(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127291
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ドローン
(51)【国際特許分類】
B64D 1/22 20060101AFI20240912BHJP
B64U 10/13 20230101ALI20240912BHJP
B66C 1/28 20060101ALI20240912BHJP
B64U 101/64 20230101ALN20240912BHJP
【FI】
B64D1/22
B64U10/13
B66C1/28 J
B64U101:64
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036342
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100183438
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】小越 将行
(72)【発明者】
【氏名】中川 潤一
(72)【発明者】
【氏名】土佐 竜一
(72)【発明者】
【氏名】飯嶋 渡
(72)【発明者】
【氏名】三宅 康也
(72)【発明者】
【氏名】中野 有加
(72)【発明者】
【氏名】野田 晋太朗
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 樹
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004AA02
3F004AB11
3F004AB14
3F004AB19
3F004EA24
(57)【要約】
【課題】飛行中に荷物を安定的に支持すること。
【解決手段】ドローン10は、ドローン本体30と、運搬装置40と、制御装置50と、を備える。運搬装置40は、一対の把手M21,M31を有する荷物Mを収容する収容部60と、ドローン本体30と収容部60とを接続する接続部70と、接続部70に接続される上面部61と、第1方向D1において互いに対向する一対の壁部62と、一対の壁部62のそれぞれの内面に1つずつ設けられた2つの第1支持部81、及び、2つの第2支持部82と、を有する。制御装置50は、運搬装置40が地面に到達したことが検知された場合に、2つの把手M21,M31を支持するように2つの第2支持部82を制御する第2制御と、第2制御後に運搬装置40が地面から離間したことが検知された場合に、底面M1を支持するように2つの第1支持部81を制御する第4制御と、を実行するように構成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物の集荷及び配送を行うドローンであって、
回転翼を有するドローン本体と、
一対の把手を有する前記荷物を収容すると共に鉛直方向において下向きに開口する凹状の部材である収容部と、前記ドローン本体と前記収容部とを接続すると共に鉛直方向に沿って伸縮可能に構成されている接続部と、前記収容部に設けられると共に前記荷物を支持する支持部と、地面に到達したこと及び前記地面から離間したことを検知する検知部と、を有する運搬装置と、
前記ドローン本体及び前記運搬装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記収容部は、
前記接続部に接続される上面部と、前記上面部から下方に向かって延び前記鉛直方向に交差する第1方向において互いに対向する一対の壁部と、を有し、
前記支持部は、
前記一対の壁部のそれぞれの内面に1つずつ設けられ、前記荷物の底面を支持可能に構成された2つの第1支持部と、
前記一対の壁部のそれぞれの内面に1つずつ設けられ、前記把手を支持可能に構成された2つの第2支持部と、
を有し、
前記制御装置は、
一方の前記壁部が一方の前記把手に前記第1方向において対向し、他方の前記壁部が他方の前記把手に前記第1方向において対向する位置で前記荷物が前記収容部に収容されるように、前記ドローン本体及び前記接続部の少なくともいずれか一方を制御する第1制御と、
前記第1制御中に前記検知部によって前記運搬装置が前記地面に到達したことが検知された場合に、前記荷物が前記収容部に収容されたと判定し、対向する前記把手の方向に延び前記把手を支持するように前記2つの第2支持部を制御する第2制御と、
前記第2制御後において、前記運搬装置が前記地面から離れて上昇するように前記ドローン本体を制御する第3制御と、
前記第3制御中に前記検知部によって前記運搬装置が前記地面から離間したことが検知された場合に、前記荷物の底面の方向に延び前記底面を支持するように前記2つの第1支持部を制御する第4制御と、を実行するように構成されている、ドローン。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記第1制御中に前記検知部によって前記運搬装置が前記地面に到達したことが検知されない場合に、前記荷物が前記収容部に収容されていないと判定し、前記鉛直方向から見た場合の前記荷物に対する前記運搬装置の位置及び向きの少なくとも一方を調整するように前記ドローン本体を制御する第5制御を実行する請求項1記載のドローン。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第5制御後において、前記検知部によって前記運搬装置が前記地面に到達したことが検知されない場合に、前記荷物が前記収容部に収容されていないと判定し、前記運搬装置を上昇させるように前記接続部を制御する第6制御を実行する、請求項2記載のドローン。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記支持部によって前記荷物が支持されている場合に、前記運搬装置を所定の高さまで下降させるように前記ドローン本体及び前記接続部のうち少なくとも一方を制御する第7制御と、
前記第7制御後において、前記荷物の前記底面を支持しないように前記2つの第1支持部を制御する第8制御と、
前記第8制御後において、前記運搬装置を更に降下させるように前記ドローン本体及び前記接続部のうち少なくとも一方を制御する第9制御と、
前記第9制御中に前記検知部によって前記運搬装置が前記地面に到達したことが検知された場合に、前記荷物が接地したと判定し、前記2つの把手を支持しないように前記2つの第2支持部を制御する第10制御を実行する、請求項1記載のドローン。
【請求項5】
前記検知部は、前記一対の壁部の下端にそれぞれ設けられた複数の圧力センサを含み、
前記検知部は、前記複数の圧力センサの全てが第1閾値以上の圧力を検知した場合に、前記地面に到達したと検知し、前記複数の圧力センサのうちの1つが前記第1閾値を下回る圧力を検知した場合に、前記地面から離間したことを検知する、請求項1記載のドローン。
【請求項6】
前記接続部は、前記上面部に一端を接続されたワイヤと、前記ドローン本体の下方に設けられると共に前記ワイヤの他端に接続された巻き取り部とを含み、
前記検知部は、前記巻き取り部に設けられると共に前記ワイヤの張力を検知する張力センサを更に有し、
前記巻き取り部は、前記ワイヤの巻き上げ及び巻き下げを実行し、
前記検知部は、
前記張力センサにより検知された前記ワイヤの張力が第2閾値以下である場合に、前記地面に到達したと判定し、前記張力センサにより検知された前記ワイヤの張力が前記第2閾値を上回る場合に、前記地面から離間したと判定する、請求項1記載のドローン。
【請求項7】
前記第2支持部は、前記把手を支持可能な爪機構である、請求項1記載のドローン。
【請求項8】
前記第2支持部は、前記把手を把持可能なジャミング膜グリッパ機構である、請求項1記載のドローン。
【請求項9】
前記壁部は、前記鉛直方向から見た場合に前記壁部の下端が前記上面部から離れるように傾斜している、請求項1記載のドローン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一様態は、荷物を運搬するドローンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、可撓性部材を介して荷物を吊り下げて運搬するドローンを開示している。このドローンは、空中に浮遊しつつ荷物を地上に向けて下降させる際に、荷物の着地を確認したうえで荷物の取り外しを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したドローンは、無人で荷物を配達することができる。しかしながら、当該ドローンでは、荷物の上部が可撓性部材を介してドローンに接続されているので、ドローンの飛行中に荷物が空中で揺れ動いてしまう。このように、上述したドローンは、飛行中に荷物を安定的に支持することができない。
【0005】
本発明の一様態は上記実情に鑑みてなされたものであり、飛行中に荷物を安定的に支持することができるドローンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一様態に係るドローンは、荷物の集荷及び配送を行うドローンであって、回転翼を有するドローン本体と、一対の把手を有する荷物を収容すると共に鉛直方向において下向きに開口する凹状の部材である収容部と、ドローン本体と収容部とを接続すると共に鉛直方向に沿って伸縮可能に構成されている接続部と、収容部に設けられると共に荷物を支持する支持部と、地面に到達したこと及び地面から離間したことを検知する検知部と、を有する運搬装置と、ドローン本体及び運搬装置を制御する制御装置と、を備え、収容部は、接続部に接続される上面部と、上面部から下方に向かって延び鉛直方向に交差する第1方向において互いに対向する一対の壁部と、を有し、支持部は、一対の壁部のそれぞれの内面に1つずつ設けられ、荷物の底面を支持可能に構成された2つの第1支持部と、一対の壁部のそれぞれの内面に1つずつ設けられ、把手を支持可能に構成された2つの第2支持部と、を有し、制御装置は、一方の壁部が一方の把手に第1方向において対向し、他方の壁部が他方の把手に第1方向において対向する位置で荷物が収容部に収容されるように、ドローン本体及び接続部の少なくともいずれか一方を制御する第1制御と、第1制御中に検知部によって運搬装置が地面に到達したことが検知された場合に、荷物が収容部に収容されたと判定し、対向する把手の方向に延び把手を支持するように2つの第2支持部を制御する第2制御と、第2制御後において、運搬装置が地面から離れて上昇するようにドローン本体を制御する第3制御と、第3制御中に検知部によって運搬装置が地面から離間したことが検知された場合に、荷物の底面の方向に延び底面を支持するように2つの第1支持部を制御する第4制御と、を実行するように構成されている。
【0007】
本発明の一様態に係るドローンでは、第1方向における両側から荷物が支持される。かかる構成によれば、ドローンは、飛行中に荷物を安定的に支持することができる。また、上記ドローンでは、制御装置が、第1制御中に検知部によって運搬装置が地面に到達したことが検知された場合に、荷物が収容部に収容されたと判定し、対向する把手の方向に延び把手を支持するように2つの第2支持部を制御する第2制御と、第2制御後において、第3制御中に検知部によって運搬装置が地面から離間したことが検知された場合に、荷物の底面の方向に延び底面を支持するように2つの第1支持部を制御する第4制御と、を実行する。かかる構成によれば、2つの第2支持部によって2つの把手が支持されたことが確認された後に、2つの第1支持部によって底面が支持される。これにより、検知部による検知結果に基づいて荷物が二段階で自動的に支持される。その結果、飛行中のドローンが、配送対象の荷物を無人で把持することができる。よって、ドローンは、複数の把手を有する荷物を無人で集荷することができる。
【0008】
上記ドローンにおいて、制御装置は、第1制御中に検知部によって運搬装置が地面に到達したことが検知されない場合に、荷物が収容部に収容されていないと判定し、鉛直方向から見た場合の荷物に対する運搬装置の位置及び向きの少なくとも一方を調整するようにドローン本体を制御する第5制御を実行してもよい。このように、制御装置により、荷物が収容部に収容されていないと判定された場合、運搬装置の荷物に対する位置及び向きの少なくとも一方が調整される。これにより、ドローンは、荷物を無人でより確実に把持することができる。
【0009】
上記ドローンにおいて、制御装置は、第5制御後において、検知部によって運搬装置が地面に到達したことが検知されない場合に、荷物が収容部に収容されていないと判定し、運搬装置を上昇させるように接続部を制御する第6制御を実行してもよい。このように、制御装置により、荷物が収容部に収容されていないと再び判定された場合、運搬装置が上昇する。これにより、荷物が収容部に収容されるようにドローン本体及び接続部の少なくとも一方を制御する第1制御を仕切り直すことができる。その結果、ドローンは、荷物を無人でより一層確実に把持することができる。
【0010】
上記ドローンにおいて、制御装置は、前記支持部によって前記荷物が支持されている場合に、運搬装置を所定の高さまで下降させるようにドローン本体及び接続部のうち少なくとも一方を制御する第7制御と、第7制御後において、荷物の底面を支持しないように2つの第1支持部を制御する第8制御と、第8制御後において、運搬装置を更に下ろすようにドローン本体及び接続部のうち少なくとも一方を制御する第9制御と、第9制御中に検知部によって運搬装置が地面に到達したことが検知された場合に、荷物が接地したと判定し、2つの把手を支持しないように2つの第2支持部を制御する第10制御を実行してもよい。このように、荷物の底面を支持しないように2つの第1支持部が制御された後に、荷物が接地したことが確認された場合に荷物の2つの把手を支持しないように2つの第2支持部が制御される。これにより、検知部による検知結果に基づいて荷物が二段階で自動的に開放される。その結果、飛行中のドローンが、配送対象の荷物を無人で開放することができる。よって、ドローンは、複数の把手を有する荷物を無人で配達することができる。
【0011】
上記ドローンにおいて、検知部は、一対の壁部の下端にそれぞれ設けられた複数の圧力センサを含み、検知部は、複数の圧力センサの全てが第1閾値以上の圧力を検知した場合に、地面に到達したと検知し、複数の圧力センサのうちの1つが第1閾値を下回る圧力を検知した場合に、地面から離間したことを検知してもよい。このように、検知部は、運搬装置が安定した地面に到達したことを検知することができる。
【0012】
上記ドローンにおいて、接続部は、上面部に一端を接続されたワイヤと、ドローン本体の下方に設けられると共にワイヤの他端に接続された巻き取り部とを含み、検知部は、巻き取り部に設けられると共にワイヤの張力を検知する張力センサを更に有し、巻き取り部は、ワイヤの巻き上げ及び巻き下げを実行し、検知部は、張力センサにより検知されたワイヤの張力が第2閾値以下である場合に、地面に到達したと判定し、張力センサにより検知されたワイヤの張力が第2閾値を上回る場合に、地面から離間したと判定してもよい。このように、検知部は、運搬装置が地面に到達したことをより確実に検知することができる。
【0013】
上記ドローンにおいて、第2支持部は、把手を支持可能な爪機構であってもよい。このように、荷物の把手の下方に爪機構を差し込んで、荷物の把手を支持することができる。
【0014】
上記ドローンにおいて、第2支持部は、把手を把持可能なジャミング膜グリッパ機構であってもよい。このように、ジャミング膜グリッパ機構は、様々な形状の物体を包み込み把持するので、第2支持部は、様々な大きさの荷物(コンテナ)を把持することが可能となる。また、第2支持部は、荷物の把手を把持することができるので、より安定して荷物を支持することができる。
【0015】
上記ドローンにおいて、壁部は、鉛直方向から見た場合に壁部の下端が上面部から離れるように傾斜してもよい。このように、2つの壁部の下端同士が互いにより離間するので、収容部が荷物をより収容しやすくなる。これにより、ドローンは、より効率良く荷物を集荷することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一様態に係るドローンによれば、荷物を安定的に支持して配送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態におけるドローンシステムを示す模式図である。
【
図2】
図1のドローンシステムにおいて集荷及び配達される荷物の一例を示す斜視図である。
【
図3】実施形態におけるドローンシステムを示す模式図である。
【
図4】
図1のドローンシステムのポートを示す模式的な斜視図である。
【
図5】実施形態におけるに係るドローンを示す模式的な側面図である。
【
図6】
図5のドローンにおける制御装置のハードウェア構成を例示するブロック図である。
【
図7】実施形態に係るドローンによる荷物の把持の処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】実施形態に係るドローンによる荷物の把持を説明するための模式図である。
【
図9】実施形態に係るドローンによる荷物の開放の処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】実施形態に係るドローンによる荷物の開放を説明するための模式図である。
【
図11】変形例に係るドローンを示す模式的な側面図である。
【
図12】変形例に係る荷物の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1は、第1実施形態に係るドローンシステム1を示す模式図である。
図2は、荷物Mの一例を示す模式図である。ドローンシステム1は、荷物Mを集荷及び配達するためのシステムである。例えば、
図1に示されるように、ドローンシステム1は、農村地域において、ユーザの端末100からの配送指令に応じて、農作物Pを収容した荷物Mをドローン10に配送させる。また、例えば、ドローンシステム1は、災害時の支援物資を収容した荷物Mをドローン10に配送させてもよいし、宅配物を収容した荷物Mをドローン10に配送させてもよい。このように、ドローンシステム1は、例えば、過疎化が進み、モビリティサービス等が脆弱になっている農村地域等において、収穫物の運搬及び配送サービス等を行う基盤を提供することができる。
【0020】
図2に示されるように、荷物Mは、例えば、農作物等を収容可能に構成されたコンテナである。荷物Mは、市販の野菜コンテナであってもよい。荷物Mは、底面M1と、底面M1に交差すると共に鉛直方向に沿って延びる複数の側面M2~M5と、を有する。側面M2及びM3は、荷物Mの長手方向Aにおいて対向する。側面M4及びM5は長手方向Aと交差する方向において対向する。側面M2において底面M1と反対側の端部(上端部)には、把手M21が設けられている。同様に、側面M3,M4,及びM5には、底面M1と反対側の端部(上端部)に把手M31,M41,及びM51がそれぞれ設けられている。よって、荷物Mは、長手方向Aにおいて対向する一対の把手M21,M31と、長手方向Aと交差する方向において対向する一対の把手M41,M51とを有する。
【0021】
図3は、ドローン10と、配送元のポート20及び配送先のポート20とを示す模式図である。
図3に示されるように、ドローンシステム1は、一又は複数のドローン10と、複数のポート20とを備える。複数のポート20は、ドローン10の降下及び上昇が可能となるようにそれぞれ構成されている。ポート20の設置場所は、ドローン10が接触する可能性のある樹木等の障害物のない開けた場所であればよい。ポート20の設置場所は、荷物及び実体ポート21が滑り落ちない程度の傾斜又は凹凸がある場所であってもよい。なお、
図3においては、1つのドローン10及び2つのポート20,20が示されているが、ドローンシステム1には、2つ以上のドローン10が設けられていてもよいし、3つ以上のポート20が設けられていてもよい。
【0022】
図4は、ポート20を示す模式的な斜視図である。
図4に示されるように、ポート20は、実体ポート21と、一又は複数の仮想ポート22と、補助マーカ23と、を有する。実体ポート21は、台座24と、台座24の上面に設けられたマーカ25と、台座24の四隅を支持する複数のアジャスタ26と、を有する。
【0023】
台座24は、水平方向に沿って延在する板状を有する。マーカ25は、台座24の上面に貼り付けられている。マーカ25は、マーカ25の位置を示すコードである。例えば、マーカ25は、ARマーカであってもよいし、バーコードであってもよいし、QRコード(登録商標)であってもよいし、上記以外のその他のコードであってもよい。ドローン10は、当該ドローン10に搭載されたカメラ等により撮像した画像にマーカ25が含まれる場合、マーカ25の位置を特定することができる。例えば、ドローン10がAR.Drone1.0である場合、ドローン10は、マーカ25の正面方向に対する傾きが45度以下である位置に存在する場合にマーカ25を認識することができる。また、マーカ25は、台座24の上面に設けられたディスプレイに表示された画像であってもよい。この場合、当該マーカ25を認識したドローン10に、運搬する荷物Mの優先度等の追加情報を臨機応変に提供することができる。
【0024】
複数のアジャスタ26は、台座24を支持している。各アジャスタ26は、鉛直方向に沿った長さを調整可能に構成されている。実体ポート21が配置される地面が均平でなく傾斜している場合であっても、各アジャスタ26の高さを調整することにより台座24を水平に保つことが可能となる。例えば、地面が斜面である場合、当該斜面の上方側に位置するアジャスタ26を縮小させると共に斜面の下方側に位置するアジャスタ26を伸長させることにより、台座24を水平に保つことが可能となる。
【0025】
複数の仮想ポート22は、マーカ25の周囲に設定された実体の無いポートである。マーカ25の周囲において、荷物Mを配置するための十分なスペースがあれば、ユーザ等によって当該スペースが仮想ポート22として設定される。
図3に示される例では、マーカ25の周囲に12個の仮想ポート22が設定されている。仮想ポート22の数は、上記に限定されない。例えば、仮想ポート22の真上にドローン10が位置する場合にドローン10がマーカ25を認識できるように、各仮想ポート22が設けられていればよい。
【0026】
補助マーカ23は、複数の仮想ポート22を囲むように設けられている。具体的には、補助マーカ23は、実体ポート21を囲むように設けられる。補助マーカ23に囲まれた領域には、複数の仮想ポート22がユーザによって設定される。言い換えると、補助マーカ23を視認したユーザは、ポート20においてユーザが荷物Mを配置するべき範囲を設定する。なお、
図2に示されるように、ポート20が荷物Mの配達のみに用いられる場合、ポート20は、補助マーカ23を有していなくてもよい。
【0027】
再び
図3を参照する。ドローン10は、ポート20付近において、荷物Mの集荷及び配達を行うように構成されている。ドローン10は、待機場所等に予め待機しており、ユーザの端末100からの配送指令を受信すると飛行を開始する。当該配送指令は、荷物Mが配置された仮想ポートである集荷仮想ポート22Aと、集荷仮想ポート22Aに対応するポートである集荷ポート20Aと、配達先のポートである配達ポート20Bと、を示す情報を含む。ドローン10は、配送指令に基づいて、集荷仮想ポート22Aにおいて荷物Mを集荷し、集荷ポート20Aから配達ポート20Bに荷物Mを運搬し、配達ポート20Bにおいて複数の仮想ポート22のうちの1つに荷物Mを配達する。
【0028】
図5は、ドローン10を示す模式的な側面図である。
図5に示されるように、ドローン10は、ドローン本体30と、ドローン本体30の下方に設けられた運搬装置40と、ドローン本体30に設けられた制御装置50とを有する。ドローン本体30は、飛行可能に構成されている。ドローン本体30は、一又は複数の回転翼31を有している。ドローン本体30は、回転翼31を回転させることによって飛行する。ドローン本体30は、回転翼31の回転数を上げることによって上昇し、当該回転数を下げることによって下降する。また、ドローン本体30は、ドローン10から見える光景を撮像可能なカメラ30aを有している。以下、鉛直方向Dに交差する方向を第1方向D1とする。
【0029】
運搬装置40は、荷物Mを収容する収容部60と、ドローン本体30と収容部60とを接続する一又は複数の接続部70と、収容部60の内面に設けられる支持部80と、検知部90とを有する。収容部60は、鉛直方向Dにおいて下向きに開口する凹状の部材である。収容部60は、接続部70に接続される上面部61と、上面部61から下方に向かって延びる一対の壁部62とを有する。
【0030】
上面部61は、第1方向D1に沿って延びる。上面部61の下面には、収容部60の下方を撮像可能なカメラ61aが設けられている。一対の壁部62は、第1方向D1における上面部61の両端から鉛直方向Dに沿って下方に延びる。一対の壁部62は、第1方向D1において互いに対向する。各壁部62は、鉛直方向Dから見た場合に壁部62の下端62aが上面部61から離れるようにそれぞれ傾斜している。よって、収容部60の一部は、水平面に対して傾斜している。
【0031】
一又は複数の接続部70は、鉛直方向Dに沿って伸縮可能に構成されている。複数の接続部70は、ワイヤ71と、巻き取り部72とを有する。ワイヤ71の一端71aは、収容部60の上面部61に接続されている。ワイヤ71の他端71bは、巻き取り部72に接続されている。巻き取り部72は、例えばウインチである。巻き取り部72は、ワイヤ71の巻き上げ及び巻き下げを実行する。ワイヤ71が巻き下げられて伸長することにより、運搬装置40が下降する。ワイヤ71が巻き上げられて収縮することにより、運搬装置40が上昇する。
【0032】
支持部80は、荷物Mを支持可能に構成されている。支持部80は、壁部62の内面62bに設けられている。支持部80は、一対の壁部62のそれぞれの内面に1つずつ設けられた2つの第1支持部81及び2つの第2支持部82を有する。2つの第1支持部81は、2つの壁部62の下端62aにそれぞれ設けられている。2つの第1支持部81は、第1方向D1において互いに対向する。2つの第1支持部81は、収容部60の内側に折り込まれている。第1支持部81は、荷物Mの底面M1を支持可能に構成されている。2つの第1支持部81は、底面M1を支持する際に、収容部60の外側に向かって開かれる。例えば、第1支持部81は、底面M1を支持可能な爪機構である。当該爪機構は、例えば剛体により構成されている。第1支持部81の数は、上記に限定されない。例えば、4つの第1支持部81のうち2つが、2つの壁部62のうち一方の下端62aに設けられてもよい。4つの第1支持部81のうち他の2つが、2つの壁部62のうち他方の下端62aに設けられてもよい。
【0033】
2つの第2支持部82は、2つの壁部62の内面62bのそれぞれにおいて上面部61側に設けられている。2つの第2支持部82は、第1方向D1において互いに対向する。2つの第2支持部82は、上面部61側に折り込まれている。2つの第2支持部82は、複数の把手M21,M31,M41及びM51のうちの第1方向D1に沿って対向する2つの把手を支持可能に構成されている。2つの第1支持部81は、例えば把手M21,M31を支持する際に、上面部61と反対側に向かって開かれる。
図5に示される例では、2つの第2支持部82は、複数の把手M21,M31を支持する。例えば、第2支持部82は、把手M21,M31,M41及びM51のうちの1つを支持可能な爪機構である。当該爪機構は、例えば剛体により構成されている。また、例えば、第2支持部82は、爪機構ではなく、把手M21,M31,M41及びM51のうちの1つを把持可能なジャミング膜グリッパ機構であってもよい。以上のことから、支持部80は、荷物Mの把手M21~M51及び底面M1を二段階で自動的に把持及び開放する複数の爪機構を有する。
【0034】
検知部90は、運搬装置40が地面に到達したこと及び地面から離間したことを検知するように構成されている。検知部90は、一対の壁部62の下端62aにそれぞれ設けられた複数の圧力センサ91(荷重負荷センサ)を有する。例えば、2つの圧力センサ91は、一対の壁部62の下端62aにそれぞれ設けられている。圧力センサ91は、壁部62の下端62aが地面から受ける力の大きさを荷重として検知する。複数の圧力センサ91は、複数の圧力センサ91の全てが第1閾値以上の圧力を検知した場合に、運搬装置40が地面に到達したと検知する。複数の圧力センサ91は、複数の圧力センサ91のうちの1つが第1閾値を下回る圧力を検知した場合に、運搬装置40が地面から離間したことを検知する。第1閾値は、制御装置50等により予め設定されている。
【0035】
検知部90は、巻き取り部72に設けられた張力センサ92を更に有してもよい。例えば、張力センサ92は、巻き取り部72に隣接するように設けられてもよい。張力センサ92は、ワイヤ71の張力を検知してもよい。張力センサ92は、検知したワイヤ71の張力が第2閾値以下である場合に、地面に到達したと判定してもよい。張力センサ92は、検知されたワイヤ71の張力が第2閾値を上回る場合に、運搬装置40が地面から離間したことを検知してもよい。第2閾値は、制御装置50等により予め設定されてもよい。
【0036】
また、後述する制御装置50が、複数の圧力センサ91の全てが第1閾値以上の圧力を検知した場合、且つ、張力センサ92により検知されたワイヤ71の張力が第2閾値以下である場合に、地面に到達したと判定してもよい。制御装置50が、複数の圧力センサ91のうちの1つが第1閾値を下回る圧力を検知した場合、又は、運搬装置40が張力センサ92により検知されたワイヤ71の張力が第2閾値を上回る場合に、運搬装置40が地面から離間したと判定してもよい。
【0037】
図6は、制御装置50のハードウェア構成を示すブロック図である。制御装置50は、一つ又は複数の制御用コンピュータにより構成される。
図6に示されるように、制御装置50は回路190を有する。回路190は、少なくとも一つのプロセッサ191と、メモリ192と、ストレージ193と、入出力ポート194とを含む。ストレージ193は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。ストレージ193は、ドローンシステム1を制御するためのプログラムを記憶している。
【0038】
メモリ192は、ストレージ193の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ191による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ191は、メモリ192と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。入出力ポート194は、プロセッサ191からの指令に応じて通信部195、回転翼31、巻き取り部72、第1支持部81、第2支持部82、検知部90、カメラ61a、及びカメラ30aとの間で電気信号の入出力を行う。
【0039】
次に、ドローン10による荷物Mの把持における処理手順において、
図7及び
図8を参照して説明する。
図7は、実施形態に係るドローン10による荷物Mの把持の処理手順を示すフローチャートである。
図8は、実施形態に係るドローン10による荷物Mの把持を説明するための模式図である。
【0040】
例えば、ドローン10は、荷物Mの付近まで自動的に飛行した後に、荷物Mの把持を自動的に実行する。一例としては、まず、ドローン10は、集荷ポート20Aの位置情報に基づいて集荷ポート20Aの付近まで飛行する(
図3及び
図4参照)。次に、ドローン10は、集荷ポート20Aのマーカ25の位置を基準に、集荷仮想ポート22A(例えば荷物Mの付近)まで自動的に飛行する。最後に、ドローン10は、集荷仮想ポート22Aに配置された荷物Mを把持する制御を実行する。なお、ドローン10が荷物Mの付近まで自動的に飛行する際の処理は、上記に限定されない。
【0041】
まず、荷物Mを把持する制御では、
図7に示されるように、制御装置50によって、荷物Mの真上に位置するようにドローン10が制御される(ステップS1)。なお、ステップS1では、制御装置50により、実体ポート21のカメラ(図示省略)又は運搬装置40のカメラ61a等が制御され、荷物Mを撮像した画像が取得される。続いて、制御装置50により、当該画像に基づいて荷物Mの真上に位置するようにドローン10が制御される。
【0042】
続いて、
図8(a)に示されるように、制御装置50によって、収容部60に荷物Mが収容されるようにドローン10が制御される(ステップS2)。ステップS2では、一方の壁部62が一方の把手M21に第1方向D1において対向し、他方の壁部62が他方の把手M31に第1方向D1において対向する位置で荷物Mが収容部60に収容されるように、ドローン本体30及び接続部70の少なくともいずれか一方を制御する第1制御が実行される。このとき、制御装置50によって、1本~数本のワイヤ71を伸長することにより、ドローン本体30に固定された運搬装置40が降下する。また、制御装置50によって、ドローン本体30を降下させることによって、ドローン本体30に固定された運搬装置40が降下してもよい。
【0043】
続いて、制御装置50によって、検知部90により運搬装置40が地面に到達したことが検知されたか否かが判定される(ステップS3)。例えば、制御装置50によって、ステップS2が実行された後、所定の時間が経過したときにステップS3が実行される。所定の時間は、ステップS2において運搬装置40の降下が開始された後に、当該運搬装置40が地面に到達するために必要な時間以上であればよい。所定の時間は、予め決定されてもよいし、ステップS2が開始された際のドローン10の高度に基づいて設定されてもよい。
【0044】
制御装置50によって、検知部90により運搬装置40が地面に到達したことが検知されない場合(ステップS3:NO)、運搬装置40の位置及び向きの少なくとも一方を調整するようにドローン本体30が制御される(ステップS4)。ステップS4では、ドローン本体30がホバリングしながら左右に微細移動してもよいし、左右に回転移動してもよい。また、運搬装置40の位置を調整する上記処理において、運搬装置40のカメラ61aにより撮像された画像が利用されてもよい。
【0045】
したがって、ステップS3及びS4において、制御装置50によって、第1制御中に検知部90により運搬装置40が地面に到達したことが検知されない場合に、荷物Mが収容部60に収容されていないと判定し(ステップS3:NO)、鉛直方向Dから見た場合の荷物Mに対する運搬装置40の位置及び向きの少なくとも一方を調整するようにドローン本体30を制御する第5制御が実行される。例えば、第1制御を開始して所定の時間が経過しても、運搬装置40が地面に到達したことが検知されない場合に、荷物Mが収容部60に収容されていないと判定し、鉛直方向Dから見た場合の荷物Mに対する運搬装置40の位置及び向きの少なくとも一方を調整するようにドローン本体30を制御する第5制御が実行される。
【0046】
続いて、制御装置50によって、検知部90により運搬装置40が地面に到達したことが検知されたか否かが再び判定される(ステップS5)。制御装置50によって、検知部90により運搬装置40が地面に到達したことが検知されない場合(ステップS5:NO)、運搬装置40を上昇させるように接続部70が制御される(ステップS6)。続いて、制御装置50によって、収容部60に荷物Mが収容されるようにドローン10が再び制御される(ステップS2)。第5制御後において、制御装置50によって、検知部90によって運搬装置40が地面に到達したことが検知されない場合に、荷物Mが収容部60に収容されていないと判定し、運搬装置40を上昇させるように接続部70を制御する第6制御が実行される。このとき、巻き取り部72は、ワイヤ71を巻き上げる(引き戻す)。
【0047】
続いて、
図8(b)に示されるように、制御装置50によって、検知部90により運搬装置40が地面に到達したことが検知された場合(ステップS3,S5:YES)、荷物Mが収容部60に収容されたと判定されると共に、2つの把手M21,M31を支持するように2つの第2支持部82が制御される(ステップS7)。よって、ステップS3,S5において、第1制御中に検知部90によって運搬装置40が地面に到達したことが検知された場合に、ステップS7において、荷物Mが収容部60に収容されたと判定し、第1方向D1(対向する把手の方向)に延び把手M21,M31を支持するように2つの第2支持部82を制御する第2制御が実行される。例えば、荷物Mの把手M21,M31(持ち手)の下方に2つの第1支持部81(爪機構)がそれぞれ挿入される。
【0048】
続いて、
図8(c)に示されるように、制御装置50によって、運搬装置40が地面から離れて上昇するようにドローン本体30を制御する(ステップS8)。続いて、制御装置50によって、運搬装置40が地面から離間したことが検知されたか否かが判定される(ステップS9)。制御装置50によって、運搬装置40が地面から離間したと検知されない場合(ステップS9:NO)、ステップS8が実行される。
図8(d)に示されるように、制御装置50によって、運搬装置40が地面から離間したと検知された場合(ステップS9:YES)、荷物Mの底面M1を支持するように2つの第1支持部81が制御される(ステップS10)。よって、ステップS9及びS10では、制御装置50によって、第2制御後において、運搬装置40が地面から離れて上昇するようにドローン本体30を制御する第3制御が実行される。このとき、制御装置50によって、所定の高度まで上昇するようにドローン10が制御される。ステップS9において、制御装置50によって、第3制御中に検知部90によって運搬装置40が地面から離間したことが検知された場合に、荷物Mの底面M1の方向に延び底面M1を支持するように2つの第1支持部81を制御する第4制御が実行される。例えば、2つの第1支持部81(爪機構)によって荷物Mの底面M1が下方から支持される。以上のことから、2つの第1支持部81及び2つの第2支持部82によって、収容部60に荷物Mが固定される。
【0049】
以上の処理手順により、ドローン10は、荷物Mの把持を実行する。例えば、ドローンシステム1において、制御装置50によって、荷物Mが配置された仮想ポート22の真上まで飛行するようにドローン10が制御された後に、上述した荷物Mを把持する処理を実行することにより、ドローン10は、着陸することなく空中にホバリングしつつ、自動で配送対象の荷物Mを集荷する。
【0050】
次に、ドローン10による荷物Mの開放における処理手順において、
図9及び
図10を参照して説明する。
図9は、実施形態に係るドローン10による荷物Mの開放の処理手順を示すフローチャートである。
図10は、実施形態に係るドローン10による荷物Mの開放を説明するための模式図である。
【0051】
例えば、ドローン10は、荷物Mを置く場所まで自動的に飛行した後に、荷物Mの開放を自動的に実行する。一例としては、まず、ドローン10は、配達ポート20Bの位置情報に基づいて配達ポート20Bの付近まで飛行する(
図3及び
図4参照)。次に、ドローン10は、配達ポート20Bのマーカ25の位置を基準に、仮想ポート22(荷物Mを置く場所)まで自動的に飛行する。最後に、ドローン10は、仮想ポート22において荷物Mを開放する制御を実行する。なお、ドローン10が荷物Mを置く場所まで自動的に飛行する際の処理は、上記に限定されない。
【0052】
まず、
図9に示されるように、制御装置50によって、荷物Mの真上に位置するようにドローン10を制御する(ステップS11)。なお、ステップS11では、制御装置50により、実体ポート21のカメラ(図示省略)又は運搬装置40のカメラ61a等が制御され、荷物Mを撮像した画像が取得される。続いて、制御装置50により、当該画像に基づいて荷物Mの真上に位置するようにドローン10が制御される。
【0053】
続いて、
図10(a)に示されるように、制御装置50によって、運搬装置40が下降するようにドローン10が制御される(ステップS12)。このとき、制御装置50によって、1本~数本のワイヤ71を伸長することにより、ドローン本体30に固定された運搬装置40が降下する。また、制御装置50によって、ドローン本体30を降下させることによって、ドローン本体30に固定された運搬装置40が降下してもよい。
【0054】
続いて、制御装置50によって、運搬装置40が所定の高さまで下がったか否かが判定される(ステップS13)。制御装置50によって、運搬装置40が所定の高さまで下がっていないと判定された場合(ステップS13:NO)、ステップS12が継続して実行される。制御装置50によって、運搬装置40が所定の高さまで下がったと判定された場合(ステップS13:YES)、ステップS14に移行する。ステップS12及びS13では、支持部80によって荷物Mが支持されている場合に、制御装置50によって、運搬装置40を所定の高さまで下降させるようにドローン本体30及び接続部70のうち少なくとも一方を制御する第7制御が実行される。
【0055】
続いて、
図10(b)に示されるように、制御装置50によって、荷物Mの底面M1を支持しないように2つの第1支持部81が制御される(ステップS14)。このように、運搬装置40が所定の高さまで下がった場合、2つの第1支持部81(爪機構)が開放される。ステップS14では、制御装置50によって、第7制御後において、荷物Mの底面M1を支持しないように2つの第1支持部81を制御する第8制御が実行される(
図10参照)。
【0056】
続いて、
図10(b)に示されるように、制御装置50によって、運搬装置40を降下させるようにドローン本体30が制御される(ステップS15)。ステップS15では、制御装置50によって、第8制御後において、運搬装置40を更に降下させるようにドローン本体30及び接続部70のうち少なくとも一方を制御する第9制御が実行される。
【0057】
続いて、制御装置50によって、運搬装置40が地面に到達したことが検知されたか否かが判定される(ステップS16)。制御装置50によって、運搬装置40が地面に到達したことが検知されない場合(ステップS16:NO)、ステップS15が継続して実行される。
図10(c)に示されるように、制御装置50によって、運搬装置40が地面に到達したことが検知された場合(ステップS16:YES)、荷物Mの2つの把手M21,M31を支持しないように2つの第2支持部82を制御する(ステップS17)。ステップS17では、制御装置50によって、第9制御中に検知部90により運搬装置40が地面に到達したことが検知された場合に、荷物Mが接地したと判定し、2つの把手M21,M31を支持しないように2つの第2支持部82を制御する第10制御が実行される。よって、運搬装置40が地面に接地したことが検知された後に、荷物Mの把手M21,M31(持ち手)を支持する2つの第2支持部82(爪機構)が解放される。
【0058】
最後に、
図10(d)に示されるように、運搬装置40を回収するようにドローン10を制御する(ステップS18)。このとき、巻き取り部72がワイヤ71を巻き上げることにより、運搬装置40が回収される。以上の処理手順により、ドローン10は、荷物Mの開放を実行する。例えば、ドローンシステム1において、制御装置50によって、荷物Mが配置された仮想ポート22の真上まで飛行するようにドローン10が制御された後に、上述した荷物Mを開放する処理を実行することにより、ドローン10は、着陸することなく空中にホバリングしつつ、自動で配送対象の荷物Mを配達する。よって、ドローン10は、着陸することなく空中にホバリングしつつ、自動で配送対象の荷物Mを運搬及び配送する。ドローン10は、荷物Mを配送した後に、他の荷物Mの配送を自動で開始することができる。言い換えると、ドローン10は、連続で荷物Mを運搬できる。
【0059】
次に、実施形態に係るドローン10の作用効果について説明する。
【0060】
従来のドローンは、無人で荷物を配送することができる。しかしながら、当該ドローンでは、荷物の上部が可撓性部材を介してドローンに接続されているので、ドローンの飛行中に荷物が空中で揺れ動いてしまう。このように、上述したドローンは、飛行中に荷物を安定的に支持することができない。
【0061】
本発明の一様態に係るドローン10では、第1方向D1における両側から荷物Mが支持される。かかる構成によれば、ドローン10は、飛行中に荷物Mを安定的に支持することができる。また、上記ドローン10では、制御装置50が、第1制御中に検知部90によって運搬装置40が地面に到達したことが検知された場合に、荷物Mが収容部60に収容されたと判定し、対向する把手の方向に延び把手M21,M31を支持するように2つの第2支持部82を制御する第2制御と、第2制御後において、第3制御中に検知部90によって運搬装置40が地面から離間したことが検知された場合に、荷物Mの底面M1の方向に延び底面M1を支持するように2つの第1支持部81を制御する第4制御と、を実行する。かかる構成によれば、2つの第2支持部82によって2つの把手M21,M31が支持されたことが確認された後に、2つの第1支持部81によって底面M1が支持される。これにより、検知部90による検知結果に基づいて荷物Mが二段階で自動的に支持される。その結果、飛行中のドローン10が、配送対象の荷物Mを無人で把持することができる。よって、ドローン10は、複数の把手M21~M51を有する荷物Mを無人で集荷することができる。
【0062】
さらに、ドローン10では、第1方向D1における両側から荷物Mが支持される。かかる構成によれば、例えば、ドローン10が一般的なコンテナである荷物Mを運搬する際に、当該荷物Mに特殊な器具等を取り付ける必要がない。これにより、荷物が第1方向D1において対向する複数の把手を有していれば、当該荷物Mを運搬することができる。
【0063】
上記ドローン10において、制御装置50は、第1制御中に検知部90によって運搬装置40が地面に到達したことが検知されない場合に、荷物Mが収容部60に収容されていないと判定し、鉛直方向Dから見た場合の荷物Mに対する運搬装置40の位置及び向きの少なくとも一方を調整するようにドローン本体30を制御する第5制御を実行してもよい。このように、制御装置50により、荷物Mが収容部60に収容されていないと判定された場合、運搬装置40の荷物Mに対する位置及び向きの少なくとも一方が調整される。これにより、ドローン10は、荷物Mを無人でより確実に把持することができる。
【0064】
上記ドローン10において、制御装置50は、第5制御後において、検知部90によって運搬装置40が地面に到達したことが検知されない場合に、荷物Mが収容部60に収容されていないと判定し、運搬装置40を上昇させるように接続部70を制御する第6制御を実行してもよい。このように、制御装置50により、荷物Mが収容部60に収容されていないと再び判定された場合、運搬装置40が上昇する。これにより、荷物Mが収容部60に収容されるようにドローン本体30及び接続部70の少なくとも一方を制御する第1制御の実行を仕切り直すことができる。その結果、ドローン10は、荷物Mを無人でより一層確実に把持することができる。
【0065】
上記ドローン10において、制御装置50は、支持部80によって荷物Mが支持されている場合に、運搬装置40を所定の高さまで下降させるようにドローン本体30及び接続部70のうち少なくとも一方を制御する第7制御と、第7制御後において、荷物Mの底面M1を支持しないように2つの第1支持部81を制御する第8制御と、第8制御後において、運搬装置40を更に下ろすようにドローン本体30及び接続部70のうち少なくとも一方を制御する第9制御と、第9制御中に検知部90によって運搬装置40が地面に到達したことが検知された場合に、荷物Mが接地したと判定し、2つの把手M21,M31を支持しないように2つの第2支持部82を制御する第10制御を実行してもよい。このように、荷物Mの底面M1を支持しないように2つの第1支持部81が制御された後に、荷物Mが接地したことが確認された場合に荷物Mの2つの把手M21,M31を支持しないように2つの第2支持部82が制御される。これにより、検知部90による検知結果に基づいて荷物Mが二段階で自動的に開放される。その結果、飛行中のドローン10が、配送対象の荷物Mを無人で開放することができる。よって、ドローン10は、複数の把手M21~M51を有する荷物Mを無人で配達することができる。
【0066】
上記ドローン10において、検知部90は、一対の壁部62の下端62aにそれぞれ設けられた複数の圧力センサ91を含み、検知部90は、複数の圧力センサ91の全てが第1閾値以上の圧力を検知した場合に、地面に到達したと検知し、複数の圧力センサ91のうちの1つが第1閾値を下回る圧力を検知した場合に、地面から離間したことを検知してもよい。このように、検知部90は、運搬装置40が安定した地面に到達したことを検知することができる。
【0067】
上記ドローン10において、接続部70は、上面部61に一端71aを接続されたワイヤ71と、ドローン本体30の下方に設けられると共にワイヤ71の他端71bに接続された巻き取り部72とを含み、検知部90は、巻き取り部72に設けられると共にワイヤ71の張力を検知する張力センサ92を更に有し、巻き取り部72は、ワイヤ71の巻き上げ及び巻き下げを実行し、検知部90は、張力センサ92により検知されたワイヤ71の張力が第2閾値以下である場合に、地面に到達したと判定し、張力センサ92により検知されたワイヤ71の張力が第2閾値を上回る場合に、地面から離間したと判定してもよい。このように、検知部90は、運搬装置40が地面に到達したことをより確実に検知することができる。
【0068】
上記ドローン10において、第2支持部82は、把手M21,M31を支持可能な爪機構であってもよい。このように、荷物Mの把手M21,M31の下方に爪機構を差し込んで、荷物Mの把手M21,M31を支持することができる。
【0069】
上記ドローン10において、第2支持部82は、把手M21,M31を把持可能なジャミング膜グリッパ機構であってもよい。このように、ジャミング膜グリッパ機構は、様々な形状の物体を包み込み把持するので、第2支持部82は、様々な大きさの荷物Mを把持することが可能となる。また、第2支持部82は、荷物の把手M21,M31を把持することができるので、より安定して荷物Mを支持することができる。
【0070】
上記ドローン10において、壁部62は、鉛直方向Dから見た場合に壁部62の下端62aが上面部61から離れるように傾斜してもよい。このように、2つの壁部62の下端62a同士が互いにより離間するので、収容部60が荷物Mをより収容しやすくなる。これにより、ドローン10は、より効率良く荷物Mを集荷することが可能となる。
【0071】
以上、実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、
図11に示されるように、上記ドローン10は、2つの第2支持部82に代えて1つの第2支持棒182を有してもよい。この場合、1つの第2支持棒182は、2つの把手M21,M31の下方にそれぞれ設けられた2つの孔を通過すると共に2つの把手M21,M31を下方から支持する。
【0072】
また、例えば、荷物Mは、複数のマーカM6を設けられてもよい。
図12に示される例では、荷物Mは、4つのマーカM6を有する。4つのマーカM6は、荷物Mに設けられた矩形状の開口M7の四隅に貼り付けられている。ステップS1及びS11において、制御装置50は、運搬装置40の下方を撮像するようにカメラ61aを制御してもよい。従来のドローンは、GPS及び撮像された画像などで運搬対象の荷物の中央に移動することが前提である。したがって、当該ドローンは、運搬機構に荷物を中央に寄せるための補助機構が無く、GPSなどの誤差により荷物の真上まで飛行するようにドローン10を制御できない場合が考慮されていなかった。一方、本変形例のドローン10の場合、制御装置50は、カメラ61aにより撮像された画像において、4つのマーカM6を認識することにより、荷物Mの真上までより精度良く飛行するようにドローン10を制御することができる。
【0073】
また、例えば、アジャスタによって荷物Mの底面M1を地面から離間させてもよい。この場合、底面M1と地面との間に2つの第1支持部81をより容易に挿入することができる。一例としては、野菜コンテナ用のアジャスタにより野菜コンテナを浮かす。これにより、第1支持部81である爪機構を底面M1と地面との間にいれやすくなる。
【0074】
最後に、本開示に含まれる種々の例示的態様を、以下の[E1]~[E9]に記載する。
【0075】
[E1]
荷物の集荷及び配送を行うドローンであって、
回転翼を有するドローン本体と、
一対の把手を有する前記荷物を収容すると共に鉛直方向において下向きに開口する凹状の部材である収容部と、前記ドローン本体と前記収容部とを接続すると共に鉛直方向に沿って伸縮可能に構成されている接続部と、前記収容部に設けられると共に前記荷物を支持する支持部と、地面に到達したこと及び前記地面から離間したことを検知する検知部と、を有する運搬装置と、
前記ドローン本体及び前記運搬装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記収容部は、
前記接続部に接続される上面部と、前記上面部から下方に向かって延び前記鉛直方向に交差する第1方向において互いに対向する一対の壁部と、を有し、
前記支持部は、
前記一対の壁部のそれぞれの内面に1つずつ設けられ、前記荷物の底面を支持可能に構成された2つの第1支持部と、
前記一対の壁部のそれぞれの内面に1つずつ設けられ、前記把手を支持可能に構成された2つの第2支持部と、
を有し、
前記制御装置は、
一方の前記壁部が一方の前記把手に前記第1方向において対向し、他方の前記壁部が他方の前記把手に前記第1方向において対向する位置で前記荷物が前記収容部に収容されるように、前記ドローン本体及び前記接続部の少なくともいずれか一方を制御する第1制御と、
前記第1制御中に前記検知部によって前記運搬装置が前記地面に到達したことが検知された場合に、前記荷物が前記収容部に収容されたと判定し、対向する前記把手の方向に延び前記把手を支持するように前記2つの第2支持部を制御する第2制御と、
前記第2制御後において、前記運搬装置が前記地面から離れて上昇するように前記ドローン本体を制御する第3制御と、
前記第3制御中に前記検知部によって前記運搬装置が前記地面から離間したことが検知された場合に、前記荷物の底面の方向に延び前記底面を支持するように前記2つの第1支持部を制御する第4制御と、を実行するように構成されている、ドローン。
【0076】
[E2]
前記制御装置は、
前記第1制御中に前記検知部によって前記運搬装置が前記地面に到達したことが検知されない場合に、前記荷物が前記収容部に収容されていないと判定し、前記鉛直方向から見た場合の前記荷物に対する前記運搬装置の位置及び向きの少なくとも一方を調整するように前記ドローン本体を制御する第5制御を実行する[E1]記載のドローン。
【0077】
[E3]
前記制御装置は、前記第5制御後において、前記検知部によって前記運搬装置が前記地面に到達したことが検知されない場合に、前記荷物が前記収容部に収容されていないと判定し、前記運搬装置を上昇させるように前記接続部を制御する第6制御を実行する、[E2]記載のドローン。
【0078】
[E4]
前記制御装置は、
前記支持部によって前記荷物が支持されている場合に、前記運搬装置を所定の高さまで下降させるように前記ドローン本体及び前記接続部のうち少なくとも一方を制御する第7制御と、
前記第7制御後において、前記荷物の前記底面を支持しないように前記2つの第1支持部を制御する第8制御と、
前記第8制御後において、前記運搬装置を更に降下させるように前記ドローン本体及び前記接続部のうち少なくとも一方を制御する第9制御と、
前記第9制御中に前記検知部によって前記運搬装置が前記地面に到達したことが検知された場合に、前記荷物が接地したと判定し、前記2つの把手を支持しないように前記2つの第2支持部を制御する第10制御を実行する、[E1]~[E3]のいずれか一項記載のドローン。
【0079】
[E5]
前記検知部は、前記一対の壁部の下端にそれぞれ設けられた複数の圧力センサを含み、
前記検知部は、前記複数の圧力センサの全てが第1閾値以上の圧力を検知した場合に、前記地面に到達したと検知し、前記複数の圧力センサのうちの1つが前記第1閾値を下回る圧力を検知した場合に、前記地面から離間したことを検知する、[E1]~[E4]のいずれか一項記載のドローン。
【0080】
[E6]
前記接続部は、前記上面部に一端を接続されたワイヤと、前記ドローン本体の下方に設けられると共に前記ワイヤの他端に接続された巻き取り部とを含み、
前記検知部は、前記巻き取り部に設けられると共に前記ワイヤの張力を検知する張力センサを更に有し、
前記巻き取り部は、前記ワイヤの巻き上げ及び巻き下げを実行し、
前記検知部は、
前記張力センサにより検知された前記ワイヤの張力が第2閾値以下である場合に、前記地面に到達したと判定し、前記張力センサにより検知された前記ワイヤの張力が前記第2閾値を上回る場合に、前記地面から離間したと判定する、[E1]~[E5]のいずれか一項記載のドローン。
【0081】
[E7]
前記第2支持部は、前記把手を支持可能な爪機構である、[E1]~[E6]のいずれか一項記載のドローン。
【0082】
[E8]
前記第2支持部は、前記把手を把持可能なジャミング膜グリッパ機構である、[E1]~[E6]のいずれか一項記載のドローン。
【0083】
[E9]
前記壁部は、前記鉛直方向から見た場合に前記壁部の下端が前記上面部から離れるように傾斜している、[E1]~[E8]のいずれか一項記載のドローン。
【符号の説明】
【0084】
10…ドローン、31…回転翼、40…運搬装置、50…制御装置、60…収容部、61…上面部、62…壁部、62a…下端、62b…内面、70…接続部、71…ワイヤ、71a…一端、71b…他端、72…巻き取り部、80…支持部、81…第1支持部、82…第2支持部、90…検知部、91…圧力センサ、92…張力センサ、D…鉛直方向、D1…第1方向、M…荷物、M1…底面、M21,M31,M41,M51…把手。