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  • 特開-積層体及び該積層体を含む表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127829
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】積層体及び該積層体を含む表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
G02B5/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024033141
(22)【出願日】2024-03-05
(31)【優先権主張番号】P 2023035908
(32)【優先日】2023-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼田 真芳
(72)【発明者】
【氏名】土谷 崇夫
(72)【発明者】
【氏名】石原 崇弘
(72)【発明者】
【氏名】北川 直優
【テーマコード(参考)】
2H148
【Fターム(参考)】
2H148AA07
2H148AA18
2H148AA24
2H148AA25
(57)【要約】
【課題】本発明は、発光強度が改善される積層体を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係る積層体は、発光性無機半導体粒子を含有する波長変換層と、光吸収層とを含み、前記波長変換層と前記光吸収層の間に、オーバーコート層が備えられることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光性無機半導体粒子を含有する波長変換層と、光吸収層とを含み、
前記波長変換層と前記光吸収層の間に、オーバーコート層が備えられる積層体。
【請求項2】
光吸収層に対するオーバーコート層の厚み比(オーバーコート層/光吸収層)が、15以下である請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
積層体の厚みに対する光吸収層の厚み比(光吸収層/積層体)が、0.010以上0.175以下である請求項1に記載の積層体。
【請求項4】
光吸収層に対するオーバーコート層の厚み比(オーバーコート層/光吸収層)は、0.10以上15以下である請求項1に記載の積層体。
【請求項5】
下記i)及びii)を満足する請求項1に記載の積層体。
i)前記オーバーコート層の屈折率は、前記波長変換層の屈折率より小さい
ii)前記オーバーコート層の屈折率は、前記光吸収層の屈折率より小さい
【請求項6】
前記波長変換層、前記光吸収層及び前記オーバーコート層は、式1に示す値が0.30以下である請求項1に記載の積層体。
{Q20/(T20+T30)}/{Q10/T10} …(式1)
[式1中、
10:波長変換層中の発光性無機半導体粒子と有機配位子の合計量(g)
20:光吸収層中の着色剤の合計量(g)
10:波長変換層の厚み(μm)
20:光吸収層の厚み(μm)
30:オーバーコート層の厚み(μm)]
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の積層体を含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバーコート層を含む積層体及び該積層体を含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、量子ドットを含む硬化性樹脂組成物、及び該硬化性樹脂組成物を用いて形成される波長変換膜が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-065178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、表示装置には、さらなる広色域化が求められている。例えば、スーパーハイビジョン(SHV)の映像フォーマットを規定した勧告Rec.ITU-R BT.2020が発行されているところ、色再現域をより一層広げて、これによりRec.ITU-R BT.2020の色域の包含率(Rec.ITU-R BT.2020の色再現域に対する、当該色再現域の中で表現することが可能な色域の比)をより高めることが求められている。
【0005】
一次光源からの一次光を吸収して波長変換(色変換)された光を放出する波長変換層を備える表示装置においては、通常、波長変換層に照射される一次光のすべてが波長変換層によって吸収される訳ではなく、一部の光は波長変換層を透過して視認側に漏れる。これが、表示装置の広色域化を妨げる一因になり得る。この問題の1つの解決策は、波長変換層を透過した一次光を吸収する光吸収層を波長変換層上に配置することである。しかし、この方法を適用すると、光吸収層を配置しない場合に比べて発光強度が低下しやすいという新たな問題を招来する。本発明は、発光強度が改善される積層体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る要旨は、以下の通りである。
[1] 発光性無機半導体粒子を含有する波長変換層と、光吸収層とを含み、
前記波長変換層と前記光吸収層の間に、オーバーコート層が備えられる積層体。
[2] 光吸収層に対するオーバーコート層の厚み比(オーバーコート層/光吸収層)が、15以下である[1]に記載の積層体。
[3] 積層体の厚みに対する光吸収層の厚み比(光吸収層/積層体)が、0.010以上0.175以下である[1]または[2]に記載の積層体。
[4] 光吸収層に対するオーバーコート層の厚み比(オーバーコート層/光吸収層)は、0.10以上15以下である[1]~[3]のいずれか一項に記載の積層体。
[5] 下記i)及びii)を満足する[1]~[4]のいずれか一項に記載の積層体。
i)前記オーバーコート層の屈折率は、前記波長変換層の屈折率より小さい
ii)前記オーバーコート層の屈折率は、前記光吸収層の屈折率より小さい
[6] 前記波長変換層、前記光吸収層及び前記オーバーコート層は、式1に示す値が0.30以下である[1]~[5]のいずれか一項に記載の積層体。
{Q20/(T20+T30)}/{Q10/T10} …(式1)
[式1中、
10:波長変換層中の発光性無機半導体粒子と有機配位子の合計量(g)
20:光吸収層中の着色剤の合計量(g)
10:波長変換層の厚み(μm)
20:光吸収層の厚み(μm)
30:オーバーコート層の厚み(μm)]
[7] [1]~[6]のいずれか一項に記載の積層体を含む表示装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、積層体を波長変換層と光吸収層の間にさらにオーバーコート層を備える構成とすることにより、発光強度を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る積層体の一例を示す概略断面図である。
図2】本発明に係る積層体の他の一例を示す概略断面図である。
図3】本発明に係る表示装置の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<積層体>
本発明に係る積層体(好ましくは光学積層体)は、波長変換層と光吸収層を含み、前記波長変換層と前記光吸収層の間に、オーバーコート層が備えられる点に特徴を有する。
【0010】
図1は本発明に係る積層体の一例を示す概略断面図である。図1に示される積層体は、波長変換層10と、光吸収層20を含み、波長変換層10と光吸収層20の間にオーバーコート層30を有する。図1に示す積層体のように、オーバーコート層30は波長変換層10上に直接積層され、オーバーコート層30と波長変換層10とは接していてもよい。また光吸収層20はオーバーコート層30上に直接積層され、光吸収層20とオーバーコート層30とは接していてもよい。図1には示されないが、オーバーコート層30と波長変換層10との間、オーバーコート層30と光吸収層20との間、あるいは光吸収層20上には、他の層(ただし波長変換層10、オーバーコート層30及び光吸収層20とは異なる層)が存在していてもよい。光吸収層20は、例えば、波長変換層10の光取り出し方向側に配置される。
【0011】
図2は本発明に係る積層体の他の一例を示す概略断面図である。図2に示すように、本発明に係る積層体は、赤色を発光する第1波長変換層11と、緑色を発光する第2波長変換層12を含んでいてもよい。この場合、図2に示すように、第1波長変換層11と、第1オーバーコート層31と、第1光吸収層21をこの順で含み、第2波長変換層12と、第2オーバーコート層32と、第2光吸収層22をこの順で含む。図2において、第1オーバーコート層31及び第2オーバーコート層32をそれぞれ設ける代わりに、1つ(一体)のオーバーコート層を設けてもよい。同様に、第1光吸収層21及び第2光吸収層22をそれぞれ設ける代わりに、1つ(一体)の光吸収層を設けてもよい。
【0012】
本発明に係る積層体を構成する各層の屈折率は下記i)~iii)の少なくとも1つの関係を満足することが好ましい。好ましい態様としては、各層の屈折率は、下記i)及びii)を満足することが好ましく、下記i)~iii)の全てを満足することがより好ましい。
i)オーバーコート層30の屈折率は、波長変換層10の屈折率より小さい
ii)オーバーコート層30の屈折率は、光吸収層20の屈折率より小さい
iii)波長変換層10の屈折率は、光吸収層20の屈折率より大きい
屈折率は、後述の実施例の欄に記載の測定方法に従って測定することができ、波長550nmにおける各層の屈折率を評価するものとする。
【0013】
400~465nm及び530~1690nmの波長範囲において、本発明に係る積層体を構成する各層の屈折率は、波長変換層>光吸収層>オーバーコート層の関係を満たすことが好ましい。
また465nm超530nm未満の波長範囲において、本発明に係る積層体を構成する各層の屈折率は、光吸収層>波長変換層>オーバーコート層の関係を満たすことが好ましい。 屈折率は、後述の実施例の欄に記載の測定方法に従って測定することができる。
【0014】
本発明に係る積層体の厚み(以下、「総膜厚」ともいう)は、例えば4.0μm以上30μm以下、好ましくは5.0μm以上27μm以下、より好ましくは6.0μm以上15μm以下、である。
【0015】
本発明に係る積層体は、表示装置の一次光源(例えば、青色光源)上に配置される色変換部材として好適に用いることができる。
【0016】
1.波長変換層
波長変換層は、一次光源からの一次光を吸収して緑色又は赤色を発光する層であり、好ましくは、該一次光である青色の光の波長を緑色の光の波長又は赤色の光の波長に変換する層である。
【0017】
波長変換層の厚みは、例えば1μm以上20μm以下、好ましくは1.5μm以上18μm以下、より好ましくは1.8μm以上14μm以下、さらに好ましくは2μm以上12μm以下、一層好ましくは2μm以上10μm以下である。波長変換層の厚みが過度に小さいと、波長変換層に一次光を照射したときに、一次光が波長変換層によって十分に吸収又は散乱されずに波長変換層を透過する割合が大きくなる傾向がある。
【0018】
総膜厚に対する波長変換層の厚み比(波長変換層/総膜厚)は、例えば0.100以上0.990以下、好ましくは0.150以上0.900以下、より好ましくは0.200以上0.750以下である。
【0019】
波長変換層の屈折率は、好ましくは1.55以上、より好ましくは1.60以上、さらに好ましくは1.65以上であり、好ましくは1.85以下、より好ましくは1.80以下、さらに好ましくは1.75以下である。
【0020】
2.光吸収層
光吸収層は、特定波長域の光を透過し、それ以外の波長域のうちの少なくとも一部の波長域の光を吸収する層である。波長変換層から放出された光は、光吸収層を透過することにより緑色光又は赤色光として表示装置から放出される。光吸収層を設けることにより、光吸収層の視認側への一次光の漏れを抑制でき、これにより、表示装置の広色域化を図ることができる。光吸収層は、特にカラーレジスト層であることが望ましい。
【0021】
光吸収層が透過する光の波長域は、緑色又は赤色の波長域である。該緑色の波長域は、例えば495nm以上585nm以下に含まれる波長域である。該赤色の波長域は、例えば585nm以上780nm以下に含まれる波長域である。光吸収層が吸収する光の波長域は、好ましくは青色の波長域であり、より好ましくは450nmを含む波長範囲であり、例えば380nm以上495nm未満に含まれる波長域である。
図2の場合では、第1光吸収層21は、赤色の波長域の光を透過する。第2光吸収層22は、緑色の波長域の光を透過する。第1光吸収層21及び第2光吸収層22が吸収する光の波長域は、好ましくは青色の波長域であり、より好ましくは450nmを含む波長範囲であり、例えば380nm以上495nm未満に含まれる波長域である。
【0022】
光吸収層は、例えば、520nm以上780nm以下の波長域における平均光線透過率が98%以上であることが好ましい。平均光線透過率が98%以上であることにより、発光強度をより高めることができる。
【0023】
光吸収層の厚みは、例えば0.1μm以上30μm以下であり、光吸収層の視認側への一次光(青色光)の漏れを効果的に抑制する観点から、好ましくは0.5μm以上20μm以下、より好ましくは0.7μm以上10μm以下、さらに好ましくは0.9μm以上5μm以下であり、よりさらに好ましくは1.0μm以上2μm以下である。
【0024】
総膜厚に対する光吸収層の厚み比(光吸収層/総膜厚)は、例えば0.010以上0.400以下、好ましくは0.010以上0.175以下であり、発光強度維持率を高くする観点から、より好ましくは0.020以上0.168以下、さらに好ましくは0.030以上0.150以下である。
【0025】
光吸収層の屈折率は、好ましくは1.45以上、より好ましくは1.50以上、さらに好ましくは1.55以上であり、好ましくは1.75以下、より好ましくは1.70以下、さらに好ましくは1.65以下である。
【0026】
3.オーバーコート層
オーバーコート層は、発光強度の低下を抑制できる層である。光吸収層を配置すると、光吸収層を配置しない場合に比べて発光強度が低下するという問題が生じていたが、本発明者らは波長変換層と光吸収層の間にオーバーコート層を積層することにより、光吸収層を備えながらも発光強度の低下を大幅に抑制できることを見出した。オーバーコート層は特に樹脂層であることが望ましい。
【0027】
オーバーコート層の厚みは、例えば0.1μm以上30μm以下、好ましくは0.4μm以上28μm以下、より好ましくは0.7μm以上26μm以下、さらに好ましくは1.2μm以上24μm以下、よりさらに好ましくは1.8μm以上22μm以下である。オーバーコート層の厚みを0.1μm以上とすることで、均一な厚みを有するオーバーコート層の形成が容易となる。またオーバーコート層が厚くなるほど、発光強度維持率が高くなる傾向にある。
【0028】
光吸収層に対するオーバーコート層の厚み比(オーバーコート層/光吸収層)は、例えば0.10以上15以下であり、発光強度維持率を高くする観点から、好ましくは0.50以上14以下、より好ましくは0.80以上13.5以下である。
【0029】
波長変換層に対するオーバーコート層の厚み比(オーバーコート層/波長変換層)は、例えば0.020以上3以下、好ましくは0.100以上2.5以下、より好ましくは0.150以上1.5以下である。
【0030】
(オーバーコート層+光吸収層)/波長変換層で求められる膜厚比は、例えば0.100以上5以下、好ましくは0.200以上4以下、より好ましくは0.300以上3.5以下である。
【0031】
オーバーコート層の厚みが×光吸収層の厚み/波長変換層の厚みで求められる値は、例えば0.030μm以上5μm以下、好ましくは0.100μm以上4.8μm以下、より好ましくは0.200μm以上4.6μm以下である。
【0032】
総膜厚に対するオーバーコート層の厚み比(オーバーコート層/総膜厚)は、例えば0.010以上1未満、好ましくは0.050以上0.900以下、より好ましくは0.100以上0.800以下である。
【0033】
オーバーコート層の屈折率は、好ましくは1.35以上、より好ましくは1.40以上、さらに好ましくは1.45以上であり、好ましくは1.65以下、より好ましくは1.60以下、さらに好ましくは1.55以下である。
【0034】
本発明における波長変換層、光吸収層及びオーバーコート層は、式1に示す値が好ましくは0.30以下であり、より好ましくは0.010~0.28、さらに好ましくは0.015~0.25、よりさらに好ましくは0.020~0.20、特に好ましくは0.022~0.15である。波長変換層から漏れる青色光は、通常光吸収層で吸収される。積層体中の色材量(具体的には波長変換層中の発光性無機半導体粒子と有機配位子の合計量(Q10)と、光吸収層中の着色剤の合計量(Q20))のバランスを制御することは、青色光の光漏れの抑制と発光強度の維持の観点から有効である。つまり式1に示す値を前記範囲内に調整することで、青色光の光漏れが抑制され、発光強度が適切に維持された積層体を容易に得ることができる。
なお式1中、波長変換層における発光性無機半導体粒子及び有機配位子、並びに光吸収層における着色剤については、後述する発光性無機半導体粒子(A)、有機配位子(G)及び着色剤(I)が適宜参照される。
{Q20/(T20+T30)}/{Q10/T10} …(式1)
[式1中、
10:波長変換層中の発光性無機半導体粒子と有機配位子の合計量(g)
20:光吸収層中の着色剤の合計量(g)
10:波長変換層の厚み(μm)
20:光吸収層の厚み(μm)
30:オーバーコート層の厚み(μm)]
【0035】
<組成物>
波長変換層は、発光性無機半導体粒子(A)(以下、「半導体粒子(A)」ともいう。)を含有する波長変換層形成用組成物(以下、「組成物I」ともいう。)から形成することができる。
組成物Iは、有機配位子(G)を含んでいてもよい。
組成物Iは、光散乱剤(B)を含んでいてもよい。
組成物Iは、樹脂(C)を含んでいてもよい。
組成物Iは、重合性化合物(D)を含んでいてもよい。
組成物Iは、重合開始剤(E)を含んでいてもよい。
組成物Iは、重合開始助剤(E1)を含んでいてもよい。
組成物Iは、酸化防止剤(F)を含んでいてもよい。
組成物Iは、溶剤(J)を含んでいてもよい。
組成物Iは、レベリング剤(H)を含んでいてもよい。
【0036】
光吸収層は、光吸収層形成用組成物(以下、「組成物II」ともいう。)から形成することができる。
組成物IIは、着色剤(I)を含む。
組成物IIは、樹脂(C)を含んでいてもよい。
組成物IIは、重合性化合物(D)を含んでいてもよい。
組成物IIは、重合開始剤(E)を含んでいてもよい。
組成物IIは、重合開始助剤(E1)を含んでいてもよい。
組成物IIは、酸化防止剤(F)を含んでいてもよい。
組成物IIは、溶剤(J)を含んでいてもよい。
組成物IIは、レベリング剤(H)を含んでいてもよい。
【0037】
オーバーコート層は、オーバーコート層形成用組成物(以下、「組成物III」ともいう。)から形成することができる。
組成物IIIは、樹脂(C)を含んでいてもよい。
組成物IIIは、重合性化合物(D)を含んでいてもよい。
組成物IIIは、重合開始剤(E)を含んでいてもよい。
組成物IIIは、重合開始助剤(E1)を含んでいてもよい。
組成物IIIは、酸化防止剤(F)を含んでいてもよい。
組成物IIIは、溶剤(J)を含んでいてもよい。
組成物IIIは、レベリング剤(H)を含んでいてもよい。
組成物IIIは、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。
組成物IIIは、実質的に半導体粒子(A)及び着色剤(I)を含まない。「実質的に半導体粒子(A)及び着色剤(I)を含まない」とは、組成物IIIの固形分の総量に対して、半導体粒子(A)または着色剤(I)の含有率が、それぞれ、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0質量%であることをいう。
【0038】
なお、本明細書において、各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0039】
<発光性無機半導体粒子(A)>
半導体粒子(A)は、一次光を吸収して緑色又は赤色を発光し、好ましくは、一次光である青色の光の波長を赤色の光の波長又は緑色の光の波長に変換する。
【0040】
本明細書において「青色」とは、青色として視認される光全般(青色の波長域、例えば380nm~495nmに強度を有する光全般)を指し、単一波長の光に限定されない。「緑色」とは、緑色として視認される光全般(緑色の波長域、例えば495nm~585nmに強度を有する光全般)を指し、単一波長の光に限定されない。「赤色」とは、赤色として視認される光全般(赤色の波長域、例えば585nm~780nmに強度を有する光全般)を指し、単一波長の光に限定されない。「黄色」とは、黄色として視認される光全般(黄色の波長域、例えば560nm~610nmに強度を有する光全般)を指し、単一波長の光に限定されない。
【0041】
緑色を発光する半導体粒子(A)の発光スペクトルは、好ましくは、500nm以上560nm以下の波長域に極大値を有するピークを含み、より好ましくは、520nm以上545nm以下の波長域に極大値を有するピークを含み、さらに好ましくは、525nm以上535nm以下の波長域に極大値を有するピークを含む。これにより、表示装置の緑色光の発光強度をより向上させることができる。該ピークは、好ましくは、半値全幅が15nm以上80nm以下、より好ましくは15nm以上60nm以下、さらに好ましくは15nm以上50nm以下、特に好ましくは15nm以上45nm以下である。これにより、表示装置の緑色光の発光強度をより向上させることができる。
【0042】
赤色を発光する半導体粒子(A)の発光スペクトルは、好ましくは、610nm以上750nm以下の波長域に極大値を有するピークを含み、より好ましくは、620nm以上650nm以下の波長域に極大値を有するピークを含み、さらに好ましくは、625nm以上645nm以下の波長域に極大値を有するピークを含む。これにより、表示装置の赤色光の発光強度をより向上させることができる。該ピークは、好ましくは、半値全幅が15nm以上80nm以下、より好ましくは15nm以上60nm以下、さらに好ましくは15nm以上50nm以下、特に好ましくは15nm以上45nm以下である。これにより、表示装置の赤色光の発光強度をより向上させることができる。
【0043】
半導体粒子(A)としては、量子ドット、及びペロブスカイト型結晶構造を有する化合物(以下、「ペロブスカイト化合物」ともいう。)から構成される粒子が挙げられ、好ましくは量子ドットである。量子ドットは、粒子径1nm以上100nm以下の発光性半導体微粒子であり、半導体のバンドギャップを利用し、紫外光又は可視光(例えば青色光)を吸収して発光する微粒子である。
【0044】
量子ドットとしては、例えば、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdHgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe等の12族元素と16族元素との化合物;GaN、GaP、GaAs、AlN、AlP、AlAs、InN、InP、InAs、GaNP、GaNAs、GaPAs、AlNP、AlNAs、AlPAs、InNP、InNAs、InPAs、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlPAs、GaInNP、GaInNAs、GaInPAs、InAlNP、InAlNAs、InAlPAs等の13族元素と15族元素との化合物;PdS、PbSe等の14族元素と16族元素との化合物等が挙げられる。
【0045】
量子ドットがSやSeを含む場合、金属酸化物や有機物で表面修飾した量子ドットを使用してもよい。表面修飾した量子ドットを使用することで、組成物Iに含まれる又は含まれ得る反応成分によってSやSeが引き抜かれることを防止することができる。
【0046】
また量子ドットは、上記の化合物を組み合わせてコアシェル構造を形成していてもよい。このような組み合わせとしては、コアがCdSeであり、シェルがZnSである微粒子、コアがInPであり、シェルがZnSeSである微粒子等が挙げられる。
【0047】
量子ドットのエネルギー状態はその大きさに依存するため、粒子径を変えることにより自由に発光波長を選択することが可能である。また、量子ドットからの発光光はスペクトル幅が狭いため、表示装置の広色域化に有利である。さらに、量子ドットは応答性が高いため、一次光の利用効率の面でも有利である。
【0048】
ペロブスカイト化合物は、A、B及びXを成分とする、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物である。
【0049】
Aは、ペロブスカイト型結晶構造において、Bを中心とする6面体の各頂点に位置する成分であって、1価の陽イオンである。
【0050】
Xは、ペロブスカイト型結晶構造において、Bを中心とする8面体の各頂点に位置する成分を表し、ハロゲン化物イオン及びチオシアン酸イオンからなる群より選ばれる少なくとも一種のイオンである。
【0051】
Bは、ペロブスカイト型結晶構造において、Aを頂点に配置する6面体及びXを頂点に配置する8面体の中心に位置する成分であって、金属イオンである。
【0052】
A、B及びXを成分とするペロブスカイト化合物としては、特に限定されず、3次元構造、2次元構造、疑似2次元構造のいずれの構造を有する化合物であってもよい。
【0053】
3次元構造の場合には、ペロブスカイト化合物は、ABX(3+δ)で表される。
【0054】
2次元構造の場合には、ペロブスカイト化合物は、ABX(4+δ)で表される。
【0055】
ここで、δは、Bの電荷バランスに応じて適宜変更が可能な数であり、-0.7以上0.7以下である。
【0056】
ペロブスカイト化合物であって、ABX(3+δ)で表される、3次元構造のペロブスカイト型の結晶構造を有する化合物の好ましい具体例としては、
CHNHPbBr、CHNHPbCl、CHNHPbI、CHNHPbBr(3-y)(0<y<3)、CHNHPbBr(3-y)Cl(0<y<3)、(HN=CH-NH)PbBr、(HN=CH-NH)PbCl、(HN=CH-NH)PbI
CHNHPb(1-a)CaBr(0<a≦0.7)、CHNHPb(1-a)SrBr(0<a≦0.7)、CHNHPb(1-a)LaBr(3+δ)(0<a≦0.7,0<δ≦0.7)、CHNHPb(1-a)BaBr(0<a≦0.7)、CHNHPb(1-a)DyBr(3+δ)(0<a≦0.7,0<δ≦0.7)、
CHNHPb(1-a)NaBr(3+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、CHNHPb(1-a)LiBr(3+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、
CsPb(1-a)NaBr(3+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、CsPb(1-a)LiBr(3+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、
CHNHPb(1-a)NaBr(3+δ-y)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<3)、CHNHPb(1-a)LiBr(3+δ-y)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<3)、CHNHPb(1-a)NaBr(3+δ-y)Cl(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<3)、CHNHPb(1-a)LiBr(3+δ-y)Cl(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<3)、
(HN=CH-NH)Pb(1-a)NaBr(3+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、(HN=CH-NH)Pb(1-a)LiBr(3+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、(HN=CH-NH)Pb(1-a)NaBr(3+δ-y)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<3)、(HN=CH-NH)Pb(1-a)NaBr(3+δ-y)Cl(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<3)、
CsPbBr、CsPbCl、CsPbI、CsPbBr(3-y)(0<y<3)、CsPbBr(3-y)Cl(0<y<3)、CHNHPbBr(3-y)Cl(0<y<3)、
CHNHPb(1-a)ZnBr(0<a≦0.7)、CHNHPb(1-a)AlBr(3+δ)(0<a≦0.7,0≦δ≦0.7)、CHNHPb(1-a)CoBr(0<a≦0.7)、CHNHPb(1-a)MnBr(0<a≦0.7)、CHNHPb(1-a)MgBr(0<a≦0.7)、
CsPb(1-a)ZnBr(0<a≦0.7)、CsPb(1-a)AlBr(3+δ)(0<a≦0.7,0<δ≦0.7)、CsPb(1-a)CoBr(0<a≦0.7)、CsPb(1-a)MnBr(0<a≦0.7)、CsPb(1-a)MgBr(0<a≦0.7)、
CHNHPb(1-a)ZnBr(3-y)(0<a≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)AlBr(3+δ-y)(0<a≦0.7,0<δ≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)CoBr(3-y)(0<a≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)MnBr(3-y)(0<a≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)MgBr(3-y)(0<a≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)ZnBr(3-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)AlBr(3+δ-y)Cl(0<a≦0.7,0<δ≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)CoBr(3+δ-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)MnBr(3-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)MgBr(3-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<3)、
(HN=CH-NH)ZnBr(0<a≦0.7)、(HN=CH-NH)MgBr(0<a≦0.7)、(HN=CH-NH)Pb(1-a)ZnBr(3-y)(0<a≦0.7,0<y<3)、(HN=CH-NH)Pb(1-a)ZnBr(3-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<3)等が挙げられる。
【0057】
ペロブスカイト化合物であって、ABX(4+δ)で表される、2次元構造のペロブスカイト型の結晶構造を有する化合物の好ましい具体例としては、
(CNHPbBr、(CNHPbCl、(CNHPbI、(C15NHPbBr、(C15NHPbCl、(C15NHPbI、(CNHPb(1-a)LiBr(4+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、(CNHPb(1-a)NaBr(4+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、(CNHPb(1-a)RbBr(4+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、
(C15NHPb(1-a)NaBr(4+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、(C15NHPb(1-a)LiBr(4+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、(C15NHPb(1-a)RbaBr(4+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、
(CNHPb(1-a)NaBr(4+δ-y)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<4)、(CNHPb(1-a)LiBr(4+δ-y)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<4)、(CNHPb(1-a)RbBr(4+δ-y)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<4)、
(CNHPb(1-a)NaBr(4+δ-y)Cl(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<4)、(CNHPb(1-a)LiBr(4+δ-y)Cl(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<4)、(CNHPb(1-a)RbBr(4+δ-y)Cl(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<4)、
(CNHPbBr、(C15NHPbBr
(CNHPbBr(4-y)Cl(0<y<4)、(CNHPbBr(4-y)(0<y<4)、
(CNHPb(1-a)ZnBr(0<a≦0.7)、(CNHPb(1-a)MgBr(0<a≦0.7)、(CNHPb(1-a)CoBr(0<a≦0.7)、(CNHPb(1-a)MnBr(0<a≦0.7)、
(C15NHPb(1-a)ZnBr(0<a≦0.7)、(C15NHPb(1-a)MgBr(0<a≦0.7)、(C15NHPb(1-a)CoBr(0<a≦0.7)、(C15NHPb(1-a)MnBr(0<a≦0.7)、
(CNHPb(1-a)ZnBr(4-y)(0<a≦0.7,0<y<4)、(CNHPb(1-a)MgBr(4-y)(0<a≦0.7,0<y<4)、(CNHPb(1-a)CoBr(4-y)(0<a≦0.7,0<y<4)、(CNHPb(1-a)MnBr(4-y)(0<a≦0.7,0<y<4)、
(CNHPb(1-a)ZnBr(4-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<4)、(CNHPb(1-a)MgBr(4-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<4)、(CNHPb(1-a)CoBr(4-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<4)、(CNHPb(1-a)MnBr(4-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<4)等が挙げられる。
【0058】
一次光を吸収して緑色を発光する半導体粒子(A)は、1種のみでまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。また一次光を吸収して赤色を発光する半導体粒子(A)は、1種のみでまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0059】
組成物Iにおける半導体粒子(A)の含有率は、組成物Iの固形分の総量に対して、例えば1質量%以上60質量%以下であり、好ましくは10質量%以上50質量%以下、より好ましくは15質量%以上50質量%以下、さらに好ましくは20質量%以上50質量%以下、なおさらに好ましくは25質量%以上45質量%以下である。
【0060】
なお本明細書において組成物の固形分の総量とは、組成物に含まれる成分のうち、溶剤(J)を除いた成分の合計を意味する。組成物の固形分中の含有率は、液体クロマトグラフィ又はガスクロマトグラフィ等の公知の分析手段で測定することができる。組成物の固形分中における各成分の含有率は、組成物調製時の配合から算出されてもよい。
【0061】
また本明細書において各成分の含有量又は含有率は、該成分が2種以上含まれる場合には、それらの合計含有量又は合計含有率を意味する。
【0062】
組成物IIは、実質的に半導体粒子(A)を含まないことが好ましい。「実質的に半導体粒子(A)を含まない」とは、組成物IIの固形分の総量に対して、半導体粒子(A)の含有率が、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0質量%であることをいう。
【0063】
組成物IIIは、実質的に半導体粒子(A)を含まず、組成物IIIの固形分の総量に対して、半導体粒子(A)の含有率は、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0質量%である。
【0064】
<有機配位子(G)>
半導体粒子(A)は、有機配位子(G)が配位した状態で組成物中に存在していてもよい。有機配位子(G)は、例えば、半導体粒子(A)に対する配位能を示す極性基を有する有機化合物である。有機配位子(G)は、例えば半導体粒子(A)の表面に配位することができる。組成物は、1種又は2種以上の有機配位子(G)を含むことができる。
【0065】
有機配位子(G)は、その少なくとも一部の分子が半導体粒子(A)に配位していることが好ましく、そのすべて又はほぼすべての分子が半導体粒子(A)に配位していてもよい。半導体粒子(A)に配位している有機配位子(G)を含むことは、半導体粒子(A)の安定性及び分散性、並びに、波長変換層の発光強度を向上させる観点から有利となり得る。
【0066】
有機配位子(G)の上記極性基は、例えば、チオール基(-SH)、カルボキシ基(-COOH)及びアミノ基(-NH)からなる群より選択される少なくとも1種の基である。該群より選択される極性基は、半導体粒子(A)への配位性を高めるうえで有利となり得る。高い配位性は、組成物における半導体粒子(A)の安定性及び分散性向上、並びに、波長変換層の発光強度向上等に寄与し得る。中でも、極性基は、チオール基及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基であることがより好ましい。有機配位子(G)は、1個又は2個以上の極性基を有し得る。
【0067】
有機配位子(G)は、例えば、下記式(x):
A-RX (x)
で表される有機化合物であることができる。式中、XAは上記の極性基であり、RXはヘテロ原子(N、O、S、ハロゲン原子等)を含んでいてもよい1価の炭化水素基である。該炭化水素基は、炭素-炭素二重結合等の不飽和結合を1個又は2個以上有していてもよい。該炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状構造を有していてもよい。該炭化水素基の炭素数は、例えば1以上40以下であり、1以上30以下であってもよい。該炭化水素基に含まれるメチレン基は、-O-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-NH-等で置換されていてもよい。
【0068】
基RXは、極性基を含んでいてもよい。該極性基の具体例については極性基XAに係る上記記述が引用される。
【0069】
極性基XAとしてカルボキシ基を有する有機配位子の具体例として、ギ酸、酢酸、プロピオン酸のほか、飽和又は不飽和脂肪酸を挙げることができる。飽和又は不飽和脂肪酸の具体例は、ブチル酸、ペンタン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等の飽和脂肪酸;ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、イコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸等の一価不飽和脂肪酸;リノール酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、ステアドリン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、ドコサジエン酸、アドレン酸(ドコサテトラエン酸)等の多価不飽和脂肪酸を含む。
【0070】
極性基XAとしてチオール基又はアミノ基を有する有機配位子の具体例は、上で例示した極性基XAとしてカルボキシ基を有する有機配位子のカルボキシ基がチオール基又はアミノ基に置き換わった有機配位子を含む。
【0071】
上記のほか、上記式(x)で表される有機配位子としては、化合物(G-1)及び化合物(G-2)が挙げられる。
【0072】
〔化合物(G-1)〕
化合物(G-1)は、第1官能基及び第2官能基を有する化合物である。第1官能基はカルボキシ基(-COOH)であり、第2官能基はカルボキシ基又はチオール基(-SH)である。化合物(G-1)は、カルボキシ基及び/又はチオール基を有しているため、半導体粒子(A)に配位する配位子となり得る。組成物は、化合物(G-1)を1種のみ含んでいてもよいし2種以上含んでいてもよい。
【0073】
化合物(G-1)の一例は、下記式(G-1a)で表される化合物である。化合物(G-1)は、式(G-1a)で表される化合物の酸無水物であってもよい。
【0074】
【化1】
【0075】
[式中、RBは、2価の炭化水素基を表す。複数のRBが存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。上記炭化水素基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、それらは互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。上記炭化水素基に含まれる-CH-は-O-、-S-、-SO-、-CO-及び-NH-の少なくとも1つに置き換わっていてもよい。
pは、1~10の整数を表す。]
Bで表される2価の炭化水素基としては、例えば、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びこれらを組み合わせた基等が挙げられる。
【0076】
鎖状炭化水素基としては、例えば、直鎖状又は分岐状のアルカンジイル基が挙げられ、その炭素数は通常1~50であり、好ましくは1~20、より好ましくは1~10である。脂環式炭化水素基としては、例えば、単環式又多環式のシクロアルカンジイル基が挙げられ、その炭素数は通常3~50であり、好ましくは3~20、より好ましくは3~10である。芳香族炭化水素基としては、例えば、単環式又多環式のアレーンジイル基が挙げられ、その炭素数は通常6~20である。
【0077】
上記炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、炭素数1~50のアルキル基、炭素数3~50のシクロアルキル基、炭素数6~20のアリール基、カルボキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。上記炭化水素基が有していてもよい置換基は、好ましくは、カルボキシ基、アミノ基又はハロゲン原子である。
【0078】
上記炭化水素基に含まれる-CH-が-O-、-CO-及び-NH-の少なくとも1つに置き換わる場合、-CH-が置き換わるのは、好ましくは-CO-及び-NH-の少なくとも1つであり、より好ましくは-NH-である。pは、好ましくは1又は2である。
【0079】
式(G-1a)で表される化合物としては、例えば、下記式(1-1)~(1-9)で表される化合物が挙げられる。
【0080】
【化2】
【0081】
式(G-1a)で表される化合物の具体例を化学名で示せば、例えば、メルカプト酢酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトブタン酸、4-メルカプトブタン酸、メルカプトコハク酸、メルカプトステアリン酸、メルカプトオクタン酸、4-メルカプト安息香酸、2,3,5,6-テトラフルオロ-4-メルカプト安息香酸、L-システイン、N-アセチル-L-システイン、3-メルカプトプロピオン酸3-メトキシブチル、3-メルカプト-2-メチルプロピオン酸等が挙げられる。中でも3-メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸が好ましい。
【0082】
化合物(G-1)の他の一例は、多価カルボン酸化合物であり、好ましくは上記式(G-1a)で表される化合物において、式(G-1a)中の-SHがカルボキシ基(-COOH)に置き換わった化合物(G-1b)が挙げられる。
【0083】
化合物(G-1b)としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
【0084】
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、オクタフルオロアジピン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、ドデカフルオロスベリン酸、3-エチル-3-メチルグルタル酸、ヘキサフルオログルタル酸、trans-3-ヘキセン二酸、セバシン酸、ヘキサデカフルオロセバシン酸、アセチレンジカルボン酸、trans-アコニット酸、1,3-アダマンタンジカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジカルボン酸、cis-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、1,1-シクロプロパンジカルボン酸、1,1-シクロブタンジカルボン酸、cis-又はtrans-1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、cis-又はtrans-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,1-シクロペンタン二酢酸、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸、デカヒドロ-1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ノルボルナンジカルボン酸、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、フタル酸、3-フルオロフタル酸、イソフタル酸、テトラフルオロイソフタル酸、テレフタル酸、テトラフルオロテレフタル酸、2,5-ジメチルテレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,1’-フェロセンジカルボン酸、2,2’-ビフェニルジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、2,5-フランジカルボン酸、ベンゾフェノン-2,4’-ジカルボン酸一水和物、ベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸、2,3-ピラジンジカルボン酸、2,3-ピリジンジカルボン酸、2,4-ピリジンジカルボン酸、3,5-ピリジンジカルボン酸、2,5-ピリジンジカルボン酸、2,6-ピリジンジカルボン酸、3,4-ピリジンジカルボン酸、ピラゾール-3,5-ジカルボン酸一水和物、4,4’-スチルベンジカルボン酸、アントラキノン-2,3-ジカルボン酸、4-(カルボキシメチル)安息香酸、ケリドン酸一水和物、アゾベンゼン-4,4’-ジカルボン酸、アゾベンゼン-3,3’-ジカルボン酸、クロレンド酸、1H-イミダゾール-4,5-ジカルボン酸、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,10-ビス(4-カルボキシフェノキシ)デカン、ジプロピルマロン酸、ジチオジグリコール酸、3,3’-ジチオジプロピオン酸、4,4’-ジチオジブタン酸、4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’-ジカルボキシジフェニルスルホン、エチレングリコール ビス(4-カルボキシフェニル)エーテル、3,4-エチレンジオキシチオフェン-2,5-ジカルボン酸、4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ酢酸、1,3-アセトンジカルボン酸、メチレンジサリチル酸、5,5’-チオジサリチル酸、トリス(2-カルボキシエチル)イソシアヌレート、テトラフルオロコハク酸、α,α,α’,α’-テトラメチル-1,3-ベンゼンジプロピオン酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸等。
【0085】
半導体粒子(A)の安定性及び分散性、並びに、波長変換層の発光強度を向上させる観点から、化合物(G-1)の分子量は、好ましくは3000以下、より好ましくは2500以下、さらに好ましくは2000以下、なおさらに好ましくは1000以下、特に好ましくは800以下、最も好ましくは500以下である。化合物(G-1)の分子量は、通常100以上である。
【0086】
上記分子量は、数平均分子量であってもよいし重量平均分子量であってもよい。この場合、数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量である。
【0087】
組成物Iが化合物(G-1)を含む場合、組成物I中の半導体粒子(A)に対する化合物(G-1)の含有量比は、質量比で、好ましくは0.001以上1以下、より好ましくは0.01以上0.5以下、さらに好ましくは0.02以上0.45以下である。該含有量比がこの範囲にあると、半導体粒子(A)の安定性及び分散性、並びに、波長変換層の発光強度を向上させる観点から有利となり得る。
【0088】
組成物Iが化合物(G-1)を含む場合、組成物Iにおける化合物(G-1)の含有率は、半導体粒子(A)の安定性及び分散性、並びに、波長変換層の発光強度を向上させる観点から、組成物Iの固形分の総量に対して、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上20質量%以下、さらに好ましくは0.2質量%以上10質量%以下、なおさらに好ましくは0.5質量%以上10質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以上8質量%以下である。
【0089】
〔化合物(G-2)〕
化合物(G-2)は、化合物(G-1)とは異なる化合物であって、ポリアルキレングリコール構造を含み、かつ極性基を分子末端に有する化合物である。分子末端とは、化合物(G-2)中、最も長い炭素鎖(炭素鎖中の炭素原子は、酸素原子等の他の原子に置き換わっていてもよい。)の末端であることが好ましい。
【0090】
組成物は、化合物(G-2)を1種のみ含んでいてもよいし2種以上含んでいてもよい。組成物は、化合物(G-1)又は化合物(G-2)を含んでいてもよいし、化合物(G-1)及び化合物(G-2)を含んでいてもよい。
【0091】
なお、ポリアルキレングリコール構造を含み、上記第1官能基及び第2官能基を有する化合物は、化合物(G-1)に属するものとする。
【0092】
ポリアルキレングリコール構造とは、下記式:
【0093】
【化3】
【0094】
で表される構造をいう(nは2以上の整数)。式中、RCはアルキレン基であり、例えば、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
【0095】
化合物(G-2)の具体例として、下記式(G-2a)で表されるポリアルキレングリコール系化合物を挙げることができる。
【0096】
【化4】
【0097】
式(G-2a)中、Xは極性基であり、Yは1価の基であり、ZCは2価又は3価の基である。nは2以上の整数である。mは1又は2である。RCはアルキレン基である。
【0098】
極性基Xは、チオール基(-SH)、カルボキシ基(-COOH)及びアミノ基(-NH)からなる群より選択される少なくとも1種の基であることが好ましい。該群より選択される極性基は、半導体粒子(A)への配位性を高めるうえで有利となり得る。中でも、半導体粒子(A)の安定性及び分散性、並びに、波長変換層の発光強度を向上させる観点から、極性基Xは、チオール基及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基であることがより好ましい。
【0099】
基Yは1価の基である。基Yとしては特に制限されず、置換基(N、O、S、ハロゲン原子等)を有していてもよい1価の炭化水素基が挙げられる。該炭化水素基に含まれる-CH-は、-O-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-NH-等で置換されていてもよい。上記炭化水素基の炭素数は、例えば1以上12以下である。該炭化水素基は、不飽和結合を有していてもよい。
【0100】
基Yとしては、直鎖状、分岐鎖状又は環状構造を有する炭素数1以上12以下のアルキル基;直鎖状、分岐鎖状又は環状構造を有する炭素数1以上12以下のアルコキシ基等が挙げられる。該アルキル基及びアルコキシ基の炭素数は、好ましくは1以上8以下であり、より好ましくは1以上6以下であり、さらに好ましくは1以上4以下である。該アルキル基及びアルコキシ基に含まれる-CH-は、-O-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-NH-等で置換されていてもよい。中でも、基Yは、炭素数が1以上4以下である直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数が1以上4以下である直鎖状のアルコキシ基であることがより好ましい。
【0101】
基Yは、極性基を含んでいてもよい。該極性基としては、チオール基(-SH)、カルボキシ基(-COOH)及びアミノ基(-NH)からなる群より選択される少なくとも1種の基が挙げられる。ただし、上述のとおり、ポリアルキレングリコール構造を含み、上記第1官能基及び第2官能基を有する化合物は、化合物(G-1)に属するものとする。該極性基は、好ましくは基Yの末端に配置される。
【0102】
基ZCは2価又は3価の基である。基ZCとしては特に制限されず、ヘテロ原子(N、O、S、ハロゲン原子等)を含んでいてもよい2価又は3価の炭化水素基が挙げられる。該炭化水素基の炭素数は、例えば1以上24以下である。該炭化水素基は、不飽和結合を有していてもよい。
【0103】
2価の基である基ZCとしては、直鎖状、分岐鎖状又は環状構造を有する炭素数1以上24以下のアルキレン基;直鎖状、分岐鎖状又は環状構造を有する炭素数1以上24以下のアルケニレン基等が挙げられる。該アルキル基及びアルケニレン基の炭素数は、好ましくは1以上12以下であり、より好ましくは1以上8以下であり、さらに好ましくは1以上4以下である。該アルキル基及びアルケニレン基に含まれる-CH-は、-O-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-NH-等で置換されていてもよい。3価の基である基ZCの例としては、上記2価の基である基ZCから水素原子を1つ取り除いた基を挙げることができる。
【0104】
基ZCは、分岐構造を有していてもよい。分岐構造を有する基ZCは、上記式(G-2a)に示されるポリアルキレングリコール構造を含む分岐鎖とは別の分岐鎖において、上記式(G-2a)に示されるポリアルキレングリコール構造とは別のポリアルキレングリコール構造を有していてもよい。
【0105】
中でも、基ZCは、炭素数が1以上6以下である直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることが好ましく、炭素数が1以上4以下である直鎖状のアルキレン基であることがより好ましい。
【0106】
Cはアルキレン基であり、炭素数が1以上6以下である直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることが好ましく、炭素数が1以上4以下である直鎖状のアルキレン基であることがより好ましい。
【0107】
式(G-2a)中のnは2以上の整数であり、好ましくは2以上540以下であり、より好ましくは2以上120以下であり、さらに好ましくは2以上60以下である。
【0108】
化合物(G-2)の分子量は、例えば150以上10000以下程度であり得るが、半導体粒子(A)の安定性及び分散性、並びに、波長変換層の発光強度を向上させる観点から、150以上5000以下であることが好ましく、150以上4000以下であることがより好ましい。該分子量は、数平均分子量であってもよいし重量平均分子量であってもよい。この場合、数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ、GPCにより測定される標準ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量である。
【0109】
組成物Iが化合物(G-2)を含む場合、組成物I中の半導体粒子(A)に対する化合物(G-2)の含有量比は、質量比で、好ましくは0.001以上2以下、より好ましくは0.01以上1.5以下、さらに好ましくは0.1以上1以下である。該含有量比がこの範囲にあると、半導体粒子(A)の安定性及び分散性、並びに、波長変換層の発光強度を向上させる観点から有利となり得る。
【0110】
組成物Iが化合物(G-2)を含む場合、組成物Iにおける化合物(G-2)の含有率は、半導体粒子(A)の安定性及び分散性、並びに、波長変換層の発光強度を向上させる観点から、組成物Iの固形分の総量に対して、好ましくは0.1質量%以上40質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、さらに好ましくは1質量%以上15質量%以下、なおさらに好ましくは2質量%以上12質量%以下である。
【0111】
組成物Iが有機配位子(G)を含む場合、組成物I中の半導体粒子(A)に対する有機配位子(G)の含有量の比は、質量比で、好ましくは0.001以上1以下、より好ましくは0.01以上0.8以下、さらに好ましくは0.02以上0.5以下である。該含有量比がこの範囲にあると、半導体粒子(A)の安定性及び分散性、並びに、波長変換層の発光強度を向上させる観点から有利となり得る。ここでいう有機配位子(G)の含有量とは、組成物Iに含まれるすべての有機配位子の合計含有量である。
【0112】
組成物Iにおける半導体粒子(A)及び有機配位子(G)の合計含有率は、半導体粒子(A)の安定性及び分散性、並びに、波長変換層の発光強度を向上させる観点から、組成物Iの固形分の総量に対して、好ましくは10質量%以上75質量%以下、より好ましくは12質量%以上70質量%以下、さらに好ましくは15質量%以上65質量%以下である。
【0113】
組成物II及び組成物IIIは、実質的に有機配位子(G)を含まないことが好ましい。「実質的に有機配位子(G)を含まない」とは、組成物IIまたは組成物IIIの固形分の総量に対して、有機配位子(G)の含有率が、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0質量%であることをいう。
【0114】
<光散乱剤(B)>
光散乱剤(B)としては、金属又は金属酸化物の粒子、ガラス粒子等の無機粒子が挙げられる。金属酸化物としては、TiO、SiO、BaTiO、ZnO等が挙げられ、効率的に光を散乱することから、好ましくはTiOの粒子である。光散乱剤(B)の粒子径は、例えば0.03μm以上20μm以下程度であり、好ましくは0.05μm以上1μm以下であり、より好ましくは0.05μm以上0.5μm以下である。
【0115】
光散乱剤(B)としては、分散剤を用いて溶剤(J)の一部又は全部に予め光散乱剤を分散させたものを用いてもよい。分散剤としては市販品を用いることができる。市販品の例としては、
ビックケミー・ジャパン社製のDISPERBYK-101、102、103、106、107、108、109、110、111、116、118、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、192、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155;ANTI-TERRA-U、U100、203、204、250s;BYK-P104、P104S、P105、220S、6919;BYK-LPN6919、21116;LACTIMON、LACTIMON-WS;Bykumen等;
日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE-3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等;
BASF社製のEFKA-46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503等;
味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
【0116】
組成物Iにおける光散乱剤(B)の含有率は、組成物Iの固形分の総量に対し、例えば0.001質量%以上50質量%以下であり、波長変換層の光散乱能及び発光強度を向上させる観点から、好ましくは1質量%以上30質量%以下、より好ましくは2質量%以上20質量%以下、さらに好ましくは2質量%以上15質量%以下、なおさらに好ましくは3質量%以上10質量%以下である。
【0117】
組成物II及び組成物IIIは、実質的に光散乱剤(B)を含まないことが好ましい。「実質的に光散乱剤(B)を含まない」とは、組成物IIまたは組成物IIIの固形分の総量に対して、光散乱剤(B)の含有率が、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0質量%であることをいう。
【0118】
<着色剤(I)>
着色剤(I)は、顔料であってもよいし染料であってもよい。顔料としては、公知の顔料を使用することができ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されている顔料が挙げられる。顔料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。染料としては、公知の染料を使用することができ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists 出版)及び染色ノート(色染社)に記載されている染料が挙げられる。染料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0119】
着色剤(I)は、顔料が好ましく、黄色着色剤、緑色着色剤、及び赤色着色剤からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0120】
黄色着色剤としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、129、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、185、194、214、231等の黄色顔料が挙げられる。黄色着色剤の他の例は、下記染料である。
C.I.ソルベントイエロー4、14、15、23、24、25、38、62、63、68、79、81、82、83、89、94、98、99、117、162、163、167、189等のC.I.ソルベント染料;
C.I.アシッドイエロー1、3、7、9、11、17、23、25、29、34、36、38、40、42、54、65、72、73、76、79、98、99、111、112、113、114、116、119、123、128、134、135、138、139、140、144、150、155、157、160、161、163、168、169、172、177、178、179、184、190、193、196、197、199、202、203、204、205、207、212、214、220、221、228、230、232、235、238、240、242、243、251等のC.I.アシッド染料;
C.I.ダイレクトイエロー2、4、28、33、34、35、38、39、43、44、47、50、54、58、68、69、70、71、86、93、94、95、98、102、108、109、129、132、136、138、141等のC.I.ダイレクト染料;
C.I.ディスパースイエロー51、54、76等のC.I.ディスパース染料;
C.I.リアクティブイエロー2、76、116等のC.I.リアクティブ染料;
C.I.モーダントイエロー5、8、10、16、20、26、30、31、33、42、43、45、56、61、62、65等のC.I.モーダント染料;等。
【0121】
緑色着色剤としては、C.I.ピグメントグリーン7、36、58、59、62、63等の緑色顔料;が挙げられる。緑色着色剤の他の例は、下記染料である。
C.I.ソルベントグリーン1、3、4、5、7、28、29、32、33、34、35等のC.I.ソルベント染料;
C.I.アシッドグリーン1、3、5、6、7、8、9、11、13、14、15、16、22、25、27、28、41、50、50:1、58、63、65、80、104、105、106、109等のC.I.アシッド染料;
C.I.ダイレクトグリーン25、27、31、32、34、37、63、65、66、67、68、69、72、79、82等のC.I.ダイレクト染料;
C.I.ベーシックグリーン1等のC.I.ベーシック染料;
C.I.モーダントグリーン1、3、4、5、10、13、15、19、21、23、26、29、31、33、34、35、41、43、53等のC.I.モーダント染料;
C.I.バットグリーン1等のC.I.バット染料等。
【0122】
赤色着色剤としては、C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、178、179、180、190、192、209、215、216、224、242、254、255、264、265、266、268、269、273等の赤色顔料が挙げられる。赤色着色剤の他の例は、下記染料である。
C.I.ソルベントレッド24、45、49、90,91111、118、119、122、124、125、127、130、132、143、145、146、150、151、155、160、168、169、172、175、181、207、218、222、227、230、245、247等のC.I.ソルベント染料;
C.I.アシッドレッド1、4、8、14、17、18、26、27、29、31、33、34、35、37、40、42、44、50、51、52、57、66、73、76、80、87、88、91、92、94、95、97、98、103、106、111、114、129、133、134、138、143、145、150、151、155、158、160、172、176、182、183、195、198、206、211、215、216、217、227、228、249、252、257、258、260、261、266、268、270、274、277、280、281、289、308、312、315、316、339、341、345、346、349、382、383、388、394、401、412、417、418、422、426等のC.I.アシッド染料;
C.I.ダイレクトレッド79、82、83、84、91、92、96、97、98、99、105、106、107、172、173、176、177、179、181、182、184、204、207、211、213、218、220、221、222、232、233、234、241、243、246、250等のC.I.ダイレクト染料;
C.I.ベーシックレッド1、9、10等のC.I.ベーシック染料;
C.I.モーダントレッド1、2、3、4、9、11、12、14、17、18、19、22、23、24、25、26、27、29、30、32、33、36、37、38、39、41、42、43、45、46、48、52、53、56、62、63、71、74、76、78、85、86、88、90、94、95等のC.I.モーダント染料等。
【0123】
着色剤(I)は、黄色着色剤を含むことがより好ましく、黄色顔料を含むことがさらに好ましく、C.I.ピグメントイエロー138、150及び231からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことがよりさらに好ましい。
【0124】
着色剤(I)は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基又は塩基性基が導入された着色剤誘導体等を用いた表面処理、高分子化合物等による着色剤表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法等による微粒化処理、不純物を除去するための有機溶剤や水等による洗浄処理、イオン性不純物のイオン交換法等による除去処理等が施されていてもよい。着色剤(I)の粒径は、略均一であることが好ましい。
【0125】
組成物IIが緑色着色剤及び/または赤色着色剤を含む場合は、組成物IIに含まれる着色剤(I)は、波長変換層が緑色を発光する層であるときには緑色着色剤であることが好ましく、波長変換層が赤色を発光する層であるときには赤色着色剤であることが好ましい。緑色着色剤及び赤色着色剤は、それぞれ、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0126】
組成物IIにおける着色剤(I)の含有率は、組成物IIの固形分の総量に対して、例えば0.01質量%以上99.99質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以上99.9質量%以下、より好ましくは1質量%以上99質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上90質量%以下、なおさらに好ましくは15質量%以上70質量%以下である。
【0127】
組成物Iは、実質的に着色剤(I)を含まないことが好ましい。「実質的に着色剤(I)を含まない」とは、組成物Iの固形分の総量に対して、着色剤(I)の含有率が、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0質量%であることをいう。
【0128】
組成物IIIは実質的に着色剤(I)を含まず、組成物IIIの固形分の総量に対して、着色剤(I)の含有率は、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0質量%である。
【0129】
<樹脂(C)>
樹脂(C)としては、以下の樹脂[K1]~[K6]等が挙げられる。
【0130】
樹脂[K1];不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種(a)(以下、「(a)」ともいう。)に由来する構造単位と、(a)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)とは異なる。)(以下、「(c)」ともいう。)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K2];前記(a)に由来する構造単位と、前記(c)に由来する構造単位とと、炭素数2~4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b)(以下、「(b)」ともいう。)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K3];前記(a)に由来する構造単位に前記(b)を付加させた構造単位と前記(c)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K4];前記(a)に由来する構造単位に前記(b)を付加させ、更にカルボン酸無水物をエステル結合させた構造単位と、前記(c)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K5];前記(b)に由来する構造単位に前記(a)を付加させた構造単位と前記(c)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K6];前記(b)に由来する構造単位に前記(a)を付加させ、さらにカルボン酸無水物をエステル結合させた構造単位と前記(c)に由来する構造単位とを有する共重合体。
【0131】
(a)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3-ビニルフタル酸、4-ビニルフタル酸、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1,4-シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸;
メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、5-カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-6-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-6-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3-ビニルフタル酸無水物、4-ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン無水物等の不飽和ジカルボン酸無水物;
コハク酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル;
α-(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0132】
これらのうち、共重合反応性等の観点から、(メタ)アクリル酸、コハク酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、無水マレイン酸等が好ましい。
【0133】
本明細書において(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリレート」等においても同様である。
【0134】
(b)は、例えば、炭素数2~4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環からなる群より選ばれる少なくとも1種)とエチレン性不飽和結合とを有する単量体である。(b)は、炭素数2~4の環状エーテル構造と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体であることが好ましい。
【0135】
(b)としては、例えば、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b1)(以下「(b1)」という場合がある)、オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b2)(以下「(b2)」という場合がある)、テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b3)(以下「(b3)」という場合がある)等が挙げられる。
【0136】
(b1)としては、例えば、直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)(以下「(b1-1)」という場合がある)、脂環式不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-2)(以下「(b1-2)」という場合がある)が挙げられる。
【0137】
(b1-1)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β-エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,5-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,6-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,4-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、3,4,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン等が挙げられる。
【0138】
(b1-2)としては、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン(例えば、セロキサイド2000;(株)ダイセル製)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーA400;(株)ダイセル製)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーM100;(株)ダイセル製)、式(BI)で表される化合物及び式(BII)で表される化合物等が挙げられる。
【0139】
【化5】
【0140】
[式(BI)及び式(BII)中、Re及びRfは、水素原子、又は炭素数1~4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。
e及びXfは、単結合、*-Rg-、*-Rg-O-、*-Rg-S-又は*-Rg-NH-を表す。
gは、炭素数1~6のアルカンジイル基を表す。
*は、Oとの結合手を表す。]
【0141】
炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。
水素原子がヒドロキシで置換されたアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基、1-ヒドロキシ-1-メチルエチル基、2-ヒドロキシ-1-メチルエチル基、1-ヒドロキシブチル基、2-ヒドロキシブチル基、3-ヒドロキシブチル基、4-ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
e及びRfとしては、好ましくは水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基が挙げられ、より好ましくは水素原子、メチル基が挙げられる。
【0142】
アルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基等が挙げられる。
e及びXfとしては、好ましくは単結合、メチレン基、エチレン基、*-CH2-O-及び*-CH2CH2-O-が挙げられ、より好ましくは単結合、*-CH2CH2-O-が挙げられる(*はOとの結合手を表す)。
【0143】
式(BI)で表される化合物としては、式(BI-1)~式(BI-15)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。中でも、式(BI-1)、式(BI-3)、式(BII-5)、式(BI-7)、式(BI-9)又は式(BI-11)~式(BI-15)で表される化合物が好ましく、式(BI-1)、式(BI-7)、式(BI-9)又は式(BI-15)で表される化合物がより好ましい。
【0144】
【化6】
【0145】
式(BII)で表される化合物としては、式(BII-1)~式(BII-15)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。中でも、式(BII-1)、式(BII-3)、式(BII-5)、式(BII-7)、式(BII-9)又は式(BII-11)~式(BII-15)で表される化合物が好ましく、式(BII-1)、式(BII-7)、式(BII-9)又は式(BII-15)で表される化合物がより好ましい。
【0146】
【化7】
【0147】
式(BI)で表される化合物及び式(BII)で表される化合物は、それぞれ単独で用いても、2種以上を併用してもよい。式(BI)で表される化合物及び式(BII)で表される化合物を併用する場合、これらの含有比率〔式(BI)で表される化合物:式(BII)で表される化合物〕はモル基準で、好ましくは5:95~95:5、より好ましくは20:80~80:20である。
【0148】
(b2)としては、オキセタニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。(b2)としては、3-メチル-3-メタクリルロイルオキシメチルオキセタン、3-メチル-3-アクリロイルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-メタクリロイルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-アクリロイルオキシメチルオキセタン、3-メチル-3-メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3-メチル-3-アクリロイルオキシエチルオキセタン、3-エチル-3-メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3-エチル-3-アクリロイルオキシエチルオキセタン等が挙げられる。
【0149】
(b3)としては、テトラヒドロフリル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。(b3)としては、具体的には、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、ビスコートV#150、大阪有機化学工業(株)製)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
【0150】
(b)としては、耐熱性、耐薬品性等の信頼性をより高くすることができる点で、(b1)であることが好ましい。
【0151】
樹脂[K3]~[K6]の製造時の反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、(b)としては、オキシラン環とエチレン性不飽和結合とを有する単量体が好ましい。
【0152】
(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート」といわれている。また、「トリシクロデシル(メタ)アクリレート」という場合がある。)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-8-イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート」といわれている。)、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチル-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-tert-ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ビス(tert-ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のビシクロ不飽和化合物;
N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチレート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドカプロエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオネート、N-(9-アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体;
スチレン、α-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3-ブタジエンイソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン等が挙げられる。
【0153】
上記のうち、共重合反応性及び樹脂(C)の耐熱性の点から、メチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等が好ましい。
【0154】
樹脂[K1]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K1]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2モル%以上60モル%以下
(c)に由来する構造単位;40モル%以上98モル%以下
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;10モル%以上50モル%以下
(c)に由来する構造単位;50モル%以上90モル%以下
であることがより好ましい。
【0155】
樹脂[K1]の構造単位の比率が上記の範囲にあると、保存安定性及び耐溶剤性に優れる傾向がある。
【0156】
樹脂[K1]は、例えば、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
【0157】
具体的には、(a)及び(c)の所定量、重合開始剤並びに溶剤等を反応容器中に入れて、例えば、窒素により酸素を置換することにより、脱酸素雰囲気にし、攪拌しながら、加熱及び保温する方法が挙げられる。
【0158】
用いられる重合開始剤及び溶剤等は、特に限定されず、当該分野で通常使用されているものを使用することができる。例えば、重合開始剤としては、アゾ化合物(2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等)や有機過酸化物(ベンゾイルペルオキシド等)が挙げられ、溶剤としては、各モノマーを溶解するものであればよく、溶剤(J)として後述する溶剤等が挙げられる。
【0159】
得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。重合の際の溶剤として後述の溶剤(J)を使用すれば、反応後の溶液をそのまま組成物の調製に使用することができるため、組成物の製造工程を簡略化することができる。
【0160】
樹脂[K2]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K2]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2~45モル%
(b)に由来する構造単位;2~95モル%
(c)に由来する構造単位;1~65モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;5~40モル%
(b)に由来する構造単位;5~80モル%
(c)に由来する構造単位;5~60モル%
であることがより好ましい。
【0161】
樹脂[K2]の構造単位の比率が上記の範囲にあると、組成物I~IIIの保存安定性及び着色パターンを形成する際の現像性等に優れる傾向がある。
【0162】
樹脂[K2]は、例えば、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0163】
樹脂[K3]は、(a)と(c)との共重合体に、(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルを(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物に付加させることにより製造することができる。
【0164】
まず(a)と(c)との共重合体を、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様にして製造する。この場合、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K1]について述べた比率と同じであることが好ましい。
【0165】
次に、上記共重合体中の(a)に由来するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の一部に、(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルを反応させる。
【0166】
(a)と(c)との共重合体の製造に引き続き、フラスコ内雰囲気を窒素から空気に置換し、(b)、カルボン酸又はカルボン酸無水物と環状エーテルとの反応触媒(例えば有機リン化合物、金属錯体、アミン化合物等)及び重合禁止剤(例えばハイドロキノン等)等の存在下、例えば60℃以上130℃以下で、1時間以上10時間以下反応することにより、樹脂[K3]を製造することができる。
【0167】
(b)の使用量は、(a)100モルに対して、好ましくは5モル以上80モル以下、より好ましくは10モル以上75モル以下である。この範囲にすることにより、組成物の保存安定性、並びに、各層の耐溶剤性、耐熱性及び機械強度のバランスが良好になる傾向がある。
【0168】
反応触媒としての有機リン化合物としては、例えばトリフェニルホスフィン等が挙げられる。反応触媒としてのアミン化合物としては、例えば脂肪族第三級アミン化合物又は脂肪族第四級アンモニウム塩化合物等が使用可能であり、その具体例としては、例えばトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチルアミン、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。反応触媒は、好ましくは有機リン化合物である。
【0169】
反応触媒の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上5質量部以下である。
【0170】
重合禁止剤の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上5質量部以下である。
【0171】
仕込方法、反応温度及び時間等の反応条件は、製造設備や重合による発熱量等を考慮して適宜調整することができる。なお、重合条件と同様に、製造設備や重合による発熱量等を考慮し、仕込方法や反応温度を適宜調整することができる。
【0172】
樹脂[K4]は、樹脂[K3]に、さらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂である。カルボン酸又はカルボン酸無水物と環状エーテルとの反応により発生するヒドロキシ基に、カルボン酸無水物を反応させる。
カルボン酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3-ビニルフタル酸無水物、4-ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン無水物等が挙げられる。
カルボン酸無水物の使用量は、(b)の使用量1モルに対して、0.5モル以上1モル以下が好ましい。
【0173】
樹脂[K5]は、第一段階として、上述した樹脂[K1]の製造方法と同様にして、(b)と(c)との共重合体を得る。上記と同様に、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
【0174】
(b)及び(c)に由来する構造単位の比率は、上記共重合体を構成する全構造単位の合計モル数に対して、それぞれ、
(b)に由来する構造単位;5モル%以上95モル%以下
(c)に由来する構造単位;5モル%以上95モル%以下
であることが好ましく、
(b)に由来する構造単位;10モル%以上90モル%以下
(c)に由来する構造単位;10モル%以上90モル%以下
であることがより好ましい。
【0175】
樹脂[K5]は、樹脂[K3]の製造方法と同様の条件で(b)と(c)との共重合体が有する(b)に由来する環状エーテルに、(a)が有するカルボン酸又はカルボン酸無水物を反応させることにより得ることができる。
【0176】
上記共重合体に反応させる(a)の使用量は、(b)100モルに対して、5モル以上80モル以下が好ましい。
【0177】
樹脂[K6]は、樹脂[K5]に、さらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂である。環状エーテルとカルボン酸又はカルボン酸無水物との反応により発生するヒドロキシ基に、カルボン酸無水物を反応させる。
【0178】
カルボン酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3-ビニルフタル酸無水物、4-ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン無水物等が挙げられる。
【0179】
カルボン酸無水物の使用量は、(a)の使用量1モルに対して、0.5~1モルが好ましい。
【0180】
樹脂[K1]、樹脂[K2]、樹脂[K3]、樹脂[K4]、樹脂[K5]及び樹脂[K6]としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸/コハク酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕/ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート共重合体等の樹脂[K1];
グリシジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体等の樹脂[K2];
ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂等の樹脂[K3];
ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂に、さらにテトラヒドロフタル酸無水物又は無水コハク酸をエステル結合させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂に、さらにテトラヒドロフタル酸無水物又は無水コハク酸をエステル結合させた樹脂、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂に、さらにテトラヒドロフタル酸無水物または無水コハク酸をエステル結合させた樹脂、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート/2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂に、さらにテトラヒドロフタル酸無水物又は無水コハク酸をエステル結合させた樹脂等の樹脂[K4];
トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を付加させた樹脂等の樹脂[K5];
トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を付加させた樹脂に、さらにテトラヒドロフタル酸無水物又は無水コハク酸をエステル結合させた樹脂、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート/2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレート共重合体に(メタ)アクリル酸を付加させた樹脂に、さらにテトラヒドロフタル酸無水物又は無水コハク酸をエステル結合させた樹脂等の樹脂[K6]等が挙げられる。
【0181】
組成物I及び組成物IIIに含まれる樹脂(C)は、樹脂[K1]、樹脂[K2]、樹脂[K3]、樹脂[K4]及び樹脂[K5]からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、樹脂[K1]及び樹脂[K2]からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましく、樹脂[K1]がよりさらに好ましい。
組成物IIに含まれる樹脂(C)は、樹脂[K1]、樹脂[K2]、樹脂[K3]、樹脂[K4]及び樹脂[K5]からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、樹脂[K1]及び樹脂[K2]からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましく、樹脂[K1]及び樹脂[K2]を含むことがよりさらに好ましい。
【0182】
樹脂(C)のさらなる例として、特開2018-123274号公報に記載の樹脂が挙げられる。該樹脂としては、側鎖に二重結合を有するとともに、主鎖に、下記式(I)で表される構成単位(α)と、下記式(II)で表される構成単位(β)とを含み、さらに酸基を含む重合体(以下、「樹脂(Ca)」ともいう。)が挙げられる。
【0183】
酸基は、例えば樹脂(Ca)が、酸基含有単量体(例えば(メタ)アクリル酸等)に由来する構成単位(γ)を含むことで、樹脂中に導入されたものであることができる。樹脂(Ca)は、好ましくは、主鎖骨格に構成単位(α)、(β)及び(γ)を含む。
【0184】
【化8】
【0185】
[式中、RA及びRBは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~25の炭化水素基を表す。nは、式(I)で表される構成単位の平均繰り返し単位数を表し、1以上の数である。]
【0186】
【化9】
【0187】
[式中、RCは、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表す。RDは、同一又は異なって、炭素数4~20の直鎖状又は分岐鎖状炭化水素基を表す。mは、式(II)で表される構成単位の平均繰り返し単位数を表し、1以上の数である。]
樹脂(Ca)において、構成単位(α)の含有割合は、樹脂(Ca)の耐熱性や保存安定性の観点から、樹脂(Ca)の主鎖骨格を与える全単量体単位の総量100質量%に対し、例えば0.5質量%以上50質量%以下であり、好ましくは1質量%以上40質量%以下、より好ましくは5質量%以上30質量%以下である。式(I)中のnは、樹脂(Ca)中の構成単位(α)の平均繰り返し単位数を表し、構成単位(α)の含有割合が上記範囲内になるようにnを設定することができる。
【0188】
構成単位(β)の含有割合は、各層の耐溶剤性の観点から、樹脂(Ca)の主鎖骨格を与える全単量体単位の総量100質量%に対し、例えば10質量%以上90質量%以下であり、好ましくは20質量%以上80質量%以下、より好ましくは30質量%以上75質量%以下である。式(II)中のmは、樹脂(Ca)中の構成単位(β)の平均繰り返し単位数を表し、構成単位(β)の含有割合が上述した範囲内になるようにmを設定することができる。
【0189】
構成単位(γ)の含有割合は、溶剤(J)に対する樹脂(Ca)の溶解性等の観点から、樹脂(Ca)の主鎖骨格を与える全単量体単位の総量100質量%に対し、例えば0.5質量%以上50質量%以下であり、好ましくは2質量%以上50質量%以下、より好ましくは5質量%以上45質量%以下である。
【0190】
樹脂(C)は、GPCによって測定される標準ポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが、例えば1000以上100000以下であり、組成物の現像性及び発光強度の観点から、好ましくは2000以上50000以下であり、より好ましくは3000以上20000以下である。樹脂(C)のMwは、用いる原料の選択、仕込方法、反応温度及び時間等の反応条件を適宜組み合わせて調整することができる。樹脂(C)のMwは、後述の実施例の欄に記載の測定方法に従って測定することができる。あるいは、組成物に含まれる樹脂(C)について、GPCを用いてMwを測定してもよい。
【0191】
GPCによって測定される樹脂(C)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、例えば1.0以上6.0以下であり、発光強度を向上させる観点から、好ましくは1.2以上4.0以下である。
【0192】
樹脂(C)の酸価は、組成物の現像性及び各層の耐溶剤性の観点から、例えば30mgKOH/g以上、好ましくは90mgKOH/g以上150mgKOH/g以下、より好ましくは95mgKOH/g以上140mgKOH/g以下、さらに好ましくは100mgKOH/g以上130mgKOH/g以下である。樹脂(C)の酸価は、酸基を有するモノマー成分(例えば上記(a))の含有率や、カルボン酸又はカルボン酸無水物と環状エーテルとの反応により発生するヒドロキシ基に反応させるカルボン酸無水物の含有率などによって調整することができる。
【0193】
樹脂(C)の酸価は、樹脂(C)1gを中和するに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。具体的には、後述の実施例の欄に記載の測定方法に従って測定することができる。あるいは、組成物に含まれる樹脂(C)について、例えばその構造解析を行うことにより、酸価を求めてもよい。
【0194】
樹脂(C)は、発光強度を向上させる観点から、二重結合当量が、300g/eq以上2000g/eq以下の樹脂を含むことが好ましく、500g/eq以上1500g/eq以下である樹脂を含むことがより好ましい。300g/eq以上2000g/eq以下の二重結合当量を有する樹脂としては、(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。樹脂(C)は、好ましくは(メタ)アクリル系樹脂からなる。
【0195】
組成物Iにおける樹脂(C)の含有率は、組成物Iの固形分の総量に対して、例えば5質量%以上80質量%以下であり、好ましくは10質量%以上70質量%以下であり、より好ましくは13質量%以上60質量%以下であり、さらに好ましくは17質量%以上55質量%以下である。樹脂(C)の含有率が上記範囲であると、半導体粒子(A)が分散し易くなり、波長変換層の発光強度が高くなりやすい傾向にある。
【0196】
組成物IIにおける樹脂(C)の含有率は、組成物IIの固形分の総量に対して、例えば0.00001質量%以上99.99999質量%以下であり、好ましくは1質量%以上99質量%以下、より好ましくは1質量%以上97質量%以下、さらに好ましくは1質量%以上95質量%以下、なおさらに好ましくは3質量%以上90質量%以下、特に好ましくは5質量%以上80質量%以下、最も好ましくは10質量%以上70質量%以下である。
【0197】
組成物IIIにおける樹脂(C)の含有率は、組成物IIIの固形分の総量に対して、例えば0.00001質量%以上99.99999質量%以下であり、好ましくは1質量%以上99質量%以下、より好ましくは1質量%以上97質量%以下、さらに好ましくは1質量%以上95質量%以下、なおさらに好ましくは3質量%以上90質量%以下、特に好ましくは5質量%以上80質量%以下、最も好ましくは10質量%以上70質量%以下である。
【0198】
組成物Iにおいて、重合性化合物(D)に対する樹脂(C)の質量比(固形分比)は、例えば1以上であり、組成物Iの現像性及び波長変換層の発光強度の観点から、好ましくは1.5以上、より好ましくは2以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは4以下である。
【0199】
組成物IIにおいて、重合性化合物(D)に対する樹脂(C)の質量比(固形分比)は、例えば0.5以上であり、組成物IIの現像性の観点から、好ましくは0.8以上、より好ましくは1.2以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは4以下である。
【0200】
組成物IIIにおいて、重合性化合物(D)に対する樹脂(C)の質量比(固形分比)は、例えば1以上であり、組成物IIIの現像性と発光強度の観点から、好ましくは1.5以上、より好ましくは2以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは4以下である。
【0201】
<重合性化合物(D)>
重合性化合物(D)は、後述する重合開始剤(E)から発生した活性ラジカル、酸等によって重合し得る化合物である。重合性化合物(D)としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物等の光重合性化合物が挙げられ、例えば(メタ)アクリル酸エステル化合物である。重合性化合物(D)の他の例は、熱重合性化合物である。組成物は、重合性化合物(D)を2種以上含んでいてもよい。
【0202】
重合性化合物(D)は、好ましくは、分子内にエチレン性不飽和結合を3個以上有する光重合性化合物である。重合性化合物(D)の重量平均分子量は、好ましくは150以上2900以下、より好ましくは250以上1500以下である。
【0203】
重合性化合物(D)としては、分子内に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有し、かつ、酸性官能基を有する化合物(Da)、分子内に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有し、かつ、酸性官能基を有しない化合物(Db)が挙げられる。光重合性化合物は、化合物(Da)及び化合物(Db)の少なくとも1種を含むことが好ましく、化合物(Da)を2種以上、化合物(Db)を2種以上、又は化合物(Da)の少なくとも1種と化合物(Db)の少なくとも1種とを含んでいてもよい。上記酸性官能基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。中でも、酸性官能基は、カルボキシ基であることが好ましい。
【0204】
組成物Iにおける重合性化合物(D)が化合物(Da)を含むことにより、半導体粒子(A)の分散性を向上させることができ、波長変換層の発光強度を向上させ得る。また、重合性化合物(D)が化合物(Da)を含むことにより、組成物の硬化性及び耐熱性を向上させ得る。
【0205】
化合物(D)1分子が有する(メタ)アクリロイルオキシ基の数は、例えば3以上6以下、好ましくは3以上5以下、より好ましくは3である。化合物(Da)1分子が有する酸性官能基の数は、1以上であり、好ましくは1である。2以上の酸性官能基を有する場合は、それぞれの酸性官能基は異なってもいてもよく同一であってもよいが、少なくとも1つのカルボキシ基を有することが好ましい。
【0206】
化合物(Da)としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート又はジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の3つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基及びヒドロキシ基を有する化合物と、ジカルボン酸とをエステル化して得られた化合物が挙げられる。該化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとコハク酸とをモノエステル化した化合物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとコハク酸とをモノエステル化した化合物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとマレイン酸とをモノエステル化した化合物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとマレイン酸とをモノエステル化した化合物等が挙げられる。中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとコハク酸とをモノエステル化した化合物が好ましい。
【0207】
化合物(Da)の市販品としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの二塩基酸無水物付加物を主成分とする東亞合成(株)製「アロニックス M-510」、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートの二塩基酸無水物付加物を主成分とする、東亞合成(株)製「アロニックス M-520D」等を挙げることができる。これらの市販品は、酸性官能基としてカルボキシ基を有する。
【0208】
化合物(Db)が有するエチレン性不飽和結合は、好ましくは(メタ)アクリロイルオキシ基である。化合物(Db)1分子が有するエチレン性不飽和結合の数は、好ましくは3~6である。
【0209】
化合物(Db)としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0210】
組成物の現像性を向上させる観点から、組成物I及び組成物IIIは化合物(Da)を含むことが好ましい。化合物(Da)は、組成物Iまたは組成物IIIに含まれる重合性化合物(D)100質量%中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上含まれる。一方、硬化性向上の観点から、組成物IIは化合物(Db)を含むことが好ましい。化合物(Db)は、組成物IIに含まれる重合性化合物(D)100質量%中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上含まれる。
【0211】
組成物Iにおける重合性化合物(D)の含有率は、組成物Iの固形分の総量に対して、好ましくは7質量%以上60質量%以下、より好ましくは10質量%以上45質量%以下、さらに好ましくは13質量%以上30質量%以下である。重合性化合物(D)の含有率が上記範囲内にあると、組成物Iの現像性及び波長変換層の耐溶剤性が向上する傾向にある。
【0212】
組成物IIにおける重合性化合物(D)の含有率は、組成物IIの固形分の総量に対して、例えば0.00001質量%以上99.99999質量%以下、好ましくは1質量%以上99質量%以下、より好ましくは1質量%以上97質量%以下、さらに好ましくは1質量%以上95質量%以下、なおさらに好ましくは1質量%以上90質量%以下、特に好ましくは2質量%以上80質量%以下、最も好ましくは3質量%以上70質量%以下である。
【0213】
組成物IIIにおける重合性化合物(D)の含有率は、組成物IIIの固形分の総量に対して、例えば0.00001質量%以上99.99999質量%以下、好ましくは1質量%以上99質量%以下、より好ましくは1質量%以上97質量%以下、さらに好ましくは1質量%以上95質量%以下、なおさらに好ましくは1質量%以上90質量%以下、特に好ましくは2質量%以上80質量%以下、殊更好ましくは3質量%以上70質量%以下、好ましくは7質量%以上60質量%以下、より好ましくは10質量%以上55質量%以下、さらに好ましくは15質量%以上50質量%以下である。該含有率が上記範囲内にあると、波長変換層の熱による発光強度の低下を抑制するうえで有利である。
【0214】
<重合開始剤(E)>
重合開始剤(E)は、光又は熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合性化合物(D)の重合を開始し得る化合物である。組成物は、1種又は2種以上の重合開始剤(E)を含むことができる。
【0215】
重合開始剤(E)としては、オキシム化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物及びアシルホスフィン化合物等の光重合開始剤、アゾ系化合物や有機過酸化物等の熱重合開始剤が挙げられる。
【0216】
オキシム化合物の一例は、下記式(1)で表される第1分子構造を有するオキシム化合物である。以下、該オキシム化合物を「オキシム化合物(1)」ともいう。
【0217】
【化10】
【0218】
重合開始剤(E)としてオキシム化合物(1)を含むことは、発光強度を向上させる観点から有利となり得る。このような効果を奏することができる一因は、オキシム化合物(1)が有する特有の分子構造に起因して、オキシム化合物(1)が光重合を開始させる際に必要となるオキシム化合物(1)の開裂(分解)前後でのオキシム化合物(1)の吸収波長が大きく変化することから、オキシム化合物(1)は光ラジカル重合開始能力が高いことにあると推定される。
【0219】
式(1)中、R1は、R11、OR11、COR11、SR11、CONR1213又はCNを表す。
【0220】
11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
【0221】
11、R12又はR13で表わされる基の水素原子は、OR21、COR21、SR21、NR2223、CONR2223、-NR22-OR23、-N(COR22)-OCOR23、-C(=N-OR21)-R22、-C(=N-OCOR21)-R22、CN、ハロゲン原子、又はCOOR21で置換されていてもよい。
【0222】
21、R22及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
【0223】
21、R22又はR23で表される基の水素原子は、CN、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されていてもよい。
【0224】
11、R12、R13、R21、R22又はR23で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-NR24-、-NR24CO-、-NR24COO-、-OCONR24-、-SCO-、-COS-、-OCS-又は-CSO-により1~5回中断されていてもよい。
【0225】
24は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
【0226】
11、R12、R13、R21、R22又はR23で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、また、R12とR13及びR22とR23はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよい。
【0227】
*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造以外の他の分子構造である第2分子構造との結合手を表す。
【0228】
式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24で表される炭素数1~20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、tert-オクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基等が挙げられる。
【0229】
式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24で表される炭素数6~30のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、上記アルキル基で1つ以上置換されたフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
【0230】
式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24で表される炭素数7~30のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α-メチルベンジル基、α、α-ジメチルベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
【0231】
式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24で表される炭素数2~20の複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジル基、フリル基、チエニル基、テトラヒドロフリル基、ジオキソラニル基、ベンゾオキサゾール-2-イル基、テトラヒドロピラニル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、ピラゾリジル基、チアゾリジル基、イソチアゾリジル基、オキサゾリジル基、イソオキサゾリジル基、ピペリジル基、ピペラジル基、モルホリニル基等が挙げられ、好ましくは5~7員複素環である。
【0232】
式(1)中のR12とR13及びR22とR23はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよいとは、R12とR13及びR22とR23はそれぞれ一緒になって接続する窒素原子、炭素原子又は酸素原子とともに環を形成していてもよいことを意味する。
【0233】
式(1)中のR12とR13及びR22とR23が一緒になって形成し得る環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、ピペリジン環、モルホリン環、ラクトン環、ラクタム環等が挙げられ、好ましくは5~7員環である。
【0234】
式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22及びR23が置換基として有してもよいハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0235】
式(1)中のR1は、好ましくはR11であり、より好ましくは炭素数1~20のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1~10のアルキル基であり、なおさらに好ましくは炭素数1~6のアルキル基である。
【0236】
式(1)で表される第1分子構造に連結される第2分子構造の一例は、下記式(2)で表される構造である。第2分子構造とは、オキシム化合物(1)が有する上記第1分子構造以外の他の分子構造部分を意味する。
【0237】
式(2)において「*」で表される結合手は、式(1)において「*」で表される結合手と直接結合している。すなわち、第2分子構造が式(2)で表される構造である場合、式(2)中の「-*」を有するベンゼン環と式(1)中の「-*」を有するカルボニル基とは直接結合している。
【0238】
【化11】
【0239】
式(2)中、R2及びR3は、それぞれ独立に、R11、OR11、SR11、COR11、CONR1213、NR12COR11、OCOR11、COOR11、SCOR11、OCSR11、COSR11、CSOR11、CN又はハロゲン原子を表す。
【0240】
2が複数存在するとき、それらは同じであっても異なっていてもよい。
【0241】
3が複数存在するとき、それらは同じであっても異なっていてもよい。
【0242】
11、R12及びR13は、上記と同じ意味を表す。
【0243】
s及びtは、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。
【0244】
Lは、硫黄原子、CR3132、CO又はNR33を表す。
【0245】
31、R32及びR33は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基又は炭素数7~30のアラルキル基を表す。
【0246】
31、R32又はR33で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、R31、R32及びR33は、それぞれ独立に、隣接するどちらかのベンゼン環と一緒になって環を形成していてもよい。
【0247】
4は、ヒドロキシ基、カルボキシ基又は下記式(2-1)
【0248】
【化12】
【0249】
(式(2-1)中、L1は、-O-、-S-、-NR22-、-NR22CO-、-SO-、-CS-、-OCO-又は-COO-を表す。
【0250】
22は、上記と同じ意味を表す。
【0251】
2は、炭素数1~20のアルキル基からv個の水素原子を除いた基、炭素数6~30のアリール基からv個の水素原子を除いた基、炭素数7~30のアラルキル基からv個の水素原子を除いた基又は炭素数2~20の複素環基からv個の水素原子を除いた基を表す。
【0252】
2で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-NR22-、-NR22COO-、-OCONR22-、-SCO-、-COS-、-OCS-又は-CSO-により1~5回中断されていてもよく、該アルキレン部分は分枝鎖状であってもよく、環状であってもよい。
【0253】
4aは、OR41、SR41、CONR4243、NR42COR43、OCOR41、COOR41、SCOR41、OCSR41、COSR41、CSOR41、CN又はハロゲン原子を表す。
【0254】
4aが複数存在するとき、それらは同じであっても異なっていてもよい。
【0255】
41、R42及びR43は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基又は炭素数7~30のアラルキル基を表し、R41、R42及びR43で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、R42とR43は、一緒になって環を形成していてもよい。
vは1~3の整数を表す。)
で表される基を表す。
【0256】
*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造との結合手を表す。
【0257】
式(2)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23、R24、R31、R32及びR33、並びに上記式(2-1)中のR22、R41、R42及びR43で表される炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基の例は、式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24についての例と同様である。
【0258】
式(2)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23、R24、並びに上記式(2-1)中のR22で表される炭素数2~20の複素環基の例は、式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24についての例と同様である。
【0259】
式(2)中のR31、R32及びR33は、それぞれ独立に、隣接するどちらかのベンゼン環と一緒になって環を形成していてもよいとは、R31、R32及びR33は、それぞれ独立に、隣接するどちらかのベンゼン環と一緒になって接続する窒素原子とともに環を形成していてもよいことを意味する。
【0260】
式(2)中のR31、R32及びR33が隣接するどちらかのベンゼン環と一緒になって形成し得る環の例は、式(1)中のR12とR13及びR22とR23が一緒になって形成し得る環についての例と同様である。
【0261】
上記式(2-1)中のL2は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基又は炭素数2~20の複素環基からv個の水素原子を除いた基を表す。
【0262】
炭素数1~20のアルキル基からv個の水素原子を除いた基としては、例えば、vが1の場合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、1-メチルプロピレン基、2-メチルプロピレン基、1,2-ジメチルプロピレン基、1,3-ジメチルプロピレン基、1-メチルブチレン基、2-メチルブチレン基、3-メチルブチレン基、4-メチルブチレン基、2,4-ジメチルブチレン基、1,3-ジメチルブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、エタン-1,1-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基等のアルキレン基が挙げられる。
【0263】
炭素数6~30のアリール基からv個の水素原子を除いた基としては、例えば、vが1の場合、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基、2,6-ナフチレン基、1,4-ナフチレン基、2,5-ジメチル-1,4-フェニレン基、ジフェニルメタン-4,4’-ジイル基、2,2-ジフェニルプロパン-4,4’-ジイル基、ジフェニルスルフィド-4,4’-ジイル基、ジフェニルスルホン-4,4’-ジイル基等のアリーレン基が挙げられる。
【0264】
炭素数7~30のアラルキル基からv個の水素原子を除いた基としては、例えば、vが1の場合、下記式(a)で表される基及び下記式(b)で表される基等が挙げられる。
【0265】
【化13】

[式(a)及び(b)中、L3及びL5は、炭素数1~10のアルキレン基を表し、L4及びL6は、単結合又は炭素数1~10のアルキレン基を表す。]
【0266】
炭素数1~10のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、1-メチルプロピレン基、2-メチルプロピレン基、1,2-ジメチルプロピレン基、1,3-ジメチルプロピレン基、1-メチルブチレン基、2-メチルブチレン基、3-メチルブチレン基、4-メチルブチレン基、2,4-ジメチルブチレン基、1,3-ジメチルブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等が挙げられる。
【0267】
炭素数2~20の複素環基からv個の水素原子を除いた基としては、例えば、vが1の場合、2,5-ピリジンジイル基、2,6-ピリジンジイル基、2,5-ピリミジンジイル基、2,5-チオフェンジイル基、3,4-テトラヒドロフランジイル基、2,5-テトラヒドロフランジイル基、2,5-フランジイル基、3,4-チアゾールジイル基、2,5-ベンゾフランジイル基、2,5-ベンゾチオフェンジイル基、N-メチルインドール-2,5-ジイル基、2,5-ベンゾチアゾールジイル基、2,5-ベンゾオキサゾールジイル基等の2価の複素環基が挙げられる。
【0268】
式(2)中のR2及びR3、並びに上記式(2-1)中のR4aで表されるハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0269】
溶剤(J)への溶解性、及び/又は、組成物の現像性の観点から、式(2)で表される構造の好ましい例は、下記式(2a)で表される構造である。
【0270】
【化14】
【0271】
[式(2a)中、L’は、硫黄原子又はNR50を表し、R50は、直鎖状、分枝鎖状又は環状の炭素数1~20のアルキル基を表し、R2、R3、R4、s及びtは、前記と同じ意味を表す。]
上記と同様の観点から、式(2)で表される構造の他の好ましい例は、下記式(2b)で表される構造である。
【0272】
【化15】
【0273】
[式(2b)中、R44は、ヒドロキシ基、カルボキシ基又は下記式(2-2)
【0274】
【化16】
【0275】
(式(2-2)中、L11は、*-O-又は*-OCO-を表し、*はL12との結合手を表し、L12は、炭素数1~20のアルキレン基を表し、該アルキレン基は、1~3個の-O-により中断されていてもよく、R44aは、OR55又はCOOR55を表し、R55は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。)
で表される基を表す。]
44は、好ましくは、式(2-2)で表される基である。この場合、オキシム化合物(1)の溶剤(J)への溶解性及び組成物の現像性の点で有利となる。
【0276】
12で表されるアルキレン基の炭素数は、好ましくは1~10であり、より好ましくは1~4である。
【0277】
44aは、好ましくはヒドロキシ基又はカルボキシ基であり、より好ましくはヒドロキシ基である。
【0278】
式(2)で表される第2分子構造を有するオキシム化合物(1)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、特開2011-132215号公報に記載の方法で製造することができる。
【0279】
式(1)で表される第1分子構造に連結される第2分子構造の他の一例は、下記式(3)で表される構造である。
【0280】
式(3)において「*」で表される結合手は、式(1)において「*」で表される結合手と直接結合している。すなわち、第2分子構造が式(3)で表される構造である場合、式(3)中の「-*」を有するベンゼン環と式(1)中の「-*」を有するカルボニル基とは直接結合している。
【0281】
【化17】
【0282】
式(3)中、R5は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
【0283】
5で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分枝鎖状であってもよく、環状であってもよい。
【0284】
5で表される基の水素原子は、R21、OR21、COR21、SR21、NR2223、CONR2223、-NR22-OR23、-N(COR22)-OCOR23、NR22COR21、OCOR21、COOR21、-C(=N-OR21)-R22、-C(=N-OCOR21)-R22、SCOR21、OCSR21、COSR21、CSOR21、水酸基、ニトロ基、CN、ハロゲン原子、又はCOOR21で置換されていてもよい。
【0285】
21、R22及びR23は、上記と同じ意味を表す。
【0286】
21、R22又はR23で表される基の水素原子は、CN、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されていてもよい。
【0287】
21、R22及びR23で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-NR24-、-NR24CO-、-NR24COO-、-OCONR24-、-SCO-、-COS-、-OCS-又は-CSO-により1~5回中断されていてもよい。
【0288】
24は、上記と同じ意味を表す。
【0289】
21、R22及びR23で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、また、R22とR23は一緒になって環を形成していてもよい。
【0290】
6、R7、R8及びR9は、それぞれ独立に、R61、OR61、SR61、COR62、CONR6364、NR65COR61、OCOR61、COOR62、SCOR61、OCSR61、COSR62、CSOR61、水酸基、ニトロ基、CN又はハロゲン原子を表す。
【0291】
61、R62、R63、R64及びR65は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
【0292】
61、R62、R63、R64又はR65で表わされる基の水素原子は、OR21、COR21、SR21、NR2223、CONR2223、-NR22-OR23、-N(COR22)-OCOR23、-C(=N-OR21)-R22、-C(=N-OCOR21)-R22、CN、ハロゲン原子、又はCOOR21で置換されていてもよい。
【0293】
6とR7、R7とR8及びR8とR9はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよい。
【0294】
*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造との結合手を表す。
【0295】
式(3)中のR5、R21、R22、R23、R24、R61、R62、R63、R64及びR65で表される炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基、炭素数2~20の複素環基の例は、式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24についての例と同様である。
【0296】
式(3)中のR22とR23は一緒になって環を形成していてもよいとは、R22とR23は一緒になって接続する窒素原子、炭素原子又は酸素原子とともに環を形成していてもよいことを意味する。
【0297】
式(3)中のR22とR23が一緒になって形成し得る環の例は、式(1)中のR12とR13及びR22とR23が一緒になって形成し得る環についての例と同様である。
【0298】
式(3)中のR6、R7、R8及びR9で表されるハロゲン原子、R5、R21、R22、R23、R61、R62、R63、R64及びR65の水素原子を置換してもよいハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0299】
溶剤(J)への溶解性、及び/又は、組成物の現像性の観点から、1つの好ましい形態において、R5は、下記式(3-1)で表される基である。
【0300】
【化18】
【0301】
[式(3-1)中、Zは、炭素数1~20のアルキル基から1個の水素原子を除いた基、炭素数6~30のアリール基から1個の水素原子を除いた基、炭素数7~30のアラルキル基から1個の水素原子を除いた基又は炭素数2~20の複素環基から1個の水素原子を除いた基を表し、
Zで表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-NR24-、-NR24COO-、-OCONR24-、-SCO-、-COS-、-OCS-又は-CSO-により1~5回中断されていてもよく、該アルキレン部分は分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、
21、R22及びR24は、前記と同じ意味を表す。]
式(3-1)中のZは、上記と同様の観点から、好ましくは、メチレン基、エチレン基又はフェニレン基である。
【0302】
式(3-1)中のR21及びR22は、上記と同様の観点から、好ましくは、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~30のアリール基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基又はフェニル基である。
【0303】
上記と同様の観点から、他の1つの好ましい形態において、R7は、ニトロ基である。
【0304】
式(3)で表される第2分子構造を有するオキシム化合物(1)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、特開2000-80068号公報及び特開2011-178776号公報に記載の方法で製造することができる。
【0305】
式(1)で表される第1分子構造に連結される第2分子構造のさらに他の一例は、下記式(4)で表される構造である。
【0306】
式(4)において「*」で表される結合手は、式(1)において「*」で表される結合手と直接結合している。すなわち、第2分子構造が式(4)で表される構造である場合、式(4)中の「-*」を有するベンゼン環と式(1)中の「-*」を有するカルボニル基とは直接結合している。
【0307】
【化19】
【0308】
式(4)中、R71は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
【0309】
71で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分枝鎖状であってもよく、環状であってもよい。
【0310】
71で表される基の水素原子は、R21、OR21、COR21、SR21、NR2223、CONR2223、-NR22-OR23、-N(COR22)-OCOR23、NR22COR21、OCOR21、COOR21、-C(=N-OR21)-R22、-C(=N-OCOR21)-R22、SCOR21、OCSR21、COSR21、CSOR21、水酸基、ニトロ基、CN、ハロゲン原子、又はCOOR21で置換されていてもよい。
【0311】
21、R22及びR23は、前記と同じ意味を表す。
【0312】
21、R22又はR23で表される基の水素原子は、CN、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されていてもよい。
【0313】
21、R22及びR23で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-NR24-、-NR24CO-、-NR24COO-、-OCONR24-、-SCO-、-COS-、-OCS-又は-CSO-により1~5回中断されていてもよい。
【0314】
24は、上記と同じ意味を表す。
【0315】
21、R22及びR23で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、また、R22とR23は一緒になって環を形成していてもよい。
【0316】
72、R73及び3個のR74は、それぞれ独立に、R61、OR61、SR61、COR62、CONR6364、NR65COR61、OCOR61、COOR62、SCOR61、OCSR61、COSR62、CSOR61、水酸基、ニトロ基、CN又はハロゲン原子を表す。
【0317】
61、R62、R63、R64及びR65は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
【0318】
61、R62、R63、R64又はR65で表わされる基の水素原子は、OR21、COR21、SR21、NR2223、CONR2223、-NR22-OR23、-N(COR22)-OCOR23、-C(=N-OR21)-R22、-C(=N-OCOR21)-R22、CN、ハロゲン原子、又はCOOR21で置換されていてもよい。
【0319】
72とR73及び2個のR74はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよい。
【0320】
*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造との結合手を表す。
【0321】
式(4)中のR71、R21、R22、R23、R24、R61、R62、R63、R64及びR65で表される炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基、炭素数2~20の複素環基の例は、式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24についての例と同様である。
【0322】
式(4)中のR22とR23は一緒になって環を形成していてもよいとは、R22とR23は一緒になって接続する窒素原子、炭素原子又は酸素原子とともに環を形成していてもよいことを意味する。
【0323】
式(4)中のR22とR23が一緒になって形成し得る環の例は、式(1)中のR12とR13及びR22とR23が一緒になって形成し得る環についての例と同様である。
【0324】
式(4)中のR72、R73及びR74で表されるハロゲン原子、R71、R21、R22、R23、R61、R62、R63、R64及びR65の水素原子を置換してもよいハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0325】
式(4)で表される第2分子構造を有するオキシム化合物(1)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、国際公開第2017/051680号及び国際公開第2020/004601号に記載の方法で製造することができる。
【0326】
式(1)で表される第1分子構造に連結される第2分子構造のさらに他の一例は、下記式(5)で表される構造である。
【0327】
式(5)において「*」で表される結合手は、式(1)において「*」で表される結合手と直接結合している。すなわち、第2分子構造が式(5)で表される構造である場合、式(5)中の「-*」を有するピロール環と式(1)中の「-*」を有するカルボニル基とは直接結合している。
【0328】
【化20】
【0329】
式(5)中、R81は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
【0330】
81で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分枝鎖状であってもよく、環状であってもよい。
【0331】
81で表される基の水素原子は、R21、OR21、COR21、SR21、NR2223、CONR2223、-NR22-OR23、-N(COR22)-OCOR23、NR22COR21、OCOR21、COOR21、-C(=N-OR21)-R22、-C(=N-OCOR21)-R22、SCOR21、OCSR21、COSR21、CSOR21、水酸基、ニトロ基、CN、ハロゲン原子、又はCOOR21で置換されていてもよい。
【0332】
21、R22及びR23は、上記と同じ意味を表す。
【0333】
21、R22又はR23で表される基の水素原子は、CN、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されていてもよい。
【0334】
21、R22及びR23で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-NR24-、-NR24CO-、-NR24COO-、-OCONR24-、-SCO-、-COS-、-OCS-又は-CSO-により1~5回中断されていてもよい。
【0335】
24は、上記と同じ意味を表す。
【0336】
21、R22及びR23で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分枝鎖状であってもよく、環状であってもよく、また、R22とR23は一緒になって環を形成していてもよい。
【0337】
82、R83、R84、R85及びR86は、それぞれ独立に、R61、OR61、SR61、COR62、CONR6364、NR65COR61、OCOR61、COOR62、SCOR61、OCSR61、COSR62、CSOR61、水酸基、ニトロ基、CN又はハロゲン原子を表す。
【0338】
61、R62、R63、R64及びR65は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
【0339】
61、R62、R63、R64又はR65で表わされる基の水素原子は、OR21、COR21、SR21、NR2223、CONR2223、-NR22-OR23、-N(COR22)-OCOR23、-C(=N-OR21)-R22、-C(=N-OCOR21)-R22、CN、ハロゲン原子、又はCOOR21で置換されていてもよい。
【0340】
83とR84、R84とR85及びR85とR86はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよい。
【0341】
*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造との結合手を表す。
【0342】
式(5)中のR81、R21、R22、R23、R24、R61、R62、R63、R64及びR65で表される炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基、炭素数2~20の複素環基の例は、式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24についての例と同様である。
【0343】
式(5)中のR22とR23は一緒になって環を形成していてもよいとは、R22とR23は一緒になって接続する窒素原子、炭素原子又は酸素原子とともに環を形成していてもよいことを意味する。
【0344】
式(5)中のR22とR23が一緒になって形成し得る環の例は、式(1)中のR12とR13及びR22とR23が一緒になって形成し得る環についての例と同様である。
【0345】
式(5)中のR82、R83、R84、R85及びR86で表されるハロゲン原子、R81、R21、R22、R23、R61、R62、R63、R64及びR65の水素原子を置換してもよいハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0346】
式(5)で表される第2分子構造を有するオキシム化合物(1)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、国際公開第2017/051680号及び国際公開第2020/004601号に記載の方法で製造することができる。
【0347】
式(1)で表される第1分子構造に連結される第2分子構造のさらに他の一例は、下記式(6)で表される構造である。
【0348】
式(6)において「*」で表される結合手は、式(1)において「*」で表される結合手と直接結合している。すなわち、第2分子構造が式(6)で表される構造である場合、式(6)中の「-*」を有するベンゼン環と式(1)中の「-*」を有するカルボニル基とは直接結合している。
【0349】
【化21】
【0350】
式(6)中、4個のR91、R92、R93、R94、R95、R96及びR97は、それぞれ独立に、R61、OR61、SR61、COR62、CONR6364、NR65COR61、OCOR61、COOR62、SCOR61、OCSR61、COSR62、CSOR61、水酸基、ニトロ基、CN又はハロゲン原子を表す。
【0351】
61、R62、R63、R64及びR65は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
【0352】
61、R62、R63、R64又はR65で表わされる基の水素原子は、OR21、COR21、SR21、NR2223、CONR2223、-NR22-OR23、-N(COR22)-OCOR23、-C(=N-OR21)-R22、-C(=N-OCOR21)-R22、CN、ハロゲン原子、又はCOOR21で置換されていてもよい。
【0353】
21、R22及びR23は、上記と同じ意味を表す。
【0354】
92とR93、R94とR95、R95とR96及びR96とR97はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよい。
【0355】
*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造との結合手を表す。
【0356】
式(6)中のR21、R22、R23、R61、R62、R63、R64及びR65で表される炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基、炭素数2~20の複素環基の例は、式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22及びR23についての例と同様である。
【0357】
式(6)中のR22とR23は一緒になって環を形成していてもよいとは、R22とR23は一緒になって接続する窒素原子、炭素原子又は酸素原子とともに環を形成していてもよいことを意味する。
【0358】
式(6)中のR22とR23が一緒になって形成し得る環の例は、式(1)中のR12とR13及びR22とR23が一緒になって形成し得る環についての例と同様である。
【0359】
式(6)中のR91、R92、R93、R94、R95、R96及びR97で表されるハロゲン原子、R21、R22、R23、R61、R62、R63、R64及びR65の水素原子を置換してもよいハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0360】
式(6)で表される第2分子構造を有するオキシム化合物(1)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、国際公開第2017/051680号及び国際公開第2020/004601号に記載の方法で製造することができる。
【0361】
オキシム化合物(ただしオキシム化合物(1)を除く)の他の例は、式(EA)で表される化合物である。
【0362】
【化22】

[式中、
ea1は、置換基を有していてもよい炭素数3~20の分岐状の炭化水素基を表す。
ea2~Rea5は、それぞれ独立して、置換基を有してもよい炭素数1~20の炭化水素基を表す。
nは0~4のいずれかの整数を表す。
前記炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-、-S-、-CO-または-OCO-に置き換わっていてもよい。]
【0363】
ea1で表される炭素数3~20の分岐状の炭化水素基としては、炭素数3~20の分岐状の飽和炭化水素基、炭素数3~20の分岐状の不飽和炭化水素基等が挙げられる。
【0364】
ea1で表される炭素数3~20の分岐状の飽和炭化水素基としては、例えば、1-メチルエチル基(イソプロピル基)、1-メチルプロピル基(sec-ブチル基)、2-メチルプロピル基(イソブチル基)、1,1-ジメチルエチル基(tert-ブチル基)、1,1-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1,1-ジメチルペンチル基、2,2-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、1,2-ジメチルペンチル基、1,3-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、1-エチルペンチル基、2-エチルペンチル基、3-エチルペンチル基、1-メチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、1,1-ジメチルヘキシル基、2,2-ジメチルヘキシル基、3,3-ジメチルヘキシル基、1,2-ジメチルヘキシル基、1,3-ジメチルヘキシル基、2,3-ジメチルヘキシル基、1-エチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、1-メチルヘプチル基、2-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、4-メチルヘプチル基、1,1-ジメチルヘプチル基、2,2-ジメチルヘプチル基、3,3-ジメチルヘプチル基、1,2-ジメチルヘプチル基、1,3-ジメチルヘプチル基、2,3-ジメチルヘプチル基、1-エチルヘプチル基、2-エチルヘプチル基、3-エチルヘプチル基、1-メチルオクチル基、2-メチルオクチル基、3-メチルオクチル基、4-メチルオクチル基、1,1-ジメチルオクチル基、2,2-ジメチルオクチル基、3,3-ジメチルオクチル基、1,2-ジメチルオクチル基、1,3-ジメチルオクチル基、2,3-ジメチルオクチル基、1-エチルオクチル基、2-エチルオクチル基、3-エチルオクチル基、1-メチルノニル基、2-メチルノニル基、3-メチルノニル基、4-メチルノニル基、ジメチルノニル基、エチルノニル基、メチルデシル基、ジメチルデシル基、エチルデシル基、メチルウンデシル基、ジメチルウンデシル基、エチルウンデシル基、メチルドデシル基等の分岐鎖状アルキル基;が挙げられる。
ea1で表される分岐鎖状アルキル基は、第1級分岐鎖状アルキル基、第2級分岐鎖状アルキル基、または第3級分岐鎖状アルキル基のいずれであってもよい。
ea1で表される分岐状の飽和炭化水素基の炭素数は、好ましくは4以上、より好ましくは5以上であり、好ましくは16以下、より好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下である。
【0365】
ea1で表される分岐状の不飽和炭化水素基としては、前述したRea1で表される分岐状の飽和炭化水素基に含まれる少なくとも1以上の炭素-炭素単結合が、炭素-炭素二重結合または炭素-炭素三重結合に置き換わった基等が例示される。
ea1で表される分岐状の不飽和炭化水素基としては、例えば、イソプロペニル基、イソブテニル基、イソペンテニル基、イソヘキセニル基、イソヘプテニル基、イソオクテニル基、イソノニル基、イソデセニル基等のアルケニル基;イソプロピニル基、イソブチニル基、イソペンチニル基、イソヘキシニル基、イソヘプチニル基、イソオクチニル基、イソノニニル基、イソデシニル基;等のアルキニル基;等が挙げられる。
ea1で表される分岐状の不飽和炭化水素基の炭素数は、好ましくは4以上、より好ましくは5以上であり、好ましくは16以下、より好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下である。
【0366】
ea2、Rea3、Rea4及びRea5で表される炭素数1~20の炭化水素基としては、炭素数1~20の飽和炭化水素基、炭素数2~20の不飽和炭化水素基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基等が挙げられる。Rea2、Rea3、Rea4及びRea5で表される炭化水素基は、それぞれ、同一であっても異なってもよい。
【0367】
前記炭素数1~20の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、イコシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2-エチルヘキシル基等の分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、トリシクロデシル基等の炭素数3~20の脂環式飽和炭化水素基が挙げられる。飽和炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~18、より好ましくは1~15、さらに好ましくは1~10、さらにより好ましくは1~8である。
【0368】
前記炭素数2~20の不飽和炭化水素基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、イコセニル基等のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、ヘキシニル基、デシニル基、イコシニル基等のアルキニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基等のシクロアルケニル基;等が挙げられる。不飽和炭化水素基の炭素数は、好ましくは2~18、より好ましくは2~15、さらに好ましくは2~10である。
【0369】
前記炭素数6~20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、キシリル基、トリメチルフェニル基、ジプロピルフェニル基、ジ(2,2-ジメチルプロピル)フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルブチル基等が挙げられる。芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6~18、より好ましくは6~15、さらに好ましくは6~12である。
【0370】
ea1、Rea2、Rea3、Rea4及びRea5で表される炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基が挙げられる。ハロゲン原子は、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子であることが好ましい。
【0371】
前記炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-、-S-、-CO-または-OCO-に置き換わっていてもよく、隣接する-CH2-が同時に同種の基に置換されることはなく、末端の-CH2-が置換されることはない。
【0372】
nは0~4のいずれかの整数を表し、好ましくは0~3の整数、より好ましくは0~2の整数、さらに好ましくは0又は1の整数、さらにより好ましくは0である。
【0373】
*-OCO-Rea4基(*は、フェニル基との結合手を表す。)の結合位置は、該*-OCO-Rea4基が結合するフェニル基の2位、3位または4位のいずれであってもよいが、好ましくは3位または4位、より好ましくは4位である。
【0374】
ea1で表される炭素数3~20の分岐状の炭化水素基は、
炭素数3~20の分岐状の飽和炭化水素基が好ましく、
炭素数3~20の分岐鎖状アルキル基がより好ましく、
炭素数3~10の分岐鎖状アルキル基がさらに好ましく、
1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、1-エチルペンチル基、2-エチルペンチル基、3-エチルペンチル基、1-メチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、1-エチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、1-メチルヘプチル基、2-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、1-エチルヘプチル基、2-エチルヘプチル基及び3-エチルヘプチル基からなる群より選択される1以上が好ましい。
【0375】
ea2、Rea3、Rea4及びRea5で表される炭素数1~20の炭化水素基は、
炭素数1~20の飽和炭化水素基、炭素数2~20の不飽和炭化水素基が好ましく、
炭素数1~20の飽和炭化水素基がより好ましく、
炭素数1~10の鎖状の飽和炭化水素基がさらに好ましく、
炭素数1~8の鎖状のアルキル基がさらにより好ましい。
ea2は、炭素数1~8の鎖状アルキル基が好ましく、炭素数1~6の鎖状アルキル基がより好ましい。
ea3は、炭素数1~8の鎖状アルキル基が好ましく、炭素数1~3の鎖状アルキル基がより好ましい。
ea4は、炭素数1~8の鎖状アルキル基が好ましく、炭素数1~3の鎖状アルキル基がより好ましい。
ea5は、炭素数1~8の鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましく、炭素数1~6の鎖状又は分岐状のアルキル基がより好ましい。
【0376】
光重合開始剤の他の例は、オキシム化合物(1)及び式(EA)で表される化合物以外の他の光重合開始剤である。他の光重合開始剤としては、オキシム化合物(1)及び式(EA)で表される化合物以外のオキシム化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物及びアシルホスフィン化合物が挙げられる。
【0377】
オキシム化合物(1)及び式(EA)で表される化合物以外のオキシム化合物としては、下記式(d1)で表される部分構造を有するオキシム化合物が挙げられる。*は結合手を表す。
【0378】
【化23】
【0379】
式(d1)で表される部分構造を有するオキシム化合物としては、例えば、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-{2-メチル-4-(3,3-ジメチル-2,4-ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン;特開2011-132215号公報、国際公開第2008/78678号、国際公開第2008/78686号、国際公開第2012/132558号記載の化合物等が挙げられる。イルガキュアOXE01(N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン)、OXE02(N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン)(以上、BASF社製)、N-1919(ADEKA社製)等の市販品を用いてもよい。
【0380】
中でも、式(d1)で表される部分構造を有するオキシム化合物は、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン及びN-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミンまたはN-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミンがより好ましい。
【0381】
ビイミダゾール化合物としては、例えば、式(d5)で表される化合物が挙げられる。
【0382】
【化24】
【0383】
[式(d5)中、RE~RJは、置換基を有していてもよい炭素数6~10のアリール基を表す。]
炭素数6~10のアリール基としては、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、エチルフェニル基及びナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
【0384】
置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルコキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子である。炭素数1~4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等挙げられ、好ましくはメトキシ基である。
【0385】
ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平06-75372号公報、特開平06-75373号公報等参照。)、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48-38403号公報、特開昭62-174204号公報等参照。)、4,4’5,5’-位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているビイミダゾール化合物(例えば、特開平7-10913号公報等参照。)等が挙げられる。中でも、下記式で表される化合物又はこれらの混合物が好ましい。
【0386】
【化25】
【0387】
トリアジン化合物としては、例えば、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(フラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(4-ジエルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。中でも、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジンが好ましい。
【0388】
アシルホスフィン化合物としては、例えば、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0389】
オキシム化合物(1)及び式(EA)で表される化合物以外の他の光重合開始剤の別の例としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10-フェナンスレンキノン、2-エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン化合物;10-ブチル-2-クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。
【0390】
組成物Iにおける重合開始剤(E)の含有量は、重合性化合物(D)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上300質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上200質量部以下である。また、組成物Iにおける重合開始剤(E)の含有量は、樹脂(C)及び重合性化合物(D)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上20質量部以下である。重合開始剤(E)の含有量が上記範囲内にあると、組成物Iが高感度化して露光時間が短縮される傾向があるため、波長変換層の生産性が向上する傾向にある。
【0391】
組成物IIにおける重合開始剤(E)の含有率は、樹脂(C)及び重合性化合物(D)の合計量に対して、好ましくは0.001質量%以上60質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上50質量%以下である。
【0392】
組成物IIIにおける重合開始剤(E)の含有率は、樹脂(C)及び重合性化合物(D)の合計量に対して、好ましくは0.001質量%以上60質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上50質量%以下であり、更に好ましくは0.05質量%以上30質量%以下であり、一層好ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。
【0393】
重合開始剤(E)におけるオキシム化合物(1)の含有率は、発光強度を向上させる観点から、重合開始剤(E)の総量に対して、好ましくは30質量%以上100質量%以下、より好ましくは50質量%以上100質量%以下、さらに好ましくは80質量%以上100質量%以下、なおさらに好ましくは90質量%以上100質量%以下、特に好ましくは95質量%以上100質量%以下、最も好ましくは100質量%である。
【0394】
<重合開始助剤(E1)>
組成物は、重合開始剤(E)とともに重合開始助剤(E1)をさらに含むことができる。重合開始助剤(E1)は、重合開始剤(E)によって開始された重合性化合物(D)の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。重合開始助剤(E1)としては、アミン化合物、アルコキシアントラセン化合物、チオキサントン化合物及びカルボン酸化合物等の光重合開始助剤、並びに熱重合開始助剤が挙げられる。組成物は、重合開始助剤(E1)を2種以上含んでいてもよい。
【0395】
アミン化合物としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0396】
アルコキシアントラセン化合物としては、例えば、9,10-ジメトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジブトキシアントラセン等が挙げられる。
【0397】
チオキサントン化合物としては、例えば、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0398】
カルボン酸化合物としては、例えば、フェニルスルファニル酢酸、メチルフェニルスルファニル酢酸、エチルフェニルスルファニル酢酸、メチルエチルフェニルスルファニル酢酸、ジメチルフェニルスルファニル酢酸、メトキシフェニルスルファニル酢酸、ジメトキシフェニルスルファニル酢酸、クロロフェニルスルファニル酢酸、ジクロロフェニルスルファニル酢酸、N-フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N-ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸等が挙げられる。
【0399】
組成物Iが重合開始助剤(E1)を含む場合、組成物Iにおける重合開始助剤(E1)の含有量は、重合性化合物(D)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上300質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上200質量部以下である。また、組成物Iにおける重合開始助剤(E1)の含有量は、樹脂(C)及び重合性化合物(D)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下、より好ましくは1質量部以上20質量部以下である。重合開始助剤(E1)の含有量が上記範囲内にあると、組成物Iのさらなる高感度化を図ることができる。
【0400】
重合開始助剤(E1)を用いる場合、組成物IIにおける重合開始助剤(E1)の含有率は、樹脂(C)及び重合性化合物(D)の合計量に対して、好ましくは0.00001質量%以上60質量%以下、より好ましくは0.0001質量%以上50質量%以下である。また、組成物IIにおける重合開始助剤(E1)の含有量は、樹脂(C)及び重合性化合物(D)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下、より好ましくは1質量部以上20質量部以下である。
【0401】
重合開始助剤(E1)を用いる場合、組成物IIIにおける重合開始助剤(E1)の含有率は、樹脂(C)及び重合性化合物(D)の合計量に対して、好ましくは0.00001質量%以上60質量%以下、より好ましくは0.0001質量%以上50質量%以下である。また、組成物IIIにおける重合開始助剤(E1)の含有量は、樹脂(C)及び重合性化合物(D)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下、より好ましくは1質量部以上20質量部以下である。
【0402】
<酸化防止剤(F)>
酸化防止剤(F)としては、工業的に一般に使用される酸化防止剤であれば特に限定はなく、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、リン/フェノール複合型酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤等を用いることができる。組成物は、酸化防止剤(F)を2種以上含んでいてもよい。
【0403】
リン/フェノール複合型酸化防止剤は、例えば、分子中にリン原子とフェノール構造とをそれぞれ1以上有する化合物である。中でも、組成物の現像性及び発光強度の観点から、酸化防止剤(F)は、リン/フェノール複合型酸化防止剤を含むことが好ましい。
【0404】
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、イルガノックス(登録商標)1010(Irganox 1010:ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、BASF(株)製)、同1076(Irganox 1076:オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、BASF(株)製)、同1330(Irganox 1330:3,3’,3’’,5,5’,5’’-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a’’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、BASF(株)製)、同3114(Irganox 3114:1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、BASF(株)製)、同3790(Irganox 3790:1,3,5-トリス((4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-キシリル)メチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、BASF(株)製)、同1035(Irganox 1035:チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、BASF(株)製)、同1135(Irganox 1135:ベンゼンプロパン酸の3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-C7-C9側鎖アルキルエステル、BASF(株)製)、同1520L(Irganox 1520L:4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、BASF(株)製)、同3125(Irganox 3125、BASF(株)製)、同565(Irganox 565:2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3’、5’-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、BASF(株)製)、アデカスタブ(登録商標)AO-80(アデカスタブ AO-80:3,9-ビス(2-(3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ)-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、(株)ADEKA製)、スミライザー(登録商標)BHT、同GA-80、同GS(以上、住友化学(株)製)、サイアノックス(登録商標)1790(Cyanox 1790、(株)サイテック製)、ビタミンE(エーザイ(株)製)等が挙げられる。
【0405】
リン系酸化防止剤としては、例えば、イルガフォス(登録商標)168(Irgafos 168:トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)フォスファイト、BASF(株)製)、同12(Irgafos 12:トリス[2-[[2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d、f][1,3,2]ジオキサフォスフィン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、BASF(株)製)、同38(Irgafos 38:ビス(2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル)エチルエステル亜りん酸、BASF(株)製)、アデカスタブ(登録商標)329K、同PEP36、同PEP-8(以上、(株)ADEKA製)、Sandstab P-EPQ(クラリアント社製)、Weston(登録商標)618、同619G(以上、GE社製)、Ultranox626(GE社製)等が挙げられる。
【0406】
リン/フェノール複合型酸化防止剤としては、例えば、スミライザー(登録商標)GP(6-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンズ[d,f][1.3.2]ジオキサホスフェピン)(住友化学(株)製)等が挙げられる。
【0407】
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、ジミリスチル又はジステアリール等のジアルキルチオジプロピオネート化合物及びテトラキス[メチレン(3-ドデシルチオ)プロピオネート]メタン等のポリオールのβ-アルキルメルカプトプロピオン酸エステル化合物等が挙げられる。
【0408】
組成物Iにおける酸化防止剤(F)の含有量は、樹脂(C)100質量部に対して、例えば1質量部以上50質量部以下であり、発光強度及び耐熱性の観点から、好ましくは5質量部以上40質量部以下、より好ましくは7質量部以上30質量部以下である。
【0409】
組成物IIにおける酸化防止剤(F)の含有量は、樹脂(C)100質量部に対して、例えば1質量部以上50質量部以下であり、発光強度及び耐熱性の観点から、好ましくは5質量部以上40質量部以下、より好ましくは7質量部以上30質量部以下である。
【0410】
組成物IIIにおける酸化防止剤(F)の含有量は、樹脂(C)100質量部に対して、例えば1質量部以上50質量部以下であり、発光強度及び耐熱性の観点から、好ましくは5質量部以上40質量部以下、より好ましくは7質量部以上30質量部以下である。
【0411】
<溶剤(J)>
溶剤(J)は、好ましくは、樹脂(C)、重合性化合物(D)及び重合開始剤(E)を溶解するものである。溶剤(J)としては、例えば、エステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-及びCOO-を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0412】
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n-ブチル、2-ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸n-ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n-ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸n-ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキシルアセテート及びγ-ブチロラクトン等が挙げられる。
【0413】
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール及びメチルアニソール等が挙げられる。
【0414】
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0415】
ケトン溶剤としては、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、アセトン、2-ブタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びイソホロン等が挙げられる。
【0416】
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリン等が挙げられる。
【0417】
芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレン等が挙げられる。
【0418】
アミド溶剤としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド及びN-メチルピロリドン等が挙げられる。
【0419】
溶剤(J)は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキシルアセテート、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングコールモノエチルエーテル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、及び芳香族炭化水素溶剤からなる群より選択される1種又は2種以上を含むことが好ましい。
【0420】
溶剤(J)としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキシルアセテート、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングコールモノエチルエーテル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン若しくはトルエン、又はこれらのうちの2種以上の混合物が好ましい。
【0421】
溶剤(J)は、固形分以外の成分であり、例えば半導体粒子(A)の分散液や樹脂(C)の溶液等に含まれる溶剤も溶剤(J)に包含される。
【0422】
組成物Iにおける溶剤(J)の含有率は、組成物Iの総量に対する該組成物に含まれる全溶剤の合計質量の割合であり、組成物Iの総量に対して、例えば40質量%以上95質量%以下であり、好ましくは55質量%以上90質量%以下である。言い換えると、組成物Iの固形分は、例えば5質量%以上60質量%以下であり、好ましくは10質量%以上45質量%以下である。溶剤(J)の含有率が上記範囲内にあると、塗布時の組成物層の平坦性がより良好になり、また適切な厚みの波長変換層を形成しやすい傾向にある。
【0423】
組成物IIの固形分は、組成物IIの総量に対して、好ましくは0.01質量%以上100質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上99.9質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以上99質量%以下、なおさらに好ましくは1質量%以上90質量%以下、一層好ましくは1質量%以上80質量%以下、特に好ましくは1質量%以上70質量%以下であり、極めて好ましくは1質量%以上60質量%以下、最も好ましくは1質量%以上50質量%以下である。
【0424】
組成物IIIの固形分は、組成物IIIの総量に対して、好ましくは0.01質量%以上100質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上99.9質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以上99質量%以下、なおさらに好ましくは1質量%以上90質量%以下、一層好ましくは1質量%以上80質量%以下、特に好ましくは1質量%以上70質量%以下であり、極めて好ましくは1質量%以上60質量%以下、最も好ましくは1質量%以上50質量%以下である。
【0425】
<レベリング剤(H)>
レベリング剤(H)としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、側鎖に重合性基を有していてもよい。レベリング剤(H)は、組成物の現像性及び発光強度の観点から、好ましくはフッ素系界面活性剤である。組成物は、レベリング剤(H)を2種以上含んでいてもよい。
【0426】
シリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH8400(商品名:東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF4446、TSF4452及びTSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0427】
フッ素系界面活性剤としては、分子内にフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、フロラード(登録商標)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同F554、同F575、同R30、同RS-718-K(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)及びE5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
【0428】
フッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477及び同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。
【0429】
組成物Iがレベリング剤(H)を含む場合、組成物Iにおけるレベリング剤(H)の含有率は、組成物Iの総量に対して、例えば0.001質量%以上1.0質量%以下、好ましくは0.005質量%以上0.75質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上0.5質量%以下である。レベリング剤(H)の含有率が上記範囲内にあると、波長変換層の平坦性をより良好にすることができる。
【0430】
組成物IIがレベリング剤(H)を含む場合、組成物IIにおけるレベリング剤(H)の含有率は、組成物IIの総量に対して、例えば0.001質量%以上1.0質量%以下、好ましくは0.005質量%以上0.75質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上0.5質量%以下である。
【0431】
組成物IIIがレベリング剤(H)を含む場合、組成物IIIにおけるレベリング剤(H)の含有率は、組成物IIIの総量に対して、例えば0.001質量%以上1.0質量%以下、好ましくは0.005質量%以上0.75質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上0.5質量%以下である。
【0432】
<その他の成分>
組成物I、II及びIIIは必要に応じて、紫外線吸収剤、重合禁止剤、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、光安定剤、連鎖移動剤等、当該技術分野で公知の添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0433】
紫外線吸収剤としては、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、(2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物;2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系化合物;2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシフェノール等のトリアジン系化合物;等が挙げられる。
【0434】
<組成物の製造方法>
組成物I、II及びIIIは、所定の成分、並びに必要に応じて使用される他の成分を混合する工程を含む方法によって製造することができる。組成物I、II及びIIIの製造方法は、樹脂(C)を調製する工程をさらに含むことができる。
【0435】
着色剤(I)を用いる場合、着色剤(I)は、予め溶剤(J)の一部又は全部と混合し、着色剤(I)の平均粒子径が0.2μm以下程度となるまで、ビーズミルなどを用いて分散させた着色剤分散液の状態で用いることが好ましい。この際、必要に応じて分散剤、樹脂(C)の一部又は全部を配合してもよい。分散剤としては、光散乱剤(B)の欄で述べた分散剤についての記述が引用される。
【0436】
<積層体の製造方法>
1.波長変換層(組成物I)
波長変換層は、例えば、
組成物Iを基材に塗布した後に乾燥させる工程を含む方法a、又は
組成物Iを支持体に塗布した後に乾燥させる工程を含む方法によって波長変換層を製造した後、この波長変換層を支持体から剥離し、接着剤層を介して基材に貼合する方法b
等によって、基材上に設けることができる。
【0437】
一実施形態において、組成物Iは、樹脂(C)をさらに含む樹脂組成物R1である。樹脂組成物R1から形成される波長変換層(樹脂膜)は、組成物Iを基材又は支持体に塗布した後に乾燥させることにより形成することができる。
他の実施形態において、組成物Iは、重合性化合物(D)と重合開始剤(E)とをさらに含む硬化性組成物R2である。硬化性組成物R2は、樹脂(C)をさらに含んでいてもよい。硬化性組成物R2から形成される波長変換層は、硬化膜である。該硬化膜は、硬化性組成物R2を基材又は支持体に塗布した後に乾燥させ、光の作用及び/又は熱の作用で硬化させることにより得ることができる。
硬化性組成物R2の一態様は、光重合性化合物及び光重合開始剤を含む光硬化性組成物R3である。光硬化性組成物R3は、樹脂(C)をさらに含んでいてもよい。
【0438】
2.オーバーコート層(組成物III)
一実施形態において、組成物IIIは、樹脂(C)をさらに含む樹脂組成物R4である。樹脂組成物R4から形成されるオーバーコート層(樹脂膜)は、組成物IIIを基材に塗布した後に乾燥させることにより形成することができる。
他の実施形態において、組成物IIIは、重合性化合物(D)と重合開始剤(E)とをさらに含む硬化性組成物R5である。硬化性組成物R5は、樹脂(C)をさらに含んでいてもよい。硬化性組成物R5から形成されるオーバーコート層は、硬化膜である。該硬化膜は、硬化性組成物R5を基材に塗布した後に乾燥させ、光の作用及び/又は熱の作用で硬化させることにより得ることができる。
硬化性組成物R5の一態様は、光重合性化合物及び光重合開始剤を含む光硬化性組成物R6である。光硬化性組成物R6は、樹脂(C)をさらに含んでいてもよい。
【0439】
3.光吸収層(組成物II)
一実施形態において、組成物IIは、樹脂(C)をさらに含む樹脂組成物R7である。樹脂組成物R7から形成される光吸収層(樹脂膜)は、組成物IIを基材に塗布した後に乾燥させることにより形成することができる。
他の実施形態において、組成物IIは、重合性化合物(D)と重合開始剤(E)とをさらに含む硬化性組成物R8である。硬化性組成物R8は、樹脂(C)をさらに含んでいてもよい。硬化性組成物R8から形成される光吸収層は、硬化膜である。該硬化膜は、硬化性組成物R8を基材に塗布した後に乾燥させ、光の作用及び/又は熱の作用で硬化させることにより得ることができる。
硬化性組成物R8の一態様は、光重合性化合物及び光重合開始剤を含む光硬化性組成物R9である。光硬化性組成物R9は、樹脂(C)をさらに含んでいてもよい。
【0440】
4.基材
波長変換層が形成される基材としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラス等のガラス板;ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板;シリコン;これらの基材上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜等を形成したもの;表示装置に含まれる又は含まれ得る部材等が挙げられる。表示装置に含まれる又は含まれ得る部材としては、例えば、一次光源(例えば青色光源)、導光板、拡散フィルム(拡散層)、光反射部材(反射フィルム等)、輝度強化部材、プリズムシート、バリア層、保護層等が挙げられる。
【0441】
オーバーコート層が形成される基材は、波長変換層又は波長変換層上に形成される他の層(ただし波長変換層、オーバーコート層及び光吸収層とは異なる層)である。
【0442】
光吸収層が形成される基材は、オーバーコート層又はオーバーコート層上に形成される他の層(ただし波長変換層、オーバーコート層及び光吸収層とは異なる層)である。
【0443】
波長変換層、オーバーコート層及び光吸収層は、それぞれ各基材全面に設けられてもよいし、該基材の一部にパターン状に設けられてもよい。基材上に各層(波長変換層、オーバーコート層または光吸収層)をパターン状に形成する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。印刷法としては、ステンシル印刷法、スクリーン印刷法、アプリケーターによる印刷塗工等が挙げられる。
【0444】
5.製造方法
樹脂組成物R1から形成されるパターン状の樹脂膜(波長変換層)、樹脂組成物R4から形成されるパターン状の樹脂膜(オーバーコート層)、及び樹脂組成物R7から形成されるパターン状の樹脂膜(光吸収層)は、それぞれ例えば、以下のようにして上述した各層に対応する基材上に形成することができる。まず、樹脂組成物R1、R4又はR7をマスクを介して上述した各層に対応する基材上に塗布して、パターン状の組成物層を形成する。樹脂組成物の塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、スリット アンド スピンコート法等が挙げられる。
【0445】
次に、組成物層を乾燥させる(溶剤等の揮発成分を除去する)ことにより樹脂膜(波長変換層、オーバーコート層または光吸収層)を得る。乾燥方法としては、加熱乾燥、減圧乾燥又はこれらの組み合わせが挙げられる。加熱乾燥を行う場合の温度は、好ましくは30℃以上250℃以下、より好ましくは50℃以上235℃以下である。加熱時間は、好ましくは10秒間以上180分間以下、より好ましくは30秒間以上90分間以下である。減圧乾燥を行う場合は、50Pa以上150Pa以下の圧力下で行うことが好ましい。組成物層の乾燥は、例えば乾燥温度の異なる複数の乾燥工程を実施するなど、複数段で実施してもよい。
【0446】
光硬化性組成物R3から形成されるパターン状の硬化膜(波長変換層)、光硬化性組成物R6から形成されるパターン状の硬化膜(オーバーコート層)、光硬化性組成物R9から形成されるパターン状の硬化膜(光吸収層)は、それぞれ例えば、フォトリソグラフ法を用いる方法を例に挙げると、例えば、以下のようにして上述した各層に対応する基材上に形成することができる。まず、光硬化性組成物R3、R6又はR9を上述した各層に対応する基材上に塗布し、加熱乾燥(プリベーク)及び/又は減圧乾燥することにより溶剤等の揮発成分を除去して、組成物層を得る。塗布方法としては、上記と同様の方法が挙げられる。
【0447】
加熱乾燥を行う場合の温度は、30℃以上120℃以下が好ましく、50℃以上110℃以下がより好ましい。加熱時間は、10秒間以上60分間以下であることが好ましく、30秒間以上30分間以下であることがより好ましい。減圧乾燥を行う場合は、50Pa以上150Pa以下の圧力下、20℃以上25℃以下の温度範囲で行うことが好ましい。
【0448】
次に、組成物層は、目的のパターン形状を形成するためのフォトマスクを介して露光される。露光に用いられる光源としては、250nm以上450nm以下の波長の光を発生する光源が好ましい。例えば、該波長の光から、光重合開始剤の吸収波長に応じて、436nm付近、408nm付近、又は365nm付近の光をバンドパスフィルタにより選択的に取り出してもよい。光源として具体的には、水銀灯、発光ダイオード、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。
【0449】
露光面全体に均一に平行光線を照射することができたり、フォトマスクと組成物層が形成された基材との正確な位置合わせを行うことができたりするため、マスクアライナ及びステッパ等の露光装置を使用することが好ましい。露光された組成物層は、該組成物層に含まれる光重合性化合物等が重合することにより硬化する。
【0450】
露光後の組成物層を現像液に接触させて現像することにより、組成物層の未露光部が現像液に溶解して除去されて、パターン状の硬化膜(波長変換層、オーバーコート層または光吸収層)が得られる。現像液としては、例えば、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等のアルカリ性化合物の水溶液や有機溶剤が挙げられる。アルカリ性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.03質量%以上5質量%以下である。有機溶剤としては、上述の溶剤(J)と同様のものが挙げられる。現像液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
【0451】
現像方法は、パドル法、ディッピング法及びスプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基材を任意の角度に傾けてもよい。
【0452】
現像により得られたパターン状の膜に対して、さらに加熱(ポストベーク)を行うことが好ましい。加熱温度は、150℃以上250℃以下が好ましく、160℃以上235℃以下がより好ましい。加熱時間は、1分間以上120分間以下が好ましく、10分間以上60分間以下がより好ましい。現像後に加熱を行うことにより、膜に含まれる未反応の光重合性化合物等の重合を進行させることができるため、より耐薬品性に優れた硬化膜を得ることができる。現像を行わない場合においても、露光された組成物層に対して、加熱(ポストベーク)をさらに行うことが好ましい。
【0453】
一方、基材全面に硬化膜(波長変換層、オーバーコート層または光吸収層)を形成する方法としては、硬化性組成物を上述した各層に対応する基材に塗布し、必要に応じて乾燥させて組成物層を形成し、該組成物層を加熱及び/又は該組成物層全面に露光する方法が挙げられる。
【0454】
硬化性組成物R2、R5及びR7から形成される硬化膜は、硬化性組成物R2、R5及びR7に含まれる重合性化合物及び重合開始剤の硬化反応物を含む。該硬化反応物は、重合性化合物、重合開始剤の構造に起因する構造を含む物質である。重合性化合物、重合開始剤の構造に起因する構造とは、例えば、重合性化合物、重合開始剤の硬化反応部位以外の骨格構造又はその部分である。
【0455】
パターン状の波長変換層、オーバーコート層及び光吸収層の形状及び寸法は特に制限されない。パターン状の波長変換層、オーバーコート層及び光吸収層は、例えばその平面視形状が方形形状である。
【0456】
一実施形態に係る波長変換層は、一次光源からの一次光を吸収して緑色を発光する層であり、好ましくは、該一次光である青色の光の波長を緑色の光の波長に変換する層である。該波長変換層が発する緑色光は、発光スペクトルにおいて、好ましくは、500nm以上560nm以下の波長域に極大値を有するピークを含み、より好ましくは、520nm以上555nm以下の波長域に極大値を有するピークを含み、さらに好ましくは、525nm以上550nm以下の波長域に極大値を有するピークを含む。該ピークは、好ましくは、半値全幅が15nm以上80nm以下、より好ましくは15nm以上60nm以下、さらに好ましくは15nm以上50nm以下、特に好ましくは15nm以上45nm以下である。
【0457】
他の実施形態に係る波長変換層は、一次光源からの一次光を吸収して赤色を発光する層であり、好ましくは、該一次光である青色の光の波長を赤色の光の波長に変換する層である。該波長変換層が発する赤色光は、発光スペクトルにおいて、好ましくは、610nm以上750nm以下の波長域に極大値を有するピークを含み、より好ましくは、620nm以上650nm以下の波長域に極大値を有するピークを含み、さらに好ましくは、625nm以上645nm以下の波長域に極大値を有するピークを含む。該ピークは、好ましくは、半値全幅が15nm以上80nm以下、より好ましくは15nm以上60nm以下、さらに好ましくは15nm以上50nm以下、特に好ましくは15nm以上45nm以下である。
【0458】
後述する積層体及び表示装置は、緑色を発光する波長変換層及び赤色を発光する波長変換層の両方を備えることができる。
【0459】
波長変換層は、一次光の一部を吸収し、一次光の残部を透過する層であってもよい。表示装置の広色域化及びエネルギー効率の観点から、波長変換層は、波長450nmにおける光線透過率が、好ましくは90%以下、より好ましくは85%以下、さらに好ましくは75%以下、なおさらに好ましくは60%以下、特に好ましくは40%以下、より特に好ましくは30%以下、最も好ましくは20%以下である。波長変換層を透過する一次光の量は少ないことが望ましいが、光吸収層を備える本発明によれば、一次光の一部が波長変換層を透過する場合であっても、視認側への一次光の漏れを抑制できるとともに、光吸収層を設けることにより発光強度の低下を抑制することができる。この観点から、波長変換層は、波長450nmにおける光線透過率が、10%以上、さらには15%以上、なおさらには20%以上であってもよい。
【0460】
本発明に係る積層体の発光強度維持率は、好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上、さらに好ましくは69%以上であり、よりさらに好ましくは75%以上であり、特に好ましくは78%以上であり、上限は特に限定されず100%が理想であるが、95%以下、さらには90%以下であっても許容される。波長変換層と光吸収層の2層構成では低下していた発光強度維持率は、積層体を波長変換層と光吸収層の間にさらにオーバーコート層を備える構成としたことにより大きく改善される。発光強度維持率は、後述の実施例の欄に記載の測定方法に従って測定することができる。
【0461】
<表示装置>
本発明に係る表示装置は、一次光源と、上記本発明に係る積層体とを含む。表示装置は、一次光源からの一次光を波長変換層に照射することにより波長変換層を発光させ、その発光した光を光吸収層を介して取り出す装置である。
【0462】
図3は、本発明に係る表示装置の一例を示す概略断面図である。図3に示される表示装置は、図2に示される積層体を含むものであり、互いに異なる領域である第1領域、第2領域及び第3領域を有する一次光源である青色光源40を備える。青色光源40の第1領域上には、赤色を発光する第1波長変換層11と、その上に配置される第1オーバーコート層31と、さらにその上に配置される第1光吸収層21とが備えられる。青色光源40の第2領域上には、緑色を発光する第2波長変換層12と、その上に配置される第2オーバーコート層32と、さらにその上に配置される第2光吸収層22とが備えられる。該表示装置は、赤色発光領域(すなわち、第1領域)、緑色発光領域(すなわち、第2領域)及び青色発光領域(すなわち、第3領域)を有する。このように、該表示装置は、青色光源40からの光の光路において、青色光源と波長変換層と、オーバーコート層と、光吸収層とをこの順に有する。
【0463】
第1波長変換層11及び第2波長変換層12は、青色光源40上に直接配置されてもよいし、青色光源40からの光の光路において、青色光源40と第1波長変換層11及び第2波長変換層12との間に配置された導光板上に配置されてもよい。
【0464】
表示装置は、青色光源40の第3領域上に配置され、青色光を透過する透明層又は光拡散剤を含有する層と、該層上に配置され、青色光を透過し、青色光以外の光を吸収する第3光吸収層とをさらに備えていてもよい。
【0465】
青色光源40としては、例えば、青色発光ダイオード等の発光ダイオード(LED)、レーザー、EL等の公知の光源を用いることができる。青色光源40は、色域及びエネルギー効率の観点から、好ましくは495nm以下にピークを有する光を放出する光源であり、より好ましくは425nm以上495nm以下にピークを有する光を放出する光源である。
【0466】
表示装置は、例えば、導光板、拡散フィルム(拡散層)、光反射部材(反射フィルム等)、輝度強化部材、プリズムシート、バリア層等をさらに含んでいてもよい。
【0467】
導光板としては、任意の適切な導光板が用いられる。例えば、横方向からの光を厚さ方向に偏向可能となるよう、背面側にレンズパターンが形成された導光板、背面側及び/又は視認側にプリズム形状等が形成された導光板が用いられる。
【0468】
拡散フィルムは、一次光又は波長変換層から発せられた光を拡散させるためのフィルムであり、増幅拡散フィルム等であってよい。光反射部材は、一次光を波長変換層に向けて反射させるための部材であり、例えば、反射鏡、反射粒子のフィルム、反射金属フィルム、又は反射体等であってよい。輝度強化部材は、光の一部分を、光が伝送された方向に向かって反射して戻すための部材である。
【0469】
プリズムシートは、代表的には、基材部とプリズム部とを有する。基材部は、隣接する部材に応じて省略してもよい。プリズムシートは、任意の適切な接着層(例えば、接着剤層、粘着剤層)を介して隣接する部材に貼り合わせることができる。プリズムシートは、視認側とは反対側(背面側)に凸となる複数の単位プリズムが並列されて構成されている。プリズムシートの凸部を背面側に向けて配置することにより、プリズムシートを透過する光が集光されやすくなる。また、プリズムシートの凸部を背面側に向けて配置すれば、凸部を視認側に向けて配置する場合と比較して、プリズムシートに入射せずに反射する光が少なく、発光強度の高い表示装置を得ることができる。
【0470】
バリア層は、波長変換層を外気の水蒸気、及び大気中の酸素から保護するための層である。
【0471】
表示装置は、隣接する要素(層)間の光路上に1以上の媒体材料からなる層を含んでいてもよい。1以上の媒体材料としては、例えば真空、空気、ガス、光学材料、接着剤、光学接着剤、ガラス、ポリマー、固体、液体、ゲル、硬化材料、光学結合材料、屈折率整合又は屈折率不整合材料、屈折率勾配材料、クラッディング又は抗クラッディング材料、スペーサー、シリカゲル、輝度強化材料、散乱又は拡散材料、反射又は抗反射材料、波長選択性材料、波長選択性抗反射材料又は当該技術分野で既知の他の好適な媒体が含まれるが、これらに限定されず、任意の好適な材料が含まれてもよい。
【0472】
表示装置の具体例としては、例えば、ELディスプレイや液晶ディスプレイ用の波長変換材料を備えたものが挙げられる。表示装置は、図3を用いて示した例に限定されるものではなく、例えば、
波長変換層を導光板の端面(側面)に沿うように、青色光源と導光板の間に配置し、白色光を放出するバックライト(オンエッジ方式のバックライト)とし、導光板側に光吸収層を配置した表示装置;
波長変換層を導光板の上に設置して、導光板の端面(側面)に置かれた青色光源から導光板を通して波長変換層に照射される光を白色光として放出するバックライト(表面実装方式のバックライト)とし、波長変換層上にオーバーコート層と光吸収層とを配置した表示装置;
波長変換層を青色光源の発光部近傍に設置し、照射される光を白色光として放出するバックライト(オンチップ方式のバックライト)とし、波長変換層上にオーバーコート層と光吸収層とを配置した表示装置;
等であってもよい。
【実施例0473】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記のない限り、質量%及び質量部である。
【0474】
<測定>
(1)波長変換層、オーバーコート層及び光吸収層の厚み測定
膜厚測定装置(DEKTAKXT;ブルカー社製)により測定した。
【0475】
(2)発光強度維持率の測定
発光ピーク波長が450nmである青色LEDランプを点光源とするバックライト上に光拡散板を配置してバックライト部とした。光拡散板を上に向けてバックライト部を載置し、光拡散板の表面から高さ60cmの位置に、分光放射輝度計(トプコン(株)製の「SR-UL1R」)を設置した。ガラス基板上に形成した波長変換層とオーバーコート層と光吸収層との積層体(比較例1ではガラス基板上に形成した波長変換層、比較例2ではガラス基板上に形成した波長変換層と光吸収層との積層体)を測定サンプルとし、該測定サンプルを、積層体を上に向けて光拡散板の表面に配置した。この状態でバックライトを点灯させ、積層体から発せられる光について、上記分光放射輝度計を用いて分光放射輝度スペクトルを測定し、このスペクトルから、緑色発光ピークの最大ピーク波長における発光強度EI(μW)を算出した。
上述の緑色発光ピークの最大ピーク波長は、波長変換層に含まれる半導体粒子(A)の発光スペクトルにおける緑色発光ピークの最大ピーク波長であり、530nmであった。該緑色発光ピークの半値全幅は42nmであった。
半導体粒子(A)の発光スペクトルは、絶対PL量子収率測定装置(浜松ホトニクス製の「C9920-02」、励起光450nm、室温、大気下)を用いて、波長450nmにおける吸光度が0.4となるように希釈した半導体粒子(A)分散液を測定サンプルとして測定した。
測定サンプルの発光強度EIを測定し、比較例1の発光強度をEIとし、下記式に従ってオーバーコート層積層前後の発光強度EIの維持率を求めた。結果を表6に示す。
発光強度EIの維持率(%)=[EI/EI]×100
【0476】
(3)屈折率の測定
波長変換層、オーバーコート層、及び光吸収層の積層体を、分光エリプソメータで測定し、波長550nmにおける各層の屈折率を求めた。エリプソメータの設定は以下の通りである。
装置 :J.A.Woollam社製 M-2000
測定波長:400~1690nm
露光時間:5秒
入射角 :50、60、70度
【0477】
(4)樹脂の重量平均分子量(Mw)の測定
樹脂(C)のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)の測定は、GPC法により以下の条件で行った。
【0478】
装置:HLC-8120GPC(東ソー(株)製)
カラム:TSK-GELG2000HXL
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
分析試料の固形分濃度:0.001~0.01質量%
注入量:50μL
検出器:RI
校正用標準物質:TSK STANDARD POLYSTYRENE F-40、F-4、F-288、A-2500、A-500(東ソー(株)製)
【0479】
<合成例1:樹脂(C1)の合成>
還流冷却器、滴下ロート及び攪拌機を備えたフラスコ内に窒素を適量流し窒素雰囲気に置換し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)80部を入れ、攪拌しながら85℃まで加熱した。次いで、メタクリル酸6部、ジシクロペンタニルメタクリレート25部、メチルメタクリレート40部、コハク酸1-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]29部を、PGMEA20部に溶解させて調製した混合溶液を4時間かけてフラスコ内に滴下した。一方、重合開始剤2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)9部をPGMEA40部に溶解させた溶液を5時間かけて滴下した。開始剤溶液の滴下終了後、85℃で4時間保持した後、室温まで冷却して、共重合体(樹脂(C1))溶液を得た。樹脂(C1)溶液の固形分は40%、重量平均分子量Mwは11500であった。
【0480】
<合成例2:樹脂(C2)の合成>
還流冷却器、滴下ロート及び攪拌機を備えたフラスコ内に窒素を適量流し窒素雰囲気に置換し、PGMEA371部を入れ、攪拌しながら85℃まで加熱した。次いで、アクリル酸54部、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルアクリレート及び3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イルアクリレートの混合物(含有比はモル比で50:50)225部、ビニルトルエン(異性体混合物)81部を、PGMEA80部に溶解させて調製した混合溶液を4時間かけてフラスコ内に滴下した。一方、重合開始剤2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)30部をPGMEA160部に溶解させた溶液を5時間かけて滴下した。開始剤溶液の滴下終了後、85℃で4時間保持した後、室温まで冷却して、共重合体(樹脂(C2))溶液を得た。樹脂(C2)溶液の固形分は37%、重量平均分子量Mwは10600であった。
【0481】
<調製例1:半導体粒子(A1)分散液の調製>
有機配位子(G1)としてオレイン酸を含む半導体粒子(A1)〔緑色発光のInP/ZnSeS量子ドット〕のトルエン分散液aを準備した。上記のとおり、該量子ドットの緑色発光ピークの最大ピーク波長は530nmであり、該緑色発光ピークの半値全幅は42nmであった。
【0482】
上記トルエン分散液aから減圧蒸留でトルエンを除去した後、半導体粒子(A1)及び有機配位子(G1)の合計量30部に対し、シクロヘキシルアセテート(J3)70部を添加して、半導体粒子(A1)分散液bを得た。半導体粒子(A1)分散液bの組成は表1のとおりである。
【0483】
【表1】
【0484】
半導体粒子(A1)と有機配位子(G1)との組成比は、トルエンを除去した後の混合物について、TG-DTA測定により昇温速度5℃/minで550℃まで加熱したときの残量を測定し、該残量が有機配位子(G1)の重量として算出した。
【0485】
<調製例2:波長変換層形成用組成物(I)の調製>
半導体粒子(A1)分散液bと各成分を混合し、表2に示す組成を有する波長変換層形成用組成物(I)を調製した。表2中、溶剤(J)以外の成分の部数は固形分換算値を示す。
【0486】
【表2】
【0487】
表2に示される成分の略称の詳細は次のとおりである。
【0488】
光散乱剤(B1): 酸化チタン粒子60部に、樹脂C1を10部(固形分換算)、PGMEAを30部混合し、ビーズミルを用いて、酸化チタン粒子を十分に分散させたものである。表2に記載の光散乱剤(B1)の部数は、酸化チタン粒子の部数である。
重合性化合物(D1): カルボキシ基含有多官能(メタ)アクリレート(東亞合成(株)製の商品名「アロニックス(登録商標)M-510」)
重合開始剤(E1): BASF社製の「イルガキュア(登録商標)OXE-02」
酸化防止剤(F1): 住友化学(株)製の商品名「スミライザー(登録商標)GP」
レベリング剤(H1): ポリエーテル変性シリコーンオイル(東レダウコーニング(株)製の商品名「トーレシリコーンSH8400」)
溶剤(J1): プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
溶剤(J3): シクロヘキシルアセテート
【0489】
<調製例3:オーバーコート層形成用組成物(III)の調製>
各成分を混合し、表3に示す組成を有するオーバーコート層形成用組成物(III)を調製した。表3中、溶剤(J)以外の成分の部数は固形分換算値を示す。
【0490】
【表3】
【0491】
<調製例4:顔料分散液(Ph)の調製>
表4の各成分を混合し、ビーズミルを用いて着色剤(I)である顔料を十分に分散させることにより、顔料分散液(Ph-1)を調製した。
【0492】
【表4】
【0493】
表4に示される成分の略称の詳細は次のとおりである。
【0494】
顔料(P1): C.I.ピグメントイエロー138
顔料分散剤 : 溶剤系顔料分散剤
樹脂(C3): メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体(共重合比(質量比):30/70、Mw:1.2×104
溶剤(J1): プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
溶剤(J2): プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
【0495】
<調製例5:光吸収層形成用組成物(II)の調製>
表5の各成分を混合して、光吸収層形成用組成物(II)を得た。表5中、樹脂の部数は固形分換算の値を示す。
【0496】
【表5】
【0497】
表5に示される成分の略称の詳細は次のとおりである。
【0498】
重合性化合物(D2): ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製の商品名「KAYARAD(登録商標)DPHA」)
重合開始剤(E2) : N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン(BASF社製の商品名「イルガキュア(登録商標)OXE-01」)
レベリング剤(H1): ポリエーテル変性シリコーンオイル(東レダウコーニング(株)製の商品名「トーレシリコーンSH8400」)
溶剤(J1): プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0499】
<実施例1>
5cm角のガラス基板(コーニング社製の「イーグルXG」)上に、波長変換層形成用組成物(I)を、ポストベーク後の層の厚みが7μmとなるようにスピンコート法で塗布した後、100℃で3分間プリベークして組成物層を形成した。この組成物層が形成された基板に対して、露光機(トプコン(株)製の「TME-150RSK」)を用いて、大気雰囲気下、80mJ/cm2の露光量(365nm基準)で光照射し、現像後、180℃で30分間ポストベークを行うことにより波長変換層を形成した。波長変換層形成前後の重量差から求めたところ、形成された波長変換層は0.043gであった。
【0500】
次に、この波長変換層上に、オーバーコート層形成用組成物(III)を、ポストベーク後の層の厚みが0.3μmとなるようにスピンコート法で塗布した後、100℃で3分間プリベークして組成物層を形成した。この波長変換層上に組成物層が形成された基板に対して、露光機(トプコン(株)製の「TME-150RSK」)を用いて、大気雰囲気下、100mJ/cm2の露光量(365nm基準)で光照射し、現像後、180℃で30分間ポストベークを行うことにより、波長変換層とオーバーコート層との積層体を形成した。
【0501】
次に、このオーバーコート層上に、光吸収層形成用組成物(II)を、ポストベーク後の層の厚みが1.5μmとなるようにスピンコート法で塗布した後、100℃で3分間プリベークして組成物層を形成した。このオーバーコート層上に組成物層が形成された基板に対して、露光機(トプコン(株)製の「TME-150RSK」)を用いて、大気雰囲気下、100mJ/cm2の露光量(365nm基準)で光照射し、現像後、180℃で30分間ポストベークを行うことにより、波長変換層とオーバーコート層と光吸収層の積層体を形成した。光吸収層形成前後の重量差から求めたところ、形成された光吸収層は0.004gであった。
波長変換層、オーバーコート層および光吸収層の屈折率を測定したところ、波長変換層は1.70、オーバーコート層は1.53、光吸収層は1.62であった。
また式1で示される値の算出に際し、Q10(波長変換層)及びQ20(光吸収層)は、各層の重量及び各層中の色材濃度から以下の要領で求めた。なお半導体粒子(A1)及び有機配位子(G1)の含有量は、波長変換層形成用組成物(I)の固形分の総量に対して35.0質量%であった。また顔料(P1)の含有量は、光吸収層形成用組成物(II)の固形分の総量に対して26.4質量%であった。
10=波長変換層の重量×(35.0/100)
20=光吸収層の重量×(26.4/100)
【0502】
<実施例2~9>
各層の厚みを表6に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして積層体を形成した。実施例1とは厚さの異なる実施例8の光吸収層と実施例9の波長変換層について実施例1と同様に各層の重量を求めたところ、実施例8の光吸収層は0.001g、実施例9の波長変換層は0.01gであった。
【0503】
<比較例1>
5cm角のガラス基板(コーニング社製の「イーグルXG」)上に、波長変換層形成用組成物(I)を、ポストベーク後の層の厚みが7μmとなるようにスピンコート法で塗布した後、100℃で3分間プリベークして組成物層を形成した。この組成物層が形成された基板に対して、露光機(トプコン(株)製の「TME-150RSK」)を用いて、大気雰囲気下、80mJ/cm2の露光量(365nm基準)で光照射し、現像後、180℃で30分間ポストベークを行うことにより波長変換層を形成した。
【0504】
<比較例2>
比較例1で得られた波長変換層上に、光吸収層形成用組成物(II)を、ポストベーク後の層の厚みが1.5μmとなるようにスピンコート法で塗布した後、100℃で3分間プリベークして組成物層を形成した。この波長変換層上に組成物層が形成された基板に対して、露光機(トプコン(株)製の「TME-150RSK」)を用いて、大気雰囲気下、100mJ/cm2の露光量(365nm基準)で光照射し、現像後、180℃で30分間ポストベークを行うことにより、波長変換層と光吸収層の積層体を形成した。
【0505】
【表6】
【符号の説明】
【0506】
10 波長変換層
11 第1波長変換層
12 第2波長変換層
20 光吸収層
21 第1光吸収層
22 第2光吸収層
30 オーバーコート層
31 第1オーバーコート層
32 第2オーバーコート層
40 青色光源
図1
図2
図3