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特開2024-127841フルオロアルキル芳香族化合物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024127841
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】フルオロアルキル芳香族化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 17/32 20060101AFI20240912BHJP
   C07C 25/13 20060101ALI20240912BHJP
   C07C 25/18 20060101ALI20240912BHJP
   C07C 22/08 20060101ALI20240912BHJP
   C07F 1/08 20060101ALN20240912BHJP
   C07F 5/02 20060101ALN20240912BHJP
   C07F 19/00 20060101ALN20240912BHJP
【FI】
C07C17/32
C07C25/13 CSP
C07C25/18
C07C22/08
C07F1/08 C
C07F5/02 E
C07F19/00
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024033808
(22)【出願日】2024-03-06
(31)【優先権主張番号】P 2023034958
(32)【優先日】2023-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星谷 尚亨
(72)【発明者】
【氏名】山内 昭佳
(72)【発明者】
【氏名】足達 健二
(72)【発明者】
【氏名】並川 敬
(72)【発明者】
【氏名】生越 專介
(72)【発明者】
【氏名】土井 良平
【テーマコード(参考)】
4H006
4H048
4H050
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA02
4H006AC24
4H006BB11
4H006BB15
4H006BC10
4H006BD10
4H048AA03
4H048AB81
4H048VA32
4H048VA56
4H048VB10
4H050AA03
4H050AB81
(57)【要約】
【課題】フルオロアルキル芳香族化合物の有用な製造方法、及び当該製造方法により得られる化合物を提供する。
【解決手段】当該製造方法は、式(4)で表される化合物の製造方法であって、還元剤、銅化合物、及び配位子の存在下、式(1)で表される化合物と式(3)で表される化合物とを反応させる工程Cを含む製造方法である。
-X (1)
Ar-X (3)
Ar-R (4)
(式中、Rは、1個以上の置換基を有していてもよいフルオロアルキル基であり、Xは、Cl、Br又はIであり、Xは、Cl、Br又はIであり、Arは、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基である。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(2):
M-R (2)
(式中、
Mは、配位子を有するCuであり、
は、1個以上の置換基を有していてもよいフルオロアルキル基である。)
で表される化合物の製造方法であって、還元剤の存在下、式(1):
-X (1)
(式中、
は、前記と同意義であり、
は、Cl、Br又はIである。)
で表される化合物と銅化合物と配位子とを反応させる工程Aを含む製造方法。
【請求項2】
式(4):
Ar-R (4)
(式中、
Arは、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
は、1個以上の置換基を有していてもよいフルオロアルキル基である。)
で表される化合物の製造方法であって、
還元剤の存在下、式(1):
-X (1)
(式中、
は、前記と同意義であり、
は、Cl、Br又はIである。)
で表される化合物と銅化合物と配位子とを反応させる工程A、及び
前記工程Aの反応生成物と式(3):
Ar-X (3)
(式中、
Arは、前記と同意義であり、
は、Cl、Br又はIである。)
で表される化合物とを反応させる工程Bを含む製造方法。
【請求項3】
式(4):
Ar-R (4)
(式中、
Arは、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
は、1個以上の置換基を有していてもよいフルオロアルキル基である。)
で表される化合物の製造方法であって、
還元剤、銅化合物、及び配位子の存在下、式(1):
-X (1)
(式中、
は、前記と同意義であり、
は、Cl、Br又はIである。)
で表される化合物と式(3):
Ar-X (3)
(式中、
Arは、前記と同意義であり、
は、Cl、Br又はIである。)
で表される化合物とを反応させる工程Cを含む製造方法。
【請求項4】
前記還元剤がホウ素及び/又はケイ素を含む化合物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記還元剤がジボロン化合物、シリルボラン化合物、及びジシラン化合物からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ジボロン化合物が式(A):
【化1】
(式中、
及びZは、それぞれ独立して、単結合、二重結合、又はCHであり、
及びRは、それぞれ独立して、アルキル基であり、
互いに隣接して存在し得る2個のRは一緒になって環を形成してもよく、
互いに隣接して存在し得る2個のRは一緒になって環を形成してもよく、
k1及びk2は、それぞれ独立して、0又は1以上の整数である。)
で表される化合物であり、
前記シリルボラン化合物が式(B):
【化2】
(式中、
11は、単結合、二重結合、又はCHであり、
11は、アルキル基であり、
互いに隣接して存在し得る2個のR11は一緒になって環を形成してもよく、
12、R13、及びR14は、それぞれ独立して、アルキル基又はアリール基であり、k3は、0又は1以上の整数である。)
で表される化合物であり、
前記ジシラン化合物が式(C):
【化3】
(式中、
21、R22、R23、R24、R25、及びR26は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基である。)
で表される化合物である、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
有機溶媒中で実施される、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記有機溶媒の常圧での沸点が150℃以下である、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記有機溶媒がエーテル系溶媒及び芳香族炭化水素系溶媒からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】
前記銅化合物が1価の銅化合物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記銅化合物がCuのアルコキシド、アリールオキシド、チオアルコオキシド、又はチオアリールオキシドである、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記配位子が含ピリジン配位子及びホスフィン配位子からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項13】
前記工程B又は工程Cが50℃以下で実施される、請求項2又は3に記載の製造方法。
【請求項14】
Arが1個以上の置換基を有していてもよいアリール基である、請求項2又は3に記載の製造方法。
【請求項15】
Arが1個以上のフッ素又はフルオロアルキル基を有するアリール基である、請求項2又は3に記載の製造方法。
【請求項16】
式(4A):
【化4】
(式中、
は、単結合、-O-、-S-、1個以上の置換基を有していてもよいアルキレン基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリーレン基である。)
で表される化合物。
【請求項17】
式(5A):
【化5】
(式中、
は、単結合、-O-、-S-、1個以上の置換基を有していてもよいアルキレン基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリーレン基である。)
で表される化合物。
【請求項18】
式(5A):
【化6】
(式中、
は、単結合、-O-、-S-、1個以上の置換基を有していてもよいアルキレン基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリーレン基である。)
で表される化合物であって、Al、Cr、Cu、Fe、Ni、及びZnの含有量がそれぞれ1000ppm以下である化合物。
【請求項19】
式(5A):
【化7】
(式中、
は、単結合、-O-、-S-、1個以上の置換基を有していてもよいアルキレン基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリーレン基である。)
で表される化合物であって、Al、Cr、Cu、Fe、Ni、及びZnの含有量の合計が6000ppm以下である化合物。
【請求項20】
式(5):
【化8】
(式中、
Aは、単結合、-O-、-S-、1個以上の置換基を有していてもよいアルキレン基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリーレン基であり、
31、R32、R33、R34、R35、R41、R42、R43、R44、及びR45は、それぞれ独立して、フッ素、アルキル基、又はフルオロアルキル基であり、
n及びmは、それぞれ独立して、0、1、又は2である。)
で表される化合物であって、Pdの含有量が1000ppm以下である化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フルオロアルキル芳香族化合物の製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
フルオロアルキル芳香族化合物は、農薬、医薬、液晶材料等として有用な化合物である。当該化合物の製造方法としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の高沸点溶媒中、C11I、C13I等のフルオロアルキルヨウ化物とヨードベンゼン等のヨウ化アリールと銅粉とを反応させて、フルオロアルキル芳香族化合物を製造する方法が知られている(特許文献1~2及び非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第3408411号公報
【特許文献2】米国特許第2016/152636号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】D. Wiedenfeldら、Journal of Fluorine Chemistry、104 (2000)、303-306
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の方法は、高温条件が必要である上、収率の面で改善の余地がある。また、特許文献1~2及び非特許文献1の方法は、いずれも高沸点溶媒を用いるため、高沸点溶媒からの生成物の取り出しのために複数回の水による抽出、減圧留去、結晶化など煩雑な作業が必要となる。
【0006】
本開示の目的は、フルオロアルキル芳香族化合物の有用な製造方法、及び当該製造方法により得られる化合物を提供することを包含する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、次の態様を包含する。
項1.
式(2):
M-R (2)
(式中、
Mは、配位子を有するCuであり、
は、1個以上の置換基を有していてもよいフルオロアルキル基である。)
で表される化合物の製造方法であって、還元剤の存在下、式(1):
-X (1)
(式中、
は、前記と同意義であり、
は、Cl、Br又はIである。)
で表される化合物と銅化合物と配位子とを反応させる工程Aを含む製造方法。
項2.
式(4):
Ar-R (4)
(式中、
Arは、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
は、1個以上の置換基を有していてもよいフルオロアルキル基である。)
で表される化合物の製造方法であって、
還元剤の存在下、式(1):
-X (1)
(式中、
は、前記と同意義であり、
は、Cl、Br又はIである。)
で表される化合物と銅化合物と配位子とを反応させる工程A、及び
前記工程Aの反応生成物と式(3):
Ar-X (3)
(式中、
Arは、前記と同意義であり、
は、Cl、Br又はIである。)
で表される化合物とを反応させる工程Bを含む製造方法。
項3.
式(4):
Ar-R (4)
(式中、
Arは、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
は、1個以上の置換基を有していてもよいフルオロアルキル基である。)
で表される化合物の製造方法であって、
還元剤、銅化合物、及び配位子の存在下、式(1):
-X (1)
(式中、
は、前記と同意義であり、
は、Cl、Br又はIである。)
で表される化合物と式(3):
Ar-X (3)
(式中、
Arは、前記と同意義であり、
は、Cl、Br又はIである。)
で表される化合物とを反応させる工程Cを含む製造方法。
項4.
前記還元剤がホウ素及び/又はケイ素を含む化合物である、項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
項5.
前記還元剤がジボロン化合物、シリルボラン化合物、及びジシラン化合物からなる群より選択される少なくとも一種である、項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
項6.
前記ジボロン化合物が式(A):
【化1】
(式中、
及びZは、それぞれ独立して、単結合、二重結合、又はCHであり、
及びRは、それぞれ独立して、アルキル基であり、
互いに隣接して存在し得る2個のRは一緒になって環を形成してもよく、
互いに隣接して存在し得る2個のRは一緒になって環を形成してもよく、
k1及びk2は、それぞれ独立して、0又は1以上の整数である。)
で表される化合物であり、
前記シリルボラン化合物が式(B):
【化2】
(式中、
11は、単結合、二重結合、又はCHであり、
11は、アルキル基であり、
互いに隣接して存在し得る2個のR11は一緒になって環を形成してもよく、
12、R13、及びR14は、それぞれ独立して、アルキル基又はアリール基であり、k3は、0又は1以上の整数である。)
で表される化合物であり、
前記ジシラン化合物が式(C):
【化3】
(式中、
21、R22、R23、R24、R25、及びR26は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基である。)
で表される化合物である、項5に記載の製造方法。
項7.
有機溶媒中で実施される、項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
項8.
前記有機溶媒の常圧での沸点が150℃以下である、項7に記載の製造方法。
項9.
前記有機溶媒がエーテル系溶媒及び芳香族炭化水素系溶媒からなる群より選択される少なくとも一種である、項7又は8に記載の製造方法。
項10.
前記銅化合物が1価の銅化合物である、項1~9のいずれか一項に記載の製造方法。
項11.
前記銅化合物がCuのアルコキシド、アリールオキシド、チオアルコオキシド、又はチオアリールオキシドである、項1~10のいずれか一項に記載の製造方法。
項12.
前記配位子が含ピリジン配位子及びホスフィン配位子からなる群より選択される少なくとも一種である、項1~11のいずれか一項に記載の製造方法。
項13.
前記工程B又は工程Cが50℃以下で実施される、項2~12のいずれか一項に記載の製造方法。
項14.
Arが1個以上の置換基を有していてもよいアリール基である、項2~13のいずれか一項に記載の製造方法。
項15.
Arが1個以上のフッ素又はフルオロアルキル基を有するアリール基である、項2~14のいずれか一項に記載の製造方法。
項16.
式(4A):
【化4】
(式中、
は、単結合、-O-、-S-、1個以上の置換基を有していてもよいアルキレン基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリーレン基である。)
で表される化合物。
項17.
式(5A):
【化5】
(式中、
は、単結合、-O-、-S-、1個以上の置換基を有していてもよいアルキレン基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリーレン基である。)
で表される化合物。
項18.
式(5A):
【化6】
(式中、
は、単結合、-O-、-S-、1個以上の置換基を有していてもよいアルキレン基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリーレン基である。)
で表される化合物であって、Al、Cr、Cu、Fe、Ni、及びZnの含有量がそれぞれ1000ppm以下である化合物。
項19.
式(5A):
【化7】
(式中、
は、単結合、-O-、-S-、1個以上の置換基を有していてもよいアルキレン基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリーレン基である。)
で表される化合物であって、Al、Cr、Cu、Fe、Ni、及びZnの含有量の合計が6000ppm以下である化合物。
項20.
式(5):
【化8】
(式中、
Aは、単結合、-O-、-S-、1個以上の置換基を有していてもよいアルキレン基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリーレン基であり、
31、R32、R33、R34、R35、R41、R42、R43、R44、及びR45は、それぞれ独立して、フッ素、アルキル基、又はフルオロアルキル基であり、
n及びmは、それぞれ独立して、0、1、又は2である。)
で表される化合物であって、Pdの含有量が1000ppm以下である化合物。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、例えば、フルオロアルキル芳香族化合物の有用な製造方法、及び当該製造方法により得られる化合物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の前記概要は、本開示の各々の開示された実施形態又は全ての実装を記述することを意図するものではない。
【0010】
本開示の後記説明は、実例の実施形態をより具体的に例示する。本開示のいくつかの箇所では、例示を通してガイダンスが提供され、及びこの例示は、様々な組み合わせにおいて使用できる。それぞれの場合において、例示の群は、非排他的な、及び代表的な群として機能できる。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられる。
【0011】
1.用語
本明細書中の記号及び略号は、特に限定のない限り、本明細書の文脈に沿い、本開示が属する技術分野において通常用いられる意味に理解できる。
【0012】
本明細書中、語句「含有する」は、語句「から本質的になる」、及び語句「からなる」を包含することを意図して用いられる。
【0013】
特に限定されない限り、本明細書中に記載されている工程、処理、又は操作は、室温で実施され得る。本明細書中、室温は、10~40℃の範囲内の温度を意味することができる。
【0014】
本明細書中、表記「Cn-m」(ここで、n及びmは、それぞれ、1以上の整数であり、n<mである。)は、当業者が通常理解する通り、炭素数がn以上かつm以下であることを表す。
【0015】
本明細書中、「ハロゲン」としては、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、及びヨウ素(I)が挙げられる。
【0016】
本明細書中、「アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル、イソプロピル)、ブチル(n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル)、ペンチル、及びヘキシル等の、直鎖又は分岐鎖状のC1-20アルキル基が挙げられる。
【0017】
本明細書中、「アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(n-プロポキシ、イソプロポキシ)、ブトキシ(n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ)、ペンチルオキシ、及びヘキシルオキシ等の、直鎖状又は分岐鎖状のC1-20アルコキシ基が挙げられる。
【0018】
本明細書中、「アルキルチオ基」としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ(n-プロピルチオ、イソプロピルチオ)、ブチルチオ(n-ブチルチオ、イソブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ)、ペンチルチオ、及びヘキシルチオ等の、直鎖状又は分岐鎖状のC1-20アルキルチオ基が挙げられる。
【0019】
本明細書中、「シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチル等の、C3-20シクロアルキル基が挙げられる。
【0020】
本明細書中、「アリール基」は、例えば、単環性、2環性、3環性、又は4環性であることができる。当該「アリール基」としては、例えば、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、2-ビフェニル、3-ビフェニル、4-ビフェニル、及び2-アンスリル等の、C6-20アリール基が挙げられる。
【0021】
本明細書中、「ヘテロアリール基」は、例えば、単環性、2環性、3環性、又は4環性であることができる。当該「ヘテロアリール基」は、例えば、5~18員のヘテロアリール基であることができる。当該「ヘテロアリール基」は、例えば、環構成原子として、炭素原子に加えて酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子から選ばれる1個、2個、3個、又は4個のヘテロ原子を含有するヘテロアリール基であることができる。当該「ヘテロアリール基」は、「単環性ヘテロアリール基」及び「芳香族縮合複素環基」を包含する。
【0022】
当該「単環性へテロアリール基」としては、例えば、ピロリル(例:1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル)、フリル(例:2-フリル、3-フリル)、チエニル(例:2-チエニル、3-チエニル)、ピラゾリル(例:1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル)、イミダゾリル(例:1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル)、イソオキサゾリル(例:3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル)、オキサゾリル(例:2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル)、イソチアゾリル(例:3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリル、5-イソチアゾリル)、チアゾリル(例:2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル)、トリアゾリル(例:1,2,3-トリアゾール-3-イル、1,2,4-トリアゾール-4-イル)、オキサジアゾリル(例:1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)、チアジアゾリル(例:1,2,4-チアジアゾール-3-イル、1,2,4-5-イル)、テトラゾリル、ピリジル(例:2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル)、ピリダジニル(例:3-ピリダジニル、4-ピリダジニル)、ピリミジニル(例:2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル)、及びピラジニル等が挙げられる。
【0023】
当該「芳香族縮合複素環基」としては、例えば、イソインドリル(例:1-イソインドリル、2-イソインドリル、3-イソインドリル、4-イソインドリル、5-イソインドリル、6-イソインドリル、7-イソインドリル)、インドリル(例:1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル)、ベンゾ[b]フラニル(例:2-ベンゾ[b]フラニル、3-ベンゾ[b]フラニル、4-ベンゾ[b]フラニル、5-ベンゾ[b]フラニル、6-ベンゾ[b]フラニル、7-ベンゾ[b]フラニル)、ベンゾ[c]フラニル(例:1-ベンゾ[c]フラニル、4-ベンゾ[c]フラニル、5-ベンゾ[c]フラニル)、ベンゾ[b]チエニル、(例:2-ベンゾ[b]チエニル、3-ベンゾ[b]チエニル、4-ベンゾ[b]チエニル、5-ベンゾ[b]チエニル、6-ベンゾ[b]チエニル、7-ベンゾ[b]チエニル)、ベンゾ[c]チエニル(例:1-ベンゾ[c]チエニル、4-ベンゾ[c]チエニル、5-ベンゾ[c]チエニル)、インダゾリル(例:1-インダゾリル、2-インダゾリル、3-インダゾリル、4-インダゾリル、5-インダゾリル、6-インダゾリル、7-インダゾリル)、ベンゾイミダゾリル(例:1-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾイミダゾリル、4-ベンゾイミダゾリル、5-ベンゾイミダゾリル)、1,2-ベンゾイソオキサゾリル(例:1,2-ベンゾイソオキサゾール-3-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-4-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-5-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-6-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-7-イル)、ベンゾオキサゾリル(例:2-ベンゾオキサゾリル、4-ベンゾオキサゾリル、5-ベンゾオキサゾリル、6-ベンゾオキサゾリル、7-ベンゾオキサゾリル)、1,2-ベンゾイソチアゾリル(例:1,2-ベンゾイソチアゾール-3-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-4-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-5-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-6-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-7-イル)、ベンゾチアゾリル(例:2-ベンゾチアゾリル、4-ベンゾチアゾリル、5-ベンゾチアゾリル、6-ベンゾチアゾリル、7-ベンゾチアゾリル)、イソキノリル(例:1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル)、キノリル(例:2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、8-キノリル)、シンノリニル(例:3-シンノリニル、4-シンノリニル、5-シンノリニル、6-シンノリニル、7-シンノリニル、8-シンノリニル)、フタラジニル(例:1-フタラジニル、4-フタラジニル、5-フタラジニル、6-フタラジニル、7-フタラジニル、8-フタラジニル)、キナゾリニル(例:2-キナゾリニル、4-キナゾリニル、5-キナゾリニル、6-キナゾリニル、7-キナゾリニル、8-キナゾリニル)、キノキサリニル(例:2-キノキサリニル、3-キノキサリニル、5-キノキサリニル、6-キノキサリニル、7-キノキサリニル、8-キノキサリニル)、ピラゾロ[1,5-a]ピリジル(例:ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イル)、イミダゾ[1,2-a]ピリジル(例:イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イル、及びイミダゾ[1,2-a]ピリジン-8-イル)等が挙げられる。
【0024】
本明細書中、「1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基」において、アルキル基の内部に存在し得る-CH-は、-O-、-S-、又は-NH-に置き換わっていてもよい。当該アルキル基の置換基の例は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル(アルキル-O-CO-)基、アルキルカルボニルオキシ(アルキル-CO-O-)基、アリール基、及びこれら2以上の組合せ(例:ハロアルコキシ基)を包含する。当該アルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は、1個から置換可能な最大数までの範囲から選択することができ、例えば1個、2個、3個、4個、又は5個であることができる。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0025】
上記「1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基」の例は、1個以上のハロゲン(例:フッ素)で置換されていてもよいアルキル基を包含する。1個以上のハロゲンで置換されているアルキル基を「ハロアルキル基」と表記し、例えば置換されているハロゲンがフッ素の場合に「フルオロアルキル基」と表記する場合がある。「フルオロアルキル基」は、パーフルオロアルキル基であっても非パーフルオロアルキル基であってもよい。「フルオロアルキル基」の例は、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基(例:パーフルオロn-プロピル、パーフルオロイソプロピル基)、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等の、直鎖状又は分岐鎖状のフルオロC1-20アルキル基を包含する。「1個以上の置換基を有していてもよいフルオロアルキル基」の例は、上記フルオロアルキル基に加え、1個以上の置換基(例:アルコキシ基;フルオロアルコキシ基等のハロアルコキシ基;アルコキシカルボニル基;フルオロアルコキシカルボニル基等のハロアルコキシカルボニル基)で置換されているフルオロアルキル基を包含し、及びその具体例は、CF-O-CF-、CF-O-CF(CF)-、CF-O-CH-CH-、CF-O-CH(CF)-CH-、CF-O-CF-CF-、CF-CF-O-CF-、CF-CF-O-CF-CF-、CF-O-CF-O-CF-、CF-CF-CF-O-CH-CF-、CF-CF-CF-O-CF-CF-、CF-CF-CF-O-CF(CF)-CF-、CF-CF-CF-O-CF(CF)-CF-O-CF(CF)-CF-、CF-CF-CF-O-[CF(CF)-CF-O-]-CF(CF)-CF-等の、1個以上の置換基で置換されている、直鎖状又は分岐鎖状のフルオロC1-20アルキル基を包含する。
【0026】
本明細書中、「1個以上の置換基を有していてもよいアリール基」及び「1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基」において、置換基の例は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、及びこれら2以上の組合せ(例:ハロアルキル基、ハロアルコキシ基)を包含する。当該アリール基が置換基を有する場合、置換基の数は、1個から置換可能な最大数までの範囲から選択することができ、例えば1個、2個、3個、4個、又は5個であることができる。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0027】
本明細書中、「アルキレン基」、「シクロアルキレン基」、及び「アリーレン基」は、それぞれ、「アルキル基」、「シクロアルキル基」、及び「アリール基」から1個のHを除去して形成される2価の基である。
【0028】
2.式(2)で表される化合物の製造方法
本開示の一実施形態において、式(2)で表される化合物(「フルオロアルキル銅試薬」と表記する場合がある)の製造方法は、還元剤の存在下、式(1)で表される化合物と銅化合物と配位子とを反応させる工程Aを含む。
-X (1)
M-R (2)
(式中、
は、1個以上の置換基を有していてもよいフルオロアルキル基であり、
は、Cl、Br又はIであり、
Mは、配位子を有するCuである。)
【0029】
[式(1)で表される化合物]
において、フルオロアルキル基の炭素数の下限は、例えば1個、2個、又は3個であることができ、上限は、例えば20個、16個、14個、12個、又は10個であることができる。Rは、1個以上の置換基を有していてもよいフルオロC1-20アルキル基(例:パーフルオロC1-20アルキル基)であることが好ましく、より好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいフルオロC1-12アルキル基(例:パーフルオロC1-12アルキル基)であり、さらに好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいフルオロC1-10アルキル基(例:パーフルオロC1-10アルキル基)である。
【0030】
はBr又はIであることが好ましい。
一実施形態において、XはBrであることが好ましい。
別の実施形態において、XはIであることが好ましい。
【0031】
[銅化合物]
銅化合物は、銅を含む限り特に制限されない。銅化合物は、例えば銅単体であってもよく1価又は2価の銅化合物であってもよい。一実施形態において、銅化合物は1価の銅化合物であることが好ましい。
【0032】
銅化合物としては、例えば、銅粉末、ヨウ化銅(I)等のハロゲン化銅(I)、酸化銅(I)、硫化銅(I)、水酸化銅(I)、酢酸銅(I)、ヨウ化銅(II)等のハロゲン化銅(II)、酸化銅(II)、硫酸銅(II)、水酸化銅(II)、酢酸銅(II)等が挙げられる。これらの銅化合物は、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属のアルコキシド、アリールオキシド、チオアルコキシド、又はチオアリールオキシドと併用してもよい。或いは、銅化合物として、銅のアルコキシド、アリールオキシド、チオアルコキシド、又はチオアリールオキシドを使用してもよい。前記アルコキシド又はアリールオキシドとしては、例えば、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシド(例:t-ブトキシド)等のC1-6アルコキシド、フェノキシド等のC6-10アリールオキシドが挙げられる。前記チオアルコキシド又はチオアリールオキシドとしては、例えば、前記アルコキシド又はアリールオキシドのOがSに置き換わったものが挙げられる。
【0033】
銅化合物の使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、例えば0.5モル以上、好ましくは1モル以上、さらに好ましくは1.5モル以上である。銅化合物の使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、例えば5モル以下、好ましくは4モル以下、さらに好ましくは3モル以下である。銅化合物の使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、例えば0.5~5モルの範囲内、好ましくは1~4モルの範囲内、さらに好ましくは1.5~3モルの範囲内である。
【0034】
[配位子]
配位子は、銅と配位するものであれば特に制限されない。配位子としては、例えば、含ピリジン配位子、ホスフィン配位子等が挙げられる。
【0035】
含ピリジン配位子としては、例えば、フェナントロリン(例:1,10-フェナントロリン)、2,2’-ビピリジル、ピリジン、メチルピリジン、ルチジン(例:2,6-ルチジン)等が挙げられる。
【0036】
ホスフィン配位子としては、トリアルキルホスフィン又はトリアリールホスフィンが好ましい。トリアルキルホスフィンとしては、例えば、トリイソプロピルホスフィン、ジt-ブチルメチルホスフィン、トリt-ブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリアダマンチルホスフィン、トリビシクロ[2,2,2]オクチルホスフィン、トリノルボルニルホスフィン等のトリ(C3-20アルキル)ホスフィン等が挙げられる。トリアリールホスフィンとしては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリメシチルホスフィン、トリ(o-トリル)ホスフィン等のトリ(単環性アリール)ホスフィンが挙げられる。これらの中でも、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリt-ブチルホスフィンが好ましい。
【0037】
一実施形態において、配位子は二座配位子であることが好ましい。二座配位子の好ましい例としては、1,10-フェナントロリン等が挙げられる。
【0038】
配位子の使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、例えば0.5モル以上、好ましくは1モル以上、さらに好ましくは1.5モル以上である。配位子の使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、例えば5モル以下、好ましくは4モル以下、さらに好ましくは3モル以下である。配位子の使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、例えば0.5~5モルの範囲内、好ましくは1~4モルの範囲内、さらに好ましくは1.5~3モルの範囲内である。
【0039】
[還元剤]
工程Aの反応を還元剤の存在下で実施することにより、低温での反応が可能となり、高沸点溶媒の使用及びそれに伴う煩雑な除去操作を回避することができ、高温で分解し易い化合物であっても簡便に合成することが可能となる。
【0040】
還元剤としては、還元能を有する限り特に制限されない。一実施形態において、還元剤はホウ素及び/又はケイ素を含む化合物であることが好ましい。還元剤としては、例えば、ジボロン化合物、シリルボラン化合物、ジシラン化合物等が挙げられる。
【0041】
ジボロン化合物としては、例えば、式(A)で表される化合物等が挙げられる。
【化9】
(式中、
及びZは、それぞれ独立して、単結合、二重結合、又はCHであり、
及びRは、それぞれ独立して、有機基であり、
互いに隣接して存在し得る2個のRは一緒になって環を形成してもよく、
互いに隣接して存在し得る2個のRは一緒になって環を形成してもよく、
k1及びk2は、それぞれ独立して、0又は1以上の整数である。)
【0042】
一実施形態において、Z及びZは共に単結合であることが好ましい。
別の実施形態において、Z及びZは共に二重結合であることが好ましい。
さらに別の実施形態において、Z及びZは共にCHであることが好ましい。
【0043】
及びRは、それぞれ独立して、アルキル基であることが好ましく、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはC1-4アルキル基、さらにより好ましくはC1-2アルキル基である。
【0044】
及びZが単結合である場合、k1及びk2は、それぞれ、0、1、2、3、又は4である。Z及びZが二重結合である場合、k1及びk2は、それぞれ、0、1、又は2である。Z及びZがCHである場合、k1及びk2は、それぞれ、0、1、2、3、4、5、又は6である。
【0045】
式(A)で表される化合物としては、例えば、式(A1)、(A2)、(A3)、又は(A4)で表される化合物等が挙げられる。
【化10】
【0046】
シリルボラン化合物としては、例えば、式(B)で表される化合物等が挙げられる。
【化11】
(式中、
11は、単結合、二重結合、又はCHであり、
11は、有機基であり、
互いに隣接して存在し得る2個のR11は一緒になって環を形成してもよく、
12、R13、及びR14は、それぞれ独立して、有機基であり、
k3は、0又は1以上の整数である。)
【0047】
一実施形態において、Z11は単結合であることが好ましい。
別の実施形態において、Z11は二重結合であることが好ましい。
さらに別の実施形態において、Z11はCHであることが好ましい。
【0048】
11は、好ましくは炭化水素基、より好ましくはアルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基、さらにより好ましくはC1-4アルキル基、特に好ましくはC1-2アルキル基である。
【0049】
12、R13、及びR14は、それぞれ独立して、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、より好ましくはC1-6アルキル基又はC6-14アリール基、さらに好ましくはC1-4アルキル基又はC6-12アリール基、さらにより好ましくはC1-2アルキル基又はC6-10アリール基である。
【0050】
11が単結合である場合、k3は0、1、2、3、又は4である。Z11が二重結合である場合、k3は0、1、又は2である。Z11がCHである場合、k3は0、1、2、3、4、5、又は6である。
【0051】
式(B)で表される化合物としては、例えば、式(B1)で表される化合物等が挙げられる。
【化12】
【0052】
ジシラン化合物としては、例えば、式(C)で表される化合物等が挙げられる。
【化13】
(式中、
21、R22、R23、R24、R25、及びR26は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、又は有機基である。)
【0053】
21、R22、R23、R24、R25、及びR26は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基であることが好ましく、より好ましくはH、ハロゲン、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、又はC6-14アリール基、さらに好ましくはH、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、又はC6-12アリール基、さらにより好ましくはH、ハロゲン(特にCl)、C1-2アルキル基、C1-2アルコキシ基、又はC6-10アリール基である。
【0054】
式(C)で表される化合物としては、例えば、式(C1)、(C2)、(C3)、(C4)、(C5)、(C6)、(C7)、(C8)、又は(C9)で表される化合物等が挙げられる。
【化14】
【0055】
還元剤の使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、例えば0.7モル以上、好ましくは0.8モル以上、さらに好ましくは0.9モル以上である。還元剤の使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、例えば3モル以下、好ましくは2モル以下、さらに好ましくは1.5モル以下である。還元剤の使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、例えば0.7~3モルの範囲内、好ましくは0.8~1モルの範囲内、さらに好ましくは0.9~1.5モルの範囲内である。
【0056】
[有機溶媒]
工程Aの反応は、有機溶媒の存在下で実施することが好ましい。一実施形態において、有機溶媒は高沸点溶媒ではない(又は低沸点溶媒である)ことが好ましく、常圧での沸点は好ましくは150℃以下、140℃以下、130℃以下、120℃以下、又は110℃以下である。有機溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒(例:テトラヒドロフラン等の環状エーテル系溶媒)、芳香族炭化水素系溶媒(例:トルエン、キシレン等)、これら2種以上の混合溶媒等が挙げられる。
【0057】
有機溶媒の使用量は、式(1)で表される化合物1mmolに対して、例えば0.5mL以上、好ましくは1mL以上、さらに好ましくは1.5mL以上である。有機溶媒の使用量は、式(1)で表される化合物1mmolに対して、例えば40mL以下、好ましくは30mL以下、さらに好ましくは20mL以下である。有機溶媒の使用量は、式(1)で表される化合物1mmolに対して、例えば0.5~40mLの範囲内、好ましくは1~30mLの範囲内、さらに好ましくは1.5~20mLの範囲内である。
【0058】
[反応温度及び反応時間]
工程Aの反応温度及び反応時間は、反応が進行する限り、特に制限されない。
反応温度は、例えば-30℃以上、好ましくは-10℃以上、さらに好ましくは0℃以上である。反応温度は、例えば40℃以下、好ましくは35℃以下、さらに好ましくは30℃以下である。反応温度は、例えば-30~40℃の範囲内、好ましくは-10~35℃の範囲内、さらに好ましくは0~30℃の範囲内である。
【0059】
反応時間は、例えば5分以上、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上、さらに好ましくは1時間以上である。反応時間は、例えば48時間以下、好ましくは24時間以下、さらに好ましくは12時間以下である。反応時間は、例えば5分~48時間の範囲内、好ましくは10分~24時間の範囲内、さらに好ましくは1~12時間の範囲内である。
【0060】
[任意の追加工程]
当該製造方法は、さらに式(2)で表される化合物を単離又は精製する工程を含んでいてもよい。式(2)で表される化合物の単離又は精製は、濾過、抽出、濃縮、クロマトグラフィー等の方法、これらの方法の組合せにより実施することができる。
【0061】
3.式(4)で表される化合物の製造方法
本開示の一実施形態において、式(4)で表される化合物の製造方法は、工程Aと、工程Aの反応生成物(特に式(2)で表される化合物)と式(3)で表される化合物とを反応させる工程Bとを含む。
Ar-X (3)
Ar-R (4)
(式中、
Arは、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
は、Cl、Br又はIであり、
は、前記と同意義である。)
【0062】
[式(3)で表される化合物]
Arは、1個以上の置換基を有していてもよいC6-14アリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよい5員~14員ヘテロアリール基であることが好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいC6-12アリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよい5員~12員ヘテロアリール基であることがより好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいC6-10アリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよい5員~10員ヘテロアリール基であることがさらに好ましい。前記ヘテロアリール基に含まれるヘテロ原子は、O、S、及びNからなる群より選択されることが好ましい。
【0063】
一実施形態において、Arは1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であることが好ましい。前記置換基は、有機基であればよく、具体的には、1個以上の更なる置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の更なる置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の更なる置換基を有していてもよいヘテロアリール基、カルボニル基(-L-CO-Q又は-CO-L-Q;QはH又は1個以上の更なる置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、Lは単結合又は-O-を示す)、アミド基(-L-CO-NQ又は-NQ-CO-L-Q;Q、Q、Q、及びQはそれぞれ独立してH又は1個以上の更なる置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、L及びLはそれぞれ独立して単結合又は-O-を示す)、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン(ハロゲノ基)、これらの組合せが挙げられる。一実施形態において、前記置換基はフッ素及び/又はフルオロアルキル基であることが好ましく、前記置換基はフルオロアルキル基であってもよい。
【0064】
はBr又はIであることが好ましい。
一実施形態において、XはBrであることが好ましい。
別の実施形態において、XはIであることが好ましい。
【0065】
一実施形態において、式(3)で表される化合物は、式(3A)又は式(3B)で表される化合物であることが好ましい。
21-Ar-A-Ar-X22 (3A)
23-Ar-X24 (3B)
(式中、
Ar、Ar、及びArは、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよいアリーレン基、又は1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリーレン基であり、Aは、単結合、-O-、-S-、1個以上の置換基を有していてもよいアルキレン基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリーレン基であり、
21、X22、X23、及びX24は、それぞれ独立して、Cl、Br又はIである。)
【0066】
Ar及びArは互いに同一であっても異なっていてもよい。Ar、Ar、及びArの好適な例としては、Arの好適な例に対応する2価の基が挙げられる。
【0067】
が1個以上の置換基を有していてもよいアルキレン基である場合、アルキレン基の炭素数の下限は、例えば1個又は2個であることができ、上限は、例えば6個、5個、4個、3個、又は2個であることができる。Aは、好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC1-6アルキレン基、より好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC1-6アルキレン基、さらに好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC1-4アルキレン基、さらにより好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC1-2アルキレン基である。前記置換基は、有機基であればよく、具体的には、1個以上の更なる置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の更なる置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の更なる置換基を有していてもよいヘテロアリール基、カルボニル基(-L-CO-Q又は-CO-L-Q)、アミド基(-L-CO-NQ又は-NQ-CO-L-Q)、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン(ハロゲノ基)、これらの組合せが挙げられる。
【0068】
が1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基である場合、好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC5-14シクロアルキレン基、より好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC5-12シクロアルキレン基、さらに好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC5-10シクロアルキレン基である。
【0069】
が1個以上の置換基を有していてもよいアリーレン基である場合、好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC6-14アリーレン基、より好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC6-12アリーレン基、さらに好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC5-10アリーレン基である。
【0070】
21、X22、X23、及びX24はそれぞれ独立してBr又はIであることが好ましい。X21及びX22は互いに同一であっても異なっていてもよい。X23及びX24は互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0071】
式(3)で表される化合物の使用量(特にCl、Br及びIの合計量)は、式(2)で表される化合物1モルに対して、例えば0.05モル以上、好ましくは0.1モル以上、さらに好ましくは0.15モル以上である。式(3)で表される化合物の使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対して、例えば3モル以下、好ましくは2モル以下、さらに好ましくは1.5モル以下である。式(3)で表される化合物の使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対して、例えば0.05~3モルの範囲内、好ましくは0.1~2モルの範囲内、さらに好ましくは0.15~1.5モルの範囲内である。
【0072】
[有機溶媒]
工程Bの反応は、有機溶媒の存在下で実施することが好ましい。一実施形態において、有機溶媒は高沸点溶媒ではない(又は低沸点溶媒である)ことが好ましく、常圧での沸点は好ましくは150℃以下、140℃以下、130℃以下、120℃以下、又は110℃以下である。有機溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒(例:テトラヒドロフラン等の環状エーテル系溶媒)、芳香族炭化水素系溶媒(例:トルエン、キシレン等)、これら2種以上の混合溶媒等が挙げられる。有機溶媒は、工程Aにおいて使用され得る有機溶媒と異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
【0073】
[反応温度及び反応時間]
工程Bの反応温度及び反応時間は、反応が進行する限り、特に制限されない。
反応温度は、例えば0℃以上、好ましくは10℃以上、さらに好ましくは20℃以上である。反応温度は、例えば125℃以下、好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。反応温度は、例えば0~125℃の範囲内、好ましくは10~100℃の範囲内、さらに好ましくは20~80℃の範囲内である。
【0074】
反応時間は、例えば30分以上、好ましくは1時間以上、さらに好ましくは2時間以上である。反応時間は、例えば48時間以下、好ましくは24時間以下、さらに好ましくは12時間以下である。反応時間は、例えば30分~48時間の範囲内、好ましくは1~24時間の範囲内、さらに好ましくは2~12時間の範囲内である。
【0075】
本開示の別の実施形態において、式(4)で表される化合物の製造方法は、還元剤、銅化合物、及び配位子の存在下、式(1)で表される化合物と式(3)で表される化合物とを反応させる工程Cを含む。
【0076】
式(1)で表される化合物及び式(3)で表される化合物としては、それぞれ、工程A及び工程Bで例示したものと同じものが挙げられる。
【0077】
式(3)で表される化合物の使用量(特にCl、Br及びIの合計量)は、式(1)で表される化合物1モルに対して、例えば0.05モル以上、好ましくは0.1モル以上、さらに好ましくは0.15モル以上である。式(3)で表される化合物の使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、例えば3モル以下、好ましくは2モル以下、さらに好ましくは1.5モル以下である。式(3)で表される化合物の使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、例えば0.05~3モルの範囲内、好ましくは0.1~2モルの範囲内、さらに好ましくは0.15~1.5モルの範囲内である。
【0078】
還元剤、銅化合物、及び配位子としては、例えば、工程Aで例示したものと同じものが挙げられる。式(1)で表される化合物に対する還元剤、銅化合物、及び配位子の使用量も、工程Aで例示した範囲と同じ範囲から選択することができる。
【0079】
[有機溶媒]
工程Cの反応は、有機溶媒の存在下で実施することが好ましい。有機溶媒としては、例えば、工程Aで例示したものと同じものが挙げられる。式(1)で表される化合物に対する有機溶媒の使用量も、工程Aで例示した範囲と同じ範囲から選択することができる。
【0080】
[反応温度及び反応時間]
工程Cの反応温度及び反応時間は、反応が進行する限り、特に制限されない。反応温度及び反応時間は、工程Aで例示した範囲と同じ範囲から選択することができる。
【0081】
[任意の追加工程]
当該製造方法は、例えば、式(3A)である化合物を用いた場合、式(4B)で表される化合物及び/又は式(4C)で表される化合物等が副産物として生成し得る。
21-Ar-A-Ar-R (4B)
-Ar-A-Ar-X22 (4C)
当該製造方法は、さらに式(4)で表される化合物を単離又は精製する工程を含んでいてもよい。式(4)で表される化合物の単離又は精製は、濾過、抽出、濃縮、クロマトグラフィー等の方法、これらの方法の組合せにより実施することができる。
【0082】
4.式(4A)で表される化合物
本開示の一実施形態の化合物は、式(4A)で表される化合物である。
【化15】
(式中、
は、単結合、-O-、-S-、1個以上の置換基を有していてもよいアルキレン基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリーレン基である。)
【0083】
が1個以上の置換基を有していてもよいアルキレン基である場合、アルキレン基の炭素数の下限は、例えば1個又は2個であることができ、上限は、例えば6個、5個、4個、3個、又は2個であることができる。Aは、好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC1-6アルキレン基、より好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC1-6アルキレン基、さらに好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC1-4アルキレン基、さらにより好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC1-2アルキレン基である。前記置換基は、有機基であればよく、具体的には、1個以上の更なる置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の更なる置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の更なる置換基を有していてもよいヘテロアリール基、カルボニル基(-L-CO-Q又は-CO-L-Q)、アミド基(-L-CO-NQ又は-NQ-CO-L-Q)、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン(ハロゲノ基)、これらの組合せが挙げられる。
【0084】
が1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基である場合、好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC5-14シクロアルキレン基、より好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC5-12シクロアルキレン基、さらに好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC5-10シクロアルキレン基である。
【0085】
が1個以上の置換基を有していてもよいアリーレン基である場合、好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC6-14アリーレン基、より好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC6-12アリーレン基、さらに好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC5-10アリーレン基である。
【0086】
式(4A)で表される化合物は、例えば、前記式(4)で表される化合物の製造方法において、式(3A)のAr及びArがフェニレン基である化合物と、式(1)のRがCFCl-CFCl-CF-CF-である化合物、銅化合物、及び配位子(又はこれらを反応させて生成する、式(2)のRがCFCl-CFCl-CF-CF-である化合物)とを反応させることにより製造することができる。
【0087】
5.式(5A)で表される化合物
本開示の一実施形態の化合物は、式(5A)で表される化合物である。
【化16】
(式中、
は、単結合、-O-、-S-、1個以上の置換基を有していてもよいアルキレン基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリーレン基である)
【0088】
が1個以上の置換基を有していてもよいアルキレン基である場合、アルキレン基の炭素数の下限は、例えば1個又は2個であることができ、上限は、例えば6個、5個、4個、3個、又は2個であることができる。Aは、好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC1-6アルキレン基、より好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC1-6アルキレン基、さらに好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC1-4アルキレン基、さらにより好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC1-2アルキレン基である。前記置換基は、有機基であればよく、具体的には、1個以上の更なる置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の更なる置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の更なる置換基を有していてもよいヘテロアリール基、カルボニル基(-L-CO-Q又は-CO-L-Q)、アミド基(-L-CO-NQ又は-NQ-CO-L-Q)、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン(ハロゲノ基)、これらの組合せが挙げられる。
【0089】
が1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基である場合、好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC5-14シクロアルキレン基、より好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC5-12シクロアルキレン基、さらに好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC5-10シクロアルキレン基である。
【0090】
が1個以上の置換基を有していてもよいアリーレン基である場合、好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC6-14アリーレン基、より好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC6-12アリーレン基、さらに好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC5-10アリーレン基である。
【0091】
式(5A)で表される化合物は、例えば、式(4A)で表される化合物の脱塩素反応により製造することができる。脱塩素反応は、当該分野において公知又は慣用の条件にて実施することができる。
【0092】
式(5A)で表される化合物は、Al、Cr、Cu、Fe、Ni、及びZnを含んでいてもよく、これらの金属の一部又は全部を含んでいなくてもよい。式(5A)で表される化合物中のAl、Cr、Cu、Fe、Ni、及びZnの含有量は、それぞれ、例えば1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、さらに好ましくは500ppm以下である。上記の金属の含有量は、それぞれ、少なければ少ないほど好ましいため、下限は特に限定されないが、例えば0.001ppm以上であってもよい。Al、Cr、Cu、Fe、Ni、及びZnの含有量は、それぞれ、例えばICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分析により測定することができる。一実施形態において、Al、Cr、Cu、Fe、Ni、及びZnの含有量は、それぞれ、ICP発光分析で検出限界以下であることが好ましい。
【0093】
式(5A)で表される化合物中のAl、Cr、Cu、Fe、Ni、及びZnの含有量の合計は、例えば6000ppm以下、好ましくは4800ppm以下、さらに好ましくは3000ppm以下である。一実施形態において、上記の金属の含有量の合計は1000ppm以下、800ppm以下、又は500ppm以下であってもよい。上記の金属の含有量の合計は、少なければ少ないほど好ましいため、下限は特に限定されないが、例えば0.001ppm以上であってもよい。Al、Cr、Cu、Fe、Ni、及びZnの含有量の合計は、例えばICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分析により測定することができる。一実施形態において、Al、Cr、Cu、Fe、Ni、及びZnの含有量の合計は、ICP発光分析で検出限界以下であることが好ましい。
【0094】
式(5A)で表される化合物は、Pdを含んでいてもよく、Pdを含んでいなくてもよい。式(5A)で表される化合物中のPdの含有量は、例えば1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、さらに好ましくは500ppm以下である。Pdの含有量は、少なければ少ないほど好ましいため、下限は特に限定されないが、例えば0.001ppm以上であってもよい。Pdの含有量は、例えばICP発光分析により測定することができる。一実施形態において、Pdの含有量はICP発光分析で検出限界以下であることが好ましい。
【0095】
7.式(5)で表される化合物
本開示の一実施形態の化合物は、式(5)で表される化合物である。
【化17】
(式中、
Aは、単結合、-O-、-S-、1個以上の置換基を有していてもよいアルキレン基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリーレン基であり、
31、R32、R33、R34、R35、R41、R42、R43、R44、及びR45は、それぞれ独立して、フッ素、アルキル基、又はフルオロアルキル基であり、
n及びmは、それぞれ独立して、0、1、又は2である。)
【0096】
Aが1個以上の置換基を有していてもよいアルキレン基である場合、アルキレン基の炭素数の下限は、例えば1個又は2個であることができ、上限は、例えば6個、5個、4個、3個、又は2個であることができる。Aは、好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC1-6アルキレン基、より好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC1-6アルキレン基、さらに好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC1-4アルキレン基、さらにより好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC1-2アルキレン基である。前記置換基は、有機基であればよく、具体的には、1個以上の更なる置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の更なる置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の更なる置換基を有していてもよいヘテロアリール基、カルボニル基(-L-CO-Q又は-CO-L-Q)、アミド基(-L-CO-NQ又は-NQ-CO-L-Q)、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン(ハロゲノ基)、これらの組合せが挙げられる。
【0097】
Aが1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基である場合、好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC5-14シクロアルキレン基、より好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC5-12シクロアルキレン基、さらに好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC5-10シクロアルキレン基である。
【0098】
Aが1個以上の置換基を有していてもよいアリーレン基である場合、好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC6-14アリーレン基、より好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC6-12アリーレン基、さらに好ましくは1個以上の置換基を有していてもよいC5-10アリーレン基である。
【0099】
31、R32、R33、R34、R35、R41、R42、R43、R44、及びR45は、それぞれ独立して、フッ素、C1-6アルキル基、又はフルオロC1-6アルキル基であることが好ましく、より好ましくはフッ素、C1-4アルキル基、又はフルオロC1-4アルキル基であり、さらに好ましくはフッ素、C1-2アルキル基、又はフルオロC1-2アルキル基である。一実施形態において、R31、R32、R33、R34、及びR35は、それぞれ、R41、R42、R43、R44、及びR45と同一であることが好ましい。
【0100】
一実施形態において、n及びmは共に0であることが好ましい。
別の実施形態において、n及びmは共に1であることが好ましい。
さらに別の実施形態において、n及びmは共に2であることが好ましい。
【0101】
式(5)で表される化合物は、Al、Cr、Cu、Fe、Ni、及びZnを含んでいてもよく、これらの金属の一部又は全部を含んでいなくてもよい。式(5)で表される化合物中のAl、Cr、Cu、Fe、Ni、及びZnの含有量は、それぞれ、例えば1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、さらに好ましくは500ppm以下である。上記の金属の含有量は、それぞれ、少なければ少ないほど好ましいため、下限は特に限定されないが、例えば0.001ppm以上であってもよい。Al、Cr、Cu、Fe、Ni、及びZnの含有量は、それぞれ、例えばICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分析により測定することができる。一実施形態において、Al、Cr、Cu、Fe、Ni、及びZnの含有量は、それぞれ、ICP発光分析で検出限界以下であることが好ましい。
【0102】
式(5)で表される化合物中のAl、Cr、Cu、Fe、Ni、及びZnの含有量の合計は、例えば6000ppm以下、好ましくは4800ppm以下、さらに好ましくは3000ppm以下である。一実施形態において、上記の金属の含有量の合計は1000ppm以下、800ppm以下、又は500ppm以下であってもよい。上記の金属の含有量の合計は、少なければ少ないほど好ましいため、下限は特に限定されないが、例えば0.001ppm以上であってもよい。Al、Cr、Cu、Fe、Ni、及びZnの含有量の合計は、例えばICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分析により測定することができる。一実施形態において、Al、Cr、Cu、Fe、Ni、及びZnの含有量の合計は、ICP発光分析で検出限界以下であることが好ましい。
【0103】
式(5)で表される化合物は、Pdを含んでいてもよく、Pdを含んでいなくてもよい。式(5)で表される化合物中のPdの含有量は、例えば1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、さらに好ましくは500ppm以下である。Pdの含有量は、少なければ少ないほど好ましいため、下限は特に限定されないが、例えば0.001ppm以上であってもよい。Pdの含有量は、例えばICP発光分析により測定することができる。一実施形態において、Pdの含有量はICP発光分析で検出限界以下であることが好ましい。
【0104】
式(5)で表される化合物は、例えば、前記式(4)で表される化合物の製造方法において、式(3A)のAr及びArがフェニレン基である化合物と、式(1)のRがCR3534Cl-CR33Cl-(CR3231)-である化合物及び/又は式(1)のRがCR4544Cl-CR43Cl-(CR4241)-である化合物、銅化合物、並びに配位子(又はこれらを反応させて生成する式(2)の化合物)とを反応させ、当該反応により製造される式(4)の化合物を脱塩素反応することにより製造することができる。脱塩素反応は、当該分野において公知又は慣用の条件にて実施することができる。
【実施例0105】
以下、実施例によって本開示の一実施態様を更に詳細に説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。なお、実施例中の各略号は次の通りである。
B2pin2:ビス(ピナコラート)ジボロン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
PhMe2SiBpin:(ジメチルフェニルシリル)ボロン酸ピナコールエステル
tBu:t-ブチル
THF:テトラヒドロフラン
【0106】
実施例1
【化18】
窒素雰囲気下で、ねじ口試験管にCuOtBu (1 mmol, 134 mg)と1,10-phenanthrorine (1 mmol, 180 mg)のTHF (4 mL) 溶液を調製した。B2pin2 (0.5 mmol, 127 mg)とICF2CF2CFClCF2Cl (0.5 mmol, 189 mg)のTHF溶液(1 mL)を滴下した。反応溶液を室温にて10分撹拌した後、ろ過した。ろ液を濃縮し、エーテルで洗浄すると表題化合物を197.6 mg、収率80%の茶色固体で得た。
1H NMR (400 MHz, THF-d8): δ9.1 (br, 2H), 8.7 (br, 2H), 8.1 (br, 2H), 8.0 (br, 2H).
19F NMR (376 MHz, THF-d8): δ-65.7 (br, 2F), -111.5 (br, 2F), -120.3 (br, 2F), -132.3 (br, 1F).
【0107】
実施例2
【化19】
窒素雰囲気下で、ねじ口試験管にCuOtBu (0.24 mmol, 32.1 mg)と1,10-phenanthrorine (0.24 mmol, 43.2 mg)のTHF (0.3 mL) 溶液を調製した。B2pin2(0.12 mmol, 30.5 mg)とICF2CF2CF2CF3(0.12 mmol, 20 μL)のTHF溶液(0.2 mL)を滴下した。反応溶液を室温にて1時間撹拌した後、4-フルオロヨードベンゼン (0.1 mmol, 11.6 μL) を加え、密閉し、40 ℃で18時間撹拌したところ、表題の化合物が収率82%で得られた。
19F NMR (376 MHz, CDCl3): -107.1 (s, 1F), -109.9 (t, 13 Hz, 2F), -122.5 (t, 9 Hz, 2F), -125.4 (m, 2F).
【0108】
実施例3
B2Pin2をPhMe2SiBpin (0.12 mmol)に変更した以外、上記と同様に操作したところ、表題の化合物(4-1)が収率63%で生成していることを19F NMRで確認した。
【0109】
実施例4
THFをジエチルエーテルに変更した以外、上記と同様に操作したところ、化合物(4-1)が収率8%で生成していることを19F NMRで確認した。
【0110】
実施例5
THFをトルエンに変更した以外、上記と同様に操作したところ、化合物(4-1)が収率30%で生成していることを19F NMRで確認した。
【0111】
実施例6
【化20】
グローブボックス内で、ねじ口試験管にCuOtBu (4.8 mmol, 654.6 mg)と1, 10-phenanthrorine (4.8 mmol, 865.1 mg)のTHF (4.8 mL) 溶液1を調製し、溶液を-30℃に冷却した。B2pin2 (2.4 mmol, 610.1 mg)とICF2CF2CFClCF2Cl (2.4 mmol, 426 μL)のTHF溶液2 (2.4 mL)を調製した。溶液2を溶液1へゆっくりと滴下した。溶液2の容器をTHF (1.2 mL) で二回洗い、洗液を溶液1へ加えた。溶液を室温にて1時間撹拌した後、4,4’-ジヨードビフェニル (0.8 mmol, 325.3 mg) を加え、密閉し、40℃で18時間撹拌した。反応終了後、化合物(4-2)と化合物(4-3)が10:1の混合物で得られ、この混合物には、わずかに化合物(5-1)が含まれていた。この混合物をろ過とカラムクロマトグラフィーによる精製で、化合物(4-2)を収率82%で得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ7.65 (m, 8H)
19F NMR (376 MHz, CDCl3): δ-63.3 (t, 2F), δ-107.0, -107.7, -108.5, -109.2 (m, 2F), δ-112.6, -113.4, -114.0, -114.7 (m, 2F), δ-130.0 (m, 1F)GCMS m/z: 656
【0112】
実施例7
【化21】
グローブボックス内で、ねじ口試験管にCuOtBu (4.8 mmol, 654.6 mg)と1, 10-phenanthrorine (4.8 mmol, 865.1 mg)のTHF (4.8 mL) 溶液1を調製し、溶液を-30℃に冷却した。B2pin2 (2.4 mmol, 610.1 mg)とICF2CF2CFClCF2Cl (2.4 mmol, 426 μL)のTHF溶液2 (2.4 mL)を調製した。溶液2を溶液1へゆっくりと滴下した。溶液2の容器をTHF (1.2 mL) で二回洗い、洗液を溶液1へ加えた。溶液を室温にて1時間撹拌した後、4,4’-ジヨードビフェニル (0.8 mmol, 325.3 mg) 、Zn (325 mg)、ZnCl2 (44 mg)、DMF (8.4 mL)を加え、密閉し、40℃で18時間撹拌した。反応終了後、粗生成物が232mg得られ、NMRにより分析したところ、4,4’-ジヨードビフェニル、化合物(4-2)、及び化合物(4-4)が0.7:1:1.4のモル比で生成していることが分かった。
【0113】
実施例8
【化22】
グローブボックス内で、50mL二口ナスフラスコに亜鉛粉末 (6.5 mmol, 438 mg), 塩化亜鉛 (0.65 mmol, 87.9 mg)をはかり取り、DMF (3 mL)を加えた。化合物(4-2) (0.65 mmol, 428.3 mg)をDMF (3 mL) に溶解させ、溶液を反応溶液へ加えた。DMF (2 mL)で二回洗い、洗液を反応溶液へ加えた後、窒素雰囲気下、60℃で2時間撹拌した。反応終了後、ろ過と抽出及びHPLCによる精製を行い、化合物(5-1)が収率93%で得られた。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ7.63 (dd, 8H)19F NMR (MHz, CDCl3): δ-89.9 (m, 1F), δ-106.6 (m, 1F), δ-112.5 (d, 2F), δ-118.2 (t, 2F), δ-187.1 (m, 1F)
GCMS m/z: 513
得られた化合物(5-1)をICP-AES(Pd検出限界1ppm)で分析したところ、Pdは検出されなかった。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(2):
M-R (2)
(式中、
Mは、配位子を有するCuであり、
は、1個以上の置換基を有していてもよいフルオロアルキル基である。)
で表される化合物の製造方法であって、
還元剤の存在下、式(1):
-X (1)
(式中、
は、前記と同意義であり、
は、Cl、Br又はIである。)
で表される化合物と銅化合物と配位子とを反応させる工程Aを含み、
前記還元剤がホウ素及び/又はケイ素を含む化合物であり、
前記配位子が含ピリジン配位子及びホスフィン配位子からなる群より選択される少なくとも一種である、製造方法。
【請求項2】
式(4):
Ar-R (4)
(式中、
Arは、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
は、1個以上の置換基を有していてもよいフルオロアルキル基である。)
で表される化合物の製造方法であって、
還元剤の存在下、式(1):
-X (1)
(式中、
は、前記と同意義であり、
は、Cl、Br又はIである。)
で表される化合物と銅化合物と配位子とを反応させる工程A、及び
前記工程Aの反応生成物と式(3):
Ar-X (3)
(式中、
Arは、前記と同意義であり、
は、Cl、Br又はIである。)
で表される化合物とを反応させる工程Bを含み、
前記還元剤がホウ素及び/又はケイ素を含む化合物であり、
前記配位子が含ピリジン配位子及びホスフィン配位子からなる群より選択される少なくとも一種である、製造方法。
【請求項3】
式(4):
Ar-R (4)
(式中、
Arは、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基であり、
は、1個以上の置換基を有していてもよいフルオロアルキル基である。)
で表される化合物の製造方法であって、
還元剤、銅化合物、及び配位子の存在下、式(1):
-X (1)
(式中、
は、前記と同意義であり、
は、Cl、Br又はIである。)
で表される化合物と式(3):
Ar-X (3)
(式中、
Arは、前記と同意義であり、
は、Cl、Br又はIである。)
で表される化合物とを反応させる工程Cを含み、
前記還元剤がホウ素及び/又はケイ素を含む化合物であり、
前記配位子が含ピリジン配位子及びホスフィン配位子からなる群より選択される少なくとも一種である、製造方法。
【請求項4】
前記還元剤がジボロン化合物、シリルボラン化合物、及びジシラン化合物からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ジボロン化合物が式(A):
【化1】
(式中、
及びZは、それぞれ独立して、単結合、二重結合、又はCHであり、
及びRは、それぞれ独立して、アルキル基であり、
互いに隣接して存在し得る2個のRは一緒になって環を形成してもよく、
互いに隣接して存在し得る2個のRは一緒になって環を形成してもよく、
k1及びk2は、それぞれ独立して、0又は1以上の整数である。)
で表される化合物であり、
前記シリルボラン化合物が式(B):
【化2】
(式中、
11は、単結合、二重結合、又はCHであり、
11は、アルキル基であり、
互いに隣接して存在し得る2個のR11は一緒になって環を形成してもよく、
12、R13、及びR14は、それぞれ独立して、アルキル基又はアリール基であり、k3は、0又は1以上の整数である。)
で表される化合物であり、
前記ジシラン化合物が式(C):
【化3】
(式中、
21、R22、R23、R24、R25、及びR26は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、又はアリール基である。)
で表される化合物である、請求項に記載の製造方法。
【請求項6】
有機溶媒中で実施される、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記有機溶媒の常圧での沸点が150℃以下である、請求項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記有機溶媒がエーテル系溶媒及び芳香族炭化水素系溶媒からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記銅化合物が1価の銅化合物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記銅化合物がCuのアルコキシド、アリールオキシド、チオアルコオキシド、又はチオアリールオキシドである、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記工程B又は工程Cが50℃以下で実施される、請求項2又は3に記載の製造方法。
【請求項12】
Arが1個以上の置換基を有していてもよいアリール基である、請求項2又は3に記載の製造方法。
【請求項13】
Arが1個以上のフッ素又はフルオロアルキル基を有するアリール基である、請求項2又は3に記載の製造方法。
【請求項14】
式(4A):
【化4】
(式中、
は、単結合、-O-、-S-、1個以上の置換基を有していてもよいアルキレン基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリーレン基である。)
で表される化合物。
【請求項15】
式(5A):
【化5】
(式中、
は、単結合、-O-、-S-、1個以上の置換基を有していてもよいアルキレン基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリーレン基である。)
で表される化合物。
【請求項16】
式(5A):
【化6】
(式中、
は、単結合、-O-、-S-、1個以上の置換基を有していてもよいアルキレン基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリーレン基である。)
で表される化合物であって、Al、Cr、Cu、Fe、Ni、及びZnの含有量がそれぞれ1000ppm以下である化合物。
【請求項17】
式(5A):
【化7】
(式中、
は、単結合、-O-、-S-、1個以上の置換基を有していてもよいアルキレン基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリーレン基である。)
で表される化合物であって、Al、Cr、Cu、Fe、Ni、及びZnの含有量の合計が6000ppm以下である化合物。
【請求項18】
式(5):
【化8】
(式中、
Aは、単結合、-O-、-S-、1個以上の置換基を有していてもよいアルキレン基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリーレン基であり、
31、R32、R33 、R 41、R42及び43は、それぞれ独立して、フッ素、アルキル基、又はフルオロアルキル基であり、
34 、R 35 、R 44 、及びR 45 は、それぞれ独立して、フッ素、アルキル基、又はフルオロアルキル基(但し、トリフルオロメチル基を除く)であり、R 33 及びR 43 がアルキル基である場合、R 34 、R 35 、R 44 、及びR 45 の全てがフッ素ではなく、
n及びmは、それぞれ独立して、0、1、又は2である。)
で表される化合物であって、Pdの含有量がppm以下である化合物。