(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127295
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ドローンシステム、ドローンの制御方法、プログラム、及びドローン
(51)【国際特許分類】
G08G 5/02 20060101AFI20240912BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20240912BHJP
B64U 20/87 20230101ALI20240912BHJP
G05D 1/46 20240101ALI20240912BHJP
G08G 5/00 20060101ALI20240912BHJP
B64U 101/64 20230101ALN20240912BHJP
【FI】
G08G5/02 A
B65G61/00 500
B64U20/87
G05D1/10
G08G5/00 A
B64U101:64
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036349
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100183438
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】小越 将行
(72)【発明者】
【氏名】中川 潤一
(72)【発明者】
【氏名】土佐 竜一
(72)【発明者】
【氏名】三宅 康也
(72)【発明者】
【氏名】中野 有加
(72)【発明者】
【氏名】野田 晋太朗
(72)【発明者】
【氏名】トウ ハクケイ
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 樹
【テーマコード(参考)】
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
5H181AA26
5H181BB04
5H181FF13
5H181FF24
5H181FF33
5H181FF38
5H181LL09
5H181MA42
5H301AA06
5H301BB05
5H301CC04
5H301CC07
5H301GG09
(57)【要約】
【課題】複数の荷物の集荷及び配達をより効率良く行うこと。
【解決手段】ドローンシステムは、マーカをそれぞれ有する複数のポートと、複数のドローンと、を備え、ドローンは、マーカと、マーカの周囲に設定された一又は複数の仮想ポートとの相対的な位置関係を示す関係情報を記憶する取得部51と、目的ポートの位置情報を取得する取得部51と、目的ポート付近まで飛行するようにドローンを制御する制御部57と、ドローンから見える光景を撮像する撮像部53と、撮像された画像において認識したマーカの位置を特定する特定部55と、目的ポートに係る関係情報を、マーカの位置に適用することにより、目的ポートに係る一又は複数の仮想ポートの位置を算出する算出部56と、を有し、制御部57は、一又は複数の仮想ポートのうちのいずれか1つにおいて荷物の集荷又は配達を実行するようにドローンを制御する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マーカをそれぞれ有する複数のポートと、
前記ポート付近において、荷物の集荷及び配達を行う一又は複数のドローンと、
を備え、
少なくとも1つの前記ドローンは、
前記複数のポートのそれぞれについて、前記マーカと、前記マーカの周囲に設定された一又は複数の仮想ポートとの相対的な位置関係を示す関係情報を記憶する記憶部と、
荷物の集荷又は配達に係る前記ポートである目的ポートの位置情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記位置情報に基づいて前記目的ポート付近まで飛行するように前記ドローンを制御する制御部と、
前記ドローンから見える光景を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像において前記マーカを認識した場合、前記画像に基づいて前記マーカの位置を特定する特定部と、
前記記憶部により記憶された、前記目的ポートに係る前記関係情報を、前記特定部により特定された前記マーカの位置に適用することにより、前記目的ポートに係る前記一又は複数の仮想ポートの位置を算出する算出部と、
を有し、
前記制御部は、前記算出部により算出された前記一又は複数の仮想ポートのうちのいずれか1つの位置まで飛行するように前記ドローンを制御し、荷物の集荷又は配達を実行するように前記ドローンを制御する、ドローンシステム。
【請求項2】
前記目的ポートは、荷物の集荷に係る前記ポートである集荷ポートであり、
前記取得部は、前記集荷ポートの位置情報と、前記集荷ポートを識別する情報及び前記集荷ポートの仮想ポートである集荷仮想ポートを識別する情報を含む第1識別情報と、を更に取得し、
前記特定部は、前記撮像部により撮像された画像において、前記集荷ポートのマーカを認識した場合、前記画像に基づいて前記集荷ポートのマーカの位置を特定し、
前記算出部は、前記記憶部により記憶された、前記集荷ポートに係る前記関係情報を、前記特定部により特定された前記集荷ポートのマーカの位置に適用することにより、前記第1識別情報に対応する前記集荷仮想ポートの位置を算出し、
前記制御部は、前記集荷ポートの位置情報に基づいて前記集荷ポート付近まで飛行するように前記ドローンを制御し、前記算出部により算出された前記集荷仮想ポートの位置まで飛行するように前記ドローンを制御し、前記荷物の集荷を実行するように前記ドローンを制御する、請求項1記載のドローンシステム。
【請求項3】
前記撮像部により撮像された画像に基づいて、前記仮想ポートに荷物が存在するか否かを判定する判定部を更に有し、
前記取得部は、荷物の配達に係る前記ポートである配達ポートの周囲に設定された複数の仮想ポートのいずれか1つに荷物を配達可能であるか否かを示す配達可否情報を更に取得し、
前記制御部は、前記判定部により前記集荷仮想ポートに配達対象の荷物が存在すると判定され、且つ、前記配達可否情報に基づいて前記配達ポートに荷物を配達可能であると判定した場合、荷物を集荷するように前記ドローンを制御する、請求項2記載のドローンシステム。
【請求項4】
前記撮像部により撮像された画像に基づいて、前記仮想ポートに荷物が存在するか否かを判定する判定部を更に有し、
前記目的ポートは、荷物の配達に係る前記ポートである配達ポートであり、
前記取得部は、前記配達ポートの位置情報と、前記配達ポートを識別する情報である第2識別情報と、を更に取得し、
前記特定部は、前記撮像部により撮像された画像において、前記第2識別情報に対応する前記配達ポートのマーカを認識した場合、前記画像に基づいて前記配達ポートのマーカの位置を特定し、
前記算出部は、前記記憶部により記憶された、前記配達ポートに係る前記関係情報を、前記特定部により特定された前記配達ポートのマーカの位置に適用することにより、前記配達ポートの周囲に設定された複数の前記仮想ポートの位置を算出し、
前記制御部は、前記配達ポートの位置情報に基づいて前記配達ポート付近まで飛行するように前記ドローンを制御し、前記算出部により算出された前記複数の仮想ポートのうちのいずれかの前記仮想ポートまで飛行するように前記ドローンを制御し、前記判定部により当該仮想ポートに荷物が存在しないと判定された場合、前記荷物の配達を実行するように前記ドローンを制御する、請求項1記載のドローンシステム。
【請求項5】
前記取得部は、前記ドローンの飛行が開始される前に、前記関係情報及び前記位置情報を取得し、
前記記憶部は、前記取得部によって取得された前記関係情報及び前記位置情報を記憶する、請求項1記載のドローンシステム。
【請求項6】
前記取得部は、前記ドローンの飛行中に、前記関係情報及び前記位置情報を取得し、
前記記憶部は、前記取得部によって取得された前記関係情報及び前記位置情報を記憶する、請求項1記載のドローンシステム。
【請求項7】
前記算出部は、前記撮像部により撮像された前記画像に基づいて、前記ドローンと、前記目的ポートのマーカとの位置関係を算出し、当該位置関係に前記関係情報を適用することにより、前記ドローンに対する前記仮想ポートの位置を算出する、請求項1記載のドローンシステム。
【請求項8】
前記マーカは、立体形状を有し、
前記マーカは、水平方向に沿って延在する天面と、前記水平方向と交差する方向に沿って延在する複数の側面と、前記天面及び前記複数の側面にそれぞれ設けられた複数のマーキングと、を含む、請求項1~7のいずれか1項記載のドローンシステム。
【請求項9】
前記関係情報は、前記複数のポートのそれぞれについて、各前記マーキングと、前記マーカの周囲に設定された一又は複数の仮想ポートとの相対的な位置関係を示す情報であり、
前記特定部は、前記撮像部により撮像された画像において、前記目的ポートに係る一又は複数の前記マーキングを認識した場合、前記一又は複数のマーキングの位置を特定し、
前記算出部は、前記特定部により特定された前記一又は複数のマーキングの位置に、前記関係情報を適用することによって、前記目的ポートに係る前記一又は複数の仮想ポートの位置を算出する、請求項8に記載のドローンシステム。
【請求項10】
前記マーカは、鉛直方向に沿って延在する立方体状である、請求項8に記載のドローンシステム。
【請求項11】
マーカをそれぞれ有する複数のポートと、前記ポート付近において、荷物の集荷及び配達を行う一又は複数のドローンと、を備えるドローンシステムにおける少なくとも1つの前記ドローンの制御方法であって、
前記複数のポートのそれぞれについて、前記マーカと、前記マーカの周囲に設定された一又は複数の仮想ポートとの相対的な位置関係を示す関係情報を記憶する記憶ステップと、
荷物の集荷又は配達に係る前記ポートである目的ポートの位置情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された前記位置情報に基づいて前記目的ポート付近まで飛行するように前記ドローンを制御する第1制御ステップと、
前記ドローンから見える光景を撮像する撮像ステップと、
前記撮像ステップにおいて撮像された画像において前記マーカを認識した場合、前記画像に基づいて前記マーカの位置を特定する特定する特定ステップと、
前記記憶ステップにおいて記憶された、前記目的ポートに係る前記関係情報を、前記特定ステップにおいて特定された前記マーカの位置に適用することにより、前記目的ポートに係る前記一又は複数の仮想ポートの位置を算出する算出ステップと、
前記算出ステップにおいて算出された前記一又は複数の仮想ポートのうちのいずれか1つの位置まで飛行するように前記ドローンを制御し、荷物の集荷又は配達を実行するように前記ドローンを制御する第2制御ステップと、を有する、ドローンの制御方法。
【請求項12】
請求項11記載のドローンの制御方法をドローンシステムに実行させるためのプログラム。
【請求項13】
請求項12記載のプログラムを記憶したドローン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一様態は、ドローンシステム、ドローンの制御方法、プログラム、及びドローンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ポート間での飛行を行う飛行体の飛行計画の管理を行う為のドローンシステムを開示している。このドローンシステムは、複数のポートを管理する管理装置と、ポート間を自律飛行する複数の飛行体の飛行計画を管理する飛行管理装置と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したドローンシステムでは、ドローンによる集荷及び配達時の離着陸場所として複数のポートが用いられている。しかしながら、荷物の集荷及び配達を行う場所の全てにポートを準備する場合、ポートを設置するために必要な機材及び作業が著しく増加してしまい、非効率である。また、複数の配達先が近接又は隣接している場合、各配達先の全てにポートを設置することは、著しく非効率である。一方、1つのポートにおいて1つの荷物の集荷又は配達が実行されるので、ポートの設置数が減少すると複数の荷物を集荷及び配達する際の効率が悪くなってしまうおそれがある。
【0005】
本発明の一様態は上記実情に鑑みてなされたものであり、複数の荷物の集荷及び配達をより効率良く行うことができる、ドローンシステム、プログラム、ドローン、及びドローンの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一様態に係るドローンシステムは、マーカをそれぞれ有する複数のポートと、ポート付近において、荷物の集荷及び配達を行う一又は複数のドローンと、を備え、少なくとも1つのドローンは、複数のポートのそれぞれについて、マーカと、マーカの周囲に設定された一又は複数の仮想ポートとの相対的な位置関係を示す関係情報を記憶する記憶部と、荷物の集荷又は配達に係るポートである目的ポートの位置情報を取得する取得部と、取得部により取得された位置情報に基づいて目的ポート付近まで飛行するようにドローンを制御する制御部と、ドローンから見える光景を撮像する撮像部と、撮像部により撮像された画像においてマーカを認識した場合、画像に基づいてマーカの位置を特定する特定部と、記憶部により記憶された、目的ポートに係る関係情報を、特定部により特定されたマーカの位置に適用することにより、目的ポートに係る一又は複数の仮想ポートの位置を算出する算出部と、を有し、制御部は、算出部により算出された一又は複数の仮想ポートのうちのいずれか1つの位置まで飛行するようにドローンを制御し、荷物の集荷又は配達を実行するようにドローンを制御する。
【0007】
本発明の一様態に係るドローンシステムによれば、記憶部は、荷物の集荷又は配達に係るポートである目的ポートについて、マーカと、マーカの周囲に設定された一又は複数の仮想ポートとの位置関係を示す関係情報を記憶している。算出部は、特定部により特定されたマーカの位置に当該位置関係を適用して、目的ポートに係る複数の仮想ポートの位置を算出する。制御部は、算出部により算出された一又は複数の仮想ポートのうちのいずれか1つの位置まで飛行するようにドローンを制御し、荷物の集荷又は配達を実行するようにドローンを制御する。ここで、従来、1つのポートにおいて1つの荷物の集荷又は配達が実行されるので、ポートの設置数が減少すると複数の荷物を集荷及び配達する際の効率が悪くなっていた。一方、上記構成によれば、1つのポートに対して複数の仮想ポートが設定され、複数の仮想ポートのそれぞれにおいて複数の荷物の集荷及び配達を同時に行うことができる。その結果、ポートを新たに設置することなく複数の荷物の集荷及び配達をより効率良く行うことが可能となる。また、複数の荷物の集荷の効率及び配達の効率を維持しつつ、ポートの設置数を減少させることができる。したがって、ポートを設置するために必要な機材及び作業を減少させることができる。さらに、管制塔などの上位コントローラが無くても、配送指令さえあれば配達可能である。
【0008】
上記ドローンシステムにおいて、目的ポートは、荷物の集荷に係るポートである集荷ポートであり、取得部は、集荷ポートの位置情報と、集荷ポートを識別する情報及び集荷ポートの仮想ポートである集荷仮想ポートを識別する情報を含む第1識別情報と、を更に取得し、特定部は、撮像部により撮像された画像において、集荷ポートのマーカを認識した場合、画像に基づいて集荷ポートのマーカの位置を特定し、算出部は、記憶部により記憶された、集荷ポートに係る関係情報を、特定部により特定された集荷ポートのマーカの位置に適用することにより、第1識別情報に対応する集荷仮想ポートの位置を算出し、制御部は、集荷ポートの位置情報に基づいて集荷ポート付近まで飛行するようにドローンを制御し、算出部により算出された集荷仮想ポートの位置まで飛行するようにドローンを制御し、荷物の集荷を実行するようにドローンを制御してもよい。この場合、ポートを新たに設置することなく複数の荷物の集荷をより効率良く行うことが可能となる。また、複数の荷物の集荷の効率を維持しつつ、ポートの設置数を減少させることができる。
【0009】
上記ドローンシステムにおいて、撮像部により撮像された画像に基づいて、仮想ポートに荷物が存在するか否かを判定する判定部を更に有し、取得部は、荷物の配達に係るポートである配達ポートの周囲に設定された複数の仮想ポートのいずれか1つに荷物を配達可能であるか否かを示す配達可否情報を更に取得し、制御部は、判定部により集荷仮想ポートに配達対象の荷物が存在すると判定され、且つ、配達可否情報に基づいて配達ポートに荷物を配達可能であると判定した場合、荷物を集荷するようにドローンを制御してもよい。このように、ドローンは、荷物の集荷及び配達が可能であることを確認した後に、荷物の集荷を開始する。これにより、ドローンが、配達ポートに配達することができない荷物を集荷仮想ポートにおいて集荷することが抑制されるので、荷物の集荷及び配達をより効率良く実現することができる。
【0010】
上記ドローンシステムにおいて、撮像部により撮像された画像に基づいて、仮想ポートに荷物が存在するか否かを判定する判定部を更に有し、目的ポートは、荷物の配達に係るポートである配達ポートであり、取得部は、配達ポートの位置情報と、配達ポートを識別する情報である第2識別情報と、を更に取得し、特定部は、撮像部により撮像された画像において、第2識別情報に対応する配達ポートのマーカを認識した場合、画像に基づいて配達ポートのマーカの位置を特定し、算出部は、記憶部により記憶された、配達ポートに係る関係情報を、特定部により特定された配達ポートのマーカの位置に適用することにより、配達ポートの周囲に設定された複数の仮想ポートの位置を算出し、制御部は、配達ポートの位置情報に基づいて配達ポート付近まで飛行するようにドローンを制御し、算出部により算出された複数の仮想ポートのうちのいずれか1つの仮想ポートまで飛行するようにドローンを制御し、判定部により当該仮想ポートに荷物が存在しないと判定された場合、荷物の配達を実行するようにドローンを制御してもよい。この場合、ポートを新たに設置することなく複数の荷物の配達をより効率良く行うことが可能となる。また、複数の荷物の配達の効率を維持しつつ、ポートの設置数を減少させることができる。
【0011】
上記ドローンシステムにおいて、取得部は、ドローンの飛行が開始される前に、関係情報及び位置情報を取得し、記憶部は、取得部によって取得された関係情報及び位置情報を記憶してもよい。これにより、ドローンの飛行中における処理負荷を軽減することができる。
【0012】
上記ドローンシステムにおいて、取得部は、ドローンの飛行中に、関係情報及び位置情報を取得し、記憶部は、取得部によって取得された関係情報及び位置情報を記憶してもよい。このように、ドローンは、ドローンの飛行中に目的ポートが変更された場合であっても、変更後の目的ポートに係る位置情報及び関係情報を取得することができる。これにより、荷物の集荷及び配達をより効率良く行うことができる。
【0013】
上記ドローンシステムにおいて、算出部は、撮像部により撮像された画像に基づいて、ドローンと、目的ポートのマーカとの位置関係を算出し、当該位置関係に関係情報を適用することにより、ドローンに対する仮想ポートの位置を算出してもよい。このように、マーカを基準として、ドローンに対する仮想ポートの位置が算出される。これにより、仮想ポートの位置をより正確に算出することができる。
【0014】
上記ドローンシステムにおいて、マーカは、立体形状を有し、マーカは、水平方向に沿って延在する天面と、水平方向と交差する方向に沿って延在する複数の側面と、天面及び複数の側面にそれぞれ設けられた複数のマーキングと、を含んでもよい。このように、水平方向に沿って延在する天面及び水平方向と交差する方向に沿って延在する側面の両方にマーキングが設けられる。これにより、特定部が天面に設けられたマーキングを認識できない位置にドローンが存在する場合であっても、特定部が側面に設けられたマーキングを認識して当該マーキングの位置を特定することが可能となる。その結果、ドローンが、マーカの位置をより容易に特定することが可能となる。よって、荷物の集荷及び配達をより効率良く行うことが可能となる。
【0015】
上記ドローンシステムにおいて、関係情報は、複数のポートのそれぞれについて、各マーキングと、マーカの周囲に設定された一又は複数の仮想ポートとの相対的な位置関係を示す情報であり、特定部は、撮像部により撮像された画像において、目的ポートに係る一又は複数のマーキングを認識した場合、一又は複数のマーキングの位置を特定し、算出部は、特定部により特定された一又は複数のマーキングの位置に、関係情報を適用することによって、目的ポートに係る一又は複数の仮想ポートの位置を算出してもよい。このように、特定部が天面に設けられたマーキングを認識できない位置にドローンが存在する場合であっても、特定部が側面に設けられたマーキングを認識して当該マーキングの位置を特定することが可能となる。その結果、ドローンが、マーカの位置をより容易に特定することが可能となる。よって、荷物の集荷及び配達をより効率良く行うことが可能となる。
【0016】
上記ドローンシステムにおいて、マーカは、鉛直方向に沿って延在する立方体であってもよい。このように、特定部が天面に設けられたマーキングを認識できない位置にドローンが存在する場合であっても、特定部が側面に設けられたマーキングを認識して当該マーキングの位置を特定することが可能となる。これにより、ドローンが、マーカの位置をより容易に特定することが可能となる。その結果、荷物の集荷及び配達をより効率良く行うことができる。
【0017】
本発明の一様態に係るドローンの制御方法は、マーカをそれぞれ有する複数のポートと、ポート付近において、荷物の集荷及び配達を行う一又は複数のドローンと、を備えるドローンシステムにおける少なくとも1つのドローンの制御方法であって、複数のポートのそれぞれについて、マーカと、マーカの周囲に設定された一又は複数の仮想ポートとの相対的な位置関係を示す関係情報を記憶する記憶ステップと、荷物の集荷又は配達に係るポートである目的ポートの位置情報を取得する取得ステップと、取得ステップにおいて取得された位置情報に基づいて目的ポート付近まで飛行するようにドローンを制御する第1制御ステップと、ドローンから見える光景を撮像する撮像ステップと、撮像ステップにおいて撮像された画像においてマーカを認識した場合、画像に基づいてマーカの位置を特定する特定する特定ステップと、記憶ステップにおいて記憶された、目的ポートに係る関係情報を、特定ステップにおいて特定されたマーカの位置に適用することにより、目的ポートに係る一又は複数の仮想ポートの位置を算出する算出ステップと、算出ステップにおいて算出された一又は複数の仮想ポートのうちのいずれか1つの位置まで飛行するようにドローンを制御し、荷物の集荷又は配達を実行するようにドローンを制御する第2制御ステップと、を有する。
【0018】
本発明の一様態に係るドローンの制御方法によれば、1つのポートにおいて複数の荷物の集荷及び配達を同時に行うことができる。その結果、ポートを新たに設置することなく複数の荷物の集荷及び配達をより効率良く行うことが可能となる。また、複数の荷物の集荷の効率及び配達の効率を維持しつつ、ポートの設置数を減少させることができる。したがって、ポートを設置するために必要な機材及び作業を減少させることができる。さらに、管制塔などの上位コントローラが無くても、配送指令さえあれば配達可能である。
【0019】
本発明の一様態に係るプログラムは、上記ドローンの制御方法を上記ドローンシステムに実行させるためのプログラムであってもよい。上記プログラムによれば、1つのポートにおいて複数の荷物の集荷及び配達を同時に行うようにドローンを制御することができる。その結果、ポートを新たに設置することなく複数の荷物の集荷及び配達をより効率良く行うことが可能となる。また、複数の荷物の集荷の効率及び配達の効率を維持しつつ、ポートの設置数を減少させることができる。したがって、ポートを設置するために必要な機材及び作業を減少させることができる。さらに、管制塔などの上位コントローラが無くても、配送指令さえあれば配達可能である。
【0020】
本発明の一様態に係るドローンは、上記プログラムを記憶したドローンであってもよい。上記ドローンによれば、1つのポートにおいて複数の荷物の集荷及び配達を同時に行うことができる。その結果、ポートを新たに設置することなく複数の荷物の集荷及び配達をより効率良く行うことが可能となる。また、複数の荷物の集荷の効率及び配達の効率を維持しつつ、ポートの設置数を減少させることができる。したがって、ポートを設置するために必要な機材及び作業を減少させることができる。さらに、管制塔などの上位コントローラが無くても、配送指令さえあれば配達可能である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一様態に係るドローンシステム、ドローンの制御方法、プログラム、及びドローンによれば、複数の荷物の集荷及び配達をより効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態に係るドローンシステムを示す模式図である。
【
図2】
図1のドローンシステムにおいて集荷及び配達される荷物の一例を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係るドローンシステムを示す模式図である。
【
図4】
図1のドローンシステムのポートを示す模式的な斜視図である。
【
図5】
図1のドローンシステムのドローンを示す模式的な側面図である。
【
図6】
図5のドローンにおける制御装置の機能に係るブロック図である。
【
図7】
図5のドローンにおける制御装置のハードウェア構成を例示するブロック図である。
【
図8】第1実施形態に係るドローンシステムにおける荷物の集荷の処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】第1実施形態に係るドローンシステムにおける仮想ポートの設定の処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】第1実施形態に係るドローンシステムにおけるドローンによる荷物の集荷を説明するための図である。
【
図11】第1実施形態に係るドローンシステムにおける荷物の配達の処理手順を示すフローチャートである。
【
図12】第2実施形態に係るドローンシステムのポートを示す模式的な斜視図である。
【
図13】第2実施形態に係るドローンシステムの作用効果を説明するための図である。
【
図14】変形例に係るドローンシステムにおける荷物の集荷の処理手順を示すフローチャートである。
【
図15】変形例に係るドローンシステムにおける仮想ポートの設定の処理手順を示すフローチャートである。
【
図16】変形例に係るドローンシステムにおける荷物の配達の処理手順を示すフローチャートである。
【
図17】変形例に係るドローンシステムのポートを示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0024】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るドローンシステム1を示す模式図である。
図2は、荷物Mの一例を示す模式図である。ドローンシステム1は、荷物Mを集荷及び配達するためのシステムである。例えば、
図1に示されるように、ドローンシステム1は、農村地域において、ユーザの端末100からの配送指令に応じて、農作物Pを収容した荷物Mをドローン10に配送させる。また、例えば、ドローンシステム1は、災害時の支援物資を収容した荷物Mをドローン10に配送させてもよいし、宅配物を収容した荷物Mをドローン10に配送させてもよい。このように、ドローンシステム1は、例えば、過疎化が進み、モビリティサービス等が脆弱になっている農村地域等において、収穫物の運搬及び配送サービス等を行う基盤を提供することができる。
【0025】
図2に示されるように、荷物Mは、例えば、農作物等を収容可能に構成されたコンテナである。荷物Mは、市販の野菜コンテナであってもよい。荷物Mは、底面M1と、底面M1に交差すると共に鉛直方向に沿って延びる複数の側面M2~M5と、を有する。側面M2及びM3は、荷物Mの長手方向Aにおいて対向する。側面M4及びM5は長手方向Aと交差する方向において対向する。側面M2において底面M1と反対側の端部(上端部)には、把手M21が設けられている。同様に、側面M3,M4,及びM5には、底面M1と反対側の端部(上端部)に把手M31,M41,及びM51がそれぞれ設けられている。よって、荷物Mは、長手方向Aにおいて対向する一対の把手M21,M31と、長手方向Aと交差する方向において対向する一対の把手M41,M51とを有する。
【0026】
図3は、ドローン10と、配送元のポート20及び配送先のポート20とを示す模式図である。
図3に示されるように、ドローンシステム1は、一又は複数のドローン10と、複数のポート20とを備える。複数のポート20は、ドローン10の降下及び上昇が可能となるようにそれぞれ構成されている。ポート20の設置場所は、ドローン10が接触する可能性のある樹木等の障害物のない開けた場所であればよい。ポート20の設置場所は、荷物及び実体ポート21が滑り落ちない程度の傾斜又は凹凸がある場所であってもよい。なお、
図3においては、1つのドローン10及び2つのポート20,20が示されているが、ドローンシステム1には、2つ以上のドローン10が設けられていてもよいし、3つ以上のポート20が設けられていてもよい。
【0027】
図4は、ポート20を示す模式的な斜視図である。
図4に示されるように、ポート20は、実体ポート21と、一又は複数の仮想ポート22と、補助マーカ23と、を有する。実体ポート21は、台座24と、台座24の上面に設けられたマーカ25と、台座24の四隅を支持する複数のアジャスタ26と、を有する。
【0028】
台座24は、水平方向に沿って延在する板状を有する。マーカ25は、台座24の上面に貼り付けられている。マーカ25は、マーカ25の位置を示すコードである。例えば、マーカ25は、ARマーカであってもよいし、バーコードであってもよいし、QRコード(登録商標)であってもよいし、上記以外のその他のコードであってもよい。ドローン10は、当該ドローン10に搭載されたカメラ等により撮像した画像にマーカ25が含まれる場合、マーカ25の位置を特定することができる。例えば、ドローン10がAR.Drone1.0である場合、ドローン10は、マーカ25の正面方向に対する傾きが45度以下である位置に存在する場合にマーカ25を認識することができる。また、マーカ25は、台座24の上面に設けられたディスプレイに表示された画像であってもよい。この場合、当該マーカ25を認識したドローン10に、運搬する荷物Mの優先度等の追加情報を臨機応変に提供することができる。
【0029】
複数のアジャスタ26は、台座24を支持している。各アジャスタ26は、鉛直方向に沿った長さを調整可能に構成されている。実体ポート21が配置される地面が均平でなく傾斜している場合であっても、各アジャスタ26の高さを調整することにより台座24を水平に保つことが可能となる。例えば、地面が斜面である場合、当該斜面の上方側に位置するアジャスタ26を縮小させると共に斜面の下方側に位置するアジャスタ26を伸長させることにより、台座24を水平に保つことが可能となる。
【0030】
複数の仮想ポート22は、マーカ25の周囲に設定された実体の無いポートである。マーカ25の周囲において、荷物Mを配置するための十分なスペースがあれば、ユーザ等によって当該スペースが仮想ポート22として設定される。
図3に示される例では、マーカ25の周囲に12個の仮想ポート22が設定されている。仮想ポート22の数は、上記に限定されない。例えば、仮想ポート22の真上にドローン10が位置する場合にドローン10がマーカ25を認識できるように、各仮想ポート22が設けられていればよい。
【0031】
補助マーカ23は、複数の仮想ポート22を囲むように設けられている。具体的には、補助マーカ23は、実体ポート21を囲むように設けられる。補助マーカ23に囲まれた領域には、複数の仮想ポート22がユーザによって設定される。言い換えると、補助マーカ23を視認したユーザは、ポート20においてユーザが荷物Mを配置するべき範囲を設定する。なお、
図2に示されるように、ポート20が荷物Mの配達のみに用いられる場合、ポート20は、補助マーカ23を有していなくてもよい。
【0032】
再び
図3を参照する。ドローン10は、ポート20付近において、荷物Mの集荷及び配達を行うように構成されている。ドローン10は、待機場所等に予め待機しており、ユーザの端末100からの配送指令を受信すると飛行を開始する。当該配送指令は、荷物Mが配置された仮想ポートである集荷仮想ポート22Aと、集荷仮想ポート22Aに対応するポートである集荷ポート20Aと、配達先のポートである配達ポート20Bと、を示す情報を含む。ドローン10は、配送指令に基づいて、集荷仮想ポート22Aにおいて荷物Mを集荷し、集荷ポート20Aから配達ポート20Bに荷物Mを運搬し、配達ポート20Bにおいて複数の仮想ポート22のうちの1つに荷物Mを配達する。
【0033】
図5は、ドローン10を示す模式的な側面図である。
図5に示されるように、ドローン10は、ドローン本体30と、ドローン本体30の下方に設けられた運搬装置40と、ドローン本体30に設けられた制御装置50とを有する。ドローン本体30は、飛行可能に構成されている。ドローン本体30は、一又は複数の回転翼31を有している。ドローン本体30は、回転翼31を回転させることによって飛行する。ドローン本体30は、回転翼31の回転数を上げることによって上昇し、当該回転数を下げることによって下降する。また、ドローン本体30は、ドローン10から見える光景を撮像可能なカメラ30aを有している。以下、鉛直方向Dに交差する方向を第1方向D1とする。
【0034】
運搬装置40は、荷物Mを収容する収容部60と、ドローン本体30と収容部60とを接続する一又は複数の接続部70と、収容部60の内面に設けられる支持部80と、検知部90とを有する。収容部60は、鉛直方向Dにおいて下向きに開口する凹状の部材である。収容部60は、接続部70に接続される上面部61と、上面部61から下方に向かって延びる一対の壁部62とを有する。
【0035】
上面部61は、第1方向D1に沿って延びる。上面部61の下面には、収容部60の下方を撮像可能なカメラ61aが設けられている。一対の壁部62は、第1方向D1における上面部61の両端から鉛直方向Dに沿って下方に延びる。一対の壁部62は、第1方向D1において互いに対向する。各壁部62は、鉛直方向Dから見た場合に壁部62の下端62aが上面部61から離れるようにそれぞれ傾斜している。よって、収容部60の一部は、水平面に対して傾斜している。
【0036】
一又は複数の接続部70は、鉛直方向Dに沿って伸縮可能に構成されている。複数の接続部70は、ワイヤ71と、巻き取り部72とを有する。ワイヤ71の一端71aは、収容部60の上面部61に接続されている。ワイヤ71の他端71bは、巻き取り部72に接続されている。巻き取り部72は、例えばウインチである。巻き取り部72は、ワイヤ71の巻き上げ及び巻き下げを実行する。ワイヤ71が巻き下げられて伸長することにより、運搬装置40が下降する。ワイヤ71が巻き上げられて収縮することにより、運搬装置40が上昇する。
【0037】
支持部80は、荷物Mを支持可能に構成されている。支持部80は、壁部62の内面62bに設けられている。支持部80は、一対の壁部62のそれぞれの内面に1つずつ設けられた2つの第1支持部81及び2つの第2支持部82を有する。2つの第1支持部81は、2つの壁部62の下端62aにそれぞれ設けられている。2つの第1支持部81は、第1方向D1において互いに対向する。2つの第1支持部81は、収容部60の内側に折り込まれている。第1支持部81は、荷物Mの底面M1を支持可能に構成されている。2つの第1支持部81は、底面M1を支持する際に、収容部60の外側に向かって開かれる。例えば、第1支持部81は、底面M1を支持可能な爪機構である。当該爪機構は、例えば剛体により構成されている。第1支持部81の数は、上記に限定されない。例えば、4つの第1支持部81のうち2つが、2つの壁部62のうち一方の下端62aに設けられてもよい。4つの第1支持部81のうち他の2つが、2つの壁部62のうち他方の下端62aに設けられてもよい。
【0038】
2つの第2支持部82は、2つの壁部62の内面62bのそれぞれにおいて上面部61側に設けられている。2つの第2支持部82は、第1方向D1において互いに対向する。2つの第2支持部82は、上面部61側に折り込まれている。2つの第2支持部82は、複数の把手M21,M31,M41及びM51のうちの第1方向D1に沿って対向する2つの把手を支持可能に構成されている。2つの第1支持部81は、例えば把手M21,M31を支持する際に、上面部61と反対側に向かって開かれる。
図5に示される例では、2つの第2支持部82は、複数の把手M21,M31を支持する。例えば、第2支持部82は、把手M21,M31,M41及びM51のうちの1つを支持可能な爪機構である。当該爪機構は、例えば剛体により構成されている。また、例えば、第2支持部82は、把手M21,M31,M41及びM51のうちの1つを把持可能なジャミング膜グリッパ機構であってもよい。以上のことから、支持部80は、荷物Mの把手M21~M51及び底面M1を二段階で自動的に把持及び開放する複数の爪機構を有する。
【0039】
検知部90は、運搬装置40が地面に到達したこと及び地面から離間したことを検知するように構成されている。検知部90は、一対の壁部62の下端62aにそれぞれ設けられた複数の圧力センサ91(荷重負荷センサ)を有する。例えば、2つの圧力センサ91は、一対の壁部62の下端62aにそれぞれ設けられている。圧力センサ91は、壁部62の下端62aが地面から受ける力の大きさを荷重として検知する。複数の圧力センサ91は、複数の圧力センサ91の全てが第1閾値以上の圧力を検知した場合に、運搬装置40が地面に到達したと検知する。複数の圧力センサ91は、複数の圧力センサ91のうちの1つが第1閾値を下回る圧力を検知した場合に、運搬装置40が地面から離間したことを検知する。第1閾値は、制御装置50等により予め設定されている。
【0040】
検知部90は、巻き取り部72に設けられた張力センサ92を更に有してもよい。例えば、張力センサ92は、巻き取り部72に隣接するように設けられてもよい。張力センサ92は、ワイヤ71の張力を検知してもよい。張力センサ92は、検知したワイヤ71の張力が第2閾値以下である場合に、地面に到達したと判定してもよい。張力センサ92は、検知されたワイヤ71の張力が第2閾値を上回る場合に、運搬装置40が地面から離間したことを検知してもよい。第2閾値は、制御装置50等により予め設定されてもよい。
【0041】
また、後述する制御装置50が、複数の圧力センサ91の全てが第1閾値以上の圧力を検知した場合、且つ、張力センサ92により検知されたワイヤ71の張力が第2閾値以下である場合に、地面に到達したと判定してもよい。制御装置50が、複数の圧力センサ91のうちの1つが第1閾値を下回る圧力を検知した場合、又は、運搬装置40が張力センサ92により検知されたワイヤ71の張力が第2閾値を上回る場合に、運搬装置40が地面から離間したと判定してもよい。
【0042】
図6は、制御装置50の機能に係るブロック図である。制御装置50は、ドローン本体30及び運搬装置40を制御する。制御装置50は、取得部51と、記憶部52と、撮像部53と、判定部54と、特定部55と、算出部56と、制御部57とを有する。以下、制御装置50の各機能部について具体的に説明する。
【0043】
取得部51は、複数のポート20のそれぞれについて、マーカ25と、マーカ25の周囲に設定された一又は複数の仮想ポート22との相対的な位置関係を示す関係情報を予め取得する。関係情報は、例えば、マーカ25と仮想ポート22との距離と、マーカ25から見て仮想ポート22が位置する方向とを示す情報であってもよい。また、関係情報は、マーカ25からどの方角に何m移動すれば仮想ポート22に到達することができるかを示す情報であってもよく、一例としては、関係情報は、仮想ポート22がマーカ25から北に2m、東に2m移動した場所に位置することを示す情報である。なお、関係情報は、マーカ25に対する仮想ポート22の位置を示す情報であればよく、上記以外のその他の情報であってもよい。よって、ドローンシステム1では、1つの実体ポート21の周囲に配置する、少なくとも1つの仮想ポート22の位置情報を制御装置50に登録する。
【0044】
関係情報は、予め設定されてもよい。例えば、ポート20が設置される際に、一又は複数の仮想ポート22のマーカ25に対する位置がデフォルトの相対位置として予め設定されてもよい。また、例えば、一又は複数の仮想ポート22のマーカ25に対する位置がユーザの端末100等によって測定され、少なくとも1つの仮想ポート22の位置が確定されてもよい。そして、確定された仮想ポート22の位置を示す情報が関係情報として取得部51によって取得されると共に記憶部52によって記録されてもよい。
【0045】
取得部51は、ユーザの端末100からの配送指令を取得する。配送指令は、集荷ポート20Aを識別する情報及び集荷ポート20Aの仮想ポート22である集荷仮想ポート22Aを識別する情報を含む第1識別情報と、荷物Mの配達に係る配達ポート20Bを識別する情報である第2識別情報と、を含む。配送指令は、荷物Mの集荷又は配達に係るポート20である目的ポートの位置情報を含む。例えば、目的ポートは、集荷ポート20A及び配達ポート20Bのうち少なくともいずれか1つである。目的ポートの位置情報は、荷物Mの集荷に係るポート20である集荷ポート20Aの位置情報と、荷物Mの配達に係るポート20である配達ポート20Bの位置情報とを含む。取得部51は、配達ポート20Bの周囲に設定された複数の仮想ポート22のいずれか1つに荷物を配達可能であるか否かを示す配達可否情報を取得する。
【0046】
配達可否情報は、配達ポート20Bの複数の仮想ポート22に空きがあるか否かを示す情報であればよい。配達可否情報を生成する方法の一例を以下に説明する。ドローン10が、ドローン10自身のカメラ30a,61aを用いて配達ポート20Bの複数の仮想ポート22に荷物M等のコンテナが存在するか否かを認識し、当該認識結果に基づいて配達可否情報を生成してもよい。また、取得部51が、他のドローン10の撮像部53によって撮像された画像に基づいて、配達ポート20Bの複数の仮想ポート22に空きがあるか否かを判定し、当該判定結果を配達可否情報として生成してもよい。なお、配達可否情報を生成する方法は、上記に限定されない。
【0047】
記憶部52は、取得部51によって取得された関係情報、第1識別情報、第2識別情報、目的ポートの位置情報、及び配達可否情報を記憶する。撮像部53は、ドローン10から見える光景を撮像する。例えば、撮像部53は、ドローン本体30に設けられたカメラ30aを制御し、ドローン10から見た画像を取得する。また、例えば、撮像部53は、上面部61の下面に設けられたカメラ61a、又は、ドローン本体30に設けられたカメラ30aを制御し、ドローン10の下方を撮像した画像を取得する。判定部54は、撮像部53により撮像された画像に基づいて、仮想ポート22に荷物Mが存在するか否かを判定する。
【0048】
特定部55は、撮像部53により撮像された画像においてマーカ25を認識した場合、画像に基づいてマーカ25の位置を特定する。例えば、特定部55は、撮像部53により撮像された画像において、第1識別情報に対応する集荷ポート20Aのマーカ25を認識した場合、画像に基づいて集荷ポート20Aのマーカ25の位置を特定する。特定部55は、撮像部53により撮像された画像において、第2識別情報に対応する配達ポート20Bのマーカ25を認識した場合、画像に基づいて配達ポート20Bのマーカ25の位置を特定する。マーカ25の位置は、例えば、緯度及び経度によって表されてもよいし、上記以外のその他の表現方法によって表されてもよい。
【0049】
算出部56は、記憶部52により記憶された、目的ポートに係る関係情報を、特定部55により特定されたマーカ25の位置に適用することにより、目的ポートに係る一又は複数の仮想ポート22の位置を算出する。例えば、算出部56は、記憶部52により記憶された、集荷ポート20Aに係る関係情報を、特定部55により特定された集荷ポート20Aのマーカ25の位置に適用することにより、第1識別情報に対応する集荷仮想ポート22Aの位置を算出する。算出部56は、記憶部52により記憶された、配達ポート20Bに係る関係情報を、特定部55により特定された配達ポート20Bのマーカ25の位置に適用することにより、配達ポート20Bの周囲に設定された複数の仮想ポート22の位置を算出する。
【0050】
具体的には、算出部56は、撮像部53により撮像された画像に基づいて、ドローン10と、目的ポートのマーカ25との位置関係を算出する。算出部56は、当該位置関係に関係情報を適用することにより、ドローン10に対する仮想ポート22の位置を算出する。ドローン10と、目的ポートのマーカ25との位置関係とは、例えば、ドローン10と、目的ポートのマーカ25との距離であってもよいし、上記以外のその他の表現方法により表されてもよい。
【0051】
一例としては、算出部56は、撮像部53により撮像された画像に基づいて、ドローン10と、集荷ポート20Aのマーカ25との位置関係を算出する。算出部56は、当該位置関係に関係情報を適用することにより、ドローン10に対する集荷仮想ポート22Aの位置を算出する。また、算出部56は、撮像部53により撮像された画像に基づいて、ドローン10と、配達ポート20Bのマーカ25との位置関係を算出する。算出部56は、当該位置関係に関係情報を適用することにより、ドローン10に対する配達ポート20Bの一又は複数の仮想ポート22の位置を算出する。
【0052】
制御部57は、ドローン10を制御する。例えば、制御部57は、回転翼31、巻き取り部72、第1支持部81、第2支持部82、及び検知部90を制御する。具体的には、制御部57は、取得部51により取得された位置情報に基づいて目的ポート付近まで飛行するようにドローン10を制御する。例えば、制御部57は、集荷ポート20Aの位置情報に基づいて集荷ポート20A付近まで飛行するようにドローン10を制御する。制御部57は、配達ポート20Bの位置情報に基づいて配達ポート20B付近まで飛行するようにドローン10を制御する。ドローン10の飛行の制御は、種々の公知技術によって実現される。
【0053】
制御部57は、算出部56により算出された一又は複数の仮想ポート22のうちのいずれか1つの位置まで飛行するようにドローン10を制御する。例えば、制御部57は、算出部56により算出された集荷仮想ポート22Aの位置まで飛行するようにドローン10を制御する。制御部57は、算出部56により算出された複数の仮想ポート22のうちのいずれかの仮想ポート22まで飛行するようにドローン10を制御する。
【0054】
制御部57は、荷物Mの集荷又は配達を実行するようにドローン10を制御する。制御部57は、判定部54により集荷仮想ポート22Aに配達対象の荷物Mが存在すると判定され、且つ、配達可否情報に基づいて配達ポート20Bに荷物Mを配達可能であると判定した場合、荷物Mを集荷するようにドローン10を制御する。制御部57は、判定部54により、配達ポート20Bの仮想ポート22に荷物Mが存在しないと判定された場合、荷物Mの配達を実行するようにドローン10を制御する。
【0055】
図7は、制御装置50のハードウェア構成を示すブロック図である。制御装置50は、一つ又は複数の制御用コンピュータにより構成される。
図7に示されるように、制御装置50は回路190を有する。回路190は、少なくとも一つのプロセッサ191と、メモリ192と、ストレージ193と、入出力ポート194とを含む。ストレージ193は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。ストレージ193は、ドローンシステム1を制御するためのプログラムを記憶している。例えば、ストレージ193は、ドローン10の制御方法をドローンシステム1に実行させるためのプログラムを記憶している。
【0056】
ドローン10の制御方法とは、例えば、ドローン10を制御するコンピュータ(制御装置50)が、複数のポート20のそれぞれについて、マーカ25と、マーカ25の周囲に設定された一又は複数の仮想ポート22との相対的な位置関係を示す関係情報を記憶する記憶ステップと、荷物Mの集荷又は配達に係るポート20である目的ポートの位置情報を取得する取得ステップと、取得ステップにおいて取得された位置情報に基づいて目的ポート付近まで飛行するようにドローン10を制御する第1制御ステップと、ドローン10から見える光景を撮像する撮像ステップと、撮像ステップにおいて撮像された画像においてマーカ25を認識した場合、画像に基づいてマーカ25の位置を特定する特定する特定ステップと、記憶ステップにおいて記憶された、目的ポートに係る関係情報を、特定ステップにおいて特定されたマーカ25の位置に適用することにより、目的ポートに係る一又は複数の仮想ポート22の位置を算出する算出ステップと、算出ステップにおいて算出された一又は複数の仮想ポート22のうちのいずれか1つの位置まで飛行するようにドローン10を制御し、荷物Mの集荷又は配達を実行するようにドローン10を制御する第2制御ステップと、を有する処理を実行する制御方法である。
【0057】
メモリ192は、ストレージ193の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ191による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ191は、メモリ192と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。入出力ポート194は、プロセッサ191からの指令に応じて通信部195、回転翼31、巻き取り部72、第1支持部81、第2支持部82、検知部90、カメラ61a、及びカメラ30aとの間で電気信号の入出力を行う。
【0058】
次に、ドローンシステム1における処理手順について、
図8~
図11を参照して説明する。
図8は、ドローンシステム1におけるドローン10による荷物Mの集荷の処理手順を示すフローチャートである。
図9は、ドローンシステム1における仮想ポート22の設定の処理手順を示すフローチャートである。
図10は、ドローンシステム1におけるドローン10による荷物Mの集荷を説明するための図である。
図11は、ドローンシステム1におけるドローン10による荷物Mの配達の処理手順を示すフローチャートである。
【0059】
まず、
図8に示されるように、ユーザの端末100によって、仮想ポート22が設定される(ステップS1)。具体的には、
図9に示されるように、ユーザの端末100によって、ポート20の周囲に十分な場所があるか否かが判定される(ステップS101)。ユーザの端末100によって、十分な場所があると判定された場合(ステップS101:YES)、マーカ25と複数の仮想ポート22との相対的な位置関係を示す関係情報が取得されると共にドローン10に送信され(ステップS102)、ステップS104に移行する。ユーザの端末100によって、十分な場所がないと判定された場合(ステップS101:NO)、マーカ25の周囲に仮想ポート22が新たに設定されると共に、新たな関係情報がドローン10に送信され(ステップS103)、ステップS104に移行する。制御装置50の取得部51によって、関係情報が取得される(ステップS104)。記憶部52によって、関係情報が記憶される(ステップS105:記憶ステップ)。取得部51は、関係情報を、ドローン10の飛行が開始される前に取得してもよいし、ドローン10の飛行中に取得してもよい。
【0060】
続いて、取得部51によって、集荷ポート20Aの位置情報と、集荷ポート20Aを識別する情報及び集荷ポート20Aの仮想ポート22である集荷仮想ポート22Aを識別する情報を含む第1識別情報と、がユーザの端末100から取得される(ステップS2:取得ステップ)。続いて、記憶部52によって、取得部51により取得された集荷ポート20Aの位置情報と第1識別情報とが記憶される(ステップS3)。なお、ステップS2において、取得部51は、集荷ポート20Aの位置情報を、ドローン10の飛行が開始される前に取得してもよいし、ドローン10の飛行中に取得してもよい。
【0061】
続いて、
図10に示されるように、制御部57によって、集荷ポート20Aの位置情報に基づいて、集荷ポート20A付近まで飛行するようにドローン10が制御される(ステップS4:第1制御ステップ)。このとき、ドローン10は、より高い高度で集荷ポート20A付近まで飛行(移動)した後に、集荷ポート20A付近においてマーカ25を識別可能な高度以下まで降下する。例えば、ドローン10は、地面からの高度が20m以下となるまで降下する。
【0062】
続いて、撮像部53によって、ドローン10から見える光景が撮像される(ステップS5:撮像ステップ)。続いて、特定部55によって、第1識別情報に対応する集荷ポート20Aのマーカ25が認識されたか否かが判定される(ステップS6)。特定部55によって、第1識別情報に対応する集荷ポート20Aのマーカ25が認識されない場合(ステップS6:NO)、ステップS5を再び実行する。特定部55によって、第1識別情報に対応する集荷ポート20Aのマーカ25が認識された場合(ステップS6:YES)、撮像部53により撮像された画像に基づいて、集荷ポート20Aのマーカ25の位置が特定される(ステップS7)。このとき、特定部55によって、OpenCV等の距離算出ソフトを用いてドローン10からマーカ25までの距離が算出される。また、
図10に示されるように、ドローン10は、撮像部53により撮像された画像において集荷ポート20Aのマーカ25が特定部55によって認識されるまで、集荷ポート20A付近において旋回して集荷ポート20Aを探索する。
【0063】
続いて、制御部57によって、集荷ポート20Aの位置情報に基づいてマーカ25の真上まで飛行するようにドローン10が制御される(ステップS8)。続いて、算出部56によって、集荷ポート20Aに係る関係情報がマーカ25の位置に適用されて、集荷仮想ポート22Aの位置が算出される(ステップS9:算出ステップ)。続いて、制御部57によって、集荷仮想ポート22Aの位置まで飛行するようにドローン10が制御される(ステップS10)。このとき、制御部57によって、マーカ25を画角に捉えるようにカメラ30aが制御されつつ、集荷仮想ポート22Aの位置まで移動するようにドローン10が制御される。例えば、制御部57によって、北に2m、東に3m移動するようにドローン10が制御される。また、算出部56によって距離算出ソフトを用いて算出されたマーカ25とドローン10との距離に基づいて、制御部57によって、ドローン10の位置が微調整されつつ、集荷仮想ポート22Aの真上に位置するようにドローン10が制御される。
【0064】
続いて、判定部54によって、撮像部53により撮像された画像に基づいて、集荷仮想ポート22Aに集荷対象の荷物Mが存在するか否かが判定される(ステップS11)。集荷仮想ポート22Aに荷物Mが存在すると判定された場合(ステップS11:YES)、取得部51によって配達可否情報が取得される(ステップ12)。続いて、制御部57によって、当該配達可否情報に基づいて、配達ポート20Bに荷物Mを配達可能であるか否かが判定される(ステップS13)。配達ポート20Bに荷物Mを配達可能であると判定された場合(ステップS13:YES)、
図10に示されるように、制御部57によって、集荷仮想ポート22Aにおいて荷物Mを集荷するようにドローン10が制御される。
【0065】
続いて、制御部57によって、集荷仮想ポート22Aに荷物Mが存在しないと判定された場合(ステップS11:NO)、又は、配達ポート20Bに荷物Mを配達可能ではないと判定された場合(ステップS13:NO)、待機場所等に帰還するようにドローン10が制御される(ステップS15)。
【0066】
以上の処理手順により、ドローン10は、荷物Mの集荷する処理を終了し、荷物Mを配達する処理を開始する。まず、
図11に示されるように、ユーザの端末100によって、ステップS1と同様の処理が実行され、仮想ポート22が設定される(ステップS16)。続いて、取得部51によって、配達ポート20Bの位置情報と、配達ポート20Bを識別する情報である第2識別情報と、がユーザの端末100から取得される(ステップS17:取得ステップ)。記憶部52によって、配達ポート20Bの位置情報と第2識別情報とが記憶される(ステップS18)。続いて、制御部57によって、配達ポート20Bの位置情報に基づいて、配達ポート20B付近まで飛行するようにドローン10が制御される(ステップS19:第1制御ステップ)。このとき、ドローン10は、より高い高度で配達ポート20B付近まで飛行(移動)した後に、配達ポート20B付近においてマーカ25を識別可能な高度以下まで降下する。
【0067】
続いて、撮像部53によって、ステップS5と同様にして、ドローン10から見える光景が撮像される(ステップS20:撮像ステップ)。続いて、特定部55によって、撮像部53により撮像された画像において、第2識別情報に対応する配達ポート20Bのマーカ25が認識されたか否かが判定される(ステップS21)。特定部55によって、第2識別情報に対応する配達ポート20Bのマーカ25が認識されない場合(ステップS21:NO)、ステップS20を再び実行する。特定部55によって、第2識別情報に対応する配達ポート20Bのマーカ25が認識された場合(ステップS21:YES)、特定部55によって、配達ポート20Bのマーカ25の位置が特定される(ステップS22:特定ステップ)。このとき、ドローン10は、撮像部53により撮像された画像において配達ポート20Bのマーカ25が特定部55によって認識されるまで、配達ポート20B付近において旋回して配達ポート20Bを探索する。
【0068】
続いて、制御部57によって、マーカ25の真上まで飛行するようにドローン10が制御される(ステップS23)。続いて、算出部56によって、配達ポート20Bに係る関係情報がマーカ25の位置に適用されて、複数の仮想ポート22の位置が算出される(ステップS24:算出ステップ)。続いて、制御部57によって、複数の仮想ポート22のうちのいずれか1つの位置まで飛行するようにドローン10が制御される(ステップS25:第2制御ステップ)。
【0069】
続いて、判定部54によって、撮像部53により撮像された画像に基づいて、ドローン10の下方に位置する仮想ポート22に他の荷物Mが存在するか否かが判定される(ステップS26)。制御部57によって、当該仮想ポート22に他の荷物Mが存在しないと判定された場合(ステップS26:NO)、当該仮想ポート22に荷物Mを配達するように、ドローン10を制御する(ステップS27:第2制御ステップ)。制御部57によって、当該仮想ポート22に他の荷物Mが存在すると判定された場合(ステップS26:YES)、制御部57によって、全ての仮想ポート22における荷物Mの有無を確認したか否かを判定する(ステップS28)。
【0070】
制御部57によって、荷物Mの有無を確認していない仮想ポート22が存在したと判定された場合(ステップS28:NO)、ステップS25を再び実行する。このとき、ステップS23において、制御部57によって、荷物Mの有無を確認していない一又は複数の仮想ポート22のうちのいずれか1つの位置まで飛行するようにドローン10が制御される。
【0071】
最後に、制御部57によって、荷物Mの有無を確認していない仮想ポート22が存在したと判定された場合(ステップS28:YES)、又は、ステップS25が実行された場合、待機場所等に期間するようにドローン10を制御して、荷物Mを配達する処理を終了する。
【0072】
次に、第1実施形態に係るドローンシステム1、ドローン10、ドローン10の制御方法、及びプログラムの作用効果について説明する。
【0073】
本発明の発明者らは、過疎地域における自動車の運転手不足を解消する技術として、ドローンによる荷物の集荷及び配達技術であるドローンシステムに着目している。しかしながら、荷物の集荷及び配達を行う場所の全てにポートを準備する場合、ポートを設置するために必要な機材及び作業が著しく増加してしまい、非効率である。また、複数の配達先が近接又は隣接している場合、各配達先の全てにポートを設置することは、著しく非効率である。一方、1つのポートにおいて1つの荷物の集荷又は配達が実行されるので、ポートの設置数が減少すると複数の荷物を集荷及び配達する際の効率が悪くなってしまうおそれがあった。
【0074】
第1実施形態に係るドローンシステム1、ドローン10の制御方法、プログラム、及びドローン10によれば、取得部51は、荷物Mの集荷又は配達に係るポートである目的ポートについて、マーカ25と、マーカ25の周囲に設定された一又は複数の仮想ポート22との位置関係を示す関係情報を記憶している。算出部56は、特定部55により特定されたマーカ25の位置に当該位置関係を適用して、目的ポートに係る複数の仮想ポート22の位置を算出する。制御部57は、算出部56により算出された一又は複数の仮想ポート22のうちのいずれか1つの位置まで飛行するようにドローン10を制御し、荷物Mの集荷又は配達を実行するようにドローン10を制御する。ここで、従来、1つのポートにおいて1つの荷物の集荷又は配達が実行されるので、ポートの設置数が減少すると複数の荷物を集荷及び配達する際の効率が悪くなっていた。一方、上記構成によれば、1つのポート20に対して複数の仮想ポート22が設定され、複数の仮想ポート22のそれぞれにおいて複数の荷物Mの集荷及び配達を同時に行うことができる。その結果、ポート20を新たに設置することなく複数の配送先に荷物Mを配送することができるので、複数の荷物Mの集荷及び配達をより効率良く行うことが可能となる。言い換えると、ドローン10と実体ポート21とのみを設置し、複数の仮想ポート22にドローン10を自動飛行させることで、複数の荷物Mを効率的に集荷及び配達できる。また、複数の荷物Mの集荷の効率及び配達の効率を維持しつつ、ポート20の設置数を減少させることができる。したがって、ポート20を設置するために必要な機材及び作業を減少させることができる。さらに、管制塔などの上位コントローラが無くても、配送指令さえあれば配達可能である。
【0075】
このように、実体ポート21(実体のあるドローンポート)の周囲に、機材の設置が不要である複数の仮想ポート22を設定し、実体ポート21と仮想ポートの相対位置関係の情報を活用して、1つの実体ポート21で複数の仮想ポート22における荷物Mの集荷及び配達を実現することができる。言い換えると、複数の仮想ポート22の位置情報を制御装置50に登録し、上記複数の仮想ポート22にドローン10を自動飛行させることで、複数の荷物Mを効率的に集荷及び配達できることにある。これにより、ドローンシステム1は、様々な場所における複数の収穫物や災害時の支援物資などの集荷及び配達に利用できる。
【0076】
上記ドローンシステム1において、目的ポートは、荷物Mの集荷に係るポート20である集荷ポート20Aであり、取得部51は、集荷ポート20Aの位置情報と、集荷ポート20Aを識別する情報及び集荷ポート20Aの仮想ポート22である集荷仮想ポート22Aを識別する情報を含む第1識別情報と、を更に取得し、特定部55は、撮像部53により撮像された画像において、集荷ポート20Aのマーカ25を認識した場合、画像に基づいて集荷ポート20Aのマーカ25の位置を特定し、算出部56は、取得部51により記憶された、集荷ポート20Aに係る関係情報を、特定部55により特定された集荷ポート20Aのマーカ25の位置に適用することにより、第1識別情報に対応する集荷仮想ポート22Aの位置を算出し、制御部57は、集荷ポート20Aの位置情報に基づいて集荷ポート20A付近まで飛行するようにドローン10を制御し、算出部56により算出された集荷仮想ポート22Aの位置まで飛行するようにドローン10を制御し、荷物Mの集荷を実行するようにドローン10を制御してもよい。この場合、ポート20を新たに設置することなく複数の荷物Mの集荷をより効率良く行うことが可能となる。また、複数の荷物Mの集荷の効率を維持しつつ、ポート20の設置数を減少させることができる。
【0077】
上記ドローンシステム1において、撮像部53により撮像された画像に基づいて、仮想ポート22に荷物Mが存在するか否かを判定する判定部54を有し、取得部51は、荷物Mの配達に係るポート20である配達ポート20Bの周囲に設定された複数の仮想ポート22のいずれか1つに荷物Mを配達可能であるか否かを示す配達可否情報を取得し、制御部57は、判定部54により集荷仮想ポート22Aに配達対象の荷物Mが存在すると判定され、且つ、配達可否情報に基づいて配達ポート20Bに荷物Mを配達可能であると判定した場合、荷物Mを集荷するようにドローン10を制御してもよい。このように、ドローン10は、荷物Mの集荷及び配達が可能であることを確認した後に、荷物Mの集荷を開始する。これにより、ドローン10が、配達ポート20Bに配達することができない荷物Mを集荷仮想ポート22Aにおいて集荷することが抑制されるので、荷物Mの集荷及び配達をより確実に実現することができる。
【0078】
上記ドローンシステム1において、撮像部53により撮像された画像に基づいて、仮想ポート22に荷物Mが存在するか否かを判定する判定部54を有し、目的ポートは、荷物Mの配達に係るポート20である配達ポート20Bであり、取得部51は、配達ポート20Bの位置情報と、配達ポート20Bを識別する情報である第2識別情報と、を更に取得し、特定部55は、撮像部53により撮像された画像において、第2識別情報に対応する配達ポート20Bのマーカ25を認識した場合、画像に基づいて配達ポート20Bのマーカ25の位置を特定し、算出部56は、取得部51により記憶された、配達ポート20Bに係る関係情報を、特定部55により特定された配達ポート20Bのマーカ25の位置に適用することにより、配達ポート20Bの周囲に設定された複数の仮想ポート22の位置を算出し、制御部57は、配達ポート20Bの位置情報に基づいて配達ポート20B付近まで飛行するようにドローン10を制御し、算出部56により算出された複数の仮想ポート22のうちのいずれか1つの仮想ポートまで飛行するようにドローンを制御し、判定部54により当該仮想ポート22に荷物が存在しないと判定された場合、荷物Mの配達を実行するようにドローン10を制御してもよい。この場合、ポート20を新たに設置することなく複数の荷物Mの配達をより効率良く行うことが可能となる。また、複数の荷物Mの配達の効率を維持しつつ、ポート20の設置数を減少させることができる。
【0079】
上記ドローンシステム1において、取得部51は、ドローン10の飛行が開始される前に、関係情報及び位置情報を取得し、取得部51は、取得部51によって取得された関係情報及び位置情報を記憶してもよい。このように、ドローン10の飛行中における処理負荷を軽減することができる。また、通信環境が悪い場合であっても、荷物Mの集荷及び配達を実現することができる。
【0080】
上記ドローンシステム1において、算出部56は、撮像部53により撮像された画像に基づいて、ドローン10と、目的ポートのマーカ25との位置関係を算出し、当該位置関係に関係情報を適用することにより、ドローン10に対する仮想ポート22の位置を算出してもよい。このように、マーカ25を基準として、ドローン10に対する仮想ポート22の位置が計算される。これにより、仮想ポート22の位置をより正確に計算することができる。
【0081】
上記ドローンシステム1のドローン10に記憶されたプログラムは、上記ドローンシステム1を制御するコンピュータに、目的ポートのマーカ25の位置を示す情報及び関係情報から、目的ポートに係る仮想ポート22の位置を推定させる。上記プログラムによれば、ドローンシステム1を制御するコンピュータに、予め設定した関係情報に基づいて、仮想ポート22の位置をより正確に推定させることができる。また、上記プログラムを記憶したドローン10によれば、予め設定した関係情報に基づいて、仮想ポート22の位置をより正確に推定することができる。
【0082】
[第2実施形態]
図12は、第2実施形態に係るドローンシステム1のポート20を示す模式的な斜視図である。第2実施形態のドローンシステム1は、第1実施形態と同様に、ドローン10と、ポート20とを有する。第2実施形態において、ポート20は、第1実施形態と異なり、平面状のマーカ25に代えて、立体形状のマーカ125を有する。
【0083】
図12に示されるように、マーカ125は、平面状ではなく立体形状を有する。マーカ125は、天面125aと、複数の側面125bと、複数のマーキング125cとを有する。天面125aは、水平方向に沿って延在する。複数の側面125bは、水平方向と交差する方向に沿って延在する。複数のマーキング125cは、天面125a及び複数の側面125bにそれぞれ設けられている。一例としては、マーカ125は、鉛直方向に沿って延在する角柱状であってもよいし、鉛直方向に沿って延在する立方体状であってもよい。
図12に示される例では、マーカ125は、直方体状を有する。マーカ125は、天面125aと、4つの側面125bとを有する。4つのうち2つの側面125bは、第1方向D1において対向する。4つのうち他の2つの側面125bは、第1方向D1と交差する第2方向D2において対向する。各側面125bには、マーキング125cがそれぞれ貼り付けられている。マーキング125cは、第1実施形態のマーカ25と同様の構成を有する。
【0084】
制御装置50の取得部51は、複数のポート20のそれぞれについて、各マーキング125cと、マーカ125の周囲に設定された一又は複数の仮想ポート22との相対的な位置関係を示す情報である関係情報を記憶する。例えば、
図9に示されるステップS102及びステップS103において、ユーザの端末100によって、各マーキング125cと、マーカ125の周囲に設定された一又は複数の仮想ポート22との相対的な位置関係を示す情報である関係情報がドローン10に送信される。そして、ステップS104において、取得部51によって当該関係情報が取得され、ステップS105において、取得部51によって当該関係情報が記憶される。
【0085】
特定部55は、撮像部53により撮像された画像において、目的ポートに係る一又は複数のマーキング125cを認識した場合、一又は複数のマーキング125cの位置を特定する。算出部56は、特定部55により特定された一又は複数のマーキング125cの位置に、関係情報を適用することによって、目的ポートに係る一又は複数の仮想ポート22の位置を算出する。例えば、
図8に示されるステップS6及びS7において、特定部55によって、撮像部53により撮像された画像において、集荷ポート20Aに係る一又は複数のマーキング125cを認識した場合、一又は複数のマーキング125cの位置を特定する。そして、ステップS9において、算出部56によって、特定部55により特定された一又は複数のマーキング125cの位置に、関係情報を適用することによって、第1識別情報に対応する集荷仮想ポート22Aの位置を算出してもよい。
【0086】
また、例えば、
図11に示されるステップS21及びS22において、特定部55によって、撮像部53により撮像された画像において、配達ポート20Bに係る一又は複数のマーキング125cを認識した場合、一又は複数のマーキング125cの位置を特定してもよい。そして、ステップS24において、算出部56によって、特定部55により特定された一又は複数のマーキング125cの位置に、関係情報を適用することによって、配達ポート20Bに係る一又は複数の仮想ポート22の位置を算出してもよい。
【0087】
次に、第2実施形態に係るドローンシステム1の作用効果について説明する。
【0088】
上記ドローンシステム1において、マーカ125は、水平方向に沿って延在する天面125aと、鉛直方向に沿って延在する複数の側面125bと、天面125a及び複数の側面125bにそれぞれ設けられた複数のマーキング125cと、を有する。このように、水平方向に沿って延在する天面125a及び鉛直方向に沿って延在する側面125bの両方にマーキングが設けられる。これにより、特定部55が天面125aに設けられたマーキング125cを認識できない位置にドローン10が存在する場合であっても、特定部55が側面125bに設けられたマーキング125cを認識して当該マーキングの125cの位置を特定することが可能となる。その結果、ドローン10が、マーカ125の位置をより容易に特定することが可能となる。よって、荷物Mの集荷及び配達をより効率良く行うことが可能となる。さらに、ドローン10が荷物Mの集荷及び配達を実行するとき、マーカ25を認識しつつ、仮想ポート22の真上まで移動する。したがって、上記のマーカ125を有するドローンシステム1によれば、マーカ25からより離れた位置に仮想ポート22を設定することができるので、ポート20において設定可能な仮想ポート22の数が増加する。よって、荷物Mの集荷及び配達をより一層効率良く行うことが可能となる。
【0089】
上記作用効果をより具体的に説明する。
図13は、第2実施形態に係るドローンシステム1の作用効果を説明するための図である。
図13に示されるように、天面125aの正面位置からの傾きが45度以内である位置P1にドローン10が存在する場合、特定部55は、撮像部53により撮像された画像において、天面125aのマーキング125cを認識することができる。一方、天面125aの正面位置からの傾きが45度を上回った位置P2にドローン10に存在する場合がある。例えば、位置P2は、高度が低い位置又はマーカ125から遠い位置である。この場合、特定部55は、撮像部53により撮像された画像において、天面125aのマーキング125cを認識することができない。しかし、位置P2は、側面125bの正面位置からの傾きが45度以内の位置である。したがって、ドローン10が位置P2に存在する場合、特定部55は、撮像部53により撮像された画像において、側面125bのマーキング125cを認識することができる。
【0090】
よって、ドローン10の高度が低い場合であっても、算出部56が、目的ポートに係る一又は複数の仮想ポート22の位置を算出することが可能となる。また、ドローン10とマーカ125との距離がより長い場合であっても、算出部56が、目的ポートに係る一又は複数の仮想ポート22の位置を算出することが可能となる(自己位置推定の可能距離を延長することができる。以上のことから、目的ポートに接近したドローン10が目的ポートのマーカ125までより早く到達することが可能となる。その結果、荷物Mの集荷及び配達をより効率良く行うことが可能となる。
【0091】
上記ドローンシステム1において、関係情報は、複数のポート20のそれぞれについて、各マーキング125cと、マーカ125の周囲に設定された一又は複数の仮想ポート22との相対的な位置関係を示す情報であり、特定部55は、撮像部53により撮像された画像において、目的ポートに係る一又は複数のマーキング125cを認識した場合、一又は複数のマーキング125cの位置を特定し、算出部56は、特定部55により特定された一又は複数のマーキング125cの位置に、関係情報を適用することによって、目的ポートに係る一又は複数の仮想ポート22の位置を算出してもよい。このように、特定部55が天面125aに設けられたマーキング125cを認識できない位置にドローン10が存在する場合であっても、特定部55が側面125bに設けられたマーキング125cを認識して当該マーキングの125cの位置を特定することが可能となる。その結果、ドローン10が、マーカ125の位置をより容易に特定することが可能となる。よって、荷物Mの集荷及び配達をより効率良く行うことが可能となる。
【0092】
上記ドローンシステム1において、マーカ125は、鉛直方向Dに沿って延在する角柱状を有してもよい。このように、特定部55が天面125aに設けられたマーキング125cを認識できない位置にドローン10が存在する場合であっても、特定部55が側面125bに設けられたマーキング125cを認識して当該マーキング125cの位置を特定することが可能となる。これにより、ドローン10が、マーカ125の位置をより容易に特定することが可能となる。その結果、荷物Mの集荷及び配達をより効率良く行うことができる。
【0093】
以上、第1実施形態及び第2実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、取得部51は、ドローン10の飛行中に、関係情報及び位置情報を取得し、取得部51は、取得部51によって取得された関係情報及び位置情報を記憶してもよい。
【0094】
図14~
図16は、ドローン10の飛行中に関係情報及び位置情報を取得した場合の各処理手順の変形例を示すフローチャートである。
図14に示されるステップS1において、ユーザの端末100によって仮想ポート22が設定される場合に、
図15に示されるように、取得部51によって関係情報が記憶された(ステップS105)後に、取得部51によって関係情報が新たに取得された場合(ステップS106:YES)、記憶部52によって、取得部51により新たに取得された関係情報が記憶されてもよい(ステップS107)。取得部51によって関係情報が新たに取得されない場合(ステップS106:NO)、又は、記憶部52によって新たな関係情報が記憶された場合、仮想ポート22を設定する処理を終了する。
【0095】
図14に示されるにように、制御部57によって、集荷ポート20Aの位置情報に基づいて、集荷ポート20A付近まで飛行するようにドローン10が制御された(ステップS4)後に、制御部57によって、集荷ポート20Aの位置情報と、集荷仮想ポート22Aを識別する第1識別情報とを新たに取得したか否かが判定されてもよい(ステップS29)。制御部57によって位置情報及び第1識別情報を新たに取得したと判定された場合(ステップS29:YES)、取得部51によって、当該位置情報及び第1識別情報が記憶される(ステップS3)。制御部57によって位置情報及び第1識別情報を新たに取得したと判定されない場合(ステップS29:NO)、ステップS5に移行する。なお、ステップS29の処理は、ステップS14が実行された後以外において周期的に実行されてもよい。この場合、制御部57によって位置情報及び第1識別情報を新たに取得したと判定された場合(ステップS29:YES)、ステップS3に移行する。制御部57によって位置情報及び第1識別情報を新たに取得したと判定されない場合(ステップS29:NO)、次の処理に移行する。
【0096】
図16に示されるように、制御部57によって、配達ポート20Bの位置情報に基づいて、配達ポート20B付近まで飛行するようにドローン10が制御された(ステップS19)後に、制御部57によって、配達ポート20Bの位置情報と、配達ポート20Bを識別する第2識別情報とを新たに取得したか否かが判定されてもよい(ステップS30)。制御部57によって位置情報及び第2識別情報を新たに取得したと判定された場合(ステップS30:YES)、取得部51によって、当該位置情報及び第2識別情報が記憶される(ステップS18)。制御部57によって位置情報及び第2識別情報を新たに取得したと判定されない場合(ステップS30:NO)、ステップS20に移行する。なお、ステップS30の処理は、ステップS28が実行された後以外において周期的に実行されてもよい。この場合、制御部57によって位置情報及び第2識別情報を新たに取得したと判定された場合(ステップS30:YES)、ステップS18に移行する。制御部57によって位置情報及び第1識別情報を新たに取得したと判定されない場合(ステップS30:NO)、次の処理に移行する。
【0097】
上記ドローンシステム1において、取得部51は、ドローン10の飛行中に、関係情報及び位置情報を取得し、取得部51は、取得部51によって取得された関係情報及び位置情報を記憶してもよい。このように、ドローン10は、ドローン10の飛行中に目的ポートが変更された場合であっても、変更後の目的ポートに係る位置情報及び関係情報を取得することができる。これにより、荷物Mの集荷及び配達をより効率良く行うことができる。例えば、ドローン10に無線などの電波が届く状況であれば、実体ポート21の位置が変更になった場合、位置情報をドローン10に再び送信することが可能となると共に仮想ポート22の位置が変更になった場合、関係情報をドローン10に再び送信することが可能となる。
【0098】
また、ポート20は、上記実施形態において地面に設置されたが、ドローン10がマーカ25を認識可能であるような場所に配置されていればよい。例えば、ポート20は、移動体上に設けられてもよい。例えば、
図17に示されるように、ポート20はトラックTに設けられてもよい。この場合、トラックTの先頭部分の上面に実体ポート21を設けると共にトラックTの荷台T1において複数の仮想ポート22を設定した後に、当該仮想ポート22においてドローン10に荷物Mを集荷及び配達させてもよい。
【0099】
最後に、本開示に含まれる種々の例示的態様を、以下の[E1]~[E13]に記載する。
【0100】
[E1]
マーカをそれぞれ有する複数のポートと、
前記ポート付近において、荷物の集荷及び配達を行う一又は複数のドローンと、
を備え、
少なくとも1つの前記ドローンは、
前記複数のポートのそれぞれについて、前記マーカと、前記マーカの周囲に設定された一又は複数の仮想ポートとの相対的な位置関係を示す関係情報を記憶する記憶部と、
荷物の集荷又は配達に係る前記ポートである目的ポートの位置情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記位置情報に基づいて前記目的ポート付近まで飛行するように前記ドローンを制御する制御部と、
前記ドローンから見える光景を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像において前記マーカを認識した場合、前記画像に基づいて前記マーカの位置を特定する特定部と、
前記記憶部により記憶された、前記目的ポートに係る前記関係情報を、前記特定部により特定された前記マーカの位置に適用することにより、前記目的ポートに係る前記一又は複数の仮想ポートの位置を算出する算出部と、
を有し、
前記制御部は、前記算出部により算出された前記一又は複数の仮想ポートのうちのいずれか1つの位置まで飛行するように前記ドローンを制御し、荷物の集荷又は配達を実行するように前記ドローンを制御する、ドローンシステム。
【0101】
[E2]
前記目的ポートは、荷物の集荷に係る前記ポートである集荷ポートであり、
前記取得部は、前記集荷ポートの位置情報と、前記集荷ポートを識別する情報及び前記集荷ポートの仮想ポートである集荷仮想ポートを識別する情報を含む第1識別情報と、を更に取得し、
前記特定部は、前記撮像部により撮像された画像において、前記集荷ポートのマーカを認識した場合、前記画像に基づいて前記集荷ポートのマーカの位置を特定し、
前記算出部は、前記記憶部により記憶された、前記集荷ポートに係る前記関係情報を、前記特定部により特定された前記集荷ポートのマーカの位置に適用することにより、前記第1識別情報に対応する前記集荷仮想ポートの位置を算出し、
前記制御部は、前記集荷ポートの位置情報に基づいて前記集荷ポート付近まで飛行するように前記ドローンを制御し、前記算出部により算出された前記集荷仮想ポートの位置まで飛行するように前記ドローンを制御し、前記荷物の集荷を実行するように前記ドローンを制御する、[E1]記載のドローンシステム。
【0102】
[E3]
前記撮像部により撮像された画像に基づいて、前記仮想ポートに荷物が存在するか否かを判定する判定部を更に有し、
前記取得部は、荷物の配達に係る前記ポートである配達ポートの周囲に設定された複数の仮想ポートのいずれか1つに荷物を配達可能であるか否かを示す配達可否情報を更に取得し、
前記制御部は、前記判定部により前記集荷仮想ポートに配達対象の荷物が存在すると判定され、且つ、前記配達可否情報に基づいて前記配達ポートに荷物を配達可能であると判定した場合、荷物を集荷するように前記ドローンを制御する、[E2]記載のドローンシステム。
【0103】
[E4]
前記撮像部により撮像された画像に基づいて、前記仮想ポートに荷物が存在するか否かを判定する判定部を更に有し、
前記目的ポートは、荷物の配達に係る前記ポートである配達ポートであり、
前記取得部は、前記配達ポートの位置情報と、前記配達ポートを識別する情報である第2識別情報と、を更に取得し、
前記特定部は、前記撮像部により撮像された画像において、前記第2識別情報に対応する前記配達ポートのマーカを認識した場合、前記画像に基づいて前記配達ポートのマーカの位置を特定し、
前記算出部は、前記記憶部により記憶された、前記配達ポートに係る前記関係情報を、前記特定部により特定された前記配達ポートのマーカの位置に適用することにより、前記配達ポートの周囲に設定された複数の前記仮想ポートの位置を算出し、
前記制御部は、前記配達ポートの位置情報に基づいて前記配達ポート付近まで飛行するように前記ドローンを制御し、前記算出部により算出された前記複数の仮想ポートのうちのいずれかの前記仮想ポートまで飛行するように前記ドローンを制御し、前記判定部により当該仮想ポートに荷物が存在しないと判定された場合、前記荷物の配達を実行するように前記ドローンを制御する、[E1]~[E3]のいずれか一項記載のドローンシステム。
【0104】
[E5]
前記取得部は、前記ドローンの飛行が開始される前に、前記関係情報及び前記位置情報を取得し、
前記記憶部は、前記取得部によって取得された前記関係情報及び前記位置情報を記憶する、[E1]~[E4]のいずれか一項記載のドローンシステム。
【0105】
[E6]
前記取得部は、前記ドローンの飛行中に、前記関係情報及び前記位置情報を取得し、
前記記憶部は、前記取得部によって取得された前記関係情報及び前記位置情報を記憶する、[E1]~[E5]のいずれか一項記載のドローンシステム。
【0106】
[E7]
前記算出部は、前記撮像部により撮像された前記画像に基づいて、前記ドローンと、前記目的ポートのマーカとの位置関係を算出し、当該位置関係に前記関係情報を適用することにより、前記ドローンに対する前記仮想ポートの位置を算出する、[E1]~[E6]のいずれか一項記載のドローンシステム。
【0107】
[E8]
前記マーカは、立体形状を有し、
前記マーカは、水平方向に沿って延在する天面と、前記水平方向と交差する方向に沿って延在する複数の側面と、前記天面及び前記複数の側面にそれぞれ設けられた複数のマーキングと、を含む、[E1]~[E7]のいずれか一項記載のドローンシステム。
【0108】
[E9]
前記関係情報は、前記複数のポートのそれぞれについて、各前記マーキングと、前記マーカの周囲に設定された一又は複数の仮想ポートとの相対的な位置関係を示す情報であり、
前記特定部は、前記撮像部により撮像された画像において、前記目的ポートに係る一又は複数の前記マーキングを認識した場合、前記一又は複数のマーキングの位置を特定し、
前記算出部は、前記特定部により特定された前記一又は複数のマーキングの位置に、前記関係情報を適用することによって、前記目的ポートに係る前記一又は複数の仮想ポートの位置を算出する、[E8]に記載のドローンシステム。
【0109】
[E10]
前記マーカは、鉛直方向に沿って延在する立方体である、[E8]又は[E9]に記載のドローンシステム。
【0110】
[E11]
マーカをそれぞれ有する複数のポートと、前記ポート付近において、荷物の集荷及び配達を行う一又は複数のドローンと、を備えるドローンシステムにおける少なくとも1つの前記ドローンの制御方法であって、
前記複数のポートのそれぞれについて、前記マーカと、前記マーカの周囲に設定された一又は複数の仮想ポートとの相対的な位置関係を示す関係情報を記憶する記憶ステップと、
荷物の集荷又は配達に係る前記ポートである目的ポートの位置情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された前記位置情報に基づいて前記目的ポート付近まで飛行するように前記ドローンを制御する第1制御ステップと、
前記ドローンから見える光景を撮像する撮像ステップと、
前記撮像ステップにおいて撮像された画像において前記マーカを認識した場合、前記画像に基づいて前記マーカの位置を特定する特定する特定ステップと、
前記記憶ステップにおいて記憶された、前記目的ポートに係る前記関係情報を、前記特定ステップにおいて特定された前記マーカの位置に適用することにより、前記目的ポートに係る前記一又は複数の仮想ポートの位置を算出する算出ステップと、
前記算出ステップにおいて算出された前記一又は複数の仮想ポートのうちのいずれか1つの位置まで飛行するように前記ドローンを制御し、荷物の集荷又は配達を実行するように前記ドローンを制御する第2制御ステップと、を有する、ドローンの制御方法。
【0111】
[E12]
[E11]記載のドローンの制御方法をドローンシステムに実行させるためのプログラム。
【0112】
[E13]
[E12]記載のプログラムを記憶したドローン。
【符号の説明】
【0113】
1…ドローンシステム、10…ドローン、20…ポート、20A…集荷ポート、20B…配達ポート、22…仮想ポート、22A…集荷仮想ポート、25,125…マーカ、51…取得部、52…記憶部、53…撮像部、54…判定部、55…特定部、56…算出部、57…制御部、125a…天面、125b…側面、125c…マーキング、D…鉛直方向、M…荷物。