーリングは本体部に合わせた形状であればよい。また、車体取付部7や車体締結穴8の形状や位置は上記したものに限らない。車体取付部7は被固定部に合わせた形状であればよく、車体締結穴8は電線12と干渉しない位置に設ければよい。また、電線押さえ部17は板状部材15と別体で製作したものを車体取付部7と連結してもよい。車体取付部7や電線押さえ部17は必須ではない。
【0066】
上述した実施例では、車体取付部に車体締結穴を形成してシールドブラケットを車体に接続する例を説明したが、本発明のシールドブラケットは、車体1の金属筐体2以外の車体アースに接続される部材に固定されてもよい。例えば、シールドブラケットの取付部の締結穴を用いて、バッテリーパックの筐体やPCUといったユニット等の筐体アースにも接続可能である。また、シールド電線3の構成は上記したものに限らず、編組線10の内部に複数の電線が配置されていてもよい。
【0067】
また、上述した各実施形態における構成は、互いに組み合わせることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0068】
1………車体
2………金属筐体
3………シールド電線
4、4a、4b、4c………シールドブラケット
5、5a………本体部
6、6a……溶接部
7………車体取付部
8………車体締結穴
9、23………後端
10………編組線
11、11a………インナーリング
12………電線
13………電線保護材
14………ビード
15、15a………板状部材
16、18………端部
17………電線押さえ部
19………突起
20………切込み
21、21a、21b、21c、21d、21e………編組線接続構造
22………筒状体
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9