(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127544
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】金の回収方法および金回収用溶液
(51)【国際特許分類】
C22B 11/00 20060101AFI20240912BHJP
C22B 3/44 20060101ALI20240912BHJP
C22B 3/22 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C22B11/00 101
C22B3/44 101A
C22B3/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036760
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】399030060
【氏名又は名称】学校法人 関西大学
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100136777
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 純子
(72)【発明者】
【氏名】村山 憲弘
(72)【発明者】
【氏名】工藤 宏人
(72)【発明者】
【氏名】松岡 光昭
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 真生
(72)【発明者】
【氏名】谷口 陽路
(72)【発明者】
【氏名】成田 弘一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智也
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001AA04
4K001BA21
4K001BA24
4K001DB16
4K001DB23
4K001DB35
4K001DB38
(57)【要約】
【課題】容易に行うことができ、かつ金の回収率の高い、金の回収方法と、該回収方法で用いられる、金回収用溶液を提供する。
【解決手段】金イオンを含む処理対象液から金を回収する方法であって、前記処理対象液とラダー型環状化合物をpH6以上の条件下で混合し、溶解したラダー型環状化合物を含む混合溶液を得る混合工程と、前記混合溶液を撹拌し、金含有析出物の析出した撹拌溶液を得る撹拌工程と、前記撹拌溶液から金含有析出物を回収する回収工程とを含む、金の回収方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金イオンを含む処理対象液から金を回収する方法であって、
前記処理対象液とラダー型環状化合物をpH6以上で混合し、溶解したラダー型環状化合物を含む混合溶液を得る混合工程と、
前記混合溶液を撹拌し、金含有析出物の析出した撹拌溶液を得る撹拌工程と、
前記撹拌溶液から金含有析出物を回収する回収工程と
を含む、金の回収方法。
【請求項2】
前記回収工程で、前記撹拌溶液をろ過し、前記金含有析出物の少なくとも一部をろ物として回収する、請求項1に記載の金の回収方法。
【請求項3】
前記ラダー型環状化合物は、下記の化学式(1)で示される化合物である、請求項1または2に記載の金の回収方法。
【化1】
上記化学式(1)において、全R
1のうち、12個以上のR
1はフェノール性水酸基であり、その他のR
1は、炭素数1以上10以下のヘテロ原子を有していてもよい脂肪族化合物、芳香族化合物、脂環式化合物、およびハロゲンよりなる群から選択される1以上の置換基であり、それらは互いに同一でも、異なっていてもよい。
【請求項4】
前記ラダー型環状化合物は、下記の化学式(2)で示される化合物である、請求項1または2に記載の金の回収方法。
【化2】
【請求項5】
前記撹拌工程で、前記混合溶液を1時間以上撹拌する、請求項1または2に記載の金の回収方法。
【請求項6】
前記処理対象液は、金イオン濃度が10質量ppm以上である、請求項1または2に記載の金の回収方法。
【請求項7】
前記混合工程での、前記処理対象液に含まれる金イオンと前記ラダー型環状化合物の質量比は金イオン:ラダー型環状化合物=1:0.5以上である、請求項1または2に記載の金の回収方法。
【請求項8】
請求項1または2に記載の金の回収方法に用いられる、溶解したラダー型環状化合物を含むpH6以上の金回収用溶液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、金の回収方法および金回収用溶液に関する。
【背景技術】
【0002】
金は高価でかつ、資源に乏しいことから、金を含む廃棄物、例えば、めっき廃液、廃棄された電子部品等に含まれる金を回収する技術が提案されている。特に、従来から使用される毒性の強いシアン化物を使用した方法に代わる技術として、多くの金の回収方法が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、金を酸性条件下で選択的に捕集(吸着)する捕集材に関する技術が示され、具体的に、エポキシ基を担体に導入することにより金を酸性条件下で選択的に捕集する捕集材が提案されている。
【0004】
特許文献2では、優れた選択的金吸着能を有し、カラムへの充填や溶液への分散が可能であり、且つ、溶液と容易に分離できる吸着材及びこれを用いた金の回収方法が提案されている。前記吸着材として、所定の一般式(1)で表される構造単位(a)の繰り返しからなるセグメントAと、所定の一般式(2)で表される構造単位(b)の繰り返しからなるセグメントBと、所定の一般式(3)で表される構造単位(c)の繰り返しからなるセグメントCとが、A-B-Cのシークエンスで結合しているABC型アゾ系トリブロック共重合体を、樹脂ビーズに含浸させてなる吸着材が提案されている。
【0005】
また特許文献3には、金イオンの選択的な吸着性に優れる新規な吸着材として、重合体基材に特定の官能基を導入した金イオン吸着材が、複数の金属種が混在する溶液中から金のみを高い選択性で吸着することが示されている。具体的に、少なくとも一つ以上の重合体を含む金イオン吸着材であって、前記重合体の側鎖に、エーテル基および/または第3級アミド基の官能基が導入されていることを特徴とする金イオン吸着材が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-096175号公報
【特許文献2】特開2013-136035号公報
【特許文献3】特開2014-198330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1~3の方法では、金を吸着材に吸着させた後、該吸着材から金を脱着させることが非常に煩雑であるといった問題があった。本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、容易に行うことができ、かつ金の回収率(以下、単に「回収率」ということがある)の高い、金の回収方法と、該回収方法で用いられる金回収用溶液を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様1は、
金イオンを含む処理対象液から金を回収する方法であって、
前記処理対象液とラダー型環状化合物をpH6以上の条件下で混合し、溶解したラダー型環状化合物を含む混合溶液を得る混合工程と、
前記混合溶液を撹拌し、金含有析出物の析出した撹拌溶液を得る撹拌工程と、
前記撹拌溶液から金含有析出物を回収する回収工程と
を含む、金の回収方法である。
【0009】
本発明の態様2は、
前記回収工程で、前記撹拌溶液をろ過し、前記金含有析出物の少なくとも一部をろ物として回収する、態様1に記載の金の回収方法である。
【0010】
本発明の態様3は、
前記ラダー型環状化合物は、下記の化学式(1)で示される化合物である、態様1または2に記載の金の回収方法である。
【化1】
上記化学式(1)において、全R
1のうち、12個以上のR
1はフェノール性水酸基であり、その他のR
1は、炭素数1以上10以下のヘテロ原子を有していてもよい脂肪族化合物、芳香族化合物、脂環式化合物、およびハロゲンよりなる群から選択される1以上の置換基であり、それらは互いに同一でも、異なっていてもよい。
【0011】
本発明の態様4は、
前記ラダー型環状化合物は、下記の化学式(2)で示される化合物である、態様1~3のいずれか1つに記載の金の回収方法である。
【化2】
【0012】
本発明の態様5は、
前記撹拌工程で、前記混合溶液を1時間以上撹拌する、態様1~4のいずれか1つに記載の金の回収方法である。
【0013】
本発明の態様6は、
前記処理対象液は、金イオン濃度が10質量ppm以上である、態様1~5のいずれか1つに記載の金の回収方法である。
【0014】
本発明の態様7は、
前記混合工程での、前記処理対象液に含まれる金イオンと前記ラダー型環状化合物の質量比は金イオン:ラダー型環状化合物=1:0.5以上である、態様1~6のいずれか1つに記載の金の回収方法である。
【0015】
本発明の態様8は、
態様1~7のいずれか1つに記載の金の回収方法に用いられる、溶解したラダー型環状化合物を含むpH6以上の金回収用溶液である。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、容易に行うことができ、かつ回収率が高い金の回収方法と、該回収方法で用いられる、金回収用溶液を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施例1、2における実験の手順を示す図である。
【
図2】
図2は、実施例1において析出した析出物の種類を説明する図である。
【
図3】
図3のAは、実施例1において生じた金鏡(Noria添加量が計算量の0.5(1/2)倍である)の写真であり、
図3のBは、実施例1において生じた金鏡(Noria添加量が計算量(1倍)である)の写真である。
【
図4】
図4は、実施例1において生じた球状の析出物の写真である。
【
図5】
図5は、実施例1において生じた粒子状の析出物の写真である。
【
図6】
図6のAは、実施例1において生じた粒子状の析出物のうちの1つのSEM像であり、
図6のBは、前記
図6のAのSEM像の一部を拡大した拡大SEM像である。
【
図7】
図7のAは、実施例1において生じた粒子状の析出物のうちの1つのSEM像であり、
図7のBは、前記
図7のAのSEM像の一部を拡大した拡大SEM像である。
【
図8】
図8は、実施例1において生じた粒子状の析出物のうちの1つの写真である。
【
図9】
図9は、実施例1において生じた粒子状の析出物のうちの1つの熱重量分析結果である。
【
図10】
図10は、実施例1における第1ろ過での5Aろ紙上のろ物(回収物)の写真である。
【
図11】
図11は、実施例1における第2ろ過でのメンブレンフィルター上のろ物(回収物)の写真である。
【
図12】
図12のAは、実施例2におけるNo.1の析出物の写真であり、
図12のBは、実施例2におけるNo.2の析出物の写真であり、
図12のCは、実施例2におけるNo.3の析出物の写真であり、
図12のDは、実施例2におけるNo.4の析出物の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明者らは、金イオンを含む処理対象液から、容易かつ金の回収率の高い金の回収方法と、該回収方法で用いられる金回収用溶液とを実現すべく鋭意研究を行った。その結果、
金イオンを含む処理対象液と、ラダー型環状化合物とを、pH6以上の条件下で混合させて、溶解したラダー型環状化合物を含む混合溶液を得る混合工程と、
前記混合溶液を撹拌し、金含有析出物の析出した撹拌溶液を得る撹拌工程と、
前記撹拌溶液から、金含有析出物を回収する回収工程と
を含むようにすればよいことを見出した。以下では、金の回収方法について、各工程別に詳述する。
【0019】
〔混合工程〕
混合工程では、前記処理対象液と、ラダー型環状化合物とを、pH6以上の条件下で混合させて、溶解したラダー型環状化合物を含む混合溶液を得る。
【0020】
(ラダー型環状化合物)
まずは、金の回収方法で用いるラダー型環状化合物について説明する。ラダー型環状化合物が、本発明の金の回収方法に有用である理由について定かではないが、該ラダー型環状化合物を使用することによって、処理対象液中の金イオンがラダー型環状化合物の外面、特にはラダー型環状化合物の外面のフェノール性水酸基に一旦吸着され、かつ後記する実験で示す通り金イオンの還元が行われて、効率良く金を回収できると考えられる。
【0021】
上記ラダー型環状化合物として、下記の化学式(1)で示された化合物が好ましく用いられる。下記の化学式(1)の全R1がフェノール性水酸基である、後述する化学式(2)で示される化合物がNoria(ノーリア)と呼ばれることから、下記の化学式(1)で示された化合物は、Noria誘導体という。
【0022】
【0023】
上記化学式(1)において、全R1のうち、12個以上のR1はフェノール性水酸基であり、その他のR1は炭素数1以上10以下のヘテロ原子を有していてもよい脂肪族化合物、芳香族化合物、脂環式化合物、およびハロゲンよりなる群から選択される1以上の置換基であり、それらは互いに同一でも、異なっていてもよい。
【0024】
金イオンの吸着および還元、NoriaまたはNoria誘導体のアルカリ溶解のしやすさから、前記R1に占めるフェノール性水酸基の数は多いほど好ましい。例えば、前記R1に占めるフェノール性水酸基の数は、より好ましくは16個以上、更に好ましくは20個以上とすることができる。
【0025】
上記化学式(1)で表される化合物のうち、R1が全てフェノール性水酸基である上記化学式(2)で表される化合物が、金イオンを回収する効率、およびラダー型環状化合物をpH6以上の水溶液、特にはアルカリ性水溶液と接触させて容易に溶解させる観点から特に好ましい。
【0026】
【0027】
上記化学式(2)で示された化合物は、ベンゼン環が12個、フェノール性水酸基が24個、メチレン鎖が6個からなり、中心に1つの大きな空孔があり、かつ側鎖にも空孔が6個あるラダー型環状オリゴマーである。前述の通り、上記化学式(2)で示された化合物はNoriaと呼ばれる。該Noriaは、例えば下記の反応式に示すように、レゾルシノールと1,5-ペンタンジアール(グルタルアルデヒド)との縮合反応により合成することができる。
【0028】
【0029】
また、上記化学式(2)で示されたNoriaの24個のフェノール性水酸基のうち、一部が他の官能基に置換された、化学式(1)に相当するNoria誘導体は、次のようにして得ることができる。すなわち、上記化学式(2)で示されたNoriaと、例えば、1官能性化合物として、R-COOH、R-COCl、R-N=C=O、R-CH2-X(XはF、Cl、Br、I)およびR-COORのうちの1以上、2官能性化合物として、HOOC-R-COOH、ClOC-R-COCl、O=C=N-R-N=C=O、X-CH2-R-CH2-X(XはF、Cl、Br、I)、およびROOC-R-COORのうちの1以上(Rは、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~5の脂肪族炭化水素基、例えばフェニル基、ニトロフェニル基等の芳香族炭化水素基)とを反応させて得ることができる。
【0030】
前記ラダー型環状化合物は、ラダー型環状化合物を含む溶液のpHによって溶解または析出する特性を有している。詳細には、酸性~中性領域ではNoriaが固体として存在するのに対し、塩基性領域ではほぼ全量が溶解する。本実施形態に係る金の回収方法では、ラダー型環状化合物の少なくとも一部が溶解していればよく、ラダー型環状化合物を含む溶液は、pH6以上であればよい。ラダー型環状化合物を含む溶液は、pH8以上であることが好ましく、pH10以上であることがより好ましい。本実施形態に係る金の回収方法では、ラダー型環状化合物のほぼ全量が溶解している塩基性領域の溶液を金の回収に用いてもよい。
【0031】
混合に供するラダー型環状化合物の形態は、固体(例えば粉末状)のラダー型環状化合物である他、pH6以上で、ラダー型環状化合物の少なくとも一部が溶解した溶液であってもよい。溶解したラダー型環状化合物を含むpH6以上の金回収用溶液は、本実施形態の金の回収方法に好適に用いられる。前記溶液は、溶媒が基本的に水である水溶液である。溶媒が、水と、水と混合可能な有機溶媒との混合溶媒であってもよい。前記水と混合可能な有機溶媒として、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール等の低級脂肪族アルコール類、エチレングリコール等が挙げられる。
【0032】
(pH6以上)
混合は、ラダー型環状化合物を溶解させるため、pH6以上で行う。すなわち混合溶液はpH6以上である。混合溶液は、好ましくはpH8以上であり、より好ましくはpH10以上である。pH6以上、例えばアルカリ条件とするためのpH調整剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、および重曹のうちの1以上を用いることができる。これらのうちの1以上のpH調整剤を含む水溶液または懸濁液を用いればよい。
【0033】
pH6以上の混合溶液を調製する方法として、
・後述する実施例に示す通り、金イオンを含む処理対象液と前記pH調整剤を混合して得られたpH6以上の処理対象液と、固体のNoriaとを混合すること、
・pH調整剤を含むpH6以上の水溶液または懸濁液と固体のNoriaとを混合し、ラダー型環状化合物の少なくとも一部が溶解したpH6以上の溶液を用意し、これと処理対象液とを混合させること、または、
・金イオンを含む処理対象液と、固体のNoriaと、pH調整剤(固体、アルカリ性水溶液、またはアルカリ性懸濁液の状態)とを同時に混合すること等が挙げられる。
【0034】
(金イオンを含む処理対象液)
本開示の金の回収方法に供する金イオンを含む処理対象液は、金イオンを含む溶液であれば問わない。この処理対象液として、例えば金含有めっき形成部品、廃棄された電子部品等の金を含む廃棄物を、従来から知られている方法で溶解して得られる廃液が挙げられる。前記溶液は、溶媒が基本的に水である水溶液である。溶媒が、水と、水と混合可能な上述の有機溶媒との混合溶媒であってもよい。
【0035】
(処理対象液に含まれる金イオンと、ラダー型環状化合物との比率)
混合溶液を調製するにあたり、処理対象液に含まれる金イオンの量に対する、ラダー型環状化合物の割合は、金イオンが還元されて、所望量の金含有析出物が得られればよく限定されない。高い回収率を達成する観点からは、処理対象液に含まれる金イオン:ラダー型環状化合物は、質量比で1:0.2以上(すなわち質量比で、処理対象液に含まれる金イオン1に対し、ラダー型環状化合物が0.2以上)であることが好ましく、より好ましくは質量比で1:0.5以上である。一方、ラダー型環状化合物が多すぎると、金含有析出物が微細となる傾向がみられる。よって、サイズの比較的大きい金含有析出物を得る観点からは、金イオン:ラダー型環状化合物の比率(質量比)を、例えば1:3以下とすることが挙げられる。
【0036】
上記処理対象液中の金イオン濃度は、例えば10質量ppm以上であることが挙げられる。本実施形態の金の回収方法によれば、上記金イオン濃度が低くとも、高い回収率で金を回収することができる。金イオン濃度は、更には100質量ppm以上であってもよい。なお、上記処理対象液の金イオン濃度の上限は特に限定されない。上記処理対象液中の金イオン濃度は、例えば5000質量ppm以下でありうる。
【0037】
上記処理対象液のpHは特に限定されない。pH6以上の混合溶液を調製する観点から、上記処理対象液は、中性またはアルカリ性であることが好ましく、例えばpH6以上であることが挙げられる。後述する実施例に示す通り、金イオンを含む処理対象液と前述のpH調整剤とを予め混合し、該処理対象液をpH6以上とすることができる。
【0038】
混合溶液は、金イオンを含む処理対象液と、ラダー型環状化合物とを少なくとも含み、pH6以上であればよい。必要に応じて、所望のpHとするためのpH調整剤が更に含まれていてもよい。また、混合溶液は、金イオンの還元を促進させるため、Noriaとは異なる還元剤等を含むことが可能である。
【0039】
(撹拌工程)
撹拌工程では、前記混合溶液を撹拌し、金含有析出物の析出した撹拌溶液を得る。前記撹拌として、撹拌プロペラを用いること、前記混合溶液に磁石型の撹拌子(回転子)を入れて旋回させること、前記混合溶液をなす型フラスコなどに入れて回転させること、遠心力を用いること等による撹拌が挙げられる。前記混合溶液に磁石型の撹拌子(回転子)を入れて旋回させる場合、金含有析出物として好ましくは球状粒子を得るための撹拌条件として、例えば撹拌子(回転子)のサイズにつき、該撹拌子(回転子)の全長が反応容器の内径の半分以下となるようにすることや、例えば撹拌のスピード(撹拌子の回転速度)を450~600rpmとすること、好ましくは500~550rpmとすること等が例として挙げられる。一方、金含有析出物として好ましくは粉状のものを得るための撹拌条件として、例えば撹拌子(回転子)のサイズにつき、該撹拌子(回転子)の全長が反応容器の内径の半分よりも大きくなるようにすることや、例えば撹拌のスピード(撹拌子の回転速度)を450rpm未満とすること等が例として挙げられる。
【0040】
前記撹拌の時間は、処理する規模(処理対象液の量や金イオンの濃度)、所望とする回収率による。前記撹拌の時間は、金イオンの還元を十分に進行させて、所望量の金含有析出物を得る観点から適宜決定すればよい。撹拌時間は、Noriaによる還元反応を十分進行させる観点から、1時間以上とすることが好ましく、より好ましくは3時間以上、更に好ましくは1日以上、より更に好ましくは3日以上である。撹拌時間は、更に1週間以上としてもよい。なお、生産性確保の観点から、撹拌時間は50日以下とすることができる。
【0041】
撹拌時の溶液の液温は、特に限定されない。例えば40℃以上、更には50℃以上に加熱することで、金イオンの還元反応が促進され、金含有析出物を早期に析出できると考えられる。一方、サイズの大きな金含有析出物を得るため、遅い速度で粒成長させる観点からは、加熱せずに常温で撹拌を行うことが好ましい。
【0042】
金含有析出物は、金が含まれていればよい。金含有析出物は、金(Au)濃度が50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、95質量%以上であることがより更に好ましく、最も好ましくは100質量%、すなわち金からなることである。
【0043】
上記撹拌の終了は、後述する実施例に示す通り、例えばガラス容器等の反応容器内に観察される金色の析出物または紫色もしくはピンク色の析出物の、析出の程度で判断することができる。
【0044】
(回収工程)
回収工程では、前記撹拌溶液から、金含有析出物を回収する。回収方法は限定されず、例えばろ過、遠心分離等が挙げられ、これらを組み合わせることができる。以下ではろ過を行う場合について説明する。
【0045】
(ろ過)
金含有析出物を含む撹拌溶液をろ過し、金含有析出物を含むろ物を回収する。所望の金含有析出物のサイズにあわせてろ材(ろ紙、フィルター)の種類を選択し、ろ過を行うことによって、種々のサイズの金含有析出物を含む撹拌溶液から、所望のサイズの金含有析出物を得ることができる。
【0046】
前記ろ過に使用するろ材、例えばフィルターは、所望のサイズの金含有析出物に応じて決定すればよい。撹拌溶液は、pHが6以上であってアルカリ性の領域を含むことから、上記フィルターは、アルカリに耐える材質であることが好ましい。例えば、ろ紙(例えばグレードNo.5A、5B、5C)、セルロース混合エステルタイプ、PTFEタイプのメンブレンフィルターを用いることができる。具体的には、後述する実施例に示す通り、例えば5Aろ紙、孔径が0.1μmのメンブレンフィルター(セルロース混合エステルタイプ)を用いることができる。ろ材のメッシュサイズが粗い順に複数のろ過を行うことによって、金含有析出物の分級を行うことができる。
【0047】
本実施形態の金の回収方法によれば、溶解したラダー型環状化合物を金の回収に用いているため、上述の通り析出する金含有析出物のサイズを制御できる。更に、回収方法としてろ過を行うことによって、所望のサイズの金含有析出物を回収することができる。好ましい金の回収方法として、処理対象液に含まれる金イオン:ラダー型環状化合物の質量比を、1:[0.2以上、更には0.5以上であって、1以下]として、比較的大きな金含有析出物を析出させ、かつ回収方法として、例えば5Aろ紙を用いてろ過を行うことによって、比較的大きな金含有析出物を、容易にかつ高い回収率で回収することができる。該回収方法によれば、例えば最大径が0.5mm以上、更には1mm以上の金含有析出物を選択的に回収することができる。
【0048】
本実施形態に係る金の回収方法は、上記混合工程、撹拌工程および回収工程以外の工程を有していてもよい。本実施形態に係る金の回収方法は、例えば、回収した金含有析出物を分級する工程、固体として回収されない、例えばろ液中の金イオンを再度回収する工程、金含有析出物を回収後のろ液に、塩酸、硝酸、硫酸等のpH調整剤を加え、酸性溶液とすることによって、Noriaを固体の状態で回収する工程等が含まれていてもよい。
【0049】
前記ろ過によりろ物として得られる金含有析出物の含有量が少なく、回収率が低い場合、所望の回収率が得られるまで、ろ液中の金イオンの回収を繰り返し行ってもよい。すなわち、ろ液とラダー型環状化合物をpH6以上の条件下で混合し、溶解したラダー型環状化合物を含む混合溶液を得ることと、前記混合溶液を撹拌し、金含有析出物の析出した撹拌溶液を得ることと、前記撹拌溶液から金含有析出物を回収することを、所望の回収率が得られるまで繰り返し行うことができる。
【実施例0050】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前述および後述する趣旨に合致し得る範囲で、適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0051】
[実施例1]
実施例1では、一定量の金(Au)を含む水溶液に対し、Noria量を変えて添加したときの、得られる金含有析出物の形態、金の回収率等について調べた。
【0052】
まず、金の析出は、下記の式(I)に示すNoriaの酸化反応と、下記の式(II)に示すNoriaの酸化反応で生じた電子による金イオンの還元によると考えられる。なお下記の式(I)では、Noriaに含まれる12個のベンゼン環うちの1個において、2つのフェノール性水酸基うちの1つが酸化する場合を示している。Noriaはフェノール性水酸基を合計で24個有していることから、一目安に過ぎないが、Noriaのフェノール性水酸基24個が全て下記の反応式(I)(II)に使用されると仮定して量論関係を考察すると、使用するNoriaと回収できる金の計算上のモル比は、Noria:Au=1:8となる。また、Noriaのモル質量が1704g/mol、Auのモル質量が197g/molであることから、使用するNoriaと回収できる金の計算上の質量比は、Noria:Au=0.108g:0.1gとなる。以下、計算上の質量比で示したNoria0.108g(≒0.11g)を「計算量」ということがある。
【0053】
【0054】
AuCl4
-+3e- → Au+4Cl- ・・・(II)
【0055】
本実施例では、処理対象液に含まれるAu量を固定し、Noriaを、計算量である0.108g(≒0.11g)から下記表1の通り種々の比率に変えて添加した。
【0056】
【0057】
図1に示す手順の通り実験を行った。詳細にはまず、ガラス容器に金(Au)標準液(Au0.1g、1000質量ppm)100mLと、30wt%NaOH水溶液約20mLを混合し、pH12のAu含有水溶液(処理対象液)を準備した。このAu含有水溶液のAu濃度は約840質量ppmに相当する。
【0058】
pH12のAu含有水溶液(処理対象液)に、上記表1に示す種々の量のNoria(ノーリア、固体)をそれぞれ添加し、Noria(固体)を溶解させた混合溶液を得た。そして本実施例では、金含有析出物を十分析出させるため、混合溶液を31日間撹拌した。各例では、撹拌の時間経過とともに、種々の金含有析出物の析出が観察された。金含有析出物の形態については後に詳述する。
【0059】
本実施例では、回収された金含有析出物は、金からなるものであった。このことは、XRD(X線回折法)で別途確認し、かつ得られた金含有析出物の熱重量分析を行ったところ、後述する
図9に示す通り水分や原料であるNoriaを含まないことを確認した通りである。
【0060】
撹拌して得られた、金含有析出物を含む撹拌溶液を、まず5Aろ紙を用いてろ過した(第1ろ過)。ろ紙上に残存した第1ろ物を回収した。次に、第1ろ過で得られたろ液を用い、0.1μmメンブレンフィルターを用いて減圧ろ過(第2ろ過)を行って、第2ろ物を回収した。また、第2ろ過で得られたろ液も、残存Au濃度測定のため回収した。
【0061】
撹拌途中から析出した金含有析出物として、具体的に、
図2に示す通り、撹拌溶液の表面に存在する鱗片状の浮遊物、ビーカー(ガラス容器)の壁面に形成された金鏡、沈降物として球状の粒子および/または粉状物が確認された。Noria添加量別に、金含有析出物の形態を表2に示す。表2において、浮遊物、金鏡、沈降物、沈降物の中でも特に球状の粒子について、析出の程度を○(明らかに存在が確認された)、△(微量の存在が確認された)、×(存在が確認されなかった)で評価した。また、○(明らかに存在が確認された)の中でも、特に、円相当直径が約1mm以上の大きい析出物(球状粒子)が確認された場合を◎と評価した。
【0062】
より具体的には、Noria添加量が計算量の0.5倍の場合には
図3A、1倍の場合には
図3Bに示す通り、金鏡が確認された。上記金鏡の形成には、Noriaの添加量以外に攪拌速度が大きく影響していることが考えられる。また、本実施例における金鏡の形成は、無電解メッキと同様の原理であると考えられる。すなわち、前述の反応式(I)に示すNoriaの酸化反応において、容器表面(ガラス)と析出物(金)の両方が還元剤の触媒として作用することにより、厚みを有する金の層が析出物として形成されたと考えられる。
【0063】
【0064】
Noria添加量が計算量の0.5倍の場合、
図4に示す通り球状粒子が確認された。この様な球状粒子が形成される理由の一つとして、上述した金鏡がガラス容器の壁面から剥がれ、ガラス容器の底部に沈降し、それが撹拌により集積して粒子化されたことが考えられる。
【0065】
図5は、撹拌途中のガラス容器の底部に確認された、複数の金色の粒子(
図5では白色の粒子)を示す写真である。そのうちの1粒として、0.7mm粒子のSEM像を
図6Aに示す。
図6Aの写真から真円に近い球状粒子が形成されていることがわかる。また
図6Bは、
図6Aの球状粒子の表面の拡大SEM像である。この
図6Bの写真から、球状粒子の表面は凹凸を有し、複数の薄層で覆われていることがわかる。これらの写真から、薄層の積層の程度を制御することで、球状粒子のサイズ(直径)を制御可能であると考えられる。
【0066】
図7Aは、撹拌初期に析出した析出物のSEM像であり、
図7Bはその一部の拡大SEM像である。これらの写真から、球状粒子の形成には、ナノ粒子が凝集しながら粒成長していると考えられ、球状粒子の内部(中心部)はこのようなナノ粒子の凝集物であると考えられる。
【0067】
(第1ろ過沈降物の熱重量分析)
第1ろ物、すなわち5Aろ紙でのろ過で得られた沈降物の一つとして、
図8に示す長径が1mmの金色の球状粒子を用い、島津製作所製の熱重量分析装置を用いて、熱重量分析を行った。その結果を
図9に示す。
図9から、球状粒子の重量減少はほとんどなかった。このことから、上記球状粒子は、内部に水分や原料であるNoriaを含まず、金のみで形成されている、すなわち純度が高い金の粒子であることがわかった。
【0068】
なお別途、球状粒子の重量を測定したところ、0.0660gであった。金の密度は19.32g/cm3であり、円相当直径が0.3mmの球状粒子と仮定すると、その重量は0.2731gと計算されることから、この粒子の金の充填率は、概算上24.2%であり、見かけの密度は4.67g/cm3であると見積もられる。すなわち、得られた球状粒子は、空隙の多い凝集物であることがわかった。
【0069】
本実施例では、第1ろ過で5Aろ紙を用いてろ過を行うことにより、サイズが7μm超の沈降物が回収され、第2ろ過でメンブレンフィルターを用いてろ過を行うことにより、0.1μm超であって約7μm以下の沈降物が回収される。
図10は、第1ろ過での5Aろ紙上のろ物(回収物)の写真である。
図10の各写真の左上には、Noria添加量の計算量に対する倍率を示す。また
図11は、第2ろ過でのメンブレンフィルター上のろ物の写真である。
【0070】
本実施例では、いずれの例においても、第1ろ過で析出物を回収でき、また上述の通り、Noria添加量が計算量の0.5倍の場合には粒子を回収できた。一方、第2ろ過では、Noria添加量が少ない場合はフィルター上にほとんど残存せず、Noria添加量が多いほど沈降物の回収は多かった。Noria添加量別に、各ろ過での回収物量を求めた。その結果を表3に示す。表3において、第2ろ過後のMF(メンブレンフィルター)上(0.1-7μm)のAu回収物の質量は、MF上のろ物を回収してその質量を求めた。また、第2ろ過後のろ液を用いてICP発光分光分析(残存Au濃度測定)を行い、未回収物(ろ液中のAu)の質量を求めた。そして、仕込んだAu質量(100mg)から、MF上のAu回収物の質量と未回収物(ろ液中のAu)の質量とを差し引いて、5Aろ紙上(>7μm)のAu回収物の質量を得た。
【0071】
【表3】
*物質収支から次式で計算した値
仕込んだAu質量(100mg)-MF上のAu回収物の質量-未回収物(ろ液中のAu)の質量
【0072】
また、表3に示した、5Aろ紙上のAu回収物の質量とMF上のAu回収物の質量の合計量から、金の回収率を求めた。その結果を、Noria添加量とともに表4に示す。
【0073】
【0074】
表3および表4より、金の回収率を高める観点からは、Noria添加量は0.2倍以上とすることが好ましく、より好ましくは0.5倍以上であることがわかる。
【0075】
また表3から、Noria添加量が0.2倍以上において、Noria添加量に応じて析出する金のサイズが異なることがわかる。詳細には、Noria添加量が多いと析出物のサイズが小さくなり、メンブレンフィルター(MF)上で回収される量が多い。一方、Noria添加量を抑え、処理対象液中の金イオン量を相対的に多くした場合(例えばNoria添加量を、計算量の0.5~1倍とした場合)、第1ろ過(5Aろ紙を用いたろ過)での回収物が多めであったことから、析出物のサイズは比較的大きく、また表2の結果から粒子形状となりやすいことがわかった。
【0076】
このことから、対象処理液(金含有溶液)中の金イオン量に応じて、Noria添加量を変えることによって、回収できる金のサイズを制御できるといえる。微細な析出物の発生を抑えて比較的大きな析出物を析出させ、例えば、第2ろ過を行わずに、第1ろ過のみ、即ち5Aろ紙による簡易なろ過のみで、ほとんどの金を回収する観点からは、混合溶液におけるNoria添加量を、計算量の0.5~1倍とするのが好ましいことが分かる。
一方、比較的大きな析出物の発生を抑え、微細な析出物を析出させる観点からは、混合溶液におけるNoria添加量を、計算量の1倍よりも多く、例えば計算量の3倍とするのが好ましいことがわかる。また、金の球状粒子として、例えば直径が約0.5mm以上、更には直径が約1mm以上の球状粒子を得るには、混合溶液におけるNoria添加量を、計算量のおおよそ0.5倍とするのがよいことがわかる。
【0077】
上記表3から、Noria添加量が0.2倍以上で回収率が80%以上、Noria添加量が計算量の0.5倍以上で98%程度またはそれ以上であった。なお、上記には示していないが、撹拌時間が1週間で、Noria添加量が計算量の0.5倍以上の場合は回収率が90%以上であることも別途確認した。
【0078】
以上の結果から、本実施形態に係る方法によれば、容易にかつ高い回収率で金を回収できる。また、本実施形態に係る方法では、従来の方法と異なり、ラダー型環状化合物を、pH6以上、特にはアルカリ条件下で溶解させた状態で金含有溶液と接触させている。溶解したラダー型環状化合物の添加量を、上記の通り変更させることにより、金を還元させて析出させる速度等を制御でき、その結果、得られる金の析出物のサイズを制御することができる。
【0079】
[実施例2]
実施例1にて金の回収率が高かったNoria添加量が計算量の0.5倍の場合について、撹拌条件が析出物の形態に及ぼす影響について検討を行った。
【0080】
詳細には、Noria添加量を計算量の0.5倍とし、混合溶液の撹拌を表5に示す条件で行ったこと以外は、実施例1と同様にして金の回収を行った。そして得られた金の析出物の形態を観察した。得られた金の析出物の形態を
図12に示す。
図12において、A~Dはそれぞれ、表5のNo.1~4の析出物の写真である。これらの写真から明らかな通り、表5のNo.1~3の条件で撹拌を行った場合には、球状粒子が生成されたが、表5のNo.4の条件で撹拌を行った場合には、球状粒子が生成せず、析出物は粉状であった。このことから、金の析出物として球状粒子を生成する場合には、反応容器に対して回転子を比較的小さく、かつ回転速度を下記の通り500rpmまたは550rpmとすることが好ましいことがわかる。特にNo.2の通り、回転速度を550rpmと速めることによって、
図12Bに示される通り、直径が約3mmもの大きな球状粒子を得ることができた。一方、金の析出物として粉状物を得る場合には、反応容器に対して回転子を比較的大きく、かつ回転速度を下記の通り400rpmと比較的遅くするのがよいことがわかる。
【0081】