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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127830
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】組成物、硬化膜及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/44 20060101AFI20240912BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240912BHJP
   H10K 85/50 20230101ALI20240912BHJP
   H10K 85/10 20230101ALI20240912BHJP
【FI】
C08F2/44 A
G09F9/30 349Z
H10K85/50
H10K85/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024033142
(22)【出願日】2024-03-05
(31)【優先権主張番号】P 2023035909
(32)【優先日】2023-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼田 真芳
(72)【発明者】
【氏名】土谷 崇夫
(72)【発明者】
【氏名】石原 崇弘
(72)【発明者】
【氏名】北川 直優
【テーマコード(参考)】
3K107
4J011
5C094
【Fターム(参考)】
3K107BB01
4J011AA05
4J011CA02
4J011CC10
4J011PA04
4J011PA10
4J011PA69
4J011PB40
4J011PC02
4J011PC08
4J011QA12
4J011QA23
4J011QB14
4J011SA65
4J011UA01
4J011VA01
4J011WA01
4J011WA02
5C094AA43
5C094BA29
5C094BA43
5C094ED02
5C094ED20
5C094FB01
5C094FB14
5C094JA01
5C094JA11
(57)【要約】
【課題】本発明は、現像時の膜減りを低減し、残膜率に優れた硬化膜を形成し得る組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】半導体粒子(A)及び重合性化合物(C)を含む組成物であって、前記重合性化合物(C)が、分子容積が450cm/mol以下である重合性化合物(C-1)を含む、組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体粒子(A)及び重合性化合物(C)を含む組成物であって、
前記重合性化合物(C)が、分子容積が450cm/mol以下である重合性化合物(C-1)を含む、組成物。
【請求項2】
前記組成物が、さらに重合開始剤(D)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、さらに樹脂(B)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、さらに光散乱剤(E)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、さらに溶剤(I)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記重合性化合物(C-1)が、構造内に環状炭化水素基を有する化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記重合性化合物(C-1)が、重合性官能基を2つ以上有する化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記樹脂(B)に対する前記半導体粒子(A)の含有量比(半導体粒子(A)/樹脂(B))が、質量基準で、0.3以上4.0以下である、請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
前記重合性化合物(C)に対する前記樹脂(B)の含有量比(樹脂(B)/重合性化合物(C))が、質量基準で、0.5以上10以下である、請求項3に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物から形成される硬化膜。
【請求項11】
波長300nm以上における膜厚1μm当たりの吸光度が、0.5以下である、請求項10に記載の硬化膜。
【請求項12】
請求項10に記載の硬化膜を含む表示装置。
【請求項13】
半導体粒子(A)及び重合性化合物(C)を含む組成物から形成される硬化膜であって、
波長300nm以上における膜厚1μm当たりの吸光度が、0.5以下である、硬化膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物及びそれから形成される硬化膜、並びに該硬化膜を含む表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、量子ドット、樹脂、光重合性化合物及び特定の構造単位を有する光重合開始剤を含む硬化性樹脂組成物及び該硬化性樹脂組成物を用いて形成される硬化膜が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-161392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記硬化性樹脂組成物では、該硬化性樹脂組成物を用いて形成される硬化膜において、現像時の残膜率を十分に満足できない場合があった。本発明の目的は、現像時の膜減りを低減し、残膜率により優れた硬化膜を形成し得る組成物を提供することにある。また本発明の他の目的は、該組成物から形成される硬化膜、及び該硬化膜を含む表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の要旨は、以下の通りである。
[1] 半導体粒子(A)及び重合性化合物(C)を含む組成物であって、
前記重合性化合物(C)が、分子容積が450cm/mol以下である重合性化合物(C-1)を含む、組成物。
[2] 前記組成物が、さらに重合開始剤(D)を含む、[1]に記載の組成物。
[3] 前記組成物が、さらに樹脂(B)を含む、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4] 前記組成物が、さらに光散乱剤(E)を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[5] 前記組成物が、さらに溶剤(I)を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6] 前記重合性化合物(C-1)が、構造内に環状炭化水素基を有する化合物である、[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[7] 前記重合性化合物(C-1)が、重合性官能基を2つ以上有する化合物である、[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[8] 前記樹脂(B)に対する前記半導体粒子(A)の含有量比(半導体粒子(A)/樹脂(B))が、質量基準で、0.3以上4.0以下である、[3]に記載の組成物。
[9] 前記重合性化合物(C)に対する前記樹脂(B)の含有量比(樹脂(B)/重合性化合物(C))が、質量基準で、0.5以上10以下である、[3]又は[8]に記載の組成物。
[10] [1]~[9]のいずれかに記載の組成物から形成される硬化膜。
[11] 波長300nm以上における膜厚1μm当たりの吸光度が、0.5以下である、[10]に記載の硬化膜。
[12] [10]又は[11]に記載の硬化膜を含む表示装置。
[13] 半導体粒子(A)及び重合性化合物(C)を含む組成物から形成される硬化膜であって、
波長300nm以上における膜厚1μm当たりの吸光度が、0.5以下である、硬化膜。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、現像時の残膜率により優れた硬化膜を形成し得る組成物、該組成物から形成される硬化膜、及び該硬化膜を含む表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<組成物>
本発明に係る組成物(以下、単に「組成物」とも称する)は、半導体粒子(A)及び重合性化合物(C)を含み、前記重合性化合物(C)として分子容積が450cm/mol以下である重合性化合物(C-1)を含む。本発明に係る組成物によれば、現像時の残膜率により優れた硬化膜を形成することができる。また、硬化膜を形成し得る組成物としては、現像時の残膜率が良好であるだけでなく、現像後の膜の発光強度が良好なことも重要である。本発明に係る組成物は、現像時の残膜率を向上しながら、好ましくは発光強度の低下を抑制できる、より好ましくは発光強度がより良好な硬化膜を形成することができる。
本発明の組成物は、さらに重合開始剤(D)を含むことが好ましい。
本発明の組成物は、さらに樹脂(B)を含むことが好ましい。
本発明の組成物は、さらに光散乱剤(E)を含むことが好ましい。
本発明の組成物は、さらに酸化防止剤(F)を含んでいてもよい。
本発明の組成物は、さらにレベリング剤(J)を含んでいてもよい。
以下、組成物に含まれる又は含まれ得る成分について説明する。なお、本明細書において組成物に含まれる又は含まれ得る各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で又は複数種を組合わせて使用することができる。
【0008】
<半導体粒子(A)>
半導体粒子(A)は、好ましくは発光性(蛍光発光性)の半導体粒子であり、より好ましくは一次光である青色の光の波長をこれとは異なる色の光の波長に変換する半導体粒子である。半導体粒子(A)は、緑色又は赤色を発光することが好ましく、青色光を吸収して緑色又は赤色を発光することがより好ましい。発光性の半導体粒子を含む組成物から形成される波長変換膜等の硬化膜は、所望の波長域の蛍光発光を示す色再現性に優れたものであり得る。
【0009】
半導体粒子(A)は、例えば、605nm以上665nm以下の波長域に発光ピーク波長を有する光を発する赤色発光性の半導体粒子であってもよく、500nm以上560nm以下の波長域に発光ピーク波長を有する光を発する緑色発光性の半導体粒子であってよく、420nm以上480nm以下の波長域に発光ピーク波長を有する光を発する青色発光性の半導体粒子であってもよい。半導体粒子(A)は、好ましくは、赤色発光性の半導体粒子及び/又は緑色発光性の半導体粒子である。また、半導体粒子(A)が吸収する光は、例えば、400nm以上500nm未満の波長域の光(青色光)又は200nm~400nmの波長域の光(紫外光)であってよい。なお、半導体粒子(A)の発光ピーク波長は、例えば、紫外可視分光光度計を用いて測定される発光スペクトルにおいて確認することできる。
【0010】
半導体粒子(A)の発光スペクトルの半値全幅は、60nm以下であることが好ましく、より好ましくは55nm以下、さらに好ましくは50nm以下、特に好ましくは45nm以下である。これにより、より色純度の高い光を発することができる。半導体粒子(A)の発光スペクトルの半値全幅の下限は特に限定されないが、5nm以上であってもよく、15nm以上であってもよい。
【0011】
半導体粒子(A)は、半導体結晶からなる粒子、好ましくは半導体結晶からなるナノ粒子である。半導体粒子(A)の好ましい例としては、半導体量子ドット(以下、「量子ドット」とも称する)、及びペロブスカイト型結晶構造を有する化合物(以下、「ペロブスカイト化合物」とも称する)の粒子が挙げられ、より好ましくは量子ドットである。
【0012】
量子ドットの平均粒径は、例えば0.5nm以上20nm以下、好ましくは1nm以上15nm以下(例えば2nm以上15nm以下)である。量子ドットのエネルギー状態はその大きさに依存するため、粒子径を変えることにより自由に発光波長を選択することが可能である。例えば、CdSeのみから構成される量子ドットの場合、粒子径が2.3nm、3.0nm、3.8nm、4.6nmであるときの発光スペクトルのピーク波長は、それぞれ528nm、570nm、592nm、637nmである。半導体粒子(A)の平均粒径は、走査透過型電子顕微鏡を用いて測定することができる。
【0013】
量子ドットは、例えば、周期表第2族元素、第11族元素、第12族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素及び第16族元素からなる群より選択される1種又は2種以上の元素を含む半導体材料から構成することができる。
【0014】
量子ドットを構成し得る半導体材料の具体例は、
SnS、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe等の第14族元素と第16族元素との化合物;
GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、InGaN、InGaP等の第13族元素と第15族元素との化合物;
Ga、Ga、GaSe、GaTe、In、In、InSe、InTe等の第13族元素と第16族元素との化合物;
ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、HgO、HgS、HgSe、HgTe、ZnSTe、ZnSeS、ZnSeTe、CdSTe、CdSeTe、HgSTe、HgSeS、HgSeTe等の第12族元素と第16族元素との化合物;
As、As、AsSe、AsTe、Sb、Sb、SbSe、SbTe、Bi、Bi、BiSe、BiTe等の第15族元素と第16族元素との化合物;
MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe等の第2族元素と第16族元素との化合物;
Si、Ge等の第14族元素、第15族元素又は第16族元素の単体を含む。
【0015】
量子ドットは、単一の半導体材料からなる単層構造であってもよいし、単一の半導体材料からなる核粒子(コア層)の表面が、これとは異なる1種又は2種以上の半導体材料からなる被覆層(シェル層)によって被覆されたコアシェル構造であってもよい。後者の場合、シェル層を構成する半導体材料としては通常、コア層を構成する半導体材料よりもバンドギャップエネルギーが大きいものを用いる。量子ドットは、シェル層を2種以上有していてもよい。量子ドットの形状は特に限定されず、例えば、球状又は略球状、棒状、円盤状等であり得る。
【0016】
ペロブスカイト化合物は、A、B及びXを成分とする、ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物である。
Aは、ペロブスカイト型結晶構造において、Bを中心とする6面体の各頂点に位置する成分であって、1価の陽イオンである。
は、ペロブスカイト型結晶構造において、Bを中心とする8面体の各頂点に位置する成分を表し、ハロゲン化物イオン及びチオシアン酸イオンからなる群より選ばれる少なくとも一種のイオンである。
Bは、ペロブスカイト型結晶構造において、Aを頂点に配置する6面体及びXを頂点に配置する8面体の中心に位置する成分であって、金属イオンである。
【0017】
ペロブスカイト化合物からなる半導体粒子の平均粒径は、良好に結晶構造を維持させる観点から、好ましくは3nm以上、より好ましくは4nm以上、さらに好ましくは5nm以上である。また、組成物においてペロブスカイト化合物の沈殿を抑制する観点から、ペロブスカイト化合物からなる半導体粒子の平均粒径は、好ましくは5μm以下、より好ましくは500nm以下、さらに好ましくは100nm以下であり、通常50nm以下である。
【0018】
A、B及びXを成分とするペロブスカイト化合物としては、特に限定されず、3次元構造、2次元構造、疑似2次元構造のいずれの構造を有する化合物であってもよい。
3次元構造の場合には、ペロブスカイト化合物は、ABX (3+δ)で表される。
2次元構造の場合には、ペロブスカイト化合物は、ABX (4+δ)で表される。
ここで、δは、Bの電荷バランスに応じて適宜変更が可能な数であり、-0.7以上0.7以下である。
【0019】
ペロブスカイト化合物であって、ABX (3+δ)で表される、3次元構造のペロブスカイト型の結晶構造を有する化合物の好ましい具体例としては、
CHNHPbBr、CHNHPbCl、CHNHPbI、CHNHPbBr(3-y)(0<y<3)、CHNHPbBr(3-y)Cl(0<y<3)、(HN=CH-NH)PbBr、(HN=CH-NH)PbCl、(HN=CH-NH)PbI
CHNHPb(1-a)CaBr(0<a≦0.7)、CHNHPb(1-a)SrBr(0<a≦0.7)、CHNHPb(1-a)LaBr(3+δ)(0<a≦0.7,0<δ≦0.7)、CHNHPb(1-a)BaBr(0<a≦0.7)、CHNHPb(1-a)DyBr(3+δ)(0<a≦0.7,0<δ≦0.7)、
CHNHPb(1-a)NaBr(3+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、CHNHPb(1-a)LiBr(3+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、
CsPb(1-a)NaBr(3+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、CsPb(1-a)LiBr(3+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、
CHNHPb(1-a)NaBr(3+δ-y)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<3)、CHNHPb(1-a)LiBr(3+δ-y)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<3)、CHNHPb(1-a)NaBr(3+δ-y)Cl(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<3)、CHNHPb(1-a)LiBr(3+δ-y)Cl(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<3)、
(HN=CH-NH)Pb(1-a)NaBr(3+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、(HN=CH-NH)Pb(1-a)LiBr(3+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、(HN=CH-NH)Pb(1-a)NaBr(3+δ-y)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<3)、(HN=CH-NH)Pb(1-a)NaBr(3+δ-y)Cl(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<3)、
CsPbBr、CsPbCl、CsPbI、CsPbBr(3-y)(0<y<3)、CsPbBr(3-y)Cl(0<y<3)、CHNHPbBr(3-y)Cl(0<y<3)、
CHNHPb(1-a)ZnBr(0<a≦0.7)、CHNHPb(1-a)AlBr(3+δ)(0<a≦0.7,0≦δ≦0.7)、CHNHPb(1-a)CoBr(0<a≦0.7)、CHNHPb(1-a)MnBr(0<a≦0.7)、CHNHPb(1-a)MgBr(0<a≦0.7)、
CsPb(1-a)ZnBr(0<a≦0.7)、CsPb(1-a)AlBr(3+δ)(0<a≦0.7,0<δ≦0.7)、CsPb(1-a)CoBr(0<a≦0.7)、CsPb(1-a)MnBr(0<a≦0.7)、CsPb(1-a)MgBr(0<a≦0.7)、
CHNHPb(1-a)ZnBr(3-y)(0<a≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)AlBr(3+δ-y)(0<a≦0.7,0<δ≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)CoBr(3-y)(0<a≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)MnBr(3-y)(0<a≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)MgBr(3-y)(0<a≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)ZnBr(3-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)AlBr(3+δ-y)Cl(0<a≦0.7,0<δ≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)CoBr(3+δ-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)MnBr(3-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<3)、CHNHPb(1-a)MgBr(3-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<3)、
(HN=CH-NH)ZnBr(0<a≦0.7)、(HN=CH-NH)MgBr(0<a≦0.7)、(HN=CH-NH)Pb(1-a)ZnBr(3-y)(0<a≦0.7,0<y<3)、(HN=CH-NH)Pb(1-a)ZnBr(3-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<3)等が挙げられる。
【0020】
ペロブスカイト化合物であって、ABX(4+δ)で表される、2次元構造のペロブスカイト型の結晶構造を有する化合物の好ましい具体例としては、
(CNHPbBr、(CNHPbCl、(CNHPbI、(C15NHPbBr、(C15NHPbCl、(C15NHPbI、(CNHPb(1-a)LiBr(4+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、(CNHPb(1-a)NaBr(4+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、(CNHPb(1-a)RbBr(4+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、
(C15NHPb(1-a)NaBr(4+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、(C15NHPb(1-a)LiBr(4+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、(C15NHPb(1-a)RbaBr(4+δ)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0)、
(CNHPb(1-a)NaBr(4+δ-y)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<4)、(CNHPb(1-a)LiBr(4+δ-y)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<4)、(CNHPb(1-a)RbBr(4+δ-y)(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<4)、
(CNHPb(1-a)NaBr(4+δ-y)Cl(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<4)、(CNHPb(1-a)LiBr(4+δ-y)Cl(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<4)、(CNHPb(1-a)RbBr(4+δ-y)Cl(0<a≦0.7,-0.7≦δ<0,0<y<4)、
(CNHPbBr、(C15NHPbBr
(CNHPbBr(4-y)Cl(0<y<4)、(CNHPbBr(4-y)(0<y<4)、
(CNHPb(1-a)ZnBr(0<a≦0.7)、(CNHPb(1-a)MgBr(0<a≦0.7)、(CNHPb(1-a)CoBr(0<a≦0.7)、(CNHPb(1-a)MnBr(0<a≦0.7)、
(C15NHPb(1-a)ZnBr(0<a≦0.7)、(C15NHPb(1-a)MgBr(0<a≦0.7)、(C15NHPb(1-a)CoBr(0<a≦0.7)、(C15NHPb(1-a)MnBr(0<a≦0.7)、
(CNHPb(1-a)ZnBr(4-y)(0<a≦0.7,0<y<4)、(CNHPb(1-a)MgBr(4-y)(0<a≦0.7,0<y<4)、(CNHPb(1-a)CoBr(4-y)(0<a≦0.7,0<y<4)、(CNHPb(1-a)MnBr(4-y)(0<a≦0.7,0<y<4)、
(CNHPb(1-a)ZnBr(4-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<4)、(CNHPb(1-a)MgBr(4-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<4)、(CNHPb(1-a)CoBr(4-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<4)、(CNHPb(1-a)MnBr(4-y)Cl(0<a≦0.7,0<y<4)等が挙げられる。
【0021】
半導体粒子(A)は、半導体粒子に配位する有機配位子(G)を含む配位子含有半導体粒子であってもよい。有機配位子(G)は、例えば、半導体粒子に対する配位能を示す極性基を有する有機化合物であることができる。有機配位子(G)は、例えば半導体粒子の表面に配位することができる。
【0022】
有機配位子(G)は、1種の配位子であってもよいし2種以上の配位子であってもよい。有機配位子(G)が極性基を有する有機化合物である場合、有機配位子(G)は通常、その極性基を介して半導体粒子に配位する。有機配位子(G)が配位していることは、有機配位子(G)に好適な分散媒に半導体粒子(A)が均一分散することから確認することができる。半導体粒子(A)として配位子含有半導体粒子を用いることは、半導体粒子(A)の安定性及び分散性、並びに発光強度を向上させる観点から有利となり得る。
【0023】
有機配位子(G)の極性基は、例えば、チオール基(-SH)、カルボキシ基(-COOH)及びアミノ基(-NH)からなる群より選択される少なくとも1種の基であることが好ましい。該群より選択される極性基は、半導体粒子への配位性を高めるうえで有利となり得る。高い配位性は、硬化膜の色ムラの改善及び/又は感光性組成物のパターニング性の改善に貢献し得る。中でも、発光強度を高める観点から、極性基は、チオール基及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基であることがより好ましい。有機配位子(G)は、1個又は2個以上の極性基を有し得る。
【0024】
有機配位子(G)は、例えば、下記式(y):
Y-Z (y)
で表される有機化合物であることができる。式中、Yは上記の極性基であり、Zはヘテロ原子(N、O、S、ハロゲン原子等)を含んでいてもよい1価の炭化水素基である。該炭化水素基は、炭素-炭素二重結合等の不飽和結合を1個又は2個以上有していてもよい。該炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状構造を有していてもよい。該炭化水素基の炭素数は、例えば1以上40以下であり、1以上30以下であってもよい。該炭化水素基に含まれるメチレン基は、-O-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-NH-等で置換されていてもよい。該炭化水素基は、配位子含有半導体粒子の調製の簡便さから、通常、ヘテロ原子を含まない場合が多い。
【0025】
基Zは、極性基を含んでいてもよい。該極性基の具体例については極性基Yに係る上記記述が引用される。基Zは、配位子含有半導体粒子の調製の簡便さから、通常、極性基を含まない場合が多い。
【0026】
極性基Yとしてカルボキシ基を有する有機配位子の具体例として、ギ酸、酢酸、プロピオン酸のほか、飽和又は不飽和脂肪酸を挙げることができる。飽和又は不飽和脂肪酸の具体例は、ブチル酸、ペンタン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等の飽和脂肪酸;ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、イコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸等の一価不飽和脂肪酸;リノール酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、ステアドリン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、ドコサジエン酸、アドレン酸(ドコサテトラエン酸)等の多価不飽和脂肪酸を含む。
【0027】
極性基Yとしてチオール基又はアミノ基を有する有機配位子の具体例は、上で例示した極性基Yとしてカルボキシ基を有する有機配位子のカルボキシ基がチオール基又はアミノ基に置き換わった有機配位子を含む。
【0028】
上記のほか、上記式(y)で表される有機配位子としては、化合物(G-1)及び化合物(G-2)が挙げられる。
【0029】
〔化合物(G-1)〕
化合物(G-1)は、第1官能基及び第2官能基を有する化合物である。第1官能基はカルボキシ基(-COOH)であり、第2官能基はカルボキシ基又はチオール基(-SH)である。化合物(G-1)は、カルボキシ基及び/又はチオール基を有しているため、半導体粒子(A)に配位する配位子となり得る。組成物は、化合物(G-1)を1種のみ含んでいてもよいし2種以上含んでいてもよい。
【0030】
化合物(G-1)の一例は、下記式(G-1a)で表される化合物である。化合物(G-1)は、式(G-1a)で表される化合物の酸無水物であってもよい。
【0031】
【化1】
【0032】
[式中、Rは、2価の炭化水素基を表す。複数のRが存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。上記炭化水素基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、それらは互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。上記炭化水素基に含まれる-CH-は-O-、-S-、-SO-、-CO-及び-NH-の少なくとも1つに置き換わっていてもよい。pは、1~10の整数を表す。]
【0033】
で表される2価の炭化水素基としては、例えば、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0034】
鎖状炭化水素基としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状のアルカンジイル基が挙げられ、その炭素数は通常1~50であり、好ましくは1~20、より好ましくは1~10である。脂環式炭化水素基としては、例えば、単環式又多環式のシクロアルカンジイル基が挙げられ、その炭素数は通常3~50であり、好ましくは3~20、より好ましくは3~10である。芳香族炭化水素基としては、例えば、単環式又多環式のアレーンジイル基が挙げられ、その炭素数は通常6~20である。
【0035】
上記炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、炭素数1~50のアルキル基、炭素数3~50のシクロアルキル基、炭素数6~20のアリール基、カルボキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。上記炭化水素基が有していてもよい置換基は、好ましくは、カルボキシ基、アミノ基又はハロゲン原子である。
【0036】
上記炭化水素基に含まれる-CH-が-O-、-CO-及び-NH-の少なくとも1つに置き換わる場合、-CH-が置き換わるのは、好ましくは-CO-及び-NH-の少なくとも1つであり、より好ましくは-NH-である。pは、好ましくは1又は2である。
【0037】
式(G-1a)で表される化合物としては、例えば、下記式(1-1)~(1-9)で表される化合物が挙げられる。
【0038】
【化2】
【0039】
式(G-1a)で表される化合物の具体例を化学名で示せば、例えば、メルカプト酢酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトブタン酸、4-メルカプトブタン酸、メルカプトコハク酸、メルカプトステアリン酸、メルカプトオクタン酸、4-メルカプト安息香酸、2,3,5,6-テトラフルオロ-4-メルカプト安息香酸、L-システイン、N-アセチル-L-システイン、3-メルカプトプロピオン酸3-メトキシブチル、3-メルカプト-2-メチルプロピオン酸等が挙げられる。中でも3-メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸が好ましい。
【0040】
化合物(G-1)の他の一例は、多価カルボン酸化合物であり、好ましくは上記式(G-1a)で表される化合物において、式(G-1a)中の-SHがカルボキシ基(-COOH)に置き換わった化合物(G-1b)が挙げられる。
【0041】
化合物(G-1b)としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、オクタフルオロアジピン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、ドデカフルオロスベリン酸、3-エチル-3-メチルグルタル酸、ヘキサフルオログルタル酸、trans-3-ヘキセン二酸、セバシン酸、ヘキサデカフルオロセバシン酸、アセチレンジカルボン酸、trans-アコニット酸、1,3-アダマンタンジカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジカルボン酸、cis-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、1,1-シクロプロパンジカルボン酸、1,1-シクロブタンジカルボン酸、cis-又はtrans-1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、cis-又はtrans-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,1-シクロペンタン二酢酸、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸、デカヒドロ-1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ノルボルナンジカルボン酸、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、フタル酸、3-フルオロフタル酸、イソフタル酸、テトラフルオロイソフタル酸、テレフタル酸、テトラフルオロテレフタル酸、2,5-ジメチルテレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,1’-フェロセンジカルボン酸、2,2’-ビフェニルジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、2,5-フランジカルボン酸、ベンゾフェノン-2,4’-ジカルボン酸一水和物、ベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸、2,3-ピラジンジカルボン酸、2,3-ピリジンジカルボン酸、2,4-ピリジンジカルボン酸、3,5-ピリジンジカルボン酸、2,5-ピリジンジカルボン酸、2,6-ピリジンジカルボン酸、3,4-ピリジンジカルボン酸、ピラゾール-3,5-ジカルボン酸一水和物、4,4’-スチルベンジカルボン酸、アントラキノン-2,3-ジカルボン酸、4-(カルボキシメチル)安息香酸、ケリドン酸一水和物、アゾベンゼン-4,4’-ジカルボン酸、アゾベンゼン-3,3’-ジカルボン酸、クロレンド酸、1H-イミダゾール-4,5-ジカルボン酸、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,10-ビス(4-カルボキシフェノキシ)デカン、ジプロピルマロン酸、ジチオジグリコール酸、3,3’-ジチオジプロピオン酸、4,4’-ジチオジブタン酸、4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’-ジカルボキシジフェニルスルホン、エチレングリコール ビス(4-カルボキシフェニル)エーテル、3,4-エチレンジオキシチオフェン-2,5-ジカルボン酸、4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ酢酸、1,3-アセトンジカルボン酸、メチレンジサリチル酸、5,5’-チオジサリチル酸、トリス(2-カルボキシエチル)イソシアヌレート、テトラフルオロコハク酸、α,α,α’,α’-テトラメチル-1,3-ベンゼンジプロピオン酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸等。
【0042】
半導体粒子(A)の安定性及び分散性、並びに発光強度を向上させる観点から、化合物(G-1)の分子量は、好ましくは3000以下、より好ましくは2500以下、さらに好ましくは2000以下、よりさらに好ましくは1000以下、いっそう好ましくは800以下、よりいっそう好ましくは500以下である。化合物(G-1)の分子量は、通常100以上である。
【0043】
上記分子量は、数平均分子量であってもよいし重量平均分子量であってもよい。この場合、数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量である。
【0044】
配位子含有半導体粒子が化合物(G-1)を含む場合、半導体粒子に対する化合物(G-1)の含有量比は、質量比で、好ましくは0.001以上1以下、より好ましくは0.01以上0.5以下、さらに好ましくは0.02以上0.45以下である。該含有量比がこの範囲にあると、半導体粒子(A)の安定性及び分散性、並びに発光強度を向上させる観点から有利となり得る。
【0045】
組成物が化合物(G-1)を含む場合、組成物における化合物(G-1)の含有率は、半導体粒子(A)の安定性及び分散性、並びに、波長変換層の発光強度を向上させる観点から、組成物の固形分の総量に対して、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上20質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以上15質量%以下である。
【0046】
本明細書において固形分の総量とは、組成物に含まれる成分のうち、溶剤(I)を除いた成分の合計を意味する。組成物の固形分中の含有量は、液体クロマトグラフィ又はガスクロマトグラフィ等の公知の分析手段で測定することができる。組成物の固形分中における各成分の含有量は、該組成物調製時の配合から算出されてもよい。
【0047】
〔化合物(G-2)〕
化合物(G-2)は、化合物(G-1)とは異なる化合物であって、ポリアルキレングリコール構造を含み、かつ極性基を分子末端に有する化合物である。分子末端とは、化合物(G-2)中、最も長い炭素鎖(炭素鎖中の炭素原子は、酸素原子等の他の原子に置き換わっていてもよい)の末端であることが好ましい。
【0048】
半導体粒子(A)は、化合物(G-2)を1種のみ含んでいてもよいし2種以上含んでいてもよい。半導体粒子(A)は、化合物(G-1)又は化合物(G-2)を含んでいてもよいし、化合物(G-1)及び化合物(G-2)を含んでいてもよい。
なお、ポリアルキレングリコール構造を含む多価カルボン酸化合物は、化合物(G-1)に属するものとする。
【0049】
ポリアルキレングリコール構造とは、下記式:
【0050】
【化3】

で表される構造をいう。
[式中、Rはアルキレン基であり、eは2以上の整数である。]
【0051】
で表されるアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
【0052】
化合物(G-2)の具体例として、下記式(G-2a)で表されるポリアルキレングリコール系化合物を挙げることができる。
【0053】
【化4】

[式(G-2a)中、Yは極性基であり、Lは1価の基であり、Mは2価又は3価の基であり、bは1又は2である。Rはアルキレン基であり、eは2以上の整数である。]
【0054】
極性基Yは、チオール基(-SH)、カルボキシ基(-COOH)及びアミノ基(-NH)からなる群より選択される少なくとも1種の基であることが好ましい。該群より選択される極性基は、半導体粒子への配位性を高めるうえで有利となり得る。中でも、半導体粒子(A)の安定性及び分散性、並びに発光強度を向上させる観点から、極性基Yは、チオール基(-SH)及びカルボキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基であることがより好ましい。
【0055】
基Lは1価の基である。基Lとしては特に制限されず、置換基(N、O、S、ハロゲン原子等)を有していてもよい1価の炭化水素基が挙げられる。該炭化水素基に含まれる-CH-は、-O-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-NH-等で置換されていてもよい。上記炭化水素基の炭素数は、例えば1以上12以下である。該炭化水素基は、不飽和結合を有していてもよい。
【0056】
基Lとしては、直鎖状、分岐鎖状又は環状構造を有する炭素数1以上12以下のアルキル基;直鎖状、分岐鎖状又は環状構造を有する炭素数1以上12以下のアルコキシ基等が挙げられる。該アルキル基及びアルコキシ基の炭素数は、好ましくは1以上8以下であり、より好ましくは1以上6以下であり、さらに好ましくは1以上4以下である。該アルキル基及びアルコキシ基に含まれる-CH-は、-O-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-NH-等で置換されていてもよい。中でも、基Lは、炭素数が1以上4以下である直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数が1以上4以下である直鎖状のアルコキシ基であることがより好ましい。
【0057】
基Lは、極性基を含んでいてもよい。該極性基としては、チオール基(-SH)、カルボキシ基(-COOH)及びアミノ基(-NH)からなる群より選択される少なくとも1種の基が挙げられる。ただし上述のとおり、ポリアルキレングリコール構造を含む多価カルボン酸化合物は、化合物(G-1)に属するものとする。該極性基は、好ましくは基Lの末端に配置される。
【0058】
基Mは2価又は3価の基である。基Mとしては特に制限されず、ヘテロ原子(N、O、S、ハロゲン原子等)を含んでいてもよい2価又は3価の炭化水素基が挙げられる。該炭化水素基の炭素数は、例えば1以上24以下である。該炭化水素基は、不飽和結合を有していてもよい。
【0059】
2価の基である基Mとしては、直鎖状、分岐鎖状又は環状構造を有する炭素数1以上24以下のアルキレン基;直鎖状、分岐鎖状又は環状構造を有する炭素数1以上24以下のアルケニレン基等が挙げられる。該アルキル基及びアルケニレン基の炭素数は、好ましくは1以上12以下であり、より好ましくは1以上8以下であり、さらに好ましくは1以上4以下である。該アルキル基及びアルケニレン基に含まれる-CH-は、-O-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-NH-等で置換されていてもよい。3価の基である基Mの例としては、上記2価の基である基Mから水素原子を1つ取り除いた基を挙げることができる。
【0060】
基Mは、分岐構造を有していてもよい。分岐構造を有する基Mは、上記式(G-2a)に示されるポリアルキレングリコール構造を含む分岐鎖とは別の分岐鎖において、上記式(G-2a)に示されるポリアルキレングリコール構造とは別のポリアルキレングリコール構造を有していてもよい。
【0061】
中でも、基Mは、炭素数が1以上6以下である直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることが好ましく、炭素数が1以上4以下である直鎖状のアルキレン基であることがより好ましい。
【0062】
はアルキレン基であり、炭素数が1以上6以下である直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることが好ましく、炭素数が1以上4以下である直鎖状のアルキレン基であることがより好ましい。
【0063】
式(G-2a)中のeは2以上の整数であり、好ましくは2以上540以下であり、より好ましくは2以上120以下であり、さらに好ましくは2以上60以下である。
【0064】
化合物(G-2)の分子量は、例えば150以上10000以下程度であり得るが、半導体粒子(A)の安定性及び分散性、並びに発光強度を向上させる観点から、150以上5000以下であることが好ましく、150以上4000以下であることがより好ましい。該分子量は、数平均分子量であってもよいし重量平均分子量であってもよい。この場合、数平均分子量及び重量平均分子量はそれぞれ、GPCにより測定される標準ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量である。
【0065】
配位子含有半導体粒子が化合物(G-2)を含む場合、半導体粒子に対する化合物(G-2)の含有量比は、質量比で、好ましくは0.001以上2以下、より好ましくは0.01以上1.5以下、さらに好ましくは0.1以上1以下である。該含有量比がこの範囲にあると、半導体粒子(A)の安定性及び分散性、並びに発光強度を向上させる観点から有利となり得る。
【0066】
組成物が化合物(G-2)を含む場合、組成物における化合物(G-2)の含有率は、半導体粒子(A)の安定性及び分散性、並びに、波長変換層の発光強度を向上させる観点から、組成物の固形分の総量に対して、好ましくは0.1質量%以上40質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、さらに好ましくは1質量%以上15質量%以下である。
【0067】
半導体粒子(A)が配位子含有半導体粒子である場合、半導体粒子に対する有機配位子の含有量の比は、質量比で、好ましくは0.001以上1以下、より好ましくは0.01以上0.8以下、さらに好ましくは0.02以上0.5以下である。該含有量比がこの範囲にあると、半導体粒子(A)の安定性及び分散性、並びに発光強度を向上させる観点から有利となり得る。ここでいう有機配位子の含有量とは、すべての有機配位子の合計含有量である。
【0068】
組成物における半導体粒子(A)(ただし、有機配位子(G)を含む配位子含有半導体粒子である場合には、有機配位子(G)は除く)の含有量は、組成物の固形分の総量に対して1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、よりさらに好ましくは17質量%以上、いっそう好ましくは20質量%以上、よりいっそう好ましくは22質量%以上、さらにいっそう好ましくは25質量%以上である。また上記含有量は、組成物の固形分の総量に対して、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下、よりさらに好ましくは55質量%以下、いっそう好ましくは50質量%以下、よりいっそう好ましくは45質量%以下である。
【0069】
<樹脂(B)>
樹脂(B)は、1種又は2種以上の樹脂を含むことができる。樹脂(B)としては、以下の樹脂[K1]~[K6]等が挙げられる。
樹脂[K1];不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体(a)(以下、「(a)」とも称する)に由来する構造単位と、(a)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)とは異なる)(以下、「(c)」とも称する)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K2];前記(a)に由来する構造単位と、前記(c)に由来する構造単位と、炭素数2~4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b)(以下、「(b)」とも称する)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K3];前記(a)に由来する構造単位に前記(b)を付加させた構造単位と前記(c)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K4];前記(a)に由来する構造単位に前記(b)を付加させ、さらにカルボン酸無水物をエステル結合させた構造単位と、前記(c)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K5];前記(b)に由来する構造単位に前記(a)を付加させた構造単位と、前記(c)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K6];前記(b)に由来する構造単位に前記(a)を付加させ、さらにカルボン酸無水物をエステル結合させた構造単位と、前記(c)に由来する構造単位とを有する共重合体。
【0070】
(a)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3-ビニルフタル酸、4-ビニルフタル酸、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1,4-シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸;
メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、5-カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-6-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-6-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3-ビニルフタル酸無水物、4-ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン無水物等の不飽和ジカルボン酸無水物;
コハク酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル;
α-(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性等の観点から、(メタ)アクリル酸、コハク酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、無水マレイン酸等が好ましい。
本明細書において(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリレート」等においても同様である。
【0071】
(b)は、例えば、炭素数2~4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環からなる群より選ばれる少なくとも1種)とエチレン性不飽和結合とを有する単量体である。(b)は、炭素数2~4の環状エーテル構造と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体であることが好ましい。
【0072】
(b)としては、例えば、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b1)(以下、「(b1)」とも称する)、オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b2)(以下、「(b2)」とも称する)、テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b3)(以下、「(b3)」とも称する)等が挙げられる。
【0073】
(b1)としては、例えば、直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)(以下、「(b1-1)」とも称する)、脂環式不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-2)(以下、「(b1-2)」とも称する)が挙げられる。
【0074】
(b1-1)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β-エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,5-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,6-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,4-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、3,4,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン等が挙げられる。
【0075】
(b1-2)としては、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン(例えば、セロキサイド2000;(株)ダイセル製)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーA400;(株)ダイセル製)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーM100;(株)ダイセル製)、式(BI)で表される化合物及び式(BII)で表される化合物等が挙げられる。
【0076】
【化5】
【0077】
[式(BI)及び式(BII)中、R及びRは、水素原子、又は炭素数1~4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。
及びXは、単結合、*-R-、*-R-O-、*-R-S-又は*-R-NH-を表す。
は、炭素数1~6のアルカンジイル基を表す。
*は、Oとの結合手を表す。]
【0078】
炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。
水素原子がヒドロキシで置換されたアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基、1-ヒドロキシ-1-メチルエチル基、2-ヒドロキシ-1-メチルエチル基、1-ヒドロキシブチル基、2-ヒドロキシブチル基、3-ヒドロキシブチル基、4-ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
及びRとしては、好ましくは水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基が挙げられ、より好ましくは水素原子、メチル基が挙げられる。
【0079】
アルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基等が挙げられる。
及びXとしては、好ましくは単結合、メチレン基、エチレン基、*-CH-O-及び*-CHCH-O-が挙げられ、より好ましくは単結合、*-CHCH-O-が挙げられる(*はOとの結合手を表す)。
【0080】
式(BI)で表される化合物としては、式(BI-1)~式(BI-15)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。中でも、式(BI-1)、式(BI-3)、式(BII-5)、式(BI-7)、式(BI-9)又は式(BI-11)~式(BI-15)で表される化合物が好ましく、式(BI-1)、式(BI-7)、式(BI-9)又は式(BI-15)で表される化合物がより好ましい。
【0081】
【化6】
【0082】
式(BII)で表される化合物としては、式(BII-1)~式(BII-15)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。中でも、式(BII-1)、式(BII-3)、式(BII-5)、式(BII-7)、式(BII-9)又は式(BII-11)~式(BII-15)で表される化合物が好ましく、式(BII-1)、式(BII-7)、式(BII-9)又は式(BII-15)で表される化合物がより好ましい。
【0083】
【化7】
【0084】
式(BI)で表される化合物及び式(BII)で表される化合物は、それぞれ単独で用いても、2種以上を併用してもよい。式(BI)で表される化合物及び式(BII)で表される化合物を併用する場合、これらの含有比率〔式(BI)で表される化合物:式(BII)で表される化合物〕はモル基準で、好ましくは5:95~95:5、より好ましくは20:80~80:20である。
【0085】
(b2)としては、オキセタニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。(b2)としては、3-メチル-3-メタクリルロイルオキシメチルオキセタン、3-メチル-3-アクリロイルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-メタクリロイルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-アクリロイルオキシメチルオキセタン、3-メチル-3-メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3-メチル-3-アクリロイルオキシエチルオキセタン、3-エチル-3-メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3-エチル-3-アクリロイルオキシエチルオキセタン等が挙げられる。
【0086】
(b3)としては、テトラヒドロフリル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。(b3)としては、具体的には、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、ビスコートV#150、大阪有機化学工業(株)製)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
【0087】
(b)としては、耐薬品性等の信頼性をより高くすることができる点で、(b1)であることが好ましい。
【0088】
樹脂[K3]~[K6]の製造時の反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、(b)としては、オキシラン環とエチレン性不飽和結合とを有する単量体が好ましい。
【0089】
(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート」といわれている。また、「トリシクロデシル(メタ)アクリレート」という場合がある)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-8-イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート」とも称される)、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチル-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-tert-ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ビス(tert-ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のビシクロ不飽和化合物;
N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチレート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドカプロエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオネート、N-(9-アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体;
スチレン、α-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3-ブタジエンイソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン;等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性及び樹脂(B)の耐熱性の点からは、(c)としては、メチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等が好ましい。
【0090】
樹脂[K1]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K1]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2モル%以上60モル%以下
(c)に由来する構造単位;40モル%以上98モル%以下
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;10モル%以上50モル%以下
(c)に由来する構造単位;50モル%以上90モル%以下
であることがより好ましい。
樹脂[K1]の構造単位の比率が上記の範囲にあると、組成物の保存安定性及び硬化膜の耐溶剤性に優れる傾向がある。
【0091】
樹脂[K1]は、例えば、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
【0092】
具体的には、(a)及び(c)の所定量、重合開始剤並びに溶剤等を反応容器中に入れて、例えば、窒素により酸素を置換することにより、脱酸素雰囲気にし、撹拌しながら、加熱及び保温する方法が挙げられる。
用いられる重合開始剤及び溶剤等は、特に限定されず、当該分野で通常使用されているものを使用することができる。例えば、重合開始剤としては、アゾ化合物(2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等)や有機過酸化物(ベンゾイルペルオキシド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等)が挙げられ、溶剤としては、各モノマーを溶解するものであればよく、組成物に含まれていてもよい溶剤(I)として後述する溶剤等が挙げられる。
【0093】
得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。重合の際の溶剤として後述の溶剤(I)を使用すれば、反応後の溶液をそのまま組成物の調製に使用することができるため、組成物の製造工程を簡略化できる。
【0094】
樹脂[K2]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K2]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2~45モル%
(b)に由来する構造単位;2~95モル%
(c)に由来する構造単位;1~65モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;5~40モル%
(b)に由来する構造単位;5~80モル%
(c)に由来する構造単位;5~60モル%
であることがより好ましい。
【0095】
樹脂[K2]の構造単位の比率が上記の範囲にあると、組成物の保存安定性及び着色パターンを形成する際の現像性等に優れる傾向がある。
【0096】
樹脂[K2]は、例えば、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0097】
樹脂[K3]は、(a)と(c)との共重合体に、(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルを(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物に付加させることにより製造することができる。
まず(a)と(c)との共重合体を、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様にして製造する。この場合、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K1]について述べた比率と同じであることが好ましい。
【0098】
次に、上記共重合体中の(a)に由来するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の一部に、(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルを反応させる。
(a)と(c)との共重合体の製造に引き続き、フラスコ内雰囲気を窒素から空気に置換し、(b)、カルボン酸又はカルボン酸無水物と環状エーテルとの反応触媒(例えば有機リン化合物、金属錯体、アミン化合物等)、重合禁止剤(例えばハイドロキノン、メトキノン等)等の存在下、例えば60℃以上130℃以下で、1~10時間反応することにより、樹脂[K2]を製造することができる。
【0099】
(b)の使用量は、(a)100モルに対して、好ましくは5モル以上80モル以下、より好ましくは10モル以上75モル以下である。この範囲にすることにより、組成物の保存安定性、並びに硬化膜の耐溶剤性、耐熱性及び機械強度のバランスが良好になる傾向がある。
【0100】
反応触媒としての有機リン化合物としては、例えばトリフェニルホスフィン等が挙げられる。反応触媒としてのアミン化合物としては、例えば脂肪族第三級アミン化合物又は脂肪族第四級アンモニウム塩化合物等が使用可能であり、その具体例としては、例えばトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチルアミン、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。得られる硬化膜の発光強度の観点から、反応触媒は、好ましくは有機リン化合物である。
【0101】
反応触媒の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上5質量部以下である。
重合禁止剤の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上5質量部以下である。
【0102】
仕込方法、反応温度及び時間等の反応条件は、製造設備や重合による発熱量等を考慮して適宜調整することができる。なお、重合条件と同様に、製造設備や重合による発熱量等を考慮し、仕込方法や反応温度を適宜調整することができる。
【0103】
樹脂[K4]は、樹脂[K3]に、さらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂である。カルボン酸又はカルボン酸無水物と環状エーテルとの反応により発生するヒドロキシ基に、カルボン酸無水物を反応させる。
カルボン酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3-ビニルフタル酸無水物、4-ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン無水物等が挙げられる。
カルボン酸無水物の使用量は、(b)の使用量1モルに対して、0.5モル以上1モル以下が好ましい。
【0104】
樹脂[K5]は、第一段階として、上述した樹脂[K1]の製造方法と同様にして、(b)と(c)との共重合体を得る。上記と同様に、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
【0105】
(b)及び(c)に由来する構造単位の比率は、上記共重合体を構成する全構造単位の合計モル数に対して、それぞれ、
(b)に由来する構造単位;5モル%以上95モル%以下
(c)に由来する構造単位;5モル%以上95モル%以下
であることが好ましく、
(b)に由来する構造単位;10モル%以上90モル%以下
(c)に由来する構造単位;10モル%以上90モル%以下
であることがより好ましい。
【0106】
樹脂[K5]は、樹脂[K3]の製造方法と同様の条件で(b)と(c)との共重合体が有する(b)に由来する環状エーテルに、(a)が有するカルボン酸又はカルボン酸無水物を反応させることにより得ることができる。
上記共重合体に反応させる(a)の使用量は、(b)100モルに対して、5モル以上120モル以下が好ましく、20モル以上110モル以下がより好ましい。
【0107】
樹脂[K6]は、樹脂[K4]の製造方法と同様の条件で、樹脂[K5]に、さらにカルボン酸無水物を反応させることにより得ることができる樹脂である。環状エーテルとカルボン酸又はカルボン酸無水物との反応により発生するヒドロキシ基に、カルボン酸無水物を反応させる。
カルボン酸無水物の使用量は、(a)の使用量1モルに対して、0.1モル以上1モル以下が好ましく、0.2モル以上1モル以下がより好ましく、0.3モル以上1モル以下がさらに好ましく、0.5モル以上1モル以下がよりさらに好ましい。
【0108】
樹脂[K1]、樹脂[K2]、樹脂[K3]、樹脂[K4]、樹脂[K5]及び樹脂[K6]としては、例えば、
ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸/コハク酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕/ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート共重合体等の樹脂[K1];
グリシジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体等の樹脂[K2];
ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂等の樹脂[K3];
ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂に、さらにテトラヒドロフタル酸無水物又は無水コハク酸をエステル結合させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂に、さらにテトラヒドロフタル酸無水物又は無水コハク酸をエステル結合させた樹脂、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂に、さらにテトラヒドロフタル酸無水物又は無水コハク酸をエステル結合させた樹脂、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート/2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂に、さらにテトラヒドロフタル酸無水物又は無水コハク酸をエステル結合させた樹脂等の樹脂[K4];
トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を付加させた樹脂等の樹脂[K5];
トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を付加させた樹脂に、さらにテトラヒドロフタル酸無水物又は無水コハク酸をエステル結合させた樹脂、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート/2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレート共重合体に(メタ)アクリル酸を付加させた樹脂に、さらにテトラヒドロフタル酸無水物又は無水コハク酸をエステル結合させた樹脂等の樹脂[K6];等が挙げられる。
【0109】
組成物に含まれる樹脂(B)は、樹脂[K1]、樹脂[K2]、樹脂[K3]、樹脂[K4]、樹脂[K5]、及び樹脂[K6]からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、樹脂(B)は、硬化膜の現像時の残膜率を高める観点から、樹脂[K4]、樹脂[K5]及び/又は樹脂[K6]を含むことがより好ましく、樹脂[K4]及び/又は樹脂[K6]を含むことがさらに好ましく、樹脂[K6]を含むことがよりさらに好ましい。
【0110】
樹脂(B)の更なる例として、特開2018-123274号公報に記載の樹脂が挙げられる。該樹脂としては、側鎖に二重結合を有するとともに、主鎖に、下記式(I)で表される構成単位(α)と、下記式(II)で表される構成単位(β)とを含み、さらに酸基を含む重合体(以下、「樹脂(Ba)」とも称する)が挙げられる。
酸基は、例えば樹脂(Ba)が、酸基含有単量体(例えば(メタ)アクリル酸等)に由来する構成単位(γ)を含むことで、樹脂中に導入されたものであることができる。樹脂(Ba)は、好ましくは、主鎖骨格に構成単位(α)、(β)及び(γ)を含む。
【0111】
【化8】

[式中、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~25の炭化水素基を表す。nは、式(I)で表される構成単位の平均繰り返し単位数を表し、1以上の数である。]
【0112】
【化9】

[式中、Rは、同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表す。Rは、同一又は異なって、炭素数4~20の直鎖状又は分岐鎖状炭化水素基を表す。mは、式(II)で表される構成単位の平均繰り返し単位数を表し、1以上の数である。]
【0113】
樹脂(Ba)において、構成単位(α)の含有割合は、樹脂(Ba)の耐熱性や保存安定性の観点から、樹脂(Ba)の主鎖骨格を与える全単量体単位の総量100質量%に対し、例えば0.5質量%以上50質量%以下、好ましくは1質量%以上40質量%以下、より好ましくは5質量%以上30質量%以下である。式(I)中のnは、樹脂(Ba)中の構成単位(α)の平均繰り返し単位数を表し、構成単位(α)の含有割合が上記範囲内になるようにnを設定することができる。
【0114】
構成単位(β)の含有割合は、硬化膜の耐溶剤性の観点から、樹脂(Ba)の主鎖骨格を与える全単量体単位の総量100質量%に対し、例えば10質量%以上90質量%以下、好ましくは20質量%以上80質量%以下、より好ましくは30質量%以上75質量%以下である。式(II)中のmは、樹脂(Ba)中の構成単位(β)の平均繰り返し単位数を表し、構成単位(β)の含有割合が上述した範囲内になるようにmを設定することができる。
【0115】
構成単位(γ)の含有割合は、溶剤(I)に対する樹脂(Ba)の溶解性の観点から、樹脂(Ba)の主鎖骨格を与える全単量体単位の総量100質量%に対し、例えば0.5質量%以上50質量%以下、好ましくは2質量%以上50質量%以下、より好ましくは5質量%以上45質量%以下である。
【0116】
樹脂(B)の更なる例として、ポリアルキレングリコール化合物が挙げられる。ポリアルキレングリコール化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0117】
樹脂(B)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定される標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、好ましくは9000以下である。樹脂(B)が上記Mwを有することにより、得られる硬化膜の発光強度を向上させやすい傾向にある。樹脂(B)の標準ポリスチレン換算のMwは、例えば1000以上9000以下であり、硬化膜の強度の観点から、好ましくは2000以上8500以下、より好ましくは3000以上8500以下である。樹脂(B)のMwが小さい程、現像時に膜減りを生じやすいが、本発明では、組成物が重合性化合物(C)として分子容積が450cm/mol以下である重合性化合物(C-1)を含んでいるため、膜減りを低減でき、高い残膜率を達成できる。
樹脂(B)のMwを上記範囲とするために、用いる原料の選択、仕込方法、反応温度及び時間等の反応条件を適宜組合わせて調整することができる。
【0118】
GPCによって測定される樹脂(B)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、例えば1.0以上6.0以下であり、現像時の膜減り低減、また得られる硬化膜の発光強度を高める観点から、好ましくは1.2以上4.0以下である。
【0119】
樹脂(B)の酸価は、現像時の膜減り低減、また得られる硬化膜の発光強度及び耐溶剤性を高める観点から、好ましくは30mgKOH/g以上、より好ましくは90mgKOH/g以上150mgKOH/g以下、さらに好ましくは95mgKOH/g以上140mgKOH/g以下であり、よりさらに好ましくは100mgKOH/g以上130mgKOH/g以下である。樹脂(B)の酸価は、酸基を有するモノマー成分(例えば上記(a))の含有率や、カルボン酸又はカルボン酸無水物と環状エーテルとの反応により発生するヒドロキシ基に反応させるカルボン酸無水物の含有率等によって調整することができる。
【0120】
酸価は、樹脂(B)1gを中和するに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。具体的には、後述の実施例の欄に記載の測定方法に従って測定することができる。あるいは、組成物に含まれる樹脂(B)について、例えばその構造解析を行うことにより、酸価を求めてもよい。
【0121】
樹脂(B)は、現像時の膜減り低減、また得られる硬化膜の発光強度を高める観点から、二重結合当量が、300g/eq以上2000g/eq以下の樹脂を含むことが好ましく、320g/eq以上1800g/eq以下である樹脂を含むことがより好ましく、340g/eq以上1600g/eq以下である樹脂を含むことがさらに好ましく、500g/eq以上1500g/eq以下である樹脂を含むことがよりさらに好ましい。300g/eq以上2000g/eq以下の二重結合当量を有する樹脂としては、(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。樹脂(B)は、好ましくは(メタ)アクリル系樹脂からなる。
【0122】
組成物が樹脂(B)を含む場合、組成物における樹脂(B)の含有量は、組成物の固形分の総量に対して、例えば5質量%以上80質量%以下、好ましくは10質量%以上70質量%以下、より好ましくは15質量%以上60質量%以下、さらに好ましくは15質量%以上50質量%以下である。樹脂(B)の含有量が上記範囲であると、現像時の膜減りが低減され、また半導体粒子(A)が分散し易くなることにより、得られる硬化膜の発光強度が高くなりやすい傾向にある。
【0123】
組成物が樹脂(B)を含む場合、組成物における樹脂(B)に対する半導体粒子(A)の含有量比(半導体粒子(A)/樹脂(B))は、質量基準で、例えば4.0以下であり、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下、さらに好ましくは2.2以下、よりさらに好ましくは2.0以下、いっそう好ましくは1.8以下である。また、得られる硬化膜の発光強度向上の観点から、上記比は、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.35以上、さらに好ましくは0.4以上、よりさらに好ましくは0.5以上である。
【0124】
組成物が樹脂(B)を含む場合、組成物における重合性化合物(C)に対する樹脂(B)の含有量比(樹脂(B)/重合性化合物(C))は、現像時の膜減り低減の観点から、質量基準で、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは1.0以上、よりさらに好ましくは1.2以上であり、また、好ましくは10以下、より好ましくは7以下、さらに好ましくは5以下、よりさらに好ましくは4以下である。
【0125】
<重合性化合物(C)>
重合性化合物(C)は、活性ラジカル、酸等によって重合し得る化合物であり、特に後述する重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル、酸等によって重合し得る化合物である。組成物は、1種又は2種以上の重合性化合物(C)を含んでいてもよく、重合性化合物(C)として、分子容積が450cm/mol以下である重合性化合物(C-1)を少なくとも含む。組成物が重合性化合物(C-1)を含むことにより、現像時の膜減りを低減し、残膜率により優れた硬化膜を形成し得え、また好ましくは発光強度にも優れる硬化膜を形成し得る。
【0126】
<<重合性化合物(C-1)>>
重合性化合物(C-1)は、分子容積が450cm/mol以下であり、好ましくは430cm/mol以下又は410cm/mol以下、より好ましくは400cm/mol以下又は390cm/mol以下、さらに好ましくは380cm/mol以下又は370cm/mol以下、よりさらに好ましくは360cm/mol以下又は350cm/mol以下、いっそう好ましくは340cm/mol以下、よりいっそう好ましくは330cm/mol以下である。また、重合性化合物(C-1)の分子容積は、好ましくは70cm/mol以上又は90cm/mol以上、より好ましくは100cm/mol以上、110cm/mol以上又は120cm/mol以上、さらに好ましくは130cm/mol以上、140cm/mol以上又は150cm/mol以上、よりさらに好ましくは160cm/mol以上、170cm/mol以上又は180cm/mol以上、いっそう好ましくは190cm/mol以上、200cm/mol以上又は210cm/mol以上、よりいっそう好ましくは220cm/mol以上、なおさらにいっそう好ましくは250cm/mol以上である。重合性化合物(C-1)の分子容積が上記範囲内にあると、現像時の残膜率が高く、また発光強度に優れる硬化膜を形成し得る組成物が得られる。
【0127】
分子容積は、化合物を構成する原子の大きさや立体構造、及び分子間力等により変化する値である。
重合性化合物(C)の分子容積は、その分子構造に基づき、一般的な計算ソフトを用いたDFT(Density Functional Theory;B3LYP/6-31G)計算によって求めることができる。計算ソフトとしては、例えば、HULINKS社製の量子化学計算プログラム「Gaussianシリーズ」等が挙げられる。
【0128】
重合性化合物(C-1)は、現像時の残膜率を改善し、また良好な発光強度を有する硬化膜とする観点から、濃度1mg/100mLの溶液としたときの波長300nmにおける吸光度が0.5以下であることが好ましく、0.4以下がより好ましく、0.3以下がさらに好ましい。前記吸光度測定における溶剤としては、重合性化合物(C-1)を溶解し、良好な透明性を持つことが好ましく、このような溶剤を採用することが好ましい。溶剤としては、例えば、組成物に含まれていてもよい溶剤(I)として後述する溶剤が好ましく挙げられ、溶解性の観点から、特にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましい。前記吸光度は、波長300nmよりも大きな波長でも満足することが好ましく、例えば、波長300nm~500nmの全波長範囲において満足する(つまり、吸光度が0.5以下、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.3以下)ことが好ましく、波長300nm~700nmの全波長範囲において満足することがより好ましい。
【0129】
重合性化合物(C-1)は、現像時の残膜率を改善する観点から、分子内に1つ以上の重合性官能基を有していることが好ましく、2つ以上の重合性官能基を有することがより好ましい。重合性官能基の上限は特に限定されないが、例えば、6つ以下、好ましくは4つ以下、より好ましくは3つ以下である。また重合性化合物(C-1)は、分子内に2、4、又は6つの重合性官能基を有するものが好ましく、2又は4つの重合性官能基を有するものがより好ましく、2つの重合性官能基を有するものが特に好ましい。
重合性化合物(C-1)は、分子内に2つ以上の重合性官能基を有する場合、重合性官能基を1種のみ有していてもよく、2種以上有していてもよく、1種のみ有していることが好ましい。
【0130】
重合性官能基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。現像時の残膜率を改善し、また良好な発光強度を有する硬化膜とする観点から、重合性化合物(C-1)が有する重合性官能基としては、中でも、(メタ)アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基がより好ましく、アクリロイルオキシ基がさらに好ましい。
【0131】
重合性化合物(C-1)は、現像時の残膜率を改善し、また良好な発光強度を有する硬化膜とする観点から、分子内に1つ以上の環状炭化水素基を有していることが好ましい。前記環状炭化水素基は、環状炭化水素から結合手の数と同数の水素原子を除いた基を意味し、環状炭化水素としては、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素が挙げられる。
【0132】
前記芳香族炭化水素は、単環及び多環のいずれであってもよい。芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、インデン、ナフタレン、アズレン、フルオレン、アントラセン、ナフタセン、ビフェニル等が挙げられる。芳香族炭化水素の炭素数は、4~25が好ましく、4~20がより好ましく、6~14がさらに好ましく、6~12がよりさらに好ましい。現像時の残膜率を改善し、また良好な発光強度を有する硬化膜とする観点から、芳香族炭化水素としては、中でもベンゼン、ナフタレン、ビフェニルが好ましく、ベンゼンが特に好ましい。
【0133】
前記脂環式炭化水素は、飽和又は不飽和であってもよく、また単環又は多環であってもよい。飽和の単環炭化水素としては、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカンが挙げられる。不飽和の単環炭化水素としては、例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン等のシクロアルケン;シクロオクタジエン等のシクロアルカジエン;シクロオクチン等のシクロアルキンが挙げられる。飽和の多環炭化水素としては、例えば、ビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、デカヒドロナフタレン、アダマンタン、トリシクロ[3.2.1.02,7]オクタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン等の橋架環炭化水素;スピロ[4.5]デカン、ジスピロ[4.2.4.2]テトラデカン等のスピロ環炭化水素等が挙げられる。不飽和の多環炭化水素としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-3,8-ジエン等が挙げられる。脂環式炭化水素の炭素数は、3~25が好ましく、4~20がより好ましく、5~15がさらに好ましく、7~12がよりさらに好ましい。現像時の残膜率を改善し、また良好な発光強度を有する硬化膜とする観点から、脂環式炭化水素としては、飽和の脂環式炭化水素が好ましく、飽和の多環炭化水素がより好ましく、特に炭素数7~12の飽和の橋架環式炭化水素が好ましい。
【0134】
重合性化合物(C-1)は、現像時の残膜率を改善し、また良好な発光強度を有する硬化膜とする観点から、分子内に少なくとも1つの芳香族炭化水素基(芳香族炭化水素から結合手の数と同数の水素原子を除いた基)を有すること、及び分子内に少なくとも1つの6員環の単環状炭化水素基(単環状炭化水素から結合手の数と同数の水素原子を除いた基)を有することのいずれか又は両方であることが好ましく、分子内に少なくとも1つの6員環の芳香族炭化水素基を有することが特に好ましい。
【0135】
前記芳香族炭化水素基、6員環の単環状炭化水素基等は、炭化水素鎖と共に重合性化合物(C-1)に含まれることが好ましい。炭化水素鎖としては、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン等のアルカンが挙げられ、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいが、直鎖状であることが好ましい。また炭化水素鎖の炭素数は例えば、2~20、好ましくは3~10、より好ましくは3~5である。この炭化水素鎖を主鎖と見なしたとき、芳香族炭化水素基、6員環の単環状炭化水素基等は、重合性官能基と共に側鎖を構成し、該側鎖が前記主鎖に結合する。
【0136】
また重合性化合物(C-1)は、分子容積を450cm/mol以下に抑制する観点から、分子内に有する環状炭化水素基の数は3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。なお、本明細書において環の数を数える場合、縮合環構造を有する環状炭化水素基(例えば、ナフタレン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン等から結合手の数の水素原子を除いた基)については、縮合環を1つの環と数えることとする。従って、スピロ化合物等のように1つの炭素原子を共有して2つの環が結合した化合物は、環の数が2である。
【0137】
重合性化合物(C-1)が2つ以上の環状炭化水素基を含む場合、2つ以上の環状炭化水素基は炭化水素基で連結されていることが好ましい。前記炭化水素基には、メタン、エタン、プロパン等のアルカンから連結する環状炭化水素基の数と等しい数の水素原子を除いた基が挙げられる。該炭化水素基の炭素数は、例えば、1~10、好ましくは1~5、より好ましくは1~3である。
【0138】
重合性化合物(C-1)は、対称構造を有していることが好ましい。ここで対称構造とは、分子の中心を有し、2つの同一の構造部分が前記中心に結合している構造をいう。分子の中心は、通常、原子にあるか、原子をつなぐ結合にあり、環(縮合環を含む)も中心とみなしてよい。中心が環(縮合環を含む)の場合、該環(縮合環を含む)自体の対称性はなくてもよい。この中心に結合する2つ以上の前記構造部分は、それぞれが前記中心に結合する1つ以上の1価の基から構成されている。この場合、構造部分は互いに同じであるため、例えば、構造部分が2つ以上の1価の基A、Bを有する場合、中心に結合する2つの構造部分の両方が同一の1価の基A、Bを有することになる。1つの構造部分が2つ以上の有機基を有する場合、それらは互いに結合していてもよい。
【0139】
中心に結合する前記構造部分は、1価の基を1つ有するものであることが好ましい。また前記構造部分が1価の基を2つ以上有する場合、1つの基の分子量が100以上、好ましくは120以上、より好ましくは130以上であり、残りの基の分子量が100未満であることが好ましい。このような構造部分を有する重合性化合物は、棒状分子になり易く、現像時の残膜率を良好にする観点で優れている。なお1つの構造部分に含まれる2つ以上の1価の基が互いに結合している場合、該基の分子量は、結合後の分子量を結合する基の数で除した値とする。
【0140】
また重合性化合物(C-1)は、4級炭素を有さない化合物(C-1a)、或いは4級炭素を有する化合物であって、この4級炭素原子に結合する4つの基のうち少なくとも1つの基、好ましくは2つの基の分子量が50以下であり、残りの基の分子量が50超である化合物(C-1b)のいずれかが好ましい。このような重合性化合物も、棒状分子になり易く、現像時の残膜率を良好にする観点で優れている。なお4級炭素に結合する2つ以上の基が互いに結合している場合、該基の分子量は、結合後の分子量を結合する基の数で除した値とする。
【0141】
重合性化合物(C-1)としては、分子内に環状炭化水素基を1~3つ有しているものが好ましく、分子内に環状炭化水素基を1~3つ有し且つ分子内に重合性官能基を2つ以上有するものがより好ましく、分子内に環状炭化水素基を1~3つ有し且つ分子内に重合性官能基を2つ有するものがさらに好ましい。
【0142】
重合性化合物(C-1)としては、例えば、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジアクリレート(具体的には、商品名「IRR214-K」;ダイセル・オルネクス社製等)、エチレンオキシド変性ビスフェノールジアクリレート(具体的には、商品名「EBECRYL150」;ダイセル・オルネクス社製等)等が好ましい。また重合性化合物(C-1)であって、分子内に環状炭化水素基を有しない化合物としては、例えば、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート等が好ましい。
【0143】
組成物における重合性化合物(C)の含有量は、膜の残膜率及び発光強度を向上する観点から、組成物の固形分の総量に対して、好ましくは1質量%以上50質量%以下、より好ましくは2質量%以上40質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上30質量%以下、よりさらに好ましくは10質量%以上25質量%以下である。
【0144】
組成物における重合性化合物(C-1)の含有量は、現像時の残膜率を向上する観点から、組成物の固形分の総量に対して、好ましくは0.5質量%以上50質量%以下、より好ましくは1質量%以上40質量%以下、さらに好ましくは3質量%以上30質量%以下、よりさらに好ましくは5質量%以上25質量%以下、いっそう好ましくは5質量%以上20質量%以下である。
【0145】
重合性化合物(C)における重合性化合物(C-1)の含有量は、現像時の残膜率を向上する観点から、重合性化合物(C)の総量に対して、好ましくは35質量%以上100質量%以下、より好ましくは40質量%以上95質量%以下、さらに好ましくは45質量%以上90質量%以下、よりさらに好ましくは50質量%以上80質量%以下、いっそう好ましくは55質量%以上70質量%以下である。
【0146】
重合性化合物(C)は、分子内に3個以上の重合性官能基(例えば、エチレン性不飽和結合を有する基、好ましくは(メタ)アクリロイルオキシ基、より好ましくはアクリロイルオキシ基)を有し、且つ酸性官能基を有する化合物(以下、「重合性化合物(C-2)」とも称する)を少なくとも1種含むことが好ましい。
【0147】
上記酸性官能基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。中でも、酸性官能基は、カルボキシ基であることが好ましい。
【0148】
組成物における重合性化合物(C)が重合性化合物(C-2)を含むことにより、半導体粒子(A)の分散性を向上させることができ、波長変換層の発光強度を向上させ得る。また、重合性化合物(C)が重合性化合物(C-2)を含むことにより、組成物の硬化性及び耐熱性を向上させ得る。
【0149】
重合性化合物(C-2)1分子が有する重合性官能基(特に、(メタ)アクリロイルオキシ基)の数は、例えば、3以上6以下、好ましくは3以上5以下、より好ましくは3である。重合性化合物(C-2)1分子が有する酸性官能基の数は、1以上であり、好ましくは1である。2以上の酸性官能基を有する場合は、それぞれの酸性官能基は異なってもいてもよく同一であってもよいが、少なくとも1つのカルボキシ基を有することが好ましい。
【0150】
重合性化合物(C-2)は、分子内に環状炭化水素基を有しないことが好ましい。
【0151】
重合性化合物(C-2)としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート又はジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の3つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基及びヒドロキシ基を有する化合物と、ジカルボン酸とをエステル化して得られた化合物が挙げられる。該化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとコハク酸とをモノエステル化した化合物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとコハク酸とをモノエステル化した化合物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとマレイン酸とをモノエステル化した化合物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとマレイン酸とをモノエステル化した化合物等が挙げられる。中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとコハク酸とをモノエステル化した化合物が好ましい。
【0152】
重合性化合物(C-2)の市販品としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの二塩基酸無水物付加物を主成分とする東亞合成(株)製「アロニックス M-510」、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートの二塩基酸無水物付加物を主成分とする、東亞合成(株)製「アロニックス M-520D」等を挙げることができる。これらの市販品は、酸性官能基としてカルボキシ基を有する。
【0153】
重合性化合物(C)が重合性化合物(C-2)を含む場合、その含有量は、重合性化合物(C)の総量に対して、好ましくは1質量%以上65質量%以下、より好ましくは5質量%以上60質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上50質量%以下、よりさらに好ましくは20質量%以上45質量%以下である。
【0154】
重合性化合物(C)が重合性化合物(C-2)を含む場合、重合性化合物(C-1)に対する重合性化合物(C-2)の含有量比(重合性化合物(C-2)/重合性化合物(C-1))は、質量基準で、好ましくは0.10以上1.0以下、より好ましくは0.20以上0.90以下、さらに好ましくは0.30以上0.85以下、よりさらに好ましくは0.40以上0.80以下である。
【0155】
重合性化合物(C)100質量部中、重合性化合物(C-1)と重合性化合物(C-2)の合計含有量は、好ましくは50質量部以上100質量部以下、より好ましくは70質量部以上100質量部以下、さらに好ましくは90質量部以上100質量部以下であり、100質量部であることが特に好ましい。
【0156】
重合性化合物(C)は、膜硬化性の観点から、分子内に重合性官能基を1つ有する単官能の重合性化合物の含有量が、重合性化合物(C)の総量に対して、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下がよりさらに好ましく、また0質量%であってもよい。
【0157】
<重合開始剤(D)>
重合開始剤(D)は、光又は熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合性化合物(C)の重合を開始し得る化合物である。組成物は、1種又は2種以上の重合開始剤(D)を含むことができる。
【0158】
重合開始剤(D)としては、オキシム化合物、アルキルフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物及びアシルホスフィン化合物等の光重合開始剤、アゾ系化合物や有機過酸化物等の熱重合開始剤が挙げられる。
【0159】
オキシム化合物の一例は、下記式(1)で表される第1分子構造を有するオキシム化合物である。以下、該オキシム化合物を「オキシム化合物(1)」とも称する。
【0160】
【化10】

[式(1)中、Rは、R11、OR11、COR11、SR11、CONR1213又はCNを表す。*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造以外の他の分子構造である第2分子構造との結合手を表す。]
【0161】
重合開始剤(D)としてオキシム化合物(1)を含むことは、硬化膜の発光強度を向上させる観点から有利となり得る。このような効果を奏することができる一因は、オキシム化合物(1)が有する特有の分子構造に起因して、オキシム化合物(1)が光重合を開始させる際に必要となるオキシム化合物(1)の開裂(分解)前後でのオキシム化合物(1)の吸収波長が大きく変化することから、オキシム化合物(1)は光ラジカル重合開始能力が高いことにあると推定される。
【0162】
11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
11、R12又はR13で表わされる基の水素原子は、OR21、COR21、SR21、NR2223、CONR2223、-NR22-OR23、-N(COR22)-OCOR23、-C(=N-OR21)-R22、-C(=N-OCOR21)-R22、CN、ハロゲン原子又はCOOR21で置換されていてもよい。
21、R22及びR23は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
21、R22又はR23で表される基の水素原子は、CN、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されていてもよい。
11、R12、R13、R21、R22又はR23で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-NR24-、-NR24CO-、-NR24COO-、-OCONR24-、-SCO-、-COS-、-OCS-又は-CSO-により1~5回中断されていてもよい。
24は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
11、R12、R13、R21、R22又はR23で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよく、またR12とR13及びR22とR23はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよい。
【0163】
式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24で表される炭素数1~20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、tert-オクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基等が挙げられる。
【0164】
式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24で表される炭素数6~30のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、上記アルキル基で1つ以上置換されたフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
【0165】
式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24で表される炭素数7~30のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α-メチルベンジル基、α、α-ジメチルベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
【0166】
式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24で表される炭素数2~20の複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジル基、フリル基、チエニル基、テトラヒドロフリル基、ジオキソラニル基、ベンゾオキサゾール-2-イル基、テトラヒドロピラニル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、ピラゾリジル基、チアゾリジル基、イソチアゾリジル基、オキサゾリジル基、イソオキサゾリジル基、ピペリジル基、ピペラジル基、モルホリニル基等が挙げられ、好ましくは5~7員複素環である。
【0167】
式(1)中のR12とR13及びR22とR23はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよいとは、R12とR13及びR22とR23はそれぞれ一緒になって接続する窒素原子、炭素原子又は酸素原子とともに環を形成していてもよいことを意味する。
式(1)中のR12とR13及びR22とR23が一緒になって形成し得る環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、ピペリジン環、モルホリン環、ラクトン環、ラクタム環等が挙げられ、好ましくは5~7員環である。
【0168】
式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22及びR23が置換基として有してもよいハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0169】
式(1)中のRは、好ましくはR11であり、より好ましくは炭素数1~20のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1~10のアルキル基であり、よりさらに好ましくは炭素数1~6のアルキル基である。
【0170】
式(1)で表される第1分子構造に連結される第2分子構造の一例は、下記式(2)で表される構造である。第2分子構造とは、オキシム化合物(1)が有する上記第1分子構造以外の他の分子構造部分を意味する。
式(2)において「*」で表される結合手は、式(1)において「*」で表される結合手と直接結合している。すなわち、第2分子構造が式(2)で表される構造である場合、式(2)中の「-*」を有するベンゼン環と式(1)中の「-*」を有するカルボニル基とは直接結合している。
【0171】
【化11】
【0172】
[式(2)中、
及びRは、それぞれ独立に、R11、OR11、SR11、COR11、CONR1213、NR12COR11、OCOR11、COOR11、SCOR11、OCSR11、COSR11、CSOR11、CN又はハロゲン原子を表す。
が複数存在するとき、それらは同じであっても異なっていてもよい。
が複数存在するとき、それらは同じであっても異なっていてもよい。
11、R12及びR13は、上記と同じ意味を表す。
s及びtは、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。
Lは、硫黄原子、CR3132、CO又はNR33を表す。
31、R32及びR33は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基又は炭素数7~30のアラルキル基を表す。
31、R32又はR33で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよく、R31、R32及びR33は、それぞれ独立に、隣接するどちらかのベンゼン環と一緒になって環を形成していてもよい。
は、ヒドロキシ基、カルボキシ基又は下記式(2-1)で表される基を表す。
【0173】
【化12】

[式(2-1)中、
は、-O-、-S-、-NR22-、-NR22CO-、-SO-、-CS-、-OCO-又は-COO-を表す。
22は、上記と同じ意味を表す。
は、炭素数1~20のアルキル基からv個の水素原子を除いた基、炭素数6~30のアリール基からv個の水素原子を除いた基、炭素数7~30のアラルキル基からv個の水素原子を除いた基又は炭素数2~20の複素環基からv個の水素原子を除いた基を表す。
で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-NR22-、-NR22COO-、-OCONR22-、-SCO-、-COS-、-OCS-又は-CSO-により1~5回中断されていてもよく、該アルキレン部分は分岐鎖状であってもよく、環状であってもよい。
4aは、OR41、SR41、CONR4243、NR42COR43、OCOR41、COOR41、SCOR41、OCSR41、COSR41、CSOR41、CN又はハロゲン原子を表す。
4aが複数存在するとき、それらは同じであっても異なっていてもよい。
41、R42及びR43は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基又は炭素数7~30のアラルキル基を表し、R41、R42及びR43で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は分岐鎖状であってもよく、環状であってもよく、R42とR43は、一緒になって環を形成していてもよい。
vは1~3の整数を表す。]
*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造との結合手を表す。]
【0174】
式(2)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23、R24、R31、R32及びR33、並びに上記式(2-1)中のR22、R41、R42及びR43で表される炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基の例は、式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24についての例と同様である。
【0175】
式(2)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23、R24、並びに上記式(2-1)中のR22で表される炭素数2~20の複素環基の例は、式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24についての例と同様である。
【0176】
式(2)中のR31、R32及びR33は、それぞれ独立に、隣接するどちらかのベンゼン環と一緒になって環を形成していてもよいとは、R31、R32及びR33は、それぞれ独立に、隣接するどちらかのベンゼン環と一緒になって接続する窒素原子とともに環を形成していてもよいことを意味する。
式(2)中のR31、R32及びR33が隣接するどちらかのベンゼン環と一緒になって形成し得る環の例は、式(1)中のR12とR13及びR22とR23が一緒になって形成し得る環についての例と同様である。
【0177】
上記式(2-1)中のLは、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基又は炭素数2~20の複素環基からv個の水素原子を除いた基を表す。
【0178】
炭素数1~20のアルキル基からv個の水素原子を除いた基としては、例えば、vが1の場合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、1-メチルプロピレン基、2-メチルプロピレン基、1,2-ジメチルプロピレン基、1,3-ジメチルプロピレン基、1-メチルブチレン基、2-メチルブチレン基、3-メチルブチレン基、4-メチルブチレン基、2,4-ジメチルブチレン基、1,3-ジメチルブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、エタン-1,1-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基等のアルキレン基が挙げられる。
【0179】
炭素数6~30のアリール基からv個の水素原子を除いた基としては、例えば、vが1の場合、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基、2,6-ナフチレン基、1,4-ナフチレン基、2,5-ジメチル-1,4-フェニレン基、ジフェニルメタン-4,4’-ジイル基、2,2-ジフェニルプロパン-4,4’-ジイル基、ジフェニルスルフィド-4,4’-ジイル基、ジフェニルスルホン-4,4’-ジイル基等のアリーレン基が挙げられる。
【0180】
炭素数7~30のアラルキル基からv個の水素原子を除いた基としては、例えば、vが1の場合、下記式(a)で表される基及び下記式(b)で表される基等が挙げられる。
【0181】
【化13】

[式(a)及び(b)中、L及びLは、炭素数1~10のアルキレン基を表し、L及びLは、単結合又は炭素数1~10のアルキレン基を表す。]
【0182】
炭素数1~10のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、1-メチルプロピレン基、2-メチルプロピレン基、1,2-ジメチルプロピレン基、1,3-ジメチルプロピレン基、1-メチルブチレン基、2-メチルブチレン基、3-メチルブチレン基、4-メチルブチレン基、2,4-ジメチルブチレン基、1,3-ジメチルブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等が挙げられる。
【0183】
炭素数2~20の複素環基からv個の水素原子を除いた基としては、例えば、vが1の場合、2,5-ピリジンジイル基、2,6-ピリジンジイル基、2,5-ピリミジンジイル基、2,5-チオフェンジイル基、3,4-テトラヒドロフランジイル基、2,5-テトラヒドロフランジイル基、2,5-フランジイル基、3,4-チアゾールジイル基、2,5-ベンゾフランジイル基、2,5-ベンゾチオフェンジイル基、N-メチルインドール-2,5-ジイル基、2,5-ベンゾチアゾールジイル基、2,5-ベンゾオキサゾールジイル基等の2価の複素環基が挙げられる。
【0184】
式(2)中のR及びR、並びに上記式(2-1)中のR4aで表されるハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0185】
溶剤(I)への溶解性及び組成物の現像性の観点から、式(2)で表される構造の好ましい例は、下記式(2a)で表される構造である。
【0186】
【化14】

[式(2a)中、L’は、硫黄原子又はNR50を表し、R50は、直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数1~20のアルキル基を表し、R、R、R、s及びtは、上記と同じ意味を表す。*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造との結合手を表す。]
【0187】
上記と同様の観点から、式(2)で表される構造の他の好ましい例は、下記式(2b)で表される構造である。
【0188】
【化15】

[式(2b)中、R44は、ヒドロキシ基、カルボキシ基又は下記式(2-2)で表される基を表す。
【0189】
【化16】

[式(2-2)中、L11は、-O-又は**-OCO-を表し、**はL12との結合手を表し、L12は、炭素数1~20のアルキレン基を表し、該アルキレン基は、1~3個の-O-により中断されていてもよく、R44aは、OR55又はCOOR55を表し、R55は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。]
*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造との結合手を表す。]
【0190】
44は、好ましくは、式(2-2)で表される基である。この場合、オキシム化合物(1)の溶剤(I)への溶解性及び組成物の現像性の点で有利となる。
【0191】
12で表されるアルキレン基の炭素数は、好ましくは1~10であり、より好ましくは1~4である。
44aは、好ましくはヒドロキシ基又はカルボキシ基であり、より好ましくはヒドロキシ基である。
【0192】
式(2)で表される第2分子構造を有するオキシム化合物(1)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、特開2011-132215号公報に記載の方法で製造することができる。
【0193】
式(1)で表される第1分子構造に連結される第2分子構造の他の一例は、下記式(3)で表される構造である。
式(3)において「*」で表される結合手は、式(1)において「*」で表される結合手と直接結合している。すなわち、第2分子構造が式(3)で表される構造である場合、式(3)中の「-*」を有するベンゼン環と式(1)中の「-*」を有するカルボニル基とは直接結合している。
【0194】
【化17】

[式(3)中、
は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよい。
で表される基の水素原子は、R21、OR21、COR21、SR21、NR2223、CONR2223、-NR22-OR23、-N(COR22)-OCOR23、NR22COR21、OCOR21、COOR21、-C(=N-OR21)-R22、-C(=N-OCOR21)-R22、SCOR21、OCSR21、COSR21、CSOR21、水酸基、ニトロ基、CN、ハロゲン原子又はCOOR21で置換されていてもよい。
21、R22及びR23は、上記と同じ意味を表す。
21、R22又はR23で表される基の水素原子は、CN、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されていてもよい。
21、R22及びR23で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-NR24-、-NR24CO-、-NR24COO-、-OCONR24-、-SCO-、-COS-、-OCS-又は-CSO-により1~5回中断されていてもよい。
24は、上記と同じ意味を表す。
21、R22及びR23で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよく、また、R22とR23は一緒になって環を形成していてもよい。
、R、R及びRは、それぞれ独立に、R61、OR61、SR61、COR62、CONR6364、NR65COR61、OCOR61、COOR62、SCOR61、OCSR61、COSR62、CSOR61、水酸基、ニトロ基、CN又はハロゲン原子を表す。
61、R62、R63、R64及びR65は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
61、R62、R63、R64又はR65で表わされる基の水素原子は、OR21、COR21、SR21、NR2223、CONR2223、-NR22-OR23、-N(COR22)-OCOR23、-C(=N-OR21)-R22、-C(=N-OCOR21)-R22、CN、ハロゲン原子又はCOOR21で置換されていてもよい。
とR、RとR及びRとRはそれぞれ一緒になって環を形成していてもよい。
*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造との結合手を表す。]
【0195】
式(3)中のR、R21、R22、R23、R24、R61、R62、R63、R64及びR65で表される炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基、炭素数2~20の複素環基の例は、式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24についての例と同様である。
【0196】
式(3)中のR22とR23は一緒になって環を形成していてもよいとは、R22とR23は一緒になって接続する窒素原子、炭素原子又は酸素原子とともに環を形成していてもよいことを意味する。
式(3)中のR22とR23が一緒になって形成し得る環の例は、式(1)中のR12とR13及びR22とR23が一緒になって形成し得る環についての例と同様である。
【0197】
式(3)中のR、R、R及びRで表されるハロゲン原子、R、R21、R22、R23、R61、R62、R63、R64及びR65の水素原子を置換してもよいハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0198】
溶剤(I)への溶解性及び組成物の現像性の観点から、1つの好ましい形態において、Rは、下記式(3-1)で表される基である。
【0199】
【化18】

[式(3-1)中、
Zは、炭素数1~20のアルキル基から1個の水素原子を除いた基、炭素数6~30のアリール基から1個の水素原子を除いた基、炭素数7~30のアラルキル基から1個の水素原子を除いた基又は炭素数2~20の複素環基から1個の水素原子を除いた基を表し、
Zで表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-NR24-、-NR24COO-、-OCONR24-、-SCO-、-COS-、-OCS-又は-CSO-により1~5回中断されていてもよく、該アルキレン部分は分岐鎖状であってもよく、環状であってもよく、
21、R22及びR24は、上記と同じ意味を表す。]
【0200】
式(3-1)中のZは、上記と同様の観点から、好ましくは、メチレン基、エチレン基又はフェニレン基である。
式(3-1)中のR21及びR22は、上記と同様の観点から、好ましくは、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~30のアリール基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基又はフェニル基である。
上記と同様の観点から、他の1つの好ましい形態において、Rは、ニトロ基である。
【0201】
式(3)で表される第2分子構造を有するオキシム化合物(1)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、特開2000-80068号公報及び特開2011-178776号公報に記載の方法で製造することができる。
【0202】
式(1)で表される第1分子構造に連結される第2分子構造のさらに他の一例は、下記式(4)で表される構造である。
式(4)において「*」で表される結合手は、式(1)において「*」で表される結合手と直接結合している。すなわち、第2分子構造が式(4)で表される構造である場合、式(4)中の「-*」を有するベンゼン環と式(1)中の「-*」を有するカルボニル基とは直接結合している。
【0203】
【化19】

[式(4)中、
71は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
71で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよい。
71で表される基の水素原子は、R21、OR21、COR21、SR21、NR2223、CONR2223、-NR22-OR23、-N(COR22)-OCOR23、NR22COR21、OCOR21、COOR21、-C(=N-OR21)-R22、-C(=N-OCOR21)-R22、SCOR21、OCSR21、COSR21、CSOR21、水酸基、ニトロ基、CN、ハロゲン原子又はCOOR21で置換されていてもよい。
21、R22及びR23は、上記と同じ意味を表す。
21、R22又はR23で表される基の水素原子は、CN、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されていてもよい。
21、R22及びR23で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-NR24-、-NR24CO-、-NR24COO-、-OCONR24-、-SCO-、-COS-、-OCS-又は-CSO-により1~5回中断されていてもよい。
24は、上記と同じ意味を表す。
21、R22及びR23で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよく、また、R22とR23は一緒になって環を形成していてもよい。
72、R73及び3個のR74は、それぞれ独立に、R61、OR61、SR61、COR62、CONR6364、NR65COR61、OCOR61、COOR62、SCOR61、OCSR61、COSR62、CSOR61、水酸基、ニトロ基、CN又はハロゲン原子を表す。
61、R62、R63、R64及びR65は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
61、R62、R63、R64又はR65で表わされる基の水素原子は、OR21、COR21、SR21、NR2223、CONR2223、-NR22-OR23、-N(COR22)-OCOR23、-C(=N-OR21)-R22、-C(=N-OCOR21)-R22、CN、ハロゲン原子又はCOOR21で置換されていてもよい。
72とR73及び2個のR74はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよい。
*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造との結合手を表す。]
【0204】
式(4)中のR71、R21、R22、R23、R24、R61、R62、R63、R64及びR65で表される炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基、炭素数2~20の複素環基の例は、式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24についての例と同様である。
【0205】
式(4)中のR22とR23は一緒になって環を形成していてもよいとは、R22とR23は一緒になって接続する窒素原子、炭素原子又は酸素原子とともに環を形成していてもよいことを意味する。
式(4)中のR22とR23が一緒になって形成し得る環の例は、式(1)中のR12とR13及びR22とR23が一緒になって形成し得る環についての例と同様である。
【0206】
式(4)中のR72、R73及びR74で表されるハロゲン原子、R71、R21、R22、R23、R61、R62、R63、R64及びR65の水素原子を置換してもよいハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0207】
式(4)で表される第2分子構造を有するオキシム化合物(1)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、国際公開第2017/051680号及び国際公開第2020/004601号に記載の方法で製造することができる。
【0208】
式(1)で表される第1分子構造に連結される第2分子構造のさらに他の一例は、下記式(5)で表される構造である。
式(5)において「*」で表される結合手は、式(1)において「*」で表される結合手と直接結合している。すなわち、第2分子構造が式(5)で表される構造である場合、式(5)中の「-*」を有するピロール環と式(1)中の「-*」を有するカルボニル基とは直接結合している。
【0209】
【化20】

[式(5)中、
81は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
81で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよい。
81で表される基の水素原子は、R21、OR21、COR21、SR21、NR2223、CONR2223、-NR22-OR23、-N(COR22)-OCOR23、NR22COR21、OCOR21、COOR21、-C(=N-OR21)-R22、-C(=N-OCOR21)-R22、SCOR21、OCSR21、COSR21、CSOR21、水酸基、ニトロ基、CN、ハロゲン原子又はCOOR21で置換されていてもよい。
21、R22及びR23は、上記と同じ意味を表す。
21、R22又はR23で表される基の水素原子は、CN、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されていてもよい。
21、R22及びR23で表される基がアルキレン部分を有する場合、該アルキレン部分は、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-NR24-、-NR24CO-、-NR24COO-、-OCONR24-、-SCO-、-COS-、-OCS-又は-CSO-により1~5回中断されていてもよい。
24は、上記と同じ意味を表す。
21、R22及びR23で表される基がアルキル部分を有する場合、該アルキル部分は、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよく、また、R22とR23は一緒になって環を形成していてもよい。
82、R83、R84、R85及びR86は、それぞれ独立に、R61、OR61、SR61、COR62、CONR6364、NR65COR61、OCOR61、COOR62、SCOR61、OCSR61、COSR62、CSOR61、水酸基、ニトロ基、CN又はハロゲン原子を表す。
61、R62、R63、R64、及びR65は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
61、R62、R63、R64又はR65で表わされる基の水素原子は、OR21、COR21、SR21、NR2223、CONR2223、-NR22-OR23、-N(COR22)-OCOR23、-C(=N-OR21)-R22、-C(=N-OCOR21)-R22、CN、ハロゲン原子又はCOOR21で置換されていてもよい。
83とR84、R84とR85及びR85とR86はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよい。
*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造との結合手を表す。]
【0210】
式(5)中のR81、R21、R22、R23、R24、R61、R62、R63、R64及びR65で表される炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基、炭素数2~20の複素環基の例は、式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22、R23及びR24についての例と同様である。
【0211】
式(5)中のR22とR23は一緒になって環を形成していてもよいとは、R22とR23は一緒になって接続する窒素原子、炭素原子又は酸素原子とともに環を形成していてもよいことを意味する。
式(5)中のR22とR23が一緒になって形成し得る環の例は、式(1)中のR12とR13及びR22とR23が一緒になって形成し得る環についての例と同様である。
【0212】
式(5)中のR82、R83、R84、R85及びR86で表されるハロゲン原子、R81、R21、R22、R23、R61、R62、R63、R64及びR65の水素原子を置換してもよいハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0213】
式(5)で表される第2分子構造を有するオキシム化合物(1)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、国際公開第2017/051680号及び国際公開第2020/004601号に記載の方法で製造することができる。
【0214】
式(1)で表される第1分子構造に連結される第2分子構造のさらに他の一例は、下記式(6)で表される構造である。
式(6)において「*」で表される結合手は、式(1)において「*」で表される結合手と直接結合している。すなわち、第2分子構造が式(6)で表される構造である場合、式(6)中の「-*」を有するベンゼン環と式(1)中の「-*」を有するカルボニル基とは直接結合している。
【0215】
【化21】

[式(6)中、
4個のR91、R92、R93、R94、R95、R96及びR97は、それぞれ独立に、R61、OR61、SR61、COR62、CONR6364、NR65COR61、OCOR61、COOR62、SCOR61、OCSR61、COSR62、CSOR61、水酸基、ニトロ基、CN又はハロゲン原子を表す。
61、R62、R63、R64及びR65は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基又は炭素数2~20の複素環基を表す。
61、R62、R63、R64又はR65で表わされる基の水素原子は、OR21、COR21、SR21、NR2223、CONR2223、-NR22-OR23、-N(COR22)-OCOR23、-C(=N-OR21)-R22、-C(=N-OCOR21)-R22、CN、ハロゲン原子又はCOOR21で置換されていてもよい。
21、R22及びR23は、上記と同じ意味を表す。
92とR93、R94とR95、R95とR96及びR96とR97はそれぞれ一緒になって環を形成していてもよい。
*は、オキシム化合物(1)が有する第1分子構造との結合手を表す。]
【0216】
式(6)中のR21、R22、R23、R61、R62、R63、R64及びR65で表される炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアラルキル基、炭素数2~20の複素環基の例は、式(1)中のR11、R12、R13、R21、R22及びR23についての例と同様である。
【0217】
式(6)中のR22とR23は一緒になって環を形成していてもよいとは、R22とR23は一緒になって接続する窒素原子、炭素原子又は酸素原子とともに環を形成していてもよいことを意味する。
式(6)中のR22とR23が一緒になって形成し得る環の例は、式(1)中のR12とR13及びR22とR23が一緒になって形成し得る環についての例と同様である。
【0218】
式(6)中のR91、R92、R93、R94、R95、R96及びR97で表されるハロゲン原子、R21、R22、R23、R61、R62、R63、R64及びR65の水素原子を置換してもよいハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0219】
式(6)で表される第2分子構造を有するオキシム化合物(1)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、国際公開第2017/051680号及び国際公開第2020/004601号に記載の方法で製造することができる。
【0220】
オキシム化合物(ただし、オキシム化合物(1)を除く)の一例としては、下記式(DA)で表される化合物が挙げられる。
【0221】
【化22】

[式中、
d1は、置換基を有していてもよい炭素数3~20の分岐鎖状の炭化水素基を表す。
d2~Rd5は、それぞれ独立して、置換基を有してもよい炭素数1~20の炭化水素基を表す。
nは0~4のいずれかの整数を表す。
前記炭化水素基に含まれる-CH-は、-O-、-S-、-CO-又は-OCO-に置き換わっていてもよい。]
【0222】
d1で表される炭素数3~20の分岐鎖状の炭化水素基としては、炭素数3~20の分岐鎖状の飽和炭化水素基、炭素数3~20の分岐鎖状の不飽和炭化水素基等が挙げられる。
【0223】
d1で表される炭素数3~20の分岐鎖状の飽和炭化水素基としては、例えば、1-メチルエチル基(イソプロピル基)、1-メチルプロピル基(sec-ブチル基)、2-メチルプロピル基(イソブチル基)、1,1-ジメチルエチル基(tert-ブチル基)、1,1-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1,1-ジメチルペンチル基、2,2-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、1,2-ジメチルペンチル基、1,3-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、1-エチルペンチル基、2-エチルペンチル基、3-エチルペンチル基、1-メチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、1,1-ジメチルヘキシル基、2,2-ジメチルヘキシル基、3,3-ジメチルヘキシル基、1,2-ジメチルヘキシル基、1,3-ジメチルヘキシル基、2,3-ジメチルヘキシル基、1-エチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、1-メチルヘプチル基、2-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、4-メチルヘプチル基、1,1-ジメチルヘプチル基、2,2-ジメチルヘプチル基、3,3-ジメチルヘプチル基、1,2-ジメチルヘプチル基、1,3-ジメチルヘプチル基、2,3-ジメチルヘプチル基、1-エチルヘプチル基、2-エチルヘプチル基、3-エチルヘプチル基、1-メチルオクチル基、2-メチルオクチル基、3-メチルオクチル基、4-メチルオクチル基、1,1-ジメチルオクチル基、2,2-ジメチルオクチル基、3,3-ジメチルオクチル基、1,2-ジメチルオクチル基、1,3-ジメチルオクチル基、2,3-ジメチルオクチル基、1-エチルオクチル基、2-エチルオクチル基、3-エチルオクチル基、1-メチルノニル基、2-メチルノニル基、3-メチルノニル基、4-メチルノニル基、ジメチルノニル基、エチルノニル基、メチルデシル基、ジメチルデシル基、エチルデシル基、メチルウンデシル基、ジメチルウンデシル基、エチルウンデシル基、メチルドデシル基等の分岐鎖状アルキル基;が挙げられる。
d1で表される分岐鎖状アルキル基は、第1級分岐鎖状アルキル基、第2級分岐鎖状アルキル基、又は第3級分岐鎖状アルキル基のいずれであってもよい。
d1で表される分岐鎖状の飽和炭化水素基の炭素数は、好ましくは4以上、より好ましくは5以上であり、好ましくは16以下、より好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下である。
【0224】
d1で表される分岐鎖状の不飽和炭化水素基としては、前述したRd1で表される分岐鎖状の飽和炭化水素基に含まれる少なくとも1以上の炭素-炭素単結合が、炭素-炭素二重結合又は炭素-炭素三重結合に置き換わった基等が例示される。
d1で表される分岐鎖状の不飽和炭化水素基としては、例えば、イソプロペニル基、イソブテニル基、イソペンテニル基、イソヘキセニル基、イソヘプテニル基、イソオクテニル基、イソノニル基、イソデセニル基等のアルケニル基;イソプロピニル基、イソブチニル基、イソペンチニル基、イソヘキシニル基、イソヘプチニル基、イソオクチニル基、イソノニニル基、イソデシニル基;等のアルキニル基;等が挙げられる。
d1で表される分岐鎖状の不飽和炭化水素基の炭素数は、好ましくは4以上、より好ましくは5以上であり、好ましくは16以下、より好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下である。
【0225】
d2、Rd3、Rd4及びRd5で表される炭素数1~20の炭化水素基としては、炭素数1~20の飽和炭化水素基、炭素数2~20の不飽和炭化水素基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基等が挙げられる。Rd2、Rd3、Rd4及びRd5で表される炭化水素基は、それぞれ、同一であっても異なってもよい。
【0226】
前記炭素数1~20の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、イコシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2-エチルヘキシル基等の分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、トリシクロデシル基等の炭素数3~20の脂環式飽和炭化水素基が挙げられる。飽和炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~18、より好ましくは1~15、さらに好ましくは1~10、さらにより好ましくは1~8である。
【0227】
前記炭素数2~20の不飽和炭化水素基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、イコセニル基等のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、ヘキシニル基、デシニル基、イコシニル基等のアルキニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基等のシクロアルケニル基;等が挙げられる。不飽和炭化水素基の炭素数は、好ましくは2~18、より好ましくは2~15、さらに好ましくは2~10である。
【0228】
前記炭素数6~20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、キシリル基、トリメチルフェニル基、ジプロピルフェニル基、ジ(2,2-ジメチルプロピル)フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルブチル基等が挙げられる。芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6~18、より好ましくは6~15、さらに好ましくは6~12である。
【0229】
d1、Rd2、Rd3、Rd4及びRd5で表される炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。ハロゲン原子は、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子であることが好ましい。
【0230】
前記炭化水素基に含まれる-CH-は、-O-、-S-、-CO-又は-OCO-に置き換わっていてもよく、隣接する-CH-が同時に同種の基に置換されることはなく、末端の-CH-が置換されることはない。
【0231】
nは0~4のいずれかの整数を表し、好ましくは0~3の整数、より好ましくは0~2の整数、さらに好ましくは0又は1、さらにより好ましくは0である。
【0232】
*-OCO-Rd4基(*は、フェニル基との結合手を表す。)の結合位置は、該*-OCO-Rd4基が結合するフェニル基の2位、3位、又は4位のいずれであってもよいが、好ましくは3位又は4位、より好ましくは4位である。
【0233】
d1で表される炭素数3~20の分岐鎖状の炭化水素基は、
炭素数3~20の分岐鎖状の飽和炭化水素基が好ましく、
炭素数3~20の分岐鎖状アルキル基がより好ましく、
炭素数3~10の分岐鎖状アルキル基がさらに好ましく、
1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、1-エチルペンチル基、2-エチルペンチル基、3-エチルペンチル基、1-メチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、1-エチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、1-メチルヘプチル基、2-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、1-エチルヘプチル基、2-エチルヘプチル基、及び3-エチルヘプチル基からなる群より選択される1以上が好ましい。
【0234】
d2、Rd3、Rd4及びRd5で表される炭素数1~20の炭化水素基は、
炭素数1~20の飽和炭化水素基、炭素数2~20の不飽和炭化水素基が好ましく、
炭素数1~20の飽和炭化水素基がより好ましく、
炭素数1~10の鎖状の飽和炭化水素基がさらに好ましく、
炭素数1~8の鎖状のアルキル基がさらにより好ましい。
d2は、炭素数1~8の鎖状アルキル基が好ましく、炭素数1~6の鎖状アルキル基がより好ましい。
d3は、炭素数1~8の鎖状アルキル基が好ましく、炭素数1~3の鎖状アルキル基がより好ましい。
d4は、炭素数1~8の鎖状アルキル基が好ましく、炭素数1~3の鎖状アルキル基がより好ましい。
d5は、炭素数1~8の鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましく、炭素数1~6の鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましい。
【0235】
光重合開始剤の他の例は、オキシム化合物(1)及び式(DA)で表される化合物以外の他の光重合開始剤である。他の光重合開始剤としては、オキシム化合物(1)及び式(DA)で表される化合物以外のオキシム化合物、アルキルフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物及びアシルホスフィン化合物が挙げられる。
【0236】
オキシム化合物(1)及び式(DA)で表される化合物以外のオキシム化合物としては、下記式(d1)で表される部分構造を有するオキシム化合物が挙げられる。*は結合手を表す。
【0237】
【化23】
【0238】
式(d1)で表される部分構造を有するオキシム化合物としては、例えば、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-{2-メチル-4-(3,3-ジメチル-2,4-ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン;特開2011-132215号公報、国際公開第2008/78678号、国際公開第2008/78686号、国際公開第2012/132558号記載の化合物等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)OXE01、同OXE02、同OXE03(以上、BASF社製)、N-1919、NCI-930、NCI-831(以上、ADEKA社製)等の市販品を用いてもよい。
【0239】
中でも、式(d1)で表される部分構造を有するオキシム化合物は、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン及びN-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミンがより好ましい。
【0240】
アルキルフェノン化合物は、下記式(d2)で表される部分構造又は下記式(d3)で表される部分構造を有する化合物である。これらの部分構造中、ベンゼン環は置換基を有していてもよい。*は結合手を表す。
【0241】
【化24】
【0242】
式(d2)で表される構造を有する化合物としては、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルスルファニルフェニル)プロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジルブタン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]ブタン-1-オン等が挙げられる。OMNIRAD(登録商標)369、同907、同379(以上、IGM Resins社製)等の市販品を用いてもよい。
【0243】
式(d3)で表される構造を有する化合物としては、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-イソプロペニルフェニル)プロパン-1-オンのオリゴマー、α,α-ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
【0244】
感度の点で、アルキルフェノン化合物としては、式(d2)で表される構造を有する化合物が好ましい。
【0245】
ビイミダゾール化合物としては、例えば、式(d5)で表される化合物が挙げられる。
【0246】
【化25】

[式(d5)中、R~Rは、置換基を有していてもよい炭素数6~10のアリール基を表す。]
【0247】
炭素数6~10のアリール基としては、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、エチルフェニル基及びナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルコキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子である。炭素数1~4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等挙げられ、好ましくはメトキシ基である。
【0248】
ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平06-75372号公報、特開平06-75373号公報等参照)、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48-38403号公報、特開昭62-174204号公報等参照)、4,4’5,5’-位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているビイミダゾール化合物(例えば、特開平7-10913号公報等参照)等が挙げられる。中でも、下記式で表される化合物又はこれらの混合物が好ましい。
【0249】
【化26】
【0250】
トリアジン化合物としては、例えば、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(フラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(4-ジエルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。中でも、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジンが好ましい。
【0251】
アシルホスフィン化合物としては、例えば、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。OMNIRAD(登録商標)819(IGM Resins社製)等の市販品を用いてもよい。
【0252】
オキシム化合物(1)及び式(DA)で表される化合物以外の他の光重合開始剤の別の例としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10-フェナンスレンキノン、2-エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン化合物;10-ブチル-2-クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。
【0253】
重合開始剤(D)としては、上記式(1)で表される第1分子構造に、上記式(2)で表される第2分子構造が結合したオキシム化合物であり、特に上記式(2)で表される構造が上記式(2b)で表される構造であるオキシム化合物及び/又は上記式(EA)で表される化合物が好ましく、上記式(1)で表される第1分子構造に、上記式(2)で表される第2分子構造が結合したオキシム化合物であり、特に上記式(2)で表される構造が上記式(2b)で表される構造であるオキシム化合物がより好ましい。
【0254】
組成物が重合開始剤(D)を含む場合、組成物における重合開始剤(D)の含有量は、組成物の固形分の総量に対して、例えば0.01質量%以上20質量%以下であり、組成物の感度を高める観点、並びに膜の発光強度及び耐熱性を高める観点から、好ましくは0.1質量%以上15質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上10質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以上8質量%以下、よりさらに好ましくは0.5質量%以上5質量%以下又は3質量%以下である。
重合開始剤(D)の含有量は、重合性化合物(C)100質量部に対して、3質量部以上であることが好ましく、より好ましくは5質量部以上、また、40質量部以下であることが好ましく、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。重合開始剤(D)の含有量が上記範囲内にあると、残膜率により優れた硬化膜を形成できる組成物が得られ、また、耐熱性にも優れた硬化膜を形成し得る組成物を得ることができる。
【0255】
<光散乱剤(E)>
組成物は、光散乱剤(E)を含むことができる。該組成物から形成される膜は、光散乱性を示し得る。半導体粒子(A)に加えて光散乱剤(E)を含有する膜において、光散乱剤(E)は、半導体粒子(A)から発せされる光を散乱させることにより、発光強度を向上させる機能を有することができる。組成物は、光散乱剤(E)を、1種又は2種以上含んでいてもよい。
【0256】
光散乱剤(E)としては、金属又は金属酸化物の粒子、ガラス粒子等の無機粒子が挙げられる。金属酸化物としては、TiO、SiO、BaTiO、ZnO等が挙げられ、効率的に光を散乱することから、好ましくはTiOの粒子である。光散乱剤(E)の平均粒径(D50)は、例えば0.03μm以上20μm以下程度であり、好ましくは0.05μm以上1μm以下であり、より好ましくは0.05μm以上0.5μm以下である。光散乱剤(E)の平均粒径は、遠心沈降式分散安定性粒子径分布装置を用いて粒子径分布を測定し、体積基準のメディアン径(D50)として測定できる。
【0257】
光散乱剤(E)としては、分散剤を用いて溶剤(I)の一部又は全部に予め光散乱剤を分散させたものを用いてもよい。分散剤としては市販品を用いることができる。市販品の分散剤の例としては、
ビックケミー・ジャパン社製のDISPERBYK-101、102、103、106、107、108、109、110、111、116、118、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、192、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155;ANTI-TERRA-U、U100、203、204、250;BYK-P104、P104S、P105、220S、6919;BYK-LPN6919、21116;LACTIMON、LACTIMON-WS;Bykumen等;
日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE-3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等;
BASF社製のEFKA-46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503等;
味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等;が挙げられる。
【0258】
組成物における光散乱剤(E)の含有量は、組成物の固形分の総量に対して、例えば0.001質量%以上50質量%以下であり、硬化膜の光散乱能及び発光強度を高める観点から、好ましくは1質量%以上30質量%以下、より好ましくは2質量%以上15質量%以下である。
【0259】
<酸化防止剤(F)>
組成物は、酸化防止剤(F)を含むことができる。酸化防止剤(F)としては、工業的に一般に使用される酸化防止剤であれば特に限定はなく、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、リン/フェノール複合型酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤等を用いることができる。酸化防止剤(F)は、2種以上を併用してもよい。
【0260】
リン/フェノール複合型酸化防止剤は、分子中にリン原子とフェノール構造とをそれぞれ1以上有する化合物であることができる。硬化膜の発光強度の観点から、酸化防止剤(F)は、リン/フェノール複合型酸化防止剤を含むことが好ましい。
【0261】
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、イルガノックス(登録商標)1010(Irganox 1010:ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、BASF社製)、同1076(Irganox 1076:オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、BASF社製)、同1330(Irganox 1330:3,3’,3’’,5,5’,5’’-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a’’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、BASF社製)、同3114(Irganox 3114:1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、BASF社製)、同3790(Irganox 3790:1,3,5-トリス((4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-キシリル)メチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、BASF社製)、同1035(Irganox 1035:チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、BASF社製)、同1135(Irganox 1135:ベンゼンプロパン酸の3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-C7-C9側鎖アルキルエステル、BASF社製)、同1520L(Irganox 1520L:4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、BASF社製)、同3125(Irganox 3125、BASF社製)、同565(Irganox 565:2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3’、5’-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、BASF社製)、アデカスタブ(登録商標)AO-80(アデカスタブ AO-80:3,9-ビス(2-(3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ)-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ADEKA社製)、スミライザー(登録商標)BHT、同GA-80、同GS(以上、住友化学(株)製)、サイアノックス(登録商標)1790(Cyanox 1790、(株)サイテック製)、ビタミンE(エーザイ(株)製)等が挙げられる。
【0262】
リン系酸化防止剤としては、例えば、イルガフォス(登録商標)168(Irgafos 168:トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)フォスファイト、BASF(株)製)、同12(Irgafos 12:トリス[2-[[2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d、f][1,3,2]ジオキサフォスフィン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、BASF(株)製)、同38(Irgafos 38:ビス(2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル)エチルエステル亜りん酸、BASF(株)製)、アデカスタブ(登録商標)329K、同PEP36、同PEP-8(以上、(株)ADEKA製)、Sandstab P-EPQ(クラリアント社製)、Weston(登録商標)618、同619G(以上、GE社製)、Ultranox626(GE社製)等が挙げられる。
【0263】
リン/フェノール複合型酸化防止剤としては、例えば、スミライザー(登録商標)GP(6-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンズ[d,f][1.3.2]ジオキサホスフェピン)(住友化学(株)製)等が挙げられる。
【0264】
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、ジミリスチル又はジステアリール等のジアルキルチオジプロピオネート化合物及びテトラキス[メチレン(3-ドデシルチオ)プロピオネート]メタン等のポリオールのβ-アルキルメルカプトプロピオン酸エステル化合物等が挙げられる。
【0265】
組成物が酸化防止剤(F)を含む場合、組成物における酸化防止剤(F)の含有量は、組成物の固形分の総量に対して、例えば0.05質量%以上20質量%以下、好ましくは0.1質量%以上15質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上10質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以上5質量%以下である。
【0266】
<溶剤(I)>
組成物は、溶剤(I)を含むことができる。溶剤(I)としては、例えば、エステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-及びCOO-を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。溶剤(I)は、2種以上を併用してもよい。
【0267】
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n-ブチル、2-ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸n-ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n-ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸n-ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキシルアセテート及びγ-ブチロラクトン等が挙げられる。
【0268】
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール及びメチルアニソール等が挙げられる。
【0269】
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0270】
ケトン溶剤としては、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、アセトン、2-ブタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びイソホロン等が挙げられる。
【0271】
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリン等が挙げられる。芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレン等が挙げられる。アミド溶剤としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド及びN-メチルピロリドン等が挙げられる。
【0272】
溶剤(I)としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキシルアセテート、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングコールモノエチルエーテル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン若しくはトルエン、又はこれらのうちの2種以上の混合物が好ましい。
【0273】
組成物における溶剤(I)の含有量は、該組成物の総量に対する該組成物に含まれる全溶剤の合計質量の割合であり、組成物の固形分100質量部に対して、好ましくは60質量部以上、より好ましくは80質量部以上、さらに好ましくは100質量部以上、よりさらに好ましくは120質量部以上であり、また、好ましくは1000質量部以下、より好ましくは500質量部以下、さらに好ましくは400質量部以下、よりさらに好ましくは300質量部以下である。溶剤(I)の含有量が上記範囲内にあると、塗布時の組成物層の平坦性がより良好になり、また適切な膜厚の硬化膜を形成しやすい傾向がある。
【0274】
組成物の固形分濃度は、好ましくは5質量%以上60質量%以下、より好ましくは10質量%以上50質量%以下、さらに好ましくは20質量%以上45質量%以下である。
【0275】
<レベリング剤(J)>
組成物は、レベリング剤(J)を含むことができる。レベリング剤(J)としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、側鎖に重合性基を有していてもよい。組成物は、2種以上のレベリング剤(J)を含んでいてもよい。
【0276】
シリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH8400(商品名:東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF4446、TSF4452及びTSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0277】
フッ素系界面活性剤としては、分子内にフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、フロラード(登録商標)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同F554、同R30、同RS-718-K(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)及びE5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
【0278】
フッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477及び同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。
【0279】
組成物がレベリング剤(J)を含む場合、組成物におけるレベリング剤(J)の含有量は、組成物の固形分の総量に対して、好ましくは0.001質量%以上0.5質量%以下、より好ましくは0.005質量%以上0.3質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以上0.2質量%以下である。
【0280】
<その他の成分>
組成物は、必要に応じて、重合禁止剤、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、光安定剤、重合開始助剤等、当該技術分野で公知の添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0281】
本発明に係る組成物は、半導体粒子(A)及び重合性化合物(C)を含み、前記重合性化合物(C)として分子容積が450cm/mol以下である重合性化合物(C-1)を含むことにより、現像時の膜減りを低減でき、残膜率に優れる硬化膜を形成し得る。また、本発明に係る組成物は、発光強度にも優れる硬化膜を形成し得るものである。
【0282】
<組成物の製造方法>
組成物は、所定の成分、並びに必要に応じて使用される他の成分を混合する工程を含む方法によって製造することができる。組成物の製造方法は、樹脂(B)を調製する工程をさらに含むことができる。
【0283】
組成物の製造方法は、配位子含有半導体粒子である半導体粒子(A)の分散液を調製する第1工程と、該分散液と他の所定の成分(並びに必要に応じて使用される他の成分)とを混合する第2工程とを含むことが好ましい。
【0284】
組成物の25℃における粘度(組成物調製時の粘度)は、例えば1cP以上3000cP以下であり、組成物の塗布性及び形成される膜の外観を良好にする観点から、好ましくは2cP以上2000cP以下、より好ましくは5cP以上1000cP以下、さらに好ましくは10cP以上500cP以下、よりさらに好ましくは10cP以上100cP以下である。組成物の粘度は、Brookfield回転粘度計を用いて測定することができる。
【0285】
<膜及びその製造方法>
本発明に係る膜は、上記本発明に係る組成物から形成される膜である。膜の製造方法は、例えば以下の工程を含む。
組成物を基板に塗布するか又は組成物をバンクが形成された基板における該バンクによって区画された領域に吐出することにより、組成物層を形成する工程、及び
組成物層を熱処理する工程。
膜は、基板全面に形成されていてもよいし、基板表面の一部に(例えばパターン状に)形成されていてもよい。
【0286】
膜の製造方法は、上記工程以外の他の工程を含むことができる。他の工程としては、例えば、組成物層に対して光を照射する露光工程、露光工程後の組成物層に対して実施する現像工程等が挙げられる。
【0287】
組成物層を形成する工程において、組成物を基板に塗布する方法としては、スピンコート法、スリットコート法、スリット アンド スピンコート法等が挙げられる。組成物を吐出することにより組成物層を形成する工程は、組成物を例えばインクジェット法により、バンクによって区画された領域に選択的に吐出及び付着させる工程であってよい。ステンシル印刷法、スクリーン印刷法、アプリケーターによる印刷塗工によりパターン状の組成物層を形成してもよい。
【0288】
基板としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラス等のガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板、シリコン、上記基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜等を形成したもの等が挙げられる。
【0289】
パターン状の膜は、例えば、以下のようにして基材上に形成することができる。まず、組成物をマスクを介して基材上に塗布するか又はバンクによって区画された領域に吐出することによりパターン状の組成物層を形成する。
【0290】
次に、組成物層を熱処理して膜を得る。この熱処理は、組成物層の乾燥工程(溶剤等の揮発成分を除去する工程)を含んでいてもよい。乾燥方法としては、加熱乾燥、減圧乾燥又はこれらの組合わせが挙げられる。加熱乾燥の温度は、30℃以上120℃以下が好ましく、50℃以上110℃以下がより好ましい。加熱時間は、10秒間以上60分間以下であることが好ましく、30秒間以上30分間以下であることがより好ましい。減圧乾燥を行う場合は、50Pa以上150Pa以下の圧力下で行うことが好ましい。組成物層の乾燥は、例えば乾燥温度の異なる複数の乾燥工程を実施するなど、複数段で実施してもよい。
【0291】
組成物層を熱処理する工程は、上記乾燥工程(プリベーク)とその後に実施されるポストベーク工程とを含んでいてもよい。ベーク工程における加熱温度は、30℃以上120℃以下が好ましく、50℃以上110℃以下がより好ましい。加熱時間は、10秒間以上60分間以下が好ましく、30秒間以上30分間以下がより好ましい。
【0292】
組成物は重合性化合物(C)を含有し硬化性であるため、上記露光工程を含むことが好ましい。光硬化性の組成物から形成されるパターン状の硬化膜は、フォトリソグラフ法を用いる方法を例に挙げると、例えば、以下のようにして基材上に形成することができる。まず、組成物層を基材上に形成し、加熱乾燥(プリベーク)及び/又は減圧乾燥の乾燥工程を実施する。組成物層の形成方法及び乾燥方法としては、上記と同様の方法が挙げられる。
【0293】
次に、組成物層は、目的のパターン形状を形成するためのフォトマスクを介して露光される。露光に用いられる光源としては、250nm以上450nm以下の波長の光を発生する光源が好ましい。例えば、該波長の光から、光重合開始剤の吸収波長に応じて、436nm付近、408nm付近又は365nm付近の光をバンドパスフィルタにより選択的に取り出してもよい。光源として具体的には、水銀灯、発光ダイオード、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。
【0294】
露光面全体に均一に平行光線を照射することができたり、フォトマスクと組成物層が形成された基材との正確な位置合わせを行うことができたりするため、マスクアライナ及びステッパ等の露光装置を使用することが好ましい。露光された組成物層は、該組成物層に含まれる重合性化合物等が重合することにより硬化する。
【0295】
露光後の組成物層を現像液に接触させて上記現像工程を実施することにより、組成物層の未露光部が現像液に溶解して除去されて、パターン状の硬化膜が得られる。現像液としては、例えば、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等のアルカリ性化合物の水溶液や有機溶剤が挙げられる。アルカリ性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.02質量%以上5質量%以下である。有機溶剤としては、上述の溶剤(I)と同様のものが挙げられる。現像液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
現像方法は、パドル法、ディッピング法及びスプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基材を任意の角度に傾けてもよい。
【0296】
現像により得られたパターン状の硬化膜に対して、さらに加熱(ポストベーク)を行うことが好ましい。加熱温度は、150℃以上250℃以下が好ましく、160℃以上235℃以下がより好ましい。加熱時間は、1分間以上120分間以下が好ましく、10分間以上60分間以下がより好ましい。現像後に加熱を行うことにより、硬化膜に含まれる未反応の光重合性化合物等の重合を進行させることができるため、より耐薬品性に優れた硬化膜を得ることができる。現像を行わない場合においても、露光された組成物層に対して、加熱(ポストベーク)をさらに行うことが好ましい。
【0297】
一方、基材全面に硬化膜を形成する方法としては、組成物層を基材に形成し、必要に応じて乾燥させ、該組成物層を加熱及び/又は該組成物層全面に露光する方法が挙げられる。
【0298】
硬化膜の厚さ(膜厚)は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよく、例えば1μm以上30μm以下であり、好ましくは1μm以上20μm以下、より好ましくは1.5μm以上18μm以下、さらに好ましくは1.5μm以上15μm以下、よりさらに好ましくは1.8μm以上14μm以下、いっそう好ましくは1.8μm以上12μm以下、よりいっそう好ましくは2μm以上10μm以下である。パターン状の硬化膜の形状及び寸法は特に制限されない。パターン状の硬化膜は、例えばその平面視形状が方形形状である。
【0299】
本発明に係る硬化膜は、半導体粒子(A)及び重合性化合物(C)を含み、前記重合性化合物(C)として分子容積が450cm/mol以下である重合性化合物(C-1)を含む組成物から形成されるため、残膜率に優れ、さらには発光強度の低下が抑制され、好ましくは発光強度が向上し得る。
【0300】
本発明に係る硬化膜は、波長300nmにおける単位膜厚当たり(具体的には、膜厚1μm当たり)の吸光度が、0.5以下であることが好ましく、0.3以下がより好ましい。該吸光度が前記範囲内であることにより、硬化膜の残膜率が向上し、さらには発光強度の低下が抑制され、好ましくは発光強度が向上し得る。300nm超の波長においても前記吸光度を示すことが好ましく、まとめると波長300nm以上で前記吸光度を示すことが好ましい。前記吸光度を示すことが求められる波長の上限は特に限定されないが、例えば、800nm未満、780nm未満、700nm未満、600nm未満、500nm未満、又は400nm未満のいずれでもよく、350nm未満であってもよい。
【0301】
本発明に係る組成物から得られる硬化膜は、膜厚5μmでの現像後の残膜率が、現像前に比して70%以上であることが好ましく、72%以上がより好ましく、74%以上がさらに好ましく、75%以上がよりさらに好ましい。具体的には、0.02質量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液からなる現像液を用いて、25℃にて30秒間現像した場合の残膜率が上記範囲内であることが好ましい。
【0302】
さらに本発明に係る硬化膜は、良好な発光強度を示すことが好ましい。具体的には、後述の実施例の欄における測定方法に従って測定される発光強度(下記式により求められる単位発光強度)が100μW/μm以上であることが好ましく、200μW/μm以上がより好ましく、300μW/μm以上がさらに好ましく、400μW/μm以上がよりさらに好ましく、500μW/μm以上がいっそう好ましく、540μW/μm以上又は560μW/μm以上がよりいっそう好ましい。
単位発光強度(μW/μm)=硬化膜の発光強度(μW)/硬化膜の平均膜厚(μm)
【0303】
<表示装置>
本発明に係る表示装置は、光源と上記硬化膜とを少なくとも備える。表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置又は無機EL表示装置が挙げられ、具体的には、特開2006-309219号公報、特開2006-310303号公報、特開2013-15812号公報、特開2009-251129号公報、特開2014-2363号公報等に記載される表示装置が挙げられる。
【0304】
一実施形態に係る表示装置は、青色光源であるバックライトと、バックライトの視認側に設けられる複数のパターンとを備える。複数のパターンは、赤色パターン、緑色パターン及び白色(透明、無彩色)のパターンであってよく、赤色パターン及び緑色パターンの少なくとも1つが本発明に係る硬化膜であり得る。半導体粒子(A)を含有する赤色パターン又は緑色パターンである有彩色のパターンは、入射された光の波長を変換して出射する機能を有する。
【実施例0305】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
【0306】
<測定・評価>
(1)樹脂(B)の重量平均分子量Mw
樹脂(B)の重量平均分子量Mwの測定は、GPC法により以下の条件で行った。
装置;K2479((株)島津製作所製)
カラム;SHIMADZU Shim-pack GPC-80M
カラム温度;40℃
溶媒;テトラヒドロフラン
流速;1.0mL/min
検出器;RI
校正用標準物質 ;TSK STANDARD POLYSTYRENE F-40、F-4、F-288、A-2500、A-500(東ソー(株)製)
【0307】
(2)樹脂(B)の酸価
樹脂(B)溶液3gを精秤し、アセトン90gと水10gとの混合溶剤に溶解し、0.1規定のKOH水溶液を滴定液として用いて、自動滴定装置(平沼産業社製、商品名:COM-555)により、樹脂(B)溶液の酸価を測定し、溶液の酸価と溶液の固形分とから固形分1g当たりの酸価Av(mgKOH/g)を求めた。
【0308】
(3)樹脂(B)の二重結合当量
樹脂(B)の二重結合当量は、樹脂の総質量を、樹脂に導入されたラジカル重合性二重結合のモル数で除することにより求めた。
【0309】
(4)樹脂(B)溶液の固形分
樹脂(B)溶液をアルミカップに約1gはかり取り、180℃で1時間乾燥した後、質量を測定した。その質量減少量から、樹脂(B)溶液の固形分〔質量%〕を求めた。
【0310】
(5)重合性化合物(C)の分子容積
重合性化合物(C)の分子容積は、その分子構造に基づき、HULINKS社製の量子化学計算プログラム「Gaussian 16」を用いたDFT(Density Functional Theory;B3LYP/6-31G)計算によって求めた。
【0311】
(6)膜の発光強度の評価
発光波長が444nmであるLEDランプ及び耐擦傷カバーを具備する狭指向角タイプのセンシングバックライト照明(OPFシリーズ;オプテックス・エフエー社製)をバックライトとして用意した。耐擦傷カバーを上に向けてバックライトを載置し、耐擦傷カバーの表面から高さ4cmの位置に、下記分光計に接続された発光を検出するための光ファイバーを設置した。バックライトの耐擦傷カバーの表面にリファレンスとしてのガラス基板(イーグル2000;コーニング社製)を配置した。この状態でバックライトを点灯させ、バックライトの全放射束(μW)がリファレンスのガラス基板(イーグル2000;コーニング社製)越しに5000μWとなるようにバックライトの光量を調節した。
次に、上記ガラス基板の表面に、組成物から作製した硬化膜を有する基板を配置した。この状態でバックライトを点灯させ、硬化膜から発せされる光について、波長485nm以上780nm以下の範囲における積算放射束として発光強度(単位:μW)を測定した。発光強度の測定には、分光計Spectrum meter(Ocean Optics社製)を用いた。
硬化膜の厚みの測定は、触針式段差計(DektakXT、Bluker社製)を用いて、硬化膜の表面につけた傷の段差を測定することにより行った。
硬化膜を有する基板は、次のようにして作製した。5cm角のガラス基板(イーグル2000;コーニング社製)上に、組成物を、スピンコート法で膜厚が5μmになるように塗布した後、100℃で3分間プリベークして組成物層を形成した。この組成物層が形成された基板に対して、露光機(TME-150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、80mJ/cmの露光量(365nm基準)で光照射し、現像後、180℃で60分間ポストベークを行うことにより硬化膜を有する基板を得た。
【0312】
(7)現像前後での残膜率の評価
5cm角のガラス基板(イーグル2000;コーニング社製)上に、組成物を、スピンコート法で膜厚が5μmになるように塗布した後、100℃で3分間プリベークして組成物層を形成した。この組成物層が形成された基板に対して、露光機(TME-150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、80mJ/cmの露光量(365nm基準)で光照射した後、0.02質量%のTMAH水溶液からなる現像液を用いて、25℃で30秒間浸漬する現像後、180℃で60分間ポストベークを行うことにより硬化膜を有する基板を得て、下記式に従って残膜率を測定した。露光後の露光部における膜厚、及びポストベーク後の膜厚の測定は、触針式段差計(DektakXT、Bluker社製)を用いて、膜の表面につけた傷の段差を測定することにより行った。
残膜率(%)=100×(ポストベーク後の膜厚)/(露光後の膜厚)
【0313】
(製造例1:半導体粒子(A1)の分散液の調製)
有機配位子(G1)としてオレイン酸が配位したInP/ZnSeS量子ドットのトルエン分散液を準備した。分散液を減圧蒸留し、トルエンを除去した。固形分30部に対しシクロヘキシルアセテート70部を添加して、半導体粒子(A1)の分散液(固形分30%)を得た。
【0314】
(製造例2:光散乱剤(E1)の分散液の調製)
酸化チタンナノ粒子70部に、DISPERBYK21116(ビックケミー・ジャパン製)を固形分で3部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」とも称する)を全量が100部になるように加えた後、ペイントシェイカーで十分に分散するまで撹拌して、光散乱剤(E1)の分散液(固形分73%)を得た。
【0315】
(製造例3:樹脂(B1)溶液の調製)
撹拌器、温度計付き還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を具備したフラスコに、PGMEAを110部投入した後、窒素置換しながら撹拌し、80℃に昇温した。ジシクロペンタニルメタクリレート25部、メチルメタクリレート23部、メタクリル酸19部、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)10部をPGMEA110部に溶解した溶液を、滴下ロートからフラスコ中に滴下した後、80℃で3時間撹拌した。
次に、グリシジルメタクリレート16部、2、2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)0.4部、トリフェニルホスフィン0.8部をフラスコ内に投入して110℃まで昇温、8時間撹拌することで重合体中のカルボン酸とエポキシ基とを反応させて、重合性不飽和結合を導入した。次いで、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物17部を加え3時間反応を続けて、側鎖にカルボン酸基を導入した。反応液を室温まで冷却することで樹脂(B1)溶液を得た。
樹脂(B1)は、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が8400、酸価が120mgKOH/gであり、樹脂(B1)溶液中の固形分は40質量%であった。
【0316】
(製造例4:樹脂(B2)溶液の調製)
撹拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計、ガス導入管を備えたフラスコに、PGMEAを投入した後、窒素置換しながら撹拌し、120℃に昇温した。次いで、2-エチルヘキシルアクリレート、グリシジルメタクリレート、及びジシクロペンタニルメタクリレートからなるモノマー混合物に、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(重合開始剤)を添加したものを、滴下ロートから2時間にわたって前記フラスコ中に滴下した。滴下終了後、120℃でさらに30分間撹拌して共重合反応を行い、付加共重合体を生成させた。
その後、フラスコ内を空気に置換し、アクリル酸、トリフェニルホスフィン(触媒)、及びメトキノン(重合禁止剤)を前記の付加共重合体溶液中に投入し、110℃で10時間にわたり反応を続け、グリシジルメタクリレート由来のエポキシ基とアクリル酸の反応によりエポキシ基を開裂すると同時にポリマーの側鎖に重合性不飽和結合を導入した。次いで、反応系に無水コハク酸を加え、110℃で1時間にわたり反応を続け、エポキシ基の開裂により生じたヒドロキシ基と無水コハク酸を反応させて側鎖にカルボン酸基を導入し、ポリマー(樹脂(B2))を得た。
最後に反応溶液に、PGMEAを加え、ポリマー固形分40質量%の樹脂(B2)溶液を得た。
樹脂(B2)は、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が4960、酸価が37mgKOH/g、二重結合当量が344g/eqであった。なお、重量平均分子量、酸価及び二重結合当量は、原料モノマーの量を調整することにより所望の値とした。
【0317】
(製造例5:樹脂(B3)溶液の調製)
上記樹脂(B2)と同じ要領で、原料モノマーの量を調整してポリマー(樹脂(B3))を得て、最後に反応溶液に、PGMEAを加え、ポリマー固形分40%の樹脂(B3)溶液を得た。
樹脂(B3)は、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が4910、酸価が42mg-KOH/g、二重結合当量が514g/eqであった。
【0318】
<実施例1~9、比較例1、2>
(1)組成物の調製
製造例1で得られた半導体粒子(A1)の分散液と、製造例2で得られた光散乱剤(E1)の分散液と、製造例3~5で得られた樹脂(B1)~(B3)溶液と、表1に示される他の成分をそれぞれ所定量混合して、組成物を調製した。
【0319】
添加量から求められる組成物における各成分の含有量は表1に示されるとおりである。表1において、溶剤(I)以外の成分は固形分換算の含有量(単位:質量部)である。溶剤(I)の含有量の単位は質量部である。例えば半導体粒子(A1)は、組成物の調製において半導体粒子(A1)の分散液として配合されているが、表1に示される含有量は、その分散液に含まれる半導体粒子(A1)それ自体の量である。表1における溶剤(I)には、組成物の調製に用いた分散液や溶液に含有される溶剤が含まれている。表1における光散乱剤(E1)の含有量は分散剤を含んでいる。
【0320】
表1に示される、組成物における有機配位子(G1)の含有量については、次の方法に従って製造例1で得られた半導体粒子(A1)の分散液における有機配位子(G1)の濃度を測定し、これに基づいて算出した。すなわち、半導体粒子(A1)の分散液を150℃で真空乾燥して溶剤を除去した後、残った固形分について、熱重量分析装置「TGDTA6200」を用いて、重量変化を昇温速度5℃/minで50℃から550℃まで測定した。50℃から500℃までの変化重量を有機配位子(G1)の重量として、半導体粒子(A1)の分散液における有機配位子(G1)の濃度を算出した。
【0321】
重合性化合物(C1)~(C4)、(C6)の分子容積を上記<測定・評価>の(4)に従って求めた。結果を表1に示す。
【0322】
(2)膜の作製
上記<測定・評価>の(6)、(7)に従って硬化膜を作製し、発光強度及び現像前後の残膜率を評価した。評価結果を表1に示す。
【0323】
【表1】
【0324】
表1に示される各成分の略称の詳細は次のとおりである。
・重合性化合物(C1):A-9550(ジペンタエリスリトールポリアクリレート;6官能、新中村化学工業社製、固形分100%)
・重合性化合物(C2):A-BPEF(9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンジアクリレート;2官能、新中村化学工業社製、商品名:NK ESTER A-BPEF、固形分100%)
・重合性化合物(C3):EBECRYL150(エチレンオキシド変性ビスフェノールジアクリレート;2官能、ダイセル・オルネクス社製、固形分100%)
・重合性化合物(C4):IRR-214K(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート;2官能、ダイセル・オルネクス社製、固形分100%)
・重合性化合物(C5):カルボキシ基含有多官能(メタ)アクリレート(東亞合成(株)製の商品名「アロニックス(登録商標)M-510」)
・重合性化合物(C6):1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(2官能、固形分100%)
・重合開始剤(D1):下記式で表される光重合開始剤(固形分100%)。特開2011-132215号公報に記載される方法により製造した。
【0325】
【化27】

・酸化防止剤(F1):Sumilizer-GP(リン/フェノール複合型酸化防止剤、住友化学社製、固形分100%)
・レベリング剤(J1):SH8400(シリコーン系レベリング剤、東レ・ダウコーニング社製、固形分100%)
・溶剤(I1):PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
・溶剤(I2):シクロヘキシルアセテート
【0326】
上記重合性化合物(C1)~(C4)、(C6)について、0.01%PGMEA溶液の吸光度を紫外可視分光光度計UV-3600((株)島津製作所)を用いて測定したところ、波長250~500nmでの吸光度は、重合性化合物(C1)及び(C2)はそれぞれいずれの波長においても0.5以下であり、重合性化合物(C3)、(C4)及び(C6)はそれぞれ0.5超となる波長があった。
【0327】
実施例1~9及び比較例1、2の組成物を、膜厚が3.0μmになるように塗布した以外は上記<測定・評価>の(6)と同様に硬化膜を作製し、該硬化膜について、紫外可視分光光度計UV-3600((株)島津製作所)を用いて波長300~780nm(測定波長ピッチ0.5nm)での吸光度を測定した。その結果、単位膜厚当たり(具体的には1μm当たり)の吸光度は、実施例1~9の組成物を用いた硬化膜はそれぞれいずれの波長においても0.23以下であり、比較例1及び2の組成物を用いた硬化膜はそれぞれ0.5超となる波長があった。