(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127350
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】電気接続箱及びその取付構造
(51)【国際特許分類】
H02G 3/14 20060101AFI20240912BHJP
H02G 3/16 20060101ALI20240912BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20240912BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H02G3/14
H02G3/16
H05K5/02 E
B60R16/02 610D
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036459
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】中村 真也
(72)【発明者】
【氏名】石田 智也
(72)【発明者】
【氏名】石井 勇児
(72)【発明者】
【氏名】大原 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】井口 涼平
【テーマコード(参考)】
4E360
5G361
【Fターム(参考)】
4E360AA02
4E360AB12
4E360AC11
4E360CA02
4E360EA03
4E360EA22
4E360ED02
4E360GA53
4E360GB92
4E360GC02
5G361AA06
5G361AB12
5G361AC02
5G361AC03
5G361AD01
5G361BA01
5G361BB01
5G361BC01
5G361BC02
(57)【要約】
【課題】取付対象に対して安定して取付けできるとともに、その取付け態様の自由度を向上できる電気接続箱及びその取付構造を提供することを目的とする。
【解決手段】通電することで発熱するECU回路11を内部に収容したユニット本体20と、金属製のコラムハウジング100にユニット本体20を取付けて支持するブラケット60とが備えられた電子制御ユニット10がブラケット60を介してコラムハウジング100に取付けられてECU取付構造1を構成し、ユニット本体20は、ECU回路11を搭載する金属製のベース体50と、ECU回路11を囲繞するように、ベース体50に装着されるカバー30とを有し、ベース体50に、ブラケット60を取付けるブラケット取付部55が設けられ、電子制御ユニット10は、コラムハウジング100に対してカバー30よりベース体50が離間する向きで取付けられた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電することで発熱する回路構成体を内部に収容した収容ケースと、金属製の取付対象に前記収容ケースを取付けて支持する支持部材とが備えられた電気接続箱が前記支持部材を介して前記取付対象に取付けられ、
前記収容ケースは、
前記回路構成体を搭載する金属製のベース体と、
前記回路構成体を囲繞するように、前記ベース体に装着されるカバー体とを有し、
前記ベース体に、前記支持部材を取付ける取付部が設けられ、
前記電気接続箱は、前記取付対象に対して前記カバー体より前記ベース体が離間する向きで取付けられた
電気接続箱の取付構造。
【請求項2】
前記支持部材は、
複数の脚部と、
前記脚部同士を跨ぎ、前記取付対象に対して固定する固定部とが備えられた
請求項1に記載の電気接続箱の取付構造。
【請求項3】
前記取付部は、前記脚部の本数に対応して複数設けられるとともに、前記ベース体において前記カバー体が装着される箇所より張り出して形成された
請求項2に記載の電気接続箱の取付構造。
【請求項4】
前記支持部材は、中実な金属製部材で形成された
請求項2に記載の電気接続箱の取付構造。
【請求項5】
前記固定部は、前記取付対象に当接する当接面を有する
請求項4に記載の電気接続箱の取付構造。
【請求項6】
前記当接面は、平滑化する平滑化処理が施された
請求項5に記載の電気接続箱の取付構造。
【請求項7】
前記当接面は、複数の前記脚部の延出方向に沿う延出方向面に対して傾斜する
請求項5に記載の電気接続箱の取付構造。
【請求項8】
前記回路構成体は、接続された電装品の制御を行う電子制御回路である
請求項1乃至請求項7のうちいずれかに記載の電気接続箱の取付構造。
【請求項9】
通電することで発熱する回路構成体と、
前記回路構成体を内部に収容する収容ケースと、
金属製の取付対象に前記収容ケースを取付けて支持する支持部材とが備えられ、
前記収容ケースは、
前記回路構成体を搭載する金属製のベース体と、
前記回路構成体を囲繞するように、前記ベース体に装着されるカバー体とを有し、
前記ベース体に、前記支持部材を取付ける取付部が設けられた
電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、電子制御回路のように、通電によって発熱する部品が内部に収容された電気接続箱及びその取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等には多くの電装機器が装備されており、電子制御ユニット、リレーボックスあるいはジャンクションボックスなどの電気接続箱が設けられている。このような電気接続箱において、ケースの内部に収容した、電子部品、リレー等の回路構成体は、通電することで発熱し、回路構成体が過熱状態となると正常に作動しなくなるおそれがある。そのため、ケースの外部に熱を放出する必要があり、特許文献1に記載するように、ケースの一部を金属製のベース部で構成し、ベース部から放熱するように構成していた。
【0003】
このように構成した電気接続箱は、特許文献1に記載するように、取付対象である車体や車体搭載部品に対して剛性が高いベース部を固定して、車両に搭載していた。そのため、車両への搭載態様、つまり取付対象に対する取付け態様が制限され、取付け態様の自由度が低かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、取付対象に対して安定して取付けできるとともに、その取付け態様の自由度を向上できる電気接続箱及びその取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、通電することで発熱する回路構成体を内部に収容した収容ケースと、金属製の取付対象に前記収容ケースを取付けて支持する支持部材とが備えられた電気接続箱が前記支持部材を介して前記取付対象に取付けられ、前記収容ケースは、前記回路構成体を搭載する金属製のベース体と、前記回路構成体を囲繞するように、前記ベース体に装着されるカバー体とを有し、前記ベース体に、前記支持部材を取付ける取付部が設けられ、前記電気接続箱は、前記取付対象に対して前記カバー体より前記ベース体が離間する向きで取付けられた電気接続箱の取付構造であることを特徴とする。
【0007】
またこの発明は、通電することで発熱する回路構成体と、前記回路構成体を内部に収容する収容ケースと、金属製の取付対象に前記収容ケースを取付けて支持する支持部材とが備えられ、前記収容ケースは、前記回路構成体を搭載する金属製のベース体と、前記回路構成体を囲繞するように、前記ベース体に装着されるカバー体とを有し、前記ベース体に、前記支持部材を取付ける取付部が設けられた電気接続箱であることを特徴とする。
【0008】
上記回路構成体は、電子制御回路を構成する電子部品、リレーやヒューズなど、所定の回路を構成する、通電することによって発熱する部品等や基板等を含む。したがって、電気接続箱は、電子制御ユニット、リレーボックスあるいはジャンクションボックスなどが含まれる。
上記取付対象は、コラムハウジングなどの車体搭載部品や車両パネル等の電気接続箱を配置する配置箇所の近傍の固定可能な箇所である。
【0009】
これらの発明により、取付対象に対して前記電気接続箱を安定して取付けできるとともに、その取付け態様の自由度を向上することができる。
詳述すると、前記カバー体とで前記収容ケースを構成する金属製のベース体に、金属製の取付対象に前記収容ケースを取付けて支持する支持部材を取付ける取付部が設けられているため、前記支持部材を介して前記取付対象に前記電気接続箱をしっかりと安定して取付けることができる。
【0010】
また、支持部材の形状を所望の形状で形成することで、様々な取付け態様で前記取付対象に前記電気接続箱を取付けることができる。つまり、支持部材を介して前記取付対象に前記電気接続箱を取付ける取付構造は、前記ベース体を直接取付ける取付構造に比べて、取付け態様の自由度を向上することができる。
【0011】
さらにまた、前記電気接続箱は、前記支持部材を介して、前記カバー体より前記ベース体が離間する向きで前記取付対象に取付けられているため、取付対象に対して離れた側に、剛性が高い前記ベース体が配置され、不用意な衝突などによる損傷を防止できる。また、金属製のベース体に、前記回路構成体を搭載しているため、前記ベース体から放熱、および/または前記支持部材を介して前記取付対象に放熱することができる。
【0012】
この発明の態様として、前記支持部材は、複数の脚部と、前記脚部同士を跨ぎ、前記取付対象に対して固定する固定部とが備えられてもよい。
この発明により、前記取付対象に対してより安定して前記電気接続箱を取付けることができる。
【0013】
詳述すると、複数の脚部と、前記脚部同士を跨ぎ、前記取付対象に対して固定する固定部とが備えられた前記支持部材は、前記固定部を前記取付対象に固定できるため、前記脚部を前記取付対象に直接取付ける場合に比べて取付状態が安定する。したがって、前記支持部材を介して前記取付対象に前記電気接続箱を取付けた取付状態も安定させることができる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記取付部は、前記脚部の本数に対応して複数設けられるとともに、前記ベース体において前記カバー体が装着される箇所より張り出して形成されてもよい。
この発明により、前記取付部の間隔を前記ベース体の形状よりも広げることができる。したがって、前記支持部材における前記脚部同士の間隔を前記ベース体の形状よりも広げることができ、取付状態をさらに安定させることができる。また、前記支持部材同士を跨ぐ固定部の大きさも大きくなるため、前記取付対象に対してより安定して固定することができる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記支持部材は、中実な金属製部材で形成されてもよい。
前記中実な金属製部材は、ダイカスト部材、鋳物、削り出し部材、鍛造部材、あるいは積層造形部材などが含まれる。
【0016】
この発明により、中空部材で構成した支持部材よりも剛性が高い支持部材を構成することができる。
また、金属製部材で構成された前記支持部材は、熱伝導性を有するため、発熱した回路構成体の熱が前記ベース体を介して伝達され、伝達された熱を金属製の前記取付対象に対して伝達することができる。したがって、前記電気接続箱の放熱性を向上することができる。さらに、中実な金属製部材で構成された前記支持部材は、中空部材で構成した前記支持部材よりも、熱容量が増大し、前記電気接続箱の熱特性を向上することができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記固定部は、前記取付対象に当接する当接面を有してもよい。
この発明により、前記取付対象に対して前記固定部が面接触するため、前記取付対象に対して前記固定部をより堅固に固定することができる。したがって、前記取付対象に対する前記電気接続箱のより安定した取付状態を実現することができる。また、前記取付対象に対して前記固定部が面接触するため、前記支持部材から前記取付対象への熱伝導性を向上でき、前記電気接続箱の放熱性をさらに向上することができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記当接面は、平滑化する平滑化処理が施されてもよい。
前記平滑化処理は、当接面表面の粗度を小さくする処理であれば、切削加工や研磨加工などの各種加工、あるいは化学処理などを含む。
【0019】
この発明により、平滑化された前記固定部が前記取付対象に面接触するため、前記支持部材から前記取付対象への熱伝導性をさらに向上でき、前記電気接続箱の放熱性をより向上することができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記当接面は、複数の前記脚部の延出方向に沿う延出方向面に対して傾斜してもよい。
この発明により、前記取付対象に対して所望の向きで前記支持部材を取付けることができる。また、前記固定部において当接面が傾斜しているため、直交するより当接面の面積を拡大でき、前記取付対象に対して前記固定部を安定して固定することができる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記回路構成体は、接続された電装品の制御を行う電子制御回路であってもよい。
この発明により、熱容量が高い前記支持部材により熱特性が向上した前記電気接続箱の内部で発熱した電子制御回路の熱を、前記ベース体、前記支持部材及び前記取付対象から放熱することができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、取付対象に対して安定して取付けできるとともに、その取付け態様の自由度を向上できる電気接続箱及びその取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明の一実施形態を以下において
図1乃至
図6とともに詳述する。
なお、
図1は電気接続箱の一例である電子制御ユニット10の説明図を示し、
図2は電子制御ユニット10の分解斜視図を示し、
図3はベース体50の斜視図を示し、
図4及び
図5は支持部材の一例であるブラケット60の説明図を示し、
図6はECU取付構造1の正面図を示している。
【0025】
詳述すると、
図1(a)は電子制御ユニット10の正面、上面及び右側面を表す斜視図を示し、
図1(b)は電子制御ユニット10の背面、底面及び左側面を表す斜視図を示している。
図2は正面、上面及び右側面から視た電子制御ユニット10の分解斜視図を示し、
図3は正面、上面及び左側面を表すベース体50の斜視図を示している。
【0026】
図4(a)はブラケット60の正面、上面及び右側面を表す斜視図を示し、
図4(b)はブラケット60の背面、底面及び左側面を表す斜視図を示し、
図5(a)はブラケット60の正面図を示し、
図5(b)はブラケット60の平面図を示し、
図5(c)はブラケット60の右側面を示している。
【0027】
なお、
図1(a)における左上と右下とを結ぶ方向を幅方向Wとし、左下と右上とを結ぶ方向を奥行き方向Dとし、上下方向を高さ方向Hとしている。また、幅方向Wにおいて左上側を幅方向左側WLとし、右下側を幅方向右側WRとしている。奥行き方向Dにおいて左下側を手前側DFとし、右上側を奥側DBとしている。高さ方向Hにおいて上側を上側HUとし、下側を下側HDとしている。
【0028】
図1乃至
図5に示す電子制御ユニット10は、ECU回路11と、ECU回路11を内部に収容する箱状のユニット本体20と、ブラケット60が備えられ、
図6に示すように取付対象であるコラムハウジング100に取付けられて、車両に搭載される。
【0029】
ECU回路11は、電子制御ユニット10に電気的に接続された電装品(図示省略)の制御を行う制御回路であり、回路基板12に複数の電子部品13を搭載しており、制御のために通電すると電子部品13が発熱する。なお、ECU回路11が過熱状態となると、電子部品13が正常に作動しなくなるおそれがある。なお、電子部品13は、後述するコネクタ部40に設けたバスバー42と接続する接続ピン131を多数備えている(
図2参照)。
【0030】
ECU回路11を内部に収容したユニット本体20は、カバー30と、コネクタ部40と、ベース体50とを備えている。
カバー30は、後述するようにECU回路11を搭載するベース体50に対して、ECU回路11を囲繞するように装着するカバーであり、底面が開口する箱状に形成されている。詳しくは、カバー30は、奥行き方向Dより幅方向Wがひと回り長い平面視略長方形状であり、幅方向Wや奥行き方向Dより高さ方向Hが短く、底面が開口する箱状である。
【0031】
カバー30は、樹脂製であり、後述するコネクタ部40を配置する配置開口31を正面に設けるとともに、幅方向Wの両側面の下方において、後述するベース体50の係止枠54と係止する係止フック32を奥行き方向Dに所定間隔を隔てて配置している。
【0032】
コネクタ部40は、ECU回路11と電気的に接続するコネクタ(図示省略)を挿入して接続するインターフェイスであり、正面側が開口された挿入空間41(41a,41b)が幅方向Wに並設されている。より詳しくは、小さなコネクタを挿入する2つの小型挿入空間41aと、大きなコネクタを挿入する2つの大型挿入空間41bが幅方向左側WLから幅方向右側WRに向かって一列に並んで設けている。
【0033】
なお、挿入空間41の奥側DBには、挿入空間41に挿入されたコネクタの接続ピンと接続されるとともに、上述の電子部品13の接続ピン131と電気的に接続するバスバー42が導出されている。
【0034】
ECU回路11を搭載するベース体50は、ユニット本体20の底部を構成する、つまり下方が開口したカバー30の底面を構成するように形成された略板状のベース本体51と、ベース本体51より幅方向左側WLに突出するブラケット取付部55とを備え、アルミダイカスト製である。
【0035】
ベース本体51は、カバー30に対応し、奥行き方向Dより幅方向Wがひと回り長い平面視略長方形状に形成され、外周縁に沿って上側HUに突出する縁部52を有している。
また、ベース本体51は、他の部分に比べて上側HUに突出し、ECU回路11を搭載する搭載台53を幅方向左側WL且つ奥側DBに設けている。
【0036】
さらに、幅方向Wの縁部52には、カバー30の係止フック32に対応する係止枠54を奥行き方向Dに所定間隔を隔てて配置している。
ベース本体51より幅方向左側WLに突出するブラケット取付部55は、後述するブラケット60を取付ける箇所であり、脚部70の本数に対応して二箇所設け、ベース本体51と一体構成している。
【0037】
具体的には、ブラケット取付部55(55a,55b)は、奥行き方向Dより幅方向Wがひと回り長い平面視略長方形状に形成されたベース本体51における幅方向左側WLの端部において、手前側DFの端部と奥側DBの端部とから幅方向左側WLに突出するように二箇所設けている。
【0038】
詳しくは、幅方向左側WLの端部において、手前側DFの端部に設けた前方取付部55aは、
図3に示すように、ベース本体51の幅方向左側WLと手前側DFの角部から、幅方向左側WL及び手前側DFの斜め方向に延びるように平面視二等辺三角形状に形成されている。
【0039】
幅方向左側WLの端部において、奥側DBの端部に設けた後方取付部55bは、
図3に示すように、ベース本体51の奥側DBと直線状に延びるとともに、手前側DFに向かって斜め方向に延びる平面視直角三角形状に形成されている。
【0040】
このように構成したブラケット取付部55には、ボルト2が挿通できるボルト孔551を設けている。なお、前方取付部55aに設けたボルト孔551は丸孔であるが、後方取付部55bに設けたボルト孔551は奥行き方向Dに長い長孔である。また、ボルト孔551の間隔は、後述するブラケット60における脚部70の間隔と略同一の間隔で形成している。
このように構成したベース体50は、上述したように、アルミダイカスト製であるため、搭載台53に搭載したECU回路11の熱が全体に伝達され、放熱することができる。
【0041】
取付対象であるコラムハウジング100に対して電子制御ユニット10を取付けて支持するブラケット60は、2本の脚部70と、脚部70同士を跨ぎ、コラムハウジング100に対して固定する固定部80とで、側面視略門型に形成している。なお、ボルト2本の脚部70と固定部80とで側面視略門型状に形成されたブラケット60は、アルミダイカスト製である。
【0042】
脚部70は、高さ方向Hに延びる、角部が丸まった底面視長方形状の柱状であり、ベース体50のブラケット取付部55に対応し、奥行き方向Dにおいて所定間隔を隔てて配置されている。なお、2本の脚部70は、手前側DFを前方脚部70aとし、奥側DBを後方脚部70bとしている。
【0043】
脚部70(70a,70b)の底面71には、ブラケット取付部55のボルト孔551を挿通したボルト2が螺合する螺合孔72を備えている。なお、底面71は、切削加工によって表面が平滑化されている。
【0044】
固定部80は、2本の脚部70(70a,70b)を跨ぎ、コラムハウジング100に対して固定する部分であり、当接面82を設けている、
具体的には、奥行き方向Dに間隔を隔てて配置した2本の脚部70(70a,70b)を跨ぐ固定部80は、
図4及び
図5に示すように、奥側DBの後方脚部70bから手前側DFに向かって延出され、手前側DFの前方脚部70aより手前側DFに張り出すとともに、幅方向右側WRにも張り出すよう平面視略平行四辺形状に形成されている。
【0045】
そして、固定部80の上面には、後方脚部70bより少し手前側DFから奥側DBに向かって徐々に下側HDに傾斜する傾斜面81と、脚部70より幅方向右側WRにおいて後方脚部70bより手前側DFの端部までわたり、手前側DF且つ幅方向右側WRに向かって傾斜する当接面82を設けている。つまり、傾斜面81及び当接面82は、脚部70が延出する高さ方向Hに直交する平面(幅方向W及び奥行き方向Dに沿う平面)に対して傾斜する面である。
当接面82には、コラムハウジング100に対して螺合するボルト2が挿通する、厚み方向に貫通する挿通孔83が奥行き方向Dに所定間隔を隔てて設けている。
【0046】
なお、2つの挿通孔83のうち奥側DBの挿通孔83は丸孔であるが、手前側DFの挿通孔83は奥行き方向Dに長い長孔である。
脚部70が延出する高さ方向Hに直交する平面に対して傾斜する面である当接面82は、切削加工によって、切削加工によって表面が平滑化されている。
【0047】
このように各要素が構成された電子制御ユニット10は、ベース体50の搭載台53にECU回路11を搭載するとともに、上側HUから被せるようにカバー30をベース本体51に組み付ける。このとき、ベース体50の係止枠54に対してカバー30の係止フック32が係止することで、ベース体50に対してカバー30を装着し、ユニット本体20を構成することができる。
【0048】
さらに、ベース体50のブラケット取付部55に脚部70が対応するようにブラケット60を配置し、ボルト2を脚部70の螺合孔72に螺合することでベース体50に対してブラケット60を固定することができる。
【0049】
具体的には、ベース体50のベース本体51から幅方向左側WLに突出するブラケット取付部55におけるボルト孔551と、ブラケット60における脚部70の螺合孔72とを合わせるように、ベース体50に対してブラケット60を配置し、ボルト孔551に挿通したボルト2を螺合孔72に螺合することで、ベース体50とブラケット60とを組み付けることができる。このとき、切削加工によって平滑化された底面71は、ブラケット取付部55の表面と密着することとなる。
【0050】
このように、ベース体50に対して、ECU回路11、ユニット本体20及びカバー30を組み付けるとともに、ベース体50のブラケット取付部55にブラケット60を固定することで、電子制御ユニット10を構成することができる。
なお、ベース体50に対するECU回路11、カバー30、ユニット本体20の組付と、ベース体50に対するブラケット60の組付とは、どちらを先に行ってもよい。
【0051】
上述のように構成された電子制御ユニット10は、
図6に示すように、取付対象であり、金属製のコラムハウジング100に取付けてECU取付構造1を構成する。
具体的には、電子制御ユニット10に設けたブラケット60の当接面82を、コラムハウジング100の底面側に設けた被取付部101の表面に合わせるように配置し、ボルト2で締結することでコラムハウジング100に対して電子制御ユニット10を取付け、ECU取付構造1を構成している。
【0052】
このように、コラムハウジング100にブラケット60を介して電子制御ユニット10を取付けたECU取付構造1は、電子制御ユニット10において幅方向左側WLに突出するブラケット60が取付状態においてコラムハウジング100の下方に配置されるとともに、ユニット本体20のベース体50がコラムハウジング100から離間された姿勢で配置されることとなる。
【0053】
上述したように、ECU取付構造1は、電子制御ユニット10がブラケット60を介してコラムハウジング100に取付けられる。電子制御ユニット10は、通電することで発熱するECU回路11と、ECU回路11を内部に収容するユニット本体20と、金属製のコラムハウジング100にユニット本体20を取付けて支持するブラケット60とが備えられる。
【0054】
ユニット本体20は、ECU回路11を搭載する金属製のベース体50と、ECU回路11を囲繞するように、ベース体50に装着されるカバー30とを有し、ベース体50に、ブラケット60を取付けるブラケット取付部55が設けられている。
【0055】
そして、電子制御ユニット10は、コラムハウジング100に対してカバー30よりベース体50が離間する向きで取付けられている。そのため、ECU取付構造1は、コラムハウジング100に対して電子制御ユニット10を安定して取付けできるとともに、その取付け態様の自由度を向上することができる。
【0056】
詳述すると、カバー30とでユニット本体20を構成する金属製のベース体50に、金属製のコラムハウジング100にユニット本体20を取付けて支持するブラケット60を取付けるブラケット取付部55が設けられているため、ブラケット60を介してコラムハウジング100に電子制御ユニット10をしっかりと安定して取付けることができる。
【0057】
また、ブラケット60の形状を、上述したように所望の形状で形成することで、様々な取付け態様でコラムハウジング100に電子制御ユニット10を取付けることができる。つまり、ブラケット60を介してコラムハウジング100に電子制御ユニット10を取付けるECU取付構造1は、ベース体50をコラムハウジング100に直接取付ける取付構造に比べて、取付け態様の自由度を向上することができる。
【0058】
さらにまた、電子制御ユニット10は、ブラケット60を介して、カバー30よりベース体50が離間する向きでコラムハウジング100に取付けられているため、コラムハウジング100に対して離れた側に、剛性が高いベース体50が配置され、不用意な衝突などによる損傷を防止できる。また、金属製のベース体50に、ECU回路11を搭載しているため、ベース体50から放熱、および/またはブラケット60を介してコラムハウジング100に放熱することができる。
【0059】
また、ブラケット60は、複数の脚部70と、脚部70同士を跨ぎ、コラムハウジング100に対して固定する固定部80とが備えられているため、コラムハウジング100に対してより安定して電子制御ユニット10を取付けることができる。
【0060】
詳述すると、複数の脚部70と、脚部70同士を跨ぎ、コラムハウジング100に対して固定する固定部80とが備えられたブラケット60は、固定部80をコラムハウジング100に固定できるため、脚部70をコラムハウジング100に直接取付ける場合に比べて取付状態が安定する。したがって、ブラケット60を介してコラムハウジング100に電子制御ユニット10を取付けた取付状態も安定させることができる。
【0061】
また、ブラケット取付部55は、2本の脚部70(70a,70b)に対応して二箇所設けられるとともに、ベース体50においてベース本体51より幅方向左側WL及び手前側DFに張り出して形成されているため、ブラケット取付部55の間隔をベース本体51の形状よりも広げることができる。
【0062】
したがって、ブラケット60における脚部70同士の間隔をベース本体51の形状よりも広げることができ、取付状態をさらに安定させることができる。また、脚部70同士を跨ぐ固定部80の大きさも大きくなるため、コラムハウジング100に対してより安定して固定することができる。
【0063】
また、ブラケット60は、中実なアルミダイカスト製であるため、中空部材で構成したブラケットよりも強度を向上することができる。
また、アルミダイカスト製で構成されたブラケット60は、熱伝導性を有するため、発熱したECU回路11の熱がベース体50を介して伝達され、伝達された熱を金属製のコラムハウジング100に対して伝達することができる。したがって、電子制御ユニット10の放熱性を向上することができる。さらに、中実な金属製部材で構成されたブラケット60は、中空部材で構成したブラケットよりも、熱容量が増大し、電子制御ユニット10の熱特性を向上することができる。
【0064】
さらに、ベース体50も中実なアルミダイカスト製であるため、中空部材で構成した場合よりも強度を向上することができる。
また、アルミダイカスト製で構成されたベース体50も、熱伝導性を有するため、発熱したECU回路11の熱を放熱できるとともに、ブラケット60に伝達することができる。したがって、電子制御ユニット10の放熱性を向上することができる。さらに、中実な金属製部材で構成されたベース体50は、中空部材で構成した場合よりも、熱容量が増大し、電子制御ユニット10の熱特性を向上することができる。
【0065】
また、固定部80は、コラムハウジング100に当接する当接面82を有しているため、コラムハウジング100に対して固定部80が面接触し、コラムハウジング100に対して固定部80をより堅固に固定することができる。したがって、コラムハウジング100に対する電子制御ユニット10のより安定した取付状態を実現することができる。また、コラムハウジング100に対して固定部80が面接触するため、ブラケット60からコラムハウジング100への熱伝導性を向上でき、電子制御ユニット10の放熱性をさらに向上することができる。
【0066】
また、コラムハウジング100の被取付部101に対して面接触する当接面82に、平滑化する平滑化処理として切削加工を施しているため、ブラケット60からコラムハウジング100への熱伝導性をさらに向上でき、電子制御ユニット10の放熱性をより向上することができる。
【0067】
さらに、ベース体50のブラケット取付部55に対して面接触する底面71にも、平滑化する平滑化処理として切削加工を施しているため、ベース体50からブラケット60への熱伝導性をさらに向上でき、電子制御ユニット10の放熱性をより向上することができる。
【0068】
また、当接面82は、複数の脚部70の高さ方向Hに沿う高さ方向H且つ奥行き方向Dに沿う平面に対して傾斜しているため、
図6に対して、コラムハウジング100に対して所望の向きでブラケット60を取付けることができる。
【0069】
また、固定部80において当接面82が傾斜しているため、幅方向W及び奥行き方向Dに沿うように面形成するより当接面82の面積を拡大でき、コラムハウジング100に対して固定部80を安定して固定することができる。
【0070】
また、ECU回路11は、接続された電装品の制御を行う回路であるため、熱容量が高いブラケット60により熱特性が向上した電子制御ユニット10の内部で発熱したECU回路11の熱を、ベース体50、ブラケット60及びコラムハウジング100から放熱することができる。
【0071】
この発明の構成と、実施形態との対応において、この発明の回路構成体及び電子制御回路はECU回路11に対応し、
以下同様に、
収容ケースはユニット本体20に対応し、
取付対象はコラムハウジング100に対応し、
支持部材はブラケット60に対応し、
電気接続箱は電子制御ユニット10に対応し、
ベース体はベース体50に対応し、
カバー体はカバー30に対応し、
取付部はブラケット取付部55に対応し、
電気接続箱の取付構造はECU取付構造1に対応し、
柱部は脚部70に対応し、
固定部は固定部80に対応し、
カバー体が装着される箇所はベース本体51に対応し、
当接面は当接面82に対応するも、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【0072】
例えば、上述の説明ではコラムハウジング100に対して、ECU回路11を内蔵する電子制御ユニット10を取り付けてECU取付構造1としたが、その他の電子部品、リレーやヒューズなどをECU回路11の代わりに収容するリレーボックスあるいはジャンクションボックスなどをコラムハウジング100に取り付けて電気接続箱の取付構造を構成してもよい。
【0073】
また、電子制御ユニット10の取付対象としてコラムハウジング100に取り付けたが、コラムハウジング100以外の車体搭載部品や車両パネル等に電子制御ユニット10を取り付けるように構成してもよい。
【0074】
さらに、中実な金属製部材として、ベース体50及びブラケット60をアルミダイカスト製としたが、ベース体50及びブラケット60の少なくとも一方を、他の金属種のダイカスト部材で構成してもよいし、鋳物、削り出し部材、鍛造部材、あるいは積層造形部材などで構成してもよい。
【0075】
また、アルミダイカスト製のブラケット60において、当接面82及び底面71に平滑化処理として切削加工を施したが、切削加工以外の研磨加工などの各種加工を施してもよいし、化学処理などによって平滑化してもよい。ブラケット取付部55やコラムハウジング100の被取付部101にも同様の平滑化処理を施してもよい。
また、ブラケット60に2本の脚部70を設けたが、1本の脚部70であってもよいし、3本以上の脚部70であってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…ECU取付構造
10…電子制御ユニット
11…ECU回路
20…ユニット本体
30…カバー
50…ベース体
51…ベース本体
55…ブラケット取付部
60…ブラケット
70…脚部
80…固定部
82…当接面
100…コラムハウジング