(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126925
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】キャビネット
(51)【国際特許分類】
E06B 7/23 20060101AFI20240912BHJP
F04B 23/02 20060101ALI20240912BHJP
E03B 5/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
E06B7/23 Z
F04B23/02 A
E03B5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035688
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 保昭
【テーマコード(参考)】
2E036
3H071
【Fターム(参考)】
2E036AA01
2E036BA01
2E036CA01
2E036DA02
2E036EB02
2E036GA02
2E036HB38
3H071AA02
3H071BB01
3H071BB13
3H071CC28
3H071DD83
(57)【要約】
【課題】簡単な構造で雨水などの液体の浸入を防止することができるキャビネットが提供される。
【解決手段】キャビネット30は、キャビネット本体31と、カバー35と、を備える。カバー35は、傾斜面66A上をスライド移動するスライド突起100を有している。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネット本体と、
前記キャビネット本体に着脱可能に取り付けられたカバーと、を備え、
前記キャビネット本体は、前記カバーに対向する正面部から前記正面部の反対側に配置された背面部に向かって斜め下方に傾斜する傾斜面を有する上面部を備えており、
前記カバーは、前記傾斜面上をスライド移動するスライド突起を有しており、
前記スライド突起は、前記傾斜面に滑らかに接触する曲面部を有している、キャビネット。
【請求項2】
前記スライド突起は、前記曲面部から折れ曲がる折れ曲がり部を有しており、
前記カバーを前記キャビネット本体に取り付けたとき、前記折れ曲がり部は、前記上面部に形成された段部に接触する、請求項1に記載のキャビネット。
【請求項3】
前記スライド突起は、
前記カバーの上面壁から下方に延び、かつ前記曲面部に接続された第1部位と、
前記上面壁と平行に延び、かつ前記第1部位に接続された第2部位と、を有している、請求項1に記載のキャビネット。
【請求項4】
前記スライド突起は、前記第2部位に接続され、かつ前記第1部位と平行に延びる第3部位をさらに有しており、
前記カバーは、前記第3部位に取り付けられ、かつ前記スライド突起のスライド移動により、前記キャビネット本体に押し付けられるシール部材を備えている、請求項3に記載のキャビネット。
【請求項5】
前記スライド突起は、前記第3部位に接続され、かつ前記カバーの正面壁を補強する第4部位をさらに有している、請求項4に記載のキャビネット。
【請求項6】
前記第1部位、前記第2部位、前記第3部位、および前記第4部位を有する前記スライド突起は、一体成形部材である、請求項5に記載のキャビネット。
【請求項7】
前記傾斜面は、前記正面部の側に配置された正面側傾斜面であり、
前記上面部は、前記背面部の側に配置された背面側傾斜面をさらに有しており、
前記正面側傾斜面は、前記背面側傾斜面よりも大きな傾斜角度を有している、請求項1に記載のキャビネット。
【請求項8】
前記正面側傾斜面および前記背面側傾斜面を有する上面部は、一体成形部材である、請求項7に記載のキャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスビルやマンションなどの建物に水を供給するためのポンプ装置を備えた給水装置が知られている。給水装置は、ポンプ装置と、ポンプ装置を収納するキャビネットと、を備えている。ポンプ装置は、水を圧送するためのポンプと、ポンプを駆動するためのモータと、モータの運転を制御する制御装置と、を備えている。キャビネットは、ポンプ装置を収納しており、屋外に設置可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キャビネット内の電子機器(特に、モータや制御装置などの電気電子部品)が雨などの液体に接触すると、電子機器が故障するおそれがある。したがって、液体の、キャビネット内への浸入を防止することは重要である。特に、近年では、台風などの強風、強雨が多く発生しており、液体がキャビネット内に浸入する危険性が高くなっている。
【0005】
そこで、本発明は、簡単な構造で雨水などの液体の浸入を防止することができるキャビネットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、キャビネット本体と、前記キャビネット本体に着脱可能に取り付けられたカバーと、を備えるキャビネットが提供される。前記キャビネット本体は、前記カバーに対向する正面部から前記正面部の反対側に配置された背面部に向かって斜め下方に傾斜する傾斜面を有する上面部を備えており、前記カバーは、前記傾斜面上をスライド移動するスライド突起を有しており、前記スライド突起は、前記傾斜面に滑らかに接触する曲面部を有している。
【0007】
一態様では、前記スライド突起は、前記曲面部から折れ曲がる折れ曲がり部を有しており、前記カバーを前記キャビネット本体に取り付けたとき、前記折れ曲がり部は、前記上面部に形成された段部に接触する。
一態様では、前記スライド突起は、前記カバーの上面壁から下方に延び、かつ前記曲面部に接続された第1部位と、前記上面壁と平行に延び、かつ前記第1部位に接続された第2部位と、を有している。
一態様では、前記スライド突起は、前記第2部位に接続され、かつ前記第1部位と平行に延びる第3部位をさらに有しており、前記カバーは、前記第3部位に取り付けられ、かつ前記スライド突起のスライド移動により、前記キャビネット本体に押し付けられるシール部材を備えている。
【0008】
一態様では、前記スライド突起は、前記第3部位に接続され、かつ前記カバーの正面壁を補強する第4部位をさらに有している。
一態様では、前記第1部位、前記第2部位、前記第3部位、および前記第4部位を有する前記スライド突起は、一体成形部材である。
一態様では、前記傾斜面は、前記正面部の側に配置された正面側傾斜面であり、前記上面部は、前記背面部の側に配置された背面側傾斜面をさらに有しており、前記正面側傾斜面は、前記背面側傾斜面よりも大きな傾斜角度を有している。
一態様では、前記正面側傾斜面および前記背面側傾斜面を有する上面部は、一体成形部材である。
【発明の効果】
【0009】
スライド突起を有するカバーをキャビネット本体に取り付けることにより、カバーは、キャビネット本体に密着する。したがって、キャビネットは、簡単な構造で液体の浸入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】複数のポンプを備えた給水装置の内部構造の一実施形態を示す正面図である。
【
図5】
図5(a)はキャビネット本体に取り付けられたカバーを示す側面図であり、
図5(b)はキャビネット本体に取り付けられるカバーを示す図である。
【
図6】キャビネット本体に取り付けられたカバーを示す上面図である。
【
図7】キャビネットの上部を示す拡大斜視図である。
【
図8】
図8(a)はキャビネットの上部を示す拡大側面図であり、
図8(b)は異なる傾斜角度を有するキャビネット本体の上面壁を示す図である。
【
図9】正面側傾斜面に接触するスライド突起を示す図である。
【
図10】キャビネット本体に密着するシール部材を示す図である。
【
図11】折れ曲がり部を有するスライド突起のメリットを説明するための図である。
【
図13】
図13(a)はスライド突起の全体を示す斜視図であり、
図13(b)はスライド突起に装着されたトップシールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下で説明する図面において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。以下に示す複数の実施形態において、特に説明しない構成および動作は、同一であるので、その重複する説明を省略する。
【0012】
図1は、給水装置の一実施形態を示す模式図である。給水装置は、オフィスビルや集合住宅などの建物への給水に使用される給水装置である。
図1に示すように、給水装置の吸込口は、導入管5を介して水供給源4(例えば、水道本管または受水槽)に接続されている。給水装置の吐出し口には配水管7が接続されている。配水管7は、建物の内部に配置された給水器具(例えば蛇口)に連通している。給水装置は、水供給源4からの水を加圧して建物の各給水器具に供給するためのポンプ装置である。
【0013】
給水装置は、ポンプ装置50と、ポンプ装置50を収納するキャビネット30と、を備えている。ポンプ装置50は、導入管5を介して水供給源4から供給される水を加圧するポンプ2と、ポンプ2を駆動する駆動源としてのモータ3と、モータ3の可変速手段の一例であるインバータ21と、給水装置の給水動作(すなわち、ポンプ2の運転)を制御する制御部20と、ポンプ2の下流側に配置された逆止弁22と、を備えている。さらに、ポンプ装置50は、逆止弁22の下流側に配置された流量検出器(フロースイッチ)24、吐出し側圧力センサ26、および圧力タンク28を備えている。
【0014】
逆止弁22は、ポンプ2の吐出し口に接続された吐出し管8に取り付けられており、ポンプ2が停止したときの水の逆流を防止するように構成されている。流量検出器24は、吐出し管8を流れる水の流量が所定の小水量以下であることを検出するように構成されている。吐出し側圧力センサ26は、ポンプ2の吐出し側圧力を測定するように構成されている。圧力タンク28は、ポンプ2が停止している間の吐出し側圧力を保持するための圧力保持器である。
【0015】
配水管7は、吐出し管8に接続されている。ポンプ2の吸込口には吸込管9の一端が接続されており、吸込管9の他端は導入管5に接続されている。吸込管9には、逆流防止器(
図2を参照して後述する減圧式逆流防止器15)および吸込側圧力センサ(
図2を参照して後述する吸込側圧力センサ17)が取り付けられてもよい。逆流防止器は、導入管5への水の逆流を防止するために設置される。
【0016】
水供給源4の水は、導入管5および吸込管9を通じてポンプ2に供給される。モータ3がポンプ2を駆動すると、ポンプ2は水を加圧して建物に水を供給する。ポンプ2によって加圧された水の一部は、圧力タンク28内に蓄えられる。ポンプ2の運転が停止しているとき、配水管7内の水圧は圧力タンク28によって保持される。
【0017】
給水装置は、ポンプ2を迂回するバイパス管11を備えてもよい。バイパス管11の上流側端部は吸込管9に接続され、バイパス管11の下流側端部は吐出し管8に接続されている。バイパス管11には逆止弁16が取り付けられており、バイパス管11内での水の逆流を防止している。このバイパス管11は、流入圧のみで給水を可能とするために設けられている。
【0018】
制御部20は、インバータ21およびモータ3の動作を制御することによって、ポンプ2の動作を制御する。制御部20は、吐出し側圧力センサ26により測定された圧力信号が設定された始動圧より低くなるとポンプ2を起動する。流量検出器24は、特定の信号を検出すると、制御部20は、圧力タンク28に蓄圧をしてポンプ2を停止する。特定の信号は、吐出し管8を流れる水の流量が所定の小水量以下であることを示す信号である。
【0019】
図2は、複数のポンプを備えた給水装置の内部構造の一実施形態を示す正面図である。なお、
図1と同様の構成には同じ符号を付与し、説明を省略する。キャビネット30の内部には、2台のポンプ2a,2bが横並びに配置されている。ポンプ2a,2bは立軸形ポンプであり、例えばブースタポンプから構成される。
【0020】
ポンプ2a,2bのそれぞれは、モータ3a,3bのそれぞれに連結されている。ポンプ2a,2bの吸込口は、吸込ヘッダ18に連結されている。吸込ヘッダ18とストレーナ付きボール弁12を備えた入口管10との間には、減圧式逆流防止器15が配置されている。
【0021】
入口管10には、吸込側の圧力を検出する吸込側圧力センサ17が取付けられている。ストレーナ付きボール弁12のストレーナ部に導入管5(
図1参照)を連結し、ボール弁12を開いた状態で各ポンプ2a,2bを運転する。この運転により、導入管5の水は、入口管10、減圧式逆流防止器15、および吸込ヘッダ18を通過して、各ポンプ2a,2bに吸い込まれる。本実施形態では、入口管10および吸込ヘッダ18は、吸込管9を構成する。
【0022】
ポンプ2a,2bの吐出し側には、吐出しエルボ管(図示しない)がそれぞれ連結されている。吐出しエルボ管は、ポンプ2a,2bから吐出された水を集合(合流)させる吐出し集合管34に連結されている。吐出し集合管34には、吐出し側の圧力を検出する吐出し側圧力センサ26が取り付けられたバイパスヘッダ38の上端が接続されている。バイパスヘッダ38の長手方向に沿った所定の位置に、圧力タンク28から延びる圧力タンク配管28aが接続されている。
【0023】
バイパスヘッダ38の下端は、ボール弁を有する出口管(図示しない)に連結される。出口管は、逆止弁16(
図1参照)が取り付けられたバイパス管11を介して吸込ヘッダ18に連通している。本実施形態では、吐出しエルボ管,吐出し集合管34,バイパスヘッダ38,および出口管は、吐出し管8を構成する。
【0024】
インバータ21は、キャビネット30の左側面の上部に配置されている。より具体的には、キャビネット30内におけるポンプ2a,2bの上方位置には、インバータ21を収納するインバータケース23が配置されている。インバータケース23は、ヒンジ25を介して前方に開閉自在に構成されている。インバータケース23は、放熱フィンが取り付けられたヒートシンク23Bを有している。インバータ21は、ヒートシンク23Bの上面に載置されている。
【0025】
インバータ21は、ポンプ2a,2bにそれぞれ連結されたモータ3a,3bに交流電力を周波数および電圧を変えて供給することで各モータ3a,3bを可変速駆動するための装置であり、内部に冷却が必要な半導体デバイスを有している。
【0026】
各モータ3a,3bは、その上部において、モータ3a,3bの駆動に伴って回転する主軸95を外部に延出させている。各主軸95には、主軸95と一体に回転し、この回転に伴って上方へ向かう空気の流れを作る冷却ファン96が固定されている。これら冷却ファン96は、モータ3a,3bに沿って上下に延びる円筒状のファンカバー97でそれぞれ覆われている。
【0027】
モータ3a,3bが駆動されると、主軸95と一体に冷却ファン96が回転し、冷却ファン96の回転に伴って、インバータケース23の放熱フィン23Aに向かう気流が形成される。ファンカバー97は、この気流をヒートシンク23Bの放熱フィン23Aに案内する。
【0028】
ポンプ2a,2bで冷却された空気は、モータ3a,3bの外周部を通って放熱フィン23Aに衝突し、モータ3a,3bを冷却する。さらに、冷却された空気は、放熱フィン23Aを冷却し、間接的にインバータ21を冷却する。気流は、放熱フィン23Aに衝突して、その向きを変え、キャビネット30の内部を大きく循環する。
【0029】
キャビネット30内の大きな気流の循環により、制御部20などの構成要素は、吸込管9、減圧式逆流防止器15、吸込ヘッダ18などの部材によって冷却された空気と接触して冷却される。キャビネット30内を全体的に循環する気流を形成することにより、キャビネット30内の空気は、常に攪拌され、キャビネット30の内部温度を均一化することができる。
【0030】
制御部20は、キャビネット30の右側面の上部に配置されている。制御部20は、圧力センサ17,26の信号を受けて、建物の各給水器具における給水圧が所定の圧力になるように、ポンプ2a,2bの運転を制御する。より具体的には、制御部20は、圧力センサ17,26の出力信号に基づいて、建物内における給水圧を所定の圧力に維持するための指令信号をインバータ21に送る。インバータ21は、制御部20から送られた指令信号に基づいて、モータ3a,3bの回転速度を制御する。このような構成により、給水装置は、水供給源4からの水を所定圧まで加圧して、この加圧された水を建物内に供給する。
【0031】
キャビネット30は、屋外に設置可能である一方で、キャビネット30内のポンプ装置50は、制御部20やインバータ21などの電子機器を備えている。特に、電子機器としての制御部20およびインバータ21は、キャビネット30の上部に配置されている。したがって、キャビネット30内に雨などの液体が浸入すると、電子機器が真っ先に液体と接触するおそれがある。電子機器の、液体との接触に起因して、電子機器が故障するおそれがある。そこで、キャビネット30は、簡単な構造で液体の浸入を確実に防止する構造を有している。以下、図面を参照して、キャビネット30の構造について説明する。
【0032】
図3は、キャビネットの斜視図である。
図4は、キャビネットの正面図である。
図3および
図4に示すように、キャビネット30は、縦長の箱形形状を有している。キャビネット30は、その側面の下部に形成された配管孔30aを有している。配管孔30aは、導入管5または配水管7をキャビネット30内に配管するための孔である。
【0033】
キャビネット30は、キャビネット本体31と、キャビネット本体31に着脱可能に取り付けられたカバー35と、を備えている。カバー35は、制御部20の表示部20a(
図2参照)を視認可能とさせるための開口36が形成されており、開口36は樹脂製等の透明なカバーで覆われている。カバー35は、その中央部分に形成された凹部35aを有している。
【0034】
凹部35aは、カバー35の延びる方向(すなわち、鉛直方向)に沿って延びている。図示しないが、凹部35aの上部には、カバー35をキャビネット本体31に締結するための締結具(例えば、スイングハンドル)が取り付けられている。カバー35は、正面壁48、上面壁49、および2つの側面壁52を有している。開口36および凹部35aは、正面壁48に配置されている。
【0035】
キャビネット30は、カバー35の内面に取り付けられたシール部材54を備えている(
図4の点線参照)。より具体的には、シール部材54は、上面壁49に取り付けられ、かつ上面壁49と平行に延びるトップシール55と、2つの側面壁52に取り付けられ、かつ側面壁52と平行に延びるサイドシール58と、を備えている。シール部材54は、スポンジゴムなどの耐腐食性の弾性材料から構成されている。
【0036】
図5(a)はキャビネット本体に取り付けられたカバーを示す側面図であり、
図5(b)はキャビネット本体に取り付けられるカバーを示す図である。
図6は、キャビネット本体に取り付けられたカバーを示す上面図である。
図5(a)および
図5(b)では、図面を見やすくするために、カバー35の側面壁52は透明で描かれている。
【0037】
カバー35をキャビネット本体31に取り付けることにより、シール部材54は、カバー35とキャビネット本体31との間に配置される。シール部材54は、カバー35とキャビネット本体31との間の隙間を塞ぐように構成されている。
【0038】
図7は、キャビネットの上部を示す拡大斜視図である。
図8(a)はキャビネットの上部を示す拡大側面図であり、
図8(b)は異なる傾斜角度を有するキャビネット本体の上面壁を示す図である。
図7では、カバー35の上面壁49および側面壁52は透明で描かれている。
【0039】
図7および
図8(a)に示すように、カバー35をキャビネット本体31に取り付けたとき、キャビネット本体31は、カバー35の正面壁48に対向する正面部61と、カバー35の上面壁49に対向する上面部62と、カバー35の側面壁52に対向する側面部63と、正面部61の反対側に配置された背面部64と、を有している。これら正面部61、上面部62、側面部63、および背面部64は、例えば、溶接により、接続されている。
【0040】
上面部62は、正面部61から背面部64に向かって斜め下方に傾斜する傾斜面66A,66Bと、傾斜面66A,66Bの間に配置された段部67と、を有している。傾斜面66Aは、正面部61の側に配置された正面側傾斜面である。傾斜面66Bは、背面部64の側に配置された背面側傾斜面である。
【0041】
正面側傾斜面66Aおよび背面側傾斜面66Bは、段部67を介して互いに接続されており、正面部61から背面部64に向かって、この順に配列されている。正面側傾斜面66Aおよび背面側傾斜面66Bを有する上面部62は、一体成形部材である。このような構造により、正面側傾斜面66Aと背面側傾斜面66Bとの間には、隙間は形成されない。
【0042】
図8(b)に示すように、正面側傾斜面66Aは、背面側傾斜面66Bよりも大きな傾斜角度を有している。言い換えれば、正面側傾斜面66Aの傾斜角度θAは、背面側傾斜面66Bの傾斜角度θBよりも大きい。
【0043】
背面側傾斜面66B(および正面側傾斜面66A)は、シール部材54から離間する方向に向かって、斜め下方に傾斜している。したがって、カバー35をキャビネット本体31に締結した状態で、雨が降った場合、雨は、背面側傾斜面66B(および正面側傾斜面66A)上をシール部材54から離れる方向に流れ落ちる。結果として、キャビネット30は、雨(液体)の、キャビネット30内への浸入を防止することができる。
【0044】
上面壁49は、正面壁48に接続された本体部49aと、本体部49aからカバー35の内側に向かって延びる縁部49bと、を有している。カバー35をキャビネット本体31に取り付けたとき、本体部49aは、正面側傾斜面66Aの上方に配置される。
【0045】
図7および
図8(a)に示すように、カバー35は、上面壁49の本体部49aの下方に延びるスライド突起100を備えている。カバー35をキャビネット本体31に取り付けたとき、スライド突起100は、正面側傾斜面66Aをスライド移動するように構成されている。
【0046】
スライド突起100は、正面側傾斜面66Aに接触可能な突起部100aと、突起部100aに接続され、かつカバー35の壁面(本実施形態では、上面壁49の本体部49aおよび正面壁48)に固定された固定部100bと、を有している。
【0047】
突起部100aは、L字状の断面形状を有している。より具体的には、突起部100aは、カバー35の上面壁49から下方に延び、かつ曲面部101に接続された第1部位106と、曲面部101から折れ曲がる折れ曲がり部105と、を有している。第1部位106および折れ曲がり部105は、曲面部101を介して、互いに接続されている。本実施形態では、第1部位106と折れ曲がり部105との間の角度は、90度(直角)である。
【0048】
図9は、正面側傾斜面に接触するスライド突起を示す図である。カバー35をキャビネット本体31に取り付けると、シール部材54はキャビネット本体31の正面部61に接触する。カバー35に作用する重力により、スライド突起100(より具体的には、突起部100aの曲面部101)が正面側傾斜面66Aに接触すると、スライド突起100には、正面側傾斜面66Aに沿った斜め方向の力が作用し、スライド突起100は、段部67に近接する方向にスライド移動する。
【0049】
正面側傾斜面66Aは、スライド突起100をスライド移動させるために、急峻な角度を有している(
図8(b)参照)。
図8(b)を参照して説明したように、正面側傾斜面66Aは、背面側傾斜面66Bよりも急峻な角度を有しており、例えば、傾斜角度θAは、45度である。
【0050】
図9に示すように、スライド突起100は、正面側傾斜面66Aに滑らかに接触する曲面部101を有している。曲面部101は、スライド突起100の最下端に配置されており、面取り加工が施されている。曲面部101を有するスライド突起100は、正面側傾斜面66Aに接触することにより、正面側傾斜面66Aに沿って滑らかに移動し、確実に、段部67に近接する方向にスライド移動する。
【0051】
図10は、キャビネット本体に密着するシール部材を示す図である。
図10に示すように、カバー35をキャビネット本体31に取り付けたとき、折れ曲がり部105は、段部67に接触する。スライド突起100は、突起部100aの折れ曲がり部105が段部67に接触するまで、正面側傾斜面66Aをスライド移動する。
【0052】
スライド突起100のスライド移動により、シール部材54、すなわち、トップシール55およびサイドシール58(
図4参照)は、カバー35に作用する重力およびカバー35自身の重量により、キャビネット本体31の正面部61に押し付けられる。結果として、シール部材54は、カバー35とキャビネット本体31との間の隙間を確実に塞ぐ。
【0053】
トップシール55は、キャビネット30の幅方向に延びており、カバー35の上面壁49と平行に延びている。したがって、トップシール55によってカバー35とキャビネット本体31との間の隙間を確実に塞ぐためには、上面壁49と平行に延びるトップシール55の全体に均一な力(すなわち、平行な力)を付与する必要がある。
【0054】
本実施形態では、スライド突起100(より具体的には、突起部100a)は、トップシール55と平行に延びており、トップシール55と同一の長さを有している。したがって、スライド突起100のスライド移動によって生じる押し付け力は、トップシール55の全体に付与される。結果として、トップシール55は、全体的に正面部61に押し付けられ、そのシール性を向上させることができる。
【0055】
上述したように、ポンプ装置50は、キャビネット30の上部に配置された制御部20やインバータ21などの電子機器を備えている(
図2参照)。したがって、キャビネット30内に液体が浸入すると、液体が真っ先に電子機器に接触する可能性が高い。本実施形態によれば、トップシール55は、ポンプ装置50の電子機器に隣接している。より具体的には、トップシール55は、電子機器の直下に配置されている。スライド突起100は、そのスライド移動により、トップシール55のシール性を向上させることができる。したがって、トップシール55は、その直下に配置された電子機器の、液体との接触を確実に防止することができる。
【0056】
カバー35の、キャビネット本体31との密着力を向上させるために、ボールキャッチ、マグネット、パチン錠などの補助締結具をカバー35に取り付ける場合がある。一般的には、補助締結具は、補助締結具が取り付けられる締結部分の締結力を大きくすることができる一方で、締結部分から離間した部分の締結力は小さくなる。したがって、補助締結具によって、液体の、キャビネット30の上部に配置された電子機器への接触を防止するためには、数多くの補助締結具をキャビネット30の幅方向(すなわち、水平方向)に配置しなければならない場合がある。
【0057】
スライド突起100は、そのスライド移動により、水平方向に延びるトップシール55の全体に押し付け力を付与することができるため、トップシール55は、キャビネット30の幅方向における全体に大きな締結力を発生させることができ、液体の、電子機器への接触を確実に防止することができる。
【0058】
このように、カバー35は、スライド突起100をスライド移動させる構造を有しているため、キャビネット本体31に十分に密着することができる。結果として、キャビネット30は、補助締結具を省略してもよく、補助締結具の数を少なくしてもよい。
【0059】
図10に示すように、キャビネット本体31は、その正面部61に接続された平板部103を備えている。平板部103は、トップシール55と平行に、すなわち、キャビネット30の幅方向に延びている。平板部103は、トップシール55の、キャビネット本体31との密着性を向上させることができる。平板部103は、正面側傾斜面66Aにも接続されており、液体の越流を阻止する堰として機能する。したがって、平板部103は、雨などの液体が正面側傾斜面66Aを越流してシール部材54側に流れることを防止することができる。
【0060】
図11は、折れ曲がり部を有するスライド突起のメリットを説明するための図である。本実施形態では、スライド突起100は、段部67(言い換えれば、上面壁49の縁部49b)に向かって延びる折れ曲がり部105を有している。したがって、折れ曲がり部105が段部67に接触すると、スライド突起100(より具体的には、突起部100a)の第1部位106と段部67との間には、隙間SPが形成される。
【0061】
給水装置は、狭小空間に設置される場合がある。この場合、カバー35をキャビネット本体31から取り外すとき、作業者は、カバー35を軽く持ち上げて、かつ突起部100aを支点として、カバー35を回転させる(
図11の矢印参照)。この状態で、作業者は、カバー35をキャビネット本体31から離間する方向に移動させる。カバー35を回転させることにより、上面壁49の縁部49bは、背面側傾斜面66Bに近接する方向に移動する。
【0062】
隙間SPは、カバー35をキャビネット本体31から取り外しても、縁部49bが背面側傾斜面66Bに接触しない大きさを有している。したがって、隙間SPを形成することにより、カバー35を回転させても、縁部49bは、背面側傾斜面66Bには接触しない。本実施形態によれば、スライド突起100は、隙間SPを形成することができるため、給水装置が狭小空間に設置される場合であっても、作業者は、作業性を損なうことなく、カバー35の取り外し作業を行うことができる。
【0063】
図12(a)および
図12(b)は、スライド突起の突起部の変形例を示す図である。
図12(a)に示すように、突起部100aは、必ずしも、L字形状を有する必要はなく、U字形状を有してもよい。この場合であっても、スライド突起100(より具体的には、突起部100a)は、その最下端に配置された曲面部101と、曲面部101から折れ曲がる折れ曲がり部105と、を有している。
【0064】
図12(b)に示すように、給水装置の設置環境に応じて、突起部100aは、必ずしも、折れ曲がり部105を有していなくてもよい。
図12(b)に示す実施形態においても、突起部100aは、その最下端に配置された曲面部101を有している。
【0065】
図13(a)はスライド突起の全体を示す斜視図であり、
図13(b)はスライド突起に装着されたトップシールを示す図である。
図13(a)および
図13(b)に示すように、スライド突起100は、第1部位106に接続された第2部位107と、第2部位107に接続された第3部位108と、第3部位108に接続された第4部位109と、をさらに有している。
【0066】
折れ曲がり部105、第1部位106、第2部位107、第3部位108、および第4部位109は、一体成形部材である。言い換えれば、一枚板を折り曲げることにより、折れ曲がり部105、第1部位106、第2部位107、第3部位108、および第4部位109を成形する。
【0067】
図13(b)に示すように、カバー35をキャビネット本体31に取り付けたとき、第2部位107は、上面壁49と平行に延びている。本実施形態では、第1部位106と第2部位107との間の角度は、90度(直角)である。スライド突起100のスライド移動により、第1部位106には、力のモーメントが作用する。第2部位107を形成することにより、第2部位107に接続された第1部位106は、スライド突起100がスライド移動しても、確実に破損しない程度の十分な耐久性を有する。
【0068】
第3部位108は、第1部位106と平行に延びており、第2部位107に対して垂直方向に延びている。第3部位108と第2部位107との間の角度は、90度(直角)である。第3部位108は、カバー35の正面壁48と平行に延びている。
図13(b)に示すように、トップシール55は、第3部位108に取り付けられる。
【0069】
上述したように、正面壁48は、スライド突起100側に凹んだ凹部35aを有している(例えば、
図7参照)。カバー35をキャビネット本体31に取り付けたとき、凹部35aは、キャビネット本体31の平板部103に対向する。第3部位108は、凹部35aに接続されており、正面壁48(より具体的には、正面壁48の主要な部位)と平行に延びている。したがって、カバー35をキャビネット本体31に取り付けたとき、第3部位108は、凹部35aと平板部103との間に配置される。なお、正面壁48の主要な部位は、凹部35aを除く、正面壁48の大部分を意味する。
【0070】
本実施形態では、第3部位108は、全体的に、正面部61に接触可能である。したがって、正面壁48に凹部35aが形成されている場合であっても、第3部位108に取り付けられたトップシール55は、全体的に、正面部61に押し付けられるため、トップシール55は、カバー35とキャビネット本体31との間の隙間を確実に塞ぐことができる。
【0071】
図13(a)に示すように、第4部位109は、その中央に形成された切り欠き部109aを有している。切り欠き部109aは、凹部35aに対応する大きさを有しており、スライド突起100をカバー35に取り付けると、凹部35aは、切り欠き部109aに嵌め込まれる(
図13(b)参照)。
【0072】
切り欠き部109aを第4部位109に形成することにより、第4部位109は、全体的に、正面壁48(より具体的には、正面壁48の主要な部位)に固定される。正面壁48に固定された第4部位109は、カバー35の正面壁48を補強する。
【0073】
このように、スライド突起100は、第2部位107を有することにより、第1部位106の強度を向上させることができる。スライド突起100は、第3部位108を有することにより、トップシール55の押し付け力を向上させることができる。スライド突起100は、第4部位109を有することにより、カバー35の強度を向上させることができる。
【0074】
一実施形態では、スライド突起100は、第2部位107、第3部位108、および第4部位109の少なくとも1つを有していなくてもよい。すなわち、スライド突起100は、固定部100bを有さず、突起部100aをカバー35に固定する構造を有してもよい。以下、スライド突起100の変形例について、図面を参照して説明する。
【0075】
図14(a)乃至
図14(c)は、スライド突起の変形例を示す図である。
図14(a)に示すように、スライド突起100は、突起部100a(すなわち、第1部位106および折れ曲がり部105)と、第2部位107を有する固定部100bと、を有してもよい。突起部100aおよび固定部100b(すなわち、第2部位107)を有するスライド突起100は、一体成形部材である。この場合、カバー35は、スライド突起100とは別部材として構成された、トップシール55が取り付けられた部材(第3部位108に相当する部材)と、正面壁48を補強する部材(第4部位109に相当する部材)と、を備えてもよい。
【0076】
図14(b)に示すように、スライド突起100は、突起部100aと、第2部位107および第3部位108を有する固定部100bと、を有してもよい。突起部100aおよび固定部100b(すなわち、第2部位107および第3部位108)を有するスライド突起100は、一体成形部材である。この場合、カバー35は、正面壁48を補強する部材(第4部位109に相当する部材)を備えてもよい。
【0077】
図14(c)に示すように、スライド突起100は、固定部100bを有さず、突起部100a(すなわち、第1部位106および折れ曲がり部105)のみを有してもよい。
図14(c)に示す実施形態では、第1部位106は、上面壁49に固定されている。この場合、カバー35は、固定部100bに相当する部材を備えてもよい。
【0078】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0079】
2 ポンプ
2a,2b ポンプ
3 モータ
3a,3b モータ
4 水供給源
5 導入管
7 配水管
8 吐出し管
9 吸込管
10 入口管
11 バイパス管
12 ストレーナ付きボール弁
15 減圧式逆流防止器
16 逆止弁
17 吸込側圧力センサ
18 吸込ヘッダ
20 制御部
20a 表示部
21 インバータ
22 逆止弁
23 インバータケース
23A 放熱フィン
23B ヒートシンク
24 流量検出器
25 ヒンジ
26 吐出し側圧力センサ
28 圧力タンク
28a 圧力タンク配管
30 キャビネット
30a 配管孔
31 キャビネット本体
34 吐出し集合管
35 カバー
35a 凹部
36 開口
38 バイパスヘッダ
48 正面壁
49 上面壁
49a 本体部
49b 縁部
50 ポンプ装置
52 側面壁
54 シール部材
55 トップシール
58 サイドシール
61 正面部
62 上面部
63 側面部
64 背面部
66A 正面側傾斜面
66B 背面側傾斜面
67 段部
95 主軸
96 冷却ファン
97 ファンカバー
100 スライド突起
100a 突起部
100b 固定部
101 曲面部
103 平板部
105 折れ曲がり部
106 第1部位
107 第2部位
108 第3部位
109 第4部位
109a 切り欠き部
SP 隙間