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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127348
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
H01L21/304 651B
H01L21/304 643A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036455
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡村 卓
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA96
5F157AB02
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC53
5F157CB11
5F157DB31
(57)【要約】
【課題】ウェーハの乾燥を防止しながら洗浄する手法を確立する。
【解決手段】回転するチャックテーブル20に保持されたウェーハ100の中心に、乾燥防止ノズル52から連続的に液体L1を供給する。これにより、ウェーハ100の回転による遠心力によって、ウェーハ100の中心から外周に向かって液体L1が流れ続ける。このため、たとえば洗浄ノズル42がウェーハ100の外周側に洗浄水W1を噴射しているときであっても、ウェーハ100の内側が乾燥することを抑制することができる。このように、ウェーハ100の中心に供給される液体L1によりウェーハ100が乾燥することを抑制しながら、洗浄水W1によってウェーハ100を洗浄することが可能である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の被加工物を洗浄する洗浄装置であって、
保持面に垂直な回転軸を有するチャックテーブルと、
該チャックテーブルに保持された該被加工物を洗浄するための洗浄水を供給する洗浄ノズルと、
該洗浄ノズルを該保持面と平行方向に移動させる移動軸と、
該チャックテーブルに保持された該被加工物の該回転軸と重なる位置に液体を供給する乾燥防止ノズルと、を備え、
該洗浄ノズルは、該チャックテーブルの該回転軸から傾くように形成された噴射口を含んでいる、
洗浄装置。
【請求項2】
請求項1記載の洗浄装置を使用して、板状の被加工物を洗浄する洗浄方法であって、
該被加工物を該チャックテーブルによって保持する保持ステップと、
該チャックテーブルに保持された該被加工物の該回転軸と重なる位置に向かって該乾燥防止ノズルから液体を供給するとともに、該洗浄ノズルを該保持面と平行方向に移動させながら該被加工物の全面を洗浄する洗浄ステップと、
を備える洗浄方法。
【請求項3】
該洗浄ステップの後に、該被加工物を乾燥させる乾燥ステップ、を更に備える、
請求項2記載の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造プロセスでは、半導体ウェーハの表面にICやLSI等の複数の回路素子を形成した後、ウェーハの裏面を研削装置で研削して所定の厚みへと薄化する。その後、薄化されたウェーハを切削装置で切削することで、個々の半導体デバイスを製造している。
【0003】
このような研削装置および切削装置では、加工によって発生した加工屑が、ウェーハに付着する。このため、ウェーハは、加工終了後に、たとえば特許文献1に記載のような洗浄装置によって洗浄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-260094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
洗浄装置では、回転する洗浄テーブルに保持されたウェーハに向かって洗浄ノズルが移動(旋回)することによって、ウェーハの全面を洗浄する。
【0006】
しかしながら、このような洗浄装置では、洗浄テーブルを高速回転させるため、回転による遠心力によってウェーハに付着する液体が飛散され、洗浄が完了する前にウェーハが乾燥してしまう。ウェーハが乾燥すると、加工屑がウェーハに固着し、洗浄しても加工屑が取れにくくなってしまう。
【0007】
したがって、本発明の目的は、乾燥を防止しながらウェーハを洗浄する手法を確立することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の洗浄装置(本洗浄装置)は、板状の被加工物を洗浄する洗浄装置であって、保持面に垂直な回転軸を有するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された該被加工物を洗浄するための洗浄水を供給する洗浄ノズルと、該洗浄ノズルを該保持面と平行方向に移動させる移動軸と、該チャックテーブルに保持された該被加工物の該回転軸と重なる位置に液体を供給する乾燥防止ノズルと、を備え、該洗浄ノズルは、該チャックテーブルの該回転軸から傾くように形成された噴射口を含んでいる。
【0009】
本発明の洗浄方法(本洗浄方法)は、本洗浄装置を使用して、板状の被加工物を洗浄する洗浄方法であって、該被加工物を該チャックテーブルによって保持する保持ステップと、該チャックテーブルに保持された該被加工物の該回転軸と重なる位置に向かって該乾燥防止ノズルから液体を供給するとともに、該洗浄ノズルを該保持面と平行方向に移動させながら該被加工物の全面を洗浄する洗浄ステップと、を備える。
【0010】
本洗浄方法は、該洗浄ステップの後に、該被加工物を乾燥させる乾燥ステップ、を更に備えていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本洗浄装置および本洗浄方法では、被加工物を洗浄する際、回転するチャックテーブルに保持された被加工物の中心に、乾燥防止ノズルから液体を供給する。これにより、洗浄中に、被加工物の回転による遠心力によって、被加工物の中心から外周に向かって液体が流れ続ける。このため、たとえば洗浄ノズルが被加工物の外周側に洗浄水を噴射しているときであっても、被加工物の内側が乾燥することを抑制することができる。
このように、本洗浄装置および本洗浄方法では、被加工物の中心に供給される液体により被加工物が乾燥することを抑制しながら、洗浄水によって被加工物を洗浄することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】洗浄装置の構成を示す説明図である。
図2】保持工程を示す説明図である。
図3】洗浄工程を示す説明図である。
図4】洗浄工程を示す説明図である。
図5】乾燥工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示す洗浄装置1は、ウェーハ100を洗浄する装置である。洗浄装置1は、たとえば、研削装置や切削装置などの加工装置によって加工されたウェーハ100を洗浄して、ウェーハ100から加工屑を除去するために用いられる。
ウェーハ100は、板状の被加工物の一例であり、本実施形態では、円板状の半導体ウェーハである。
【0014】
洗浄装置1は、ウェーハ100を保持するチャックテーブル20を備えている。チャックテーブル20は、ポーラス部材21と、ポーラス部材21の上面が露出するようにポーラス部材21を収容する枠体23と、を備えている。ポーラス部材21の上面は、ウェーハ100を吸引保持する保持面22である。保持面22は、吸引源(図示せず)に連通されることにより、ウェーハ100を吸引保持する。
【0015】
また、洗浄装置1は、チャックテーブル20の下方に、チャックテーブル20を回転させる回転機構30を備えている。回転機構30は、回転シャフト31およびモータ32を有している。回転シャフト31は、チャックテーブル20の枠体23の下面の中心に連結されており、Z軸方向(鉛直方向)に延びている。モータ32は、回転シャフト31の下端に連結されている。回転機構30では、モータ32が回転シャフト31を回転させることにより、チャックテーブル20を、保持面22に垂直な回転軸A1を中心に回転駆動する。
このように、チャックテーブル20は、保持面22に垂直な回転軸A1を有し、この回転軸A1を中心に回転するように構成されている。
【0016】
また、洗浄装置1は、ウェーハ100に洗浄水を供給する洗浄ノズル機構40を有している。
洗浄ノズル機構40は、洗浄水を噴射する洗浄ノズル(洗浄水供給ノズル)42、洗浄ノズル42を支持して旋回する逆L字型の旋回シャフト44、および、旋回シャフト44を旋回駆動する駆動モータ45を有している。
【0017】
洗浄ノズル42は、チャックテーブル20に保持されたウェーハ100を洗浄するための洗浄水を供給するためのものであり、洗浄水を噴射する噴射口41を含んでいる。
本実施形態では、この噴射口41は、チャックテーブル20の回転軸A1から傾くように形成されている。このため、噴射口41からの洗浄水を、保持面22に保持されているウェーハ100の中心に噴射するときには、洗浄ノズル42は、保持面22の中心から外れた位置に配置される。
【0018】
洗浄ノズル42は、旋回シャフト44の水平部分の先端に設けられている。旋回シャフト44の水平部分は、洗浄水供給源46に接続されており、洗浄水を洗浄ノズル42に供給するように構成されている。この旋回シャフト44の水平部分は、チャックテーブル20の保持面22の中心まで届く長さを有している。
【0019】
また、駆動モータ45は、旋回シャフト44の垂直部分を、保持面22に垂直な旋回軸A2を中心に回転させることにより、旋回シャフト44を旋回させる。
【0020】
したがって、洗浄ノズル機構40では、駆動モータ45によって旋回軸A2を中心に旋回シャフト44が旋回されることにより、旋回シャフト44の先端に配設された洗浄ノズル42が、スピンナテーブル10の保持面22に保持されているウェーハ100の上を、その外周縁から中心まで、保持面22に平行に移動することが可能となっている。
【0021】
このように、本実施形態では、旋回シャフト44の旋回軸A2は、洗浄ノズル42を保持面22と平行方向に移動させる移動軸として機能する。
なお、本実施形態では、洗浄水は、たとえば、純水、あるいは、純水とエアとを含む二流体である。
【0022】
また、本実施形態では、洗浄ノズル機構40は、洗浄ノズル42から乾燥気体を噴出することも可能なように構成されている。すなわち、旋回シャフト44は、図示しない気体供給源にも接続されており、乾燥気体を洗浄ノズル42に供給することができる。そして、洗浄ノズル42は、供給された乾燥気体を噴射口41から噴出することが可能である。
【0023】
また、洗浄装置1は、ウェーハ100に乾燥防止用の液体を供給する乾燥防止ノズル機構50を有している。
乾燥防止ノズル機構50は、液体を噴射する乾燥防止ノズル52、乾燥防止ノズル52を支持して旋回する逆L字型の旋回シャフト54、および、旋回シャフト54を旋回駆動する駆動モータ55を有している。
【0024】
乾燥防止ノズル52は、チャックテーブル20に保持されたウェーハ100における回転軸A1と重なる位置に液体を供給するためのものであり、液体を噴射する噴射口51を含んでいる。乾燥防止ノズル52は、この液体によって、ウェーハ100の乾燥を防止する。
【0025】
また、乾燥防止ノズル52は、旋回シャフト54の水平部分の先端に設けられている。旋回シャフト54の水平部分は、液体供給源56に接続されており、液体を乾燥防止ノズル52に供給するように構成されている。この旋回シャフト54の水平部分は、チャックテーブル20の保持面22の中心まで届く長さを有している。
【0026】
また、駆動モータ55は、旋回シャフト54の垂直部分を、保持面22に垂直な旋回軸A3を中心に回転させることにより、旋回シャフト54を旋回させる。
【0027】
したがって、乾燥防止ノズル機構50では、駆動モータ55によって旋回シャフト54が旋回されることにより、旋回シャフト54の先端に配設された乾燥防止ノズル52が、スピンナテーブル10の保持面22に保持されているウェーハ100の上を、その外周縁から中心まで、保持面22に平行に移動することが可能となっている。
【0028】
なお、乾燥防止ノズル52から噴射される液体は、たとえば純水である。この液体は、洗浄ノズル42から噴射される洗浄水と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、乾燥防止ノズル機構50の旋回シャフト54の水平部分および乾燥防止ノズル52は、洗浄ノズル機構40の旋回シャフト44の水平部分および洗浄ノズル42よりも高い位置に配置されている。したがって、駆動モータ55によって旋回シャフト54が旋回されたときに、旋回シャフト54および乾燥防止ノズル52が、洗浄ノズル機構40の旋回シャフト44および洗浄ノズル42に接触することが防止されている。
【0029】
また、洗浄装置1は、チャックテーブル20、洗浄ノズル機構40および乾燥防止ノズル機構50を囲むように設けられたカバー60を備えている。カバー60は、洗浄水および液体が飛散することを防止するためのものであり、チャックテーブル20等を上方から覆う上方カバー61、および、これらを側方および下方から覆う下方カバー62を備えている。
【0030】
下方カバー62は、その下面に、回転機構30のモータ32を貫通させるための貫通穴(図示せず)を有している。また、下方カバー62は、図示しない駆動部材によってZ軸方向に移動可能に構成されている。下方カバー62は、洗浄装置1による洗浄動作時には、上方カバー61と接するように上方に移動されて、上方カバー61とともに略密閉空間を形成して、洗浄水および液体の飛散を防止する。一方、チャックテーブル20の保持面22に対してウェーハ100を搬入および搬出する際には、下方カバー62は、保持面22へのアクセスが可能となるように、上方カバー61から離れて下方に移動される。
【0031】
また、洗浄装置1は、洗浄装置1の制御のための制御部7を有している。制御部7は、制御プログラムに従って演算処理を行うCPU、および、メモリ等の記憶媒体等を備えている。制御部7は、各種の処理を実行し、洗浄装置1の各構成要素を統括制御する。たとえば、制御部7は、洗浄装置1の上述した各構成要素を制御して、ウェーハ100に対する洗浄を実行する。
【0032】
以下に、制御部7によって制御される、洗浄装置1を使用してウェーハ100を洗浄する洗浄方法について説明する。
【0033】
[保持ステップ]
このステップでは、ウェーハ100をチャックテーブル20によって保持する。
具体的には、まず、制御部7が、下方カバー62を、上方カバー61から離れるように下方に移動させる。さらに、制御部7が、図2に示すように、洗浄ノズル機構40の駆動モータ45を制御して旋回シャフト44を旋回させることにより、矢印301によって示すように、洗浄ノズル42をチャックテーブル20の保持面22上から退避させる。
さらに、制御部7は、乾燥防止ノズル機構50の駆動モータ55を制御して旋回シャフト54を旋回させることにより、矢印302によって示すように、乾燥防止ノズル52をチャックテーブル20の保持面22上から退避させる。
このように、洗浄ノズル42および乾燥防止ノズル52をチャックテーブル20の保持面22上から退避させることにより、保持面22へのアクセスが容易となる。
【0034】
次に、たとえば作業者あるいは図示しない搬送装置が、チャックテーブル20の保持面22に、保持面22の中心(回転軸A1)とウェーハ100の中心とが重なるように、ウェーハ100を載置する。そして、制御部7が、吸引源を保持面22に連通させる。これにより、ウェーハ100が、チャックテーブル20の保持面22によって吸引保持される。その後、制御部7は、下方カバー62を、上方カバー61に接するように上方に移動させる(図1参照)。
【0035】
[洗浄ステップ]
次に、洗浄ステップが実施される。このステップでは、チャックテーブル20に保持されたウェーハ100の回転軸A1と重なる位置に向かって乾燥防止ノズル52から液体を供給するとともに、洗浄ノズル42を保持面22と平行方向に移動させながらウェーハ100の全面を洗浄する。
【0036】
具体的には、まず、制御部7が、図3に示すように、回転機構30を制御して、矢印305によって示すように、回転軸A1を中心にチャックテーブル20を回転させる。
【0037】
また、制御部7は、乾燥防止ノズル機構50の駆動モータ55を制御して旋回シャフト54を旋回させることにより、乾燥防止ノズル52を、噴射口51からの液体がウェーハ100の中心(回転軸A1と重なる位置)に供給されるように、回転軸A1上に配置する。そして、制御部7は、この乾燥防止ノズル52の噴射口51から、ウェーハ100の中心に向かって液体L1を連続的に供給する。
【0038】
さらに、制御部7は、洗浄ノズル機構40の駆動モータ45を制御して旋回シャフト44を旋回させることにより、洗浄ノズル42を、噴射口41からの洗浄水がウェーハ100の中心に噴射される位置に配置する。そして、制御部7は、この洗浄ノズル42の噴射口41から、ウェーハ100の中心に向かって洗浄水W1を供給する。
【0039】
この際、噴射口41がチャックテーブル20の回転軸A1から傾くように形成されているため、洗浄ノズル42と乾燥防止ノズル52とが接触すること、および、洗浄ノズル42から噴射される液体L1が乾燥防止ノズル52によって遮られることが防止されている。
【0040】
そして、制御部7は、図4に示すように、洗浄ノズル機構40の駆動モータ45を制御して旋回シャフト44を旋回させることにより、洗浄水W1がウェーハ100の全面に供給されるように、矢印303によって示すように、洗浄ノズル42を保持面22と平行な方向に移動させる。これにより、ウェーハ100の中心から外周端部までの全面に洗浄水W1が供給されて、ウェーハ100の全面が洗浄される。
なお、この洗浄ステップは、たとえば、所定の洗浄時間が経過したことによって終了する。
【0041】
[乾燥ステップ]
洗浄ステップの後、ウェーハ100を乾燥させる乾燥ステップが実施される。
このステップでは、制御部7は、チャックテーブル20の回転および旋回シャフト44の旋回を維持した状態で、乾燥防止ノズル機構50の乾燥防止ノズル52からの液体L1の噴射を停止するとともに、洗浄ノズル機構40の洗浄ノズル42からの洗浄水W1の噴射を停止する。
【0042】
その後、制御部7は、図5に示すように、旋回シャフト44とともに旋回している洗浄ノズル42から、ウェーハ100の中心から外周端部までの全面に向けて乾燥気体D1を供給する。これにより、ウェーハ100全面が乾燥される。
【0043】
この乾燥ステップは、たとえば、所定の乾燥時間が経過したことによって終了する。乾燥ステップの終了後、制御部7は、下方カバー62を、上方カバー61から離れるように下方に移動させるとともに、洗浄ノズル42および乾燥防止ノズル52をチャックテーブル20の保持面22上から退避させる。そして、制御部7は、保持面22によるウェーハ100の吸引を停止し、たとえば、保持面22を図示しないエア供給ユニットに連通させて、保持面22からエアを噴出させる。これにより、ウェーハ100が、保持面22から離隔されて、作業者あるいは図示しない搬送装置によって回収される。
【0044】
以上のように、本実施形態では、洗浄工程において、回転するチャックテーブル20に保持されたウェーハ100の中心に、乾燥防止ノズル52から連続的に液体L1を供給している。このため、洗浄工程では、ウェーハ100の回転による遠心力によって、ウェーハ100の中心から外周に向かって液体L1が流れ続ける。このため、たとえば洗浄ノズル42がウェーハ100の外周側に洗浄水W1を噴射しているときであっても、ウェーハ100の内側が乾燥することを抑制することができる。
このように、本実施形態では、ウェーハ100の中心に供給される液体L1によりウェーハ100が乾燥することを抑制しながら、洗浄水W1によってウェーハ100を洗浄することが可能である。
【0045】
また、本実施形態では、洗浄ノズル42が、チャックテーブル20の回転軸A1から傾くように形成された噴射口41を含んでいる。このため、洗浄ノズル42からウェーハ100の中心に向かって洗浄水W1を供給するときであっても、洗浄ノズル42と乾燥防止ノズル52とが接触すること、および、洗浄ノズル42から噴射される液体L1が乾燥防止ノズル52によって遮られることを防止することが可能である。
【0046】
このように、本実施形態では、洗浄ノズル42の噴射口41をチャックテーブル20の回転軸A1から傾けることによって、洗浄ノズル42と乾燥防止ノズル52とが接触しない状態でウェーハ100の中心(回転軸A1と重なる位置)から外周端部までを洗浄することが可能である。
また、洗浄ノズル42の噴射口41がチャックテーブル20の回転軸A1から傾いていることにより、洗浄ノズル42から噴射されてウェーハ100に当たった洗浄水W1を、良好に飛散させることが可能となっている。
【0047】
なお、乾燥防止ノズル52に関しては、ウェーハ100の全体に均等に液体L1を供給するために、乾燥防止ノズル52の噴射口51を回転軸A1から傾けないことが好ましい。
【0048】
また、本実施形態では、乾燥防止ノズル52は、旋回シャフト54および駆動モータ55によって旋回可能に構成されている。これに関し、乾燥防止ノズル52は、チャックテーブル20の回転軸A1上に固定的に設けられていてもよい。この場合、乾燥防止ノズル52は、作業者あるいは図示しない搬送装置によってウェーハ100をチャックテーブル20の保持面22に載置することの可能な高さに設けられる。
【0049】
また、本実施形態では、図1に示したカバー60の下方カバー62が、上方カバー61に対して移動可能に構成されており、保持工程において、下方カバー62が、上方カバー61から離れるように下方に移動される。これに関し、カバー60では、下方カバー62に対して上方カバー61が移動するように構成されていてもよい。この場合、保持工程において、上方カバー61が、下方カバー62から離れるように、上方あるいは水平方向に移動される。
【0050】
また、本実施形態では、洗浄ステップの後に乾燥ステップを実施している。これに関し、乾燥ステップは省略されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1:洗浄装置、7:制御部、10:スピンナテーブル、20:チャックテーブル、
21:ポーラス部材、22:保持面、23:枠体、30:回転機構、
31:回転シャフト、32:モータ、40:洗浄ノズル機構、41:噴射口、
42:洗浄ノズル、44:旋回シャフト、45:駆動モータ、46:洗浄水供給源、
50:乾燥防止ノズル機構、51:噴射口、52:乾燥防止ノズル、
54:旋回シャフト、55:駆動モータ、56:液体供給源、
60:カバー、61:上方カバー、62:下方カバー、
100:ウェーハ、A1:回転軸、A2:旋回軸、A3:旋回軸、D1:乾燥気体、
L1:液体、W1:洗浄水
図1
図2
図3
図4
図5