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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127102
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】発光装置、及び発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/02255 20210101AFI20240912BHJP
【FI】
H01S5/02255
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035992
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】桂 祥教
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MA10
5F173MC01
5F173MC22
5F173MD64
5F173ME22
5F173ME33
5F173ME63
5F173ME90
5F173MF28
(57)【要約】
【課題】発光装置の効率的な製造を可能とする製造技術を提供する。
【解決手段】発光装置100は、基体11と、斜面31を有する台30と、1または複数の発光素子21を含む発光部20と、反射性素子40と、台を基体に接合する第1接合層72と、発光部を基体に接合する第2接合層71と、反射性素子を台の斜面に接合する第3接合層73とを備える。台は、斜面に接合された反射性素子が1または複数の発光素子から出射された光の少なくとも一部を反射する位置に配される。第1接合層は、合金の層であり、第2接合層及び第3接合層のそれぞれは、金属粒子の焼結体層である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
斜面を有する台と、
1または複数の発光素子を含む発光部と、
反射性素子と、
前記台を前記基体に接合する第1接合層と、
前記発光部を前記基体に接合する第2接合層と、
前記反射性素子を前記台の前記斜面に接合する第3接合層と、
を備え、
前記台は、前記斜面に接合された前記反射性素子が前記1または複数の発光素子から出射された光の少なくとも一部を反射する位置に配され、
前記第1接合層は、合金の層であり、
前記第2接合層及び前記第3接合層のそれぞれは、金属粒子の焼結体層である、発光装置。
【請求項2】
前記発光部は、上面と、前記第2接合層に接する下面とを有する1または複数のサブマウントを有し、
前記1または複数の発光素子は、前記1または複数のサブマウントの前記上面に接合されている、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記反射性素子は、前記1または複数の発光素子から出射された前記光の少なくとも一部を斜めに受ける表面を有する半導体素子である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記半導体素子は、光検出器またはMEMS素子である、請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記反射性素子は、反射型レンズまたは回折素子である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
前記焼結体層は複数の空孔を含む、請求項1に記載の発光装置。
【請求項7】
前記第1接合層の前記合金は、前記焼結体層の焼結温度よりも高い融点を有する、請求項1から6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記1または複数の発光素子のそれぞれは、半導体レーザ素子である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項9】
基体を用意すること、
斜面を有する1または複数の台を、ロウ付けまたははんだ付けにより、前記基体に接合すること、
前記1または複数の台を前記基体に接合した後、金属粒子を含むペーストを、前記基体の一部、及び、前記1または複数の台の前記斜面に塗布すること、
1または複数の発光素子を含む1または複数の発光部を、前記ペーストを介して、前記基体に配置すること、
反射性素子を、前記ペーストを介して、前記1または複数の台の前記斜面のそれぞれに配置すること、
前記ペーストを加熱して前記金属粒子を焼結することにより、前記1または複数の発光部を前記基体に接合し、かつ、前記反射性素子を前記1または複数の台の前記斜面のそれぞれに接合すること、
を含む、発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記ロウ付けまたははんだ付けを行う第1熱処理温度よりも、前記ペーストを加熱して前記金属粒子を焼結する第2熱処理温度は低い、請求項9に記載の発光装置の製造方法。
【請求項11】
前記第2熱処理温度は、300℃以下である、請求項10に記載の発光装置の製造方法。
【請求項12】
前記ペーストの室温における粘度は、25パスカル秒以上である、請求項9に記載の発光装置の製造方法。
【請求項13】
前記1または複数の台を前記基体に接合することは、前記複数の台の下面のそれぞれにロウ材またははんだ材を塗布した後で順次または同時にレーザ光で照射し、前記1または複数の台の下面のそれぞれを加熱することを含む、請求項9から12のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置、及び発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の部材を接合して製造される発光装置では、接合される部材の種類、形状、位置によって異なる種類の接合材料が用いられることがある。特許文献1は、半導体レーザチップと、半導体レーザチップを収容するケースと、レンズベースと、レーザ光を収束するレンズとを備える半導体モジュールを記載している。レンズベースは、はんだによってケースに接合され、レンズは、樹脂接着剤によってレンズベース上に接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-186328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光装置の効率的な製造を可能とする製造技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の発光装置は、例示的で非限定的な実施形態において、基体と、斜面を有する台と、1または複数の発光素子を含む発光部と、反射性素子と、前記台を前記基体に接合する第1接合層と、前記発光部を前記基体に接合する第2接合層と、前記反射性素子を前記台の前記斜面に接合する第3接合層と、を備え、前記台は、前記斜面に接合された前記反射性素子が前記1または複数の発光素子から出射された光の少なくとも一部を反射する位置に配され、前記第1接合層は、合金の層であり、前記第2接合層及び前記第3接合層のそれぞれは、金属粒子の焼結体層である。
【0006】
本開示の発光装置の製造方法は、例示的で非限定的な実施形態において、基体を用意すること、斜面を有する1または複数の台を、ロウ付けまたははんだ付けにより、前記基体に接合すること、前記1または複数の台を前記基体に接合した後、金属粒子を含むペーストを、前記基体の一部、及び、前記1または複数の台の前記斜面に塗布すること、1または複数の発光素子を含む1または複数の発光部を、前記ペーストを介して、前記基体に配置すること、反射性素子を、前記ペーストを介して、前記1または複数の台の前記斜面のそれぞれに配置すること、前記ペーストを加熱して前記金属粒子を焼結することにより、前記1または複数の発光部を前記基体に接合し、かつ、前記反射性素子を前記1または複数の台の前記斜面のそれぞれに接合すること、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示の実施形態によれば、発光装置の効率的な製造を可能とする製造技術を提供できる。また、当該製造技術により製造される発光装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の第1の実施形態に係る発光装置の上面図である。
図2図2は、図1のII-II断面線における断面図である。
図3図3は、本開示の第1の実施形態に係る発光装置の製造方法の例に含まれる製造工程のフローチャートである。
図4A図4Aは、本開示の第1の実施形態に係る発光装置の製造方法に含まれる製造工程を説明するための上面図である。
図4B図4Bは、本開示の第1の実施形態に係る発光装置の製造方法に含まれる製造工程を説明するための上面図である。
図4C図4Cは、本開示の第1の実施形態に係る発光装置の製造方法に含まれる製造工程を説明するための上面図である。
図5図5は、本開示の第2の実施形態に係る発光装置の斜視図である。
図6図6は、図5のVI-VI断面線における断面図である。
図7図7は、本開示の第2の実施形態に係る発光装置から蓋部を除いた状態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書または特許請求の範囲において、三角形、四角形などの多角形は、数学的に厳密な意味の多角形に限定されず、多角形の隅に角丸め、面取り、角取り、丸取り等の加工が施された形状も含むものとする。また、多角形の隅(辺の端)に限らず、辺の中間部分に加工が施された形状も同様に多角形と呼ぶものとする。つまり、多角形をベースに残しつつ、部分的な加工が施された形状は、本明細書及び特許請求の範囲で記載される“多角形”に含まれる。
【0010】
多角形に限らず、台形や円形や凹凸など、特定の形状を表す言葉についても同様である。その形状を形成する各辺を扱う場合も同様である。つまり、ある辺において、隅や中間部分に加工が施されていたとしても、“辺”には加工された部分も含まれる。部分的な加工のない“多角形”や“辺”を、加工された形状と区別する場合は“厳密な”を付して、例えば、“厳密な四角形”などと記載するものとする。
【0011】
本明細書または特許請求の範囲において、ある名称によって特定される要素が複数あり、それぞれの要素を区別して表現する場合に、要素のそれぞれの頭に“第1”、“第2”などの序数詞を付記することがある。例えば、請求項では「発光素子が基板上に配されている」と記載されている場合、明細書中において「第1発光素子と第2発光素子とが基板上に配列されている」と記載されることがある。第1”及び“第2”の序数詞は、2個の発光素子を区別するために使用されている。同一の序数詞が付された要素名が、明細書と特許請求の範囲との間で、同一の要素を指さない場合がある。例えば、明細書において“第1発光素子”、“第2発光素子”、“第3発光素子”の用語で特定される要素が記載されている場合、特許請求の範囲における“第1発光素子”及び“第2発光素子”が、明細書における“第1発光素子”及び“第3発光素子”に相当することがある。また、特許請求の範囲に記載された請求項1において、“第1発光素子”の用語が使用され、“第2発光素子”の用語が使用されていない場合、請求項1に係る発明は、1個の発光素子を備えていればよく、その発光素子は、明細書中の“第1発光素子”に限定されず、“第2発光素子”または“第3発光素子”であり得る。
【0012】
本明細書または特許請求の範囲において、特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」)を用いる場合がある。それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置のわかり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品、製造装置等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。
【0013】
図面に示される要素または部材の寸法、寸法比率、形状、配置間隔等は、わかり易さのために誇張されている場合がある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略することがある。
【0014】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。実施形態は、本発明の技術思想が具体化されたものではあるが、本発明を限定するものではない。実施形態の説明で示される数値、形状、材料、ステップ、そのステップの順序などは、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。以下の説明において、同一の名称、符号によって特定される要素は、同一または同種の要素であり、それらの要素について重複した説明を省略することがある。
【0015】
本開示の実施形態に係る発光装置は、基体と、1または複数の発光素子を含む発光部と、台と、反射性素子とを含む複数の構成要素を備える。ただし、本開示の実施形態に係る発光装置は、例えば製品仕様に応じて、例えばツェナーダイオードに代表される保護素子及び/またはサーミスタのような、内部温度を測定するための温度測定素子を備え得る。
【0016】
<第1の実施形態>
[1.発光装置の構造例]
先ず、図1及び図2を参照して、本開示の第1の実施形態に係る発光装置の基本構造の例を説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る発光装置の上面図である。図2は、図1のII-II断面線における断面図である。図2には、発光素子から出射される光のうちの主要部分の光を矢印の破線で示している。なお、主要部分の光については後述する。
【0018】
図面には、参考のために、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。以降、X軸、Y軸、及びZ軸の方向を、それぞれ、X方向、Y方向及びZ方向と記載する。Z方向は、発光素子から光が出射される方向である。また、Y方向は、基体の実装面に垂直な方向である。「上面視」という用語は、基体の実装面に垂直な方向、つまりY方向から見る上面視を意味する。
【0019】
本実施形態に係る発光装置100は、基体11と、発光素子21及びサブマウント22を含む発光部20と、台30と、反射性素子40とを備える。発光素子21からZ方向に出射される光は、反射性素子40によって上方(Y方向)に反射される。
【0020】
まず、各構成要素について説明する。
【0021】
(基体11)
発光装置100における基体11は、平板形状を有している。基体11は、上面、及び、上面とは反対側の下面を有する。上面は、発光装置100が備える1以上の構成要素が配置される実装面11Mとして機能する。実装面11Mは平面であり、1以上の構成要素が配置される実装領域を含む。実装領域には接合のための金属膜が形成され得る。基体11は、セラミックを主材料として形成することができる。セラミックの例は、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素を含む。
【0022】
基体11は、1または複数の配線層を有し得る。1または複数の配線層は、電子部品のような構成要素に電気的に接続される。実装面11Mには、例えば、金属の導電体から形成され、パターニングされた金属膜を含む1または複数の配線領域が設けられ得る。電子部品は、例えば金属ワイヤを介して配線領域に電気的に接続され、配線領域は、例えばビアホールを介しての配線層に電気的に接続される。
【0023】
(発光部20)
発光部20は、1または複数の発光素子を含む。発光部20は、さらに、1または複数のサブマウントを含み得る。図1または図2に示す例の発光装置100における発光部20は、サブマウント22及び発光素子21を含む。発光素子21は、サブマウント22の上面に配置されている。ただし、サブマウントは必須ではない。
【0024】
(発光素子21)
発光素子21は、光出射面21eから光を出射する。発光素子21の例は、半導体レーザ素子(またはレーザダイオード)である。図1に示す例における発光素子21は、端面発光型の半導体レーザ素子であり、上面視で長方形の外形を有し得る。発光素子21が端面発光型の半導体レーザ素子である場合、上面視で長方形の2つの短辺のうちの一辺を含む側面が、光の出射端面である光出射面21eである。ただし、発光素子21は、端面発光型の半導体レーザ素子に限定されず、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)のような面発光型の半導体レーザ素子、または発光ダイオード(LED)であってもよい。また、発光素子21は、1つのエミッタを有するシングルエミッタであってもよく、あるいは、2つ以上のエミッタを有するマルチエミッタであってもよい。
【0025】
発光素子21が半導体レーザ素子の場合、半導体レーザ素子から出射される光(レーザ光)は、拡がりを有する発散光である。レーザ光は、光出射面21eに平行な面において楕円形状のファーフィールドパターン(以下、「FFP」という。)を形成する。FFPとは、光出射面から離れた位置における出射光の形状や光強度分布である。レーザ光線のうちのFFPの楕円形状の中心を通る光線を、レーザ光の光軸と呼ぶ。光軸上を進む光は、FFPの光強度分布においてピーク強度を示す。FFPの光強度分布において、ピーク強度値に対して例えば1/e以上の強度を有する光を、「主要部分」の光と呼ぶことができる。
【0026】
発光素子21として、例えば、青色の光を出射する半導体レーザ素子、緑色の光を出射する半導体レーザ素子、または、赤色の光を出射する半導体レーザ素子を採用することができる。また、これら以外の光を出射する半導体レーザ素子を採用してもよい。
【0027】
ここで、青色の光は、その発光ピーク波長が420nm~494nmの範囲内にある光をいうものとする。緑色の光は、その発光ピーク波長が495nm~570nmの範囲内にある光をいうものとする。赤色の光は、その発光ピーク波長が605nm~750nmの範囲内にある光をいうものとする。
【0028】
青色の光を発する半導体レーザ素子、または、緑色の光を発する半導体レーザ素子として、窒化物半導体を含む半導体レーザ素子が挙げられる。窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、及びAlGaNを用いることができる。赤色の光を発する半導体レーザ素子として、InAlGaP系やGaInP系、GaAs系やAlGaAs系の半導体を含むものが挙げられる。
【0029】
(サブマウント22)
図1及び図2に示す例におけるサブマウント22は、上面及び上面と反対側に位置する下面を有し、直方体の形状を有する。ただし、サブマウント22の形状は直方体に限られない。サブマウント22の上面及び下面が、それぞれ、2つの接合面として機能し得る。サブマウント22は、例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、又は炭化ケイ素から形成することができる。サブマウント22の下面には、接合のための金属膜が設けられ得る。一方、サブマウント22の上面には、他の構成要素に電気的に接続される複数の配線領域が設けられ得る。
【0030】
(台30)
台30は、下面32と、下面32に対して傾斜した斜面31と、を有する。斜面31は、下面32に対して傾斜角度のある範囲で傾斜した平面である。傾斜角度は、例えば、10°以上80°以下の範囲にあり、好ましくは40°以上50°以下の範囲にある。図2に示す発光装置100の例において、斜面31は、下面32に対して45°の傾斜角をなす。あるいは、台30は、それぞれが下面32に対して傾斜した複数の傾斜面を含み得る。その場合、斜面31は、複数の傾斜面のうちの最も面積の大きな傾斜面であり得る。
【0031】
台30は、例えば、セラミック、ガラス、または金属などから形成することができる。例えば、窒化アルミニウムなどのセラミック、石英若しくは硼珪酸ガラスなどのガラス、またはアルミニウムなどの金属を用いることができる。台30は、例えばシリコンから形成することもできる。
【0032】
(反射性素子40)
反射性素子40は、光反射面41と、接合面42とを有する。接合面42は、光反射面41の反対側に位置し、反射性素子40が他の構成要素に接合される面である。反射性素子40の上面に光反射面41が設けられている。光反射面41は、入射する光の一部または全部を反射する。図1に示す例における反射性素子40の外形は直方体であるが、その外形は直方体に限定されない。
【0033】
反射性素子40は、光反射面41を表面に有する半導体素子であり得る。半導体素子は、例えば光検出器またはMEMS素子などの電子部品である。光検出器の例は、入射光の強度または光量に応じた電気信号を出力する光電変換素子(フォトダイオード)である。あるいは、反射性素子40は、反射型レンズ、または反射型若しくは透過型回折格子などの回折素子であってもよい。
【0034】
図1及び図2に示す例の発光装置100における反射性素子40は光検出器である。この場合、反射性素子40の光反射面41を光検出器の「受光面」と呼んでもよい。光検出器の受光面には、1または複数の受光領域45が設けられ得る。図1に示す例における反射性素子40において、受光面に1つの受光領域45が設けられている。受光面の外形の例は矩形であり、同様に、受光領域45は、受光面において、矩形の外形を有している。受光領域45の形状は、矩形に限らず、受光領域45に入射する光の形状に応じて適宜設計され得る。
【0035】
(発光装置100)
次に発光装置100を説明する。
【0036】
本実施形態に係る発光装置100は、基体11と、発光素子21及びサブマウント22を含む発光部20と、台30と、台30の斜面31に支持される反射性素子40と、を備える。ただし、発光素子21の数は1個に限定されず、2個以上であり得る。本開示の実施形態に係る発光装置は、1または複数の発光素子21を内部の空間に封止するパッケージ構造を備え得る。パッケージ構造については後に詳しく説明する。
【0037】
発光部20は、上面と、接合層71に接する下面とを有する1または複数のサブマウント22を有し得る。図1及び図2に示す例における発光部20は、1個のサブマウント22を有する。発光部20は、接合層71を介して基体11に接合される。より具体的には、発光部20に含まれるサブマウント22の下面が、接合層71を介して基体11の実装面11Mにおける実装領域に接合される。接合層71は、基体11と発光部20との間に位置する。
【0038】
接合層71は、基体11と発光部20とを接合する接合材料を加熱することによって形成される。接合材料の例は、焼結材料であり、この場合における接合層71は、金属粒子の焼結体層である。金属粒子または金属の粉末を当該金属の融点よりも低い温度(硬化温度)で加熱して焼き固めることにより、部材同士が接合される。焼結材料として、例えば金属ペーストを用いてもよい。以降、金属ペーストを単に「ペースト」と記載する。ペーストは、有機バインダ(または樹脂)とその中に分散される複数の金属粒子とを有する。複数の金属粒子は、例えば、Ag粒子、Cu粒子、Au粒子及びその他の貴金属粒子からなる群から選択される少なくとも1種類の金属粒子を含む。ペースト中の有機バインダは加熱中に揮発し、残りの焼結された複数の金属粒子が接合層71を形成する。そのため、焼結体層である接合層71は、有機バインダの揮発によって生じた複数の空孔を含み得る。
【0039】
1または複数の発光素子21が、1または複数のサブマウント22の上面に接合された状態で配置され得る。あるいは、1または複数の発光素子21のそれぞれが、複数のサブマウント22のうちの対応する1個のサブマウント22に配置され得る。図1に示す例における発光部20において1個の発光素子21が、サブマウント22の上面に接合された状態で配置されている。言い換えると、発光素子21は、サブマウント22を介して基体11の実装面11M上に配置されている。
【0040】
台30は、接合層72を介して基体11に接合される。より具体的には、台30の下面32が、接合層72を介して基体11の実装面11Mにおける実装領域に接合される。接合層72は、基体11と台30との間に位置する。
【0041】
接合層72は、基体11と台30とを接合する接合材料を加熱することによって形成される。接合材料の例は、ロウ材またははんだ材であり、この場合における接合層72は、合金の層である。ろう付けまたははんだ付けでは、ロウ材またははんだ材を昇温によって融解し、降温によって固化させることにより、部材同士が接合される。ロウ材は、例えば、金ロウ材、錫ロウ材、及び銀ロウ材からなる群から選択される少なくとも1つであり得る。はんだ材は、例えばAuSn、SnCu、SnAg、及びSnAgCuからなる群から選択される少なくとも1つであり得る。
【0042】
反射性素子40は、台30の斜面31に接合層73を介して接合される。接合層71と同様に、接合層73は、金属粒子の焼結体層である。接合層73は、有機バインダの揮発によって生じた複数の空孔を含み得る。接合層72の合金は、焼結体層である接合層71及び接合層73の焼結温度よりも高い融点を有する。液相線温度または固相線温度を意味する接合層72の合金の融点をt2、接合層71及び接合層73の焼結温度をそれぞれt1及びt3とすると、t2>t1、かつ、t2>t3の関係が成立する。
【0043】
台30は、台30の斜面31に接合された反射性素子40が1または複数の発光素子21から出射された光の少なくとも一部を反射する位置に配置され得る。図2に示す例における台30は、斜面31に接合された反射性素子40の光反射面41が発光素子21から出射された光のうちの主要部分の光を受け、主要部分の光の少なくとも一部を反射する位置に配置されている。
【0044】
反射性素子40は、1または複数の発光素子21から出射された光の少なくとも一部を斜めに受ける表面を有する半導体素子であり得る。図2に示す例における反射性素子40は、発光素子21から出射された光のうちの主要部分の光を斜めに受ける受光面を有する光検出器である。光検出器によって、発光素子21から出射される光の強度をモニタすることが可能となる。発光素子21から出射された光の一部は、光検出器の受光面における受光領域45(図1を参照)に入射し、残りの光の一部または全部は受光面によって上方に反射される。
【0045】
図2に示すように、発光部20に含まれるサブマウント22のY方向における厚さは、反射性素子40の光反射面41の下端から基体11の実装面11Mまでの高さよりも大きい。これにより、サブマウント22の上面に接合される発光素子21の光出射面21eに位置する発光点を、実装面11Mを基準として、光反射面41の下端よりも高い位置に配置させることができる。
【0046】
台30は、発光部20に含まれるサブマウント22に近づけて配置される。図2に示す例において、Z方向における、発光素子21の光出射面21eと同じ側に位置するサブマウント22の側面から、台30の斜面31の下端31aまでの距離d1は、例えば100μm以上500μm以下の範囲にあり得る。台30をサブマウント22に近づけて配置することによって、発光素子21の光出射面21eから、台30の斜面31に配置される反射性素子40の光反射面41までの距離を小さくすることができる。その結果、発光素子21から出射されたレーザ光が拡がる前に、レーザ光のうちの主要部分の光を反射性素子40の光反射面41に入射さることができるために、光反射面41のサイズを小さくすることが可能となる。このことは、反射性素子40の小型化に貢献し、さらには、発光装置全体の小型化に貢献し得る。
【0047】
[2.発光装置の製造方法の例]
次に、図3図4A図4Cを参照して、本実施形態に係る発光装置の製造方法の例を説明する。
【0048】
図3は、発光装置100の製造方法の例に含まれる製造工程のフローチャートである。図4A図4Cのそれぞれは、発光装置100の製造方法に含まれる製造工程を説明するための上面図である。
【0049】
図3に例示するフローチャートは、基体を用意する工程S10と、斜面を有する1または複数の台を、ロウ付けまたははんだ付けにより、基体に接合する工程S20と、1または複数の台を基体に接合した後、金属粒子を含むペーストを、基体の一部、及び、1または複数の台の斜面に塗布する工程S30と、1または複数の発光素子を含む1または複数の発光部を、ペーストを介して、基体に配置する工程S40と、反射性素子を、ペーストを介して、1または複数の台の斜面のそれぞれに配置する工程S50と、ペーストを加熱して金属粒子を焼結することにより、1または複数の発光部を基体に接合し、かつ、反射性素子を1または複数の台の斜面のそれぞれに接合する工程S60と、を含む。
【0050】
以下で説明する発光装置の製造方法の例によれば、基板搬送装置を用いて、1枚の基板から複数個(例えば50個程度)の発光装置を製造することができ、かつ、製造される発光装置の数に応じた構成要素を基板上でまとめて実装することができる。発光装置を1つずつ完成させていく製造工程に比べ、同じ工程のなかでまとめて複数の発光装置を製造できるため、発光装置を効率的に製造することが可能となり、生産性を向上させ得る。図4A図4Cのそれぞれには、基体11に実装される複数の発光装置の部材のうちの3行4列に並んだデバイス単位の部分を破線の矩形で囲み、拡大して例示している。
【0051】
工程S10において、基体11を用意する。
【0052】
工程S20において、図4Aに示すように、それぞれが斜面31を有する複数の台30を、ロウ付けまたははんだ付けにより基体11に接合する。ロウ付けまたははんだ付けは、第1熱処理温度で行う。第1熱処理温度の範囲は、例えば250℃以上500℃未満である。但し、第1熱処理温度は、後述する第2熱処理温度よりも高い温度である。また、複数の台30を基体11に接合することは、複数の台30のそれぞれの下面32にロウ材またははんだ材を塗布した後で順次または同時にレーザ光で照射し、複数の台30のそれぞれの下面32を加熱することを含み得る。例えば、ディスペンサを用いて、搬送用コレットで持ち上げられた台30の下面32にロウ材またははんだ材を塗布し、レーザを照射することにより、ロウ材またははんだ材を加熱して基体11と台30との間に合金の層である接合層72を形成する。これにより、基体11と台30とを、合金の層である接合層72によって接合する。基体の実装面を加熱すると、基体の反りによる面内温度分布、及びダイボンド後の時間差に起因する共晶不良が生じる可能性がある。これに対して、台の下面を加熱することにより、共晶不良の発生を抑制し得る。ただし、基体11を加熱して、基体11と台30とを接合してもよい。
【0053】
工程S30において、図4Bに示すように、複数の台30を基体11に接合した後、例えば、ディスペンサを用いて、前述したAg粒子、Cu粒子、Au粒子、Ag/Pd粒子などの金属粒子を含むペーストP1及びP2を、それぞれ、基体11の実装面11Mの一部、及び、台30の斜面31に塗布する。ペーストP2を塗布する斜面31上の領域のサイズは、例えば2mm四方程度である。本実施形態では、ペーストP1及びP2は、同じ金属粒子を含む。ただし、ペーストP1及びP2は異なる金属粒子を含んでいてもよい。平面である斜面31にペーストP2を塗布する場合には、ペーストP2の流動を抑えるために、ペーストP2にある程度の粘度が求められる。求められるペーストP2の粘度は、台30の下面32に対する斜面31の傾斜角などに依存する。傾斜角が例えば45°である場合、ペーストP2の室温(25℃)における粘度は、例えば25パスカル秒以上であることが好ましく、例えば30パスカル秒以上であることがより好ましい。これにより、斜面31にペーストP2を塗布してもペーストP2の流動を抑制できる。
【0054】
工程S40において、例えば搬送用コレットを用いて、複数の発光素子21を含む複数の発光部20を、ペーストP1を介して、基体11の実装面11Mに配置する。複数の発光部20を基体11に配置する前に、サブマウント22の上面に例えばAuSnのような接合材料を用いて発光素子21を接合することにより、発光部20を準備しておく。ペーストP1に含まれる金属粒子は、サブマウント22に発光素子21を接合するために用いる接合材料よりも融点が高く、かつ、接合温度が低い金属を含むことが好ましい。基体11と発光部20との接合に、接合温度が低い金属粒子を含むペーストP1を用いることで、接合時の温度を比較的低温とすることができる。その結果、発光素子21をサブマウント22に接合した後、サブマウント22を実装面11Mに接合するときに、接合時の熱が、サブマウント22に実装された発光素子21を破損させたり、発光素子21の温度特性に影響を与えたりすることを抑制できる。言い換えると、基体11と発光部20との接合にペーストP1を用いることで、発光装置の製造歩留まりが向上し得る。
【0055】
工程S50において、例えば搬送用コレットを用いて、反射性素子40を、ペーストP2を介して、複数の台30の斜面31のそれぞれに配置する。このとき、工程S20において、接合材料として、ロウ材またははんだ材の代わりにペーストを用いるとする。この場合、台30の斜面31に反射性素子40を配置するときに、反射性素子40の重力のうちの斜面31に垂直な成分によって、ペーストが硬化する前に、基体11の実装面11Mに平行な方向に台30が動く可能性がある。これに対し、基体11と台30とをロウ材またははんだ材によって接合することで、複数の台30のそれぞれは、合金の層である接合層72によって基体11に固定されているために、台30の斜面31に反射性素子40を配置しても台30は動かない。
【0056】
工程S60において、ペーストP1及びP2を加熱して金属粒子を焼結することにより、図4Cに示すように、複数の発光部20を基体11に接合し、かつ、反射性素子40を複数の台30の斜面31(図4Aを参照)のそれぞれに接合する。本実施形態では、接合層71および接合層73は、同じ硬化熱処理で形成される。ただし、接合層71および接合層73は、それぞれ、異なる硬化熱処理で形成され得る。ペーストを加熱して金属粒子を焼結するための硬化熱処理は、第2熱処理温度(硬化温度)で行う。ここで、前述した第1熱処理温度よりも第2熱処理温度は低い。第2熱処理温度は、例えば200℃以上300℃以下である。例えば、第2熱処理温度230℃で30分間ペーストを加熱して金属粒子を焼結させる。これにより、それぞれが複数の空孔を含み得る接合層71及び接合層73が形成される。第2熱処理温度下において、基体11と台30とを接合する接合層72の融解を抑制することが可能である。
【0057】
また、ペーストを加熱した後は、前述したように有機バインダは揮発するために、それぞれが焼結体層である接合層71及び接合層73に含まれない。したがって、発光素子が短波長の光を出射する場合に、有機分子(アウトガス)に短波長の光があたると、発光素子の出射端面に有機物質が付着してレーザ光の出力が低下したりする、いわゆる集塵による品質劣化を抑制し得る。
【0058】
本開示の実施形態に係る発光装置は、例えばヘッドマウントディスプレイに利用される。ヘッドマウントディスプレイは、光の出射点を基準とした精度の高い部品実装を必要とする。本開示の実施形態によれば、先に、ロウ材またははんだ材を用いて、台30を基体11に接合した後に、比較的に短い熱処理時間でペーストを加熱して台30の斜面31に反射性素子40を接合することができる。このため、基体11の実装面11Mにおける台30の位置ずれ、及び、反射性素子40が台30の斜面31をすべることによる斜面31における反射性素子40の位置ずれを抑制でき、その結果、光の出射点を基準とした反射性素子40の実装精度を向上させ得る。
【0059】
最後に、部品を実装した基体11をデバイス単位にダイシングなどにより分割することによって、1枚の基体から複数の発光装置100が得られる。
【0060】
<第2の実施形態>
図5から図7を参照して、本開示の第2の実施形態に係る発光装置を説明する。
【0061】
本実施形態に係る発光装置は、サブマウントによって支持された複数の発光素子、及び複数の発光素子を内部の空間に封止するパッケージを備える点で、第1の実施形態に係る発光装置と相違する。以下、共通点の説明は省略し、相違点を主に説明する。
【0062】
図5は、発光装置101の斜視図である。図6は、図5のVI-VI断面線における断面図である。図7は、発光装置101から蓋部16を除いた状態の上面図である。
【0063】
本実施形態に係る発光装置101は、パッケージ10と、3個の発光素子21を含む発光部20と、台30と、反射性素子40とを備える。ただし、発光素子21の数は3個に限定されず、1個、2個または4個以上であり得る。図6または図7に示す例における反射性素子40は、第1の実施形態と同様に、光検出器である。
【0064】
(パッケージ10)
パッケージ10は、基体11と、基体11の実装面11Mを囲う側壁部12と、側壁部12の上面10Aに固定される蓋部16と、を有する。パッケージ10は、実装面11Mと側壁部12とによって規定される凹部を有する。凹部は、パッケージ10の上方から下方に向かって窪む。ここで、凹部の窪みの底となる面を底面と呼ぶ。底面は、実装面11Mの主要な部分となり得る。
【0065】
実装面11Mの法線方向、すわわち、上面視において、パッケージ10の外形は矩形である。図7に示す例におけるパッケージ10の底面の外形は矩形である。
【0066】
本実施形態における基体11は、パッケージ10の実装面11Mを構成する部分である。基体11には、パッケージ10の底面及び下面が含まれる。側壁部12は、パッケージ10の実装面11Mを囲い、かつ、実装面11Mから上方に向かって延びる側壁を構成する部分である。
【0067】
パッケージ10は、1以上の段差部13を有し得る。段差部13は、パッケージ10の凹部に設けられている。段差部13は、パッケージ10の側壁部12の一部である。段差部13は、パッケージ10の上面10Aよりも下方に位置する。段差部13は段差構造を有し、パッケージ10の側壁に沿って形成され得る。図7に示す例では、段差部13は、実装面11Mを囲う側壁の全周に沿って形成されていないが、全周に沿って形成され得る。段差部13の上面13Aには、1または複数の配線領域が設けられ得る。例えば、1または複数の配線領域は、パッケージ10の内部を通り、パッケージ10の下面に設けられた配線領域に電気的に接続され得る。
【0068】
パッケージ10の側壁部12は、前述した基体11の材料と同様に、例えばセラミックを主材料として形成することができる。セラミックの例は、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素などを含む。
【0069】
図6に示す例におけるパッケージ10は、基体11と側壁部12とが一体的に形成された構造を有する。例えば、成形またはエッチングなどの加工技術を利用して基体11と側壁部12とが一体的に形成された部材を作製することが可能である。または、パッケージ10は、異なる材料を主材料から別個に形成された基体11と側壁部12を接合して作製してもよい。この場合、例えば、基体11は金属を主材料として形成され、側壁部12はセラミックを主材料として形成され得る。また、この場合、基体11は、側壁部12の主材料に用いるセラミックよりも放熱性に優れた材料(熱伝導率の高い材料)を含んでいることが好ましい。そのような材料の例は、銅、アルミニウム、鉄、銅モリブデン、銅タングステン、銅-ダイヤモンド複合材料を含み得る。
【0070】
蓋部16は、直方体の平板形状の部材である。ただし、蓋部16は直方体でなくてもよい。蓋部16は、基体11の上方において側壁部12の上面10Aに固定される。蓋部16は、透光性を有する領域である透光性領域を含む光取出面17を有する。蓋部16は、一部に、透光性を有しない領域である非透光性領域を有していてもよい。光取出面17は、蓋部16の上面に含まれる。なお、透光性を有するとは、そこに入射する主要な光の透過率が80%以上である性質を意味する。
【0071】
蓋部16は、例えばサファイアから形成することができる。サファイアは透光性を有しており、また、屈折率が比較的高く、強度も比較的高い材料である。蓋部16は、サファイア以外に、ガラス、プラスチック、石英などの透光性材料から形成され得る。
【0072】
パッケージ10は、例えば、Y方向の高さが3mm以下、上面視で、矩形形状の外形におけるX及びZ方向の1辺の長さが、それぞれ、10mm以下の寸法を有し得る。また、パッケージ10は、例えば、高さが2mm以下、上面視で、矩形形状の外形における1辺の長さが7mm以下の寸法を有し得る。
【0073】
本実施形態に係る発光装置101において、図6に示すように、発光部20は接合層71を介して基体11に接合される。台30は接合層72を介して基体11に接合され、反射性素子40は、接合層73を介して台30の斜面31に接合される。
【0074】
図7に示す例における発光装置101は、3個の発光素子21を備える。3個の発光素子21は、それぞれ、赤色の光、緑色の光、及び、青色の光から選択される互いに異なる色の光を出射する。RGBの3色の光を出射する発光装置は、例えば、カラー画像表示の用途に採用され得る。なお、各発光素子21が発する光の色は、これに限らず、また、用途によっては可視光に限られない。
【0075】
発光装置101において、パッケージ10の内部には封止された閉空間が形成される。また、パッケージ10の側壁部12と蓋部16とを所定の雰囲気下で接合することにより、パッケージ10の内部に気密封止された閉空間が形成される。発光素子21が配置される空間を気密封止することにより、集塵による品質劣化を抑制することができる。なお、発光装置101の全体が、集塵や空気中の水分などの影響による品質劣化を危惧する必要のない環境または雰囲気中で使用される場合、蓋部16は不要である。例えば、発光装置101の全体がエンクロージャによって封止される場合、蓋部16は不要である。
【0076】
3個の発光素子21は、サブマウント22の上面にX方向に並んで配置される。ただし、3個の発光素子21のそれぞれは、3個のサブマウントのうちの対応する1個のサブマウント上に配置されてもよい。3個の発光素子21のそれぞれから出射された光は、反射性素子40の光反射面41、すなわち光検出器の受光面に入射する。X方向における隣り合う発光素子21の発光点の間隔は、例えば200μm程度である。
【0077】
光検出器の受光面には、3個の発光素子21に対応した3つの受光領域45が設けられている。3つの受光領域45は、受光面においてX方向に並んで配置される。3つの受光領域45のそれぞれは、3個の発光素子21うちの対応する発光素子21から出射される光の主要部分を受ける位置に設けられている。複数の受光領域45が受光面に設けられる場合、光検出器を、それぞれが複数の受光領域45のうちの1つに対応した複数の部分に電気的及び機能的に分離することができる。図7に示すように、複数の部分は一体的に形成されてもよく、複数の部分のそれぞれは、物理的に分離された個別の光検出器であってもよい。
【0078】
3個の発光素子21のそれぞれから出射された光の一部は、対応する受光領域45に入射し、残りの光の一部または全部は受光面によって上方に反射される。上方に反射された光は、蓋部16の透光性領域を透過し、光取出面17から外部に出射する。
【0079】
本明細書でこれまで説明してきた内容を通し、以下の技術事項が開示される。
(項1)
基体と、
斜面を有する台と、
1または複数の発光素子を含む発光部と、
反射性素子と、
前記台を前記基体に接合する第1接合層と、
前記発光部を前記基体に接合する第2接合層と、
前記反射性素子を前記台の前記斜面に接合する第3接合層と、
を備え、
前記台は、前記斜面に接合された前記反射性素子が前記1または複数の発光素子から出射された光の少なくとも一部を反射する位置に配され、
前記第1接合層は、合金の層であり、
前記第2接合層及び前記第3接合層のそれぞれは、金属粒子の焼結体層である、発光装置。
(項2)
前記発光部は、上面と、前記第2接合層に接する下面とを有する1または複数のサブマウントを有し、
前記1または複数の発光素子は、前記1または複数のサブマウントの前記上面に接合されている、項1に記載の発光装置。
(項3)
前記反射性素子は、前記1または複数の発光素子から出射された前記光の少なくとも一部を斜めに受ける表面を有する半導体素子である、項1または2に記載の発光装置。
(項4)
前記半導体素子は、光検出器またはMEMS素子である、項3に記載の発光装置。
(項5)
前記反射性素子は、反射型レンズまたは回折素子である、項1または2に記載の発光装置。
(項6)
前記焼結体層は複数の空孔を含む、項1から5のいずれか1項に記載の発光装置。
(項7)
前記第1接合層の前記合金は、前記焼結体層の焼結温度よりも高い融点を有する、項1から6のいずれか1項に記載の発光装置。
(項8)
前記1または複数の発光素子のそれぞれは、半導体レーザ素子である、項1から7のいずれか1項に記載の発光装置。
(項9)
基体を用意すること、
斜面を有する1または複数の台を、ロウ付けまたははんだ付けにより、前記基体に接合すること、
前記1または複数の台を前記基体に接合した後、金属粒子を含むペーストを、前記基体の一部、及び、前記1または複数の台の前記斜面に塗布すること、
1または複数の発光素子を含む1または複数の発光部を、前記ペーストを介して、前記基体に配置すること、
反射性素子を、前記ペーストを介して、前記1または複数の台の前記斜面のそれぞれに配置すること、
前記ペーストを加熱して前記金属粒子を焼結することにより、前記1または複数の発光部を前記基体に接合し、かつ、前記反射性素子を前記1または複数の台の前記斜面のそれぞれに接合すること、
を含む、発光装置の製造方法。
(項10)
前記ロウ付けまたははんだ付けを行う第1熱処理温度よりも、前記ペーストを加熱して前記金属粒子を焼結する第2熱処理温度は低い、項9に記載の発光装置の製造方法。
(項11)
前記第2熱処理温度は、300℃以下である、項10に記載の発光装置の製造方法。
(項12)
前記ペーストの室温における粘度は、25パスカル秒以上である、項9から11のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
(項13)
前記1または複数の台を前記基体に接合することは、前記複数の台の下面のそれぞれにロウ材またははんだ材を塗布した後で順次または同時にレーザ光で照射し、前記1または複数の台の下面のそれぞれを加熱することを含む、項9から12のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0080】
実施形態に係る発光装置は、ヘッドマウントディスプレイ、プロジェクタ、照明、ディスプレイ等に使用することができる。
【符号の説明】
【0081】
10 :パッケージ
10A :上面
11 :基体
11M :実装面
12 :側壁部
13 :段差部
13A :上面
16 :蓋部
17 :光取出面
20 :発光部
21 :発光素子
21e :光出射面
22 :サブマウント
30 :台
31 :斜面
32 :下面
40 :反射性素子
41 :光反射面
42 :接合面
45 :受光領域
71、72、73 :接合層
100、101 :発光装置
P1、P2 :ペースト
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7