(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127803
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ハードマスク組成物、ハードマスク層およびパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/11 20060101AFI20240912BHJP
C08G 61/10 20060101ALI20240912BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G03F7/11 503
G03F7/11 502
C08G61/10
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024027230
(22)【出願日】2024-02-27
(31)【優先権主張番号】10-2023-0030775
(32)【優先日】2023-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】蔡 閏 珠
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
4J032
【Fターム(参考)】
2H197CA06
2H197CA08
2H197CA10
2H197GA01
2H225AM61N
2H225AM79N
2H225AM93N
2H225AM95N
2H225AN39N
2H225CA12
4J032CA12
4J032CA24
4J032CA32
4J032CA43
4J032CA45
4J032CB04
4J032CD07
4J032CE03
4J032CF05
4J032CG06
(57)【要約】
【課題】硬化時の収縮率が低く、優れた耐熱性および耐エッチング性を有するハードマスク層を形成することができるハードマスク組成物を提供する。
【解決手段】下記化学式1で表される構造単位を含む重合体、および溶媒を含むハードマスク組成物、該ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層、ならびに該ハードマスク組成物を用いたパターン形成方法を提供する:
上記化学式1の定義は、明細書に記載した通りである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される構造単位を含む重合体、および溶媒を含む、ハードマスク組成物:
【化1】
前記化学式1中、
Aは、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環、または置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の芳香族複素環を含む2価の有機基であり、
Bは、下記化学式2で表される基であり、
*は、連結地点である:
【化2】
前記化学式2中、
R
1~R
8はそれぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の飽和または不飽和の脂環式炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、または置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の芳香族複素環基であるか、あるいはR
1~R
8のうちの隣接した2つが連結されて環を形成し、
この際、R
1~R
3のうちの隣接した2つが連結して、少なくとも1つの環を形成し、
R
6~R
8のうちの隣接した2つが連結して、少なくとも1つの環を形成し、
*は、連結地点である。
【請求項2】
前記化学式1中のAは、下記グループ1および下記グループ2から選択される少なくとも1種の構造を有する置換または非置換の2価の有機基である、請求項1に記載のハードマスク組成物:
【化3】
【化4】
前記グループ2中、ZおよびZ’は、それぞれ独立して、N、O、SまたはPである。
【請求項3】
前記化学式1中のAは、下記グループ1-1および下記グループ2-1から選択される少なくとも1種の構造を有する置換または非置換の2価の有機基である、請求項1に記載のハードマスク組成物:
【化5】
【化6】
前記グループ2-1中、ZおよびZ’は、それぞれ独立して、N、O、SまたはPである。
【請求項4】
前記化学式1中のBは、前記化学式2中のR4およびR5が連結して、1つの環を形成している、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項5】
前記化学式2中のR1~R8のうちの隣接した2つが連結して形成した環は、置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素環、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20の芳香族複素環、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項6】
前記化学式2中のR
1~R
8のうちの隣接した2つが連結して形成した環は、下記グループ3から選択される少なくとも1種の構造を有する置換または非置換の炭化水素環である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化7】
【請求項7】
前記化学式2で表される基は、下記化学式2-1で表される基である、請求項1に記載のハードマスク組成物:
【化8】
前記化学式2-1中、
R
a~R
cは、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数2~20のアルケニル基、炭素原子数2~20のアルキニル基、炭素原子数3~20のシクロアルキル基、炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、またはこれらの組み合わせであり、
na~ncは、それぞれ独立して、0~4の整数のうちの1つであり、
*は、連結地点である。
【請求項8】
前記化学式1で表される構造単位は、下記化学式1-1~化学式1-3で表される構造単位のうちの少なくとも1種である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化9】
【請求項9】
前記重合体の重量平均分子量は、1,000g/mol~200,000g/molである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項10】
前記重合体は、前記ハードマスク組成物の総質量を基準として、0.1質量%~30質量%の含有量で含まれる、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項11】
前記溶媒は、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネートからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のハードマスク組成物の硬化物を含む、ハードマスク層。
【請求項13】
基板上に材料層を形成する段階と、
前記材料層の上に請求項1~11のいずれか1項に記載のハードマスク組成物を塗布する段階と、
前記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階と、
前記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階と、
前記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階と、
前記フォトレジストパターンを利用して前記ハードマスク層を選択的に除去して前記材料層の一部を露出する段階と、
前記材料層の露出した部分をエッチングする段階と、を含む、パターン形成方法。
【請求項14】
前記ハードマスク層を形成する段階は、100℃~1,000℃で熱処理する段階を含む、請求項13に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードマスク組成物、該ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層、および該ハードマスク組成物を用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、半導体産業は、数百ナノメートルサイズのパターンから数ナノメートル~数十ナノメートルサイズのパターンを有する超微細技術に発展している。このような超微細技術を実現するためには、効果的なリソグラフィック技法が必須である。
【0003】
典型的なリソグラフィック技法は、半導体基板上に材料層を形成し、その上にフォトレジスト層をコーティングし、露光および現像してフォトレジストパターンを形成した後、フォトレジストパターンをマスクとして材料層をエッチングする工程を含む。
【0004】
近年、形成しようとするパターンのサイズが減少することによって、上述した典型的なリソグラフィック技法だけでは良好なプロファイルを有する微細パターンを形成することは困難である。これに対し、エッチングしようとする材料層とフォトレジスト層との間にいわゆるハードマスク層(hardmask layer)と呼ばれる補助層を形成して微細パターンを形成する技術が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2023-0101485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、硬化時の収縮率が低く、優れた耐熱性および耐エッチング性を有するハードマスク層を形成することができるハードマスク組成物を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、上記ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、上記ハードマスク組成物を用いたパターン形成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によるハードマスク組成物は、下記化学式1で表される構造単位を含む重合体、および溶媒を含む:
【0010】
【0011】
上記化学式1中、
Aは、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環、または置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の芳香族複素環を含む2価の有機基であり、
Bは、下記化学式2で表される基であり、
*は、連結地点である:
【0012】
【0013】
上記化学式2中、
R1~R8は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、または置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の芳香族複素環基であるか、あるいはR1~R8のうちの隣接した2つが連結されて環を形成し、
この際、R1~R3のうちの隣接した2つが連結して、少なくとも1つの環を形成し、
R6~R8のうちの隣接した2つが連結して、少なくとも1つの環を形成し、
*は、連結地点である。
【0014】
上記化学式1中のAは、下記グループ1および下記グループ2から選択される少なくとも1種の構造を有する置換または非置換の2価の有機基であり得る。
【0015】
【0016】
【0017】
上記グループ2中、ZおよびZ’は、それぞれ独立して、N、O、SまたはPである。
【0018】
上記化学式1中のAは、下記グループ1-1および下記グループ2-1から選択される少なくとも1種の構造を有する置換または非置換の2価の有機基であり得る。
【0019】
【0020】
【0021】
上記グループ2-1中、ZおよびZ’は、それぞれ独立して、N、O、SまたはPである。
【0022】
上記化学式2中のR4およびR5は連結して、1つの環を形成することができる。
【0023】
上記化学式2中のR1~R8のうちの隣接した2つが連結して形成した環は、置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素環、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20の芳香族複素環、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0024】
上記化学式2中のR1~R8のうちの隣接した2つが連結して形成した環は、下記グループ3から選択される少なくとも1種の構造を有する置換または非置換の炭化水素環であり得る。
【0025】
【0026】
上記化学式2で表される基は、下記化学式2-1で表される基であり得る。
【0027】
【0028】
上記化学式2-1中、
Ra~Rcは、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数2~20のアルケニル基、炭素原子数2~20のアルキニル基、炭素原子数3~20のシクロアルキル基、炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、またはこれらの組み合わせであり、
na~ncは、それぞれ独立して、0~4の整数のうちの1つであり、
*は、連結地点である。
【0029】
上記化学式1で表される構造単位は、下記化学式1-1~化学式1-3で表される構造単位のうちの少なくとも1種であり得る。
【0030】
【0031】
上記重合体の重量平均分子量は1,000g/mol~200,000g/molであり得る。
【0032】
上記重合体は、上記ハードマスク組成物の総質量を基準として、0.1質量%~30質量%の含有量で含まれ得る。
【0033】
上記溶媒は、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネートからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0034】
本発明の他の実施形態によれば、上述したハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0035】
本発明のさらに他の実施形態によれば、基板上に材料層を形成する段階と、上記材料層の上に上述したハードマスク組成物を塗布する段階と、上記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階と、上記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階と、上記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階と、上記フォトレジストパターンを利用して上記ハードマスク層を選択的に除去して上記材料層の一部を露出する段階と、上記材料層の露出した部分をエッチングする段階と、を含む、パターン形成方法を提供する。
【0036】
上記ハードマスク層を形成する段階は、100℃~1,000℃で熱処理する段階を含み得る。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、硬化時の収縮率が低く、優れた耐熱性および耐エッチング性を有するハードマスク層を形成することができるハードマスク組成物が提供されうる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。しかし、本発明は、多様な異なる形態に具現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0039】
本明細書で別途の定義がない限り、「置換された」とは、化合物中の水素原子がハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシ基もしくはその塩の基、スルホン酸基もしくはその塩の基、リン酸基もしくはその塩の基、ビニル基、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数2~20のアルケニル基、炭素原子数2~20のアルキニル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数7~30のアリールアルキル基、炭素原子数9~30のアリルアリール基、炭素原子数1~30のアルコキシ基、炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、炭素原子数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素原子数3~30のシクロアルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルケニル基、炭素原子数6~15のシクロアルキニル基、炭素原子数3~30のヘテロシクロアルキル基、およびこれらの組み合わせから選択される置換基で置換されたことを意味する。
【0040】
また、置換されたハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシ基もしくはその塩の基、スルホン酸基もしくはその塩の基、リン酸基もしくはその塩の基、炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数2~30のアルケニル基、炭素原子数2~30のアルキニル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数7~30のアリールアルキル基、炭素原子数1~30のアルコキシ基、炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、炭素原子数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素原子数3~30のシクロアルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルケニル基、炭素原子数6~15のシクロアルキニル基、または炭素原子数3~30のヘテロシクロアルキル基の中の隣接した2つの置換基が縮合(連結)して環を形成することもできる。例えば、置換された炭素原子数6~30のアリール基は、隣接したさらに他の置換された炭素原子数6~30のアリール基と縮合(連結)して、置換または非置換のフルオレン環を形成することができる。
【0041】
本明細書で別途の定義がない限り、「芳香族炭化水素環」は、炭化水素芳香族モイエティを1つ以上有する基を意味し、非縮合芳香族炭化水素環、縮合芳香族炭化水素環だけでなく、炭化水素芳香族モイエティが単結合で連結された形態と炭化水素芳香族モイエティが直接または間接的に縮合された非芳香族縮合環形態、またはこれらの組み合わせを含む。
【0042】
より具体的には、置換または非置換の芳香族炭化水素環は、置換もしくは非置換のフェニル基(フェニレン基)、置換もしくは非置換のナフチル基(ナフチレン基)、置換もしくは非置換のアントラセニル基(アントラセニレン基)、置換もしくは非置換のフェナントリル基(フェナントリレン基)、置換もしくは非置換のナフタセニル基(ナフタセニレン基)、置換もしくは非置換のピレニル基(ピレニレン基)、置換もしくは非置換のビフェニル基(ビフェニレン基)、置換もしくは非置換のテルフェニル基(テルフェニレン基)、置換もしくは非置換のクォーターフェニル基(クォーターフェニレン基)、置換もしくは非置換のクリセニル基(クリセニレン基)、置換もしくは非置換のトリフェニレニル基(トリフェニレニレン基)、置換もしくは非置換のペリレニル基(ペリレニレン基)、置換もしくは非置換のインデニル基(インデニレン基)、これらの組み合わせ、またはこれらの組み合わせが縮合された形態であり得るが、これらに限定されない。
【0043】
本明細書で別途の定義がない限り、「ヘテロ」とは、N(窒素原子)、O(酸素原子)、S(硫黄原子)、Se(セレン原子)、およびP(リン原子)から選択されるヘテロ原子を1個以上含有するものを意味する。
【0044】
本明細書で別途の定義がない限り、「芳香族複素環」とは、芳香族環内に、N、O、S、Se、およびPから選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含有するものを意味する。
【0045】
本明細書で別途の定義がない限り、「ヘテロアルキル基」は、アルキル基を形成する1つ以上の炭素元素の代わりに、N、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ元素を含有する基を意味する。
【0046】
本明細書で、重合体は、オリゴマー(oligomer)と重合体(polymer)とを全て含むことができる。
【0047】
本明細書で特に言及しない限り、「重量平均分子量」は、粉体試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶かした後、Agilent Technologies社製の1200seriesゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)を利用して測定(カラムはShodex社製のLF-804、標準試料はShodex社製のポリスチレンを使用)したものである。
【0048】
半導体産業でチップのサイズを減少させる要求が絶えずに持続しており、これに対応するためにリソグラフィ技術でパターニングされるレジストの線幅が、数十ナノメートルのサイズを有しなければならない。したがって、レジストパターンの線幅に耐えることができる高さが制限され、レジストがエッチング段階で十分な耐性を有することができない場合が発生する。これを補完するために、エッチングしようとする材料層とフォトレジスト層との間に、いわゆるハードマスク層と呼ばれる補助層を使用する場合がある。このようなハードマスク層は、選択的エッチングを通じてフォトレジストの微細パターンを材料層に転写する中間膜としての役割を果たすため、ハードマスク層は、パターン転写時に必要なエッチング工程に耐えることができるように耐エッチング性、および架橋特性が要求される。
【0049】
既存のハードマスク層は、化学的蒸着法または物理的蒸着法で形成したが、これらの方法は、設備の規模が大きくなり、工程単価が高くて経済性が低下するという問題がある。そこで、最近、スピンコーティング法でハードマスク層を形成する技術が開発されている。スピンコーティング法は、従来の方法に比べて工程が容易であり、この方法により製造されるハードマスク層のギャップフィル特性および平坦化特性がより優れるようになり得る。しかしながら、ハードマスク層に要求される耐エッチング性は、多少低下する傾向を示す。
【0050】
したがって、スピンコーティング法を適用することができるハードマスク組成物であって、この方法により形成されたハードマスク層が、化学的蒸着法または物理的蒸着法で形成されたハードマスク層と同等の耐エッチング性を有することが要求される。そこで、ハードマスク層の耐エッチング性を改善するために、ハードマスク組成物が含有する炭素含有量を増大させる研究が活発に行われている。
【0051】
本発明者は、芳香族炭化水素環、または芳香族複素環を含んで炭素含有量が増加した重合体を含むことによって、それから製造されるハードマスク層の耐エッチング性が改善されることを見出した。それだけでなく、当該重合体に第4級炭素と共に立体的に嵩高い構造の炭化水素環を導入することによって重合体中の炭素含有量が極大化され、それから製造されるハードマスク層の耐エッチング性および耐熱性がさらに改善されることを見出した。さらには、当該重合体を含むハードマスク組成物の硬化時の収縮を低減させ、ハードマスク層内のボイドや欠陥を低減することによって、膜の平坦化特性も向上させることができ、さらに、立体的に嵩高い構造を有する側鎖によって当該重合体の溶媒に対する溶解度をさらに増加させることができることを見出し、本発明を完成した。
【0052】
具体的には、本発明の一実施形態によるハードマスク組成物は、下記化学式1で表される構造単位を含む重合体、および溶媒を含む。
【0053】
【0054】
上記化学式1中、
Aは、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環、または置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の芳香族複素環を含む2価の有機基であり、Bは、下記化学式2で表される基であり、*は、連結地点である:
【0055】
【0056】
上記化学式2中、
R1~R8は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、または置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の芳香族複素環基であるか、あるいはR1~R8のうちの隣接した2つが連結されて環を形成し、
この際、R1~R3のうちの隣接した2つが連結して、少なくとも1つの環を形成し、
R6~R8のうちの隣接した2つが連結して、少なくとも1つの環を形成し、
*は、連結地点である。
【0057】
上記のように、本発明の一実施形態によるハードマスク組成物に含まれる重合体は、芳香族炭化水素環、または芳香族複素環を含むと同時に、第4級炭素を含むことによって、重合体中の炭素含有量が増加して、当該重合体を含むハードマスク組成物から形成されたハードマスク層は、高い耐エッチング性を有し得る。
【0058】
しかも、重合体が上記化学式2のように、3つの五員環が一辺を共有しながら立体的に嵩高い構造を形成する炭化水素を含むことによって、これを含むハードマスク組成物の硬化時の収縮が低減し、これから形成されるハードマスク層内のボイドや欠陥を低減する。これにより、膜の平坦化特性を改善できるだけでなく、ハードマスク層の耐エッチング性および耐熱性がさらに改善される。
【0059】
本発明の一実施形態において、上記化学式1中のAは、下記グループ1および下記グループ2から選択される少なくとも1種の構造を有する置換または非置換の2価の有機基である。
【0060】
【0061】
【0062】
上記グループ2中、ZおよびZ’は、それぞれ独立して、N、O、SまたはPである。
【0063】
一例として、上記化学式1中のAは、下記グループ1-1および下記グループ2-1から選択される少なくとも1種の構造を有する置換または非置換の2価の有機基である。
【0064】
【0065】
【0066】
上記グループ2-1中、ZおよびZ’は、それぞれ独立して、N、O、SまたはPである。
【0067】
一例として、上記化学式1中のAは、置換または非置換のナフタレン環、ピレン環、またはインドール環を有する2価の有機基であってもよく、これらに限定されない。
【0068】
本発明の一実施形態において、上記化学式2中のR4およびR5は連結して、1つの環を形成することができる。R4およびR5の環の形成の有無により、上記化学式2で表される炭化水素環の体積を制御することができる。上記化学式2中のR4およびR5が、さらに環を形成する場合、化学式2で表される炭化水素環の体積はさらに増加し、それにより、重合体が溶媒にさらに溶解しやすくなる効果を有することもできる。
【0069】
上記化学式2中のR1~R8のうちの隣接した2つが連結されて形成された環は、置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素環、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20の芳香族複素環、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0070】
例えば、上記化学式2中、R1とR2とが1つの環を形成すると同時にR6とR7とが1つの環を形成することができ、例えば、R2とR3とが1つの環を形成すると同時にR6とR7とが1つの環を形成することができる。また、例えば、R1とR2とが1つの環を形成すると同時にR7とR8とが1つの環を形成することができ、例えば、R2とR3とが1つの環を形成すると同時にR7とR8とが1つの環を形成することができる。
【0071】
さらに他の例として、R1とR2およびR2とR3が1つの環を形成すると同時に、R6とR7、またはR7とR8が1つの環を形成することができる。R1とR2およびR2とR3が1つの環を形成する場合、R1~R3が形成する2つの環が一辺を共有していてもよく、共有していなくてもよい。
【0072】
一例として、R1~R8のうちの隣接した2つが連結されて形成された環は、下記グループ3から選択される少なくとも1種の構造を有する置換または非置換の炭化水素環であり得る。
【0073】
【0074】
本発明の一実施形態において、上記化学式2で表される基は、下記化学式2-1で表される基であり得る。
【0075】
【0076】
上記化学式2-1中、
Ra~Rcは、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数2~20のアルケニル基、炭素原子数2~20のアルキニル基、炭素原子数3~20のシクロアルキル基、炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、またはこれらの組み合わせであり、
na~ncは、それぞれ独立して、0~4の整数のうちの1つであり、
*は、連結地点である。
【0077】
本発明の一実施形態において、上記化学式1で表される構造単位は、下記化学式1-1~化学式1-3で表される構造単位のうちの少なくとも1種であり得る。
【0078】
【0079】
なお、上記の重合体は、従来公知の合成方法を適宜参照して合成することができる。より具体的には、実施例に記載の合成方法を参照しながら、当業者であれば容易に合成することができる。
【0080】
上記重合体は、1,000g/mol~200,000g/molの重量平均分子量を有し得る。例えば、1,000g/mol~150,000g/mol、例えば、1,000g/mol~100,000g/mol、例えば、1,000g/mol~10,000g/mol、例えば、1,200g/mol~5,000g/molの重量平均分子量を有することができ、これらに限定されない。上記範囲の重量平均分子量を有することによって、上記重合体を含むハードマスク組成物の炭素含有量および溶媒に対する溶解度を調節して、最適化することができる。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
【0081】
上記重合体は、上記ハードマスク組成物の総質量を基準として、0.1質量%~30質量%の含有量で含まれ得る。含有量は、例えば、0.2質量%~30質量%、例えば、0.5質量%~30質量%、例えば、1質量%~30質量%、例えば、1質量%~25質量%、例えば、1質量%~20質量%であり得、これらに限定されない。上記の含有量の範囲で化合物が含まれることによって、ハードマスクの厚さ、表面粗さ、および平坦化程度などを容易に調節することができる。
【0082】
本発明の一実施形態によるハードマスク組成物は、溶媒を含むことができる。溶媒の例としては、例えば、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネートからなる群より選択される少なくとも1種を含むことができ、これらに限定されない。溶媒は、重合体に対する十分な溶解性および/または分散性を有するものであれば、その種類は特に制限されない。
【0083】
本発明に係るハードマスク組成物は、界面活性剤、架橋剤、熱酸発生剤、可塑剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0084】
界面活性剤としては、例えば、フルオロアルキル系化合物、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第4級アンモニウム塩などを使用することができるが、これらに限定されない。
【0085】
架橋剤としては、例えば、メラミン系、置換尿素系、またはこれらポリマー系などが挙げられる。好ましくは、少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤であり、例えば、メトキシメチル化グリコルリル、ブトキシメチル化グリコルリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、またはブトキシメチル化チオ尿素などの化合物を使用することができる。
【0086】
また、架橋剤として、耐熱性が高い架橋剤を使用することができる。耐熱性が高い架橋剤としては、分子内に芳香族環(例えばベンゼン環、ナフタレン環)を有する架橋形成置換基を含有する化合物を使用することができる。
【0087】
熱酸発生剤としては、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸などの酸性化合物および/または2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、その他に有機スルホン酸アルキルエステルなどを使用することができるが、これらに制限されない。
【0088】
本発明の他の実施形態によれば、上述したハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0089】
以下、上述したハードマスク組成物を使用してパターンを形成する方法について説明する。
【0090】
本発明の一実施形態によるパターン形成方法は、基板上に材料層を形成する段階と、上記材料層の上に上述した重合体および溶媒を含むハードマスク組成物を塗布する段階と、上記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階と、上記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階と、上記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階と、上記フォトレジストパターンを利用して上記ハードマスク層を選択的に除去して上記材料層の一部を露出する段階と、上記材料層の露出した部分をエッチングする段階と、を含む。上記基板は、例えばシリコンウェーハ、ガラス基板または高分子基板であり得る。
【0091】
上記材料層は、最終的にパターン化しようとする材料であり、例えばアルミニウム、銅などの金属層、シリコンなどの半導体層、または酸化ケイ素、窒化ケイ素などの絶縁層であり得る。材料層は、例えば、化学気相蒸着法で形成され得る。
【0092】
ハードマスク組成物は、上述したとおりであり、溶液の形態で製造されてスピンコーティング法で塗布され得る。このとき、ハードマスク組成物の塗布厚さは特に限定されないが、例えば、50~200,000Åの厚さに塗布され得る。
【0093】
ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1,000℃で10秒~1時間行うことができる。一例として、ハードマスク組成物を熱処理する段階は、複数の熱処理段階を含むことができ、例えば、1次熱処理段階、および2次熱処理段階を含むことができる。
【0094】
ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1000℃で10秒~1時間行われる1つの熱処理段階を含むことができる。一例として、熱処理段階は、空気雰囲気下、窒素雰囲気下、または酸素濃度1質量%以下の雰囲気下で行うことができる。
【0095】
ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1,000℃、例えば、100℃~800℃、例えば、100℃~500℃、例えば、100℃~400℃で10秒~1時間行われる1次熱処理段階を含み得る。また、例えば、100℃~1,000℃、例えば、300℃~1,000℃、例えば、500℃~1,000℃、例えば、500℃~800℃で10秒~1時間行われる2次熱処理段階を連続的に含むことができる。上記1次および2次熱処理段階は、空気雰囲気下、窒素雰囲気下、または酸素濃度1質量%以下の雰囲気下で行うことができる。
【0096】
ハードマスク組成物を熱処理する段階のうちの少なくとも1つの段階を200℃以上の高温で行うことによって、エッチング工程を含む後続の工程で曝露されるエッチングガスおよび化学液に耐えることができる高い耐エッチング性を示すことができる。
【0097】
ハードマスク層を形成する段階は、紫外可視光硬化段階および/または近赤外光硬化段階を含むことができる。
【0098】
ハードマスク層を形成する段階は、上記の1次熱処理段階、2次熱処理段階、紫外可視光硬化段階、および近赤外光硬化段階のうちの少なくとも1つの段階を含むか、または2つ以上の段階を連続的に含むことができる。
【0099】
本発明の一実施形態において、ハードマスク層の上にシリコン含有薄膜層を形成する段階をさらに含むことができる。シリコン含有薄膜層は、例えばSiCN、SiOC、SiON、SiOCN、SiC、SiO、および/またはSiNなどの物質で形成することができる。
【0100】
フォトレジスト層を形成する段階の前に、シリコン含有薄膜層の上部またはハードマスク層の上部に、下層反射防止膜(bottom anti-reflective coating、BARC)をさらに形成することもできる。
【0101】
フォトレジスト層を露光する段階は、例えば、ArF、KrF、またはEUV(極端紫外線)などを使用して行うことができる。また、露光後、100℃~700℃の温度で熱処理工程を行うことができる。
【0102】
材料層の露出した部分をエッチングする段階は、エッチングガスを使用したドライエッチングで行うことができ、エッチングガスは、例えば、N2/O2、CHF3、CF4、Cl2、BCl3、およびこれらの混合ガスを使用することができる。
【0103】
エッチングされた材料層は、複数のパターンで形成され得、複数のパターンは、金属パターン、半導体パターン、絶縁パターンなど、多様なパターンであり得、例えば、半導体集積回路デバイス内の多様なパターンとして適用され得る。
【実施例0104】
以下、実施例を通じて上述した本発明の実施形態をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0105】
[合成例1~3:重合体の合成]
(合成例1)
フラスコに1-ヒドロキシピレン(43.5g、0.2mol)、トリプトインダン-9-オン(61.68g、0.2mol)、パラトルエンスルホン酸(p-TSA、1.3g、6mmol)、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)78.2gを投入した後、100℃で2~15時間攪拌して重合反応を行った。1時間おきに重合反応物から試料を取り、重量平均分子量が2,000~3,500g/molとなったときに反応を終了させた。重合反応が終了した後、反応物を常温まで徐々に冷却し、反応物を蒸留水40gおよびメタノール400gに投入して強く攪拌した後、静置して沈殿を形成した。形成された沈殿物をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)80gに溶かした後、メタノール320gおよび水320gを用いて強く攪拌して沈殿を形成させた。このとき、得られた沈殿物をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)80gに溶かした。沈殿物を2回形成させる上記の精製工程を合わせて3回行った。精製が終わった重合体をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)80gに溶かした後、減圧下で溶液に残っているメタノールおよび蒸留水を除去して、下記化学式1-1で表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:2,300g/mol)。
【0106】
【0107】
(合成例2)
1-ヒドロキシピレンの代わりに、2-ヒドロキシナフタレンを使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で、下記化学式1-2で表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:2,100g/mol)。
【0108】
【0109】
(合成例3)
1-ヒドロキシピレンの代わりに、1-インドールを使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で、下記化学式1-3で表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:2,000g/mol)。
【0110】
【0111】
(比較合成例1)
2-フェニル-1H-インドール(19.3g、0.1mol)、9-フルオレノン(18g、0.1mol)、p-TSA(9.5g、0.05mol)、およびジオキサンを100℃で2~15時間攪拌して重合反応を行った。1時間おきに重合反応物から試料を取り、重量平均分子量が2,000~3,500g/molであるときに反応を終了させた。反応終了後、ヘキサン100gを入れて1,4-ジオキサンを抽出した後、メタノールを添加して形成された沈殿をろ過した。残存している単量体を、メタノールを用いて除去し、下記化学式Pで表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:2,500g/mol)。
【0112】
【0113】
(比較合成例2)
機械式攪拌機および冷却管を備えた3Lの4口フラスコに、9.9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン 350.41g(1mol)、ジエチルスルフェート 3.08g(0.02mol)、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル 350gを入れ、反応器の温度を115℃に維持しながら攪拌して完全に溶解した。10分後、1,4-ビスメトキシメチルベンゼン 166.22g(1mol)を滴下し、同じ温度で15時間反応を行った。反応終了のために、中和剤としてトリエタノールアミン 2.98gを投入して、反応を終了させた。反応終了後、水/メタノール混合溶媒を使用して酸を除去し、次いで、メタノールを用いてオリゴマーおよびモノマーを含有する低分子量体を除去して、下記化学式Qで表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:8,800g/mol、分散度(Mw/Mn):1.9)。
【0114】
【0115】
[実施例および比較例:ハードマスク組成物の製造]
(実施例1)
合成例1で得られた重合体3gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)10gに溶かした後、これを0.1μmのテフロン(登録商標)フィルターでろ過して、ハードマスク組成物を製造した。
【0116】
(実施例2)
合成例1で得られた重合体の代わりに、合成例2で得られた重合体を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0117】
(実施例3)
合成例1で得られた重合体の代わりに、合成例3で得られた重合体を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0118】
(比較例1)
合成例1で得られた重合体の代わりに、比較合成例1で得られた重合体を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0119】
(比較例2)
合成例1で得られた重合体の代わりに、比較合成例2で得られた重合体を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で、ハードマスク組成物を製造した。
【0120】
[評価1:耐熱性の評価]
実施例1~3、および比較例1~2によるハードマスク組成物にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を添加して、固形分の含有量(濃度)を10.0質量%に希釈した。得られた希釈後のハードマスク組成物を、シリコンウェーハの上にスピンコーティングした。形成された膜を、ホットプレート上で240℃、1分間ベークして厚さを測定した後、400℃で2分間ベークして厚さを測定した。2つの温度で測定されたフィルムの厚さから下記計算式1にしたがって減少率を算出し、ハードマスク層の相対的な耐熱性を数値化した。結果を下記表1に示す。
【0121】
【0122】
【0123】
上記表1から明らかなように、実施例1~3によるハードマスク組成物から形成されたハードマスクは、比較例1~2によるハードマスク組成物から形成されたハードマスクに比べて、薄膜の厚さの減少率が低いことを確認することができた。このことから、実施例1~3の組成物から形成されたハードマスクが、比較例1~2の組成物から形成されたハードマスクより耐熱性に優れていることが分かった。
【0124】
[評価2:耐エッチング性の評価]
実施例1~3、比較例1~2によるハードマスク組成物を、パターンが形成されたシリコンウェーハの上にスピンコーティングし、400℃で120秒間熱処理した後、ハードマスク層を形成させた。K-MAC社製のST5000薄厚測定器で薄膜(ハードマスク層)の厚さを測定した。次いで、薄膜にN2/O2混合ガス(50mT/300W/10O2/50N2)とCFxガス(100mT/600W/42CF4/600Ar/15O2)を用いて、それぞれ60秒間、および120秒間ドライエッチングを行った後、薄膜の厚さを再び測定した。ドライエッチング前後の薄膜の厚さとエッチング時間から下記計算式2によってエッチング率を計算した。結果を下記表2に示す。
【0125】
【0126】
【0127】
上記表2から明らかなように、実施例1~実施例3によるハードマスク組成物から形成されたハードマスクは、比較例1~2によるハードマスク組成物から形成されたハードマスクに比べて、N2/O2混合ガスおよびCFxガスのエッチングの際にエッチング率が低いことを確認することができた。これにより、実施例1~3の組成物から形成されたハードマスクが、比較例1~2の組成物から形成されたハードマスクより耐エッチング性に優れていることが分かった。
【0128】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下に記載された特許請求の範囲で定義している発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。