(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127657
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ウェハ保護テープ剥離装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20240912BHJP
B65H 29/54 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H01L21/68 N
B65H29/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036998
(22)【出願日】2023-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】青木 仁
(72)【発明者】
【氏名】木▲崎▼ 清貴
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 宰
(72)【発明者】
【氏名】森田 由希
(72)【発明者】
【氏名】住谷 亮輔
【テーマコード(参考)】
3F053
5F131
【Fターム(参考)】
3F053AA20
3F053LA16
3F053LB07
5F131AA02
5F131BA53
5F131CA09
5F131CA62
5F131DA13
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA07
5F131EA22
5F131EC34
5F131EC72
5F131EC77
5F131KA72
5F131KB05
5F131KB12
5F131KB32
(57)【要約】
【課題】副資材を用いることなく保護テープをウェハから確実に剥離除去できるウェハ保護テープ剥離装置を提供する。
【解決手段】ウェハWの表面を覆う保護テープTを剥離するウェハ保護テープ剥離装置10であって、保護テープTの端を受け入れ可能な螺旋状溝(ネジ部24B)が外周に形成された回転螺旋状部材24を備え、ネジ部24Bの山部24b1に保護テープTの端を引っ掛けさせた状態で回転螺旋状部材24を回転させて、保護テープTの端をウェハWから離れる方向に送って保護テープTの一部分TaをウェハWから剥がすテープ剥離手段21を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハの表面を覆う保護テープを剥離するウェハ保護テープ剥離装置であって、
前記保護テープの端を受け入れ可能な螺旋状溝が外周に形成された回転螺旋状部材を備え、前記螺旋状溝の山部に前記保護テープの端を引っ掛けさせた状態で前記回転螺旋状部材を回転させて、前記保護テープの端を前記ウェハから離れる方向に送って前記保護テープの一部分を前記ウェハから剥がす剥離手段を備える、
ことを特徴とするウェハ保護テープ剥離装置。
【請求項2】
前記回転螺旋状部材の前記螺旋状溝の山部の径が、前記回転螺旋状部材の下部から上部に向かって徐々に大きくなる、ことを特徴とする請求項1に記載のウェハ保護テープ剥離装置。
【請求項3】
前記剥離手段は、
前記ウェハの外周エッジ部の位置と前記ウェハの厚みとを検出する検出センサと、
前記螺旋状溝の山部を、前記ウェハと前記保護テープの間の位置に配置する駆動手段と、
前記検出センサからの信号に基づいて前記駆動手段の駆動を制御する制御部と、
をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のウェハ保護テープ剥離装置。
【請求項4】
前記剥離手段は、
前記回転螺旋状部材により前記ウェハから剥がされた前記保護テープの前記一部分を吸着して前記ウェハの表面から持ち上げる保護テープ吸着剥離手段と、
前記保護テープ吸着剥離手段で前記ウェハの表面から持ち上げられた前記保護テープの前記一部分を挟持し、残りの前記保護テープ全体を剥離する保護テープクリップ手段と、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項3に記載のウェハ保護テープ剥離装置。
【請求項5】
前記剥離手段は、前記保護テープクリップ手段で剥離された前記保護テープの表裏面を挟んで配置されて、前記保護テープを前記ウェハの表面から離れる方向に所定の速度で送る1対の回転ニップローラをさらに備える、
ことを特徴とする請求項4に記載のウェハ保護テープ剥離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハの表面に取り付けられた保護テープを剥離するウェハ保護テープ貼付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造分野では、シリコンウェハ等の半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という)の表面に回路パターン形成処理を行った後、ウェハの裏面全体を均一に研削して薄型化するバックグランド処理が施される。そのバックグランド処理を行う前に、回路を保護すべくウェハの表面に保護用として粘着性の保護テープを貼り付けている。また、ウェハを薄型化した後は、ダイシング工程などの各処理を行うべく、保護テープを剥離する。
【0003】
ウェハから保護テープを剥離する従来の方法としては、裏面研削後に、保護テープの表面に剥離用の粘着テープ(剥離テープ)等の副資材を貼り付け、剥離テープと保護テープとを一体化して剥離する方法等が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の従来装置のように、剥離テープ等の副資材を使用した方法では、副資材を使用することにより、コストアップになる。また、消耗品の廃棄物が発生する問題点があった。さらに、ウェハ保護テープの種類によっては、ヒートシールでの熱接着が不完全であると、剥離の際に途中で外れて剥離できない現象が発生する問題点もあった。
【0006】
そこで、副資材を用いることなく保護テープをウェハから確実に剥離して除去できるウェハ保護テープ剥離装置を提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載の発明は、ウェハの表面を覆う保護テープを剥離するウェハ保護テープ剥離装置であって、前記保護テープの端を受け入れ可能な螺旋状溝が外周に形成された回転螺旋状部材を備え、前記螺旋状溝の山部に前記保護テープの端を引っ掛けさせた状態で前記回転螺旋状部材を回転させて、前記保護テープの端を前記ウェハから離れる方向に送って前記保護テープの一部分を前記ウェハから剥がす剥離手段を備える、ウェハ保護テープ剥離装置を提供する。
【0008】
この構成によれば、保護テープの端を、回転螺旋状部材の螺旋状溝の山部に引っ掛けさせた状態で、その端がウェハから離れる方向に送られるように回転螺旋状部材を回転させると、回転螺旋状部材の螺旋状溝の山部による送りに伴い、保護テープの一部分がウェハのエッジ側から徐々に持ち上げられて剥離する。そして、この剥離をきっかけとして、副資材を用いなくても残りの剥離作業もスムーズに進み、ウェハから保護テープを確実に剥離して除去できる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、前記回転螺旋部材の前記螺旋状溝の山部の径が、下部から上部に進むにしたがい徐々に大きくなる、ウェハ保護テープ剥離装置を提供する。
【0010】
この構成によれば、保護テープがウェハから離れる方向にネジ送りされるのに伴い、螺旋状溝の山部の径が大きくなり、その山部が保護テープ側に徐々に突き出してくる。これにより、回転螺旋状部材の回転による螺旋状溝の山部の送りで、保護テープの一部分がウェハのエッジ側から持ち上げられて剥離されても、保護テープのエッジ部分が螺旋状溝の山部から外れることなく、所定の位置まで確実に捲り上げられて剥離される。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、前記剥離手段は、前記ウェハの外周エッジ部の位置と前記ウェハの厚みとを検出する検出センサと、前記螺旋状溝の山部を、前記ウェハと前記保護テープの間の位置に配置する駆動手段と、前記検出センサからの信号に基づいて前記駆動手段の駆動を制御する制御部と、をさらに備える、ウェハ保護テープ剥離装置を提供する。
【0012】
この構成によれば、検出センサによりウェハの外周エッジ部の位置と前記ウェハの厚みとを検出し、その後、制御部が検出センサの信号に基づいて駆動手段を駆動して、螺旋状溝の山部がウェハと保護テープとの間の位置に対応するように、回転螺旋状部材を正確に移動させることができる。その後、駆動手段の駆動力で回転螺旋部材を回転させると、ウェハと保護テープとの間に螺旋状溝の山部が侵入されて、螺旋状溝の山部の間に保護テープの端を引っ掛けさせた状態で回転螺旋状部材が回転される。また、これに伴って保護テープの端がウェハのエッジ側から徐々に持ち上げられて剥離のきっかけが作られる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の構成において、前記剥離手段は、前記回転螺旋状部材により前記ウェハから剥がされた前記保護テープの前記一部分を吸着して前記ウェハの表面から持ち上げる保護テープ吸着剥離手段と、前記保護テープ吸着剥離手段で前記ウェハの表面から持ち上げられた前記保護テープの前記一部分を挟持し、残りの前記保護テープ全体を剥離する保護テープクリップ手段と、をさらに備える、ウェハ保護テープ剥離装置を提供する。
【0014】
この構成によれば、螺旋状溝の回転による山部の送りによってウェハのエッジ側から徐々に持ち上げられた保護テープの一部分、すなわち保護テープのエッジ周辺部分を、保護テープ吸着剥離手段が吸着保持してウェハの表面から持ち上げて剥離し、さらにその剥離された保護テープの一部分を保護テープクリップ手段で挟持して、残りの保護テープ全体をウェハから剥離して除去できる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の構成において、前記剥離手段は、前記保護テープクリップ手段で剥離された前記保護テープの表裏面を挟んで配置されて、前記保護テープを前記ウェハの表面に沿って所定の速度で剥離する1対の回転ニップローラをさらに備える、ウェハ保護テープ剥離装置を提供する。
【0016】
この構成によれば、保護テープの表裏面を1対の回転ニップローラで挟み、その保護テープをウェハの表面に沿って所定の速度で剥離しながら、確実に除去できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、保護テープの端を回転螺旋状部材における前記螺旋状溝の山部に係合させて、その端がウェハから離れる方向に送られるように回転螺旋状部材を回転させると、螺旋状溝の山部による送りに伴い、保護テープの一部分がウェハのエッジ側から徐々に持ち上げられて剥離し、剥離のきっかけを作ることができる。そして、その剥離された部分をきっかけとして、残りの剥離作業も、副資材等を使用することなく、スムーズに、また確実に行うことができるので、コスト低減が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態に係る一実施例として示すウェハ保護テープ剥離装置における要部構成の斜視図である。
【
図2】同上ウェハ保護テープ剥離装置における要部構成の側面図である。
【
図3】同上ウェハ保護テープ剥離装置における制御構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】同上ウェハ保護テープ剥離装置における回転螺旋状部材を説明する図であり、(a)は回転螺旋状部材におけるネジ部の形状を説明する斜視図、(b)は回転螺旋状部材におけるネジ部の先端ネジ山がウェハと保護テープとの間に配置された状態を示す拡大図である。
【
図5】同上ウェハ保護テープ剥離装置の動作例を示す図であり、(a)は検出センサによりウェハの外周エッジ部の位置とウェハの厚みを検出している状態を示す図、(b)は検出センサが検出したウェハの外周エッジ部の位置を基準にして剥離テーブルを所定の位置に移動させた状態を示す図である。
【
図6】同上ウェハ保護テープ剥離装置の動作例を示す図であり、(a)は回転螺旋状部材におけるネジ部のネジ山をウェハと保護テープとの間に配置させた状態を示す図、(b)は(a)のA部拡大図、(c)は保護テープのエッジ周辺部分上に保護テープ吸着剥離手段の吸盤を当接配置した状態を示している図である。
【
図7】同上ウェハ保護テープ剥離装置の動作例を示す図であり、(a)は保護テープ吸着剥離手段が保護テープのエッジ周辺部分を吸着保持して剥離し,剥離のきっかけを作る状態を示す図で、(b)は(a)のB部拡大図、(c)は保護テープ吸着剥離手段が剥がした保護テープのエッジ周辺部分に保護テープクリップ手段を下降させた状態を示す図である。
【
図8】同上ウェハ保護テープ剥離装置の動作例を示す図であり、(a)は保護テープ吸着剥離手段で剥離された保護テープのエッジ周辺部分の上下面を保護テープクリップ手段が挟持して剥離を開始した状態を示す図、(b)は(a)のC部拡大図、(c)は保護テープクリップ手段が保護テープのエッジ周辺部分を掴んで上昇し、保護テープの剥離を本格的に開始した状態を示している図である。
【
図9】同上ウェハ保護テープ剥離装置の動作例を示す図であり、(a)は保護テープクリップ手段が保護テープのエッジ周辺部分を挟持し、かつ、1対のニップローラが表裏面側から保護テープを挟んで剥離を開始する状態を示す図、(b)は保護テープの剥離途中の状態を示す図である。
【
図10】同上ウェハ保護テープ剥離装置の動作例を示す図であり、ウェハ上における保護テープの剥離を終えた状態を示す図である。
【
図11】同上ウェハ保護テープ剥離装置の変形例として、ウェハ側にノッチ部を設け、ノッチ部内に回転螺旋状部材におけるネジ部の先端部分を配置して剥離を開始する構造を示すもので、(a)は剥離開始前の状態を示す図、(b)は回転螺旋状部材が回転されてネジ部による保護テープの剥離が開始された状態を示す図である。
【
図12】回転螺旋状部材の変形例として、回転螺旋状部材のネジ径が上部と下部で同じに形成されている構造を示す図であり、(a)はウェハ側に設けたノッチ部内に回転螺旋状部材におけるネジ部の先端部分を配置して剥離を開始する前の状態を示す図、(b)は回転螺旋状部材が回転されてネジ部による保護テープの剥離が開始された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、副資材を用いることなく保護テープをウェハから確実に剥離して除去できるウェハ保護テープ剥離装置を提供するという目的を達成するために、ウェハの表面に取り付けられた保護テープを剥離するウェハ保護テープ剥離装置であって、前記ウェハのエッジ部周辺を覆っている前記保護テープの一部分の端と係合するネジ溝を有し、前記ネジ溝に前記一部分の端を係合させて前記一部分を前記ウェハから離れる方向にネジ送りして前記ウェハから剥がす回転螺旋状部材を設けた剥離手段を備える、構成としたことにより実現した。
【実施例0020】
以下、本発明の実施形態に係る一実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例において、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0021】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0022】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、構成要素の断面構造を分かり易くするために、一部の構成要素のハッチングを省略することがある。
【0023】
また、以下の説明において、上下や左右等の方向を示す表現は、絶対的なものではなく、本発明のウェハ保護テープ剥離装置の各部が描かれている姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。また、実施例の説明の全体を通じて同じ要素には同じ符号を付している。
【0024】
図1から
図3は本発明に係るウェハ保護テープ剥離装置10の一実施例を示すものであり、
図1はそのウェハ保護テープ剥離装置10における要部構成を示す斜視図、
図2はその側面図、
図3はウェハ保護テープ剥離装置10における制御構成の一例を示すブロック図である。また、
図5から
図10は、ウェハ保護テープ剥離装置10の動作状態を示している図である。なお、
図1から
図3を用いたウェハ保護テープ剥離装置10の構成説明では、理解を容易にするのに、必要に応じて
図5から
図10の動作状態図を引用して説明する。
【0025】
また、ウェハ保護テープ剥離装置10の構成説明に入る前に、まず、保護テープTの役割等について説明する。一般に、表面に回路パターン形成処理を行ったウェハWは、回路を保護すべくウェハWの表面に、保護用として粘着性の保護テープTが貼り付けられる。そして、保護テープTが貼り付けられた状態で、ウェハWの裏面全体を均一に研削して薄型化するバックグランド処理が施される。また、バックグランド処理が施されたウェハWは、ウェハフレーム11上の所定の位置にウェハWの裏面が貼り付けられて取り付けられる。
【0026】
ウェハフレーム11は、内周部に円形状の開口部11aを有して略矩形の枠状に形成されている。また、ウェハフレーム11には、開口部11aを塞いで粘着性樹脂テープなどで形成されたウェハシート12が貼り付けられ、そのウェハシート12上の所定の位置にウェハWの裏面が貼り付けられる。これにより、保護テープTが貼り付けられたウェハWの表面側が、ウェハフレーム11上で上を向く。こうしてウェハWを貼り付けたウェハフレーム11は、ウェハ保護テープ剥離装置10の剥離テーブル13上に配置され、その後、ウェハWの表面を被っている保護テープTの剥離が行われる。
【0027】
このようにして、ウェハ保護テープ剥離装置10の剥離テーブル13上に、ウェハフレーム11と共に配置されたウェハWの表面全体を被って貼り付けられている保護テープTを、ウェハWの表面から剥離するのが、本実施例におけるウェハ保護テープ剥離装置10である。
【0028】
次に、ウェハ保護テープ剥離装置10の構造を更に詳細に説明する。
図1及び
図2において、ウェハ保護テープ剥離装置10は、上述した剥離テーブル13を有している。剥離テーブル13上には、ウェハWが、保護テープTが貼り付けられている表面を上に向けてウェハフレーム11と共に取り外し可能に、例えば負圧吸着等でチャックされる。剥離テーブル13は、チャックしたウェハフレーム11及びウェハWと共に前後方向(
図2の矢印M方向)に水平往復移動可能に設けられている。
【0029】
また、剥離テーブル13の上方には、アーム10aに取り付けられた検出センサ14、テープ剥離ユニット15、テープ吸着ユニット16、テープクリップユニット17、回転ニップローラ18等が設けられている。これら剥離テーブル13、テープ剥離ユニット15、等は、
図3に示される制御系の各手段によって駆動が制御される。
【0030】
図3に示される制御系では、ウェハ保護テープ剥離装置10の全体を決められた手順で制御する制御部19を有している。制御部19は、例えばCPU、メモリ等により構成され、予め組み込まれたソフトウエアによる手順にしたがってウェハ保護テープ剥離装置10全体の動作を制御する。制御部19には、検出センサ14、駆動手段20、テープ吸着剥離手段21、テープクリップ手段22、ニップローラ駆動制御手段23等が接続されている。これら制御部19、検出センサ14、駆動手段20、テープ吸着剥離手段21、テープクリップ手段22、ニップローラ駆動制御手段23、テープ吸着ユニット16、テープクリップユニット17、回転ニップローラ18、剥離テーブル13、テープ剥離ユニット15、テープ吸着ユニット16、テープクリップユニット17、回転ニップローラ18等で剥離手段30が構成されている。
【0031】
検出センサ14は、ウェハフレーム11と共に剥離テーブル13上に配置されているウェハWの外周エッジ部の位置P1と、そのウェハWの厚みS2を検出するセンサである。検出センサ14で検出された信号は、制御部19に送られる。
【0032】
テープ剥離ユニット15は、回転螺旋状部材24を有している。回転螺旋状部材24は、
図4に示すように、下方先端部分に螺旋状溝、すなわち螺旋状をした溝24Aを設けてなるネジ部24Bを有している。ネジ部24Bは、山部24b1の外径が回転螺旋状部材24の下部から上部に進むにしたがって徐々に大きくなる、先細状をしたネジとして作られており、また最下端部分(最先端部分)24Cは平面状に形成され、さらに螺旋状溝の山部24b1は鋭利な刃状を有する鍔として形成されている。
【0033】
テープ剥離ユニット15は、駆動手段20の制御により、回転螺旋状部材24における最下端部分24Cの山部24b1が、ウェハWの外周エッジ部の位置P1と対応する位置まで回転螺旋状部材24を下降させる。また、その下降させた位置P1で回転螺旋状部材24を回転させ、山部24b1をウェハWの外周エッジ部と保護テープTの外周端との間に侵入させて、保護テープTの外周端の一部分Taを歯面24b2上に載せて捲り上げ、その一部分Taの捲り上げで少なくとも保護テープTをウェハWの表面から剥がすきっかけを作るように制御する。
【0034】
テープ吸着ユニット16は、後述する
図7に示すように、先端部分(下端部分)に吸盤16aを有する。吸盤16aはテープ吸着剥離手段21の動作により、ウェハW上の外周エッジ部分に隣接している保護テープTの一部分Taと当接して、保護テープTの一部分Taに対して吸着結合する位置と、一部分Taと吸着結合された位置から少し上方に移動して、保護テープTの一部分TaをウェハWの表面から剥離可能な剥離位置と、保護テープTの一部分Taの剥離を終えて休止する初期位置とに移動可能になっている。なお、吸盤16aによる吸着結合は、負圧吸着等を使用する。
【0035】
テープクリップユニット17は、後述する
図8に示すように、先端部分(下端部分)に、クリップ17Aを有する。クリップ17Aは、開口部を保護テープTの外周エッジ部の一部分Ta側に向けて、上下方向に開閉する上下1対のクリップ爪17Aaを有する。上下1対のクリップ爪17Aaは、テープクリップ手段22の動作により、テープ吸着ユニット16の吸盤16aで剥がしたウェハW上の外周エッジ部に隣接する保護テープTの一部分Taを挟持拘束して上方に所定の位置まで移動し、ウェハW上の保護テープTの剥離を行う。
【0036】
回転ニップローラ18は、1対のローラ、すなわちローラ18aとローラ18bで構成されている。ローラ18aとローラ18bの中、一方のローラ18aは剥離される保護テープTの裏面側に配置され、他方のローラ18bは剥離される保護テープTの表面側に配置される。ローラ18aとローラ18bは、それぞれニップローラ駆動制御手段23により駆動が制御され、ローラ18aは、ローラ18bと大きく離れた
図7及び
図8に示す休止位置と、ローラ18aと当接した
図9及び
図10に示すテープ送り位置と、に水平方向に往復移動可能である。また、ローラ18aとローラ18bは、間に保護テープTを挟んで、ニップローラ駆動制御手段23の駆動により、保護テープTを剥離方向(ウェハWと離れる方向)に回転する。すなわち、
図9の(b)において、図中矢印で示すようにローラ18aは反時計回り方向に回転し、ローラ18bは時計回り方向に送る回転をする。
【0037】
図5から
図10は、ウェハ保護テープ剥離装置10の動作を示す図である。次に、
図1から
図3に示したウェハ保護テープ剥離装置10の動作を、
図5から
図10を加えて説明する。
【0038】
まず、表面に保護テープTを貼り付けたウェハWが、ウェハフレーム11に取り付けられて、ウェハ保護テープ剥離装置10の剥離テーブル13上に配置され、さらにウェハWがウェハフレーム11と共に剥離テーブル13上にチャックされる。すると、
図5(a)に示すように、アーム10aが剥離テーブル13の上方に移動する。次いで、検出センサ14によりウェハWの外周エッジ部の位置P1とウェハWの厚みS2が検出され、それぞれのデータが制御部19に送られる。
【0039】
制御部19では、検出センサ14からのデータに基づいて駆動手段20を制御する。そして、ウェハWの外周エッジ部の位置P1のデータを基に、
図5(b)に示すように、回転螺旋状部材24の山部24b1が外周エッジ部の位置P1と対応する位置にアーム10aを移動させる。次いで、制御部19は、ウェハWの厚みS2のデータを基に、
図6(a)及び(b)に示すように、回転螺旋状部材24のネジ部24Bにおける最下端部分24C、すなわち螺旋状溝の山部24b1がウェハWのエッジの位置P1と対応する位置まで回転螺旋状部材24を下降させる。
【0040】
続いて、駆動手段20を介して回転螺旋状部材24を一方向(本実施例では時計回り方向)に回転させる。回転螺旋状部材24が回転されると、回転螺旋状部材24におけるネジ部24Bの山部24b1の径は下部から上部に進むにしたがって徐々に大きくなる形状にして作られているので、回転するとウェハWと保護テープTとの間に回転螺旋状部材24の山部24b1が食い込んで行くとともに、歯面24b2の傾斜により保護テープTの外周エッジの一部分Taを山部24b1に引っ掛けさせた状態で、ウェハWから離れる方向に送ってウェハWから徐々に持ち上げ、剥離のきっかけとなる箇所を作成する。すなわち、保護テープTの外周エッジ部の一部分TaがウェハWの外周エッジ部から剥がされる。
【0041】
次いで、保護テープTを剥がすきっかけとなる外周エッジ部における一部分Taの剥がしが終わったら、制御部19は、駆動手段20を介して回転螺旋状部材24を上昇させ、回転螺旋状部材24をウェハW及び保護テープTから離す。
【0042】
続いて制御部19では、検出センサ14からのデータに基づいてテープ吸着剥離手段21を制御する。そして、テープ吸着剥離手段21の駆動により、テープ吸着ユニット16の吸盤16aを、保護テープTの外周エッジ部における一部分Taと対応する上方位置に配置し、次いで
図7(a)に示すように、吸盤16aが保護テープTの一部分Taと当接吸着状態になるまでテープ吸着ユニット16を降下させる。そして、吸盤16aが一部分Taを吸引保持したら、
図7(b)に示すようにテープ吸着ユニット16を僅かに上方に戻す。すると、回転螺旋状部材24によりウェハW上から一度剥がされている保護テープTの外周エッジ部の一部分Taが、吸盤16aによりウェハWの表面から簡単に剥がされて持ち上げられ、
図7(b)に示すようにウェハWと保護テープTの一部分Taとの間に隙間25が形成される。
【0043】
また、テープ吸着ユニット16の上方への戻し動作と同時に、制御部19がテープクリップ手段22を制御する。そして、テープクリップ手段22が、テープクリップユニット17の上下1対のクリップ爪17Aaを開かせ、また開いたクリップ爪17Aaを保護テープTの一部分Ta側に向けた状態で、クリップ17Aを下降させる。そして、さらにクリップ爪17Aaを保護テープT側に移動させて、
図8(a)及び(b)に示すように、上下1対のクリップ爪17Aaの間に保護テープTの一部分Taを挟んで閉じる。これにより、保護テープTの一部分Taが上下1対のクリップ爪17Aaの間に挟まれる。
【0044】
上下1対のクリップ爪17Aaの間に保護テープTの一部分Taを挟んだら、吸盤16aによる保護テープTにおける一部分Taの吸着を解き、その後、
図8の(c)に示すようにテープ吸着ユニット16が保護テープTの一部分Taから離れて上方に移動する。また、同時にテープクリップユニット17のクリップ17Aが、保護テープTの一部分Taを挟んで拘束したまま上昇し、
図8の(c)に示すように、クリップ17Aとローラ18bとの間で保護テープTを斜めに引っ張った状態を形成する。
【0045】
続いて、
図9(a)に示すように、ローラ18aが、保護テープTを挟んでローラ18bと当接する位置まで移動する。また、保護テープTを挟んでローラ18aとローラ18bとが当接したら、
図9(b)に示すように、ローラ18aを反時計回り方向に回転させると共に、ローラ18bを時計回り方向に回転させながら、剥離テーブル13及びアーム10aをそれぞれ相反する水平方向に移動させる。これにより、保護テープTは、ローラ18aとローラ18bに挟まれてガイドされながら、上方に送り出されると共にウェハWの上面から徐々に剥がされて行く。
【0046】
また、保護テープTが最後まで剥がされ、ローラ18aとローラ18bとの間から全てが送り出されると、
図10に示すように、ウェハWの上面から引き剥がされた保護テープTは、上下1対のクリップ爪17Aaで1端側が掴まれたまま、クリップ17Aで吊された状態になる。その後、所定の廃棄位置まで運ばれ、廃棄位置でクリップ爪17Aaの拘束が解かれると、剥離済みの保護テープTが所定の場所に、所定の状態で廃棄される。そして、保護テープTが剥離されたウェハWとウェハフレーム11が剥離テーブル13上から取り除かれると、全ての部材が初期位置に復帰する。また、新たな保護テープTが貼り付けられてウェハシート12に取り付けられたウェハWが、ウェハフレーム11と共に運ばれて来て剥離テーブル13上にセットされる。これにより、また同じ動作が再び繰り返される。
【0047】
したがって、本実施例によるウェハ保護テープ剥離装置10によれば、回転螺旋状部材24の山部24b1をウェハWと保護テープTとの間に配置させた状態で、回転螺旋状部材24を、保護テープTの一部分TaがウェハWから離れる方向に送られるように回転螺旋状部材24を回転させると、回転螺旋状部材24の回転によるネジ送りにより、保護テープTの一部分TaがウェハWの外周エッジ部の位置P1側から徐々に持ち上げられて剥離のきっかけが作られる。そして、一部分Taの剥離をきっかけとして、残りの剥離作業を、副資材を用いることなくスムーズに行うことができるので、ウェハWから保護テープを確実に剥離して除去できる。
【0048】
なお、上記実施例の構造では、保護テープTにおける外周エッジ部の端である一部分Taを、ウェハWの外周エッジ部側から持ち上げて剥離のきっかけを作る初期段階において、回転螺旋状部材24における最下端部分24Cの山部24b1を外周エッジ部の位置P1と対応する位置まで下降させ、その下降させた位置で回転螺旋状部材24を回転させて回転螺旋状部材24における螺旋状溝の山部24b1を保護テープTとウェハWの上面との間に食い込ませて保護テープTにおける外周エッジ部の端である一部分Taを剥離させる場合について説明した。しかし、回転螺旋状部材24における最下端部分24Cの山部24b1を外周エッジ部の位置P1と対応する位置まで下降させた後に、その位置において回転螺旋状部材24を回転させ、保護テープTの端、すなわち保護テープTの一部分Taを螺旋状溝の山部24b1に引っ掛けるのではなく、例えば
図11に示すように、保護テープTにおける外周エッジ部の下側に、回転螺旋状部材24の最下端部分24Cの侵入を許すノッチ26を設け、ネジ部24Bの途中に設けた山部24b1に保護テープTの端を引っ掛けさせる構造にしてもよい。
【0049】
さらに詳述すると、
図11に示す保護テープTが取り付けられたウェハWは、保護テープTの外周エッジ部の端である一部分TaをウェハWにおける上面の外周エッジ部から外側に延出させた状態で保護テープTを取り付け、保護テープTにおける外周エッジ部の一部分Taの裏面とウェハシート12との間に、隙間となるノッチ26を設けた構造としている。このように、保護テープTの一部分Taの裏面とウェハシート12との間に隙間となるノッチ26を設けた構造とした場合では、次のようにして保護テープTの一部分Taを剥がすことができる。すなわち、
図11では、回転螺旋状部材24における最下端部分24Cの山部24b1を、ウェハWにおける外周エッジ部の位置P1と対応する位置に合わせずに、まず
図11(a)に示すようにエッジの位置P1よりも下側に、回転螺旋状部材24における最下端部分24Cの山部24b1を、保護テープTの外周エッジ部の端、すなわち一部分Taを超えるまで移動させる。そして、保護テープTの外周エッジ部の一部分Taが上下の歯面24b2との間に挟まれて、山部24b1に引っ掛けられた状態で位置するようにし、一部分Taを上下の歯面24b2の間に引っ掛け係合させる。その状態で回転螺旋状部材24を回転させると、
図11(b)に示すように回転螺旋状部材24の山部24b1による送りにより、保護テープTにおける外周エッジ部の一部分TaをウェハWの表面から離れる方向に順に持ち上げて、簡単に一部分TaをウェハWの表面から剥がすことができる。
【0050】
また、この保護テープTの外周エッジ部の一部分TaをウェハWの上面から外側に延出させた状態で保護テープTを取り付け、一部分Taの裏面とウェハシート12との間に隙間となるノッチ26を設けた構造とした場合では、
図11に示すように回転螺旋状部材24の山部24b1の径が下部から上部に進むにしたがい徐々に大きくなるように形成しなくても、例えば
図12に示すように山部24b1の径を下部から上部まで同じにした回転螺旋状部材24を使用することができる。
図12に示す回転螺旋状部材24は、
図11に示す回転螺旋状部材24よりもコストを下げることが可能になる。また、ネジ部24Bの山部24b1の径を下部から上部まで同じにした回転螺旋状部材24を使用した場合でも、
図12(a)に示すようにエッジの位置P1よりも下側に、保護テープTの外周エッジ部の端、すなわち一部分Taを超えるまで移動させ、保護テープTにおける外周エッジ部の一部分Taが上下の歯面24b2との間に挟まれて山部24b1に引っ掛けられた状態となるようにし、一部分Taを上下の歯面24b2との間に引っ掛け係合させる。そして、その状態で回転螺旋状部材24を回転させると、
図12(b)に示すように回転螺旋状部材24の歯面24b2による送りで、保護テープTにおける外周エッジ部の端である一部分TaをウェハWの表面から順に持ち上げて、一部分Taを簡単に剥がすことができる。
【0051】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を成すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。