(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127459
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】加工システム、メンテナンス部品収容庫、及び収容具
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20240912BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240912BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G05D1/02 P
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036624
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上村 拓人
(72)【発明者】
【氏名】大和 愛実
(72)【発明者】
【氏名】大河原 聡
(72)【発明者】
【氏名】田中 万平
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 貴也
(72)【発明者】
【氏名】桧山 正晃
【テーマコード(参考)】
3C100
5F131
5H301
【Fターム(参考)】
3C100AA48
3C100AA63
3C100BB13
3C100BB21
3C100BB33
3C100EE06
5F131AA02
5F131CA45
5F131DA22
5F131DC02
5F131DD02
5F131DD52
5F131HA37
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301DD15
5H301KK02
(57)【要約】
【課題】メンテナンス作業の誤りを抑制することができること。
【解決手段】加工システム1は、ワークを加工する加工装置10と、加工装置10のメンテナンスで使用する物品を収容した収容具を保管する保管室42を有したメンテナンス部品収容庫40と、加工装置10の屋上とメンテナンス部品収容庫40の屋上とに渡って敷設された走行路60と、収容具を収容可能な収容部72と走行路60を走行する走行機構71とを備える無人搬送車70と、無人搬送車70に制御信号を送信する無線送信部106と制御信号を生成する制御信号生成部103とを有した管理用制御装置100を備える。加工システム1は、制御信号生成部103で生成された制御信号に基づいて無人搬送車70が収容具をメンテナンス部品収容庫40から加工装置10へと搬送する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工システムであって、
ワークを加工する加工装置と、
該加工装置のメンテナンスで使用する物品を収容した収容具を保管する保管室を有したメンテナンス部品収容庫と、
該加工装置の屋上と該メンテナンス部品収容庫の屋上とに渡って敷設された走行路と、
該収容具を収容可能な収容部と、該走行路を走行するための走行機構と、制御信号を受信する受信機と、を備え、該走行路を走行し該加工装置と該メンテナンス部品収容庫との間で該収容具を搬送する無人搬送車と、
少なくとも該無人搬送車に制御信号を送信する送信部と、該制御信号を生成する制御信号生成部と、を有した管理用制御装置と、を備え、
該制御信号生成部で生成された制御信号に基づいて該無人搬送車がメンテナンスで使用する物品を収容した該収容具を該メンテナンス部品収容庫から該加工装置へと搬送する、加工システム。
【請求項2】
該管理用制御装置は、該加工装置からの通知信号を受信する受信部を備え、
該加工装置のメンテナンス終了後、該管理用制御装置は、該受信部が受信した該加工装置からの通知信号に基づいて該制御信号生成部で制御信号を生成して該無人搬送車にメンテナンスで使用する物品を収容していた該収容具を該加工装置から該メンテナンス部品収容庫へと返送させ、
該加工システムは、該加工装置から該メンテナンス部品収容庫へと返送する該収容具における物品の収容状態を検出する検出ユニットを備える、請求項1に記載の加工システム。
【請求項3】
該加工装置で加工されるワークを収容可能なワーク収容庫を更に備え、
該走行路は、該ワーク収容庫の屋上と該加工装置の屋上と該メンテナンス部品収容庫の屋上とに渡って敷設され、
該無人搬送車は、該管理用制御装置で生成された制御信号に基づいて該ワークを該ワーク収容庫と該加工装置の間で搬送するとともに該収容具を該メンテナンス部品収容庫と該加工装置との間で搬送する、請求項1または請求項2に記載の加工システム。
【請求項4】
該加工装置で加工されるワークを収容可能なワーク収容庫を備え、
該走行路は、該ワーク収容庫の屋上と該加工装置の屋上と該メンテナンス部品収容庫の屋上とに渡って敷設され、
該ワークを収容可能なワーク収容部と、該走行路を走行するための走行機構と、制御信号を受信する受信機と、を備え、該走行路を走行し該加工装置と該ワーク収容庫との間で該ワークを搬送するワーク用無人搬送車を更に備えた、請求項1または請求項2に記載の加工システム。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の加工システムに用いられるメンテナンス部品収容庫であって、
加工装置のメンテナンスで使用する物品を収容した収容具を保管する保管室と、
該保管室から該無人搬送車へ該収容具を受け渡すとともに該無人搬送車から該保管室に該収容具を受け取る受渡しユニットと、を備えたメンテナンス部品収容庫。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の加工システムに用いられる収容具であって、
加工装置のメンテナンスで使用する物品を収容する収容部を有した本体を備えた収容具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工システム、メンテナンス部品収容庫、及び収容具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造工程で使用される切削装置や研削装置等の加工装置では、切削ブレード研削やホイール等の工具が摩耗した場合における工具の交換作業や工具交換後のドレスやプリカット作業、定期的な装置点検、加工するワークのサイズが変わることに伴うテーブル交換等、様々なメンテナンス作業が発生する。
【0003】
そこで、メンテナンス作業の実施が忘れられ作業予定日時に遅れてメンテナンス作業が実施されてしまうことを防止する加工装置(例えば、特許文献1参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、メンテナンス作業で使用する物品は、作業者が事前に揃えてメンテナンス作業に当たっている。しかし、特に作業頻度の少ないメンテナンス作業や不慣れな作業者では間違えた物品を準備してしまったり、適切でない物品でメンテナンス作業を行ってしまうおそれがあり、改善が切望されていた。このように、メンテナンス作業の誤りを抑制することが求められている。
【0006】
本発明の目的は、メンテナンス作業の誤りを抑制することができる加工システム、メンテナンス部品収容庫、及び収容具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の加工システムは、加工システムであって、ワークを加工する加工装置と、該加工装置のメンテナンスで使用する物品を収容した収容具を保管する保管室を有したメンテナンス部品収容庫と、該加工装置の屋上と該メンテナンス部品収容庫の屋上とに渡って敷設された走行路と、該収容具を収容可能な収容部と、該走行路を走行するための走行機構と、制御信号を受信する受信機と、を備え、該走行路を走行し該加工装置と該メンテナンス部品収容庫との間で該収容具を搬送する無人搬送車と、少なくとも該無人搬送車に制御信号を送信する送信部と、該制御信号を生成する制御信号生成部と、を有した管理用制御装置と、を備え、該制御信号生成部で生成された制御信号に基づいて該無人搬送車がメンテナンスで使用する物品を収容した該収容具を該メンテナンス部品収容庫から該加工装置へと搬送することを特徴とする。
【0008】
前記加工システムにおいて、該管理用制御装置は、該加工装置からの通知信号を受信する受信部を備え、該加工装置のメンテナンス終了後、該管理用制御装置は、該受信部が受信した該加工装置からの通知信号に基づいて該制御信号生成部で制御信号を生成して該無人搬送車にメンテナンスで使用する物品を収容していた該収容具を該加工装置から該メンテナンス部品収容庫へと返送させ、該加工システムは、該加工装置から該メンテナンス部品収容庫へと返送する該収容具における物品の収容状態を検出する検出ユニットを備えても良い。
【0009】
前記加工システムにおいて、該加工装置で加工されるワークを収容可能なワーク収容庫を更に備え、該走行路は、該ワーク収容庫の屋上と該加工装置の屋上と該メンテナンス部品収容庫の屋上とに渡って敷設され、該無人搬送車は、該管理用制御装置で生成された制御信号に基づいて該ワークを該ワーク収容庫と該加工装置の間で搬送するとともに該収容具を該メンテナンス部品収容庫と該加工装置との間で搬送しても良い。
【0010】
前記加工システムにおいて、該加工装置で加工されるワークを収容可能なワーク収容庫を備え、該走行路は、該ワーク収容庫の屋上と該加工装置の屋上と該メンテナンス部品収容庫の屋上とに渡って敷設され、該ワークを収容可能なワーク収容部と、該走行路を走行するための走行機構と、制御信号を受信する受信機と、を備え、該走行路を走行し該加工装置と該ワーク収容庫との間で該ワークを搬送するワーク用無人搬送車を更に備えても良い。
【0011】
本発明のメンテナンス部品収容庫は、前記加工システムに用いられるメンテナンス部品収容庫であって、加工装置のメンテナンスで使用する物品を収容した収容具を保管する保管室と、該保管室から該無人搬送車へ該収容具を受け渡すとともに該無人搬送車から該保管室に該収容具を受け取る受渡しユニットと、を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の収容具は、前記加工システムに用いられる収容具であって、加工装置のメンテナンスで使用する物品を収容する収容部を有した本体を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、メンテナンス作業の誤りを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る加工システムを模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された加工システムの加工装置の加工対象のワークを模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示された加工システムの切削装置である加工装置のチャックテーブルを模式的に示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示された加工システムの切削装置である加工装置の切削ユニットを分解して示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1に示された加工システムのメンテナンス部品収容庫を模式的に示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5に示されたメンテナンス部品収容庫を模式的に示す側面図である。
【
図7】
図7は、
図5に示されたメンテナンス部品収容庫の保管室を模式的に示す正面図である。
【
図8】
図8は、
図7に示された保管室に保管される収容具の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図7に示された保管室に保管される収容具の他の例を模式的に示す斜視図である。
【
図11】
図11は、
図1に示された加工システムの無人搬送車の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図12】
図12は、
図11に示された無人搬送車が収容部を加工装置の載置台上に載置した状態を模式的に示す斜視図である。
【
図13】
図13は、
図11に示された無人搬送車の構成を後方側から模式的に示す正面図である。
【
図14】
図14は、
図12に示された無人搬送車が収容部を加工装置の載置台上に載置した状態を後方側から模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0016】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る加工システムを図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係る加工システムを模式的に示す斜視図である。
図2は、
図1に示された加工システムの加工装置の加工対象のワークを模式的に示す斜視図である。
図3は、
図1に示された加工システムの切削装置である加工装置のチャックテーブルを模式的に示す斜視図である。
図4は、
図1に示された加工システムの切削装置である加工装置の切削ユニットを分解して示す斜視図である。
【0017】
(加工システム)
実施形態1に係る加工システム1は、
図1に示すように、複数の加工装置10と、メンテナンス部品収容庫40と、ワーク収容庫50と、走行路60と、無人搬送車70と、管理用制御装置100とを備える。
【0018】
(加工装置)
次に、加工装置10を説明する。加工装置10は、ワーク200に各種の加工を施す装置であって、例えば、ワーク200を切削加工する切削装置、ワーク200をレーザー加工するレーザー加工装置、ワーク200を研削加工する研削装置などであるが、本発明では、これらに限定されない。
【0019】
実施形態1では、加工装置10は、
図2に示すワーク200を切削加工(加工に相当)する切削装置である。
図1に示す加工装置10の加工対象のワーク200は、シリコン、ガリウムヒ素、SiC(炭化ケイ素)又はサファイア、などを基板とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハなどのウェーハである。
【0020】
ワーク200は、表面201に格子状に複数の分割予定ライン202が形成され、複数の分割予定ライン202によって区画された各領域にデバイス203が形成されている。デバイス203は、IC(Integrated Circuit)、又はLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)又はメモリ(半導体記憶装置)である。
【0021】
また、本発明では、ワーク200は、中央部が薄化され、外周部に厚肉部が形成された所謂TAIKO(登録商標)ウェーハでも良く、デバイスチップを樹脂で封止したパッケージ基板、セラミックス基板又はガラス基板でも良い。実施形態1において、ワーク200は、表面201の裏側の裏面204が外周縁に環状フレーム205が装着されたテープ206に貼着されて、環状フレーム205の開口207内にテープ206を介して支持される。実施形態1に係るワーク200は、分割予定ライン202に沿って、個々のデバイス203に分割される。
【0022】
また、環状フレーム205は、識別コード208が付されている。実施形態1では、識別コード208は、環状フレーム205の表面に付されている。実施形態1では識別コード208は、ワーク200同士を識別するための識別情報を少なくとも含んでいる。実施形態1では、識別コード208は、周知の2次元コードであるが、1次元コードでも良く、図形、数字、文字又はこれらの組み合わせでも良い。
【0023】
加工装置10は、ワーク200を
図3に示すチャックテーブル11で保持し分割予定ライン202に沿って
図4に示す切削ブレード21で切削加工して、ワーク200を個々のデバイス203に分割する切削装置である。加工装置10は、ワーク200を保持面12で吸引保持する
図3に示すチャックテーブル11と、スピンドル23に固定された切削ブレード21によって、チャックテーブル11に保持されたワーク200を分割予定ライン202に沿って切削加工し、複数のデバイス203に分割する
図4に示す切削ユニット20と、チャックテーブル11に保持されたワーク200を撮影する図示しない撮像ユニットと、加工装置10の各構成要素をそれぞれ制御して、ワーク200に対する加工動作を加工装置10に実施させる
図1に示す制御ユニット30と、を備える。
【0024】
また、加工装置10は、チャックテーブル11と切削ユニット20のスピンドル23とを相対移動させる移動ユニットを備える。移動ユニットは、チャックテーブル11を水平方向と平行なX軸方向に加工送りする加工送りユニットと、切削ユニット20を水平方向と平行でかつX軸方向に直交するY軸方向に割り出し送りする割り出し送りユニットと、切削ユニット20をX軸方向とY軸方向との双方と直交する鉛直方向に平行なZ軸方向に切り込み送りする切り込み送りユニットと、チャックテーブル11をZ軸方向と平行な軸心回りに回転する回転移動ユニットとを少なくとも備える。
【0025】
チャックテーブル11は、
図3に示すように円盤形状であり、ワーク200を保持する保持面12がポーラスセラミック等から形成されている。また、チャックテーブル11は、加工送りユニットにより切削ユニット20の下方の加工位置と、切削ユニット20の下方から離間してワーク200が搬入出される搬入出位置とに亘ってX軸方向に移動自在に設けられ、かつ回転移動ユニットによりZ軸方向と平行な軸心回りに回転自在に設けられている。
【0026】
チャックテーブル11は、図示しない真空吸引源と接続され、真空吸引源により吸引されることで、保持面12に載置されたワーク200を吸引、保持する。実施形態1では、チャックテーブル11は、ワーク200の裏面204側をテープ210を介して吸引、保持する。また、チャックテーブル11の周囲には、
図3に示すように、環状フレーム205をクランプするクランプ部13が複数設けられている。
【0027】
また、チャックテーブル11の隣には、
図3に示すように、X軸移動ユニットによりチャックテーブル11とともにX軸方向に移動するサブチャックテーブル15が設けられている。即ち、加工装置10は、サブチャックテーブル15を備える。サブチャックテーブル15は、消耗品であるドレスボード300を保持するものである。
【0028】
サブチャックテーブル15は、矩形の板状に形成され、上面がチャックテーブル11の保持面12と同一の高さとなる位置に配置されている。サブチャックテーブル15は、上面16にドレスボード300が載置される。サブチャックテーブル15は、上面16に図示しない真空吸引源と接続された吸引溝17が複数形成されている。サブチャックテーブル15は、吸引溝17が真空吸引源により吸引されることで、上面16に載置されたドレスボード300を吸引保持する。
【0029】
ドレスボード300は、目詰まりしたり目つぶれして切削能力が低下した切削ブレード21を目立てして、切削ブレード21の切削能力を回復させるものである。切削ブレード21を目立てして、切削ブレード21の切削能力を回復させることを、ドレスするという。
【0030】
ドレスボード300は、平面形状がサブチャックテーブル15の上面16と略同形状の矩形の板状に形成されている。ドレスボード300は、樹脂やセラミックスのボンド材に、WA(ホワイトアランダム、アルミナ系)、GC(グリーンカーボナイト、炭化ケイ素系)などの砥粒が混ぜ込まれて構成されている。
【0031】
切削ユニット20は、
図4に示すように、割り出し送りユニット及び切り込み送りユニットによりY軸方向及びZ軸方向に移動自在に設けられたスピンドルハウジング22と、スピンドルハウジング22に軸心回りに回転自在に設けられかつ図示しないスピンドルモータにより軸心回りに回転されるスピンドル23と、スピンドル23の先端に固定されたマウント24とを含む。また、切削ユニット20は、ワッシャ25内及びマウント24の中央に設けられた貫通孔241を通ってスピンドル23の先端面に設けられたねじ孔231と螺合してマウント24をスピンドル23の先端に固定する固定ねじ26と、マウント24に装着される切削ブレード21をマウント24との間で挟んで固定するナット27とを備える。
【0032】
マウント24は、スピンドル23の先端に固定される。マウント24は、Y軸方向に延在する円筒状のボス部242と、ボス部242のスピンドルハウジング22寄りの一端部に設けられた受けフランジ部243とを備えている。ボス部242は、Y軸方向に延在し、外径が全長に亘って切削ブレード21の装着穴211の内径と略等しく形成されている。なお、ボス部242の外径が切削ブレード21の装着穴211の内径と略等しいとは、ボス部242の外周面と装着穴211の内周面とが少なくとも複数個所で互いに接触することが可能な程度に外径と内径とが等しいことを示している。
【0033】
受けフランジ部243は、ボス部242のスピンドルハウジング22寄りの軸方向後端から径方向に沿って外周方向に突出してボス部242の外径よりの大径な円環状に形成されている。受けフランジ部243は、切削ブレード21を外縁部のZ軸方向に沿って平坦な端面244で支持する。ボス部242と受けフランジ部243とは、同軸に配置されている。また、マウント24は、ボス部242の他端部の外周に雄ネジ245が形成されている。
【0034】
切削ブレード21は、略リング形状を有する極薄の切削砥石である。実施形態1において、切削ブレード21は、中央に装着穴211を有する円環状の環状基台212と、環状基台212の外周縁に配設されるワーク200を切削する円環状の切り刃213を備えた、所謂いわゆるハブブレードである。環状基台212の装着穴211は、ボス部242の一端部を内側に通して、マウント24に切削ブレード21を装着するための孔である。切り刃213は、ダイヤモンドやCBN(Cubic Boron Nitride)等の砥粒と、金属や樹脂等のボンド材(結合材)とからなり所定厚みに形成されている。なお、本発明では、切削ブレード21は、切り刃213のみで構成されたワッシャーブレードでもよい。
【0035】
このように構成された切削ブレード21は、環状基台212の装着穴211がマウント24の円筒状のボス部242の外周に嵌合される。切削ブレード21は、ナット27を円筒状のボス部242に形成された雄ネジ245に螺合することにより、マウント24の受けフランジ部243とナット27とによって挟持固定される。
【0036】
なお、切削ユニット20のスピンドル23、マウント24、切削ブレード21及びナット27は、互いに同軸となる位置に配置されている。切削ユニット20のスピンドル23、マウント24、切削ブレード21及びナット27の軸心は、Y軸方向と平行に設定されている。
【0037】
撮像ユニットは、切削ユニット20と一体的に移動するように、一方の切削ユニット20に固定されている。撮像ユニットは、チャックテーブル11に保持された切削前のワーク200の分割すべき領域を撮像する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。撮像ユニットは、チャックテーブル11に保持されたワーク200を撮像して、ワーク200と切削ブレード21との位置合わせを行なうアライメントを遂行するため等の画像を得、得た画像を制御ユニット30に出力する。
【0038】
制御ユニット30は、加工装置10を構成する上述した各構成要素をそれぞれ制御して、ワーク200に対する加工動作を加工装置10に実行させるものである。制御ユニット30は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インタフェース装置とを有し、コンピュータプログラムを実行可能なコンピュータである。
【0039】
制御ユニット30の演算処理装置は、ROMに記憶されているコンピュータプログラムをRAM上で実行して、加工装置10を制御するための制御信号を生成する。制御ユニット30の演算処理装置は、生成した制御信号を入出力インタフェース装置を介して加工装置10の各構成要素に出力する。
【0040】
また、制御ユニット30は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される表示ユニット31と、オペレータが加工条件を登録する際に用いる入力ユニット32と、オペレータに報知する報知ユニット33と接続されている。入力ユニット32は、表示ユニット31に設けられたタッチパネルにより構成される。報知ユニット33は、音と光と表示ユニット31上のメッセージとのうち少なくともいずれかを発して、オペレータに報知する。
【0041】
また、加工装置10は、無人搬送車70の収容部72が載置される載置台34と、切削加工後のワーク200を洗浄する洗浄ユニットと、載置台34上の収容部72にワーク200を出し入れするとともにワーク200を載置台34上の収容部140、チャックテーブル11、洗浄ユニットとの間で搬送する搬送ユニットとを備える。
【0042】
なお、実施形態1では、加工システム1の複数の加工装置10は、一直線状(実施形態1では、X軸方向)に並べられて、配置されている。
【0043】
また、実施形態1では、加工装置10は、環状フレーム205に付された識別コード208及び後述する収容具400の識別コード408を読み取る図示しない読み取りユニットを備えている。読み取りユニットは、識別コード408から読み取った情報を制御ユニット30に出力する。
【0044】
(メンテナンス部品収容庫)
次に、メンテナンス部品収容庫40を説明する。
図5は、
図1に示された加工システムのメンテナンス部品収容庫を模式的に示す斜視図である。
図6は、
図5に示されたメンテナンス部品収容庫を模式的に示す側面図である。
図7は、
図5に示されたメンテナンス部品収容庫の保管室を模式的に示す正面図である。
図8は、
図7に示された保管室に保管される収容具の一例を模式的に示す斜視図である。
図9は、
図7に示された保管室に保管される収容具の他の例を模式的に示す斜視図である。
図10は、
図8に示された収容具を分解して示す斜視図である。
【0045】
メンテナンス部品収容庫40は、加工装置10のメンテナンスで使用する物品401を収容した収容具400を収容して、加工システム1に用いられるものである。メンテナンス部品収容庫40は、
図5及び
図6に示すように、外殻を構成する収容庫本体41(
図5のみに示す)と、収容庫本体41内に収容された保管室42と、収容庫本体41に収容された受渡しユニット43と、制御ユニット44(
図5のみに示す)とを備える。収容庫本体41は、複数の板状の部材が組み合わされて箱状に形成され、実施形態1では、複数の加工装置10と一直線状(実施形態1では、X軸方向)に並べられて、配置されている。
【0046】
また、実施形態1では、収容庫本体41は、上面に無人搬送車70の収容部72を通すことが可能な開口411が設けられている。開口411は、収容庫本体41の上面を貫通しており、内側に収容部72を通して、収容部72を収容庫本体41に出し入れ自在としている。
【0047】
保管室42は、収容具400を収容して、収容具400を保管するものである。実施形態1では、保管室42は、
図7に示すように、収容具400をZ軸方向に間隔をあけて複数収容する収容容器であり、受渡しユニット43に対向する開口421を通して収容具400を出し入れ自在とする。実施形態1では、保管室42は、上面に収容具400の両端が載置されて、収容具400を支持する支持棚422を内部に複数備えている。
【0048】
保管室42に収容される収容具400は、加工装置10のメンテナンスで使用する物品401を収容して、加工システム1に用いられるものである。
図8に示された収容具400(以下、符号400-1で示す)は、メンテナンスである切削ブレード21を交換する際に用いられる物品401を収容するものである。
図8に示された収容具400-1は、物品401として、切削ブレード21を交換する際に用いられる交換治具と、トルクレンチと、交換用の切削ブレード21を収容したブレードケースを収容する。
【0049】
図9に示された収容具400(以下、符号400-2で示す)は、メンテナンスである端面244を修正する際に用いられる物品401を収容するものである。
図9に示された収容具400-2は、物品401として、端面244を修正する際に用いられるダイヤルゲージと、端面修正治具を収容する。なお、本明細書は、収容具400-1,400-2を区別して説明する際には、それぞれ符号400-1,400-2を用い、区別しない場合には単に符号400を用いる。
【0050】
実施形態1において、収容具400は、
図10に示すように、環状フレーム205と、トレイ402と、本体である仕切り板403とを備える。環状フレーム205は、テープ206により開口207内にワーク200を支持するものと同一の構成である。トレイ402は、環状フレーム205の内径と外径が等しい扁平でかつ一端側が底板404により塞がれた円筒状の円筒部405と、円筒部405の他端側から外周方向に突出した鍔部406とを一体に備えている。
【0051】
仕切り板403は、外径が円筒部405の内径と等しい円板状に形成され、収容具400が収容する物品401の外径に沿った開口407を有している。実施形態1では、仕切り板403は、スポンジ等により構成される。開口407は、仕切り板403を貫通して、内側の加工装置10のメンテナンスで使用される物品401を収容する収容部である。
【0052】
収容具400は、トレイ402の円筒部405が環状フレーム205内に通されて、鍔部406が環状フレーム205に重ねられる。収容具400は、仕切り板403がトレイ402の円筒部405内にはめ込まれて底板404上に重ねられ、開口407内に物品401を収容する。なお、本発明では、収容具400は、物品401として、
図8及び
図9に示す物品401の他に、ドレスボード300、プリカットボード又はシリコンピース等の加工装置10のメンテナンスに使用される種々の物品を収容しても良い。
【0053】
また、収容具400は、識別コード408が付されている。実施形態1では、識別コード408は、環状フレーム205の表面に付されている。実施形態1では。識別コード408は、収容具400同士を識別するための識別情報を少なくとも含んでいる。実施形態1では、識別コード408は、周知の2次元コードであるが、1次元コードでも良く、図形、数字、文字又はこれらの組み合わせでも良い。また、実施形態1では、識別コード408は、収容具400同士を識別するための識別情報に加え、収容した物品401を用いたメンテナンス作業のマニュアルにアクセスするためのアクセス先の情報であるURL(Uniform Resource Locator)を示す情報を含んでいる。
【0054】
受渡しユニット43は、開口411を通して収容庫本体41内に位置付けられた収容部72と、保管室42との間で収容具400を搬送するものである。実施形態1では、受渡しユニット43は、例えばU字型ハンド431を備えるロボットピックであり、U字型ハンド431によって収容具400を吸着保持して搬送する。受渡しユニット43は、保管室42から無人搬送車70の収容部72に収容具400を受け渡すとともに、無人搬送車70の収容部72から保管室42に収容具400を受け取る。
【0055】
制御ユニット44は、メンテナンス部品収容庫40を構成する上述した各構成要素をそれぞれ制御するものである。制御ユニット44は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インタフェース装置とを有し、コンピュータプログラムを実行可能なコンピュータである。
【0056】
制御ユニット44の演算処理装置は、ROMに記憶されているコンピュータプログラムをRAM上で実行して、メンテナンス部品収容庫40を制御するための制御信号を生成する。制御ユニット44の演算処理装置は、生成した制御信号を入出力インタフェース装置を介してメンテナンス部品収容庫40の各構成要素に出力する。
【0057】
また、制御ユニット44は、液晶表示装置などにより構成される表示ユニット45と、入力ユニット46と、オペレータに報知する報知ユニット47と接続されている。入力ユニット46は、表示ユニット45に設けられたタッチパネルにより構成される。報知ユニット47は、音と光と表示ユニット45上のメッセージとのうち少なくともいずれかを発して、オペレータに報知する。
【0058】
また、実施形態1では、受渡しユニット43は、U字型ハンド431に吸着した収容具400の識別コード408を読み取る読み取りユニット48(
図6に示す)が取り付けられている。読み取りユニット48は、識別コード408から読み取った情報を制御ユニット44を介して、管理用制御装置100に出力する。
【0059】
(ワーク収容庫)
ワーク収容庫50は、加工装置10で加工される加工対象のワーク200を収容可能なものである。ワーク収容庫50は、
図1に示すように、外殻を構成する収容庫本体51と、収容庫本体51内に収容された図示しないカセットと、収容庫本体51に収容された図示しない受渡しユニットと、制御ユニット54とを備える。収容庫本体51は、複数の板状の部材が組み合わされて箱状に形成され、実施形態1では、複数の加工装置10及びメンテナンス部品収容庫40と一直線状(実施形態1では、X軸方向)に並べられて、配置されている。
【0060】
また、実施形態1では、収容庫本体51は、上面に無人搬送車70の収容部72を通すことが可能な開口511が設けられている。開口511は、収容庫本体51の上面を貫通しており、内側に収容部72を通して、収容部72を収容庫本体51に出し入れ自在としている。
【0061】
カセットは、環状フレーム205により支持されたワーク200を収容するものである。実施形態1では、カセットは、収容庫本体51内に2つ収容され、それぞれが環状フレーム205により支持されたワーク200をZ軸方向に間隔をあけて複数収容するとともにワーク200を出し入れ自在な収容容器である。実施形態1では、カセットは、上面に環状フレーム205の両端が載置されて、環状フレーム205を介してワーク200を支持する支持棚を内部に複数備えている。なお、実施形態1では、収容庫本体51内に収容される2つのカセットのうち一方は加工前のワーク200を収容するものであり、他方は加工後のワーク200を収容するものである。
【0062】
受渡しユニットは、開口511を通して収容庫本体51内に位置付けられた収容部72と、カセットとの間でワーク200を搬送するものである。実施形態1では、受渡しユニットは、例えばU字型ハンドを備えるロボットピックであり、U字型ハンドによってワーク200を支持した環状フレーム205を吸着保持して搬送する。受渡しユニットは、カセットから無人搬送車70の収容部72に加工前のワーク200を受け渡すとともに、無人搬送車70の収容部72からカセットに加工後のワーク200を受け取る。
【0063】
制御ユニット54は、ワーク収容庫50を構成する上述した各構成要素をそれぞれ制御するものである。制御ユニット54は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インタフェース装置とを有し、コンピュータプログラムを実行可能なコンピュータである。
【0064】
制御ユニット54の演算処理装置は、ROMに記憶されているコンピュータプログラムをRAM上で実行して、ワーク収容庫50を制御するための制御信号を生成する。制御ユニット54の演算処理装置は、生成した制御信号を入出力インタフェース装置を介してワーク収容庫50の各構成要素に出力する。
【0065】
また、制御ユニット54は、液晶表示装置などにより構成される表示ユニット55と、入力ユニット56と、オペレータに報知する報知ユニット57と接続されている。入力ユニット56は、表示ユニット55に設けられたタッチパネルにより構成される。報知ユニット57は、音と光と表示ユニット55上のメッセージとのうち少なくともいずれかを発して、オペレータに報知する。
【0066】
また、実施形態1では、受渡しユニットは、U字型ハンドに吸着したワーク200を支持した環状フレーム205の識別コード208を読み取る読み取りユニット58(
図1に示す)が取り付けられている。読み取りユニット58は、識別コード208から読み取った情報を制御ユニット54を介して、管理用制御装置100に出力する。
【0067】
(走行路)
走行路60は、
図1に示すように、複数の加工装置10の屋上と、メンテナンス部品収容庫40の屋上とに亘って敷設されている。また、走行路60は、ワーク収容庫50の屋上と、複数の加工装置10の屋上と、メンテナンス部品収容庫40の屋上とに亘って敷設されている。走行路60は、上面に無人搬送車70を走行させるものである。
【0068】
実施形態1では、走行路60は、搬送路61と、受け渡し部62とを備えている。搬送路61は、複数の加工装置10の屋上である装置本体18の上面上と、メンテナンス部品収容庫40の屋上である収容庫本体41の上面上と、ワーク収容庫50の屋上である収容庫本体51の上面上とに亘って配設され、実施形態1では、X軸方向に沿って直線状に配設されている。
【0069】
受け渡し部62は、各加工装置10と1対1で対応して設けられ、走行路60の幅方向の端に連なって配設されている。受け渡し部62は、対応する加工装置10の載置台34の上方に配設されて、底面に無人搬送車70の収容部72を通すことが可能な開口63が形成されている。開口63は、内側に収容部72を通して収容部72が載置台34に載置されることを許容する。
【0070】
また、搬送路61のメンテナンス部品収容庫40の開口411とワーク収容庫50の開口511とに重なる位置には、それぞれ、無人搬送車70の収容部72を通すことが可能な開口64,65が設けられている。
【0071】
また、実施形態1は、走行路60は、外縁に無人搬送車70が脱落することを規制するガイド壁66が立設しているとともに、上面に搬送路61と平行な図示しない縦線が形成され、上面の搬送路61と受け渡し部62との交差点に図示しない縦線に直交する図示しない横線が形成されている。これらの縦線及び横線は、無人搬送車70が自己の位置を検出するための印である。
【0072】
(無人搬送車)
次に、無人搬送車70を説明する。
図11は、
図1に示された加工システムの無人搬送車の構成を模式的に示す斜視図である。
図12は、
図11に示された無人搬送車が収容部を加工装置の載置台上に載置した状態を模式的に示す斜視図である。
図13は、
図11に示された無人搬送車の構成を後方側から模式的に示す正面図である。
図14は、
図12に示された無人搬送車が収容部を加工装置の載置台上に載置した状態を後方側から模式的に示す正面図である。
【0073】
無人搬送車70は、走行路60を走行するAGV(Automated Guided Vehicle:自動搬送車)であり、実施形態1では、加工装置10とメンテナンス部品収容庫40との間で収容具400を搬送するものである。また、実施形態1では、無人搬送車70は、管理用制御装置100で生成された制御信号に基づいてワーク200をワーク収容庫50と加工装置10の間で搬送するワーク用無人搬送車でもあるとともに、収容具400をメンテナンス部品収容庫40と加工装置10との間で搬送するものでもある。なお、本発明では、無人搬送車70は、走行路60を走行し加工装置10とワーク収容庫50との間で、収容具400とワーク200とのうちワーク200のみを搬送するワーク用無人搬送車であっても良い。無人搬送車70は、走行路60上を少なくとも1台以上が走行する。なお、
図1は、無人搬送車70を1台のみ示し、他の無人搬送車70を省略している。
【0074】
無人搬送車70は、
図11及び
図12に示すように、走行路60を走行するための走行機構71と、収容具400又はワーク200を収容可能な収容部72(ワーク収容部に相当)と、昇降ユニット73と、制御ユニット75と、受信機76と、送信機77とを備える。
【0075】
走行機構71は、平板状のフレーム711と、フレーム711の下面の前方側の両側端部に設けられた一対の前輪712と、フレーム711の下面の後方側の両側端部に設けられた一対の後輪713と、駆動ユニット714と、フレーム711の上方にフレーム711から間隔をあけて配置された平板状の第2フレーム715とを備えている。前輪712は、フレーム711の下面に回転自在に支持されかつ互いに同軸に配置された車軸716の端部に固定されている。後輪713は、Z軸方向と平行な回転軸回りに回転自在に支持されたキャスターであり、フレーム711の下面に回転軸回りに回転自在に支持された水平方向と平行な図示しないに車軸に回転自在に支持されている。
【0076】
駆動ユニット714は、フレーム711の上面の前端部に設けられ、かつ一対の前輪712を車軸716とともに回転駆動するものである。駆動ユニット714は、それぞれ、車軸716等を介して前輪712に連結された一対のモータ717と、モータ717に電力を供給する電源であるバッテリ718とを備える。モータ717は、図示しないプーリ、ベルト、チェーン等の図示しない無端の連結部材とにより車軸716に連結された回転軸719を備えている。
【0077】
駆動ユニット714は、モータ717の回転軸719を軸心回りに回転することで、前輪712を回転する。駆動ユニット714は、一対のモータ717によって一対の前輪712の回転する方向を独立に制御する。駆動ユニット714は、一対の前輪712を同方向に回転させることにより、無人搬送車70の走行機構71を前進又は後退する。また、駆動ユニット714は、一対の前輪712を互いに逆方向に回転させることにより、Z軸方向と平行な回転軸の周りに無人搬送車70の走行機構71を回転させて、無人搬送車70の走行機構71の進行する方向を変更する。
【0078】
収容部72は、フレーム711の下面側に設けられ、かつ収容具400又はワーク200を内側に収容可能な扁平な箱状に形成されている。実施形態1において、収容部72は、ワーク200を内側に収容可能なワーク収容部でもある。収容部72は、無人搬送車70の後方側に収容具400又はワーク200を出し入れ自在とする開口721(
図12に示す)を設けている。収容部72は、収容した収容具400又はワーク200を支持した環状フレーム205を保持するガイドレール722(
図12に示す)を内側に設けている。また、実施形態1において、収容部72は、透明な材料により構成されている。
【0079】
昇降ユニット73は、走行機構71のフレーム711に対して収容部72を昇降するものである昇降ユニット73は、
図11に示す前輪712と後輪713との間に位置付ける格納位置と、
図12に示す前輪712及び後輪713よりも下方に位置付ける下降位置とに亘って、収容部72を昇降する。格納位置では、収容部72の下面が走行路60上を走行する前輪712及び後輪713の下端よりも上方に位置付けられる。そのため、無人搬送車70の走行路60の走行中に収容部72が走行路60と接触することはない。
【0080】
実施形態1では、昇降ユニット73は、
図11及び
図12に示すように、フレーム711の上面に設けられている。また、実施形態1では、昇降ユニット73は、第2フレーム715の下方に配置されて、フレーム711,715間に配置されている。昇降ユニット73は、格納位置に位置付けられた収容部72を下降させて、加工装置10の載置台34上、メンテナンス部品収容庫40の収容庫本体41内又はワーク収容庫50の収容庫本体51内に収容部72を位置付ける。また、昇降ユニット73は、加工装置10の載置台34上、メンテナンス部品収容庫40の収容庫本体41内又はワーク収容庫50の収容庫本体51内に位置付けられた収容部72を上昇させて、収容部72を格納位置に位置付ける。
【0081】
昇降ユニット73は、
図13及び
図14に示すように、下端が収容部72に取り付けられた接続された吊り下げ部材731と、吊り下げ部材731の巻き取り及び送り出しを行う駆動機構74とを備える。実施形態1では、吊り下げ部材731は、4本設けられている。吊り下げ部材731としては、例えば、所定の幅を有するベルトが用いられる。4本の吊り下げ部材731の下端は、それぞれ、収容部72の上面に互いに間隔をあけて取り付けられている。なお、吊り下げ部材731としては、本発明では、ベルトの他に、巻き取り及び送り出しが可能なワイヤロープ等を用いても良い。
【0082】
駆動機構74は、フレーム711の上面に固定され、回転軸741を有するモータ742と、フレーム711の上面に回転自在に支持されているとともに互いに平行な第1回転軸743及び第2回転軸744と、第1回転軸743の一端に固定されかつモータ742の回転軸741とベルト、チェーン等の無端の連結部材745が架けられたプーリ746と、第1回転軸743の他端及び第2回転軸744の他端に固定されかつベルト、チェーン等の無端の連結部材が互いに架けられた図示しないプーリーと、第1回転軸743の両端部にそれぞれ固定されかつ吊り下げ部材731が巻き付けられる円柱状のリール747と、第2回転軸744の両端部にそれぞれ固定されかつ吊り下げ部材731が巻き付けられる円柱状のリール748とを備える。
【0083】
駆動機構74は、モータ742により回転軸743,744を軸心回りに回転し、リール747,748を軸心回りに回転することで、リール747,748に吊り下げ部材731を巻き取るとともに、リール747,748から吊り下げ部材731を送り出す。
【0084】
昇降ユニット73は、駆動機構74がリール747,748に吊り下げ部材731を巻き取ると、収容部72を
図13に示すように格納位置に位置付ける。昇降ユニット73は、駆動機構74がリール747,748から吊り下げ部材731を送り出すと、収容部72を
図14に示すように下降位置に位置付ける。
【0085】
また、実施形態1において、無人搬送車70は、フレーム711の下面に
図13及び
図14に示すように収容部72の上面側に接触する複数の弾性部材732が設けられている。複数の弾性部材732は、それぞれ、概ね同じ高さの柱状に形成され、フレーム711の下面から下方に突出するようにフレーム711に固定されている。弾性部材732は、収容部72が格納位置に付けられると、収容部72により押圧されて弾性変形する。
【0086】
弾性部材732は、収容部72により押圧されて弾性変形すると、弾性復元力により収容部72を下方に向かって押す。弾性部材732は、収容部72が格納位置に位置付けられる際に衝撃を緩和し、収容部72や収容部72内の収容具400又はワーク200を破損し難くする。また、弾性部材732は、無人搬送車70が走行路60を走行する際にも、緩衝材となり、フレーム711の振動が収容部72や収容具400又はワーク200に伝わり難くする。弾性部材732として、例えば、ゴム(ウレタンゴム、シリコーンゴム等)、スポンジ等でなる柱状の部材を用いることができる。
【0087】
無人搬送車70は、
図11及び
図12に示すように、走行機構71のフレーム711の後端部の下面にカバー733が設けられている。カバー733は、収容部72が格納位置に位置付けられた際に、収容部72の開口721を覆う。カバー733は、開口721を覆うことで、無人搬送車70の走行中に収容部72に異物の侵入を防止し、ワーク200への異物の付着を防止するとともに、収容具400又はワーク200が収容部72内に脱落することを防止する。
【0088】
また、無人搬送車70は、走行機構71のフレーム711の前端部及び後端部にそれぞれに第1センサ734を設け、フレーム711の両側端部に一対の第2センサ735を設けている。第1センサ734と第2センサ735とは、それぞれ、無人搬送車70が走行する走行路6と対向するように装着され、走行路6に設けられた図示しない縦線及び横線を検出する。第1センサ734と第2センサ735とは、検出結果を制御ユニット75に出力する。
【0089】
また、無人搬送車70は、走行機構71のフレーム711の前端部に無人搬送車70が障害物に衝突したことを検知する衝突センサ736を設けている。衝突センサ736としては、例えば、押しボタン式のスイッチが用いられる。衝突センサ736は、無人搬送車70の前端部が障害物に衝突すると、無人搬送車70の衝突を検出し、検出結果を制御ユニット75に出力する。
【0090】
また、無人搬送車70は、
図13及び
図14に示すように、加工装置10からメンテナンス部品収容庫40へと返送する収容具400における物品401の収容状態を検出する検出ユニット78を備えている。実施形態1では、検出ユニット78は、フレーム711の下面に配設さて、透明な材料で構成された収容部72内の収容具400を撮像するCCD撮像素子又はCMOS撮像素子等の撮像素子を備えた撮像ユニットである。検出ユニット78は、保管室42から加工装置10に搬送される収容部72内の収容具400を撮像し、加工装置10から保管室42に返送される収容部72内の収容具400を撮像して、撮像して取得した画像を制御ユニット75に出力する。無人搬送車70は、前述した画像を制御ユニット75に出力することで、加工装置10からメンテナンス部品収容庫40へと返送する収容具400における物品401の収容状態を検出する。
【0091】
制御ユニット75は、第2フレーム715上に固定されている。制御ユニット75は、無人搬送車70を構成する上述した各構成要素をそれぞれ制御するものである。制御ユニット75は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インタフェース装置とを有し、コンピュータプログラムを実行可能なコンピュータである。
【0092】
制御ユニット75の演算処理装置は、ROMに記憶されているコンピュータプログラムをRAM上で実行して、無人搬送車70を制御するための制御信号を生成する。制御ユニット75の演算処理装置は、生成した制御信号を入出力インタフェース装置を介して無人搬送車70の各構成要素に出力する。
【0093】
実施形態1では、制御ユニット75は、第1センサ734及び第2センサ735による縦線及び横線の検出結果に基づいて、無人搬送車70の走行路60上の位置を算出し、走行路60上の位置及び管理用制御装置100からの制御信号に基づいて無人搬送車70の走行、旋回、停車等を制御する。また、実施形態1では、制御ユニット75は、算出した走行路60上の位置を送信機77を介して管理用制御装置100に出力する。
【0094】
また、実施形態1では、制御ユニット75は、衝突センサ736が無人搬送車70の衝突を検出すると、無人搬送車70の動作を停止する。実施形態1では、制御ユニット75は、衝突センサ736からの無人搬送車70の衝突、及びモータ717,742の不具合を検出すると、これらの検出結果を送信機77を介して管理用制御装置100に出力する。実施形態1では、制御ユニット75は、検出ユニット78が撮像して取得した画像を送信機77を介して管理用制御装置100に出力する。
【0095】
受信機76と送信機77とは、それぞれ、制御ユニット75に接続し、第2フレーム715上に固定される。受信機76は、無線により管理用制御装置100からの信号(制御信号に相当)を受信して、受信した信号を制御ユニット75に出力する。送信機77は、制御ユニット75からの信号(通知信号に相当)を無線により管理用制御装置100に送信する。受信機76は、周知の受信機により構成され、送信機77は、周知の送信機により構成される。
【0096】
管理用制御装置100は、加工システム1を構成する上述した各構成要素をそれぞれ制御して、複数の加工装置10の加工動作、無人搬送車70のワーク200及び収容具400の搬送動作を制御するものである。管理用制御装置100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インタフェース装置とを有し、コンピュータプログラムを実行可能なコンピュータである。
【0097】
管理用制御装置100は、記憶部102と、制御信号生成部103と、通信ネットワーク101を介して各加工装置10の制御ユニット30、メンテナンス部品収容庫40の制御ユニット44及びワーク収容庫50の制御ユニット54と接続した通信部104(受信部に相当)と、無線受信部105と、無線送信部106(送信部に相当)とを備える。
【0098】
記憶部102は、管理用データ107を記憶している。管理用データ107は、各加工装置10の加工条件、メンテナンス部品収容庫40の保管室42の各支持棚422が支持した収容具400の識別情報、各加工装置10のメンテナンスのタイミング、各加工装置10の各タイミングのメンテナンスに用いられる収容具400の識別情報、ワーク収容庫50のカセット内のワーク200の加工装置10への搬送順、各収容具400及びワーク200の搬送に用いられる無人搬送車70を示す情報等を含んでいる。
【0099】
制御信号生成部103は、管理用データ107等に基づいて、ROMに記憶されているコンピュータプログラムをRAM上で実行して、加工システム1の各構成要素を制御するための制御信号を生成する。制御信号生成部103は、管理用データ107等を用いて無人搬送車70を制御するための信号(制御信号)などを生成するものである。
【0100】
通信部104は、通信ネットワーク101を介して、前述した制御ユニット30,44,54と双方向に通信可能なものである。また、通信部104は、インターネットにも接続している。通信部104は、制御信号生成部103が生成した制御信号を通信ネットワーク101を介して制御ユニット30,44,54に送信する。また、通信部104は、通信ネットワーク101を介して各加工装置10の制御ユニット30、メンテナンス部品収容庫40の制御ユニット44及びワーク収容庫50の制御ユニット54からの信号(通知信号)を受信する。
【0101】
無線受信部105は、無線により無人搬送車70の送信機77からの信号(通知信号に相当)を受信する。無線受信部105は、周知の受信機により構成される。
【0102】
無線送信部106は、無線により無人搬送車70の受信機76に制御信号生成部103が生成した信号(制御信号)を送信するものである。無線送信部106は、周知の送信機により構成される。
【0103】
制御信号生成部103及び通信部104の機能は、演算処理装置がROMに記憶されているコンピュータプログラムをRAM上で実行することで実現される。また、記憶部102の機能は、前述した記憶装置により実現される。
【0104】
(加工動作)
次に、前述した構成の加工システム1の加工動作を説明する。加工システム1は、加工前のワーク200を収容したカセットと、加工後のワーク200を収容するカセットがワーク収容庫50の収容庫本体51に設置され、メンテナンス部品収容庫40の保管室42の支持棚422に管理用データ107に応じた収容具400を支持して、保管室42内に収容具400を収容する。加工システム1は、管理用制御装置100の記憶部102に管理用データ107を受け付けて登録し、加工開始指示を受け付けると、加工動作を開始する。
【0105】
加工動作では、加工システム1は、管理用制御装置100の制御信号生成部103が、管理用データ107通りの無人搬送車70を走行路60の搬送路61の開口65上に位置付ける。このとき、平面視において、収容部72の開口721をワーク収容庫50の受渡しユニットに対向させる。加工動作では、加工システム1は、管理用制御装置100の制御信号生成部103が開口65上の無人搬送車70の収容部72を下降させて、受渡しユニットにカセットから管理用データ107通りのワーク200を取り出させて、走行路60の搬送路61の開口65上の無人搬送車70の収容部72内に収容させる。
【0106】
このとき、ワーク収容庫50は、読み取りユニット58によりカセットから取り出したワーク200を支持した環状フレーム205の識別コードを読み取り、その無人搬送車70にどのワーク200を受け渡したかを示す通知信号を管理用制御装置100に出力する。管理用制御装置100は、管理用データ107通りのワーク200が無人搬送車70に受け渡されたか否かを判定し、管理用データ107通りのワーク200が無人搬送車70に受け渡されていないと判定すると、加工動作を一旦停止して、報知ユニット57を動作させるとともに表示ユニット55にその旨を表示する。管理用制御装置100は、管理用データ107通りのワーク200が無人搬送車70に受け渡されたと判定すると、加工動作を継続する。
【0107】
加工動作では、加工システム1は、管理用データ107通りのワーク200を収容した無人搬送車70の収容部72を上昇させて、格納位置に位置づける。加工動作では、加工システム1は、収容部72に加工前のワーク200を収容した無人搬送車70を管理用データ107通りの加工装置10の載置台34上の受け渡し部62の開口63上に位置付ける。このとき、平面視において、収容部72の開口721を加工装置10の搬送ユニットに対向させる。加工動作では、加工システム1は、管理用データ107通りの加工装置10の載置台34上の受け渡し部62の開口63上に位置した無人搬送車70の収容部72を下降させて、加工装置10の載置台34上に載置する。
【0108】
加工動作では、加工システム1は、加工装置10が収容部72から加工前のワーク200を取り出してワーク200を切削加工し、切削加工後のワーク200を洗浄した後、受け渡し部62の開口63の上方に位置付けられた無人搬送車70の収容部72内に加工後のワーク200を収容する。加工動作では、加工システム1は、受け渡し部62の開口63の上方に位置付けられた無人搬送車70の収容部72を上昇させて、格納位置に位置づける。加工動作では、加工システム1は、収容部72に加工後のワーク200を収容した無人搬送車70を走行路60の搬送路61の開口65上に位置付ける。このとき、平面視において、収容部72の開口721をワーク収容庫50の受渡しユニットに対向させる。加工動作では、加工システム1は、開口65上の無人搬送車70の収容部72を下降させて、受渡しユニットに収容部72から加工後のワーク200を取り出させて、ワーク収容庫50内のカセットに収容させる。
【0109】
このとき、ワーク収容庫50は、読み取りユニット58により収容部72から取り出したワーク200を支持した環状フレーム205の識別コードを読み取り、どのワーク200が加工後に返送されてきたかを示す通知信号を管理用制御装置100に出力する。管理用制御装置100は、管理用データ107を参照して、加工動作のうちどのワーク200まで加工されたかを把握する。こうして、加工システム1は、ワーク収容庫50のカセット内のワーク200を管理用データ107通りの順番で加工する。加工システム1は、カセット内の全てのワーク200が加工済みになると、管理用制御装置100がワーク収容庫50の表示ユニット55に全てのワーク200が加工済みであることを表示するとともに、報知ユニット57を動作させてオペレータに報知する。
【0110】
また、加工動作において、加工システム1は、管理用制御装置100が管理用データ107に基づいて複数の加工装置10のうちいずれかがメンテナンスを行うタイミングであると判定すると、管理用制御装置100の制御信号生成部103が、管理用データ107通りの無人搬送車70を走行路60の搬送路61の開口64上に位置付ける。このとき、平面視において、収容部72の開口721をメンテナンス部品収容庫40の受渡しユニット43に対向させる。加工動作では、加工システム1は、管理用制御装置100の制御信号生成部103が開口64上の無人搬送車70の収容部72を下降させて、メンテナンス部品収容庫40の受渡しユニット43に保管室42から管理用データ107通りの収容具400を取り出させて、走行路60の搬送路61の開口64上の無人搬送車70の収容部72内に収容させる。
【0111】
このとき、メンテナンス部品収容庫40は、読み取りユニット48により保管室42から取り出した収容具400の環状フレーム205の識別コード408を読み取り、その無人搬送車70にどの収容具400を受け渡したかを示す通知信号を管理用制御装置100に出力する。管理用制御装置100は、管理用データ107通りの収容具400が無人搬送車70に受け渡されたか否かを判定し、管理用データ107通りの収容具400が無人搬送車70に受け渡されていないと判定すると、加工動作を一旦停止して、報知ユニット47を動作させるとともに表示ユニット45にその旨を表示する。管理用制御装置100は、管理用データ107通りの収容具400が無人搬送車70に受け渡されたと判定すると、加工動作を継続する。
【0112】
加工動作では、加工システム1は、管理用データ107通りの収容具400を収容した無人搬送車70の収容部72を上昇させて、格納位置に位置づける。加工動作では、加工システム1は、収容部72に収容具400を収容した無人搬送車70を管理用データ107通りの加工装置10の載置台34上の受け渡し部62の開口63上に位置付ける。このとき、平面視において、収容部72の開口721を加工装置10の搬送ユニットに対向させる。
【0113】
加工動作では、加工システム1は、管理用データ107通りの加工装置10の載置台34上の受け渡し部62の開口63上に位置した無人搬送車70が収容部72を下降させて、加工装置10の載置台34上に載置する。加工動作では、加工システム1は、無人搬送車70の収容具400を収容した収容部72を加工装置10の載置台34上に載置するまでの間に、検出ユニット78が収容部72内の収容具400を撮像し、撮像して得た画像を制御ユニット75を介して管理用制御装置100に出力する。
【0114】
加工動作では、加工システム1は、加工装置10が収容部72から収容具400を取り出して、オペレータ等により管理用データ107通りのメンテナンスが施される。実施形態1において、加工システム1は、加工装置10にメンテナンスが施される際には、加工装置10の読み取りユニットで収容具400の環状フレーム205の識別コード408を読み取って、識別コード408が含むURLに加工装置10の制御ユニット30が管理用制御装置100を介して接続して、加工装置10が表示ユニット31にメンテナンス作業のマニュアルを表示しても良い。
【0115】
加工装置10にメンテナンスが施された後、加工システム1は、加工装置10の制御ユニット30が管理用制御装置100の通信部104にメンテナンスが終了したことを示す信号(通知信号)を送信する。すると、加工システム1は、管理用制御装置100が収容具400をメンテナンス部品収容庫40に返送する制御信号を生成して、メンテナンスが終了したことを示す信号(通知信号)を送信した加工装置10の制御ユニット30に生成した制御信号を送信する。
【0116】
すると、加工システム1は、受け渡し部62の開口63の上方に位置付けられた無人搬送車70の収容部72に収容具400を収容し、収容具400を収容した収容部72を上昇させて、格納位置に位置づける。加工動作では、加工システム1は、収容部72に収容具400を収容した無人搬送車70を走行路60の搬送路61の開口64上に位置付ける。このとき、平面視において、収容部72の開口721をメンテナンス部品収容庫40の受渡しユニットに対向させる。加工動作では、加工システム1は、開口64上の無人搬送車70の収容部72を下降させて、メンテナンス部品収容庫40の受渡しユニット43に収容部72から収容具400を取り出させて、メンテナンス部品収容庫40内の保管室42に収容させる。
【0117】
こうして、実施形態1に係る加工システム1は、制御信号生成部103で生成された信号(制御信号)に基づいて無人搬送車70がメンテナンスで使用する物品401を収容した収容具400をメンテナンス部品収容庫40から加工装置10へと搬送する。また、実施形態1に係る加工システム1は、加工装置10のメンテナンス終了後、管理用制御装置100が、通信部104が受信した加工装置10からの信号(通知信号)に基づいて制御信号生成部103で制御信号を生成して、無人搬送車70にメンテナンスで使用する物品401を収容していた収容具400を加工装置10からメンテナンス部品収容庫40へと返送させる。
【0118】
加工動作では、加工システム1は、メンテナンス部品収容庫40の受渡しユニット43が無人搬送車70の収容部72から収容具400を取り出すまでの間に、検出ユニット78が収容部72内の収容具400を撮像し、撮像して得た画像を制御ユニット75を介して管理用制御装置100に出力する。管理用制御装置100は、メンテナンス前に保管室42から取り出された収容具400の画像と、返送されてきた収容具400の画像とにパターンマッチングを施して、これらの収容具400が同一であるか否かを判定する。実施形態1では、管理用制御装置100は、画像が同一であると判定すると、同一の収容具400に全ての物品401が収容されていると判定して加工動作を継続する。実施形態1では、管理用制御装置100は、画像が同一ではないと判定すると、同一の収容具400ではなく又は返送されてきた収容具400のいずれかの開口407に物品401が収容されていないと判定して、加工動作を一旦停止して、報知ユニット47を動作させてオペレータに報知するとともに表示ユニット45にその旨を表示する。
【0119】
また、加工動作では、無人搬送車70が第1センサ734及び第2センサ735で走行路60の縦線及び横線を読み取って制御ユニット75が無人搬送車70の走行路60上の位置を検出し、検出した位置を管理用制御装置100に送信する。また、加工動作では、無人搬送車70が衝突センサ736に障害物が衝突したことを検出すると、無人搬送車70の走行を停止し、無人搬送車70の制御ユニット75が衝突センサ736に障害物が衝突した検出結果を管理用制御装置100に送信する。また、加工動作では、無人搬送車70の制御ユニット75がモータ717,742の不具合を検出すると、検出結果を管理用制御装置100に送信する。
【0120】
また、実施形態1では、加工システム1は、管理用データ107に基づいてメンテナンスのタイミングにメンテナンス部品収容庫40の保管室42から収容具400を加工装置10に搬送する。しかしながら、本発明では、加工システム1は、各加工装置10からのメンテナンスを行う旨の通知信号を管理用制御装置100が受信した後、メンテナンス部品収容庫40の保管室42から通知信号が示すメンテナンスに使用される物品401を収容した収容具400を加工装置10に搬送しても良い。
【0121】
以上説明した実施形態1に係る加工システム1は、メンテナンスで使用する物品401を収容した収容具400を保管するメンテナンス部品収容庫40の屋上と加工装置10の屋上とに敷設された走行路60と、管理用制御装置の制御信号生成部103からの信号に基づいてメンテナンスに使用する物品401を収容した収容具400をメンテナンス部品収容庫40から加工装置10へと搬送する無人搬送車70とを備える。このために、加工システム1は、メンテナンス時に、誤った物品401を加工装置10に搬送してしまうことを抑制でき、適切でない物品401でメンテナンス作業を行うおそれを低減できる。
【0122】
その結果、実施形態1に係る加工システム1は、メンテナンス作業の誤りを抑制することができるという効果を奏する。
【0123】
また、実施形態1に係る加工システム1は、無人搬送車70が収容具400の物品401の収容状態を検出する検出ユニット78を備えている。このため、加工システム1は、加工装置10内にメンテナンスで使用した物品401を置き忘れてしまう等の誤りを抑制することができる。
【0124】
また、実施形態1に係る加工システム1は、無人搬送車70がワーク200又は収容具400を収容部72に収容して、加工装置10との間で搬送する。このために、加工システム1は、収容具400を搬送するために専用の無人搬送車70を設ける必要が生じない。
【0125】
また、加工システム1は、無人搬送車70が収容具400のみを搬送しても良い。この場合、ワーク200を収容する収容部72に収容することが困難な物品401を収容した収容具400も加工装置10との間で搬送することができる。
【0126】
また、実施形態1に係る加工システム1のメンテナンス部品収容庫40が収容具400を保管する保管室42と、保管室42と無人搬送車70の収容部72との間で収容具400を受け渡す受渡しユニット43とを備えているので、メンテナンス時に、誤った物品401を加工装置10に搬送してしまうことを抑制でき、適切でない物品401でメンテナンス作業を行うおそれを低減できる。
【0127】
その結果、実施形態1に係るメンテナンス部品収容庫40は、メンテナンス作業の誤りを抑制することができるという効果を奏する。
【0128】
また、実施形態1に係る収容具400は、物品401の外形に沿った開口407を仕切り板403に設けているので、誤った物品401を収容することを抑制できる。その結果、実施形態1に係る収容具400は、メンテナンス作業の誤りを抑制することができるという効果を奏する。
【0129】
また、実施形態1に係る収容具400は、環状フレーム205を備えているので、ワーク200と同様に物品401を加工装置10に搬送することができる。
【0130】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、本発明は、メンテナンス部品収容庫40が、ドレスボード300や切削ブレード21等の消耗品を収容具400を使わずに収容する消耗品収容部を設け、保管室42には空の収容具400を収容しておき、専用の搬送ユニットが消耗品収容部から保管室42の収容具400に消耗品を載せて、無人搬送車70へと渡すようにしてもよい。
【0131】
また、本発明では、無人搬送車70が検出ユニット78の代わりに例えば吊り下げ部材731を巻き取るリール747,748を回転するモータ742の電流値(トルク値)を測定する測定手段を設け、測定手段の測定結果に基づいて返送する収容具400が物品401を収容しているか否かを判断(即ち、収容具400を収容した収容部72の重さが所定重さか否かで判断)しても良い。また、本発明では、無人搬送車70が検出ユニット78の代わりに収容具400の開口407に接触式在荷センサを設けてもよい(接触式在荷センサが押下されたか否かで物品401を収容しているか否かを判断する)。
【符号の説明】
【0132】
1 加工システム
10 加工装置
40 メンテナンス部品収容庫
42 保管室
43 受渡しユニット
50 ワーク収容庫
60 走行路
70 無人搬送車(ワーク用無人搬送車)
71 走行機構
72 収容部
76 受信機
78 検出ユニット
103 制御信号生成部
104 通信部(受信部)
106 無線送信部(送信部)
200 ワーク
400,400-1,400-2 収容具
401 物品
403 仕切り板(本体)
407 開口(収容部)