(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128614
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】管接合方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B23K 20/12 20060101AFI20240913BHJP
B23K 101/06 20060101ALN20240913BHJP
【FI】
B23K20/12 368
B23K20/12 310
B23K20/12 340
B23K101:06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037679
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(71)【出願人】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112140
【弁理士】
【氏名又は名称】塩島 利之
(74)【代理人】
【識別番号】100119297
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 正男
(72)【発明者】
【氏名】藤井 英俊
(72)【発明者】
【氏名】森貞 好昭
(72)【発明者】
【氏名】矢野 良明
【テーマコード(参考)】
4E167
【Fターム(参考)】
4E167AA02
4E167AA03
4E167AA06
4E167AA29
4E167BG04
4E167BG09
4E167BG28
4E167BG31
4E167CA21
4E167DA14
4E167DC06
(57)【要約】
【課題】管の突合せ部を内面側から摩擦攪拌接合する管接合方法において、突合せ部の接合終端部にツールの穴を残さないようにすることができる管接合方法を提供する。
【解決手段】管2の内面に軸方向にタブ5を設置する。回転するツール4を管1,2の突合せ部3に内面側から挿入し、ツール4を管1,2の突合せ部3の周方向に相対的に移動させて、管1,2を周接合する。その後、ツール4をタブ5へと軸方向に移動させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管の内面に軸方向にタブを設置する工程と、
回転するツールを管の突合せ部に内面側から挿入し、前記ツールを管の突合せ部の周方向に相対的に移動させて、管を周接合する工程と、
その後、前記ツールを前記タブへと軸方向に移動させる工程と、を備える管接合方法。
【請求項2】
前記タブが管の突合せ部に向かって先細る勾配が5度以下のテーパ形状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の管接合方法。
【請求項3】
前記ツールを前記タブへと軸方向に移動させる際、前記ツールを軸方向から逆方向に傾けることを特徴とする請求項1又は2に記載の管接合方法。
【請求項4】
前記タブが管の突合せ部の接合中心線から前記ツールのショルダの半径以上離れて設置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の管接合方法。
【請求項5】
前記タブの管との当接面は、管の内面に向かって凸の断面円弧状に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の管接合方法。
【請求項6】
ツールを回転駆動するツール回転ユニットと、
前記ツールを管の突合せ部に内面側から挿入する加圧ユニットと、
前記ツールを管の突合せ部の周方向に相対的に移動させる旋回ユニットと、
管の内面に軸方向に設置されたタブへと前記ツールを軸方向に移動させる軸方向移動ユニットと、を備える管接合装置。
【請求項7】
前記ツールを前記タブへと軸方向に移動させる際、前記ツールを軸方向から逆方向に傾ける角度変更ユニットを備えることを特徴とする請求項6に記載の管接合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管の突合せ部を内面側から摩擦攪拌接合する管接合方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
摩擦攪拌接合(Friction Stir Welding: FSW)は、1991年にイギリスのTWIで開発された固相接合法の一種であり、従来の溶接法にはない種々の特徴を有する。例えば、最高到達温度が融点に達せず、固相状態での接合になるため、接合部における強度低下が溶接法に比べて小さいという特徴を有する。
【0003】
特許文献1には、管の突合せ部を外面側から摩擦攪拌接合する管接合方法が開示されている。この管接合方法では、まず回転するツールを管の外面側から突合せ部に押し込む(挿入する)。回転するツールの挿入により、ツールと突合せ部の材料との間で摩擦熱が発生し、材料の温度が上昇する。材料が十分に加熱されて塑性流動を開始できる温度まで到達すると、材料は回転するツールの周りをツールの回転方向に流動する。このとき、ツールの両側に配置された材料の一部が強制的に混合されてツールの周辺領域での接合が実現する。ツールを管の突合せ部の周方向に接合線に沿って移動させると、ツールが移動した後側に連続的に接合部が形成されていき、管の周接合が実現する。目的の位置に到達したところでツールを引き抜けば、接合が完了する。
【0004】
しかし、単にツールを引き抜いただけであると、ツールを引き抜いた接合終端部にツールの穴が残るという課題がある。ツールの穴が残らないように、特許文献1に記載の管接合方法では、
図9(a)に示すように、ツール21を管20の外面側から突合せ部に挿入し、管20の周接合を開始した後、
図9(b)に示すように、管20の接合終端部23の接線方向にタブ24を設置し、
図9(c)に示すように、ツール21をタブ24へと移動させている。そして、ツール21をタブ24から引き抜いてタブ24にツール21の穴を残し、管20の接合終端部23にツール21の穴を残さないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、管の突合せ部を内面側から摩擦攪拌接合することが要請される場合がある。なぜならば、管の突合せ部を外面側から摩擦攪拌接合する場合、ツールを突合せ部に押し込むときの反力を受けるために管接合装置が大型化し易いからである。ツールを管の突合せ部に内面側から押し込めることができれば、ツールを突合せ部に押し込むときの反力を管内に閉じ込めることができ、管接合装置をコンパクトにすることができる。
【0007】
このため、管の突合せ部を内面側から摩擦攪拌接合することが要請される場合がある。内面側から摩擦攪拌接合する場合も、ツールを引き抜いた接合終端部にツールの穴が残るという課題がある。
【0008】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたもので、管の突合せ部を内面側から摩擦攪拌接合する管接合方法及び装置において、突合せ部の接合終端部にツールの穴を残さないようにすることができる管接合方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、管の内面に軸方向にタブを設置する工程と、回転するツールを管の突合せ部に内面側から挿入し、前記ツールを管の突合せ部の周方向に相対的に移動させて、管を周接合する工程と、その後、前記ツールを前記タブへと軸方向に移動させる工程と、を備える管接合方法である。
【0010】
本発明の他の態様は、ツールを回転駆動するツール回転ユニットと、前記ツールを管の突合せ部に内面側から挿入する加圧ユニットと、前記ツールを管の突合せ部の周方向に相対的に移動させる旋回ユニットと、管の内面に軸方向に設置されたタブへと前記ツールを軸方向に移動させる軸方向移動ユニットと、を備える管接合装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、管の内面に軸方向に設置されたタブにツールの穴を残し、管の突合せ部の接合終端部にツールの穴を残さないようにすることができる。また、管の内側にはツールを備える管接合装置が存在するので、管の周接合中に管の内面に周方向にタブを設置するのは困難であるが、管の周接合前に管の内面に軸方向にタブを設置するので、タブの設置が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態の管接合方法の模式図(管の斜視図)である。
【
図4】本発明の第2実施形態の管接合方法の模式図(軸に沿ったタブの断面図)である。
【
図5】本発明の一実施形態の管接合装置の模式図(軸に沿った管の断面図)である。
【
図6】本実施形態の管接合装置の模式図(ツールをタブに向かって移動させた状態)である。
【
図7】本実施形態の管接合装置の模式図(ツールを軸方向から逆方向に傾けた状態)である。
【
図8】本実施形態の管接合装置の模式図(ツールをタブに移動させた状態)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態の管接合方法及び装置を説明する。ただし、本発明の管接合方法及び装置は、種々の形態で具体化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものではない。本実施形態は、明細書の開示を十分にすることによって、当業者が発明を十分に理解できるようにする意図をもって提供されるものである。
(第1実施形態の管接合方法)
【0014】
図1は、本発明の第1実施形態の管接合方法の模式図である。
図1において、符号1,2は、2つの管である。管2の内面をわかり易く示すために、管1を想像線で示す。2つの管1,2は、端面同士が突き合わされる。2つの管1,2の突合せ部3は、後述するように内面側から全周に亘って摩擦攪拌接合される。摩擦攪拌接合後に2つの管1,2の突合せ部3が接合部3になる。接合部3の中心が接合中心線である。なお、管1,2の管種は、鋼、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金等のいずれでもよく、2つの管1,2で管種が異なってもよい。また、管1,2は、埋設管でも地上露出管でもよい。管1,2には、塗覆装を形成しても形成しなくてもよい。
【0015】
ツール4は、プローブ4a(ピンとも呼ばれる)とショルダ4bを備える。ツール4は軸線を中心に回転駆動される。プローブ4aは、管の突合せ部内に進入して摩擦熱を生じさせ、プローブ4aの周囲に塑性流動を誘起する。ショルダ4bは、管の突合せ部の表面に接触して摩擦熱を生じさせ、管の突合せ部の表面近傍に塑性流動を誘起する。
【0016】
プローブ4aの形状は、円柱状、円錐状、三角錐状、断面楕円状等である。プローブ4aには、通常はねじが切られるがねじを切らなくてもよい。プローブ4aの形状は、用途に合わせて使い分けられる。プローブ4aの長さは、管1,2の板厚と略等しい。ショルダ4bは、プローブ4aよりも大径である。ショルダ4bの底面は、内径側が盛り上がった凸面、平面、内径側が窪んだ凹面等である。ショルダ4bの底面に螺旋状の突起を設けてもよい。ツール4の材質には、管1,2よりも硬質でかつ接合時に発生する摩擦熱に耐えうるものが用いられる。例えば管1,2が鋼管の場合、ツール4にはPCBN、セラミックス材料、超硬合金等が用いられる。管1,2がアルミニウム合金管の場合、ツール4には工具鋼等が用いられる。
【0017】
管2の内面には、軸方向にタブ5が設置される。タブ5は、軸方向に延びる。タブ5は、接合終端部3aにツール4の穴を残さないようにするために設置される。タブ5は、軸方向断面が略三角形であり、管2との当接面5aとツール4が到達する傾斜面5bを有する。当接面5aは、管2の内面に向かって凸の断面(軸直角断面)円弧状に形成される。当接面5aは、管2の内面に面接触する。タブ5は、管2の内面に仮付け溶接、ろう付け等により固定される。タブ5の材質は、特に限定されるものではなく、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、鋼等を用いることができる。タブ5を管2の内面に仮付け溶接する場合、タブ5を管2の材質と同じにするのが望ましい。
【0018】
タブ5は、管1,2の突合せ部3に向かって先細るテーパ形状に形成される。
図2に示す軸に沿ったタブ5の断面において、タブ5の勾配θ(当接面5aに対する傾斜面5bの角度θ)は5度以下、望ましくは3度以下である。タブ5の最大板厚tは、ツール4のプローブ4aの長さ以上である。タブ5は、管1,2の突合せ部3の接合中心線からツール4のショルダ4bの半径以上離れて設置される。
図3に示すように、タブ5の傾斜面5bの端部に軸と平行に平坦面5b1を形成してもよい。
【0019】
図1に示すように、2つの管1,2の突合せ部3は、内面側から全周に亘って摩擦攪拌接合される。すなわち、まず回転するツール4を管1,2の突合せ部3に内面側から押し込む(挿入する)。ツール4のプローブ4aは管1,2の突合せ部3に進入し、ツール4のショルダ4bは突合せ部3の表面に接触する。回転するツール4の挿入により、ツール4と突合せ部3の材料との間で摩擦熱が発生し、材料の温度が上昇する。材料が十分に加熱されて塑性流動を開始できる温度まで到達すると、材料は回転するツール4の周りをツール4の回転方向に流動する。このとき、ツール4の両側に配置された材料の一部が強制的に混合されてツール4の周辺領域での接合が実現する。ツール4を管1,2の突合せ部3の周方向に接合線に沿って移動させると、ツール4が移動した後側に連続的に接合部3が形成されていき、管1,2の周接合が実現する。周接合中、塑性流動金属が外部にバリとして排出されないようにショルダ4bが塑性流動金属を押さえ込む。符号3aは管の突合せ部3の接合終端部である。なお、管1,2に対するツール4の周方向の移動(旋回)は相対的なものであり、ツール4を旋回させてもよいし、管1,2を旋回させてもよい。
【0020】
ツール4が突合せ部3の接合終端部3aに到達したとき、ツール4を引き抜くと、接合終端部3aにツール4の穴が発生してしまう。そこで、ツール4を回転・加圧・挿入したまま、ツール4の進行方向を周方向から軸方向へ変えて、ツール4をタブ5へと軸方向に移動させる。
図3に示すように、ツール4がタブ5に到達した後、ツール4を軸方向に移動させながらツール4をタブ5の傾斜面5bに沿って徐々に引き上げる(S2~S5)。そして、ツール4の先端が管2を乗り越えたならば(S5)、ツール4を引き抜く。これにより、タブ5にツール4の穴を残し、管2の接合終端部3aにツール4の穴を残さないようにすることができる。ツール4を引き抜いた後、タブ5はグラインダ等により除去される。なお、ツール4をタブ5から引き抜く替わりに、ツール4がタブ5を軸方向に通過するようにしてもよい。
本実施形態のツール接合方法の効果を説明する。
【0021】
管2の内面に軸方向に設置されたタブ5にツール4の穴を残し、管1,2の突合せ部3の接合終端部3aにツール4の穴を残さないようにすることができる。また、管1,2の内側にはツール4を備える管接合装置が存在するので、管1,2の周接合中に管2の内面に周方向にタブ5を設置するのは困難であるが、管1,2の周接合前に管2の内面に軸方向にタブ5を設置するので、タブ5の設置が容易である。
【0022】
タブ5の勾配θが5度を超えると、ツール4のショルダ4bとタブ5の傾斜面5bとの間の隙間g(
図2参照)が大きくなり、ショルダ4bが塑性流動金属を押さえ込みにくくなり、塑性流動金属がバリとなって外部に排出され易くなる。ツール4を強い力で押し込めば、これを防止できるが、例えば鋼管の場合は荷重が大きくなり過ぎてツール4が破壊される。タブ5の勾配θを5度以下に設定することで、隙間gが小さくなり、ショルダ4bが塑性流動金属を押さえ込み易くなるので、接合部3に欠陥が発生するのを防止できる。
【0023】
突合せ部3の接合中心線からツール4のショルダ4bの半径以上離れてタブ5が設置されるので、タブ5の影響を受けずに管1,2を良好に摩擦攪拌接合することができる。
【0024】
タブ5の管2との当接面5aが、管2の内面に向かって凸の断面円弧状に形成されるので、タブ5を安定的に管2に固定することができる。
(第2実施形態の管接合方法)
【0025】
図4は、本発明の第2実施形態の管接合方法の模式図(軸に沿ったタブ5の断面図)である。第1実施形態の管接合方法では、タブ5の勾配を5度以下に設定し、ツール4を軸方向から逆方向に傾けていない(言い換えればツール4の前進角を0度に設定している)。これに対し、第2実施形態の管接合方法では、ツール4をタブ5へと軸方向に移動させる際、ツール4がタブ5に到達したとき(S3)、ツール4を軸方向から逆方向に傾ける(言い換えればツール4の前進角を0度からαに変更する)。前進角αはタブ5の勾配θと略等しい。なお、第2実施形態の管接合方法では、タブ5の勾配θは5度より大きくても5度以下でもよい。
【0026】
その後、ツール4の前進角をαに保ったまま、ツール4を軸方向に移動させながらツール4をタブ5の傾斜面5bに沿って徐々に引き上げる(S3,S4)。ツール4の先端が管を乗り越えたとき(S4)、ツール4を引き抜く。これにより、タブ5にツール4の穴を残し、管1,2の接合終端部3aにツール4の穴を残さないようにすることができる。
【0027】
第2実施形態の管接合方法によれば、ツール4をタブ5へと軸方向に移動させる際、ツール4を軸方向から逆方向に傾けるので、ツール4のショルダ4bとタブ5の傾斜面5bとの間の隙間g(
図2参照)が小さくなり、ショルダ4bが塑性流動金属を押さえ込み易くなる。このため、接合部3に欠陥が発生するのを防止できる。
【0028】
管1,2の板厚が厚かったり、鋼管の場合、塑性流動を誘起するために大きな摩擦熱が必要になり、ツール4のショルダ径が大きくなる。ショルダ径が大きくなると、ツール4のショルダ4bとタブ5の傾斜面5bとの間の隙間g(
図2参照)が大きくなり、塑性流動金属がバリとなって外部に排出され易くなる。第2実施形態の管接合方法は、管の板厚が厚かったり、鋼管の場合に有効である。
(管接合装置)
【0029】
図5は、本発明の一実施形態の管接合装置11の模式図(軸に沿った管1,2の断面図)を示す。本実施形態の管接合装置11は、管1,2の内側に配置され、管1,2の突合せ部3を内面側から摩擦攪拌接合する。管1は例えば既設管であり、管2は例えば新設管である。
【0030】
管2の内面には、事前にタブ5が設置される。タブ5の構成は上述のとおりである。タブ5の勾配θは5度より大きくても5度以下でもよい。
【0031】
管接合装置11は、装置本体12と、管1をクランプする第1クランプユニット13と、管2をクランプする第2クランプユニット14と、を備える。第1クランプユニット13を作動させると、管1に装置本体12が固定される。第2クランプユニット14を作動させると、管1と管2が同心になる。図示しない油圧シリンダにより、第2クランプユニット14を第1クランプユニット13に近づけると、管1,2の端面同士が突き当てられる。
【0032】
装置本体12は、ツール4を回転駆動する回転ユニット15と、ツール4を管1,2の突合せ部3に内面側から挿入する加圧ユニット16と、ツール4を管1,2の突合せ部3の周方向に相対的に移動(旋回)させる旋回ユニット17と、ツール4をタブ5へと軸方向に移動させる軸方向移動ユニット18と、ツール4をタブ5へと軸方向に移動させる際、ツール4を軸方向から逆方向に傾ける角度変更ユニット19と、を備える。
【0033】
回転ユニット15は、ツール4をその軸線の回りに回転駆動させる。加圧ユニット16は、回転するツール4を管1,2の突合せ部3に内面側から押し込む(挿入する)。加圧ユニット16は、ツール4をタブ5から引き上げる役割も持つ。旋回ユニット17は、管1,2の突合せ部3を周接合するためにツール4を旋回させる。
【0034】
図6に示すように、タブ5の横位置で管1,2の突合せ部3の周接合を終了する。そして、ツール4を回転・加圧・挿入したまま、軸方向移動ユニット18によってツール4をタブ5へ向かって軸方向に移動させる。
【0035】
図7に示すように、ツール4がタブ5に到達したとき、ツール4を回転・加圧・挿入したまま、角度変更ユニット19によってツール4を軸方向から逆方向に傾ける(言い換えればツール4の前進角を0度からαに変更する)。なお、タブ5の勾配が5度以下の場合は、角度変更ユニット19を省略してもよい。
【0036】
その後、
図8に示すように、ツール4を回転・加圧・挿入したまま、またツール4の前進角をαに保ったまま、軸方向移動ユニット18によってツール4を軸方向に移動させながら、加圧ユニット16によってツール4をタブ5の傾斜面5bに沿って徐々に引き上げる。ここでは、例えばツール4の位置を検出するセンサを設け、ツール4の挿入深さがタブ5の傾斜面5bから一定になるようにツール4の位置を制御する。
【0037】
ツール4の先端が管2を乗り越えたら、加圧ユニット16によってツール4を引き抜く。これにより、タブ5にツール4の穴を残し、管1,2の突合せ部3の接合終端部3aにツール4の穴を残さないようにすることができる。
【符号の説明】
【0038】
1,2…管
3…突合せ部
4…ツール
4a…プローブ
4b…ショルダ
5…タブ
5a…当接面
5b…傾斜面
11…管接合装置
15…回転ユニット
16…加圧ユニット
17…旋回ユニット
18…軸方向移動ユニット
19…角度変更ユニット
θ…タブの勾配